(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、水素原子とは、中性子数が異なる同位体、即ち、軽水素(protium)、重水素(deuterium)、三重水素(tritium)、を包含する。
【0014】
本明細書において、環形成炭素数とは、原子が環状に結合した構造の化合物(例えば、単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、複素環化合物)の当該環自体を構成する原子のうちの炭素原子の数を表す。当該環が置換基によって置換される場合、置換基に含まれる炭素は環形成炭素数には含まない。以下で記される「環形成炭素数」については、特筆しない限り同様とする。例えば、ベンゼン環は環形成炭素数が6であり、ナフタレン環は環形成炭素数が10であり、ピリジニル基は環形成炭素数5であり、フラニル基は環形成炭素数4である。また、ベンゼン環やナフタレン環に置換基として例えばアルキル基が置換している場合、当該アルキル基の炭素数は、環形成炭素数の数に含めない。また、フルオレン環に置換基として例えばフルオレン環が結合している場合(スピロフルオレン環を含む)、置換基としてのフルオレン環の炭素数は環形成炭素数の数に含めない。
【0015】
本明細書において、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造(例えば単環、縮合環、環集合)の化合物(例えば単環化合物、縮合環化合物、架橋化合物、炭素環化合物、複素環化合物)の当該環自体を構成する原子の数を表す。環を構成しない原子(例えば環を構成する原子の結合手を終端する水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。以下で記される「環形成原子数」については、特筆しない限り同様とする。例えば、ピリジン環の環形成原子数は6であり、キナゾリン環は環形成原子数が10であり、フラン環の環形成原子数が5である。ピリジン環やキナゾリン環の炭素原子にそれぞれ結合している水素原子や置換基を構成する原子については、環形成原子数の数に含めない。また、フルオレン環に置換基として例えばフルオレン環が結合している場合(スピロフルオレン環を含む)、置換基としてのフルオレン環の原子数は環形成原子数の数に含めない。
【0016】
本明細書において、「置換もしくは無置換の炭素数XX〜YYのZZ基」という表現における「炭素数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の炭素数を表すものであり、置換されている場合の置換基の炭素数は含めない。ここで、「YY」は「XX」よりも大きく、「XX」と「YY」はそれぞれ1以上の整数を意味する。
【0017】
本明細書において、「置換もしくは無置換の原子数XX〜YYのZZ基」という表現における「原子数XX〜YY」は、ZZ基が無置換である場合の原子数を表すものであり、置換されている場合の置換基の原子数は含めない。ここで、「YY」は「XX」よりも大きく、「XX」と「YY」はそれぞれ1以上の整数を意味する。
【0018】
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは前記置換基で置換されておらず、水素原子が結合していることを意味する。
【0019】
本明細書中、ヘテロアリール基としては、以下の基も含まれる。また、ヘテロアリーレン基としては、以下の基を2価の基にした基も含まれる。
【化3】
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【化4】
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(式中、X
1A〜X
6A,Y
1A〜Y
6Aはそれぞれ酸素原子、硫黄原子、窒素原子、−NZ−基、又は−NH−基である。
Zは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基、又は置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基である。Zが2以上の場合、2以上のZは同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0020】
Zの環形成炭素数6〜50のアリール基としては、後述のR
101〜R
110等の環形成炭素数6〜50のアリール基と同様のものが挙げられる。
Zの環形成原子数5〜50のヘテロアリール基としては、後述のR
101〜R
110等の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基と同様のものが挙げられる。
Zの炭素数1〜50のアルキル基としては、後述のR
101〜R
110等の炭素数1〜50のアルキル基と同様のものが挙げられる。
【0021】
本発明の有機EL素子の一態様は、陰極と、陽極と、前記陰極と前記陽極との間に配置された発光層と、を有し、発光層が、下記式(1)で表される第1材料、下記式(2)で表される第2材料、及びアミン化合物である第3材料を含有する。
これにより、電圧を低く、寿命を長くすることができる。
【0022】
本発明の有機EL素子用材料の一態様は、下記式(1)で表される第1材料、下記式(2)で表される第2材料、及びアミン化合物である第3材料を含有する。
これにより、電圧が低く、寿命が長い有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
【0023】
有機EL素子用材料100質量%に対して、式(1)で表される第1材料は、4質量%以上92質量%以下であることが好ましく、8質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
有機EL素子用材料100質量%に対して、式(2)で表される第2材料は、4質量%以上92質量%以下であることが好ましく、8質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
有機EL素子用材料100質量%に対して、アミン化合物である第3材料は、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。
【0024】
本発明の有機EL素子用材料の一態様は、本質的に、式(1)で表される第1材料、式(2)で表される第2材料、及びアミン化合物である第3材料からなっており、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでもよい。
【0025】
【化5】
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【0026】
式(1)において、R
101〜R
110は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のシリル基、又は−L
101−Ar
101で表される基である。
ただし、R
101〜R
110の少なくとも1つ(好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは2つ)は、−L
101−Ar
101で表される基である。L
101は、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜18のアリーレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜15のヘテロアリーレン基であり、Ar
101は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基である。L
101が2以上の場合、2以上のL
101は同一でもよく、異なっていてもよい。Ar
101が2以上の場合、2以上のAr
101は同一でもよく、異なっていてもよい。
【0027】
【化6】
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【0028】
式(2)において、R
201〜R
210は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のシリル基、又は−L
201−Ar
201で表される基である。
ただし、R
201〜R
210の少なくとも1つは、−L
201−Ar
201で表される基である。L
201は、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜18のアリーレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜15のヘテロアリーレン基であり、Ar
201は、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基である。L
201が2以上の場合、2以上のL
201は同一でもよく、異なっていてもよい。Ar
201が2以上の場合、2以上のAr
201は同一でもよく、異なっていてもよい。
【0029】
式(1)のR
101〜R
108は、水素原子であることが好ましい。
【0030】
式(1)のR
109及びR
110は、−L
101−Ar
101で表される基であり、L
101が置換もしくは無置換のフェニレン基、又は置換もしくは無置換のナフチレン基であることが好ましい。
【0031】
また、式(1)のR
109及びR
110の少なくとも1つが、−L
101−Ar
101で表される基であり、Ar
101が置換もしくは無置換のフルオレニル基、置換もしくは無置換のジベンゾフラニル基、及び置換もしくは無置換のジベンゾチオフェニル基からなる群から選択されることが好ましい。
【0032】
式(1)のR
101〜R
110、式(2)のR
201〜R
210、後述の式(3A)のR
、後述の式(3)のR
1〜R
8、後述の式(5)のR
11〜R
17、並びに後述の式(7)のR
21〜R
27及びR
31〜R
37のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0033】
式(1)のR
101〜R
110及びAr
101、式(2)のR
201〜R
210及びAr
201、後述の式(3A)のR及びAr、後述の式(3)のR
1〜R
10、後述の式(4)のAr
1及びAr
2、後述の式(5)のR
11〜R
17、後述の式(6)のAr
3及びAr
4、並びに後述の式(7)のR
21〜R
27及びR
31〜R
37の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜18)のアリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−テルフェニル4−イル基、p−テルフェニル3−イル基、p−テルフェニル2−イル基、m−テルフェニル4−イル基、m−テルフェニル3−イル基、m−テルフェニル2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−テルフェニル4−イル基、クリセニル基、フルオランテニル基及びフルオレニル基等が挙げられる。
これらの中で、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ピレニル基、フェナントリル基及びフルオレニル基であり、より好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、テルフェニル基、ピレニル基及びフルオレニル基である。
【0034】
式(1)のR
101〜R
110及びAr
101、式(2)のR
201〜R
210及びAr
201、後述の式(3A)のR及びAr、後述の式(3)のR
1〜R
10、後述の式(4)のAr
1及びAr
2、後述の式(5)のR
11〜R
17、後述の式(6)のAr
3及びAr
4、並びに後述の式(7)のR
21〜R
27及びR
31〜R
37の環形成原子数5〜50(好ましくは5〜18)のヘテロアリール基としては、ピロリル基、ピラジニル基、ピリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、及びチエニル基、並びにピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、ピロリジン環、ジオキサン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ピペラジン環、カルバゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラン環、ジベンゾフラン環、ベンゾ[a]ジベンゾフラン環、ベンゾ[b]ジベンゾフラン環及びベンゾ[c]ジベンゾフラン環から形成される1価の基等が挙げられる。
【0035】
式(1)のR
101〜R
110、式(2)のR
201〜R
210、後述の式(3A)のR
、後述の式(3)のR
1〜R
8、後述の式(5)のR
11〜R
17、並びに後述の式(7)のR
21〜R
27及びR
31〜R
37の炭素数1〜50(好ましくは1〜18)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基等が挙げられる。
【0036】
式(1)のR
101〜R
110、式(2)のR
201〜R
210、後述の式(3A)のR
、後述の式(3)のR
1〜R
8、後述の式(5)のR
11〜R
17、並びに後述の式(7)のR
21〜R
27及びR
31〜R
37の炭素数2〜50(好ましくは2〜18)のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−メチルビニル基、1−メチルアリル基、1,1−ジメチルアリル基、2−メチルアリル基、1,2−ジメチルアリル基等が挙げられる。
【0037】
式(1)のR
101〜R
110、式(2)のR
201〜R
210、後述の式(3A)のR
、後述の式(3)のR
1〜R
8、後述の式(5)のR
11〜R
17、並びに後述の式(7)のR
21〜R
27及びR
31〜R
37の環形成炭素数3〜50(好ましくは3〜18)のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等が挙げられる。
【0038】
式(1)のR
101〜R
110、式(2)のR
201〜R
210、後述の式(3A)のR
、後述の式(3)のR
1〜R
8、後述の式(5)のR
11〜R
17、並びに後述の式(7)のR
21〜R
27及びR
31〜R
37のアルコキシ基(好ましくは1〜18)としては、例えば、上記の炭素数1〜50のアルキル基に酸素原子が結合した基が挙げられる。
【0039】
式(1)のR
101〜R
110、式(2)のR
201〜R
210、後述の式(3A)のR
、後述の式(3)のR
1〜R
8、後述の式(5)のR
11〜R
17、並びに後述の式(7)のR
21〜R
27及びR
31〜R
37の炭素数7〜50(好ましくは7〜18)のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、2−β−ナフチルイソプロピル基、1−ピロリルメチル基、2−(1−ピロリル)エチル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、o−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、o−ブロモベンジル基、p−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、o−ヨードベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、p−アミノベンジル基、m−アミノベンジル基、o−アミノベンジル基、p−ニトロベンジル基、m−ニトロベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−シアノベンジル基、m−シアノベンジル基、o−シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基等が挙げられる。
【0040】
式(1)のR
101〜R
110、式(2)のR
201〜R
210、後述の式(3A)のR
、後述の式(3)のR
1〜R
8、後述の式(5)のR
11〜R
17、並びに後述の式(7)のR
21〜R
27及びR
31〜R
37の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜18)のアリールオキシ基としては、例えば、上記の環形成炭素数6〜50のアリール基に酸素原子が結合した基が挙げられる。
【0041】
式(1)のR
101〜R
110、式(2)のR
201〜R
210、後述の式(3A)のR
、後述の式(3)のR
1〜R
8、後述の式(5)のR
11〜R
17、並びに後述の式(7)のR
21〜R
27及びR
31〜R
37の置換もしくは無置換のシリル基としては、無置換のシリル基(−SiH
3)、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基等が挙げられる。アルキル基、アリール基は、後述の任意の置換基の通りである。
【0042】
式(1)のL
101、式(2)のL
201、並びに後述の式(4)のL
1、L
2及びL
3の環形成炭素数6〜18(好ましくは6〜12)のアリーレン基としては、フェニレン基(例えばm−フェニレン基)、ナフチレン基、ビフェニレン基、アントラニレン基、ピレニレン基等が挙げられる。
【0043】
式(1)のL
101、式(2)のL
201、並びに後述の式(4)のL
1、L
2及びL
3の環形成原子数5〜15(好ましくは5〜12)のヘテロアリーレン基としては、非縮合ヘテロアリーレン基及び縮合ヘテロアリーレン基が挙げられ、より具体的には、ピロリル基、ピラジニル基、ピリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、及びチエニル基を2価の基にした基、並びにピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、ピロリジン環、ジオキサン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ピペラジン環、カルバゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラン環、ジベンゾフラン環、ベンゾ[a]ジベンゾフラン環、ベンゾ[b]ジベンゾフラン環及びベンゾ[c]ジベンゾフラン環から形成される2価の基が挙げられる。
【0044】
式(1)で表される第1材料として、例えば、以下に示す化合物が具体例として挙げられる。
【0045】
【化7】
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【0046】
【化8】
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【0047】
【化9】
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【0048】
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【0049】
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
【0050】
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【0051】
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0052】
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0053】
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0054】
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【0055】
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【0056】
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0057】
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
【0058】
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【0059】
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【0060】
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
【0061】
【化23】
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【0062】
また、式(1)で表される第1材料として、以下に示す化合物等でもよい。
【0063】
【化24】
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【0064】
【化25】
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【0065】
【化26】
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【0066】
【化27】
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【0067】
【化28】
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【0068】
【化29】
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【0069】
【化30】
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【0070】
【化31】
[この文献は図面を表示できません]
【0071】
【化32】
[この文献は図面を表示できません]
【0072】
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
【0073】
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
【0074】
【化35】
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【0075】
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
【0076】
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【0077】
【化38】
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【0078】
【化39】
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【0079】
【化40】
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【0080】
式(2)のR
202〜R
210は、水素原子であることが好ましい。
【0081】
式(2)のR
201は、−L
201−Ar
201で表される基であり、Ar
201が置換もしくは無置換のフェニル基、又は置換もしくは無置換のナフチル基であることが好ましい。
【0082】
また、式(2)のR
201は、−L
201−Ar
201で表される基であり、Ar
201が置換もしくは無置換のフルオレニル基、置換もしくは無置換のジベンゾフラニル基、及び置換もしくは無置換のジベンゾチオフェニル基からなる群から選択されることが好ましい。
【0083】
式(2)で表される第2材料として、例えば、以下に示す化合物が具体例として挙げられる。
【0084】
【化41】
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【0085】
【化42】
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【0086】
【化43】
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【0087】
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0088】
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
【0089】
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0090】
また、式(2)で表される第2材料として、以下に示す化合物等でもよい。
【0091】
【化47】
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【0092】
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
【0093】
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0094】
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
【0095】
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
【0096】
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
【0097】
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0098】
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0099】
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
【0100】
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0101】
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
【0102】
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
【0103】
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【0104】
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
【0105】
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
【0106】
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
【0107】
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
【0108】
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
【0109】
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
【0110】
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
【0111】
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
【0112】
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
【0113】
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
【0114】
以下の構造式において、Meはメチル基を表す。
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
【0115】
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
【0116】
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
【0117】
アミン化合物である第3材料は、下記式(3A)で表されることが好ましい。
【化73】
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(式(3A)において、Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基である。
Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のシリル基、又は下記式(4)で表される基を示す。Rの少なくとも1つは下記式(4)で表される基である。
mは1以上の整数である。
【化74】
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(式(4)において、Ar
1及びAr
2は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基である。L
1、L
2及びL
3は、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜18のアリーレン基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜15のヘテロアリーレン基である。)
R,Ar
1、Ar
2、L
1、L
2及びL
3が2以上の場合、2以上のR,Ar
1、Ar
2、L
1、L
2及びL
3は同一でもよく、異なっていてもよい。)
【0118】
式(3A)のArの環形成炭素数6〜50のアリール基、及び環形成原子数5〜50のヘテロアリール基は、m個の水素原子を、Rに置換したものである。
【0119】
アミン化合物である第3材料は、下記式(3)で表されることが好ましい。
【化75】
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(式(3)において、R
1〜R
10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のシリル基、又は前記式(4)で表される基を示す。R
1〜R
10の少なくとも1つ(好ましくは2つ以上、より好ましくは2つ)は前記式(4)で表される基である。R
1〜R
10は隣接する置換基同士で飽和又は不飽和の環(好ましくは、飽和もしくは不飽和の、置換もしくは無置換の5員環又は6員環、より好ましくは、ベンゼン環)を形成してもよい。
【0120】
式(4)のAr
1及びAr
2のうち少なくとも1つは、下記式(5)で表されるヘテロアリール基であるであることが好ましい。
【0121】
【化76】
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(式(5)において、R
11〜R
17は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、又は置換もしくは無置換のシリル基を示す。R
11〜R
17は隣接する置換基同士で飽和又は不飽和の環(好ましくは、飽和もしくは不飽和の、置換もしくは無置換の5員環又は6員環、より好ましくは、ベンゼン環)を形成してもよい。
X
1は酸素原子又は硫黄原子を示す。)
【0122】
式(5)のX
1は、酸素原子であることが好ましい。
【0123】
式(3)のR
1〜R
10の2つは、式(4)で表される基であることが好ましい。
【0124】
アミン化合物である第3材料は、下記式(6)で表されることが好ましい。
【0125】
【化77】
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(式(6)において、R
1〜R
8は、前記式(3)で定義した通りである。Ar
1及びAr
2は、前記式(4)で定義した通りである。
Ar
3及びAr
4は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基を示す。
ただし、Ar
3及びAr
4のうち少なくとも1つが前記式(5)で表されるヘテロアリール基である。)
【0126】
アミン化合物である第3材料、下記式(7)で表されることが好ましい。
【化78】
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(式(7)において、R
1〜R
8、Ar
2及びAr
4は、前記式(6)で定義した通りである。
R
21〜R
27及びR
31〜R
37は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜50のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、又は置換もしくは無置換のシリル基を示す。R
21〜R
27及びR
31〜R
37は隣接する置換基同士で飽和又は不飽和の環(好ましくは、飽和もしくは不飽和の、置換もしくは無置換の5員環又は6員環、より好ましくは、ベンゼン環)を形成してもよい。
X
2及びX
3は、それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子を示す。)
【0127】
式(7)のX
2及びX
3は、酸素原子であることが好ましい。
【0128】
式(3)、式(6)及び式(7)のR
1〜R
8は、水素原子であることが好ましい。
【0129】
アミン化合物である第3材料として、例えば、以下に示す化合物が具体例として挙げられる。
【0130】
【化79】
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【0131】
【化80】
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【0132】
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
【0133】
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【0134】
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
【0135】
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【0136】
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
【0137】
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
【0138】
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
【0139】
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
【0140】
【化89】
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【0141】
【化90】
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【0142】
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
【0143】
【化92】
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【0144】
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
【0145】
【化94】
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【0146】
【化95】
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【0147】
本明細書において、「置換もしくは無置換の」という場合における置換基(以下、任意の置換基ともいう。)としては、例えば、R
101〜R
110等について上述したハロゲン原子、シアノ基、無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基、無置換の環形成原子数5〜50のヘテロアリール基、無置換の炭素数1〜50のアルキル基、無置換の炭素数2〜50のアルケニル基、無置換の環形成炭素数3〜50のシクロアルキル基、無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、無置換の炭素数7〜50のアラルキル基、無置換の環形成炭素数6〜50のアリールオキシ基、及び無置換のシリル基(−SiH
3)等が挙げられる。
これらの各置換基の具体例は、それぞれR
101〜R
110等の置換基として上述したものと同様である。
【0148】
本明細書において、任意の置換基としては、無置換の環形成炭素数6〜50(好ましくは6〜18)のアリールチオ基、炭素数1〜10のアルキル基で置換されたシリル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基等を用いてもよい。
環形成炭素数6〜50のアリールチオ基としては、例えば、上記の式(1)のR
101〜R
110及び式(2)のR
201〜R
210の炭素数1〜50のアルキル基に硫黄原子が結合した基が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキル基で置換されたシリル基としては、トリメチルシリル基等が挙げられる。
炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
【0149】
本明細書において、隣接する任意の置換基同士で、飽和又は不飽和の環(好ましくは、飽和もしくは不飽和の、置換もしくは無置換の5員環又は6員環)を形成してもよい。
本明細書において、任意の置換基は、さらに置換基を有してもよい。任意の置換基がさらに有する置換基としては、上記任意の置換基と同様のものが挙げられる。
【0150】
本発明の有機EL素子の一態様は、陽極と発光層との間に正孔輸送層を有することが好ましい。
本発明の有機EL素子の一態様は、陰極と発光層との間に電子輸送層を有することが好ましい。
【0151】
本発明の有機EL素子の一態様の発光層としては、例えば、以下の表1に示す発光層が具体例として挙げられる。
【0152】
【表1】
[この文献は図面を表示できません]
【0153】
表1中の化合物X1〜X4、化合物Y1〜Y3、及び化合物Z1〜Z2を以下に示す。
【0154】
【化96】
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【0155】
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
【0156】
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
【0157】
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
【0158】
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
【0159】
本発明の有機EL素子の代表的な素子構成としては、
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(3)陽極/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(5)陽極/有機半導体層/発光層/陰極
(6)陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
(7)陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極
(8)陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
(9)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(10)陽極/無機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(11)陽極/有機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
(12)陽極/絶縁層/正孔注入・輸送層/発光層/絶縁層/陰極
(13)陽極/絶縁層/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極
等の構造を挙げることができる。
上記の中で(8)の構成が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
また、発光層は、燐光発光層でも蛍光発光層でもよく、複数あってもよい。複数の発光層がある場合、各発光層の間に、燐光発光層で生成された励起子が蛍光発光層に拡散することを防ぐ目的で、スペース層を有していてもよい。
【0161】
図1に、本発明の実施形態における有機EL素子の一例の概略構成を示す。
有機EL素子1は、透明な基板2と、陽極3と、陰極4と、陽極3と陰極4との間に配置された有機薄膜層10と、を有する。
有機薄膜層10は、上述の発光層5を有するが、発光層5と陽極3との間に正孔注入・輸送層6等、発光層5と陰極4との間に電子注入・輸送層7等を備えていてもよい。
また、発光層5の陽極3側に電子障壁層を、発光層5の陰極4側に正孔障壁層を、それぞれ設けてもよい。
これにより、電子や正孔を発光層5に閉じ込めて、発光層5における励起子の生成確率を高めることができる。
【0162】
また、本明細書中で「正孔注入・輸送層」は「正孔注入層及び正孔輸送層のうちの少なくともいずれか一方」を意味し、「電子注入・輸送層」は「電子注入層及び電子輸送層のうちの少なくともいずれか一方」を意味する。
【0163】
基板は、発光素子の支持体として用いられる。基板としては、例えば、ガラス、石英、プラスチック等を用いることができる。また、可撓性基板を用いてもよい。可撓性基板とは、折り曲げることができる(フレキシブル)基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルからなるプラスチック基板等が挙げられる。
【0164】
基板上に形成される陽極には、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。具体的には、例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛、酸化タングステン、及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、グラフェン等が挙げられる。この他、金(Au)、白金(Pt)、又は金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0165】
正孔注入層は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、モリブデン酸化物、チタン酸化物、バナジウム酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、銀酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、芳香族アミン化合物、フルオレン誘導体等のラダー系化合物又は高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)等も使用できる。
【0166】
正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送層には、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体等を使用する事ができる。ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)やポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)等の高分子化合物を用いることもできる。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。尚、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0167】
電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を含む層である。電子輸送層には、1)リチウム錯体、アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体等の金属錯体、2)イミダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素芳香族化合物、3)高分子化合物を使用することができる。
【0168】
電子注入層は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入層には、リチウム(Li)、リチウム錯体、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)、リチウム酸化物(LiOx)等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。
【0169】
陰極には、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等を用いることが好ましい。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族又は第2族に属する元素、即ちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、及びマグネシウム(Mg)等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(例えば、MgAg、AlLi)等が挙げられる。
【0170】
本発明の有機EL素子の一態様において、各層の形成方法は特に限定されない。従来公知の真空蒸着法、スピンコーティング法等による形成方法を用いることができる。発光層等の各層は、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)あるいは溶媒に解かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。
【0171】
発光層の形成において、式(1)で表される第1材料、式(2)で表される第2材料、及びアミン化合物である第3材料を共蒸着してもよい。
また、式(1)で表される第1材料、式(2)で表される第2材料、及びアミン化合物である第3材料をプレミックスし、有機EL素子用材料とし、有機EL素子用材料を蒸着してもよい。
プレミックスは、式(1)で表される第1材料、式(2)で表される第2材料、及びアミン化合物である第3材料の粉末を混合することが好ましい。
【0172】
本発明の有機EL素子の一態様において、各層の膜厚は特に制限されないが、一般にピンホール等の欠陥を抑制し、印加電圧を低く抑え、効率をよくするため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
【0173】
本発明の有機EL素子は、有機ELパネルモジュール等の表示部品、テレビ、携帯電話、又はパーソナルコンピュータ等の表示装置、及び、照明、又は車両用灯具等の発光装置等の電子機器などに使用できる。
【実施例】
【0174】
実施例1
25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極(陽極)付きガラス基板(ジオマティック株式会社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。ITOの膜厚は、130nmとした。
洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に透明電極を覆うようにして化合物HIを蒸着し、膜厚5nmの化合物HI膜を形成した。このHI膜は、正孔注入層として機能する。
このHI膜の成膜に続けて、化合物HT−1を蒸着し、HI膜上に膜厚80nmのHT−1膜を成膜し、さらに化合物HT−2を蒸着し、HT−1膜上に膜厚10nmのHT−2膜を成膜した。これらのHT−1膜、及びHT−2膜は、正孔輸送層として機能する。
さらにHT−2膜上に、第1材料として化合物BH1−1、第2材料として化合物BH2−1、及び第3材料として化合物BDを、共蒸着し、膜厚25nmの発光層を成膜した。この発光層において、第1材料として化合物BH1−1、第2材料として化合物BH2−1、及び第3材料として化合物BDの質量比は、86:10:4とした。
この発光層上に、化合物HBLを蒸着して、膜厚10nmのHBL膜を形成した。このHBL膜は、障壁層として機能する。
このHBL膜上に電子輸送性化合物である化合物ETを蒸着し、膜厚15nmのET膜を形成した。このET膜は、電子輸送層として機能する。
このET膜上にLiFを蒸着して、膜厚1nmのLiF膜を形成した。
このLiF膜上に金属Alを蒸着して、膜厚80nmの金属Al陰極を形成し、有機EL素子を作製した。
【0175】
得られた有機EL素子の初期特性を、室温下、DC(直流)定電流10mA/cm
2駆動で測定した。電圧の測定結果を表2に示す。さらに電流密度が50mA/cm
2となるように有機EL素子に電圧を印加し、初期輝度に対して輝度が95%となるまでの時間を測定した寿命LT95の結果を表2に示す。
【0176】
用いた化合物を以下に示す。
【0177】
【化101】
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【0178】
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
【0179】
【化103】
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【0180】
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
【0181】
実施例2及び比較例1〜2
表2に示す化合物及び質量比を用いた以外、実施例1と同様に、有機EL素子を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0182】
化合物BH1−2を以下に示す。
【化105】
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【0183】
【表2】
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【0184】
実施例1及び2は、比較例1よりも電圧が低く、かつ比較例2に比べて寿命が長かった。
【0185】
また、実施例1のLT95の値は、比較例1のLT95の値と同等であり、また実施例1のLT95の値は、比較例2のLT95の値に比べて大きかった。さらに、実施例1の電圧の値は、比較例1の電圧の値に比べて小さかった。
上記の効果を発現する理由は以下と推察される。実施例1の素子は、BH2−1によりホール輸送が促進されることに伴い、電圧の値が低くなる。また、実施例1の素子は、BH1−1のLUMO(最低空軌道)を電子が流れてBDの電子による劣化を抑制できることに伴い、LT95の値が大きくなる。