【文献】
Theodora W. Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,米国,John Willey & Sons, Inc.,1999年,第3版,P293-309
【文献】
Siderhurst, Matthew S.; Jang, Eric B.; Hara, Arnold H.; Conant, PatrickEntomologia Experimentalis et ,N-butyl (E)-7,9-decadienoate: sex pheromone component of the nettle caterpillar, Darna pallivitta,Applicata,2007年,125(1),63-69
【文献】
Sasaerila, Yorianta 他,Decadienoates: sex pheromone components of nettle caterpillars Darna trima and D. bradleyi,Journal of Chemical Ecology ,2000年,26(8),1969-1981
【文献】
Bestmann, Hans Juergen; Suess, Joachim; Vostrowsky, Otto,Pheromones. XXXIV. Synthesis of conjugated-unsaturated Lepidoptera pheromones and analogs,Liebigs Annalen der Chemie,1981年,(12),2117-38
【文献】
Krapcho, A. Paul,Synthetic applications of dealkoxycarbonylations of malonate esters, β-keto esters, α-cyano esters and related compounds in dipolar aprotic media - part I,Synthesis,1982年,(10),805-22
【文献】
Suemune, Hiroshi 他,Synthesis by microbial reduction of (S)-13-hydroxy-9Z,11E-octadecadienoic acid, a defensive substance in rice,Chemical & Pharmaceutical Bulletin ,1985年,33(5),2168-70
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クラプチョ反応させる工程が、前記アルキル化反応させる工程に続いてイン・サイチュで行われる請求項3に記載の(7E)−7,9−デカジエン酸エステルの製造方法。
前記クラプチョ反応させる工程が、前記アルキル化反応させる工程に続いてイン・サイチュで行われる請求項6に記載の9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステルの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、下記一般式(1)で表される9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステルについて説明する。一般式(1)において、R
1は、炭素数1〜15の一価の炭化水素基を表し、R
2及びR
3は、それぞれ独立した炭素数1〜15の一価の炭化水素基又は互いに結合してR
2−R
3として炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表す。
【0011】
上記一般式(1)で表される9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステルにおけるR
1は、炭素数1〜15の一価の炭化水素基を表す。R
1の一価の炭化水素基の炭素数は、1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6である。
R
1に対応する一価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基等の直鎖状のアルキル基、1−メチルエチル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルブチル基、3−メチルペンチル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルペンチル基、4−メチルヘキシル基等の分岐状のアルキル基、1−エテニル基、(1E)−1−プロペニル基、(1Z)−1−プロペニル基、(1E)−1−ブテニル基、(1Z)−1−ブテニル基等の直鎖状の1−アルケニル基、1−メチル−エテニル基等の分岐状の1−アルケニル基、2−プロペニル基、(2E)−2−ブテニル基、(2Z)−2−ブテニル基、(2E)−2−ペンテニル基、(2Z)−2−ペンテニル基、(2E)−2−ヘキセニル基、(2Z)−2−ヘキセニル基等の直鎖状の2−アルケニル基、2−メチル−2−プロペニル基等の分岐状の2−アルケニル基、3−ブテニル基、(3E)−3−ペンテニル基、(3Z)−3−ペンテニル基、(3E)−3−ヘキセニル基、(3Z)−3−ヘキセニル基等の直鎖状の3−アルケニル基、3−メチル−3−ブテニル基等の分岐状の3−アルケニル基、1−プロピニル基、3−ブチニル基、1−へプチニル基等の直鎖状のアルキニル基、シクロプロピル基、2−メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられ、これらと異性体の関係にある炭化水素基でも良い。また、これらの炭化水素基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていても良い。
R
1の一価の炭化水素基としては、取扱い又は性フェロモン物質の製造の観点から、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基及び(2E)−2−ヘキセニル基が好ましい。
【0012】
R
2及びR
3は、それぞれ独立して炭素数1〜15の一価の炭化水素基又は互いに結合してR
2−R
3として炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表す。R
2及びR
3の一価の炭化水素基の炭素数は、それぞれ1〜15、好ましくは1〜6である。
R
2及びR
3の一価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基等の直鎖状の飽和炭化水素基、イソプロピル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基等の分岐状の飽和炭化水素基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、(2E)−2−ヘキセニル基等の直鎖状の不飽和炭化水素基、2−メチル−2−プロペニル基等の分岐状の不飽和炭化水素基、シクロプロピル基、2−メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の環状の飽和炭化水素基等が挙げられ、これらと異性体の関係にある炭化水素基でも良い。また、これらの炭化水素基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていても良い。
R
2及びR
3の一価の炭化水素基としては、取扱い又は性フェロモン物質の化学構造の観点から、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基及び(2E)−2−ヘキセニル基が好ましい。
【0013】
また、R
2及びR
3は結合してR
2−R
3として、炭素数2〜10の二価の炭化水素基を表す。R
2−R
3の二価の炭化水素基の炭素数は、2〜10、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4である。
R
2−R
3の二価の炭化水素基としては、例えば、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基等の直鎖状の飽和炭化水素基、1,2−プロピレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、2,3−ブチレン基、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン基等の分岐状の飽和炭化水素基、1−ビニルエチレン基、(Z)−2−ブテン−1,4−ジイル基等の直鎖状の不飽和炭化水素基、2−メチレン−1,3−プロピレン基等の分岐状の不飽和炭化水素基、1,2−シクロプロピレン基、1,2−シクロブチレン基、1,2−シクロペンチレン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,2−フェニレン基等の環状炭化水素基等が挙げられ、これらと異性体の関係にある炭化水素基でも良い。また、これらの炭化水素基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていても良い。
R
2−R
3の二価の炭化水素基は、脱保護における反応性や精製の容易さ、入手の容易さを考慮すると、反応性が高く、脱保護により生成する副生物が水洗や濃縮によって容易に除去可能な低級(好ましくは炭素数2〜4)炭化水素基が好ましい。これらを考慮すると、R
2−R
3の二価の炭化水素基の特に好ましい例として、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、2,3−ジメチル−2,3−ブチレン基等が挙げられる。
【0014】
9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)の具体例としては、性フェロモン物質の製造の観点から、9,9−ジメトキシ−7−ノニン酸メチル、9,9−ジメトキシ−7−ノニン酸エチル、9,9−ジメトキシ−7−ノニン酸ブチル、9,9−ジメトキシ−7−ノニン酸2−メチルプロピル、9,9−ジメトキシ−7−ノニン酸2−メチルブチル、9,9−ジメトキシ−7−ノニン酸(2E)−2−ヘキセニル、9,9−ジエトキシ−7−ノニン酸メチル、9,9−ジエトキシ−7−ノニン酸エチル、9,9−ジエトキシ−7−ノニン酸ブチル、9,9−ジエトキシ−7−ノニン酸2−メチルプロピル、9,9−ジエトキシ−7−ノニン酸2−メチルブチル、9,9−ジエトキシ−7−ノニン酸(2E)−2−ヘキセニル、9,9−ジブトキシ−7−ノニン酸メチル、9,9−ジブトキシ−7−ノニン酸エチル、9,9−ジブトキシ−7−ノニン酸ブチル、9,9−ジブトキシ−7−ノニン酸2−メチルプロピル、9,9−ジブトキシ−7−ノニン酸2−メチルブチル、9,9−ジブトキシ−7−ノニン酸(2E)−2−ヘキセニル、9,9−ビス(2−メチルプロポキシ)−7−ノニン酸メチル、9,9−ビス(2−メチルプロポキシ)−7−ノニン酸エチル、9,9−ビス(2−メチルプロポキシ)−7−ノニン酸ブチル、9,9−ビス(2−メチルプロポキシ)−7−ノニン酸2−メチルプロピル、9,9−ビス(2−メチルプロポキシ)−7−ノニン酸2−メチルブチル、9,9−ビス(2−メチルプロポキシ)−7−ノニン酸(2E)−2−ヘキセニル、9,9−ビス(2−メチルブトキシ)−7−ノニン酸メチル、9,9−ビス(2−メチルブトキシ)−7−ノニン酸エチル、9,9−ビス(2−メチルブトキシ)−7−ノニン酸ブチル、9,9−ビス(2−メチルブトキシ)−7−ノニン酸2−メチルプロピル、9,9−ビス(2−メチルブトキシ)−7−ノニン酸2−メチルブチル、9,9−ビス(2−メチルブトキシ)−7−ノニン酸(2E)−2−ヘキセニル、9,9−ビス[(2E)−2−ヘキセン−1−イルオキシ]−7−ノニン酸メチル、9,9−ビス[(2E)−2−ヘキセン−1−イルオキシ]−7−ノニン酸エチル、9,9−ビス[(2E)−2−ヘキセン−1−イルオキシ]−7−ノニン酸ブチル、9,9−ビス[(2E)−2−ヘキセン−1−イルオキシ]−7−ノニン酸2−メチルプロピル、9,9−ビス[(2E)−2−ヘキセン−1−イルオキシ]−7−ノニン酸2−メチルブチル、9,9−ビス[(2E)−2−ヘキセン−1−イルオキシ]−7−ノニン酸(2E)−2−ヘキセニル等が好ましい。
なお、9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)は、例えばアセタール交換反応させることにより任意のアセタール構造に変換してもよいし、例えばエステル交換反応させることにより任意のエステル構造に変換してもよい。
【0015】
次に、9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)の製造方法について説明する。
下記一般式(9)で表される7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステルは、下記一般式(7)で表される7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチンを下記一般式(8)で表されるマロン酸ジエステルとアルキル化反応させることにより製造できる。
アルキル化反応は、7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)を溶媒中、塩基存在下、マロン酸ジエステル(8)と反応させることにより行うことができる。7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)におけるR
2及びR
3は、前述と同様である。マロン酸ジエステル(8)におけるR
1は、前述と同様である。7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステル(9)におけるR
1、R
2、及びR
3は、前述の通りである。
【0017】
7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)におけるXは、ハロゲン原子を表し、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、反応選択性の観点から、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)の具体例としては、7−クロロ−1,1−ジメトキシ−2−ヘプチン、7−ブロモ−1,1−ジメトキシ−2−ヘプチン、7−ヨード−1,1−ジメトキシ−2−ヘプチン、7−クロロ−1,1−ジエトキシ−2−ヘプチン、7−ブロモ−1,1−ジエトキシ−2−ヘプチン、7−ヨード−1,1−ジエトキシ−2−ヘプチン等が挙げられるが、性フェロモン物質の製造の観点から、7−クロロ−1,1−ジメトキシ−2−ヘプチンもしくは7−クロロ−1,1−ジエトキシ−2−ヘプチンが好ましい。
【0018】
7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)は、例えば、6−ハロ−1−ヘキシンをグリニャール試薬を用いて脱プロトン化し、オルトギ酸エステルと反応させることにより製造できる。
6−ハロ−1−ヘキシンにおけるハロゲンは、前述のXと同様である。
6−ハロ−1−ヘキシンの具体例としては、6−クロロ−1−ヘキシン、6−ブロモ−1−ヘキシン、6−ヨード−1−ヘキシン等が挙げられるが、製造のしやすさの観点から、6−クロロ−1−ヘキシンが好ましい。
グリニャール試薬としては、メチルマグネシウム=クロライド、エチルマグネシウム=クロライド、n−プロピルマグネシウム=クロライド、n−ブチルマグネシウム=クロライド等を用いることができる。
オルトギ酸エステルとしては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルトギ酸ブチル、オルトギ酸2−メチルプロピル、オルトギ酸2−メチルブチル、オルトギ酸(2E)−2−ヘキセニル等が挙げられるが、経済性の観点から、オルトギ酸メチルもしくはオルトギ酸エチルが好ましい。
なお、7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)は、例えばアセタール交換反応させて、任意のアセタール構造に変換してもよい。
【0019】
マロン酸ジエステル(8)としては、例えばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ビス(2−メチルプロピル)、マロン酸ジペンチル、マロン酸ビス(2−メチルブチル)、マロン酸ジヘキシル、マロン酸ビス[(2E)−2−ヘキセニル]等が挙げられるが、価格の観点から、マロン酸ジメチルもしくはマロン酸ジエチルが好ましい。
マロン酸ジエステルの使用量は、反応速度の観点から、7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)1molに対して、好ましくは1.0〜2.0molである。
【0020】
アルキル化反応に用いる塩基としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩類、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の水素化物、リチウム=メトキシド、リチウム=エトキシド、リチウム=tert−ブトキシド、リチウム=tert−アミロキシド、ナトリウム=メトキシド、ナトリウム=エトキシド、ナトリウム=tert−ブトキシド、ナトリウム=tert−アミロキシド、カリウム=メトキシド、カリウム=エトキシド、カリウム=tert−ブトキシド、カリウム=tert−アミロキシド等のアルコキシド類、リチウム=アミド、リチウム=ジイソプロピルアミド、リチウム=ヘキサメチルジシラジド、リチウム=ジシクロヘキシルアミド、ナトリウム=アミド、ナトリウム=ヘキサメチルジシラジド、カリウム=ヘキサメチルジシラジド等の金属アミド類が挙げられる。アルキル化反応に用いる塩基としては、ジアルキル化を抑制し、7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステル(9)を効率よく製造する観点から、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩類が好ましい。これらの塩基は単独で用いても複数の塩基を混合して用いてもよい。
塩基の使用量は、反応性の観点から、7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン7)1molに対して、好ましくは0.5〜2.5molである。
【0021】
アルキル化反応には、反応速度の向上の観点から、更にハロゲン化物を用いてもよい。ハロゲン化物としては、例えば、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等のアルカリ金属臭化物、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属ヨウ化物等のアルカリ金属ハロゲン化物等が挙げられるが、反応性の観点から、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属ヨウ化物が好ましい。これらのハロゲン化物は単独で用いても複数のハロゲン化物を混合して用いてもよい。
ハロゲン化物の使用量は、反応性の観点から、7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)1molに対して、好ましくは0.001〜2.000molである。
【0022】
アルキル化反応に用いる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチル=スルホキシド、アセトニトリル等の極性溶媒、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、4−メチルテトラヒドロピラン、ジエチル=エーテル等のエーテル系溶媒が挙げられ、反応性の観点から、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。これらの溶媒は単独で用いても複数の溶媒を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、反応性の観点から、7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)1molに対して、好ましくは300〜2000gである。
【0023】
アルキル化反応の反応温度は、用いる溶媒によって異なるが、反応性の観点から、好ましくは35〜189℃である。
アルキル化反応の反応時間は、用いる溶媒によって異なるが、反応完結の観点から、好ましくは3〜30時間である。
【0024】
7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステル(9)の具体例としては、性フェロモン物質の製造の観点から、7,7−ジメトキシ−5−へプチニルマロン酸ジメチル、7,7−ジメトキシ−5−へプチニルマロン酸ジエチル、7,7−ジメトキシ−5−へプチニルマロン酸ジブチル、7,7−ジメトキシ−5−へプチニルマロン酸ビス(2−メチルプロピル)、7,7−ジメトキシ−5−へプチニルマロン酸ビス(2−メチルブチル)、7,7−ジメトキシ−5−へプチニルマロン酸ビス[(2E)−2−ヘキセニル]、7,7−ジエトキシ−5−へプチニルマロン酸ジメチル、7,7−ジエトキシ−5−へプチニルマロン酸ジエチル、7,7−ジエトキシ−5−へプチニルマロン酸ジブチル、7,7−ジエトキシ−5−へプチニルマロン酸ビス(2−メチルプロピル)、7,7−ジエトキシ−5−へプチニルマロン酸ビス(2−メチルブチル)、7,7−ジエトキシ−5−へプチニルマロン酸ビス[(2E)−2−ヘキセニル]が好ましい。
なお、7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステル(9)は、例えばアセタール交換反応させて任意のアセタール構造に変換してもよいし、例えばエステル交換反応させることにより任意のエステル構造に変換してもよい。
【0025】
9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)は、下記一般式(9)で表される7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステルをクラプチョ反応させることにより製造できる。
クラプチョ反応は、7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステル(9)を溶媒中、塩の存在下、加熱することにより行うことができる。
【0027】
クラプチョ反応に用いる塩としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、炭酸リチウム等のリチウム塩、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、シアン化ナトリウム、酢酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム等のナトリウム塩、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、シアン化カリウム、酢酸カリウム、硝酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素二カリウム、炭酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム等のカリウム塩、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、炭酸カルシウム等のカルシウム塩、炭酸セシウム等のセシウム塩、炭酸バリウム等のバリウム塩等が挙げられる。反応性の観点から、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリ金属ヨウ化物、若しくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩が好ましい。これらの塩は単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
塩の使用量は、反応性の観点から、7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステル(9)1molに対して、好ましくは1.0〜5.0molである。
【0028】
クラプチョ反応に用いる溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチル=スルホキシド、アセトニトリル等の極性溶媒、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、4−メチルテトラヒドロピラン、ジエチル=エーテル等のエーテル系溶媒が挙げられ、反応性の観点から、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
溶媒の使用量は、反応性の観点から、7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステル(9)1molに対して、好ましくは300〜2000gである。
【0029】
また、反応速度を向上させるために、更に水を用いてもよい。
水の使用量は、反応性の観点から、7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステル(9)1molに対して、好ましくは1.0〜5.0molである。
【0030】
クラプチョ反応の反応温度は、用いる溶媒によって異なるが、反応性の観点から、好ましくは100〜190℃である。
クラプチョ反応の反応時間は、用いる溶媒によって異なるが、反応完結の観点から、好ましくは5〜100時間である。
【0031】
なお、アルキル化反応させる工程及びクラプチョ反応させる工程は、各々単独で行い、アルキル化反応の生成物である7,7−ジアルコキシ−5−へプチニルマロン酸ジエステル(9)の単離後にクラプチョ反応を行うこともできるが、クラプチョ反応させる工程が、アルキル化反応させる工程に続いてイン・サイチュ(in situ)で行われ、連続的に反応させる(以下、「ワンポット反応」ともいう。)ことが好ましい。連続的に反応することにより、後処理、濃縮、再仕込み等の時間を大幅に短縮することができる。更に、アルキル化反応させる工程で用いた溶媒をそのままクラプチョ反応させる工程で用いることができ、アルキル化反応させる工程で副生する塩をクラプチョ反応で用いることができることから、必要な試薬が大幅に少なくなり、更に廃棄物が少なくなることから環境への負荷が小さくなる。
ワンポット反応させる場合における塩基としては、クラプチョ反応に用いる塩としても使用できる観点から、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩類が好ましい。
塩基の使用量は、ジアルキル化を抑制し、クラプチョ反応を効率よく進行させる観点から、7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)1molに対して、好ましくは1.0〜2.5molである。
ワンポット反応させる場合におけるクラプチョ反応においても、反応速度を向上させるために、更に水を用いてもよい。
水の使用量は、反応性の観点から、7−ハロ−1,1−ジアルコキシ−2−ヘプチン(7)1molに対して、好ましくは1.0〜2.5molである。
ワンポット反応させる場合におけるハロゲン化物の種類及び使用量並びに溶媒の種類及び使用量は、アルキル化反応に用いるハロゲン化物の種類及び使用量並びにアルキル化反応に用いる溶媒の種類及び使用量と同様である。
ワンポット反応させる場合におけるアルキル化反応の反応温度及び反応時間並びにクラプチョ反応の反応温度及び反応時間は、前述の通りである。
【0032】
次に、(7E)−7,9−デカジエン酸エステルの製造方法について説明する。
下記一般式(2)で表される9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸エステルは、9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)を、還元反応させることにより製造することができる。9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸アルキル(2)におけるR
1、R
2及びR
3は、前述の通りである。
【0034】
還元反応としては、接触還元(catalytic hydrogenation)反応、酢酸パラジウム等のパラジウム触媒存在下、水酸化カリウムとN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いる還元反応、アルコール溶媒中で亜鉛を用いた還元反応、バーチ(Birch)還元による還元反応、ヒドロシリル化を行いビニルシランを得た後に、脱シリル化する還元反応、ジアルキルボランを用いたヒドロホウ素化とそれに続くプロトン化による還元反応等が挙げられ、選択性及び生産性の観点から、接触還元反応、酢酸パラジウム等のパラジウム触媒存在下、水酸化カリウムとN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いる還元反応、アルコール溶媒中で亜鉛を用いた還元反応が好ましく、接触還元反応がより好ましい。
【0035】
接触還元反応は、金属触媒存在下、水素ガスを添加して行う。
接触還元反応に用いる金属触媒としては、例えば、Lindlar触媒、パラジウム炭素及びパラジウム炭素をポリエチレンイミンポリマー(PEI)で被毒したPd―PEI、水酸化パラジウム等のパラジウム触媒、ニッケルボライド、P−2ホウ化ニッケル触媒(Thomas J. Caggiano et al. Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis:3694−3699.)(以下、「P−2Ni触媒」ともいう。)等のニッケル触媒、アダムス触媒の白金触媒等が挙げられるが、経済性の観点から、Lindlar触媒及びニッケル触媒が好ましい。
金属触媒の使用量は、用いる触媒によって異なるが、反応性の観点から、Lindlar触媒等のように触媒が固体である場合は、9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)1molに対して、0.01〜50.00gが好ましい。また、P−2Ni触媒は、9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)1molに対して、ニッケル化合物としての換算量が0.001〜0.500molとなるように使用することが好ましい。
なお、固体の触媒は、溶媒に分散させて用いてもよい。
【0036】
金属触媒の活性が高い場合には、必要に応じて触媒毒を使用してもよい。
接触還元反応に用いる触媒毒としては、ピリジン、キノリン及びエチレンジアミン等のアミン化合物、ベンゼンチオール、ジフェニル=スルフィド、ジメチル=スルフィド及びジメチル=スルホキシド等の硫黄化合物等が挙げられる。
触媒毒の使用量は、用いる触媒毒により大きく異なるが、反応速度又は幾何選択性の観点から、9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)1molに対して、好ましくは0.0001〜10.000gである。
【0037】
接触還元反応に用いる溶媒としては、例えば、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸メチル等の極性溶媒、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン等の炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−プロパノール、2−ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても複数の溶媒を混合して用いてもよい。
接触還元反応に用いる溶媒は、反応性の観点から、ニッケル触媒を用いる場合は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、Lindlar触媒を用いる場合は、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、パラジウム炭素等のパラジウム触媒を用いる場合は、酢酸メチル、酢酸エチル等の極性溶媒が好ましい。
溶媒の使用量は、用いる触媒や溶媒により異なるが、反応性の観点から、9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)1molに対して、好ましくは0〜1000gである。
【0038】
接触還元反応の反応温度は、用いる触媒や溶媒の種類により異なるが、幾何選択性の観点から、好ましくは40〜160℃である。
接触還元反応の反応時間は、収率の観点から、好ましくは1〜50時間である。
【0039】
酢酸パラジウム等のパラジウム触媒存在下、水酸化カリウムとN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いる還元反応は、100〜180℃にて、6〜20時間反応することが好ましい。
【0040】
アルコール溶媒中で亜鉛を用いた還元反応は、アルコール溶媒中、亜鉛を用いて行う。
溶媒に用いるアルコールの炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5である。溶媒に用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノ−ル、デカノール等の直鎖状のアルコール化合物、2−プロパノール、2−ブタノール等の分岐状のアルコール化合物、シクロヘキサノール等の環状のアルコール化合物等が挙げられるが、反応性の観点から、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、2−プロパノール等の炭素数1〜5のアルコール化合物が好ましい。アルコールの使用量は、反応性の観点から、9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)1molに対して、好ましくは46〜1000gである。
亜鉛とは、金属亜鉛又は後述する活性化された亜鉛のことをいう。亜鉛の使用量は、反応性の観点から、9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)1molに対して、好ましくは1.0〜20.0molである。
【0041】
アルコール溶媒中で亜鉛を用いた還元反応は、亜鉛の低い反応性により、反応時間が長くなることがあるため、必要に応じて亜鉛を活性化させる活性化剤を添加しても良いし、予め調製した活性化された亜鉛を用いても良い。
活性化剤としては、1,2−ジブロモエタン、塩化銅第一、臭化銅第一、ヨウ化銅第一、臭化リチウム、ヨウ素、クロロトリメチルシラン等があげられる。これらの活性化剤は単独で用いても複数の活性化剤を併用して用いてもよい。活性化剤の使用量は、反応性の観点から、9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)1molに対して、好ましくは0.01〜10.0molである。
活性化された亜鉛は、例えば、塩酸等の酸で金属亜鉛を処理したり、塩化亜鉛をテトラヒドロフラン中、金属リチウムで還元すること等により調製することができる。
【0042】
アルコール溶媒中で亜鉛を用いた還元反応は、0〜100℃にて、1〜12時間反応することが好ましい。
【0043】
バーチ還元による還元反応は、−40〜0℃にて、1〜10時間反応することが好ましい。
【0044】
ヒドロシリル化を行いビニルシランを得た後に、脱シリル化する還元反応において、ヒドロシリル化は、ウィルキンソン(Wilkinson)触媒及びトロスト(Trost)触媒等の金属触媒とトリアルキルシランを用いて行う。
ヒドロシリル化は、5〜100℃にて、2〜12時間反応することが好ましい。
ヒドロシリル化後の脱シリル化は、ヨウ化水素、塩化アセチル、硫酸、塩酸等の酸、四塩化チタン又はヨウ素等を用いて5〜80℃にて、1〜8時間反応することが好ましい。
【0045】
ジアルキルボランを用いたヒドロホウ素化とそれに続くプロトン化による還元反応において、ヒドロホウ素化に用いるジアルキルボランの炭素数は、好ましくは4〜12、より好ましくは6〜12である。ジアルキルボランとしては、ジシクロヘキシルボラン、ジシアミルボラン及び9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)等が挙げられる。
ヒドロホウ素化は、−20〜20℃にて、3〜12時間反応することが好ましい。
ヒドロホウ素化後のプロトン化は、酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロ酢酸、ギ酸及びシュウ酸等のカルボン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸、硫酸、塩酸、硝酸及びリン酸等の鉱酸を用いて行うことができ、反応性の観点から、酢酸等のカルボン酸が好ましい。
プロトン化は、0〜150℃にて、1〜12時間反応することが好ましい。
【0046】
9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸エステル(2)の幾何異性体としては、(7E)−9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸エステル、(7Z)−9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸エステルが挙げられる。
9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸エステル(2)の具体例としては、性フェロモン物質の製造の観点から、(7E)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸メチル、(7E)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸エチル、(7E)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸ブチル、(7E)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸2−メチルプロピル、(7E)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸2−メチルブチル、(7E)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸(2E)−2−ヘキセニル、(7Z)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸メチル、(7Z)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸エチル、(7Z)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸ブチル、(7Z)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸2−メチルプロピル、(7Z)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸2−メチルブチル、(7Z)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸(2E)−2−ヘキセニル等が好ましい。
次に説明する加水分解反応により、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エステル(3)を収束的に製造することができるため、還元反応により、一方の幾何異性体を選択的に製造してもよいが、幾何異性体の混合物として製造してもよい。
なお、9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸エステル(2)は、例えばアセタール交換反応させて任意のアセタール構造に変換してもよいし、例えばエステル交換反応させることにより任意のエステル構造に変換してもよい。
【0047】
下記一般式(3)で表される(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エステルは、9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸エステル(2)を加水分解反応させることにより製造することができる。(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エステル(3)におけるR
1は、前述の通りである。
【0049】
加水分解反応に用いる酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸等の無機酸類、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、しゅう酸、ヨードトリメチルシラン、四塩化=チタン等が挙げられるが、反応性の観点から、塩酸が好ましい。
加水分解反応に用いる酸の使用量は、反応性の観点から、9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸エステル(2)1molに対して、好ましくは0.01〜10.00molである。
【0050】
加水分解反応に用いる溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、4−メチルテトラヒドロピラン、ジエチル=エーテル等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム等の極性溶媒、メタノール、エタノール等アルコール系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても複数の溶媒を混合して用いてもよい。
用いる酸により最適な溶媒は異なるが、反応性の観点から、例えば、酸として、しゅう酸を用いる場合は、テトラヒドロフランが好ましく、塩酸を用いる場合は、無溶媒もしくはヘキサン等の炭化水素系溶媒が好ましい。
溶媒の使用量は、反応性の観点から、9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸エステル(2)1molに対して、好ましくは0〜3000gである。
【0051】
加水分解反応に用いる水の使用量は、反応性の観点から、9,9−ジアルコキシ−7−ノネン酸エステル(2)1molに対して、好ましくは18〜3000gである。
【0052】
加水分解反応における反応温度は、用いる溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは5〜150℃である。
加水分解反応における反応時間は、用いる溶媒や反応スケールにより異なるが通常1〜10時間である。
加水分解反応系中の水溶液のpHは、異性化を十分に進行させ、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エステル(3)をE選択的に幾何純度良く製造する観点から、好ましくは1.0以下、より好ましくは−1.0〜+1.0である。pH値は、例えばpH試験紙や測定対象の液温を25℃としてpHメータを用いて測定できる。
【0053】
(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エステル(3)の具体例としては、性フェロモン物質の製造の観点から、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸メチル、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エチル、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸ブチル、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸2−メチルプロピル、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸2−メチルブチル、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸(2E)−2−ヘキセニル等が好ましい。
なお、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エステル(3)は、例えばエステル交換反応させることにより任意のエステル構造に変換してもよい。
【0054】
下記一般式(5)で表される(7E)−7,9−デカジエン酸エステルは、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エステル(3)を、下記一般式(4)で表されるトリアリールホスホニウム=メチリドとウィッティヒ反応させることにより製造することができる。(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)におけるR
1は、前述の通りである。
【0056】
トリアリールホスホニウム=メチリド(4)におけるArは、炭素数6又は7のアリール基を表す。
アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基が挙げられるが、合成のしやすさの観点から、フェニル基が好ましい。
ウィッティヒ反応に用いるトリアリールホスホニウム=メチリド(4)として、例えば、トリフェニルホスホニウム=メチリド、トリトリルホスホニウム=メチリド等が挙げられるが、経済性の観点から、トリフェニルホスホニウム=メチリドが好ましい。
【0057】
トリアリールホスホニウム=メチリド(4)は、メチルトリアリールホスホニウム=ハライドに塩基を反応させることにより得られる。メチルトリアリールホスホニウム=ハライドとしては、メチルトリフェニルホスホニウムクロリド、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド等が挙げられるが、反応性の観点から、メチルトリフェニルホスホニウムヨージドが好ましい。
メチルトリアリールホスホニウム=ハライドの使用量は、反応完結の観点から、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エステル(3)1molに対して、好ましくは1.0〜1.8molである。
【0058】
トリアリールホスホニウム=メチリド(4)の調製に用いる塩基としては、例えば、カリウム=tert−ブトキシド、ナトリウム=tert−ブトキシド、カリウム=メトキシド、ナトリウム=メトキシド、カリウム=エトキシド、ナトリウム=エトキシド等の金属アルコキシド、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウム、リチウム=ジイソプロピルアミド、ナトリウム=ビス(トリメチルシリル)アミド等の金属アミド等が挙げられ、反応性の観点から、カリウム=tert−ブトキシド、ナトリウム=メトキシド、ナトリウム=エトキシド等の金属アルコキシドが好ましい。
塩基の使用量は、副生物抑制の観点から、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エステル(3)1molに対して、好ましくは0.9〜1.7molである。
【0059】
トリアリールホスホニウム=メチリド(4)の調製に用いる溶媒としては、テトラヒドロフラン、4−メチルテトラヒドロピラン、ジエチル=エーテル等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム等の極性溶媒が挙げられ、反応性の観点からテトラヒドロフランが好ましい。これらの溶媒は単独で用いても複数の溶媒を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、反応スケールにより異なるが、反応速度の観点から、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エステル(3)1molに対して、反応性の観点から、好ましくは100〜3000gである。
【0060】
トリアリールホスホニウム=メチリド(4)の調製時の反応温度は、用いる溶媒により異なるが、反応性の観点から、好ましくは−78〜50℃、より好ましくは−10〜25℃である。
トリアリールホスホニウム=メチリド(4)の調製時の反応時間は、用いる溶媒や反応スケールにより異なるが、好ましくは0.1〜10時間である。
【0061】
ウィッティヒ反応における反応温度は、用いる溶媒により最適温度は異なるが、好ましくは−78〜50℃、より好ましくは−10〜40℃である。
ウィッティヒ反応における反応時間は、反応スケールにより異なるが、好ましくは1〜30時間である。
ウィッティヒ反応における溶媒及び溶媒の使用量は、トリアリールホスホニウム=メチリド(4)調製時に用いる溶媒及び溶媒の使用量と同様でも良いし、異なっていてもよい。
【0062】
(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)の具体例としては、性フェロモン物質の化学構造の観点から、(7E)−7,9−デカジエン酸メチル、(7E)−7,9−デカジエン酸エチル、(7E)−7,9−デカジエン酸ブチル、(7E)−7,9−デカジエン酸2−メチルプロピル、(7E)−7,9−デカジエン酸2−メチルブチル及び(7E)−7,9−デカジエン酸(2E)−2−ヘキセニルが好ましい。
【0063】
次に、必要に応じて、(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)のアルコール由来部を他のアルコール由来部と置き換える工程について説明する。
(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)のアルコール由来部を置き換えることより、異なるエステル構造を有する(7E)−7,9−デカジエン酸エステルを製造することができる。すなわち、Nettle caterpillarが性フェロモン物質として有する(7E)−7,9−デカジエン酸エステルを網羅的に製造することができる。
(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)のアルコール由来部を他のアルコール由来部と置き換えるには、(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)を例えば(7E)−7,9−デカジエン酸や(7E)−7,9−デカジエン酸ハロゲン化物に変換した後にエステル化する間接的な変換方法と、(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)をエステル交換反応により他のエステルに変換する直接的な変換方法がある。所望のエステルが得られるのであればどちらの変換方法を選択してもよいが、簡便に異なるエステルが得られる観点から、直接的な変換方法であるエステル交換反応が好ましい。
【0064】
(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)をエステル交換反応させることより、異なるエステル構造を有する(7E)−7,9−デカジエン酸エステルを製造することができる。エステル交換反応は、(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)を触媒存在下、下記一般式(6)で表されるアルコールと反応させることにより行うことができる。アルコール(6)と(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5−2)におけるR
4は、R
1と互いに異なる炭素数1〜15の一価の炭化水素基を表す。
【0066】
エステル交換反応に用いる触媒としては、金属アルコキシド、ルイス酸、酸、カルボン酸金属塩等が挙げられる。
金属アルコキシドとしては、カリウム=メトキシド、ナトリウム=メトキシド、カリウム=エトキシド、ナトリウム=エトキシド、カリウム=n−プロポキシド、ナトリウム=n−プロポキシド、カリウム=n−ブトキシド、ナトリウム=n−ブトキシド、カリウム=tert−ブトキシド、ナトリウム=tert−ブトキシド、カリウム=2−メチル−1−プロポキシド、ナトリウム=2−メチル−1−プロポキシド、カリウム=2−メチル−1−ブトキシド、ナトリウム=2−メチル−1−ブトキシド等が挙げられる。
【0067】
ルイス酸としては、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ホウ素化合物、スズ化合物、チタン化合物等が挙げられる。
ルイス酸としてのアルミニウム化合物は、酢酸アルミニウム、三塩化アルミニウム、クロロアルミニウムエトキシド、ジクロロアルミニウムエトキシド、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド等が挙げられる。
ルイス酸としての亜鉛化合物は、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛等が挙げられる。
ルイス酸としてのホウ素化合物は、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素等が挙げられる。
ルイス酸としてのスズ化合物は、酢酸スズ、四塩化スズ、二塩化ジブチルスズ、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズオキシド、モノブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド等が挙げられる。
ルイス酸としてのチタン化合物は、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、酸化チタン(IV)等が挙げられる。
【0068】
酸としては、塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アンバーリスト15、クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン等が挙げられる。
カルボン酸金属塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。
【0069】
これらの触媒のうち、反応性及び不純物量の少なさの観点から、金属アルコキシド、ルイス酸が好ましく、カリウム=メトキシド、ナトリウム=メトキシド、カリウム=エトキシド、ナトリウム=エトキシド、カリウム=tert−ブトキシド、ナトリウム=tert−ブトキシド等の金属アルコキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド等のチタンアルコキシド化合物、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド等のジブチルスズ化合物、アルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシド化合物が好ましく、カリウム=tert−ブトキシド、チタン(IV)イソプロポキシドがより好ましい。
触媒の使用量は、(7E)−7,9−デカジエン酸アルキル(5)1molに対して、好ましくは0.001〜2.000molである。
【0070】
アルコール(6)におけるR
4の一価の炭化水素基の炭素数は、1〜15、より好ましくは1〜10、更に好ましくは1〜6である。
R
4の一価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基等の直鎖状のアルキル基、1−メチルエチル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルブチル基、3−メチルペンチル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルペンチル基、4−メチルヘキシル基等の分岐状のアルキル基、1−エテニル基、(1E)−1−プロペニル基、(1Z)−1−プロペニル基、(1E)−1−ブテニル基、(1Z)−1−ブテニル基等の直鎖状の1−アルケニル基、1−メチル−エテニル基等の分岐状の1−アルケニル基、2−プロペニル基、(2E)−2−ブテニル基、(2Z)−2−ブテニル基、(2E)−2−ペンテニル基、(2Z)−2−ペンテニル基、(2E)−2−ヘキセニル基、(2Z)−2−ヘキセニル基等の直鎖状の2−アルケニル基、2−メチル−2−プロペニル基等の分岐状の2−アルケニル基、3−ブテニル基、(3E)−3−ペンテニル基、(3Z)−3−ペンテニル基、(3E)−3−ヘキセニル基、(3Z)−3−ヘキセニル基等の直鎖状の3−アルケニル基、3−メチル−3−ブテニル基等の分岐状の3−アルケニル基、1−プロピニル基、3−ブチニル基、1−へプチニル基等の直鎖状のアルキニル基、シクロプロピル基、2−メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられ、これらと異性体の関係にある炭化水素基でも良い。また、これらの炭化水素基の水素原子中の一部がメチル基、エチル基等で置換されていても良い。
R
4の一価の炭化水素基としては、取扱い又は性フェロモン物質の製造の観点から、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基及び(2E)−2−ヘキセニル基が好ましい。
【0071】
エステル交換反応に用いるアルコール(6)の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール等の直鎖状の飽和アルコール、1−メチル−1−エタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−1−ヘキサノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ヘキサノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−1−ヘキサノール等の分岐状の飽和アルコール、2−プロペン−1−オール、(2E)−2−ブテン−1−オール、(2Z)−2−ブテン−1−オール、(2E)−2−ペンテンー1−オール、(2Z)−2−ペンテン−1−オール、(2E)−2−ヘキセン−1−オール、(2Z)−2−ヘキセン−1−オール等の直鎖状の2−アルケン−1−オール、2−メチル−2−プロペン−1−オール等の分岐状の2−アルケン−1−オール、3−ブテン−1−オール、(3E)−3−ペンテン−1−オール、(3Z)−3−ペンテン−1−オール、(3E)−3−ヘキセン−1−オール、(3Z)−3−ヘキセンー1−オール等の直鎖状の3−アルケン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール等の分岐状の3−アルケン−1−オール、1−プロピン−1−オール、3−ブチン−1−オール、1−ヘプチン−1−オール等の直鎖状のアルキニルアルコール、シクロプロパノール、2−メチルシクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等の環状の飽和アルコール等が挙げられる。
アルコール(6)の使用量は、用いる触媒により異なるが、反応性の観点から、(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)1molに対して、好ましくは1.0〜30.0molである。
【0072】
エステル交換反応は、通常溶媒を用いることなく実施することが可能であるが、副生する(7E)−7,9−デカジエン酸アルキル(5)由来のアルコールの除去を容易にするために、補助的に溶媒を用いてもよい。
用いられる溶媒は、エステル交換反応に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、4−メチルテトラヒドロピラン、ジ−n−ブチル=エーテル、ジエチレン=グリコール=ジメチル=エーテル、ジエチレン=グリコール=ジエチル=エーテル等のエーテル系溶媒等が好ましい。
溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応性の観点から、(7E)−7,9−デカジエン酸アルキル(5)1molに対して、好ましくは50〜5000gである。
【0073】
また、触媒として酸もしくは金属アルコキシドを用いる場合は、エステル交換反応に用いるアルコール(6)をそのまま溶媒として使用しても良い。
エステル交換反応に用いるアルコール(6)を、溶媒としても使用する場合におけるアルコール(6)の使用量は、反応性の観点から、好ましくは2〜1000molである。
【0074】
エステル交換反応における反応温度は、用いる触媒により異なるが、反応完結の観点から、副生する(7E)−7,9−デカジエン酸アルキル(5)由来のアルコールの沸点以上の温度であることが好ましいが、適切な減圧条件下で反応温度を低くしてもよい。
例えば、(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)として(7E)−7,9−デカジエン酸メチルを用いた場合、副生するメタノールを効率よく留去する観点から、大気圧下で65〜90℃もしくは、190mmHgの減圧条件下20〜50℃で反応を行うことが好ましい。
また、(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5)として(7E)−7,9−デカジエン酸エチルを用いた場合、副生するエタノールを効率よく留去する観点から、大気圧下で78〜130℃もしくは、100mmHgの減圧条件下20〜70℃で反応を行うことが好ましい。
エステル交換反応における反応時間は、用いる触媒や反応スケールにより異なるが、反応完結の観点から、好ましくは1〜30時間である。
【0075】
(7E)−7,9−デカジエン酸エステル(5−2)の具体例としては、性フェロモン物質の化学構造の観点から、(7E)−7,9−デカジエン酸メチル、(7E)−7,9−デカジエン酸エチル、(7E)−7,9−デカジエン酸ブチル、(7E)−7,9−デカジエン酸2−メチルプロピル、(7E)−7,9−デカジエン酸2−メチルブチル、(7E)−7,9−デカジエン酸(2E)−2−ヘキセニルが好ましい。
以上のようにして、中間体として有用な9,9−ジアルコキシ−7−ノニン酸エステル(1)とNettle caterpillarの性フェロモン物質等である(7E)−7,9−デカジエン酸エステルを製造することができる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
また、「粗収率」とは、精製を行わずに算出した収率をいう。
実施例1
<9,9−ジエトキシ−7−ノニン酸エチル(1:R
1=R
2=R
3=Et)の製造>
室温で反応器に、炭酸カリウム(150.27g、1.09mol)、ヨウ化カリウム(1.44g、0.0087mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(608.86g)、マロン酸ジエチル(208.97g、1.30mol)、7−クロロ−1,1−ジエトキシ−2−ヘプチン(6)(190.24g、0.87mol)を加え130℃に昇温した。130℃到達後、12時間撹拌した。その後、130℃のまま水(30.23g、1.68mol)を加え、125℃還流条件下で47.5時間撹拌した。40〜50℃に冷却後、反応液に水(695.84g)、ヘキサン(173.96g)を添加することで反応を停止した。分液により水層を除去し、水(173.96g)を添加して再度分液した。有機層を減圧下で濃縮してヘキサンを除去し、残渣を減圧蒸留することにより、9,9−ジエトキシ−7−ノニン酸エチル(1)(166.68g、0.62mol)が収率70.9%で得られた。
【0077】
9,9−ジエトキシ−7−ノニン酸エチル(1:R
1=R
2=R
3=Et)
〔核磁気共鳴スペクトル〕
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ1.21(6H,t,J=7.3Hz),1.23(3H,t,J=7.3Hz),1.36−1.44(2H,m),1.53(2H,quint−like,J=7.6Hz),1.61(2H,quint−like,J=7.6Hz),2.23(2H,dt,J=1.6Hz,7.6Hz),2.27(2H,t,J=7.3Hz),3.51−3.58(2H,m),3.67−3.75(2H,m),4.10(2H,q,J=7.3Hz),5.22(1H,t,J=1.6Hz);
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ14.17,15.03,18.41,24.38,27.89,28.27,34.11,60.15,60.51,75.84,86.02,91.37,173.54
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 269(M
+−1),225,197,151,137,123,109,95,81,67,53
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2977,2935,2242,1736,1151,1053
【0078】
実施例2
<(7Z)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸エチル(2:R
1=R
2=R
3=Et)の製造>
反応器に、9,9−ジエトキシ−7−ノニン酸エチル(1)(138.45g、0.51mol)、P−2Ni触媒(17.26g、ニッケル化合物としての換算量0.0091mol)を加え、45〜55℃に昇温した。その後、水素を添加し、5時間反応させた。反応完結を確認後、30℃に冷却後、ろ過、続いて反応液に水(59g)を添加して洗浄した後に、有機層を減圧下で濃縮してヘキサンを除去し、残渣を減圧蒸留することにより、(7Z)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸エチル(2)(134.02g、0.49mol)が収率96.1%で得られた。
【0079】
(7Z)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸エチル(2:R
1=R
2=R
3=Et)
〔核磁気共鳴スペクトル〕
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ1.09(6H,t,J=7.3Hz),1.16(3H,t,J=7.3Hz),1.21−1.36(4H,m),1.51(2H,quint−like,J=7.3Hz),2.07(2H,dq−like,J=1.1Hz,7.3Hz),2.25(2H,t,J=7.3Hz),3.37−3.44(2H,m),3.48−3.56(2H,m),4.03(2H,q,J=7.3Hz),5.14(1H,dd,J=1.1Hz,6.7Hz),5.35(1H,ddt,J=11.3Hz,1.5Hz,6.9Hz),5.52(1H,ddt,J=11.3Hz,1.1Hz,7.3HZ);
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ14.07,15.19,24.24,27.14,27.96,28.43,33.41,59.59,59.78,97.00,127.82,133.51,172.76
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 271(M
+−1),227,181,153,135,57,43
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2976,2931,1737,1120,1056
【0080】
実施例3
<(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エチル(3:R
1=Et)の製造>
反応器に、(7Z)−9,9−ジエトキシ−7−ノネン酸エチル(2)(48.16g、0.18mol)、20重量%塩酸(19.07g、0.10mol)、純水(12.32g)を加え20〜30℃で3.5時間撹拌した。pH試験紙で水層のpHが1未満であることを確認した。ヘキサン(14.32g)を加え、30分間撹拌した後、反応液を分液した。有機層を減圧下で濃縮することにより、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エチル(3)(28.85g、0.15mol、E/Z=99/1)が粗収率82.3%で得られた。
【0081】
(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エチル(3:R
1=Et)
〔核磁気共鳴スペクトル〕
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ1.22(3H,t,J=7.3Hz),1.32−1.40(2H,m),1.51(2H,quint−like,J=7.7Hz),1.64(2H,quint−like,J=7.3Hz),2.28(2H,t,J=7.3Hz),2.32(2H,dq−like,J=1.5Hz,7.3Hz),4.10(2H,q,J=7.3Hz),6.09(1H,ddt,J=15.6Hz,7.6Hz,1.5Hz),6.82(1H,dt,J=15.6Hz,6.9Hz),9.47(1H,d,J=7.6Hz);
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ14.16,24.53,27.41,28.50,32.40,34.02,60.19,133.01,158.44,173.49,194.01
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 199(M
++1),180,152,124,111,83,70,55,41
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2935,2861,1733,1692,1180,1125,977
【0082】
実施例4
<(7E)−7,9−デカジエン酸エチル(5:R
1=Et)の製造>
反応器に、メチルトリフェニルホスホニウムヨージド(27.84g、0.14mol)、テトラヒドロフラン(150g)を加え−10〜0℃に冷却しカリウム=tert−ブトキシド(18.91g、0.17mol)を添加して0.5時間撹拌した後、(7E)−9−オキソ−7−ノネン酸エチル(3)(27.84g、0.14mol)を40分かけて滴下した。滴下終了後−10〜0℃で1.5時間撹拌した。その後、20℃まで昇温して反応液に純水(83.22g)を添加して反応を停止し、分液した。有機層を減圧下で濃縮して、残渣を減圧蒸留することにより、(7E)−7,9−デカジエン酸エチル(5)(19.52g、0.099mol、E/Z=99/1)が収率70.8%で得られた。
【0083】
(7E)−7,9−デカジエン酸エチル(5:R
1=Et)
〔核磁気共鳴スペクトル〕
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ1.24(3H,t,J=7.2Hz),1.28−1.36(2H,m),1.36−1.44(2H,m),1.62(2H,quint−like,J=7.6Hz),2.07(2H,q−like,J=7.6Hz),2.28(2H,t,J=7.3Hz),4.11(2H,q,J=7.2Hz),4.94(1H,dd,J=10.7Hz,1.1Hz),5.07(1H,dd,J=18.3Hz,1.1Hz),5.67(1H,dt,J=14.6Hz,7.6Hz),6.03(1H,dd,J=15.3Hz,10.4Hz),6.29(1H,ddd,J=17.2Hz,10.4Hz,10.3Hz);
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ14.20,24.76,28.59,28.74,32.25,34.23,60.12,114.70,131.03,135.05,137.21,173.72
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 196(M
+),150,135,108,67,54,41
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2932,2857,1737,1179,1005,951,898
【0084】
実施例5
<(7E)−7,9−デカジエン酸2−メチルプロピル(5−2:R
1=i−Bu)の製造>
反応器に、(7E)−7,9−デカジエン酸エチル(5)(1.84g、9.38mmol)、2−メチル−1−プロパノール(6.26g、84.41mmol)を加え20〜30℃でカリウム=tert−ブトキシド(1.05g、9.36mmol)を添加した。140分間撹拌した後、40℃に加熱して100mmHgの減圧条件下でエタノールと2−メチル−1−プロパノールを留去しながら40分間反応した。
その後、20℃まで冷却して、反応液に純水(30g)、ヘキサン(30g)を添加して30分間撹拌後、分液した。有機層を減圧下で濃縮して残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、(7E)−7,9−デカジエン酸2−メチルプロピル(5−2)(1.86g、8.27mmol、E/Z=99/1)が収率88.19%で得られた。
【0085】
(7E)−7,9−デカジエン酸2−メチルプロピル(5−2:R
1=i−Bu)
〔核磁気共鳴スペクトル〕
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ0.92(6H,d,J=6.9Hz),1.29−1.37(2H,m),1.37−1.44(2H,m),1.63(2H,quint−like,J=7.6Hz),1.91(1H,septet−like,J=6.9Hz),2.08(2H,q−like,J=7.3Hz),2.30(2H,t,J=7.6Hz),3.84(2H,d,J=6.9Hz),4.94(1H,dd,J=10.2Hz,1.6Hz),5.07(1H,dd,J=17.0Hz,1.5Hz),5.68(1H,dt,J=14.5Hz,7.2Hz),6.00−6.07(1H,m),6.29(1H,ddd,J=17.1Hz,10.3Hz,10.0Hz);
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ19.06,24.84,27.70,28.64,28.76,32.27,34.27,70.35,114.71,131.07,135.06,137.23,173.80
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 224(M
+),150,121,108,41
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2961,2933,1737,1174,1004,897
【0086】
実施例6
<(7E)−7,9−デカジエン酸2−メチルブチル(5−2:R
1=2−MeBu)の製造>
反応器に、(E7)−7,9−デカジエン酸エチル(5)(1.66g、8.45mmol)、DL−2−メチル−1−ブタノール(16.54g、187.29mmol)を加え20〜30℃でカリウム=tert−ブトキシド(1.05g、9.36mmol)を添加した。220分間撹拌した後、40℃に加熱して100mmHgの減圧条件下でエタノールとDL−2−メチル−1−ブタノールを留去しながら2時間反応した。その後、20℃まで冷却して、反応液に純水(30g)、ヘキサン(30g)を添加して30分間撹拌後、分液した。有機層を減圧下で濃縮して残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、(7E)−7,9−デカジエン酸2−メチルブチル(5−2)(1.86g、7.81mmol、E/Z=99/1)が収率92.5%で得られた。
【0087】
(7E)−7,9−デカジエン酸2−メチルブチル(5−2:R
1=2−MeBu)
〔核磁気共鳴スペクトル〕
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ0.90(3H,t,J=7.6Hz),0.91(3H,d,J=6.9Hz),1.18(1H,oxtet−like,J=7.6Hz),1.28−1.46(6H,m),1.63(2H,quint−like,J=7.7Hz),2.08(2H,q−like,J=6.9Hz),2.30(2H,t,J=7.7Hz),3.90(2H,dq,J=11.4Hz,6.1Hz),4.94(1H,dd,J=9.6Hz,1.2Hz),5.07(1H,dd,J=17.0Hz,1.5Hz),5.68(1H,dt,14.6Hz,6.9Hz),6.00−6.08(1H,m)6.29(1H,ddd,J=16.8Hz,10.3Hz,10.3Hz);
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ11.18,16.36,24.83,26.00,28.64,28.76,32.27,34.10,34.28,68.87,114.71,131.05,135.06,137.22,173.87
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 238(M
+),150,121,108,71,55,43
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2963,2932,1737,1175,1004,897
【0088】
実施例7
<(7E)−7,9−デカジエン酸(2E)−2−ヘキセニル(5−2:R
1=(2E)−2−hexenyl)の製造>
反応器に、(7E)−7,9−デカジエン酸エチル(5)(1.66g、8.45mmol)、(2E)−2−ヘキセン−1−オール(8.91g、84.51mmol)を加え20〜30℃でカリウム=tert−ブトキシド(1.05g、9.36mmol)を添加した。150分間撹拌した後、65℃に加熱して100mmHgの減圧条件下でエタノールとtrans−2−ヘキセン−1−オールを留去しながら40分間反応した。その後、20℃まで冷却して、反応液に純水(30g)、ヘキサン(30g)を添加して30分間撹拌後、分液した。有機層を減圧下濃縮して残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、(7E)−7,9−デカジエン酸(2E)−2−ヘキセニル(5−2)(1.93g、7.71mmol、E/Z=99/1)が収率91.2%で得られた。
【0089】
(7E)−7,9−デカジエン酸(2E)−2−ヘキセニル(5−2:R
1=(2E)−2−hexenyl)
〔核磁気共鳴スペクトル〕
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ0.90(3H,t,J=7.3Hz),1.28−1.36(2H,m),1.36−1.45(4H,m),1.63(2H,quint−like,J=7.6Hz),1.99−2.11(4H,m),2.30(2H,t,J=7.6Hz),4.51(2H,dd,J=6.5Hz,1.1Hz),4.94(1H,dd,J=10.1Hz,1.5Hz),5.08(1H,dd,J=17.0Hz,1.5Hz),5.56(1H,dtt,J=14.2Hz,6.5Hz,1.5Hz),5.68(1H,dt,J=14.7Hz,7.3Hz),5.75(1H,dtt,J=14.3Hz,6.5Hz,1.2Hz),6.03(1H,ddt,J=15.3Hz,10.3Hz,0.8Hz),6.29(1H,ddd,J=17.2Hz,10.3Hz,10.3Hz);
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ13.59,22.01,24.76,28.61,28.75,32.27,34.23,34.27,65.06,114.71,124.00,131.04,135.07,136.24,137.22,173.50
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 250(M
+),135,121,67,41
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2958,2930,2859,1737,1170,1004,971,897
【0090】
実施例8
<(7E)−7,9−デカジエン酸メチル(5−2:R
1=Me)の製造>
反応器に、(7E)−7,9−デカジエン酸エチル(5)(1.66g、8.45mmol)、メタノール(27.06g、844.70mmol)を加え20〜30℃でカリウム=tert−ブトキシド(1.05g、9.36mmol)を添加した。190分間撹拌した後、40℃に加熱して100mmHgの減圧条件下でエタノールとメタノールを留去しながら30分間反応した。その後、20℃まで冷却して、反応液に純水(30g)、ヘキサン(30g)を添加して30分間撹拌後、分液した。有機層を減圧下で濃縮して残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製することで、(7E)−7,9−デカジエン酸メチル(5−2)(1.48g、8,13mmol、E/Z=99/1)が収率96.2%で得られた。
【0091】
(7E)−7,9−デカジエン酸メチル(5−2:R
1=Me)
〔核磁気共鳴スペクトル〕
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ1.28−1.36(2H,m),1.36−1.44(2H,m),1.62(2H,quint−like,J=7.6Hz),2.07(2H,q−like,J=6.9Hz),2.29(2H,t,J=7.6Hz),3.65(3H,s),4.94(1H,dd,10.3Hz,1.1Hz),5.07(1H,dd,J=17.2Hz,1.1Hz),5.67(1H,dt,J=14.5Hz,6.9Hz),6.03(1H,ddt,J=10.4Hz,15.2Hz,0.8Hz),6.29(1H,ddd,J=17.2Hz,10.4Hz,10.3Hz);
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ24.73,28.60,28.73,32.25,33.96,51.40,114.71,131.06,135.02,137.21,174.14
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 182(M
+),150,135,121,108,67,54,41
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2932,1740,1172,1005,899
【0092】
実施例9
<(7E)−7,9−デカジエン酸ブチル(5−2:R
1=Bu)の製造>
反応器に(7E)−7,9−デカジエン酸エチル(5)(1.66g、8.45mmol)、n−ブタノール(0.75g、10.14mmol)、チタン(IV)イソプロポキシド(0.024g、0.084mmol)を加え120℃に加熱し、反応の進行と共に副生するエタノールを留去した。エタノールの留去が終了した後、反応器内を徐々に1.0mmHgまで減圧し反応器内温を140℃まで昇温し、減圧蒸留を行い(7E)−7,9−デカジエン酸ブチル(5−2)(1.63g、7.28mmol、E/Z=99/1)が収率86.1%で得られた。
【0093】
(7E)−7,9−デカジエン酸ブチル(5−2:R
1=Bu)
〔核磁気共鳴スペクトル〕
1H−NMR(500MHz,CDCl
3):δ0.93(3H,t,J=7.3Hz),1.28−1.45(6H,m),1.56−1.66(4H,m),2.08(2H,q−like,J=7.2Hz),2.28(2H,t,J=7.3Hz),4.06(2H,t,J−6.5Hz),4.94(1H,dd,J=10.0Hz,1.1Hz),5.07(1H,dd,J=17.6Hz,1.1Hz),5.68(1H,dt,J=14.7Hz,7.2Hz),6.03(1H,ddt,J=15.3Hz,10.3Hz,0.8Hz),6.29(1H,ddd,J=17.0Hz,10.3Hz,10.1Hz);
13C−NMR(125MHz,CDCl
3):δ13.66,19.10,24.81,28.62,28.75,30.66,32.27,34.26,64.08,114.70,131.05,135.06,137.22,173.82
〔マススペクトル〕EI−マススペクトル(70eV):m/z 224(M
+),150,135,121,108,67,54,41
〔赤外吸収スペクトル〕(NaCl):νmax 2959,2933,1737,1176,1004,897