(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
太陽電池などのエネルギー・ハーベスト技術において用いられる電源によって動作する装置の導入が進展している。例えば、手持ち型の位置検出器には、電源として、太陽電池が搭載されている。この位置検出器では、太陽電池に照射される光が低照度である場合には太陽電池の出力電圧が低くなり、組み込まれている検出回路などの半導体装置が安定して動作できない、不安定な電圧領域が存在する。また、この不安定な電圧領域では、システムのいずれかの部位が異常な動作を行うことも考えられ、そのために消費電流が大きくなると、照度が高くなったとしてもシステムが正常に起動できないという不具合が生じ得る。
【0003】
そのため、こうした装置は、所定の電圧よりも電源電圧が低い場合にはシステムがリセット状態になるように、かつ、電源電圧が所定の電圧に到達したらリセットが解除されるように設計される。このような機能を実現するための構成として、パワーオンリセット回路が知られている。パワーオンリセット回路として、一般に、時間遅延に基づく回路と電圧に基づく回路とが知られている。
【0004】
時間遅延に基づく回路(例えば、特許文献1)は、電源投入後の電圧の立ち上がりが早い場合にリセットを解除するためのパルス信号を供給する。一方、電圧に基づく回路(例えば、特許文献2及び3)は、電圧検出回路を有し、電圧検出回路が電源電圧と所定の基準電圧とを比較し、電源電圧が所望の電圧に達したことを検出して、リセットを解除する信号を出力する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した時間遅延に基づく回路は、電源投入後の電圧の立ち上がりが早い電源には用いることができるが、太陽電池のような電圧の立ち上がりが緩やかな電源では、正常にパルス信号を供給することができない。
【0007】
また、上述した電圧に基づく回路においても、電源電圧の比較対象である基準電圧は、電源電圧がある程度高くなった後に正確な値に達するのであって、電源電圧が過度に低い場合には正しい値にはならない。そのため、こうした基準電圧生成回路には、電源電圧を抵抗分圧して基準電圧を生成するものが考え得る。システムをできるだけ低照度で動作させるためには、電圧検出回路の消費電流を抑制する必要があるので、分圧抵抗の値を大きくしなければならない。この場合、抵抗素子が占める面積が大きくなり、システムを搭載するチップのコストが増大してしまう。
【0008】
一方、電圧検出回路の平均消費電流を抑制する方法も考え得る。この場合、分圧抵抗の値を小さくすることで抵抗素子の面積を抑制し、かつ、電圧検出回路を間欠的に動作させることで、消費電流を抑制できる。これには、電圧検出回路の間欠的な動作を制御するためのシステムクロックが必要となるが、正確なシステムクロックはリセット解除後でないと生成できない。よって、このような電圧検出回路を実現するのは困難である。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、電源電圧の立ち上がり特性によらず、低電力で安定してリセット信号を出力できるパワーオンリセット回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様であるパワーオンリセット回路は、電源電圧が基準電圧よりも低い場合には前記電源電圧を出力し、前記電源電圧が前記基準電圧以上の場合には前記基準電圧を出力する前記基準電圧源と、一方の入力に基準電圧源が出力する電圧が印加され、他方の入力に前記電源電圧が印加され、前記電源電圧が前記基準電圧よりも所定値だけ大きい値になった場合に、出力端子から出力するリセット信号を遷移させるコンパレータと、を有するものである。
【0011】
本発明の第2の態様であるパワーオンリセット回路は、上記のパワーオンリセット回路であって、前記基準電圧源は、前記電源電圧とグランドとの間に直列接続されるデプレション型MOSトランジスタ及びエンハンスメント型の第1のMOSトランジスタを備え、前記デプレション型MOSトランジスタと前記第1のMOSトランジスタとの間の第1のノードが、前記コンパレータの一方の入力に接続され、前記デプレション型MOSトランジスタの一端に前記電源電圧が印加され、他端が前記第1のMOSトランジスタの一端と接続され、前記第1のMOSトランジスタの他端は、前記グランドと接続されることが望ましい。
【0012】
本発明の第3の態様であるパワーオンリセット回路は、上記のパワーオンリセット回路であって、前記基準電圧源は、一端に電源電圧が印加される電流源又は抵抗と、一端が前記電流源又は前記抵抗の他端と接続され、他端が前記グランドと接続される第2のMOSトランジスタと、を備え、前記第1及び第2のMOSトランジスタのゲートと、前記デプレション型MOSトランジスタのゲートとは、前記電流源又は前記抵抗と前記第2のMOSトランジスタとの間の第2のノードに接続されることが望ましい。
【0013】
本発明の第4の態様であるパワーオンリセット回路は、上記のパワーオンリセット回路であって、前記コンパレータは、ゲートに前記基準電圧源が出力する前記電圧が印加される第1の入力トランジスタと、ゲートに前記電源電圧が印加される第2の入力トランジスタと、を有し、前記第1の入力トランジスタの前記ゲートと前記第2の入力トランジスタの前記ゲートとに同じ電圧が印加された場合に、前記第1の入力トランジスタに第1の電流が流れ、前記第2の入力トランジスタに前記第1の電流よりも小さな第2の電流が流れる差動入力段と、前記電源電圧と前記出力端子との間に接続され、前記第2の電流を複製した電流を流す第3のMOSトランジスタと、前記グランドと前記出力端子との間に接続され、ゲートが前記第2のノードと接続され第4のMOSトランジスタと、を備え、前記出力端子と前記グランドとの間に電圧源を接続した場合、かつ、前記電源電圧が前記基準電圧と等しい場合に、前記第4のMOSトランジスタに流れる電流が前記第3のMOSトランジスタに流れる電流よりも大きくなるように、前記差動入力段、前記第3のMOSトランジスタ及び前記第4のMOSトランジスタが設計されることが望ましい。
【0014】
本発明の第5の態様であるパワーオンリセット回路は、上記のパワーオンリセット回路であって、前記第4のMOSトランジスタに流れる電流を前記第3のMOSトランジスタに流れる電流で除した値は、1.5以上であることが望ましい。
【0015】
本発明の第6の態様であるパワーオンリセット回路は、上記のパワーオンリセット回路であって、前記差動入力段は、一端が前記電源電圧と接続される第5及び第6のMOSトランジスタと、一端が前記グランドと接続され、ゲートが前記第2のノードと接続される第7のMOSトランジスタと、を備え、前記第1の入力トランジスタの一端が前記第5のMOSトランジスタの他端及びゲートに接続され、他端が前記第7のMOSトランジスタの他端と接続され、ゲートが前記第1のノードと接続され、前記第2の入力トランジスタの一端が前記第6のMOSトランジスタの他端及びゲートと、前記第3のMOSトランジスタのゲートと、に接続され、他端が前記第7のMOSトランジスタの他端と接続され、ゲートに前記電源電圧が印加されることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電源電圧の立ち上がり特性によらず、低電力で安定してリセット信号を出力できるパワーオンリセット回路を提供することができる。
【0017】
本発明の上述及び他の目的、特徴、及び長所は以下の詳細な説明及び付随する図面からより完全に理解されるだろう。付随する図面は図解のためだけに示されたものであり、本発明を制限するためのものではない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。各図面においては、同一要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0020】
実施の形態1
実施の形態1にかかるパワーオンリセット回路について説明する。
図1は、実施の形態1にかかるパワーオンリセット回路の構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示すように、実施の形態1にかかるパワーオンリセット回路1は、基準電圧源10及びコンパレータ20を有する。
【0021】
基準電圧源10は、電源2とグランドGNDとの間に接続されることで電源供給される。基準電圧源10が出力すべき一定の基準電圧Vrefよりも電源電圧VDDが小さい場合には、基準電圧源10は基準電圧Vrefに代えて、電源電圧VDDを出力する。電源電圧VDDが基準電圧Vref以上である場合には、基準電圧源10は一定の基準電圧Vrefを出力する。
【0022】
コンパレータ20は、電源2とグランドGNDとの間に接続されることで電源供給される、オフセット付きのコンパレータとして構成される。コンパレータ20の反転入力端子(第1の入力)には基準電圧源10が出力する電圧が入力され、非反転入力端子(第2の入力)には電源電圧VDDが入力される。コンパレータ20は、基準電圧源10が基準電圧Vrefを出力している状態で、基準電圧Vrefに所定の入力オフセットΔVを加算した値(Vref+ΔV)と、電源電圧VDDの値と、を比較し、比較結果に応じてリセット信号である出力信号OUTの電圧レベルを遷移させる。この例では、コンパレータ20は、出力電圧OUTのレベルをLOWからHIGHに遷移させることで、リセット信号を出力する。なお、言うまでもないが、コンパレータ20は、出力電圧OUTのレベルをHIGHからLOWに遷移させることで、リセット解除信号を出力してもよい。
【0023】
本実施の形態では、電源2は例えば太陽電池であり、照射される光の照度に応じて出力する電源電圧VDDが変動する電源を用いるものとする。但し、電源2は太陽電池に限られるものではなく、電圧変動が大きな他の電源や、電圧変動が小さな安定的な電源など、各種の電源を用いてもよい。
【0024】
以下、パワーオンリセット回路1の構成について更に詳しく説明する。
図2は、実施の形態1にかかるパワーオンリセット回路の構成を模式的に示す回路図である。
【0025】
基準電圧源10は、電流源11、デプレッション型のNMOS(N-Channel Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタDN、エンハンスメント型のNMOSトランジスタMN11(第2のMOSトランジスタとも称する)及びMN12(第1のMOSトランジスタとも称する)を有する。
【0026】
電流源11の一端には電源電圧VDDが印加され、他端はNMOSトランジスタMN11のドレインと接続される。NMOSトランジスタMN11のソースは、グランドGNDと接続される。NMOSトランジスタDNのドレインには電源電圧VDDが印加され、ソースはNMOSトランジスタMN12のドレインと接続される。NMOSトランジスタMN12のソースは、グランドGNDと接続される。NMOSトランジスタDN、NMOSトランジスタMN11及びMN12のゲートは、電流源11とNMOSトランジスタMN11との間のノードN1(第2のノードとも称する)に接続される。NMOSトランジスタDNのソースとNMOSトランジスタMN12のドレインとの間のノードN2(第1のノードとも称する)は、基準電圧源10の出力ノード、すなわち出力端子であり、コンパレータ20の反転入力端子(後述するNMOSトランジスタMN21のゲート)と接続される。
【0027】
コンパレータ20は、エンハンスメント型のPMOS(P-Channel Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタMP21〜MP23、及び、エンハンスメント型のNMOSトランジスタMN21〜MN24を有する。コンパレータ20では、PMOSトランジスタMP21及びMP22、NMOSトランジスタMN21〜MN23が差動入力段21を構成する。また、PMOSトランジスタMP23及びNMOSトランジスタMN24は、差動入力段21の出力に応じて出力電圧OUTの電圧レベルを遷移させる、出力段22を構成する。
【0028】
なお、以下では、PMOSトランジスタMP23を第3のMOSトランジスタ、NMOSトランジスタMN24を第4のMOSトランジスタ、PMOSトランジスタMP21を第5のMOSトランジスタ、PMOSトランジスタMP22を第6のMOSトランジスタ、NMOSトランジスタMN21を第1の入力トランジスタ、NMOSトランジスタMN22を第2の入力トランジスタ、NMOSトランジスタMN23を第7のMOSトランジスタとも称する。
【0029】
差動入力段21について説明する。PMOSトランジスタMP21のソースには、電源電圧VDDが印加される。PMOSトランジスタMP21のドレインは、PMOSトランジスタMP21のゲート及びNMOSトランジスタMN21のドレインと接続される。PMOSトランジスタMP22のソースには、電源電圧VDDが印加される。PMOSトランジスタMP22のドレインは、PMOSトランジスタMP22のゲートと、NMOSトランジスタMN22のドレインと、出力段22のPMOSトランジスタMP23のゲートとに接続される。NMOSトランジスタMN21及びMN22のソースは、NMOSトランジスタMN23のドレインと接続される。NMOSトランジスタMN21のゲートは、基準電圧源10の出力端子、すなわちノードN2と接続される。NMOSトランジスタMN22のゲート(すなわち、コンパレータ20の非反転入力端子)には、電源電圧VDDが印加される。NMOSトランジスタMN23のソースは、グランドGNDと接続される。NMOSトランジスタMN23のゲートは、電流源11のノードN1と接続される。
【0030】
出力段22について説明する。PMOSトランジスタMP23のソースには、電源電圧VDDが印加される。PMOSトランジスタMP23のドレインは、NMOSトランジスタMN24のドレインと接続される。NMOSトランジスタMN24のソースは、グランドGNDと接続される。NMOSトランジスタMN24のゲートは、電流源11のノードN1と接続される。
【0031】
ここでは、電流源を用いて基準電圧源を構成する例について説明したが、基準電圧源の構成はこれに限定されるものではない。例えば、上記の電流源を抵抗に置換して基準電圧源を構成してもよい。
【0032】
続いて、電源電圧VDDの値に応じたパワーオンリセット回路1の動作について説明する。ここでは、まず、基準電圧源10の動作について説明する。本構成では、デプレッション型のNMOSトランジスタDN及びNMOSトランジスタMN12のゲート電圧が小さく、NMOSトランジスタMN12に電流が流れていない場合、仮にデプレッション型のNMOSトランジスタDNのゲート電圧が0[V]の場合でも、デプレッション型のNMOSトランジスタDNはオンとなる。その結果、デプレッション型のNMOSトランジスタDNとNMOSトランジスタMN12との間のノードN2から、コンパレータ20へ電源電圧VDDが出力される。
【0033】
その後、電源電圧VDDが上昇すると、NMOSトランジスタMN11、MN12、MN23及びMN24がオンとなって電流が流れる。そして、電源電圧が十分に大きな値に到達すると、NMOSトランジスタMN12のスレッショルド電圧からデプレッション型のNMOSトランジスタDNのスレッショルド電圧を減じた一定の値の電圧が、基準電圧VrefとしてノードN2から出力されることとなる。つまり、電源電圧VDDが十分に高い場合には、温度変化の影響を受けにくい基準電圧Vrefを得ることができる。
【0034】
次いで、コンパレータ20における入力オフセットとその動作について説明する。コンパレータ20は、所定の入力オフセットΔVを有するコンパレータとして構成されている。
図3は、実施の形態1にかかるパワーオンリセット回路1において電源電圧VDDが基準電圧Vrefと等しいときの電流を示す図である。
図3では、コンパレータ20における入力オフセットの理解を容易にするため、出力端子(すなわち、出力電圧OUTを出力する端子)に電圧源(例えば、VDD/2の電圧を出力する電圧源、
図3の符号Vhで示される電圧源)を仮想的に接続し、PMOSトランジスタMP23及びNMOSトランジスタMN24に流れる電流に着目して説明する。
【0035】
なお、
図3では、PMOSトランジスタMP21のゲート幅W
MP21、PMOSトランジスタMP22のゲート幅W
MP22、及び、PMOSトランジスタMP23のゲート幅W
MP23を「10」、NMOSトランジスタMN21のゲート幅W
MN21を「25」、NMOSトランジスタMN22のゲート幅W
MN22を「5」、NMOSトランジスタMN23のゲート幅W
MN23を「6」、NMOSトランジスタMN24のゲート幅W
MN24を「4」とする。また、NMOSトランジスタMN11のゲート幅W
MN11を「5」とする。ここでは、コンパレータ20内のMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタMN11のゲート長は、同一であるものとする。
【0036】
図3に示すように、PMOSトランジスタMP22及びPMOSトランジスタMP23はカレントミラーを構成している。PMOSトランジスタMP22に流れる電流をi
MP22、PMOSトランジスタMP23に流れる電流をi
MP23とすると、以下の式(1)に示す関係が成立する。
【数1】
【0037】
また、NMOSトランジスタMN23及びNMOSトランジスタMN24も、カレントミラーを構成している。NMOSトランジスタMN23に流れる電流をi
MN23、NMOSトランジスタMN24に流れる電流をi
MN24とすると、以下の式(2)に示す関係が成立する。
【数2】
【0038】
コンパレータ20の入力トランジスタであるNMOSトランジスタMN21及びNMOSトランジスタMN22は、ソースカップルでNMOSトラジスタMN23に接続されている。よって、NMOSトランジスタMN21に流れる電流をi
MN21(第1の電流とも称する)、NMOSトランジスタMN22に流れる電流をi
MN22(第2の電流とも称する)とすると、以下の式(3)に示す関係が成立する。
【数3】
【0039】
電源電圧VDDが基準電圧Vrefと等しい(VDD=Vref)ときには、NMOSトランジスタMN21のゲート電圧とNMOSトランジスタMN22のゲート電圧とは同じとなるので、両者に流れる電流はゲート幅に依存することとなり、以下の式(4)が成立する。
【数4】
【0040】
また、PMOSトランジスタMP22とNMOSトランジスタMN22とは直列に接続されているので、両者に流れる電流は等しくなり、以下の式(5)が成立する。
【数5】
【0041】
以上より、PMOSトランジスタMP23の電流i
MP23とNMOSトランジスタMN24の電流i
MN24との比は、以下の式(6)で表される。
【数6】
ここで、ゲート幅のそれぞれに上記で説明した値を代入すると、PMOSトランジスタMP23の電流i
MP23とNMOSトランジスタMN24の電流i
MN24との比は以下の式(7)で求められる。
【数7】
式(7)で示されるように、この例では、NMOSトランジスタMN24の電流i
MN24は、PMOSトランジスタMP23の電流i
MP23の4倍の値をとることとなる。この場合、この電流比により生じるコンパレータ20の入力オフセットΔVは、約80mVとなる。換言すれば、電源電圧VDDが基準電圧Vrefよりも約80mV大きくなったときに、コンパレータ20の出力電圧OUTがLOWからHIGHに遷移することとなる。結果として、コンパレータ20は、電源電圧VDDが基準電圧Vrefよりも所定の入力オフセットΔV(この例では約80mV)だけ大きくなったときに、リセット信号である出力電圧OUTを遷移させる。これにより、電源電圧VDDが緩やかに立ち上がるときでも、電源電圧VDDが上昇し、回路が不安定な領域を脱したときにリセット解除信号を出力することができる。
【0042】
以上のように、本実施の形態によれば、コンパレータ内のトランジスタに流れる電流比を適切に設計することで、コンパレータの入力オフセットを生じさせ、出力電圧OUTの遷移条件を適切な条件に設定することができる。一般に、MOSトランジスタの特性バラつきを考慮した場合、入力オフセットを20mV以上とすることが好ましく、これに対応する電流比(i
MN24/i
MP23)は1.5以上が望ましいことが理解できる。
【0043】
本構成によれば、例えば装置やシステムにパワーオンリセット回路1と集積回路等とが搭載される場合、集積回路等が安定して動作できる電圧に対応するように基準電圧を設定することで、電源電圧が十分な高さに到達した状態になった後に、パワーオンリセット回路1から集積回路等に与えるリセット解除信号により、集積回路等のリセットを解除することができる。これにより、集積回路等を安定した状態で起動し、動作させることが可能となる。
【0044】
また、本構成によれば、基準電圧の生成に抵抗分圧を必要としないので、抵抗分圧を用いる場合と比べて消費電力を低減することができる。かつ、上述したように、分圧抵抗を用いた電圧検出回路を間欠動作させる必要がないので、間欠動作をせずとも消費電力を低減することができる。
【0045】
以上説明したように、本構成によれば、電源電圧の立ち上がり特性によらず、低電力で安定してリセット信号を出力できるパワーオンリセット回路を提供することができる。
【0046】
その他の実施の形態
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述のデプレッション型のMOSトランジスタ及びエンハンスメント型のMOSトランジスタの導電型は、適宜入れ替えることが可能である。すなわち、NMOSトランジスタをPMOSトランジスタに置換し、かつ、PMOSトランジスタをNMOSトランジスタに置換することが可能である。