特許第6823710号(P6823710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6823710半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6823710
(24)【登録日】2021年1月13日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20210121BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20210121BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   H01L21/31 B
   H01L21/316 X
   C23C16/44 J
【請求項の数】18
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-509995(P2019-509995)
(86)(22)【出願日】2018年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2018012833
(87)【国際公開番号】WO2018181508
(87)【国際公開日】20181004
【審査請求日】2019年7月17日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2017/013319
(32)【優先日】2017年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】李 根
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕久
(72)【発明者】
【氏名】野々村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】寿崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】竹林 雄二
【審査官】 桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−206050(JP,A)
【文献】 特開2008−060171(JP,A)
【文献】 特開2009−124050(JP,A)
【文献】 特開2013−229575(JP,A)
【文献】 特開2009−188198(JP,A)
【文献】 特開2015−188068(JP,A)
【文献】 特開平10−050686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/316
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室に収容した基板上に高誘電率酸化膜を形成する工程と、
前記処理室に付着した前記高誘電率酸化膜を除去する工程と、
を有し、前記高誘電率酸化膜を除去する工程では、
(a)高誘電率酸化膜が付着した処理室に、第1の圧力で、塩素系ガスを供給する工程と、
(b)前記処理室を排気する工程と、
(c)前記処理室に酸素含有ガスを供給する工程と、
(d)前記処理室を排気する工程と、
(e)前記処理室に、前記第1の圧力より低い第2の圧力で、前記塩素系ガスを供給する工程と、
(f)前記処理室を排気する工程と、
(g)前記処理室に、還元ガスを供給して、後処理を行う工程と、
を行い、前記高誘電率酸化膜を除去する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記(a)〜(f)の工程を所定回数、繰り返し行う請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記酸素含有ガスはOである請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記還元ガスは、酸素含有ガスである請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記還元ガスは、HOである請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記高誘電率酸化膜は、有機系原料を用いて形成されており、残留元素として炭素を含む請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記塩素系ガスは、BClである請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記高誘電率酸化膜は、ジルコニウム酸化膜、ハフニウム酸化膜、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜およびそれらの複合膜のいずれかである請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
(a)高誘電率酸化膜が付着した処理室に、第1の圧力で、塩素系ガスを供給する工程と、
(b)前記処理室を排気する工程と、
(c)前記処理室に酸素含有ガスを供給する工程と、
(d)前記処理室を排気する工程と、
(e)前記処理室に、前記第1の圧力より低い第2の圧力で、前記塩素系ガスを供給する工程と、
(f)前記処理室を排気する工程と、
(g)前記処理室に、還元ガスを供給して、後処理を行う工程と、
を行い、前記高誘電率酸化膜を除去する工程を有するクリーニング方法。
【請求項10】
前記(a)〜(f)の工程を所定回数、繰り返し行う請求項9に記載のクリーニング方法。
【請求項11】
前記酸素含有ガスはOである請求項9に記載のクリーニング方法。
【請求項12】
前記還元ガスは、酸素含有ガスである請求項1に記載のクリーニング方法。
【請求項13】
前記還元ガスは、HOである請求項12に記載のクリーニング方法。
【請求項14】
前記高誘電率酸化膜は、有機系原料を用いて形成されており、残留元素として炭素を含む請求項9に記載のクリーニング方法。
【請求項15】
前記塩素系ガスは、BClである請求項9に記載のクリーニング方法。
【請求項16】
前記高誘電率酸化膜は、ジルコニウム酸化膜、ハフニウム酸化膜、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜およびそれらの複合膜のいずれかである請求項9に記載のクリーニング方法。
【請求項17】
基板を処理する処理室と、
前記処理室に、塩素ガス、酸素含有ガス、還元ガスを供給するガス供給系と、
処理室を排気する排気系と、
高誘電率酸化膜が付着した処理室に、第1の圧力で、塩素系ガスを供給する処理と、(b)前記処理室を排気する処理と、(c)前記処理室に前記酸素含有ガスを供給する処理と、(d)前記処理室を排気する工程と、(e)前記処理室に、前記第1の圧力より低い第2の圧力で、前記塩素系ガスを供給する処理と、(f)前記処理室を排気する処理と、(g)前記処理室に、前記還元ガスを供給して、後処理を行う処理と、を行い、前記高誘電率酸化膜を除去するよう前記ガス供給系、前記排気系を制御するように構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項18】
(a)基板処理装置の処理室であって、高誘電率酸化膜が付着した処理室に、第1の圧力で、塩素系ガスを供給する手順と、
(b)前記処理室を排気する手順と、
(c)前記処理室に酸素含有ガスを供給する手順と、
(d)前記処理室を排気する手順と、
(e)前記処理室に、前記第1の圧力より低い第2の圧力で、前記塩素系ガスを供給する手順と、
(f)前記処理室を排気する手順と、
(g)前記処理室に、還元ガスを供給して、後処理を行う手順と、
を行い、前記処理室に付着した高誘電率酸化膜を除去する手順を、コンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、クリーニング方法、基板処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの高密度化に伴い、ゲート絶縁膜は高誘電率(High−k)酸化膜を用いられるようになってきている。又、DRAMキャパシタの容量を増大させるために高誘電率酸化膜の適用も進んできている。これら高誘電率酸化膜には低温での成膜が要求され、更に表面の平坦性、凹部埋めこみ性、ステップカバレッジ性に優れ、かつ異物の少ない成膜方法が求められている。異物の制御に関しては、最近では反応管を取り外すことなく、ガスクリーニングにより反応管内壁(処理室内)に堆積した膜を除去する方法が一般的に行われるようになっている。ガスクリーニングの方法としては、熱によるエッチング等があり、反応管壁、あるいはボートなどの冶具からの堆積膜の剥離を抑えるためにエッチング処理は一定膜厚の堆積膜が形成される毎に実施される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO09/037991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ClF等のフッ素含有ガスをクリーニングガスとして用い、高誘電率酸化膜をエッチングすることが広く研究されている(例えば、特許文献1)。しかし、フッ素含有ガスでエッチングを行った場合には、高誘電率酸化膜を組成する金属元素のフッ化物が、エッチングしようとする高誘電率酸化膜の被エッチング膜表面に付着してしまい高誘電率酸化膜を除去することが困難となる場合がある。例えば、高誘電率酸化膜としてのハフニウム酸化膜(HfO膜)をエッチングしようとする場合に、Hfのフッ化物が被エッチング膜表面に付着し、エッチストップとなってしまい、HfO膜を除去することが困難となる場合があった。
【0005】
本発明の目的は、フッ素含有ガスではエッチングが難しい高誘電率酸化膜等の膜を効率的に除去することができるクリーニング技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
(a)高誘電率酸化膜が付着した処理室に、第1の圧力で、塩素系ガスを供給する工程と、
(b)処理室を排気する工程と、
(c)処理室に酸素含有ガスを供給する工程と、
(d)処理室を排気する工程と、
(e)処理室に、第1の圧力より低い第2の圧力で、塩素系ガスを供給する工程と、
(f)処理室を排気する工程と、
(g)処理室に、還元ガスを供給して、後処理を行う工程と、
を行い、高誘電率酸化膜を除去する工程を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
フッ素含有ガスではエッチングが難しい高誘電率酸化膜等の膜を効率的に除去することができるクリーニング技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】各化合物の蒸気圧を示す図であり、図1(a)はHf化合物の蒸気圧を示しており、図1(b)はZr化合物の蒸気圧を示しており、図1(c)はAl化合物の蒸気圧を示している。
図2】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図3図1のA−A線に沿った概略的な横断面図である。
図4図1に示す基板処理装置が有するコントローラの構成を示すブロック図である。
図5】本発明の好適な実施形態の一例に係る酸素含有ガスとクリーニングガスの供給方法の一例(Solution-1,2,3)を概略的に示す図である。
図6】エッチングガス排気方式の変化を概略的に示す図である。
図7図7(a)はエッチングガス排気方式と排気時間制御(実施例500℃、到達圧力500Pa)によるガス利用効率への影響(排気時間とガス利用効率)を概略的に示す図であり、図7(b)はエッチング速度の温度依存性(温度とエッチング速度)を概略的に示す図であり、図7(c)はエッチング速度の圧力依存性(全圧とエッチング速度)を概略的に示す図であり、図7(d)は到達圧力制御によるエッチングと堆積温度分岐点への影響(温度と膜厚変化量)を概略的に示す図であり、図7(e)は後処理によるエッチング後成膜工程において、ZrO膜中Cl残留のスペクトルを示す図であり、図7(f)はエッチング工程における表面酸化ステップでのO供給時間とエッチングレートの関係を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1(a)にハフニウム(Hf)のフッ化物及びハロゲン化物(塩化物)の蒸気圧を示し、図1(b)にジルコニウム(Zr)のフッ化物及びハロゲン化物の蒸気圧を示し、図1(c)にアルミニウム(Al)のフッ化物及びハロゲン化物(塩化物、臭化物)の蒸気圧を示した。いずれも、ハロゲン化物の蒸気圧がフッ化物よりも大きく、エッチングにはハロゲン系のガスであって、例えば塩化物や臭化物が適していると考えられる。又、表1(CRC Handbook of Chemistry and Physics, 84th, 2004より引用)に示すようにHf−O,Zr−Oの結合エネルギーはそれぞれ8.30eV,8.02eVと大きく、Hf,Zrの酸化物は難エッチング材料である。エッチングを進行させるためには、Hf−O,Zr−O,Al−O結合の切断活性化、Hf,Zr,Alの各塩化物あるいは各臭化物の形成、反応生成物の脱離プロセスが必要である。
【表1】
【0010】
ここで、エッチングのメカニズムを簡略化して検討するため、ZrOのエッチングについて、ホウ素と、ハロゲン含有ガスであって例えば塩素を含むガス(以下、B−Clガス)によるサーマル(熱)エッチングについて考える。ZrO膜をB−Clガスでエッチングする場合の反応は、以下の式(1)のように進むと考えられる。また、B−Clガスの熱分解反応は式(2)と考えられる。
ZrOx + B−Cl → BOx + ZrClx (1)
B−Cl → BOx + Cl (2)
フッ素含有ガスでエッチングを約800℃以下の温度帯で行ったとすると、図1(b)のZrFの蒸気圧曲線から、ZrFが生じると同時に膜表面に堆積してしまうと考えられる。一方、Cl含有ガスの場合は、ZrClの蒸気圧曲線から、約250℃以下では同様にエッチング後に膜表面に堆積してしまうが、約250℃以上の温度帯では、エッチング後に残渣を生じない(膜表面に堆積しない)十分な蒸気圧が得られることがわかる。
【0011】
高誘電率酸化膜をB−Clガスでサーマルエッチングしてみると、ある条件範囲においてはエッチングが可能であることが分かる。しかし、エッチングガスがClあるいはHClだけの場合にはエッチングは進行しない。この理由を考えてみると、ZrClを生成するためには、ZrOバルクにおいては、Zr原子に繋がる4つのOのZr−O結合を切断する必要がある。しかし、表1に示されるように、Zr−Oの結合エネルギーは8.02eVと大きく、4つのZr−O結合を完全に切断するためには大きなエネルギーが必要である。また、ある条件範囲の熱エネルギーによって、Zr−O結合を切断して活性化することができたとしても、エネルギー準位を考慮するとZr−Clへの結合確率は低いためエッチング反応は進まないと考えられる。
【0012】
B−Clガスでエッチングする場合は、式(1)から分かるようにB−Clが分解して発生するホウ素ラジカルと塩素ラジカルはそれぞれZr−Oの酸素とZrと結合し、気体のBOxとZrClを生成することでエッチングが進行する。
B−Oの結合エネルギーは8.26eVであり、Zr−Oの結合エネルギーより大きく、Zr−O結合を切断することが可能である。

しかし、Zr−Clの結合エネルギーは5.52eVであり、Zr−Oの結合エネルギーより小さく、Zr−Oの結合を切断するのに十分ではないが、化学反応速度と化学平衡のギブス自由エネルギーおよびル・シャトリエの法則から、ある条件範囲では式(1)に示す反応が正方向へ進行され得る。また、ZrO膜を成膜する方法によりその膜質(Zr−Oの原子間距離および結晶構造の相違)から結合エネルギーにバラつきがあることも考えられる。本発明の評価に用いた試料は、後述のような複数の処理ガスを交互に供給する方法により作製されたものである。本方法により作製された膜はZr−Oの結合エネルギーが表1に示された値よりも小さくなっているものもあると考えられる。したがって、後述のようにB−Clガスをエッチングガスとして用いることにより、ZrO膜がエッチング可能であると考えられる。
【0013】
また、本発明者らは、エッチング後の基板処理手法に注目した。例えば、ZrO膜中にZr含有原料に由来する炭素(C)が残留しており、表面にエッチングガスに由来するClがZrに結合したZrClxが堆積している場合を考える。このとき、膜表面を酸素含有ガスであって例えばオゾン(O)等で処理することによって、炭素をCOxとして脱離させ、ZrClxをZrOに再酸化させることが考えられる。その表面の特徴は、COx脱離後の欠陥存在とZr−OおよびZr−Zrの弱い結合平衡状態であり、エッチングに適切な表面平衡状態と考えられる。しかし、O等で過処理をした場合、酸素ラジカルはZrO膜中に残り、次のエッチングにおいて、エッチングガスは、遊離な酸素ラジカルと優先的に結合し消費され、エッチング効率が悪化してしまうことが考えられる。
【0014】
(i)エッチングレート向上、(ii)副生成物付着低減、(iii)ガス利用率向上を満たしつつ、高誘電率酸化膜をエッチングするためには、エッチングガス(クリーニングガス)として塩素系ガスや臭素系ガス(特に、塩素系ガス)を用いて、(i)全圧上昇を遅くさせてクリーニングガス分圧を高めるため、クリーニングガスの過熱蒸気圧を利用して導入する方式(ペーパドーロ式)を行う処理、(ii)エッチングガス導入の際、反応の遅延性を考慮し、封じ込め導入式を行う処理、(iii)エッチングガス排気の際、反応の遅延性を考慮し、スロー排気式を行う処理、(iv)高圧エッチング⇒O(酸素を含む)表面処理⇒低圧エッチングのサイクルエッチングフォローを行う処理、(v)エッチング後、エッチングされた部品等の塩素残量を除去するための水(HO)による後処理を行う処理、を行うことが好ましい。
【0015】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について、図1〜4を参照しながら説明する。基板処理装置10は半導体装置の製造工程において使用される装置の一例として構成されている。
【0016】
(1)基板処理装置の構成
基板処理装置10は、加熱手段(加熱機構、加熱系)としてのヒータ207が設けられた処理炉202を備える。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0017】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成するアウタチューブ203が配設されている。アウタチューブ203は、例えば石英(SiO)、炭化シリコン(SiC)などの耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウタチューブ203の下方には、アウタチューブ203と同心円状に、マニホールド(インレットフランジ)209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)などの金属からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部と、アウタチューブ203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、アウタチューブ203は垂直に据え付けられた状態となる。
【0018】
アウタチューブ203の内側には、反応容器を構成するインナチューブ204が配設されている。インナチューブ204は、例えば石英(SiO)、炭化シリコン(SiC)などの耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。主に、アウタチューブ203と、インナチューブ204と、マニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成されている。処理容器の筒中空部(インナチューブ204の内側)には処理室201が形成されている。
【0019】
処理室201は、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で鉛直方向に多段に配列した状態で収容可能に構成されている。
【0020】
処理室201内には、ノズル410,420,430,440がマニホールド209の側壁およびインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430,440には、ガス供給管310,320,330,340が、それぞれ接続されている。ただし、本実施形態の処理炉202は上述の形態に限定されない。ノズル等の数は、必要に応じて、適宜変更される。
【0021】
ガス供給管310,320,330,340には上流側から順に流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)312,322,332,342がそれぞれ設けられている。また、ガス供給管310,320,330,340には、開閉弁であるバルブ314,324,334,344がそれぞれ設けられている。ガス供給管310,320,330,340のバルブ314,324,334,344の下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管510,520,530,540がそれぞれ接続されている。ガス供給管510,520,530,540には、上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC512,522,532,542および開閉弁であるバルブ514,524,534,544がそれぞれ設けられている。
【0022】
ノズル410,420,430,440は、L字型のノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁およびインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430,440の垂直部は、インナチューブ204の径方向外向きに突出し、かつ鉛直方向に延在するように形成されているチャンネル形状(溝形状)の予備室201aの内部に設けられており、予備室201a内にてインナチューブ204の内壁に沿って上方(ウエハ200の配列方向上方)に向かって設けられている。
【0023】
ノズル410,420,430,440は、処理室201の下部領域から処理室201の上部領域まで延在するように設けられており、ウエハ200と対向する位置にそれぞれ複数のガス供給孔410a,420a,430a,440aが設けられている。これにより、ノズル410,420,430,440のガス供給孔410a,420a,430a,440aからそれぞれウエハ200に処理ガスを供給する。このガス供給孔410a,420a,430a,440aは、インナチューブ204の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一の開口面積を有し、さらに同一の開口ピッチで設けられている。ただし、ガス供給孔410a,420a,430a,440aは上述の形態に限定されない。例えば、インナチューブ204の下部から上部に向かって開口面積を徐々に大きくしてもよい。これにより、ガス供給孔410a,420a,430a,440aから供給されるガスの流量をより均一化することが可能となる。
【0024】
ノズル410,420,430,440のガス供給孔410a,420a,430a,440aは、後述するボート217の下部から上部までの高さの位置に複数設けられている。そのため、ノズル410,420,430のガス供給孔410a,420a,430a,440aから処理室201内に供給された処理ガスは、ボート217の下部から上部までに収容されたウエハ200、すなわちボート217に収容されたウエハ200の全域に供給される。ノズル410,420,430,440は、処理室201の下部領域から上部領域まで延在するように設けられていればよいが、ボート217の天井付近まで延在するように設けられていることが好ましい。
【0025】
ガス供給管310からは、処理ガスとして、金属含有ガス(金属含有原料)が、MFC312、バルブ314、ノズル410を介して処理室201内に供給される。金属含有ガスとしては、有機系原料であって、例えばジルコニウム(Zr)を含むテトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(TEMAZ、Zr[N(CH)C)を用いることができる。TEMAZは、常温常圧で液体であり、図示しない気化器で気化して気化ガスであるTEMAZガスとして用いられる。
【0026】
ガス供給管320からは、酸化ガスとして、第1の酸素含有ガス(酸素含有ガス、O含有ガス)がMFC322、バルブ324、ノズル420を介して処理室201内に供給される。第1の酸素含有ガスとしては、例えば、オゾン(O)等が用いられる。
【0027】
ガス供給管330からは、処理ガスとして、エッチングガス(クリーニングガス)が、MFC332、バルブ334、ノズル430を介して処理室201内に供給される。エッチングガスとしては、例えば、ハロゲン化物であって、塩素(Cl)を含む三塩化ホウ素(BCl)ガスが用いられる。
【0028】
ガス供給管340からは、処理ガスとして、還元ガスとしての改質ガスが、MFC342、バルブ344、ノズル440を介して処理室201内に供給される。改質ガスとしては、例えば、第2の酸素含有ガスであり、水素含有ガスでもある水蒸気(HO)が用いられる。
【0029】
主に、ガス供給管310,320,330,340、MFC312,322,332,342、バルブ314,324,334,344、ノズル410,420,430,440により処理ガス供給系が構成されるが、ノズル410,420,430,440のみを処理ガス供給系と考えてもよい。処理ガス供給系を、単に、ガス供給系と称することもできる。ガス供給管310から金属含有ガスを流す場合、主に、ガス供給管310,MFC312、バルブ314により金属含有ガス供給系が構成されるが、ノズル410を金属含有ガス供給系に含めて考えてもよい。ガス供給管320から第1の酸素含有ガスを流す場合、主に、ガス供給管320,MFC322、バルブ324により第1の酸素含有ガス供給系が構成されるが、ノズル420を第1の酸素含有ガス供給系に含めて考えてもよい。第1の酸素含有ガス供給系はOガス供給系とも称する。ガス供給管330から塩素系ガスを流す場合、主に、ガス供給管330,MFC332、バルブ334により塩素系ガス供給系が構成されるが、ノズル430を塩素系ガス供給系に含めて考えてもよい。塩素系ガス供給系はBClガス供給系とも称する。ガス供給管340から第2の酸素含有ガスを流す場合、主に、ガス供給管340,MFC342、バルブ344により還元ガス供給系が構成されるが、ノズル440を還元ガス供給系と称してもよい。還元ガス供給系は第2の酸素含有ガス供給系とも称する。第2の酸素含有ガス供給系はHOガス供給系とも称する。また、主に、ガス供給管510,520,530、MFC512,522,532、バルブ514,524,534により不活性ガス供給系が構成される。不活性ガス供給系を、パージガス供給系、希釈ガス供給系、あるいは、キャリアガス供給系と称することもできる。
【0030】
本実施形態におけるガス供給の方法は、インナチューブ204の内壁と、複数枚のウエハ200の端部とで定義される円環状の縦長の空間内、すなわち、円筒状の空間内の予備室201a内に配置したノズル410,420,430,440を経由してガスを搬送している。そして、ノズル410,420,430,440のウエハと対向する位置に設けられた複数のガス供給孔410a,420a,430a,440aからインナチューブ204内にガスを噴出させている。
【0031】
排気孔(排気口)204aは、インナチューブ204の側壁であってノズル410,420,430,440に対向した位置、すなわち予備室201aとは180度反対側の位置に形成された貫通孔であり、例えば、鉛直方向に細長く開設されたスリット状の貫通孔である。そのため、ノズル410,420,430,440のガス供給孔410a,420a,430a,440aから処理室201内に供給され、ウエハ200の表面上を流れたガス、すなわち、残留するガス(残ガス)は、排気孔204aを介してインナチューブ204とアウタチューブ203との間に形成された隙間からなる排気路206内に流れる。そして、排気路206内へと流れたガスは、排気管231内に流れ、処理炉202外へと排出される。
【0032】
排気孔204aは、複数のウエハ200と対向する位置(好ましくはボート217の上部から下部と対向する位置)に設けられており、ガス供給孔410a、420a、430a,440aから処理室201内のウエハ200の近傍に供給されたガスは、水平方向、すなわちウエハ200の表面と平行方向に向かって流れた後、排気孔204aを介して排気路206内へと流れる。すなわち、処理室201に残留するガスは、排気孔204aを介してウエハ200の主面に対して平行に排気される。なお、排気孔204aはスリット状の貫通孔として構成される場合に限らず、複数個の孔により構成されていてもよい。
【0033】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、上流側から順に、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245,APC(Auto Pressure Controller)バルブ231a,真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ231aは、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができる。主に、排気孔204a,排気路206,排気管231,APCバルブ231aおよび圧力センサ245により、排気系すなわち排気ラインが構成される。なお、真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0034】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に鉛直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219における処理室201の反対側には、ウエハ200を収容するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、アウタチューブ203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって鉛直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217およびボート217に収容されたウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0035】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で鉛直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱板218が水平姿勢で多段(図示せず)に支持されている。この構成により、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなっている。ただし、本実施形態は上述の形態に限定されない。例えば、ボート217の下部に断熱板218を設けずに、石英やSiC等の耐熱性材料からなる筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
【0036】
インナチューブ204内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電量を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410,420,430,440と同様にL字型に構成されており、インナチューブ204の内壁に沿って設けられている。
【0037】
制御部(制御手段)であるコントローラ280は、CPU(Central Processing Unit)280a,RAM(Random Access Memory)280b,記憶装置280c,I/Oポート280dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM280b,記憶装置280c,I/Oポート280dは、内部バスを介して、CPU280aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ280には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置282が接続されている。
【0038】
記憶装置280cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置280c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する半導体装置の製造方法の手順や条件などが記載されたプロセスレシピなどが、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法における各工程(各ステップ)をコントローラ280に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピ、制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、プロセスレシピおよび制御プログラムの組み合わせを含む場合がある。RAM280bは、CPU280aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0039】
I/Oポート280dは、上述のMFC312,322,332,342,512,522,532,542、バルブ314,324,334,344,514,524,534,544、圧力センサ245、APCバルブ231a、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0040】
CPU280aは、記憶装置280cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置282からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置280cからレシピ等を読み出すように構成されている。CPU280aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC312,322,332,342,512,522,532,542による各種ガスの流量調整動作、バルブ314,324,334,344,514,524,534,544の開閉動作、APCバルブ231aの開閉動作およびAPCバルブ231aによる圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、ボート217へのウエハ200の収容動作等を制御するように構成されている。
【0041】
コントローラ280は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)283に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置280cや外部記憶装置283は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体は、記憶装置280c単体のみを含む場合、外部記憶装置283単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置283を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0042】
(2)基板処理工程
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板に対して金属含有ガスと第1の酸素含有ガスを供給して金属酸化膜を形成する成膜工程を行い、その後、エッチング工程を行う例について説明する。成膜工程およびエッチング工程は、上述した基板処理装置10の処理炉202を用いて実行される。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0043】
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0044】
(ウエハ搬入)
複数枚のウエハ200を処理室201内に搬入(ボートロード)する。具体的には、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端開口を閉塞した状態となる。
【0045】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ231aがフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0046】
[成膜工程]
ウエハ200上に、金属酸化膜として高誘電率酸化膜であるZrO膜を形成するステップを実行する。
【0047】
(TEMAZガス供給ステップ)
バルブ314を開き、ガス供給管310内に、TEMAZガスを流す。TEMAZガスは、MFC312により流量調整され、ノズル410のガス供給孔410から処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このときウエハ200に対して、TEMAZガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ514を開き、ガス供給管510内にNガスを流す。ガス供給管510内を流れたNガスは、MFC512により流量調整される。NガスはTEMAZガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ノズル420,430,440内へのTEMAZガスの侵入を防止するために、バルブ524,534,544を開き、ガス供給管520,530,540内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管320,330,340、ノズル420,430,440を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0048】
このとき、APCバルブ231aを適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば20〜500Paの範囲内の圧力とする。本明細書において、20〜500Paは、20Pa以上500Pa以下を示す。その他の数値範囲等においても同様である。MFC312で制御するTEMAZガスの供給流量は、例えば0.1〜3.0g/分の範囲内の流量とする。ウエハ200をTEMAZに曝す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば10〜300秒間の範囲内の時間とする。このときヒータユニット207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば150〜300℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。TEMAZガスの供給により、ウエハ200上にZr含有層が形成される。Zr含有層には、TEMAZガスに由来する有機物(炭素(C)、水素(H)、窒素(N)等)が残留元素としてわずかに残留する。
【0049】
(残留ガス除去ステップ)
TEMAZガスの供給を所定時間供給した後、バルブ314を閉じて、TEMAZガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ231aは開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは還元に寄与した後のTEMAZガスを処理室201内から排除する。このときバルブ524,534,544は開いたままとして、Nガスの処理室201内への供給を維持する。Nガスはパージガスとして作用し、処理室201内に残留する未反応もしくは還元に寄与した後のTEMAZガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。
【0050】
(Oガス供給ステップ)
バルブ324を開き、ガス供給管320内に第1の酸素含有ガスであるOガスを流す。Oガスは、MFC322により流量調整され、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してOガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ524を開き、ガス供給管520内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管520内を流れたNガスは、MFC522により流量調整され、Oガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410,430,440内へのOガスの侵入を防止するために、バルブ514,534,544を開き、ガス供給管510,530,540内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310,330,340、ノズル410,430,440を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0051】
ガスを流すときは、APCバルブ231aを適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば50〜500Paの範囲内の圧力とする。MFC235b,235cで制御するOガスの供給流量は、例えば5〜30slmの範囲内の流量とする。Oガスにウエハ200を晒す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば10〜300秒間の範囲内の時間とする。このときのヒータユニット207の温度は、ステップS101と同様の温度とする。Oガスの供給により、ウエハ200上に形成されたZr含有層が酸化され、ZrO層が形成される。このとき、ZrO層には、TEMAZガスに由来する有機物(炭素(C)、水素(H)、窒素(N)等)がわずかに残留する。
【0052】
(残留ガス除去ステップ)
ZrO層が形成された後、バルブ324を閉じ、Oガスの供給を停止する。そして、Oガス供給ステップ前の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはZrO層形成に寄与した後のOガスを処理室201内から排除する。
【0053】
(所定回数実施)
上記したステップを順に行うサイクルを1回以上(所定回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、所定の厚さのZrO膜を形成する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。このように、ZrO膜を形成する場合は、TEMAZガスとOガスを互いに混合しないよう(時分割して)交互にウエハ200に対して供給する。
【0054】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ガス供給管510,520,530,540のそれぞれからNガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0055】
(ウエハ搬出)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、反応管203の下端が開口される。そして、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0056】
次に、処理室201内等に付着した膜をエッチングする工程について説明する。
【0057】
(ボート搬入)
ウエハ200を装填しない状態で、ボート217を処理室201内に搬入(ボートロード)する。ボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端開口を閉塞した状態となる。
【0058】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ231aがフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201内の加熱は、少なくともエッチング処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0059】
[エッチング(クリーニング)工程]
処理室201内等に付着した膜をエッチングして処理室201内をクリーニングするステップを実行する。
【0060】
(高圧エッチングステップ)
バルブ334を開き、ガス供給管330内に第1のBClガス供給流量(第1の流量とも称する)でBClガスを流す。BClガスは、MFC332により流量調整され、ノズル430のガス供給孔430aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してBClガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ534を開き、ガス供給管530内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管530内を流れたNガスは、MFC532により流量調整され、BClガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410,420,440内へのBClガスの侵入を防止するために、バルブ514,524,544を開き、ガス供給管510,520,540内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310,320,340、ノズル410,420,440を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0061】
BClガスの供給により、処理室201内に付着したZrO膜の少なくとも一部とBClガスとが反応して、処理室201から除去される。具体的には、ZrO膜の除去には、Zr原子に繋がる4つのOによるZr−O結合を切断する必要があるが、最表面における2つの結合はZr−HあるいはZr−OHに終端されていることが考えられる。BClガスを処理室201に供給することで、ZrO表面のZr−HにBClガスに由来する塩素ラジカルが吸着してHClとして脱離し、ZrO表面のZr−OHにBClガスに由来するホウ素ラジカルが吸着してBHxとして脱離するような反応が考えられる。その後、BClガスが分解し続けて発生する塩素ラジカルとホウ素ラジカルはそれぞれZrO表面のZrとOと結合し、ZrClx、BOx、Cl等を生じ、それらが処理室201から除去されることでエッチングが進行する。
【0062】
ここで、式(1)の反応平衡を考慮すると、ZrO膜とBClガスの反応物は次の二段階を経て生成されると考えられる。すなわち、Zr−O結合がB−Clにより切断され、Zr−Cl結合およびBOxが生成される。さらに、塩素ラジカルが残るZr−O結合を切断し、BOxとZrClを生成する。このように、ZrO膜とBClガスの反応では、反応遅延時間が存在すると考えられる。
【0063】
このとき、コントローラ280によりヒータ207を制御して、処理室201内を例えば、200〜800℃であって、好ましくは400〜550℃の範囲内の所定温度に加熱して、BClガスを活性化させる。なお、処理室201の内部又は外部にプラズマ発生装置を設置してBClガスをプラズマ処理し、塩素ラジカルを処理室201で発生させるか又は処理室201に供給するような構成としてもよい。このとき、APCバルブ231aを閉じるか、処理に影響を及ぼさない程度に実質的に閉じ、BClガスを処理室201内に封じ込める。BClガスを封じ込めることにより、上述の反応遅延によるエッチングへの影響を少なくすることができる。そして、処理室201内の圧力を第1の圧力であって、例えば、1〜13300Paであって、好ましくは6650〜13300Pa、より好ましくは1000〜13300Paの範囲内の所定圧力に維持する。MFC332で制御するBClガスの供給流量は、例えば0.1〜10slmであって、好ましくは3〜5slmの範囲内の流量とする。BClガスを処理室201に供給する時間(BClガス供給時間)は、例えば60〜600秒間の範囲内の時間とする。
【0064】
(残留ガス除去ステップ)
所定時間、BClガスを処理室201に供給した後、バルブ334を閉じて、BClガスの供給を停止する。APCバルブ231aを閉じるか、処理に影響を及ぼさない程度に実質的に閉じていた場合は、APCバルブ231aを開ける。そして、TEMAZガス供給ステップの残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはZrO層の除去に寄与した後のBClガスを処理室201内から排除する。
【0065】
(表面酸化ステップ)
バルブ324を開き、ガス供給管320内にOガスを流す。Oガスは、MFC322により流量調整され、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してOガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ524を開き、ガス供給管520内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管520内を流れたNガスは、MFC522により流量調整され、Oガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410,430,440内へのOガスの侵入を防止するために、バルブ514,534,544を開き、ガス供給管510,530,540内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310,330,340、ノズル410,430,440を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0066】
ガスを流すときは、APCバルブ231aを適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば50〜1330Paの範囲内の圧力とする。MFC235b,235cで制御するOガスの供給流量は、例えば5〜40slmの範囲内の流量とする。Oガスにウエハ200を晒す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば10〜600秒間の範囲内の時間とする。このときのヒータユニット207の温度は、ステップS101と同様の温度とする。
【0067】
ガスの供給により、処理室201内壁やボート217等の表面を酸化する(トリートメントする)。また、高圧エッチングステップで生成された副生成物が再酸化される。例えば、ZrClxのZr−Cl結合が切断され、Clとして除去されるとともに、ZrOに再酸化される。さらに、ZrO膜中に残留する有機物がOガスと反応して、処理室201から除去される。例えば、ZrO膜中に残留する炭素(C)がOガスと反応して、COxとなり、処理室201から除去される。このとき、膜の最表面は、COxが脱離した後の炭素欠陥が存在するとともに、Zr−OおよびZr−Zrの弱い結合平衡状態が存在する。この状態は、エッチングに適した表面平衡状態であると考えられる。
【0068】
(残留ガス除去ステップ)
所定時間、Oガスを供給した後、バルブ324を閉じ、Oガスの供給を停止する。そして、TEMAZガス供給ステップの残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはZrO膜と反応した後のOガスを処理室201内から排除する。
【0069】
(低圧エッチングステップ)
バルブ334を開き、ガス供給管330内に、高圧エッチングステップにおける第1のBClガス供給流量より多い第2のBClガス供給流量(第2の流量とも称する)でBClガスを流す。BClガスは、MFC332により流量調整され、ノズル430のガス供給孔430aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してBClガスが供給されることとなる。このとき同時にバルブ534を開き、ガス供給管530内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管530内を流れたNガスは、MFC532により流量調整され、BClガスと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410,420,440内へのBClガスの侵入を防止するために、バルブ514,524,544を開き、ガス供給管510,520,540内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310,320,340、ノズル410,420,440を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。BClガスの供給により、処理室201内(処理室201内壁やボート217等)に付着したZrO膜であって、高圧エッチングステップでは除去されなかったZrO膜と反応して、ZrClx、BOx等となって、処理室201から除去される。さらに、高圧エッチングステップにおけるBClガスの供給によりZrO膜中に残留してしまったCl(残留塩素)と反応し、Clが処理室201から除去される。
【0070】
このとき、コントローラ280によりヒータ207を制御して、処理室201内を高圧エッチングステップと同様の温度に加熱する。又は、高圧エッチングステップと同様に、処理室201の内部又は外部にプラズマ発生装置を設置してBClガスをプラズマ処理し、塩素ラジカルを処理室201で発生させるか又は処理室201に供給するような構成としてもよい。このとき、APCバルブ231aを閉じるか、処理に影響を及ぼさない程度に実質的に閉じ、BClガスを処理室201内に封じ込める。そして、処理室201内の圧力を、高圧エッチングステップにおける第1の圧力より低い圧力である第2の圧力とする。例えば、1〜10000Paであって、好ましくは5000〜8000Pa、より好ましくは5000〜6650Paの範囲内の所定圧力に維持する。MFC332で制御するBClガスの供給流量は、例えば0.1〜10slmであって、好ましくは3〜5slmの範囲内の流量とする。BClガスを処理室201に供給する時間(BClガス供給時間)は、例えば30〜300秒間の範囲内の時間とする。
【0071】
(残留ガス除去ステップ)
所定時間、BClガスを処理室201に供給した後、バルブ334を閉じて、BClガスの供給を停止する。APCバルブ231aを閉じるか、処理に影響を及ぼさない程度に実質的に閉じていた場合は、APCバルブ231aを開ける。そして、TEMAZガス供給ステップの残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはZrO層やClの除去に寄与した後のBClガスを処理室201内から排除する。
【0072】
(所定回数実施)
上記したステップを順に行うサイクルを1回以上(所定回数(m回)行うことにより、処理室201内に付着したZrO膜を除去する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0073】
上述のように、エッチング工程を行うことにより、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0074】
(a)高圧エッチングステップを行うことで、より速いエッチングレート(速度)で処理室201内(処理室201内壁やボート217等)に付着したZrO膜を除去することが可能となる。
(b)低圧エッチングステップを行うことで、高圧エッチングステップ後にまだ残っているZrO膜中に、副生成物として残ってしまったエッチングガス由来の成分を除去することが可能となる。
(c)高圧エッチングステップと低圧エッチングステップとを組み合わせて、圧力を変動させてエッチングを行うことにより、各圧力帯におけるエッチングの特性を得ることができ、より効率的にエッチングを行うことが可能となる。
(d)高圧エッチングステップと低圧エッチングステップとの間に、表面酸化ステップを行うことにより、ZrO膜中に残留する有機物と反応して該有機物を除去し、処理室201内の有機物汚染を防ぐことができる。
(e)高圧エッチングステップと低圧エッチングステップとの間に、表面酸化ステップを行うことにより、ZrO膜中に残留する有機物と反応して該有機物を除去し、炭素欠陥を生成することができる。
(f)高圧エッチングステップと低圧エッチングステップとの間に、表面酸化ステップを行うことにより、高圧エッチングステップで生成された副生成物を再酸化し、低圧エッチングステップで除去することができる。
(g)高圧エッチングステップ、表面酸化ステップ、低圧エッチングステップを順に行うことにより、上述した(a)〜(f)の効果のうち複数の効果を得ることが可能となる。
(h)高圧エッチングステップ、表面酸化ステップ、低圧エッチングステップを複数回繰り返すことにより、高い制御性をもって、処理室201内に付着したZrO膜をエッチング(除去)して処理室201をクリーニングすることが可能となる。
(i)高圧エッチングステップおよび低圧エッチングステップでは、BClガスを封じ込めることにより、ZrO膜とBClガスとの反応遅延によるエッチングへの影響を少なくすることができる。
【0075】
図7(b)に、温度制御によるエッチング速度への影響を示している。図5のSolution−2においては、400℃以上の温度領域では温度上昇に伴い、エッチング反応は指数関数で増加する傾向がある。また、550℃以上の場合、エッチングレートの増加率が遅くなる。これは高温条件において、反応ガスの熱分解反応が優先的に起き、エッチング反応時にできる塩素ラジカル等の密度が減少するためと考えられる。図7(d)に、到達圧力制御によるエッチングと堆積温度分岐点への影響を示す。到達圧力が高くなるとともに、エッチグング効率も向上するが、エッチングと堆積温度分岐点も高温側にシフトする。この理由は、図1(b)に示されるZr塩化物の蒸気圧曲線が関係すると考えられる。すなわち、増圧によるエッチングレートの向上とエッチングと堆積温度分岐点はトレードオフの関係を持っている。圧力上昇を遅くさせるため(生成物付着低減のため)と、塩素系ガスの分圧を高めるため(濃度向上による反応効率向上のため)に、ペーパドーロ式で、すなわち塩素系ガスの加熱蒸気圧を利用して導入する。また、反応の遅延性を考慮し、反応室は封じ込め導入で行う。排気系を全閉にする。また、バブリング式より、ペーパドーロ式は、構造の単純化と蒸気圧の安定性が優れていると考えられ、産業に適切である。
【0076】
所定時間経過後もしくは制御目標圧力に到達後、APCバルブ231aを開けて、処理室201を排気する。その際、図6に示すように、3パターンの排気方法がある。(i)到達圧力(例えば、500Pa)として、500Paに圧力が到達した後、速やかに排気する場合、(ii)続けて10秒間、塩素系ガスを供給しながら排気し圧力を500Paに制御する場合(ガスフロー10s)、(iii)塩素系ガスの供給を止めてゆっくり排気(スロー排気、時間制御有)を行う場合の3パターンである。図7(a)は、処理室201内を500℃に加熱した場合の3パターンの結果である(◆(i)速やかに排気、●(ii)ガスフロー10s、■(iii)スロー排気)。速やかに廃棄した場合と比較して、続けて10秒間塩素系ガスを供給しながら排気した場合もしくはスロー排気の場合は、ガス反応効率が高いことがわかる。導入時の塩素系ガスの流量は一定なので、ガス反応効率とエッチングレートとは正相関関係にあると言える。さらに、スロー排気の排気時間は、6〜9秒間とすると特に効果的であることがわかる。また、スロー排気の方が、続けて10秒間塩素系ガスを供給しながら排気した場合よりガス反応効率が向上する理由は、塩素系ガスによる反応の遅延性によるものと考えられる。
【0077】
また、図7(f)に示すように、表面酸化ステップでは、Oトリートメント時間(O供給時間)によってエッチングレートが変化する。図7(f)より、図7(f)の条件において2分以下もしくは8分以上、Oガスを流すと、エッチングレートが下がることがわかる。
【0078】
なお、図5のSolution−3のように、高圧(第1の圧力)と低圧(第2の圧力)のサイクルエッチングを行うことにより、高圧時にエッチングレートを高くすることができ、低圧時に副生成物を揮発させることが可能となる。このように、2段階でエッチングを行い、それをサイクリックに繰り返すことにより、エッチング効率を向上させることが可能となる。
【0079】
(残留ガス除去ステップ)
所定時間経過後、バルブ334を閉じ、BClガスの供給を停止する。そして、前述のTEMAZガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留するBClガスを処理室201内から排除する。
【0080】
次に、残留塩素を低減するために後処理を行う。
【0081】
(後処理ステップ)
エッチング原理と生成物のZr塩化物蒸気圧曲線から、エッチング後に、処理室201内に塩素が残留している場合がある。塩素残留がある場合、次に行われる成膜工程に影響を与える恐れがある。そこで、処理室201内にHOを導入して、残留する塩素を除去する。バルブ344を開き、ガス供給管340内にHOを流す。HOは、MFC342により流量調整され、ノズル440のガス供給孔440aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してHOが供給されることとなる。このとき同時にバルブ544を開き、ガス供給管540内にNガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管540内を流れたNガスは、MFC542により流量調整され、HOと一緒に処理室201内に供給され、排気管231から排気される。なお、このとき、ノズル410,420,430内へのHOの侵入を防止するために、バルブ514,524,534を開き、ガス供給管510,520,530内にNガスを流す。Nガスは、ガス供給管310,320,330、ノズル410,420,430を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。HOの供給により、処理室201内に残留する塩素が除去される。
【0082】
図7(e)に、後処理(HO処理)を行わない場合(W/O After_HO)と、行った場合(With After_HO)の後に実施した成膜工程におけるZrO膜中の残留Clのスペクトルを示す。後処理を行わなかった場合と比較して、後処理を行った場合は、塩素表面汚染とみられるSiとZr界面の塩素濃度を顕著に低減できることがわかる。さらに、後処理を行った場合は、スペクトルの半値幅が狭くなり、成膜工程への影響が低減できることがわかる。
【0083】
(残留ガス除去ステップ)
所定時間経過後、バルブ344を閉じ、HOの供給を停止する。そして、前述のTEMAZガス供給ステップ後の残留ガス除去ステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留するHOを処理室201内から排除する。
【0084】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ガス供給管510,520,530,540のそれぞれからNガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。Nガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0085】
(ウエハ搬出)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、反応管203の下端が開口される。そして、ボート217が反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。
【0086】
このように、処理室201内をクリーニング(付着したZrO膜をエッチング)した後、成膜工程が行われる。成膜工程が所定回数行われた後、再度、メンテナンスとして、エッチング工程が行われる。
【0087】
また、上述の実施形態では、エッチングしようとする高誘電率酸化膜としてZrO膜を例示しているが、これに限らず、ZrOの結合エネルギーより低い、又はZr塩化物の蒸気圧より高い酸化物(混合酸化物を含む)であればよい。例えば、高誘電率酸化物としてZrOy、HfOy、AlxOy,HfSixOy,HfAlxOy,ZrSiOy、ZrAlOy, TixOy,TaxOy(x及びyは0より大きい整数又は小数である。)が用いられた場合にも同様に適用可能である。すなわち、ジルコニウム酸化膜、ハフニウム酸化膜、アルミニウム酸化膜、チタン酸化膜、タンタル酸化膜およびそれらの複合膜にも適用可能である。
【0088】
また、上述の実施形態では、有機系原料としてTEMAZを例示しているが、これに限らず、有機化合物であれば、その他の原料も適用可能である。例えば、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(Hf[N(CH)CHCH、TEMAH)等の有機系Hf原料、トリメチルアルミニウム((CHAl、TMA)等の有機系Al原料、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH、TDMAS)等の有機系Si原料、テトラキスジメチルアミノチタン(Ti[N(CH、TDMAT)等の有機系Ti原料、ペンタキスジメチルアミノタンタル(Ta(N(CH、PDMAT)等の有機系Ta原料等も適用可能である。
【0089】
また、上述の実施形態では、成膜工程で、Oガスを使用する例を示しているが、これに限らず、酸素含有ガスであれば、その他の原料も適用可能である。例えば、O、Oプラズマ、HO、H、NO等も適用可能である。
【0090】
また、上述の実施形態では、表面酸化ステップで使用する酸化ガスとして、Oを例示しているが、酸素含有ガスであれば、その他のガスも適用可能である。例えば、O、Oプラズマ、HO、H、NO等も適用可能である。
【0091】
また、上述の実施形態では、後処理ステップで使用する改質ガス、HOを例示しているが、エッチングガスに含まれるハロゲン元素と反応する元素を含むガスであれば、その他のガスも適用可能である。例えば、H、H、NH等も適用可能である。
【0092】
また、上述の実施形態では、表面酸化ステップで使用する酸化ガスとしてOを例示し、後処理ステップで使用する改質ガスとしてHOを例示しているが、これに限らず、酸素含有ガスであって、かつエッチングガスに含まれるハロゲン元素と反応する元素を含むガスであれば、両ステップで同じガスを用いてもよい。例えば、HO、H等を両ステップで用いることも可能である。
【0093】
これらの各種薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理、クリーニング処理等の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理、クリーニング処理等を開始する際、基板処理、クリーニング処理等の内容に応じて、複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等の中から、適正なプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理、クリーニング処理等の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を、電気通信回線や当該プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を記録した記録媒体(外部記憶装置283)を介して、基板処理装置が備える記憶装置280c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU280aが、記憶装置280c内に格納された複数のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等の中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0094】
また、本発明は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を変更することでも実現できる。プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を変更する場合は、本発明に係るプロセスレシピ、クリーニングレシピ等を電気通信回線や当該プロセスレシピ、クリーニングレシピ等を記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ、クリーニングレシピ等自体を本発明に係るプロセスレシピ、クリーニングレシピ等に変更したりすることも可能である。
【0095】
この出願は、2017年3月30日に出願された国際出願PCT/JP2017/013319を木曽として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。
【符号の説明】
【0096】
10 基板処理装置
280 コントローラ
200 ウエハ(基板)
201 処理室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7