特許第6824072号(P6824072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824072
(24)【登録日】2021年1月14日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】支持体、ポンプ及び支持体の固定方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/046 20060101AFI20210121BHJP
   F04D 29/04 20060101ALI20210121BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20210121BHJP
   F04D 29/54 20060101ALN20210121BHJP
【FI】
   F04D29/046 D
   F04D29/04 W
   F04D29/60 E
   !F04D29/54 A
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-42566(P2017-42566)
(22)【出願日】2017年3月7日
(65)【公開番号】特開2018-145904(P2018-145904A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】杉山 道子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豪
(72)【発明者】
【氏名】島津 雅彦
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−053588(JP,U)
【文献】 特開2008−064088(JP,A)
【文献】 実開昭59−186421(JP,U)
【文献】 特開昭52−134838(JP,A)
【文献】 特開昭62−259676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/04
F04D 29/046
F04D 29/54
F04D 29/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ内の流路に配置される支持体であって、
当該支持体の端部周辺の端面は、前記端部の端に近づくに従って当該支持体の幅方向に広がる形状を有し、
当該支持体の端面の中央付近は角が面取りされているか、または略凸曲面形状を有しており、
当該支持体の幅方向における前記支持体の端部の端面の位置は、当該支持体の中央付近の端面の位置と略同じであり、
当該支持体の端面が前記ポンプ内の流体の流れの方向に略直交する面となるように、当該支持体の端部が溶接によって固定される
支持体。
【請求項2】
前記支持体の幅方向に広がる形状は、凹曲面形状である
請求項1に記載の支持体。
【請求項3】
当該支持体は、前記ポンプ内の流路中に配置された軸受支持部を当該ポンプの内面に固定する支持リブである
請求項1または2に記載の支持体。
【請求項4】
ポンプであって、
請求項1からのいずれか一項に記載の支持体の端面が前記ポンプ内の流体の流れの方向に略直交する面となるように、当該支持体の端部が溶接によって固定されているポンプ。
【請求項5】
ポンプ内の流路に配置される支持体の固定方法であって、
当該支持体の端部周辺の端面は、前記端部の端に近づくに従って当該支持体の幅方向に広がる形状を有し、
当該支持体の端面の中央付近は角が面取りされているか、または略凸曲面形状を有しており、
当該支持体の幅方向における前記支持体の端部の端面の位置は、当該支持体の中央付近の端面の位置と略同じであり、
当該支持体の端面が前記ポンプ内の流体の流れの方向に略直交する面となるように、当該支持体の端部を溶接によって固定する手順
を有する支持体の固定方法。
【請求項6】
前記支持体を配置する手順において、当該支持体の端部周辺の端面から溶接部分に至るまで当該支持体の幅方向に滑らかに広がる形状に形成されるように、当該支持体の端部の端面を溶接する請求項に記載の支持体の固定方法。
【請求項7】
前記支持体を配置する手順において、前記支持体の端部の全周に渡って溶接する
請求項に記載の支持体の固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体、ポンプ及び支持体の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプに使用する部品(例えば、軸受支持部)をポンプケーシングに溶接により固定することが行われている。例えば、特許文献1では、軸受を支持する軸受支持部材をポンプケーシングに固定するアームについて、アームが軸受支持部材に連結する箇所で縦方向に広がる形状が開示されている。例えば、特許文献2では、軸受が収容されている軸受箱を支持する軸受支えについて、軸受支えが軸受箱に連結する箇所で縦方向に広がる形状が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−71729号公報
【特許文献2】特開平5−187393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来技術では、疲労強度が低い溶接部分に応力が集中する問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ポンプ内の流体の流れに対する抵抗抑制効果を保ちつつ溶接部分の疲労破壊を回避することを可能とする支持体、ポンプ及び支持体の固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る支持体は、ポンプ内の流路に配置される支持体であって、当該支持体の端部周辺の端面は、前記端部の端に近づくに従って当該支持体の幅方向に広がる形状を有し、当該支持体の端面の中央付近は角が面取りされているか、または略凸曲面形状を有しており、当該支持体の端面が前記ポンプ内の流体の流れの方向に略直交する面となるように、当該支持体の端部が溶接によって固定される。
【0007】
この構成により、ポンプ内の流体の流れに対する支持体の抵抗を低減することができ、ポンプの仕事効率を向上させることができる。当該支持体の端部周辺の端面が、端部の端に近づくに従って当該支持体の幅方向に広がる形状に形成されるので、支持体において、疲労強度の低い溶接部分から、疲労強度の高い母材に応力がかかる点を移すことができる。これにより、溶接部分の疲労破壊を回避することができる。このように、ポンプ内の流体の流れに対する抵抗抑制効果を保ちつつ溶接部分の疲労破壊を回避することができる。更に、支持体が幅方向に広がる形状を有するように削られることにより、使用する鋼材の量を減らすことができるので、鋼材の省資源化を図ることができる。また支持体を一部だけ削るだけでよいので加工時間を短縮するとともに、加工作業性を向上させることができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る支持体は、第1の態様に係る支持体であって、前記支持体の幅方向に広がる形状は、凹曲面形状である。
【0009】
この構成により、支持体は、ポンプケーシングとともに一体的に滑らかに動くため、支持体にかかる応力を抑えることができる。このため、溶接部分の疲労破壊を回避することができる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る支持体は、第2の態様に係る支持体であって、当該支持体の幅方向における前記支持体の端部の端面の位置は、当該支持体の中央付近の端面の位置と略同じである。
【0011】
本発明の第4の態様に係る支持体は、第3の態様に係る支持体であって、当該支持体の幅方向における前記支持体の端部の端面の位置は、当該支持体の中央付近の端面の位置より外側に位置している。
【0012】
本発明の第5の態様に係る支持体は、第1から4のいずれかの態様に係る支持体であって、当該支持体は、前記ポンプ内の流路中に配置された軸受支持部を当該ポンプの内面に固定する支持リブである。
【0013】
この構成により、支持リブにおいて、疲労強度の低い溶接部分から、疲労強度の高い母材に応力がかかる点を移すことができる。
【0014】
本発明の第6の態様に係るポンプは、ポンプであって、第1から5のいずれかの態様に係る支持体の端面が前記ポンプ内の流体の流れの方向に略直交する面となるように、当該支持体が固定されている。
【0015】
この構成により、支持体において、疲労強度の低い溶接部分から、疲労強度の高い母材に応力がかかる点を移すことができる。これにより、溶接部分の疲労破壊を回避することができる。
【0016】
本発明の第7の態様に係る支持体の固定方法は、ポンプ内の流路に配置される支持体の固定方法であって、当該支持体の端部周辺の端面は、前記端部の端に近づくに従って当該支持体の幅方向に広がる形状を有し、当該支持体の端面の中央付近は角が面取りされているか、または略凸曲面形状を有しており、当該支持体の端面が前記ポンプ内の流体の流れの方向に略直交する面となるように、当該支持体の端部を溶接によって固定する手順を有する。
【0017】
この構成により、ポンプ内の流体の流れに対する支持体の抵抗を低減することができ、ポンプの仕事効率を向上させることができる。当該支持体の端部周辺の端面が、端部の端に近づくに従って当該支持体の幅方向に広がる形状に形成されるので、支持体において、疲労強度の低い溶接部分から、疲労強度の高い母材に応力がかかる点を移すことができる。これにより、溶接部分の疲労破壊を回避することができる。このように、ポンプ内の流体の流れに対する抵抗抑制効果を保ちつつ溶接部分の疲労破壊を回避することができる。更に、支持体が幅方向に広がる形状を有するように削られることにより、使用する鋼材の量を減らすことができるので、鋼材の省資源化を図ることができる。また支持体を一部だけ削るだけでよいので加工時間を短縮するとともに、加工作業性を向上させることができる。
【0018】
本発明の第8の態様に係る支持体の固定方法は、第7の態様に係る支持体の固定方法であって、前記支持体を配置する手順において、当該支持体の端部周辺の端面から溶接部分に至るまで当該支持体の幅方向に滑らかに広がる形状に形成されるように、当該支持体の端部の端面を溶接する。
【0019】
この構成により、支持体の端部周辺の端面から溶接部分に至るまで滑らかに広がるので、支持体において、疲労強度の低い溶接部分から、疲労強度の高い母材に応力がかかる点を移すことができるため、溶接部分の疲労破壊を回避することができる。
【0020】
本発明の第9の態様に係る支持体の固定方法は、第8の態様に係る支持体の固定方法であって、前記支持体を配置する手順において、前記支持体の端部の全周に渡って溶接する。
【0021】
この構成により、支持体をポンプに強固に固定することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、ポンプ内の流体の流れに対する支持体の抵抗を低減することができ、ポンプの仕事効率を向上させることができる。当該支持体の端部周辺の端面が、端部の端に近づくに従って当該支持体の幅方向に広がる形状に形成されるので、支持体において、疲労強度の低い溶接部分から、疲労強度の高い母材に応力がかかる点を移すことができる。これにより、溶接部分の疲労破壊を回避することができる。このように、ポンプ内の流体の流れに対する抵抗抑制効果を保ちつつ溶接部分の疲労破壊を回避することができる。更に、支持体を削ることにより、使用する鋼材の量を減らすことができるので、鋼材の省資源化を図ることができる。また支持体を一部だけ削るだけでよいので加工時間を短縮し、加工作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係るポンプの斜視図である。
図2図1のA−A'断面図である。
図3】本実施形態に係る支持リブ1の斜視図である。
図4図3のD−D’断面図である。
図5図2の矢印A1方向から見た矢視拡大図である。
図6図5の矢印A2方向から見た矢視図である。
図7図6のC−C’断面図である。
図8図2のB−B'断面図である。
図9図8の領域R2の拡大図である。
図10図8の領域R2に含まれる支持リブ2の拡大斜視図である。
図11】比較例に係る支持リブ201の一部断面図である。
図12】本実施形態に係る支持リブ2の一部断面図である。
図13】比較例と本実施形態との間で、応力分布を比較したグラフである。
図14】本実施形態の変形例にかかるB−B’断面図である。
図15】本実施形態の変形例にかかる支持リブ2bの平面図である。
図16図14の領域R3に含まれる支持リブ2bの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係るポンプは一例としてポンプ機場などで用いられる大型の立軸ポンプである。なお、ポンプは、横軸ポンプであってもよいし、小型のものであってもよってもよい。本実施形態では、ポンプケーシングに固定する部品の一例として、ポンプ内の流路中に配置された軸受支持部について説明する。また、ポンプ内の流路に配置される支持体の一例として、この軸受支持部をポンプケーシングに固定する支持リブについて説明する。また本実施形態では溶接の一例として隅肉溶接を用いる。
【0025】
図1は、本実施形態に係るポンプの模式図である。図1に示すように、本実施形態に係るポンプ100は、ポンプベース114を有し、ポンプベース114は水槽上部のポンプ据付床101に設置される。ポンプ100は、羽根車102と、羽根車102で汲み上げられた水を移送するポンプケーシング103とを備える。ここで、ポンプケーシング103は、ガイドケーシング104、吊下管105、及び吐出曲管106を有する。羽根車102を収容するガイドケーシング104が吊下管105を介してポンプ据付床101から吊り下げられる。羽根車102は回転軸107の一端部に固定されており、回転軸107は外軸受110、水中軸受109および水中軸受108により回転自在に支持される。回転軸107は、ガイドケーシング104、吊下管105、及び吐出曲管106内を通って鉛直方向に延びている。回転軸107の他端部は、駆動機の一例である電動機111の回転軸112に連結されている。
【0026】
電動機111により回転軸107を介して羽根車102を回転させると、水槽内の水(取扱液)が、ガイドケーシング104の下端から吸い込まれ、ガイドケーシング104、吊下管105、吐出曲管106を通って図示しない吐出配管に移送される。なお、ポンプ運転時においては、羽根車102や水中軸受108を収容するガイドケーシング104は、液面よりも下に位置している。
【0027】
図2は、図1のA−A'断面図である。図1に示すように、水中軸受109は軸受支持部5に収容されており、軸受支持部5は、ポンプケーシング103内の流路中に配置されている。図1及び図2に示すように、この軸受支持部5は、支持体の一例である支持リブ1、2、3、4によって支持されており、支持リブ1、2、3、4を介してポンプケーシング103の吊下管105に固定されている。支持リブ1〜4は例えば鋼材から削り出される。
【0028】
図3は、本実施形態に係る支持リブ1の斜視図である。図4は、図3のD−D’断面図である。図3及び図4に示すように、支持リブ1の中央付近における端面S1は略凸曲面形状を有している。なお、図4の破線BLに示すように、支持リブ1の中央付近の端面S1は角が面取りされていてもよい。ここで中央付近とは、支持リブ1の長手方向の真ん中を基準として所定の範囲内である。他の支持リブ2〜4も同様である。図1及び図2に示すように、支持リブ1〜4の端面(例えば端面S1)がポンプ100内の流体(例えば水)の流れの方向に略直交する面となるように、支持リブ1〜4の端部を溶接によって当該ポンプ100(ここでは具体的にはポンプケーシング103)の内面に固定する。これにより、支持リブ1〜4の端面(例えば端面S1)がポンプ100内の流体の流れの方向に略直交する面となるように、当該支持リブ1〜4の端面が溶接によって当該ポンプ100(ここでは具体的にはポンプケーシング103)の内面に固定されている。この構成により、ポンプケーシング103内の水の流れに対する支持リブ1〜4の抵抗を低減することができ、ポンプの仕事効率を向上させることができる。
【0029】
図5は、図2の矢印A1方向から見た矢視拡大図である。図6は、図5の矢印A2方向から見た矢視図である。図7は、図6のC−C’断面図である。図5〜7に示すように、支持リブ1の端部の全周に渡って溶接されることにより、溶接部分(溶接ビート)6が、支持リブ1の端部の全周に渡って配置されている。このように支持リブ1の端部の全周に渡って溶接することにより、支持リブ1をポンプケーシング103に強固に固定することができる。
【0030】
続いて支持リブ1〜4の構造について、代表して支持リブ2を用いて説明する。図8は、図2のB−B'断面図である。図9は、図8の領域R2の拡大図である。図10は、図8の領域R2に含まれる支持リブの拡大斜視図である。図10に示すように、支持リブ2の端部には端面21が形成されている。また、図9及び図10に示すように、支持リブ2の端部周辺の端面は、端部の端に近づくに従って支持リブ2の幅方向に広がる形状を有している。
【0031】
そして、当該支持リブ2の端部周辺の端面から溶接部分7(図9参照)に至るまで、当該支持リブ2が支持リブ2の幅方向(図9のz軸方向)に滑らかに広がる形状に形成されるように、支持リブ2の端部の端面(具体的には図10の端面21)を溶接する。これにより、溶接部分7(図9参照)を含めて当該支持リブ2の端部周辺の端面が、当該支持リブ2の幅方向(図9のz軸方向)に滑らかに広がる形状に形成される。
【0032】
この構成によれば、当該支持リブ2の端部周辺の端面から溶接部分7(図9参照)に至るまで滑らかに広がるので、支持リブ2において、疲労強度の低い溶接部分から、疲労強度の高い母材に応力がかかる点を移すことができるため、溶接部分の疲労破壊を回避することができる。
【0033】
ここで本実施形態では一例として、支持リブ2の幅方向に広がる形状は、凹曲面形状である。また図9に示すように、本実施形態では一例として、支持リブ2の幅方向における支持リブ2の端部の端面21の位置は、当該支持リブ2の中央付近の端面の位置と略同じである。図10の矢印Cに示すように、支持リブ2は、端面の角が面取りされている。また、図10に示すように、支持リブ2の端面側の中央付近の厚みは、支持リブ2の端面側の端部付近の厚みより薄くなっており、図10の矢印Rに示すように、支持リブ2の端面側の中央付近と支持リブ2の端面側の端部付近の境界は、凹曲面形状によって、滑らかにつながっている。
【0034】
続いて、図11〜13を用いて、支持リブ2の端部周辺の端面が、溶接部分7(図9参照)にかけて当該支持リブ2の幅方向に滑らかに広がる形状に形成されたときの効果を説明する。図11は、比較例に係る支持リブ201の一部断面図である。図12は、本実施形態に係る支持リブ2の一部断面図である。図13は、比較例と本実施形態との間で、応力分布を比較したグラフである。図13において、縦軸は応力で横軸は図11及び12のx軸方向の位置である。波形W1が比較例の応力分布で、波形W2が本実施形態の応力分布である。
【0035】
図11に示すように、比較例に係る支持リブ201の端面は、中央付近から端部に至るまでx軸と平行であり、支持リブ201の端部がポンプケーシング202に垂直に溶接されている。ポンプケーシング202が水平に振動した場合、ポンプケーシング202は、位置202aから位置202bまで振れる。このとき、溶接部分の点P1に応力F1x及びF1yがかかる。このため、疲労強度の低い溶接部分に応力が集中するため、溶接部分の疲労破壊が発生するおそれがある。
【0036】
それに対して、本実施形態では、図12に示すように、吊下管105が水平に振動した場合、支持リブ2は、吊下管105とともに一体的に矢印A3方向、矢印A4方向に交互に動く。このとき、溶接部分から離れた点P2に応力F2x及びF2yがかかる。
【0037】
図13に示すように、比較例と比べて、本実施形態では、応力のピークの位置がx軸正方向にずれている。このように、本実施形態の構成によれば、支持リブ2において、疲労強度の低い溶接部分から、疲労強度の高い母材に応力がかかる点を移すことができるため、溶接部分の疲労破壊を回避することができる。
【0038】
また、比較例と比べて、本実施形態では、応力のピーク値が小さくなっている。これは、支持リブ2の幅方向に滑らかに広がる形状は凹曲面形状であるため、支持リブ2は、吊下管105とともに一体的に滑らかに動くので、支持リブ2にかかる応力を抑えることができる。このため、溶接部分の疲労破壊を回避することができる。
【0039】
以上、本実施形態に係る支持リブ1〜4は、ポンプ100に使用する部品をポンプケーシング103に溶接により固定する支持リブ1〜4であって、当該支持リブ1〜4の端部周辺の端面は、当該端部の端に近づくに従って当該支持リブ1〜4の幅方向に広がる形状を有している。そして当該支持リブ1〜4の端面の中央付近は角が面取りされているか、または略凸曲面形状を有しており、当該支持リブ1〜4の端面がポンプ100内の流体の流れの方向に略直交する面となるように、当該支持リブ1〜4が固定される。
【0040】
この構成により、ポンプ100内の水の流れに対する支持リブ1〜4の抵抗を低減することができ、ポンプの仕事効率を向上させることができる。当該支持リブ1〜4の端部周辺の端面が、溶接部分にかけて当該支持リブ1〜4の幅方向に滑らかに広がる形状に形成されるので、支持リブ1〜4において、疲労強度の低い溶接部分から、疲労強度の高い母材に応力がかかる点を移すことができる。これにより、溶接部分の疲労破壊を回避することができる。このように、ポンプ内の水の流れに対する抵抗抑制効果を保ちつつ溶接部分の疲労破壊を回避することができる。
更に、支持リブ1〜4を削ることにより、使用する鋼材の量を減らすことができるので、鋼材の省資源化を図ることができる。また支持リブ1〜4を一部だけ削るだけでよいので加工時間を短縮するとともに、加工作業性を向上させることができる。
【0041】
<変形例>
続いて、本実施形態の変形例にかかる支持リブについて図14〜16を用いて説明する。図14は、本実施形態の変形例にかかるB−B’断面図である。図14に示すように、軸受支持部5は、支持リブ1b、2bを介して吊下管105に固定されている。溶接によって溶接部分8が形成され、支持リブ1bは、吊下管105に固定される。溶接によって溶接部分9が形成され、支持リブ2bは、吊下管105に固定されている。
【0042】
図15は、本実施形態の変形例にかかる支持リブ2bの平面図である。図15に示すように、本実施形態の支持リブ2(図9参照)とは違って、本変形例では、支持リブ2bの幅方向(図15のz軸方向)における支持リブ2bの端部の端面21bの位置は、当該支持リブ2bの中央付近の端面の位置より外側(z軸正方向側)に位置している。
【0043】
図16は、図14の領域R3に含まれる支持リブの拡大斜視図である。図16に示すように、本実施形態と同様に、本変形例においても支持リブ2の端面の中央付近は角が面取りされており、略凸曲面形状を有している。
【0044】
なお、支持リブ2の端面の形状は、溶接部分7(図9参照)にかけて凹曲面形状になっているだけに限らず、支持リブ2の端部付近が図12のx軸に対して斜めに傾斜した平面で構成され且つ図12の点P2の近傍で凹曲面形状に構成されていてもよい。または、溶接部分7が図12のx軸に対して斜めに傾斜した平面で構成され且つ他の部分が凹曲面形状で構成されていてもよい。また、本実施形態では、支持体の一例として支持リブ1〜4について説明したが、これに限らず、ガイドケーシング104の内面に固定されたガイドベーンであってもよいし、吐出曲管106の内面に固定された整流板などであってもよい。また本実施形態では溶接の一例として隅肉溶接を用いたが、これに限らず、他の溶接でもよい。
【0045】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1、1b、2、2b、3、4、201 支持リブ
100 ポンプ
101 ポンプ据付床
102 羽根車
103、202 ポンプケーシング
104 ガイドケーシング
105 吊下管
106 吐出曲管
107 回転軸
108、109 水中軸受
110 外軸受
111 電動機
112 回転軸
114 ポンプベース
5 軸受支持部
7、8、9 溶接部分
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図16