特許第6828279号(P6828279)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6828279-ノボラック型樹脂及びレジスト膜 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6828279
(24)【登録日】2021年1月25日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】ノボラック型樹脂及びレジスト膜
(51)【国際特許分類】
   C08G 8/20 20060101AFI20210128BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20210128BHJP
   C08G 8/10 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   C08G8/20 Z
   G03F7/039 601
   C08G8/10
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-117081(P2016-117081)
(22)【出願日】2016年6月13日
(65)【公開番号】特開2017-222737(P2017-222737A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】今田 知之
(72)【発明者】
【氏名】長江 教夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇介
【審査官】 三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/053974(WO,A1)
【文献】 特開2004−231858(JP,A)
【文献】 特開平05−066562(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/075398(WO,A1)
【文献】 特開平11−258808(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/174199(WO,A1)
【文献】 特開平06−239789(JP,A)
【文献】 特表2001−518553(JP,A)
【文献】 米国特許第05928836(US,A)
【文献】 特表2002−501124(JP,A)
【文献】 特開平10−298372(JP,A)
【文献】 米国特許第06174957(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 4/00−16/06
G03C 3/00
G03F 7/004−7/04
7/06,501
7/075−7/115
7/16 −7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシベンゼン化合物とアルデヒド化合物(B)とを必須の反応原料とする原料ノボラック型樹脂と、ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを必須の反応原料とするノボラック型樹脂構造を有し、樹脂中のフェノール性水酸基の水素原子の一部乃至全部が、3級アルキル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ原子含有環状炭化水素基、トリアルキルシリル基の何れかで置換されていることを特徴とするノボラック型樹脂。
【請求項2】
前記ヒドロキシベンゼン化合物がフェノールである、請求項1記載のノボラック型樹脂。
【請求項3】
分子末端に下記構造式(1)
【化1】
[式中Xは水素原子、3級アルキル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ原子含有環状炭化水素基、トリアルキルシリル基の何れかであり、mは2又は3である。Rは水素原子、アルキル基、アリール基の何れかである。Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基の何れかであり、nは0、1又は2である。]
で表される構造部位(I)を有する請求項記載のノボラック型樹脂。
【請求項4】
ノボラック型樹脂を構成するフェノール性水酸基含有化合物の全モル数に対するフェノールの割合が50〜99モル%の範囲である請求項2記載のノボラック型樹脂。
【請求項5】
ノボラック型樹脂を構成するフェノール性水酸基含有化合物の全モル数に対する前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)の割合が1〜33モル%の範囲である請求項記載のノボラック型樹脂。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一つに記載のノボラック型樹脂と光酸発生剤とを含有する感光性組成物。
【請求項7】
請求項6記載の感光性組成物からなるレジスト膜。
【請求項8】
請求項1〜5の何れか一つに記載のノボラック型樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物。
【請求項9】
請求項8記載の硬化性組成物の硬化物。
【請求項10】
請求項8記載の硬化性組成物からなるレジスト膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐熱性が非常に高く、現像性にも優れるノボラック型樹脂、これを含有する感光性組成物、硬化性組成物、及びレジスト膜に関する。
【背景技術】
【0002】
ノボラック型樹脂等のフェノール性水酸基含有樹脂は、接着剤、成形材料、塗料、フォトレジスト材料、エポキシ樹脂原料、エポキシ樹脂用硬化剤等に用いられている他、硬化物における耐熱性や耐湿性などに優れることから、フェノール性水酸基含有樹脂自体を主剤とする硬化性組成物として、或いは、エポキシ樹脂等の硬化剤として、半導体封止材やプリント配線板用絶縁材料等の電気・電子分野で幅広く用いられている。
【0003】
このうちフォトレジストの分野では、用途や機能に応じて細分化された多種多様なレジストパターン形成方法が次々に開発されており、それに伴い、レジスト用樹脂材料に対する要求性能も高度化かつ多様化している。例えば、高集積化された半導体に微細なパターンを正確かつ高い生産効率で形成するための高い現像性はもちろんのこと、厚膜形成する場合には硬化物が柔軟で割れにくい等の性能が必要であり、レジスト下層膜に用いる場合にはドライエッチング耐性や耐熱性等が要求され、また、レジスト永久膜に用いる場合には耐熱性に加え、基材追従性等の靱性が要求される。
【0004】
フォトレジスト用途に最も広く用いられているフェノール性水酸基含有樹脂はクレゾールノボラック型のものであるが、高度化と多様化が進む昨今の市場要求に対して、現像性や耐熱性等の諸性能が十分なものではなかった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−55359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、耐熱性が非常に高く、現像性にも優れるノボラック型樹脂、これを含有する感光性組成物、硬化性組成物、及びレジスト膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ポリヒドロキシベンゼンを必須の反応原料とするノボラック型樹脂構造を有し、その水酸基の一部乃至全部を酸解離性保護基で変性したノボラック型樹脂は、耐熱性が非常に高く、光感度やアルカリ溶解性等の現像性にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを必須の反応原料とするノボラック型樹脂構造を有し、樹脂中のフェノール性水酸基の水素原子の一部乃至全部が、3級アルキル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ原子含有環状炭化水素基、トリアルキルシリル基の何れかで置換されていることを特徴とするノボラック型樹脂に関する。
【0009】
本発明は更に、前記ノボラック型樹脂と感光剤とを含有する感光性組成物に関する。
【0010】
本発明は更に、前記感光性組成物からなるレジスト膜に関する。
【0011】
本発明は更に、前記ノボラック型樹脂と硬化剤とを含有する硬化性組成物に関する。
【0012】
本発明は更に、前記硬化性組成物の硬化物に関する。
【0013】
本発明は更に、前記硬化性組成物からなるレジスト膜に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、耐熱性が非常に高く、現像性にも優れるノボラック型樹脂、これを含有する感光性組成物、硬化性組成物、及びレジスト膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施例1で得られたノボラック型樹脂(1)のGPCチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のノボラック型樹脂は、ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを必須の反応原料とするノボラック型樹脂構造を有し、樹脂中のフェノール性水酸基の水素原子の一部乃至全部が、3級アルキル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ原子含有環状炭化水素基、トリアルキルシリル基の何れかで置換されていることを特徴とする。
【0017】
前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)は、ベンゼン環上にフェノール性水酸基を複数有する化合物であれば何れの化合物でもよく、フェノール性水酸基の置換位置や、その他の置換基の有無等は特に限定されない。また、ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)は一種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)の具体例としては、例えば、下記構造式(2)
【0018】
【化1】
[mは2又は3である。式中Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基の何れかであり、nは0、1又は2である。]
で表される分子構造を有する化合物等が挙げられる。
【0019】
前記構造式(2)中のRは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基の何れかである。前記アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基のアルキル基等が挙げられる。前記アルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。前記アリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上にアルキル基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した構造部位等が挙げられる。中でも、耐熱性に優れるノボラック型樹脂となることから、Rは炭素原子数1〜6のアルキル基であることが好ましく、nが0であるものがより好ましい。
【0020】
前記構造式(2)中のmは2又は3である。中でも、耐熱性と現像性とに優れるノボラック型樹脂となることから、mが2であるジヒドロキシベンゼン化合物が好ましい。前記構造式(2)中の水酸基の置換位置は特に限定されない。mが2である場合には、例えば、水酸基の置換位置が1,2−位、1,3−位、1,4−位の何れかであるものが挙げられ、何れの置換位置であっても良い。中でも、耐熱性と現像性とに優れるノボラック型樹脂となることから、水酸基を1,3−位に有するレゾルシノール型の化合物であることが好ましい。
【0021】
本発明では、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)と併せて、化合物(A)以外のその他のフェノール性水酸基含有化合物(C)を併用しても良い。前記その他のフェノール性水酸基含有化合物(C)は、例えば、ヒドロキシベンゼン化合物、(ポリ)ヒドロキシナフタレン化合物、(ポリ)ヒドロキシアントラセン化合物、ビフェノール化合物、ビスフェノール化合物等が挙げられる。前記ヒドロキシベンゼン化合物としては、例えば、フェノール;クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール等のアルキルフェノール;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール;フェニルフェノール等のアリールフェノール;アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の官能基を有するフェノール等が挙げられる。前記(ポリ)ヒドロキシナフタレン化合物としては、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン、これらの芳香核上にアルキル基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した化合物等が挙げられる。前記(ポリ)ヒドロキシアントラセン化合物としては、アントラセノール及びその芳香核上にアルキル基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した化合物等が挙げられる。前記ビフェノール化合物としては、ビフェノール及びその芳香核上にアルキル基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した化合物等が挙げられる。前記ビスフェノール化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールS、これらの芳香核上にアルキル基やアルコキシ基、ハロゲン原子等が置換した化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0022】
前記その他のフェノール性水酸基含有化合物(C)を用いる場合には、耐熱性と現像性とに優れるノボラック型樹脂が得られることから、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)とその他のフェノール性水酸基含有化合物(C)との合計質量に対する前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)の割合が1〜30質量%の範囲であることが好ましく、1〜20質量%の範囲であることがより好ましい。
【0023】
また、前記その他のフェノール性水酸基含有化合物(C)の中でも、耐熱性が特に高いノボラック型樹脂が得られることから、ヒドロキシベンゼン化合物又はヒドロキシナフタレン化合物を用いることが好ましく、フェノールを用いることが特に好ましい。この時、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)とその他のフェノール性水酸基含有化合物(C)との合計モル数に対する、フェノールと前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)との合計モル数は50モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることが特に好ましい。
【0024】
また、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)とその他のフェノール性水酸基含有化合物(C)との合計モル数に対する前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)の割合は、耐熱性が特に高いノボラック型樹脂となることから、1〜33モル%の範囲であることが好ましく、2〜20モル%の範囲であることがより好ましい。他方、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)とその他のフェノール性水酸基含有化合物(C)との合計モル数に対するフェノールの割合は、耐熱性が特に高いノボラック型樹脂となることから、50〜99モル%の範囲であることが好ましく、80〜98モル%の範囲であることがより好ましい。
【0025】
前記アルデヒド化合物(B)は、フェノールや前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)等のフェノール水酸基含有化合物と縮合反応を生じてノボラック型樹脂を形成し得るものであればよく、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、テトラオキシメチレン、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、反応性に優れることからホルムアルデヒドを用いることが好ましい。ホルムアルデヒドは水溶液の状態であるホルマリンとして用いても、固形の状態であるパラホルムアルデヒドとして用いても、どちらでも良い。また、ホルムアルデヒドとその他のアルデヒド化合物とを併用する場合には、ホルムアルデヒド1モルに対して、その他のアルデヒド化合物を0.05〜1モルの割合で用いることが好ましい。
【0026】
本発明のノボラック型樹脂は、前述の通り、樹脂中のフェノール性水酸基の水素原子の一部乃至全部が、3級アルキル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ原子含有環状炭化水素基、トリアルキルシリル基の何れかで置換されていることを特徴とする。以下、フェノール性水酸基の水素原子が3級アルキル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ原子含有環状炭化水素基、トリアルキルシリル基の何れかで置換された構造部位をOX’基と呼ぶ。前記3級アルキル基は、例えば、t−ブチル基、t−ペンチル基等が挙げられる。前記アルコキシアルキル基は、例えば、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、シクロへキシルオキシエチル基、フェノキシエチル基等が挙げられる。前記アシル基は、例えば、アセチル基、エタノイル基、プロパノイル基、ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。前記アルコキシカルボニル基は、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、シクロへキシルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。前記ヘテロ原子含有環状炭化水素基は、例えば、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。前記トリアルキルシリル基は、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。中でも、耐熱性と現像性とのバランスに優れるノボラック型樹脂となることから、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ原子含有環状炭化水素基の何れかであることが好ましく、テトラヒドロピラニル基であることが特に好ましい。
【0027】
また、本発明のノボラック樹脂において、フェノール性水酸基とOX’基との合計に対するOX’基の割合は、耐熱性と現像性とのバランスに優れるノボラック型樹脂となることから0.5〜100%の範囲であることが好ましく、0.5〜80%の範囲であることがより好ましい。
【0028】
本発明において、フェノール性水酸基とOX’基との合計に対するOX’基の割合は、下記条件で測定される13C−NMR測定において、フェノール性水酸基が結合するベンゼン環上の炭素原子に由来する145〜160ppmのピークと、OX’基中のフェノール性水酸基由来の酸素原子に結合している炭素原子に由来する90〜105ppmのピークとの比から算出される値である。
装置:日本電子株式会社製「JNM−LA300」
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとジメチルスルホキシド−dとの混合溶媒
【0029】
本発明のノボラック型樹脂の製造方法は特に限定されないが、例えば、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを必須の反応原料とするノボラック型樹脂中間体を製造し、得られたノボラック型樹脂中間体のフェノール性水酸基の水素原子の一部乃至全部を、3級アルキル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ原子含有環状炭化水素基、トリアルキルシリル基の何れかで置換する方法にて製造することができる。
【0030】
前記ノボラック樹脂中間体は、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)と前記アルデヒド化合物(B)とを必須の反応原料とするものであれば、その具体構造や製造方法は特に限定されない。その製法例として、例えば、下記方法1〜3のような方法が挙げられる。
【0031】
(方法1)前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)と必要に応じて用いるその他のフェノール性水酸基含有化合物(C)とを一括して用い、これと前記アルデヒド化合物(B)とを反応させてノボラック型樹脂中間体を製造する方法。
(方法2)前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)及び必要に応じて用いるその他のフェノール性水酸基含有化合物(C)の一種乃至複数種をアルデヒド化合物(B)と反応させて原料ノボラック型樹脂を一種乃至複数種製造した後、得られた各種の原料ノボラック型樹脂の一種乃至複数種とアルデヒド化合物(B)とを反応させてブロック型のノボラック型樹脂中間体を製造する方法。
(方法3)前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)及び必要に応じて用いるその他のフェノール性水酸基含有化合物(C)のうちの一種乃至複数種と前記アルデヒド化合物(B)とを反応させて原料ノボラック型樹脂を製造し、得られた原料ノボラック型樹脂と、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)及び必要に応じて用いるその他のフェノール性水酸基含有化合物(C)のうち一種乃至複数種と、前記アルデヒド化合物(B)とを反応させてノボラック型樹脂中間体を製造する方法。
【0032】
これら様々な製造方法の中でも、特に耐熱性の高いノボラック型樹脂が得られることから、前記方法3が好ましい。中でも、その他のフェノール性水酸基含有化合物(C)と、前記アルデヒド化合物(B)とを反応させて原料ノボラック型樹脂を製造し、得られた原料ノボラック型樹脂と、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)と、前記アルデヒド化合物(B)とを反応させてノボラック型樹脂中間体を製造する方法(以下「方法3−1」と略記する)がより好ましい。
【0033】
前記方法1〜3について、何れの製造方法においても、各種のフェノール性水酸基含有化合物と前記アルデヒド化合物(B)との反応は、一般的なフェノールノボラック型樹脂の製造方法と同様にして行うことができる。具体的には、各種フェノール性水酸基含有化合物の合計1モルに対し、前記アルデヒド化合物(B)を0.5〜1.2モルの範囲で用い、酸触媒の存在下、50〜200℃の温度条件下で反応させる方法が挙げられる。
【0034】
前記酸触媒は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0035】
各種のフェノール性水酸基含有化合物と前記アルデヒド化合物(B)との反応は、必要に応じて溶媒中で行っても良い。ここで用いる溶媒は、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、乳酸エチル、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、2−エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の混合溶媒として用いても良い。中でも、反応が効率的に進行することからプロトン性溶媒を用いることが好ましい。
【0036】
反応終了後は、必要に応じて未反応原料や溶媒等を留去する工程、水洗或いは再沈殿等にて精製する工程等を行っても良い。
【0037】
前記方法3−1について詳述する。まず、その他のフェノール性水酸基含有化合物(C)と前記アルデヒド化合物(B)とを反応させて原料ノボラック型樹脂を製造する工程は、前述した一般的なフェノールノボラック型樹脂の製造方法と同様にして行うことができる。
【0038】
得られる原料ノボラック型樹脂は、その重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000の範囲であることが好ましく、多分散度(Mw/Mn)は1.2〜10の範囲であることが好ましい。
【0039】
なお、本発明において重量平均分子量(Mw)及び多分散度(Mw/Mn)は、下記条件のGPCにて測定される値である。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」(8.0mmФ×300mm)
カラム温度:40℃
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
【0040】
次いで、得られた原料ノボラック型樹脂と、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)と、前記アルデヒド化合物(B)とを反応させる工程は、前記原料ノボラック型樹脂を得る工程同様、前述した一般的なフェノールノボラック型樹脂の製造方法と同様にして行うことができる。より好ましい反応条件としては、前記ポリヒドロキシベンゼン化合物(A)1モルに対し、前記アルデヒド化合物(B)を0.5〜1.2モルの範囲で用いることが好ましい。また、反応速度や分子量の制御が容易となることから、100℃以下の比較的低温条件で反応させることが好ましく、溶媒中で反応させることが好ましい。
【0041】
得られるノボラック型樹脂中間体は、その重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であることが好ましく、多分散度(Mw/Mn)は2〜15の範囲であることが好ましい。
【0042】
前記方法3−1のような方法にてノボラック型樹脂中間体を製造した場合、最終的に得られるノボラック型樹脂は、分子末端に下記構造式(1)
【0043】
【化2】
[式中Xは水素原子、3級アルキル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ原子含有環状炭化水素基、トリアルキルシリル基の何れかであり、mは2又は3である。Rは水素原子、アルキル基、アリール基の何れかである。Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基の何れかであり、nは0、1又は2である。]
で表される構造部位(I)を有するものとなる。
【0044】
次に、得られたノボラック型樹脂中間体のフェノール性水酸基の水素原子の一部乃至全部を、3級アルキル基、アルコキシアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ原子含有環状炭化水素基、トリアルキルシリル基の何れかで置換する方法は、具体的には、前記ノボラック型樹脂中間体と、下記構造式(3−1)〜(3−8)
【0045】
【化3】
(式中Xはハロゲン原子を表し、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。また、nは1又は2である。)
の何れかで表される化合物(以下「保護基導入剤」と略記する。)とを反応させる方法が挙げられる。
【0046】
前記保護基導入剤の中でも、酸触媒条件下における開裂が進行し易く、現像性に優れるノボラック型樹脂となることから、前記構造式(3−2)又は(3−7)で表される化合物が好ましく、ジヒドロピランが特に好ましい。
【0047】
前記ノボラック型樹脂中間体と前記構造式(3−1)〜(3−8)の何れかで表される保護基導入剤とを反応させる方法は、保護基導入剤として何れの化合物を用いるかによって異なり、保護基導入剤として前記構造式(3−1)、(3−3)、(3−4)、(3−5)、(3−6)、(3−8)の何れかで表される化合物を用いる場合には、例えば、前記ノボラック型樹脂中間体と保護基導入剤とを、ピリジンやトリエチルアミン等の塩基性触媒条件下で反応させる方法が挙げられる。また、保護基導入剤として前記構造式(3−2)又は(3−7)で表される化合物を用いる場合には、例えば、前記ノボラック型樹脂中間体と保護基導入剤とを、塩酸等の酸性触媒条件下で反応させる方法が挙げられる。
【0048】
前記ノボラック型樹脂中間体と前記構造式(3−1)〜(3−8)の何れかで表される保護基導入剤との反応割合は、保護基導入剤として何れの化合物を用いるかによっても異なる。通常は、目的の保護基導入率、即ち、得られるノボラック型樹脂中のフェノール性水酸基とOX’基との合計に対するOX’基の割合に対し、当量或いは過剰になる割合で保護基導入剤を用いればよく、具体的には、前記ノボラック型樹脂中間体のフェノール性水酸基の合計1モルに対し、前記保護基導入剤が0.005〜1.2モルとなる割合で反応させることが好ましい。
【0049】
反応終了後は、反応混合物水洗し、再沈殿等により精製するなどして目的のノボラック型樹脂を得ることが出来る。
【0050】
本発明のノボラック型樹脂は、その重量平均分子量(Mw)が5,000〜30,000の範囲であることが好ましく、多分散度(Mw/Mn)は2〜15の範囲であることが好ましい。
【0051】
以上詳述した本発明のノボラック型樹脂は耐熱性に優れる特徴を有することから、接着剤や塗料、フォトレジスト、プリント配線基板等の各種の電気・電子部材用途に用いることが出来る。更に、耐熱性の他、アルカリ溶解性や光感度等の現像性能にも優れる特徴を生かしたレジスト用途に特に適しており、感光剤と組み合わせたアルカリ現像性のレジスト材料として、或いは、硬化剤と組み合わせて、厚膜用途やレジスト下層膜、レジスト永久膜用途にも好適に用いることができる。
【0052】
本発明の感光性組成物は、前記本発明のノボラック型樹脂と光酸発生剤とを必須の成分として含有する。
【0053】
前記光酸発生剤は、例えば、有機ハロゲン化合物、スルホン酸エステル、オニウム塩、ジアゾニウム塩、ジスルホン化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。これらの具体例としては、例えば、トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリブロモメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジンなどのハロアルキル基含有s−トリアジン誘導体;
【0054】
1,2,3,4−テトラブロモブタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、四臭化炭素、ヨードホルムなどのハロゲン置換パラフィン系炭化水素化合物;ヘキサブロモシクロヘキサン、ヘキサクロロシクロヘキサン、ヘキサブロモシクロドデカンなどのハロゲン置換シクロパラフィン系炭化水素化合物;
【0055】
ビス(トリクロロメチル)ベンゼン、ビス(トリブロモメチル)ベンゼンなどのハロアルキル基含有ベンゼン誘導体;トリブロモメチルフェニルスルホン、トリクロロメチルフェニルスルホン等のハロアルキル基含有スルホン化合物;2,3−ジブロモスルホランなどのハロゲン含有スルホラン化合物;トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどのハロアルキル基含有イソシアヌレート化合物;
【0056】
トリフェニルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル(4−メチルフェニル)スルフォニウムトリフルオロメタンスルフォネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネートなどのスルホニウム塩;
【0057】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネートなどのヨードニウム塩;
【0058】
p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン、p−トルエンスルホン酸ベンゾインエステル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、メタンスルホン酸ブチル、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、メタンスルホン酸フェニル、メタンスルホン酸ベンゾインエステル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸エチル、トリフルオロメタンスルホン酸ブチル、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、トリフルオロメタンスルホン酸フェニル、トリフルオロメタンスルホン酸ベンゾインエステルなどのスルホン酸エステル化合物;ジフェニルジスルホンなどのジスルホン化合物;
【0059】
ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(3−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(4−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(3−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(4−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(3−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(4−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(3−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(4−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(3−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(3−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(4−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(4−トリフルオロメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(3−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(4−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(3−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(4−トリフルオロメトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2,3,4−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2,4,6−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−(2,3,4−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2,3,4−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2,4,6−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、シクロペンチルスルホニル−(2,3,4−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(2−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(3−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(4−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(2,3,4−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(2,4,6−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(2,3,4−トリエチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、2,4−ジメチルフェニルスルホニル−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、2,4−ジメチルフェニルスルホニル−(2,3,4−トリメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(2−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(3−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル−(4−フルオロフェニルスルホニル)ジアゾメタンなどのスルホンジアジド化合物;
【0060】
o−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネートなどのo−ニトロベンジルエステル化合物;N,N’−ジ(フェニルスルホニル)ヒドラジドなどのスルホンヒドラジド化合物等が挙げられる。
【0061】
これら光酸発生剤の添加量は、光感度の高い感光性組成物となることから、感光性組成物の樹脂固形分100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0062】
本発明の感光性組成物は、露光時に前記光酸発生剤から生じた酸を中和するための有機塩基化合物を含有しても良い。有機塩基化合物の添加は、光酸発生剤から発生した酸の移動によるレジストパターンの寸法変動を防止する効果がある。ここで用いる有機塩基化合物は、例えば、含窒素化合物から選ばれる有機アミン化合物が挙げられ、具体的には、ピリミジン、2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、5−アミノピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、2,5−ジアミノピリミジン、4,5−ジアミノピリミジン、4,6−ジアミノピリミジン、2,4,5−トリアミノピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、4,5,6−トリアミノピリミジン、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、2−ヒドロキシピリミジン、4−ヒドロキシピリミジン、5−ヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,5−ジヒドロキシピリミジン、4,5−ジヒドロキシピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4,5−トリヒドロキシピリミジン、2,4,6−トリヒドロキシピリミジン、4,5,6−トリヒドロキシピリミジン、2,4,5,6−テトラヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4−ヒドロキシピリミジン、2−アミノ−5−ヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,5−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,5−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノ−4−メチルピリミジン、2−アミノ−5−メチルピリミジン、2−アミノ−4,5−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメチルピリミジン、4−アミノ−2,5−ジメチルピリミジン、4−アミノ−2,6−ジメチルピリミジン、2−アミノ−4−メトキシピリミジン、2−アミノ−5−メトキシピリミジン、2−アミノ−4,5−ジメトキシピリミジン、2−アミノ−4,6−ジメトキシピリミジン、4−アミノ−2,5−ジメトキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジメトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メチルピリミジン、2−ヒドロキシ−5−メチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5−ジメチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルピリミジン、4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−5−メトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5−ジメトキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4,6−ジメトキシピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5−ジメトキシピリミジン、4−ヒドロキシ−2,6−ジメトキシピリミジンなどのピリミジン化合物;
【0063】
ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジメチルピリジン等のピリジン化合物;
【0064】
ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタンなどの炭素数1以上4以下のヒドロキシアルキル基で置換されたアミン化合物;
【0065】
2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノールなどのアミノフェノール化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、露光後のレジストパターンの寸法安定性に優れることから、前記ピリミジン化合物、ピリジン化合物、またはヒドロキシ基をもつアミン化合物が好ましく、特にヒドロキシ基をもつアミン化合物が好ましい。
【0066】
前記有機塩基化合物を添加する場合、その添加量は、光酸発生剤の含有量に対して、0.1〜100モル%の範囲であることが好ましく、1〜50モル%の範囲であることがより好ましい。
【0067】
本発明の感光性組成物は、前記本発明のノボラック型樹脂以外に、その他の樹脂(V)を併用しても良い。その他の樹脂(V)は、アルカリ現像液に可溶なもの、或いは、酸発生剤等の添加剤と組み合わせて用いることによりアルカリ現像液へ溶解するものであれば何れのものも用いることができる。
【0068】
ここで用いるその他の樹脂(V)は、例えば、本発明のノボラック型樹脂以外のその他のフェノール樹脂(V−1)、p−ヒドロキシスチレンやp−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロピル)スチレン等のヒドロキシ基含有スチレン化合物の単独重合体あるいは共重合体(V−2)、前記(V−1)又は(V−2)の水酸基をt−ブトキシカルボニル基やベンジルオキシカルボニル基等の酸分解性基で変性したもの(V−3)、(メタ)アクリル酸の単独重合体あるいは共重合体(V−4)、ノルボルネン化合物やテトラシクロドデセン化合物等の脂環式重合性単量体と無水マレイン酸或いはマレイミドとの交互重合体(V−5)等が挙げられる。
【0069】
前記その他のフェノール樹脂(V−1)は、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、種々のフェノール性化合物を用いた共縮ノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等のフェノール樹脂が挙げられる。
【0070】
前記他のフェノール樹脂(V−1)の中でも、感度が高く、耐熱性にも優れる感光性樹脂組成物となることから、クレゾールノボラック樹脂又はクレゾールと他のフェノール性化合物との共縮ノボラック樹脂が好ましい。クレゾールノボラック樹脂又はクレゾールと他のフェノール性化合物との共縮ノボラック樹脂は、具体的には、o−クレゾール、m−クレゾール及びp−クレゾールからなる群から選ばれる少なくとも1つのクレゾールとアルデヒド化合物とを必須原料とし、適宜その他のフェノール性化合物を併用して得られるノボラック樹脂である。
【0071】
前記その他の樹脂(V)を用いる場合、本発明のノボラック型樹脂とその他の樹脂(V)との配合割合は所望の用途により任意に調整することが出来る。例えば、本発明のノボラック型樹脂は感光剤と組み合わせたときの光感度や解像度、耐熱性に優れることから、これを主成分とする感光性組成物はレジスト用途に最適である。このとき、樹脂成分の合計における本発明のノボラック型樹脂の割合は、光感度が高く解像度や耐熱性にも優れる硬化性組成物となることから、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
【0072】
また、本発明のノボラック型樹脂の光感度に優れる特徴を活かして、これを感度向上剤として用いることもできる。この場合本発明のノボラック型樹脂とその他の樹脂(V)との配合割合は、前記その他の樹脂(V)100質量部に対し、本発明のノボラック型樹脂が3〜80質量部の範囲であることが好ましい。
【0073】
本発明の感光性組成物は、更に、通常のレジスト材料に用いる感光剤を含有しても良い。前記感光剤は、例えば、キノンジアジド基を有する化合物が挙げられる。キノンジアジド基を有する化合物の具体例としては、例えば、芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物と、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸、オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等のキノンジアジド基を有するスルホン酸との完全エステル化合物、部分エステル化合物、アミド化物又は部分アミド化物などが挙げられる。
【0074】
ここで用いる前記芳香族(ポリ)ヒドロキシ化合物は、例えば、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシ−2’−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン化合物;
【0075】
ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−{1−[4−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール,3,3’−ジメチル−{1−[4−〔2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール等のビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン化合物;
【0076】
トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリス(ヒドロキシフェニル)メタン化合物又はそのメチル置換体;
【0077】
ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン,ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタンなどの、ビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン化合物又はそのメチル置換体等が挙げられる。これらの感光剤はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0078】
本発明の感光性組成物における前記感光剤の配合量は、光感度に優れる感光性組成物となることから、感光性組成物の樹脂固形分の合計100質量部に対し、5〜50質量部となる割合であることが好ましい。
【0079】
本発明の感光性組成物は、レジスト用途に用いた場合の製膜性やパターンの密着性の向上、現像欠陥を低減するなどの目的で界面活性剤を含有していても良い。ここで用いる界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル化合物、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル化合物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル化合物等のノニオン系界面活性剤;フルオロ脂肪族基を有する重合性単量体と[ポリ(オキシアルキレン)](メタ)アクリレートとの共重合体など分子構造中にフッ素原子を有するフッ素系界面活性剤;分子構造中にシリコーン構造部位を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0080】
これらの界面活性剤の配合量は、本発明の感光性組成物中の樹脂固形分の合計100質量部に対し0.001〜2質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0081】
本発明の感光性組成物をフォトレジスト用途に用いる場合には、本発明のノボラック型樹脂、光酸発生剤の他、更に必要に応じてその他のフェノール樹脂(V)や感光剤、界面活性剤、染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤など各種の添加剤を加え、有機溶剤に溶解することによりレジスト用組成物とすることができる。これをそのままポジ型レジスト溶液と用いても良いし、或いは、該レジスト用組成物をフィルム状に塗布して脱溶剤させたものをポジ型レジストフィルムとして用いても良い。レジストフィルムとして用いる際の支持フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられ、単層フィルムでも複数の積層フィルムでも良い。また、該支持フィルムの表面はコロナ処理されたものや剥離剤が塗布されたものでも良い。
【0082】
本発明のレジスト用組成物に用いる有機溶剤は特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン化合物;ジオキサン等の環式エーテル;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル化合物が挙げられる、これらはそれぞれ単独でも地いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0083】
本発明のレジスト用組成物は上記各成分を配合し、攪拌機等を用いて混合することにより製造することができる。また、フォトレジスト用樹脂組成物が充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散或いは混合して製造することができる。
【0084】
本発明のレジスト用組成物を用いたフォトリソグラフィーの方法は、例えば、シリコン基板フォトリソグラフィーを行う対象物上にレジスト用組成物を塗布し、60〜150℃の温度条件でプリベークする。このときの塗布方法は、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の何れの方法でも良い。次にレジストパターンの作成であるが、本発明のレジスト用組成物はポジ型であることから、目的とするレジストパターンを所定のマスクを通じて露光し、露光した箇所をアルカリ現像液にて溶解することにより、レジストパターンを形成する。本発明のレジスト用組成物は、露光部のアルカリ溶解性と、非露光部の耐アルカリ溶解性とが共に高いことから、解像度に優れるレジストパターンの形成が可能となる。
【0085】
本発明の硬化性組成物は、前記本発明のノボラック型樹脂と、硬化剤とを必須の成分として含有する。本発明の硬化性組成物は、前記本発明のノボラック型樹脂以外に、その他の樹脂(W)を併用しても良い。ここで用いるその他の樹脂(W)は、例えば、各種のノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン等の脂環式ジエン化合物とフェノール化合物との付加重合樹脂、フェノール性水酸基含有化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物との変性ノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、及び各種のビニル重合体等が挙げられる。
【0086】
前記各種のノボラック樹脂は、より具体的には、フェノールェノール、クレゾールやキシレノール等のアルキルフェノール、フェニルフェノール、レゾルシノール、ビフェニル、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物とを酸触媒条件下で反応させて得られる重合体が挙げられる。
【0087】
前記各種のビニル重合体は、ポリヒドロキシスチレン、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルカルバゾール、ポリインデン、ポリアセナフチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロデセン、ポリテトラシクロドデセン、ポリノルトリシクレン、ポリ(メタ)アクリレート等のビニル化合物の単独重合体或いはこれらの共重合体が挙げられる。
【0088】
これらその他の樹脂を用いる場合、本発明のノボラック型樹脂とその他の樹脂(W)との配合割合は、用途に応じて任意に設定することが出来るが、本発明が奏するドライエッチング耐性と耐熱分解性とに優れる効果がより顕著に発現することから、本発明のノボラック型樹脂100質量部に対し、その他の樹脂(W)が0.5〜100質量部となる割合であることが好ましい。
【0089】
本発明で用いる前記硬化剤は、例えば、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、レゾール樹脂、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基等の2重結合を含む化合物、酸無水物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。
【0090】
前記メラミン化合物は、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
【0091】
前記グアナミン化合物は、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物等が挙げられる。
【0092】
前記グリコールウリル化合物は、例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル等が挙げられる。
【0093】
前記ウレア化合物は、例えば、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素及び1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素等が挙げられる。
【0094】
前記レゾール樹脂は、例えば、フェノール、クレゾールやキシレノール等のアルキルフェノール、フェニルフェノール、レゾルシノール、ビフェニル、ビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノール、ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のフェノール性水酸基含有化合物と、アルデヒド化合物とをアルカリ性触媒条件下で反応させて得られる重合体が挙げられる。
【0095】
前記エポキシ化合物は、例えば、ジグリシジルオキシナフタレン、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、リン原子含有エポキシ樹脂、フェノール性水酸基含有化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物との共縮合物のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0096】
前記イソシアネート化合物は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0097】
前記アジド化合物は、例えば、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビスアジド、4,4’−メチリデンビスアジド、4,4’−オキシビスアジド等が挙げられる。
【0098】
前記アルケニルエーテル基等の2重結合を含む化合物は、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0099】
前記酸無水物は例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(イソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物等の芳香族酸無水物;無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水ドデセニルコハク酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸等の脂環式カルボン酸無水物等が挙げられる。
【0100】
これらの中でも、硬化性や硬化物における耐熱性に優れる硬化性組成物となることから、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、レゾール樹脂が好ましく、グリコールウリル化合物が特に好ましい。
【0101】
本発明の硬化性組成物における前記硬化剤の配合量は、硬化性に優れる組成物となることから、本発明のノボラック型樹脂とその他の樹脂(W)との合計100質量部に対し、0.5〜50質量部となる割合であることが好ましい。
【0102】
本発明の硬化性組成物をレジスト下層膜(BARC膜)用途に用いる場合には、本発明のノボラック型樹脂、硬化剤の他、更に必要に応じてその他の樹脂(W)、界面活性剤や染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤など各種の添加剤を加え、有機溶剤に溶解することによりレジスト下層膜用組成物とすることができる。
【0103】
レジスト下層膜用組成物に用いる有機溶剤は、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジアルキレングリコールジアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン化合物;ジオキサン等の環式エーテル;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル化合物が挙げられる、これらはそれぞれ単独でも地いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0104】
前記レジスト下層膜用組成物は上記各成分を配合し、攪拌機等を用いて混合することにより製造することができる。また、レジスト下層膜用組成物が充填材や顔料を含有する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミル等の分散装置を用いて分散或いは混合して製造することができる。
【0105】
前記レジスト下層膜用組成物からレジスト下層膜を作成するには、例えば、前記レジスト下層膜用組成物を、シリコン基板などフォトリソグラフィーを行う対象物上に塗布し、100〜200℃の温度条件下で乾燥させた後、更に250〜400℃の温度条件下で加熱硬化させるなどの方法によりレジスト下層膜を形成する。次いで、この下層膜上で通常のフォトリソグラフィー操作を行ってレジストパターンを形成し、ハロゲン系プラズマガス等でドライエッチング処理することにより、多層レジスト法によるレジストパターンを形成することが出来る。
【0106】
本発明の硬化性組成物をレジスト永久膜用途に用いる場合には、本発明のノボラック型樹脂、硬化剤の他、更に必要に応じてその他の樹脂(W)、界面活性剤や染料、充填材、架橋剤、溶解促進剤など各種の添加剤を加え、有機溶剤に溶解することによりレジスト永久膜用組成物とすることができる。ここで用いる有機溶剤は、レジスト下層膜用組成物で用いる有機溶剤と同様のものが挙げられる。
【0107】
前記レジスト永久膜用組成物を用いたフォトリソグラフィーの方法は、例えば、有機溶剤に樹脂成分及び添加剤成分を溶解・分散させ、シリコン基板フォトリソグラフィーを行う対象物上に塗布し、60〜150℃の温度条件でプリベークする。このときの塗布方法は、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターブレードコート等の何れの方法でもよい。次にレジストパターンの作成であるが、当該レジスト永久膜用組成物がポジ型の場合には、目的とするレジストパターンを所定のマスクを通じて露光し、露光した箇所をアルカリ現像液にて溶解することにより、レジストパターンを形成する。
【0108】
前記レジスト永久膜用組成物からなる永久膜は、例えば、半導体デバイス関係ではソルダーレジスト、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や集積回路素子と回路基板の接着層、LCD、OELDに代表される薄型ディスプレイ関係では薄膜トランジスタ保護膜、液晶カラーフィルター保護膜、ブラックマトリックス、スペーサーなどに好適に用いることができる。
【実施例】
【0109】
以下に具体的な例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
【0110】
本実施例において数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び多分散度(Mw/Mn)は、下記のGPCの測定条件で測定したものである。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」(8.0mmФ×300mm)+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」(8.0mmФ×300mm)
カラム温度:40℃
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
注入量:0.1mL
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
【0111】
本実施例において、水酸基への保護基導入率、即ち、フェノール性水酸基とOX’基との合計に対するOX’基の割合は、下記条件で測定される13C−NMR測定において、フェノール性水酸基が結合するベンゼン環上の炭素原子に由来する145〜160ppmのピークと、OX’基中のフェノール性水酸基由来の酸素原子に結合している炭素原子に由来する90〜105ppmのピークとの比から算出した値である。
装置:日本電子株式会社製「JNM−LA300」
溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとジメチルスルホキシド−dとの混合溶媒
【0112】
製造例1 ノボラック型樹脂中間体(1)の製造
冷却管を設置した2000mlの4口フラスコにフェノール1000質量部、41.5%ホルマリン600質量部、シュウ酸1質量部を仕込み、撹拌しながら99℃まで2時間かけて昇温した後、乾留しながら3時間撹拌を継続した。脱水回路に切り替えて、脱水しながら180℃まで3時間かけて昇温した。180℃を保持しながら残存するフェノールを留去し、淡赤色のフェノールノボラック樹脂(1)580gを得た。得られたフェノールノボラック樹脂(1)の数平均分子量(Mn)は966、重量平均分子量(Mw)は2,126、多分散度(Mw/Mn)は2.20であった。
【0113】
続いて、冷却管を設置した2,000mlの4口フラスコに、先で得たフェノールノボラック樹脂(1)450質量部、レゾルシノール50質量部、91.5%パラホルムアルデヒド10質量部を仕込み、メタノール900質量部に溶解させた。室温(25℃)で98%硫酸5質量部を仕込んだ後、60℃まで1時間かけて昇温し、20時間撹拌を継続した。60℃を保持しながら減圧条件下でメタノールを600質量部留去し、撹拌しながら水1,000質量部を滴下して、反応生成物を再沈殿させた。分離した水溶性の上澄み液を吸引除去し、メタノール300質量部を加えて残渣の反応生成物を溶解させた。再度水1000質量部を加えて反応生成物を再沈殿させ、上澄み液を除去した。プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート1,000質量部を加えて反応生成物を溶解させ、減圧条件下で脱水し、ノボラック型樹脂中間体(1)溶液(樹脂分40質量%)793質量部を得た。得られたノボラック型樹脂中間体(1)の数平均分子量(Mn)は3,144、重量平均分子量(Mw)は15,760、多分散度(Mw/Mn)は5.01であった。
【0114】
実施例1 ノボラック型樹脂(1)の製造
冷却管を設置した1000mlの3口フラスコに、製造例1で得たノボラック型樹脂中間体(1)溶液80質量部(樹脂分32質量部)、1,3−ジヒドロ−2H−ピラン0.6質量部を仕込み溶解させた。35質量%塩酸水溶液0.1質量部を添加した後、室温(25℃)で4時間攪拌を継続し反応させた。反応中にメタノールで滴定を行い、メタノール溶解成分が消失し、水酸基への保護基導入が十分に進行したことを確認した後、25質量%アンモニア水溶液1質量部を添加した。得られた溶液に水を加えて再沈殿操作を行い、沈殿物を濾別、真空乾燥し、赤紫色粉末のノボラック型樹脂(1)32質量部を得た。13C−NMRにて確認した水酸基への保護基導入率は2モル%であった。得られたノボラック型樹脂体(1)の数平均分子量(Mn)は5,155、重量平均分子量(Mw)は23,840、多分散度(Mw/Mn)は4.63であった。
【0115】
実施例2 ノボラック型樹脂(2)の製造
1,3−ジヒドロ−2H−ピランの添加量を0.6質量部から2.8質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて赤紫色粉末のノボラック型樹脂(2)33質量部を得た。13C−NMRにて確認した水酸基への保護基導入率は10モル%であった。得られたノボラック型樹脂体(2)の数平均分子量(Mn)は4,961、重量平均分子量(Mw)は22,780、多分散度(Mw/Mn)は4.59であった。
【0116】
実施例3 ノボラック型樹脂(3)の製造
1,3−ジヒドロ−2H−ピランの添加量を0.6質量部から14質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて赤紫色粉末のノボラック型樹脂(3)36質量部を得た。13C−NMRにて確認した水酸基への保護基導入率は50モル%であった。得られたノボラック型樹脂体(3)の数平均分子量(Mn)は4,322、重量平均分子量(Mw)は19,084、多分散度(Mw/Mn)は4.42であった。
【0117】
比較製造例1 ノボラック型樹脂中間体(1’)の製造
攪拌機、温度計を備えた2Lの4つ口フラスコに、メタクレゾール648g質量部、パラクレゾール432質量部、シュウ酸2.5質量部、42%ホルムアルデヒド492質量部を仕込み、100℃まで昇温して反応させた。常圧で200℃まで加熱して脱水及び蒸留し、更に230℃で6時間減圧蒸留を行い、淡黄色固形のノボラック型樹脂中間体(1’)736質量部を得た。
【0118】
比較製造例2 ノボラック型樹脂(1’)の製造
ノボラック型樹脂中間体(1)溶液80質量部(樹脂分32質量部)をノボラック樹脂30質量部に、1,3−ジヒドロ−2H−ピラン0.6質量部を21質量部に変更し、反応溶媒として1,3−ジオキソラン80質量部を使用した以外は、実施例1と同様の方法にてノボラック型樹脂(1’)35質量部を得た。
【0119】
実施例4〜6及び比較例1
実施例1〜3及び比較製造例2で得たノボラック型樹脂について、下記の要領で硬化性組成物を製造し、硬化物の耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
【0120】
硬化性組成物の製造
ノボラック型樹脂16質量部、硬化剤(東京化成工業株式会社製「1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル」)4質量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート143質量部に溶解させ、これを0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、硬化性組成物を得た。
【0121】
耐熱性の評価
先で得た硬化性組成物を5インチシリコンウェハー上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた後、230℃で300秒間加熱処理し、硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜をウェハーから削り取り、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)を用い、下記条件で昇温させた時の質量減少を測定し、1質量%減少温度(Td1)を求めた。
測定機器:セイコーインスツールメント社製「TG/DTA 6200」
測定範囲:室温〜400℃
昇温速度:10℃/分
【0122】
【表1】
【0123】
実施例7〜9及び比較例2
実施例1〜3及び比較製造例2で得たノボラック型樹脂について、下記の要領で感光性組成物を製造し、硬化物の耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
【0124】
感光性組成物の製造
ノボラック型樹脂16質量部と光酸発生剤4質量部とをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート80質量部に溶解させ、これを0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、感光性組成物を得た。
光酸発生剤は和光純薬株式会社製「WPAG−336」[ジフェニル(4−メチルフェニル)スルフォニウムトリフルオロメタンスルフォネート]を用いた。
【0125】
アルカリ現像性[ADR(Å/s)]の評価
先で得た感光性組成物を5インチシリコンウェハー上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。このウェハーを2枚用意し、一方を「露光なしサンプル」とした。他方を「露光有サンプル」としてghi線ランプ(ウシオ電機株式会社製「マルチライト」)を用いて100mJ/cmのghi線を照射したのち、140℃、60秒間の条件で加熱処理を行った。
「露光なしサンプル」と「露光有サンプル」の両方をアルカリ現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に60秒間浸漬した後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。各サンプルの現像液浸漬前後の膜厚を測定し、その差分を60で除した値をアルカリ現像性[ADR(Å/s)]とした。
【0126】
光感度の評価
先で得た感光性組成物を5インチシリコンウェハー上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。このウェハー上にラインアンドスペースが1:1であり、ライン幅が1〜10μmまで1μmごとに設定されたレジストパターン対応のマスクを密着させた後、ghi線ランプ(ウシオ電機株式会社製「マルチライト」)を用いてghi線を照射し、140℃、60秒間の条件で加熱処理を行った。次いで、アルカリ現像液(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)に60秒間浸漬した後、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。
ghi線露光量を10mJ/cmから10mJ/cm毎に増加させた場合の、ライン幅3μmを忠実に再現することのできる露光量(Eop露光量)を評価した。
【0127】
解像度の評価
先で得た感光性組成物を5インチシリコンウェハー上に約1μmの厚さになるようにスピンコーターで塗布し、110℃のホットプレート上で60秒乾燥させた。得られたウェハー上にフォトマスクを乗せ、先のアルカリ現像性評価の場合と同様の方法でghi線200mJ/cmを照射し、アルカリ現像操作を行った。レーザーマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VK−X200」)を用いてパターン状態を確認し、L/S=5μmで解像できているものを○、L/S=5μmで解像できていないものを×として評価した。
【0128】
【表2】
図1