(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電極における電圧振幅から求めることが可能な最大の測定値、前記一方の第2電極における電圧振幅から求めることが可能な最大の測定値、及び、前記他方の第2電極の電圧振幅から求めることが可能な最大の測定値は同一であり、
前記第1の距離は、前記最大の測定値の20%以上の前記第2の測定値が該一方の第2電極における電圧振幅から取得されるように設定されており、
前記第2の距離は、前記第1の距離よりも大きく、
前記演算器は、前記第1の測定値が前記最大の測定値の20%以上の値である場合に、前記第1の差を前記補正値として選択し、前記第1の測定値が前記最大の測定値の20%未満の値である場合に、前記第2の差を前記補正値として選択するように構成されている、請求項3に記載の測定器。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0019】
まず、被加工物を処理するための処理装置、及び、当該処理装置に被処理体を搬送するための搬送装置を有する処理システムについて説明する。
図1は、処理システムを例示する図である。処理システム1は、台2a〜2d、容器4a〜4d、ローダモジュールLM、アライナAN、ロードロックモジュールLL1,LL2、プロセスモジュールPM1〜PM6、トランスファーモジュールTF、及び、制御部MCを備えている。なお、台2a〜2dの個数、容器4a〜4dの個数、ロードロックモジュールLL1,LL2の個数、及び、プロセスモジュールPM1〜PM6の個数は限定されるものではなく、一以上の任意の個数であり得る。
【0020】
台2a〜2dは、ローダモジュールLMの一縁に沿って配列されている。容器4a〜4dはそれぞれ、台2a〜2d上に搭載されている。容器4a〜4dの各々は、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)と称される容器である。容器4a〜4dのそれぞれは、被加工物Wを収容するように構成されている。被加工物Wは、例えば略円盤形状を有する。
【0021】
ローダモジュールLMは、大気圧状態の搬送空間をその内部に画成するチャンバ壁を有している。この搬送空間内には搬送装置TU1が設けられている。搬送装置TU1は、例えば、多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU1は、容器4a〜4dとアライナANとの間、アライナANとロードロックモジュールLL1〜LL2の間、ロードロックモジュールLL1〜LL2と容器4a〜4dの間で被加工物Wを搬送するように構成されている。
【0022】
アライナANは、ローダモジュールLMと接続されている。アライナANは、被加工物Wの位置の調整(位置の較正)を行うように構成されている。
図2は、アライナを例示する斜視図である。アライナANは、支持台6T、駆動装置6D、及び、センサ6Sを有している。支持台6Tは、鉛直方向に延びる軸線中心に回転可能な台であり、その上に被加工物Wを支持するように構成されている。支持台6Tは、駆動装置6Dによって回転される。駆動装置6Dは、制御部MCによって制御される。駆動装置6Dからの動力により支持台6Tが回転すると、当該支持台6T上に載置された被加工物Wも回転するようになっている。
【0023】
センサ6Sは、光学センサであり、被加工物Wが回転されている間、被加工物Wのエッジを検出する。センサ6Sは、エッジの検出結果から、基準角度位置に対する被加工物WのノッチWN(或いは、別のマーカー)の角度位置のずれ量、及び、基準位置に対する被加工物Wの中心位置のずれ量を検出する。センサ6Sは、ノッチWNの角度位置のずれ量及び被加工物Wの中心位置のずれ量を制御部MCに出力する。制御部MCは、ノッチWNの角度位置のずれ量に基づき、ノッチWNの角度位置を基準角度位置に補正するための支持台6Tの回転量を算出する。制御部MCは、この回転量の分だけ支持台6Tを回転させるよう、駆動装置6Dを制御する。これにより、ノッチWNの角度位置を基準角度位置に補正することができる。また、制御部MCは、搬送装置TU1のエンドエフェクタ(end effector)上の所定位置に被加工物Wの中心位置が一致するよう、アライナANから被加工物Wを受け取る際の搬送装置TU1のエンドエフェクタの位置を、被加工物Wの中心位置のずれ量に基づき、制御する。
【0024】
図1に戻り、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、ローダモジュールLMとトランスファーモジュールTFとの間に設けられている。ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2の各々は、予備減圧室を提供している。
【0025】
トランスファーモジュールTFは、ロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2にゲートバルブを介して接続されている。トランスファーモジュールTFは、減圧可能な減圧室を提供している。この減圧室には、搬送装置TU2が設けられている。搬送装置TU2は、例えば、多関節ロボットであり、制御部MCによって制御される。搬送装置TU2は、ロードロックモジュールLL1〜LL2とプロセスモジュールPM1〜PM6との間、及び、プロセスモジュールPM1〜PM6のうち任意の二つのプロセスモジュール間において、被加工物Wを搬送するように構成されている。
【0026】
プロセスモジュールPM1〜PM6は、トランスファーモジュールTFにゲートバルブを介して接続されている。プロセスモジュールPM1〜PM6の各々は、被加工物Wに対してプラズマ処理といった専用の処理を行うよう構成された処理装置である。
【0027】
この処理システム1において被加工物Wの処理が行われる際の一連の動作は以下の通り例示される。ローダモジュールLMの搬送装置TU1が、容器4a〜4dの何れかから被加工物Wを取り出し、当該被加工物WをアライナANに搬送する。次いで、搬送装置TU1は、その位置が調整された被加工物WをアライナANから取り出して、当該被加工物WをロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送する。次いで、一方のロードロックモジュールが、予備減圧室の圧力を所定の圧力に減圧する。次いで、トランスファーモジュールTFの搬送装置TU2が、一方のロードロックモジュールから被加工物Wを取り出し、当該被加工物WをプロセスモジュールPM1〜PM6のうち何れかに搬送する。そして、プロセスモジュールPM1〜PM6のうち一以上のプロセスモジュールが被加工物Wを処理する。そして、搬送装置TU2が、処理後の被加工物WをプロセスモジュールからロードロックモジュールLL1及びロードロックモジュールLL2のうち一方のロードロックモジュールに搬送する。次いで、搬送装置TU1が被加工物Wを一方のロードロックモジュールから容器4a〜4dの何れかに搬送する。
【0028】
この処理システム1は、上述したように制御部MCを備えている。制御部MCは、プロセッサ、メモリといった記憶装置、表示装置、入出力装置、通信装置等を備えるコンピュータ装置であり得る。上述した処理システム1の一連の動作は、記憶装置に記憶されたプログラムに従った制御部MCによる処理システム1の各部の制御により、実現されるようになっている。
【0029】
図3は、プロセスモジュールPM1〜PM6の何れかとして採用され得るプラズマ処理装置の一例を示す図である。
図3に示すプラズマ処理装置10は、容量結合型プラズマエッチング装置である。プラズマ処理装置10は、チャンバ本体12を備えている。チャンバ本体12は、略円筒形状を有している。チャンバ本体12は、例えば、アルミニウムから形成されており、その内壁面には、陽極酸化処理が施され得る。このチャンバ本体12は接地されている。
【0030】
チャンバ本体12の底部上には、支持部14が設けられている。支持部14は、略円筒形状を有している。支持部14は、例えば、絶縁材料から構成されている。支持部14は、チャンバ本体12内に設けられており、チャンバ本体12の底部から上方に延在している。また、チャンバ本体12によって提供されるチャンバS内には、ステージSTが設けられている。ステージSTは、支持部14によって支持されている。
【0031】
ステージSTは、下部電極LE及び静電チャックESCを有している。下部電極LEは、第1プレート18a及び第2プレート18bを含んでいる。第1プレート18a及び第2プレート18bは、例えばアルミニウムといった金属から構成されており、略円盤形状を有している。第2プレート18bは、第1プレート18a上に設けられており、第1プレート18aに電気的に接続されている。
【0032】
第2プレート18b上には、静電チャックESCが設けられている。静電チャックESCは、導電膜である電極を一対の絶縁層又は絶縁シート間に配置した構造を有しており、略円盤形状を有している。静電チャックESCの電極には、直流電源22がスイッチ23を介して電気的に接続されている。この静電チャックESCは、直流電源22からの直流電圧により生じたクーロン力等の静電力により被加工物Wを吸着する。これにより、静電チャックESCは、被加工物Wを保持することができる。
【0033】
第2プレート18bの周縁部上には、フォーカスリングFRが設けられている。このフォーカスリングFRは、被加工物Wのエッジ及び静電チャックESCを囲むように設けられている。フォーカスリングFRは、第1部分P1及び第2部分P2を有している(
図6参照)。第1部分P1及び第2部分P2は環状板形状を有している。第2部分P2は、第1部分P1上に設けられている。第2部分P2の内縁P2iは第1部分P1の内縁P1iの直径よりも大きい直径を有している。被加工物Wは、そのエッジ領域が、フォーカスリングFRの第1部分P1上に位置するように、静電チャックESC上に載置される。フォーカスリングFRは、シリコン、炭化ケイ素、酸化シリコンなどの材料から形成され得る。
【0034】
第2プレート18bの内部には、冷媒流路24が設けられている。冷媒流路24には、チャンバ本体12の外部に設けられたチラーユニットから配管26aを介して冷媒が供給される。冷媒流路24に供給された冷媒は、配管26bを介してチラーユニットに戻される。このように、冷媒流路24とチラーユニットとの間では、冷媒が循環される。この冷媒の温度を制御することにより、静電チャックESCによって支持された被加工物Wの温度が制御される。
【0035】
ステージSTには、当該ステージSTを貫通する複数(例えば、三つ)の貫通孔25が形成されている。これら、複数の貫通孔25には、複数本(例えば、3本)のリフトピン25aがそれぞれ挿入されている。なお、
図3においては、一本のリフトピン25aが挿入された一つの貫通孔25が描かれている。リフトピン25aは、例えばアクチュエータによって昇降するリンクに支持されている。リフトピン25aは、その先端が静電チャックESCの上方に突き出た状態で、当該リフトピン25aの先端に被加工物Wを支持する。しかる後に、リフトピン25aが下降することにより被加工物Wが静電チャックESC上に載置される。また、被加工物Wのプラズマ処理後には、リフトピン25aが上昇することにより、被加工物Wが静電チャックESCから引き離される。即ち、リフトピン25aは、被加工物Wのローディング及びアンローディングのために用いられる。
【0036】
また、プラズマ処理装置10には、ガス供給ライン28が設けられている。ガス供給ライン28は、伝熱ガス供給機構からの伝熱ガス、例えばHeガスを、静電チャックESCの上面と被加工物Wの裏面との間に供給する。
【0037】
また、プラズマ処理装置10は、上部電極30を備えている。上部電極30は、ステージSTの上方において、当該ステージSTと対向配置されている。上部電極30は、絶縁性遮蔽部材32を介して、チャンバ本体12の上部に支持されている。上部電極30は、天板34及び支持体36を含み得る。天板34はチャンバSに面しており、当該天板34には複数のガス吐出孔34aが設けられている。この天板34は、シリコン又は石英から形成され得る。或いは、天板34は、アルミニウム製の母材の表面に酸化イットリウムといった耐プラズマ性の膜を形成することによって構成され得る。
【0038】
支持体36は、天板34を着脱自在に支持するものであり、例えばアルミニウムといった導電性材料から構成され得る。この支持体36は、水冷構造を有し得る。支持体36の内部には、ガス拡散室36aが設けられている。このガス拡散室36aからは、ガス吐出孔34aに連通する複数のガス通流孔36bが下方に延びている。また、支持体36には、ガス拡散室36aに処理ガスを導くガス導入口36cが形成されており、このガス導入口36cには、ガス供給管38が接続されている。
【0039】
ガス供給管38には、バルブ群42及び流量制御器群44を介して、ガスソース群40が接続されている。ガスソース群40は、複数種のガス用の複数のガスソースを含んでいる。バルブ群42は複数のバルブを含んでおり、流量制御器群44はマスフローコントローラといった複数の流量制御器を含んでいる。ガスソース群40の複数のガスソースはそれぞれ、バルブ群42の対応のバルブ及び流量制御器群44の対応の流量制御器を介して、ガス供給管38に接続されている。
【0040】
また、プラズマ処理装置10では、チャンバ本体12の内壁に沿ってシールド46が着脱自在に設けられている。シールド46は、支持部14の外周にも設けられている。シールド46は、チャンバ本体12にエッチング副生物が付着することを防止するものであり、アルミニウム材に酸化イットリウム等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。
【0041】
チャンバ本体12の底部側、且つ、支持部14とチャンバ本体12の側壁との間には排気プレート48が設けられている。排気プレート48は、例えば、アルミニウム材に酸化イットリウム等のセラミックスを被覆することにより構成され得る。排気プレート48には、その板厚方向に貫通する複数の孔が形成されている。この排気プレート48の下方、且つ、チャンバ本体12には、排気口12eが設けられている。排気口12eには、排気管52を介して排気装置50が接続されている。排気装置50は、圧力調整弁及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ本体12内の空間を所望の真空度まで減圧することができる。また、チャンバ本体12の側壁には被加工物Wの搬入出口12gが設けられており、この搬入出口12gはゲートバルブ54により開閉可能となっている。
【0042】
また、プラズマ処理装置10は、第1の高周波電源62及び第2の高周波電源64を更に備えている。第1の高周波電源62は、プラズマ生成用の第1の高周波を発生する電源であり、例えば、27〜100MHzの周波数を有する高周波を発生する。第1の高周波電源62は、整合器66を介して上部電極30に接続されている。整合器66は、第1の高周波電源62の出力インピーダンスと負荷側(上部電極30側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。なお、第1の高周波電源62は、整合器66を介して下部電極LEに接続されていてもよい。
【0043】
第2の高周波電源64は、被加工物Wにイオンを引き込むための第2の高周波を発生する電源であり、例えば、400kHz〜13.56MHzの範囲内の周波数の高周波を発生する。第2の高周波電源64は、整合器68を介して下部電極LEに接続されている。整合器68は、第2の高周波電源64の出力インピーダンスと負荷側(下部電極LE側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。
【0044】
このプラズマ処理装置10では、複数のガスソースのうち選択された一以上のガスソースからのガスがチャンバSに供給される。また、排気装置50によってチャンバSの圧力が指定の圧力に設定される。さらに、第1の高周波電源62からの第1の高周波によってチャンバS内のガスが励起される。これにより、プラズマが生成される。そして、発生した活性種によって被加工物Wが処理される。なお、必要に応じて、第2の高周波電源64の第2の高周波に基づくバイアスにより、被加工物Wにイオンが引き込まれてもよい。
【0045】
以下、測定器について説明する。
図4は、一実施形態に係る測定器を示す平面図である。
図4に示す測定器100は、ベース基板102を備えている。ベース基板102は、例えば、シリコンから形成されており、被加工物Wの形状と同様の形状、即ち略円盤形状を有している。ベース基板102の直径は、被加工物Wの直径と同様の直径であり、例えば、300mmである。測定器100の形状及び寸法は、このベース基板102の形状及び寸法によって規定される。したがって、測定器100は、被加工物Wの形状と同様の形状を有し、且つ、被加工物Wの寸法と同様の寸法を有する。また、ベース基板102のエッジには、ノッチ102N(或いは、別のマーカー)が形成されている。
【0046】
ベース基板102は、下側部分102a及び上側部分102bを有している。下側部分102aは、測定器100が静電チャックESCの上方に配置されるときに、上側部分102bよりも静電チャックESCの近くに位置する部分である。上側部分102bは、測定器100が静電チャックESCの上方に配置されるときに、上方に露出する上面を有する部分である。
【0047】
ベース基板102の上側部分102bには、静電容量測定用の複数の第1センサ104A〜104Hが設けられている。なお、測定器100に設けられる第1センサの個数は、三個以上の任意の個数であり得る。測定器100の第1センサの個数は、一つであってもよい。複数の第1センサ104A〜104Hは、ベース基板102のエッジに沿って、例えば当該エッジの全周において等間隔に、配列されている。具体的には、複数の第1センサ104A〜104Hの各々の前側端面104fがベース基板102の上側部分102bのエッジに沿うように設けられている。
【0048】
また、ベース基板102の上側部分102bには、第1センサ104A〜104Hのそれぞれの測定値の修正を可能とするために、二つの第2センサ、即ち、第2センサ105A及び第2センサ105Bが固定されている。第2センサ105A及び第2センサ105Bは、ベース基板102の上側部分102bの上面において、互いに離間した位置に配置されている。
【0049】
ベース基板102の上側部分102bの上面は、凹部102rを提供している。凹部102rは、中央領域102c及び複数の放射領域102hを含んでいる。中央領域102cは、中心軸線AX100と交差する領域である。中心軸線AX100は、ベース基板102の中心を板厚方向に通過する軸線である。中央領域102cには、回路基板106が設けられている。複数の放射領域102hは、中央領域102cから複数の第1センサ104A〜104H、第2センサ105A、及び、第2センサ105Bのそれぞれが配置されている領域に向かって、中心軸線AX100に対して放射方向に延在している。複数の放射領域102hには、複数の第1センサ104A〜104H、第2センサ105A、及び、第2センサ105Bを、回路基板106に電気的に接続するための配線群108A〜108H、配線群208A、及び、配線群208Bが設けられている。なお、複数の第1センサ104A〜104Hはベース基板102の下側部分102aに設けられていてもよい。
【0050】
以下、第1センサについて詳細に説明する。
図5は、第1センサの一例を示す斜視図である。
図6は、
図5のVI−VI線に沿ってとった断面図であり、第1センサと共に測定器のベース基板及びフォーカスリングを示している。
図7は、
図6のVII−VII線に沿ってとった断面図である。
図5〜
図7に示すセンサ104は、測定器100の複数の第1センサ104A〜104Hとして利用されるセンサであり、一例では、チップ状の部品として構成されている。なお、以下の説明では、XYZ直交座標系を適宜参照する。X方向は、センサ104の前方向を示しており、Y方向は、X方向に直交する一方向であってセンサ104の幅方向を示しており、Z方向は、X方向及びY方向に直交する方向であってセンサ104の上方向を示している。
【0051】
図5〜
図7に示すように、センサ104は、前側端面104f、上面104t、下面104b、一対の側面104s、及び、後側端面104rを有している。前側端面104fは、X方向においてセンサ104の前側表面を構成している。センサ104は、前側端面104fが中心軸線AX100に対して放射方向に向くように、測定器100のベース基板102に搭載される(
図4参照)。また、センサ104がベース基板102に搭載されている状態では、前側端面104fは、ベース基板102のエッジに沿って延在する。したがって、測定器100が静電チャックESC上に配置されるときに、前側端面104fは、フォーカスリングFRの内縁に対面する。
【0052】
後側端面104rは、X方向においてセンサ104の後側表面を構成している。センサ104がベース基板102に搭載されている状態では、後側端面104rは、前側端面104fよりも中心軸線AX100の近くに位置する。上面104tはZ方向においてセンサ104の上側表面を構成しており、下面104bはZ方向においてセンサ104の下側表面を構成している。また、一対の側面104sは、Y方向においてセンサ104の表面を構成している。
【0053】
センサ104は、電極143(第1電極)を有している。センサ104は、電極141及び電極142を更に有していてもよい。電極141は、導体から形成されている。電極141は、第1部分141aを有している。
図5及び
図6に示すように、第1部分141aは、X方向及びY方向に延在している。
【0054】
電極142は、導体から形成されている。電極142は、第2部分142aを有している。第2部分142aは、第1部分141aの上で延在している。センサ104内において、電極142は、電極141から絶縁されている。
図5及び
図6に示すように、第2部分142aは、第1部分141aの上で、X方向及びY方向に延在している。
【0055】
電極143は、導体から形成されたセンサ電極である。電極143は、電極141の第1部分141a及び電極142の第2部分142aの上に設けられている。電極143は、センサ104内において電極141及び電極142から絶縁されている。電極143は、前面143fを有している。この前面143fは、第1部分141a及び第2部分142aに交差する方向に延びている。また、前面143fは、センサ104の前側端面104fに沿って延在している。一実施形態では、前面143fは、センサ104の前側端面104fの一部を構成している。或いは、センサ104は、電極143の前面143fの前側に当該前面143fを覆う絶縁膜を有していてもよい。
【0056】
図5〜
図7に示すように、電極141及び電極142は、電極143の前面143fが配置されている領域の側(X方向)で開口し、且つ、電極143の周囲を囲むように延在していてもよい。即ち、電極141及び電極142は、電極143の上方、後方、及び、側方において、当該電極143を囲むように延在していてもよい。
【0057】
センサ104の前側端面104fは、所定の曲率を有する曲面であり得る。即ち、前側端面104fは、当該前側端面の任意の位置で一定の曲率を有しており、当該前側端面104fの曲率は、測定器100の中心軸線AX100と当該前側端面104fとの間の距離の逆数であり得る。このセンサ104は、前側端面104fの曲率中心が中心軸線AX100に一致するように、ベース基板102に搭載される。
【0058】
また、センサ104は、基板部144、絶縁領域146〜149、パッド151〜153、及び、ヴィア配線154を更に有し得る。基板部144は、本体部144m及び表層部144fを有している。本体部144mは、例えばシリコンから形成されている。表層部144fは、本体部144mの表面を覆っている。表層部144fは、絶縁材料から形成されている。表層部144fは、例えば、シリコンの熱酸化膜である。
【0059】
電極142の第2部分142aは、基板部144の下方において延在しており、基板部144と電極142との間には、絶縁領域146が設けられている。絶縁領域146は、例えば、SiO
2、SiN、Al
2O
3、又は、ポリイミドから形成されている。
【0060】
電極141の第1部分141aは、基板部144及び電極142の第2部分142aの下方において延在している。電極141と電極142との間には絶縁領域147が設けられている。絶縁領域147は、例えば、SiO
2、SiN、Al
2O
3、又は、ポリイミドから形成されている。
【0061】
絶縁領域148は、センサ104の上面104tを構成している。絶縁領域148は、例えば、SiO
2、SiN、Al
2O
3、又は、ポリイミドから形成されている。この絶縁領域148には、パッド151〜153が形成されている。パッド153は、導体から形成されており、電極143に接続されている。具体的には、絶縁領域146、電極142、絶縁領域147、及び、電極141を貫通するヴィア配線154によって、電極143とパッド153が互いに接続されている。ヴィア配線154の周囲には絶縁体が設けられており、当該ヴィア配線154は電極141及び電極142から絶縁されている。パッド153は、凹部102rの放射領域102hに設けられた配線183を介して回路基板106に接続されている。パッド151及びパッド152も同様に導体から形成されている。パッド151及びパッド152はそれぞれ、対応のヴィア配線を介して、電極141、電極142に接続されている。また、パッド151及びパッド152は、凹部102rの放射領域102hに設けられた対応の配線を介して回路基板106に接続される。
【0062】
絶縁領域149は、センサ104の下面104bを構成している。絶縁領域149は、例えば、SiO
2、SiN、Al
2O
3、又は、ポリイミドから形成されている。
【0063】
以下、第2センサについて詳細に説明する。
図8は、第2センサの一例を示す平面図である。
図9は、
図8のIX−IX線に沿ってとった断面図である。
図8及び
図9に示すセンサ105は、第2センサ105A及び第2センサ105Bとして利用されるセンサの一例である。センサ105は、第1センサ104A〜104Hとして利用されるセンサ104と同様の構成を有している。即ち、センサ105は、前側端面104f、上面104t、下面104b、後側端面104r、及び、一対の側面104sにそれぞれ対応する前側端面105f、上面105t、下面105b、後側端面105r、及び、一対の側面105sを有する。また、センサ105は、電極141、第1部分141a、電極142、第2部分142a、電極143、前面143f、基板部144、本体部144m、表層部144f、絶縁領域146〜149、パッド151〜153、及び、ヴィア配線154にそれぞれ対応する電極241、第1部分241a、電極242、第2部分242a、電極243(第2電極)、前面243f、基板部244、本体部244m、表層部244f、絶縁領域246〜249、パッド251〜253、及びヴィア配線254を有している。パッド251〜253は、それぞれ放射領域102hに設けられた配線281〜283を介して回路基板106に接続されている。
【0064】
センサ105は、測定器100内で固定されている。センサ105は、ベース基板102の上側部分102bの上面に形成された凹部102g内に配置されている。凹部102gは、センサ105の前側端面105fに対面する基準面102sを提供する。即ち、測定器100は第2センサ105A用の基準面と第2センサ105B用の基準面とを含む二つの基準面を提供している。これら二つの基準面は測定器100内で固定されている。したがって、基準面102sと電極243(前面243f)との間の距離も固定されている。基準面102sは、所定の曲率を有する曲面である。一例として、基準面102sの曲率は、フォーカスリングFRの内縁の曲率と同じ曲率であってよい。なお、図示例では、凹部102gの内側面とセンサ105の側面105sとの間にも間隙が形成されている。
【0065】
一実施形態において、第2センサ105A用の基準面102sと当該第2センサ105Aの電極243(前面243f)との間の第1の距離と、第2センサ105B用の基準面102sと当該第2センサ105Bの電極243(前面243f)との間の第2の距離は、互いに異なっている。後述するように、測定器100では、第1センサ104A〜104Hの各々の電極143における電圧振幅から静電容量を表す測定値(第1の測定値)が取得される。また、第2センサ105A及び第2センサ105Bの各々の電極243における電圧振幅から静電容量を表す測定値(第2の測定値)が取得される。第1センサ104A〜104H、第2センサ105A、及び、第2センサ105Bは、互いに同一の構成を有するので、これらセンサのそれぞれの電極における電圧振幅から取得可能な最大の測定値は同一である。一実施形態では、第1の距離は、当該最大の測定値の20%以上の測定値が第2センサ105Aの電極243における電圧振幅が得られるように設定されている。また、第2の距離は第1の距離よりも大きい。第1の距離は、例えば0.6mm以下の距離であり、第2の距離は例えば1.0mm以上の距離である。
【0066】
以下、回路基板106の構成について説明する。
図10は、測定器の回路基板の構成を例示する図である。
図10に示すように、回路基板106は、高周波発振器171、複数のC/V変換回路172A〜172H,272A,272B、A/D変換器173、プロセッサ(演算器)174、記憶装置(記憶素子)175、通信装置176、及び、電源177を有している。
【0067】
複数の第1センサ104A〜104Hの各々は、複数の配線群108A〜108Hのうち対応の配線群を介して回路基板106に接続されている。複数の第1センサ104A〜104Hの各々は、対応の配線群に含まれる幾つかの配線を介して、複数のC/V変換回路172A〜172Hのうち対応のC/V変換回路に接続されている。第2センサ105Aは、配線群208Aを介して回路基板106に接続されている。第2センサ105Aは、配線群208Aに含まれる幾つかの配線を介して、C/V変換回路272Aに接続されている。第2センサ105Bは、配線群208Bを介して回路基板106に接続されている。第2センサ105Bは、配線群208Bに含まれる幾つかの配線を介して、C/V変換回路272Bに接続されている。
【0068】
以下、第1センサ104A〜104Hの各々、第2センサ105A〜105Bの各々、複数の配線群108A〜108Hの各々、二つの配線群208A,208Bの各々,複数のC/V変換回路172A〜172Hの各々、二つのC/V変換回路272A,272Bの各々をそれぞれ、センサ104、センサ105、配線群108、配線群208、C/V変換回路172、C/V変換回路272として参照する。
【0069】
配線群108は、配線181〜183を含んでいる。配線181の一端は、センサ104の電極141に接続されたパッド151に接続されている。この配線181は、回路基板106のグランドGCに接続されたグランド電位線GLに接続されている。なお、配線181は、グランド電位線GLにスイッチSWGを介して接続されていてもよい。また、配線182の一端は、電極142に接続されたパッド152に接続されており、配線182の他端はC/V変換回路172に接続されている。また、配線183の一端は、電極143に接続されたパッド153に接続されており、配線183の他端はC/V変換回路172に接続されている。
【0070】
配線群208は、配線281〜283を含んでいる。配線281の一端は、電極241に接続されたパッド251に接続されている。この配線281は、回路基板106のグランドGCに接続されたグランド電位線GLに接続されている。なお、配線281は、グランド電位線GLにスイッチSWGを介して接続されていてもよい。また、配線282の一端は、電極242に接続されたパッド252に接続されており、配線282の他端はC/V変換回路272に接続されている。また、配線283の一端は、電極243に接続されたパッド253に接続されており、配線283の他端はC/V変換回路272に接続されている。
【0071】
高周波発振器171は、バッテリーといった電源177に接続されており、当該電源177からの電力を受けて高周波信号を発生するよう構成されている。なお、電源177は、プロセッサ174、記憶装置175、及び、通信装置176にも接続されている。高周波発振器171は、複数の出力線を有している。高周波発振器171は、発生した高周波信号を複数の出力線を介して、配線182及び配線183、並びに、配線282及び配線283に与えるようになっている。したがって、高周波発振器171は、センサ104の電極142及び電極143、並びに、センサ105の電極242及び電極243に電気的に接続されており、当該高周波発振器171からの高周波信号は、電極142及び電極143、並びに、電極242及び電極243に与えられるようになっている。
【0072】
C/V変換回路172の入力には配線182及び配線183が接続されている。また、C/V変換回路272の入力には配線282及び配線283が接続されている。C/V変換回路172及びC/V変換回路272の各々は、その入力における電圧振幅から、当該入力に接続された電極の静電容量を表す電圧信号を生成し、当該電圧信号を出力するよう構成されている。なお、C/V変換回路172に接続された電極の静電容量が大きいほど、当該C/V変換回路172、当該C/V変換回路172が出力する電圧信号の電圧の大きさは大きくなる。同様に、C/V変換回路272に接続された電極の静電容量が大きいほど、当該C/V変換回路272が出力する電圧信号の電圧の大きさは大きくなる。
【0073】
A/D変換器173の入力には、複数のC/V変換回路172A〜172H、C/V変換回路272A、及び、C/V変換回路272Bそれぞれの出力が接続している。また、A/D変換器173は、プロセッサ174に接続している。A/D変換器173は、プロセッサ174からの制御信号によって制御され、複数のC/V変換回路172A〜172H、C/V変換回路272A、及び、C/V変換回路272Bそれぞれの出力信号を、デジタル値に変換する。即ち、A/D変換器173は、第1センサ104〜104Hの各々の電極143と当該電極143に対面する対象物との間の静電容量を表す第1の測定値を生成する。また、A/D変換器173は、第2センサ105Aの電極243と対応の基準面102sとの間の静電容量を表す第2の測定値を生成する。また、A/D変換器173は、第2センサ105Bの電極243と対応の基準面102sとの間の静電容量を表す第2の測定値を生成する。A/D変換器173は、第1の測定値及び第2の測定値をプロセッサ174に出力する。
【0074】
プロセッサ174には記憶装置175が接続されている。記憶装置175は、揮発性メモリといった記憶装置であり、第1の測定値、第2の測定値といったデータを記憶するよう構成されている。記憶装置175によって記憶されるデータは、後述する補正値及び/又は修正された第1の測定値を含んでいてもよい。プロセッサ174には、別の記憶装置178が接続されている。記憶装置178は、不揮発性メモリといった記憶装置であり、プロセッサ174によって読み込まれて実行されるプログラムが記憶されている。
【0075】
通信装置176は、任意の無線通信規格に準拠した通信装置である。例えば、通信装置176は、Bluetooth(登録商標)に準拠している。通信装置176は、記憶装置175に記憶されているデータを無線送信するように構成されている。
【0076】
プロセッサ174は、上述したプログラムを実行することにより、測定器100の各部を制御するように構成されている。例えば、プロセッサ174は、電極142、電極143、電極242、及び、電極243に対する高周波発振器171からの高周波信号の供給、記憶装置175に対する電源177からの電力供給、通信装置176に対する電源177からの電力供給等を制御するようになっている。さらに、プロセッサ174は、上述したプログラムを実行することにより、第1の測定値及び第2の測定値の取得、これら測定値の記憶装置175への記憶等を実行するようになっている。
【0077】
一実施形態において、回路基板106のプロセッサ174は、複数の第1の測定値、即ち、第1センサ104A〜104Hのそれぞれの電極143における電圧振幅から取得される第1の測定値を修正し得る。
図11の(a)は、複数の第1センサ104A〜104Hのうちの三つの第1センサの電極143における電圧振幅から取得された測定値(測定値MV1〜MV3)、第2センサ105Aの電極243における電圧振幅から取得された測定値(測定値MV4)、及び、第2センサ105Bの電極243における電圧振幅から取得された測定値(測定値MV5)と測定器100の周囲環境の温度との関係の一例を示すグラフである。
図11の(a)のグラフには、測定器100の周囲環境の湿度を40%RHに設定した状態で、当該周囲環境の温度を10℃,23℃,40℃、60℃のそれぞれに設定したときに取得された測定値が示されている。
図11の(b)は、複数の第1センサ104A〜104Hのうちの三つの第1センサの電極143における電圧振幅から取得された測定値(測定値MV1〜MV3)、第2センサ105Aの電極243における電圧振幅から取得された測定値(測定値MV4)、及び、第2センサ105Bの電極243における電圧振幅から取得された測定値(測定値MV5)と測定器100の周囲環境の湿度との関係の一例を示すグラフである。
図11の(b)のグラフには、測定器100の周囲環境の温度を23℃に設定した状態で、当該周囲環境の湿度を23%RH,39%RH,57%RH及び76%RHのそれぞれに設定したときに取得された測定値が示されている。なお、
図11の(a)及び
図11の(b)に示す測定値の取得において、測定器100はフォーカスリングFRによって囲まれた領域に配置されており、測定器100とフォーカスリングFRとの相対的な位置関係は変化させなかった。また、第2センサ105Aの電極243と対応の基準面102sとの間の距離は0.5mmであり、第2センサ105Bの電極243と対応の基準面102sとの間の距離は1.0mmであった。
【0078】
図11の(a)に示すように、三つの第1センサ、第2センサ105A、及び、第2センサ105Bそれぞれの電極における電圧振幅から取得される測定値(測定値MV1〜MV5)は、測定器100の周囲環境の温度の上昇に伴って大きくなっている。また、
図11の(b)に示すように、第1センサ、第2センサ105A、及び、第2センサ105Bのそれぞれの電極における電圧振幅から取得される測定値(測定値MV1〜MV5)は、測定器100の周囲環境の湿度の上昇に伴って大きくなっている。
図11の(a)及び
図11の(b)を参照すれば明らかなように、測定器100の周囲の環境の変化に応じた測定値MV1〜MV5の変動量は略同一である。したがって、二つの第2の測定値、即ち、第2センサ105Aの電極243における電圧振幅から取得される第2の測定値、及び、第2センサ105Bの電極243における電圧振幅から取得される第2の測定値のうち少なくとも一方を用いることにより、第1センサ104A〜104Hの各々の第1の測定値を修正することが可能となる。
【0079】
一実施形態においては、記憶装置175は、所定の環境(標準環境)下で第2センサ105Aの電極243における電圧振幅から取得された第2の測定値である第1の基準値を記憶している。また、記憶装置175は、当該標準環境下で第2センサ105Bの電極243における電圧振幅から取得された第2の測定値である第2の基準値を記憶している。例えば、標準環境における温度は23℃であり、標準環境における湿度は40%RHである。
【0080】
プロセッサ174は、第2センサ105Aの電極243における電圧振幅から取得される第2の測定値(MVa)と第1の基準値(RVa)との間の第1の差(MVa−RVa)、及び、第2センサ105Bの電極243における電圧振幅から取得される第2の測定値(MVb)と第2の基準値(RVb)との間の第2の差(MVb−RVb)のうち少なくとも一方から補正値を求める。
【0081】
一実施形態では、プロセッサ174は、第1の差(MVa−RVa)と第2の差(MVb−RVb)との平均値を補正値として算出する。別の実施形態では、プロセッサ174は、第1の測定値が上述した最大の測定値の20%以上の値である場合に、第1の差(MVa−RVa)を補正値として選択し、第1の測定値が最大の測定値の20%未満の値である場合に、第2の差(MVb−RVb)を補正値として選択する。
【0082】
一実施形態では、プロセッサ174は、補正値を用いて複数の第1の測定値を修正する。例えば、プロセッサ174は、複数の第1の測定値の各々から補正値を減じる(補正値が負の値の場合には、第1の測定値に補正値の絶対値が可算される)ことにより、修正された複数の第1の測定値を求める。修正された複数の第1の測定値は、記憶装置175に記憶され、通信装置176によって、制御部MCに送信される。制御部MCは、修正された複数の第1の測定値を用いて、搬送装置TU2の被加工物Wの搬送位置を修正する。
【0083】
別の実施形態では、修正された複数の第1の測定値は、制御部MCによって求められてもよい。この実施形態では、プロセッサ174は、通信装置176を用いて、複数の第1の測定値及び補正値を、制御部MCに送信してもよい。プロセッサ174は、通信装置176を用いて、補正値の代わりに、二つの第2の測定値を制御部MCに送信してもよい。二つの第2の測定値がプロセッサ174から制御部MCに送信される場合には、制御部MCが予め第1の基準値及び第2の基準値を記憶していてもよく、或いは、プロセッサ174が、通信装置176を用いて、第1の基準値及び第2の基準値を制御部MCに送信してもよい。
【0084】
以下、第1の距離と第2の距離の例について詳細に説明する。上述したように、第1センサ104A〜104H、第2センサ105A、及び、第2センサ105Bは、互いに同一の構成を有している。したがって、第1センサ104A〜104Hそれぞれの電極143における電圧振幅から求めることが可能な最大の測定値、第2センサ105Aの電極243における電圧振幅から求めることが可能な最大の測定値、及び、第2センサ105Bの電極243の電圧振幅から求めることが可能な最大の測定値は、同一であるか、互いに略等しい。
【0085】
図12は、第1の測定値の距離依存性を示すグラフである。即ち、
図12のグラフには、センサ104の電極143と当該電極143に対面する対象物との間の距離と第1の測定値との関係が示されている。センサ104によって測定される測定値は、当該センサ104の電極143と当該電極143に対面する対象物との間の静電容量を表している。静電容量Cは、C=εS/dで表される。εは電極143と対象物との間の媒質の誘電率であり、Sは電極の面積であり、dは電極143と対象物との間の距離である。したがって、第1の測定値の大きさは、センサ104の電極143と対象物との間の距離に反比例する。
図12に示すように、第1の測定値は、最大の測定値(1000a.u.)の20%以上の範囲内では、電極143と対象物との距離に応じて大きく変動し、最大の測定値の20%未満の範囲内では、電極143と対象物との距離に対して小さく変動する。このような第1の測定値の距離依存性に鑑み、一実施形態では、第1の距離は、最大の測定値の20%以上の第2の測定値が取得されるように設定されており、第2の距離は、第1の距離よりも大きいように設定されている。例えば、第1の距離は0.6mm以下の距離であり、第2の距離は1.0mm以上の距離である。かかる第1の距離及び第2の距離に、二つの第2センサと対応の基準面との間の距離がそれぞれ設定されることにより、第1の測定値をより高精度に修正可能な補正値が導出され得る。
【0086】
測定器100の第1センサ104A〜104Hの電極143における電圧振幅から取得される第1の測定値は、温度、湿度等の測定器100の周囲の環境の変化に応じて変動し得る。これは、例えば、測定器100内の回路定数が測定器100の周囲の環境の変化に応じて変化し得るからである。かかる環境に応じた第1の測定値の変動を修正可能とするために、測定器100は、第2センサ105A及び第2センサ105Bを備えている。第2センサ105A及び第2センサ105Bそれぞれの二つの電極243は、二つの基準面102sにそれぞれ対面している。第2センサ105A及び第2センサ105B、並びに、二つの基準面102sは測定器100内で固定されているので、二つの電極243の各々と対応の基準面102sとの間の距離は、一定である。故に、二つの電極243における電圧振幅から取得される二つの第2の測定値は、周囲の環境の変化がなければ、変動しない。換言すれば、二つの第2の測定値の変動は、周囲の環境の変化を反映する。かかる二つの第2の測定値の変動に基づいて、第1の測定値の修正が可能となる。
【0087】
一実施形態では、第1の測定値の修正に用いられる補正値が回路基板106のプロセッサ174によって求められる。一実施形態では、第1の差と第2の差との平均値を求めることによって、第1の測定値をより高精度に修正可能な補正値が導出され得る。
【0088】
別の実施形態では、上述したように、第1の距離が最大の測定値の20%以上の第2の測定値が取得されるように設定され、第2の距離が第1の距離よりも大きな距離に設定される。また、第1の測定値が当該最大の測定値の20%以上の値である場合に、第1の差が補正値として選択され、第1の測定値が最大の測定値の20%未満の値である場合に、第2の差が補正値として選択される。この実施形態では、第1の差及び第2の差のうち一方が、第1の測定値が属する範囲に応じて選択される。したがって、第1の測定値に応じて信頼性の高い補正値が得られる。故に、この実施形態では、第1の測定値をより高精度に修正可能な補正値が得られる。
【0089】
以上、種々の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。
【0090】
例えば、上記の実施形態では、基準面102sはベース基板102に形成された凹部102gの内側面であるが、基準面102sは、ベース基板102以外の要素によって提供されてもよい。
図13は、第2センサの別の例を示す図である。
図13の例では、ベース基板102に形成された凹部102gの内側に基準壁250が固定されている。基準壁250は、電極243に対面する基準面250sを提供する。この例では、基準壁250の壁厚を調整することによって、電極243と基準面250sとの間の距離を調整することができる。
【0091】
また、測定器は、第2センサ105Aと第2センサ105Bのうちいずれか一方のみを備えていてもよい。例えば、測定器は、補正値を取得するために、第2センサ105Aのみ備えてもよい。この場合に、回路基板106の記憶装置175は、所定の環境下で第2センサ105Aの電極243における電圧振幅から取得された第2の測定値である基準値を記憶している。プロセッサ174は、第2センサ105Aによって取得される第2の測定値及び基準値から補正値を求めることができる。プロセッサ174は、当該補正値を用いて第1の測定値を修正し得る。