(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
上述したように、優れた耐久性のパターン化位相差材を製造するため、密着耐久性に優れた配向材、特に、硬化された重合性液晶の層との間の密着耐久性に優れた配向材が求められている。そして、そのような性能の配向材の形成に好適な硬化膜形成組成物が求められている。
【0023】
本発明者は、上述の要求に応えるべく、鋭意検討を行った結果、特定の組成を有する硬化膜形成組成物から得られる硬化膜が、光透過性に優れ、また、偏光露光によって液晶配向を規制する液晶配向性を示して配向材としての利用が可能であることを見出した。加えて、本発明者は、その特定の組成を有する硬化膜形成組成物から得られる硬化膜が、その上で重合硬化された重合性液晶の層との間で、優れた密着耐久性を示すことを見出した。すなわち、本発明の特定の組成を有する硬化膜形成組成物から得られた硬化膜は、重合性液晶の層との間の密着耐久性に優れた光配向膜を構成することができる。
【0024】
以下において、本発明の硬化膜形成組成物について、成分等の具体例を挙げながら詳細に説明する。そして、本発明の硬化膜形成組成物を用いた本発明の硬化膜および配向材、並びに、その配向材を用いて形成される位相差材および液晶表示素子等について説明する。
【0025】
<硬化膜形成組成物>
本発明の硬化膜形成組成物は、(A)光配向性基及び熱架橋性基を有する化合物の少なくとも一種、(B)N−アルコキシメチル基を有する繰り返し単位及び重合性のC=C二重結合を含む側鎖を有する繰り返し単位を含むポリマー、(C)成分である(C−1):ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するポリマー、(C−2):(A)成分と熱反応可能な置換基を有し、自己架橋可能なポリマー、及び(C−3):メラミンホルムアルデヒド樹脂、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー、並びに(D)成分として架橋触媒を含有し得る。また、(E)成分として架橋剤を含有することができる。さらに、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他の添加剤を含有することができる。さらに、溶剤を含有することができる。
以下、各成分の詳細を説明する。
【0026】
[(A)成分]
本発明の硬化膜形成組成物における(A)成分は、光配向性基及び熱架橋性基を有する化合物の少なくとも一種である。(A)成分として、ポリマーを使用することができるが、ポリマー以外の化合物を使用することもできる。ここで、ポリマー以外の化合物とは、具体的には、分子中に繰り返し単位を有さない化合物を意味し、通常、低分子の化合物となる。そのため、(A)成分は、光配向性基及び熱架橋性基を有するポリマーの少なくとも一種、光配向性基及び熱架橋性基を有するポリマー以外の化合物の少なくとも一種、又は、光配向性基及び熱架橋性基を有するポリマーと光配向性基及び熱架橋性基を有するポリマー以外の化合物との混合物であり得る。
(A)成分は、本発明の硬化膜形成組成物から得られる硬化膜に光配向性を付与する成分であり、本明細書において、(A)成分を光配向成分とも称する。
【0027】
(A)成分がポリマー以外の化合物である場合の詳細を以下に説明する。
(A)成分がポリマー以外の化合物である場合、通常、ベースとなる後述の(B)成分のポリマーに比べて低分子量の光配向成分となる。
【0028】
本発明の硬化膜形成組成物において、(A)成分がポリマー以外の化合物である場合、(A)成分は光配向性基を有する化合物であって、さらにヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる一つの基を有する化合物とすることができる。
尚、本発明において、光配向性基とは、一般に光照射によって配向する性質を発揮する官能基を指し、代表的には光二量化又は光異性化する構造部位の官能基を言う。その他の光配向性基としては、たとえば光フリース転位反応を起こす官能基(例示化合物:安息香酸エステル化合物など)、光分解反応を起こす基(例示化合物;シクロブタン環など)な
どが挙げられる。
【0029】
(A)成分のポリマー以外の化合物が光配向性基として有することのできる光二量化する構造部位とは、光照射により二量体を形成する部位であり、その具体例としては、シンナモイル基、カルコン基、クマリン基、アントラセン基等が挙げられる。これらのうち可視光領域での透明性の高さ、光二量化反応性の高さからシンナモイル基が好ましい。
【0030】
また、(A)成分のポリマー以外の化合物が光配向性基として有することのできる光異性化する構造部位とは、光照射によりシス体とトランス体とに変わる構造部位を指し、その具体例としてはアゾベンゼン構造、スチルベン構造等からなる部位が挙げられる。これらのうち反応性の高さからアゾベンゼン構造が好ましい。
【0031】
光配向性基とヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる一つの基を有するポリマー以外の化合物は、例えば、下記式で表される化合物である。
【0033】
前記式中、A
1とA
2はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
【0034】
X
11は単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、アミノ結合、カルボニル又はそれらの組み合わせから選ばれる1種又は2種以上の結合、或いは該1種又は2種以上の結合を介して、炭素原子数1乃至18のアルキレン、フェニレン、ビフェニレン又はそれらの組み合わせから選ばれる1乃至3の置換基が結合してなる構造であって、前記置換基は前記結合を介してそれぞれ複数個が連結してなる構造であってもよい。
【0035】
X
12は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1乃至18のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基又はシクロヘキシル基を表す。その際、炭素原子数1乃至18のア
ルキル基、フェニル基、ビフェニル基及びシクロヘキシル基は、共有結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又は尿素結合を介して2種以上の基が結合してもよい。
【0036】
X
13はヒドロキシ基、メルカプト基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数1乃至10のアルキルチオ基、フェノキシ基、ビフェニルオキシ基又はフェニル基を表す。
【0037】
X
14は単結合、炭素原子数1乃至20のアルキレン基、2価の芳香族環基、又は、2価の脂肪族環基を表す。ここで炭素原子数1乃至20のアルキレン基は分岐状でも直鎖状でもよい。
【0038】
X
15はヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基又はアルコキシシリル基を表す。但し、X
14が単結合であるときは、X
15はヒドロキシ基またはアミノ基である。
【0039】
Xは単結合、酸素原子又は硫黄原子を表す。但し、X
14が単結合であるときは、Xも単結合である。
【0040】
なお、これらの置換基においてベンゼン環が含まれる場合、当該ベンゼン環は、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基及びシアノ基から選ばれる同一又は相異なる1又は複数の置換基によって置換されていてもよい。
【0041】
上記式中、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17及びR
18は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基又はシアノ基を表す。
また、上記で定義された、炭素原子数1乃至18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、n−ヘプチル基、1−メチル−n−ヘキシル基、2−メチル−n−ヘキシル基、3−メチル−n−ヘキシル基、1,1−ジメチル−n−ペンチル基、1,2−ジメチル−n−ペンチル基、1,3−ジメチル−n−ペンチル基、2,2−ジメチル−n−ペンチル基、2,3−ジメチル−n−ペンチル基、3,3−ジメチル−n−ペンチル基、1−エチル−n−ペンチル基、2−エチル−n−ペンチル基、3−エチル−n−ペンチル基、1−メチル−1−エチル−n−ブチル基、1−メチル−2−エチル−n−ブチル基、1−エチル−2−メチル−n−ブチル基、2−メチル−2−エチル−n−ブチル基、2−エチル−3−メチル−n−ブチル基、n−オクチル基、1−メチル−n−ヘプチル基、2−メチル−n−ヘプチル基、3−メチル−n−ヘプチル基、1,1−ジメチル−n−ヘキシル基、1,2−ジメチル−n−ヘキシル基、1,3−ジメチル−n−ヘキシル基、2,2−ジメチル−n−ヘキシル基、2,3−ジメチル−n−ヘキシル基、3,3−ジメチル−n−ヘキシル基、1−エチル−n−ヘキシル基、2−エチル−n−ヘキシル基、3−エチル−n−ヘキシル基、1−メチル−1−エチル−n−ペンチル基、1−メチル−2−エチル−n−ペンチル基、1−
メチル−3−エチル−n−ペンチル基、2−メチル−2−エチル−n−ペンチル基、2−メチル−3−エチル−n−ペンチル基、3−メチル−3−エチル−n−ペンチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基及びn−オクタデシル基等が挙げられる。同様に炭素原子数1乃至4のアルキル基としては、上記に挙げられた基のうち該当する炭素原子数の基が挙げられる。また、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数1乃至10のアルキルチオ基としては、上記に挙げられたアルキル基をオキシ化またはチオ化した基のうち該当する炭素原子数の基が挙げられる。更に炭素原子数1乃至20のアルキレン基としては、上記アルキル基並びにn−ノナデシル基、n−エイコシル基等の炭素原子数1乃至20のアルキル基から1個の水素原子を取り去った二価の基が挙げられる。
【0042】
(A)成分である光配向性基及びヒドロキシ基を有するポリマー以外の化合物の具体例として、例えば上記式[A11]〜[A15]で表される化合物並びに該式以外の化合物としては、例えば、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)けい皮酸メチルエステル、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)けい皮酸メチルエステル、4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)けい皮酸メチルエステル、4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)けい皮酸メチルエステル、4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)けい皮酸メチルエステル、4−ヒドロキシメチルオキシけい皮酸メチルエステル、4−ヒドロキシけい皮酸メチルエステル、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)けい皮酸エチルエステル、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)けい皮酸エチルエステル、4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)けい皮酸エチルエステル、4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)けい皮酸エチルエステル、4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)けい皮酸エチルエステル、4−ヒドロキシメチルオキシけい皮酸エチルエステル、4−ヒドロキシけい皮酸エチルエステル、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)けい皮酸フェニルエステル、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)けい皮酸フェニルエステル、4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)けい皮酸フェニルエステル、4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)けい皮酸フェニルエステル、4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)けい皮酸フェニルエステル、4−ヒドロキシメチルオキシけい皮酸フェニルエステル、4−ヒドロキシけい皮酸フェニルエステル、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)けい皮酸ビフェニルエステル、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)けい皮酸ビフェニルエステル、4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)けい皮酸ビフェニルエステル、4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)けい皮酸ビフェニルエステル、4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)けい皮酸ビフェニルエステル、4−ヒドロキシメチルオキシけい皮酸ビフェニルエステル、4−ヒドロキシけい皮酸ビフェニルエステル、けい皮酸8−ヒドロキオクチルエステル、けい皮酸6−ヒドロキシヘキシルエステル、けい皮酸4−ヒドロキシブチルエステル、けい皮酸3−ヒドロキシプロピルエステル、けい皮酸2−ヒドロキシエチルエステル、けい皮酸ヒドロキシメチルエステル、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)アゾベンゼン、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)アゾベンゼン、4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)アゾベンゼン、4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)アゾベンゼン、4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)アゾベンゼン、4−ヒドロキシメチルオキシアゾベンゼン、4−ヒドロキシアゾベンゼン、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)カルコン、4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)カルコン、4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)カルコン、4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)カルコン、4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)カルコン、4−ヒドロキシメチルオキシカルコン、4−ヒドロキシカルコン、4’−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)カルコン、4’−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)カルコン、4’−(4−ヒドロキシブチルオキシ)カルコン、4’−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)カルコン、4’−(2−ヒドロキシエチルオキシ)カルコン、4’−ヒドロキシメチルオキシカルコン、4’−ヒドロキシカルコン、7−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)クマリン、7−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)クマリン、7−(4−ヒドロキシブチルオキシ)クマリン、7−(3−ヒドロキシ
プロピルオキシ)クマリン、7−(2−ヒドロキシエチルオキシ)クマリン、7−ヒドロキシメチルオキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、6−ヒドロキシオクチルオキシクマリン、6−ヒドロキシヘキシルオキシクマリン、6−(4−ヒドロキシブチルオキシ)クマリン、6−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)クマリン、6−(2−ヒドロキシエチルオキシ)クマリン、6−ヒドロキシメチルオキシクマリン、6−ヒドロキシクマリン、4−[4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸メチルエステル、4−[4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸メチルエステル、4−[4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸メチルエステル、4−[4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸メチルエステル、4−[4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸メチルエステル、4−[4−ヒドロキシメチルオキシベンゾイル]けい皮酸メチルエステル、4−[4−ヒドロキシベンゾイル]けい皮酸メチルエステル、4−[4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸エチルエステル、4−[4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸エチルエステル、4−[4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸エチルエステル、4−[4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸エチルエステル、4−[4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸エチルエステル、4−[4−ヒドロキシメチルオキシベンゾイル]けい皮酸エチルエステル、4−[4−ヒドロキシベンゾイル]けい皮酸エチルエステル、4−[4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸ターシャリーブチルエステル、4−[4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸ターシャリーブチルエステル、4−[4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸ターシャリーブチルエステル、4−[4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸ターシャリーブチルエステル、4−[4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸ターシャリーブチルエステル、4−[4−ヒドロキシメチルオキシベンゾイル]けい皮酸ターシャリーブチルエステル、4−[4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸フェニルエステル、4−[4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸フェニルエステル、4−[4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸フェニルエステル、4−[4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸フェニルエステル、4−[4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸フェニルエステル、4−[4−ヒドロキシメチルオキシベンゾイル]けい皮酸フェニルエステル、4−[4−ヒドロキシベンゾイル]けい皮酸フェニルエステル、4−[4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸ビフェニルエステル、4−[4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸ビフェニルエステル、4−[4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸ビフェニルエステル、4−[4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸ビフェニルエステル、4−[4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゾイル]けい皮酸ビフェニルエステル、4−[4−ヒドロキシメチルオキシベンゾイル]けい皮酸ビフェニルエステル、4−[4−ヒドロキシベンゾイル]けい皮酸ビフェニルエステル、4−ベンゾイルけい皮酸8−ヒドロキオクチルエステル、4−ベンゾイルけい皮酸6−ヒドロキシヘキシルエステル、4−ベンゾイルけい皮酸4−ヒドロキシブチルエステル、4−ベンゾイルけい皮酸3−ヒドロキシプロピルエステル、4−ベンゾイルけい皮酸2−ヒドロキシエチルエステル、4−ベンゾイルけい皮酸ヒドロキシメチルエステル、4−[4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ベンゾイル]カルコン、4−[4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル]カルコン、4−[4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)ベンゾイル]カルコン、4−[4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンゾイル]カルコン、4−[4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゾイル]カルコン、4−(4−ヒドロキシメチルオキシベンゾイル)カルコン、4−(4−ヒドロキシベンゾイル)カルコン、4’−[4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)ベンゾイル]カルコン、4’−[4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゾイル]カルコン、4’−[4−(4−ヒドロキシブチルオキシ)ベンゾイル]カルコン、4’−[4−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンゾイル]カルコン、4’−
[4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゾイル]カルコン、4’−(4−ヒドロキシメチルオキシベンゾイル)カルコン、4’−(4−ヒドロキシベンゾイル)カルコン等が挙げられる。
【0043】
(A)成分である、光配向性基及びカルボキシル基を有するポリマー以外の化合物の具体例としては、けい皮酸、フェルラ酸、4−メトキシけい皮酸、4−エトキシけい皮酸、4−n−プロピルオキシけい皮酸、3,4−ジメトキシけい皮酸、クマリン−3−カルボン酸、4−(N,N−ジメチルアミノ)けい皮酸等が挙げられる。
【0044】
(A)成分である、光配向性基及びアミド基を有するポリマー以外の化合物の具体例としては、けい皮酸アミド、4−メチルけい皮酸アミド、4−エチルけい皮酸アミド、4−メトキシけい皮酸アミド、4−エトキシけい皮酸アミド等が挙げられる。
【0045】
(A)成分である、光配向性基及びアミノ基を有するポリマー以外の化合物の具体例としては、4−アミノけい皮酸メチルエステル、4−アミノけい皮酸エチルエステル、3−アミノけい皮酸メチルエステル、3−アミノけい皮酸エチルエステル等が挙げられる。
【0046】
(A)成分である、光配向性基とアルコキシシリル基とを有するポリマー以外の化合物の具体例としては、4−(3−トリメトキシシリルプロピルオキシ)けい皮酸メチルエステル、4−(3−トリエトキシシリルプロピルオキシ)けい皮酸メチルエステル、4−(3−トリメトキシシリルプロピルオキシ)けい皮酸エチルエステル、4−(3−トリエトキシシリルプロピルオキシ)けい皮酸エチルエステル、4−(3−トリメトキシシリルヘキシルオキシ)けい皮酸メチルエステル、4−(3−トリエトキシシリルヘキシルオキシ)けい皮酸メチルエステル、4−(3−トリメトキシシリルヘキシルオキシ)けい皮酸エチルエステル及び4−(3−トリエトキシシリルヘキシルオキシ)けい皮酸エチルエステル等が挙げられる。
【0047】
(A)成分としては、さらに下記式(1)で表される光配向性部位と熱反応性部位とが結合した基に、スペーサーを介して重合性基が結合したポリマー以外の化合物が好ましい。
【0049】
(式中、R
101はヒドロキシ基、アミノ基、ヒドロキシフェノキシ基、カルボキシルフェノキシ基、アミノフェノキシ基、アミノカルボニルフェノキシ基、フェニルアミノ基、ヒドロキシフェニルアミノ基、カルボキシルフェニルアミノ基、アミノフェニルアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基またはビス(ヒドロキシアルキル)アミノ基を表し、X
101はフェニレン基を表し、これらの置換基の定義におけるベンゼン環は置換基で置換されていてもよい。)
【0050】
ベンゼン環が置換基で置換されていてもよい場合の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ヨウ素、臭素、塩素、フッ素等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基等が挙げられる。
【0051】
上記R
101の中では、ヒドロキシ基及びアミノ基が好ましく、ヒドロキシ基が特に好ましい。
【0052】
スペーサーとしては、直鎖状アルキレン、分岐アルキレン、環状アルキレン及びフェニレンから選ばれる二価の基であるか、当該二価の基が複数結合してなる基を表す。この場合、スペーサーを構成する二価の基同士の結合、スペーサーと上記式(1)で表される基との結合、スペーサーと重合性基との結合としては、単結合、エステル結合、アミド結合、ウレア結合またはエーテル結合が挙げられる。上記二価の基が複数となる場合は、二価の基同士は同一でも異なっていてもよく、上記結合が複数となる場合は、結合同士は同一でも異なっていてもよい。
【0053】
そのような(A)成分である光配向性部位と熱反応性部位とが結合した基に重合性基が結合したモノマーの具体例としては、4−(6−メタクリルオキシヘキシル−1−オキシ)けい皮酸、4−(6−アクリルオキシヘキシル−1−オキシ)けい皮酸、4−(3−メタクリルオキシプロピル−1−オキシ)けい皮酸、4−(4−(3−メタクリルオキシプロピル−1−オキシ)アクリルオキシ)安息香酸、4−(4−(6−メタクリルオキシヘキシル−1−オキシ)ベンゾイルオキシ)けい皮酸、4−(6−メタクリルオキシヘキシル−1−オキシ)シンナムアミド、4−(6−メタクリルオキシヘキシル−1−オキシ)−N−(4−シアノフェニル)シンナムアミド、4−(6−メタクリルオキシヘキシル−1−オキシ)−N−ビスヒドロキシエチルシンナムアミドなどが挙げられる。
【0054】
(A)成分であるポリマー以外の化合物の光配向成分は、以上の具体例を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
次に(A)成分がポリマー、すなわち、高分子量の重合体である場合の詳細を以下に説明する。
【0056】
本発明の硬化膜形成組成物に含有される(A)成分が高分子量の重合体である場合、(A)成分は光配向性基を有する重合体であって、すなわち光配向性基として光二量化又は光異性化する構造部位の官能基を有する重合体、特に少なくとも光二量化部位を有するアクリル共重合体であることが好ましい。さらに、光二量化部位に加え、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基及びアルコキシシリル基からなる群から選ばれる一つの基(以下、これらの基を含めて熱架橋部位とも称する)を有するアクリル共重合体であることが望ましい。
【0057】
本発明において、アクリル共重合体とは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等の不飽和二重結合を有するモノマーを重合して得られる共重合体のことをいう。
【0058】
(A)成分の光二量化部位及び熱架橋部位を有するアクリル共重合体(以下、特定共重合体とも言う。)は、斯かる構造を有するアクリル共重合体であればよく、アクリル共重合体を構成する高分子の主鎖の骨格及び側鎖の種類等について特に限定されない。
【0059】
光二量化部位としては、シンナモイル基、カルコン基、クマリン基、アントラセン基等が挙げられる。これらのうち可視光領域での透明性の高さ、及び光二量化反応性の高さからシンナモイル基が好ましい。より好ましいシンナモイル基及びシンナモイル構造を含む置換基としては下記式[1]又は式[2]で表される構造が挙げられる。なお本明細書において、シンナモイル基におけるベンゼン環がナフタレン環である基についても「シンナモイル基」及び「シンナモイル構造を含む置換基」に含めている。
【0061】
上記式[1]中、X
1は水素原子、炭素原子数1乃至18のアルキル基、フェニル基又はビフェニル基を表す。その際、フェニル基及びビフェニル基はハロゲン原子及びシアノ基のいずれかによって置換されていてもよい。炭素原子数1乃至18のアルキル基としては、炭素原子数1乃至18のアルキル基として上記で例示された基と同様の基が挙げられる。
【0062】
上記式[2]中、X
2は水素原子、シアノ基、炭素原子数1乃至18のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、シクロヘキシル基を表す。炭素原子数1乃至18のアルキル基としては、炭素原子数1乃至18のアルキル基として上記で例示された基と同様の基が挙げられる。その際、炭素原子数1乃至18のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、シクロヘキシル基は、共有結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、尿素結合、ウレタン結合、アミノ結合、カルボニル又はそれらの組み合わせから選ばれる1種又は2種以上の結合を介して複数種が結合してもよい。
【0063】
上記式[1]及び式[2]中、Aは式[A1]、式[A2]、式[A3]、式[A4]、式[A5]及び式[A6]のいずれかを表す。
【0064】
上記式[A1]、式[A2]、式[A3]、式[A4]、式[A5]及び式[A6]中、R
31、R
32、R
33、R
34、R
35、R
36、R
37及びR
38は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、ハロゲン原子、
トリフルオロメチル基又はシアノ基を表す。
【0065】
熱架橋部位は、加熱により(B)成分と結合する部位であり、その具体例としてはヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
【0066】
(A)成分のアクリル共重合体は、重量平均分子量が3,000乃至200,000であることが好ましい。重量平均分子量が200,000を超えて過大なものであると、溶剤に対する溶解性が低下しハンドリング性が低下する場合があり、一方、重量平均分子量が3,000未満で過小なものであると、熱硬化時に硬化不足になり溶剤耐性が低下したり耐熱性が低下したりする場合がある。
【0067】
(A)成分の光二量化部位及び熱架橋部位を有するアクリル共重合体の合成方法は、光二量化部位を有するモノマーと、熱架橋部位を有するモノマーとを共重合する方法が簡便である。
【0068】
光二量化部位を有するモノマーとしては、例えば、シンナモイル基、カルコン基、クマリン基、アントラセン基等を有するモノマーが挙げられる。これらのうち可視光領域での透明性の高さ及び光二量化反応性の高さからシンナモイル基を有するモノマーが特に好ましい。
【0069】
なかでも上記式[1]又は式[2]で表される構造のシンナモイル基及びシンナモイル構造を含む置換基を有するモノマーがより好ましい。そのようなモノマーの具体例を挙げると、下記式[3]又は式[4]で表されるモノマーである。
【0071】
上記式[3]中、X
1は水素原子、炭素原子数1乃至18のアルキル基、フェニル基又はビフェニル基を表す。その際、フェニル基及びビフェニル基はハロゲン原子及びシアノ基のいずれかによって置換されていてもよい。炭素原子数1乃至18のアルキル基としては、炭素原子数1乃至18のアルキル基として上記で例示された基と同様の基が挙げられる。
L
1及びL
2は、それぞれ独立に共有結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、尿素結合又はウレタン結合を表す。
【0072】
上記式[4]中、X
2は水素原子、シアノ基、炭素原子数1乃至18のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、シクロヘキシル基を表す。炭素原子数1乃至18のアルキル基としては、炭素原子数1乃至18のアルキル基として上記で例示された基と同様の基が挙げられる。その際、炭素原子数1乃至18のアルキル基、フェニル基、ビフェニル基、シクロヘキシル基は、共有結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、尿素結合を介して結合してもよい。
【0073】
上記式[3]及び式[4]中、X
3及びX
5はそれぞれ独立に単結合、炭素原子数1乃至20のアルキレン基、2価の芳香族環、2価の脂肪族環を示す。ここで炭素原子数1乃至20のアルキレン基は分岐状でも直鎖状でもよい。炭素原子数1乃至20のアルキレン基としては、炭素原子数1乃至20のアルキレン基として上記で規定された基と同様の基が
挙げられる。
【0074】
上記式[3]及び式[4]中、X
4及びX
6は重合性基を表す。この重合性基の具体例としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチレン基、マレイミド基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基等が挙げられる。
【0075】
上記式[3]及び式[4]中、Aは前記と同様に式[A1]、式[A2]、式[A3]、式[A4]、式[A5]及び式[A6]のいずれかを表す。
【0076】
熱架橋部位を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2−(アクリロイルオキシ)エチルエステル、カプロラクトン2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、5−アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン等のヒドロキシ基を有するモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ−(2−(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N−(カルボキシフェニル)マレイミド、N−(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N−(カルボキシフェニル)アクリルアミド等のカルボキシル基を有するモノマー;ヒドロキシスチレン、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(ヒドロキシフェニル)マレイミド等のフェノール性ヒドロキシ基を有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基を有するモノマー;メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有するモノマー等が挙げられる。
【0077】
特定共重合体を得るために用いる光二量化部位を有するモノマー及び熱架橋部位を有するモノマーの使用量は、特定共重合体を得るために使用する全モノマーの合計量に基いて、光二量化部位を有するモノマーが40質量%〜95質量%、熱架橋部位を有するモノマーが5質量%〜60質量%であることが好ましい。光二量化部位を有するモノマー含有量を40質量%以上とすることで高感度かつ良好な液晶配向性を付与することができる。他方、95質量%以下とすることで充分な熱硬化性を付与することができ、高感度かつ良好な液晶配向性を維持することができる。
【0078】
また、本発明の硬化膜形成組成物においては、特定共重合体を得る際に、光二量化部位及び熱架橋部位(以下、これらを特定官能基ともいう)を有するモノマーと共重合可能なモノマー(以下非反応性官能基を有するモノマーともいう)を併用することができる。
【0079】
そのようなモノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
以下、上記モノマーの具体例を挙げるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0080】
上述したアクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、グリシジルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルアクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルアクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルアクリレート等が挙げられる。
【0081】
上述したメタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトンメタクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルメタクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルメタクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルメタクリレート等が挙げられる。
【0082】
上述したビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アリルグリシジルエーテル、3−エテニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、及び、1,7−オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
【0083】
上述したスチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、及び、ブロモスチレン等が挙げられる。
【0084】
上述したマレイミド化合物としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、及び、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0085】
本発明の硬化膜形成組成物に用いる特定共重合体を得る方法は特に限定されないが、例えば、特定官能基を有するモノマー(光二量化部位を有するモノマー及び熱架橋部位を有するモノマー)、所望により非反応性官能基を有するモノマー及び重合開始剤等を共存させた溶剤中において、50℃〜110℃の温度下で重合反応させて得られる。その際、用いられる溶剤は、特定官能基を有するモノマー、所望により用いられる非反応性官能基を有するモノマー及び重合開始剤等を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する溶剤に記載する溶剤が挙げられる。
【0086】
このようにして得られる特定共重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態であり、本発明において(A)成分の溶液としてそのまま使用することができる。
【0087】
また、上記のようにして得られた特定共重合体の溶液を、ジエチルエーテルや水等の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後、常圧又は減圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、特定共重合体の粉体とすることができる。このような操作により、特定共重合体と共存する重合開始剤や未反応モノマーを除去することができ、その結果、精製した特定共重合体の粉体が得られる。一度の操作で充分に精製できない場
合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、上記の操作を繰り返し行えばよい。
【0088】
本発明の硬化膜形成組成物においては、(A)成分として上記特定共重合体の粉体をそのまま用いてもよく、あるいはその粉体を、たとえば後述する溶剤に再溶解して溶液の状態として用いてもよい。
【0089】
また、本実施形態においては、(A)成分のアクリル共重合体は、複数種の特定共重合体の混合物であってもよい。
【0090】
以上のように本発明においては、(A)成分としては低分子量の化合物、又は高分子量の特定共重合体を用いることができる。また、(A)成分はそれぞれ1種以上の低分子量の化合物と高分子量の特定共重合体との混合物であってもよい。
【0091】
[(B)成分]
本発明の硬化膜形成組成物に含有される(B)成分は、N−アルコキシメチル基を有する繰り返し単位及び重合性のC=C二重結合を含む側鎖を有する繰り返し単位を含むポリマー(以下特定共重合体2ともいう)である。
【0092】
N−アルコキシメチル基のN、すなわち窒素原子としては、アミドの窒素原子、チオアミドの窒素原子、ウレアの窒素原子、チオウレアの窒素原子、ウレタンの窒素原子、含窒素へテロ環の窒素原子の隣接位に結合した窒素原子等が挙げられる。従って、N−アルコキシメチル基としては、アミドの窒素原子、チオアミドの窒素原子、ウレアの窒素原子、チオウレアの窒素原子、ウレタンの窒素原子、含窒素へテロ環の窒素原子の隣接位に結合した窒素原子等から選ばれる窒素原子にアルコキシメチル基が結合した構造が挙げられる。
【0093】
N−アルコキシメチル基を有する繰り返し単位を与えるモノマー(以下、特定モノマーX1ともいう)としては、上記の基を有するモノマーであれば特に限定されないが、好ましくは、例えば下記の式(b1)で表される化合物が挙げられる。
【化5】
【0094】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、R
2は水素原子又は直鎖又は分岐の炭素原子数1乃至10のアルキル基を表す。)
【0095】
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−
2−メチル−n−プロピル基、n−ヘプチル基、1−メチル−n−ヘキシル基、2−メチル−n−ヘキシル基、3−メチル−n−ヘキシル基、1,1−ジメチル−n−ペンチル基、1,2−ジメチル−n−ペンチル基、1,3−ジメチル−n−ペンチル基、2,2−ジメチル−n−ペンチル基、2,3−ジメチル−n−ペンチル基、3,3−ジメチル−n−ペンチル基、1−エチル−n−ペンチル基、2−エチル−n−ペンチル基、3−エチル−n−ペンチル基、1−メチル−1−エチル−n−ブチル基、1−メチル−2−エチル−n−ブチル基、1−エチル−2−メチル−n−ブチル基、2−メチル−2−エチル−n−ブチル基、2−エチル−3−メチル−n−ブチル基、n−オクチル基、1−メチル−n−ヘプチル基、2−メチル−n−ヘプチル基、3−メチル−n−ヘプチル基、1,1−ジメチル−n−ヘキシル基、1,2−ジメチル−n−ヘキシル基、1,3−ジメチル−n−ヘキシル基、2,2−ジメチル−n−ヘキシル基、2,3−ジメチル−n−ヘキシル基、3,3−ジメチル−n−ヘキシル基、1−エチル−n−ヘキシル基、2−エチル−n−ヘキシル基、3−エチル−n−ヘキシル基、1−メチル−1−エチル−n−ペンチル基、1−メチル−2−エチル−n−ペンチル基、1−メチル−3−エチル−n−ペンチル基、2−メチル−2−エチル−n−ペンチル基、2−メチル−3−エチル−n−ペンチル基、3−メチル−3−エチル−n−ペンチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0096】
このようなモノマーの具体例としては、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物又はメタクリルアミド化合物が挙げられる。なお(メタ)アクリルアミドとはメタクリルアミドとアクリルアミドの双方を意味する。
【0097】
重合性のC=C二重結合を含む基としては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、アリル基、マレイミド基等が挙げられる。
【0098】
(B)成分の重合性のC=C二重結合を含む側鎖を有する繰り返し単位における特定側鎖は、炭素原子数が3〜16であって、末端に不飽和結合を有するものであることが好ましく、式(b2)のように表される特定側鎖が特に好ましい。式(b2)で表される特定側鎖は、式(b2−1)に示すように、アクリル重合体のエステル結合部分に結合するものである。
【0100】
式(b2)中、R
51は、炭素原子数が1〜14であり、脂肪族基、環式構造を含む脂肪族基および芳香族基よりなる群から選ばれる有機基、または、この群から選ばれる複数の有機基の組み合わせからなる有機基である。R
51は、エステル結合、エーテル結合、アミド結合またはウレタン結合などを含んでいてもよい。
【0101】
式(b2)において、R
52は水素原子またはメチル基であり、R
52が水素原子である特定側鎖が好ましく、より好ましくは、末端がアクリロイル基、メタクリロイル基またはスチリル基である特定側鎖である。
【0102】
式(b2−1)において、R
53は水素原子またはメチル基である。
【0103】
上記のような特定側鎖を有するポリマーを得る方法は、特に限定されない。一例を挙げれば、予めラジカル重合などの重合方法によって、特定官能基を有するアクリル重合体を生成する。次いで、この特定官能基と、末端に不飽和結合を有する化合物(以下、特定化合物と称す。)とを反応させて特定側鎖を生成することにより、(B)成分であるポリマーに重合性のC=C二重結合を含む側鎖を導入することができる。
【0104】
ここで、特定官能基とは、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシ基、活性水素を有するアミノ基、フェノール性ヒドロキシ基若しくはイソシアネート基などの官能基、または、これらから選ばれる複数種の官能基を言う。
【0105】
上述した特定側鎖を生成する反応において、特定官能基と、特定化合物が有する官能基であって反応に関与する基との好ましい組み合わせは、カルボキシル基とエポキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、フェノール性ヒドロキシ基とエポキシ基、カルボキシル基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基、または、ヒドロキシ基と酸クロリドなどである。さらに、より好ましい組み合わせは、カルボキシル基とグリシジルメタクリレート、または、ヒドロキシ基とイソシアネートエチルメタクリレートである。
【0106】
また、上述した特定側鎖を生成する反応において、特定官能基を有するポリマーは、特定モノマーX1に加えて、特定化合物と反応するための官能基(特定官能基)を有するモノマー、すなわち、カルボキシル基、グリシジル基、ヒドロキシ基、活性水素を有するアミノ基、フェノール性ヒドロキシ基またはイソシアネート基などを有するモノマー(以下、特定モノマーX2ともいう)を必須成分として得られる共重合体であって、その数平均分子量が2,000〜25,000のものである。ここで、重合に用いる特定官能基を有するモノマーは、単独でもよいし、重合中に反応しない組み合わせであれば複数種を併用してもよい。
【0107】
以下に、特定官能基を有するポリマーを得るのに必要なモノマー、すなわち、特定モノマーX2の具体例を挙げる。但し、これらに限定されるものではない。
【0108】
カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ−(2−(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N−(カルボキシフェニル)マレイミド、N−(カルボキシフェニル)メタクリルアミドおよびN−(カルボキシフェニル)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0109】
グリシジル基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、3−エテニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2−エポキシ−5−ヘキセンおよび1,7−オクタジエンモノ
エポキサイドなどが挙げられる。
【0110】
ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2−(アクリロイルオキシ)エチルエステル、カプロラクトン2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、5−アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトンおよび5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトンなどが挙げられる。
【0111】
アミノ基を有するモノマーとしては、例えば、2−アミノエチルアクリレートおよび2−アミノメチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0112】
フェノール性ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドおよびN−(ヒドロキシフェニル)マレイミドなどが挙げられる。
【0113】
イソシアネート基を有するモノマーとしては、例えば、アクリロイルエチルイソシアネート、メタクリロイルエチルイソシアネートおよびm−テトラメチルキシレンイソシアネートなどが挙げられる。
【0114】
このようにして得られる式(b2)で表される側鎖において、R
51の具体例としては、下記式(B−1)〜式(B−11)などが挙げられる。
【0116】
また、本発明においては、(B)成分のポリマーを得る際に、特定モノマーX1と、特定モノマーX2の他に、該モノマーと共重合可能であって前記熱架橋可能な置換基を有さないモノマーを併用することができる。
【0117】
そのようなモノマーの具体例としては、特定モノマーX1、並びに、特定モノマーX2とは異なる構造を有するアクリル酸エステル化合物又はメタクリル酸エステル化合物、マ
レイミド化合物、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
【0118】
以下、前記モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
前記特定モノマーX1等とは異なる構造を有するアクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、グリシジルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルアクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルアクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルアクリレート等が挙げられる。
【0119】
前記特定モノマーX1等とは異なる構造を有するメタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトンメタクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルメタクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルメタクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルメタクリレート等が挙げられる。
【0120】
前記ビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アリルグリシジルエーテル、3−エテニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、及び、1,7−オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
【0121】
前記スチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
【0122】
前記マレイミド化合物としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0123】
(B)成分のポリマー中、N−アルコキシメチル基を有する繰り返し単位の存在割合が、該ポリマーの全繰り返し単位100モルあたり、40モル%〜90モル%であることが好ましく、50モル%〜85モル%がさらに好ましい。
【0124】
すなわち、(B)成分である特定共重合体2を得るために用いられる特定モノマーX1の使用量は、(B)成分である特定共重合体2を得るために用いる全モノマーの合計量に基づいて、40モル%〜90モル%であることが好ましく、50モル%〜85モル%がさらに好ましい。
合計が40モル%未満である場合は(A)成分との熱架橋による硬化が不十分となる場合があり、90モル%より過大である場合は、基材との密着性に悪影響を与える場合がある
。
【0125】
(B)成分のポリマー中、重合性のC=C二重結合を含む側鎖を有する繰り返し単位の存在割合が、該ポリマーの全繰り返し単位100モルあたり、10モル%〜60モル%であることが好ましく、15モル%〜50モル%であることがさらに好ましい。
【0126】
すなわち、(B)成分である特定共重合体2を得るために用いられる特定モノマーX2の使用量は、(B)成分である特定共重合体2を得るために用いる全モノマーの合計量に基づいて、10モル%〜60モル%であることが好ましく、15モル%〜50モル%であることがさらに好ましい。
合計が10モル%未満である場合は、液晶層との密着性が不十分となる場合があり、60モル%より過大である場合は、(A)成分との熱架橋による硬化が不十分となる場合がある。
【0127】
(B)成分の例である特定共重合体2を得る方法は特に限定されないが、例えば、特定モノマーX1と、特定モノマーX2と、所望によりそれ以外のモノマーと重合開始剤等とを共存させた溶剤中において、50℃〜110℃の温度下で重合反応により得られる。その際、用いられる溶剤は、上記式Xで示されるモノマー、所望により用いられる当該それ以外のモノマー及び重合開始剤等を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する[溶剤]の項に記載する。
【0128】
以上の方法により得られる(B)成分の例であるアクリル重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態であり、本発明において(B)成分の溶液としてそのまま使用することができる。
【0129】
また、上記方法で得られた(B)成分の例であるアクリル重合体の溶液を、撹拌下のジエチルエーテルや水等に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後に、常圧又は減圧下で、常温乾燥又は加熱乾燥し、(B)成分の特定共重合体2の粉体とすることができる。上述の操作により、(B)成分の特定共重合体2と共存する重合開始剤及び未反応のモノマーを除去することができ、その結果、精製した(B)成分の例である特定共重合体2の粉体が得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解させ、上述の操作を繰り返し行えばよい。
【0130】
本発明の光学フィルムにおける表面の硬化膜を形成する組成物において、(B)成分の特定共重合体2は、粉体形態で、又は精製した粉末を後述する溶剤に再溶解した溶液形態で用いてもよい。
【0131】
また、本発明の光学フィルムにおける表面の硬化膜を形成する組成物において(B)成分は、(B)成分の例として示される特定共重合体2の複数種の混合物であってもよい。
【0132】
このようなポリマーの重量平均分子量は、1,000〜500,000であり、好ましくは、2,000〜200,000であり、より好ましくは3,000〜150,000であり、さらに好ましくは3,000〜50,000である。
【0133】
これらのポリマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0134】
本発明の硬化膜形成組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分の含有量比が質量比で5:95乃至60:40であることが好ましい。(B)成分のポリマーの含有量が過小である場合には、硬化膜形成組成物から得られる硬化膜の溶剤耐性及び耐熱性が低下し、光配向時の配向感度が低下する。他方、含有量が過大である場合には光
配向性及び保存安定性が低下することがある。
【0135】
[(C)成分]
本発明の組成物に含有される(C)成分は、(C−1):ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するポリマー、(C−2):(A)成分と熱反応可能な置換基を有し、自己架橋可能なポリマー、または(C−3):メラミンホルムアルデヒド樹脂、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーである。以下、各成分について詳細に述べる。
【0136】
[(C−1)成分]
(C−1)成分は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するポリマー(以下、特定(共)重合体1とも言う。)である。
【0137】
(C−1)成分であるポリマーとしては、例えば、アクリル重合体、ウレタン変性アクリルポリマー、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエステルポリカルボン酸、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、セルロース類(セルロースまたはその誘導体)、フェノールノボラック樹脂等の直鎖構造または分岐構造を有するポリマー、シクロデキストリン類等の環状ポリマー等が挙げられる。
【0138】
このうち、アクリル重合体としてはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等の不飽和二重結合を有するモノマーを重合して得られる重合体が適用されうる。
【0139】
(C−1)成分の例であるアクリル重合体の合成方法としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するモノマーと、所望によりそれ以外のモノマーとを(共)重合する方法が簡便である。
【0140】
ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2−(アクリロイルオキシ)エチルエステル、カプロラクトン2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、5−アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン、5−メタクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン等のヒドロキシ基を有するモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ−(2−(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、ビニル安息香酸、N−(カルボキシフェニル)マレイミド、N−(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N−(カルボキシフェニル)アクリルアミド等のカルボキシル基を有するもモノマー、及び、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、N−(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド及びN−(ヒドロキシフェニル)マレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジ
メチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアミド基を有するモノマー、アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルアクリレート及びアミノプロピルメタクリレート等のアミノ基を有するモノマー、トリメトキシシリルプロピルアクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、トリエトキシシリルプロピルアクリレート及びトリエトキシシリルプロピルメタクリレート等のアルコキシシリル基を有するモノマー等が挙げられる。
【0141】
また、本発明においては、(C−1)成分の例であるアクリル重合体を得る際に、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するモノマーの他に、該モノマーと共重合可能な、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる置換基を有さないモノマーを併用することができる。
【0142】
そのようなモノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
【0143】
以下、前記モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
前記アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、グリシジルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−アミノエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルアクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルアクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルアクリレート等が挙げられる。
【0144】
前記メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−アミノメチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトンメタクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルメタクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルメタクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルメタクリレート等が挙げられる。
【0145】
前記マレイミド化合物としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0146】
前記スチレン化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
【0147】
前記ビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル
、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アリルグリシジルエーテル、3−エテニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、及び、1,7−オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
【0148】
(C−1)成分の例であるアクリル重合体を得るために用いるヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するモノマーの使用量は、(C−1)成分の例であるアクリル重合体を得るために用いる全モノマーの合計量に基づいて、5モル%乃至100モル%であることが好ましい。
【0149】
(C−1)成分の例であるアクリル重合体を得る方法は特に限定されないが、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するモノマーと、所望によりヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる置換基を有さないモノマーと重合開始剤等とを共存させた溶剤中において、50℃乃至110℃の温度下で重合反応により得られる。その際、用いられる溶剤は、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するモノマーと、所望によりヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる置換基を有さないモノマーおよび重合開始剤等を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する[溶剤]の項に記載する。
【0150】
以上の方法により得られる(C−1)成分の例であるアクリル重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
【0151】
また、上記方法で得られた(C−1)成分の例であるアクリル重合体の溶液を、攪拌下のジエチルエーテルや水等に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後に、常圧または減圧下で、常温乾燥または加熱乾燥し、(C−1)成分の例であるアクリル重合体の粉体とすることができる。上述の操作により、(C−1)成分の例であるアクリル重合体と共存する重合開始剤および未反応のモノマーを除去することができ、その結果、精製した(B)成分の例であるアクリル重合体の粉体が得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解させ、上述の操作を繰り返し行えば良い。
【0152】
(C−1)成分の例であるアクリル重合体は、重量平均分子量が3000乃至200000であることが好ましく、4000乃至150000であることがより好ましく、5000乃至100000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が200000を超えて過大なものであると、溶剤に対する溶解性が低下しハンドリング性が低下する場合があり、重量平均分子量が3000未満で過小なものであると、熱硬化時に硬化不足になり溶剤耐性および耐熱性が低下する場合がある。尚、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準資料としてポリスチレンを用いて得られる値である。以下、本明細書においても同様とする。
【0153】
次に、(C−1)成分の特定(共)重合体1の好ましい一例であるポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコールやビスフェノールA、トリエチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコールにプロピレンオキサイドやポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を付加したものが挙げられる。ポリエーテルポリオールの具体例としてはADEKA製アデカポリエーテルPシリーズ、Gシリーズ、EDPシリーズ、BPXシリーズ、FCシリーズ、CMシリーズ、日油製ユニオックス(登録商標)HC−40、HC−60、ST−30E、
ST−40E、G−450、G−750、ユニオール(登録商標)TG−330、TG−1000、TG−3000、TG−4000、HS−1600D、DA−400、DA−700、DB−400、ノニオン(登録商標)LT−221、ST−221、OT−221等が挙げられる。
【0154】
(C−1)成分の特定(共)重合体の好ましい一例であるポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸等の多価カルボン酸にエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジオールを反応させたものが挙げられる。ポリエステルポリオールの具体例としてはDIC製ポリライト(登録商標)OD−X−286、OD−X−102、OD−X−355、OD−X−2330、OD−X−240、OD−X−668、OD−X−2108、OD−X−2376、OD−X−2044、OD−X−688、OD−X−2068、OD−X−2547、OD−X−2420、OD−X−2523、OD−X−2555、OD−X−2560、クラレ製ポリオールP−510、P−1010、P−2010、P−3010、P−4010、P−5010、P−6010、F−510、F−1010、F−2010、F−3010、P−1011、P−2011、P−2013、P−2030、N−2010、PNNA−2016等が挙げられる。
【0155】
(C−1)成分の特定(共)重合体の好ましい一例であるポリカプロラクトンポリオールとしては、トリメチロールプロパンやエチレングリコール等の多価アルコールを開始剤としてε−カプロラクトンを開環重合させたものが挙げられる。ポリカプロラクトンポリオールの具体例としてはDIC製ポリライト(登録商標)OD−X−2155、OD−X−640、OD−X−2568、ダイセル化学製プラクセル(登録商標)205、L205AL、205U、208、210、212、L212AL、220、230、240、303、305、308、312、320等が挙げられる。
【0156】
(C−1)成分の特定(共)重合体の好ましい一例であるポリカーボネートポリオールとしては、トリメチロールプロパンやエチレングリコール等の多価アルコールと炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル、エチレンカーボネート等を反応させたものが挙げられる。ポリカーボネートポリオールの具体例としてはダイセル化学製プラクセル(登録商標)CD205、CD205PL、CD210、CD220、クラレ製のC−590、C−1050、C−2050、C−2090、C−3090等が挙げられる。
【0157】
(C−1)成分の特定(共)重合体1の好ましい一例であるセルロースとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース類およびセルロース等が挙げられ、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース類が好ましい。
【0158】
(C−1)成分の特定(共)重合体1の好ましい一例であるシクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγシクロデキストリン等のシクロデキストリン、メチル−α−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリンならびにメチル−γ−シクロデキストリン等のメチル化シクロデキストリン、ヒドロキシメチル−α−シクロデキストリン、ヒドロキシメチル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシメチル−γ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシエチル−α−シクロデキストリン、2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、3−ヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、3−ヒドロキシプロピル−β−シク
ロデキストリン、3−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシプロピル−α−シクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2,3−ジヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン等のヒドロキシアルキルシクロデキストリン等が挙げられる。
【0159】
(C−1)成分の特定(共)重合体1の好ましい一例であるウレタン変性アクリルポリマーとしては、市販品として、大成ファインケミカル製アクリット(登録商標)8UA−017、8UA−239、8UA−239H、8UA−140、8UA-146、8UA−585H、8UA−301、8UA−318、8UA−347A、8UA−347H、8UA−366等が挙げられる。
【0160】
(C−1)成分の特定(共)重合体1の好ましい一例であるフェノールノボラック樹脂としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物などが挙げられる。
【0161】
本発明の組成物において、(C−1)成分のポリマーは、粉体形態で、または精製した粉末を後述する溶剤に再溶解した溶液形態で用いてもよい。
【0162】
また、本発明の組成物において、(C−1)成分は、(C−1)成分として例示されたポリマーの複数種の混合物であってもよい。
【0163】
[(C−2)成分]
本実施の形態の硬化膜形成組成物において、(C−2)成分は(A)成分と熱反応可能な置換基を有し、自己架橋可能なポリマー(以下特定(共)重合体2ともいう)とすることもできる。
【0164】
特定(共)重合体2は、より詳しくは、(A)成分との熱反応及び自己架橋反応を起こし、かつ(A)成分の昇華温度より低温で反応する架橋性置換基(以下、架橋性置換基とヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基およびアルコキシシリル基とをまとめて特定官能基ともいう)を有するポリマーである。(A)成分と(C−2)成分との熱反応により、(A)成分が昇華するのを抑制することができる。そして、本実施の形態の硬化膜形成組成物は、硬化膜として、上述したように、光反応効率の高い配向材を形成することができる。
【0165】
(C−2)成分のポリマーが含有する好ましい架橋性置換基としては、アルコキシメチルアミド基、アルコキシシリル基等があげられる。かかる架橋性置換基の含有量は、(C−2)成分の繰り返し単位1単位あたり、0.5乃至1個であることが好ましく、配向材の耐溶剤性という観点から、0.8乃至1個であることがさらに好ましい。
【0166】
(C−2)成分のポリマーとしては、例えば、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物またはメタクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーを用いることができる。
【0167】
そのようなポリマーとしては、例えば、ポリ(N−ブトキシメチルアクリルアミド)、N−ブトキシメチルアクリルアミドとスチレンとの共重合体、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミドとメチルメタクリレートとの共重合体、N−エトキシメチルメタクリルアミドとベンジルメタクリレートとの共重合体、および、N−ブトキシメチルアクリルアミドとベンジルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
【0168】
また、(C−2)成分としてはアルコキシシリル基を有する化合物を使用して製造されるポリマーも用いることができる。
そのようなポリマーとしては、例えば、ポリ(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとスチレンとの共重合体、ポリ(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランとメチルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
【0169】
また、本実施の形態の硬化膜形成組成物に用いる特定(共)重合体2においては、特定官能基を有するモノマーと共重合可能なモノマー(以下非反応性官能基を有するモノマーともいう)を併用することができる。
【0170】
そのようなモノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。
上記モノマーの具体例は、(C−1)成分のところで記載した通りである。
【0171】
本実施の形態の硬化膜形成組成物に用いる特定(共)重合体2を得る方法は特に限定されないが、例えば、特定官能基を有するモノマー、所望により非反応性官能基を有するモノマーおよび重合開始剤等を共存させた溶剤中において、50℃乃至110℃の温度下で重合反応させて得られる。その際、用いられる溶剤は、特定官能基を有するモノマー、所望により用いられる非反応性官能基を有するモノマーおよび重合開始剤等を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する溶剤に記載する溶剤が挙げられる。
このようにして得られる特定(共)重合体2は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
【0172】
また、上記のようにして得られた特定(共)重合体2の溶液を、ジエチルエーテルや水等の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後、常圧又は減圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、特定(共)重合体2の粉体とすることができる。このような操作により、特定(共)重合体2と共存する重合開始剤や未反応モノマーを除去することができ、その結果、精製した特定(共)重合体2の粉体が得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、上記の操作を繰り返し行えば良い。
【0173】
本実施の形態の硬化膜形成組成物においては、上記特定(共)重合体2の粉体をそのまま用いても良く、あるいはその粉体を、たとえば後述する溶剤に再溶解して溶液の状態として用いても良い。
【0174】
また、本実施形態においては、(C−2)成分のポリマーは、複数種の特定(共)重合体2の混合物であってもよい。
【0175】
このようなポリマーの重量平均分子量は、1000乃至500000であり、好ましくは、1000乃至200000であり、より好ましくは1000乃至100000であり、さらに好ましくは2000乃至50000である。
これらのポリマーは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
[(C−3)成分]
【0176】
(C−3)成分のメラミンホルムアルデヒド樹脂としては、メラミンとホルムアルデヒドを重縮合して得られる樹脂であり下記式で表される。
【0178】
上記式中、R
21は水素原子または炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、nは繰り返し単位の数を表す自然数である。炭素原子数1乃至4のアルキル基としては、上記に挙げられたアルキル基のうち該当する炭素原子数の基が挙げられる。
【0179】
(C−3)成分のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、保存安定性の観点からメラミンとホルムアルデヒドの重縮合の際に生成したメチロール基がアルキル化されていることが好ましい。
【0180】
(C−3)成分のメラミンホルムアルデヒド樹脂を得る方法は特には限定されないが、一般的にメラミンとホルムアルデヒドを混合し、炭酸ナトリウムやアンモニア等を用いて弱アルカリ性にした後60℃乃至100℃にて加熱することにより合成される。さらにアルコールと反応させることでメチロール基をアルコキシ化することができる。
【0181】
(C−3)成分のメラミンホルムアルデヒド樹脂は、重量平均分子量が250乃至5000であることが好ましく、300乃至4000であることがより好ましく、350乃至3500であることがさらに好ましい。重量平均分子量が5000を超えて過大なものであると、溶剤に対する溶解性が低下しハンドリング性が低下する場合があり、重量平均分子量が250未満で過小なものであると、熱硬化時に硬化不足になり溶剤耐性および耐熱性の向上効果が十分に現れない場合がある。
【0182】
本発明の実施形態においては、(C−3)成分のメラミンホルムアルデヒド樹脂は液体形態で、あるいは精製した液体を後述する溶剤に再溶解した溶液形態で用いてもよい。
【0183】
また、本発明の実施形態においては、(C)成分は、(C−1)、(C−2)及び(C−3)からなる群から選ばれる複数種のポリマーの混合物であってもよい。
【0184】
本発明の硬化膜形成組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に基づいて、5質量部乃至500質量部である。(C)成分のポリマーの含有量が過小である場合には、硬化膜形成組成物から得られる硬化膜の溶剤耐性及び耐熱性が低下し、光配向時の配向感度が低下する。他方、含有量が過大である場合には光配向性及び保存安定性が低下することがある。
【0185】
[(D)成分]
本発明の光学フィルムにおける表面の硬化膜を形成する組成物は、上述した(A)成分及び(B)成分及び(C)成分に加え、さらに(D)成分として架橋触媒を含有することができる。
(D)成分である架橋触媒としては、例えば、酸又は熱酸発生剤が挙げられる。この(D)成分は、本発明の光学フィルムにおける表面の硬化膜を形成する組成物を用いた硬化膜の形成において、熱硬化反応の促進に有効となる。
【0186】
(D)成分として酸又は熱酸発生剤を用いる場合、(D)成分は、スルホン酸基含有化合物、塩酸又はその塩、プリベーク又はポストベーク時に熱分解して酸を発生する化合物、すなわち温度80℃〜250℃で熱分解して酸を発生する化合物であれば特に限定されるものではない。
【0187】
そのような化合物としては、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、p−キシレン−2−スルホン酸、m−キシレン−2−スルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロ(2−エトキシエタン)スルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸又はその水和物や塩等が挙げられる。
【0188】
また、熱により酸を発生する化合物としては、例えば、ビス(トシルオキシ)エタン、ビス(トシルオキシ)プロパン、ビス(トシルオキシ)ブタン、p−ニトロベンジルトシレート、o−ニトロベンジルトシレート、1,2,3−フェニレントリス(メチルスルホネート)、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩、p−トルエンスルホン酸モルフォニウム塩、p−トルエンスルホン酸エチルエステル、p−トルエンスルホン酸プロピルエステル、p−トルエンスルホン酸ブチルエステル、p−トルエンスルホン酸イソブチルエステル、p−トルエンスルホン酸メチルエステル、p−トルエンスルホン酸フェネチルエステル、シアノメチルp−トルエンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエチルp−トルエンスルホネート、2−ヒドロキシブチルp−トシレート、N−エチル−4−トルエンスルホンアミド、および下記式[TAG−1]乃至式[TAG−41]で表される化合物等を挙げることができる。
【0196】
本発明の実施形態の硬化膜形成組成物における(D)成分の含有量は、(A)成分である光配向性基及び熱架橋性基を有する化合物の少なくとも一種、(B)成分であるポリマー、(C)成分であるポリマーとの合計量の100質量部に対して、0.01質量部〜20質量部、好ましくは0.01質量部〜10質量部、より好ましくは0.05質量部〜8質量部、さらに好ましくは0.1質量部〜6質量部である。(D)成分の含有量を0.01質量部以上とすることで、充分な熱硬化性と溶剤耐性を付与することができ、露光に対する高い感度をも付与することができる。また、20質量部以下とすることで、硬化膜形成組成物の保存安定性を良好にすることができる。
【0197】
[(E)成分]
本実施形態の硬化膜形成組成物は、必要に応じて、(E)成分として架橋剤を含有する。 より詳しくは、(E)成分は、上述の(A)成分および(C)成分と反応する架橋剤である。(E)成分は、(A)成分である化合物のヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる置換基、(C)成分に含まれるヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる置換基と結合する。そして、本実施の形態の硬化膜形成組成物は、硬化膜として、光反応効率の高い配向材を形成することができる。
【0198】
(E)成分である架橋剤としては、エポキシ化合物、メチロール化合物およびイソシアナート化合物等の化合物が挙げられるが、好ましくはメチロール化合物である。
【0199】
上述したメチロール化合物の具体例としては、例えば、アルコキシメチル化グリコールウリル、アルコキシメチル化ベンゾグアナミンおよびアルコキシメチル化メラミン等の化合物が挙げられる。
【0200】
アルコキシメチル化グリコールウリルの具体例としては、例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリノン、および1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリノン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製グリコールウリル化合物(商品名:サイメル(登録商標)1170、パウダーリンク(登録商標)1174)等の化合物、メチル化尿素樹脂(商品名:UFR(登録商標)65)、ブチル化尿素樹脂(商品名:UFR(登録商標)300、U−VAN10S60、U−VAN10R、U−VAN11HV)、大日本インキ化学工業(株)製尿素/ホルムアルデヒド系樹脂(高縮合型、商品名:ベッカミン(登録商標)J−300S、同P−955、同N)等が挙げられる。
【0201】
アルコキシメチル化ベンゾグアナミンの具体例としては、例えば、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製(商品名:サイメル(登録商標)1123)、(株)三和ケミカル製(商品名:ニカラック(登録商標)BX−4000、同BX−37、同BL−60、同BX−55H)等が挙げられる。
【0202】
アルコキシメチル化メラミンの具体例としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:サイメル(登録商標)300、同301、同303、同350)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:マイコート(登録商標)506、同508)、三和ケミカル製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:ニカラック(登録商標)MW−30、同MW−22、同MW−11、同MS−001、同MX−002、同M
X−730、同MX−750、同MX−035)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:ニカラック(登録商標)MX−45、同MX−410、同MX−302)等が挙げられる。
【0203】
また、このようなアミノ基の水素原子がメチロール基またはアルコキシメチル基で置換されたメラミン化合物、尿素化合物、グリコールウリル化合物およびベンゾグアナミン化合物を縮合させて得られる化合物であってもよい。例えば、米国特許第6323310号に記載されているメラミン化合物およびベンゾグアナミン化合物から製造される高分子量の化合物が挙げられる。前記メラミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)303(三井サイテック(株)製)等が挙げられ、前記ベンゾグアナミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)1123(三井サイテック(株)製)等が挙げられる。
【0204】
これらの架橋剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0205】
本実施の形態の硬化膜形成組成物における(E)成分の架橋剤の含有量は、(A)成分である化合物、(B)成分であるポリマー及び(C)成分のポリマーとの合計量の100質量部に基づいて50質量部以下であることが好ましく、より好ましくは30質量部以下である。架橋剤の含有量が過大である場合には光配向性および保存安定性が低下することがある。
【0206】
[その他の添加剤]
本発明の実施形態の硬化膜形成組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他の添加剤を含有することができる。
その他の添加剤としては、例えば、増感剤を含有することができる。増感剤は、本発明の光学フィルムにおける表面の硬化膜を形成するに際し、その光反応を促進することにおいて有効となる。
【0207】
増感剤としては、ベンゾフェノン、アントラセン、アントラキノン及びチオキサントン等の誘導体並びにニトロフェニル化合物等が挙げられる。これらのうちベンゾフェノンの誘導体であるN,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、及びニトロフェニル化合物である2−ニトロフルオレン、2−ニトロフルオレノン、5−ニトロアセナフテン、4−ニトロビフェニル、4−ニトロけい皮酸、4−ニトロスチルベン、4−ニトロベンゾフェノン、5−ニトロインドールが特に好ましい。
【0208】
これらの増感剤は特に上述のものに限定されるものではない。これらは、単独又は2種以上の化合物を併用することが可能である。
【0209】
本発明の実施形態において、増感剤の使用割合は、(A)成分の100質量部に対して0.1質量部〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2質量部〜10質量部である。この割合が過小である場合には、増感剤としての効果を充分に得られない場合があり、過大である場合には、形成される硬化膜の透過率が低下したり塗膜が荒れたりすることがある。
【0210】
また、本発明の実施形態の硬化膜形成組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他の添加剤として、シランカップリング剤、界面活性剤、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤等を含有することができる。
【0211】
[溶剤]
本発明の実施形態の硬化膜形成組成物は、溶剤に溶解した溶液状態で用いられることが
多い。その際に用いられる溶剤は、(A)成分及び(B)成分、所望により(C)成分、(D)成分、(E)成分、及び/又は、その他の添加剤を溶解するものであり、そのような溶解能を有する溶剤であれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
【0212】
溶剤の具体例を挙げると、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、3−メチル−2−ペンタノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0213】
これらの溶剤は、一種単独で、又は二種以上の組合せで使用することができる。これら溶剤のうち、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル及び3−エトキシプロピオン酸メチルは成膜性が良好で安全性が高いためより好ましい。
【0214】
<硬化膜形成組成物の調製>
本発明の実施形態の硬化膜形成組成物は、光配向性を有する熱硬化性の硬化膜形成組成物である。本実施形態の硬化膜形成組成物は、上述したように、(A)成分である光配向性基及び熱架橋性基を有する化合物の少なくとも一種、(B)成分であるN−アルコキシメチル基を有する繰り返し単位及び重合性のC=C二重結合を含む側鎖を有する繰り返し単位を含むポリマー、必要に応じて、(C)成分である(C−1):ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するポリマー、(C−2):(A)成分と熱反応可能な置換基を有し、自己架橋可能なポリマー、及び(C−3):メラミンホルムアルデヒド樹脂、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマーを含有し、必要に応じて、(D)成分として架橋触媒を含有する。また、必要に応じて、(E)成分として架橋剤を含有することができる。そして、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他の添加剤を含有することができ、さらに、溶剤を含有することができる。
【0215】
本実施の形態の硬化膜形成組成物の好ましい例は、以下のとおりである。
【0216】
[1]:(A)成分である光配向性基及び熱架橋性基を有する化合物の少なくとも一種と(B)成分であるN−アルコキシメチル基を有する繰り返し単位及び重合性のC=C二重結合を含む側鎖を有する繰り返し単位を含むポリマーとの配合比が質量比で5:95〜60:40であり、(A)成分である化合物の少なくとも一種と(B)成分のポリマーとの合計量の100質量部に基づいて5質量部〜500質量部の(C)成分である(C−1):ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基から
なる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するポリマー、(C−2):(A)成分と熱反応可能な置換基を有し、自己架橋可能なポリマー、及び(C−3):メラミンホルムアルデヒド樹脂、からなる群から選ばれる少なくとも一種のポリマー、溶剤を含有する硬化膜形成組成物。
【0217】
[2]:(A)成分と(B)成分の配合比が質量比で5:95〜60:40であり、(A)成分である化合物と(B)成分のポリマーとの合計量の100質量部に基づいて5質量部〜500質量部の(C)成分、ならびに、(A)成分である化合物、(B)成分のポリマー及び(C)成分のポリマーの合計量の100質量部に対して、0.1質量部〜40質量部の(D)成分である架橋触媒、溶剤を含有する硬化膜形成組成物。
【0218】
[3]:(A)成分と(B)成分の配合比が質量比で5:95〜60:40であり、(A)成分である化合物と(B)成分のポリマーとの合計量の100質量部に基づいて5質量部〜500質量部の(C)成分、(A)成分である化合物、(B)成分のポリマー及び(C)成分のポリマーの合計量の100質量部に対して、0.1質量部〜40質量部の(D)成分、ならびに、(A)成分である化合物、(B)成分のポリマーおよび(C)成分のポリマーの合計量の100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部の(E)成分、溶剤を含有する硬化膜形成組成物。
【0219】
本実施の形態の硬化膜形成組成物を溶液として用いる場合の配合割合、調製方法等を以下に詳述する。
【0220】
本実施形態の硬化膜形成組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、1質量%〜80質量%であり、好ましくは2質量%〜60質量%であり、より好ましくは3質量%〜40質量%である。ここで、固形分とは、硬化膜形成組成物の全成分から溶剤を除いたものをいう。
【0221】
本実施形態の硬化膜形成組成物の調製方法は、特に限定されない。調製法としては、例えば、溶剤に溶解した(B)成分の溶液に(A)成分および(C)成分、(D)成分、さらには(E)成分を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法、または、この調製法の適当な段階において、必要に応じてその他添加剤をさらに添加して混合する方法が挙げられる。
【0222】
本実施形態の硬化膜形成組成物の調製においては、溶剤中の重合反応によって得られる特定共重合体の溶液をそのまま使用することができる。この場合、例えば、(B)成分アクリル重合体を調製した溶液に、(A)成分、(C)成分、(D)成分、さらには(E)成分等を加えて均一な溶液とする。この際に、濃度調整を目的としてさらに溶剤を追加投入してもよい。このとき、(B)成分の調製過程で用いられる溶剤と、硬化膜形成組成物の濃度調整に用いられる溶剤とは同一であってもよく、また異なってもよい。
【0223】
また、調製された硬化膜形成組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
【0224】
以上のように、本発明の本実施形態の硬化膜形成組成物は、(A)成分である光配向性基及び熱架橋性基を有する化合物の少なくとも一種、(B)成分であるN−アルコキシメチル基を有する繰り返し単位及び重合性のC=C二重結合を含む側鎖を有する繰り返し単位を含むポリマー、(C)成分である(C−1):ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基およびアルコキシシリル基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を有するポリマー、(C−2):(A)成分と熱反応可能な置換基を有し、自己架橋可能なポリマー、及び(C−3):メラミンホルムアルデヒド樹脂、からなる群から選ばれ
る少なくとも一種のポリマー、および(D)成分として架橋触媒を含有して構成される。(A)成分である化合物において、光配向性基は疎水性の光反応部を構成し、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる少なくとも一つの置換基は親水性の熱反応部を構成する。(C)成分のポリマーのヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基及びトリアルコキシシリル基から選ばれる少なくとも一つの置換基も親水性である。
【0225】
したがって、本実施形態の硬化膜形成組成物から形成される硬化膜は、膜構造が安定化するように、(C)成分の性質に起因して、その内部が親水性となって形成される。そして、硬化膜中の(A)成分の化合物は、硬化膜の表面近傍に偏在するようになる。より具体的には、(A)成分の化合物は、親水性の熱反応部が硬化膜の内部側を向き、疎水性の光反応部が表面側を向く構造をとりながら、硬化膜の表面近傍に偏在する。その結果、本実施形態の硬化膜は、表面近傍に存在する(A)成分の光反応性基の割合を増加させた構造を実現することになる。そして、本実施形態の硬化膜は、配向材として用いられた場合、光配向のための光反応の効率を向上させることができ、優れた配向感度を有することができる。さらに、パターン化位相差材の形成に好適な配向材となり、これを用いて製造されるパターン化位相差材は、優れたパターン形成性を有することができる。
【0226】
また、本実施形態の硬化膜形成組成物は、上述したように、(B)成分として、N−アルコキシメチル基を有する繰り返し単位及び重合性のC=C二重結合を含む側鎖を有する繰り返し単位を含むポリマーを含有する。そのため、本実施形態の硬化膜形成組成物から得られた硬化膜の内部では、(A)成分の化合物の光配向性基による光反応の前に、(B)成分との熱反応による架橋反応を行うことができる。その結果、配向材として用いられた場合に、その上に塗布される重合性液晶やその溶剤に対する耐性を向上させることができる。
【0227】
また、(B)成分であるポリマーは、本実施形態の硬化膜形成組成物から得られた硬化膜を配向材として用いた場合に、その上に形成される硬化された重合性液晶の層との間の密着性を強化するように機能する。
【0228】
<硬化膜、配向材および位相差材>
本実施の形態の硬化膜形成組成物の溶液を基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属、例えば、アルミニウム、モリブデン、クロム等が被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)やフィルム(例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アクリルフィルム等の樹脂フィルム)等の上に、バーコート、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布、印刷などによって塗布して塗膜を形成し、その後、ホットプレートまたはオーブン等で加熱乾燥することにより、硬化膜を形成することができる。
【0229】
加熱乾燥の条件としては、硬化膜から形成される配向材の成分が、その上に塗布される重合性液晶溶液に溶出しない程度に硬化反応が進行すればよく、例えば、温度60℃〜200℃、時間0.4分間〜60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度および加熱時間が採用される。加熱温度および加熱時間は、好ましくは70℃〜160℃、0.5分間〜10分間である。
【0230】
本実施の形態の硬化性組成物を用いて形成される硬化膜の膜厚は、例えば、0.05μm〜5μmであり、使用する基板の段差や光学的、電気的性質を考慮し適宜選択することができる。
【0231】
このようにして形成された硬化膜は、偏光UV照射を行うことで配向材、すなわち、重合性液晶等を含む液晶性を有する化合物を配向させる部材として機能させることができる。
【0232】
偏光UVの照射方法としては、通常150nm〜450nmの波長の紫外光〜可視光が用いられ、室温または加熱した状態で、垂直または斜め方向から直線偏光を照射することによって行われる。
【0233】
本実施形態の硬化膜組成物から形成された配向材は耐溶剤性および耐熱性を有しているため、この配向材上に、重合性液晶溶液からなる位相差材料を塗布した後、その液晶の相転移温度まで加熱することで位相差材料を液晶状態とし、配向材上で配向させる。そして、所望とする配向状態となった位相差材料をそのまま硬化させ、光学異方性を有する層を持つ位相差材を形成することができる。
【0234】
位相差材料としては、例えば、重合性基を有する液晶モノマーおよびそれを含有する組成物等が用いられる。そして、配向材が形成される基板がフィルムである場合には、本実施の形態の位相差材を有するフィルムは、位相差フィルムとして有用となる。このような位相差材を形成する位相差材料は、液晶状態となって、配向材上で、水平配向、コレステリック配向、垂直配向、ハイブリッド配向等の配向状態をとるものがあり、それぞれ必要とされる位相差特性に応じて使い分けることができる。
【0235】
また、3Dディスプレイに用いられるパターン化位相差材を製造する場合には、本実施形態の硬化膜組成物から上記した方法で形成された硬化膜に、ラインアンドスペースパターンのマスクを介して所定の基準から、例えば、+45度の向きで偏光UV露光し、次いで、マスクを外してから−45度の向きで偏光UVを露光し、液晶の配向制御方向の異なる2種類の液晶配向領域が形成された配向材を形成する。その後、重合性液晶溶液からなる位相差材料を塗布した後、液晶の相転移温度まで加熱することで位相差材料を液晶状態とする。液晶状態となった重合性液晶は、2種類の液晶配向領域が形成された配向材上で配向し、各液晶配向領域にそれぞれ対応する配向状態を形成する。そして、そのような配向状態が実現された位相差材料をそのまま硬化させ、上述の配向状態を固定化し、位相差特性の異なる2種類の位相差領域がそれぞれ複数、規則的に配置された、パターン化位相差材を得ることができる。
【0236】
また、本実施形態の硬化膜組成物から形成された配向材は、液晶表示素子の液晶配向膜としての利用も可能である。例えば、上記のようにして形成された、本実施形態の配向材を有する2枚の基板を用い、スペーサを介して両基板上の配向材が互いに向かい合うように張り合わせた後、それらの基板の間に液晶を注入して、液晶が配向した液晶表示素子を製造することができる。
そのため、本実施の形態の硬化膜形成組成物は、各種位相差材(位相差フィルム)や液晶表示素子等の製造に好適に用いることができる。
【実施例】
【0237】
以下、実施例を挙げて、本実施の形態をさらに詳しく説明する。しかし、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
【0238】
[実施例等で用いる組成成分とその略称]
以下の実施例および比較例で用いられる各組成成分は、次のとおりである。
【0239】
<成分(A)>
CIN1:4−(6−メタクリルオキシヘキシル−1−オキシ)けい皮酸
【0240】
【化16】
【0241】
CIN2:4−(3−メタクリルオキシプロピル−1−オキシ)けい皮酸
【0242】
【化17】
【0243】
CIN3:4−プロピルオキシけい皮酸
【0244】
【化18】
【0245】
CIN4:4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)けい皮酸メチルエステル
【0246】
【化19】
【0247】
CIN5: 3−メトキシ−4−(6−ヒドロキシヘキシルオキシ)けい皮酸メチルエステル
【0248】
【化20】
【0249】
<成分(C)>
PEPO:ポリエステルポリオール重合体(下記構造単位を有するアジピン酸/ジエチレングリコール共重合体。分子量4,800。)
【0250】
【化21】
【0251】
(上記式中、Rは、アルキレンを表す。)
<成分(D)>
PTSA:パラトルエンスルホン酸
【0252】
【化22】
【0253】
<成分(E)>
HMM:下記の構造式で表されるメラミン架橋剤[サイメル(CYMEL)(登録商標)303(三井サイテック(株)製)]
【0254】
【化23】
【0255】
<成分(A)(B)(C)の重合体原料>
CIN1:4−(6−メタクリルオキシヘキシル−1−オキシ)けい皮酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
MMA:メタクリル酸メチル
BMAA:N−ブトキシメチルアクリルアミド
AIBN:α、α’−アゾビスイソブチロニトリル
【0256】
<溶剤>
実施例及び比較例の各位相差材形成組成物は溶剤を含有し、その溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)、酢酸ブチル(BA)、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン(CHN)を用いた。
【0257】
<重合体の分子量の測定>
合成例におけるポリイミド、ポリアミック酸又はアクリルポリマーの分子量は、(株)Shodex社製常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC−101)、Shodex社製カラム(KD−803、KD−805)を用い以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10mL/L)
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量
約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
【0258】
<
1H−NMR分析>
1H−NMR分析に用いた分析装置及び分析条件は、下記の通りである。
核磁気共鳴装置:Varian NMR System 400 NB(400 MHz)
測定溶媒:DMSO−d
6
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)(δ0.0 ppm for
1H)
【0259】
<重合例1>
M6CA 4.0g、スチレン 4.0g、HEMA 2.0g、重合触媒としてAIBN 0.1gをPM 90.9gに溶解し、80℃にて20時間反応させる事によりアクリル共重合体溶液(固形分濃度10質量%)(CIN6)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは20,000、Mwは55,000であった。
【0260】
<重合例2>
BMAA32.0g、HEMA8.0g、重合触媒としてAIBN 0.8gをテトラヒドロフラン204.0gに溶解し、60℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体溶液をヘキサン1000.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することでアクリル共重合体(PB−1)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは7,000、Mwは20,000であった。
【0261】
<重合例3>
BMAA28.0g、HEMA12.0g、重合触媒としてAIBN 0.8gをテトラヒドロフラン204.0gに溶解し、60℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体溶液をヘキサン1000.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することでアクリル共重合体(PB−2)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは8,300、Mwは25,000であった。
【0262】
<重合例4>
BMAA24.0g、HEMA16.0g、重合触媒としてAIBN 0.8gをテトラヒドロフラン204.0gに溶解し、60℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体溶液をヘキサン1000.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することでアクリル共重合体(PB−3)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは9,800、Mwは35,000であった。
【0263】
<重合例5>
BMAA32.0g、GMA8.0g、重合触媒としてAIBN 0.8gをテトラヒドロフラン204.0gに溶解し、60℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体溶液をヘキサン1000.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することでアクリル共重合体(PB−4)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは7,000、Mwは18,000であった。
【0264】
<重合例6>
GMA40.0g、重合触媒としてAIBN 0.8gをテトラヒドロフラン204.0gに溶解し、60℃にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液を得た。アクリル重合体溶液をヘキサン1000gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することでアクリル重合体(PB−5)を得た。得られたアクリル重合体のMnは8,000、Mwは20,000であった。
【0265】
<重合例7>
MMA 100.0g、HEMA11.1g、重合触媒としてAIBN 5.6gをPM 450.0gに溶解し、80℃にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液(固形分濃度20質量%)(PC−1)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは4,200、Mwは7,600であった。
【0266】
<重合例8>
BMAA100.0g、重合触媒としてAIBN 4.2gをPM 193.5gに溶解し、90℃にて20時間反応させることによりアクリル重合体溶液(固形分濃度35質量%)(PC−2)を得た。得られたアクリル共重合体のMnは2,700、Mwは3,900であった。
【0267】
<合成例1>
重合例2で得たアクリル共重合体(PB−1)10.0g、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート4.3g、ジブチルヒドロキシトルエン0.4g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート10mgをテトラヒドロフラン60gに溶解させ、60℃で5時間反応させた。この溶液をヘキサン500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、アクロイル基を有するアクリル共重合体(PB−6)を得た。
1H−NMR分析を行い、アクリル共重合体(PB−6)がアクロイル基を有することを確認した。
【0268】
<合成例2>
重合例2で得たアクリル共重合体(PB−1)10.0g、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアナート4.3g、ジブチルヒドロキシトルエン0.4g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート10mgをテトラヒドロフラン60gに溶解させ、60℃で5時間反応させた。この溶液をヘキサン500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、メタクロイル基を有するアクリル共重合体(PB−7)を得た。1H−NMR分析を行い、アクリル共重合体(PB−7)がメタクロイル基を有することを確認した。
【0269】
<合成例3>
重合例3で得たアクリル共重合体(PB−2)10.0g、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート6.5g、ジブチルヒドロキシトルエン0.6g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート10mgをテトラヒドロフラン60gに溶解させ、60℃で5時間反応させた。この溶液をヘキサン500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、アクロイル基を有するアクリル共重合体(PB−8)を得た。
1
H−NMR分析を行い、アクリル共重合体(PB−8)がアクロイル基を有することを確認した。
【0270】
<合成例4>
重合例4で得たアクリル共重合体(PB−3)10.0g、2−アクリロイルオキシエチルイソシアナート8.7g、ジブチルヒドロキシトルエン0.9g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート10mgをテトラヒドロフラン60gに溶解させ、60℃で5時間反応させた。この溶液をヘキサン500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、アクロイル基を有するアクリル共重合体(PB−9)を得た。
1H−NMR分析を行い、アクリル共重合体(PB−9)がアクロイル基を有することを確認した。
【0271】
<合成例5>
重合例5で得たアクリル共重合体(PB−4)10.0g、アクリル酸2.2g、ジブチルヒドロキシトルエン0.2g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド10mgをPM60gに溶解させ、90℃で20時間反応させた。この溶液をヘキサン500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、アクロイル基を有するアクリル共重合体(PB−10)を得た。
1H−NMR分析を行い、アクリル共重合体(PB−10)がアクロイル基を有することを確認した。
【0272】
<合成例6>
重合例5で得たアクリル共重合体(PB−4)10.0g、メタクリル酸2.2g、ジブチルヒドロキシトルエン0.2g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド10mgをPM60gに溶解させ、90℃で20時間反応させた。この溶液をヘキサン500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、メタクロイル基を有するアクリル共重合体(PB−11)を得た。
1H−NMR分析を行い、ア
クリル共重合体(PB−11)がメタクロイル基を有することを確認した。
【0273】
<合成例7>
重合例6で得たアクリル共重合体(PB−5)10.0g、アクリル酸2.0g、ジブチルヒドロキシトルエン0.2g、反応触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロリド10mgをPM60gに溶解させ、90℃で20時間反応させた。この溶液をヘキサン500gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過および減圧乾燥することで、アクロイル基を有するアクリル共重合体(PB−12)を得た。
1H−NMR分析を行い、アクリル共重合体(PB−12)がアクロイル基を有することを確認した。
【0274】
<基材フィルムの作成>
基材として用いるアクリルフィルムは、例えば以下の方法で作成することができる。即ち、メチルメタクリレートを主成分とした共重合体等からなる原料ペレットを250℃にて押出機で溶融、T−ダイに通過させ、キャスティングロールおよび乾燥ロールなどを経て、厚さ40μmのアクリルフィルムを作成することができる。
【0275】
<実施例、比較例>
表1に示す組成にて実施例及び比較例の各硬化膜形成組成物を調製した。次に、各位相差材形成組成物を用いて硬化膜を形成し、得られた硬化膜それぞれについて、配向性および密着性の評価を行った。
【0276】
【表1】
【0277】
[配向性の評価]
実施例および比較例の各硬化膜形成組成物をフィルム上にバーコータを用いて塗布した後、温度100℃で2分間、熱循環式オーブン中で加熱乾燥を行い、硬化膜を形成した。この各硬化膜に313nmの直線偏光を20mJ/cm
2露光量で垂直に照射し、配向材を形成した。基板上の配向材の上に、水平配向用重合性液晶溶液を、バーコータを用いて塗布し、次いで、70℃で60秒間ホットプレート上においてプリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。この基板上の塗膜を300mJ/cm2で露光し、位相差材を作製した。作製した基板上の位相差材を一対の偏光板で挟み込み、位相差材における位相差特性の発現状況を観察し、位相差が欠陥なく発現しているものを○、位相差が発現していないものを×として「配向性」の欄に記載した。
【0278】
[密着性の評価]
実施例および比較例の各硬化膜形成組成物をフィルム上にバーコータを用いて塗布した後、温度100℃で2分間、熱循環式オーブン中で加熱乾燥を行い、硬化膜を形成した。この各硬化膜に313nmの直線偏光を20mJ/cm
2露光量で垂直に照射し、配向材を形成した。基板上の配向材の上に、水平配向用重合性液晶溶液を、バーコータを用いて塗布し、次いで、70℃で60秒間ホットプレート上においてプリベークを行い、膜厚1.0μmの塗膜を形成した。この基板上の塗膜を300mJ/cm
2で露光し、位相差材を作製した。この位相差材に縦横1mm間隔で10×10マスとなるようカッターナイフで切込みをつけた。この切り込みの上にスコッチテープを用いてセロハンテープ剥離試験を行った。評価結果は「初期」とし、100マス全て剥がれずに残っているものを○、1マスでも剥がれているものを×とした。評価結果は、後に表2にまとめて示す。
【0279】
[耐久密着性の評価]
上述の密着性の評価と同様に方法で作製したフィルム上の位相差材を、温度80℃湿度90%に設定されたオーブンに入れ、72時間以上静置した。その後、位相差材を取り出し、上述の密着性の評価と同様の方法で、密着性を評価した。評価結果は、「耐久」として表2にまとめて示す。
【0280】
[評価の結果]
以上の評価を行った結果を、上述したように、表2に示す。
【0281】
【表2】
【0282】
実施例1〜17、比較例1〜2の各位相差材形成組成物を用いて得られた硬化膜は、20mJ/cm
2と低い露光量で位相差材を形成することが可能であった。それに対し、比較例3の各位相差材形成組成物を用いて得られた硬化膜は、配向性が得られなかった。
【0283】
実施例1〜17の各位相差材形成組成物を用いて得られた硬化膜は、初期および高温高湿処理しても高い密着性を維持し、優れた密着性を示した。
【0284】
それに対し、比較例1〜3の硬化膜形成組成物を用いて得られた硬化膜は、初期および高温高湿処理後ともに密着性を維持することが困難であった。