(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
線状導体接続工程が、圧着、はんだ付け、ろう付け、又は導電性ペースト塗布による接着によって、電極を、少なくとも一つの連続した線状導体で電気的に接続することを含む、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
複数の太陽電池セルを配置する工程が、略同一平面上に1モジュール分の複数の太陽電池セルを配置すること、及び平行に配置された複数のストリングを形成するための太陽電池セルを配置することを含み、ストリングが、1列に直列に接続される、所定数の複数の太陽電池セルであり、
隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程が、ストリングを形成するすべての隣接する太陽電池セルの電極が直列接続になるように、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
隣り合うストリングが、接続方向に互いに反対の極性を有するように複数のストリングが配置され、ストリングの端部を隣り合う一方のストリングの端部と電気的に接続することにより、太陽電池モジュールに含まれる複数のストリングを直列に接続することを含む、請求項5に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
太陽電池モジュールとは、複数の太陽電池セルを適宜直列及び/又は並列に接続して所定の電流及び電圧を発電するようにしたものをいう。また、太陽電池モジュールは、一般に、複数の太陽電池セルを適宜接続したものを、ガラス板や封止材等を用いて耐環境性を有するように封止した太陽電池モジュール(太陽電池パネル、又は太陽光発電パネルともいう。)として、市場で販売されている。通常、太陽電池モジュールを構成する複数の太陽電池セル(以下、単に「セル」と呼ぶ場合もある。)は、配線材料によって電気的に接続されている。配線材料は、隣り合う太陽電池セルの表面に形成された所定の電極に接続される。なお、複数の太陽電池セルを接続するための配線材料は、一般的に、リボン及びワイヤのような形状の線状の導体なので、本明細書において、配線材料のことを線状導体ともいう。
【0009】
結晶系シリコン太陽電池は、結晶系シリコン基板(単結晶シリコン基板又は多結晶シリコン基板)の表面及び裏面に電極を有する両面電極型太陽電池セル10と、結晶系シリコン基板の裏面のみに電極を有する裏面電極型太陽電池セル110とがある。
図6に、両面電極型太陽電池セル10の光入射側表面(単に表面という場合がある。)から見た平面模式図を示す。
図7に、両面電極型太陽電池セル10の裏面側の表面(単に裏面という場合がある。)から見た平面模式図を示す。
図10に、両面電極型太陽電池セル10の断面模式図を示す。また、
図11に、裏面電極型太陽電池セル110の裏面側の表面から見た平面模式図を示す。また、
図12に、裏面電極型太陽電池セル110の断面模式図を示す。
【0010】
図8に、両面電極型太陽電池セル10a及び10bが、線状導体20aによって接続されている様子を示す。また、
図9に、
図8において記号Aで示される付近の断面模式図を示す。線状導体20aは、セル10aの表面バスバー電極14(第1の極性の電極14)(
図6参照)に、はんだ付け等により接続されている。また、線状導体20aは、セル10bの裏面に回り込み、裏面バスバー電極16(第2の極性の電極16)(
図7参照)に、はんだ付け等により接続されている。この結果、線状導体20aによって、セル10aの表面の第1の極性の電極14と、第2の極性の電極16とを電気的に接続することができる。したがって、線状導体20aにより、セル10a及びセル10bは、直列に接続されることになる。
【0011】
なお、第1の極性の電極14が正電極である場合には、第2の極性の電極16は、負電極である。また、第1の極性の電極14が負電極である場合には、第2の極性の電極16は、正電極である。
【0012】
一般的に、太陽電池モジュールでは、線状導体20により、太陽電池セル10の表面バスバー電極14と、隣接する太陽電池セル10の裏面バスバー電極16とを表裏交互にはんだ付けして接続することにより、所定数、例えば10枚ないし12枚が1列に直列接続されたストリングと呼ばれる状態を形成する。なお、線状導体20としては、リボン状はんだ被覆銅線を用いることが一般的である。
【0013】
バスバー電極が2本の太陽電池セル10を例にして、
図8及び
図9に示すような線状導体20による太陽電池セル10の接続の具体的工程の一例を、
図13を用いて説明する。
【0014】
まず、フラックスを塗布した2本のリボン(線状導体20)を約2セル分の長さに切り取り(1)、はんだ付けステージ上にセットする(2)。この上にセルの裏面バスバー電極位置と(1)で設置された2本のリボンが重なるように設置する(3)。次に(2)と同様に、2セル分の長さに切り取った2本のリボンを表面電極のバスバー電極に重なるように設置する(4)。これら2本のリボン上に加圧ピンを押し当て、熱風あるいは他の加熱方式(ハロゲンランプ、レーザー、電磁誘導など)の方法で加熱加圧する(5)。この結果、セルの表面電極に2本のリボン、及び裏面電極に2本のリボンの合計4本のリボンをはんだ付けすることができる。次に上部2本のリボンがステージ上に残るようにはんだ付けの済んだセルをステージから1セル分移動・排出する(6)。この動作を繰り返すことによって、隣接セル間の表面電極側と、裏面電極とを直列接続することができる。以下この動作を繰り返すことによって複数枚(一般的に、10〜12枚程度)のセルを直列接続したストリングが形成される。
【0015】
配線材料(線状導体20、又はリボン)は幅1〜2.5mm、厚み0.15〜0.3mmのリボン状の銅線にはんだ(錫―鉛系あるいは錫―銀―銅などの鉛フリー系はんだ)を被覆したものが使用される。リールから切り出される長さは、およそセルの寸法(対角5インチあるいは6インチ)の約2倍の長さにセル間隔(1〜30mm)を足した長さを考慮して決定される。
【0016】
太陽電池モジュールのモジュール効率の向上のため、より幅の狭い(遮光率の低い)配線材料を多数用いる方法(例えば3本又は4本のバスバー電極を用いる方法)が検討されている。この場合には、上述のようにしてセル間を直列接続する際に、配線材料の配線動作が複雑になり、歩留まりも低下する傾向にある。
【0017】
また、近年では、更なるモジュール効率の向上や、電極形成のために用いられる、高価な銀を含む導電性ペーストの使用量の削減を目的として、マルチワイヤ構造の結晶系シリコン太陽電池モジュールの開発が進められている。従来の太陽電池モジュールが、2本〜4本のリボン線を用いたバスバー電極を用いていたのに対し、マルチワイヤ構造のモジュールでは、10本以上のワイヤを用いたマルチバスバー電極を採用している。従来の結晶系シリコン太陽電池セルと比べ、マルチワイヤ構造に用いる太陽電池セルでは、バスバー電極の間隔が1/3〜1/5程度に短縮される。そのため、フィンガー電極のライン抵抗(バルク抵抗)による性能悪化の影響を低減でき、フィンガー電極の細線化及び膜厚を薄くすることが可能になる。また、高価な銀を含む導電性ペーストの使用量の削減にも有用である。
【0018】
現在提案されているマルチワイヤ構造の太陽電池モジュールの製造方法では、直径0.3mm程度の低融点金属を被覆した複数の銅線を配線材料として用いる。配線材料は、予め平行等間隔に張った銅線の両面から交互に固定用フィルムを張り、コイル状に巻き取った形で用意し、配線装置にセットする。この配線材料を用いて複数の太陽電池セルの直列接続は、上述のバスバーが2本の太陽電池セル10の例と同様に行うことができる。すなわち、まず、セットされたコイル状の配線材料から約2セル分の長さのシートを打ち抜く。次に、上述のバスバーが2本の太陽電池セル10の例における
図13の配線機と同様の方法で、太陽電池セル表面のフィンガー電極上に加圧及び加熱の状態で貼り付ける。次に、1セル分の移動後、シートを剥離する、という動作を繰り返すことによってストリングが形成される。
【0019】
しかし、上述したマルチワイヤ構造の場合は、配線材料の切り取りから排出までの動作は、基本的に従来のリボン配線を用いる方法と同じである。また、マルチワイヤ構造の場合には、多数の配線材料のシートへの貼り付け、及びシートの剥離を行うことが必要になる。
【0020】
上述のような配線材料を用いてセル間を接続する方法では、以下の問題がある。
(1)配線材料の切断がセルへの配線材料貼り付け工程より先に行われるため、切断後、短くなった配線材料の扱いが煩雑である。特に、マルチバスバー化によってバスバーの本数が増加すると、更に扱いや工程が複雑となる。
(2)切断後、短くなった配線材料を、バスバー電極に対して個々に位置合わせを行う必要があるため、位置ズレが起こりやすい。
(3)一つの太陽電池セルを、所定位置に移動して、バスバー電極に配線材料を接着する必要があるため、生産速度に限界がある。
(4)電極のパターンの変更に対する柔軟性に欠ける。
(5)マルチワイヤ構造を採用する場合、ワイヤを貼り付けたロールを作製する工程、及びシート剥離工程などの追加が必要となり、装置がより複雑となる。
(6)マルチワイヤ構造を採用する場合、廃シートの処理が必要となる。
【0021】
一方、裏面電極型太陽電池セルにおけるモジュール配線は、次のような方法が採用されている(引用文献4参照)。すなわち、まず、シート上に銅箔を貼り化学的エッチングによって配線パターンを有する配線シートを形成する。次に、この上にセルを配置し、配線シートとセルとを、導電性接着剤又ははんだペーストで接合する。しかしながら、配線シートとしてはんだ被覆リボンを用いる両面電極型太陽電池セルの場合と比較して、裏面電極型太陽電池セル用の配線シートは、高価であり、モジュールコストが高くなるという問題がある。
【0022】
そこで本発明は、太陽電池セルの電極に配線材料を配置して、太陽電池モジュールを形成する際に、生産性の高い配線方法により、配線材料を配線することができる太陽電池モジュールの製造方法を得ることを目的とする。
【0023】
また、本発明は、高い生産性で製造することのできる太陽電池モジュールを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
複数の太陽電池セルを複数の配線材料で接続して直列接続を行う配線方法において、従来の配線方法では、隣接セル間の接続に必要な長さの導体の切断が先にあり、その切り取った導体を隣接セルの表面電極から裏面電極に渡って直列接続する。本発明者らは、この方法の場合には、配線材料の切断後、短くなった配線材料の扱いが煩雑であることにより、太陽電池モジュールの生産性が向上しないとの知見に至った。
【0025】
本発明者らは、更に太陽電池モジュールの生産性について検討を行った結果、従来法と異なり、線状導体(配線材料)によってセル電極と導体との接続を行った後に、線状導体の切断を行うという方法を採用することにより、太陽電池モジュールの生産性が向上することを見出した。更に具体的に、本方法の適用について検討した結果、本発明に至った。
【0026】
したがって、本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有する。本発明は、下記の構成1〜13である太陽電池モジュールの製造方法、及び下記の構成14〜15である太陽電池モジュールである。
【0027】
(構成1)
本発明の構成1は、第1の主面及び第2の主面を有し、第1の主面及び第2の主面の少なくとも一方の主面に電極を有する複数の太陽電池セルを用意する工程と、
複数の太陽電池セルの第1の主面が略同一方向を向くように、複数の太陽電池セルを配置する工程と、
複数の太陽電池セルを少なくとも一つの連続した線状導体で電気的に接続する工程であって、それぞれの太陽電池セルの第1の主面の電極及び第2の主面の電極の一方を、一つの連続した線状導体で電気的に接続するための、線状導体接続工程と、
複数の太陽電池セルのうち、少なくとも一組の隣接する太陽電池セルの電極が直列接続になるように、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程であって、線状導体接続工程の後、連続した線状導体を電気的に切断することを含む、工程と、
を含む、太陽電池モジュールの製造方法である。
【0028】
本発明の構成1によれば、両面電極型太陽電池セルを用いて太陽電池モジュールを製造する際に、線状導体接続工程の後に、連続した線状導体を電気的に切断する。そのため、太陽電池セルの電極に配線材料(線状導体)を配置して、太陽電池モジュールを形成する際に、生産性の高い配線方法により、配線材料を配線することができる。なお、「それぞれの太陽電池セルの第1の主面の電極及び第2の主面の電極の一方を、一つの連続した線状導体で電気的に接続する」とは、隣接する一対の太陽電池セルの両方の第1の主面の電極を接続することを意味する他、隣接する一対の太陽電池セルのうち一方の第1の主面の電極と、他方の第2の主面の電極とを接続することも意味する。
【0029】
(構成2)
本発明の構成2は、線状導体接続工程が、複数の太陽電池セルの、第1の主面のそれぞれの電極及び第2の主面のそれぞれの電極の少なくとも一方を、少なくとも一つの連続した線状導体で電気的に接続する、構成1に記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0030】
本発明の構成2によれば、太陽電池セルを用いて太陽電池モジュールを製造する際に、第1の主面のそれぞれの電極及び第2の主面のそれぞれの電極の少なくとも一方を、少なくとも一つの連続した線状導体で電気的に接続する。そのため、太陽電池モジュールを形成する際に、生産性の高い配線方法により、配線材料を配線することができる。
【0031】
(構成3)
本発明の構成3は、複数の太陽電池セルが、第1の主面に第1の極性の電極、及び第2の主面に第2の極性の電極を有し、
線状導体接続工程が、複数の太陽電池セルの第1の主面の第1の極性の電極を、少なくとも一つの連続した第1の線状導体で電気的に接続すること、及び複数の太陽電池セルの第2の主面の第2の極性の電極を、少なくとも一つの連続した第2の線状導体で電気的に接続することを含み、
隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程が、
(1)隣接する太陽電池セルの第1の極性の電極間を結ぶ第1の線状導体と、隣接する太陽電池セルの第2の極性の電極間を結ぶ第2の線状導体とを、隣接する太陽電池セル間において電気的に導通させる導通部を形成することと、
(2)第1の線状導体を、導通部と、一組の隣接する太陽電池セルのうち一方の太陽電池セルの第1の極性の電極との間で、電気的に切断することと、
(3)第2の線状導体を、導通部と一組の隣接する太陽電池セルのうち他方の太陽電池セルの第2の極性の電極との間で、電気的に切断することと
を含む、構成2に記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0032】
本発明の構成3によれば、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程が、上述の(1)所定の導通部を形成すること、(2)線状導体を所定の部分で切断すること、(3)線状導体を更に所定の部分で切断すること、を含む。そのため、両面電極型太陽電池セルの電極に配線材料(線状導体)を配置して、太陽電池モジュールを形成する際に、生産性の高い配線方法により、配線材料を配線することを、より確実にできる。
【0033】
(構成4)
本発明の構成4は、第1の線状導体及び第2の線状導体に、隣接する太陽電池セルの間の導通部を形成することが、線状導体間の圧接、溶着、線状導体表面に被覆された低融点金属層の溶融、はんだ層の溶融一体化、導線の挿入、はんだペーストを供給することによるはんだの溶融、及び導電性ペースト塗布による接着から選択される一種、又はそれらの組み合わせによって行われる、構成3に記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0034】
本発明の構成4によれば、所定の方法で隣接する太陽電池セルの間の導通部を形成することにより、電気的な接続の取れた導通部を形成することができる。
【0035】
(構成5)
本発明の構成5は、複数の太陽電池セルが、第2の主面に、第1の極性の電極及び第2の極性の両極性の電極を共に有し、
複数の太陽電池セルを配置する工程が、第1の極性の電極及び第2の極性の電極の長さ方向が、複数の太陽電池セルを配置する方向と同じ方向であるように、複数の太陽電池セルを配置することを含み、
線状導体接続工程が、複数の太陽電池セルのそれぞれにおいて、少なくとも一つの連続した線状導体で、第1の極性の電極及び第2の極性の電極の長さ方向に渡って電気的に接続すること、を含み、
隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程が、
隣接する太陽電池セルの間の連続した線状導体のうち、一方の太陽電池セルの一方の極性の電極と、他方の太陽電池セルの他方の極性の電極と、を連続して接続する線状導体以外の連続した線状導体を電気的に切断することと、
複数の太陽電池セルのそれぞれにおいて、一方の極性の電極と、他方の極性の電極と、の間の連続した線状導体を電気的に切断することと
を含む、構成2に記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0036】
本発明の構成5によれば、裏面電極型太陽電池セルを用いて太陽電池モジュールを製造する際に、線状導体接続工程の後に、連続した線状導体を電気的に切断する。そのため、太陽電池セルの電極に配線材料(線状導体)を配置して、太陽電池モジュールを形成する際に、生産性の高い配線方法により、配線材料を配線することができる。
【0037】
(構成6)
本発明の構成6は、線状導体接続工程が、複数の太陽電池セルのうち、隣接する二つの太陽電池セルの異なる主面の電極を、少なくとも一つの連続した線状導体で電気的に接続する、構成1に記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0038】
本発明の構成6によれば、両面電極型太陽電池セルの電極に配線材料(線状導体)を配置して、太陽電池モジュールを形成する際に、生産性の高い配線方法により、配線材料を配線することを、より確実にできる。
【0039】
(構成7)
本発明の構成7は、複数の太陽電池セルが、第1の主面に第1の極性の電極、及び第2の主面に第2の極性の電極を有し、
線状導体接続工程が、
隣接する二つの太陽電池セルにおいて、一方の太陽電池セルの第1の極性の電極及び他方の太陽電池セルの第2の極性の電極を結ぶ第1の線状導体と、一方の太陽電池セルの第2の極性の電極及び他方の太陽電池セルの第1の極性の電極を結ぶ第2の線状導体と、で電気的に接続し、
隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程が、
第1の線状導体を、隣接する二つの太陽電池セルの間で、電気的に切断することと、
第2の線状導体を、隣接する二つの太陽電池セルと、隣接する二つの太陽電池セルに隣接する他の太陽電池セルとの間で、電気的に切断することと
を含む、構成6に記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0040】
本発明の構成7によれば、太陽電池モジュールの製造方法が、線状導体接続工程及び隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程を有することにより、太陽電池モジュールを形成する際に、生産性の高い配線方法により、配線材料を配線することを、更に確実にできる。
【0041】
(構成8)
本発明の構成8は、連続した線状導体が、線状導体単体であるか、又は線状導体単体の表面に、はんだ及び/若しくは低融点金属の被覆層を有する、構成1〜7のいずれかに記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0042】
本発明の構成8によれば、連続した線状導体が、線状導体単体であるか、又は線状導体単体の表面に、はんだ及び/若しくは低融点金属の被覆層を有することにより、所望の線状導体を得ることができる。
【0043】
(構成9)
本発明の構成9は、線状導体接続工程が、圧着、はんだ付け、ろう付け、又は導電性ペースト塗布による接着によって、電極を、少なくとも一つの連続した線状導体で電気的に接続することを含む、構成1〜8のいずれかに記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0044】
本発明の構成9によれば、所定の方法によって、電極を、少なくとも一つの連続した線状導体で電気的に接続することにより、電極と、線状導体との間で、電気的な接続を形成することができる。
【0045】
(構成10)
本発明の構成10は、連続した線状導体を電気的に切断することが、回転刃による機械的切断、せん断、溶断、昇華、又は線状導体の不電導化によって行われる、構成1〜9のいずれかに記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0046】
本発明の構成10によれば、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程において、所定の方法で連続した線状導体を電気的に切断することにより、太陽電池モジュール中の配線材料(線状導体)の配線を行うことができる。
【0047】
(構成11)
本発明の構成11は、複数の太陽電池セルを配置する工程が、略同一平面上に1モジュール分の複数の太陽電池セルを配置すること、及び平行に配置された複数のストリングを形成するための太陽電池セルを配置することを含み、ストリングが、1列に直列に接続される、所定数の複数の太陽電池セルであり、
隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程が、ストリングを形成するすべての隣接する太陽電池セルの電極が直列接続になるように、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成することを含む、構成1〜10のいずれかに記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0048】
本発明の構成11によれば、生産性の高い配線方法により、太陽電池モジュールのストリングを形成することができる。
【0049】
(構成12)
本発明の構成9は、隣り合うストリングが、接続方向に互いに反対の極性を有するように複数のストリングが配置され、ストリングの端部を隣り合う一方のストリングの端部と電気的に接続することにより、太陽電池モジュールに含まれる複数のストリングを直列に接続することを含む、構成11に記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0050】
本発明の構成12によれば、隣り合うストリングが、接続方向に互いに反対の極性を有するように複数のストリングが配置されているので、隣り合うストリングの端部を電気的に接続することによって、隣り合うストリングを直列に接続することができる。
【0051】
(構成13)
本発明の構成13は、1モジュール分のストリング列数分の太陽電池セルを1行として、1行ごとに太陽電池セルの電極と線状導体との接続、前記線状導体と直交する線状導体による導通部の形成、両線状導体の切断を行う工程を、順次1行ずつ送りながら行い、1モジュール分の太陽電池セル全体を直列に接続する、構成11又は12に記載の太陽電池モジュールの製造方法である。
【0052】
本発明の構成13よれば、1モジュール分のストリング列数分の太陽電池セルを1行として、順次1行ずつ送りながら太陽電池セルを線状導体により配線することができる。そのため、太陽電池モジュールの製造を、高い生産性により行うことができる。
【0053】
(構成14)
本発明の構成14は、線状導体によって電気的に接続された複数の太陽電池セルを含む太陽電池モジュールであって、
太陽電池モジュールが、少なくとも一つのストリングを有し、ストリングが、互いに隣接して1列に直列に接続される、所定数の複数の太陽電池セルを有し、
太陽電池セルが、第1の主面に第1の極性の電極、及び第2の主面に第2の極性の電極を有し、
第1の線状導体が、太陽電池セルの第1の主面の第1の極性の電極に電気的に接続し、
第2の線状導体が、太陽電池セルの第2の主面の第2の極性の電極に電気的に接続し、
一組の隣接する太陽電池セルにおいて、一方の太陽電池セルの第1の線状導体と、他方の太陽電池セルの第2の線状導体とが、導通部で、電気的に接続し、
第1の線状導体が、導通部と、一組の隣接する太陽電池のうち一方の太陽電池セルの第1の極性の電極との間で、電気的に切断されており、
第2の線状導体が、導通部と、一組の隣接する太陽電池のうち他方の太陽電池セルの第2の極性の電極との間で、電気的に切断されていること、
を含む、太陽電池モジュールである。
【0054】
本発明の構成14の太陽電池モジュールでは、一組の隣接する太陽電池セルにおいて、一方の太陽電池セルの第1の線状導体と、他方の太陽電池セルの第2の線状導体とが、導通部で、電気的に接続し、第1の線状導体及び第2の線状導体は、所定の位置で電気的に切断されている。このような構造の太陽電池モジュールは、上述の本発明の太陽電池モジュールの製造方法により、製造可能である。したがって、太陽電池モジュールは、高い生産性で製造することが可能である。
【0055】
(構成15)
本発明の構成15は、隣り合うストリングが、接続方向に互いに反対の極性を有するように複数のストリングが配置され、ストリングの端部を隣り合う一方のストリングの端部と電気的に接続することにより、太陽電池モジュールに含まれる複数のストリングが直列に接続される、構成14に記載の太陽電池モジュールである。
【0056】
本発明の構成15の太陽電池モジュールでは、隣り合うストリングが、接続方向に互いに反対の極性を有するように複数のストリングが配置され、ストリングの端部を隣り合う一方のストリングの端部と電気的に接続することにより、太陽電池モジュールに含まれる複数のストリングを直列に接続することができる。この結果、高い出力電圧の太陽電池モジュールを得ることができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれは、太陽電池セルの電極に配線材料を配置して、太陽電池モジュールを形成する際に、生産性の高い配線方法により、配線材料を配線することができる太陽電池モジュールの製造方法を得ることができる。
【0058】
また、本発明によれは、高い生産性で製造することのできる太陽電池モジュールを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明は、太陽電池モジュールの製造方法である。太陽電池モジュールとは、複数の太陽電池セルを電気的に接続したものである。
【0061】
太陽電池には、単結晶シリコン太陽電池及び多結晶シリコン太陽電池などの結晶系シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、カドミウムテルル太陽電池、ガリウムヒ素系太陽電池、並びにCIS太陽電池など、材料によって多くの種類がある。結晶系シリコン太陽電池の場合、板状の結晶系シリコン基板を材料として太陽電池を製造する。したがって、結晶系シリコン太陽電池も板状であり、1つの板状の太陽電池を「太陽電池セル」ともいう。複数の太陽電池セルを電気的に接続することにより、太陽電池モジュールを製造することができる。なお、複数の太陽電池セルが1列に直列に接続されたものをストリングという場合がある。太陽電池モジュールは、一つ又は複数のストリングにより構成される。
【0062】
以下、結晶系シリコン太陽電池モジュールを例に、本発明を説明する。しかしながら、本発明は、板状の太陽電池セルを電気的に接続することにより、太陽電池モジュールを製造するための製造方法に係る発明である。したがって、本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、板状の太陽電池セルを用いて太陽電池モジュールを製造する場合に、太陽電池セルの種類は問わず、適用することができる。
【0063】
本明細書では、「結晶系シリコン」は単結晶及び多結晶シリコンを包含する。また、「結晶系シリコン基板」は、電気素子又は電子素子の形成のために、結晶系シリコンを平板状など、素子形成に適した形状に成形した材料のことをいう。結晶系シリコンの製造方法は、どのような方法を用いても良い。例えば、単結晶シリコンの場合にはチョクラルスキー法、多結晶シリコンの場合にはキャスティング法を用いることができる。また、その他の製造方法、例えばリボン引き上げ法により作製された多結晶シリコンリボン、ガラス等の異種基板上に形成された多結晶シリコンなども結晶系シリコン基板として用いることができる。また、「結晶系シリコン太陽電池」とは、結晶系シリコン基板を用いて作製された太陽電池のことをいう。
【0064】
結晶系シリコン太陽電池セルは、その構造により、表裏の二表面に電極を有する両面電極型太陽電池セル、ヘテロ接合型太陽電池セル、及びPERC(Passivated Emitter and Rear Cell)型セル、並びに、裏面のみに電極を有する裏面電極型(バックコンタクト型)太陽電池セル、MWT(Metal Wrap Through)セル、及びEWT(emitter Wrap Through)セルなどがある。本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、上述の様々な種類の結晶系シリコン太陽電池セルを用いる場合に、好適に適用することができる。
【0065】
具体的な結晶系シリコン太陽電池セルの構造について、両面電極型太陽電池セル10及び裏面電極型太陽電池セル110を例に、説明する。
【0066】
両面電極型太陽電池セル10の例として、光入射側表面の平面模式図を
図6に、裏面の一例の平面模式図を
図7に、光入射側フィンガー電極15付近の断面模式図を
図10に示す。結晶系シリコン太陽電池では、一般に、p型結晶系シリコン基板12の光入射側である表面にn型拡散層(n型シリコン層)44を形成する。n型拡散層44の上には、反射防止膜42を形成する。更に、スクリーン印刷法などによって導電性ペーストを用いて表面電極(光入射側電極)15のパターンを反射防止膜42上に印刷し、導電性ペーストを乾燥及び焼成することによって表面電極15が形成される。この焼成の際、導電性ペーストが反射防止膜42をファイアースルーすることによって、表面電極(光入射側電極)15は、n型拡散層44に接触するように形成することができる。なお、ファイアースルーとは、焼成時に絶縁膜である反射防止膜42を導電性ペーストに含まれるガラスフリット等の働きを利用し、表面電極15とn型拡散層44とを導通させることである。p型シリコン基板12の裏面側からは光を入射させなくてもよいため、一般的に、裏面側のほぼ全面に裏面全面電極17を形成する。p型シリコン基板12とn型拡散層44の界面にはpn接合が形成される。太陽光等の光は、反射防止膜42及びn型拡散層44を透過して、p型シリコン基板12に入射し、この過程で吸収され、電子−正孔対が発生する。これらの電子−正孔対は、pn接合による電界によって、電子は表面電極15へ、正孔は裏面全面電極17へと分離される。電子及び正孔は、これらの電極を介して、電流として外部に取り出される。なお、pn接合を
図10に示すものとは逆に形成することによって、正孔を表面電極15へ、電子を裏面全面電極17へと分離させることもできる。
【0067】
図11に、裏面電極型太陽電池セル110の一例の裏面の平面模式図を示す。
図12に、裏面電極型太陽電池セル110の一例の断面模式図を示す。裏面電極型太陽電池セル110は、光入射側表面に電極が配置されないため、入射光を無駄なく太陽電池内部へと入射させることができるので、太陽電池の高効率化に有利である。
【0068】
図11及び
図12に示すような裏面電極型太陽電池セル110は、裏面に第1の極性の電極114(例えば負電極)及び第2の極性の電極116(例えば正電極)の両方が配置される。第1及び第2の極性の電極114及び116は、互い違いになるように、すなわちinterdigitatedな形状に形成されたp型拡散層(p型シリコン層)43及びn型拡散層(n型シリコン層)44に接するように形成される。また、第1及び第2の極性の電極114及び116の形成の前に、p型拡散層43及びn型拡散層44が形成されたnシリコン基板112の裏面に、裏面パッシベーション層118を形成することにより、発電中のキャリア(伝導電子及びホール)の再結合を防止し、変換効率を向上することができる。なお、裏面パッシベーション層118は、第1及び第2の極性の電極114及び116が、p型拡散層43及びn型拡散層44に対して接触するための開口部を有する。太陽電池の表面(光入射側表面)には、反射防止膜42を配置することにより、入射光の表面反射による効率ロスを低減することができる。また、反射防止膜42の種類によっては、表面パッシベーション膜としての機能も有することができる。
【0069】
次に、本発明の太陽電池モジュールの製造方法について、説明する。
【0070】
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、第1の主面及び第2の主面を有し、第1の主面及び第2の主面の少なくとも一方の主面に電極を有する複数の太陽電池セルを用意する工程を含む。
【0071】
太陽電池セルの第1の主面及び第2の主面とは、太陽電池セルの光入射側表面(表面)及び裏面のことである。両面電極型太陽電池セル10の場合には、第1の主面及び第2の主面の両方に電極が配置されている。また、裏面電極型太陽電池セル110の場合には、裏面(一方の主面)のみに電極が配置されている。
【0072】
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、複数の太陽電池セルの第1の主面が略同一方向を向くように、複数の太陽電池セルを配置する工程を含む。「第1の主面が略同一方向」とは、例えば、
図6に示す複数の太陽電池セルが、同じ表面を同じ向きにして、印刷された電極パターンが略同一方向を向くように、整列して配置されることをいう。この結果、複数の太陽電池セルは、
図1に示すような形で配置されることになる。すなわち、電極パターンのうち、後述する連続した線状導体20と接続する部分が、線状導体20と略平行となるように、複数の太陽電池セルが配置される。
【0073】
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、複数の太陽電池セルの、第1の主面のそれぞれの電極及び第2の主面のそれぞれの電極の少なくとも一方を、少なくとも一つの連続した線状導体20で電気的に接続するための、線状導体接続工程を含む。
【0074】
図1及び
図2に、両面電極型太陽電池セル10を線状導体20により接続した例を示す。
図1は、複数の両面電極型太陽電池セル10a及び10bの光入射側表面の電極を、二つの連続した線状導体20で電気的に接続した例を示す、光入射側表面の平面模式図である。
図2は、
図1中の符号Bで示される破線円付近における断面模式図である。
図2に示す例では、光入射側表面の電極に加えて、裏面の電極も連続した線状導体20で電気的に接続している。
図2に示す例では、表面側の線状導体20を、第1の線状導体20aとし、裏面側の線状導体20を、第2の線状導体20bとしている。第1の線状導体20a及び第2の線状導体20bの両方を、単に、線状導体20という場合がある。
【0075】
線状導体接続工程において、第1の主面(例えば表面)に存在する電極は、所定数の連続した線状導体20で電気的に接続され、第2の主面(例えば裏面)に存在する電極は、所定数の別の連続した線状導体20で電気的に接続される。すなわち、本発明の本態様の太陽電池モジュールの製造方法では、連続した線状導体20が、裏面から表面へと回り込むように配置されることはない。
図2に示す例では、第1の線状導体20aは表面側のみに配置され、第2の線状導体20bは裏面側のみに配置される。したがって、本発明によると、所定数の連続した線状導体20を配置する場合、太陽電池セルの一方の表面から他方の表面に回り込むように配置しなくてよいのであるから、太陽電池セル及び連続した線状導体20の配置が容易である。
【0076】
なお、後述する隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程において、線状導体20の所定の部分が切断されることにより、隣接する両面電極型太陽電池セル10a及び10bの間で、直列接続を形成することができる。
【0077】
図4に、裏面電極型太陽電池セル110の一例の、裏面の平面模式図を示す。
図4では、複数の裏面電極型太陽電池セル110の裏面の電極(第1及び第2の極性の電極114及び116)を、複数の連続した線状導体20(及び20c)で電気的に接続した例を示している。このときに、複数の連続した線状導体20は、電極の種類、すなわち、正電極であるか、負電極であるかに関係なく、すべての電極を接続する。なお、裏面電極型太陽電池セル110の場合、光入射側表面には、電極が存在しないので、連続した線状導体20は、裏面のみに配置すれば足りる。
【0078】
連続した線状導体20は、複数の太陽電池セルを電気的に接続するための配線材料であり、太陽電池モジュールを形成するための所定の数の太陽電池セルを配置したときに、少なくとも、所定の数の太陽電池セルのすべてを横断的に接続するのに十分な長さを有する。
【0079】
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、連続した線状導体20が、線状導体単体であるか、又は線状導体単体の表面に、はんだ及び/若しくは低融点金属の被覆層を有することが好ましい。
【0080】
連続した線状導体20が線状導体単体の場合には、例えば、幅1〜2.5mm、厚み0.15〜0.3mmのリボン状の金属線、例えば銅線を用いることができる。線状導体20と、太陽電池セルの電極との電気的接続は、圧着により行うことができる。
【0081】
連続した線状導体20が線状導体単体の場合には、例えば、幅1〜2.5mm、厚み0.15〜0.3mmのリボン状の金属線、例えば銅線にはんだ(錫―鉛系あるいは錫―銀―銅などの鉛フリー系)を被覆した線状導体20を用いることができる。線状導体20と、太陽電池セルの電極との電気的接続は、はんだ付け等により行うことができる。
【0082】
上述の連続した線状導体20と、太陽電池セルの電極との電気的接続は、圧着及びはんだ付け以外にも、ろう付け、又は導電性ペースト塗布による接着によって、行うことができる。
【0083】
電気的接続は、はんだ付けで行うことが好ましい。この場合、無洗浄フラックスを用い、線状導体20上のはんだ被覆層による電極への接続方法を用いて、線状導体20と電極とを接続することができる。また、後述する導通部30における接続も、同様に行うことができる。
【0084】
また、フラックスを含んだはんだペーストを線状導体20又はセル電極上に塗布し、加熱して、線状導体20と電極との接続を形成しても良い。この方法は、セル表面状で溶融した液状はんだの表面張力によって、下地となる銀電極の上にのみ自己整合的にはんだが被覆され、電極以外の表面は被覆されない。そのため、この方法は、はみ出した接合材料による遮光増加の心配が少ないので、好ましい。
【0085】
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、複数の太陽電池セルのうち、少なくとも一組の隣接する太陽電池セルの電極が直列接続になるように、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程を含む。本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、線状導体接続工程の後の工程において、連続した線状導体20を電気的に切断することを特徴とする。
【0086】
図3に示すように、両面電極型太陽電池セル10の場合には、第1の線状導体20aを切断部25aにおいて切断し、第2の線状導体20bを切断部25bにおいて切断する。このように、第1の線状導体20a及び第2の線状導体20bを所定の位置で切断することにより、隣り合う太陽電池セル10a及び10bを直列接続することができる。なお、
図3に示す例では、直列接続のために、太陽電池セル10aの第1の線状導体20aと、太陽電池セル10bの第2の線状導体20bとを、導通部30を介して電気的に接続することを示している。導通部30については、後述する。
【0087】
図5に示すように、裏面電極型太陽電池セル110a及び110bの場合にも、所定の線状導体の切断部125a及び125bにおいて、線状導体20を切断することにより、隣り合う裏面電極型太陽電池セル110a及び110bを直列接続することができる。なお、両面電極型太陽電池セル10とは異なり、裏面電極型太陽電池セル110a及び110bの場合には、導通部30の形成は不要である。
【0088】
本発明の太陽電池モジュールの製造方法において、連続した線状導体20の電気的な切断は、線状導体20の一部を取り除くための物理的又は化学的な切断方法を用いることができる。物理的又は化学的な切断方法として、例えば、回転刃(例えば、ダイヤモンド粉を被覆した回転刃)による機械的切断、レーザによる切断、せん断、溶断、及び昇華などを用いることができる。レーザによる切断は、プログラミングによるコンピュータ制御によって切断箇所を比較的自由に設定できるため、好ましく適用できる。また、線状導体20の一部を取り除く代わりに、線状導体20の一部を不電導化することによって、電気的な切断を行うことができる。線状導体20を構成する金属の不電導化は、金属の酸化などにより、金属を絶縁体に変化させることにより行うことができる。
【0089】
以上説明したように、所定の連続した線状導体20を用いて複数の太陽電池セルの直列接続を形成するという本発明の製造方法によれば、線状導体20を太陽電池セルの一方の表面から他方の表面に回り込むように配置しなくてよいのであるから、高い生産性で、太陽電池モジュールを製造することができる。
【0090】
次に、本発明の太陽電池モジュールの製造方法を、両面電極型太陽電池モジュールの製造のために適用した態様について、
図1〜3(両面電極型太陽電池セルの平面図については
図6及び
図7)を参照して、更に具体的に説明する。
【0091】
本態様では、複数の太陽電池セルが、第1の主面に第1の極性の電極14、15及び第2の主面に第2の極性の電極16、17を有する。第1の主面は、表面又は裏面であり、第2の主面はその反対側の表面である。本態様の説明では、第1の主面が表面(光入射側表面)の場合について説明する。また、第1の極性の電極14、15が正電極である場合には、第2の極性の電極16、17は、負電極である。また、第1の極性の電極14、15が負電極である場合には、第2の極性の電極16、17は、正電極である。本態様の説明では、第1の極性の電極14、15が負電極であり第2の極性の電極16、17が、正電極である場合について説明する。
【0092】
なお、第1の主面に第1の極性の電極14、15とは、光入射側表面の表面電極(表面バスバー電極14及び/又は光入射側フィンガー電極15)である。また、第2の主面に第2の極性の電極16、17とは、基本的には裏面の裏面バスバー電極16であるが、裏面全面電極17を含む場合がある。
【0093】
図1に示すように、本態様の線状導体接続工程では、複数の太陽電池セルの第1の主面(表面)の第1の極性の電極14、15(負電極)を、少なくとも一つの連続した第1の線状導体20aで電気的に接続する。また、複数の太陽電池セルの第2の主面(裏面)の第2の極性の電極16、17(正電極)を、少なくとも一つの連続した第2の線状導体20bで電気的に接続する。
【0094】
図1及び
図2に示すように、本態様では、線状導体接続工程において、隣接する太陽電池セル10a及び10bを直列に電気的に接続するに際し、まず隣接する太陽電池セル10a及び10bの表面のバスバー電極14(
図6参照)を線状導体20aで接続し、裏面のバスバー電極16(
図7参照)を線状導体20bで接続する。
【0095】
本態様では、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程において、隣接する太陽電池セルの第1の極性の電極14、15(負電極)間を結ぶ第1の線状導体20aと、隣接する太陽電池セルの第2の極性の電極16、17(正電極)間を結ぶ第2の線状導体20bとを、隣接する太陽電池セル間において電気的に導通させる導通部30を形成する。
図2に示すように、導通部30において、第1の線状導体20aと第2の線状導体20bとは短絡する。
【0096】
本態様では、第1の線状導体20a及び第2の線状導体20bに、隣接する太陽電池セルの間の導通部30を形成する方法は、線状導体20間の圧接、溶着、線状導体20表面に被覆された低融点金属層の溶融、はんだ層の溶融一体化、導線の挿入、はんだペーストを供給することによるはんだの溶融、及び導電性ペースト塗布による接着から選択される一種、又はそれらの組み合わせによって行われることが好ましい。
【0097】
導通部30を形成するために、導通部30として金属ワイヤを用いることができる。すなわち、金属ワイヤが第1及び第2の線状導体20b及び20bと直交するように挿入して配置し、金属ワイヤと、第1及び第2の線状導体20a及び20bとを電気的に接続することにより、導通部30を形成することができる。金属ワイヤの径は特に制限はないが、接続したときに太陽電池セルへの応力を軽減できることから、金属ワイヤの径が太陽電池セルの厚みより大きいことが好ましい。
【0098】
導通部30の形成は、上述のように金属ワイヤ等を挿入せず、第1及び第2の線状導体20a及び20b同士を単に圧着変形し溶接することにより、形成することができる。また、第1及び第2の線状導体20a及び20bに、はんだ被覆層を形成し、はんだ被覆層による溶着する方法、導電性接着剤を塗布する方法なども利用することができる。
【0099】
本態様では、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程において、第1の線状導体20aを、導通部30と、一組の隣接する太陽電池セルのうち一方の太陽電池セル(例えば太陽電池セル10a)の第1の極性の電極14、15(負電極)との間(切断部25a)で、電気的に切断する。また、第2の線状導体20bを、導通部30と一組の隣接する太陽電池セルのうち他方の太陽電池セル(太陽電池セル10b)の第2の極性の電極16、17(正電極)との間(切断部25b)で、電気的に切断する。したがって、
図3に示すように、切断部25a及び25bは、導通部30を介して、点対称のような位置となる。このように切断部25a及び25bを設けることにより、太陽電池セル10aの第1の極性の電極14、15は、導通部30を介して、隣接する太陽電池セル10bの第2の極性の電極16、17に電気的に接続することなる。このようにして、隣接する太陽電池セル10a及び10bを、直列に接続することができる。
【0100】
なお、本態様において、一組の隣接する太陽電池セルの間の距離が、1〜10mmであることが好ましく、2〜10mmであることがより好ましい。太陽電池セルの間には、導通部30を形成する必要があるため、所定の距離が必要であるためである。
【0101】
また、本態様において、第1の線状導体20aが、他方の太陽電池セル(太陽電池セル10b)の端部からd(mm)の位置で切断されることが好ましい。ここで、dは、0≦d<10tの関係を満たし、t(mm)は電極を含む太陽電池セルの厚さである。dが所定の範囲であることにより、第1の線状導体20aの切断した部分が裏面に配置された第2の線状導体20bまで届いてしまうことにより生じる短絡を防止することができる。なお、同様の理由により、第2の線状導体20bについても、端部から所定のd(mm)の位置で切断されることが好ましい。
【0102】
なお、上述の本態様の太陽電池モジュールの製造方法において、導通部30を形成することと、所定の位置で第1及び第2の線状導体20bを電気的に切断することとは、逆の順序であってもかまわない。また、所定の位置で第1及び第2の線状導体20a及び20bを電気的に切断することは、隣接する二つの太陽電池セル間に第1及び第2の線状導体20a及び20bを接続した直後に行うことができる。また、所定の位置で第1及び第2の線状導体20a及び20bを電気的に切断することは、3つ以上の所定数の太陽電池セル(例えば1つのストリングに対応するセル数、又は1つモジュールに対応するセル数)のすべてに対して、第1及び第2の線状導体20a及び20bを接続した後に行ってもよい。
【0103】
上述のように、本発明の本態様の太陽電池モジュールの製造方法では、隣接する太陽電池セルの同極電極間を線状導体20で接続し、その後、所定位置で切断して、直列接続を形成することで、ストリングを形成することができる。本発明の太陽電池モジュールの製造方法では、第1及び第2の線状導体20a及び20bを、1列のストリングの両面電極型太陽電池セル10に対して一括で接続し、その後、所定部分を切断し、ストリングを形成することもできる。そのため、本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、生産性の高い製造方法である。
【0104】
以上、本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、従来法と比較して以下の利点を有する。
(1)配線材料(線状導体20)の切断が、太陽電池セルと配線材料との接続後であるため、配線材料と電極との間の位置ずれが少ない。
(2)複数の配線材料を太陽電池セルに固定した後に配線材料を切断することができるため、配線材料による配線数の増加、及び配線材料の細線化に対応しやすい。
(3)複数の配線材料を仮固定するためのシートが不要となり、廃材の発生がない。
【0105】
次に、本発明の太陽電池モジュールの製造方法を、裏面電極型太陽電池モジュールの製造のために適用した態様について、更に具体的に説明する。
【0106】
本態様では、複数の太陽電池セルが、第2の主面に、第1の極性の電極114及び第2の極性の両極性の電極を共に有する。本態様に用いる裏面電極型太陽電池セル110の場合、第2の主面は、裏面である。また、第1の極性の電極114が正電極である場合には、第2の極性の電極116は、負電極である。また、第1の極性の電極114が負電極である場合には、第2の極性の電極116は、正電極である。本態様の説明では、第1の極性の電極114が負電極であり、第2の極性の電極116が正電極である場合について説明する。
【0107】
図4に示すように、本態様の複数の太陽電池セルを配置する工程では、第1の極性の電極114(負電極)及び第2の極性の電極116(正電極)の長さ方向が、複数の太陽電池セルを配置する方向と同じ方向であるように、複数の太陽電池セルを配置する。
図4に示すように、複数の太陽電池セルの電極パターンが同じ向きになるように、複数の太陽電池セルが1列に配置される。
【0108】
図4に示すように、本態様の線状導体接続工程では、複数の太陽電池セルのそれぞれにおいて、少なくとも一つの連続した線状導体20で、第1の極性の電極114及び第2の極性の電極116の長さ方向に渡って電気的に接続する。
図4に示す連続した線状導体20は、一つの太陽電池セル110aの第1の極性の電極114及び第2の極性の電極116の両方に接続している。同様に、太陽電池セル110bにおいても、線状導体20は、第1の極性の電極114及び第2の極性の電極116の両方に接続している。
【0109】
なお、
図4において、線状導体20cは第1の極性の電極114のみに接続している。したがって、線状導体20cは、上述の線状導体20とは異なる。ただし、線状導体20cは、第1の極性の電極114に重なるように接続しているため、線状導体20cが存在することにより、第1の極性の電極114の電気抵抗を実質的に低下させることができる。
【0110】
図
5に示すように、本態様では、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程において、隣接する太陽電池セルの間の連続した線状導体20のうち、一方の太陽電池セルの一方の極性の電極と、他方の太陽電池セルの他方の極性の電極と、を連続して接続する線状導体20以外の連続した線状導体20を電気的に切断する。すなわち、本態様の本工程では、隣接する太陽電池セルの間の連続した線状導体20のうち、同種の電極を接続する線状導体20cを、隣接する太陽電池セルの間において切断する(切断部125b)。切断部125bは、太陽電池セル間の切断部である。
【0111】
また、図
5に示すように、本態様では、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程において、複数の太陽電池セルのそれぞれにおいて、一方の極性の電極と、他方の極性の電極との間の連続した線状導体20を電気的に切断する。図
5において、この切断部を、太陽電池セル110a及び110bのそれぞれの中で、黒い部分(切断部125a)として示す。切断部125aは、太陽電池セル内の一方の極性の電極と、他方の極性の電極と間の切断部である。
【0112】
以上のように、線状導体20の切断部125a、及び線状導体20cの切断部125bを形成することにより、隣接する太陽電池セル110a及び110bを直列に接続することができる。
【0113】
本発明の本態様の太陽電池モジュールの製造方法では、線状導体20を、1列のストリングの裏面電極型太陽電池セル110に対して一括で接続し、その後、所定部分を切断し、ストリングを形成することができる。そのため、本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、生産性の高い製造方法である。
【0114】
次に、本発明の太陽電池モジュールの製造方法の好ましい態様について、説明する。
【0115】
本態様の太陽電池モジュールの製造方法では、複数の太陽電池セルを配置する工程が、略同一平面上に1モジュール分の複数の太陽電池セルを配置すること、及び平行に配置された複数のストリングを形成するための太陽電池セルを配置することを含む。なお、ストリングとは、太陽電池モジュール内に1列に直列に接続される、所定数の複数の太陽電池セルである。
【0116】
本態様の太陽電池モジュールの製造方法では、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程おいて、ストリングを形成するすべての隣接する太陽電池セルの電極が直列接続になるように、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成することを含む。本態様の太陽電池モジュールの製造方法の、生産性の高い配線方法により、太陽電池モジュールのストリングを形成することができる。
【0117】
次に、本発明の太陽電池モジュールの製造方法の、より好ましい態様について、説明する。
【0118】
本態様の太陽電池モジュールの製造方法では、隣り合うストリングが、接続方向に互いに反対の極性を有するように、複数のストリングが配置される。そして、本態様では、ストリングの端部を隣り合う一方のストリングの端部と電気的に接続することにより、太陽電池モジュールに含まれる複数のストリングを直列に接続する。
【0119】
本態様によれば、隣り合うストリングが、接続方向に互いに反対の極性を有するように複数のストリングが配置されているので、隣り合うストリングの端部を電気的に接続することによって、隣り合うストリングを直列に接続することができる。この結果、簡便な方法で、太陽電池モジュール内のストリングを直列に接続することができる。したがって、本態様の太陽電池モジュールの製造方法の、生産性の高い配線方法により、太陽電池モジュールのストリングを形成することができる。
【0120】
次に、本発明の太陽電池モジュールの製造方法の、更に好ましい態様について、説明する。
【0121】
本発明の本態様では、1モジュールとして並ぶ所定数のストリングのうち、ストリング中の同じ順番に対応する太陽電池セル(ストリング数と同じ数のセル)を1行として、1行ごとに太陽電池セルの電極と線状導体20との接続、線状導体20と直交するワイヤによる導通部30の形成、線状導体20の切断を行う工程を、順次1行ずつ送りながら行い、1モジュール分の太陽電池セル全体を直列に接続する。本態様によれば、1モジュール分のストリング列数分の太陽電池セルを1行として、順次1行ずつ送りながら太陽電池セルを線状導体20により配線することができる。そのため、太陽電池モジュールの製造を、高い生産性により行うことができる。
【0122】
本態様では、太陽電池モジュールの線状導体20(縦方向)とは直角の方向、即ち横方向の1列の太陽電池セルの電気的接続を、一括で形成する動作を間欠的に繰り返すことによって、更に効率的に太陽電池モジュールを形成することもできる。このときに、導通部30を形成するために、棒状のリボン(ワイヤ)を、一括で処理される複数の太陽電池モジュールに渡して線状導体20との電気的接続を形成することができる。この場合には、ストリング間で導通部30である棒状のリボンを切断することが必要となる。なお、ストリングを極性が同じ方向になるように並列で接続する場合には、棒状のリボンを渡して導通部30を形成するとき、ストリング間で導通部30を切断する必要はない。
【0123】
次に、本発明の太陽電池モジュールについて説明する。本発明の太陽電池モジュールは、両面電極型太陽電池セル10を有する太陽電池モジュールである。
【0124】
本発明は、線状導体20によって電気的に接続された複数の太陽電池セルを含む太陽電池モジュールである。本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールが、少なくとも一つのストリングを有する。ストリングは、互いに隣接して1列に直列に接続される、所定数の複数の太陽電池セルを有する。
【0125】
上述の本発明の両面電極型太陽電池を用いる態様の太陽電池モジュールの製造方法において説明したように、本発明の太陽電池モジュールに用いる太陽電池セルは、第1の主面に第1の極性の電極14、15、及び第2の主面に第2の極性の電極16、17を有する(
図6及び
図7参照)。また、第1の線状導体20aが、太陽電池セルの第1の主面の第1の極性の電極14、15に電気的に接続し、第2の線状導体20bが、太陽電池セルの第2の主面の第2の極性の電極16、17に電気的に接続する(
図3、
図6及び
図7参照)。
【0126】
図3に示すように、本態様の太陽電池モジュールでは、一組の隣接する太陽電池セルにおいて、一方の太陽電池セルの第1の線状導体20aと、他方の太陽電池セルの第2の線状導体20bとが、導通部30で、電気的に接続している。
【0127】
また、
図3に示すように、本態様の太陽電池モジュールでは、第1の線状導体20aが、導通部30と、一組の隣接する太陽電池のうち一方の太陽電池セルの第1の極性の電極14、15との間で、電気的に切断されている(切断部25a)。また、第2の線状導体20bが、導通部30と、一組の隣接する太陽電池のうち他方の太陽電池セルの第2の極性の電極116、117との間で、電気的に切断されている(切断部25b)。
【0128】
以上の構造を有する本態様の太陽電池モジュールは、生産性の高い、本発明の太陽電池モジュールの製造方法によって製造することができる。したがって、本態様の太陽電池モジュールは、高い生産性で製造することのできる太陽電池モジュールである。
【0129】
本態様の太陽電池モジュールは、隣り合うストリングが、接続方向に互いに反対の極性を有するように複数のストリングが配置され、ストリングの端部を隣り合う一方のストリングの端部と電気的に接続することにより、太陽電池モジュールに含まれる複数のストリングが直列に接続されることが好ましい。このような太陽電池モジュールは、更に高い生産性で製造することができる。
【0130】
本発明の太陽電池モジュールは、次に述べる配線材料接続装置を用いて配線材料(線状導体20)を電極に接続することができる。
【0131】
本配線材料接続装置(以下単に、接続装置という。)は、(1)配線材料(線状導体20)の供給部、(2)セル供給部、(3)セルの電極と配線材料の組み合わせ・接合部、(4)セル間導通部形成部、(5)配線切断部を含むことができる。また、接続装置は、更に必要に応じて、(6)洗浄部・乾燥部を含むことができる。
【0132】
以下、接続装置の各部を更に詳細に説明する。
【0133】
(1)配線材料(線状導体20)の供給部は、セル間を複数の線状導体20群で繋ぐための縦線状導体ロール群でセル表面電極用線状導体ロール群と裏面電極線状導体ロール群で構成される。また、両表面の線状導体群間を短絡し導通部30を形成するために、横ワイヤを用いる場合には、横ワイヤ供給ロールが付加される。
【0134】
(2)セル供給部からは、カセット内に収納された電極形成済みセルが1枚ずつ間欠的に次工程に供給される。
【0135】
(3)セルの電極と配線材料の組み合わせ・接合部は、2本の圧着ロールからなり、このロール間に(1)配線材料(線状導体20)の供給部から供給される複数の線状導体20群と、(2)セル供給部から供給されるセルの位置を合わせる役割を果たす。本装置では、この段階では線状導体20は隣接セル間における表面電極同士、又は裏面電極同士を接続した状態になる。
【0136】
(4)セル間導通部形成部は、セルとセル間において直列接続に必要な電流経路を作るための短絡部分(導通部30)の形成するためのもので、表面電極上に配置した線状導体20と、裏面電極上に配置した線状導体20との間を、導通部30により短絡させる。導通部30の形成は両線状導体20間に横ワイヤ)を挿入し、スポット溶接する方法、加圧溶着させる方法、はんだペーストや接着剤を塗布する方法などがある。
【0137】
(5)配線切断部は、(4)セル間導通部形成部で形成された導通部30を介して表面電極側から裏面電極側に電流経路を形成するための線状導体20の切断部25である。線状導体20の切断は導通部30に対しほぼ点対称の位置で行う。この切断によって、電流経路は導通部30を介してのみとなり、隣接する各セルは直列接続される。線状導体20の切断方法はダイヤモンド粉をコートした回転ブレードによる方法、レーザ光による方法(YAGレーザ、ピコ秒レーザ等)、ハサミのようなせん断を利用する方法などを採用することができる。
【0138】
(6)洗浄部・乾燥部では、切断によってできた切り屑の排出及びフラックスの洗浄を行う。
【0139】
上述のように、複数の太陽電池セルを適宜直列及び/又は並列に接続したものを、ガラス板及び封止材等を用いて封止することにより、耐環境性を有する太陽電池モジュール(太陽電池パネル)を得ることができる。電気的に接続した太陽電池セルを、ガラス板及び封止材等を用いて封止する技術は、公知である。
【0140】
次に、本発明の太陽電池モジュールの製造方法の別の態様を、
図15〜
図21を用いて説明する。
図15〜
図21に示す態様では、生産性の高い配線方法により、両面電極型太陽電池モジュールを製造することができる。
【0141】
図15に、本態様の太陽電池モジュールの製造方法に、好ましい光入射側表面の電極形状を示す。
図15に示す太陽電池の光入射側表面の電極は、フィンガー電極15が配置される形状である。
図16に、本態様の太陽電池モジュールの製造方法に、好ましい裏面の電極形状を示す。
図16に示す太陽電池の光入射側表面の電極は、裏面全面電極17及び裏面はんだ付け可能領域18が配置される形状である。裏面はんだ付け可能領域18は、裏面バスバー電極16と同様の機能を有する電極である。なお、フィンガー電極15及び裏面はんだ付け可能領域18は、太陽電池の一端から他端へと、直線状に延びる形状をしている。また、フィンガー電極15及び裏面はんだ付け可能領域18は、それらの長さ方向が、互い直交するように配置される。フィンガー電極15及び裏面はんだ付け可能領域18には、第1の線状導体20a及び第2の線状導体20bが接続される。
【0142】
図17及び
図18に、本態様の太陽電池モジュールの製造方法の線状導体接続工程を示す。本態様では、線状導体接続工程が、複数の太陽電池セルのうち、隣接する二つの太陽電池セルの異なる主面の電極を、少なくとも一つの連続した線状導体で電気的に接続する。すなわち、
図17及び
図18に示すように、第1の線状導体20aは、太陽電池セル10dの光入射側表面から、隣接する太陽電池セル10aの裏面へと電気的に接続され、更に隣接する太陽電池セル10bの表面に電気的に接続される。第2の線状導体20bは、第1の線状導体20aと異なる主面に接続するように配置される。すなわち、
図17及び
図18に示すように、隣接する二つの太陽電池セル(例えば、太陽電池セル10a及び10b)は、一方の太陽電池セル10aの第1の極性の電極(
図17及び
図18の場合は裏面電極)及び他方の太陽電池セル10bの第2の極性の電極(
図17及び
図18の場合は表面電極)を結ぶ第1の線状導体20aで電気的に接続される。また、隣接する二つの太陽電池セルは、一方の太陽電池セル10aの第2の極性の電極(
図17及び
図18の場合は表面電極)及び他方の太陽電池セル10bの第1の極性の電極(
図17及び
図18の場合は裏面電極)を結ぶ第2の線状導体で電気的に接続される。
【0143】
次に、本態様の太陽電池モジュールの製造方法では、隣接する太陽電池セルの電気的な接続を形成する工程において、隣接する太陽電池セルの電極が直列接続になるように、連続した線状導体を所定の位置で電気的に切断する。具体的には、
図19に示すように、第1の線状導体20aを、隣接する二つの太陽電池セル10a及び10bの間で、電気的に切断する。また、第2の線状導体20bを、隣接する二つの太陽電池セル10a及び10bと、隣接する二つの太陽電池セル10a及び10bに隣接する他の太陽電池セル10c及び10dとの間で、電気的に切断する。すなわち、第2の線状導体20bは、太陽電池セル10aと太陽電池セル10dの間、及び、太陽電池セル10bと太陽電池セル10cの間で電気的に切断される。この結果、太陽電池セル10d、10a、10b及び10cは、直列に接続されることになる。
【0144】
本態様の太陽電池モジュールの製造方法を、
図20〜
図24を用いて、更に具体的に説明する。
【0145】
図20に示すように、複数の第1の線状導体20a及び複数の第2の線状導体20bを用意する。なお、第1の線状導体20a及び第2の線状導体20bは、同一の材料であることができる。
【0146】
次に、
図21に示すように、所定の治具を用いて、複数の第1の線状導体20a及び複数の第2の線状導体20bを互い違いに上下に引張り、側面から見たときに、複数の第1の線状導体20aと、第2の線状導体20bとの間に、両面電極型太陽電池セル10を挿入することができるような空間を形成する。
【0147】
次に、
図22に示すように、第1の線状導体20aと、第2の線状導体20bとの間に、両面電極型太陽電池セル10を挿入する。この場合、両面電極型太陽電池セル10の第1の主面(例えば、光入射側表面)が略同一方向を向くように、複数の太陽電池セルを配置する。
【0148】
次に、
図23に示すように、第1の線状導体20a及び第2の線状導体20bを、両面電極型太陽電池セル10に接触させ、第1の線状導体20a及び第2の線状導体20bを、両面電極型太陽電池セル10に電気的に接続させる。第1の線状導体20a及び第2の線状導体20bは、両面電極型太陽電池セル10のフィンガー電極15及び裏面はんだ付け可能領域18に電気的に接続させる。
【0149】
次に、
図24に示すように、隣接する太陽電池セルの電極が直列接続になるように、第1の線状導体20a及び第2の線状導体20bを、所定の位置で電気的に切断する。電気的な切断の方法は、上述した方法を用いることができる。
【0150】
以上述べた製造方法によっても、太陽電池モジュールの製造のために、隣接する太陽電池セルを直列接続することができる。
【実施例】
【0151】
更に具体的に、本発明の太陽電池モジュールの製造方法を、
図14を参照した本実施例により説明する。
【0152】
本実施例では、p型多結晶基板あるいは単結晶シリコン基板を用いた結晶系シリコン太陽電池セル(BSFセル)を用いたストリングの形成について説明する。
【0153】
A: セル基板ストッカー
セル基板ストッカーには、表面及び裏面に電極を形成済した結晶系シリコン太陽電池セルがストックされている。
【0154】
結晶系シリコン太陽電池セルの製造は、次のようにして行うことができる。まず、ダメージ層を除去し、テクスチャ構造が形成されたp型結晶系シリコン基板にリン拡散プロセスによるn型シリコンのエミッタ層を形成する。次に、エミッタ層の表面に、CVD法によるSiN:Hのパッシベーション膜を形成する。次に、裏面に、裏面電極用の導電性ペースト(アルミニウムペーストによる裏面全面電極及び銀ペーストによる裏面バスバー電極)のスクリーン印刷・乾燥を行い、表面に、表面(光入射側)電極用の導電性ペースト(銀ペースト)のスクリーン印刷・乾燥を行う。裏面及び表面の導電性ペーストを大気中で同時焼成をすることにより、裏面電極及び表面電極が形成される。また、この太陽電池セルは、裏面側にBSF(Back surface Field)を持つ。
【0155】
太陽電池セルの電極構造は、表面電極は、銀ペーストによる幅が平均70μmの82本のフィンガー電極15と、幅1.5mm×長さ154mmの大きさの3本のバスバー電極16で構成される電極パターンを用いた。裏面電極は、幅2mm×長さ154mmの銀ペーストによるバスバー電極3本が、表面のフィンガー電極15の長手方向と垂直方向に形成され、更にアルミニウムペーストによる電極が、3本のバスバー電極と電気的接続をするように、ほぼ裏面全面に形成されている。これらの表面電極及び裏面電極の形成のために、表面には所定の電極パターンの銀ペーストを印刷し、裏面には、バスバー電極のパターンの銀ペーストを印刷し、更に裏面全面電極のためのアルミニウムペーストを印刷した。印刷した銀ペースト及びアルミニウムペーストを乾燥後、大気中ピークで温度800℃、焼成炉のIN−OUTの時間1分で表面電極及び裏面電極を同時焼成して形成した。以上で説明した電極構成は、現在、最も普及している電極構成である。しかしながら、本発明は、他の電極構成の太陽電池セルを用いる場合にも適用可能である。例えば、表面電極が、バスバー電極の部分のないフィンガー電極のみの太陽電池セルの場合、及び裏面のバスバー電極の長手方向が、表面のフィンガー電極の長手方向と一致した電極構成の太陽電池セルの場合(この場合には、線状導体20が表面のフィンガー電極及び裏面のバスバー電極に対して垂直に配置される。)でも、本発明を適用することができる。
【0156】
太陽電池セルの寸法は、156mm×156mm×0.18mmである。カセットには、例えば20枚のセルを収容することができる。表面のフィンガー電極15は縦ワイヤ群(線状導体20)と直交するようにカセット内にセットされている。
【0157】
B: 縦ワイヤ(線状導体20)供給ロール
縦ワイヤ(線状導体20)供給ロールは、直径0.3mmのはんだメッキ銅ワイヤを表面電極用に15ロール、裏面電極用に15ロール収容している。
【0158】
C:はんだペースト塗布装置
はんだペーストとして、市販のはんだペースト(千住金属社製ソルダペースト(L23-BLT5-T7F(Sn:42重量部、Ag:1重量部、Bi:57重量部))をブチルカルビトールで希釈し、粘度調節して使用した。縦ワイヤ(線状導体20)のセルと接着する面に、はんだペーストを塗布する。
【0159】
D:仮圧着ローラ
仮圧着ローラは、表面用ワイヤ(線状導体20)と裏面用ワイヤ(線状導体20)とによって、導通ワイヤ(導通部30の形成用)及び太陽電池セルを交互に挟みつけ、仮圧着するためのローラである。
【0160】
E:横導通ワイヤ供給ロール
横導通ワイヤ供給ロールは、表面用ワイヤと裏面用ワイヤをセル間で導通させる(導通部30を形成する)ための導線(横ワイヤ)を供給する。線径0.3mmのワイヤを使用した。なお、線径の0.3mmは、太陽電池セルの厚さ0.18mmより厚い。
【0161】
F: はんだ溶融ヒータ
はんだ溶融ヒータは、セルの表面電極及び裏面電極と、表面用ワイヤ(線状導体20)及び裏面用ワイヤ(線状導体20)と、横導通ワイヤとをはんだ付けするために用いる。
【0162】
G:厚み調整プレス
厚み調整プレスは、セル間において、はんだ付けされた両ワイヤ(線状導体20)と、横導通ワイヤとを押し潰して導通部30の厚みを調節する。
【0163】
H: ワイヤ切断機
ワイヤ切断機は、導通部30に対して点対称の位置で両ワイヤ(線状導体20)を切断して、隣接する太陽電池が直列接続になるような電流経路を形成する。切断はG厚み調整プレスによって調節されたプレス面を基準面として、スライドし切断する。
【0164】
I:洗浄機
洗浄機により、切断屑の洗浄による排除、また残留フラックスの洗浄をする。
【0165】
J: 乾燥機
洗浄機による洗浄後の乾燥を行う。
【0166】
上述の装置を間欠動作させ10枚のセル構成によるストリングを形成した。
【0167】
<太陽電池セルとワイヤ(線状導体20)の接合>
太陽電池セルと、表面電極及び裏面電極に接着するワイヤ(線状導体20)群との接合は、まず、ワイヤにはんだペーストを塗布してからセルの表面及び裏面と接触させ、はんだペーストを仮止め用の接着として利用した。この場合、はんだは溶融時の表面張力で、予め形成されている銀電極(表面電極及び裏面電極)の表面上にのみ塗布されるので、光面積を大きくする心配がなく都合が良い。また、基板への圧力を低減する緩衝材ともなる。
【0168】
<セル間での表裏ワイヤ短絡>
本実施例では、横ワイヤを用いて表面ワイヤ(線状導体20)と裏面ワイヤ(線状導体20)の導通部30を形成した。横ワイヤの直径は、シリコン太陽電池の厚みより厚く(直径0.3mm)し、圧着時の基板への圧力を軽減できるように考慮した。
【0169】
<ワイヤ(線状導体20)の切断>
セル間における表面及び裏面電極にはんだ付けされたワイヤの間隔はセルの厚み(本実施例では0.18mm)に依存するが、二つのワイヤが近接しているために切断に精度を要する。本実施例では横ワイヤの線径を太陽電池セルの厚さ以上の厚さとして、表裏ワイヤ(線状導体20)と横ワイヤとの交差部分をプレスして、厚みを一定に調節した。そして、この一定の厚みを基準にして切断深さを決定した。そして、刃を紙面に垂直方向に移動して、表15本、裏15本のワイヤの切断を行った。
【0170】
この他、重ねたワイヤをYAGレーザで切断する実験も行った。使用したYAG装置の切断条件は、繰り返し周波数:20KHz、出力;3W、加工速度:10mm/分で行った。この切断によって直径0.3mmのワイヤを幅0.05mmで切断することができた。この切断によって下部のワイヤにやや傷が付いたものの、電気的には問題のない状況で切断可能であることが確認された。
【0171】
レーザ光による切断加工は、切断箇所をプログラム制御ができるため、より自由に切断箇所を選択でき、利用範囲が広い。この他ピコ秒レーザによる切断方法も利用でき、熱的な損傷の排除、スプラッシュの軽減などより望ましい結果が得られる。また、ハサミのようなせん断による切り屑の出にくい機械的切断も利用できる。
【0172】
セル間におけるワイヤ切断箇所はセル端部に近い部分で切断することが望ましい。この理由は切断したワイヤが上下で接触しても短絡する危険性が少ないからである。
【0173】
<ストリングから形成からモジュール一括形成>
本実施例では、10枚を1列に直列接続したストリングを形成する場合について説明したが、この技術を応用して、1モジュール分(例えば6ストリング×10枚/ストリング)のセルの直列接続を形成することも可能である。この場合には6列分を一括に配線し、この動作を間欠的に10回繰り返し、6×10セルのマトリックスを形成することもできる。