(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
運転停止時に前記真空破壊弁の開動作により前記バイパス配管の先端から吹き出される気流が前記状態測定センサと前記回転軸との間の隙間を流れた後に、前記状態測定センサの測定値を予め定められた閾値と比較し、前記測定値が前記閾値を超えていた場合には、警報を発報する警報部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の横軸ポンプ。
運転停止前に前記状態測定センサの測定値が予め定められた閾値を超えていた場合であって、運転停止時に前記真空破壊弁の開動作により前記バイパス配管の先端から吹き出される気流が前記状態測定センサと前記回転軸との間の隙間を流れた後に、前記状態測定センサの測定値を前記閾値と比較し、前記測定値が前記閾値を超えていた場合には、異常であると判定し、前記測定値が前記閾値を超えていない場合には、正常であると判定する判定部
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の横軸ポンプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
治水排水設備では、信頼性の観点から事後保全ではなく予防保全が選択されている。予防保全には、時間計画保全と状態監視保全とがあるが、主要部品である水中軸受がポンプケーシング内部にあって状態確認が難しい点から、従来の点検作業は、時間計画保全により決定されている。
【0006】
しかしながら、治水排水設備におけるポンプは、非常用の運用であるため、年間の運転時間が比較的短く、地域により運転時間にもバラつきがある。そのため、一義的に決められた時間計画保全では、機器の劣化度合いに差が生じ、経済的に有効な点検間隔とは言えない。
【0007】
従来、横軸ポンプにおける水中軸受の点検・整備作業は、上部ケーシングを開放して行われていたが、これには多くの費用と長期の施工期間が必要となる。
【0008】
また、経済性・信頼性の観点から上記開放点検を多々行うことはできないため、たとえ消耗や劣化が懸念される部品が健全な状態であっても、点検にあわせて取替を行うことが前提となっており、経済的な課題となっている。
【0009】
また、変位センサなどを用いて常時監視することで水中軸受の摩耗状況を把握する方法も考えられるが、ポンプで扱う流体は、一般的に河川水などであって清水ではないため、付着物が付くことなどによりセンサが誤った値を出力することがある。その場合、出力値が正しいかどうかを確認するためには、結局上部ケーシングを開放して内部状況を確認することとなる。
【0010】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、上部ケーシングを開放することなく水中軸受の摩耗や劣化を正確に把握できる横軸ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様に係る横軸ポンプは、
水平方向に延びる回転軸と、
前記回転軸に固定された羽根車と、
前記羽根車が収容されるポンプケーシングと、
前記ポンプケーシング内に配置され前記回転軸を回転可能に支持する水中軸受と、
前記水中軸受に設けられた状態測定センサと、
運転停止時に前記ポンプケーシング内に空気を導入する空気導入管に設けられた開閉可能な真空破壊弁と、
前記ポンプケーシングと前記真空破壊弁との間の前記空気導入管から分岐され、前記真空破壊弁の開動作時に先端から吹き出される気流が前記状態測定センサと前記回転軸との間の隙間を流れるように、先端が前記状態測定センサに近接して位置決めされたバイパス配管と、
を備える。
【0012】
このような態様によれば、ポンプ運転停止時に真空破壊弁が開動作され空気導入管からポンプケーシング内に空気が導入される際に、空気導入管を流れる空気の一部がバイパス配管に流入し、バイパス配管の先端から吹き出される気流が状態測定センサと回転軸との間の隙間を流れる。この気流の圧力により、状態測定センサの付着物を吹き飛ばして洗浄することができる。ここで、ポンプ運転停止直後に洗浄が行われるため、洗浄時は毎回状態測定センサの周囲が濡れており、付着物が乾燥して付着している場合に比べて、付着物の除去が容易である。これにより、上部ケーシングを開放することなく状態測定センサを用いて水中軸受の摩耗や劣化を正確に把握できるようになり、点検作業計画において時間計画保全を選択しないでも済むようになる。
【0013】
本発明の第2の態様に係る横軸ポンプは、第1の態様に係る横軸ポンプであって、
前記バイパス配管には、開閉可能な電動弁が設けられている。
【0014】
このような態様によれば、ポンプ運転停止時に電動弁の開動作時間を制御することで、バイパス配管の先端から吹き出される気流の風量を調整することができる。これにより、気流の風量が大きすぎて状態測定センサが損傷してしまうことを防止できる。
【0015】
本発明の第3の態様に係る横軸ポンプは、第1または2の態様に係る横軸ポンプであって、
運転停止時に前記真空破壊弁の開動作により前記バイパス配管の先端から吹き出される気流が前記状態測定センサと前記回転軸との間の隙間を流れた後に、前記状態測定センサの測定値を予め定められた閾値と比較し、前記測定値が前記閾値を超えていた場合には、警報を発報する警報部をさらに備える。
【0016】
このような態様によれば、警報部が、バイパス配管の先端から吹き出される気流により洗浄された後の状態測定センサの測定値を閾値との比較に用いるため、水中軸受の摩耗や劣化を正確に把握して警報を発報できるとともに、状態測定センサに付着物が付着したことによる誤警報を抑制することができる。
【0017】
本発明の第4の態様に係る横軸ポンプは、第1〜3のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
運転停止前に前記状態測定センサの測定値が予め定められた閾値を超えていた場合であって、運転停止時に前記真空破壊弁の開動作により前記バイパス配管の先端から吹き出される気流が前記状態測定センサと前記回転軸との間の隙間を流れた後に、前記状態測定センサの測定値を前記閾値と比較し、前記測定値が前記閾値を超えていた場合には、異常であると判定し、前記測定値が前記閾値を超えていない場合には、正常であると判定する判定部をさらに備える。
【0018】
このような態様によれば、状態測定センサの測定値が閾値を超えていた場合であっても、判定部が、バイパス配管の先端から吹き出される気流により洗浄された後の状態測定センサの測定値を閾値と再度比較して、異常の有無を判定するため、状態測定センサに付着物が付着したことによる誤判定を防止することができる。
【0019】
本発明の第5の態様に係る横軸ポンプは、第1〜4のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
前記バイパス配管に水導入管を介して接続された水タンクと、
前記水導入管に設けられた開閉可能な補助電動弁であって、前記真空破壊弁の開動作と同時に開動作される補助電動弁と、
をさらに備える。
【0020】
このような態様によれば、ポンプ運転停止時に真空破壊弁の開動作と同時に補助電動弁が開動作されることで、空気導入管を流れる空気の一部がバイパス配管に流入する際に、水タンクに収容された水が水導入管を通ってバイパス配管へと流入する。そして、バイパス配管の先端からは、水と空気の混合流れが吹き出される。バイパス配管の先端から吹き出される水と空気の混合流れが状態測定センサと回転軸との間の隙間を流れることにより、状態測定センサを効果的に洗浄することができる。
【0021】
本発明の第6の態様に係る横軸ポンプは、第1〜5のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
前記バイパス配管の先端は、先細形状を有する。
【0022】
このような態様によれば、ポンプ運転停止時にバイパス配管の先端から吹き出される気流の流速を上げて、状態測定センサを効果的に洗浄することができる。
【0023】
本発明の第7の態様に係る横軸ポンプは、第1〜5のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
前記バイパス配管には、フィルタが設けられている。
【0024】
このような態様によれば、バイパス配管の先端から異物が入って詰まりの原因となることを防止できる。
【0025】
本発明の第8の態様に係る横軸ポンプは、第1〜5のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
前記状態測定センサは、回転方向において互いに異なる角度位置に配置された第1センサおよび第2センサを含み、
前記バイパス配管は、第1配管と前記第1配管から分岐された第2配管とを含み、
前記第1配管の先端は、前記第1センサに近接して位置決めされており、
前記第2配管の先端は、前記第2センサに近接して位置決めされている。
【0026】
このような態様によれば、ポンプ運転停止時に第1センサおよび第2センサのそれぞれに個別に気流を供給して効果的に洗浄することができる。
【0027】
本発明の第9の態様に係る横軸ポンプは、第1〜5のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
前記バイパス配管の先端は、前記水中軸受の内周面に開口するように設けられている。
【0028】
このような態様によれば、ポンプ運転停止時にバイパス配管の先端から吹き出される気流が水中軸受内部から端部に向かって流れるため、状態測定センサの付着物を水中軸受の内部に押し込むのではなく外部に効果的に排出することができる。
【0029】
本発明の第10の態様に係る横軸ポンプは、第1〜5のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
前記バイパス配管は、第1配管と前記第1配管から分岐された第2配管とを含み、
前記第2配管の口径は、前記第1配管の口径とは異なる。
【0030】
このような態様によれば、第1配管および第2配管の口径の違いにより、ポンプ運転停止時に第1配管の先端部および第2配管の先端部から吹き出される気流の風量や圧力を調整することができる。
【0031】
本発明の第11の態様に係る横軸ポンプは、第1〜5のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
前記バイパス配管は、第1配管と前記第1配管から分岐された第2配管とを含み、
前記第1配管および前記第2配管にはそれぞれ風量調整用の弁が設けられている。
【0032】
このような態様によれば、第1配管および第2配管にそれぞれ設けられた風量調整用の弁の動作を制御することにより、ポンプ運転停止時に第1配管の先端部および第2配管の先端部から吹き出される気流の風量や圧力をそれぞれ個別に調整することができる。
【0033】
本発明の第12の態様に係る横軸ポンプは、第1〜5のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
前記バイパス配管の先端は、前記状態測定センサよりも羽根車側に位置決めされている。
【0034】
このような態様によれば、ポンプ運転停止時にバイパス配管の先端から吹き出される気流が水中軸受において羽根車側から回転軸先端側に向かって流れるため、状態測定センサの付着物を、付着物が抜け出やすい回転軸先端側の水中軸受端部に押しやって効果的に排出することができる。
【0035】
本発明の第13の態様に係る横軸ポンプは、第1〜5のいずれかの態様に係る横軸ポンプであって、
前記水中軸受の内周面には溝が形成されており、
前記バイパス配管の先端は、前記溝に対応するように位置決めされている。
【0036】
このような態様によれば、ポンプ運転停止時にバイパス配管の先端から吹き出される気流が水中軸受の内周面の溝に沿って流れる。これにより、溝に入り込んでいた異物を効果的に排出することができる。
【0037】
本発明の第14の態様に係る横軸ポンプは、
水平方向に延びる回転軸と、
前記回転軸に固定された羽根車と、
前記羽根車が収容されるポンプケーシングと、
前記ポンプケーシング内に配置され前記回転軸を回転可能に支持する水中軸受と、
前記水中軸受に設けられた状態測定センサと、
運転開始前に前記ポンプケーシング内を真空排気する排気管に設けられた開閉可能な第2電動弁と、
真空ポンプと前記第2電動弁との間の前記排気管から分岐され、前記第2電動弁の閉動作時に先端からの吸引力により前記状態測定センサと前記回転軸との間の隙間に気流が流れるように、先端が前記状態測定センサに近接して位置決めされた第2バイパス配管と、
前記第2バイパス配管に設けられた開閉可能な第3電動弁と、
を備える。
【0038】
このような態様によれば、ポンプ運転停止時に第2電動弁が閉動作された状態で第3電動弁が開動作されると、真空ポンプの動作により、第2バイパス配管の先端部からポンプケーシング内の空気が吸引され、この吸引力により状態測定センサと回転軸との間の隙間に気流が流れる。この気流の圧力により、状態測定センサの付着物を引き剥がして洗浄することができる。特にポンプ運転停止直後に洗浄が行われる場合には、状態測定センサの周囲が濡れているため、付着物が乾燥して付着している場合に比べて、付着物の除去が容易である。これにより、上部ケーシングを開放することなく状態測定センサを用いて水中軸受15の摩耗や劣化を正確に把握できるようになり、点検作業計画において時間計画保全を選択しないでも済むようになる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、横軸ポンプにおいて、上部ケーシングを開放することなく水中軸受の摩耗や劣化を正確に把握できる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に、添付の図面を参照して、実施の形態を詳細に説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示の理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0042】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る横軸ポンプ10の概略構成を示す図である。
図1に示すように、横軸ポンプ10は、水平方向に延びる回転軸11と、回転軸11に固定された羽根車12と、羽根車12が収容されるポンプケーシング13と、を有している。
【0043】
ポンプケーシング13は、湾曲した流路を画定する筒形状を有しており、下向きに開口する吸込口13aと水平方向に開口する吐出口13bとを有している。ポンプケーシング13内に収容された羽根車12は、吐出口13bの近くに吐出口13bの中心軸線と同軸状に配置されている。
【0044】
図1に示すように、ポンプケーシング13内において羽根車12と吐出口13bとの間には、軸受ケーシング14が配置されている。軸受ケーシング14は、略半球形状を有しており、ポンプケーシング13の内面から径方向に延びる複数のリブ13cによって、ポンプケーシング13の内面から離間した位置に支持されている。
【0045】
軸受ケーシング14内には、水中軸受ケース16に保持された水中軸受15が、吐出口13bの中心軸線と同軸状に配置されている。
【0046】
水中軸受ケース16は、たとえば箱形状を有しており、その中心部には水平方向に延びる貫通孔が形成されている。水中軸受15は、円筒形状を有するすべり軸受であり、水中軸受ケース16の貫通孔に嵌挿されて保持されている。
【0047】
水中軸受15の材質としては、たとえば、潤滑剤として給脂(グリース)を使用しなくても運転可能な樹脂(例えばPEEK)が好適に用いられる。運転時の給脂が不要な樹脂軸受は、給脂作業や使用済み油の処理が不要であり、維持管理性が高い。一方で、樹脂軸受は、給脂が必要な軸受に比べて摩耗が大きい特性があるが、本実施の形態では、後述する状態測定センサ17により摩耗状況の定期的な把握が可能である。
【0048】
なお、水中軸受15の材質は、運転時の給脂が不要な樹脂に限定されるものではなく、ゴム、セラミックスなどの一般的にすべり軸受として使用されるものであってもよい。
【0049】
図1に戻って、ポンプケーシング13のうち湾曲方向外周側には、ポンプケーシング13の壁面を貫通する軸封装置18が設けられている。軸封装置18は、吐出口13bの中心軸線と同軸状に設けられている。回転軸11は、軸封装置18を介してポンプケーシング13の内部に挿設されている。
【0050】
水平方向に延びる回転軸11の先端部は、ポンプケーシング13内に配置された軸受ケーシング14内に収容され、軸受ケーシング14内に配置された水中軸受15により回転可能に支持されている。
【0051】
一方、回転軸11の基端部は、ポンプケーシング13の外部に配置された外軸受19により回転可能に支持されている。外軸受19には、たとえば転がり軸受が用いられる。
【0052】
回転軸11のうち外軸受19より更に基端側には、カップリング30を介して原動機(図示しない)が接続されている。原動機から出力される駆動力によって回転軸11と羽根車12とが一体に回転されるようになっている。ここで、水中軸受15は、回転軸11からの下方荷重を受けながら摺動するため、ポンプの使用を続けると軸受下側が摩耗することになる。一方、外軸受19は、回転軸11からの下方荷重を転がり軸受で受けるため、摩耗はほとんど生じない。
【0053】
図1に示すように、水中軸受15には、状態測定センサ17が設けられている。状態測定センサ17としては、たとえば変位センサ、振動センサ、温度測定センサなどが用いられる。
【0054】
図示された例では、状態測定センサ17は、回転軸11の変位を測定する変位センサであり、軸受ケーシング14内において回転軸11の外周面に対向して配置されている。変位センサには、水中でも計測可能な非接触式センサ(たとえば渦電流損式センサ)が用いられる。渦電流損式センサは、対象物とセンサとの間の距離により変化する渦電流損を検知することで、高精度でリニアな測定が可能である。また、渦電流損式センサは、温度変化に強いという特性もある。
【0055】
図示された例では、状態測定センサ17は、水中軸受15を保持する水中軸受ケース16に保持されている。より詳しくは、
図1に示すように、水中軸受ケース16の天井部分には、水中軸受ケース16と水中軸受15とを上下方向に貫通する貫通孔が形成されており、状態測定センサ17は、当該貫通孔に嵌挿されて保持されている。
【0056】
図1に示すように、ポンプケーシング13の上部には満水検知器31が設置されており、満水検知器31には、運転開始前にポンプケーシング13内を真空排気する排気管34と、運転停止時にポンプケーシング13内に空気を導入する空気導入管32とがそれぞれ接続されている。
【0057】
空気導入管32には、開閉可能な真空破壊弁33が設けられており、排気管34には、開閉可能な第2電動弁35が設けられている。
【0058】
本実施の形態では、
図1に示すように、ポンプケーシング13と真空破壊弁33との間の空気導入管32から、バイパス配管20が分岐されている。バイパス配管20の先端21は、真空破壊弁33の開動作時に先端から吹き出される気流が状態測定センサ17と回転軸11との間の隙間を流れるように、状態測定センサ17に近接して位置決めされている。
【0059】
図示された例では、バイパス配管20の先端21は、軸受ケーシング14内に挿入され、状態測定センサ17と同じ回転方向の角度位置において、水中軸受15の吐出口13b側から回転軸11の外周面と水中軸受15の内周面との間の隙間に向かうように延ばされている。
【0060】
次に、このような構成からなる横軸ポンプ10の動作を説明する。
【0061】
一般的に、横軸ポンプ10が運転していない時、ポンプケーシング13内は空の状態(気中)である。
【0062】
横軸ポンプ10の運転開始時には、まず、真空破壊弁33が閉動作されるとともに、第2電動弁35が開動作され、真空ポンプ36の動作により、ポンプケーシング13内が排気管34を介して真空引きされる。ポンプケーシング13内に形成される真空により、吸込み水槽(図示しない)内の水が吸込口13aからポンプケーシング13内へと吸い上げられる。
【0063】
ポンプケーシング13内に吸い上げられた水の水位が満水検知器31の高さまで到達すると、満水検知器31によりポンプケーシング13内の満水が検知される。満水検知器31による満水の検知に基づいて、第2電動弁35が閉動作される。
【0064】
ポンプケーシング13内が水で満たされた状態(満水)で、原動機から出力される駆動力によって羽根車12と回転軸11とが一体に回転される。羽根車12の回転によりポンプケーシング13内の水が流動されることで、吐出口13bから水が吐き出されるとともに、吸込口13aから新たな水が吸い込まれる。ここで、水中軸受15においては使用時間の経過とともに徐々に摩耗や腐食が生じる可能性がある。また、ポンプで扱う流体は、一般的に河川水などであって清水ではないため、状態測定センサ17に付着物が付くこともある。
【0065】
ポンプ運転停止時には、ポンプケーシング13内が水で満たされた状態(満水)で、真空破壊弁33が開動作される。これにより、ポンプケーシング13内に満たされた水は、吸込口13aから吸込み水槽へと重力によって落下するとともに、水位が下がって空いたスペースに空気導入管32を介して空気が引き込まれる。このとき、空気導入管32を流れる空気の一部はバイパス配管20に流入し、バイパス配管20の先端21からポンプケーシング13内に吹き出される。
【0066】
バイパス配管20の先端21から吹き出された気流は、状態測定センサ17と回転軸11との間の隙間を流れる。この気流の圧力により、状態測定センサ17の付着物が吹き飛ばされ、すなわち状態測定センサ17が気流により洗浄され得る。ここで、ポンプ運転停止直後に洗浄が行われるため、洗浄時は毎回状態測定センサ17の周囲が濡れている。したがって、付着物が乾燥して付着している場合に比べて、付着物の除去が容易である。
【0067】
次いで、洗浄された後の状態測定センサ17により水中軸受15の状態が測定される。本実施の形態では、状態測定センサ17は、変位センサであり、水中軸受15の摩耗量として、回転軸11が水中軸受15の下側部分に密着して静止した状態における回転軸11の下方変位を測定する。
【0068】
以上のような本実施形態の形態によれば、ポンプ運転停止時に真空破壊弁33が開動作され空気導入管32からポンプケーシング13内に空気が導入される際に、空気導入管32を流れる空気の一部がバイパス配管20に流入し、バイパス配管20の先端21から吹き出される気流が状態測定センサ17と回転軸11との間の隙間を流れる。この気流の圧力により、状態測定センサ17の付着物を吹き飛ばして洗浄することができる。ここで、ポンプ運転停止直後に洗浄が行われるため、洗浄時は毎回状態測定センサ17の周囲が濡れており、付着物が乾燥して付着している場合に比べて、付着物の除去が容易である。これにより、上部ケーシングを開放することなく状態測定センサ17を用いて水中軸受15の摩耗や劣化を正確に把握できるようになり、点検作業計画において時間計画保全を選択しないでも済むようになる。
【0069】
以上、第1の実施形態を詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述の実施形態に対して様々な変形を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0070】
(第1変形例)
図2は、第1の実施形態の第1変形例に係る横軸ポンプの水中軸受部分を拡大して示す図である。
【0071】
図2に示す例では、バイパス配管20の先端21は、先細形状を有している。このような態様によれば、ポンプ運転停止時に、バイパス配管20の先端21から吹き出される気流の流速を上げて、状態測定センサ17をより効果的に洗浄することができる。
【0072】
(第2変形例)
図3は、第1の実施形態の第2変形例に係る横軸ポンプの吐出部を拡大して示す図である。
【0073】
図3に示す例では、バイパス配管20には、フィルタ22が設けられている。このような態様によれば、バイパス配管20の先端21から異物が入って詰まりの原因となることを防止できる。フィルタ22の交換容易性を考えると、フィルタ22はバイパス配管20のうちポンプケーシング13の外側部分に設置されていることが好ましい。また、バイパス配管20への異物Pの侵入防止効果を考えると、フィルタ22はバイパス配管20の先端21に設置されていることが好ましい。
【0074】
(第3変形例)
図4は、第1の実施形態の第3変形例に係る横軸ポンプの水中軸受部分を拡大して示す図である。
【0075】
図4に示す例では、状態測定センサ17は、回転方向において互いに異なる角度位置に配置された第1センサ171および第2センサ172を含んでいる。また、バイパス配管20は、第1配管211と、第1配管211から分岐された第2配管212とを含んでいる。第1配管211の先端は、第1センサ171に近接して位置決めされており、第2配管212の先端は、第2センサ172に近接して位置決めされている。
【0076】
このような態様によれば、ポンプ運転停止時に、第1配管211の先端から吹き出される気流により第1センサ171が洗浄されるとともに、第2配管212の先端から吹き出される気流により第2センサ172が洗浄され得る。第1センサ171および第2センサ172のそれぞれに個別に気流が供給されるため、第1センサ171および第2センサ172の両方を効果的に洗浄することができる。
【0077】
(第4変形例)
図5は、第1の実施形態の第4変形例に係る横軸ポンプの水中軸受部分を拡大して示す図である。
【0078】
図5に示す例では、バイパス配管20の先端21は、状態測定センサ17と同じ回転方向の角度位置において、水中軸受15の内周面に開口するように設けられている。このような態様によれば、ポンプ運転停止時に、バイパス配管20の先端21から吹き出される気流は、水中軸受15内部から端部に向かって流れる。水中軸受15内部から端部に向かって気流が、状態測定センサ17と回転軸11との間の隙間を通過する際に、この気流の圧力により状態測定センサ17の付着物が吹き飛ばされて洗浄される。ここで、気流は水中軸受15内部から端部に向かって流れるため、気流により吹き飛ばされた付着物は、水中軸受15の内部に押し込まれるのではなく、水中軸受15の端部から外部へと効果的に排出され得る。
【0079】
(第5変形例)
図6は、第1の実施形態の第5変形例に係る横軸ポンプの水中軸受部分を拡大して示す図である。
【0080】
図6に示す例では、上述した第3変形例(
図4参照)と同様に、状態測定センサ17は、回転方向において互いに異なる角度位置に配置された第1センサ171および第2センサ172を含んでいる。また、バイパス配管20は、第1配管211と、第1配管211から分岐された第2配管212とを含んでいる。第1配管211の先端は、第1センサ171に近接して位置決めされており、第2配管212の先端は、第2センサ172に近接して位置決めされている。
【0081】
そして、
図6に示す例では、第2配管212の口径が、第1配管211の口径とは異なっている。このような態様によれば、上述した第3変形例と同様の作用効果が得られることに加えて、第1配管211および第2配管212の口径の違いにより、第1配管211の先端部および第2配管212の先端部から吹き出される気流の風量や圧力を調整することができる。
【0082】
(第6変形例)
図7は、第1の実施形態の第6変形例に係る横軸ポンプの水中軸受部分を拡大して示す図である。
【0083】
図7に示す例では、バイパス配管20は、第1配管211と、第1配管211から分岐された第2配管212とを含んでおり、第1配管211の先端および第2配管212の先端はそれぞれ、上述した第4変形例(
図5参照)と同様に、状態測定センサ17と同じ回転方向の角度位置において、水中軸受15の内周面に開口するように設けられている。このような態様によれば、上述した第4変形例と同様の作用効果が得られることに加えて、第1配管211および第2配管212の口径の違いにより、第1配管211の先端部および第2配管212の先端部から吹き出される気流の風量や圧力を調整することができる。
【0084】
(第7変形例)
図8は、第1の実施形態の第7変形例に係る横軸ポンプの吐出部を拡大して示す図である。
【0085】
図8に示す例では、上述した第3変形例(
図4参照)と同様に、状態測定センサ17は、回転方向において互いに異なる角度位置に配置された第1センサ171および第2センサ172を含んでいる。また、バイパス配管20は、第1配管211と、第1配管211から分岐された第2配管212とを含んでいる。第1配管211の先端は、第1センサ171に近接して位置決めされており、第2配管212の先端は、第2センサ172に近接して位置決めされている。
【0086】
そして、
図8に示す例では、第1配管211および第2配管212にはそれぞれ風量調整用の弁241、242が設けられている。このような態様によれば、上述した第3変形例と同様の作用効果が得られることに加えて、第1配管211および第2配管212にそれぞれ設けられた風量調整用の弁241、242の動作を制御することにより、第1配管の先端部および第2配管の先端部から吹き出される気流の風量や圧力をそれぞれ個別に調整することができる。
【0087】
(第8変形例)
図9は、第1の実施形態の第8変形例に係る横軸ポンプの吐出部を拡大して示す図である。
【0088】
図9に示す例では、上述した第3変形例(
図4参照)と同様に、状態測定センサ17は、回転方向において互いに異なる角度位置に配置された第1センサ171および第2センサ172を含んでいる。また、バイパス配管20は、第1配管211と、第1配管211から分岐された第2配管212とを含んでいる。
【0089】
そして、
図9に示す例では、第1配管211の先端は、状態測定センサ17よりも羽根車12側において、第1センサ171に近接して位置決めされており、第2配管212の先端は、状態測定センサ17よりも羽根車12側において、第2センサ172に近接して位置決めされている。
【0090】
このような態様によれば、上述した第3変形例と同様の作用効果が得られることに加えて、第1配管211の先端から吹き出される気流が水中軸受15において羽根車12側から回転軸11先端側に向かって流れるため、当該気流により第1センサ171から取り除かれる付着物を、付着物が抜け出やすい回転軸11先端側の水中軸受15端部に押しやって効果的に排出することができる。また、第2配管212の先端から吹き出される気流も水中軸受15において羽根車12側から回転軸11先端側に向かって流れるため、当該気流により第2センサ172から取り除かれる付着物を、付着物が抜け出やすい回転軸11先端側の水中軸受15端部に押しやって効果的に排出することができる。
【0091】
(第9変形例)
図10は、第1の実施形態の第9変形例に係る横軸ポンプの吐出部を拡大して示す図である。
図11は、
図10に示す横軸ポンプの水中軸受部分をA−A線に沿って切断した断面を示す図である。
【0092】
図10および
図11に示す例では、水中軸受15の内周面には軸方向に沿った複数の溝15aが形成されており、バイパス配管20の先端21は、1つの溝15aに対応するように位置決めされている。図示された例では、バイパス配管20の先端は、状態測定センサ17と同じ回転方向の角度位置において、水中軸受15の羽根車12側から回転軸11の外周面と水中軸受15の内周面との間の隙間に向かうように延ばされている。
【0093】
このような態様によれば、バイパス配管20の先端から吹き出される気流が水中軸受15の内周面の溝15aに沿って流れる。これにより、溝15aに入り込んでいた異物を水中軸受15の外部に効果的に排出することができる。
【0094】
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態に係る横軸ポンプの概略構成を示す図である。第2の実施の形態において、上述した第1の実施形態と同様に構成され得る部分について、第1の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。なお、
図12では、排気管34、第2電動弁35および真空ポンプ36の図示が省略されている。
【0095】
図12に示すように、第2の実施形態では、開閉可能な電動弁25がバイパス配管20に設けられている。電動弁25は、図示しない制御装置からの制御信号またはタイマーの設定に基づいて、ポンプ運転停止時に一定時間だけ開動作するようになっている。言い換えれば、電動弁25は、ポンプ運転停止時に、開動作のまま放置されるのではなく、途中で閉動作されるようになっている。
【0096】
このような第2の実施態様によれば、ポンプ運転停止時に電動弁25の開動作時間が制御されることで、バイパス配管20の先端21から吹き出される気流の風量を調整することができる。これにより、気流の風量が大きすぎて状態測定センサ17が損傷してしまうことを防止できる。
【0097】
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態に係る横軸ポンプの概略構成を示す図である。第3の実施の形態において、上述した第1の実施形態と同様に構成され得る部分について、第1の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。なお、
図13では、排気管34、第2電動弁35および真空ポンプ36の図示が省略されている。
【0098】
図13に示すように、第3の実施形態に係る横軸ポンプ10は、状態測定センサ17の測定値を取得して記憶する記憶・判定装置40をさらに有している。記憶・判定装置40は、警報部41と、判定部42とを含んでいる。
【0099】
図15を参照し、判定部42は、ポンプ運転停止前に状態測定センサ17の測定値が予め定められた閾値を超えていた場合(
図15における「異常を示した回」)であって、運転停止時に真空破壊弁33の開動作によりバイパス配管20の先端21から吹き出される気流が状態測定センサ17と回転軸11との間の隙間を流れた後(
図15における「洗浄後」)に、状態測定センサ17の測定値を閾値と比較し、測定値が閾値を超えていた場合(
図15における点線の棒グラフ)には、異常であると判定し、測定値が閾値を超えていない場合(
図15における実線の棒グラフ)には、正常であると判定するように構成されている。
【0100】
また、
図14を参照し、警報部41は、ポンプ運転停止時に真空破壊弁33の開動作によりバイパス配管20の先端21から吹き出される気流が状態測定センサ17と回転軸11との間の隙間を流れた後(すなわち、状態測定センサ17が気流により洗浄された後)に、状態測定センサ17の測定値を予め定められた閾値と比較し、測定値が閾値を超えていた場合(
図14における5回目の運転停止時)には、音や光などで警報を発報するように構成されている。警報部41は、警報の発報とともに、原動機などにポンプ運転停止命令を発信するように構成されていてもよい。
【0101】
このような第3の実施形態によれば、ポンプ運転停止前に状態測定センサ17の測定値が閾値を超えていた場合であっても、判定部42が、バイパス配管20の先端21から吹き出される気流により洗浄された後の状態測定センサ17の測定値を閾値と再度比較して、異常の有無を判定するため、状態測定センサ17に付着物が付着したことによる誤判定を防止することができる。
【0102】
また、第3の実施形態によれば、警報部41が、バイパス配管20の先端21から吹き出される気流により洗浄された後の状態測定センサ17の測定値を閾値との比較に用いるため、水中軸受15の摩耗や劣化を正確に把握して警報を発報できるとともに、状態測定センサ17に付着物が付着したことによる誤警報を抑制することができる。
【0103】
(第4の実施形態)
図16は、第4の実施形態に係る横軸ポンプの概略構成を示す図である。第4の実施の形態において、上述した第1の実施形態と同様に構成され得る部分について、第1の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。なお、
図16では、排気管34、第2電動弁35および真空ポンプ36の図示が省略されている。
【0104】
図16に示すように、第4の実施形態に係る横軸ポンプ10は、バイパス配管20に水導入管26を介して接続された水タンク28と、水導入管26に設けられた開閉可能な補助電動弁27とをさらに有している。水タンク28としては、たとえば大気開放型の水タンクが用いられる。水タンク28には、清水(洗浄水)が収容されている。
【0105】
補助電動弁27は、真空破壊弁33の開動作と同時に開動作されるように構成されている。
【0106】
このような第4の実施形態によれば、ポンプ運転停止時に真空破壊弁33の開動作と同時に補助電動弁27が開動作されることで、空気導入管32を流れる空気の一部がバイパス配管20に流入する際に、水タンク28に収容された水が水導入管26を通ってバイパス配管20へと流入する。そして、バイパス配管20の先端からは、水と空気の混合流れが吹き出される。バイパス配管20の先端から吹き出される水と空気の混合流れが状態測定センサ17と回転軸11との間の隙間を流れることにより、状態測定センサ17を効果的に洗浄することができる。
【0107】
(第5の実施形態)
図17は、第5の実施形態に係る横軸ポンプの概略構成を示す図である。第5の実施の形態において、上述した第1の実施形態と同様に構成され得る部分について、第1の実施形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0108】
図17に示すように、第5の実施形態では、真空ポンプ36と第2電動弁35との間の排気管34から、第2バイパス配管50が分岐されている。
【0109】
より詳しくは、第5の実施形態では、複数の横軸ポンプ10、102、103の各々の排気管34が合流部37に接続されており、当該合流部37に1台の共通の真空ポンプ36が接続されている。真空ポンプ36の動作により合流部37が真空にされた状態で、各横軸ポンプ10、102、103の排気管34に設けられた第2電動弁35が順番に開動作されることで、1台の真空ポンプ36を用いて複数の横軸ポンプ10、102、103を順番に真空引きできるようになっている。そして、本実施形態の特徴である第2バイパス配管50は、第2電動弁35と合流部37との間の排気管34から分岐されている。
【0110】
図17に示すように、第2バイパス配管50の先端51は、第2電動弁35の閉動作時に先端51からの吸引力により状態測定センサ17と回転軸11との間の隙間に気流が流れるように、状態測定センサ17に近接して位置決めされている。
【0111】
図示された例では、第2バイパス配管50の先端51は、軸受ケーシング14内に挿入され、状態測定センサ17と同じ回転方向の角度位置において、水中軸受15の吐出口13b側から回転軸11の外周面と水中軸受15の内周面との間の隙間に向かうように延ばされている。
【0112】
図17に示すように、第2バイパス配管50には、開閉可能な第3電動弁52が設けられている。
【0113】
次に、このような構成からなる横軸ポンプ10の動作を説明する。
【0114】
一般的に、横軸ポンプ10が運転していない時、ポンプケーシング13内は空の状態(気中)である。
【0115】
横軸ポンプ10の運転開始時には、まず、真空破壊弁33が閉動作されるとともに、第2電動弁35が開動作され、真空ポンプ36の動作により、ポンプケーシング13内が排気管34を介して真空引きされる。ポンプケーシング13内に形成される負圧により、吸込み水槽(図示しない)内の水が吸込口13aからポンプケーシング13内へと吸い上げられる。
【0116】
ポンプケーシング13内に吸い上げられた水の水位が満水検知器31の高さまで到達すると、満水検知器31によりポンプケーシング13内の満水が検知される。満水検知器31による満水の検知に基づいて、第2電動弁35が閉動作される。
【0117】
ポンプケーシング13内が水で満たされた状態(満水)で、原動機から出力される駆動力によって羽根車12と回転軸11とが一体に回転される。羽根車12の回転によりポンプケーシング13内の水が流動されることで、吐出口13bから水が吐き出されるとともに、吸込口13aから新たな水が吸い込まれる。ここで、水中軸受15においては使用時間の経過とともに徐々に摩耗や腐食が生じる可能性がある。また、ポンプで扱う流体は、一般的に河川水などであって清水ではないため、状態測定センサ17に付着物が付くこともある。
【0118】
ポンプ運転停止時には、ポンプケーシング13内が水で満たされた状態(満水)で、真空破壊弁33が開動作される。これにより、ポンプケーシング13内に満たされた水は、吸込口13aから吸込み水槽へと重力によって落下するとともに、水位が下がって空いたスペースに空気導入管32を介して空気が引き込まれる。ポンプケーシング13内が空の状態(気中)になったら、真空破壊弁33が閉動作される。
【0119】
次いで、他の横軸ポンプ(たとえば、3号機ポンプ103)の運転開始時に、真空ポンプ36の動作により、3号機ポンプ103のポンプケーシング内が真空引きされている間に、対象とする横軸ポンプ10の第3電動弁52が開動作される。
【0120】
合流部37側に形成されている真空により、第2バイパス配管50の先端部51からポンプケーシング10内の空気が吸引され、この吸引力により状態測定センサ17と回転軸11との間の隙間に気流が流れる。そして、この気流の圧力により、状態測定センサ17の付着物が引き剥がされ、すなわち状態測定センサ17が気流により洗浄され得る。ここで、ポンプ運転停止直後に洗浄が行われる場合には、状態測定センサ17の周囲が濡れているため、付着物が乾燥して付着している場合に比べて、付着物の除去が容易である。
【0121】
次いで、洗浄された後の状態測定センサ17により水中軸受15の状態が測定される。本実施の形態では、状態測定センサ17は、変位センサであり、水中軸受15の摩耗量として、回転軸11が水中軸受15の下側部分に密着して静止した状態における回転軸11の下方変位を測定する。
【0122】
以上のような本実施形態の形態によれば、ポンプ運転停止時に第2電動弁35が閉動作された状態で第3電動弁52が開動作されると、真空ポンプ36の動作により、第2バイパス配管50の先端部51からポンプケーシング13内の空気が吸引され、この吸引力により状態測定センサ17と回転軸11との間の隙間に気流が流れる。この気流の圧力により、状態測定センサ17の付着物を引き剥がして洗浄することができる。特にポンプ運転停止直後に洗浄が行われる場合には、状態測定センサ17の周囲が濡れているため、付着物が乾燥して付着している場合に比べて、付着物の除去が容易である。これにより、上部ケーシングを開放することなく状態測定センサ17を用いて水中軸受15の摩耗や劣化を正確に把握できるようになり、点検作業計画において時間計画保全を選択しないでも済むようになる。
【0123】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。また、各実施の形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。