【文献】
Biochemistry and Biophysics Reports,2015年11月19日,Vol.5,pp.160-167
【文献】
J. Biol. Chem.,1991年,Vol.266,pp.7919-7926
【文献】
Can. J. Biochem. Physiol.,1959年,Vol.37,pp.911-917
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の製造方法は、界面活性剤の実質的非存在下で、エンドグリコセラミダーゼを使用してスフィンゴ糖脂質からセラミドを製造する方法であって、セラミド存在下でエンドグリコセラミダーゼによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応を開始することを特徴とする。以下、本発明の製造方法について、詳述する。
【0016】
[使用材料]
スフィンゴ糖脂質
本発明の製造方法において、セラミドの製造原料となる基質として、スフィンゴ糖脂質を使用する。スフィンゴ糖脂質とは、スフィンゴイドに脂肪酸がアミド結合した構造のセラミドの第1級アルコール性ヒドロキシ基に糖が結合した糖脂質である。
【0017】
本発明で使用されるスフィンゴ糖脂質の由来については、特に制限されず、植物由来、動物由来、微生物由来のいずれであってもよいが、好ましくは植物由来が挙げられる。
【0018】
本発明で使用されるスフィンゴ糖脂質の由来植物としては、具体的には、アーモンド、アオサ、アオノリ、アカザ、アカシア、アカネ、アカブドウ、アカマツ(松ヤニ、琥珀、コーパルを含む。以下マツ類については同じ)、アガリクス、アキノノゲシ、アケビ、アサガオ、アザレア、アジサイ、アシタバ、アズキ、アスパラガス、アセロラ、アセンヤク、アニス、アボガド、アマチャ、アマチャヅル、アマリリス、アルテア、アルニカ、アロエ、アンジェリカ、アンズ、アンソッコウ、イグサ、イザヨイバラ、イチイ、イチジク、イチョウ、イランイラン、ウイキョウ、ウーロン茶、ウコン、ウスベニアオイ、ウツボグサ、ウド、ウメ、ウラジロガシ、温州ミカン、エイジツ、エシャロット、エゾウコギ、エニシダ、エノキタケ、エルダーフラワー、エンドウ、オーキッド、オオバコ、オオヒレアザミ、オオムギ、オケラ、オスマンサス、オトギリソウ、オドリコソウ、オニドコロ、オリーブ、オレガノ、オレンジ(オレンジピールを含む)、カーネーション、カカオ、カキ、カキドオシ、カッコン、カシワ、カタクリ、カボチャ、カミツレ、カムカム、カモミール、カラスウリ、カラマツ、カリン、ガルシニア、カルダモン、キイチゴ、キウイ、キキョウ、キャベツ(ケールを含む)、キャラウェイ、キュウリ、キンカン、ギンナン、グァバ、クコ、クズ、クチナシ、クミン、クランベリー、クルミ、グレープフルーツ、クローブ、クロマツ、クロマメ、クロレラ、ケツメイシ、ゲンノショウコ、コケモモ、コショウ、コスモス、ゴボウ、コムギ(小麦胚芽を含む)、ゴマ、コマツナ、コメ(米糠を含む)、コリアンダー、コンニャク(コンニャク芋)(こんにゃくトビ粉を含む)、コンブ、サーモンベリー、サイプレス、ザクロ、サツマ芋、サト芋、サトウキビ、サトウダイコン、サフラン、ザボン、サンザシ、サンショウ、シイタケ、シクラメン、シソ、シメジ、ジャガ芋、シャクヤク、ジャスミン、ジュズダマ、シュンギク、ショウガ、ショウブ、シラカシ、ジンチョウゲ、シンナモン、スイカ、スイトピー、スギナ、スターアニス、スターアップル、スダチ、ステビア、スモモ、セージ(サルビア)、ゼニアオイ、セロリ、センキュウ、センブリ、ソバ、ソラマメ、ダイコン、ダイズ(おからを含む)、ダイダイ、タイム、タケノコ、タマネギ、タラゴン、タロイモ、タンジン、タンポポ、チコリ、ツキミソウ、ツクシ、ツバキ、ツボクサ、ツメクサ、ツルクサ、ツルナ、ツワブキ、ディル、テンジクアオイ(ゼラニウム)、トウガ、トウガラシ、トウキ、トウチュウカソウ、トウモロコシ、ドクダミ、トコン、トチュウ、トネリコ、ナガイモ、ナズナ、ナツメグ、ナンテン、ニガウリ、ニガヨモギ、ニラ、ニンジン、ニンニク、ネギ、ノコギリソウ、ノコギリヤシ、ノビル、バーベナ、パーム、パイナップル、ハイビスカス、ハコベ、バジル、パセリ、ハダカムギ、ハッカ、ハトムギ、バナナ、バナバ、バニラ、パプリカ、ハマメリス、ビート、ピーマン、ヒガンバナ、ヒシ、ヒジキ、ピスタチオ、ヒソップ(ヤナギハッカ)、ヒナギク、ヒナゲシ、ヒノキ、ヒバ、ヒマシ、ヒマワリ、ビワ、ファレノプシス、フェネグリーク、フキノトウ、ブラックベリー、プラム、ブルーベリー(ビルベリーを含む)、プルーン、ヘチマ、ベニバナ、ベラドンナ、ベルガモット、ホウセンカ、ホウレンソウ、ホオズキ、ボダイジュ、ボタン、ホップ、ホホバ、マイタケ、マオウ、マカ、マカデミアンナッツ、マタタビ、マリーゴールド、マンゴー、ミツバ、ミモザ、ミョウガ、ミルラ、ムラサキ、メース、メリッサ、メリロート、メロン、メン(綿実油粕を含む)、モヤシ、ヤグルマソウ、ヤマ芋、ヤマユリ、ヤマヨモギ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユリ、ヨクイニン、ヨメナ(アスター)、ヨモギ、ライム、ライムギ、ライラック、ラズベリー、ラッカセイ、ラッキョウ、リンゴ(アップルファイバーを含む)、リンドウ、レイシ、レタス、レモン、レンゲソウ、レンコン、ローズヒップ、ローズマリー、ローリエ、ワケギ、ワサビ(セイヨウワサビを含む)等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはコンニャク、サツマ芋、ジャガ芋、サト芋、ヤマ芋、ナガ芋等の芋類由来、更に好ましくはコンニャクが挙げられる。
【0019】
本発明で使用されるスフィンゴ糖脂質において、スフィンゴイド部分の構造については、特に制限されないが、具体的には、4−スフィンゲニン(スフィンゴシン)、4−ヒドロキシスフィンガニン(フィトスフィンゴシン)、4−ヒドロキシ−トランス−8−スフィンゲニン、4−ヒドロキシ−シス−8−スフィンゲニン、スフィンガニン、トランス−8−スフィンゲニン、シス−8−スフィンゲニン、トランス−4−スフィンゲニン、トランス−4,トランス−8−スフィンガジエニン、トランス−4,シス−8−スフィンガジエニン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、コンニャク由来のスフィンゴ糖脂質を構成しているスフィンゴイド、具体的にはトランス−4,シス−8−スフィンガジエニン、4−ヒドロキシ−シス−8−スフィンゲニンが挙げられる。
【0020】
本発明で使用されるスフィンゴ糖脂質において、スフィンゴイド部分に結合している脂肪酸の炭素数については、特に制限されないが、例えば、2〜30、好ましくは14〜26、更に好ましくは18〜24が挙げられる。また、当該脂肪酸は、飽和脂肪酸、炭素−炭素二重結合及び/又は炭素−炭素三重結合を含む不飽和脂肪酸、並びにα−ヒドロキシ脂肪酸のいずれであってもよい。
【0021】
本発明で使用されるスフィンゴ糖脂質において、スフィンゴイド部分に結合している脂肪酸として、具体的には、ヘキサデカン酸(C16:0)、オクタデカン酸(C18:0)、イコサン酸(C20:0)、ヘネイコサン酸(C21:0)、ドコサン酸(C22:0)、トリコサン酸(C23:0)、テトラドコサン酸(C24:0)、ペンタコサン酸(C25:0)、ヘキサドコサン酸(C26:0)、ヘプタコサン酸(C27:0)、オクタドコサン酸(28:0)、シス−9−オクタデセン酸(C18:1)等が挙げられる。なお、前記脂肪酸の括弧内に示す表記「CX:Y」において、CXは1分子当たりの炭素数を示し、Yは1分子当たりの不飽和結合の数を示し、例えば「C16:0」とは炭素数16且つ不飽和結合数が0の脂肪酸を表す。これらの脂肪酸の中でも、好ましくは、コンニャク由来のスフィンゴ糖脂質を構成している脂肪酸、具体的にはオクタデカン酸、ドコサン酸、イコサン酸が挙げられる。
【0022】
本発明で使用されるスフィンゴ糖脂質に結合している糖部分の構造については、特に制限されず、単糖又は糖鎖であればよい。
【0023】
本発明で使用されるスフィンゴ糖脂質において糖部分が単糖である場合、その構成糖の種類については、特に制限されないが、具体的には、グルコースが挙げられる。これらの単糖の中でも、好ましくはグルコースが挙げられる。
【0024】
本発明で使用されるスフィンゴ糖脂質において糖部分が糖鎖である場合、その構成糖鎖の種類については、特に制限されず、例えば、当該糖鎖のセラミド側末端がグルコース残基で構成されている糖鎖であればよく、具体的には、ラクトース、糖鎖−セラミド間がガラクトシド結合によって結合しているガラ系、Galα1-4Gal単位を有するグロボ系、Galα1-3Gal単位を有するイソグロボ系、Galβ1-3GlcNAc単位を有するラクト系、Galβ1-4GlcNAc単位を有するネオラクト系、シアル酸残基又はGalNAcβ1-4Gal単位を有するガングリオ系等が挙げられる。
【0025】
本発明で使用されるスフィンゴ糖脂質について糖部分の構造に応じて分類すると、具体的には、Glcβ1-1Cer(グルコシルセラミド)等のセレブロシド;Galβ1-4Glcβ1-1Cer(ラクトシルセラミド);Galα-1-4Galβ1-4Glcβ1-1Cer、GalNAcβ1-3Galα-1-4Galβ1-4Glcβ1-1Cer、GalNAcα-1-3GalNAcβ1-3Galα-1-4Galβ1-4Glcβ1-1Cer等のグロボ系スフィンゴ糖脂質;GalNAcβ1-3Galα-1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer等のイソグロボ系スフィンゴ糖脂質;GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer、Galβ1-3GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer等のラクト系スフィンゴ糖脂質;Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer等のネオラクト系スフィンゴ糖脂質;NeuAcα-2-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer、GalNAcβ1-4(NeuAcα-2-3)Galβ1-4Glcβ1-1Cer、Galβ1-3GalNAcβ1-4(NeuAcα2-3)Galβ1-4Glcβ1-1Cer、NeuAcα2-3Galβ1-3GalNAcβ1-4(NeuAcα2-3)Galβ1-4Glcβ1-1Cer、GalNAcβ1-4(NeuAcα-2-8NeuAcα-2-3)Galβ1-4Glcβ1-1Cer、NeuAcα-2-8NeuAcα-2-3Galβ1-4Glcβ1-1Cer、Galβ1-3GalNAcβ1-4Galβ1-4Glcβ1-1Cer、GalNAcβ1-4Galβ1-4Glcβ1-1Cer等のガングリオ系スフィンゴ糖脂質等が挙げられる。なお、本明細書において、「Cer」はセラミド、「Glc」はグルコース、「Gal」はガラクトース、「GlcNAc」はN-アセチルグルコサミン、「GalNAc」はN-アセチルガラクトサミン、「NeuAc」はシアルサンの略記である。
【0026】
これらの中でも、より一層効率的にセラミドを製造するという観点から、好ましくはグルコシルセラミド、ラクトシルセラミド、更に好ましくはグルコシルセラミドが挙げられる。グルコシルセラミドは、コンニャク由来のスフィンゴ糖脂質に多く含まれているセレブロシドである。
【0027】
スフィンゴ糖脂質は、前述する由来植物から公知の抽出方法によって得ることができる。また、スフィンゴ糖脂質は、商業的に入手可能であり、市販品を使用してもよい。
【0028】
本発明の製造方法において、スフィンゴ糖脂質は、1種の構造又は由来のものを単独で使用してもよく、2種以上の構造又は由来のものを組み合わせて使用してもよい。
【0029】
エンドグリコセラミダーゼ
本発明の製造方法では、スフィンゴ糖脂質からセラミドを遊離させるために、EGCaseを使用する。EGCaseは、スフィンゴ糖脂質の糖−セラミド間の結合を加水分解する酵素である。
【0030】
EGCaseは、等電点及び分子量が異なる3つの分子種(EGCaseI、EGCaseII、及びEGCaseIII)が知られており、分子種に応じて基質特異性が異なることが知られている。本発明の製造方法では、使用するEGCaseの分子種は、基質となるスフィンゴ糖脂質の構造に応じて適宜設定すればよい。例えば、スフィンゴ糖脂質として、セレブロシド、特にコンニャク由来のスフィンゴ糖脂質を使用する場合であれば、EGCaseIが好適に使用される。
【0031】
EGCaseは、ロドコッカス属微生物、コリネバクテリウム属微生物、ヒル、ミミズ、シジミ、クラゲ、ヒドラ等によって産生されていることが知られており、そのアミノ酸配列及びその遺伝子配列についても明らかにされている。本発明の製造方法では、これらの生物由来のEGCaseを使用してもよく、またこれらの生物由来のEGCaseを改変した変異体を使用してもよい。
【0032】
本発明の製造方法において、EGCaseは、EGCase産生能を有する生物を培養又は飼育して得られたものであってもよく、また遺伝子工学的手法によって得られたものであってもよい。また、EGCaseは、商業的に入手可能であり、市販品を使用してもよい。
【0033】
本発明の製造方法において、EGCaseは、1種のものを単独で使用してもよく、2種以上のものを組み合わせて使用してもよい。
【0034】
セラミド
本発明の製造方法では、EGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応を開始する時点で、セラミドを共存させる。このようにセラミドをEGCaseによる反応開始時点で予め存在させることによって、界面活性剤の実質的非存在下で、スフィンゴ糖脂質を効率的に加水分解して高収率でセラミドを遊離させることが可能になる。
【0035】
本発明の製造方法において、反応開始時に系中に予め存在させるセラミドの種類については、特に制限されず、その由来、スフィンゴイドの構造、結合している脂肪酸の構造等については、前記スフィンゴ糖脂質の欄で例示したものと同様である。
【0036】
本発明の製造方法において、反応開始時に系中に予め存在させるセラミドは、1種の構造又は由来のものを単独で使用してもよく、2種以上の構造又は由来のものを組み合わせて使用してもよい。
【0037】
また、本発明の製造方法において、反応開始時に系中に予め存在させるセラミドの由来は、基質として使用されるスフィンゴ糖脂質と異なっていてもよいが、当該スフィンゴ糖脂質と同一であることが好ましい。即ち、例えば、基質としてコンニャク由来のスフィンゴ糖脂質を使用する場合、反応開始時に系中に予め存在させるセラミドはコンニャク由来であることが好ましい。このように、応開始時に系中に予め存在させるセラミドと基質として使用されるスフィンゴ糖脂質の由来が同一であれば、反応後に系中に遊離しているセラミドが全て同一生物種由来で構成されるので、反応後に回収されるセラミドの構造を均質にすることが可能になる。
【0038】
[反応条件]
界面活性剤の実質的非存在下でのEGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応
本発明の製造方法では、界面活性剤の実質的非存在下で、スフィンゴ糖脂質とスフィンゴ糖脂質を共存させて、EGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応を開始する。
【0039】
本発明の製造方法において、「界面活性剤の実質的非存在下」とは、セラミド非存在下でのEGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応において、反応効率を向上させるために必要とされる界面活性剤の濃度未満であること(即ち、界面活性剤の濃度が、反応効率に影響しない範囲であること)を意味し、具体的には、本発明の製造方法における反応液中での界面活性剤の濃度の許容範囲として、通常0.02重量%以下、好ましくは0重量%が挙げられる。
【0040】
本発明の製造方法では、反応溶媒に、スフィンゴ糖脂質、セラミド、及びEGCaseを添加し、界面活性剤の実質的非存在下でEGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応を開始させ、スフィンゴ糖脂質からセラミドを遊離させる。
【0041】
前記反応溶媒の組成については、EGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、水;酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等の緩衝液;生理食塩水等が挙げられる。
【0042】
反応溶媒におけるスフィンゴ糖脂質の濃度(反応開始時の濃度)については、特に制限されないが、例えば、1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜25重量%が挙げられる。
【0043】
反応溶媒におけるセラミドの濃度(反応開始時の濃度)については、特に制限されないが、例えば、1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜25重量%が挙げられる。
【0044】
また、反応開始時に、反応溶媒中に共存させるスフィンゴ糖脂質とセラミドの比率については、特に制限されないが、より一層効率的にEGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応を進行させるという観点から、スフィンゴ糖脂質1モル当たり、セラミドが通常0.5〜2.0モル、好ましくは0.6〜1.5モル、更に好ましくは0.8〜1.2モルとなる比率が挙げられる。
【0045】
反応溶媒におけるEGCaseの濃度(反応開始時の濃度)については、使用するEGCaseの種類、反応時間等を勘案して適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜1.0mg/mL、好ましくは0.2〜0.8mg/mL、更に好ましくは0.4〜0.6mg/mLが挙げられる。
【0046】
本発明の製造方法において、EGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応の反応時間については、反応溶媒に添加されているスフィンゴ糖脂質及びEGCaseの濃度、反応温度等を勘案して適宜設定すればよいが、例えば12時間以上、好ましくは12〜20時間、更に好ましくは14〜18時間が挙げられる。
【0047】
本発明の製造方法において、EGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応の反応温度については、使用するEGCaseの作用温度域内で適宜設定すればよいが、通常20〜40℃、好ましくは25〜39℃、更に好ましくは35〜38℃が挙げられる。
【0048】
好適な一態様
また、本発明の製造方法の好適な一態様として、下記第1〜3工程を含む方法が挙げられる。
第1工程:界面活性剤の実質的非存在下で、スフィンゴ糖脂質にエンドグリコセラミダーゼを作用させ、セラミドを遊離させる。
第2工程:前記第1工程で遊離したセラミド及び残存しているスフィンゴ糖脂質を回収する。
第3工程:前記第2工程で得られたセラミド及びスフィンゴ糖脂質の混合物に対して、界面活性剤の実質的非存在下で、エンドグリコセラミダーゼを作用させ、当該スフィンゴ糖脂質からセラミドを遊離させる。
【0049】
前記第1及び2工程は、本発明の製造方法で使用される原料(スフィンゴ糖脂質及びセラミド)の準備段階に該当し、前記第3工程は、前記「界面活性剤の実質的非存在下でのEGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応」に該当する。
【0050】
前記第1工程は、反応溶媒に、スフィンゴ糖脂質及びEGCaseを添加し、界面活性剤の実質的非存在下でEGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応を行い、スフィンゴ糖脂質からセラミドを遊離させる。前記第1工程では、セラミド非存在下でEGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応を行うため、スフィンゴ糖脂質の加水分解効率が低く、反応後には、スフィンゴ糖脂質から遊離したセラミドと加水分解反応を受けずに残存したスフィンゴ糖脂質が反応溶媒に含まれた状態になる。
【0051】
前記第1工程において、達成するスフィンゴ糖脂質の加水分解率については、特に制限されないが、反応溶媒に添加したスフィンゴ糖脂質の総量に対して、10〜60モル%、好ましくは30〜60モル%、更に、好ましくは40〜60モル%のスフィンゴ糖脂質からセラミドを遊離させるように条件設定することが望ましい。第1工程において、このような加水分解率でスフィンゴ糖脂質からセラミドを遊離させることにより、後述する第3工程における加水分解反応を効率的に進行させることが可能になる。
【0052】
前記第1工程で使用される反応溶媒の組成については、EGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応が可能であることを限度として特に制限されず、例えば、水;酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等の緩衝液;生理食塩水等が挙げられる。
【0053】
前記第1工程において、反応溶媒に添加されるスフィンゴ糖脂質の濃度(反応開始時の濃度)については、特に制限されないが、例えば、1〜60重量%、好ましくは5〜60重量%、更に好ましくは10〜60重量%が挙げられる。
【0054】
前記第1工程において、反応溶媒に添加されるEGCaseの濃度(反応開始時の濃度)については、使用するEGCaseの種類、反応時間、達成すべきスフィンゴ糖脂質の加水分解率等を勘案して適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜1.0mg/mL、好ましくは0.2〜0.8mg/mL、更に好ましくは0.4〜0.6mg/mLが挙げられる。
【0055】
前記第1工程において、EGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応の反応時間については、反応溶媒に添加されているスフィンゴ糖脂質、反応温度、達成すべきスフィンゴ糖脂質の加水分解率等を勘案して適宜設定すればよいが、例えば12時間以上、好ましくは12〜20時間、更に好ましくは14〜18時間が挙げられる。
【0056】
前記第1工程において、EGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応の反応温度については、使用するEGCaseの作用温度域内で適宜設定すればよいが、通常20〜40℃、好ましくは25〜39℃、更に好ましくは35〜38℃が挙げられる。
【0057】
前記第2工程は、前記第1工程後に、反応溶媒中に遊離したセラミド及び残存しているスフィンゴ糖脂質を回収する。
【0058】
セラミド及びスフィンゴ糖脂質の回収は、公知の脂質回収方法に従って行うことができる。具体的には、セラミド及びスフィンゴ糖脂質の回収方法として、ブライ−ダイヤー(Bligh-Dyer)法(E.G. Bligh,W.J.Dye. A rapid method of total lipid extraction and purification, Can. J.Biochem. Physiol. 3, 1959, 911-917.)、フォルク(Folch)法(Folch J., M.Lees, G. H. Sloanestanley, J. Biol. Chem., 226, 1957, 497-509.)等の溶媒抽出法が挙げられる。これらの溶媒抽出法の中でも、ブライ−ダイヤー法が好適である。
【0059】
第3工程では、前記第2工程において回収されたセラミド及びスフィンゴ糖脂質の混合物に対して、界面活性剤の実質的非存在下で、EGCaseを作用させ、当該スフィンゴ糖脂質からセラミドを遊離させる。
【0060】
前記第3工程は、反応溶媒に、前記第2工程において回収されたセラミド及びスフィンゴ糖脂質の混合物、並びにEGCaseを添加して、界面活性剤の実質的非存在下でEGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応を開始させ、スフィンゴ糖脂質からセラミドを遊離させる。
【0061】
前記第3工程は、前記「界面活性剤の実質的非存在下でのEGCaseによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応」を行う工程であり、使用する反応溶媒、反応溶媒中のスフィンゴ糖脂質、セラミド及びEGCaseの濃度、反応温度、反応時間等については、前述する通りである。
【0062】
また、前記第3工程では、前記第2工程において回収されたセラミド及びスフィンゴ糖脂質の混合物を反応溶媒に添加することにより、基質となるスフィンゴ糖脂質、及びスフィンゴ糖脂質の効率的な加水分解反応を進行させるために必要なセラミドが供給されるため、反応溶媒に、前記第2工程において回収された混合物以外にセラミド及び/又はスフィンゴ糖脂質を別途添加する必要はないが、必要に応じて前記第2工程において回収された混合物以外にセラミド及び/又はスフィンゴ糖脂質を別途添加してもよい。
【0063】
[反応後のセラミドの回収]
斯くして、界面活性剤の実質的非存在下でEGCaseによってスフィンゴ糖脂質からセラミドを遊離させた後、ブライ−ダイヤー法、フォルク法等の公知の脂質抽出法によって反応溶媒からセラミドを回収することにより、セラミドが得られる。
【0064】
斯くして得られたセラミドは、化粧料、食品、医薬品の原料として使用することができる。
【実施例】
【0065】
以下、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
【0066】
実験材料
・グルコシドセラミド
コンニャク由来グルコシルセラミド(NS170302 Glucosylceramide, from Konjac, 純度(99% (TLC) (株)長良サイエンス)、大豆由来グルコシルセラミド(NS170602 Glucosylceramide, from Soybean, 純度(99% (TLC) (株)長良サイエンス)、タモギ茸由来グルコシルセラミド(NS170502 Glucosylceramide, from Tamogitake, 純度(99% (TLC) (株)長良サイエンス)、トウモロコシ由来グルコシルセラミド(NS170202 Glucosylceramide, from Maize, 純度(99% (TLC) (株)長良サイエンス)を購入して以下の実験に使用した。
【0067】
・EGCaseI
EGCaseIは、以下に示す遺伝子工学的手法によって得られたものを使用した。先ず、pTipLCH(特許第3944577号、及び特許第3793812号)のマルチクローニングサイトNdeI及びHindIII部位にRhodococcus equi M-750株由来EGCaseIの遺伝子を挿入し構築したベクターpTipEGCI (Journal of Lipid Reseach Vol.53 p2242-2251, 2012)をRhodococcus erthropolis L-88株(特許第3876310号)へ形質転換した。形質転換は、 特許第3876310号等に記載の方法に従いエレクトロポレーション法(電気穿孔法)で実施し、条件は次のようにした。400μLのRhodococcus erthropolis L-88のコンピテントセルとpTip-EGCIの混合液をエレクトロポレーションキュベット(Bio-Rad社:0.2 cmギャップキュベット)に移し、同社の遺伝子導入装置ジーンパルサーIIを用いて、電場強度12.5kV/cmで、パルスコントローラーの設定はキャパシタンス25μF、外部抵抗400Ωにてそれぞれ電気パルスを与えた。電気パルス処理した菌体とDNAの混合液を1mlのLB培地に混合し、30℃にて4時間培養した後集菌し、17.5μg/mlクロラムフェニコール含有LB寒天培地に塗布し、30℃で培養し形質転換体を得た。
【0068】
得られた形質転換体を、17.5μg/mlのクロラムフェニコールを含む10mlのLB培地に植菌し28℃で2日間培養した後、培養した菌液5mlを200mlにスケールアップしさらに28℃で2日間培養しシードとした。17.5μg/mlのクロラムフェニコールを含む1LのLB培地に上記のシードを添加し、終濃度0.5μg/mlになるようにチオストレプトンを添加し28℃で1日間培養しEGCaseIの発現を誘導した。
【0069】
培養液を遠心分離して集菌し、細胞破砕用緩衝液 (50mM sodium phosphate buffer, 10% glycerol, 0.3 mM NaCl(pH8.0))で細胞を懸濁、リゾチーム(終濃度2 mg/ml)、ベンゾナーゼ(750 units)を加えて30分氷上静置した後超音波破砕して細胞を破砕した。破砕液を遠心分離し得られた上清を粗タンパク質液とし、タンパク精製に用いた。
前記で得られた粗タンパク質液を上記細胞破砕用緩衝液で平衡化したHis-Select HF Nickel Affinity Gel(Sigma社製)に吸着させた後、洗浄緩衝液 (50mM sodiumphosphate buffer, 10% glycerol, 0.3mM NaCl(pH6.0))で担体を洗浄した。タンパク質は、洗浄緩衝液に0〜400mMのイミダゾールの濃度勾配を形成し溶出した。EGCI溶出画分は20 mM sodiumacetate buffer (pH 5.5)にて透析後、不溶化物を遠心分離で除去し、遠心濃縮機(Amicon Ultra 30K, Millipore)にてタンパク質濃度が6.6 mg/mlになるように濃縮し、濃縮EGCaseI溶液とした。濃縮EGCaseI溶液は、酵素活性を確認後、濃縮液を50μLずつ0.2 mLマイクロチューブに分注して使用時まで-80℃で保管した。なお、得られた濃縮EGCaseI溶液は、-80℃で1年間貯蔵しても、酵素活性の失活は認められないことを確認できている。
【0070】
また、以下に示す実験において、EGCaseI溶液は、前記濃縮EGCaseI溶液を適宜稀釈したものを使用した。
【0071】
セラミド及びグルコシルセラミドの同定及び定量
セラミド及びグルコシルセラミドの同定及び定量は、以下の方法に従って行った。
サンプルを順相シリカゲルTLCプレート(5 cm)のプレートボトムから1.5 cmの薄層上の5 mmの幅に線状にスポットして、クロロホルム、メタノール及び酢酸の混合溶媒で飽和した展開層中でプレートトップまで展開後、十分に乾燥させて、10重量%硫酸銅及び8重量%リン酸を含む水溶液からなる銅リン試薬でスプレーした。なお、下記参考試験例1では前記混合溶媒として、クロロホルム:メタノール:酢酸の容量比が76:3.6:0.4のものを使用し、下記参考試験例2及び試験例1では、クロロホルム:メタノール:酢酸の容量比が99:2:0.4のものを使用した。次いで、銅リン試薬をスプレーしたTLCプレートを180℃に熱したホットプレート上で加熱した。TLCプレート上で分離したセラミド及びグルコシルセラミド等の脂質成分は特異的な紺色の発色を呈することで同定された。
【0072】
また、セラミドとグルコシルセラミドの量を定量するために、発色させたプレートからイメージスキャナーで取り込んだデジタル画像(TIF)を画像解析ソフトウエアー(JustTLC, SWEDAY, Sodara, Sanby, Sweden)で解析し、同一レーン上のセラミドとグルコシルセラミドのバンドをそれぞれの呈色度合に応じて数値化した。数値化したバンドの総和からセラミドの収率を下記式に従って算出した。また、精製した未知量のセラミドも同様の方法でTLC上に一定量をスポットした後に展開・発色後にバンドの呈色を数値化した。その際に、異なる既知量のグルコシルセラミドを別の3レーンにスポットさせておくことで、未知量のセラミドの呈色を3レーンのグルコシルセラミドの呈色の検量線から換算してセラミド含量を算出した。
【数1】
【0073】
参考試験例1
植物由来の精製グルコシルセラミド(大豆由来(S) 100μg、コンニャク由来(K) 100μg、トウモロコシ由来(C) 100μg、タモギダケ由来(T) 50μg)を基質として、これに、EGCaseI溶液50μL(6.6 mg/mL)、TritonX-100(終濃度0.02重量%)、及び0.1M酢酸ナトリウム水溶液(pH5.0) 440μLを加え、37℃で16時間インキュベーションした。その後、Bligh-Dyer抽出法によって脂質画分を回収し、得られた脂質画分を濃縮乾固して、セラミドとグルコシルセラミドの量の定量を行った。
【0074】
得られた結果を表1及び
図1に示す。TritonX-100非存在下で、前記と同条件で反応を行った場合、セラミドの収率は45〜60%であったが(結果は省略)、0.02重量%のTritonX-100存在下では、セラミドの収率は向上しており、コンニャク由来のグルコシルセラミドを基質として使用した場合には、収率が82.5%にまで増量していた。
【0075】
【表1】
【0076】
参考試験例2
可溶化剤がEGCaseIによるグルコシルセラミドの加水分解効率に及ぼす影響を明らかにするために、以下の試験を行った。コンニャク由来の精製グルコシルセラミド100μgを基質として、これに、EGCaseI溶液50μL(6.6 mg/mL)、可溶化剤、及び0.1M酢酸ナトリウム水溶液(pH5.0) 440μLを加え、37℃で16時間インキュベーションした。なお、可溶化剤としては、デオキシコール酸ナトリウム(終濃度0.1重量%)、ジメチルスルフォキシド(終濃度重量%)、及びTriton X-100(終濃度0.02重量%又は0.2重量%)を使用した。また、比較のために、可溶化剤を添加することなく、前記と同条件でインキュベーションを行った。その後、Bligh-Dyer抽出法によって脂質画分を回収し、得られた脂質画分を濃縮乾固して、セラミドとグルコシルセラミドの量の定量を行った。
【0077】
得られた結果を表2に示し、可溶化剤としてTriton X-100(終濃度0.02重量%)を添加した場合の結果を
図2に示す。可溶化剤非存在下では、セラミドの収率は57.1%であったが、Triton X-100の存在下ではセラミドの収率が向上しており、終濃度0.02重量%のTriton X-100存在下ではセラミドの収率は略100%にまで向上していた。また、デオキコール酸ナトリウム又はジメチルスルフォキシドの存在下では、セラミドの収率の大幅な向上は認められなかった。
【0078】
【表2】
【0079】
試験例1
コンニャク由来のグルコシドセラミドのクロロホルム溶液100μL (135 nmol, 100μg)を入れた10本のねじ付丸底ガラス試験管(16×100 m/m)を用意し、遠心式エバポレーター(EYELA, CVE-100)中で、40℃で数分間遠心濃縮させて乾固させた。その後、450μLの0.1 M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)を各々の試験管に加え、基質液が目視で均一に懸濁されるまでボルックスミキサーで撹拌した後に小型超音波洗浄機(Elma Ultrasonic Cleaner, 460/H)で5秒間処理した。次いで、各々の試験管に、EGCaseI溶液50μL(2.6 mg/mL、4.0 mg/mL、5.3 mg/mL、又は6.6 mg/mL)を加えてボルテックスミキサーで撹拌した後に、37℃で16時間振とうして酵素反応させた(以上、第1工程)。
【0080】
その後、各々の試験管に1.3 mLの水、2 mLのクロロホルム、及び2 mLのメタノールを加えてボルテックスミキサーで撹拌した後に、2,500 rpmで5分間の遠心を行ない2層に分離させた(Bligh-Dyerの抽出法)。下層の有機層を分け取り、上層には2 mLのクロロホルムを加えてボルテックスミキサーで撹拌した後に、2,500 rpmで5分間の遠心を行なった。更に2 mLのクロロホルムを加えた撹拌と遠心を2回繰り返して下層を分け取り集めた10本の試験管からの下層を全て合わせてロータリーエバポレーターで濃縮乾固させた。濃縮乾固物を5 mLのクロロホルムに溶かして、0.5 mLずつを10本の試験管に分注して、遠心式エバポレーターで、脂質画分を遠心濃縮乾固させた(以上、第2工程)。
【0081】
次いで、450μLの0.1 M 酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.0)を各々の試験管に加え、上記と同様な操作によりEGCaseI溶液50μL(2.6 mg/mL、4.0 mg/mL、5.3 mg/mL、又は6.6 mg/mL)を加えて、37℃で16時間振とうして酵素反応させた(以上、第3工程)。
【0082】
前記第2工程後の脂質画分、及び第3工程後にBligh-Dyer抽出法によって回収して濃固した脂質画分について、セラミドとグルコシルセラミドの量の定量を行い、セラミドの収率を算出した。
【0083】
得られた結果を表3及び
図3に示す。前記第2工程後に得られた脂質画分(即ち、界面活性剤非存在下でグルコシドセラミドにEGCaseIを1回のみ作用させた場合)では、使用するEGCaseIを増やしても、セラミドの収率は55%程度以下に止まっていた。これに対して、前記第3工程後に得られた脂質画分では、略100%の収率でセラミドが得られていた。
【0084】
以上の結果から、界面活性剤の実質的非存在下で、エンドグリコセラミダーゼを使用してスフィンゴ糖脂質からセラミドを製造する場合には、セラミド存在下でエンドグリコセラミダーゼによるスフィンゴ糖脂質の加水分解反応を開始することによって、セラミドの収率が格段に向上することが可能になることが明らかとなった。特に、界面活性剤の実質的非存在下、スフィンゴ糖脂質にエンドグリコセラミダーゼを作用させる工程と、当該工程によって得られたスフィンゴ糖脂質とセラミドに対して再度界面活性剤の実質的非存在下でエンドグリコセラミダーゼを作用させる工程を行うことによって、セラミドの収率が飛躍的に向上することも明らかとなった。
【0085】
【表3】