特許第6830168号(P6830168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6830168
(24)【登録日】2021年1月27日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/52 20100101AFI20210208BHJP
   C08J 7/00 20060101ALI20210208BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20210208BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20210208BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20210208BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
   H01L33/52
   C08J7/00 304
   H01L21/56 J
   H01L23/30 F
   C08L27/12
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-14032(P2020-14032)
(22)【出願日】2020年1月30日
【審査請求日】2020年2月14日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 翔平
(72)【発明者】
【氏名】吉川 岳
【審査官】 河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−051876(JP,A)
【文献】 特開2008−262008(JP,A)
【文献】 特開2018−177845(JP,A)
【文献】 特開2001−102639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00− 5/02
5/12− 5/22
C08J 7/00− 7/02
7/12− 7/18
C09D 1/00− 10/00
101/00−201/10
H01L 23/28− 23/31
H01L 33/00
33/48− 33/64
H01L 21/56
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基材に取り付けられた電子素子を樹脂組成物で覆う工程Aと、
電子素子を覆った前記樹脂組成物にUVオゾン処理を施す工程Bとを有する電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記工程Aが、配線基材に取り付けられた電子素子の上方に樹脂組成物を設置する工程と、前記樹脂組成物を加熱変形温度以上に加熱する工程を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記電子素子の上方に設置される樹脂組成物がシート状である請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記シート状の樹脂組成物の厚さが、0.01〜2.0mmである請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂組成物が結晶性フッ素樹脂を含み、かつ実質的に揮発成分を含まない請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記結晶性フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体である請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程BのUVオゾン処理が、酸素含有ガス雰囲気下、200nm以下にピーク波長を有する紫外線を照射する処理である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記紫外線の照射出力×前記紫外線の照射時間が0.001W・hour/cm2以上である請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)等の電子素子を備えた電子部品では、電子素子の劣化を防ぐために該電子素子をエポキシ樹脂やシリコーン樹脂により封止することが多く、フッ素樹脂により封止する例もある。
【0003】
例えば、特許文献1には、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)及びビニリデンフルオライド(VdF)を少なくとも含むフッ素ポリマー(THV)をLED素子の封止に用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−51876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LED等の発光素子を備えた電子部品が樹脂により封止されている場合、電子素子から出力される光を効率よく取り出すために、封止樹脂の品質の向上が求められることがある。従って本発明の目的は、封止樹脂の品質が向上した電子部品の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することのできた本発明の電子部品及びその製造方法は、以下の構成からなる。
[1] 配線基材に取り付けられた電子素子を樹脂組成物で覆う工程Aと、
電子素子を覆った前記樹脂組成物にUVオゾン処理を施す工程Bとを有する電子部品の製造方法。
[2] 前記工程Aが、配線基材に取り付けられた電子素子の上方に樹脂組成物を設置する工程と、前記樹脂組成物を加熱変形温度以上に加熱する工程を含む[1]に記載の製造方法。
[3] 前記電子素子の上方に設置される樹脂組成物がシート状である[2]に記載の製造方法。
[4] 前記シート状の樹脂組成物の厚さが、0.01〜2.0mmである[3]に記載の製造方法。
[5] 前記樹脂組成物が結晶性フッ素樹脂を含み、かつ実質的に揮発成分を含まない[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記結晶性フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体である[5]に記載の製造方法。
[7] 前記工程BのUVオゾン処理が、酸素含有ガス雰囲気下、200nm以下にピーク波長を有する紫外線を照射する処理である[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 前記紫外線の照射出力×前記紫外線の照射時間が0.001W・hour/cm2以上である[7]に記載の製造方法。
[9] 配線基材に取り付けられた発光素子が樹脂組成物で覆われた電子部品であって、
以下で特定される変化率が1.5%以上となるUVオゾン処理が前記樹脂組成物に施されている電子部品。
変化率(%)={(UVオゾン処理後の電子部品の光強度/UVオゾン処理前の電子部品の光強度)−1}×100
[10] 配線基材に取り付けられた発光素子が樹脂組成物で覆われた電子部品であって、
光強度が、発光素子が樹脂組成物で覆われる前の電子部品の光強度を基準とする相対値として1.38以上である電子部品。
[11] 前記樹脂組成物が結晶性フッ素樹脂を含み、かつ実質的に揮発成分を含まない[9]又は[10]に記載の電子部品。
[12] 前記結晶性フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体である[11]に記載の電子部品。
[13] 前記樹脂組成物の厚みが0.01〜2.0mmである[9]〜[12]のいずれかに記載の電子部品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、封止樹脂の品質が向上した電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は従来の電子素子の一例を示す概略断面図である。
図2図2は従来の電子素子をサブマウントに取り付けた電子素子部品の一例を示す概略断面図である。
図3図3は従来の電子素子を実装した配線基材の概略断面図である。
図4図4は電子素子の上方に樹脂組成物を設置した状態の一例を示す概略断面図である。
図5図5は本発明の電子部品の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[電子部品]
本発明の電子部品は、配線基材に取り付けられた電子素子(好ましくは発光素子)が樹脂組成物で覆われている。
【0010】
(1)電子素子
前記電子素子(好ましくは発光素子)としては、一般的に半導体でありトランジスタ、ダイオードなどが挙げられ、半導体ダイオードが好ましい。半導体ダイオードとしては、発光ダイオードが好ましく、特に紫外線発光ダイオード(以下、紫外線発光素子という場合もある)が好ましい。
【0011】
図1は前記紫外線発光素子の一例を示す概略断面図である。電子素子としての紫外線発光素子2はフリップチップタイプの素子であり、下側面の一部にアノード側のp電極10を備え、該p電極10の上にp層12が形成されている。更に紫外線発光素子2の下側面の別の一部に、カソード側のn電極11を備え、n電極11の上にn層14が形成されている。これらn電極11とn層14は、前記p電極10とp層12よりも上方にシフトして形成されており、上方に存在するn層14と下方に存在するp層12との間に活性層13が形成されている。加えて上方に存在するn層14のさらに上に素子基板15が存在する。
【0012】
紫外線発光素子2におけるn層14は、例えばSi含有AlGaN層が挙げられる。p層12は、例えばMg含有GaN層が挙げられる。このp層12は、必要に応じて電子ブロック層などと積層構造にしてもよい。活性層13は、例えばAlGaN層が挙げられる。
【0013】
p電極10、p層12からn層14、n電極11に向けて順方向電流を流すことにより活性層13におけるバンドギャップエネルギーに応じた発光が生じる。バンドギャップエネルギーは、活性層13の例えばAlNモル分率を調整することにより、GaNとAlNが取り得るバンドギャップエネルギー(約3.4eVと約6.2eV)の範囲内で制御することができ、発光波長が約200nmから約365nmまでの紫外線発光を得ることができる。
【0014】
なお素子基板15には、サファイア基板、窒化アルミニウム基板等が使用可能である。p電極10の素材としてNi/Au、n電極11の素材としてTi/Al/Ti/Au等が使用できる。またp電極10とn電極11の間の露出面は、短絡を防止するためにSiO2等の保護絶縁膜(図示せず)により被覆されていてもよい。
【0015】
紫外線発光素子2の発光ピーク波長は200〜365nmの範囲で適宜設定でき、300nm以下であることが好ましい。発光ピーク波長が300nm以下であることにより殺菌効果が発揮され易くなるため、殺菌用の発光装置に紫外線発光素子2を用いることができる。発光ピーク波長は、より好ましくは280nm以下である。
【0016】
(2)配線基材
配線基材は、表面に電極配線が形成された基材であり、パッケージと称されることがある。この配線基材に電子素子が取り付けられる。配線基材は、表面実装型、複数の電子素子が表面実装されたチップオンボード型のいずれでもよい。また分割することで複数の表面実装型電子部品を製造するための連結型配線基材であってもよい。さらに表面実装型、連結型、チップオンボード型などに使用される配線基材の形状は、キャビティ型であってもよく、平板型であってもよい。また表面実装型、連結型、及びチップオンボード型において、前記電子素子は、配線基材上にバンプを介して直接設置されていてもよいし、配線基材上にサブマウントを接着し、このサブマウント上にバンプを介して電子素子を取り付けて電子素子部品とし、該電子素子部品を配線基材に設置してもよい。
【0017】
なお前記バンプには、Au、Au−Sn(20質量%)合金等の金属が使用可能である。またサブマウントには、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al23)等のセラミックスが使用できる。
【0018】
図2は、紫外線発光素子2が、サブマウント4上にバンプ5を介して設置された電子素子部品6aの一例を示す概略断面図である。図示例の電子素子部品6aは、サブマウント4の表面に形成されたアノード側の金属電極配線(図示せず)、及びカソード側の金属電極配線(図示せず)に、紫外線発光素子2のp電極10及びn電極11とが、それぞれバンプ5を介して、電気接続できるように固定されている。
【0019】
図3は、表面実装型配線基材に電子素子部品6aを実装した電子素子実装パッケージを示す概略断面図である。図示例の電子素子実装パッケージ30では、電子素子部品6aが、シリコーン系接着剤等の接合材31を用いて、コア基板32上に接着される。コア基板32は、金属基板34の片面に絶縁層37が形成されたものであり、この絶縁層37の表面にアノード電極35及びカソード電極36に電気的に接続するパターン回路38が形成されている。電子素子部品6aのサブマウント4の表面に形成された金属電極配線(図示せず)とパターン回路38を金線等のワイヤ33によってワイヤボンディングすることにより、サブマウント4上の金属電極配線とパターン回路38との間で電気的な接続が形成される。なお上述した様に、本発明には、チップオンボード型の配線基材も使用可能であり、図示例に限定されない。
【0020】
(3)樹脂組成物
本発明では、上述した様に、配線基材に取り付けられた電子素子(好ましくは発光素子)が樹脂組成物で覆われており、すなわち配線基材に取り付けられた電子素子(好ましくは発光素子)が樹脂組成物で封止されている。前記樹脂組成物は、封止樹脂として使用される公知の樹脂を含むことが好ましく、当該樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。前記樹脂は、結晶性樹脂であってもよく、非晶性樹脂であってもよい。紫外線発光ダイオードをエポキシ樹脂やシリコーン樹脂で封止すると、紫外線によって樹脂の劣化が大きくなる場合があるのに対して、フッ素樹脂で封止すると樹脂の劣化を抑制できるため、前記樹脂組成物はフッ素樹脂を含むことが好ましい。前記樹脂は、1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書で「フッ素樹脂」とは、フッ素を含むオレフィンの重合体又はその変性物を意味し、前記変性物には、例えば、主鎖末端に−OHや−COOHなどの極性基が結合するものが含まれる。
【0021】
フッ素樹脂としては、−SO3H基などの極性基を側鎖に有さないフッ素樹脂が電子部品の性能維持の観点から好ましく、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、クロロトリフルオロエチレン重合体(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV)などの結晶性フッ素樹脂;テフロンAF(商標;三井・ケマーズフロロプロダクツ社製)、サイトップ(商標;AGC社製)などの非晶質フッ素樹脂などが挙げられ、これらフッ素樹脂は、1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
前記フッ素樹脂としては、結晶性フッ素樹脂がより好ましく、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV)がよりさらに好ましい。結晶性フッ素樹脂、特にテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体(THV樹脂)は、基材や電子素子に対する密着性が優れている。
【0023】
前記THV樹脂としては、テトラフルオロエチレン由来の構成単位T、ヘキサフルオロプロピレン由来の構成単位H、及びフッ化ビニリデン由来の構成単位Vを含み、構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計に対する構成単位Tのモル比(T)が0.25以上であり、構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計に対する構成単位Vのモル比(V)が0.60以下である樹脂が好ましい。これにより紫外線発光素子の発熱に対する耐熱性、および紫外線発光装置の基材等に対する密着性を向上することができる。
【0024】
構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計に対する構成単位Tのモル比(T)は0.25以上であることが好ましい。これにより密着性が向上する傾向となる。そのため構成単位Tのモル比(T)の下限は、より好ましくは0.28以上、更に好ましくは0.30以上である。一方、構成単位Tのモル比(T)の上限は、透明性の観点から好ましくは0.75以下、より好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.50以下である。
【0025】
構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計に対する構成単位Vのモル比(V)は0.60以下であることが好ましい。これにより透明性や密着性が向上する傾向となる。そのため構成単位Vのモル比(V)の上限は、好ましくは0.58以下、より好ましくは0.56以下である。一方、構成単位Vのモル比(V)の下限は、0.20以上であることが好ましい。これにより、樹脂の屈折率を高めることができ、素子と樹脂の界面での屈折率差を緩和できるため、発光素子からの光取出し効率が向上する。なお光取出し効率とは、発光素子で発生した光が発光素子の外部に取り出される効率のことである。そのため構成単位Vのモル比(V)の下限は、より好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上、更により好ましくは0.50以上である。
【0026】
構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計に対する構成単位Hのモル比(H)は0.05以上、0.50以下であることが好ましい。構成単位Hのモル比(H)の下限は溶解性の観点から、より好ましくは0.07以上、更に好ましくは0.09以上である。一方、構成単位Hのモル比(H)の上限は、耐熱性の観点からより好ましくは0.40以下、更に好ましくは0.30以下、更により好ましくは0.20以下である。
【0027】
モル比(V)のモル比(T)に対する比(モル比(V)/モル比(T))は、0.20以上、3.50以下であることが好ましい。モル比(V)/モル比(T)を上記範囲に制御することによって、密着性が向上する傾向となる。また、高温加熱時の樹脂の着色を防止できる。モル比(V)/モル比(T)の下限は、より好ましくは0.50以上、更に好ましくは1.00以上、更により好ましくは1.30以上である。一方、モル比(V)/モル比(T)の上限は、より好ましくは3.00以下、更に好ましくは2.50以下、更により好ましくは2.00以下である。
【0028】
モル比(H)のモル比(T)に対する比(モル比(H)/モル比(T))は、0.10以上、0.80以下であることが好ましい。モル比(H)/モル比(T)を上記範囲に制御することにより、透過率や密着性が向上する傾向となる。モル比(H)/モル比(T)の下限は、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.24以上、更により好ましくは0.28以上である。一方、モル比(H)/モル比(T)の上限は、より好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.50以下、更により好ましくは0.40以下である。
【0029】
フッ素樹脂の各構成単位のモル比は、NMR測定により求めることができる。モル比の算出に当たっては、例えばEric B. Twum et al., “Multidimensional 19F NMR Analyses of Terpolymers from Vinylidene Fluoride (VDF)-Hexafluoropropylene(HFP)-Tetrafluoroethylene (TFE)”, Macromolecules、2015年, 48巻, 11号, p.3563-3576を参照することができる。
【0030】
前記THV樹脂は、構成単位T、構成単位H、及び構成単位V以外の他の構成単位を含む樹脂であってもよい。他の構成単位としては、例えばエチレン由来の構成単位、パーフルオロアルキルビニルエーテル由来の構成単位、クロロトリフルオロエチレン由来の構成単位等が挙げられる。
【0031】
前記THV樹脂の全構成単位に対する構成単位T、構成単位H、及び構成単位Vの合計モル比は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.80以上、更に好ましくは0.90以上、特に好ましくは0.95以上、最も好ましくは1である。即ち変性されていないTHV樹脂であることが最も好ましい。これにより耐熱変形性を向上し易くすることができる。
【0032】
樹脂にテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体又はその変性物(THV樹脂)を用いる好ましい形態において、当該樹脂組成物は、THV樹脂以外のフッ素樹脂(以下、フッ素樹脂Xという場合がある)を含有していてもよい。
【0033】
フッ素樹脂Xとして、結晶性フッ素樹脂が挙げられ、具体的には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、クロロトリフルオロエチレン重合体(PCTFE)等が挙げられる。これらフッ素樹脂Xは、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
THV樹脂とフッ素樹脂Xとを併用する場合、THV100質量部に対するフッ素樹脂Xの量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、特に好ましくは1質量部以下、最も好ましくは0質量部である。即ち、本発明の樹脂組成物に含まれるフッ素樹脂は、THV樹脂からなることが最も好ましい。これにより樹脂間の屈折率差が低減されて光取出し効率を向上することができる。
【0035】
前記樹脂の重量平均分子量は50,000以上、1,000,000以下であることが好ましい。重量平均分子量を50,000以上とすることにより融解時の粘度を高くすることができるため、LED点灯時の封止樹脂の形状変化を抑制することができる。前記樹脂の重量平均分子量の下限は、より好ましくは100,000以上、更に好ましくは200,000以上、更により好ましくは250,000以上、特に好ましくは300,000以上である。一方、樹脂の重量平均分子量を1,000,000以下とすることにより溶解性が良くなる。前記樹脂の重量平均分子量の上限は、より好ましくは800,000以下、更に好ましくは600,000以下、更により好ましくは500,000以下、特に好ましくは450,000以下である。なお、重量平均分子量は標準ポリスチレン換算値である。
【0036】
前記樹脂が共重合体である場合、該共重合体は、ランダム共重合体、またはブロック共重合体のいずれであってもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。特にTHV樹脂をランダム共重合体樹脂にすることにより、構成単位Tや構成単位Vの結晶化度を抑制することができ、透明性を確保しやすい。
【0037】
前記樹脂の屈折率は、好ましくは1.34超、より好ましくは1.35以上、更に好ましくは1.36以上である。これにより、発光素子(好ましくは紫外線発光素子)と後述する封止部の屈折率の差を小さくすることができ、発光素子と封止部との界面における全反射を低減して、光取出し効率を向上させることができる。一方、前記樹脂の屈折率の上限は、例えば1.45以下、好ましくは1.40以下であってもよい。屈折率は、カタログ値や一般的な物性表に記載の数値を使用しても良いし、アッベ屈折率計、エリプソメーターなどにより測定することができる。
【0038】
前記樹脂組成物の加熱変形温度は、90℃以上、278℃以下であることが好ましい。加熱変形温度が90℃以上であることにより、電子素子の発熱による封止部材の溶融を防止できる。前記樹脂組成物の加熱変形温度の下限は、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上、更により好ましくは115℃以上である。一方、一般的なハンダ材であるAu−Sn(20質量%)の融点が278℃であることから、樹脂組成物の加熱変形温度が278℃以下であることにより、樹脂組成物の加熱溶融による電子素子の封止を容易にできる。また加熱溶融で封止するときの後述のバンプの溶融を防止できる。樹脂組成物の加熱変形温度の上限は、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは170℃以下、更により好ましくは150℃以下、特に好ましくは130℃以下である。ここで、加熱変形温度とは、結晶性樹脂の場合には融点であり、非晶性樹脂の場合にはガラス転移温度である。樹脂組成物のガラス転移温度又は融点は、例えば示差走査熱量計(DSC、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、昇温速度10℃/分で−50℃から200℃の温度まで変化させ、これにより得られるDSC曲線(融点の場合は融解曲線)から中間ガラス温度又は融解ピーク温度(Tm)を測定することにより求めることができる。例えば、3M社製の「THV500GZ」の加熱変形温度(融点)は165℃程度、3M社製の「THV221AZ」の加熱変形温度(融点)は115℃程度であり、AGC社製の「サイトップ(商標)」の加熱変形温度(ガラス転移温度)は108℃程度である。また、本発明で好適に用いられる結晶性フッ素樹脂は、室温で固体であり、封止後の表面にタック性が無く、硬度も十分であり、さらには融点以上への加熱により適度な流動性を発現できることから、単層であっても電子素子を封止することができる。
【0039】
前記樹脂組成物は実質的に揮発成分を含まないことが好ましい。樹脂組成物中に含まれる揮発成分が5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0040】
揮発成分の含有率は、熱分析により測定できる。樹脂組成物中に含まれる揮発成分の含有率は、示差熱熱重量同時測定装置等を用いて測定することができ、樹脂組成物を昇温して、30℃時点での樹脂組成物の質量と300℃時点での樹脂組成物との質量を測定し、30℃時点での樹脂組成物の質量と300℃時点での樹脂組成物との質量差を30℃時点での樹脂組成物の質量で除することにより求めることができる。また、揮発成分として、水、溶媒等が挙げられるが、揮発成分を特定したい場合には、ガス質量分析機を併用して当該揮発成分を分析すればよい。
【0041】
前記樹脂組成物は、必要に応じて、更にフィラー、及びその他の成分を含んでいてもよい。樹脂組成物がフィラーを含有することによって樹脂の熱分解を防止できる。なお、樹脂組成物中、前記樹脂は、マトリックス成分又は主成分であることが好ましく、樹脂組成物中の前記樹脂の含有量は、例えば、40質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、より更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
【0042】
フィラーとしては、例えば、金属フッ化物、金属酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、金属スルホン酸塩、金属硝酸塩、金属窒化物、窒化ホウ素等の無機フィラーが挙げられる。フィラーは、1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。好ましいフィラーは、金属フッ化物である。金属フッ化物は、本発明で好適に用いられるフッ素樹脂との屈折率差が小さく、発光素子を封止する際に、光の取り出し効率を高めることができる。
【0043】
金属フッ化物としては、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム、氷晶石等が挙げられ、フッ化マグネシウムが好ましい。これら金属フッ化物は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
フィラーの粒径は300μm以下であることが好ましい。フィラーが300μm以下であることにより樹脂の温度上昇に伴う変色を低減することができる。フィラーの粒径は、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下、更により好ましくは50μm以下、殊更好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。一方、フィラーの粒径は0.5μm以上であることが好ましい。フィラーの粒径を0.5μm以上とすることにより樹脂とフィラー間での光の散乱を抑えることができ、樹脂の透明性が優れる。フィラーの粒径の下限は、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上である。このフィラーの粒径とは、レーザー回析法による体積累積頻度50%の粒子径D50である。
【0045】
前記樹脂とフィラーとの屈折率の差は、0.05以下であることが好ましい。このように屈折率の差を低減することにより、フィラーの表面(組成物中における、フィラーの表面と樹脂との界面)での光の散乱を抑制できるため、光取出し効率を向上することができる。前記樹脂とフィラーとの屈折率の差は、より好ましくは0.04以下、更に好ましくは0.03以下であることが更により好ましい。一方、前記樹脂とフィラーとの屈折率の差の下限は特に限定されないが例えば0.001以上であってもよい。前記フィラーの屈折率は、カタログ値や一般的な物性表に記載の数値を使用しても良いし、アッベ屈折率計、エリプソメーターなどにより測定することができる。
【0046】
樹脂組成物がフィラーを含有する場合、樹脂及びフィラーの合計100質量部に対するフィラーの量は1質量部以上、60質量部以下であることが好ましい。フィラーの量が1質量部以上であることにより、樹脂の熱分解を防止し易くできる。フィラー量の下限は、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。一方、フィラーの量が60質量部以下であることにより、樹脂の密着性が発揮され易くなる。フィラーの量の上限は、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下である。
【0047】
樹脂組成物(固形分)の総質量に対する樹脂、及びフィラーの合計含量は90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることが更により好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。これにより、樹脂の密着性とフィラーの熱伝導性が発揮され易く、また樹脂部材の耐熱変形性が良好となる。
【0048】
本発明の電子部品では、実質的にフィラーを含まない樹脂組成物を用いることが好ましい。これにより、配線基材に取り付けられた電子素子を覆う樹脂組成物の厚み(以下、単に「樹脂組成物の厚み」という)を厚くすることができる。フィラーを実質的に含まない場合、フィラーを含む場合と比べて透明性を維持することができ、後述するレンズの集光性を高めることができる。また、樹脂組成物の厚みが厚くなると、ガスバリア性や外部からの力学的な衝撃に対する電子素子の保護性能が向上する。ここで、実質的にフィラーを含まないとは、樹脂組成物中に含まれるフィラー濃度が、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0質量%である。
【0049】
(4)集光レンズ
紫外線発光素子を有する電子部品では、樹脂組成物が紫外線発光素子を封止している限り、封止部は種々の形状をとることができ、例えば、レンズ状、板状、円錐台状、円柱状、半球状、半楕円球状などの形状が挙げられるが、紫外線発光素子の上面をレンズ状として(紫外線発光素子の上面を凸状の曲面として)集光レンズとして使用することが好ましい。図5の電子部品50は、樹脂組成物による封止部51自体が上面に盛り上がって凸状の曲面を形成している例である。
【0050】
配線基材に取り付けられた電子素子を覆う樹脂組成物の厚み(以下、単に「樹脂組成物の厚み」という)は、0.01mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.10mm以上、更に好ましくは0.15mm以上、特に好ましくは0.20mm以上、最も好ましくは0.30mm以上である。樹脂組成物の厚みを上記範囲とすることにより、封止部がレンズ形状となり易く、光取出し効率をより向上することができる。また、樹脂組成物の厚みは、2.00mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.00mm以下、更に好ましくは0.80mm以下である。樹脂組成物の厚みを上記範囲とすることにより、後述するUVオゾン処理によって、樹脂組成物の透明性をより良好にすることが可能となり、光取出し効率をより向上することができる。なお、ここでいう厚みとは、図5で示すように、電子素子の上面から樹脂組成物の最大高さまでの距離(図5におけるT1)のことである。樹脂組成物の厚みは、例えばデジマイクロ(Nikon社製)などを用いて測定することができる。
【0051】
本発明の電子部品は、封止樹脂(樹脂組成物)の品質が良好である。特に樹脂組成物の透明性が良好であり、光取出し効率が優れていることから、本発明の電子部品は、光強度が良好である。従って、本発明の電子部品の光強度は、発光素子が樹脂組成物で覆われる前の電子部品の光強度を基準とする相対値として1.38以上(好ましくは1.39以上)とすることが可能である。
【0052】
[電子部品の製造方法]
前記電子部品は、配線基材に取り付けられた電子素子を樹脂組成物で覆う工程A(すなわち封止工程)と、電子素子を覆った前記樹脂組成物にUVオゾン処理を施す工程Bとを有する方法により製造することができる。
【0053】
(5)封止工程
樹脂組成物による封止は、前記電子素子を固定できる限り特に限定されないが、電子素子が発光素子である場合、活性層を外部の酸素や水分から遮断できることが好ましく、発光素子全体を外部の酸素や水分から遮断できることがより好ましい。図5は、図3の電子素子実装パッケージ30を封止して電子部品50にした例を示す概略断面図である。
【0054】
図5の電子部品50は、図3に示した電子素子実装パッケージ30における紫外線発光素子2の下面(電極10、11)から上面(素子基板15まで)までを樹脂組成物で被覆して封止部51とすることで形成できる。
【0055】
樹脂組成物による封止は、例えば、以下のa)〜c)の方法により行うことができるが、作業効率の観点から、b)の溶融封止法が好ましい。特に図5の電子部品50の様に、封止部(樹脂組成物)の上面を凸状に盛り上がった形状にする場合、溶融封止法が好ましい。
a)樹脂組成物を適当な溶媒と混合して得られるスラリー又は溶液(以下、塗布液という場合がある)を塗布し、乾燥する工程を1回以上繰り返す方法(以下、塗布法という場合がある)。
b)配線基材に取り付けられた電子素子の上方に樹脂組成物を設置する工程と、前記樹脂組成物を加熱変形温度以上に加熱する工程を含む方法(以下、溶融封止法という場合がある)。
c)前記塗布法と溶融封止法とを適宜組み合わせた方法。
【0056】
前記塗布液の調製に使用し得る溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、テロラヒドロフランなどの環状エーテル、N−メチル−2−ピロリドンなどのラクタム類、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒が挙げられる。
【0057】
塗布液中の樹脂組成物の濃度は、例えば、1質量%以上である。濃度を高くするほど、塗布回数を減らすことができる。好ましい濃度は5質量%以上であり、より好ましくは7質量%以上である。また前記濃度は、例えば、50質量%以下である。濃度を低くするほど、塗布液の粘性の向上を防ぐことができ、処理精度を高めることができる。好ましい濃度は40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
【0058】
溶融封止法としては、樹脂組成物を、必要に応じてシート状に成形した後、樹脂組成物又はそのシートを配線基材の電子素子実装側に積層した後、樹脂組成物又はそのシートを加熱変形温度以上に加熱して溶融し、冷却する方法を採用することが好ましい。
【0059】
図4は、図3の電子素子実装パッケージ30を封止して図5の電子部品50を製造する封止工程の一例を示す概略断面図であり、図3の電子素子実装パッケージの上面に樹脂シート41を配置した状態を示す。樹脂シート41は、上述した樹脂組成物を予めシート状に成形することによって製造される。樹脂シート41の成形方法は公知の種々の成形方法を採用することができ、プレス成形法、押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、コーティング法などの、溶融樹脂又は溶解樹脂を用いる成形方法が採用できる。得られた樹脂シート41を、図4に示すように、紫外線発光素子2の上方に設置する。次に、樹脂シート41を加熱変形温度以上に加熱することにより、樹脂シート41(樹脂組成物)が溶融し、自重により垂下する。そして垂下した樹脂組成物が紫外線発光素子2全体を覆い(封止部51を形成し)、紫外線発光素子2を封止できる。最後に電子部品を冷却し、紫外線発光素子2全体を覆っている樹脂組成物51を固化する。
【0060】
なお、樹脂組成物による封止は、上述したように樹脂シートを利用することが好ましいものの、樹脂シートの使用は必須ではない。例えば、粉末状の樹脂組成物を電子素子の上面に散布してから樹脂組成物の加熱変形温度以上に加熱することでも、同様に封止可能である。シート状の樹脂組成物を用いる場合、その厚さは、0.01mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.05mm以上、更に好ましくは0.10mm以上であり、また、2.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは1.0mm以下、更に好ましくは0.8mm以下、特に好ましくは0.6mm以下である。樹脂シートの厚さが上記範囲内であると、封止後の樹脂組成物の機械的強度やバリア性を高くでき、また樹脂組成物の透明性をより良好にすることが可能となる。
【0061】
シート状、粉末状等の樹脂組成物の加熱は、大気中などの酸素含有雰囲気下で行ってもよいが、窒素雰囲気中、アルゴン雰囲気中などの不活性ガス雰囲気下で行う方が好ましい。さらに樹脂組成物の加熱は、大気圧下で行ってもよいが、真空中などの減圧下で行うことも好ましい。減圧下で樹脂組成物を加熱すると、封止後の樹脂組成物中に残存する気泡が低減されて透明性が向上する。
【0062】
減圧下で樹脂組成物を加熱する場合、その圧力は、大気圧から0.05MPa以上減圧することが好ましく、0.07MPa以上減圧することがより好ましく、0.09MPa以上減圧することが特に好ましい。また、減圧下で樹脂組成物を加熱する場合、その圧力の上限は、大気圧から0.12MPa程度減圧した状態である。減圧下で樹脂組成物を加熱する場合、その後の電子部品の冷却は減圧下で行ってもよく、大気圧に戻してから冷却してもよい。
【0063】
樹脂組成物(粉末、樹脂シートなど)の加熱温度は、樹脂組成物の加熱変形温度以上であることが好ましい。すなわち、樹脂組成物の加熱温度は、実質的に(質量基準で、例えば、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が)非晶性樹脂からなる樹脂組成物の場合はガラス転移温度以上、実質的に(質量基準で、例えば、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が)結晶性樹脂からなる樹脂組成物の場合には、融点以上であることが好ましい。樹脂組成物の加熱温度は、樹脂組成物の加熱変形温度+10℃以上が好ましく、加熱変形温度+20℃以上がより好ましい。加熱温度の上限は、例えば、278℃以下であり、より好ましくは250℃以下であり、更により好ましくは200℃以下であり、特に好ましくは180℃以下である。
【0064】
樹脂組成物(粉末、樹脂シートなど)の加熱時間は、10分間以上20時間以下であることが好ましく、30分間以上10時間以下であることがより好ましい。
【0065】
上述したように、紫外線発光素子を有する電子部品では、集光レンズを有していていることが好ましい。図5の電子部品50は、樹脂組成物による封止部51自体が上面に盛り上がって凸状の曲面を形成している例である。このような封止を行うためには、封止工程(図4)では、十分量の体積の樹脂シート41又は樹脂粉末を用い、溶融時の表面張力で凸状の集光レンズが形成される様にすることが好ましい。また図示しないが、チップオンボード型の配線基材に電子素子を実装し、かつ封止してもよい。
【0066】
図5では、1つのパッケージにおいて紫外線発光素子全体を覆うように樹脂組成物を封止する例を挙げたが、例えば、複数個のパッケージを並べて設置し、複数個のパッケージを覆うように1枚の樹脂シートを配置し、図4での製造工程と同様に樹脂シートを加熱変形温度以上に加熱して溶融することにより、複数個の紫外線発光素子を同時に樹脂組成物で覆うことができる。その後、図4での製造工程と同様に樹脂組成物を冷却して固化する。この時点では各パッケージ同士は覆われた樹脂組成物によって連結された状態となっているが、パッケージ同士を連結している樹脂組成物をカッター等で切断することにより連結されているパッケージを分離することができる。
【0067】
なお、封止工程後(UVオゾン処理前)の樹脂組成物の厚み、屈折率、加熱変形温度、及び樹脂組成物に含まれる樹脂の組成等は、後述するUVオゾン処理によって変化することはないため、上記に説明した本発明の電子部品を構成する樹脂組成物(UVオゾン処理後の樹脂組成物)の好ましい範囲と同様である。また、樹脂組成物に含まれる樹脂の重量平均分子量は、後述するUVオゾン処理により大きくなる傾向にあり、すなわち、封止工程後(UVオゾン処理前)の樹脂組成物に含まれる樹脂の重量平均分子量は、本発明の電子部品を構成する樹脂組成物(UVオゾン処理後の樹脂組成物)に含まれる樹脂の重量平均分子量より小さい傾向にある。従って、封止工程後(UVオゾン処理前)の樹脂組成物に含まれる樹脂の重量平均分子量は50,000以上であることが好ましく、より好ましくは100,000以上、更に好ましくは200,000以上、更により好ましくは250,000以上、特に好ましくは300,000以上である。また、封止工程後(UVオゾン処理前)の樹脂組成物に含まれる樹脂の重量平均分子量の上限は、1,000,000以下であることが好ましく、より好ましくは800,000以下、更に好ましくは500,000以下、更により好ましくは450,000以下、特に好ましくは400,000以下である。なお、重量平均分子量は標準ポリスチレン換算値である。
【0068】
(5)UVオゾン処理
本発明の電子部品の製造方法は、電子素子を覆った樹脂組成物(すなわち、封止後の樹脂組成物)にUVオゾン処理を施す工程を有する。電子素子(好ましくは発光素子)を覆った樹脂組成物にUVオゾン処理を施すことにより、樹脂組成物中に存在する透明性を低下させる要因がUVオゾン処理により除去されるためか、樹脂組成物の透明性が向上し、光取出し効率を向上することができる。
【0069】
UVオゾン処理としては、酸素含有ガス雰囲気下、200nm以下(好ましくは190nm以下)にピーク波長を有する紫外線を照射することが好ましく、150nm以上、200nm以下の範囲と、250nm以上、300nm以下の範囲にそれぞれピーク波長を有する紫外線を照射することがより好ましい。前記紫外線を照射するための光源としては、低圧水銀ランプが挙げられる。
【0070】
酸素含有ガスは、酸素を含んでいれば特に限定されず、例えば酸素ガスであってもよいし、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスであってもよいし、空気であってもよい。不活性ガスとしては窒素ガスやアルゴンガスを用いることができる。混合ガスを用いる場合、混合ガス中における酸素ガスの濃度は1容量%以上、30容量%以下の範囲で調整することが好ましい。
【0071】
UVオゾン処理は、大気圧下、加圧下、減圧下のいずれで行ってもよいが、大気圧下で行うことが好ましい。
【0072】
UVオゾン処理の処理時間、すなわち前記紫外線の照射時間は、1分以上であることが好ましく、より好ましくは10分以上、更に好ましくは30分以上、特に好ましくは1時間以上である。処理時間を上記範囲とすることにより、樹脂組成物の透明性がより向上する。UVオゾン処理の処理時間の上限は、生産性の観点から10時間以下であることが好ましく、8時間以下であってもよく、5時間以下であってもよい。
【0073】
前記紫外線の照射出力×前記紫外線の照射時間は、0.001W・hour/cm2以上であることが好ましく、より好ましくは0.01W・hour/cm2以上、更に好ましくは0.03W・hour/cm2以上、特に好ましくは0.05W・hour/cm2以上である。前記紫外線の照射出力×前記紫外線の照射時間の値を上記範囲とすることにより、樹脂組成物の透明性がより向上する。前記紫外線の照射出力×前記紫外線の照射時間は、3W・hour/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは1W・hour/cm2以下、更に好ましくは0.5W・hour/cm2以下、特に好ましくは0.3W・hour/cm2以下である。前記紫外線の照射出力×前記紫外線の照射時間の値を上記範囲とすることにより、樹脂組成物の強度が維持されやすく、力学的強度と透明性に優れた封止部を形成できる。
【0074】
上述の方法により作製された電子部品は、下記式で特定される変化率が1.5%以上であることが好ましく、より好ましくは1.8%以上、更に好ましくは2.0%以上、特に好ましくは2.3%以上である。下記式で特定される変化率の上限は特に限定されないが、20%以下であってもよく、15%以下であってもよく、10%以下であってもよく、7%以下であってもよい。
変化率(%)={(UVオゾン処理後の電子部品の光強度/UVオゾン処理前の電子部品の光強度)−1}×100
【実施例】
【0075】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例
によって制限を受けるものではなく、前後の記述の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を
加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含され
る。
【0076】
[膜厚の測定]
封止後のチップ直上の樹脂組成物の厚みを、デジマイクロ(Nikon社製、装置:MF−501+カウンタMFC−101A+MS−11C、測定子:ピン測定子)を用いて測定した。
【0077】
[低圧水銀ランプの光強度の測定]
低圧水銀ランプの光強度を下記の条件に基づいて測定した。測定の結果、本実施例で使用した低圧水銀ランプの光強度(出力)は1.38W/(2.5×2.5×3.14)=0.070W/cm2であった。
測定条件
装置:VEGA レーザーパワー/エネルギーメータ(OPHIR社製)
測定波長レンジ:UV
測定タイミング:点灯開始から5分後の値
測定時間アベレージ:10秒
測定位置:低圧水銀ランプから5cmの距離に検出器の上面が来るように設置
検出器の大きさ:5cmφ
【0078】
[光強度の測定]
封止前後、及びUVオゾン処理後のサンプルの光強度を下記の条件に基づいて測定した。
測定条件
測定装置:OP−RADIANT−UV 紫外LED測定用積分球システム(オーシャンフォトニクス社製)
電流値:40mA
温度:25℃
【0079】
[THVシートの作製]
N,N−ジメチルアセトアミド(富士フィルム和光純薬社製、純度98%)80質量部に対し、THV221AZ(3M社製)20質量部を添加し、室温で一晩かけて攪拌混合した。得られた混合物4.0gと8.0gをPFAペトリ皿(内径×外径×高さ=φ50mm×φ55mm×14.5mm)上にそれぞれ入れ、送風乾燥機を用いて200℃10時間の条件で熱処理し、厚さ0.20mmと0.40mmの硬化物を得た。得られた硬化物をハサミで正方形に切り出し、厚さ0.40mmの硬化物からサンプル1及び2のTHVシートを、厚さ0.20mmの硬化物からサンプル3のTHVシートをそれぞれ得た。切り出したTHVシートの重量を測定し、THV221AZの比重1.95を用いてサンプル1〜3のシートの面積を計算した。サンプル1〜3のシートの面積を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
[深紫外線LED基板の作製]
サブマウント付き深紫外線LED素子(DOWAエレクトロニクス社製、型番275−FL−01−s08)を銅基板に接合材(信越化学工業株式会社、KER−3000−M2)を用いて接着し、金線でサブマウントと銅基板の電極をワイヤボンディングして深紫外線LED基板を作製した。
【0082】
[比較例1]
得られたサンプル1のTHVシートを深紫外線LED素子の上面に置いた。深紫外線LED基板を真空乾燥機の中に入れ、大気圧から0.1MPa以上減圧した状態で、200℃に加熱した。200℃を2時間保持した後、加熱を止め、自然降温した。真空乾燥器の温度が70℃に下がった時点で、真空乾燥器の中を2分かけて大気圧に戻してから扉を開け、封止サンプルを取り出した。チップ直上の樹脂組成物の厚みを表2に示す。また、封止前の深紫外線LED基板の光強度、及び封止サンプルの光強度を表3に示す。
【0083】
[比較例2]
サンプル1のTHVシートの代わりに、サンプル2のTHVシートを使用すること以外は比較例1と同様の方法で封止サンプルを作製した。チップ直上の樹脂組成物の厚みを表2に示し、封止前の深紫外線LED基板の光強度、及び封止サンプルの光強度を表3に示す。
【0084】
[比較例3]
サンプル1のTHVシートの代わりに、サンプル3のTHVシートを使用すること以外は比較例1と同様の方法で封止サンプルを作製した。チップ直上の樹脂組成物の厚みを表2に示し、封止前の深紫外線LED基板の光強度、及び封止サンプルの光強度を表3に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
[実施例1]
比較例1で得られた封止後のサンプルに、低圧水銀ランプ(セン特殊光源株式会社製、PL16−110D)を1時間照射し、UVオゾン処理を行った。ジャッキの上面にアルミホイルを敷き、サンプルはその上に載せ、ジャッキで高さを調節し、封止部の上面と水銀ランプの距離が5cmになるように調節した。得られた封止サンプルの光強度を表3に示す。
【0087】
[実施例2]
実施例1で得られた封止サンプルに、さらに1時間低圧水銀ランプを照射し、UVオゾン処理を合計で2時間行った。得られた封止サンプルの光強度を表3に示す。
【0088】
[実施例3]
比較例2で得られた封止後のサンプルに、低圧水銀ランプ(セン特殊光源株式会社製、PL16−110D)を1時間照射し、UVオゾン処理を行った。ジャッキの上面にアルミホイルを敷き、サンプルはその上に載せ、ジャッキで高さを調節し、封止部の上面と水銀ランプの距離が5cmになるように調節した。得られた封止サンプルの光強度を表3に示す。
【0089】
[実施例4]
実施例3で得られた封止サンプルに、さらに1時間低圧水銀ランプを照射し、UVオゾン処理を合計で2時間行った。得られた封止サンプルの光強度を表3に示す。
【0090】
[実施例5]
比較例3で得られた封止後のサンプルに、低圧水銀ランプ(セン特殊光源株式会社製、PL16−110D)を1時間照射し、UVオゾン処理を行った。ジャッキの上面にアルミホイルを敷き、サンプルはその上に載せ、ジャッキで高さを調節し、封止部の上面と水銀ランプの距離が5cmになるように調節した。得られた封止サンプルの光強度を表3に示す。
【0091】
[実施例6]
実施例5で得られた封止サンプルに、さらに1時間低圧水銀ランプを照射し、UVオゾン処理を合計で2時間行った。得られた封止サンプルの光強度を表3に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
なお、表3中、変化率は下記式に基づいて算出した値である。
変化率(%)={(UVオゾン処理後の封止サンプルの光強度/UVオゾン処理前の封止サンプルの光強度)−1}×100
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の電子部品としては、発光素子を備えた電子部品が好ましく、紫外線発光素子を備えた電子部品がより好ましい。紫外線発光素子を備えた電子部品は、例えば、分析機器、光触媒装置、光治療装置、紙幣鑑定装置、空気/水殺菌浄化装置、UV樹脂硬化装置などに利用できる。
【符号の説明】
【0095】
50 電子部品
2 紫外線発光素子
4 サブマウント
31 接合剤
32 コア基板
33 ワイヤ
34 金属基板
35 アノード電極
36 カソード電極
37 絶縁部
38 パターン回路
51 樹脂組成物(封止部)
T1 樹脂組成物の厚み
【要約】      (修正有)
【課題】封止樹脂の品質が向上した電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品の製造方法は、配線基材に取り付けられた電子素子を樹脂組成物で覆う工程Aと、電子素子を覆った前記樹脂組成物にUVオゾン処理を施す工程Bとを有し、前記工程Aが、配線基材に取り付けられた電子素子の上方に樹脂組成物を設置する工程と、前記樹脂組成物を加熱変形温度以上に加熱する工程を含み、前記工程BのUVオゾン処理が、酸素含有ガス雰囲気下、200nm以下にピーク波長を有する紫外線を照射する処理である製造方法。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5