(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2種以上の一般式(I)で表される重合性モノマーのうちの一つが、他の一般式(I)で表される重合性モノマーの反応性を向上させる、請求項1に記載の液晶組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第一は、メソゲン基と、一般式(PG1)で表される少なくとも一つの重合性基と、少なくとも一つの吸着基とを有する1種以上の自発配向性モノマーと、
前記自発配向性モノマーとは異なる化学構造式を備える以下の一般式(I)で表される化合物からなる群から選択される2種以上の重合性モノマーとを含む液晶組成物である。
【0019】
(上記式中、前記P
11は、以下の式(P−I)〜式(P−IX)で表されるいずれかの基であり、
【0021】
(式中、R
p11及びR
p12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、W
p11は単結合、−O−、−COO−又はメチレン基を表し、t
p11は、0、1又は2を表し、前記重合性基P
11の1つ以上の水素原子は前記吸着基に置換されてもよい。)
S
11は、単結合又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又は−COO−で置換されても良く、前記S
11の1つ以上の水素原子は前記吸着基に置換されてもよい。上記化学式中の*は結合手を表す。)
【0023】
(上記一般式(I)中、R
101、R
102、R
103、R
104、R
105、R
106、R
107、R
108、R
109及びR
110はそれぞれ独立して、P
21−S
21−、炭素原子数1から18のアルキル基、炭素原子数1から18のアルコキシ基、ハロゲン原子又は水素原子のいずれかを表し、上記P
21は、上記式(R−I)〜式(R−IX)で表されるいずれかの基であり、
上記S
21は、単結合又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又は−COO−で置換されてよく、
n
11は、0、1又は2を表し、
n
12及びn
13はそれぞれ独立して、0又は1を表し、
n
11+n
12+n
13=1、2又は3を表し、
A
11は、下記の基(a)、基(b)及び基(c):
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、2,7−フェナントレンジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基又はP
11−S
11−で置換されていても良く、
L
10及びL
11は、それぞれ独立して、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−OC
2H
4O−、−COO−、−OCO−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−(CH
2)
z−COO−、−(CH
2)
z−OCO−、−OCO−(CH
2)
z−、−COO−(CH
2)
z−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、前記式中、zはそれぞれ独立して1〜4の整数を表す。)を表し、
P
21、S
21、L
11及びA
11が複数存在する場合は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。)
本発明に係る液晶組成物は、化学構造が異なる少なくとも3種の単量体が含まれているため、種々の重合条件に対応しやすく、重合反応が進行しやすいことにより密なポリマーのネットワーク層を形成することができる。また、重合性モノマーを2種以上使用することで、重合反応に関与する重合性モノマー群と、垂直配向性に寄与する重合性モノマー群との機能分離した2種類以上のモノマーを含むことができるため、高い垂直配向性と小さなプレチルト変化量を達成することができると考えられる。
【0024】
以下、本発明に係る液晶組成物は、重合性成分として必須構成成分である、自発配向性モノマー及び重合性モノマーを含み、液晶成分として、非重合性の液晶化合物を含む。以下、必須構成成分である、自発配向性モノマー及び重合性モノマーを説明した後、液晶組成物に含まれる液晶成分について詳説する。
【0025】
<自発配向性モノマー>
本発明に係る自発配向性モノマーは、主として液晶組成物に添加して用いられ、当該液晶組成物を含む液晶層と直接当接する部材(電極(例えば、ITO)、基板(例えば、ガラス基板、アクリル基板、透明基板、フレキシブル基板等)、樹脂層(例えば、カラーフィルター、配向膜、オーバーコート層等)、絶縁膜(例えば、無機材料膜、SiNx等))に対して相互作用し、液晶層の液晶分子のホメオトロピック配列又はホモジニアス配向を誘起する機能を備えている。
【0026】
上記自発配向性モノマーは、重合するための重合性基と、液晶分子と類似するメソゲン基と、液晶層と直接当接する部材と相互作用可能な吸着基とを有し、必要により液晶分子の配向を誘起する屈曲基をさらに有することが好ましい。
【0027】
「重合性基」
本発明に係る重合性基は、一般式(PG1)で表される基であり、P
11は、以下の一般式(P−I)〜一般式(P−IX)で表される群より選ばれる基である。
【0029】
(式中、R
p11及びR
p12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、W
p11は単結合、−O−、−COO−又はメチレン基を表し、t
p11は、0、1又は2を表す。)
上記P
11は、以下の一般式(P−I)〜一般式(P−IX)で表される群より選ばれる基であることが好ましく、一般式(P−I)であることが好ましい。
【0030】
本発明に係る自発配向性モノマーにおいて、P
11−S
11−は、メソゲン基、吸着基及び/又は屈曲基に対して結合してもよい。
【0031】
また、本発明に係る自発配向性モノマーにおいて、重合性基は、メソゲン基、吸着基又は屈曲基に対して直接又はスペーサー基を介して結合することが好ましく、メソゲン基又は吸着基に対して直接又はスペーサー基を介して結合することがより好ましい。
【0032】
上記スペーサー基(Sp
11)は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すことがより好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数2〜10個のアルキレン基を表すことがより好ましい。また、上記スペーサー基(Sp
11)において、アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよい。
【0033】
本発明に係る自発配向性モノマーにおいて、重合性基(P
11−S
11−)の数は、1以上5以下であることが好ましく、1以上4以下であることがより好ましく、2以上4以下であることがさらに好ましく、2又は3であることがさらに好ましく、2であることがよりさらに好ましい。
【0034】
P
11−S
11−中の水素原子は、重合性基、吸着基及び/又は屈曲基で置換されていても良い。
【0035】
「メソゲン基」
本発明に係るメソゲン基は、剛直な部分を備えた基、例えば環式基を1つ以上備えたものをいい、環式基を2〜4個を有していることが好ましく、環式基を3〜4個を有していることがより好ましく、必要に応じ環式基は連結基で連結されていても良い。メソゲン基は液晶層に使用される液晶化合物と類似の骨格であることが好ましい。
【0036】
なお、本明細書において「環式基」は、構成する原子が環状に結合した原子団をいい、炭素環、複素環、飽和又は不飽和環式構造、単環、2環式構造、多環式構造、芳香族、非芳香族などを含む。また、環式基は、少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよく、さらに、少なくとも1つの置換基(ハロゲン原子、反応性官能基、有機基(アルキル、アリール等)によって置換されてもよい。環式基が単環である場合には、メソゲン基は2以上の単環を含んでいることが好ましい。
【0037】
上記メソゲン基は、例えば、一般式(AL)で表されることが好ましい。
【0039】
(式中、Z
ALは、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2−CH
2COO−、−OCOCH
2―CH
2−、−CH=C(CH
3)COO−、−OCOC(CH
3)=CH−、−CH
2−CH(CH
3)COO−、−OCOCH(CH
3)−CH
2−、−OCH
2CH
2O−又は炭素原子数1〜20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、
A
ALは、2価の環式基を表し、
Z
AL及びA
AL中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、吸着基、P
11−S
11−又は1価の有機基で置換されていてもよく、
Z
AL及びA
ALがそれぞれ複数存在する場合は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、m
ALは、1〜5の整数を表し、上記式中の左端の*及び右端の*は結合手を表す。)
一般式(AL)中、Z
ALは、単結合又は炭素原子数2〜20のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数2〜10のアルキレン基がより好ましい。上記アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。さらに、棒状分子の直線性を目的とする場合は、環と環とが直接連結した形態である単結合や環と環とを直接結ぶ原子の数が偶数個の形態が好ましい。例えば、−CH
2−CH
2COO−の場合、環と環とを直接結ぶ原子の数は4つである。
【0040】
一般式(AL)中、環式基は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基−、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,4−ナフチレン基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジセレノフェン−2,6−ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン−2,7−ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,7−ジイル基及びフルオレン−2,7−ジイル基からなる群から選択される1種の構造を表すことが好ましく、これらの構造は非置換又は置換されていてもよく、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基又はフェナントレン−2,7−ジイル基がより好ましく、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。また、環式基中の1個又は2個以上の水素原子はハロゲン原子、吸着基、P
11−S
11−又は1価の有機基で置換されてもよい。
【0041】
一般式(AL)中、一価の有機基とは、有機化合物が1価の基の形態になることによって、化学構造が構成された基であり、有機化合物から水素原子を1つ取り除いてなる原子団をいい、例えば、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数2〜15のアルケニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、炭素原子数2〜15のアルケニルオキシ基などが挙げられ、炭素原子数1〜15のアルキル基又は炭素原子数1〜14のアルコキシ基が好ましい。また、上記アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。さらには、上記一価の有機基は、後述の屈曲基としての役割を有しても良い。
【0042】
上記一般式(AL)中、m
ALは、2〜4の整数であることが好ましい。
【0043】
上記メソゲン基の好ましい形態としては、以下の式(me−1)〜(me−42)が挙げられる。一般式(AL)は、これらの構造中の2個の水素原子が脱離した構造である。
【0044】
これら式(me−1)〜(me−44)中のシクロヘキサン環、ベンゼン環又はナフタレン環中の水素原子の1つ又は2つ以上は、ハロゲン原子、P
11−S
11−、1価の有機基(例えば、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基)、吸着基又は屈曲基に置換されてもよい。
【0050】
上記メソゲン基のうち好ましい形態は、式(me−8)〜(me−44)であり、より好ましくは、式(me−8)〜(me−10)、式(me−12)〜(me−18)、式(me−22)〜(me−24)、式(me−26)〜(me−27)及び式(me−29)〜(me−44)であり、さらに好ましくは、式(me−12)、(me−15)〜(me−16)、(me−22)〜(me−24)、(me−29)、(me−34)、(me−36)〜(me−37)、(me−42)〜(me−44)である。
【0051】
上記メソゲン基のうち特に好ましい形態は、以下の一般式(AL−1)又は(AL−2)で表され、式(AL−2)がより好ましい。
【0053】
(上記式中、X
a11〜X
al18はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、P
11−S
11−、吸着基又は屈曲基を表し、環A及び環Bはそれぞれ独立して、シクロヘキサン環又はベンゼン環を表し、
X
a11〜X
al18のいずれか1種又は2種以上が前記吸着基に置換されており、
X
a11〜X
al18のいずれか1種又は2種以上が前記屈曲基に置換されており、
前記吸着基及び前記屈曲基は前記P
11−S
11−に置換されていてもよく、
一般式(AL−1)又は一般式(AL−2)のそれぞれに前記P
11−S
11−を1種又は2種以上有する。)
上記式(AL−1)において、X
a11又はX
a18〜X
a112の少なくとも1種又は2種以上が吸着基に置換されていることが好ましく、X
a11又はX
a110の少なくとも1種又は2種以上が吸着基に置換されていることがより好ましい。なお、この場合、前記吸着基はP
11−S
11−に置換されてもよい。特に、環Aがシクロヘキサン環の場合は、X
a110が吸着基に置換されていることが好ましい。
【0054】
上記式(AL−1)において、X
a16〜X
a114の少なくとも1種又は2種以上が重合性基に置換されていることが好ましく、X
al9又はX
a111のいずれか一方がP
11−S
11−に置換されていることがより好ましい。
【0055】
上記式(AL−1)において、X
a11〜X
a13、X
a6〜X
a114、X
a117〜X
a118の少なくとも1種又は2種以上が屈曲基に置換されていることが好ましく、X
a11〜X
a13、X
a6〜X
a19、X
a111〜X
a114又はX
a117〜X
a118の少なくとも1種又は2種以上が屈曲基に置換されていることが好ましい。X
a11が屈曲基に置換されており、かつX
a6〜X
a19又はX
a111〜X
a114のいずれか1種が屈曲基に置換されていることがより好ましい。この場合、前者のX
a11における屈曲基の方が後者の屈曲基より炭素原子数が多い方がさらに好ましい。屈曲基はP
11−S
11−に置換されてもよい。
【0056】
上記式(AL−2)において、X
a11又はX
a16〜X
a110の少なくとも1種又は2種以上が吸着基に置換されていることが好ましく、X
a11又はX
a18が吸着基に置換されていることがより好ましい。なお、この場合、吸着基はP
11−S
11−に置換されてもよい。特に、環Aがシクロヘキサン環の場合は、X
a18が吸着基に置換されていることが好ましい。
【0057】
上記式(AL−2)において、X
al6〜X
a110のいずれか1種又は2種以上がP
11−S
11−に置換されていることが好ましく、X
al7又はX
a19のいずれか一方がP
11−S
11−に置換されていることがより好ましい。
【0058】
上記式(AL−2)において、X
a16〜X
a110の少なくとも1種又は2種以上がP
11−S
11−に置換されていることが好ましく、X
a17又はX
a14のいずれか一方がP
11−S
11−に置換されていることがより好ましい。
【0059】
上記式(AL−2)において、X
a11〜X
a17又はX
a9〜X
a114の少なくとも1種又は2種以上が屈曲基に置換されていることが好ましく、X
a11、X
a4〜X
a17又はX
a19〜X
a112の少なくとも1種又は2種以上が屈曲基に置換されていることが好ましい。X
a11が屈曲基に置換されており、かつX
al4〜X
a17又はX
a19〜X
a112のいずれか1種が屈曲基に置換されていることがより好ましい。この場合、前者のX
a11における屈曲基の方が後者の屈曲基より炭素原子数が多い方がさらに好ましい。屈曲基はP
11−S
11−に置換されてもよい。
【0060】
「吸着基」
本発明に係る吸着基は、基板、膜、電極などの吸着媒と吸着する役割を備えた基である。吸着は、一般的に、化学結合(共有結合、イオン結合又は金属結合)をつくって吸着媒と吸着質との間で吸着する化学吸着、又は当該化学吸着以外の物理吸着に分別され、本明細書の吸着は化学吸着又は物理吸着のいずれでもよいが、物理吸着により吸着媒と吸着することが好ましい。そのため、本発明に係る吸着基は、吸着媒と物理吸着可能な基であることが好ましく、当該吸着基は分子間力により吸着媒と結合することがより好ましい。当該分子間力により吸着媒と結合する形態としては、永久双極子、永久四重極子、分散力、電荷移動力又は水素結合などの相互作用により吸着媒と結合していることが挙げられる。本発明に係る吸着基の好ましい形態としては、水素結合により吸着媒と結合可能な形態が挙げられる。この場合、本発明に係る吸着基が水素結合を介在するプロトンのドナー若しくはアクセプターになってもよく、また両方であってもよい。
【0061】
本発明に係る吸着基は、炭素原子とヘテロ原子とが連結した原子団を有する極性要素を含む基であることが好ましい。本明細書でいう極性要素とは、炭素原子とヘテロ原子とが直接連結した原子団をいう。上記ヘテロ原子としては、N、O、S、P、B及びSiからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、N、O及びSからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、N及びOからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、Oであることが好ましい。
【0062】
また、本発明に係る自発配向性モノマーにおいて、本発明に係る極性要素の価数は、一価、二価、三価など特に制限されず、また吸着基中の極性要素の個数も特に制限されることは無い。
【0063】
本発明に係る自発配向性モノマーにおいて、上記吸着基は、一分子中に1〜8個有することが好ましく、1〜4個有することがより好ましく、1〜3個有することがさらに好ましい。
【0064】
なお、本発明に係る吸着基は、P
11−S
11−及び屈曲基は除く。
【0065】
本発明に係る吸着基は、1又は2以上の極性要素を含み、吸着基は環式基型と鎖式基型に大別される。環式基型はその構造中に極性要素を含む環状構造を備えた環式基を含む形態であり、鎖式基型はその構造中に極性要素を含む環状構造を備えた環式基を含まない形態である。鎖式基は直鎖又は分岐した鎖状基中に極性要素を有する形態であり、この一部に極性要素を含まない環状構造を有していても良い。
【0066】
本発明に係る吸着基が環式基を含む形態であるとは、少なくとも1つの極性要素が環状の原子配列内に含まれる形態を意味する。なお、本明細書における環式基とは、上述した通りである。そのため、本発明に係る吸着基が環式基を含む形態の場合は、極性要素を含む環式基さえ含んでいればよく、吸着基全体としては分岐しても直鎖状であってもよい。
【0067】
本発明に係る吸着基が鎖式基の形態とは、分子内に極性要素を含む環状の原子配列がなく、かつ少なくとも1つの極性要素が線状の原子配列(枝分かれしてもよい)内に含まれる形態を意味する。なお、本明細書における鎖式基とは、構造式中に環状の原子配列のない、構成する原子が線状(分岐してもよい)に結合した原子団をいい、非環式基をいう。換言すると、直鎖状又は分枝状の脂肪族基を言い、飽和結合又は不飽和結合のどちらを含んでもよく、例えば、アルキル、アルケニル、アルコキシ、エステル、エーテル又はケトンなどを含み、少なくとも1つの置換基(反応性官能基(ビニル基、アクリル基、メタクリル基等)、鎖状有機基(アルキル、シアノ等)によって置換されてもよい概念である。また、本発明の鎖式基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。
【0068】
本発明に係る吸着基は、鎖式基又は環式基を有することが好ましく、吸着能を重視する場合は鎖式基が好ましく、液晶組成物に対する安定性の観点では環式基が好ましい。
【0069】
本発明に係る吸着基が環式基の場合は、炭素原子数3〜20個の複素芳香族基(縮合環を含む)又は炭素原子数3〜20個の複素脂肪族基(縮合環を含む)がより好ましく、炭素原子数3〜12個の複素芳香族基(縮合環を含む)又は炭素原子数3〜12個の複素脂肪族基(縮合環を含む)がさらに好ましく、5員環複素芳香族基、5員環複素脂肪族基、6員環複素芳香族基又は6員環複素脂肪族基を表すことがよりさらに好ましく、これらの環構造中の水素原子はハロゲン原子、炭素原子数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はアルキルオキシ基に置換されてもよい。
【0070】
本発明に係る吸着基が鎖式基の場合は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20個のアルキル基中の水素原子や−CH
2−が極性要素に置換されることが好ましく、当該アルキル基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCO−COO−によって置換されていてもよい。また、本発明に係る吸着基が鎖式基の場合は、端部に極性要素を含む又は2個以上の極性要素を含むことが好ましい。
【0071】
本発明に係る吸着基の水素原子は、重合性基に置換されてもよい。
【0072】
本発明に係る極性要素の種類は、具体的には、酸素原子を含む極性要素(以下、含酸素極性要素)、窒素原子を含む極性要素(以下、含窒素極性要素)、リン原子を含む極性要素(以下、含リン極性要素)、ホウ素原子を含む極性要素(以下、含ホウ素極性要素)、ケイ素原子を含む極性要素(以下、含ケイ素極性要素)又は硫黄原子を含む極性要素(以下、含硫黄極性要素)で表される部分構造であることが好ましく、吸着能の観点から、含窒素極性要素、含窒素極性要素又は含酸素極性要素がより好ましく、含酸素極性要素がさらに好ましい。
【0073】
上記含酸素極性要素としては、水酸基(−OH)、アルキロール基(−R
t−OH;R
tはアルキレン基)、アルコキシ基(−OR;但し、Rはアルキル基)、ホルミル基(−CHO)、カルボキシル基(−COOH)、エーテル基(−R
tOR
t’−;但し、R
t、R
t’はアルキレン基又はアルケニレン基)、カルボニル基(−R
t−C(=O)−R
t’−;但し、R
t、R
t’はアルキレン基又はアルケニレン基)、カーボネート基(−O−C(=O)−O−)及びエステル基(−COOR
t’−;但しR
t’はアルキレン基又はアルケニレン基)からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0074】
上記含窒素極性要素としては、シアノ基(−CN)、1級アミノ基(−NH
2)、2級アミノ基(−NH−)、3級アミノ基(−NRR’;但し、R,R’はアルキル基)、ピリジル基、カルバモイル基(−CONH
2)及びウレイド基(−NHCONH
2)からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0075】
上記含リン極性要素としては、ホスフィニル基(−CX
2−P(=O)H
2)及びリン酸基(−CX
2−OP(=O)(OH)
2)からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0076】
上記含ホウ素極性要素としては、ホウ酸基(−B(OH)
2)が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0077】
上記含ケイ素極性要素としては、−Si(OH)
3基又は−Si(OR)(OR’)(OR’’);但し、R,R’,R’’はアルキル基)基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0078】
上記含硫黄極性要素としては、メルカプト基(−SH)、スルフィド基(−S−)、スルフィニル基(−S(=O)−)、スルホニル基(−SO
2−)、スルホンアミド基(−SO
2NH
2)、スルホ酸基(−SO
3H)及びスルフィノ基(−S(=O)OH)からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
【0079】
そのため、本発明に係る吸着基は、環式基が含酸素極性要素を備えた基(以下、含酸素環式基)、環式基が窒素原子極性要素を備えた基(以下、含窒素環式基)、環式基が含リン極性要素を備えた基(以下、含リン環式基)、環式基が含ホウ素極性要素を備えた基(以下、含ホウ素環式基)、環式基が含ケイ素極性要素を備えた基(以下、含ケイ素環式基)、環式基が含硫黄極性要素を備えた基(以下、含硫黄環式基)、鎖式基が含酸素極性要素を備えた基(以下、含酸素鎖式基)、鎖式基が窒素原子極性要素を備えた基(以下、含窒素鎖式基)、鎖式基が含リン極性要素を備えた基(以下、含リン鎖式基)、鎖式基が含ホウ素極性要素を備えた基(以下、含ホウ素鎖式基)、鎖式基が含ケイ素極性要素を備えた基(以下、含ケイ素鎖式基)及び鎖式基が含硫黄極性要素を備えた基(以下、含硫黄鎖式基)からなる群から選択される1種又は2種以上の基自体又は当該基を含むことが好ましく、吸着能の観点から含酸素環式基、含硫黄環式基、含酸素鎖式基及び含窒素鎖式基からなる群から選択される1種又は2種以上の基を含むことがより好ましい。
【0080】
上記含酸素環式基としては、エーテル基又はカルボニル基を環内に有することが好ましく、当該エーテル基としては、以下の基を含むことが好ましい。
【0082】
また、前記カルボニル基としては、以下の基のいずれかを含むことが好ましい。
【0084】
上記含窒素環式基としては、以下の基のいずれかを含むことが好ましい。
【0086】
上記含硫黄環式基としては、以下の基のいずれかを含むことが好ましい。
【0088】
上記含ホウ素環式基としては、以下の基のいずれかを含むことが好ましい。
【0090】
上記含ケイ素環式基としては、シルセスキオキサン基[−(R)
n(SiO
1.5)
n−1]を含むことが好ましい。
【0091】
上記含酸素鎖式基としては、以下の基のいずれかを含むことが好ましい。
【0093】
(上記一般式中、R
atはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。上記一般式中、Z
atは、単結合、炭素原子数1〜15個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニルレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよく、X
atは、炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、当該アルキル基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよい。)
上記含窒素鎖式基としては、以下の基を含むことが好ましい。
【0095】
(上記一般式中、R
at、R
bt、R
ct及びR
dtはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
上記含硫黄鎖式基としては、以下の基を含むことが好ましい。
【0097】
上記含珪素鎖式基としては、−Si(OH)
3又は−Si(OR)(OR’)(OR’’);但し、R,R’,R’’はアルキル基)を含むことが好ましい。上記含ホウ素鎖式基としては、−B(OH)
2を含むことが好ましい。上記含燐鎖式基としては、−OP(=O)(OH)
2を含むことが好ましい。
【0098】
本発明に係る吸着基としては、以下の一般式(T)で表される基が好ましい。
【0100】
(上記一般式(T)中、X
t1は、炭素原子数1〜18個の直鎖状又は分岐状のアルキル基又は−NH
2を表し、前記アルキル基中の水素原子はシアノ基、P
11−S
11−に置換されてもよく、又は前記アルキル基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−に置換されてもよく、
上記R
t1は、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基又はZ
t1と結合してもよい炭素原子数1〜8個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はZ
t1と結合してもよい炭素原子数2〜8個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、上記Z
t2は、単結合、炭素原子数1〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよく、
Z
t1は、単結合、炭素原子数1〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよく、またX
t1が−Z
t2−O−R
at基であり、かつR
atがアルキレン基又はアルケニレン基の場合、Z
t1の水素原子を置換してR
t1と結合してもよく
W
t0は、炭素原子数1〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、当該アルキレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−CH=CH−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよく、また前記アルキレン基の水素原子は一般式(T)に置換されてもよく、
W
t1は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、当該アルキレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよく、
n
t1は0以上4以下の整数を表し、
分子内の水素原子は上記重合性基P
11−S
11−に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(T)において、好ましいX
t1は、炭素原子数1〜17個の直鎖状又は分岐状のアルキル基、−NH
2又は−Z
t2−O−R
t1基を表し、当該アルキル基中の水素原子はシアノ基、P
11−S
11−に置換されてもよく、上記R
t1は、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基又はZ
t1と結合してもよい炭素原子数1〜8個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又はZ
t1と結合してもよい炭素原子数2〜8個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、上記Z
t2は、単結合、炭素原子数1〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよい。
【0101】
上記一般式(T)において、吸着基(一般式(T))が吸着基(一般式(T))で置換されてもよい形態としては、上記一般式(T)が以下の一般式(t)で表される基が挙げられる。
【0103】
(上記一般式(t)中、X
t1、Z
t1、W
t1及びn
t1は、上記一般式(T)における記号と同じであり、
W
t2は単結合又は2価〜4価の有機基を表し、
m
t1は1以上3以下の整数を表し、分子内の水素原子は上記重合性基Pd−S
11−に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(t)中の「−W
t2−Any」は、W
t2が単結合〜多価基を表し、結合手が1価〜多価(Any)であることを示す。
【0104】
上記一般式(t)において、2〜4価の有機基とは、有機化合物が2〜4価の基の形態になることによって、化学構造が構成された基であり、有機化合物から水素原子を2〜4つ取り除いてなる原子団をいう。
【0105】
上記一般式(t)において、2価〜4価の有機基である−W
t2−Anyは、鎖状の有機基が好ましく、例えば、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1個〜10個のアルキレン基(当該アルキレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよい)、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1個〜10個のアルキレン多価基(当該アルキレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよい)、−PH−、−POH−、−NH−、窒素原子又はリン原子などが挙げられる。当該アルキレン多価基は、アルキレン基からさらに水素原子を1〜2つ除いてできる3価又は4価の基をいい、いわゆる炭化水素鎖に遊離原子価がある3〜4価の基をいう。
【0106】
上記一般式(t)で表される基は、一般式(T)におけるW
t0の好ましい態様、すなわち吸着基(一般式(T))が吸着基(一般式(T))で置換されてもよい形態の一態様であり、上記一般式(t)で表される基の好ましい形態としては、例えば、W
t2が3価の有機基の場合、すなわちmt1’が2であり、W
t2が窒素原子又はアルキレン多価基の場合、例えば以下の一般式(t−a)又は(t−b)が挙げられる。
【0108】
(上記式(t−a)及び(t−b)中、R
tcは水素原子、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1個〜10個のアルキル基又は重合性基P
11−S
11−で表され、
Z
t1及びZ
t1’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のZ
t1と同じ意味を表し、
X
t1及びX
t1’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のZ
t1と同じ意味を表し、
W
t1は、一般式(T)中のW
t1と同じ意味を表し、
n
t1及びn
t1’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のn
t1と同じ意味を表し、分子内の水素原子は上記重合性基P
11−S
11−に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
一般式(t)において、例えば、−W
t2−Anyが4価の有機基の場合、すなわちmt1’が3であり、−W
t2−Anyがアルキレン多価基の場合、例えば以下の一般式(t−c)が挙げられる。
【0110】
(上記式(t−c)中、Z
t1、Z
t1’及びZ
t1’’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のZ
t1と同じ意味を表し、
X
t1、X
t1’及びX
t1’’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のX
t1と同じ意味を表し、
W
t1は、一般式(T)中のW
t1と同じ意味を表し、
n
t1、n
t1’及びn
t1’’はそれぞれ独立して、一般式(T)中のn
t1と同じ意味を表し、分子内の水素原子は上記重合性基P
11−S
11−に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(t)において、mt1’は1又は2が好ましく、mt1’は1がより好ましい。また、上記一般式(t−a)、一般式(t−b)、一般式(t−c)で表される形態のうちでは、上記一般式(t−a)で表される形態が好ましい。
【0111】
上記一般式(t)において、−W
t2−Anyは、単結合又は2価〜3価の有機基が好ましく、単結合、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜8個のアルキレン基(当該アルキレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−に置換されてもよい。)、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜8個のアルカントリイル基(当該アルカントリイル基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−に置換されてもよい。)又は直鎖状若しくは分岐状のアルキル−イリデン基(当該アルキル−イリデン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−に置換されてもよい。)がより好ましい。例えば、以下の基が挙げられる。
【0113】
(上記式中、R
tcは、炭素原子数1〜8個のアルキル基又は重合性基(P
11−S
11−)を表し、nt0は、1〜7の整数を表し、*は結合手を表す。)また、W
t2の水素原子に重合性基(P
11−S
11−)を置換してもよい。
【0114】
上記一般式(t)において、mt1は1又は2を表すことが好ましい。
【0115】
上記一般式(T)又は一般式(t)において、W
t1は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜8個のアルキレン基(単結合又は直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、当該アルキレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよい。)を表すことが好ましく、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜7個のアルキレン基(単結合又は直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、当該アルキレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−に置換されてもよい。)を表すことがより好ましい。またW
t1は、メソゲン基、重合性基又は屈曲基の水素原子に置換して結合してもよい。
【0116】
上記一般式(T)又は一般式(t)において、X
t1はZ
t1と結合しない形態(鎖式基)と、X
t1はZ
t1と結合して環を形成する形態(環式基)とを含んでいる。
【0117】
前者の形態の場合、炭素原子数1〜8個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、−NH
2、−Z
t2−O−R
t1基又はシアノ基で置換された炭素原子数1〜7個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜7個の直鎖状又は分岐状のアルキル基、−Z
t2−O−R
t1基、シアノ基で置換された炭素原子数1〜7個の直鎖状又は分岐状のアルキル基がより好ましい。また前者の形態の場合、前記R
t1はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5個のアルキル基を表し、上記Z
t2は、単結合、炭素原子数1〜10個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜10個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基が好ましい(当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよい)。
【0118】
後者の形態の場合、nt1が1以上、X
t1は−Z
t2−O−R
t1であり、R
t1が炭素原子数1〜7個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜7個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基であり、Z
t1の水素原子を置換してR
t1と結合することが好ましく、例えば、以下の一般式(T’)で表されることが好ましい。
【0120】
(上記一般式(T’)中、R
t1’はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、
Z
t2’はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜10の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよく、
Z
t1’は、炭素原子数1〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン3価基又は炭素原子数1〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン3価基を表し、当該アルキレン3価基又はアルケニレン3価基の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−又はOCO−に置換されてもよく、
W
t2は、単結合又は2価〜4価の有機基を表し、
−W
t1−は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、当該アルキレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよく、
n
t1’は1以上4以下の整数を表し、
m
t1’は1以上3以下の整数を表し、分子内の水素原子は上記重合性基P
11−S
11−に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
当該アルキレン3価基は、アルキレン基からさらに水素原子を1つ除いてできる3価の基をいう。当該アルケニレン3価基は、アルケニレン基からさらに水素原子を1つ除いてできる3価の基をいい、いわゆる炭化水素鎖に遊離原子価がある3価の基、例えばアルカントリイル基やアルキル−イリデン基などを含む。
【0121】
上記一般式(T)において、X
t1はZ
t1と結合しない形態(鎖式基)の場合、Z
t1は、単結合、炭素原子数1〜12個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜12個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基の−CH
2−は−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよい。
【0122】
上記一般式(T)において、X
t1はZ
t1と結合する形態(環式基)の場合は上記一般式(T’)の通りである。
【0123】
上記一般式(T)において、nt1は0以上3以下の整数を表すことが好ましく、nt1は0以上2以下の整数を表すことがより好ましい。
【0124】
上記一般式(T)は、一般式(T−1−1)〜(T−4−1)で表される環式基及び一般式(T−5−1)〜(T−7−1)で表される鎖式基からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。本発明に係る一般式(T)で表される吸着基が環式基を選択する場合、吸着能及び液晶組成物に対する相溶性の観点から、一般式(T−1−1)又は一般式(T−2−1)が好ましい。本発明に係る一般式(T)で表される吸着基が鎖式基を選択する場合、吸着能及び液晶組成物に対する安定性の観点から、一般式(T−5−1)又は一般式(T−6−1)が好ましい。
【0126】
(上記一般式一般式(T−1−1)〜(T−7−1)中、X
a及びX
bはそれぞれ独立して、−O−、−S−又はCH
2−を表し、
R
t5は、炭素原子数1〜8個の直鎖状又は分岐状のアルキル基、シアノ化アルキル基又は炭素原子数1〜8個の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基を表し、これらのアルキル基中の少なくとも2個以上の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−CH=CH−、−C≡C−、−O−又は−NH−に置換されてもよく、
Z
t3は、単結合、炭素原子数1〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよく、
W
t2は、単結合又は1価〜4価の有機基を表し、
W
t1は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、
n
t1は0以上4以下の整数を表し、
mt1は1以上3以下の整数を表し、分子内の水素原子は上記重合性基P
11−S
11−に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(T−1−1)〜(T−4−1)において、X
ta又はX
tbのいずれかが−O−であることが好ましく、X
ta及びX
tbが−O−であることがより好ましい。
【0127】
上記一般式(T−1−1)〜(T−4−1)の具体例としては、以下の基が挙げられる。
【0129】
(上記式中、R
tcは、水素原子、炭素原子数1〜7個のアルキル基又は重合性基P
11−S
11−で表され、分子内の水素原子は上記重合性基P
11−S
11−に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(T−5−1)は、一般式(T−5−2)を表すことが好ましい。
【0131】
(上記一般式(T−5−2)中、W
t1は上記一般式(T−5)中のW
t1と同じ意味を表し、R
t51及びR
t52はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8個の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はシアノ化アルキル基を表し、これらのアルキル基中の少なくとも2個以上の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、又は−NH−で置換されてもよく、R
tcは、水素原子、炭素原子数1〜7個のアルキル基又は重合性基P
11−S
11−で表され、n
t1、n
t2及びn
t3はそれぞれ独立して0又は1を表し、分子内の水素原子はP
11−S
11−に置換されてもよい。)
上記一般式(T−5−1)の具体例としては、以下の基が挙げられる。
【0134】
(上記式中、R
tcは、水素原子、炭素原子数1〜7個のアルキル基又は重合性基P
11−S
11−で表され、分子内の水素原子は上記重合性基P
11−S
11−に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
【0137】
(上記式中、R
tcは、水素原子、炭素原子数1〜7個のアルキル基又は重合性基P
11−S
11−で表され、分子内の水素原子は上記重合性基P
11−S
11−に置換されてもよい。)(*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(T−6−1)の具体例としては、以下の例が挙げられる。
【0139】
(上記式中、
Rtcは、水素原子、炭素原子数1〜7個のアルキル基又は重合性基P
11−Sp
11−で表され、分子内の水素原子は上記重合性基P
11−SP
11−に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
上記一般式(T−7−1)の具体例としては、以下の例が挙げられる。
【0141】
(上記式中、
Rtcは、水素原子、炭素原子数1〜7個のアルキル基又は重合性基P
11−Sp
11−で表され、分子内の水素原子は上記重合性基P
11−Sp
11−に置換されてもよく、*は結合手を表し、メソゲン基、重合性基、屈曲基又はスペーサー基と結合する。)
本発明に係る自発配向性モノマーにおいて、吸着基に含まれる極性要素や重合性基に含まれる極性要素を局在化する形態が好ましい。吸着基は液晶組成物を垂直配向させるために重要な構造であり、吸着基と重合性基とが隣接していることで、より良好な配向性が得られ、また液晶組成物への良好な溶解性を示す。具体的には、メソゲン基の同一環上に重合性基及び吸着基を有する形態が好ましい。この場合、1以上の重合性基及び1以上の吸着基がそれぞれ同一環上に結合している形態と、1以上の重合性基の少なくとも一つ又は1以上の吸着基の少なくとも一つのうち、一方が他方に結合して、同一環上に重合性基及び吸着基を有する形態とを含む。また、この場合、重合性基のスペーサー基(S
11)の水素原子が吸着基で置換されていてもよく、さらには吸着基の分子の水素原子が重合性基のスペーサー基(S
11)と結合する形態も含む。
【0142】
また、本発明に係る自発配向性モノマーにおいて、重合性基の1以上の水素原子は、吸着基に置換されてもよい。この場合の好ましい形態としては、重合基P
11又は必要により当該重合基に連結されるスペーサー基(S
11)の1以上の水素原子が吸着基に置換されている形態が挙げられ、より好ましい形態としては、重合性基(P
11−S
11−)中の1以上の水素原子が上記一般式(T)で表される吸着基に置換されている形態が挙げられる。
【0143】
例えば、吸着基と重合性基とが連結した好適な形態としては、以下の式(T−1−1.1)、(T−6−1.1)又は(T−5−1.1)が挙げられる。
【0145】
(上記式中、R
t11a、R
t16a及びR
t151aはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、R
t151b及びR
t151cはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基、炭素原子数1〜3のシアノ化アルキル基を表し、
X
a及びX
bは、−O−、−S−又はCH
2−を表し、
L
t151a及びL
t151bはそれぞれ独立して、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ビニリデン基、ビニレン基、イソプロペニレン基又はエチリデン基を表し、
n
t11c、n
t151c、n
t16c、n
t151d、n
t151e、n
t151f及びn
t151gはそれぞれ独立して、0又は1を表し、n
t11a、n
t11b、n
t16a、n
t16b、n
t151a及びn
t151bはそれぞれ独立して、1〜11の整数を表し、*はメソゲン基への結合手を表す。)
上記式(T−1−1.1)において、X
a又はX
bのいずれか一方が−O−であることが好ましく、X
ta及びX
tbが−O−であることがより好ましい。
【0146】
上記式(T−5−1.1)において、L
t151a及びL
t151aはそれぞれ独立して、メチレン基、エチレン基、ビニリデン基、ビニレン基、イソプロペニレン基又はエチリデン基が好ましい。
【0147】
上記式(T−1−1.1)、(T−6−1.1)及び(T−5−1.1)において、
n
t11a、n
t11b、n
t16a、n
t16b、n
t151a及びn
t151bはそれぞれ独立して、1〜8の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがより好ましい。
【0148】
「屈曲基」
本発明に係る屈曲基は、液晶分子の配向を誘導する機能を有しており、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表すことが好ましく、直鎖状の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表すことがより好ましく、直鎖状の炭素原子数2〜15のアルキレン基を表すことがより好ましい。また、当該アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよい。
【0149】
自発配向性モノマーが液晶層に対していわゆる両親媒性を備えている観点から上記屈曲基は、メソゲン基に結合していることが好ましい。
【0150】
本発明に係る自発配向性モノマーにおいて、上記屈曲基は、1〜6つ有することが好ましく、1〜4つ有することがより好ましく、1〜3つ有することがさらに好ましい。
【0151】
本発明に係る自発配向性化合物は、以下の一般式(SAL)で表される化合物が好ましい。
【0153】
(上記一般式(SAL)中、−Sp
al−P
alは上記重合性基を表し、Tは上記一般式(T)で表される吸着基を表し、MGは上記一般式(AL)で表されるメソゲン基を表し、Cgは水素原子、前記一般式(T)で表される吸着基、前記重合性基である−Sp
al−P
al又は屈曲基として直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表し、当該アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、Cg、MG及びTのいずれも上記重合性基である−Sp
al−P
alに置換されてもよく、
n
sal1、n
sal2及びnsal3はそれぞれ独立して、1〜5の自然数を表す。)(上記式中、P
alは、一般式(P−I)〜一般式(P−IX)
【0155】
(式中、R
p11及びR
p12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、W
p11は単結合、−O−、−COO−又はメチレン基を表し、t
p11は、0、1又は2を表す。)
で表される基を表し、
Sp
alは単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すが、アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
Tは吸着基を表し、
MGはメソゲン基を表し、
Cgは水素原子、前記吸着基、前記−Sp
al−P
al又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表し、当該アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、Cg、MG及びTのいずれも上記重合性基である−Sp
al−P
al−に置換されてもよく、
n
sal1、n
sal2及びnsal3はそれぞれ独立して、1〜5の自然数を表す。)
本発明に係る好ましい自発配向性モノマーとしては、以下の一般式(al−1)〜一般式(al−3)からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0157】
(式中、R
al1、R
al2、Z
al1、Z
al2、L
al1、L
al2、L
al3、L
al4、Sp
111、Sp
112、Sp
113、Sp
114、P
111、P
112、P
113、P
114、m
al1、m
al2、m
al3、m
al4、n
al1、n
al2、n
al3、n
al4、P
111及びP
112はそれぞれ互いに独立して、
R
al1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、該アルキル基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又はCOO−で置換されても良く、
R
al2は、上記重合基P
11−S
11−に置換されてもよい吸着基を表し、好ましくは、上記重合基P
11−S
11−に置換されてもよい上記一般式(T)で表される吸着基を表し、より好ましくは、R
al2は一般式(T−1−1)〜(T−7−1)からなる群から選択される少なくとも1つであり、さらに好ましくは、一般式(T−1−1)、(T−2−1)、(T−5−1)、(T−6−1)からなる群から選択される少なくとも1つであり、
よりさらに好ましくは、式(T−1−1.1)、(T−6−1.1)及び(T−5−1.1)からなる群から選択される少なくとも1つであり、
環A
al1、A
al2はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基又はフェナントレン−2,7−ジイル基を表し、
Sp
111、Sp
112及びSp
113はそれぞれ互いに独立して、炭素原子数1〜12個のアルキレン基又は単結合を表し、該アルキレン基中の1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又はCOO−で置換されても良く、
P
111、P
112、P
113及びP
114はそれぞれ互いに独立して、アクリル基、メタクリル基を示し、
Z
al1及びZ
al2はそれぞれ互いに独立して、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−OCO−、−O−CO−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−(CH
2)
nal−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−(CF
2)
nal−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−又はOCO−CH=CH−を表し、上記n
alは、1〜4の整数を表し、
L
al1、L
al2、L
al3及びL
al4はそれぞれ互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜15個のアルキル基、炭素原子数1〜14個のアルコキシ基又はR
al2を表し、ここで、当該アルキル基の1個以上の水素原子がハロゲン原子によって置き換えられていてもよく、
P
111及びP
112はそれぞれ互いに独立して、0又は1を表し、m
al1、m
al2、m
al3及びm
al4はそれぞれ互いに独立して、0〜3の整数を表し、n
al1、n
al2、n
al3及びn
al4はそれぞれ互いに独立して、0〜3の整数を表す。)
一般式(al−2):
【0159】
(式中、Z
ad1及びZ
ad2はそれぞれ独立して、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−OOCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2−CH
2COO−、−OCOCH
2―CH
2−、−CH=C(CH
3)COO−、−OCOC(CH
3)=CH−、−CH
2−CH(CH
3)COO−、−OCOCH(CH
3)―CH
2−、−OCH
2CH
2O−、又は炭素原子数2〜20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、
A
ad1及びAa
ad2はそれぞれ独立して、2価の6員環芳香族基又は2価の6員環脂肪族基を表すが、2価の無置換の6員環芳香族基、2価の無置換の6員環脂肪族基又はこれらの環構造中の水素原子は、置換されていないか炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されていていることが好ましく、2価の無置換の6員環芳香族基若しくはこの環構造中の水素原子がフッ素原子で置換された基、又は2価の無置換の6員環脂肪族基が好ましく、置換基上の水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基によって置換されていても良い1,4−フェニレン基、2,6−ナフタレン基又は1,4−シクロヘキシル基が好ましいが、少なくとも一つの置換基はP
11−S
11−で置換されており、
Z
ad1、A
ad1及びAa
ad2がそれぞれ複数存在する場合は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、
R
ad1は、水素原子、炭素原子数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はP
11−S
11−を表し、該アルキル基中の−CH
2−は、−O−、−OCO−、又は−COO−が好ましく(ただし−O−は連続にはならない)、より好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜18の直鎖又は分岐のアルキル基、又はP
11−S
11−を表し、該アルキル基中の−CH
2−は酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−を表す。
【0160】
Ab
ad1は、上記重合基P
11−S
11−に置換されてもよい吸着基を表し、好ましくは、上記重合基P
11−S
11−に置換されてもよい上記一般式(T)で表される吸着基を表し、より好ましくは、R
al2は一般式(T−1−1)〜(T−7−1)からなる群から選択される少なくとも1つであり、さらに好ましくは、一般式(T−1−1)、(T−2−1)、(T−5−1)、(T−6−1)からなる群から選択される少なくとも1つであり、
よりさらに好ましくは、式(T−1−1.1)、(T−6−1.1)及び(T−5−1.1)からなる群から選択される少なくとも1つであり、
P
11−S
11−は、上記重合性基を表し、
Z
ad1、Z
ad2、A
ad1、m
ad1及び/又はA
ad2がそれぞれ複数存在する場合は、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、ただしA
ad1及びA
ad2の何れか一つは少なくとも一つのP
11−S
11−で置換されており、
m
ad1は、1〜5の整数を表し、
m
ad2は、1〜5の整数を表し、
G
ad1は、2価、3価、4価のいずれかの分岐構造、又は2価、3価、4価のいずれかの脂肪族又は芳香族の環構造を表し、
m
ad3は、G
ad1の価数より1小さい整数を表す。)
一般式(al−3);
【0162】
(上記一般式(al−3)中、R
al31は、炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、当該アルキル基において、1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−、−S−、−CH=CH−又はC≡C−で置換されてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよく、
A
al31及びA
al34はそれぞれ独立して、1,4−シクロへキシレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル又はフェナントレン−2,7−ジイルを表し、これらの環において、少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、炭素原子数1から12のアルキル基、炭素原子数2から12のアルケニル基、炭素原子数1から11のアルコキシ基、又は炭素原子数2から11のアルケニルオキシ基で置換されてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素原子は、フッ素原子又は塩素原子で置換されてもよく、
Z
al31は、単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレンを表し、当該アルキレン基において、1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−、−S−、−CH=CH−又はC≡C−で置換されてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよく、
S
al31は、単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、当該アルキレン基において、1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−、−S−、−CH=CH−又はC≡C−で置換されてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよく、
K
al31及びK
al32はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子(例えばフッ素原子)で置換された炭素原子数1から5のアルキル基を表し、
n
al31は0〜4で表される整数であり,
R
al32は、式(al3−1)又は式(al3−2)で表される基であり,
【0164】
式(al3−1)及び式(al3−2)において、
S
al32及びS
al33はそれぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1から10のアルキレン基であり、当該アルキレン基において、1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−、−S−、−CH=CH−又はC≡C−で置換されてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよく、
S
al31は、=CH−又は=N−であり,
X
al31は、−OH、−NH
2、−OR
3、−N(R
3)
2、式(X
al31)、−COOH、−SH、−B(OH)
2、又は−Si(R
3)
3で表される基であり、ここで、R
3は、水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、当該アルキル基において、1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−、−S−、−CH=CH−又はC≡C−で置換されてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよく、
式(X
al31):
【0166】
(n
al32は、1〜5の整数ある。)
上記自発配向性モノマーにおいて、液晶層となじみにくい吸着基や重合性基などの極性部と、液晶層となじみやすいメソゲン基や屈曲基などの非極性部とは、分子内で偏在していることが好ましく、いわゆる液晶層に対して両親媒性を示すことが好ましい。そのため、本発明に係る自発配向性モノマーは、メソゲン基の一方の端部に液晶分子を配向させる屈曲基を有し、メソゲン基の他方の端部に重合性基及び吸着基を有する構造が好ましい。液晶層と基板との界面近傍では界面自由エネルギーが高くなるため、液晶層に対して親和性がある非極性部と、液晶層に対して親和性が低い極性部とを一分子内に有する物質が界面上に並ぶことにより、界面自由エネルギーを低下させると考えられる。
【0167】
本発明の液晶組成物における自発配向性モノマーの含有量の下限は、0.02質量%が好ましく、0.03質量%が好ましく、0.04質量%が好ましく、0.05質量%が好ましく、0.06質量%が好ましく、0.07質量%が好ましく、0.08質量%が好ましく、0.09質量%が好ましく、0.1質量%が好ましく、0.12質量%が好ましく、0.15質量%が好ましく、0.17質量%が好ましく、0.2質量%が好ましく、0.22質量%が好ましく、0.25質量%が好ましく、0.27質量%が好ましく、0.3質量%が好ましく、0.32質量%が好ましく、0.35質量%が好ましく、0.37質量%が好ましく、0.4質量%が好ましく、0.42質量%が好ましく、0.45質量%が好ましく、0.5質量%が好ましく、0.55質量%が好ましい。本発明の液晶組成物における一般式(I)で表される重合性モノマーの含有量の上限は、2.5質量%が好ましく、2.3質量%が好ましく、2.1質量%が好ましく、2質量%が好ましく、1.8質量%が好ましく、1.6質量%が好ましく、1.5質量%が好ましく、1質量%が好ましく、0.95質量%が好ましく、0.9質量%が好ましく、0.85質量%が好ましく、0.8質量%が好ましく、0.75質量%が好ましく、0.7質量%が好ましく、0.65質量%が好ましく、0.6質量%が好ましく、0.55質量%が好ましく、0.5質量%が好ましく、0.45質量%が好ましく、0.4質量%が好ましい。
【0168】
本発明に係る自発配向性モノマーの特に好適な具体例は、以下の一般式(al−1−1)で表される化合物である。
【0170】
(上記一般式(al−1−1)中、R
al3は炭素原子数1〜12の直鎖状のアルキル基を表し、当該アルキル基において、1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−又は−CH=CH−で置換されてもよく、
L
al5、L
al6、L
al7及びL
al8はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜12個のアルキル基、ハロゲン原子又は上記P
11−S
11−を表し、当該アルキル基において、1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−又は−CH=CH−で置換されてもよく、
環A
al3は、1,4−シクロへキシレン又は1,4−フェニレンを表し、
R
ala又はR
albはそれぞれ独立して、水素原子又は上記P
11−S
11−を表し、R
ala又はR
albの少なくとも一つが上記P
11−S
11−を表し、
Z
al3は、単結合、−CH
2−CH
2−、−CH
2−O−又はO−CH
2−を表し、
R
al4は、上記一般式(T)で表される吸着基を表し、
P
113及びP
114はそれぞれ独立して、0又は1を表す。)
上記一般式(al−1−1)において、L
al7及びL
al8の一方が、炭素原子数1〜5個のアルキル基を表すことが好ましい。
【0171】
上記一般式(al−1−1)において、R
ala及びR
albは上記P
11−S
11−を表すことが好ましい。
【0172】
上記一般式(al−1−1)において、R
al4は、上記一般式(T−1−1)〜(T−7−1)又は式(T−1−1.1)、(T−6−1.1)又は(T−5−1.1)が好ましい。
【0173】
上記一般式(al−1)で表される好ましい化合物としては、以下の式(AL−1.1)〜(AL−1.18)で表される化合物が挙げられる。
【0174】
上記一般式(al−2)で表される好ましい化合物としては、以下の式(AL−2.1)〜(AL−2.48)で表される化合物が挙げられる。
【0191】
<重合性モノマー>
本発明に係る重合性モノマーは、上記自発配向性モノマーとは異なる化学構造式を備える以下の一般式(I)で表される化合物からなる群から選択される2種以上を液晶組成物に含まれる。
【0193】
(上記一般式(I)中、R
101、R
102、R
103、R
104、R
105、R
106、R
107、R
108、R
109及びR
110はそれぞれ独立して、P
21−S
21−、炭素原子数1から18のアルキル基、炭素原子数1から18のアルコキシ基、ハロゲン原子又は水素原子のいずれかを表し、上記P
21は、下記式(P−I)〜式(P−IX)で表されるいずれかの基であり、
【0195】
(式中、R
p11及びR
p12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、W
p11は単結合、−O−、−COO−又はメチレン基を表し、t
p11は、0、1又は2を表す。)
上記S
21は、単結合又は炭素原子数1〜15のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又は−COO−で置換されてよく、
n
11は、0、1又は2を表し、
n
12及びn
13はそれぞれ独立して、0又は1を表し、
n
11+n
12+n
13=1、2又は3を表し、
A
11は、下記の基(a)、基(b)及び基(c):
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、2,7−フェナントレンジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基又はP
21−S
21−で置換されていても良く、
L
10及びL
11は、それぞれ独立して、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−OC
2H
4O−、−COO−、−OCO−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−(CH
2)
z−COO−、−(CH
2)
z−OCO−、−OCO−(CH
2)
z−、−COO−(CH
2)
z−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−又は−C≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、前記式中、zはそれぞれ独立して1〜4の整数を表す。)を表し、
P
21、S
21、L
11及びA
11が複数存在する場合は、それぞれ同一であっても異なっていても良い。)
本発明における液晶組成物中に2種以上の重合性モノマーを含有すると、組成物中に存在する重合性モノマーと自発配向性モノマーとの最初の重合過程により、液晶分子のチルト角を形成しうるポリマーのネットワークを構成しやすくなる。液晶組成物中には、それぞれ異なる化学構造を備えた、1種以上の自発配向性モノマーと、2種以上の重合性モノマーとの少なくとも3つのモノマーが存在する。これら3つのモノマーの重合反応性は異なるため、広範囲の反応条件に対応して重合反応のトリガーとなりうるモノマーが他のモノマーの反応を促進させることができると考えられる。より詳細には、UV照射による重合の場合、化学構造、特に光の吸収に最も影響を及ぼすメソゲン骨格や当該メソゲン骨格に結合する置換基が、これら3つとも異なるため、当該3つのモノマーのうち吸収波長が最も長いモノマーが他の2つ以上のモノマーの反応を促進させることができると考えられる。これにより、組成物中に存在する重合性モノマーと自発配向性モノマーとの最初の重合過程で液晶分子のチルト角を形成しうる大きさのポリマーのネットワークを構成しやすくなると考えられる。
【0196】
本発明に係る重合性モノマーは、上記自発配向性モノマーとは異なる化学構造式を備える上記一般式(I)で表される化合物からなる群から選択される2種〜4の重合性モノマーを含むことが好ましく、2〜3種がより好ましく、2種が特に好ましい。
【0197】
上記一般式(I)において、R
101及びR
110はそれぞれ独立して、P
21−S
21−であることが好ましい。上記P
21は、一般式(P−I)であることが好ましい。
【0198】
上記一般式(I)において、S
21は、単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表すことが好ましく、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又は−COO−で置換されてよく、単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表すことがより好ましい。
【0199】
上記一般式(I)において、A
11は、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基及び2,7−フェナントレンジイルからなる群より選ばれる基を表すことが好ましく、上記A
11は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基又はフッ素原子で置換されていても良い。
【0200】
上記一般式(I)において、L
10及びL
11はそれぞれ独立して、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−OC
2H
4O−、−COO−又は−OCO−を表すことが好ましく、L
10及びL
11は、単結合を表すことがより好ましい。
【0201】
重合性モノマーを2種含む場合、上記一般式(I)において、一般式(I)で表される重合性モノマーの一方が、n
11が0であり、かつR
102、R
103、R
104、R
105、R
106、R
107、R
108又はR
109のいずれか一つが、炭素原子数1から18のアルキル基であり、R
101及びR
110がそれぞれ独立して、P
21−S
21−であることが好ましい。
【0202】
本発明に係る一般式(I)で表される重合性モノマーは、具体的には、以下の一般式(RM−1)、一般式(RM−2)及び一般式(RM−3)で表される重合性モノマー群から選択される2種以上であることが好ましい。
【0204】
(上記一般式(RM−1)及び一般式(RM−2)中、R
101は、P
33−S
33−を表し、R
110は、P
44−S
44−を表し、P
33及びP
44はそれぞれ独立して、上記式(P−I)から式(P−IX)のいずれかを表し、S
33及びS
44はそれぞれ独立して、単結合又は炭素数1〜10のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又はCOO−で置換されて良く、
R
102、R
104、R
107及びR
109はそれぞれ独立して、炭素原子数1から3のアルキル基、炭素原子数1から3のアルコキシ基、フッ素原子又は水素原子のいずれかを表し、
A
11は、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基又は2,7−フェナントレンジイル基を表すが、当該A
11は無置換であるか又は炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシ基又はハロゲン(フッ素原子、塩素原子)で置換されていても良く、
L
11は単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−CH=CR
a−COO−、−CH=CR
a−OCO−、−COO−CR
a=CH−、−OCO−CR
a=CH−、−(CH
2)
Y−COO−、−(CH
2)
Y−OCO−、−OCO−(CH
2)
Y−、−COO−(CH
2)
Y−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−又はC≡C−(式中、R
aはそれぞれ独立的に、水素原子又は炭素原子数1から3のアルキル基を表し、前記式中、Yは1から4の整数を表す。)を表し、
R
103、R
105、R
106及びR
108はそれぞれ独立して、炭素原子数1から3のアルキル基、炭素原子数1から3のアルコキシ基、フッ素原子又は水素原子のいずれかを表す。)
【0206】
(上記一般式(RM−3)中、X
M1〜X
M8は、それぞれ独立的に、水素原子又はフッ素原子を表し、
S
M2及びS
M3はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜12のアルキレン基又は単結合を表し、該アルキレン基中の−CH
2−は酸素原子同士が直接結合しないものとして酸素原子、−COO−、−OCO−又はOCOO−に置き換えられても良く、
R
M2及びR
M3は上記の式(P−1)から式(P−15)のいずれかを表す。)
本発明に係る液晶組成物において、吸収波長が長い重合性モノマーを少なくとも1種含むことが好ましい。当該吸収波長が長い重合性モノマーとしては、ビフェニル骨格を含み、(メタ)アクリル系の官能基を2つ以上有する構造が好ましく、当該ビフェニル骨格はハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基で置換されてもよい。
【0207】
本発明に係る液晶組成物において、一般式(I)で表される重合性モノマーを2種以上有する好ましい態様としては、一般式(RM−2)で表される重合性モノマーが2種以上含む態様、一般式(RM−1)で表される重合性モノマーと一般式(RM−2)で表される重合性モノマーとを含む態様又は一般式(RM−2)で表される重合性モノマーと一般式(RM−3)で表される重合性モノマーとを含む態様の3つが挙げられる。
【0208】
一般に、PSA工程や自発性配向剤や重合性モノマーを含む液晶組成物を用いる液晶表示素子は、1又は2回以上光照射することで液晶組成物中の自発性配向モノマーや重合性モノマーを硬化させてポリマーのネットワークを基板表面に形成し、当該ネットワークにより液晶分子のチルト角を制御するものである。その際、最初の光照射工程で、液晶分子のチルト角を制御できる大きさのポリマーのネットワークが形成されると、液晶表示素子における経時的なチルト角の変化量の低減や焼き付きの低減ができると考えられる。そのために、1種以上の自発性配向モノマーと、2種以上の重合性モノマーとを含む液晶組成物を用いることで、これら少なくとも3つのモノマーの光の吸収帯で重合が可能となるため、重合反応が起こりやすくなり、さらに当該少なくとも3つのモノマーのうち吸収波長が最も長いモノマーが重合トリガー(いわゆる開始剤の役割)として、他の2つ以上のモノマーの反応を促進させることができると考えられる。そのため、吸収波長が長い重合性モノマーを少なくとも1種含むことが好ましい。具体的には、上記の一般式(RM−2)で表される重合性モノマーが2種以上含む態様、一般式(RM−1)で表される重合性モノマーと一般式(RM−2)で表される重合性モノマーとを含む態様又は一般式(RM−2)で表される重合性モノマーと一般式(RM−3)で表される重合性モノマーとを含む態様が好ましい。
【0209】
一方、1種の自発性配向モノマーと、1種の重合性モノマーとを含む液晶組成物や自発性配向モノマーのみを含む液晶組成物の場合、最初の光照射工程で液晶分子のチルト角を制御できる大きさのポリマーのネットワークを形成させるためには、吸収波長が長い重合性モノマーを使用することになるが、吸収波長が長い重合性モノマーは芳香族環を多く含む構造になり液晶組成物に対する相溶性や低温安定性の観点などから所望の濃度を添加できない。また、反応性の低い重合性モノマーや自発配向性モノマーを用いると、ポリマーのネットワークを構成するドメインが疎になるため液晶分子に対するチルト角を制御できず、光照射工程を複数回行うことで、最初の光照射工程後に残存する重合性モノマーや自発配向性モノマーを硬化させてポリマーのネットワークを補強する方法では、チルト角の安定性が低いと考えられる。
【0210】
本発明に係る液晶組成物において、重合性モノマーを2種以上有するより好ましい態様としては、下記一般式(RM−2−1)で表される重合性モノマーが2種以上含む態様、下記一般式(RM−1−1)で表される重合性モノマーと下記一般式(RM−2−1)で表される重合性モノマーとを含む態様又は下記一般式(RM−2−1)で表される重合性モノマーと下記一般式(RM−3)で表される重合性モノマーとを含む態様の3つが挙げられる。
【0212】
(上記一般式(RM−1−1)及び一般式(RM−2−1)中、P
RM1及びP
RM2はそれぞれ独立して、上記式(P−I)から式(P−IX)のいずれかを表し、Sp
RM1及びSp
RM2はそれぞれ独立して、単結合又は炭素数1〜7のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−OCO−又はCOO−で置換されて良く、
R
102〜R
109はそれぞれ独立して、炭素原子数1から4のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、フッ素原子又は水素原子のいずれかを表し、
R
111、R
112、R
113及びR
114はそれぞれ独立して、炭素原子数1から3のアルキル基、炭素原子数1から3のアルコキシ基、フッ素原子又は水素原子のいずれかを表す。)
上記一般式(RM−1−1)において、Sp
RM1又はSp
RM2のいずれか一方が炭素数1〜7のアルキレン基を表し、他方が単結合を表すことが好ましい。
【0213】
上記一般式(RM−1−1)において、R
102〜R
114はのうち少なくとも一つは、炭素原子数1から4のアルキル基又はフッ素原子を有することが好ましく、R
111〜R
114はのうち少なくとも一つは、フッ素原子を有することが好ましい。
【0214】
上記一般式(RM−2−1)において、R
102〜R
109はのうち少なくとも一つは、炭素原子数1から4のアルキル基を有することが好ましい。
<液晶組成物>
本発明に係る液晶組成物は液晶成分を含み、当該液晶成分としては、非重合性の液晶化合物を含む。
【0215】
本発明に係る液晶成分としての液晶化合物は、一般式(L)で表される化合物、一般式(J)で表される化合物、一般式(N−1)で表される化合物、一般式(N−2)で表される化合物及び一般式(N−3)で表される化合物からなる群から選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。液晶組成物全体として負の誘電率異方性を示す場合は、一般式(L)で表される化合物と、一般式(N−1)で表される化合物、一般式(N−2)で表される化合物及び一般式(N−3)で表される化合物からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物とを含むことが好ましい。一方、液晶組成物全体として負の誘電率異方性を示す場合は、一般式(L)で表される化合物と、一般式(J)で表される化合物とを含むことが好ましい。
【0216】
本発明に係る液晶化合物は、第一の成分として、誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が−2〜2)の一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0217】
前記一般式(L)で表される化合物は、以下の通りである。
【0219】
(式中、R
L1及びR
L2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
n
L1は0、1、2又は3を表し、
A
L1、A
L2及びA
L3はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
Z
L1及びZ
L2はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
n
L1が2又は3であってA
L2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、n
L1が2又は3であってZ
L2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
本発明に係る液晶組成物は非重合性液晶化合物を含み、当該非重合性液晶化合物は、第二の成分として、誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)の一般式(J)で表される化合物及び/又は誘電的に負の化合物(Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい。)の一般式(N−1)〜(N〜3)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0220】
前記誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)の一般式(J)で表される化合物は、以下の通りである。
【0222】
(式中、R
J1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
n
J1は、0、1、2、3又は4を表し、
A
J1、A
J2及びA
J3は、それぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基で置換されていても良く、
Z
J1及びZ
J2は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
n
J1が2、3又は4であってA
J2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、n
J1が2、3又は4であってZ
J1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
X
J1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
上記誘電的に負の化合物(Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい。)の一般式(N−1)〜(N−3)で表される化合物からなる群から選択される1種又は2種以上は、以下の通りである。
【0224】
(上記式中、R
N11、R
N12、R
N21、R
N22、R
N31及びR
N32は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
A
N11、A
N12、A
N21、A
N22、A
N31及びA
N32は、それぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)及び
(d) 1,4−シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)はそれぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
Z
N11、Z
N12、Z
N21、Z
N22、Z
N31及びZ
N32は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
X
N21は水素原子又はフッ素原子を表し、
T
N31は−CH
2−又は酸素原子を表し、
n
N11、n
N12、n
N21、n
N22、n
N31及びn
N32はそれぞれ独立して0〜3の整数を表すが、n
N11+n
N12、n
N21+n
N22及びn
N31+n
N32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、A
N11〜A
N32、Z
N11〜Z
N32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
上記一般式(L)で表される化合物は、以下の式(L−1)〜(L−13)で表される化合物であることが好ましい。
【0226】
(式中、R
L1及びR
L2はそれぞれ独立して、一般式(L)と同じ意味を表し、A
L1及びA
L7はそれぞれ独立して、一般式(L)と同じ意味を表すが、A
L1及びA
L2上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、Z
L1は一般式(L)におけるZ
L2と同じ意味を表し、X
L1及びX
L2はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
一般式(J)で表される化合物としては一般式(M)で表される化合物及び一般式(K)で表される化合物が好ましい。
【0227】
ここで、先ず一般式(M)で表される化合物は、下記の構造のものが挙げられる。
【0229】
(式中、R
M1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
n
M1は、0、1、2、3又は4を表し、
A
M1及びA
M2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
Z
M1及びZ
M2はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
n
M1が2、3又は4であってA
M2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、n
M1が2、3又は4であってZ
M1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
X
M1及びX
M3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
X
M2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。
【0230】
一般式(M)中、R
M1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0231】
信頼性を重視する場合にはR
M1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0232】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0233】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
【0235】
A
M1及びA
M2はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0239】
Z
M1及びZ
M2はそれぞれ独立して−CH
2O−、−CF
2O−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合を表すことが好ましく、−CF
2O−、−CH
2CH
2−又は単結合が更に好ましく、−CF
2O−又は単結合が特に好ましい。
【0240】
n
M1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、T
NIを重視する場合には1又は2が好ましい。
【0241】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。またさらに、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
【0242】
本発明の組成物において、一般式(M)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0243】
本発明の液晶組成物の総量に対しての式(M)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の液晶組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0244】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。さらに、本発明の組成物のT
NIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
【0245】
次に、一般式(K)で表される化合物は、以下の化学構造を有するものである。
【0247】
(式中、R
K1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
n
K1は、0、1、2、3又は4を表し、
A
K1及びA
K2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
Z
K1及びZ
K2はそれぞれ独立して単結合、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
n
K1が2、3又は4であってA
K2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、n
K1が2、3又は4であってZ
K1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
X
K1及びX
K3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
X
K2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
一般式(K)中、R
K1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0248】
信頼性を重視する場合にはR
K1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0249】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0250】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
【0252】
A
K1及びA
K2はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0256】
Z
K1及びZ
K2はそれぞれ独立して−CH
2O−、−CF
2O−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合を表すことが好ましく、−CF
2O−、−CH
2CH
2−又は単結合が更に好ましく、−CF
2O−又は単結合が特に好ましい。
【0257】
n
K1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、T
NIを重視する場合には1又は2が好ましい。
【0258】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。またさらに、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
【0259】
本発明の組成物において、一般式(K)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0260】
本発明の液晶組成物の総量に対しての一般式(K)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%である。
【0261】
本発明の液晶組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。さらに、本発明の液晶組成物のT
NIを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
【0262】
上記一般式(J)で表される化合物は、以下の式(M−1)〜(M−18)で表される化合物であることが好ましい。
【0265】
(上記式中、X
M11〜X
M186はそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子を表し、R
J1〜R
J181はそれぞれ独立し、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X
J11〜X
J181ははフッ素原子、塩素原子又はOCF
3を表し、
A
M81及びA
M82はそれぞれ独立して、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又は
【0267】
を表すが、1,4−フェニレン基上の水素原子はフッ素原子によって置換されていてもよく、W
M101〜W
M172はそれぞれ独立して、−CH
2−又は−O−を表す。)
本発明に係る一般式(N−1)で表される化合物として、下記の一般式(N−1a)〜(N−1g)で表される化合物群を挙げることができる。
【0269】
(式中、R
N11及びR
N12は一般式(N−1)におけるR
N11及びR
N12と同じ意味を表し、n
Na12は0又は1を表し、n
Nb11は1又は2を表し、n
Nc11は0又は1を表し、n
Nd11は1又は2を表し、n
Ne11は1又は2を表し、n
Nf12は1又は2を表し、n
Ng11は1又は2を表し、A
Ne11はトランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、A
Ng11はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基又は1,4−フェニレン基を表すが、n
Ng11が1の場合、A
Ng11は1,4−シクロヘキセニレン基を表し、n
Ng11が2の場合、少なくとも1つのA
Ng11は1,4−シクロヘキセニレン基を表し、Z
Ne11は単結合又はエチレン基を表すが、n
Ne11が1の場合、Z
Ne11はエチレン基を表す。n
Ne11が2の場合、少なくとも1つのZ
Ne11はエチレン基を表す。)
本発明に係る一般式(N−2)で表される化合物は、以下の一般式(N−2−1)〜(N−2−3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0271】
(式中、R
N211及びR
N212はそれぞれ独立して、一般式(N−2)におけるR
N21及びR
N22と同じ意味を表す。)
【0273】
(式中、R
N221及びR
N222はそれぞれ独立して、一般式(N−2)におけるR
N21及びR
N22と同じ意味を表す。)
【0275】
(式中、R
N231及びR
N232はそれぞれ独立して、一般式(N−2)におけるR
N21及びR
N22と同じ意味を表す。)
一般式(N−3)で表される化合物は一般式(N−3−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0277】
(式中、R
N321及びR
N322はそれぞれ独立して、一般式(N−3)におけるR
N31及びR
N32と同じ意味を表す。)
本発明に係る重合性モノマーを含有する液晶組成物全体が正の誘電率異方性を示す場合、一般式(I)で表される重合性モノマーと、一般式(J)で表される化合物から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上と、一般式(L)で表される化合物と、を含むことが好ましい。
【0278】
本発明に係る重合性モノマーを含有する液晶組成物全体のうち、一般式(I)、一般式(J)及び一般式(L)で表される化合物のみから構成される成分の占める割合の上限値は、100質量%、99質量%、98質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%、89質量%、88質量%、87質量%、86質量%、85質量%、84質量%であることが好ましい。
【0279】
また、本発明に係る重合性モノマー含有液晶組成物全体のうち、一般式(I)、一般式(J)及び一般式(L)で表される化合物のみから構成される成分の占める割合の下限値は、78質量%、80質量%、81質量%、83質量%、85質量%、86質量%、87質量%、88質量%、89質量%、90質量%、91質量%、92質量%、93質量%、94質量%、95質量%、96質量%、97質量%、98質量%、99質量%であることが好ましい。
【0280】
本発明に係る重合性モノマー含有液晶組成物全体が負の誘電率異方性を示す場合、一般式(I)で表される重合性モノマーと、一般式(N−1)で表される化合物から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上と、一般式(L)で表される化合物と、を含むことが好ましい。
【0281】
本発明に係る重合性モノマー含有液晶組成物全体のうち、一般式(I)、一般式(N−1)、及び一般式(L)で表される化合物のみから構成される成分の占める割合の上限値は、100質量%、99質量%、98質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%、89質量%、88質量%、87質量%、86質量%、85質量%、84質量%であることが好ましい。
【0282】
本発明に係る液晶組成物が負の液晶組成物の場合は、20℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0であるが、−2.1から−6.2が好ましく、−2.2から−5.3がより好ましく、−2.5から−5.0がさらに好ましい。−2.7から−4.8が特に好ましい。
【0283】
本発明に係る液晶組成物が正の液晶組成物の場合は、20℃における誘電率異方性(Δε)が1.5から20であるが、1.5から18.0が好ましく、1.5から15.0がより好ましく、1.5から11がさらに好ましく、1.5から8が特に好ましい。
【0284】
本発明に係る液晶組成物は、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14であるが、0.09から0.13がより好ましく、0.09から0.12が特に好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.13であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.11であることが好ましい。
【0285】
本発明に係る液晶組成物は、20℃における粘度(η)が10から50mPa・sであるが、10から45mPa・sであることが好ましく、10から40mPa・sであることが好ましく、10から35mPa・sであることが好ましく、10から30mPa・sであることが好ましく、10から25mPa・sであることが更に好ましく、10から22mPa・sであることが特に好ましい。
【0286】
本発明に係る液晶組成物は、20℃における回転粘性(γ
1)が50から160mPa・sであるが、55から160mPa・sであることが好ましく、60から160mPa・sであることが好ましく、60から150mPa・sであることが好ましく、60から140mPa・sであることが好ましく、60から130mPa・sであることが好ましく、60から125mPa・sであることが好ましい。
【0287】
本発明に係る液晶組成物は、ネマチック相−等方性液体相転移温度(T
ni)が60℃から120℃であるが、70℃から100℃がより好ましく、70℃から85℃が特に好ましい。
【0288】
本発明の重合性モノマー含有液晶組成物を用いた液晶表示素子は、高速応答という顕著な特徴を有しており、加えて、チルト角が十分に得られ、未反応の重合性モノマーがないか、問題にならないほど少なく、電圧保持率(VHR)が高いため、配向不良や表示不良といった不具合がないか、十分に抑制されている。また、チルト角及び重合性モノマーの残留量を容易に制御できるため、製造のためのエネルギーコストの最適化及び削減が容易であるため、生産効率の向上と安定した量産に最適である。
【0289】
本発明の重合性モノマー含有液晶組成物を用いた液晶表示素子は、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、PSAモード、PSVAモード、VAモード、PS−IPSモード又はPS−FFSモード用液晶表示素子に用いることができる。
【実施例】
【0290】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は「質量%」を意味する。実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。
【0291】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0292】
T
ni :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
η :20℃における粘度(mPa・s)
γ
1 :20℃における回転粘性(mPa・s)
Δε :20℃における誘電率異方性
K
33 :20℃における弾性定数K
33(pN)
<環構造>
【0293】
【化85】
【0294】
<側鎖構造>
【0295】
【表1】
【0296】
(ただし、表中のnは自然数である。)
<連結構造>
【0297】
【表2】
【0298】
(ただし、表中のnは自然数である。)
本実施例及び比較例における「低温保存性」、「垂直配向性」、「プレチルト角形成」及び「応答特性」の評価は以下の方法で行った。
【0299】
(低温保存性の評価試験)
液晶組成物をメンブレンフィルター(Agilent Technologies社製、PTFE 13m−0.2μm)にてろ過を行い、真空減圧条件にて15分間静置し溶存空気の除去を行った。これをアセトンにて洗浄し十分に乾燥させたバイアル瓶に0.5g秤量し、−25℃の環境下に10日間静置した。その後、目視にて析出の有無を観察し、以下の2段階で判定した。
【0300】
A:析出が確認できない。
【0301】
B:1週間後に析出する。
【0302】
C:析出が確認できる。
【0303】
(垂直配向性の評価試験)
絶縁層上にパターン化された透明な共通電極からなる透明電極層を有し、カラーフィルター層を具備した配向膜を有さない第一の基板(共通電極基板)と、アクティブ素子により駆動される透明画素電極を有する画素電極層を有する配向膜を有さない第二の基板(画素電極基板)とを作製した。第一の基板上に液晶組成物を滴下し、第二の基板上で挟持し、シール材を常圧で110℃2時間の条件で硬化させ、セルギャップ3.2μmの液晶セルを得た。このときの垂直配向性及び滴下痕などの配向ムラを、偏光顕微鏡を用いて観察し、以下の5段階で評価した。
S:特に優れて均一に垂直配向
A:全面に渡り、均一に垂直配向
B:ごく僅かに配向欠陥が有るも許容できるレベル
C:配向欠陥が有り許容できないレベル
D:配向不良がかなり劣悪
(液晶焼き付き評価方法(プレチルト角の経時変化))
まず、垂直配向を誘起するポリイミド配向膜をITO付き基板に塗布した後、前記ポリイミド配向膜をラビング処理したITO付き基板を含む液晶セル(セルギャップ3.5μm)間に、真空注入法で注入した。その後、液晶組成物を注入した液晶セルに周波数100Hzで電圧を10V印加した状態で高圧水銀灯を用い、325nm以下の紫外線をカットするフィルターを介して紫外線を照射した。このとき、中心波長365nmの条件で測定した照度が100mW/cm
2になるように調整し、積算光量10J/cm
2の紫外線を照射した。前記の紫外線照射条件を照射条件1とした。この照射条件1により液晶セル中の液晶分子にプレチルト角が付与される。ここでは、垂直配向性の有無にかかわらずプレチルト形成について評価するためポリイミド配向膜付きのセルにて評価を行っているが、十分垂直配向性の高いモノマーを用いた場合、ポリイミド配向膜なしのセルで同じ評価を行っても同様の結果が得られることを確認している。
【0304】
次に、蛍光UVランプを用いて、中心波長313nmの条件で測定した照度が3mW/cm
2になるように調整し、積算光量20J/cm
2の紫外線を更に照射し、液晶表示素子を得た。前記の紫外線照射条件を照射条件2とした。照射条件2により、照射条件1で未反応の液晶セル中の重合性モノマーの残留量を低減させる。
【0305】
紫外線照射後、プレチルト角の変化による表示不良(焼き付き)評価を行った。まず、液晶表示素子のプレチルト角を測定し、プレチルト角(初期)とした。この液晶表示素子に周波数100Hzで電圧を矩形波30V印加しながらバックライトを10時間照射した。その後、プレチルト角を測定し、プレチルト角(試験後)とした。測定したプレチルト角(初期)からプレチルト角(試験後)を引いた値をプレチルト角変化量(=プレチルト角変化の絶対値)[°]とした。プレチルト角は、シンテック製OPTIPROを用いて測定した。なお、30Vの電圧の大きさは通常の駆動電圧の数倍大きく、加速試験となっている。
【0306】
プレチルト角変化量は、0[°]に近いほどプレチルト角の変化による表示不良が発生する可能性がより低くなる。
【0307】
上記測定したプレチルト角変化量を以下の4段階に分けた。
S:0.1°以内(ほとんど表示不良が生じない)
A:0.1°以上0.3以内(表示不良が生じにくい)
B:0.3°以上0.5°以内(かなり表示不良が生じる)
C:0.5°以上(表示不良が生じ許容できないレベル)
(応答特性の評価試験)
上記(プレチルト角形成の評価試験)にて使用したセルギャップ3.2μmのセルに、さらに、東芝ライテック社製のUV蛍光ランプを60分間照射した(313nmにおける照度1.7mW/cm
2)。これにより得られたセルに対して、応答速度を測定した。応答速度は、6VにおけるVoffを、25℃の温度条件で、AUTRONIC−MELCHERS社のDMS703を用いて測定した。
【0308】
(液晶組成物の調製と評価結果)
下記に示すとおりの化合物と混合比率で液晶組成物を調製し、その組成物をLC−1とした。以下に液晶組成物の構成とその物性値の結果を示した。
【0309】
LC−1のネマチック相−等方性液体相転移温度(T
NI)は75℃、固体相−ネマチック相転移温度(T
CN)は−33℃、屈折率異方性(Δn)は0.11、誘電率異方性(Δε)は−2.8、回転粘性(γ
1)は98mPa・sであった。なお、屈折率異方性(Δn)、誘電率異方性(Δε)、及び回転粘性(γ1)は、いずれも25℃における測定結果である(以下、同様)。
【0310】
【表3】
【0311】
(比較例1〜8)
LC−1を100質量部としたときに、下記の自発配向性モノマー(P−1)を1.0質量部、式(RM−1)で表される化合物を0.3質量部添加した重合性モノマーを含有する液晶組成物を比較例1とした。
【0312】
液晶組成物LC−1を100質量部に対して、自発配向性モノマー(P−1)を1.0質量部、式(RM−2)で表される化合物を0.3質量部添加した重合性モノマーを含有する液晶組成物を比較例2とした。
【0313】
液晶組成物LC−1を100質量部に対して、自発配向性モノマー(P−1)を1.0質量部、式(RM−3)で表される化合物を0.3質量部添加した重合性モノマーを含有する液晶組成物を比較例3とした。
【0314】
液晶組成物LC−1を100質量部に対して、自発配向性モノマー(P−1)を1.0質量部、式(RM−4)で表される化合物を0.3質量部添加した重合性モノマーを含有する液晶組成物を比較例4とした。
【0315】
液晶組成物LC−1を100質量部に対して、自発配向性モノマー(P−1)を0.5質量部、式(RM−2)で表される化合物を0.3質量部添加した重合性モノマーを含有する液晶組成物を比較例5とした。
【0316】
液晶組成物LC−1を100質量部に対して、自発配向性モノマー(P−1)を0.5質量部、式(RM−1)で表される化合物を0.6質量部添加した重合性モノマーを含有する液晶組成物を比較例6とした。
【0317】
液晶組成物LC−1を100質量部に対して、自発配向性モノマー(P−1)を1.0質量部、式(RM−1)で表される化合物を0.6質量部添加した重合性モノマーを含有する液晶組成物を比較例7とした。
【0318】
液晶組成物LC−1を100質量部に対して、自発配向性モノマー(P−1)を1.0質量部、式(RM−3)で表される化合物を0.6質量部添加した重合性モノマーを含有する液晶組成物を比較例8とした。
【0319】
(実施例1〜95)
下記に示す自発配向性モノマー(P−1)から(P−41)及び重合性モノマー(RM−1)から(RM−16)をそれぞれ下記表に示す添加量でLC−1に添加した以外は、比較例1と同様にして液晶組成物を調製した。
【0320】
以下、本実施例で使用した自発配向性モノマー及び重合性モノマーの化学構造を示す。以下の構造式中、「Me」はメチル基を表す。
【0321】
【化86】
【0322】
【化87】
【0323】
【化88】
【0324】
【化89】
【0325】
【化90】
【0326】
【化91】
【0327】
【化92】
【0328】
【化93】
【0329】
【化94】
【0330】
【化95】
【0331】
【化96】
【0332】
【化97】
【0333】
【化98】
【0334】
【化99】
【0335】
【化100】
【0336】
【化101】
【0337】
【化102】
【0338】
【化103】
【0339】
【表4】
【0340】
【表5】
【0341】
【表6】
【0342】
【表7】
【0343】
【表8】
【0344】
【表9】
【0345】
【表10】
【0346】
実施例1〜95の低温保存性について、長鎖アルキル基を置換基に有する重合性モノマー(例えば、RM−9〜RM−11)において1週間程度経つと析出が生じ始める。そのほか短鎖アルキルもしくはアルコキシ基を置換基に有する重合性モノマー(例えば、RM−3〜RM−7、RM−12〜RM−14)においては溶解性がよく、低温保存性は良好であった。低温保存性に関しては、重合性モノマーは溶解性が比較的良いため、自発配向性モノマーの溶解性に大きく依存する。
【0347】
また、2種の重合性モノマーを含有した液晶組成物を封入した液晶セルを偏光子と検光子が直交して配置された偏光顕微鏡にセットし、透過光を観察すると、液晶分子が垂直配向すれば、偏光板の作用により光は透過できないため、セルは黒く表示される。このような試験法により上記実施例1〜95の液晶組成物のサンプルを評価したところ、適切に2種類の重合性モノマーを選択し、液晶組成物に添加すると配向ムラが顕著に軽減され、一様な垂直配向性を示すことが確認された。当該適切な2種類の重合性モノマーとは、メソゲン側鎖に疎水基を導入した二官能性モノマーと300nm以上に吸収を持つ重合性モノマーとの組合せが一つ挙げられ、各モノマーを適切な濃度で添加することにより良好な垂直配向性が確認された。
【0348】
一方、比較例1,2,4,5〜7は重合性モノマーを添加することによりプレチルト変化量は比較的良好であるのに対し、垂直配向性が低いことが確認できた。比較例3では、垂直配向性が高かったが、プレチルト変化量が大きかった。比較例6〜7では、1種類の重合性モノマーの添加量を増加させたにも関わらず、垂直配向性が改善されなかった。これらの結果から、1種類の重合性モノマーでは、垂直配向性とプレチルト変化量を両立できるモノマーではないことが確認された。
【0349】
また、比較例では自発配向性モノマーと重合性モノマーとをそれぞれ1種からなる組成物において配向性やチルト安定性を評価を行っているが、長波長に吸収を持つ重合性モノマー(例えば、RM−4)を用いた場合、チルト安定性は比較的良好であるが、垂直配向性が劣る結果となった。また、重合性モノマーとして、疎水性部位を導入した化合物(RM−3)を用いると、垂直配向性は良好であったが、紫外光照射による重合が十分に起こらず、ネットワークが密に形成されずにチルト安定性が低くなる結果となった。さらには、比較例1〜8すべてにおいて低温保存性が実施例より劣る結果となった。
【0350】
実施例1、12、26、42、50は、疎水基を導入していない重合性モノマーを2種類使用しているため、垂直配向性が他の実施例と比べると見劣りする結果となったと考えられる。それに対して、実施例5、6、24、27、28、38,39、46は、光の吸収域が比較的長波長側にシフトしていない重合性モノマーを使用したため重合が進行しにくく、重合の初期段階でポリマーのネットワークの形成が不十分になり、結果としてプレチルト変化量が他の実施例と比較すると見劣りする結果となった。上記実験結果から、重合に関与する重合性モノマーと垂直配向性に寄与する重合性モノマーとの機能分離した2種類のモノマーを適切に選ぶことにより、高い垂直配向性と小さなプレチルト変化量を達成することができると考えられる。そのほかの実施例では、高い垂直配向性のほか、十分に小さなプレチルト角変化量を示し、表示ムラ、焼き付きが少ないことを確認した。特に、疎水基を導入した重合性モノマーが自発配向モノマーともう1種の重合性モノマーとの仲介役を果たし、高い垂直配向性を保ちつつ、重合層の架橋密度が向上することによりポリマーの強度が高まる結果、安定性が優れると考えられる。
【0351】
また、紫外光照射による重合によって生じるプレチルト角を評価したところ、メソゲン側鎖に疎水基を導入した二官能性モノマー(例えば、RM−3、RM−5、RM−6、RM−8)と、重合を長波長に吸収を持つ重合性モノマー(例えば、RM−4、RM−12〜RM−14)をそれぞれ添加したサンプルにおいては適切なチルト角が付与されていることを確認した。これらを使用した液晶表示素子は、十分なプレチルト角が付与されているため、十分に高速応答であることが示唆された。
【0352】
重合性モノマーとして実施例1〜11などで使用しているRM−1〜RM−17を含む組成物で液晶セルを作製する際に、展開性(濡れ広がり)も良好であった。
【0353】
さらに、実施例1〜95の自発配向性モノマーの添加量を1.0質量部から0.5質量部にそれぞれ置き換えた場合にも、垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きが抑えられることを確認した。
【0354】
組成物LC−1に代えて、下記に示す通りの化合物及び混合比率で構成される組成物を調製し、当該液晶組成物をLC−2からLC−8とした。
【0355】
【表11】
【0356】
(実施例96〜103)
実施例3のベース組成物をLC1からLC2へ置き換えても垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きが抑えられることを確認した(実施例96)。
実施例30のベース組成物をLC1からLC3へ置き換えても垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きも抑えられることを確認した(実施例97)。
【0357】
実施例35のベース組成物をLC1からLC4へ置き換えても垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きが抑えられることを確認した(実施例98)。
【0358】
実施例36のベース組成物をLC1からLC5へ、重合性化合物をP−6からP−11へ置き換えても垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きが抑えられることを確認した(実施例99)。
【0359】
実施例41のベース組成物をLC1からLC6へ、重合性化合物をP−6からP−18へ置き換えても垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きが抑えられることを確認した(実施例100)。
【0360】
実施例44のベース組成物をLC1からLC7へ、重合性化合物をP−7からP−23へ置き換えても垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きが抑えられることを確認した(実施例101)。
【0361】
実施例47のベース組成物をLC1からLC8へ、重合性化合物をP−8からP−30へ置き換えても垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きが抑えられることを確認した(実施102)。
【0362】
実施例56のベース組成物をLC1からLC8へ、重合性化合物をP−10からP−34へ置き換えても垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きが抑えられることを確認した(実施例103)。
【0363】
さらに、実施例96〜103の自発配向性モノマーの添加量を1.0質量部から0.5質量部にそれぞれ置き換えた場合にも、垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きが抑えられることを確認した。
【0364】
(実施例104〜123)
下表に示す自発配向性モノマー(1)の0.2質量部及び自発配向性モノマー(2)の0.4質量部、並びに、下表に示す添加量の重合性モノマー(1)及び(2)をそれぞれ組成物LC−1〜LC−8のいずれかに添加した以外は、比較例1と同様にして液晶組成物を調製した。
【0365】
【表12】
【0366】
【表13】
【0367】
自発配向性モノマーを2種、重合性モノマー2種の組み合わせによる低温保存性、垂直配向性、プレチルト安定性を評価した。溶解性の低い自発配向性モノマーを低濃度で2種混ぜることによって、低温保存性を維持したまま、垂直配向性の向上が確認できた。また、重合性モノマーも数種類混ぜて用いることにより、重合性モノマー成分の濃度を上げることができ、プレチルト安定性を向上させることができた。
【0368】
上記、各実施例の評価結果から、実施例における液晶組成物は、液晶表示素子として、総合的に優れた性能を示した。
【0369】
(実施例124〜149)
実施例1の自発配向性モノマーをP−1からP−41〜P−66にそれぞれ置き換えた以外は、実施例1と同様にして液晶組成物を調製し、これらを実施例124〜149とした。実施例124〜149の結果から、種々の自発配向性モノマーを用いた場合にも、垂直配向性およびプレチルト変化量が小さく、表示ムラ、焼き付きが抑えられることを確認した。