(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(b)では、前記第1供給部内における前記一方のガスに対する前記他方のガスの体積比率を時間の経過とともに増加させる請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
(b)では、前記第1供給部内における前記一方のガスと前記他方のガスとの反応のピークポイントを移動させる請求項1〜6のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
(b)では、前記第1供給部内における前記一方のガスと前記他方のガスとの反応により生じる反応熱の発熱量のピークポイントを移動させる請求項1〜7のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
前記サイクルは、(c)前記他方のガスの供給を停止した後、前記第1供給部内に残留するガスを除去する工程を更に含む請求項1〜8のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
(a)では、前記一方のガスを用いて前記処理容器内の圧力調整を行い、前記処理容器内へ前記一方のガスを充満させる請求項1〜10のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
前記クリーニングガスは、フッ素ガス、フッ化水素ガス、フッ化塩素ガス、フッ化窒素ガス、或いは、これらの混合ガスを含み、前記添加ガスは、一酸化窒素ガス、水素ガス、酸素ガス、亜酸化窒素ガス、イソプロピルアルコールガス、メタノールガス、水蒸気、フッ化水素ガス、或いは、これらの混合ガスを含む請求項1〜16のいずれか1項に記載のクリーニング方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について、
図1〜
図3、
図4(a)を参照しながら説明する。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は加熱機構(温度調整部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0010】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO
2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の下方には、反応管203と同心円状に、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属材料により構成され、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部は、反応管203の下端部に係合しており、反応管203を支持するように構成されている。マニホールド209と反応管203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。反応管203はヒータ207と同様に垂直に据え付けられている。主に、反応管203とマニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成される。処理容器の筒中空部には処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。この処理室201内でウエハ200に対する処理が行われる。
【0011】
処理室201内には、第1〜第3供給部としてのノズル249a〜249cが、マニホールド209の側壁を貫通するようにそれぞれ設けられている。ノズル249a〜249cを第1〜第3ノズルとも称する。ノズル249a〜249cは、例えば石英またはSiC等の耐熱性材料により構成されている。ノズル249a〜249cには、ガス供給管232a〜232cがそれぞれ接続されている。ノズル249a〜249cはそれぞれ異なるノズルであり、ノズル249a,249cのそれぞれは、ノズル249bに隣接して設けられており、ノズル249bを両側から挟むように配置されている。
【0012】
ガス供給管232a〜232cには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a〜241cおよび開閉弁であるバルブ243a〜243cがそれぞれ設けられている。ガス供給管232bのバルブ243bよりも下流側には、ガス供給管232d,232eがそれぞれ接続されている。ガス供給管232d,232eには、ガス流の上流側から順に、MFC241d,241e、バルブ243d,243eがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a〜232cのバルブ243a〜243cよりも下流側には、ガス供給管232f〜232hがそれぞれ接続されている。ガス供給管232f〜232hには、ガス流の上流側から順に、MFC241f〜241hおよびバルブ243f〜243hがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a〜232hは、例えばステンレス(SUS)等の金属材料により構成されている。
【0013】
図2に示すように、ノズル249a〜249cは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a〜249cは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。平面視において、ノズル249bは、処理室201内に搬入されるウエハ200の中心を挟んで後述する排気口231aと一直線上に対向するように配置されている。ノズル249a,249cは、ノズル249bと排気口231aの中心とを通る直線Lを、反応管203の内壁(ウエハ200の外周部)に沿って両側から挟み込むように配置されている。直線Lは、ノズル249bとウエハ200の中心とを通る直線でもある。ノズル249cは、直線Lを挟んでノズル249aと反対側に設けられているということもできる。ノズル249a,249cは、直線Lを対称軸として線対称に配置されている。ノズル249a〜249cの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a〜250cがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a〜250cは、それぞれが、平面視において排気口231aと対向(対面)するように開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a〜250cは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
【0014】
ガス供給管232a,232cからは、処理ガス、すなわち、後述する原料とは化学構造(分子構造)が異なる反応体(リアクタント)として、例えば、窒素(N)含有ガスである窒化水素系ガスが、MFC241a,241c、バルブ243a,243c、ノズル249a,249cを介して処理室201内へ供給される。窒化水素系ガスは、窒化ガス、すなわち、Nソースとして作用する。窒化水素系ガスとしては、例えば、アンモニア(NH
3)ガスを用いることができる。
【0015】
ガス供給管232bからは、処理ガス、すなわち、原料(原料ガス)として、例えば、膜を構成する所定元素(主元素)としてのSiおよびハロゲン元素を含むハロシラン系ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。原料ガスとは、気体状態の原料、例えば、常温常圧下で液体状態である原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態である原料等のことである。ハロシランとは、ハロゲン基を有するシランのことである。ハロゲン基には、クロロ基、フルオロ基、ブロモ基、ヨード基等が含まれる。すなわち、ハロゲン基には、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等のハロゲン元素が含まれる。ハロシラン系ガスとしては、例えば、SiおよびClを含む原料ガス、すなわち、クロロシラン系ガスを用いることができる。クロロシラン系ガスは、Siソースとして作用する。クロロシラン系ガスとしては、例えば、ヘキサクロロジシラン(Si
2Cl
6、略称:HCDS)ガスを用いることができる。HCDSガスは、後述の処理条件下においてそれ単独で固体となる元素(Si)を含むガス、すなわち、後述の処理条件下においてそれ単独で膜を堆積させることができるガスである。
【0016】
ガス供給管232dからは、クリーニングガスとして、フッ素系ガスが、MFC241d、バルブ243d、ガス供給管232b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。フッ素系ガスとしては、例えば、フッ素(F
2)ガスを用いることができる。
【0017】
ガス供給管232eからは、上述のクリーニングガスとは化学構造(分子構造)が異なる添加ガスとして、酸化窒素系ガスが、MFC241e、バルブ243e、ガス供給管232b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。酸化窒素系ガスは、それ単体ではクリーニング作用を奏しないが、フッ素系ガスと反応することで、例えばフッ素ラジカルやフッ化ニトロシル化合物等の活性種を生成し、フッ素系ガスのクリーニング作用を向上させるように作用する。酸化窒素系ガスとしては、例えば、一酸化窒素(NO)ガスを用いることができる。
【0018】
ガス供給管232f〜232hからは、不活性ガスとして、例えば、窒素(N
2)ガスが、それぞれMFC241f〜241h、バルブ243f〜243h、ガス供給管232a〜232c、ノズル249a〜249cを介して処理室201内へ供給される。N
2ガスは、パージガス、キャリアガス、希釈ガス等として作用する。
【0019】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243a、および/または、ガス供給管232c、MFC241c、バルブ243cにより、第2処理ガス供給系(反応体供給系)が構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、第1処理ガス供給系(原料供給系)が構成される。主に、ガス供給管232d、MFC241d、バルブ243dにより、クリーニングガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232e、MFC241e、バルブ243eにより、添加ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232f〜232h、MFC241f〜241h、バルブ243f〜243hにより、不活性ガス供給系が構成される。
【0020】
上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a〜243hやMFC241a〜241h等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a〜232hのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a〜232h内への各種ガスの供給動作、すなわち、バルブ243a〜243hの開閉動作やMFC241a〜241hによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a〜232h等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
【0021】
反応管203の側壁下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口231aが設けられている。
図2に示すように、排気口231aは、平面視において、ウエハ200を挟んでノズル249a〜249c(ガス供給孔250a〜250c)と対向(対面)する位置に設けられている。排気口231aは、反応管203の側壁の下部より上部に沿って、すなわち、ウエハ配列領域に沿って設けられていてもよい。排気口231aには排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、APCバルブ244、圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0022】
なお、排気管231は、耐熱性や耐食性に優れた合金によって構成されている。合金としては、SUSの他、例えば、ニッケル(Ni)に鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)等を添加することで耐熱性、耐食性を高めたハステロイ(登録商標)や、NiにFe、Cr、ニオブ(Nb)、Mo等を添加することで耐熱性、耐食性を高めたインコネル(登録商標)等を好適に用いることができる。
【0023】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。マニホールド209の下方には、シールキャップ219を降下させボート217を処理室201内から搬出した状態で、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sは、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0024】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が多段に支持されている。
【0025】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0026】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0027】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピや、後述するクリーニング処理の手順や条件等が記載されたクリーニングレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。クリーニングレシピは、後述するクリーニング処理における各手順を、コントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピ、クリーニングレシピ、制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピやクリーニングレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0028】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a〜241h、バルブ243a〜243h、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s等に接続されている。
【0029】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a〜241hによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a〜243hの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作等を制御するように構成されている。
【0030】
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0031】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200上に膜を形成する基板処理シーケンス例、すなわち、成膜シーケンス例について説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0032】
本実施形態の成膜シーケンスでは、
処理容器内のウエハ200に対して原料としてHCDSガスを供給するステップ1と、処理容器内のウエハ200に対して反応体としてNH
3ガスを供給するステップ2と、を非同時に行うサイクルを所定回数行うことで、ウエハ200上に、膜として、SiおよびNを含む膜であるシリコン窒化膜(SiN膜)を形成する。
【0033】
本明細書では、上述の成膜シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の変形例等の説明においても、同様の表記を用いる。
【0034】
(HCDS→NH
3)×n ⇒ SiN
【0035】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0036】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、
図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0037】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。処理室201内の排気、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0038】
(成膜ステップ)
その後、次のステップ1,2を順次実行する。
【0039】
[ステップ1]
このステップでは、処理容器内のウエハ200に対してHCDSガスを供給する(HCDSガス供給ステップ)。具体的には、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内へHCDSガスを流す。HCDSガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200に対してHCDSガスが供給される。このとき、バルブ243f,243hを開き、ノズル249a,249cを介して処理室201内へN
2ガスを供給する。このとき、バルブ243gを開き、ノズル249bを介して処理室201内へN
2ガスを供給するようにしてもよい。
【0040】
本ステップにおける処理条件としては、
HCDSガス供給流量:0.01〜2slm、好ましくは0.1〜1slm
N
2ガス供給流量(ガス供給管毎):0〜10slm
各ガス供給時間:1〜120秒、好ましくは1〜60秒
処理温度:250〜800℃、好ましくは400〜700℃
処理圧力:1〜2666Pa、好ましくは67〜1333Pa
が例示される。
【0041】
なお、本明細書における「250〜800℃」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「250〜800℃」とは「250℃以上800℃以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0042】
上述の条件下でウエハ200に対してHCDSガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上に、第1層として、Clを含むSi含有層が形成される。Clを含むSi含有層は、ウエハ200の最表面に、HCDSが物理吸着したり、HCDSの一部が分解した物質(以下、Si
xCl
y)が化学吸着したり、HCDSが熱分解することでSiが堆積したりすること等により形成される。Clを含むSi含有層は、HCDSやSi
xCl
yの吸着層(物理吸着層や化学吸着層)であってもよく、Clを含むSi層(Si堆積層)であってもよい。本明細書では、Clを含むSi含有層を、単に、Si含有層とも称する。
【0043】
第1層が形成された後、バルブ243bを閉じ、処理室201内へのHCDSガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(パージステップ)。このとき、バルブ243f〜243hを開き、処理室201内へN
2ガスを供給する。N
2ガスはパージガスとして作用する。
【0044】
原料としては、HCDSガスの他、モノクロロシラン(SiH
3Cl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2、略称:DCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl
3、略称:TCS)ガス、テトラクロロシラン(SiCl
4、略称:STC)ガス、オクタクロロトリシラン(Si
3Cl
8、略称:OCTS)ガス等のクロロシラン系ガスを用いることができる。これらのガスは、HCDSガスと同様、上述の処理条件下においてそれ単独で膜を堆積させることができるガスである。
【0045】
不活性ガスとしては、N
2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。この点は、後述するステップ2およびクリーニング処理工程においても同様である。
【0046】
[ステップ2]
ステップ1が終了した後、処理容器内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第1層に対してNH
3ガスを供給する(NH
3ガス供給ステップ)。具体的には、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へNH
3ガスを流す。NH
3ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、ウエハ200に対してNH
3ガスが供給される。このとき、バルブ243g,243hを開き、ノズル249b,249cを介して処理室201内へN
2ガスを供給する。このとき、バルブ243fを開き、ノズル249aを介して処理室201内へN
2ガスを供給するようにしてもよい。
【0047】
本ステップにおける処理条件としては、
NH
3ガス供給流量:0.1〜10slm
N
2ガス供給流量(ガス供給管毎):0〜2slm
NH
3ガス供給時間:1〜120秒、好ましくは1〜60秒
処理圧力:1〜4000Pa、好ましくは1〜3000Pa
が例示される。他の処理条件は、ステップ1における処理条件と同様な処理条件とする。
【0048】
上述の条件下でウエハ200に対してNH
3ガスを供給することにより、ウエハ200上に形成された第1層の少なくとも一部が窒化(改質)される。第1層が改質されることで、ウエハ200上に、SiおよびNを含む第2層、すなわち、SiN層が形成される。第2層を形成する際、第1層に含まれていたCl等の不純物は、NH
3ガスによる第1層の改質反応の過程において、少なくともClを含むガス状物質を構成し、処理室201内から排出される。これにより、第2層は、第1層に比べてCl等の不純物が少ない層となる。
【0049】
第2層が形成された後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのNH
3ガスの供給を停止する。そして、ステップ1のパージステップと同様の処理手順により、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(パージステップ)。
【0050】
反応体としては、NH
3ガスの他、例えば、ジアゼン(N
2H
2)ガス、ヒドラジン(N
2H
4)ガス、N
3H
8ガス等の窒化水素系ガスを用いることができる。
【0051】
[所定回数実施]
上述したステップ1,2を非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを所定回数(m回、mは1以上の整数)行うことにより、ウエハ200上に、所定組成および所定膜厚のSiN膜を形成することができる。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、上述のサイクルを1回行う際に形成される第2層の厚さを所望の膜厚よりも薄くし、第2層を積層することで形成されるSiN膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0052】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
成膜ステップが終了した後、ノズル249a〜249cのそれぞれからパージガスとしてのN
2ガスを処理室201内へ供給し、排気口231aから排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0053】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、マニホールド209の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。ボートアンロードの後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0054】
(3)クリーニング処理工程
上述の基板処理を行うと、HCDSガスを供給するノズル249bの内部に、SiN膜等の薄膜を含む堆積物が付着して累積する場合がある。というのも、上述のステップ2において、NH
3ガスの供給を不実施とするノズル249bからN
2ガスを供給し、ノズル249b内へのNH
3ガスの侵入を防止しようとしても、ノズル249bの内部に所定量のNH
3ガスが侵入する場合があるからである。このような場合、成膜温度に加熱されたノズル249bの内部において、残留したHCDSガスと、侵入したNH
3ガスと、が混合し、上述の成膜反応に相当する反応が進行し、SiN膜等の薄膜を含む堆積物が累積する場合がある。
【0055】
また、上述のステップ1において、HCDSガスの供給を不実施とするノズル249a,249cのそれぞれからN
2ガスを供給し、ノズル249a,249c内へのHCDSガスの侵入を防止しようとしても、ノズル249a,249cの内部に所定量のHCDSガスが侵入する場合がある。また、上述のステップ2において、NH
3ガスの供給を不実施とするノズル249cからN
2ガスを供給し、ノズル249c内へのNH
3ガスの侵入を防止しようとしても、ノズル249cの内部に所定量のNH
3ガスが侵入する場合がある。これらの結果、ノズル249bの内部だけでなく、ノズル249a,249cの内部にも、SiN膜等の薄膜を含む堆積物が累積する場合がある。
【0056】
また、上述の基板処理を行うと、ノズル249a〜249cの内部だけでなく、処理容器の内部、例えば、反応管203の内壁、ノズル249a〜249cの表面、ボート217の表面等に、SiN膜等の薄膜を含む堆積物が累積する場合がある。
【0057】
なお、それ単独で固体となる元素であるSiを含むHCDSガスを供給するノズル249bの内部には、ノズル249a,249cの内部に比べ、堆積物が累積しやすく、また、Siリッチな堆積物が累積する傾向がある。
【0058】
本実施形態では、少なくともノズル249b内に累積した堆積物の量や、処理容器内に累積した堆積物の量、すなわち、累積膜厚が、堆積物に剥離や落下が生じる前の所定の量(厚さ)に達したところで、ノズル249b内や処理容器内等をクリーニングする。本明細書では、ノズル249b内に対して行うこの処理を、第1クリーニング処理と称する。
【0059】
本実施形態の第1クリーニング処理では、
ウエハ200に対して供給部としてのノズル249bより処理ガスとしてのHCDSガスを供給しウエハ200を処理した後の処理容器内に向けて、クリーニングガスおよびクリーニングガスと反応する添加ガスのうちいずれか一方のガスを、ノズル249bより供給するステップaと、
上述の一方のガスの供給を停止した後、ノズル249b内に上述の一方のガスの一部が残留した状態で、処理容器内に向けて、クリーニングガスおよび添加ガスのうち上述の一方のガスとは異なる他方のガスを、ノズル249bより供給するステップbと、
を含むサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行う。
【0060】
なお、本実施形態の第1クリーニング処理では、ノズル249b内へクリーニングガスと添加ガスとを同時に供給するタイミングは存在しない。すなわち、ステップaにおいてノズル249b内へクリーニングガスおよび添加ガスのうち一方のガスを供給する場合、ステップaにおいてノズル249b内へ供給される他方のガスの流量をゼロとする。また、ステップbにおいてノズル249b内へ上述の他方のガスを供給する場合、ステップbにおいてノズル249b内へ供給される上述の一方のガスの流量をゼロとする。
【0061】
以下、クリーニングガスとしてF
2ガスを、添加ガスとしてNOガスをそれぞれ用いる第1クリーニング処理の一例を、
図4(a)を用いて説明する。
図4(a)は、ステップaで供給する上述の一方のガスとしてF
2ガスを、ステップbで供給する上述の他方のガスとしてNOガスをそれぞれ用いる例を示している。なお、
図4(a)は、ステップaにおいて、処理容器内へF
2ガスを供給する前に、N
2ガスを用いて処理容器内の圧力を調整する圧力調整ステップを行う例を示している。また、
図4(a)は、上述のサイクルを行う際、NOガスの供給を停止した後、すなわち、ステップbを実施した後に、ノズル249b内、好ましくは、ノズル249a〜249c内および処理容器内に残留しているガスを除去するステップcを行う例を示している。
【0062】
図4(a)では、ステップa〜cの実施期間を、便宜上、それぞれa〜cと表している。また、ステップaにおいて行う圧力調整ステップの実施期間を、便宜上、a
0と表している。また、ノズル249a〜249cを、便宜上、それぞれR1〜R3と表している。各ステップの実施期間および各ノズルの表記は、後述する変形例のガス供給シーケンスを示す
図4(b)、
図5(a)、
図5(b)、
図6、
図7においても同様である。
【0063】
本明細書では、ノズル249b内で行われる第1クリーニング処理のガス供給シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の変形例の説明においても、同様の表記を用いる。
【0064】
R2:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
【0065】
以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0066】
(ボートロード)
シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。その後、空のボート217、すなわち、ウエハ200を装填していないボート217が、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0067】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気される。また、処理室201内が所望の温度となるように、ヒータ207によって加熱される。このとき、処理室201内の部材、すなわち、反応管203の内壁、ノズル249a〜249cの表面や内部(内壁)、ボート217の表面等も、所望の温度に加熱される。処理室201内の温度が所望の温度に到達した後、後述する第1〜第3クリーニング処理が完了するまでの間は、その温度が維持されるように制御する。続いて、回転機構267によるボート217の回転を開始する。ボート217の回転は、後述する第1〜第3クリーニング処理が完了するまでの間は継続して行われる。ボート217は回転させなくてもよい。
【0068】
(第1クリーニング処理)
その後、次のステップa〜cを順に実行する。
【0069】
[ステップa]
最初にステップaを行う。本ステップでは、以下に示すように、圧力調整ステップ、F
2ガス供給ステップを順に行う。
【0070】
まず、処理容器内に向けて、N
2ガスをノズル249a〜249cより供給し、処理容器内の圧力が所定の処理圧力となるように調整する(圧力調整ステップ)。具体的には、バルブ243f〜243hを開き、ガス供給管232f〜232h内へN
2ガスをそれぞれ流す。N
2ガスは、MFC241f〜241hにより流量調整され、ガス供給管232a〜232c、ノズル249a〜249cを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づき、APCバルブ244を調整することで、処理室201内の圧力が所定の処理圧力となるように調整する。処理室201内の圧力が所定の処理圧力となった後、バルブ243f〜243hを閉じ、処理室201内へのN
2ガスの供給を停止する。
【0071】
続いて、処理容器内に向けて、F
2ガスをノズル249bより供給する(F
2ガス供給ステップ)。すなわち、処理容器内へ供給するガスを、N
2ガスからF
2ガスに切り替える。具体的には、バルブ243dを開き、ガス供給管232d内へF
2ガスを流す。F
2ガスは、MFC241dにより流量調整され、ガス供給管232b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。F
2ガスの供給を開始してから所定時間が経過した後、バルブ243dを閉じ、ノズル249bを介した処理室201内へのF
2ガスの供給を停止する。このとき、バルブ243f〜243hのうち少なくともいずれかを開き、ノズル249a〜249cのうち少なくともいずれかを介して処理室201内へN
2ガスを供給するようにしてもよい。
【0072】
これらのステップを順に行うことで、ノズル249b内には、ガス供給管232dより供給されたF
2ガスの一部が残留した状態となる。ノズル249b内に残留したF
2ガスのうち一部のガスは、ノズル249b内に浮遊しており、ノズル249b内から処理室201内に向かって移動した状態となっている。また、ノズル249b内に残留したF
2ガスのうち他の一部のガスは、ノズル249bの内壁に付着(物理吸着)した状態となっている。また、ノズル249b内に残留したF
2ガスのうち更に他の一部のガスは、ノズル249bの内壁を構成する石英と僅かながら反応し、ノズル249bの内壁に付着(化学吸着)した状態となっている。
【0073】
ステップaの圧力調整ステップにおける処理条件としては、
N
2ガス供給流量(各ガス供給管):0.5〜10slm
N
2ガス供給時間:10〜180秒
処理圧力:133〜26600Pa、好ましくは6650〜19950Pa
処理温度:30〜500℃、好ましくは200〜300℃
が例示される。
【0074】
ステップaのF
2ガス供給ステップにおける処理条件としては、
F
2ガス供給流量:0.1〜4slm、好ましくは0.5〜2slm
N
2ガス供給流量(各ガス供給管):0〜10slm
各ガス供給時間:10〜120秒、好ましくは30〜60秒
が例示される。他の処理条件は、圧力調整ステップにおける処理条件と同様とする。
【0075】
[ステップb]
続いてステップbを行う。本ステップでは、ノズル249b内にF
2ガスの一部が残留した状態で、処理容器内に向けて、NOガスをノズル249bより供給する(NOガス供給ステップ)。具体的には、バルブ243eを開き、ガス供給管232e内へNOガスを流す。NOガスは、MFC241eにより流量調整され、ガス供給管232b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。このとき、バルブ243f〜243hのうち少なくともいずれかを開き、ノズル249a〜249cのうち少なくともいずれかを介して処理室201内へN
2ガスを供給するようにしてもよい。
【0076】
本ステップを行うことで、ノズル249b内に残留したF
2ガスと、ノズル249b内へ供給されたNOガスと、をノズル249b内で混合させて反応させることが可能となる。この反応により、ノズル249b内で、例えば、フッ素ラジカル(F
*)やフッ化ニトロシル(FNO)等の活性種(以下、これらを総称してFNO等とも称する)を生成することが可能となる。ノズル249b内には、F
2ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスが存在することとなる。F
2ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスは、ノズル249bの内部に接触する。このとき、熱化学反応(エッチング反応)により、ノズル249bの内部に付着していた堆積物を除去することが可能となる。FNO等は、F
2ガスによるエッチング反応を促進させ、堆積物のエッチングレートを増大させるように、すなわち、エッチングをアシストするように作用する。
【0077】
本ステップでは、ノズル249b内にF
2ガスの一部が残留した状態で、また、処理室201内を排気した状態で、NOガスをノズル249b内へ供給することから、上述のエッチング反応を、ノズル249b内に残留したF
2ガスの一部を処理室201内へ移動させつつ進行させることが可能となる。すなわち、本ステップでは、ノズル249b内におけるF
2ガスの残留量(濃度、分圧)を時間の経過とともに減少させながら、上述のエッチング反応を進行させることが可能となる。言い換えれば、本ステップでは、ノズル249b内におけるF
2ガスに対するNOガスの体積比率(以下、NOガス/F
2ガス体積比率ともいう)を時間の経過とともに増加させながら、上述のエッチング反応を進行させることが可能となる。
【0078】
ここで、ノズル249b内で進行する上述のエッチング反応の活性度は、ノズル249b内におけるF
2ガスの残留量(濃度、分圧)の減少に伴って、すなわち、NOガス/F
2ガス体積比率の増加に伴って変化する。具体的には、ステップbの開始前、ノズル249b内にはNOガスが存在しないことから、ノズル249b内におけるNOガス/F
2ガス体積比率はゼロであり、上述のエッチング反応は、殆ど、或いは、全く進行しない。ステップbを開始した後、ノズル249b内におけるNOガス/F
2ガス体積比率がゼロよりも大きくなると、上述のエッチング反応が進行し始め、反応が次第に活性化する。ノズル249b内へのNOガスの供給を継続し、ノズル249b内におけるNOガス/F
2ガス体積比率が所定の大きさに到達すると、上述のエッチング反応が最も活性化し、反応の活性度はピークを迎える。ノズル249b内へのNOガスの供給をさらに継続することにより、ノズル249b内におけるNOガス/F
2ガス体積比率がさらに大きくなると、上述のエッチング反応が次第に減衰(非活性化)する。そして、ノズル249b内に残留したF
2ガスがノズル249b内から、殆ど、或いは、全て排出され、ノズル249b内の全域にNOガスが充満し、ノズル249b内におけるNOガス/F
2ガス体積比率が無限大に近づくと、ノズル249b内におけるエッチング反応は、殆ど、或いは、全く進行しなくなる。
【0079】
本実施形態のように、ノズル249b内におけるF
2ガスの残留量(濃度、分圧)を時間の経過とともに減少させながら上述のエッチング反応を進行させる場合、ノズル249b内におけるF
2ガスの残留量を一定に維持する場合に比べ、ノズル249b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応がソフトに進行する傾向がある。というのも、ノズル249b内におけるF
2ガスの残留量(濃度、分圧)を時間の経過とともに減少させながら上述のエッチング反応を進行させる場合、ノズル249b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応が最も活性化する期間は、ステップbの実施期間全体のうち、ノズル249b内におけるNOガス/F
2ガス体積比率が所定の大きさに到達した一部の期間内に限られることとなるからである。そのため、本実施形態におけるノズル249b内のエッチング反応は、ノズル249b内におけるNOガス/F
2ガス体積比率が所定の大きさに維持されるようにノズル249b内へF
2ガスとNOガスとを同時に供給し続ける場合に比べて、ソフトに進行することになる。すなわち、本実施形態のように、ノズル249b内におけるNOガス/F
2ガス体積比率を時間の経過とともにゼロから無限大へと増加させる場合、ノズル249bの内部でエッチング反応が過剰に進行することを抑制し、ノズル249bの内壁がオーバーエッチングされることを回避することが可能となる。
【0080】
また、本実施形態のように、上述のエッチング反応を、ノズル249b内に残留したF
2ガスの一部を処理室201内へ向けて移動させながら進行させる場合、ノズル249b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応のピークポイント、すなわち、F
2ガスとNOガスとの反応が最も活性化して堆積物のエッチング量が最大となる箇所は、ノズル249b内のガス流の上流側(
図1の下方側、すなわち、ノズル249bの根元側)から下流側(
図1の上方側、すなわち、ノズル249bの先端側)へ向けて移動することになる。これにより、本実施形態では、ノズル249b内における上述のエッチング反応が最も活性化するピークポイント、すなわち、堆積物のエッチングレートが最大となる箇所を、ステップbを開始した後の時間の経過とともに、ノズル249bの根元側から先端側へ向けて移動させながら、上述のエッチング反応を進行させることが可能となる。その結果、本実施形態では、上述のエッチング反応を、ノズル249b内における特定の狭い領域でのみ集中的に進行させるのではなく、ノズル249b内の広域において、好ましくは、ノズル249bの根元側から先端側へわたる全域において、まんべんなく均等に進行させることが可能となる。
【0081】
なお、上述のエッチング処理は、F
2ガスとNOガスとの反応による反応熱を生じさせる。本実施形態のように、ノズル249b内に残留したF
2ガスの一部を処理室201内へ向けて移動させながら、上述のエッチング反応を進行させる場合、ノズル249b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応による反応熱の発熱量が最大となる箇所、すなわち、発熱量のピークポイントを、ステップbを開始した後の時間の経過とともに、ノズル249bの根元側から先端側に向けて移動させることが可能となる。その結果、本実施形態では、ノズル249bの一部が局所的に温度上昇することを回避することが可能となる。
【0082】
NOガスの供給を開始してから所定時間が経過した後、バルブ243eを閉じ、ノズル249bを介した処理室201内へのNOガスの供給を停止する。ノズル249b内には、ガス供給管232eより供給されたNOガスの一部が残留した状態となる。ノズル249b内に残留したNOガスのうち一部のガスは、ノズル249b内に浮遊しており、ノズル249b内から処理室201内に向かって移動した状態となっている。また、ノズル249b内に残留したNOガスのうち他の一部のガスは、ノズル249bの内壁に付着(物理吸着)した状態となっている。
【0083】
ステップb、すなわち、NOガス供給ステップにおける処理条件としては、
NOガス供給流量:0.05〜2slm、好ましくは0.1〜1slm
NOガス供給時間:10〜120秒、好ましくは30〜60秒
が例示される。他の処理条件は、ステップaにおける処理条件と同様とする。
【0084】
[ステップc]
続いてステップcを行う。本ステップでは、ノズル249b内へのNOガスの供給を停止した後、ノズル249b内、好ましくは、ノズル249a〜249c内および処理容器内に残留するガスを除去する(残留ガス除去ステップ)。具体的には、APCバルブ244を開いた状態で、バルブ243f〜243hを開き、ガス供給管232f〜232h内へN
2ガスを流す。N
2ガスは、MFC241f〜241hにより流量調整され、ガス供給管232a〜232c、ノズル249a〜249cを介して処理室201内へ供給され、排気口231aより排気される。
【0085】
ステップc、すなわち、残留ガス除去ステップにおける処理条件としては、
N
2ガス供給流量(ガス供給管毎):0.5〜20slm、好ましくは1〜10slm
N
2ガス供給時間:10〜180秒、好ましくは10〜120秒
が例示される。他の処理条件は、ステップaにおける処理条件と同様とする。
【0086】
本ステップを行うことにより、ノズル249b内をパージすることができ、ノズル249b内に残留しているNOガス等を、ノズル249b内から除去することが可能となる。また、ノズル249b内の雰囲気をN
2ガスに置換することが可能となる。結果として、次のサイクルのステップaで処理室201内に向けてノズル249bよりF
2ガスを供給した際に、ノズル249b内で上述のエッチング反応が意図せずに進行することを回避することが可能となる。
【0087】
また、本ステップにおける処理条件を適正に設定することにより、ノズル249a,249c内および処理室201内をもパージすることができ、ノズル249a,249c内および処理室201内に残留するNOガス等を、ノズル249a,249c内および処理室201内からそれぞれ除去することが可能となる。また、ノズル249a,249c内および処理室201内の雰囲気をそれぞれN
2ガスに置換することが可能となる。結果として、次のサイクルのステップaで処理室201内に向けてノズル249bよりF
2ガスを供給した際に、ノズル249a,249c内および処理室201内で上述のエッチング反応が意図せずに進行することをそれぞれ回避することが可能となる。
【0088】
また、本ステップを行うことにより、ステップbにおいてF
2ガスとNOガスとの反応熱により上昇したノズル249bの温度を適正に降下させることが可能となる。結果として、次のサイクルのステップaで処理室201内に向けてノズル249bよりF
2ガスを供給した際に、高温状態のノズル249bの内部にF
2ガスが接触することによってノズル249bの内壁がオーバーエッチングされることを回避することが可能となる。
【0089】
[所定回数実施]
上述したステップa〜cを含むサイクルを所定回数(1回以上)行うことにより、ノズル249b内に付着した堆積物を除去することが可能となる。
【0090】
クリーニングガスとしては、F
2ガスの他、フッ化水素(HF)ガス、フッ化塩素(ClF
3)ガス、フッ化窒素(NF
3)ガス、或いは、これらの混合ガスを用いることができる。
【0091】
添加ガスとしては、NOガスの他、水素(H
2)ガス、酸素(O
2)ガス、亜酸化窒素(N
2O)ガス、イソプロピルアルコール((CH
3)
2CHOH、略称:IPA)ガス、メタノール(CH
3OH)ガス、水蒸気(H
2Oガス)、HFガス、或いは、これらの混合ガスを用いることができる。
【0092】
これらの点は、後述する第2、第3クリーニング処理においても同様である。
【0093】
なお、添加ガスとしてHFガスを用いる場合には、クリーニングガスとして、F
2ガス、ClF
3ガス、NF
3ガス、或いは、これらの混合ガスのいずれかのガスを用いるのが好ましい。また、クリーニングガスとしてHFガスを、添加ガスとしてIPAガス、メタノールガス、H
2Oガス、或いは、これらの混合ガスのいずれかのガスを用いる場合には、第1〜第3クリーニング処理における上述の処理温度を、例えば30〜300℃、好ましくは50〜200℃の範囲内の所定の温度とするのが望ましい。
【0094】
(第2クリーニング処理)
第1クリーニング処理を行うことにより、F
2ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスを処理室201の内部にも接触させることができ、処理室201内に付着した堆積物の少なくとも一部を除去することも可能となる。ただし、処理室201内に付着した堆積物の一部は、除去されずに処理室201内に残留する場合がある。そこで、第1クリーニング処理が終了した後、必要に応じて、処理室201内のクリーニング処理を行う。本明細書では、処理室201内に対して行うこの処理を、第2クリーニング処理と称する。
【0095】
具体的には、APCバルブ244を閉じ、処理室201内の排気を停止した状態で、処理室201内に向けてF
2ガスとNOガスとを同時に供給する(ステップd)。処理室201内の圧力が所定の処理圧力まで上昇した後、処理室201内の排気を停止した状態で、処理室201内に向けたF
2ガスとNOガスとの供給を停止して、処理室201内にF
2ガスとNOガスとを封じ込めた状態を所定時間維持する(ステップe)。所定の封じ込め時間が経過した後、APCバルブ244を開き、処理室201内を排気して、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(ステップf)。第2クリーニング処理では、ステップd〜fを1サイクルとして、このサイクルを所定回数(1回以上)行う。
【0096】
第2クリーニング処理を行うことにより、F
2ガスとNOガスとを処理室201内で混合させて反応させることが可能となる。その結果、処理室201内においてFNO等を生じさせ、F
2ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスを処理室201の内部に接触させることが可能となる。これにより、処理室201の内部でエッチング反応を進行させ、処理室201内に付着した堆積物を除去することが可能となる。なお、ノズル249a〜249cの内壁のオーバーエッチングを回避するため、上述のクリーニングガス供給系と同様のガス供給系、および、上述の添加ガス供給系と同様のガス供給系をガス供給管232a,232cにそれぞれ接続する等し、F
2ガスの供給に用いるノズルと、NOガスの供給に用いるノズルとを、異なるノズルとするのが好ましい。
【0097】
第2クリーニング処理における処理条件としては、
F
2ガス供給流量:0.5〜10slm
NOガス供給流量:0.5〜10slm
N
2ガス供給流量:0.01〜20slm、好ましくは0.01〜10slm
各ガス供給時間:10〜300秒、好ましくは20〜120秒
処理圧力:1330〜53320Pa、好ましくは9000〜15000Pa
が例示される。他の処理条件は、第1クリーニング処理における処理条件と同様とする。
【0098】
(第3クリーニング処理)
第1、第2クリーニング処理を行うことにより、F
2ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスを排気管231の内部にも接触させることができ、排気管231内に付着した堆積物の少なくとも一部を除去することも可能となる。ただし、排気管231内に付着した堆積物の一部は、除去されずに排気管231内に残留する場合がある。そこで、第1、第2クリーニング処理が終了した後、必要に応じて、排気管231内のクリーニング処理を行う。本明細書では、排気管231内に対して行うこの処理を、第3クリーニング処理と称する。
【0099】
具体的には、APCバルブ244を開き、処理室201内を排気した状態で、処理室201内に向けてF
2ガスとNOガスとを同時に供給する(ステップg)。所定の時間が経過した後、処理室201内を排気した状態で、処理室201内に向けたF
2ガスとNOガスとの供給を停止し、処理室201内や排気管231内に残留するガス等を処理室201内や排気管231内から排除する(ステップh)。第3クリーニング処理では、ステップg,hを1サイクルとして、このサイクルを所定回数(1回以上)行う。
【0100】
第3クリーニング処理を行うことにより、F
2ガスとNOガスとを処理室201内や排気管231内で混合させて反応させることが可能となる。その結果、処理室201内や排気管231内においてFNO等を生じさせ、F
2ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスを排気管231の内部に接触させることが可能となる。これにより、排気管231の内部でエッチング反応を進行させ、排気管231内に付着した堆積物を除去することが可能となる。なお、ノズル249a〜249cの内壁のオーバーエッチングを回避するため、上述のクリーニングガス供給系と同様のガス供給系、および、上述の添加ガス供給系と同様のガス供給系をガス供給管232a,232cにそれぞれ接続する等し、F
2ガスの供給に用いるノズルと、NOガスの供給に用いるノズルとを、異なるノズルとするのが好ましい。
【0101】
第3クリーニング処理における処理条件としては、
F
2ガス供給流量:0.5〜10slm
NOガス供給流量:0.5〜10slm
N
2ガス供給流量:0.01〜20slm、好ましくは0.01〜10slm
各ガス供給時間:10〜300秒、好ましくは20〜120秒
が例示される。他の処理条件は、第2クリーニング処理における処理条件と同様とする。
【0102】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
第1〜第3クリーニング処理が終了した後、上述の基板処理工程におけるアフターパージと同様の処理手順により、処理室201内をパージする(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0103】
(ボートアンロード)
ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、マニホールド209の下端が開口される。そして、空のボート217が、マニホールド209の下端から反応管203の外部へ搬出される(ボートアンロード)。これら一連の工程が終了すると、上述の基板処理工程が再開される。
【0104】
(4)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0105】
(a)ウエハ200に対してノズル249bよりHCDSガスを供給しウエハ200を処理した後の処理室201内に向けて、F
2ガスを、ノズル249bより供給するステップaと、F
2ガスの供給を停止した後、ノズル249b内にF
2ガスの一部が残留した状態で、処理室201内に向けて、NOガスを、ノズル249bより供給するステップbと、を含むサイクルを所定回数行うことで、各サイクルにおいて、ノズル249b内に残留したF
2ガスと、ノズル249b内へ供給されたNOガスとを、ノズル249b内で混合させて反応させることが可能となる。これにより、FNO等のアシスト作用を利用して、ノズル249bの内部でエッチング反応を適正に進行させ、ノズル249bの内壁にダメージを与えることなく、ノズル249b内に累積した堆積物を実用的なレートで除去することが可能となる。
【0106】
(b)ステップbでは、ノズル249b内にF
2ガスの一部が残留した状態で、また、処理室201内を排気した状態で、処理室201内に向けて、NOガスを、ノズル249bより供給することにより、ノズル249b内におけるF
2ガスの残留量(濃度、分圧)を時間の経過とともに減少させること、すなわち、ノズル249b内におけるNOガス/F
2ガス体積比率を時間の経過とともに増加させることが可能となる。これにより、ノズル249b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応をソフトに進行させ、ノズル249bの内部でエッチング反応が過剰に進行することを抑制し、ノズル249bの内壁がオーバーエッチングされることを回避することが可能となる。
【0107】
なお、ノズル249bよりF
2ガスとNOガスとを処理室201内に向けて同時に供給する場合、ノズル249b内におけるF
2ガスの濃度、分圧は一定となり、ノズル249b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応をソフトに進行させることが困難となる場合がある。結果として、ノズル249bの内部でエッチング反応が過剰に進行し、ノズル249bの内壁がオーバーエッチングされる場合がある。
【0108】
(c)ステップbでは、ノズル249b内にF
2ガスの一部が残留した状態で、また、処理室201内を排気した状態で、処理室201内に向けて、NOガスを、ノズル249bより供給することにより、ノズル249b内に残留したF
2ガスの一部を処理室201内へ移動させることが可能となる。これにより、ノズル249b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応のピークポイントを、ノズル249bの根元側から先端側へ向けて移動させることが可能となる。結果として、ノズル249b内のクリーニング処理を、ノズル249b内の広域において、好ましくは、ノズル249bの根元側から先端側へわたる全域において、まんべんなく均等に進行させることが可能となる。すなわち、ノズル249b内のクリーニング処理の均一性を向上させることが可能となる。
【0109】
なお、ノズル249bよりF
2ガスとNOガスとを処理室201内に向けて同時に供給する場合、ノズル249b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応のピークポイントを移動させることができず、ノズル249bの一部でエッチング反応が局所的に進行し、ノズル249bの内壁の一部が局所的にオーバーエッチングされる場合がある。
【0110】
(d)ステップbでは、ノズル249b内にF
2ガスの一部が残留した状態で、また、処理室201内を排気した状態で、処理室201内に向けて、NOガスを、ノズル249bより供給することにより、ノズル249b内に残留したF
2ガスの一部を処理室201内へ移動させることが可能となる。これにより、ノズル249b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応による反応熱の発熱量のピークポイントを、ノズル249bの根元側から先端側へ向けて移動させることが可能となる。結果として、ノズル249bの一部が局所的に温度上昇することを抑制することが可能となる。これにより、高温状態のノズル249bの内部にF
2ガスが接触することによって、ノズル249bの内壁の一部がオーバーエッチングされることを回避することが可能となる。
【0111】
なお、ノズル249bよりF
2ガスとNOガスとを処理室201内に向けて同時に供給する場合、ノズル249b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応による反応熱の発熱量のピークポイントを移動させることができず、ノズル249bの一部が局所的に高温となる場合がある。これにより、ノズル249b内でエッチング反応が局所的に進行し、ノズル249bの内壁の一部が局所的にオーバーエッチングされる場合がある。
【0112】
(e)ステップbでは、処理室201内を排気した状態で、処理室201内に向けて、NOガスを、ガス供給管232bおよびノズル249bを介して供給することにより、ガス供給管232b内にF
2ガスが残留していた場合であっても、残留していたF
2ガスの一部をガス供給管232b内から処理室201内へ移動させることが可能となる。これにより、ガス供給管232b内でF
2ガスとNOガスとの反応が生じた場合であっても、ガス供給管232b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応のピークポイント、すなわち、F
2ガスとNOガスとの反応による反応熱の発熱量のピークポイントを、ガス供給管232bの上流側から下流側に向けて移動させることが可能となる。結果として、ガス供給管232bの一部が局所的に温度上昇することを回避することが可能となる。これにより、高温状態のガス供給管232bの内部にF
2ガスが接触することによってガス供給管232bの内壁が腐食することを回避することが可能となる。
【0113】
なお、ガス供給管232bおよびノズル249bを介してF
2ガスとNOガスとを処理室201内に向けて同時に供給する場合、ガス供給管232b内におけるF
2ガスとNOガスとの反応のピークポイントを移動させることができず、ガス供給管232bの一部が局所的に高温となる場合がある。これにより、ガス供給管232b内でエッチング反応が局所的に進行し、ガス供給管232bの内壁の一部が局所的に腐食する場合がある。
【0114】
(f)ノズル249b内へのNOガスの供給を停止した後、ノズル249b内に残留するNOガス等を除去し、ノズル249b内の雰囲気をN
2ガスに置換するステップcを行うことにより、次のサイクルのステップaで処理室201内に向けてノズル249bよりF
2ガスを供給した際に、ノズル249b内で上述のエッチング反応が意図せずに進行することを回避することが可能となる。
【0115】
(g)ステップcにおける処理条件を適正に設定し、ノズル249a,249c内および処理室201内に残留するNOガス等を、ノズル249a,249c内および処理室201内からそれぞれ除去し、これらの内部の雰囲気をそれぞれN
2ガスに置換するようにした場合、ノズル249a,249c内および処理室201内で上述のエッチング反応が意図せずに進行することを、それぞれ回避することが可能となる。
【0116】
(h)ノズル249b内へのNOガスの供給を停止した後、ノズル249b内に残留するNOガス等を除去し、ノズル249b内の雰囲気をN
2ガスに置換するステップcを行うことにより、F
2ガスとNOガスとの反応熱により上昇したノズル249bの温度を適正に降下させることが可能となる。これにより、次のサイクルのステップaで処理室201内に向けてノズル249bよりF
2ガスを供給した際に、高温状態のノズル249bの内部にF
2ガスが接触することによって、ノズル249bの内壁がオーバーエッチングされることを回避することが可能となる。
【0117】
(i)F
2ガス供給ステップを、ノズル249b内へのN
2ガスの供給を停止した状態で行うことで、ノズル249b内から処理室201内へ向けたF
2ガスの移動を抑制し、ノズル249b内にF
2ガスの一部を残留させることが容易となる。
【0118】
なお、F
2ガス供給ステップを、ノズル249b内へN
2ガスを供給した状態で行うようにしてもよい。この場合、ノズル249b内へ供給されるF
2ガスの濃度を所望の濃度へ低下させることが容易となる。
【0119】
また、F
2ガス供給ステップを、ノズル249a,249c内へのN
2ガスの供給を停止した状態で行うことで、ノズル249a,249c内へF
2ガスを侵入(逆拡散)させ、後述するように、ノズル249b内のクリーニング処理を行う際に、ノズル249a,249c内のクリーニング処理を併せて進行させることが可能となる。
【0120】
なお、F
2ガス供給ステップを、ノズル249a,249c内へN
2ガスを供給した状態で行うようにしてもよい。この場合、ノズル249a,249c内へのF
2ガスの侵入を抑制し、ノズル249b内のクリーニング処理を行う際に、ノズル249a,249c内のクリーニング処理の進行を抑えることが可能となる。
【0121】
(j)NOガス供給ステップを、APCバルブ244を開いて処理室201内を排気した状態で行うことで、ノズル249b内に残留したF
2ガスの処理室201内への移動を促すことが可能となる。これにより、NOガス/F
2ガス体積比率を時間の経過とともに増加させることによる上述の効果、F
2ガスとNOガスとの反応のピークポイントを移動させることによる上述の効果、および、F
2ガスとNOガスとの反応により生じる反応熱の発熱量のピークポイントを移動させることによる上述の効果を、それぞれ確実に得ることが可能となる。
【0122】
なお、NOガス供給ステップを、APCバルブ244を閉じて処理室201内の排気を停止した状態で行うようにしてもよい。この場合、ノズル249b内に残留したF
2ガスの処理室201内への移動を適正に抑制することが可能となり、F
2ガスとNOガスとの反応のピークポイントの移動速度を適正に低下させることが可能となる。結果として、ノズル249b内において、反応のピークポイントが通過する領域における堆積物の除去効果を高めることが可能となる。
【0123】
また、NOガス供給ステップを、ノズル249b内へのN
2ガスの供給を停止した状態で行うことで、ノズル249b内に残留したF
2ガスの処理室201内への移動を適正に抑制し、F
2ガスとNOガスとの反応のピークポイントの移動速度を適正に低下させることが可能となる。結果として、ノズル249b内において、反応のピークポイントが通過する領域における堆積物の除去効果を高めることが可能となる。
【0124】
なお、NOガス供給ステップを、ノズル249b内へN
2ガスを供給した状態で行うようにしてもよい。この場合、ノズル249b内に残留したF
2ガスの処理室201内への移動を促すことが可能となる。これにより、NOガス/F
2ガス体積比率を時間の経過とともに増加させることによる上述の効果、F
2ガスとNOガスとの反応のピークポイントを移動させることによる上述の効果、および、F
2ガスとNOガスとの反応により生じる反応熱の発熱量のピークポイントを移動させることによる上述の効果を、それぞれ確実に得ることが可能となる。
【0125】
また、NOガス供給ステップを、ノズル249a,249c内へのN
2ガスの供給を停止した状態で行うことで、ノズル249a,249c内へNOガスを侵入(逆拡散)させることが可能となる。これにより、ステップaを行うことでノズル249a,249c内へ侵入したF
2ガスと、ステップbを行うことでノズル249a,249c内へ侵入したNOガスと、を反応させることが可能となる。その結果、ノズル249a,249c内においてFNO等を生じさせ、F
2ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスを、ノズル249a,249cの内部に接触させることが可能となる。これにより、ノズル249a,249cの内部でエッチング反応を進行させ、ノズル249a,249c内に付着した堆積物を除去することが可能となる。すなわち、ノズル249b内のクリーニング処理を行う際に、ノズル249a,249c内のクリーニング処理を併せて進行させることが可能となる。
【0126】
なお、NOガス供給ステップを、ノズル249a,249c内へN
2ガスを供給した状態で行うようにしてもよい。この場合、ノズル249a,249c内へのNOガスの侵入を抑制し、ノズル249a,249c内におけるクリーニング処理の進行を抑制することが可能となる。
【0127】
(k)第1クリーニング処理を行うことにより、F
2ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスを、ノズル249bの内部だけでなく、処理室201の内部や排気管231の内部にも接触させることができ、処理室201内や排気管231内に付着した堆積物の少なくとも一部を除去することも可能となる。なお、第1クリーニング処理後に、処理室201内に付着した堆積物の一部が処理室201内に残留した場合は、必要に応じて第2クリーニング処理を行うことで、処理室201内に残留した堆積物を除去することが可能となる。また、第1クリーニング処理後に、排気管231内に付着した堆積物の一部が除去されずに排気管231内に残留した場合は、必要に応じて第3クリーニング処理を行うことで、排気管231内に残留した堆積物を除去することが可能となる。
【0128】
(l)上述の効果は、クリーニング処理工程において、F
2ガス以外のクリーニングガスを用いる場合や、NOガス以外の添加ガスを用いる場合や、N
2ガス以外の不活性ガスを用いる場合にも、同様に得ることが可能である。また、上述の効果は、基板処理工程において、HCDSガス以外の処理ガス(原料)を用いる場合や、NH
3ガス以外の処理ガス(反応体)を用いる場合や、N
2ガス以外の不活性ガスを用いる場合にも、同様に得ることが可能である。
【0129】
(5)変形例
第1クリーニング処理は、
図4(a)に示す態様に限定されず、以下に示す変形例のように変更することができる。これらの変形例は任意に組み合わせることができる。特に説明がない限り、各変形例の各ステップにおける処理手順、処理条件は、
図4(a)に示す各ステップにおける処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【0130】
(変形例1)
図4(b)や以下に示すガス供給シーケンスのように、ウエハ200に対してノズル249bよりHCDSガスを供給しウエハ200を処理した後の処理室201内に向けて、NOガスを、ノズル249bより供給するステップaと、NOガスの供給を停止した後、ノズル249b内にNOガスの一部が残留した状態で、処理室201内に向けて、F
2ガスを、ノズル249b内より供給するステップbと、を含むサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行うようにしてもよい。本変形例のステップaにおいても、
図4(a)に示す第1クリーニング処理と同様に、NOガスを供給する前に、図中a
0で示す圧力調整ステップを行う。また、F
2ガスの供給を停止した後に、図中cで示す残留ガス除去ステップを行う。
【0131】
R2:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
【0132】
本変形例においても、
図4(a)に示す第1クリーニング処理と同様の効果が得られる。
【0133】
すなわち、本変形例においては、ノズル249b内に残留したNOガスと、ノズル249b内へ供給されたF
2ガスとを、ノズル249b内で混合させて反応させることが可能となる。これにより、FNO等のアシスト作用を利用して、ノズル249bの内部でエッチング反応を進行させ、ノズル249b内に累積した堆積物を実用的なレートで除去することが可能となる。
【0134】
また、本変形例においては、ノズル249b内に残留したNOガスの一部を処理室201内に移動させつつ、上述のエッチング反応を進行させることが可能となる。すなわち、ノズル249b内におけるNOガスの残留量(濃度、分圧)を時間の経過とともに減少させつつ、上述のエッチング処理を進行させることが可能となる。言い換えれば、ノズル249b内におけるNOガスに対するF
2ガスの体積比率(以下、F
2ガス/NOガス体積比率ともいう)を時間の経過とともに増加させつつ、上述のエッチング処理を進行させることが可能となる。これにより、ノズル249b内におけるNOガスとF
2ガスとの反応をソフトに進行させ、ノズル249bの内部でエッチング反応が過剰に進行することを抑制し、ノズル249bの内壁がオーバーエッチングされることを回避することが可能となる。
【0135】
また、本変形例においては、ノズル249b内におけるNOガスとF
2ガスとの反応のピークポイントを、ノズル249bの根元側から先端側へ向けて移動させることが可能となる。これにより、ノズル249b内のクリーニング処理を、ノズル249b内の広域において、好ましくは、ノズル249bの根元側から先端側へわたる全域において、まんべんなく均等に進行させることが可能となる。すなわち、ノズル249b内のクリーニング処理の均一性を向上させることが可能となる。
【0136】
また、本変形例においては、ノズル249b内におけるNOガスとF
2ガスとの反応による反応熱の発熱量のピークポイントを、ノズル249bの根元側から先端側へ向けて移動させることが可能となる。これにより、ノズル249bの一部が局所的に温度上昇することを抑制し、次のサイクルのステップaで、高温状態のノズル249bの内部にF
2ガスが接触することによって、ノズル249bの内壁の一部がオーバーエッチングされることを回避することが可能となる。
【0137】
(変形例2)
図5(a)や以下に示すガス供給シーケンスのように、図中a
0で示す圧力調整ステップにおいて、F
2ガスを用いて処理室201内の圧力調整を行い、処理室201内へF
2ガスを充満させるようにしてもよい。
【0138】
R2:(F
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
【0139】
本変形例においても、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の変形例と同様の効果が得られる。また、本変形例のステップaでは、F
2ガスを用いて処理室201内の圧力調整を行い、処理室201内へF
2ガスを充満させることにより、ノズル249b内にF
2ガスの一部を残留させることが容易となる。これにより、その後にステップbを行った際に、ノズル249b内に残留したF
2ガスと、ノズル249b内へ供給されたNOガスとを、ノズル249b内で効率よく混合させて反応させ、ノズル249b内に累積した堆積物を効率的に除去することが可能となる。また、ステップaにおける処理手順を簡素化させることが可能となる。また、本変形例によれば、ステップaにおいて、F
2ガスを処理室201内全体に充満させることから、ノズル249b内だけでなく、ノズル249a,249c内、処理室201内、排気管231内に累積した堆積物の除去効率(効果)を高めることも可能となる。
【0140】
なお、圧力調整ステップでは、F
2ガスとN
2ガスとの両方を用いて処理室201内の圧力調整を行うようにしてもよい。この場合、上述の効果が得られる他、処理室201内の圧力が処理圧力に到達するまでの時間を短縮させることが可能となる。
【0141】
(変形例3)
図5(b)や以下に示すガス供給シーケンスのように、図中a
0で示す圧力調整ステップにおいて、NOガスを用いて処理室201内の圧力調整を行い、処理室201内へNOガスを充満させるようにしてもよい。
【0142】
R2:(NO−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
【0143】
本変形例においても、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。また、本変形例のステップaでは、NOガスを用いて処理室201内の圧力調整を行い、処理室201内へNOガスを充満させることにより、ノズル249b内にNOガスの一部を残留させることが容易となる。これにより、その後にステップbを行った際に、ノズル249b内に残留したNOガスと、ノズル249b内へ供給されたF
2ガスとを、ノズル249b内で効率よく混合させて反応させ、ノズル249b内に累積した堆積物を効率的に除去することが可能となる。また、ステップaにおける処理手順を簡素化させることが可能となる。また、本変形例によれば、ステップaにおいて、NOガスを処理室201内全体に充満させることから、ノズル249b内だけでなく、ノズル249a,249c内、処理室201内、排気管231内に累積した堆積物の除去効率(効果)を高めることも可能となる。
【0144】
なお、圧力調整ステップでは、NOガスとN
2ガスとの両方を用いて処理室201内の圧力調整を行うようにしてもよい。この場合、上述の効果が得られる他、処理室201内の圧力が処理圧力に到達するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0145】
(変形例4)
上述の実施形態では、F
2ガス供給ステップを、APCバルブ244を開いて処理室201内を排気した状態で行う例について説明したが、F
2ガス供給ステップを、APCバルブ244を閉じて処理室201内の排気を停止した状態で行うようにしてもよい。本変形例においても、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。また、本変形例では、ノズル249b内から処理室201内へ向けたF
2ガスの移動を抑制し、ノズル249b内にF
2ガスの一部を残留させることが容易となる。
【0146】
(変形例5)
上述のクリーニングガス供給系と同様のガス供給系、および、上述の添加ガス供給系と同様のガス供給系を、ガス供給管232aに接続する等し、ノズル249a内のクリーニング処理を、例えば、以下に示すガス供給シーケンスにより行うようにしてもよい。
【0147】
R1:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R1:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
R1:(F
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R1:(NO−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
【0148】
本変形例によれば、ノズル249a内に付着した堆積物を除去することが可能となり、この際、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。
【0149】
(変形例6)
上述のクリーニングガス供給系と同様のガス供給系、および、上述の添加ガス供給系と同様のガス供給系を、ガス供給管232cに接続する等し、ノズル249c内のクリーニング処理を、例えば、以下に示すガス供給シーケンスにより行うようにしてもよい。
【0150】
R3:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
R3:(F
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R3:(NO−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
【0151】
本変形例によれば、ノズル249c内に付着した堆積物を除去することが可能となり、この際、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。
【0152】
(変形例7)
上述のクリーニングガス供給系と同様のガス供給系、および、上述の添加ガス供給系と同様のガス供給系を、ガス供給管232a,232cのうち少なくともいずれかのガス供給管に接続する等し、ノズル249a〜249cのうち少なくとも2つ以上のノズル内のクリーニング処理を、例えば、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例の手順で順次行うようにしてもよい。
【0153】
この際、ノズル249a〜249c内のクリーニング処理の実施順序は、任意に決定することが可能である。例えば、R2→R1の順にクリーニング処理を行ってもよいし、R2→R3の順にクリーニング処理を行ってもよいし、R2→R1→R3の順にクリーニング処理を行ってもよい。
【0154】
本変形例によれば、ノズル249a〜249cのうち少なくとも2つ以上のノズル内に付着した堆積物をそれぞれ除去することが可能となり、この際、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。
【0155】
(変形例8)
上述のクリーニングガス供給系と同様のガス供給系、および、上述の添加ガス供給系と同様のガス供給系を、ガス供給管232a,232cのそれぞれに接続する等し、ノズル249a〜249cのうち少なくとも2つ以上のノズル内のクリーニング処理を、例えば、以下に示すガス供給シーケンスにより同時に行うようにしてもよい。
【0156】
R1:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
【0157】
R1:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
【0158】
R1:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R2:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
【0159】
R1:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
R2:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
【0160】
本変形例によれば、ノズル249a〜249cのうち少なくとも2つ以上のノズル内に付着した堆積物をそれぞれ除去することが可能となり、この際、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。また、複数のノズル内のクリーニング処理を同時に行うことから、クリーニング処理の所要時間を短縮させることが可能となる。
【0161】
(変形例9)
上述のクリーニングガス供給系と同様のガス供給系、および、上述の添加ガス供給系と同様のガス供給系を、ガス供給管232a,232cのうち少なくともいずれかのガス供給管に接続する等し、ノズル249a,249b内のクリーニング処理、或いは、ノズル249b,249c内のクリーニング処理を、例えば、以下に示すガス供給シーケンスにより同時に行うようにしてもよい。
【0162】
R1:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
R2:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
【0163】
R2:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
【0164】
R1:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R2:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
【0165】
R2:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
【0166】
すなわち、ステップaにおいて、処理室201内に向けてF
2ガスをノズル249bより供給する場合、ステップaでは、処理室201内に向けてNOガスをノズル249bとは異なるノズル249a或いはノズル249cより供給してもよい。また、ステップbにおいて、ノズル249b内にF
2ガスの一部が残留した状態で、処理室201内に向けてNOガスをノズル249bより供給する場合、ステップbでは、NOガスの供給を停止した後、ノズル249a或いはノズル249c内にNOガスの一部が残留した状態で、処理室201内に向けてF
2ガスをノズル249a或いはノズル249cより供給するようにしてもよい。
【0167】
また、ステップaにおいて、処理室201内に向けてNOガスをノズル249bより供給する場合、ステップaでは、処理室201内に向けてF
2ガスをノズル249bとは異なるノズル249a或いはノズル249cより供給してもよい。また、ステップbにおいて、ノズル249b内にNOガスの一部が残留した状態で、処理室201内に向けてF
2ガスをノズル249bより供給する場合、ステップbでは、F
2ガスの供給を停止した後、ノズル249a或いはノズル249c内にF
2ガスの一部が残留した状態で、処理室201内に向けてNOガスをノズル249a或いはノズル249cより供給するようにしてもよい。
【0168】
本変形例によれば、ノズル249a,249b内に付着した堆積物をそれぞれ除去したり、ノズル249b、249c内に付着した堆積物をそれぞれ除去したりすることが可能となる。また、これらの際、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。また、複数のノズル内のクリーニング処理を同時に行うことから、クリーニング処理の所要時間を短縮させることが可能となる。
【0169】
また、本変形例によれば、ステップa,bのいずれのステップにおいても、処理室201内に向けてF
2ガスとNOガスとが同時に供給されることから、処理室201内においてFNO等を効率的に生じさせることが可能となる。これにより、F
2ガスにFNO等が添加されてなる混合ガスを、F
2ガスやNOガスの供給を不実施とするノズル内へ逆拡散させてこのノズルの内部に接触させたり、処理室201内や排気管231内へ拡散させて処理室201の内部や排気管231の内部に接触させたりすることが、確実に行えるようになる。すなわち、F
2ガスやNOガスの供給を実施するノズル内のクリーニング処理と、F
2ガスやNOガスの供給を不実施とするノズル内のクリーニング処理、処理室201内のクリーニング処理、および、排気管231内のクリーニング処理とを、同時かつ効率的に進行させることが可能となる。
【0170】
(変形例10)
上述のクリーニングガス供給系と同様のガス供給系、および、上述の添加ガス供給系と同様のガス供給系を、ガス供給管232a,232cのそれぞれに接続する等し、ノズル249a,249c内のクリーニング処理を、例えば、
図6や以下に示すガス供給シーケンスにより同時に行うようにしてもよい。
【0171】
R1:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
【0172】
R1:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
【0173】
本変形例によれば、ノズル249a,249c内に付着した堆積物をそれぞれ除去することが可能となり、この際、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。また、複数のノズル内のクリーニング処理を同時に行うことから、クリーニング処理の所要時間を短縮させることが可能となる。
【0174】
また、本変形例によれば、ステップa,bのいずれのステップにおいても、処理室201内に向けてF
2ガスとNOガスとが同時に供給されることから、変形例9と同様の効果が得られることとなる。
【0175】
(変形例11)
上述のクリーニングガス供給系と同様のガス供給系、および、上述の添加ガス供給系と同様のガス供給系を、ガス供給管232a,232cのそれぞれに接続する等し、ノズル249a〜249c内のクリーニング処理を、例えば、
図7や以下に示すガス供給シーケンスにより同時に行うようにしてもよい。
【0176】
R1:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
R2:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
【0177】
R1:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
R2:(N
2−Press.set→NO→F
2→PRG)×n
R3:(N
2−Press.set→F
2→NO→PRG)×n
【0178】
本変形例によれば、ノズル249a〜249c内に付着した堆積物をそれぞれ除去することができ、この際、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。また、複数のノズル内のクリーニング処理を同時に行うことから、クリーニング処理の所要時間を短縮させることが可能となる。
【0179】
また、本変形例によれば、ステップa,bのいずれのステップにおいても、処理室201内に向けてF
2ガスとNOガスとが同時に供給されることから、変形例9と同様の効果が得られることとなる。
【0180】
(変形例12)
ステップcの実施タイミングは、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や各変形例にて例示したタイミングに限定されない。例えば、以下に示すガス供給シーケンスのように、第1クリーニング処理の最後のサイクルでのみステップcを実施したり、サイクルを所定回数実施するたびにステップcを実施したりしてもよい。なお、以下に示すn、および、n
1〜n
3は、それぞれ、1以上の整数である。
【0181】
R2:(N
2−Press.set→F
2→NO)×n→PRG
R2:(N
2−Press.set→NO→F
2)×n→PRG
R2:(F
2−Press.set→F
2→NO)×n→PRG
R2:(NO−Press.set→NO→F
2)×n→PRG
【0182】
R2:〔[(N
2−Press.set→F
2→NO)×n
1→PRG]×n
2〕×n
3
R2:〔[(N
2−Press.set→NO→F
2)×n
1→PRG]×n
2〕×n
3
R2:〔[(F
2−Press.set→F
2→NO)×n
1→PRG]×n
2〕×n
3
R2:〔[(NO−Press.set→NO→F
2)×n
1→PRG]×n
2〕×n
3
【0183】
本変形例によれば、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。また、ステップcの実施頻度を低下させることにより、クリーニング処理の所要時間を短縮させることが可能となる。
【0184】
(変形例13)
上述の第1〜第3クリーニング処理は、以下に示すように、任意の順序で実施することができる。また、上述の第1〜第3クリーニング処理のうち、第1クリーニング処理を含む2つの処理を任意に選択し、これらを任意の順序で実施することができる。
【0185】
第1クリーニング処理→第2クリーニング処理→第3クリーニング処理
第1クリーニング処理→第3クリーニング処理→第2クリーニング処理
第2クリーニング処理→第1クリーニング処理→第3クリーニング処理
第2クリーニング処理→第3クリーニング処理→第1クリーニング処理
第3クリーニング処理→第1クリーニング処理→第2クリーニング処理
第3クリーニング処理→第2クリーニング処理→第1クリーニング処理
【0186】
第1クリーニング処理→第2クリーニング処理
第1クリーニング処理→第3クリーニング処理
第2クリーニング処理→第1クリーニング処理
第3クリーニング処理→第1クリーニング処理
【0187】
本変形例においても、
図4(a)に示す第1クリーニング処理や上述の各変形例と同様の効果が得られる。なお、第1クリーニング処理や第2クリーニング処理では、排気管231内のクリーニング処理を行うことができることから、第1クリーニング処理や第2クリーニング処理を第3クリーニング処理よりも先行して行うことで、第3クリーニング処理の所要時間を短縮させることが可能となる。
【0188】
(変形例14)
上述の実施形態や各変形例では、第1クリーニング処理において、N
2ガス、F
2ガス、NOガス、F
2ガス+N
2ガス、NOガス+N
2ガスのうちいずれか1つを用いて圧力調整ステップを行う例について説明したが、第2クリーニング処理や第3クリーニング処理においては、N
2ガス、F
2ガス、NOガスのうち少なくともいずれか1つを用いて圧力調整ステップを行うようにしてもよい。第2クリーニング処理や第3クリーニング処理において、F
2ガス、NOガス、F
2ガス+N
2ガス、NOガス+N
2ガスのうちいずれか1つを用いて処理室201内の圧力調整を行う効果については、上述の変形例2,3における効果と同様である。
【0189】
第2クリーニング処理や第3クリーニング処理において、F
2ガス+NOガス+N
2ガスを用いて処理室201内の圧力調整を行う場合、F
2ガス+N
2ガス、または、NOガス+N
2ガスを用いて圧力調整を行う場合と同様な効果が得られる他、圧力調整時から、処理室201内や排気管231内でF
2ガスとNOガスとを混合させて反応させることができることから、圧力調整時から、処理室201内や排気管231内のクリーニング処理を行うことが可能となり、それぞれのクリーニング処理(第2クリーニング処理、第3クリーニング処理)の所要時間を短縮させることが可能となる。なお、第2クリーニング処理や第3クリーニング処理において、F
2ガス+NOガスを用いて処理室201内の圧力調整を行う場合、F
2ガス+NOガス+N
2ガスを用いて圧力調整を行う場合に得られる上述の効果のうち、後者の効果、すなわち、それぞれのクリーニング処理の所要時間短縮効果をより高めることが可能となる。
【0190】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0191】
上述の実施形態では、処理容器内のウエハ上にSiN膜を形成した後、ノズル内や処理容器内をクリーニングする例について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、上述のクリーニング処理は、処理容器内のウエハ上に、シリコン酸化膜(SiO膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)、シリコン炭窒化膜(SiCN膜)、シリコン硼炭窒化膜(SiBCN膜)、シリコン硼窒化膜(SiBN膜)等のシリコン系絶縁膜を含む各種膜を形成した後、ノズル内や処理容器内をクリーニングする場合にも、好適に適用可能である。
【0192】
基板処理やクリーニング処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、基板処理やクリーニング処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、基板処理やクリーニング処理の内容に応じて、適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することが可能となる。また、処理容器(処理室201)内や供給部(ノズル)内に付着した様々な膜を含む堆積物に応じ、適正なクリーニング処理を行うことが可能となる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、処理を迅速に開始できるようになる。
【0193】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0194】
上述の実施形態では、第1〜第3供給部としての第1〜第3ノズル(ノズル249a〜249c)のそれぞれが、反応管203の内壁の下部より上部に沿うように直線状に設けられている例について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば第1〜第3ノズルのうち少なくともいずれかのノズルが、反応管203の内壁の下部より上部の間の任意の個所において例えばU字型に屈曲している部位(屈曲部位)を有するU字型ノズル(リターンノズル)として構成されていてもよい。U字型ノズルを用いる場合であっても、FNO等のアシスト作用を利用して、このノズル内に累積した堆積物をノズルの根元側から先端側へいたる全域において実用的なレートで除去することが可能となる。また、ノズルの内壁のオーバーエッチングを回避しつつ、クリーニング処理の均一性を向上させることが可能となる。
【0195】
上述の実施形態では、第1〜第3供給部としての第1〜第3ノズル(ノズル249a〜249c)が反応管の内壁に沿うように処理室内に設けられている例について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば
図8(a)に縦型処理炉の断面構造を示すように、反応管の側壁にバッファ室を設け、このバッファ室内に、上述の実施形態と同様の構成の第1〜第3ノズルを、上述の実施形態と同様の配置で設けるようにしてもよい。
図8(a)では、反応管の側壁に供給用のバッファ室と排気用のバッファ室とを設け、それぞれを、ウエハを挟んで対向する位置に配置した例を示している。なお、供給用のバッファ室と排気用のバッファ室のそれぞれは、反応管の側壁の下部より上部に沿って、すなわち、ウエハ配列領域に沿って設けられている。また、
図8(a)では、供給用のバッファ室を複数(3つ)の空間に仕切り、それぞれの空間に各ノズルを配置した例を示している。バッファ室の3つの空間の配置は、第1〜第3ノズルの配置と同様となる。第1〜第3ノズルが配置されるそれぞれの空間を、第1〜第3バッファ室と称することもできる。第1ノズルおよび第1バッファ室、第2ノズルおよび第2バッファ室、第3ノズルおよび第3バッファ室を、それぞれ、第1供給部、第2供給部、第3供給部と考えることもできる。また例えば、
図8(b)に縦型処理炉の断面構造を示すように、
図8(a)と同様の配置でバッファ室を設け、バッファ室内に第2ノズルを設け、このバッファ室の処理室との連通部を両側から挟むとともに反応管の内壁に沿うように第1、第3ノズルを設けるようにしてもよい。第1ノズル、第2ノズルおよびバッファ室、第3ノズルを、それぞれ、第1供給部、第2供給部、第3供給部と考えることもできる。
図8(a)、
図8(b)で説明したバッファ室や反応管以外の構成は、
図1に示す処理炉の各部の構成と同様である。これらの処理炉を用いた場合であっても、上述の実施形態と同様に、処理室内や供給部(ノズル、バッファ室)内のクリーニング処理を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0196】
上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
【0197】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態や変形例と同様なシーケンス、処理条件にて基板処理やクリーニング処理を行うことができ、上述の実施形態や変形例と同様の効果が得られる。
【0198】
また、上述の実施形態や変形例等は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の実施形態の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【0199】
<本発明の好ましい形態>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0200】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
(a)基板に対して供給部より処理ガスを供給し前記基板を処理した後の処理容器内に向けて、クリーニングガスおよび前記クリーニングガスと反応する添加ガスのうちいずれか一方のガスを、前記供給部より供給する工程と、
(b)前記一方のガスの供給を停止した後、前記供給部内に前記一方のガスの一部が残留した状態で、前記処理容器内に向けて、前記クリーニングガスおよび前記添加ガスのうち前記一方のガスとは異なる他方のガスを、前記供給部より供給する工程と、
を含むサイクルを所定回数行うことで前記供給部内をクリーニングする工程を有するクリーニング方法が提供される。
【0201】
(付記2)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
(b)を、前記処理容器内を排気した状態で行う。
【0202】
(付記3)
付記1または2に記載の方法であって、好ましくは、
(b)を、前記供給部内に残留した前記一方のガスの一部を前記処理容器内へ移動させつつ行う。
【0203】
(付記4)
付記1〜3のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(b)では、前記供給部内における前記一方のガスの残留量を時間の経過とともに減少させる。
【0204】
(付記5)
付記1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(b)では、前記供給部内における前記一方のガスの濃度を時間の経過とともに減少させる。
【0205】
(付記6)
付記1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(b)では、前記供給部内における前記一方のガスに対する前記他方のガスの体積比率(前記他方のガス/前記一方のガス体積比率)を時間の経過とともに増加させる。
【0206】
(付記7)
付記1〜6のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(b)では、前記供給部内における前記一方のガスと前記他方のガスとの反応のピークポイントを移動させる。
【0207】
(付記8)
付記1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(b)では、前記供給部内における前記一方のガスと前記他方のガスとの反応により生じる反応熱の発熱量のピークポイントを移動させる。
【0208】
(付記9)
付記1〜8のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記サイクルは、(c)前記他方のガスの供給を停止した後、前記供給部内に残留するガスを除去する工程を更に含む。より好ましくは、(c)では、前記供給部内および前記処理容器内に残留するガスを除去する。
【0209】
(付記10)
付記1〜9のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(a)では、前記一方のガスを用いて前記処理容器内の圧力調整を行い、前記処理容器内へ前記一方のガスを充満させる。
【0210】
(付記11)
付記1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記一方のガスは前記クリーニングガスであり、前記他方のガスは前記添加ガスである。
【0211】
(付記12)
付記1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記一方のガスは前記添加ガスであり、前記他方のガスは前記クリーニングガスである。
【0212】
(付記13)
付記1〜12のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(a)では、前記処理容器内に向けて、前記他方のガスを、前記供給部とは異なる他の供給部より供給し、
(b)では、前記他方のガスの供給を停止した後、前記他の供給部内に前記他方のガスの一部が残留した状態で、前記処理容器内に向けて、前記一方のガスを、前記他の供給部より供給する。好ましくは、前記他の供給部は、前記基板を処理する際に、前記処理ガスを供給する供給部である。
【0213】
(付記14)
付記1〜12のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(a)では、前記処理容器内に向けて、前記一方のガスを、前記供給部とは異なる他の供給部より供給し、
(b)では、前記一方のガスの供給を停止した後、前記他の供給部内に前記一方のガスの一部が残留した状態で、前記処理容器内に向けて、前記他方のガスを、前記他の供給部より供給する。好ましくは、前記他の供給部は、前記基板を処理する際に、前記処理ガスを供給する供給部である。
【0214】
(付記15)
付記1〜14のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記クリーニングガスは、フッ素(F
2)ガス、フッ化水素(HF)ガス、フッ化塩素(ClF
3)ガス、フッ化窒素(NF
3)ガス、或いは、これらの混合ガスを含み、前記添加ガスは、一酸化窒素(NO)ガス、水素(H
2)ガス、酸素(O
2)ガス、亜酸化窒素(N
2O)ガス、イソプロピルアルコール((CH
3)
2CHOH、略称:IPA)ガス、メタノール(CH
3OH)ガス、水蒸気(H
2Oガス)、HFガス、或いは、これらの混合ガスを含む。なお、前記添加ガスは前記クリーニングガスと反応するガスであり、前記添加ガスの分子構造は前記クリーニングガスの分子構造と異なる。すなわち、前記添加ガスがHFガスである場合、前記クリーニングガスは、F
2ガス、ClF
3ガス、NF
3ガス、或いは、これらの混合ガスのいずれかである。
【0215】
(付記16)
本発明の他の態様によれば、
処理容器内の基板に対して供給部より処理ガスを供給し前記基板を処理する工程と、
前記基板を処理した後の前記供給部内をクリーニングする工程と、
を有し、前記供給部内をクリーニングする工程では、付記1のように前記供給部内をクリーニングする半導体装置の製造方法が提供される。
【0216】
(付記17)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板に対する処理が行われる処理容器と、
前記処理容器内へ処理ガスを供給する供給部と、
前記処理容器内へクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給系と、
前記処理容器内へ前記クリーニングガスと反応する添加ガスを供給する添加ガス供給系と、
付記1のように前記供給部内をクリーニングするように、前記クリーニングガス供給系および前記添加ガス供給系を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0217】
(付記18)
本発明のさらに他の態様によれば、
付記1のように前記供給部内をクリーニングする手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム、または、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。