【文献】
”オレのパンツ−弥一郎チンピラ日記”、[online]、2015年5月22日、[2020年3月12日検索]、インターネット<URL:http://yaichiro.blog.fc2.com/blog−entry−441.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記帯状体は、少なくとも前記腹部対応領域を含む領域に延在する芯材と、前記帯状体の前記長手方向における一方の端部から他方の端部に亘って延在し且つ前記股下部材が着脱自在に固定される固定面を有する外側表面材と、を備え、
前記芯材及び前記外側表面材の少なくとも一方が、少なくとも前記腹部対応領域において、前記幅方向における曲げ剛性が前記長手方向における曲げ剛性よりも高くなるように形成されている、請求項1に記載の帯状体。
前記帯状体は、装着時に動物の胴体と対向する胴体対向面と、該胴体対向面とは反対側の胴体非対向面と、を有するとともに、前記長手方向における一方の端部領域の前記胴体対向面において、前記幅方向に長く延在し且つ前記胴体非対向面と係合可能な係合部材を備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の帯状体。
前記帯状体は、装着時に動物の胴体と対向する胴体対向面と、該胴体対向面とは反対側の胴体非対向面と、を有するとともに、前記剛性補強部材が、前記胴体対向面及び前記胴体非対向面の少なくとも一方の面に接合されており、
前記剛性補強部材と前記胴体対向面及び前記胴体非対向面の少なくとも一方の面との接合部分は、他の部分よりも相対的に厚みが薄く且つ高密度である、請求項6又は7に記載の帯状体。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の帯状体の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開した状態で水平面上に置いた対象物(例えば、帯状体、芯材、股下部材等)を、垂直方向の上方側から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。
【0027】
本明細書において用いられる各種方向等については、特に断りのない限り、以下のとおりである。
本明細書において、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物(例えば、帯状体、芯材、股下部材等)の長さの長い方向」を指し、「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向(短手方向)」を指し、「厚さ方向」は、「展開した状態で水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指し、これらの長手方向、幅方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。
さらに、本明細書では、「縦長の対象物(例えば、帯状体等)の幅方向において、該対象物の幅方向の中央に位置し且つ長手方向に延びる幅方向の中央軸線C
Lに対して、相対的に近位側」を「幅方向の内方側」といい、「縦長の対象物の幅方向において、前記幅方向の中央軸線C
Lに対して相対的に遠位側」を「幅方向の外方側」という。同様に、「縦長の対象物の長手方向において、該対象物の長手方向の中央に位置し且つ幅方向に延びる長手方向の中央軸線C
Wに対して、相対的に近位側」を「長手方向の内方側」といい、「縦長の対象物の長手方向において、前記長手方向の中央軸線C
Wに対して、相対的に遠位側」を「長手方向の外方側」という。
また、本明細書では、「帯状体の装着対象である動物の胴体が延びる方向」を「動物の前後方向」といい、「動物の前後方向において、動物の頭部に対して相対的に近位側」を「動物の前方側」といい、「動物の前後方向おいて、動物の頭部に対して相対的に遠位側(すなわち、動物の臀部に対して相対的に近位側)」を「動物の後方側」という。
そして、本明細書では、特に断りのない限り、「帯状体及び股下部材の厚さ方向において、帯状体及び股下部材を動物の胴体に装着したときに、動物の胴体に対して相対的に近位側となる一方側」を「胴体対向面側」といい、「帯状体及び股下部材の厚さ方向において、帯状体及び股下部材を動物の胴体に装着したときに、動物の胴体に対して相対的に遠位側となる他方側」を「胴体非対向面側」といい、さらに、帯状体及び股下部材並びにこれらを構成する各種部材(例えば、芯材、内側表面材、外側表面材、表面シート、吸収体、裏面シート等)の「胴体対向面側の表面」及び「胴体非対向面側の表面」を、それぞれ「胴体対向面」及び「胴体非対向面」という。なお、「胴体対向面」と「胴体非対向面」は、互いに反対側の面である。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る帯状体1の斜視図であり、
図2は、帯状体1を、展開した状態で胴体対向面側から厚さ方向Tに見た平面図であり、
図3は、帯状体1を、展開した状態で胴体非対向面側から厚さ方向Tに見た平面図である。また、
図4は、帯状体1における、
図2の幅方向Wの中央軸線C
Lに沿った長手方向断面の端面図であり、
図7は、帯状体1及び股下部材9を犬に装着した状態を示す模式図である。
本発明の一実施形態に係る帯状体1は、
図7に示すように、犬などの動物の腹部及び背部を含む胴周りに沿って着脱自在に装着されるとともに、動物の股下部に配置される(より具体的には、動物の股下部を中心にして動物の腹部から背部に至る部分に配置される)股下部材を着脱自在に固定するための帯状の部材である。帯状体1は、
図1〜
図4に示すように、動物の胴周り方向に対応する長手方向Lと、動物の前後方向に対応する幅方向Wと、厚さ方向Tとを有するとともに、平面視にて、長手方向Lの両端部(
図2及び
図3における、長手方向Lの一方の端部E
L1及び他方の端部E
L2)の各々が長手方向Lの外方側に向かって円弧状に突出した縦長の外形形状を有しており、動物の胴周りに沿って巻き付けられるように(すなわち、帯状体1の長手方向長さが動物の胴周り長さよりも大きくなるように)構成されている。
なお、本発明において、帯状体の外形形状及び外形寸法は、本実施形態の態様に限定されず、装着対象となる動物の胴周り長さよりも大きい長手方向長さを有する縦長の外形形状であれば、動物の種類や体型、サイズ等に応じた任意の縦長の外形形状(例えば、長方形、四隅の各々が円弧状の長方形、楕円形、瓢箪形等)及び外形寸法を採用することができる。
【0029】
本実施形態に係る帯状体1は、
図1〜
図4に示すように、装着時に動物の胴体と対向する胴体対向面F
1と、該胴体対向面F
1とは反対側の面であって、上述の股下部材9が着脱自在に固定される固定面を有する胴体非対向面F
2と、を有するとともに、厚さ方向Tにおいて、帯状体1の胴体対向面側に位置し前記胴体対向面F
1を形成する内側表面材2と、帯状体1の胴体非対向面側に位置し前記胴体非対向面F
2を形成する外側表面材3と、これらの各表面材の間に位置し帯状体1に所定の剛性を付与する芯材4と、を基本構成として備えている。なお、本実施形態において、内側表面材2、外側表面材3及び芯材4は、それぞれ平面視にて、帯状体1の長手方向Lにおける一方の端部E
L1から他方の端部E
L2に亘って延在しているとともに、帯状体1の幅方向Wにおける一方の端部E
W1から他方の端部E
W2に亘って延在している。
さらに、帯状体1は、
図2〜
図4に示すように、帯状体1の長手方向Lにおける一方の端部領域の胴体対向面F
1に配置され且つ帯状体1の胴体非対向面F
2の固定面と係合可能な胴体対向面側係合部材5と、帯状体1の胴体対向面F
1において前記胴体対向面側係合部材5と帯状体1の長手方向Lの内方側に隣接するように配置された胴体対向面側ループ部材6と、帯状体1の長手方向Lにおける他方の端部領域の胴体非対向面F
2に配置され且つ前記胴体対向面側ループ部材6と係合可能な胴体非対向面側係合部材7と、帯状体1の外周端部(すなわち、帯状体1における長手方向Lの一方の端部E
L1及び他方の端部E
L2並びに幅方向Wの一方の端部E
W1及び他方の端部E
W2からなる、帯状体1の外周全体に沿った端部)において帯状体1の胴体対向面F
1から胴体非対向面F
2まで延在するように配置された剛性補強部材8と、を備えており、帯状体1を動物の胴体に対して着実に装着できるように構成されている。
【0030】
なお、本明細書において、帯状体の長手方向における一方の端部領域とは、平面視にて、帯状体の長手方向における一方の端部(本実施形態においては、
図2及び
図3に示す端部E
L1)から長手方向の内方側に向かって延在する領域であって、長手方向長さが、帯状体全体の長手方向長さの20%以内の領域を指す。また、帯状体の長手方向における他方の端部領域も同様である。
また、固定面は、帯状体の胴体非対向面において、股下部材が着脱自在に固定される面(後述する股下部材9の胴体対向面F
3に配置された腹部側係合部材97及び背部側係合部材98が着脱自在に係合固定される面)である。なお、本実施形態においては、帯状体1の胴体非対向面F
2のうち、胴体非対向面側係合部材7及び剛性補強部材8が配置されている面以外の面がすべて固定面として形成されているが、例えば、帯状体がこのような胴体非対向面側係合部材及び剛性補強部材を有していない場合は、帯状体の胴体非対向面の全面が固定面として形成されていてもよい。
【0031】
そして、帯状体1は、平面視にて、幅方向Wに延びる長手方向の中央軸線C
Wを含み且つ動物の腹部に対応する腹部対応領域A
Cと、長手方向Lにおいて前記腹部対応領域A
Cと隣り合う両方の部分に位置し且つ動物の背部に対応する2つの背部対応領域(
図2における一方の背部対応領域A
1及び他方の背部対応領域A
2)と、を有しており、さらに、本実施形態においては、腹部対応領域A
C、一方の背部対応領域A
1及び他方の背部対応領域A
2の各領域において、幅方向Wにおける剛性が長手方向Lにおける剛性よりも高くなるように構成されている。以下、このような幅方向における剛性が長手方向における剛性よりも高いという構成要件を、単に「長手方向及び幅方向の剛性差に係る構成要件」ということがある。
【0032】
なお、本発明の帯状体においては、腹部対応領域及び2つの背部対応領域のすべての領域が上述の長手方向及び幅方向の剛性差に係る構成要件を満たしている必要はなく、少なくとも腹部対応領域において上述の長手方向及び幅方向の剛性差に係る構成要件を満たしていればよい。このように、帯状体が、少なくとも腹部対応領域において上述の長手方向及び幅方向の剛性差に係る構成要件を満たしていると、帯状体の腹部対応領域が、動物の前後方向に対応する方向においては縮み難くなるため、装着時に、動物の動作(特に、腹部を抱えるように屈曲する動作)等によって動物の前後方向に対応する方向(具体的には、帯状体の前記幅方向において内方側に向かう方向)に力が加わるような場合でも、帯状体に動物の胴周り方向に延びる皺が生じ難く、かかる帯状体に着脱自在に固定される股下部材が帯状体から外れ難くなる上、さらに、動物の胴周り方向においては動物の胴体に沿って変形し易い(すなわち、動物の胴体に対してフィットし易い)ため、かかる帯状体及び当該帯状体に着脱自在に固定される股下部材が、適正な位置からズレ難くなる。
帯状体に上述の長手方向及び幅方向の剛性差を付与する手段は、特に制限されず、例えば、後述するような、帯状体を構成する部材(構成部材)として長手方向及び幅方向に剛性差を有するシート材を採用することや帯状体の幅方向における剛性が増大するように剛性補強部材を帯状体に配置すること、幅方向の剛性が長手方向の剛性よりも高くなるように帯状体に対して幅方向に沿って延びるエンボス等の圧搾加工を施すこと、帯状体に幅方向に沿って延びる凹凸構造を形成すること、所定の剛性を有する係合部材を幅方向に沿って延在するように配置することなどが挙げられる。
【0033】
ここで、本明細書において、腹部対応領域及び2つの背部対応領域は、装着時に、動物の腹部に対応する領域及び背部に対応する領域を指し、帯状体の装着対象となる動物の種類(例えば、犬や猫、猿等)や排泄物の種類(例えば、尿や便、経血等)などに応じて適宜設定される領域である。なお、腹部対応領域は、例えば、帯状体全体の長手方向長さの約2/4の長手方向長さを有するように設定され、2つの背部対応領域は、それぞれ帯状体全体の長手方向長さの約1/4の長手方向長さを有するように設定される。
【0034】
また、帯状体や当該帯状体を構成する各種部材(例えば、芯材、内側表面材、外側表面材等)の長手方向及び幅方向の剛性は、次のような曲げ剛性試験に従って測定される剛性値(N・m
2/m)によって、比較評価することができる。
かかる剛性値は、測定対象部材(例えば、芯材、内側表面材、外側表面材等)から所定サイズ(例えば、100mm×100mm)の試験片を切り出した後、該試験片の各種方向(すなわち、測定対象部材の長手方向及び幅方向のそれぞれに対応する方向)における曲げ剛性を、純曲げ試験機 KES FB-2(カトーテック株式会社製)を用いて測定することにより得ることができる。
なお、本発明の帯状体は、少なくとも腹部対応領域において上述の長手方向及び幅方向の剛性差に係る構成要件を満たしていれば、長手方向及び幅方向におけるそれぞれの剛性値は特に制限されないが、上述の股下部材の外れ難さ及びズレ難さに係る作用効果がより明確に発揮されるという点から、帯状体の長手方向における剛性値は、0.5×10
−4〜5×10
−4N・m
2/mの範囲内であることが好ましく、帯状体の幅方向における剛性値は、3×10
−4〜15×10
−4N・m
2/mの範囲内であることが好ましい。
【0035】
本実施形態に係る帯状体1は、次のようにして動物の胴体に装着される。まず、帯状体1は、長手方向Lが動物の胴周り方向に対応し且つ腹部対応領域A
Cが動物の腹部に対向するように動物の胴体にあてがわれた後、動物の胴周りに沿うようにして動物の胴体に巻き付けられる。このとき、動物の背部において、帯状体1の長手方向Lにおける一方の端部領域が他方の端部領域の上(具体的には、胴体非対向面上)に重ねられ、前記一方の端部領域の胴体対向面F
1に配置された胴体対向面側係合部材5が帯状体1の胴体非対向面F
2における固定面に係合されるとともに、前記他方の端部領域の胴体非対向面F
2に配置された胴体非対向面側係合部材7が、前記一方の端部領域の胴体対向面F
1に配置された胴体対向面側ループ部材6に係合される。
なお、このようにして、動物の胴体に装着された帯状体1は、更に
図7に示すように、吸収体93を備えた使い捨ておむつからなる股下部材9が、帯状体1の腹部対応領域A
C及び背部対応領域A
1の各々の胴体非対向面F
2における固定面に係合固定される。
【0036】
本発明の帯状体が適用される「動物」は、ペット等として飼育され得る動物であれば特に限定されず、上述の実施形態のような犬のほか、例えば、猫や猿の様々な動物を対象とすることができる。なお、本発明の帯状体が適用される動物用吸収性物品(例えば、使い捨ておむつ等)が吸収・保持する対象の排泄物は、動物用吸収性物品の吸収体に吸収・保持され得るものであれば特に制限されず、例えば、尿や糞、血液等の各種排泄物が挙げられる。
【0037】
以下、本発明の帯状体を構成する各種部材について、上述の実施形態に係る帯状体1を用いて更に詳細に説明する。
【0038】
[内側表面材]
本実施形態に係る帯状体1において内側表面材2は、
図2及び
図4に示すように、平面視にて、帯状体1の長手方向Lにおける一方の端部E
L1から他方の端部E
L2に亘って延在するとともに幅方向Wにおける一方の端部E
W1から他方の端部E
W2に亘って延在する、縦長の外形形状(より具体的には、長手方向Lの両端部の各々が長手方向Lの外方側に向かって円弧状に突出した縦長の外形形状)を有し、帯状体1の厚さ方向Tにおいて、胴体対向面側の位置に配置されて、装着対象の動物の身体に直に接触し得る柔軟性シート材によって構成されている。
【0039】
本発明において、内側表面材として用い得る柔軟性シート材は、動物用吸収性物品に用いられる帯状体の内側表面材として用い得る所定の柔軟性を有するものであれば特に制限されず、フェルトやフリース等の不織布;織布;メッシュ材等の編布;天然皮革;合成皮革;ポリオレフィンやポリエステル製シート等の樹脂製シートなどの様々なシート材を採用することができるが、柔軟性や通気性、肌触り、手入れのし易さ(洗濯容易性)、強度等の点から、不織布や織布、編布等の繊維シートを用いることが好ましい。また、上述の柔軟性シート材がこのような繊維シートからなる場合、その構成繊維は特に制限されず、例えば、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等)、天然繊維(例えば、綿、絹等)、再生繊維(例えば、レーヨン、キュプラ等)、半合成繊維(アセテート繊維等)等の任意の繊維を用いることができ、これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
【0040】
さらに、本発明において、内側表面材として用い得る柔軟性シート材の構造は、特に制限されず、平坦な無孔のシート材のほか、例えば、有孔のシート材、凹凸構造(例えば、断面形状が波形となる凹凸構造や畝溝構造等)を有するシート材なども好適に用いることができる。なお、上述の柔軟性シート材は、単層構造のシート材であっても、多層構造のシート材であってもよい。
【0041】
また、上述の柔軟性シート材の寸法形状や厚み等は、かかる柔軟性シート材が帯状体の内側表面材として機能し得るものであれば特に制限されず、所望の柔軟性や通気性、肌触り、強度等に応じた任意の寸法形状や厚み等を採用することができる。
なお、後述する芯材が、帯状体の内側表面材としても機能し得るものであれば、帯状体は、上述のような内側表面材を備えていなくてもよい。
【0042】
[芯材]
次に、本発明の帯状体に用い得る芯材について説明する。
本発明の一実施形態に係る帯状体1において芯材4は、平面視にて、帯状体1の長手方向Lにおける一方の端部E
L1から他方の端部E
L2に亘って延在するとともに幅方向Wにおける一方の端部E
W1から他方の端部E
W2に亘って延在する、上述の内側表面材2と同様の縦長の外形形状を有し、帯状体1の厚さ方向Tにおいて、上述の内側表面材2よりも胴体非対向面側の位置(具体的には、内側表面材2と外側表面材3との間の位置)に配置されて、帯状体1に所定の剛性ないし強度を付与し得る剛性シート材によって構成されている。
【0043】
本発明において、芯材として用い得る剛性シート材は、動物用吸収性物品に用いられる帯状体の芯材として用い得る所定の剛性を有するものであれば特に制限されず、平織物等の織布;不織布;編布;天然皮革;合成皮革;ポリオレフィンやポリエステル製シート等の樹脂製シートなどの様々なシート材を採用することができるが、剛性や一定の柔軟性、通気性、強度等の点から、織布や不織布、編布等の繊維シートを用いることが好ましく、さらに、上述の長手方向及び幅方向の剛性差を形成し易いという点から、織布を用いることが更に好ましい。
ここで、
図5は、本実施形態に係る帯状体1における芯材4の要部拡大平面図である。
本実施形態において芯材4は、
図5に示すような平織物によって構成されており、さらに、かかる平織物は、帯状体1の幅方向Wに対応する第2方向D
2に延びる緯糸41が帯状体1の長手方向Lに対応する第1方向D
1に延びる経糸42よりも太い糸によって構成されている。これにより、かかる平織物からなる芯材4は、第2方向D
2(帯状体1の幅方向Wに対応する方向)における剛性が第1方向D
1(帯状体1の長手方向Lに対応する方向)における剛性よりも高くなっている。
本発明の帯状体において、芯材の第1方向(帯状体の長手方向に対応する方向)及び第2方向(帯状体の幅方向に対応する方向)におけるそれぞれの剛性値は特に制限されないが、上述の股下部材の外れ難さ及びズレ難さに係る作用効果がより明確に、より確実に発揮されるという点から、芯材の第1方向における剛性値は、0.5×10
−4〜3×10
−4N・m
2/mの範囲内であることが好ましく、芯材の第2方向における剛性値は、3×10
−4〜12×10
−4N・m
2/mの範囲内であることが好ましい。
【0044】
なお、本発明において、芯材に長手方向及び幅方向の剛性差を付与する手段は、上述の実施形態に限定されず、例えば、第2方向(帯状体の幅方向)に延びる緯糸が第1方向(帯状体の長手方向)に延びる経糸よりも剛性の高い材質によって形成されている平織物;織り組織(織り方)によって第2方向の剛性が第1方向の剛性よりも高くなるように織られた織物;第2方向の剛性が第1方向の剛性よりも高くなるように第2方向に沿って延びるエンボス等の圧搾加工が施された織物又は不織布;第2方向に沿って延びる凹凸構造が形成された不織布;第2方向のみに延伸が施された一軸延伸の樹脂製シートなどを、芯材として採用することによっても、上述の長手方向及び幅方向の剛性差を有する芯材を得ることができる。
【0045】
さらに、上述の剛性シート材が織布等の繊維シートからなる場合、その構成繊維は特に制限されず、例えば、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等)、天然繊維(例えば、綿、絹等)、再生繊維(例えば、レーヨン、キュプラ等)、半合成繊維(アセテート繊維等)等の任意の繊維を用いることができ、これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
【0046】
また、本発明において、芯材として用い得る剛性シート材の構造は、特に制限されず、上述の織物のほか、例えば、平坦な無孔のシート材、有孔のシート材、凹凸構造(例えば、断面形状が波形となる凹凸構造や畝溝構造等)を有するシート材なども好適に用いることができる。なお、上述の剛性シート材は、単層構造のシート材であっても、多層構造のシート材であってもよい。
【0047】
本発明において、上述の剛性シート材の寸法形状や厚み等は、かかる剛性シート材が帯状体の芯材として機能し得るものであれば特に制限されず、所望の剛性や柔軟性、通気性等に応じた任意の寸法形状や厚み等を採用することができるが、剛性シート材(芯材)は、帯状体の少なくとも腹部対応領域を含む領域に延在し得る寸法形状を有していることが好ましい。帯状体を構成する部材の中でも相対的に剛性の高い芯材が、帯状体の少なくとも腹部対応領域に延在し、且つ、第2方向(帯状体の幅方向)における剛性が第1方向(帯状体の長手方向)における剛性よりも高くなるように形成されていると、上述の股下部材の外れ難さ及びズレ難さに係る作用効果を、より容易に、より確実に得ることができる。
なお、本発明においては、帯状体が、芯材以外の構成部材(例えば、外側表面材や係合部材、剛性補強部材等)によって、帯状体全体として上述の長手方向及び幅方向の剛性差に係る構成要件を満たす場合は、芯材は、必ずしも上述の長手方向及び幅方向の剛性差を有していなくてもよい。
【0048】
[外側表面材]
次に、本発明の帯状体に用い得る外側表面材について説明する。
本実施形態に係る帯状体1において外側表面材3は、
図3及び
図4に示すように、平面視にて、帯状体1の長手方向Lにおける一方の端部E
L1から他方の端部E
L2に亘って延在するとともに、幅方向Wにおける一方の端部E
W1から他方の端部E
W2に亘って延在する、上述の内側表面材2や芯材4と同様の縦長の外形形状を有し、帯状体1の厚さ方向Tにおいて、胴体非対向面側の位置(具体的には、上述の芯材4よりも胴体非対向面側の位置)に配置されて、後述する股下部材9の胴体対向面F
3に配置された腹部側係合部材97及び背部側係合部材98、並びに帯状体1の長手方向Lにおける一方の端部領域の胴体対向面F
1に配置された胴体対向面側係合部材5によって係合され得る、被係合性シート材によって構成されている。
【0049】
本発明において、外側表面材として用い得る被係合性シート材は、胴体非対向面の固定面に各種係合部材が係合し得る所定の被係合性構造(例えば、ループ構造や所定の繊維長及び繊維間距離を有する繊維集合体構造等)を有し、且つ、動物用吸収性物品に用いられる帯状体の外側表面材として用い得る所定の柔軟性や強度等を有するものであれば特に制限されず、例えば、合成繊維によって基部及び複数のループ部が一体的に形成された編物からなるシート状のループ材;ポリエステル等の合成樹脂により基部及び複数のループ部が一体的に形成された成形物からなるシート状のループ材;不織布などの様々なシート材を採用することができるが、各種係合部材との係合のし易さや係合強度、柔軟性等の点から、基部及び複数のループ部を有するシート状のループ材を用いることが好ましい。
本実施形態においては、外側表面材3は、基部と複数のループ部とを有するシート状のループ材によって構成されており、さらに、かかるループ材は、第2方向(帯状体1の幅方向Wに対応する方向)における剛性が第1方向(帯状体1の長手方向Lに対応する方向)における剛性よりも高くなるように形成されている。
本発明の帯状体において、外側表面材の第1方向(帯状体の長手方向に対応する方向)及び第2方向(帯状体の幅方向に対応する方向)におけるそれぞれの剛性値は特に制限されないが、上述の股下部材の外れ難さ及びズレ難さに係る作用効果がより明確に、より確実に発揮されるという点から、外側表面材の第1方向における剛性値は、0.001×10
−4〜0.3×10
−4N・m
2/mの範囲内であることが好ましく、外側表面材の第2方向における剛性値は、0.001×10
−4〜0.5×10
−4N・m
2/mの範囲内であることが好ましい。
【0050】
なお、本発明において、外側表面材に長手方向及び幅方向の剛性差を付与する手段は、特に限定されず、例えば、第2方向(帯状体の幅方向)に複数個並べたループ部の列を、第1方向(帯状体の長手方向)に所定間隔を空けて複数列並ぶように配置したループ材;第2方向の剛性が第1方向の剛性よりも高くなるように形成された基部を有するループ材;第2方向の剛性が第1方向の剛性よりも高くなるように第2方向に沿って延びるエンボス等の圧搾加工が施された不織布;第2方向に沿って延びる凹凸構造が形成された不織布などを、外側表面材として採用することによって、上述の長手方向及び幅方向の剛性差を有する外側表面材を得ることができる。
【0051】
帯状体の外側表面材として用い得る被係合性シート材が上述のような成形物からなるシート状のループ材である場合、その構成材料は特に制限されず、例えば、ポリエステルやポリオレフィン等の任意の合成樹脂を用いることができ、かかる合成樹脂は単一種類の樹脂を用いても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。
また、被係合性シート材が上述のような編物からなるシート状のループ材又は不織布からなる場合、その構成繊維は特に制限されず、例えば、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等)、天然繊維(例えば、綿、絹等)、再生繊維(例えば、レーヨン、キュプラ等)、半合成繊維(アセテート繊維等)等の任意の繊維を用いることができ、これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
【0052】
本発明において、上述の被係合性シート材の寸法形状や厚み等は、かかる被係合性シート材が帯状体の外側表面材として機能し得るものであれば特に制限されず、所望の剛性や柔軟性、通気性等に応じた任意の寸法形状や厚み等を採用することができるが、被係合性シート材(外側表面材)は、帯状体の長手方向における一方の端部から他方の端部に亘って延在し得る寸法形状を有していることが好ましい。動物用吸収性物品の股下部材が固定される固定面を有する外側表面材が、帯状体の腹部対応領域を含む、長手方向における一方の端部から他方の端部に亘って延在し、且つ、第2方向(帯状体の幅方向)における剛性が第1方向(帯状体の長手方向)における剛性よりも高くなるように形成されていると、上述の股下部材の外れ難さ及びズレ難さに係る作用効果を、より容易に、より確実に得ることができる。
なお、本発明においては、帯状体が、外側表面材以外の構成部材(例えば、芯材や係合部材、剛性補強部材等)によって、帯状体全体として上述の長手方向及び幅方向の剛性差に係る構成要件を満たす場合は、外側表面材は、必ずしも上述の長手方向及び幅方向の剛性差を有していなくてもよい。
【0053】
また、本発明において、外側表面材として用い得る被係合性シート材は、胴体非対向面側の固定面において、少なくとも股下部材の係合部材(すなわち、腹部側係合部材及び背部側係合部材)が係合し得る所定の被係合性構造を有していれば、その他の部分は、任意のシート材(例えば、上述の内側表面材と同様の繊維シート等)によって構成されていてもよく、或いは、被係合性シート材は、上述の胴体非対向面側の固定面を形成し得る被係合性構造を有するシート材と、任意のシート材との積層シートによって構成されていてもよい。
なお、股下部材の固定部(すなわち、帯状体に着脱自在に固定するための部分)が上述の係合部材(腹部側係合部材及び背部側係合部材)以外の部材(例えば、粘着テープ等の粘着部)によって構成されている場合は、外側表面材は、必ずしも被係合性シート材である必要はなく、任意のシート材(例えば、上述の内側表面材と同様の柔軟性シート材等)を採用することもできる。
【0054】
また、上述の芯材及び外側表面材のうちの少なくとも一方が、帯状体の少なくとも腹部対応領域において、帯状体の幅方向における剛性が長手方向における剛性よりも高くなるように形成されている場合、芯材と外側表面材は、ホットメルト型接着剤等の任意の接合手段によって互いに接合されていても、接合されていなくてもよい。
上述の芯材と外側表面材が互いに接合されている場合は、上述の股下部材の外れ難さ及びズレ難さに係る作用効果を、芯材及び外側表面材において相補的に発揮し易くなる上、帯状体を動物の胴体に沿って装着する際に、芯材と外側表面材が動物の胴周り方向において互いに位置ズレし難くなるため、帯状体をより安定的に且つより着実に、動物の胴体にフィットした状態で装着することができ、結果的に、かかる帯状体及び当該帯状体に固定される股下部材を、適正な位置からより一層ズレ難くすることができる。
一方、上述の芯材と外側表面材が互いに接合されていない場合は、帯状体の装着時に、動物の動作等によって動物の胴体から帯状体に力が加わるようなときでも、かかる力が外側表面材までは伝播され難くなるため、帯状体の外側表面材と股下部材との固定状態をより安定して維持することができ、結果的に、帯状体に固定される股下部材をより一層外れ難くすることができる。
【0055】
[係合部材]
次に、本発明の帯状体に用い得る各種係合部材について説明する。
本実施形態に係る帯状体1は、当該帯状体1が動物の胴体に装着した状態を維持するための固定手段として、
図2〜
図4に示すように、帯状体1の長手方向Lにおける一方の端部領域の胴体対向面F
1に配置され且つ帯状体1の胴体非対向面F
2の固定面と係合可能な胴体対向面側係合部材5と、帯状体1の長手方向Lにおける他方の端部領域の胴体非対向面F
2に配置され且つ帯状体1の胴体対向面F
1における胴体対向面側ループ部材6と係合可能な胴体非対向面側係合部材7と、を備えており、これらの係合部材は、帯状体1の幅方向Wに長く延在する略矩形状の外形形状を有している。
【0056】
本実施形態において胴体対向面側係合部材5は、
図4に示すように、内側表面材2の胴体対向面F
1上に配置される基部と、該基部から胴体対向面側に向かって突出する複数の係合突起部とを有しており、さらに、かかる複数の係合突起部の各々は、前記基部から胴体対向面側に向かって延びる軸部と、該軸部の先端(具体的には、前記基部とは反対側に位置する軸部の先端)において該軸部の外周面が拡径する方向に膨らんだ拡径部と、を有している。なお、胴体非対向面側係合部材7も、胴体対向面側係合部材5と同様の構造を有している。
本発明の帯状体に用い得る係合部材は、このような特定構造のものに限定されず、任意の構造を有するフック材を用いることができるが、係合部材は、上記特定構造を有するものを用いることが好ましい。このような特定構造を有する係合部材は、当該係合部材が帯状体の胴体非対向面における固定面や胴体対向面における胴体対向面側ループ部材に係合固定されているときに、当該係合固定されている部分が動物の動作等によって様々な方向に引っ張られたとしても、上記係合部材が、上述の固定面や胴体対向面側ループ部材上のあらゆる方向の力に対応して当該固定面や胴体対向面側ループ部材と係合することができるため、上記係合部材と上述の固定面や胴体対向面側ループ部材との係合状態を強固に維持することができ、結果的に、帯状体を動物の胴体の適正な位置から更にズレ難くすることができる上、動物の胴体から外れ難くすることができる。さらに、このような特定構造を有する係合部材は、所定の被係合性構造を有するループ材以外の任意の繊維構造体(例えば、不織布、編布等)と係合することができるため、上述の固定面を所定のループ材によって形成する必要がなく、また、上述の胴体対向面側ループ部材を設ける必要がなく、省資源化や低コスト化、外観等の各種製品コンセプトに応じた多様な製品設計を実現することができる。
【0057】
また、本発明において、上述の係合部材(胴体対向面側係合部材及び胴体非対向面側係合部材)が配置される位置は、帯状体の装着時に、帯状体の長手方向における一方の端部領域と他方の端部領域とが上述の係合部材を介して厚さ方向に重複し得る位置であれば、特に制限されず、帯状体の装着のし易さや係合強度等を考慮した任意の位置に配置することができる。
【0058】
なお、帯状体がこのような係合部材を備えることは、本発明においては必須の構成要件ではなく、例えば、ボタン及びボタン穴、結締用紐等の任意の結合手段を上述の固定手段として採用することができるが、帯状体は、上述の実施形態のように、少なくとも長手方向における一方の端部領域の胴体対向面において幅方向に長く延在する係合部材を備えていることが好ましい。帯状体が、このような係合部材(すなわち、胴体対向面側係合部材)を備えていると、かかる帯状体を動物の胴周りに沿って装着する際に、動物の背部において、帯状体の長手方向における一方の端部領域が他方の端部領域の上に(すなわち、他方の端部領域の胴体非対向面上に)重ねられた状態で、前記一方の端部領域の胴体対向面に配置された係合部材によって係合固定することができるため、このような胴体対向面側係合部材を備えた帯状体は、装着時に、前記長手方向における一方の端部領域と他方の端部領域とが前記係合部材を介して重複した部分が帯状体の幅方向に延在するように形成され、動物の背部に対応する領域において、動物の前後方向に対応する方向(すなわち、帯状体の幅方向)の剛性が高くなり、かかる帯状体を装着した動物が腹部を抱えるように屈曲するなどの動作をしても、帯状体が動物の前後方向に対応する方向に更に屈曲し難く、結果的に、腹部対応領域が動物の前後方向に対応する方向に更に縮み難くなり、かかる帯状体に固定される股下部材をより一層外れ難くすることができる。
【0059】
さらに、本発明の帯状体は、上述の実施形態のように、胴体対向面側係合部材のほかに、帯状体の長手方向における他方の端部領域の胴体非対向面において胴体非対向面側係合部材を備えていることが好ましい。帯状体がこのような胴体非対向面側係合部材を備えていると、帯状体の装着時において、上述の胴体非対向面側係合部材が、帯状体における一方の背部対応領域の胴体対向面(上述の実施形態においては、胴体対向面F
1における胴体対向面側ループ部材6)に係合固定されるため、帯状体の長手方向における他方の端部領域が丸まったり、折れ曲がったりし難く、帯状体をより的確に動物の胴体に装着することができ、結果的に、帯状体を動物の胴体からより一層外れ難くすることができる。
【0060】
本発明の帯状体に用い得る各種係合部材の構成材料は、特に制限されず、例えば、ポリエステルやポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー等の任意の合成樹脂を用いることができ、かかる合成樹脂は単一種類の樹脂を用いても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。なお、係合部材は、このような合成樹脂を用いて射出成形法等の任意の成形法により製造することができる。
【0061】
本発明において、各種係合部材の寸法形状や厚み等は、かかる係合部材が上述の固定手段として機能し得る限り特に制限されず、所望の係合強度や剛性、柔軟性等に応じた任意の寸法形状や厚み等を採用することができる。
【0062】
[胴体対向面側ループ部材]
次に、本発明の帯状体に用い得る胴体対向面側ループ部材について説明する。
本実施形態に係る帯状体1は、当該帯状体1が動物の胴体に装着した状態を維持するための固定手段として、帯状体1の長手方向Lにおける他方の端部領域の胴体非対向面F
2に配置された上述の胴体非対向面側係合部材7と係合可能であり、且つ、帯状体1の長手方向Lにおける一方の背部対応領域A
1の胴体対向面F
1において上述の胴体対向面側係合部材5と帯状体1の長手方向Lの内方側に隣接するように配置された、胴体対向面側ループ部材6を備えており、かかる胴体対向面側ループ部材6は、所定の長手方向長さ(帯状体の長手方向における長さ)及び幅方向長さ(帯状体の幅方向における長さ)を有する略矩形状の外形形状を有している。
【0063】
なお、帯状体がこのような胴体対向面側ループ部材を備えることは、本発明においては必須の構成要件ではないものの、帯状体は、上述の実施形態のように、帯状体の長手方向における他方の端部領域の胴体非対向面に配置される胴体非対向面側係合部材と係合可能な胴体対向面側ループ部材を、帯状体の長手方向における一方の端部領域の胴体対向面に備えていることが好ましい。帯状体が、このような胴体対向面側ループ部材を備えていると、帯状体の装着時において、上述の胴体非対向面側係合部材が、帯状体における一方の背部対応領域の胴体対向面に配置された胴体対向面側ループ部材に対して強固に係合固定されるため、帯状体の長手方向における他方の端部領域が丸まったり、折れ曲がったりするようなことが更に生じ難く、帯状体を更に的確に動物の胴体に装着することができ、結果的に、帯状体を動物の胴体からより一層外れ難くすることができる。
【0064】
本発明の帯状体に用い得る胴体対向面側ループ部材としては、上述の胴体非対向面側係合部材に対する被係合部材として機能し得る限り特に制限されず、例えば、上述の外側表面材として用い得るシート状のループ材と同様のものを用いることができる。
【0065】
また、本発明において、胴体対向面側ループ部材の寸法形状や厚み等は、上述の胴体非対向面側係合部材に対する被係合部材として機能し得る限り特に制限されず、所望の係合強度や剛性、柔軟性等に応じた任意の寸法形状や厚み等を採用することができる。
【0066】
[剛性補強部材]
次に、本発明の帯状体に用い得る剛性補強部材について説明する。
本実施形態に係る帯状体1は、
図1〜
図4に示すように、帯状体1の外周端部(すなわち、帯状体1における長手方向Lの一方の端部E
L1及び他方の端部E
L2並びに幅方向Wの一方の端部E
W1及び他方の端部E
W2からなる、帯状体1の外周全体に沿った端部)において帯状体1の胴体対向面F
1(具体的には、内側表面材2の胴体対向面)から胴体非対向面F
2(具体的には、外側表面材3の胴体非対向面)まで延在するように配置された剛性補強部材8を備えている。
【0067】
帯状体がこのような剛性補強部材を備えることは、本発明においては必須の構成要件ではないものの、帯状体は、該帯状体の少なくとも長手方向に延在する剛性補強部材を有していることが好ましく、さらに、当該剛性補強部材は、少なくとも帯状体の幅方向における両端部の各々に配置されていることが好ましい。
帯状体が、該帯状体の少なくとも長手方向に延在する剛性補強部材を有していると、帯状体の装着時において、動物の動作等によって動物の前後方向に対応する方向(すなわち、帯状体の幅方向)に力が加わるような場合でも、当該方向と交差する帯状体の長手方向に延在する剛性補強部材によって、上述の力に抗することができるため、結果的に、帯状体が動物の前後方向に対応する方向に更に縮み難くなり、かかる帯状体に固定される股下部材をより確実に外れ難くすることができる。
さらに、このような剛性補強部材が、帯状体の両端部の各々に配置されていると、帯状体の装着時において、動物の動作等によって動物の前後方向に対応する方向に力が加わるような場合に、かかる力の付加を最も受け易い帯状体の幅方向における両端部が、上述の剛性補強部材によって動物の前後方向に対応する方向に屈曲し難くなるため、結果的に、帯状体が動物の前後方向に対応する方向に更に縮み難くなり、かかる帯状体に固定される股下部材をより一層外れ難くすることができる。
【0068】
本実施形態において剛性補強部材8は、
図2〜
図4に示すように、帯状体1の外周端部において、縫合により、内側表面材2の胴体対向面及び外側表面材3の胴体非対向面のそれぞれと接合されている。なお、本実施形態においては、剛性補強部材8が、内側表面材2、芯材4及び外側表面材3の積層物を胴体対向面側及び胴体非対向面側の両側から挟むようにして配置されおり、さらに、胴体対向面側の剛性補強部材8、内側表面材2、芯材4、外側表面材3及び胴体非対向面側の剛性補強部材8が、縫合糸81によって厚さ方向Tに縫い合わされることにより、一体的に接合されている。そのため、胴体対向面側の剛性補強部材8、内側表面材2、芯材4、外側表面材3及び胴体非対向面側の剛性補強部材8の一体化部(すなわち、縫合部からなる接合部分)は、帯状体1の他の部分よりも相対的に厚みが薄く且つ高密度になっている。
【0069】
なお、本発明においては、剛性補強部材は、帯状体の胴体対向面及び胴体非対向面の両面に接合されている必要はなく、帯状体の胴体対向面及び胴体非対向面のうちの少なくとも一方の面に接合されていればよいが、上述の剛性補強部材によって奏される作用効果をより確実に発揮できるという点から、かかる剛性補強部材は、上述の実施形態のように、帯状体の胴体対向面及び胴体非対向面の両面に接合されていることが好ましい。
【0070】
また、剛性補強部材を、上述の胴体対向面及び胴体非対向面のうちの少なくとも一方の面に接合する手段は、特に制限されず、上述の縫合手段のほか、例えば、エンボス加工等の圧搾手段、ホットメルト型接着剤等を用いた接着手段、超音波等を用いた熱融着手段などの任意の接合手段を採用することができる。中でも、剛性補強部材と上述の胴体対向面及び胴体非対向面のうちの少なくとも一方の面との接合部分が、帯状体の他の部分よりも相対的に厚みが薄く且つ高密度になり易いという点から、縫合手段及び圧搾手段のうちの少なくとも一方の接合手段を用いることが好ましい。
剛性補強部材と、上述の胴体対向面及び胴体非対向面のうちの少なくとも一方の面との接合部分が、帯状体の他の部分よりも相対的に厚みが薄く且つ高密度である(すなわち、接合部分の剛性が相対的に高い)と、帯状体の装着時において、動物の動作等によって動物の前後方向に対応する方向に力が加わるような場合でも、剛性補強部材と、剛性の高い上記接合部分とが協働して、上述の力に対して更に強力に抗することができるため、結果的に、帯状体が動物の前後方向に対応する方向に更に確実に縮み難くなり、かかる帯状体に固定される股下部材をより確実に外れ難くすることができる。
【0071】
本発明の帯状体に用い得る剛性補強部材としては、一定の剛性(強度)を有する帯状部材であれば特に制限されず、例えば、織布、不織布、樹脂製フィルム及びこれら2種以上の積層シートなどからなる帯状部材を用いることができる。かかる帯状部材は、帯状体を動物の胴体に対してフィットし易くする点から、その長手方向において伸縮性を有しているものが好ましい。このような長手方向に伸縮性を有する帯状部材としては、例えば、ウレタン繊維を織り込んだバイアステープ、ポリウレタン繊維やゴムなどの弾性材が織り込まれた織布、弾性材を含む伸縮性不織布、合成繊維又は天然繊維により編織成されたネット状生地などが挙げられる。
【0072】
なお、本実施形態に係る帯状体1においては、剛性補強部材8として、長手方向に伸縮性を有するバイアステープを用いている。かかるバイアステープは、
図2及び
図3に示すように、その長手方向が帯状体1の外周端部に沿うように配置されており、バイアステープの長手方向における両端部は、互いに重ねられた状態で縫合されて継ぎ目部82を形成している。
【0073】
本発明において、剛性補強部材として用い得る帯状部材の寸法形状や厚み等は、上述の剛性補強部材として機能し得る限り特に制限されず、所望の剛性、柔軟性等に応じた任意の寸法形状や厚み等を採用することができる。
【0074】
なお、剛性補強部材を上述の胴体対向面及び胴体非対向面のうちの少なくとも一方の面に接合する手段として、縫合手段を採用する場合、かかる縫合に用いる縫合糸は、特に制限されず、例えば、合成繊維(例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等)、天然繊維(例えば、綿、絹等)、再生繊維(例えば、レーヨン、キュプラ等)、半合成繊維(アセテート繊維等)等の任意の繊維からなる糸を用いることができる。
【0075】
また、上述の各種部材を用いて本発明の帯状体を製造する方法は、特に制限されず、例えば、帯状体は、内側表面材、芯材及び外側表面材を、任意の接合手段(例えば、接着手段、縫合手段等)を用いて或いは用いずに積層して積層物を得た後、該積層物の外周端部に、剛性補強部材を任意の接合手段(例えば、縫合手段、圧搾手段等)を用いて接合することにより、製造することができる。
【0076】
以下、本発明の帯状体が適用され得る動物用吸収性物品の股下部材について、詳細に説明する。
図6は、本発明の帯状体が適用され得る動物用吸収性物品の股下部材9を、展開した状態で胴体対向面側から厚さ方向に見た平面図である。
【0077】
股下部材9は、
図7に示すように、動物の股下部を中心にして動物の腹部から背部に至る部分に配置されて、動物から排出される糞尿などの排泄物を吸収して保持するための吸収性部材である。そのような吸収性部材としては、例えば、使い捨ておむつ、(軽)失禁パッド等が挙げられる。股下部材9は、
図6及び
図7に示すように、装着時に動物の腹部側に位置する腹部側端部E
L3及び動物の背部側に位置する背部側端部E
L4の両方の端部が、帯状体1の胴体非対向面F
2の固定面に対して着脱自在に係合固定されて使用される。
【0078】
かかる股下部材9は、
図6に示すように、展開した状態の平面視にて、長手方向L’及び幅方向W’を有する縦長の略矩形状の外形形状を有するとともに、厚さ方向において、動物の体への装着時に当該動物の胴体に対向する面(胴体対向面)となる第1面F
3と、該第1面F
3の反対側の面(胴体非対向面)となる第2面F
4と、を有している。
なお、股下部材の外形形状や外形寸法等は、特に制限されず、装着対象となる動物の種類や体型、サイズ等に応じた任意の縦長の外形形状(例えば、長方形、楕円形、瓢箪形等)や外形寸法等を採用することができる。
【0079】
股下部材9は、
図6に示すように、厚さ方向において、股下部材9の胴体対向面側に位置する液透過性の表面シート91と、股下部材9の胴体非対向面側に位置する液不透過性の裏面シート92と、これら各シートの間に位置し且つ平面視にて股下部材9の幅方向W’に延びる長手方向の中央軸線C’
Wを長手方向L’に跨いで延在するとともに長手方向L’に延びる幅方向の中央軸線C’
Lを幅方向W’に跨いで延在するように配置された吸収体93と、を基本構成として備えており、動物から排泄された糞尿などの排泄物を、厚さ方向に浸透させながら吸収体93にて吸収及び保持することができるように構成されている。
さらに、股下部材9は、該股下部材9の長手方向L’における両方の端部(すなわち、腹部側端部E
L3及び背部側端部E
L4)の各々の第1面F
3に配置された係合部材(腹部側係合部材97及び背部側係合部材98)と、平面視にて上記吸収体93及び背部側端部E
L4の間において股下部材9の長手方向L’に延びる幅方向の中央軸線C’
Lと重複する位置に配置された、動物の尻尾を挿通するための尻尾用開口部99と、表面シート91の胴体対向面側において股下部材9の長手方向L’に延びる幅方向の中央軸線C’
Lを挟んで配置された、一対のサイドシート94と、該サイドシート94の幅方向W’における内方側の端部に配置された、長手方向L’に延びるギャザー用弾性部材95と、平面視にて上記吸収体93を挟むようにして該吸収体93に対して幅方向W’の外方側に配置された弾性部材96と、を備えており、股下部材9を動物の胴体に着実に装着できるようにしつつ、動物から排泄された糞尿などの排泄物が外部に漏出し難いように構成されている。
【0080】
なお、本発明の帯状体が適用され得る動物用吸収性物品の股下部材は、このような態様のものに限定されず、本発明の帯状体は、装着対象となる動物の種類や体型、サイズ等に応じた任意の態様の股下部材に適用することができる。
【0081】
また、本発明の帯状体は、上述の実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。