(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6830478
(24)【登録日】2021年1月28日
(45)【発行日】2021年2月17日
(54)【発明の名称】半導体ウエハ検査のためのイメージング性能を最適化する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20210208BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20210208BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/956 A
【請求項の数】19
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-511006(P2018-511006)
(86)(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公表番号】特表2018-530912(P2018-530912A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】US2016047610
(87)【国際公開番号】WO2017040055
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年8月14日
(31)【優先権主張番号】62/211,288
(32)【優先日】2015年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/207,364
(32)【優先日】2016年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネズビット ジャーミィー
(72)【発明者】
【氏名】ナイト ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ルーシン ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】パルシン ヴァディム
(72)【発明者】
【氏名】ルニア サニート
(72)【発明者】
【氏名】ライ ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ムルガン マイク
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー マーク
【審査官】
小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−190885(JP,A)
【文献】
特開平06−066531(JP,A)
【文献】
特開2007−248086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物へ検査光を送達するように構成された光学構成要素と、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベルより大きいときに前記光学構成要素を調整する1つ以上のレンズ偏心マニピュレータであり、前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの調整は、前記光学構成要素を通過して向かう前記検査光の焦点面を自動焦点光の焦点面と重なり合うようにシフトさせる、レンズ偏心マニピュレータと、
前記対象物へ送達された前記検査光に少なくとも一部基づいて前記対象物の画像を得るように構成された検出器と、
前記光学構成要素および前記検出器と通信するプロセッサであって、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベルを超えるときの閾時間を決定するモデルを生成し、前記閾時間は前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの1つ以上の制御パラメータの測定が生じた後の経過時間であり、
前記閾時間での前記対象物の検査の前に前記光学構成要素の収差が選択された収差レベル内に低減されるように、前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの調整を介して前記光学構成要素を調整し、
前記閾時間での前記対象物の検査の間に、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベル内であるかを決定するために前記1つ以上の制御パラメータを測定し、前記1つ以上の制御パラメータは、時間、パワー、温度、又は圧力の少なくとも1つに基づいており、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベルを超えていることを決定した上で、選択された収差レベルを超えている光学構成要素の収差を補償するために前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの調整を介して前記光学構成要素を調整する、
ように構成されたプロセッサと、
を備えることを特徴とする検査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検査システムであって、前記対象物は、ウエハを含むことを特徴とする検査システム。
【請求項3】
請求項2に記載の検査システムであって、前記対象物は基準チップをさらに含み、前記基準チップは、前記検出器の視野内に配置されるように構成され、前記検査光が前記ウエハへ送達されるときに、前記ウエハと同一平面上にあるように保持されるように構成されることを特徴とする検査システム。
【請求項4】
請求項3に記載の検査システムであって、前記プロセッサは、前記検出器によって取得された前記基準チップの前記画像に基づいて前記光学構成要素の前記収差を測定するように構成されていることを特徴とする検査システム。
【請求項5】
請求項1に記載の検査システムであって、前記プロセッサは、前記光学構成要素の前記収差を時間、パワー、温度、又は圧力の少なくとも1つの関数としてモデル化するようにさらに構成されていることを特徴とする検査システム。
【請求項6】
請求項5に記載の検査システムであって、前記プロセッサは、時間、パワー、温度、又は圧力の少なくとも1つに基づいて前記閾時間を決定するようにさらに構成されていることを特徴とする検査システム。
【請求項7】
ウエハへ検査光を送達するように構成された光学構成要素と、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベルより大きいときに前記光学構成要素を調整する1つ以上のレンズ偏心マニピュレータであり、前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの調整は、前記光学構成要素を通過して向かう前記検査光の焦点面を自動焦点光の焦点面と重なり合うようにシフトさせる、レンズ偏心マニピュレータと、
前記ウエハへ送達された前記検査光に少なくとも一部基づいて前記ウエハの画像を取得するように構成された検出器と、
前記光学構成要素および前記検出器と通信するプロセッサであって、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベルを超えるときの閾時間を決定するモデルを生成し、前記閾時間は前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの1つ以上の制御パラメータの測定が生じた後の経過時間であり、
前記閾時間での前記ウエハの検査の前に前記光学構成要素の収差が選択された収差レベル内に低減されるように、前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの調整を介して前記光学構成要素を調整し、
前記閾時間での前記ウエハの検査の間に、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベル内であるかを決定するために前記1つ以上の制御パラメータを測定し、前記1つ以上の制御パラメータは、時間、パワー、温度、又は圧力の少なくとも1つに基づいており、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベルを超えていることを決定した上で、選択された収差レベルを超えている光学構成要素の収差を補償するために前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの調整を介して前記光学構成要素を調整する、 ように構成されたプロセッサと
を備えることを特徴とする検査システム。
【請求項8】
請求項7に記載の検査システムであって、
前記検出器の視野内に配置されるように構成され、前記検査光が前記ウエハへ送達されるときに、前記ウエハと同一平面上にあるように保持されるように構成された基準チップを含むことを特徴とする検査システム。
【請求項9】
請求項8に記載の検査システムであって、前記検出器は、前記光学構成要素によって送達された前記検査光に少なくとも一部基づいて前記基準チップの画像を取得するようにさらに構成され、前記プロセッサは、前記検出器によって取得された前記基準チップの前記画像に基づいて前記光学構成要素の前記収差を測定するようにさらに構成されることを特徴とする検査システム。
【請求項10】
請求項7に記載の検査システムであって、前記プロセッサは、前記光学構成要素の前記収差を1つ以上の変数の関数としてモデル化するようにさらに構成されていることを特徴とする検査システム。
【請求項11】
請求項10に記載の検査システムであって、前記光学構成要素の前記収差は、時間、パワー、温度、または圧力の少なくとも1つの関数としてモデル化されることを特徴とする検査システム。
【請求項12】
請求項10に記載の検査システムであって、前記プロセッサは、時間、パワー、温度、又は圧力の少なくとも1つに基づいて前記閾時間を決定するようにさらに構成されていることを特徴とする検査システム。
【請求項13】
検査システムのイメージング性能を調整する方法であって、
光学構成要素を通じて対象物へ検査光を送達するステップであり、前記光学構成要素の収差が選択された収差レベルより大きいときに前記光学構成要素を調整する1つ以上のレンズ偏心マニピュレータが、前記光学構成要素を通過して向かう前記検査光の焦点面を自動焦点光の焦点面と重なり合うようにシフトさせるように調整すべく構成される、ステップと、
前記対象物へ送達された前記検査光に少なくとも一部基づいて前記対象物の画像を取得するステップと、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベルを超えるときの閾時間を決定するモデルを生成するステップであり、前記閾時間は前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの1つ以上の制御パラメータの測定が生じた後の経過時間である、ステップと、
前記閾時間での前記対象物の検査の前に前記光学構成要素の収差が選択された収差レベル内に低減されるように、前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの調整を介して前記光学構成要素を調整するステップと、
前記閾時間での前記対象物の検査の間に、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベル内であるかを決定するために前記1つ以上の制御パラメータを測定するステップであり、前記1つ以上の制御パラメータは、時間、温度、又は圧力に基づいている、ステップと、
前記光学構成要素の収差が選択された収差レベルを超えていることを決定した上で、選択された収差レベルを超えている光学構成要素の収差を補償するために前記1つ以上のレンズ偏心マニピュレータの調整を介して前記光学構成要素を調整する、ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記対象物は、基準チップを含み、前記光学構成要素の前記収差は、前記基準チップの前記画像に基づいて測定されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
前記光学構成要素の前記収差を時間、温度、又は圧力の関数としてモデル化するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
時間、温度、又は圧力に基づいて前記閾時間を決定するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1に記載の検査システムであって、
前記1つ以上の制御パラメータは、時間、温度、及び圧力に基づくことを特徴とする検査システム。
【請求項18】
請求項7に記載の検査システムであって、
前記1つ以上の制御パラメータは、時間、温度、及び圧力に基づくことを特徴とする検査システム。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、
前記1つ以上の制御パラメータは、時間、温度、及び圧力に基づくことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、検査システムの分野に関し、詳細には、半導体ウエハの検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月28日に出願した米国仮出願第62/211,288号の米国特許法第119(e)による利益を主張する。この米国仮出願第62/211,288号は、全体として本願に引用して援用する。
【0003】
シリコンウエハ等などの薄い研磨されたプレートは、現代の技術の大変重要な一部である。例えば、ウエハは、集積回路および他のデバイスの製造に使用される半導体材料の薄いスライスを指すことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0203231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウエハは、欠陥検査の対象であり、トランジスタ密度が増加するにつれて、ウエハ検査システムのイメージング性能に対する要件もまた増大し得る。したがって、検査システムのイメージング性能に影響を及ぼし(または損ない)得る要因については、高まる性能要件を満たすために対処される必要があり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、検査システムを対象とする。検査システムは、対象物へ検査光を送達するように構成された光学構成要素と、対象物へ送達された検査光に少なくとも一部基づいて対象物の画像を得るように構成された検出器とを備えることができる。検査システムは、光学構成要素および検出器と通信するプロセッサも備えることができる。プロセッサは、検出器によって取得された対象物の画像に基づいて光学構成要素の収差を測定し、収差の変化を補償するように光学構成要素を調整するように構成することができる。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、検査システムである。検査システムは、ウエハへ検査光を送達するように構成された光学構成要素と、ウエハへ送達された検査光に少なくとも一部基づいてウエハの画像を取得するように構成された検出器とを備えることができる。検査システムは、光学構成要素および検出器と通信するプロセッサを備えることもできる。プロセッサは、光学構成要素の収差を測定し、収差の変化を補償するように光学構成要素を調整するように構成することができる。
【0008】
本開示の追加の実施形態は、検査システムのイメージング性能を調整する方法を対象とする。この方法は、光学構成要素を通じて対象物へ検査光を送達するステップと、対象物へ送達された検査光に少なくとも一部基づいて対象物の画像を取得するステップと、対象物の画像に基づいて光学構成要素の収差を測定するステップと、収差の変化を補償するように光学構成要素を調整するステップとを含むことができる。
【0009】
前述の概略的な説明と以下の詳細な説明は共に、例示的および説明的なものにすぎず、必ずしも本開示を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に込み込まれその一部を構成する添付図面は、本開示の主題事項を示す。共に、説明および図面は、本開示の原理を説明する働きをする。
【0010】
本開示の数々の利点は、添付図面を参照することによって当業者により良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態により構成された検査システムを示すブロック図である。
【
図2】検査システムにおいて生じ得る焦点のずれを示す図である。
【
図3】検査システムのイメージング性能を調整するように構成された例示の方法を示す流れ図である。
【
図4】検査システムに適用可能ないくつかの例示の調整を示す図である。
【
図5】検査システムに関する圧力変化の影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、添付図面に示されている開示された主題事項の言及が詳細に行われる。
【0013】
本開示による実施形態は、検査システム、および検査システムのイメージング性能を調整/最適化する方法を対象とする。
図1は、本開示の実施形態により構成された例示の検査システム100を示すブロック図である。
【0014】
図1に示されるように、検査システム100は、検査の対象物(例えば、ウエハ)112に向けて検査光104を送達するように構成された1つ以上の光学構成要素(例えば、レンズ)102を備えることができる。検査システム100は、ウエハへ送達された検査光104に基づいてウエハ112の少なくとも一部の画像を取得するように構成された1つ以上の検出器106を備えることもできる。いくつかの実施では、検出器106は、画像を取得する助けとするために自動焦点光108を利用することができる。自動焦点光108の焦点面と検査光104の焦点面は、イメージング性能を最大限にするために重なり合う必要があることに留意されたい。
【0015】
次に、
図2を参照すると、発生し得る焦点面のずれを示す例示的なシナリオが示されている。ずれは、光学構成要素102で生じるレンズ加熱によって引き起こされ得、これによって自動焦点光108の有効焦点距離に対して検査光104の有効焦点距離が変化する。このずれが補償されない場合、このずれは、検査システム100のイメージング性能に影響を及ぼし得る劣化を引き起こし得る。
【0016】
したがって、本開示の実施形態により構成された検査システム100は、検査システム100のイメージング性能を調整する/最適化するために、劣化に対処するように設計されている方法を実行するように構成された1つ以上のプロセッサ110を備えることができる。プロセッサ110は、専用処理ユニット、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または様々な他のタイプのプロセッサもしくは処理ユニットとして実施することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ110は、独立型の構成要素として実装することができる。代替として、プロセッサ110は、検査システム100の内蔵型の演算処理構成要素として実装することができる。
【0017】
図3は、検査システム100のイメージング性能を調整する/最適化するように構成された例示の方法300を示す流れ図である。
図3に示されるように、ステップ302において、検査光は、検査の対象物へ送達することができ、ステップ304において、対象物の画像の少なくとも一部は、対象物へ送達された検査光に少なくとも一部基づいて得ることができる。次いで、測定ステップ306において、光学構成要素102の収差(例えば、レンズ収差)を測定することができる。いくつかの実施形態では、測定ステップ306は、基準/テストチップ114から収集された画像を解析することによって収差を測定することができるものであり、この基準/テストチップ114は、検出器106の視野内に移動可能に配置または固定で配置することができるとともに、それがウエハ112と同一平面上にあるように保持機構116によって保持することができる。代替としておよび/または加えて、収差は、波面センサなどを用いて測定することができ、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、他の測定技法が、光学構成要素102の収差を測定する助けとなるように利用することができることを理解されたい。
【0018】
測定される光学構成要素102の収差に関して、補償ステップ308は、収差の何らかの変化を補償するように実行することができる。いくつかの実施形態では、光学構成要素102の収差に影響を及ぼすパラメータであることが知られている1つ以上の収差マニピュレータは、変化を補償するために光学構成要素102の収差を変化させるように選択的に調整することができ、これは、焦点のずれを減少させ、検査システム100のイメージング性能を改善する助けとなることができる。収差マニピュレータは、例えば、コマ、線形非点収差、および/または倍率色収差を調整するように構成されたレンズ偏心マニピュレータを含み得る。収差は、軸色を補償するために、焦点を調整することができるステージ変位を調整することによって、またはガラス板の厚さを調整することによって操作することもできる。
【0019】
方法300は、検査システム100のイメージング性能を確立された誤差許容範囲内に維持するために、検査システム100のイメージング性能を調整するようにプロセッサ110によって定期的に実施することができることが企図されている。
図4は、経時的に検査システム100に適用可能ないくつかの例示の調整を示す図である。より詳細には、曲線400は、レンズ加熱による経時的な焦点面における単純化された変化の図を示す。検査に使用される実際の焦点面は、曲線402を用いて示される。検査に使用される実際の焦点面は、曲線400に概して従うように調整することができることに留意されたい。調整の細分度(granularity)は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく変わり得ることが企図されている。
【0020】
レンズ加熱により生じる焦点のずれは、検査システム100のイメージング性能に影響を及ぼし得る要因として提示されているが、レンズ加熱は、そのような要因の一例にすぎないことも企図されている。検査システム100のイメージング性能は、レンズ加熱、圧力変化、温度の変化、ならびに他の要因の変化により変わり得ることが企図されている。
図5は例えば、検査システム100のイメージング性能に対する圧力変化の影響を示す図である。
【0021】
図5に示されるように、圧力の変動(例えば、嵐の間の圧力変化)は、収差を引き起こす可能性があり、その結果、検査光104内のλ
lowからλ
highの間の範囲の様々な波長が、様々な位置に合焦され得ることになる。このタイプの焦点のずれが補償されない場合、特に検査システム100が広帯域の検査を実行している場合、ずれは、検査システム100の性能に影響を及ぼし得る劣化を引き起こし得る。
【0022】
上述の方法300は、圧力変動によって引き起こされるイメージング性能の劣化を有効に補償するのに利用することができることが企図されている。より詳細には、測定ステップ306において、収差(この例では、異なる波長の間で焦点が異なること)を測定することができ、補償ステップ308は、測定された収差を補償するように実行することができる。測定ステップ306は、特定の波長λの焦点がある量だけずれていると決定する場合、例えば、補償ステップ308は、ずれを補償するために波長依存性の光路長を変えるマニピュレータ(例えば、ガラス板または環境屈折率の変更)を適用することができる。
【0023】
上述の方法300は、レンズ加熱および圧力変動に加えて他の要因によって引き起こされるイメージング性能の劣化を有効に補償するのに利用することができることも企図されている。レンズ加熱および圧力変動などの要因は、単に例示のために示されており、限定していることを意図していないことを理解されたい。他の要因によって引き起こされるイメージング性能の劣化は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、上述されたものと同様のやり方で対処することができることが企図されている。
【0024】
検査システム100のイメージング性能の劣化は、従来の知識および/または過去の検査から収集された履歴データに基づいてモデル化することができることがさらに企図されている。所与の光学モードについての時間、温度、および圧力の関数として劣化を予測するために十分に正確なモデルが生成できれば、マニピュレータをそれに応じて調整し、検査中に測定を行う必要なく予測された劣化を補償することができ、これによって時間を節約することができるとともに、検査システム100の維持費を減少させる。
【0025】
一方で、従来の知識および/または過去の検査から収集された履歴データに基づいて生成されたモデルが、十分に正確であると思われない場合(例えば、曲線400が、様々な理由により十分に正確な予測をするに使用できないと仮定してみる)、検査中に、測定がさらに必要とされ得、曲線400は、方法300の1つ以上のステップをいつトリガするかを決定する助けとなるようにメリット関数として使用することができる。例えば、レンズ加熱によりY分の期間にわってレンズの収差がかなり大きく変化することがモデリングから知られていると仮定してみる。性能要件と共にこの情報を使用することで、方法300は、最後の測定以来経過した時間量がY分のマークに近づいているときにトリガされ得る。方法300は、確立された誤差許容範囲内で検査システム100のイメージング性能を維持するために周期的にトリガされてもよいことが企図されている。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、方法300は、予め決定されたイベントに応じて、予め決定されたスケジュールに応じて、予め決定された使用者の要求もしく命令に応じて、またはそれらの組み合わせで、連続的に、断続的にトリガすることができることも企図されている。
【0026】
上記から理解されるように、本開示により構成された検査システムおよび方法は、検査システムの性能に影響を及ぼし(または損ない)得る様々な要因に有効に対処することができる。収差は、検査システムのイメージング性能を最適化するために検査ごとの開始時に測定および調整することができる。収差は、公差範囲内に誤差を維持するために検査中に測定および調整することもでき、様々な動作条件内で認識され得る特徴を与える。
【0027】
上記の例は、ウエハを、検査の対象物として指し示したが、本開示により構成された検査システムは、ウエハを検査することに限定されないことを理解されたい。本開示により構成された検査システムは、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、他のタイプの対象物にも適用可能である。本開示に使用されたウエハなる用語は、集積回路および他のデバイスの製造に使用される半導体材料の薄いスライス、ならびに磁気ディスクの基板、ゲージブロック等などの他の薄い研磨されたプレートを含み得る。
【0028】
本開示のシステムおよび装置、ならびにその付随的な利点の多くは、前述の説明によって理解されることが企図されているとともに、様々な変更が、開示した主題事項から逸脱することなく、またはその材料の利点の全部を犠牲にすることなく、構成要素の形態、構造、および配置になされてもよいことが明らかであろう。説明された形態は、例示にすぎない。