【文献】
イソフラボンたっぷり♪納豆わかめの白和え, クックパッド,[online], 2011-03-15 uploaded,[Retrieved on 2020-06-24], Retrived from the internet:<URL: https:/cookpad.com/recipe/1386437>
【文献】
混ぜるだけ!豆×豆で、きなこ納豆♪,[online], 2011-05-07 uploaded,[Retrieved on 2020-06-24], Retrived from the internet:<URL: https:/cookpad.com/recipe/1431935>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
大豆粉が、原料である納豆に対して0.85重量%〜6.0重量%配合され、調味液が、原料である納豆に対して5重量%〜40重量%配合されている、請求項1又は2に記載の納豆。
大豆粉が、原料である納豆に対して0.85重量%〜6.0重量%配合され、調味液が、原料である納豆に対して5重量%〜40重量%配合されている、請求項4、5又は8に記載の食品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明についてさらに説明する。
【0011】
●本発明の納豆
本発明の納豆は、原料である納豆、前記納豆に混合された調味液、及び前記納豆に混合された大豆粉を含む、納豆である。
すなわち本発明の納豆は、原料である納豆と調味液との混合物、及び該混合物に添加された大豆粉を含む、前記原料である納豆を用いる調製物である。本発明の納豆においては、大豆粉が原料である納豆に添加されるのであって、原料である納豆の製造の最中に添加されることを要しない。
【0012】
本発明の納豆における大豆粉は、納豆巻きや納豆入りおにぎりといった食品に用いられる納豆として、納豆巻きや納豆入りおにぎりを冷凍し解凍した際に生じえる糸引きの低下、又は納豆巻きや納豆入りおにぎりといった食品を冷凍し解凍した後の冷蔵もしくは常温における保存の際に生じえる糸引きの低下を抑制し、糸引きを増強する機能を有する。
本発明の納豆は冷凍及び解凍後に食することができるばかりでなく、冷凍及び解凍を経ずに食することもできる。
本発明の納豆には、冷凍及び解凍前の納豆、冷凍中の納豆、冷凍及び解凍後の納豆が包含される。
【0013】
本発明の納豆は、上記のとおり納豆巻きや納豆入りおにぎりといった食品に用いられた際に、納豆巻きや納豆入りおにぎりを冷凍し解凍した際に生じえる糸引きが低下する程度、又は納豆巻きや納豆入りおにぎりといった食品を冷凍し解凍した後の冷蔵もしくは常温における保存の際に生じえる糸引きが低下する程度が、小さい納豆である。すなわち、本発明の納豆においては、納豆の糸引きが増強されている。
<大豆粉>
本発明において用いられる大豆粉は、大豆を加熱後粉砕して得られる粉末で本発明における所期の効果を奏するものであれば限定されない。
本発明において「大豆」の語は、植物の種類の名称として用いられるほか、植物としての大豆の可食部である種子の粒を意味するものとして用いられる。本発明において用いられる大豆は限定されず、例えば黄大豆、黒大豆、赤大豆、青大豆、白大豆、大粒種、中粒種及び小粒種が挙げられる。
本発明における「原料である納豆」とは、添加が予定される調味液及び大豆粉の全量が添加される前の納豆を意味し、調味液及び大豆粉が添加される前の納豆を包含する。
【0014】
本発明において用いられる大豆粉は限定されず、例として膨化大豆を粉砕して得られる大豆粉、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、おからパウダー及びきなこが挙げられる。本発明における大豆粉として、これらの大豆粉を単独で、又はこれらの大豆粉からの1種又は2種以上を併用して、用いてよい。
【0015】
膨化大豆を粉砕して得られる大豆粉は、内部に多数の細孔を有する(パフ化された/膨化された)大豆を粉砕して得られる粉末である。膨化大豆は、例えば大豆の全粒又は割砕された大豆粒を加圧加熱ガスの存在下で数秒間加圧加熱した後、常温・常圧下に急激に放出することにより加工(パフ化/膨化)することにより得られる。
本発明の納豆に用いられる膨化大豆を粉砕して得られる大豆粉の原料としての膨化大豆の製造、すなわち大豆の膨化は、本技術分野において通常用いられる方法で行ってよい。 膨化処理を行う場合の温度や圧力等の条件は、使用する装置に応じ適宜設定してよく、例えば、気流加熱方式による膨化食品製造装置(特公昭46−34747号参照)を使用する場合においては、ゲージ圧力4〜7kg/cm
2の範囲で、飽和蒸気温度よりも80〜130℃高い過熱水蒸気を用いて、原料である大豆を数秒間、例えば2秒間〜8秒間、加圧加熱すればよい。
全脂大豆粉は、大豆を乾燥後、粉砕して得られる粉末である。
脱脂大豆粉は、大豆を乾燥後、粉砕して得られる粉末であり、加工のいずれかのステージにおいて脱脂工程を経たものである。
おからパウダーは豆腐を製造する際に得られるおからを乾燥させ、粉砕して得られる粉末である。
きなこは、大豆を炒って皮をむき、挽いて得られた粉末である。
【0016】
本発明の大豆粉として、膨化大豆を粉砕して得られる大豆粉を含むものは好ましい。膨化大豆を粉砕して得られる大豆粉として、パフミンF(登録商標、キッコーマン株式会社)及びパフミンSM(登録商標、キッコーマン株式会社)が例示される。パフミンFは全脂大豆からの膨化大豆を粉砕して得られる大豆粉であるところ、調製される納豆の食味がより優れる点において一層好ましい。
【0017】
本発明の納豆において用いられる大豆粉の量は所期の効果が達成される量であればよく、限定されない。かかる量として、原料である納豆全体に対して0.86重量%〜6.0重量%の量は好ましく、1.2重量%〜4.6重量%の量はより好ましい。
本発明の納豆において用いられる大豆粉の量は、調味液の量やその他の併用される成分の量に応じて改変してよい。
【0018】
<原料である納豆>
本発明の納豆に用いられる原料である納豆は、限定されず、本技術分野における通常の方法により製造されたものでよい。上記原料である納豆は、例えば、大豆を洗浄・浸漬し、更に蒸煮し、得られた蒸煮大豆に納豆菌を接種し、発酵・熟成させることによって製造してよい。発酵は、通常、温度35℃〜40℃程度、15時間〜20時間程度で行うことができる。上記原料である納豆は、全粒のものでもよくひきわり納豆であってもよい。
【0019】
<調味液>
本発明の納豆に用いられる調味液は限定されず、通常の納豆用の調味液であってよい。
本発明の納豆に用いられる調味液として醤油を含むものは好ましい。かかる醤油としては、液状醤油及び粉末醤油が例示される。
【0020】
液状醤油としては、例えば、大豆や小麦などの植物性原料を加熱処理し、これに麹菌を繁殖させた後、食塩水中にて発酵、熟成させた醸造醤油、植物性原料を酸や酵素で分解して造られるアミノ酸混合醤油、Hydrolyzed Vegetable Protein(HVP)、魚介類を発酵させた魚醤、蓄肉類を発酵させた肉醤、魚介類や蓄肉類を酵素や酸で分解させたHydrolyzed Animal Protein(HAP)等が挙げられる。これらの中でも、醸造醤油が好ましく、例えば醤油品質表示基準(農水省告示第1665号、改正告示第1704号)に記載される醤油がとくに好ましい。
醸造醤油には、原料の大豆と小麦との比率、原料処理の方法、塩分濃度等の製法の違いによって種々のものがあり、例えば、濃口醤油,淡口醤油,白醤油,溜醤油,再仕込醤油,生醤油等が挙げられる。本発明の納豆における調味液に用いられる醸造醤油としては、納豆の食感等に影響する大豆タンパク質を分解するプロテアーゼ等の酵素が残存しにくい濃口醤油や淡口醤油等が好ましい。
【0021】
粉末醤油は限定されず、例えば醤油に澱粉やデキストリン等の賦形剤を添加して、スプレードライ法、あるいは、ドラムドライ法等で乾燥粉末化したものが例示される。粉末醤油を添加することにより旨味を増大させるとともに、調味液の浸透圧を高めて納豆が軟らかくなるのを抑制することができる。また、粉末醤油は、醤油に含まれるアミノ酸等の旨味成分あるいは食塩、糖類等が液体の醤油よりも濃縮されていることから、液体の醤油の量より少ない量で調味液に用いることにより、調味液に強い旨みを付与することができるため好ましい。
【0022】
本発明の納豆に用いられる調味液の原料として、醤油のほかに、
・肉エキス、酵母エキス、野菜エキス等のエキス類;
・鰹節等のだし類;
・果汁・野菜汁、糖類、グルタミン酸ナトリウム、核酸等の調味料;
・みりん、清酒等の酒類;
・有機酸等の酸味料;及び
・香料、乳化剤、増粘剤等の副原料
を用いてよい。
【0023】
本発明の納豆に用いられる調味液には、醤油を含む調味料を用いてよい。かかる調味料として、本つゆ(登録商標、キッコーマン株式会社)が例示される。本つゆは成分としてしょうゆ(本醸造)(脱脂加工大豆、大豆、小麦を含む)、ぶどう糖果糖液糖、砂糖、食塩、節(かつお、いわし、そうだかつお)、エキス(かつお節、昆布)、小麦発酵調味液、みりん、調味料(アミノ酸等)、及びアルコールを含有する。本発明の納豆に用いられる調味液にはこれらの成分を単独で含んでもよい。
【0024】
本発明の納豆において用いられる調味液の量は所期の効果が達成される量であればよく、限定されない。かかる液体の量として、原料である納豆全体に対して0.5重量%〜40重量%の量は好ましく、5重量%〜30重量%の量はより好ましい。
本発明の納豆において用いられる調味液の量は、大豆粉の量やその他の併用される成分(例えば食塩分)の量に応じて改変してよい。
【0025】
●本発明の納豆の製造方法
本発明の納豆の製造方法は、原料である納豆、調味液、ならびに前記納豆及び調味液に混合された大豆粉を含む、納豆を製造する方法であれば限定されない。
本発明の納豆の製造方法としては、例えば上記原料である納豆と調味液とを均一になるように混合し、得られた原料である納豆と調味液との混合物に大豆粉を添加し、添加された大豆粉が均一になるように全体を混合して本発明の納豆を得る方法が例示される。
本発明の納豆を製造する際の大豆粉の添加は、用いられる大豆粉のすべてを一回で添加して行ってもよいし、用いられる大豆粉の全量を何回かに分けて添加して行ってもよい。
【0026】
大豆粉の添加は、大豆粉をそのまま添加して行ってもよいし、大豆粉を前記調味液に懸濁させ、大豆粉を含む該調味液を添加して行ってもよい。大豆粉を懸濁し原料である納豆に添加するために用いられる調味液の量は限定されず、用いられる調味液の体積又は重量の20%〜100%であってよい。
大豆粉による水分吸収により、調味液の水分への影響を避ける必要がある場合には、大豆粉をそのまま添加することは好ましい。
【0027】
本発明の納豆の製造方法として、下記の工程を含むものは好ましい:
(a)調味液を、原料である納豆に対して液体として5重量%〜40重量%の量で前記納豆に添加する工程、及び
(b)工程(a)により得た調製物に、大豆粉を、原料である納豆に対して1重量%〜4重量%の量で前記納豆に添加する工程
。
上記の量は本発明の納豆を製造する際の仕込み量であり、最終製品としての本発明の納豆又は保存後の本発明の納豆においては、これらの量は変わっていてよい。
【0028】
本発明の納豆を得る際の原料である納豆と調味液、及び原料である納豆と調味液との混合物に大豆粉を混合する工程においては、撹拌して混合することは好ましい。
撹拌する回数は限定されず、50回以上撹拌することはより好ましい。
【0029】
本発明の納豆の製造において、原料である納豆と調味液との割合は、質量比で1:0.05〜1:0.4であることが好ましく、1:0.05〜1:0.3であることがより好ましい。質量比で原料である納豆1に対する調味液の配合量を0.05以上とすることにより、納豆の味付けを十分かつ均一にしやすくなり、納豆1に対する調味液の添加量を0.4以下にすることにより味付けが濃くなりすぎたり、調味液が納豆巻きの外側にしみ出したりするのを一層効果的に防ぐことができる。
原料である納豆と調味液との混合は、例えば、原料である納豆と調味液とを調理器具を用いて手作業で行うこともできるし、撹拌機等の混合機械を用いて行うこともできる。なお、納豆を調味液を添加する前に、予め適度に混合して糸引き状態にしておくことは好ましい。
【0030】
本発明の納豆には薬味、調味液以外の調味料、又は納豆の調整に用いられるその他の成分をさらに添加してよい。かかる薬味、調味料及びその他の成分ならびにそれらの量は、本発明による所期の効果を著しく阻害しない範囲のものであれば限定されない。薬味としては刻みネギやとき卵が例示され、調味料としては辛子、ゴマ及び塩が例示され、その他の成分としてはα化した米粉が例示される。
上記薬味や調味料を本発明の納豆に添加するタイミングは限定されず、冷凍及び解凍を経た前又は後のいずれであってもよい。上記添加するタイミングを、本発明の納豆の効果がより良好に奏されるタイミングにすることは好ましい。
【0031】
本発明の納豆は所定の容器に入れて冷凍してよい。
該冷凍された本発明の納豆は、解凍後にそのまま食品として、又は食品の一部として他の食材とともに、用いることができる。
冷凍された本発明の納豆を解凍する方法は限定されず、加熱解凍又は室温下もしくは冷蔵下における自然解凍であってよい。
【0032】
●本発明の納豆を用いる食品
本発明はさらに、本発明の納豆を用いる納豆巻き及び納豆入りおにぎりといった食品も提供する。
本発明の食品の製造方法は限定されず、本技術分野における通常の方法を用いてよい。
【0033】
本発明の食品には納豆巻きや納豆入りが包含される。
本発明の納豆巻きの製造方法は限定されず、本技術分野における通常の方法であってよい。
本発明の納豆巻きの製造方法として、以下の工程を含む方法が例示される:
巻き簀の上に載置した焼き海苔の上に酢飯を拡展し、冷凍・解凍を経た本発明の納豆を前記拡展した酢飯の上に筋状に載せ、巻き簀により焼き海苔と酢飯を巻き込んで締め付けることにより巻物とする。得られた巻物を所望の長さに切ってもよい。
【0034】
本発明の納豆入りおにぎりの製造方法は限定されず、本技術分野における通常の方法であってよい。
本発明の納豆入りおにぎりの製造方法として、以下の工程を含む方法が例示される:
載置した焼き海苔の上に米飯を薄く広げ、冷凍・解凍を経た本発明の納豆を前記拡展した米飯の上に塊状に載せ、該塊状の納豆が外部に漏出しないように前記焼き海苔及び米飯にて包み込み外部から圧を加えて成形しておにぎりとする。
本発明のおにぎりには、提供される際には焼き海苔が巻かれておらず、消費者が喫食する直前に焼き海苔をおにぎりの形状に成形された米飯に巻く、焼き海苔がフィルムに包まれて米飯とは直接接触していないものや、焼き海苔を含まないものも包含される。これらのタイプのおにぎりは、上記の製造方法の一部を適用して製造してよい。
【0035】
●納豆の糸引きを増強する方法
本発明により、大豆粉を納豆に混合することを含む、納豆の糸引きを増強する方法も提供される。すなわち、冷凍後に食されることが予定されている納豆に大豆粉を添加し、好ましくは撹拌して均一に混ぜ合わせることにより、冷凍・解凍を経ても、納豆の糸引きを良好に保つことができる。
大豆粉の種類、各種成分の量、撹拌の回数等は、上記において本発明の納豆について述べた事項が、本発明の納豆の糸引きを増強する方法に適用される。
【0036】
糸引きの増強や低下する度合いを評価する方法は限定されないところ、例えば冷凍及び解凍を経た後の納豆に糸を引かせた際の外観を目視して糸の量を判断することにより、あるいは糸引きの重さ、すなわち納豆を箸などの器具を用いて持ち上げたときの抵抗感、重み、及び/又は結束感を考慮して、行ってよい。これらの評価は、例えば本発明の納豆ではない納豆との比較を指標として行ってよい。
【0037】
糸引きの増強や低下する度合いは冷凍及び解凍を経た後の納豆について行えばよく、冷凍前の納豆については考慮する必要はない。すなわち本発明の納豆が奏する効果は、冷凍及び解凍後の喫食時における糸の量や糸引き重さについて奏されていればよい。
【実施例】
【0038】
以下に具体的な例により本発明をより詳細に説明するが、これは如何なる意味においても本発明を限定するものではない。
[実施例1]
大豆粉入り納豆の製造
[材料]
納豆・・・納豆名人(登録商標、ヤマダフーズ社)を用いた。
調味液・・・本つゆ濃いだし(登録商標、キッコーマン株式会社)2:水3(重量)で希釈したものを用いた。
大豆粉・・・下記のものを、それぞれ納豆100gに対して3.6gずつ用いた。
・パフミンF(膨化大豆粉、キッコーマン食品株式会社製)
・パフミンSM(膨化脱脂大豆粉、キッコーマン食品株式会社)
・大豆粉(全脂、みたけ食品工業株式会社)
・大豆粉(全脂、株式会社日清商会)
・脱脂大豆粉(日清オイリオグループ株式会社)
・脱脂大豆粉(昭和産業株式会社)
・おからパウダー(キッコーマンソイフーズ株式会社)
・市販のきなこ(北海道きな粉(中村食品産業株式会社))
【0039】
[方法]
(1)原料である納豆に対し30%の調味液及び3.6%の上記大豆粉を添加し、50回撹拌した。撹拌は割り箸を用いて行った。
(2)工程(1)を終えた後、1時間置いてさらに20回撹拌した。
(3)工程(2)における調製物を惣菜容器に入れ、冷凍保管した。保管を行った量は各試験区につき50gを2パックずつであった。残余分も同様に冷凍保管した。
【0040】
工程(2)の後に得られた納豆及び工程(3)の後に得られた納豆は、調味液及び大豆粉が均一に混合された、それぞれ冷凍前及び冷凍後の納豆であった。
【0041】
[実施例2]
納豆の糸引きを増強する効果の評価(1)(外観の目視による評価)
[材料と方法]
実施例1において製造した納豆を冷凍及び解凍した後の糸の量を、大豆粉を添加していない区(Cont)を基準に用い、目視にて5段階にて評価した。目視の対象は、各納豆を5回かき混ぜた後、20粒程度の塊を箸で15cm程度持ち上げた際の糸の量とした。糸の量の指標として下記の指標を用いた。評価は2人の評価者により行った:
× Contと同程度
▲:×より多く、△より少ない
△:▲より多く、○より少ない
○:△より多く、◎より少ない
◎:○より多い
解凍は、7時間冷蔵解凍を行った後、30分間常温において行った。
参考値として各大豆粉の粒子径(メディアン径)及び吸水能も測定した。
上記粒子径はSALD-2300(株式会社島津製作所)を用いて、本技術分野における通常の方法に従って測定した。
上記吸水能として、吸水率(大豆粉1g当たりの吸水量[g])を以下のようにして測定した:
大豆粉5gに水50gを加える。
大豆粉:水=1:10の条件下で粉体を十分に水に溶解させ、溶解後30分間静置。
得られた粉体の水溶液をファルコンチューブに30g入れ(粉体を5gを含む量)、2500rpm、10分、4℃で遠心分離する。
上澄みを捨て、沈殿量を測定する。
計算式:
(沈殿量(g)−最初に加えた粉体の量(g))/最初に加えた粉体の量(g)
により吸水率を求める。
【0042】
また、実施例1に示した方法と同じ方法により、2種のおからパウダーを用いて製造した納豆を冷凍及び解凍した後の糸の量を、大豆粉を添加していない区(Cont)を基準に用い、目視にて5段階にて評価した。
用いたおからパウダーは、
・なめらかおからパウダー(旭松食品株式会社製)、及び
・株式会社ディジャパン製おからパウダー
であった。
冷凍・解凍を含む、サンプルの調製方法、糸の量の評価の方法、ならびに各大豆粉(おからパウダー)の粒子径(メディアン径)及び吸水能の測定も、他のサンプルと同様の方法によりに行った。
【0043】
[結果]
結果は下記第1表に示すとおりであった。
いずれの処理による納豆においても、冷凍及び解凍後の糸引きは無添加区より多かった。とくに膨化大豆及びおからパウダーを添加した納豆における糸の量が多かった。
なお、大豆粉の粒子径(メディアン径)又は吸水能と糸の量との間に相関はなかった。
【0044】
【表1】
【0045】
[実施例3]
納豆の糸引きを増強する効果の評価(2)(糸引きの重さによる評価)
[材料と方法]
実施例1において製造した納豆を含む実施例2に示した納豆を冷凍及び解凍した後の糸引きの重さを、大豆粉を添加していない区(Cont)を基準に用い、目視にて5段階にて評価した。糸引きの重さの指標として下記の指標を用いた。糸引きの重さは、箸で持ち上げたときの抵抗感、重み、結束感を考慮して行った。評価は2人の評価者により行った:
× Contと同程度
▲:×より重く、○より重くない
△:▲より重く、△より重くない
○:△より重く、◎より重くない
◎:○より重い
解凍は、7時間冷蔵解凍を行った後、30分間常温において行った。
【0046】
[結果]
結果は下記第表に示すとおりであった。
いずれの処理による納豆においても、冷凍及び解凍後の糸引きの重さは無添加区より大きかった。とくに膨化大豆及びおからパウダーを添加した納豆における糸引きの重さが大きかった。
なお、大豆粉の粒子径又は吸水能と糸引きの重さとの間に相関はなかった。
【0047】
【表2】
【0048】
[実施例4]
大豆粉の添加量の検討
[材料と方法]
実施例1において実施した方法と同様な方法により製造した納豆として、パフミンF(キッコーマン株式会社)、失活大豆粉(全脂、みたけ社)及び全脂脱臭大豆粉(日清商会)を用いた納豆について、冷凍及び解凍した後の糸の量を、大豆粉を添加していない区(Cont)を基準に用い、目視にて5段階にて評価した。目視の対象は、各納豆を5回かき混ぜた後、20粒程度の塊を箸で15cm程度持ち上げた際の糸の量とした。
原料である納豆(納豆名人(登録商標、ヤマダフーズ社))の量は50gとし、調味液の量は本つゆ濃いだし(原液)6gおよび水9gとした。
各大豆粉の量を第3表に示す量(原料である大豆に対して0.86重量%〜6.0重量%)として、各試験区を設けた。
糸の量の指標として実施例2と同じ下記の指標を用いた。評価は2人の評価者により行った:
× Contと同程度
▲:×より多く、△より少ない
△:▲より多く、○より少ない
○:△より多く、◎より少ない
◎:○より多い
解凍は、7時間の冷蔵解凍により行った。
【0049】
[結果]
結果は下記第3表に示すとおりであった。
いずれの処理による納豆においても、冷凍及び解凍後の糸引きは無添加区より多く、冷凍及び解凍後における糸引きに対する効果が認められた。
また、いずれの大豆粉についても、添加率が0.86重量%〜4.6重量%において、6.0重量%のものより食味が優れていた。
【表3】
【0050】
[実施例5]
納豆の種類の検討
[材料と方法]
原料である納豆(豆名人)をひきわり納豆(おかめ納豆旨味 ひきわり(タカノフーズ))に替えた以外は実施例1において実施した方法と同様な方法により納豆を製造した。
評価は糸の量及び糸引きの重さについて行った。
糸の量については、納豆を冷凍及び解凍した後の糸の量を、大豆粉を添加していない区(Cont)を基準に用い、目視にて5段階にて評価した。目視の対象は、各納豆を5回かき混ぜた後、20粒程度の塊を箸で15cm程度持ち上げた際の糸の量とした。
糸引きの重さについては、納豆を冷凍及び解凍した後の糸引きの重さを、大豆粉を添加していない区(Cont)を基準に用い、目視にて5段階にて評価した。目視の対象は、各納豆を5回かき混ぜた後、20粒程度の塊を箸で15cm程度持ち上げた際の抵抗感、重み、結束感を糸引きの重さとした。 原料である納豆の量は50gとし、調味液の量は本つゆ濃いだし(原液)6gおよび水9gとした。
各大豆粉の量を、原料である大豆に対して3.6重量%として、各試験区を設けた。
糸の量の指標として実施例2及び実施例4と同じ下記の指標を用いた。評価は2人の評価者により行った:
× Contと同程度
▲:×より多く、△より少ない
△:▲より多く、○より少ない
○:△より多く、◎より少ない
◎:○より多い
糸引きの重さの指標として実施例3と同じ下記の指標を用いた。評価は2人の評価者により行った:
× Contと同程度
▲:×より重く、○より重くない
△:▲より重く、△より重くない
○:△より重く、◎より重くない
◎:○より重い
解凍は、2.5時間冷蔵解凍を行った後、30分間常温において行った。
【0051】
[結果]
結果は下記第4表に示すとおりであった。
いずれの処理による納豆においても、冷凍及び解凍後の糸引きは無添加区より多く、冷凍及び解凍後における糸引きに対する効果が認められた。
これらの結果から、本発明の納豆には全粒納豆だけでなくひきわり納豆も用い得ることが明らかになった。
【表4】
【0052】
[試験例]
食味の評価
実施例1において製造した納豆のうち、パフミンF(全脂大豆からの膨化大豆を粉砕して得られる大豆粉)を用いた納豆について、冷凍及び解凍後の食味を、大豆粉を用いていない納豆(Cont)と比較して評価した。
解凍は、7時間冷蔵解凍を行った後、30分間常温において行った。
その結果、パフミンFを用いた納豆は大豆粉を用いていない納豆と同等の、違和感のない食味を示した。
【0053】
[実施例6]
納豆の糸引きを増強する効果の評価(3)(米粉との比較)
[材料]
納豆・・・納豆名人(登録商標、ヤマダフーズ社)を用いた。
調味液・・・本つゆ濃いだし(登録商標、キッコーマン株式会社)2:水3(重量)で希釈したものを用いた。
大豆粉又は米粉・・・下記のものを、それぞれ納豆100gに対して3.6gずつ用いた。
・パフミンF(膨化大豆粉、キッコーマン食品株式会社製)
・パフゲンC−1(米粉、キッコーマン食品株式会社)
・市販のα化米粉a(A社製)
・市販のα化米粉b(B社製)
・市販のα化米粉c(C社製)
【0054】
[方法]
(1)原料である納豆に対し30%の調味液及び3.6%の上記大豆粉又は米粉を添加し、50回撹拌した。撹拌は割り箸を用いて行った。
(2)工程(1)を終えた後、1時間置いてさらに20回撹拌した。
(3)工程(2)における調製物を惣菜容器に入れ、冷凍保管した。保管を行った量は各試験区につき50gを2パックずつであった。残余分も同様に冷凍保管した。
【0055】
工程(3)の後に得られた納豆につき、解凍した後の糸の量を、大豆粉又は米粉を添加していない区(Cont)を基準に用い、目視にて5段階にて評価した。目視の対象は、各納豆を5回かき混ぜた後、20粒程度の塊を箸で15cm程度持ち上げた際の糸の量とした。
大豆粉又は米粉の量を、原料である大豆に対して3.6重量%として、各試験区を設けた。
糸の量の指標として実施例2及び実施例4と同じ下記の指標を用いた。評価は2人の評価者により行った:
× Contと同程度
▲:×より多く、△より少ない
△:▲より多く、○より少ない
○:△より多く、◎より少ない
◎:○より多い
解凍は、2.5時間冷蔵解凍を行った後、1時間15分の間常温において行った。
参考値として各大豆粉の粒子径(メディアン径)及び吸水能も測定した。
上記粒子径はSALD-2300(株式会社島津製作所)を用いて、本技術分野における通常の方法に従って測定した。
上記吸水能として、吸水率(大豆粉1g当たりの吸水量[g])を以下のようにして測定した:
大豆粉:水=1:5、又は米粉:水=1:10になるように、大豆粉5g又は米粉3gに水を25g又は30g加える。
大豆粉:水=1:5又は米粉:水=1:10の条件下で粉体を十分に水に溶解させ、溶解後30分間静置。
得られた粉体の水溶液をファルコンチューブに30g(大豆粉の場合。大豆粉を5gを含む量)、又は33g入れ(米粉の場合。米粉を3gを含む量)、2500rpm、10分、4℃で遠心分離する。
上澄みを捨て、沈殿量を測定する。
計算式:
(沈殿量(g)−最初に加えた粉体の量(g))/最初に加えた粉体の量(g)
により吸水率を求める。
【0056】
[結果]
結果は下記第5表に示すとおりであった。
大豆粉としてパフミンFを用いた本発明の納豆は、冷凍及び解凍後の糸引きが、同量の米粉を用いた納豆より優れていた。パフミンFの吸水率は、2種類の米粉(パフゲンC−1及びα化米粉a)よりはるかに小さく、他の2種類の米粉(α化米粉b及びα化米粉c)よりや大きい程度であった。
【0057】
【表5】