【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0031】
なお、粘度はキャノンフェンスケ型毛細管粘度計により測定した25℃における値を示し、屈折率はデジタル屈折率計RX−7000α(アタゴ社製)により測定した25℃における値である。
1H-NMR分析は、装置:JEOL社製ECX500II、測定溶媒:CDCl
3により行った。固形分(質量%)は、試料を熱風乾燥機を用いて105℃で2時間乾燥させた際の、乾燥前質量と乾燥後質量とから下式により求めた。
固形分(質量%)= 乾燥後質量/乾燥前質量×100
【0032】
[
比較例1]
<メタクリル変性シリコーンマクロモノマー(b−1)の製造>
冷却管と温度計を備えた1Lの4つ口フラスコに、1,1,1,3,3,5,5,7,7,7−デカメチルテトラシロキサン221g、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシロキサン264g、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランのオリゴマー(粘度80mm
2/s)265gを仕込んだ後、トリフルオロメタンスルホン酸1.20gを加え、90℃下にて7時間反応させた。反応後、液温を40℃まで下げ、水0.60g、炭酸水素ナトリウム12g、硫酸ナトリウム12gを順に加えて30分間撹拌し、ろ過にて固形分を除去した。更にその後、BHT0.27gを添加して、4%酸素含有窒素をバブリングしながら、100℃/15torrにて5時間かけて低沸成分を除去した。得られた物の収量は590gであり、粘度は19mm
2/s、屈折率は1.4239であった。
1H−NMR分析により、得られた化合物は下記式(b−1)で示されるメタクリル変性シリコーンマクロモノマーであることを確認した。
1H−NMRデータは以下の通りである。
1H−NMR:δ −0.10〜0.21(m,66H)、0.41〜0.58(m,4H)、1.59〜1.75(m,4H)、1.87〜1.93(s,6H)、4.01〜4.09(m,4H)、5.49〜5.54(s,2H)、6.04〜6.09(s,2H)
【化9】
(式中、dは平均7であり、eは平均2である。)
【0033】
[実施例2]
<メタクリル変性シリコーンマクロモノマー(b−2)の製造>
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランの代わりに3−(メタクリロイルオキシエトキシ)プロピルメチルジメトキシシランのオリゴマー(粘度130mm
2/s)を131g用い、用いる他の原料の量を1,1,1,3,3,5,5,7,7,7−デカメチルテトラシロキサン178gならびに1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシロキサン423gに変更した以外は実施例1を繰り返した。得られた物の収量は605gであり、粘度は23mm
2/s、屈折率は1.4150であった。
1H−NMR分析により、得られた化合物は下記式(b−2)で示されるメタクリル変性シリコーンマクロモノマーであることを確認した。
1H-NMRデータは以下の通りである。
1H−NMR:δ −0.10〜0.21(m,93H)、0.41〜0.58(m,2H)、1.54〜1.69(m,2H)、1.88〜1.93(s,3H)、3.36〜3.45(m,2H)、3.60〜3.67(m,2H)、4.22〜4.29(m,2H)、5.50〜5.55(s,1H)、6.09〜6.13(s,1H)
【化10】
(式中、dは平均12であり、eは平均1である。)
【0034】
[
比較例3]
<メタクリル変性シリコーンマクロモノマー(b−3)の製造>
用いる原料の量を、1,1,1,3,3,5,5,7,7,7−デカメチルテトラシロキサン188g、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシロキサン449gならびに3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランのオリゴマー(80mm
2/s)113gに変更した以外は実施例1を繰り返した。得られた物の収量は625gであり、粘度は16mm
2/s、屈折率は1.4098であった。
1H−NMR分析により、得られた化合物は下記式(b−3)で示されるメタクリル変性シリコーンマクロモノマーであることを確認した。
1H−NMRデータは以下の通りである。
1H−NMR:δ −0.10〜0.21(m,93H)、0.41〜0.58(m,2H)、1.59〜1.75(m,2H)、1.87〜1.93(s,3H)、4.01〜4.09(m,2H)、5.49〜5.54(s,1H)、6.04〜6.09(s,1H)
【化11】
(式中、dは平均12であり、eは平均1である。)
【0035】
[参考例1]
<酸化亜鉛および重合性モノマー含有混合物の製造>
撹拌機、温度調整機、滴下ロートを備えた反応容器にn−ブタノール85.4gおよび酸化亜鉛40.7gを仕込み、撹拌しながら75℃に昇温した。続いて、滴下ロートからメタクリル酸43.1g、アクリル酸36.1g、水5.0gからなる混合液を3時間で等速滴下した。さらに2時間撹拌した後、n−ブタノールを36g添加して、固形分44.8質量%の透明な混合物を得た。
【0036】
[参考例2]
<樹脂組成物(X−1)の製造>
撹拌機、温度調整機、滴下ロートを備えた反応容器に、キシレン59g、プロピレングリコールモノメチルエーテル15g、エチルアクリレート4.0gを仕込み、撹拌しながら100℃に昇温した。続いて、滴下ロートから、メチルメタクリレート29.4部、エチルアクリレート14.9部、参考例1で得られた酸化亜鉛および重合性モノマー含有混合物26部、メタクリル変性シリコーンマクロモノマー(b−1)40部、キシレン10部、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.3部、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)10.7部、連鎖移動剤(日油株式会社製、ノフマー(登録商標)MSD、α−メチルスチレンダイマー)1.0部からなる混合物を6時間かけて等速滴下した。滴下終了後、t−ブチルパーオキシオクトエート0.5部とキシレン10部を30分間隔で4回滴下し、さらに1時間撹拌した後、キシレン55部を添加し、固形分38.2質量%の溶液状の樹脂組成物(X−1)を得た。
【0037】
[参考例3]
<樹脂組成物(X−2)の製造>
メタクリル変性シリコーンマクロモノマー(b−1)の代わりにメタクリル変性シリコーンマクロモノマー(b−2)を用いた以外は参考例2と同様にして、固形分45.1質量%の溶液状の樹脂組成物(X−2)を得た。
【0038】
[参考例4]
<樹脂組成物(X−3)の製造>
メタクリル変性シリコーンマクロモノマー(b−1)の代わりにメタクリル変性シリコーンマクロモノマー(b−3)を用いた以外は参考例2と同様にして、固形分43.8質量%の溶液状の樹脂組成物(X−3)を得た。
【0039】
[参考例5]
<樹脂組成物(X−4)の製造>
メタクリル変性シリコーンマクロモノマーとして、(b−1)の代わりに下記式(b−4)で表されるメタクリル変性シリコーンマクロモノマーを用いた以外は参考例2と同様にして、固形分45.4質量%の溶液状の樹脂組成物(X−4)を得た。
【化12】
【0040】
[参考例6〜9]
<塗膜の評価>
得られた各樹樹脂組成物から形成される塗膜について、表面平滑性、塗膜硬度ならびに防汚性の評価を行った結果を表1に示す。
【0041】
(表面平滑性)
50mm×50mm×2mm(厚さ)の硬質塩化ビニル板に、樹脂溶液を乾燥膜厚120μmになるようにアプリケーターを用いて塗布し、乾燥して塗膜を形成する事によって試験板を得た。この試験板を人工海水中に設置した回転ドラムに取り付け、周速7.7m/sで回転させた。100日後の塗膜について、高精度形状測定システムKS−1100、LT−9000(キーエンス株式会社製)にて線粗さを測定し、以下の基準で表面平滑性を評価した。
○:1.0μm未満。
×:1.0μm以上。
【0042】
(塗膜硬度)
ガラス基板上に、500μmアプリケーターを用いて樹脂溶液を乾燥膜厚が80〜150μmとなるように塗布し、25℃で1週間乾燥させて樹脂組成物の塗膜が形成された試験板を得た。この試験板の塗膜について、25℃において超微小硬度計(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製、商品名:HM2000)により塗膜硬度を測定した。測定条件は、dQRST(F)/dt=一定、F(試験力)=10mN/10秒、C(最大荷重クリープ時間)=5秒、最大押し込み荷重=10mN、最大押し込み深さ=6μmとし、試験板の塗膜のそれぞれ異なる3ヶ所の平均値を塗膜硬度とし、以下の基準で評価した。
◎:9.0N/mm
2以上。
○:7.0〜9.0N/mm
2
×:8.0N/mm
2以下。
【0043】
(防汚性)
防錆塗料を予め両面に塗装したサンドブラスト鋼板に、樹脂溶液を両面に乾燥膜厚が200〜300μmとなるように刷毛で塗布した。得られた塗板を室温(25℃)で3日間乾燥させた後、愛知県内の湾の海面下1.0mに4ヶ月間静置浸漬し、試験板の全面積に対する海中生物が付着した面積の割合を調べ、以下の基準で評価した。
◎:海水生物の付着面積が5%以下。
○:海水生物の付着面積が5%超60%以下。
×:海水生物の付着面積が60%超。
【0044】
【表1】