特許第6827005号(P6827005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6827005光ケーブル分割工具、及び光ケーブルの分割方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827005
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】光ケーブル分割工具、及び光ケーブルの分割方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20210128BHJP
   G02B 6/245 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   G02B6/44 381
   G02B6/245
   G02B6/44 371
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-16454(P2018-16454)
(22)【出願日】2018年2月1日
(65)【公開番号】特開2019-133059(P2019-133059A)
(43)【公開日】2019年8月8日
【審査請求日】2019年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】津田 正道
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 浩司
(72)【発明者】
【氏名】二夕見 英信
【審査官】 廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−044003(JP,A)
【文献】 実開昭62−104201(JP,U)
【文献】 特開2017−125872(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/016553(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00 − 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルの分割工具であって、
互いに対向して配置される第1ユニットおよび第2ユニットと、
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットの少なくとも一方に形成された溝と、
前記溝に対応する位置であって、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットのそれぞれに配置される分割刃と、
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットを、前記溝に略垂直な方向に略直線移動させることが可能な開閉機構と、
を具備し、
前記第1ユニットと前記第2ユニットには、前記溝の形成方向に沿って一対のガイド機構が形成され、前記ガイド機構によって、前記第1ユニットと前記第2ユニットの、前記溝に略垂直な方向以外の方向への移動が規制されることを特徴とする光ケーブル分割工具。
【請求項2】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとが閉じた状態を保持するロック機構と、前記分割刃は、前記溝の形成方向に対して、一対の前記ガイド機構同士の間に配置されることを特徴とする請求項1記載の光ケーブル分割工具。
【請求項3】
前記第1ユニットと前記第2ユニットの間には、ばね部材が配置され、前記ばね部材は、前記第1ユニットと前記第2ユニットとが開く方向に作用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ケーブル分割工具。
【請求項4】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとが開いた状態で、両者の離間距離を規制するストッパ構造を具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光ケーブル分割工具。
【請求項5】
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットは、自己潤滑性樹脂で形成されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ケーブル分割工具。
【請求項6】
前記分割刃は、分割刃固定部材に配置され、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットには、前記分割刃固定部材が収容可能な収容部を有し、前記分割刃固定部材は、前記収容部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の光ケーブル分割工具。
【請求項7】
前記収容部において、前記溝に垂直な方向の、前記分割刃固定部材の位置決めを行う位置決め機構が形成されることを特徴とする請求項6記載の光ケーブル分割工具。
【請求項8】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとを閉じる際に、両者の位置決めを行う閉状態位置ガイドを具備することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の光ケーブル分割工具。
【請求項9】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとが閉じた状態を保持するロック機構を具備することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の光ケーブル分割工具。
【請求項10】
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットの少なくとも一方には、さらに、他の溝が形成され、前記他の溝に対応する位置であって、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットに互いに対向するように配置される他の分割刃が配置され、
前記他の溝に支持線部とエレメントが連結した光ケーブルを配置して、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットで前記光ケーブルを挟み込み、前記他の分割刃で前記エレメントと前記支持線部との間を切断して分割することが可能であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の光ケーブル分割工具。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の光ケーブル分割工具を用い、
前記溝に光ケーブルを配置して、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットで前記光ケーブルを挟み込み、前記光ケーブルを前記溝に沿って、光ケーブル分割工具に対して相対的に移動させることで、前記分割刃で前記光ケーブルの所定位置を切断し、前記光ケーブルを複数に分割することを特徴とする光ケーブルの分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルを分割し、内部の光ファイバを取り出すことが可能な光ケーブル分割工具等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者宅等に光ファイバを敷設する際には、光ファイバが収容された光ケーブルの外被を部分的に切断して光ケーブルを分割し、内部の光ファイバが取り出される。この際、光ケーブルを分割するための光ケーブル分割工具が使用される。
【0003】
このような光ケーブル分割工具としては、例えば、ヒンジを介して上下に開閉可能な一対のレバーと、各レバーの対応する位置に固定された切断刃とを有するものが提案されている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−070660号公報
【特許文献2】特許第6130936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の光ケーブル分割工具を用いた光ケーブルの分割方法としては、まず、上下のレバーで光ケーブルを挟み込むとともに、光ケーブルの外被に形成されたノッチに切断刃をあてがう。この状態で、光ケーブルに沿って、光ケーブル分割工具を相対的に移動させることで、切断刃によって、ノッチ部分を所定の長さ切断することができる。このため、光ケーブルを分割し、内部の光ファイバを取り出すことができる。
【0006】
一方、従来の光ケーブル分割工具は、ヒンジ部によって開閉するため、上下のレバー同士を平行にして光ケーブルを挟み込むことが困難である。このため、光ケーブルが斜めに挟み込まれやすい。光ケーブルが斜めに挟み込まれると、最も間隔の狭い位置では強く光ケーブルが挟み込まれ、光ケーブルに局所的な大きな力が付与される。したがって、光ケーブルに対して光ケーブル分割工具を移動させて光ケーブルを分割する際の抵抗が大きくなるおそれがある。
【0007】
また、従来の光ケーブル分割工具には、光ケーブルの位置決めのためのガイド突起が設けられる。光ケーブル分割工具を閉じる際には、切断刃よりも先に、ガイド突起がノッチ部に挿入されることで、光ケーブルの位置決めを行うことができる。ここで、光ケーブルを挟み込むための力を少なくするため、ヒンジ部とは逆側の端部近傍に切断刃が設けられるため、通常、ガイド突起は、切断刃に対して、ヒンジ側に配置される。
【0008】
しかし、切断刃がノッチに挿入される際には、ヒンジ部側に配置されたガイド突起は、ノッチに強く押し当てられる。このため、光ケーブルに対して光ケーブル分割工具を移動させて光ケーブルを分割する際の抵抗が大きくなる。
【0009】
また、光ケーブルが斜めに挟み込まれると、最も間隔の広い位置では光ケーブルを十分に挟み込むことができない。例えば、切断刃がヒンジ部から遠い側に配置されると、切断刃の挿入に必要な力は減少するが、光ケーブルが斜めに挟み込まれると、切断刃が十分に光ケーブルに挿入されずに完全に光ケーブルを分割できないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、容易に光ケーブルを分割することが可能な光ケーブル分割工具を提供することを目的とする。
【0011】
前述した目的を達成するために第1の発明は、光ケーブルの分割工具であって、互いに対向して配置される第1ユニットおよび第2ユニットと、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットの少なくとも一方に形成された溝と、前記溝に対応する位置であって、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットのそれぞれに配置される分割刃と、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットを、前記溝に略垂直な方向に略直線移動させることが可能な開閉機構と、を具備し、前記第1ユニットと前記第2ユニットには、前記溝の形成方向に沿って一対のガイド機構が形成され、前記ガイド機構によって、前記第1ユニットと前記第2ユニットの、前記溝に略垂直な方向以外の方向への移動が規制されることを特徴とする光ケーブル分割工具である。
前記第1ユニットと前記第2ユニットとが閉じた状態を保持するロック機構と、前記分割刃は、前記溝の形成方向に対して、一対の前記ガイド機構同士の間に配置されてもよい。
【0012】
前記第1ユニットと前記第2ユニットの間には、ばね部材が配置され、前記ばね部材は、前記第1ユニットと前記第2ユニットとが開く方向に作用してもよい。
【0013】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとが開いた状態で、両者の離間距離を規制するストッパ構造を具備してもよい。
【0015】
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットは、自己潤滑性樹脂で形成されてもよい。
【0016】
前記分割刃は、分割刃固定部材に配置され、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットには、前記分割刃固定部材が収容可能な収容部を有し、前記分割刃固定部材は、前記収容部に対して着脱可能であってもよい。
【0017】
前記収容部において、前記溝に垂直な方向の、前記分割刃固定部材の位置決めを行う位置決め機構が形成されてもよい。
【0018】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとを閉じる際に、両者の位置決めを行う閉状態位置ガイドを具備してもよい。
【0019】
前記第1ユニットと前記第2ユニットとが閉じた状態を保持するロック機構を具備してもよい。
【0020】
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットの少なくとも一方には、さらに、他の溝が形成され、前記他の溝に対応する位置であって、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットに互いに対向するように配置される他の分割刃が配置され、前記他の溝に支持線部とエレメントが連結した光ケーブルを配置して、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットで前記光ケーブルを挟み込み、前記他の分割刃で前記エレメントと前記支持線部との間を切断して分割することが可能であってもよい。
【0021】
第1の発明によれば、第1ユニットと第2ユニットとがヒンジ部を有さず、溝に略垂直な方向に略直線移動する。このため、第1ユニットと第2ユニットとで、光ケーブルを上下からまっすぐに挟み込むことができ、光ケーブルの一部が局所的に強く挟み込まれることがない。このため、光ケーブルに対して光ケーブル分割工具を移動させて光ケーブルを分割する際の抵抗が大きくなることを抑制することができる。
【0022】
また、第1ユニットと第2ユニットの間にばね部材を配置し、第1ユニットと第2ユニットとが開く方向に作用させることで、第1ユニットと第2ユニットとが開いた状態を保持することができ、光ケーブル分割工具に光ケーブルを容易に配置することができる。
【0023】
また、第1ユニットと第2ユニットとが開いた状態で、両者の離間距離を規制するストッパ構造を設けることで、第1ユニットと第2ユニットとが過剰に広く開くことを規制することができる。このため、作業者が誤って分割刃に触れることを抑制することができる。
【0024】
例えば、従来の光ケーブル分割工具では、光ケーブルを挟み込むための力を少なくするため、レバー同士が最も広く広がる先端近傍に分割刃が配置される。このため、作業者が誤って分割刃に触れてしまう危険がある。一方、レバー同士の開きを小さくすると、光ケーブル分割工具へ光ケーブルを配置するのが困難となる。これに対し、ストッパ構造を設けることで、第1ユニットと第2ユニットとの間隔を十分に確保しても、分割刃近傍が過剰に開くことを抑制することができる。
【0025】
また、第1ユニットと第2ユニットとが、溝に略垂直な方向以外の方向へ移動することを規制するガイド機構を設けることで、光ケーブルに対して、精度良く分割刃の位置決めを行うことができる。
【0026】
また、第1ユニットおよび第2ユニットを自己潤滑性樹脂で形成することで、光ケーブルとの滑りが良く、光ケーブルに対して光ケーブル分割工具を移動させて光ケーブルを分割する際の抵抗を小さくすることができる。
【0027】
また、分割刃が固定された分割刃固定部材を、第1ユニットおよび第2ユニットの収容部に対して着脱可能とすることで、分割刃の交換やメンテナンスが容易である。
【0028】
この際、収容部に、溝に垂直な方向に対する分割刃固定部材の位置決めを行う位置決め機構を形成することで、着脱時の分割刃の位置決めが容易である。
【0029】
また、第1ユニットと第2ユニットとを閉じる際に、両者の位置決めを行うガイドを設けることで、光ケーブルに対して、精度良く分割刃の位置決めを行うことができる。
【0030】
また、第1ユニットと第2ユニットとが閉じた状態を保持するロック機構を設けることで、切断作業が容易である。
【0031】
また、さらに他の分割刃および他の溝を設けることで、支持線部とエレメントが連結した自己支持型の光ケーブルに対して、エレメントから支持線部を容易に分割することができる。
【0032】
第2の発明は、第1の発明にかかる光ケーブル分割工具を用い、前記溝に光ケーブルを配置して、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットで前記光ケーブルを挟み込み、前記光ケーブルを前記溝に沿って、光ケーブル分割工具に対して相対的に移動させることで、前記分割刃で前記光ケーブルの所定位置を切断し、前記光ケーブルを複数に分割することを特徴とする光ケーブルの分割方法である。
【0033】
第2の発明によれば、容易に光ケーブルを分割し、光ケーブルから光ファイバを取り出すことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、容易に光ケーブルを分割することが可能な光ケーブル分割工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】分割工具1を示す分解斜視図。
図2】開いた状態の分割工具1を示す斜視図。
図3】閉じた状態の分割工具1を示す斜視図。
図4】分割工具1の断面図であり、(a)は図2のA−A線断面図、(b)は図3のC−C線断面図。
図5】分割工具1の断面図であり、(a)は図2のB−B線断面図、(b)は図3のD−D線断面図。
図6】光ケーブル40の断面図。
図7】光ケーブル40の支持線部43を分割する方法を示す図。
図8】光ケーブル40のエレメント41を分割する方法を示す図。
図9】分割されたエレメント41を示す図。
図10】(a)は、開いた状態の分割工具1aを示す斜視図、(b)は、閉じた状態の分割工具1aを示す斜視図。
図11】(a)は、開いた状態の分割工具1aを示す正面図、(b)は、閉じた状態の分割工具1aを示す正面図。
図12】(a)は、開いた状態の分割工具1aを示す側面図、(b)は、閉じた状態の分割工具1aを示す側面図。
図13】(a)は、開いた状態の分割工具1aを示す断面図、(b)は、閉じた状態の分割工具1aを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、分割工具1を示す分解斜視図であり、図2は、分割工具1の組立斜視図である。また、図4(a)は、図2のA−A線断面図、図5(a)は、図2のB−B線断面図である。分割工具1は、主に、第1ユニット3a、第2ユニット3b、分割刃固定部材9a、9b、11、ガイド21、ばね部材19、ピン35、ばね33等を有する。分割工具1は、光ケーブルを所定の位置で分割するための工具である。
【0037】
第1ユニット3aと第2ユニット3bとは、互いに対向して配置される。第1ユニット3aおよび第2ユニット3bは、自己潤滑性樹脂で形成されることが望ましい。例えば、樹脂自体が自己潤滑性を持つポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等が適用可能である。また、基材樹脂に潤滑剤を配合したものも適用可能である。
【0038】
分割工具1の幅方向(図2等のW方向)の一方の側には、第1ユニット3aと第2ユニット3bの互いに対向する位置に、それぞれ、溝5a、5bが形成される。溝5a、5bは、第1ユニット3aと第2ユニット3bのそれぞれ全長(幅方向に直交する方向(図2等のL方向)の全長)にわたって直線状に形成される。
【0039】
第1ユニット3aと第2ユニット3bのそれぞれの溝5a、5bの長手方向の略中央の位置には、収容部15a、15bがそれぞれ形成される。すなわち、収容部15a、15bによって、溝5a、5bの一部が切り欠かれた形態となる。第1ユニット3aの収容部15aには、分割刃固定部材9aが収容されて固定される。同様に、第2ユニット3bの収容部15bには、分割刃固定部材9bが収容されて固定される。分割刃固定部材9a、9bは、収容部15a、15bに対して例えばボルト等で着脱可能である。
【0040】
分割刃固定部材9a、9bには、それぞれ分割刃13が設けられる。分割刃13は、溝5a、5bの長手方向に対して刃先を向けて配置される。すなわち、第1ユニット3aおよび第2ユニット3bに配置されるそれぞれの分割刃13は、溝5a、5bに対応する位置であって、互いに対向するように配置される。
【0041】
なお、分割刃13は、分割刃固定部材9a、9bのそれぞれにおいて、分割工具1aの幅方向(図中W方向)に対して所定の間隔をあけて一対配置される。また、分割刃固定部材9a、9bが収容部15a、15bに固定された状態で、分割刃固定部材9a、9bのそれぞれの分割刃13同士は、互いに対向する位置に、同一の方向に刃先を向けて配置される。
【0042】
収容部15a、15bの奥側には、それぞれ側壁17(図4(a)参照)が設けられる。分割刃固定部材9a、9bは、分割刃固定部材9a、9bの側面が側壁17に接触した状態で、それぞれ第1ユニット3a、第2ユニット3bに固定されて、位置決めがなされる。すなわち、側壁17が、収容部15a、15bにおける、溝5a、5bに垂直な方向に対する分割刃固定部材9a、9bの位置決め機構として機能する。なお、溝5a、5bの形状や、溝5a、5bに対する分割刃13の配置については、後述する。
【0043】
分割工具1の幅方向(図2等のW方向)に対する溝5a、5bとは逆側には、第2ユニット3bに溝7が形成される。溝7は、溝5a、5bと略平行に第2ユニット3bの全長(幅方向に直交する方向(図2等のL方向)の全長)にわたって直線状に形成される。
【0044】
図4に示すように、第1ユニット3aの溝7に対向する部位において、溝7の長手方向の略中央の位置には、収容部39が形成される。収容部39には、分割刃固定部材11が収容されて固定される。分割刃固定部材11は、収容部39に対して例えばボルト等で着脱可能である。
【0045】
分割刃固定部材11には、分割刃37が設けられる。すなわち、分割刃37は、第1ユニット3aに対向するように配置される。分割刃37は、溝7の長手方向に対して刃先を向けて一か所に配置される。なお、分割刃37と分割刃13とは、同一方向に刃先が向けられる。また、分割刃固定部材11も、分割刃固定部材9a、9bと同様に、分割刃固定部材11の側面が収容部39の奥側の側壁に接触した状態で、それぞれ第1ユニット3aに固定されて、位置決めがなされる。
【0046】
なお、分割刃固定部材9a、9b、11においては、いずれも、図示を省略したボルト等によって、分割刃13、37の交換(脱着)が可能であることが望ましい。このようにすることで、分割刃13、37に摩耗または、高さずれが発生した場合に、容易に、第1ユニット3a、第2ユニット3bから分割刃固定部材9a、9b、11を取外し、分割刃13、37の交換や、高さ調整をして再固定することができる。
【0047】
また、分割刃固定部材9a、9b、11は、アルミニウム合金、ステンレス等の金属であることが望ましい。また、分割刃13、37の材質としては、例えば工具鋼が適当である。
【0048】
次に、分割工具1の開閉機構について説明する。分割工具1は、第1ユニット3aおよび第2ユニット3bを、溝5a、5b等に略垂直な方向に略直線移動させることが可能な開閉機構を有する。開閉機構は、主に、ガイド21およびばね部材19等から構成される。
【0049】
図4(a)に示すように、第1ユニット3aの略中央の下面には、ガイド21が設けられる。ガイド21は、棒状の部位であって、第2ユニット3bとの対向方向に向けて配置される。また、第1ユニット3aと第2ユニット3bとの間にはばね部材(コイルばね)19が設けられ、ばね部材19にガイド21が挿通される。また、ガイド21は、対向する第2ユニット3bの孔23を貫通して、第2ユニット3bの下方において、ガイド21の先端に形成された雄ねじにナット27が固定される。
【0050】
ばね部材19およびナット27は、孔23に対して外径が大きい。このため、第1ユニット3aと第2ユニット3bの間に配置されたばね部材19は、第1ユニット3aと第2ユニット3bとが互いに離れる方向に作用し、第1ユニット3aと第2ユニット3bの溝5a、5bが形成される位置が離間した状態で保持される。(以下、この状態を、分割工具1が開いた状態と称する)。
【0051】
また、ナット27によって、第1ユニット3aと第2ユニット3bとの距離が規制される。すなわち、ナット27が、第1ユニット3aと第2ユニット3bとが開いた状態における、両者の離間距離を規制するストッパ構造として機能する。例えば、ストッパ構造によって、第1ユニット3aと第2ユニット3bの間隔が10mm以下になる様に、開き量が制限される。
【0052】
図3は、第1ユニット3aと第2ユニット3bとを互いに近接させた状態(以下、分割工具1を閉じた状態と称する)の組立斜視図であり、図4(b)は、図3のC−C線断面図、図5(b)は、図3のD−D線断面図である。前述したように、ばね部材19に抗して、第1ユニット3aを第2ユニット3bに対して押し付けると(図4(b)、図5(b)の矢印E方向)、第1ユニット3aは第2ユニット3b方向へ移動し、互いの対向面の一部が当接する。
【0053】
第1ユニット3aと第2ユニット3bとが互いに近接する方向へ移動する際には、ガイド21が孔23に沿って移動するため、第1ユニット3aと第2ユニット3bとは、互いに略直線状に移動する。すなわち、ガイド21は、第1ユニット3aと第2ユニットが、溝5a、5b等に略垂直な方向以外の方向へ移動することを規制する、ガイド機構として機能する。
【0054】
また、第1ユニット3aには、ガイド21と略平行に突出する複数のガイドピン29が設けられる。また、第2ユニット3bの、ガイドピン29と対向する部位には、図示を省略したピン孔が形成される。第1ユニット3aと第2ユニット3bとを閉じる際には、ガイドピン29がピン孔に挿通する。すなわち、第1ユニット3aと第2ユニット3bとを閉じる際に、ガイドピン29は、両者の水平方向(LW平面における位置)の位置決めを行う閉状態位置ガイドとして機能する。
【0055】
また、第1ユニット3aの前面には、溝5a、5b等の長手方向と同一方向に向けて孔31が形成される。図5(a)に示すように、孔31には、ピン35とばね33とが収容される。ピン35の先端は縮径しており、ピン35の先端から所定の位置には拡径部が形成される。ピン35は、ばね33に抗して、孔31の内部に押し込まれる。すなわち、ピン35の先端は、ばね33によって、孔31から突出する方向へ押圧される。
【0056】
図5(a)に示すように、分割工具1が開いている状態では、ピン35の前方には、第1ユニット3aの壁部24が位置する。すなわち、第1ユニット3aの壁部24によって、第2ユニット3bの孔31が塞がれる。したがって、ピン35の先端は、壁部24の内面に押し付けられた状態で、孔31内に押し込まれている。
【0057】
第1ユニット3aの壁部24の所定の位置には孔25が形成される。孔25は、ピン35の先端部の径よりもわずかに大きい。図5(b)に示すように、分割工具1を完全に閉じると、孔25と孔31(ピン35)の位置が一致する。したがって、ピン35は、孔31から突出し、ピン35の先端は、ばね33によって孔25に押し込まれる(図中矢印F)。なお、ピン35の拡径部は孔25よりも大きいため、ピン35は、拡径部が壁部24に接するまで突出する。ピン35が孔25に嵌ることで、第1ユニット3aと第2ユニット3bとが閉じた状態でロックされる。
【0058】
また、この状態から、壁部24の前面に突出するピン35の先端を孔25(孔31)へ押し込み、ピン35の先端が孔25から抜けると、ロックが解除される。ロックが解除されると、ばね部材19によって、分割工具1が開く。このように、ピン35等は、第1ユニット3aと第2ユニット3bとが閉じた状態を保持するロック機構として機能する。
【0059】
次に、分割工具1を使用方法した光ケーブルの分割方法について説明する。図6は、光ケーブル40を示す断面図である。光ケーブル40は、主に支持線部43とエレメント41とからなる。また、エレメント41は、主に、光ファイバ心線49、防護壁51、介在53、テンションメンバ54等から構成される。
【0060】
エレメント41には、複数の光ファイバ心線49が集合し、光ファイバ心線49に沿わせて上下平行にテープ状の2本の防護壁51が配置される。上下の防護壁51の間であって、複数の光ファイバ心線49の両側には、それぞれ介在53が配置される。さらに、介在53の両側には、2本のテンションメンバ54が配置される。エレメント41は、これらがポリエチレン等の外被55によって一括被覆した構造である。
【0061】
また、支持線部43には、支持線45が配置され、外被55で被覆される。支持線部43とエレメント41とは、首部47によって連結する。すなわち、光ケーブル40は、外被55によって、エレメント41と支持線部43が首部47で連結している。
【0062】
エレメント41の上下面には、各2箇所にノッチ57がそれぞれ設けられる。防護壁51の幅は、各面のノッチ57間より広く、後述するように、ノッチ57に分割刃によって切り込みを入れたときに、分割刃が防護壁51当たって、光ファイバ心線49が傷付くことを防止する。なお、光ファイバ心線49の本数は特に限定されないが、例えば、24本、40本が代表的である。
【0063】
なお、本発明は、エレメント41のみで構成される光ケーブルにも適用できる。すなわち、本発明では、支持線部43を有さないエレメント41のみの構成であっても、光ケーブルと称する場合がある。以下の説明では、支持線部43を有する光ケーブル40について説明する。
【0064】
まず、図7(a)に示すように、分割工具1を開いた状態とし、光ケーブル40を溝7に配置する。溝7は、光ケーブル40に対応した形状であり、分割工具1の幅方向に対する光ケーブル40の幅方向(図中W)のおおよその位置決めが可能である。この際、分割刃37は、光ケーブル40の首部47に対応する位置に配置される。
【0065】
この状態から、図7(b)に示すように、第1ユニット3aを押し下げると(図中矢印E)、分割刃37が首部47を貫通する。また、前述したように、ピン35が孔25に嵌るため(図5(b)参照)、分割工具1は、閉じた状態で保持される。
【0066】
この状態で、光ケーブル40を手で把持し、分割工具1を光ケーブル40の軸方向に対して相対的に移動させることで、分割刃37によって、首部47を所定の長さにわたって切断して分割することができる。この際、第1ユニット3aの上面に、分割工具1の移動方向を示すマーク(矢印)を設けることで、作業者が分割刃37の刃先方向を間違えることがない。
【0067】
このように、溝7に光ケーブル40を配置して、第1ユニット3aおよび第2ユニット3bで光ケーブル40を挟み込んだ状態で、分割刃37でエレメント41と支持線部43との間を切断することで、エレメント41と支持線部43が分割される。また、所定の長さの首部47の分割が終了した後、ピン35を孔25に押込み(図5(a)参照)、ロックを解除して、分割工具1を開くことで、溝7から光ケーブル40を取り出すことができる。
【0068】
次に、図8(a)に示すように、首部47を分割した光ケーブル40のエレメント41を第2ユニット3bの溝5bに配置する。この際、溝5bは、エレメント41の幅に対応する幅に形成されており、ノッチ57に対応する部位に分割刃13が配置される。このため、エレメント41は、溝5bに対して位置決めされる。
【0069】
この状態から、図8(b)に示すように、第1ユニット3aを押し下げると(図中矢印E)、分割刃13がノッチ57に挿通される。この際、各分割刃13の先端は、防護壁51まで到達する。すなわち、分割刃13は、外被55を貫通する。なお、前述したように、分割工具1が完全に閉じると、ピン35が孔25に嵌るため(図5(b)参照)、分割工具1は、閉じた状態で保持される。
【0070】
ここで、前述したように、溝5a、5bが突き合せられて形成される空間の幅(図中W)は、エレメント41の幅に略対応する。このため、エレメント41の幅方向(分割刃13の並列方向)の位置決めが可能である。一方、エレメント41の幅方向の一方の側には、首部47の一部が残る場合がある。したがって、エレメント41の幅方向の側方に、首部47の一部による凸部が形成される場合がある。これに対し、溝5a、5bが突き合せられて形成される空間の両側には、切欠き6が形成される。切欠き6は、首部47に対応する高さにおいて、溝5a、5bよりも幅広となる部位である。このようにすることで、エレメント41の側面に首部47の一部が残った場合でも、首部47と分割工具1との干渉を避けることができる。
【0071】
この状態で、エレメント41を手で把持し、分割工具1をエレメント41の軸方向に対して相対的に移動させることで、分割刃13によって、ノッチ57の部位における外被55を所定の長さにわたって切断してエレメント41を分割することができる。この際、第1ユニット3aの上面に、分割工具1の移動方向を示すマーク(矢印)を設けることで、作業者が分割刃13の刃先方向を間違えることがない。
【0072】
所定の長さのエレメント41の分割が終了した後、ピン35を孔25に押込み(図5(a)参照)、ロックを解除して、分割工具1を開き、溝7からエレメント41を取り出す。図9は、分割されたエレメント41を示す概念図である。分割刃13によって、ノッチ57の部位の外被55を防護壁51まで貫通させて切断することで、外被55の内部から光ファイバ心線49を取り出すことができる。この際、エレメント41を局所的に曲げることなく、容易に光ファイバ心線49を取り出すことができる。
【0073】
なお、支持線部43がないエレメント41のみで構成される光ケーブルの場合は、首部47の分割作業が不要である。すなわち、光ケーブルを直接溝5a、5bに配置して、上述した作業で分割することができる。このように、溝5a、5bにエレメント41または光ケーブル(以下、光ケーブル等と称する)を配置して、第1ユニット3aおよび第2ユニット3bで光ケーブル等を挟み込み、光ケーブル等を溝5a、5bに沿って、分割工具1に対して相対的に移動させることで、分割刃13で光ケーブル等の所定位置の外被55を切断し、光ケーブル等を複数に分割することができる。
【0074】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ヒンジ機構を設けずに、第1ユニット3aおよび第2ユニット3bを直線的に移動可能な開閉機構が設けられるため、光ケーブル等を挟み込む際に、第1ユニット3aと第2ユニット3bとが斜めになることを抑制することができる。このため、光ケーブル等の長手方向に対して、全体を略均一に挟み込むことができる。
【0075】
また、ガイド21によって、第1ユニット3aと第2ユニット3bとが、溝5a、5b等に略垂直な方向以外の方向への移動を規制することができる。このため、第1ユニット3aを第2ユニット3bに対して、傾くことなく略まっすぐに押し込むことができる。したがって、分割工具1の一部が光ケーブル等に強く押し付けられることがなく、光ケーブル等に対して分割工具1を相対的に移動させる際、小さな力で容易に光ケーブル等を分割することができる。また、確実に分割刃13を外被55の所定の深さまで挿入することができるため、外被の切断残りが生じにくい。
【0076】
特に、第1ユニット3aおよび第2ユニット3bが、自己潤滑性樹脂で形成されるため、光ケーブル等と分割工具1との滑りが良く、より小さな力で容易に光ケーブル等を分割することができる。
【0077】
また、ばね部材19によって、分割工具1が開いた状態となるため、溝5a、5b等への光ケーブル等の配置及び取り出し作業が容易である。この際、第1ユニット3aと第2ユニット3bの隙間が所定以下となるストッパ構造を有するため、作業者が誤って指を挿入し、分割刃13、37に接触することを抑制することができる。
【0078】
また、分割刃13、37は、分割刃固定部材9a、9b、11に設けられ、分割刃固定部材9a、9b、11は、第1ユニット3aおよび第2ユニット3bに対してボルト等で容易に脱着可能である。このため、分割刃13、37の摩耗や高さずれなどに対して、容易に分割刃13、37のメンテナンスや交換を行うことができる。この際、分割刃固定部材9a、9b、11が、収容部15a、15b、39の一部と接触することで、第1ユニット3aおよび第2ユニット3bに対する位置決めを行うことができる。なお、位置決めが可能であれば、分割刃固定部材9a、9b、11と収容部15a、15b、39との接触部に、位置決め用のガイドやキー等をさらに設けてもよい。
【0079】
また、ガイドピン29によって、第1ユニット3aと第2ユニット3bとを閉じる際の両者の位置決めを行うことで、光ケーブル等に対して、精度良く分割刃13、37を配置することができる。
【0080】
また、分割工具1が閉じた状態を保持するロック機構を有するため、作業者は、分割工具1を閉じた状態で維持するために第1ユニット3aと第2ユニット3bとを押圧し続ける必要がなく、分割作業が容易である。
【0081】
次に、第2の実施形態について説明する。図10(a)は、分割工具1aの開いた状態の斜視図、図10(b)は、分割工具1aの閉じた状態の斜視図である。また、図11(a)は、分割工具1aの開いた状態の正面図、図11(b)は、分割工具1aの閉じた状態の正面図、図12(a)は、分割工具1aの開いた状態の側面図、図12(b)は、分割工具1aの閉じた状態の側面図である。また、図13(a)は、図11(a)のG−G線断面図、図13(b)は、図11(b)のH−H線断面図である。
【0082】
なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の機能を奏する構成については、図1図9と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。分割工具1aは、分割工具1とほぼ同様の構成であるが、ロック機構およびストッパ構造等が異なる。
【0083】
図13(a)に示すように、第1ユニット3aと第2ユニット3bとは、一対のガイド21及びばね部材19によって連結する。ガイド21は第1ユニット3aの孔66を貫通し、ガイド21の下端は、第2ユニット3bにねじ等で固定される。孔66の内部には、上方が拡径する段差が形成され、ガイド21の上端の拡径部と接触する。すなわち、ガイド21の拡径部と孔66内の段差によって、第1ユニット3aと第2ユニット3bとの隙間の距離が規制される。なお、分割工具1と同様に、ばね部材19によって、分割工具1aは常に開く方向に力を受けている。
【0084】
第2ユニット3bには、固定レバー61が配置される。固定レバー61は、ピン63を回転中心として、第2ユニット3bに対して回動可能である。固定レバー61の上部には、鉤型の係止部62が形成される。なお、分割工具1aが開いた状態においては、固定レバー61の上端は、第1ユニット3aの内部に埋没する。
【0085】
分割工具1aにおいても、図13(b)に示すように、第1ユニット3aを第2ユニット3bへ押し込むと、分割工具1aを閉じることができる。この際、固定レバー61が第1ユニット3aの上部に突出して、操作可能な状態となる。
【0086】
第1ユニット3aの所定の位置には、ピン65が配置される。ピン65は、ピン63と略平行に配置される。分割工具1aを閉じた状態で、固定レバー61を回転させると、係止部62とピン65とが嵌り合う。すなわち、固定レバー61がピン65に係止される。したがって、分割工具1aが閉じた状態を保持することができる。
【0087】
この状態から固定レバー61を逆方向に回転させると、係止部62がピン65から外れ、ロックを解除することができる。また、ロックが解除されることで、ばね部材19によって分割工具1aを開いた状態とすることができる。
【0088】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、分割工具を閉じた状態で保持するロック機構や、開き量を規制するストッパ構造等は、他のいかなる構造であってもよい。
【0089】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0090】
例えば、溝5a、5bをそれぞれ第1ユニット3a、第2ユニット3bの両者に設けたが、光ケーブル等を配置可能なサイズの溝を、いずれか一方にのみ設けてもよい。すなわち、光ケーブルを分割する溝は、第1ユニット3aおよび第2ユニット3bの少なくとも一方に形成されればよい。
【0091】
同様に、溝7を、第1ユニット3aと第2ユニット3bの両者に分割して設けてもよい。また、支持線部43を有しない光ケーブルのみを分割する場合には、溝7や分割刃37等は不要である。
【0092】
また、溝7と溝5a、5bの両者を設ける場合において、分割刃37と分割刃13の刃先の方向を逆方向にしてもよい。例えば、分割刃37による支持線部43の分割時と、分割刃13によるエレメント41の分割時において、光ケーブル等に対して、分割工具の相対的な移動方向を逆向きとしてもよい。この場合には、図10(a)に示すように、第1ユニット3aの上面において、溝7に対応する位置と、溝5a、5bに対応する位置のそれぞれに、互いに逆方向の矢印を配置してもよい。また、分割刃13は光ケーブル40のエレメント41に設けられたノッチ57に対応する箇所に設けていればよく、2以上の分割刃13が第1ユニット3a及び第2ユニット3bに配置されていれば良い。また、第1ユニット3a及び第2ユニット3bのぞれぞれの分割刃同士は、必ずしも互いに対向する位置に配置されなくてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1、1a………分割工具
3a………第1ユニット
3b………第2ユニット
5a、5b、7………溝
6………切欠き
7………ホルダ載置部
9a、9b、11………分割刃固定部材
13、37………分割刃
15a、15b、39………収容部
17………側壁
19………ばね部材
21………ガイド
23………孔
24………壁部
25………孔
27………ナット
29………ガイドピン
31………孔
33………ばね
35………ピン
40………光ケーブル
41………エレメント
43………支持線部
45………支持線
47………首部
49………光ファイバ心線
51………防護壁
53………介在
55………外被
57………ノッチ
61………固定レバー
62………係止部
63、65………ピン
66………孔
図1
図2
図3
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図5
図6
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