(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1種のポリイソシアネートを、少なくとも1種のポリエポキシドと混合する工程を含み、前記混合する工程が、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、及びその誘導体からなる群から選択される、少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まない少なくとも1種のルイス塩基に基づく触媒システムの存在下で行われる、樹脂を製造する方法であって、
前記触媒システムが、使用される前記ポリイソシアネート及びポリエポキシドの合計に基づいて、0.001〜1質量%の量で使用され、且つ
前記方法が、少なくとも以下の工程:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種のポリエポキシド、及び前記触媒システムを混合し、混合物(I)を得る工程、
(ii)前記混合物(I)を金型中へ、又は所望の反応部位へ、注入、噴霧、又は供給によって配置する工程、
(iii)前記混合物(I)を、前記混合物が硬化するまで、70〜100℃の範囲の温度に加熱する工程、
を含み、
前記少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリエポキシドとの反応中に、添加される水素酸性化合物がなく、且つ、
前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、2〜30%のNCO含有量を有するプレポリマーである、
方法。
前記少なくとも1種のポリエポキシドが、ビスフェノールAエポキシド、ビスフェノールFエポキシド、それらの誘導体、脂肪族のジ−、又はトリ−エポキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
前記少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリエポキシドとの反応中に、使用されるエポキシド以外のイソシアネート反応性化合物がない請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
前記少なくとも1種のポリイソシアネートの、前記少なくとも1種のポリエポキシドに対する当量比が、0.25:1〜5000:1の範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
前記少なくとも1種のポリエポキシドが、ビスフェノールAエポキシド、ビスフェノールFエポキシド、それらの誘導体、脂肪族のジ−、又はトリ−エポキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される請求項7又は8に記載の樹脂。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に従って、前記触媒システムは、好ましくは、使用される前記ポリイソシアネート及びポリエポキシドの合計に基づいて、0.001〜1質量%の量で使用される。触媒システムは、好ましくは、使用される前記ポリイソシアネート及びポリエポキシドの合計に基づいて、0.005〜0.75質量%の量で、さらに好ましくは、使用される前記ポリイソシアネート及びポリエポキシドの合計に基づいて、0.01〜0.5質量%の量で使用される。
【0014】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、上記の通りの樹脂を製造する方法であって、前記触媒システムが、使用される前記ポリイソシアネート及びポリエポキシドの合計に基づいて、0.001〜1質量%の量で使用される方法に関する。
【0015】
さらなる実施形態において、さらに本発明は、上記の通りの樹脂を製造する方法であって、前記方法が、少なくとも以下の工程:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種のポリエポキシド、及び前記触媒システムを混合し、混合物(I)を得る工程、
(ii)前記混合物(I)を金型中へ、又は所望の反応部位へ、注入(pouring)、噴霧(spraying)、又は供給(distributing)によって配置する工程、
(iii)前記混合物(I)を、前記混合物が硬化するまで、70〜100℃の範囲の温度に加熱する工程、
を含む方法に関する。
【0016】
本発明に従って、前記少なくとも1種のポリイソシアネート、前記少なくとも1種のポリエポキシド、及び前記触媒システム前記混合物(I)は、低粘度であり、好ましくは、25℃の温度で、45分を超える、さらに好ましくは60分を超える、さらに好ましくは90分を超える、極めて好ましくは180分を超える、特に好ましくは240分を超えるゲル化時間(ゲルタイム)を有する。
【0017】
ここでゲル化時間は、本発明との関連で、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、及び触媒の100gの混合物の、室温で、固形物を形成する反応として定義される。この混合物のゲル化時間は、model 100 Shyodu Gel Timerを使用して測定される。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態において、前記混合物(I)の25℃での粘度は、45分間で、さらに好ましくは60分間で、好ましくは90分間で、さらに好ましくは180分間で、極めて好ましくは240分間でほとんど変化せず、材料は、優れた流動性を有する。本発明のこの好ましい実施形態において、前記粘度は、この期間で、初期の粘度の200%を超えて、好ましくは100%を超えて、さらに好ましくは50%超えて上昇しない。
【0019】
前記少なくとも1種のポリイソシアネート、前記少なくとも1種のポリエポキシド、及び前記触媒システムに加えて、前記混合物(I)は、さらなる成分、例えば溶媒、反応性希釈剤、安定剤、消泡剤、増粘剤、チキソトロピック剤、添加剤、接着促進剤、充填剤、水捕捉剤、ポリオール、又はポリアミンを含んでもよい。
【0020】
従って、好ましい一実施形態によれば、本発明は、上記の通りの樹脂を製造する方法であって、前記混合物(I)が、25℃の温度で、60分を超えるゲル化時間を有する方法に関する。
【0021】
工程(ii)において、結果として生じる混合物(I)が供給される。本発明の目的のため、供給は、任意の適切な方法で、特に注入、噴霧、分配によって行なわれてもよい。適切な技術は、それ自体、当業者に公知である。
【0022】
その後、工程(iii)に従って、温度処理がある。本発明に従って、前記少なくとも1種のポリイソシアネート、前記少なくとも1種のポリエポキシド、及び前記触媒システムの混合物は、好ましくは25℃の温度で非反応性である。本発明に従って、硬化は、単に加熱のみ、好ましくは100℃未満の温度への加熱、さらに好ましくは70〜100℃の範囲の温度への加熱で行なわれる。
【0023】
したがって、本発明は、さらなる実施形態において、上記の通りの樹脂を製造する方法であって、反応が、100℃未満の温度で開始する方法に関する。
【0024】
本発明に従って、前記加熱は、前記混合物が硬化するまで行なわれる。本明細書において、前記混合物の硬化は、最終的な硬度の、少なくとも20%、好ましくは50%、さらに好ましくは75%の到達を意味する。硬化は、「粘着しない(tack-free)」状態に到達するために必要な時間としても理解され得る。
【0025】
加熱は、当業者に公知の任意の適切な方法で、好ましくは電気加熱、オイル又は水、金型の加熱、誘導アレイ、熱風、又は樹脂表面上への赤外線(IR)放射によって行なわれ得る。
【0026】
本発明の方法は、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、及びその誘導体からなる群から選択される、少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まない少なくとも1種のルイス塩基に基づく触媒システムを使用する。本発明に従って、前記触媒自体は反応されない。
【0027】
前記触媒システムは、好ましくは金属を含まない(metal-free)触媒システム、言い換えれば、金属を含まない(no metal-containing)触媒が使用される。したがって、さらなる実施形態において、本発明は、上記の通りの樹脂を製造する方法であって、前記触媒システムが、金属を含まない触媒システムである方法に関する。
【0028】
本発明に従って、前記触媒システムは、好ましくは、25℃での樹脂系の加工時間が、45分より長く、さらに好ましくは60分より長く、好ましくは90分より長く、さらに好ましくは180分より長く、極めて好ましくは240分より長く、設定され得る。
【0029】
本発明に従って、少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まない少なくとも1種のルイス塩基に基づく触媒システムが使用される。このシステムは、本発明の目的において、少なくとも1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、及びその誘導体を含む。
【0030】
特に有利に、前記金属を含まないルイス塩基は、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エンの誘導体、さらに好ましくは、ブロックされた(blocked)1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、さらに好ましくは、フェノールでブロックされた(phenol-blocked)1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エンである。例えば、前記金属を含まないルイス塩基は、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エンの誘導体、又は1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エンの、例えば、フェノール又は酸等の酸性成分との混合物である。この種の製品は、例えば、Polycat SA1/10、Toyocat DB30、Toyocat DB41、Toyocat DB42、又はToyocat DB60等の様々な商品名の下で市販される。1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、又はフェノールでブロックされた1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エンを使用することが特に好ましい。
【0031】
本発明のさらなる実施形態において、本発明の1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エンと一緒に、触媒として、さらに第3級アミンを添加することが有利であり得る。この場合、その場合、本発明の1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エンは、過剰に存在する。1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エンの、他の第3級アミンに対する好ましい比率は、51:49、好ましくは75:25、さらに好ましくは90:10、極めて好ましくは95:5、特に99:1である。
【0032】
本発明の目的のために使用されるポリエポキシドは、任意の所望の化合物であってよい。これらのポリエポキシドは、少なくとも1個のエポキシ基、ただし好ましくは2個以上のエポキシ基を含む。適切なポリエポキシドは、例えば、the Handbook of Epoxy Resins (H.Lee,K.Neville,McGraw−Hill Book Company) 等の文献から、当業者に公知である。一官能性エポキシドに挙げられ得る例は、例えばイソプロピルグリシジルエーテル、tert−ブチルグリシジルエーテル、又はエチルヘキシルグリシジルエーテルである。エピクロルヒドリン、並びにビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールK、ビスフェノールS、ビスフェノール、ヒドロキノン、レゾルシノール、テトラブロモビスフェノールA、フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂、ポリグリシジルエーテル、例えば、フタル酸、又はテレフタル酸及びそれらの誘導体と、脂肪族ジ−、又はトリ−エポキシドとのジグリシジルエステル、及びそれらの混合物に基づくエポキシドが、本発明の方法のために特に適切であると証明されている。この種の製品は、種々の製造業者によって、商品名Araldite(C)、D.E.R.(C)、Epilox(C)、又はBaxxores(C)の下で市販される。ビスフェノールAエポキシド、及びその誘導体、特に例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル、並びに上記の脂肪族ジ−、又はトリ−エポキシドとの混合物が、特に好ましい。
【0033】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、上記の通りの樹脂を製造する方法であって、前記少なくとも1種のポリエポキシドが、ビスフェノールAエポキシド、ビスフェノールFエポキシド、それらの誘導体、脂肪族のジ−、又はトリ−エポキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される方法に関する。
【0034】
本発明に従って、異なるポリエポキシドの混合物を使用することも可能である。
【0035】
したがって、さらなる一実施形態において、本発明は、上記の通りの樹脂を製造する方法であって、前記少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリエポキシドとの反応中に、使用されるエポキシド以外のイソシアネート反応性化合物がない方法に関する。
【0036】
本発明に従って、ポリエポキシドは、その物質だけを、又はポリエポキシド及び少なくとも1種の希釈剤を含む組成物の形態で使用され得る。当業者に公知の適切な希釈剤の例は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、炭化水素等の非反応性溶媒、低粘度の直鎖ジ−又はトリ−エポキシド等の反応性希釈剤、フタル酸エステル、又はクエン酸エステル等の可塑剤である。下記についても、本発明の目的のための希釈剤として、理解されるべきである:例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の短鎖ジオール、若しくはトリオールに基づくモノグリシジルエーテル、又はジグリシジルエーテル、又はポリオキシプロピレングリコール等の低粘度反応性希釈剤。
【0037】
ポリイソシアネートとして、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、及び/又は芳香族ジイソシアネートを使用することが可能である。具体的な例は、以下の芳香族イソシアネート:2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、ウレタン修飾された液体の4,4’−及び/又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニルエタン、モノマー性メタンジフェニルジイソシアネート及びメタンジフェニルジイソシアネートのより高度の多環式同族体(ポリマーMDI)の混合物、1,2−及び1,5−ナフチレンジイソシアネートを含む。
【0038】
使用される脂肪族ジイソシアネートは、慣例的に脂肪族、及び/又は脂環式ジイソシアネートであり、例としては、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2−エチルブチレン1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−及び/又は1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−及び/又は−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−、2,4’−及び/又は2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
【0039】
ポリイソシアネートプレポリマーは、上記のポリイソシアネートを過剰に、30〜100℃の温度で、例えば、好ましくは約80℃で、ポリオールと反応し、プレポリマーを生成することによって得られる。本発明のプレポリマーの調製のため、ポリイソシアネート及び、例えば、アジピン酸から開始するポリエステルに基づく、又は例えば、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドから開始するポリエーテルに基づく市販のポリオールを使用することが好ましい。
【0040】
ポリオールは、当業者に公知であり、例えば、“Kunststoffhandbuch,volume 7,Polyurethane”,Carl Hanser Verlag,3rd edition 1993,section3.1に記載される。これに関連して、好適に使用されるポリオールは、イソシアネートに対して反応性である水素原子を有する、b)の下で記載されるポリマー化合物である。ポリエーテルオールが、ポリオールとして使用するのに特に好ましい。
【0041】
イソシアネートプレポリマーの調製において、慣例の鎖延長剤、又は架橋剤が、任意に規定されたポリオールに添加される。そのような物質は、以下にc)の下で記載される。1,4−ブタンジオール、ジプロピレングリコール及び/又はトリプロピレングリコールが、鎖延長剤として使用するために特に好ましい。この場合、有機ポリイソシアネートの、ポリオール及び鎖延長剤に対する比率は、好ましくはイソシアネートプレポリマーが2%〜30%、好ましくは6%〜28%、さらに好ましくは10%〜24%のNCO含有量を有するように選択される。
【0042】
特に好ましいポリイソシアネートは、MDI、ポリマーMDI、及びTDI、さらにそれらの誘導体、又はこれらのポリイソシアネートのプレポリマーからなる群から選択される。
【0043】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、上記の通りの樹脂を製造する方法であって、前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、芳香族、芳香脂肪族、及び脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選択される方法に関する。
【0044】
本発明に従って、ポリイソシアネートは、その物質だけを、又は例えば、イソシアネートプレポリマー等の組成物の形態で使用され得る。さらなる実施形態において、混合物は、ポリイソシアネート及び少なくとも1種の希釈剤を含む混合物が使用され得る。適切な溶媒は、当業者に公知である。ポリイソシアネート及びポリエポキシドの混合物は、好ましくは、ポリイソシアネートのポリエポキシドに対する当量比が0.25:1〜5000:1、さらに好ましくは0.35:1〜500:1、極めて好ましくは0.5:1〜100:1、特に0.75:1〜50:1のポリイソシアネートで構成されるべきである。
【0045】
本発明に従って、慣例の助剤(auxiliary)を添加することが可能である。言及され得る例は、界面活性物質、フィラー、さらなる難燃剤、核剤、酸化安定剤、潤滑助剤、及び離型助剤、染料、及び顔料、任意に加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤、例えば、無機及び/又は有機フィラー、補強材、及び可塑剤を含む。適切な助剤及び補助剤(adjuvant)は、例えばKunststoffhandbuch,volume VII,edited by Vieweg and Hochtlen,Carl Hanser Verlag,Munich 1966 (103−113頁)に見出され得る。
【0046】
驚くべきことに、硬化した樹脂の高湿条件での保存が、機械的特性におけるさらなる改善につながることが見出されている。この効果は特に、0.25:1〜4:1、好ましくは0.25:1〜3:1、さらに好ましくは0.25:1〜2:1の、ポリイソシアネートのポリエポキシドに対する当量比で観察される。この効果は、水蒸気雰囲気において、比較的短い保存でさえ、達成され得る。水(塩水、主水、脱塩水)の中における保存でも同様に、この効果は、高温(>50℃)で観察され得る。
【0047】
最終的な部品の特性の変化が、不必要な場合、又は熱及び高湿条件が不可能な場合、5:1より大きい、好ましくは7.5:1より大きい、さらに好ましくは10:1より大きい、ポリイソシアネートのポリエポキシドに対する当量比で操作することが好ましい。
【0048】
その結果、さらなる一実施形態に従って、本発明は、上記の通りの樹脂を製造する方法であって、反応において得られた完全に反応された樹脂が、反応後に高湿条件下で保存される方法に関する。
【0049】
本発明はまた、少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まないルイス塩基の、少なくとも1種のポリイソシアネートの、少なくとも1種のポリエポキシドとの混合のための触媒としての使用方法に関する。特に、本発明は、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、及びその誘導体の、少なくとも1種のポリイソシアネートの、少なくとも1種のポリエポキシドとの反応のための触媒としての使用方法に関し、さらに好ましくは、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、及びその誘導体の、ビスフェノールAエポキシド及びそれらの誘導体の、少なくとも1種のポリイソシアネートとの反応のための触媒としての使用方法に関する。
【0050】
本発明はさらにまた、本発明の方法によって得られる樹脂に関し、そのような樹脂から得られる成形体にも関する。
【0051】
さらなる態様に従って、本発明は、少なくとも1種のポリイソシアネートを、少なくとも1種のポリエポキシドと反応させることによって得られる樹脂であって、前記反応が、上記の通りの少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まない少なくとも1種のルイス塩基に基づく触媒システムの存在下で行われる樹脂に関する。
【0052】
特に、さらなる実施形態において、本発明は、上記の通りの樹脂であって、前記反応が、上記の通りの少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まない少なくとも1種のルイス塩基に基づく触媒システムの存在下で行われ、且つ前記方法が、少なくとも以下の工程:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種のポリエポキシド、及び前記触媒システムを混合し、混合物(I)を得る工程、
(ii)前記混合物(I)を金型中へ、又は所望の反応部位へ、注入、噴霧、又は供給によって配置する工程、
(iii)前記混合物(I)を、前記混合物が硬化するまで、70〜100℃の範囲の温度に加熱する工程、
を含む樹脂に関する。
【0053】
適切なポリエポキシド、ポリイソシアネート、及び触媒システムは、上記している。
【0054】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、上記の通りの樹脂であって、前記少なくとも1種のポリエポキシドが、ビスフェノールAエポキシド、それらの誘導体、及び脂肪族のジ−、又はトリ−エポキシドからなる群から選択される樹脂に関する。
【0055】
好ましくは、さらなる実施形態において、本発明は、上記の通りの樹脂であって、少なくとも1種のポリイソシアネートが、芳香族、芳香脂肪族、及び脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選択される樹脂に関する。
【0056】
好適に使用されるポリイソシアネートは、プレポリマーである。例えば、可塑剤等のさらなる補助剤が使用されない場合、プレポリマーにおけるイソシアネート画分を変化させることによって、例えば、硬度等のさらなる特性を調節することができる。
【0057】
本発明の樹脂のために期待される利用分野は、具体的には、コーティング、積層、シール、及び成形体の製造等の慣例のポリウレタン樹脂の用途に加えて、風力タービン用の動翼、船体、又は自動車用のプラスチックの車体等の、極めて高い表面積の部品が製造される用途を含む。ここで使用される加工方法は、具体的には、真空注入、及び加圧注入である。さらに考えられる用途は、自動車、建築保護、コンクリートコーティング、地域暖房、機械工学、及び海事用途の分野である。さらなる態様に従って、本発明はまた、上記の通りの本発明の方法によって得られる樹脂の、又は上記の通りの本発明の樹脂の、シールを製造するための、動翼、船体、若しくは車体部分用の部品を製造するための、又はコーティングのための使用方法にも関する。
【0058】
本発明のさらなる実施形態は、特許請求の範囲、及び実施例から明らかである。以下に説明されるように、且つ上記の通り、本発明の対象の、物/方法/使用方法は、具体的な特定の組み合わせにおいてだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせにおいても同様に、使用され得る。したがって、例えば、好ましい特徴の、さらに好ましい特徴との組み合わせ、又は他の特性化されていない特徴の、極めて好ましい特徴との組み合わせ等は、その組み合わせが、明示的に記載されていなくても、黙示的に含まれる。
【0059】
本発明を限定しない本発明の典型的な実施形態を、以下に一覧にする。特に、本発明は、下記の従属引用文献、従って組み合わせから生じる実施形態も包含する。
【0060】
1.少なくとも1種のポリイソシアネートを、少なくとも1種のポリエポキシドと混合する工程を含み、前記混合する工程が、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、及びその誘導体からなる群から選択される、少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まない少なくとも1種のルイス塩基に基づく触媒システムの存在下で行われる、樹脂を製造する方法。
【0061】
2.前記触媒システムが、使用される前記ポリイソシアネート及びポリエポキシドの合計に基づいて、0.001〜1質量%の量で使用される実施形態1に記載の方法。
【0062】
3.前記方法が、少なくとも以下の工程:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種のポリエポキシド、及び前記触媒システムを混合し、混合物(I)を得る工程、
(ii)前記混合物(I)を金型中へ、又は所望の反応部位へ、注入、噴霧、又は供給によって配置する工程、
(iii)前記混合物(I)を、前記混合物が硬化するまで、70〜100℃の範囲の温度に加熱する工程、
を含む実施形態1又は2に記載の方法。
【0063】
4.前記混合物(I)が、25℃の温度で、60分を超えるゲル化時間を有する実施形態3に記載の方法。
【0064】
5.前記少なくとも1種のポリエポキシドが、ビスフェノールAエポキシド、ビスフェノールFエポキシド、それらの誘導体、脂肪族のジ−、又はトリ−エポキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される実施形態1〜4のいずれかに記載の方法。
【0065】
6.前記少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリエポキシドとの反応中に、使用されるエポキシド以外のイソシアネート反応性化合物がない実施形態1〜5のいずれかに記載の方法。
【0066】
7.前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、芳香族、芳香脂肪族、及び脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選択される実施形態1〜6のいずれかに記載の方法。
【0067】
8.前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、2〜30%、好ましくは6%〜28%、さらに好ましくは10%〜24%のNCO含有量を有するプレポリマーである実施形態1〜7のいずれかに記載の方法。
【0068】
9.前記少なくとも1種のポリイソシアネートの前記少なくとも1種のポリエポキシドに対する当量比が、0.25:1〜5000:1の範囲である実施形態1〜8のいずれかに記載の方法。
【0069】
10.前記少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリエポキシドとの反応中に、添加される水素酸性化合物(hydrogen-acidic compound)がない実施形態1〜9のいずれかに記載の方法。
【0070】
11.少なくとも1種のポリイソシアネートの、少なくとも1種のポリエポキシドとの混合によって得られる、又は得られた樹脂であって、前記混合が、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、及びその誘導体からなる群から選択される、少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まない少なくとも1種のルイス塩基に基づく触媒システムの存在下で行われる樹脂。
【0071】
12.前記触媒システムが、使用される前記ポリイソシアネート及びポリエポキシドの合計に基づいて、0.01〜1質量%の量で使用される実施形態11に記載の樹脂。
【0072】
13.前記少なくとも1種のポリエポキシドが、ビスフェノールAエポキシド、ビスフェノールFエポキシド、それらの誘導体、脂肪族のジ−、又はトリ−エポキシド、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される実施形態11又は12に記載の樹脂。
【0073】
14.前記少なくとも1種のポリイソシアネートが、芳香族、芳香脂肪族、及び脂肪族ポリイソシアネートからなる群から選択される実施形態11〜13のいずれかに記載の樹脂。
【0074】
15.実施形態1〜10のいずれかに記載の方法によって得られる樹脂の、又は実施形態11〜14のいずれかに記載の樹脂の、シールを製造するための、動翼、船体、若しくは車体部分用の部品を製造するための、又はコーティングのための使用方法。
【0075】
16.少なくとも1種のポリイソシアネートを、少なくとも1種のポリエポキシドと混合する工程を含み、前記混合する工程が、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、及びその誘導体からなる群から選択される、少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まない少なくとも1種のルイス塩基に基づく触媒システムの存在下で行われる、樹脂を製造する方法であって、
前記触媒システムが、使用される前記ポリイソシアネート及びポリエポキシドの合計に基づいて、0.01〜1質量%の量で使用される方法。
【0076】
17.少なくとも1種のポリイソシアネートを、少なくとも1種のポリエポキシドと混合する工程を含み、前記混合する工程が、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、及びその誘導体からなる群から選択される、少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まない少なくとも1種のルイス塩基に基づく触媒システムの存在下で行われる、樹脂を製造する方法であって、前記方法が、少なくとも以下の工程:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種のポリエポキシド、及び前記触媒システムを混合し、混合物(I)を得る工程、
(ii)前記混合物(I)を金型中へ、又は所望の反応部位へ、注入、噴霧、又は供給によって配置する工程、
(iii)前記混合物(I)を、前記混合物が硬化するまで、70〜100℃の範囲の温度に加熱する工程、を含む方法。
【0077】
18.少なくとも1種のポリイソシアネートを、少なくとも1種のポリエポキシドと混合する工程を含み、前記混合する工程が、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン、及びその誘導体からなる群から選択される、少なくとも1個の窒素原子を有する、金属を含まない少なくとも1種のルイス塩基に基づく触媒システムの存在下で行われる、樹脂を製造する方法であって、前記触媒システムが、使用される前記ポリイソシアネート及びポリエポキシドの合計に基づいて、0.01〜1質量%の量で使用され、且つ前記方法が、少なくとも以下の工程:
(i)少なくとも1種のポリイソシアネート、少なくとも1種のポリエポキシド、及び前記触媒システムを混合し、混合物(I)を得る工程、
(ii)前記混合物(I)を金型中へ、又は所望の反応部位へ、注入、噴霧、又は供給によって配置する工程、
(iii)前記混合物(I)を、前記混合物が硬化するまで、70〜100℃の範囲の温度に加熱する工程、を含む方法。
【0078】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであるが、本発明の対象物に関して制限することは全くない。
【実施例】
【0079】
使用した出発材料は、以下の通りであった:
ISO1:Lupranat(登録商標) M20(BASF Polyurethanes GmbH製)、31.5%のNCO含有量を有するポリマーMDI;
ISO2:Prepolymer ISO137/28(BASF Polyurethanes GmbH製)、4,4’−MDI、カルボジイミド修飾MDI、及びポリプロピレングリエングリコールに基づき、18%のNCO含有量を有する;
ISO3:Lupranat(登録商標) MP102(BASF Polyurethanes GmbH製)、4,4’−MDIに基づくプレポリマー、22.9%のNCO含有量を有する;
ISO4:Prepolymer ISO136/144(BASF Polyurethanes GmbH製)、10%のNCO含有量を有する;
エポキシド:Baxxores(登録商標)ER5400(BASF製)、ビスフェノールAエポキシド、及び反応性希釈剤に基づくエポキシド混合物、172g/eqのエポキシ当量(EEW) を有する。
【0080】
Cat1:トリエチレンジアミン、プロピレングリコール中の33%強度溶液;
Cat2:1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン(DBU);
Cat3:Polycat(登録商標)9(Airproducts製)(ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−n,n−ジメチルプロパンジアミン);
Cat4:N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N,N’,N’−トリメチルプロパン−1,3−ジアミン;
Cat5:Thorcat535;
Cat6:Addocat(登録商標)PP(Rhein Chemie製);
Cat7:フェノールでブロックされた1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エン;
WM:Citrofol(登録商標)B1可塑剤(Jungbunzlauer製)
【0081】
1.実施例C1〜C8、及びI1及びI2
まず最初に、ポリエポキシド及び触媒の混合物を調製し、その後、イソシアネート成分を添加し、再度混合を行なった。全ての成分の温度は25℃であった。成分の粗製は、表1に開示している。オープンタイムは、室温でShyodu gel timerを使用して測定した。材料が、60分後、まだ固化していなかった場合、Shyodu gel timerによるオープンタイムの測定は、打ち切り、硬化を視覚的に評価した。材料が、まだ流動性を有していた場合、ゲル化点には、まだ到達していなかった。並行して、材料が固化するかどうかを見るため、対応する混合物を、80℃で、60分間加熱/硬化した。Cで符号化された実施例は、比較例である。
【0082】
【表1】
【0083】
驚くべきことに、1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エンとの組み合わせにおいて、エポキシド及びイソシアネートの混合物は、室温で極めて長い時間液体のままであり、その後、適度な温度で急速に反応し、固形物を形成することが見出された。その他のアミン触媒は、先行技術から公知の典型的な挙動を示す。実験はまた、そのような挙動が、金属触媒では得られないことも示す。Thorcat535のような金属触媒の使用は、エポキシド及びイソシアネートの混合物の硬化をもたらさない。
【0084】
2.実施例C9〜C10及びI3〜I9
1,8−ジアザビシクロ−5,4,0−ウンデセン−7−エンの特定の濃度との組み合わせで、ポリイソシアネート及びポリエポキシドの比率が、本発明に必須であるので、この状況を以下の実験で説明する。この場合、室温でのオープンタイムは、視覚的に測定した。これらの実験において、目的としている限界値は、室温で、120分より大きいオープンタイムであり、試験は、その時間に到達したときに打ち切った。並行して、対応する混合物を、オーブン中で、90℃で、120分反応した。前の実験と同様に、まず、ポリエポキシドを触媒2と前混合した。その後、この混合物の一部を、ポリイソシアネートと混合した。表2は、反応混合物の定量的な画分、ポリエポキシド、ポリイソシアネート、及び触媒の混合物に基づいた触媒の割合、及びポリイソシアネートのポリエポキシドに対する当量比を示す。
【0085】
【表2】
【0086】
%−catは、触媒、ポリイソシアネート及びポリエポキシドの混合物基づいた触媒の割合を示し;VHは、ポリイソシアネーと及びポリエポキシドの混合物における、イソシアネート:エポキシドの当量比を表す。
【0087】
3.実施例C11及びI10
C7は、純粋なDBUがポリイソシアネートと、非相溶性を示すことを明らかにしたので、以下の実験における目的は、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、及び触媒の本発明の混合物が、硬化のために必要であり、DBUとポリイソシアネートの組み合わせが、望ましい結果につながらないことを示すことである。
【0088】
この目的のため、混合物を、49gのエポキシド中の1gのDBU、49gのCitrofolB1可塑剤中の1gのDBUから、それぞれ調製した。その後、これらの混合物の各1gを、49gのISO3と混合し、前の実験と同様に、オープンタイム及び硬化を実行した。表は、結果についての情報を示す。C11からの混合物は、透明であり、沈殿は観察できなかった。
【0089】
【表3】
【0090】
4.実施例I11及びI12
ポリイソシアネート、ポリエポキシド、及び触媒の本発明の混合物がまた、極めて優れた機械的特性も有することを示すため、実験I11及びI12を実行した。この目的のため、成分を混合し、脱気した(真空高速ミキサー(vacuum Speedmixer)を使用した)。厚さ2mmの試験板(test plaque)を、結果として生じた混合物から生成した。硬化は、95℃で、2時間行なった。その後、材料を標準条件下で7日間保存し、その後、機械的特性を確認した。熱及び高湿条件下での時効(aging)を、加圧容器中で、水蒸気雰囲気下、130℃で、5、10、又は15時間実行した。これらの時間の後、試験試料を取り出し、乾燥し、機械的特性を確認する前に、標準条件下で24時間調整した。
【0091】
表4は、時効前、及び時効後の機械的特性についての情報を提供する。
【0092】
【表4】
【0093】
実施例から明らかなように、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、及び触媒の本発明の混合物は、極めて優れた機械的特性を見せる。さらに、ポリイソシアネートのポリエポキシドに対する当量比に依存して、生成物の機械的特性が、熱及び高湿条件下での保存によって、さらに改善され得る。