特許第6824503号(P6824503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6824503
(24)【登録日】2021年1月15日
(45)【発行日】2021年2月3日
(54)【発明の名称】土砂採取装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/04 20060101AFI20210121BHJP
   G01N 1/08 20060101ALI20210121BHJP
【FI】
   E02D1/04
   G01N1/08 D
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-240581(P2018-240581)
(22)【出願日】2018年12月25日
(65)【公開番号】特開2020-101029(P2020-101029A)
(43)【公開日】2020年7月2日
【審査請求日】2019年1月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年5月11日掲載、ウエブサイトのアドレス http://www.jpgu.org/meeting_2018にて、菅沼悠介、香月興太、田邊優貴子が発明した可搬型パーカッションピストンコアラーに関する開発について発表した。 〔刊行物等〕 平成30年5月22日開催、日本地球惑星科学連合2018大会にて、菅沼悠介、香月興太、田邊優貴子が発明した可搬型パーカッションピストンコアラーに関する開発について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】504202472
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 悠介
(72)【発明者】
【氏名】香月 興太
(72)【発明者】
【氏名】田邊 優貴子
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−161677(JP,A)
【文献】 特開2010−059619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/04
G01N 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の直線を共通の軸線として該軸線に沿って伸びる、外力を受けて土砂中に貫入される筒状の貫入部と、該貫入部に分離可能に接続され前記貫入部に連通する管状の土砂収容部と、該土砂収容部に分離可能に接続された、前記外力が導入される外力導入部とを含み、
前記外力導入部は1の管部材又は互いに分離可能に接続された複数の管部材からなる
土砂採取装置。
【請求項2】
前記外力導入部を構成する前記複数の管部材は筒状の継手と複数のボルトとを介して互いに分離可能に接続され
各管部材はその端部に設けられその表面に開放する2つの環状の凹溝を有し、前記継手はその両端部にそれぞれその周方向へ互いに等間隔をおいて設けられた複数のねじ穴を有し、
前記継手は、その両端部において、2つの管部材の互いに相対する2つの端部の周囲を取り巻きかつ前記2つの端部に接し、前記複数のボルトはそれぞれ前記継手の複数のねじ穴に螺合され前記2つの管部材の2つの環状の凹溝の底面に接している、請求項1に記載の土砂採取装置。
【請求項3】
前記土砂収容部は、1の管部材又は互いに分離可能に接続された複数の管部材からなり、
前記土砂収容部を構成する管部材と前記外力導入部を構成する管部材とが筒状の継手と複数のボルトとを介して互いに分離可能に接続され
前記外力導入部を構成する管部材は、その端部に設けられその表面に開放する2つの環状の凹溝を有し、前記継手はその端部にその周方向へ互いに等間隔をおいて設けられた複数のねじ穴を有し、
前記継手は、その端部において、前記外力導入部を構成する管部材の端部の周囲を取り巻きかつこれに接し、前記複数のボルトはそれぞれ前記継手の複数のねじ穴に螺合され前記外力導入部を構成する管部材の2つの環状の凹溝の底面に接している、請求項1又は2に記載の土砂採取装置。
【請求項4】
前記土砂収容部を構成する管部材は透明である、請求項に記載の土砂採取装置。
【請求項5】
前記土砂収容部を構成する管部材はポリカーボネート樹脂からなる、請求項に記載の土砂採取装置。
【請求項6】
前記外力導入部を構成する管部材はカーボン樹脂からなる、請求項1又は2に記載の土砂採取装置。
【請求項7】
前記外力は打撃力又は推力である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の土砂採取装置。
【請求項8】
さらに、前記土砂収容部内に配置され該土砂収容部内をその長手方向へ相対的に移動可能であるピストンを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の土砂採取装置。
【請求項9】
さらに、前記貫入部と前記土砂収容部との間に配置された土砂逆流制限部材を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の土砂採取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土砂採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土砂採取装置の一つとして、ボーリング装置と称される採泥器具が提案されている。また、人力での運用が可能な携帯型の採泥器も複数存在するが,総じて湖底や海底の軟泥のみ採取可能で,湖底や海底の砂礫の柱状堆積物を採取できる携帯型の採泥器はこれまで存在していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3101398号公報
【特許文献2】特開2004−92205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来の事情に鑑み、運搬を容易にし得る土砂採取装置を提供する。また、本発明は、湖底や海底の砂礫の柱状堆積物の採取を可能とする土砂採取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る土砂採取装置は、外力を受けて土砂中に貫入される筒状の貫入部と、該貫入部に分離可能に接続され前記貫入部に連通する管状の土砂収容部と、該土砂収容部に分離可能に接続された、前記外力が導入される外力導入部とを含む。
【0006】
本発明によれば、土砂採取装置を構成する貫入部と土砂収容部とが互いに分離可能に接続され、また、土砂収容部と外力導入部とが互いに分離可能に接続されている。このことから、前記土砂収容部を前記貫入部及び前記外力導入部の双方から分離し、独立した状態におくことができる。これによれば、採取された土砂が収容された前記土砂収容部のみの保管及び運搬が可能であり、これにより採取土砂の保管及び運搬を容易にすることができる。また、前記貫入部及び土砂収容部と、前記土砂収容部及び外力導入部とをそれぞれ互いに他の一方から分離可能とすることにより、土砂採取地への前記土砂採取装置の搬入時における持ち運びを容易にすることができる。さらに、前記土砂収容部の交換により、前記土砂採取装置による、先の土砂の採取に引き続く例えば隣接する他の箇所での土砂の採取を比較的迅速に再開することができる。
【0007】
前記土砂収容部は、1の管部材又は互いに分離可能に接続された複数の管部材からなるものとすることができる。これによれば、土砂の採取深度に合わせて、前記土砂収容部の長さを調整することができる。また、前記土砂収容部を構成する管部材は、好ましくは透明である。これによれば、採取した土砂の長さ、性状、層相等について、外部からの目視による確認を行うことができる。透明な前記管部材は、例えばポリカーボネート樹脂からなるものとすることができる。前記ポリカーボネート樹脂製の管部材は比較的軽量であり、その持ち運びに便利である。
【0008】
前記土砂収容部を構成する管部材と前記外力導入部を構成する管部材とは筒状の継手と複数のボルトとを介して互いに分離可能に接続されたものとすることができる。前記外力導入部を構成する管部材は、その端部に設けられその表面に開放する2つの環状の凹溝を有し、前記継手はその端部にその周方向へ互いに等間隔をおいて設けられた複数のねじ穴を有する。前記継手は、その端部において、前記外力導入部を構成する管部材の端部の周囲を取り巻きかつこれに接し、前記複数のボルトはそれぞれ前記継手の複数のねじ穴に螺合され前記外力導入部を構成する管部材の2つの環状の凹溝の底面に接している。
【0009】
前記外力導入部は1の管部材又は互いに分離可能に接続された複数の管部材からなる。これによれば、水深、土砂の採取深度等に合わせて、前記外力導入部の長さを調整することができる。前記貫入部に対する外力は、前記外力導入部を構成する前記管部材に鉛直方向への打撃力や推力を及ぼすことにより付与することができる。前記外力の付与により、比較的硬い地盤の土砂に対する前記貫入部の貫入を可能とすることができ、これにより湖底や海底の砂礫の柱状堆積物の採取を可能とすることができる。前記外力導入部を構成する管部材は、好ましくは、比較的軽量でありまた比較的高い機械的強度を有するカーボン樹脂からなる。前記カーボン樹脂製の管部材も、また、その軽量性のため、その持ち運びに便利である。
【0010】
前記外力導入部を構成する前記複数の管部材は筒状の継手と複数のボルトとを介して互いに分離可能に接続されたものとすることができる。各管部材はその端部に設けられその表面に開放する2つの環状の凹溝を有し、前記継手はその両端部にそれぞれその周方向へ互いに等間隔をおいて設けられた複数のねじ穴を有する。また、前記継手は、その両端部において、2つの管部材の互いに相対する2つの端部の周囲を取り巻きかつこれらに接し、前記複数のボルトはそれぞれ前記継手の複数のねじ穴に螺合され前記2つの管部材の2つの環状の凹溝の底面に接している。
【0011】
本発明に係る前記土砂採取装置は、さらに、前記貫入部内に配置され前記土砂収容部内をその長手方向へ相対的に移動可能であるピストンを含むものとすることができる。また、さらに、前記貫入部と前記土砂収容部との間に配置された土砂逆流制限部材を含むものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る土砂採取装置の概略的な斜視図である。
図2図1に示す土砂採取装置の概略的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2を参照すると、本発明の一の実施形態に係る土砂採取装置が全体に符号10で示されている。土砂採取装置10は、海、湖沼、河川等の水底地盤、特に湖氷や海氷下の水底地盤を構成する土砂(堆積物や粗粒堆積物を含む。)の採取に適する。但し、土砂採取装置10は、地上における地盤の構成土砂の採取に適用することが可能である。
【0014】
土砂採取装置10は、外力を受けて土砂中に貫入される筒状の貫入部12と、該貫入部に分離可能に接続され貫入部12に連通する管状の土砂収容部14と、該土砂収容部に分離可能に接続された、前記外力が導入される外力導入部16とを含む。貫入部12、土砂収容部14及び外力導入部16は、一の直線を共通の軸線L(図1)として、軸線Lに沿って伸びている。
【0015】
土砂採取装置10は、例えば湖氷や海氷下の水底の土砂の採取においては、予め前記湖氷や海氷に穴があけられ、前記湖氷や海氷上(地上)に設置された櫓18(図2)に吊り下げられる。このとき、土砂採取装置10は、櫓18に取り付けられた滑車20に掛けられたロープ(図示せず)を介して、その貫入部12を前記穴に向けて配置される。前記ロープはその一端部において例えば外力導入部16に結び付けられる。土砂採取装置10は、前記ロープの他端部を引いて前記ロープを緊張状態におくことにより上昇され、あるいは、前記ロープを引くことなく弛緩状態におくことにより下降可能の状態におかれる。土砂採取装置10の外力導入部16の長さは、予め、水底までの水深及び土砂の採取深さを考慮して、常に前記湖氷や海氷の穴から地上に突出する大きさに設定される。また、土砂収容部14の長さは土砂の採取深さを考慮して設定される。
【0016】
土砂採取装置10による土砂の採取に際しては、土砂採取装置10をその貫入部12が着底するまで水中を下降させた後、まず地上で外力導入部16に人力による外力、より詳細には推力を鉛直方向に及ぼす。これにより、前記推力が外力導入部16から土砂収容部14及び貫入部12に順次に伝達される。その結果、貫入部12は前記推力を受けて水底の土砂中に貫入され、あるいは,さらに土砂収容部14の一部が水底の土砂中に貫入される。
【0017】
その後、例えばハンドブレーカ22を用いて、土砂採取装置10の外力導入部16にその上方から打撃力からなる外力を鉛直方向に及ぼし、貫入部12をさらに深い深度位置まで下降させる。これにより、前記土砂が貫入部12を経て土砂収容部14へと流動し、土砂収容部14内に収容され、土砂(砂礫の柱状堆積物)が採取される。貫入部12への前記外力の付与は、図示の例に代えて、例えばジャッキ(図示せず)を使用して、鉛直方向への推力を加えることにより行うことができる。
【0018】
前記土砂の採取後、土砂採取装置10を地上に引き上げる。引き上げ後、土砂収容部14を貫入部12と外力導入部16とから分離する。分離された土砂収容部14はこれのみを保管し、あるいは運搬することができる。また、貫入部12及び外力導入部16に予め準備した新たな他の土砂収容部14を接続することにより、比較的短時間のうちにまた比較的容易に、例えば先に行った箇所に隣接する他の箇所での土砂の採取作業を再開することができる。さらに、土砂採取装置10を貫入部12と、土砂収容部14と、外力導入部16とに分離、分解することにより、土砂採取地までのあるいは該土砂採取地からの土砂採取装置10の持ち運びを比較的容易に行うことができる。
【0019】
図示の例において、筒状の貫入部12は全体に先細の形状を呈し、図2で見て下方に向けて漸減する直径を有する頭円錐形の部分12aと、該
頭円錐形の部分の上端に連なる円筒形の部分12bとからなる。貫入部12は、ステンレス鋼のような金属材料、好ましくは焼き入れされた酸化モリブデン鋼で形成されている。前記酸化モリブデン鋼製の貫入部12は、比較的硬質の土砂、例えば砂礫質の堆積物を貫通し、また、比較的大きい外力に耐え得る機械的強度を有する。貫入部12を前記酸化モリブデン鋼のような比較的高い機械的強度を有するものとし、また、貫入部12が前記外力を受けて水底に貫入されるものとすることにより、貫入部12が水底下の岩盤に到達し得るようにすることができる。
【0020】
図示の土砂収容部14は1つの管部材24からなる。管部材24は、好ましくはアルミニウムや鉄のような金属材料、より好ましくは透明な材料(例えば、ポリカーボネート樹脂)で形成されている。前記ポリカーボネート樹脂製の管部材24は比較的軽量であることからその運搬や取扱いが容易であり、また、前記外力の伝達に耐え得る比較的高い機械的強度を有する。土砂収容部14は、土砂の採取深度に合わせて設定された長さを有するものとし、あるいは、互いに分離可能に接続された複数の管部材24からなるものとすることができる。管部材24の相互接続は、例えば、後記外力導入部16を構成する管部材26の相互接続に使用されると同様の筒状の継手(図示せず)と複数のボルト(図示せず)とを介して行うことができる。
【0021】
土砂収容部14を構成する管部材24は、金属製(好ましくはステンレス鋼製)の筒状の継手28及び複数のボルト30(図1)を介して、貫入部12に接続されている。継手28は、その両端部にそれぞれ、その周方向へ互いに等間隔をおいて設けられた複数のねじ穴28a、28b(図2)を有する。継手28はその両端部においてそれぞれ貫入部12の円筒形の部分12b及び土砂収容部14の管部材24の一端部(図上、下端部)の周囲を取り巻きかつこれらに接している。継手28はそのねじ穴28a及びねじ穴28bにそれぞれ螺合され貫入部12の円筒形の部分12b及び管部材24の前記一端部を押圧する複数のボルト30により、貫入部12及び土砂収容部14の管部材24に解除可能に固定されている。
【0022】
前記外力が導入される外力導入部16は、互いに分離可能に接続された複数(図示の例にあっては上下2つ)の管部材26からなる。但し、水底までの水深及び土砂の採取深度の程度に合わせて、単一の管部材26のみからなるものとすることができる。管部材26は、好ましくはカーボン樹脂で形成され、土砂収容部14を構成する管部材24と比べて小さい外径を有する。カーボン樹脂製の管部材26は、比較的軽量であり、その取り扱い及び運搬が容易である。また、カーボン樹脂製の管部材26は比較的高い機械的強度及び曲げ剛性を有する。このことから、導入された前記外力の土砂収容部14への伝達機能に優れ、また、前記外力を導入したときに生じる撓み(しなり)の程度が比較的小さい。外力導入部16への前記打撃力の導入は、土砂の採取に際して、作業者がハンドブレーカ22を両手に持ち、そのチゼル(ノミ)22aを上方の管部材26の上端部に差し込んで該管部材上に載せた後、ハンドブレーカ22を作動させることにより行う。
【0023】
図示の外力導入部16を構成する管部材26同士の相互接続は、筒状の継手32及び複数のボルト34(図1)を介して行われている。継手32は、その両端部にそれぞれ、その周方向へ互いに等間隔をおいて設けられた複数のねじ穴32a、32b(図2)を有する。継手32は、その両端部において、両管部材26の互いに相対する2つの端部(下端部及び上端部)の周囲を取り巻きかつこれらに接している。継手32は、そのねじ穴32a及びねじ穴32bにそれぞれ螺合され両管部材26を押圧する複数のボルト34により、両管部材26に解除可能に固定されている。図示の例にあっては、ボルト34の先端部が、各管部材26の各端部に設けられその表面に開放する2つの環状の凹溝26a、26b(図2)の底面に接している。これにより、前記外力を受ける管部材26相互の軸線方向への力の伝達をより確実にすることができる。
【0024】
また、土砂収容部14を構成する管部材24と、外力導入部16を構成する一方(図1及び図2で見て下方)の管部材26との相互接続は、全体に凸形を呈する筒状の継手36及びボルト38、40を介して行われている。継手36は、互いに連なる大径部36a及び小径部36bからなる。継手36の大径部36aは土砂収容部14の管部材24の他端部(同上端部)の周囲を取り巻きかつ該他端部に接している。加えて、管部材24の前記他端部の先端は継手36の大径部36aと小径部36bとの境界面に接している。また、継手36の小径部36bは外力導入部16の下方の管部材26の端部(同下端部)の周囲を取り巻きかつ該端部に接している。継手36の大径部36a及び小径部36bは、それぞれ、これらの周方向に互いに等間隔をおいて配置された複数のねじ穴36c、36d(図2)を有する。
【0025】
継手36は、そのねじ穴36c及びねじ穴36dにそれぞれ螺合され両管部材24、26を押圧する複数のボルト38、40(図1)により、両管部材24、26に解除可能に固定されている。図示の例にあっては、両ボルト38、40のうちの一方のボルト40の先端部が、外力導入部16の下方の管部材26の2つの環状の凹溝26aの底面に接している。
【0026】
図示の土砂採取装置10にあっては、さらに、土砂収容部14を構成する管部材24内に配置され管部材24内をその長手方向へ相対的に移動可能であるピストン42(図2)を含む。ピストン42にはワイヤ44が連結されている。ワイヤ44は、管部材24内及び外力導入部16の上下両管部材26の継手32内を伸び、継手32の両端部間に設けられた孔46を経て継手32の外部に伸びている。ピストン42は好ましくはプラスチック材料で形成された本体42aと、該本体の周面上に配置され管部材24の内面に液密的に当接可能であるゴム製の複数のピストンリング42bとを有する。
【0027】
ピストン42は、例えば水底土砂の採取時、地上において作業者がワイヤ44を引くことにより、水底の上方近傍に位置するように存置され、土砂中における土砂収容部14の管部材24の下降に伴って管部材24内に流入する土砂により管部材24内を押し上げられる。このとき、ピストン42の上昇に合わせてワイヤ44が引き上げられる。また、このとき、管部材24内に生じる負圧が前記土砂を管部材24内に保持し、管部材24内からの前記土砂の流出を制限する働きをなす。
【0028】
さらに、土砂採取装置10が、貫入部12と土砂収容部14を構成する管部材24との間に配置された土砂逆流制限部材48(図2)を含むものとすることができる。土砂逆流制限部材48は、例えば銅のような金属材料からなり、円筒部48aと、該円筒部の周方向に互いに等間隔をおいて配置され円筒部48aから図2で見て上方へまた軸線Lに向けて円弧状に伸びる複数の爪部48bとを有する。土砂逆流制限部材48は、その円筒部48aを貫入部12に向けてまたその爪部48bを土砂収容部14の管部材24に向けて配置され、貫入部12の円筒形の部分12bに固定されている。土砂逆流制限部材48は、その爪部48bにおいて、土砂収容部14の管部材24内への土砂の流入を許し、かつ、管部材24外へ流出を制限する働きをなす。
【符号の説明】
【0029】
10 土砂採取装置
12 貫入部
14 土砂収容部
16 外力導入部
24 管部材
26 管部材
図1
図2