(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832345
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】近似鋸歯状波パルス生成によるRF電力供給
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20210215BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 M
H01L21/302 101B
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-511055(P2018-511055)
(86)(22)【出願日】2016年7月19日
(65)【公表番号】特表2018-535504(P2018-535504A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】US2016042948
(87)【国際公開番号】WO2017058341
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年7月10日
(31)【優先権主張番号】62/236,877
(32)【優先日】2015年10月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/882,878
(32)【優先日】2015年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】川崎 勝正
(72)【発明者】
【氏名】ショウジ セルジオ フクダ
(72)【発明者】
【氏名】フィー ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】清水 大亮
【審査官】
小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−535074(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/035842(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0170886(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0309049(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0031216(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0206716(US,A1)
【文献】
特開2015−115564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J37/00−37/02
37/05
37/09−37/18
37/21
37/24−37/244
37/252−37/295
H01L21/205
21/302
21/3065
21/31
21/365
21/461
21/469
21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法であって、
少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するステップと、
第1の遅れ期間の後、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第2のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するステップと、
第2の遅れ期間の後、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第3のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するステップとを含む方法。
【請求項2】
第1のマルチレベルRF電力波形と第2のマルチレベルRF電力波形は同期している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法であって、
少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するステップと、
第1の遅れ期間の後、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第2のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するステップとを含み、
第1のマルチレベルRF電力波形の第1の電力レベルは、高電力レベルであり、第1のマルチレベルRF電力波形の第2の電力レベルは、第1のマルチレベルRF電力波形の第1の電力レベルよりも低い低電力レベルであり、第1のマルチレベルRF電力波形の第3の電力レベルは、第1のマルチレベルRF電力波形の第2の電力レベルの1〜99%になっている方法。
【請求項4】
第2のマルチレベルRF電力波形の第1の電力レベルは、高電力レベルであり、第2のマルチレベルRF電力波形の第2の電力レベルは、第2のマルチレベルRF電力波形の第1の電力レベルよりも低い低電力レベルであり、第2のマルチレベルRF電力波形の第3の電力レベルは、ゼロ電力レベルである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
第1のマルチレベルRF電力波形と第3のマルチレベルRF電力波形は同期している、請求項1記載の方法。
【請求項6】
第1のマルチレベルRF電力波形、第2のマルチレベルRF電力波形、及び第3のマルチレベルRF電力波形は同期している、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第1、第2、及び第3のマルチレベルRF電力波形のそれぞれの第1、第2、及び第3の電力レベルのうちの1つは、ゼロ電力レベルである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第1のマルチレベルRF電力波形の第1、第2、及び第3電力レベルのそれぞれが印加される時間期間は互いに異なる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
第2のマルチレベルRF電力波形の第1、第2、及び第3電力レベルのそれぞれが印加される時間期間は互いに異なる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
第3のマルチレベルRF電力波形の第1、第2、及び第3電力レベルのそれぞれが印加される時間期間は互いに異なる、請求項1記載の方法。
【請求項11】
第1のマルチレベルRF電力波形はソースRF信号であり、第2及び第3のマルチレベルRF電力波形はRFバイアス信号である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
第1の遅れ期間は、10μs〜1msである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
第2の遅れ期間は、10μs〜1msである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するように構成された第1のRF発生器と、
第1の遅れ期間の後、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第2のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するように構成された第2のRF発生器と、
第2の遅れ期間の後、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第3のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するように構成された第3のRF発生器とを含むプラズマ強化基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、基板を処理するために使用されるRF電力供給方法に関する。
【0002】
多くの半導体デバイスの製造段階で使用されるような従来の高周波(RF)プラズマ処理では、連続波又はパルス波モードで生成することができるRFエネルギーは、RFエネルギー源を介して基板処理チャンバに供給することができる。RFエネルギー源のインピーダンスと処理チャンバ内に形成されたプラズマとの間の不整合のために、RFエネルギーはRFエネルギー源に反射し戻され、RFエネルギーの非効率的な使用及びエネルギーの浪費、処理チャンバ又はRFエネルギー源への潜在的な損傷、及び基板処理に関する潜在的な不一致/非再現性の問題をもたらす。このように、RFエネルギーは、プラズマのインピーダンスをRFエネルギー源のインピーダンスにより厳密に整合させることによって、反射RFエネルギーを最小にするように動作する固定又は調整(同調)可能な整合ネットワークを介して、処理チャンバ内のプラズマに結合されることが多い。整合ネットワークは、RF源の出力がプラズマに効率的に結合されて、プラズマに結合されるエネルギーの量を最大にする(例えば、RF電力供給の調整と呼ばれる)ことを保証する。したがって、整合ネットワークは、総インピーダンス(すなわち、プラズマインピーダンス+チャンバインピーダンス+整合ネットワークインピーダンス)が、RF電力供給の出力インピーダンスと同じであることを保証する。いくつかの実施形態では、RFエネルギー源はまた、インピーダンス整合を助長するために、RFエネルギー源によって供給されるRFエネルギーの周波数を周波数同調させる又は調整することができる可能性もある。
【0003】
しかしながら、RF発生器が鋸歯状波の形でパルスRF電力を供給するシステムでは、整合ネットワーク及び/又はRFエネルギー源は、反射電力を低減させるのに最適な整合位置に適切に調整することができない。したがって、反射電力を適切に低減させるためには、一貫したレベルのRF電力を供給し、これによって整合ネットワーク及び/又はRFエネルギー源は、信号を取り込み、それに応じて調整すべきである。しかしながら、RF電力の一貫したレベルでの標準的なデュアルレベルパルス生成(すなわち、方形波パルス生成)では、プラズマ強度はゆっくりと変化し、デュアルレベル方形波パルス生成は、鋸歯パターンに適切に近似しないことがある。
【0004】
したがって、本発明者らは、RF電力供給のための改良された方法及び装置を提供した。
【0005】
本明細書では、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法が提供される。いくつかの実施形態では、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法は、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するステップと、第1の遅れ期間の後、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第2のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するステップとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、実行されると、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法を実行させる命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。実行される方法は、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するステップと、第1の遅れ期間の後、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第2のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するステップとを含むことができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、プラズマ強化基板処理システムは、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するように構成された第1のRF発生器と、第1の遅れ期間の後、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する第2のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給するように構成された第2のRF発生器とを含むことができる。
【0008】
本開示の他の及び更なる実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
上記に簡単に要約し、以下でより詳細に議論される本開示の実施形態は、添付図面に示される本開示の概略的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付図面は本開示の典型的な実施形態を示しているに過ぎず、したがってこの範囲を制限していると解釈されるべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態を含み得ることに留意すべきである。
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に係るプラズマリアクタを示す。
【
図2C】本開示のいくつかの実施形態に係る高周波信号のパルス波形を示す。
【
図3D】本開示のいくつかの実施形態に係るパルス波形間の位相変化を示す。
【
図4B】本開示のいくつかの実施形態に係るパルス波形間のデューティサイクル及び/又は位相変化を示す。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態に係る複数の同期したマルチレベルRFパルス波形間のデューティサイクル及び/又は位相変化を示す。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態に係るマルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法のフローチャートを示す。
【0010】
理解を促進するために、図面に共通する同一の要素を示す際には可能な限り同一の参照番号を使用している。図面は、比例して描かれているわけではなく、明確にするために簡素化されているかもしれない。一実施形態の要素及び構成を更なる説明なしに他の実施形態に有益に組み込んでもよいと理解される。
【0011】
本開示の実施形態は、マルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法を提供する。マルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用することは、有利なことに、一貫したレベルのRF電力を提供して、整合ネットワークが最良の整合位置に適切に調整して反射電力を低減することを可能にする。マルチレベルパルス高周波(RF)電力の使用はまた、急速なプラズマ強度変化と、いくつかのプロセスにおいて望ましい可能性のある鋸歯パターンの波形パターンの近似を可能にする。いくつかの実施形態では、3以上の別個のRF電力信号は、互いに独立して位相のずれた複数の電力レベルで、又は異なるデューティサイクルでそれぞれパルス化させることができる。更に、RF電力信号は、互いに同期的又は非同期的にパルス化させることができる。
【0012】
図1は、本明細書で開示される本発明の方法を実施するために使用することができるプラズマリアクタを示す。本発明の方法は、(例えば、
図1に示されるような)容量結合プラズマリアクタ又は他の適切なプラズマリアクタ(例えば、誘導結合プラズマリアクタ)内で実行することができる。しかしながら、本発明者らは、望ましくない帯電効果は、例えば、誘導結合プラズマ処理チャンバよりもはるかに厳しい可能性があるので、本発明の方法が容量結合プラズマリアクタ(例えば、高バイアス電力(例えば、約2000W以上)及び低ソース電力(例えば、約500W以下)が使用される場合)において特に有益であり得ることを観察してきた。いくつかの実施形態では、本発明者らは、本発明の方法が、DCバイアス(V
DC)、V
RF、又はプラズマシース電圧のうちの少なくとも1つが約1000V以上である構成において特に有益であることを発見した。
【0013】
図1のリアクタは、円筒側壁102、床103、及び天井104によって囲まれたリアクタチャンバ100を含む。天井104は、ガス分配プレート108を貫通して形成されたオリフィス109を有するガス分配プレート108の上にあるガスマニホールド106を含むガス分配シャワーヘッドであってもよい。ガスマニホールド106は、ガス供給口111を有するマニホールドエンクロージャ110によって囲まれている。ガス分配シャワーヘッド(すなわち、天井104)は、絶縁リング112によって円筒側壁102から電気的に絶縁されている。真空ポンプ114(例えば、ターボ分子ポンプ)は、チャンバ100を排気する。ガスパネル120は、ガス供給口111への異なるプロセスガスの個々の流量を制御する。チャンバの床103を介して支持されたワークピース支持台136は、絶縁上面及び内部電極(ウェハ支持電極138)を有することができる。内部電極は、例えば、支持台136の上面上に基板137をチャッキングするために使用することができる。プラズマソース電力が、発生器(発生器)140からインピーダンス整合ネットワーク142を介して(本明細書ではガス分配シャワーヘッドとも呼ばれる)天井104に印加される。天井又はガス分配シャワーヘッドは、導電性材料(例えば、アルミニウムなど)で形成され、したがって天井電極として機能する。発生器140は、VHFスペクトルの高い部分(例えば、100〜200MHzの範囲内)でVHF電力を生成することができる。発生器140は、所望のパルスレート及びデューティサイクルで生成されたVHF電力をパルス化する能力を有する。この目的のために、VHFソース発生器140は、RF発生器140によって生成される各パルスの位相だけでなく、パルスレート及び/又はデューティサイクルを規定する1以上の制御信号を受信するためのパルス制御入力140aを有する。
【0014】
プラズマバイアス電力は、RFバイアス発生器144からRFインピーダンス整合ネットワーク146を介して、及びRFバイアス発生器148からRFインピーダンス整合ネットワーク149を介してウェハ支持電極138に印加される。RFバイアス発生器144、148は、HFスペクトルの低い部分又はMF又はLFスペクトルのHF又はLF電力(例えば、13.56MHz又は1〜2MHzのオーダーの範囲内の電力)を生成することができる。RFバイアス発生器144、148は、所望のパルスレート及びデューティサイクルで生成されたRFバイアス電力をパルス化する能力を有する。この目的のために、RFバイアス発生器144、148は、RF発生器144、148によって生成される各パルスの位相だけでなく、パルスレート及び/又はデューティサイクルを規定する1以上の制御信号を受信するためのパルス制御入力144a、148aを有する。RFバイアス発生器144、148は、独立してパルス化、位相化、及び/又はデューティサイクル制御させることができる。更に、RFバイアス発生器144、148は、同期的又は非同期的にパルス化させることができる。
【0015】
オプションとして、プラズマソース電力は、VHFインピーダンス整合器(図示せず)を介して第2のVHF発生器からウェハ支持電極138に印加させることができる。第2のVHF発生器は、(例えば、50MHz〜100MHzの範囲の)VHFスペクトルの低い部分のVHF電力を生成することができる。第2のVHF発生器は、所望のパルスレート及びデューティサイクルで生成されたVHF電力をパルス化する能力を有する。この目的のために、第2のVHF発生器は、第2のVHF発生器によって生成される各パルスの位相のみならずパルスレート及び/又はデューティサイクルを規定する1以上の制御信号を受信するためのパルス制御入力を有する。例えば、いくつかの実施形態では、RFバイアス発生器144、148及びその構成要素(例えば、整合器、パルス制御入力など)のうちの1つを第2のVHF発生器及びその構成要素に置き換えることができる。あるいはまた、第2のVHF発生器及びその構成要素を、第1のRF発生器140及びバイアス発生器144、148及びそれらのそれぞれの構成要素に加えて導入してもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、整合ネットワーク142、146、及び149は、1以上のコンデンサ及び/又はインダクタによって形成することができる。コンデンサの値は、整合ネットワーク142、146、及び149のそれぞれの整合を調整するように、電子的に又は機械的に調整することができる。低電力システムでは、1以上のコンデンサは機械的に調整されるのではなく電子的に調整してもよい。いくつかの実施形態では、整合ネットワーク142、146、及び149は、調整可能インダクタを有することができる。いくつかの実施形態では、整合ネットワーク142、146、及び149内で使用されるコンデンサのうちの1以上は、1以上の固定コンデンサ又は直列コンデンサであってもよい。他の実施形態では、整合ネットワーク142、146、及び149内で使用されるコンデンサのうちの1以上は、整合ネットワーク142、146、及び149の整合を調整するように電子的又は機械的に調整可能な可変コンデンサであってもよい。いくつかの実施形態では、整合ネットワーク142、146、及び149のうちの1以上は、グランドへの容量性分路を有することができる。上述の整合ネットワークは例示に過ぎず、整合ネットワークを調整するための1以上の調整可能な要素を有する整合ネットワークの他の様々な構成を、本明細書で提供される教示に従って利用及び調整してもよい。
【0017】
パルスコントローラ160は、パルス制御信号を発生器140、144、148のパルス制御入力140a、144a、148aのそれぞれに印加して、発生器140(例えば、VHFソース電力発生器)及びRFバイアス電力発生器144、148の間で所望の位相進み又は遅れ関係及び/又はデューティサイクル関係を生成するようにプログラム可能である。パルスコントローラ160は、
図1には別個の構成要素として示されているが、いくつかの実施形態では、それぞれのRF発生器の内部に配置することができる。同期信号は、マスター発生器(例えば、発生器140)で生成され、他のスレーブ発生器(例えば、発生器144及び/又は148)に送信される。
【0018】
いくつかの実施形態では、RF発生器140、144、148、整合ネットワーク142、146、及び149、及び/又はパルスコントローラ160は、中央処理装置(CPU)、複数のサポート回路、及びメモリを含む。RF発生器140、144、及び148、整合ネットワーク142、146、及び149、及びパルスコントローラ160のこの例示的な実施形態は、CPU、サポート回路、及びメモリを有するコンピュータに関して説明されているが、当業者であれば、RF発生器140、144、及び148、整合ネットワーク142、146、及び149、及びパルスコントローラ160は、特定用途向けインターフェース回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SOC)などを含む様々な方法で実施できることを認めるだろう。パルスコントローラ160の様々な実施形態はまた、当技術分野で知られているような対応する入力/出力インターフェースを有する他のプロセスツールコントローラ内に統合させることができる。
【0019】
サポート回路は、表示装置ならびに他の回路を含み、CPUの機能性をサポートすることができる。そのような回路は、クロック回路、キャッシュ、電源、ネットワークカード、ビデオ回路などを含むことができる。
【0020】
メモリは、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、リムーバブルメモリ、ディスクドライブ、光学ドライブ、及び/又は他の形式のデジタル記憶装置を含むことができる。メモリは、オペレーティングシステム及びサブファブ制御モジュールを格納するように構成される。オペレーティングシステムは、様々なプロセス、アプリケーション、及びモジュールの実行を促進して、1以上の発生器140、144、及び148、又は整合ネットワーク142、146、及び149を制御し、これによってここで説明する方法(例えば、以下に説明する方法600)を実行することを含む、RF発生器140、144、及び148、整合ネットワーク142、146、及び149、及びパルスコントローラ160の一般的な動作を制御するために実行する。
【0021】
更に、DC発生器162は、ウェハ支持電極138及び天井104のいずれか(又は両方)に結合することができる。いくつかの実施形態では、DC発生器162は、連続及び/又は可変DCを供給することができる。いくつかの実施形態では、DC発生器162は、パルスDC電力を供給することができる。DC発生器のパルス繰り返しレート、位相、及びデューティサイクルは、パルスコントローラ160によって制御される。DC発生器162から各RF発生器を絶縁するために、DC絶縁コンデンサ164、166を設けることができる。DC発生器によって生成されたDC信号は、発生器140、144、及び148によって生成されたRF信号と同期させ、プラズマリアクタ内に形成されたプラズマを使用して利益(例えば、基板137上の帯電(チャージアップ)の低減又は基板の改善されたエッチング速度制御)を提供することができる。
【0022】
図2Aは、各発生器140、144、148に対して個別にパルスコントローラ160によって制御される以下のパラメータ:パルス期間t
P、パルス「オン」時間t
オン、パルス「オフ」時間t
オフ、パルス周波数1/t
P、及びパルスデューティサイクル(t
オン/t
P)・100%によって特徴付けられる、パルスRF出力のパルスエンベロープ(包絡線)を示す、発生器140、144、148のそれぞれのパルスRF出力を反映させることができる時間領域波形図を示す。パルス期間t
Pは、t
オンとt
オフとの和である。
【0023】
図2B及び
図2Cは、2つのRFパルス信号が同一の位相及びデューティサイクルを有するように、したがってそれらの間にゼロの位相差を有するように共に同期された2つのRFパルス信号の同時時間領域波形を示す。
図2B及び
図2Cに示される例示的な実施形態は、第1のパルスRF信号(例えば、パルスソース信号)と第2パルスRF信号(例えば、パルスバイアス信号)との間の同期の1つの例示的な形態である。この例示的な実施形態では、各パルス信号の位相及びデューティサイクルは両方とも同じである。
【0024】
本開示のいくつかの実施形態では、発生器140、144、及び148によって供給されるパルス信号は、位相が異なる。
図3A〜
図3Dは、位相差がパルスコントローラ160によってどのように変化し得るかを示し、それぞれ0°、90°、180°、及び270°の位相差でのソース電力波形及びバイアス電力波形の重ね合わせを示し、位相差は、第2のパルス出力がどのくらい第1のパルス出力より遅れるかによって定義される。
図3Aは、
図2Bのゼロ位相差の例に対応する。
図3Bは、バイアス電力パルス出力が、ソース電力パルス出力よりも90°遅れた場合を示している。
図3Cは、バイアス電力パルス出力がソース電力パルス出力よりも180°遅れた場合を示している。
図3Dは、バイアス電力パルス出力がソース電力パルス出力よりも270°遅れた場合を示している。
図3A〜
図3Bは、多様な位相を有する2つのパルスRF信号のみを示しているが、本開示と一致する実施形態では、多様な位相を有する3以上のパルスRF信号を含むこともできる。
【0025】
図3A〜
図3Dは、全パルス出力に対して75%のデューティサイクルを示している。しかしながら、デューティサイクルは、より小さくてもよく、例えば、全パルス出力に対して約40%であってもよい。いくつかの実施形態では、発生器140、144、148のそれぞれによって生成されたRF信号のデューティサイクルは同じである。あるいはまた、いくつかの実施形態では、1以上のデューティサイクルは異なってもよい。例えば、発生器140、144からのRF信号は、45%のデューティサイクルで位相遅れを伴って同期されてもよく、一方、RFバイアス電力発生器148は、35%のデューティサイクルを有してもよい。しかしながら、発生器148によって生成されるRF信号は、それが他の2つのRF信号と同じパルス期間を有するならば、発生器140、144によって生成される同期RF信号に対して同期してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、VHFソース電力パルス出力の各「オフ」時間中に、DCパルス発生器162から、負のDCパルスをウェハ支持電極138に印加することができる、及び/又は正のDCパルスを天井104に印加することができる。これは、
図3B、
図3C、及び
図3Dの点線波形に示されている。この構成は、陽イオンが豊富であるとき、ソース電力「オフ」時間の間、ワークピースへの陽イオンのフラックスを増加させ、それぞれの完全なサイクルにわたって陽イオン及び陰イオンの平均フラックスを等しくすることができる。この等化は、DCパルス発生器162の電圧を制御することによって最適化することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、RFエンベロープの位相進み又は遅れを制御することによってプラズマをパルス化しながら、エッチング速度を高めることができる。ソースとバイアスが独立して位相がずれてパルス化されている場合、又は多様なデューティサイクルでパルス化されている場合、非常に高い周波数(VHF)と低い周波数(LF)の異なるプラズマの運動状態(ダイナミクス)が、パルス全体にわたるより良好なプラズマ充填を可能にする。いくつかの実施形態では、約13.56MHzのバイアス周波数及び約2MHzの別のバイアス周波数と共に、約162MHzのソース周波数のVHFの組み合わせが使用される。いくつかの実施形態では、約60MHzのバイアス周波数及び約2MHzの別のバイアス周波数と共に、約162MHzのソース周波数のVHFの組み合わせが使用される。いくつかの実施形態では、約60MHzのソース周波数が、約2MHz及び/又は約13.56MHzのバイアス周波数と組み合わせて使用される。
【0028】
パルス繰り返し周波数は、約0.1KHz〜約20KHzの範囲とすることができ、それは、全ての発生器間で同期される(例えば、全ての発生器が同じパルス繰り返し周波数又はその整数倍を共有する)。パルスデューティサイクル(電力が供給される時間)は、各発生器に対して約10%から約90%まで独立して変えることができる。更に、各発生器間の位相遅れは、制御することができる。パルスのRFエンベロープ間の重なりを制御することによって、プラズマイオン密度の不均一性を最小化することができる。例えば、低周波(LF)信号は、主により高いエッジプラズマイオン密度を生成することができ、超高周波(VHF)信号は、主により高い中心領域プラズマイオン密度を生成することができる。したがって、連続モードと比較して時間平均電力堆積がより低いにもかかわらず、ソース及びバイアスを中程度の位相遅れでパルス化することを使用して、エッチング速度を高めることを達成できる。より高いエッチング速度は、VHFオフ/LFオン期間の組み合わせにより好ましく、VHF電力がオフにされたとき、LF電圧及びDC自己バイアスを増加させ、イオンエネルギーを強化する。このオーバーラップの調整はまた、イオンのフラックスレベルを制御する。
【0029】
したがって、プロセスのエッチング速度は、ソースパルス出力とバイアスパルス出力との間の位相遅れを変えることによって制御又は調整することができる。位相遅れは、ワークピース表面でのイオンエネルギー及びフラックス(流動、流束)に影響を及ぼすか、又はそれらを調整する。例えば、位相遅れが90°の場合、高エネルギーイオンが大きなフラックスを有するので、エッチング速度はより速い。これは、VHFソースパルスがバイアスパルスの開始時に既に「オン」であり、これが高いフラックスにつながり、ソースパルスが終了(「オフ」)すると、バイアスパルスのオンの相が高イオンエネルギーにつながる。同様の分析が他の位相遅れにも当てはまる。位相遅れが180°の場合、(VHFソースはバイアス電力パルスの開始時にオフであるので)イオンエネルギーは高くなるが、(この場合、バイアス電力パルスの開始時に、再び、ソース電力パルスがオフであるので)フラックスはまた低くなる。その結果、時間平均化されたイオンフラックスは、サイクル全体を通してより低くなり、これによってエッチング速度は低くなると予想される(それは180°の位相遅れで最も低くなる可能性がある)。270°の位相遅れは、原理的に90°の位相遅れに類似しているので、270°でのエッチング速度は、90°の位相遅れよりもわずかに小さいが、エッチング速度の挙動は同様となるだろう。したがって、プロセスのエッチング速度は、発生器140のVHFソース電力パルス出力と、発生器144、148のバイアス電力パルス出力との間の位相を変化させることによって制御される。
【0030】
あるいはまた、RFソース信号とバイアス信号の同期は、各信号を同相で供給し、デューティサイクルを変えることによって達成することができる。
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態に係るパルス波形間のデューティサイクルの変化を示す。例えば、ソース信号及びバイアス信号は、図示のように、同相であり、各信号が異なるデューティサイクルを有することができる。
図4に示すように、各デューティサイクルの「オン」期間は、パルス期間t
Pの時間ゼロで始まり、多様な「オフ」期間を有する。例えば、(図示しないが)ソース信号及びバイアス信号は同相であり、ソース信号はいずれかのバイアス信号よりも短いデューティサイクルを有してもよい。したがって、各バイアス信号が依然として「オン」期間にある間、ソース信号は「オフ」期間に入る。前述の例は、より高いシース電圧及びイオンエネルギーを生成するために有利である可能性があり、エッチングされる材料のエッチング速度を増加させる可能性がある。
【0031】
代わりに、又は組み合わせて、1以上のRFソース信号及びバイアス信号に、互いに位相進み又は位相遅れを与えることができる。しかしながら、同期を達成するためには、各信号のパルス期間は、同じか、又はその整数倍でなければならない。例えば、
図4Bでは、t
P−ソース、t
P−バイアス1、及びt
P−バイアス2は同じであり、ソース、バイアス1、及びバイアス2の信号は同期している。バイアス1信号は、ソース及びバイアス2信号に対して位相遅れ及び異なるデューティサイクルの両方を有する。バイアス2信号は、ソース信号に対して異なるデューティサイクルを有する。しかしながら、各信号は同じt
Pを有するので、位相又はデューティサイクルの少なくとも1つがそれらの間で異なる場合でも、信号は同期したままである。
【0032】
図5は、本開示の実施形態に一致する、互いに独立して位相がずれた、又は異なるデューティサイクルを有する複数の電力レベルでそれぞれパルス化させることができる3つの別々のRF電力波形502、504、及び506を示す。RF電力波形502、504、及び506は、それぞれソース及びバイアス発生器140、144、及び148によって供給することができる。各RF電力波形は、一貫したレベルのRF電力を有利に供給し、整合ネットワークが最適な整合位置に適切に調整して反射電力を低減することを可能にする。マルチレベルパルス高周波(RF)電力の使用はまた、急速なプラズマ強度変化及びいくつかのプロセスにおいて望ましい可能性のある鋸歯パターンの波形パターンの近似を可能にする。3つの別々のRF波形502、504、及び506は、互いに同期的又は非同期的にパルス化させることができる。
【0033】
図5において、第1のRF波形502は、時刻t
0に導入することができ、第1の電力レベル510における第1の電力パルス、第2の電力レベル512における第2の電力パルス、及び第3の電力レベルにおける第3の電力パルスを含み、これらは3つの対応するRF電力期間t
ハイ、t
ロー、及びt
ゼロの間に印加される。図に示すように、第1のRF電力パルス510は、第2のRF電力パルス512に先行することができ、第2の電力パルス512は第3のRF電力パルス514に先行することができる。必要に応じて、追加の第1〜第3のRF電力パルス510、512、及び514が、その順序で、又は異なる順序で供給されてもよい。
図5に示すように、第1のRF電力パルス510は高電力レベルで供給されてもよく、第2のRF電力パルス512は、第1のRF電力パルス510の第1の電力レベルよりも低い低電力レベルで供給されてもよく、第3の電力レベルはゼロ電力レベルで供給されてもよい。追加のステップ(すなわち、追加のRF電力パルス)及び電力レベルを適切に使用して、所望の鋸歯状波パターンを更に近似させることができる。いくつかの実施形態では、各RF電力パルス510、512、及び514が印加される時間期間t
ハイ、t
ロー、及びt
ゼロの各々は、互いに異なる。他の実施形態では、各RF電力パルス510、512、及び514が印加される時間期間t
ハイ、t
ロー、及びt
ゼロのうちの2以上は、互いに同じとすることができる。第1のRF波形502は、
図5に示すように162MHzの周波数で供給することができるが、上記のような他の周波数を使用してもよい。
【0034】
第2のRF波形504は、遅れ526の後に導入することができる。第1のRF波形502と同様に、第2のRF波形504は、第1の電力レベル522の第1の電力パルス、第2の電力レベル524の第2の電力パルス、及び第3電力レベル524の第3電力パルスを含むことができ、これらは3つの対応するRF電力期間中に印加される。第2のRF波形504は、第1のRF波形502と同期させることができる。
図5に示すように、第1のRF電力パルス520は、第2のRF電力パルス522に先行することができ、第2の電力パルス522は、第3のRF電力パルス524に先行することができる。必要に応じて、追加の第1〜第3のRF電力パルス520、522、及び524が、その順序で、又は異なる順序で供給されてもよい。
図5に示すように、第1のRF電力パルス520は高電力レベルで供給されてもよく、第2のRF電力パルス522は、第1のRF電力パルス520の第1の電力レベルよりも低い低電力レベルで供給されてもよく、第3の電力レベルはゼロ電力レベルで供給されてもよい。追加のステップ(すなわち、追加のRF電力パルス)及び電力レベルを適切に使用して、所望の鋸歯状波パターンを更に近似させることができる。いくつかの実施形態では、各RF電力パルス520、522、及び524が印加される時間期間の各々は、互いに異なる。他の実施形態では、各RF電力パルス520、522、及び524が印加される時間期間のうちの2以上は、互いに同じとすることができる。第2のRF波形504は、
図5に示すように60MHzの周波数で供給することができるが、上記のような他の周波数を使用してもよい。
【0035】
第3のRF波形506は、遅れ536の後に導入することができる。第1及び第2のRF波形502、504と同様に、第3のRF波形506は、第1の電力レベル532の第1の電力パルス、第2の電力レベル534の第2の電力パルス、及び第3電力レベル534の第3電力パルスを含むことができ、これらは3つの対応するRF電力期間中に印加される。第3のRF波形506は、第1のRF波形502及び/又は第2のRF波形504と同期させることができる。いくつかの実施形態では、3つのRF波形のすべてが互いに同期される。
図5に示すように、第1のRF電力パルス530は、第2のRF電力パルス532に先行することができ、第2の電力パルス532は、第3のRF電力パルス534に先行することができる。必要に応じて、追加の第1〜第3のRF電力パルス530、532、及び524が、その順序で、又は異なる順序で供給されてもよい。
図5に示すように、第1のRF電力パルス530は高電力レベルで供給されてもよく、第2のRF電力パルス532は、第1のRF電力パルス530の第1の電力レベルよりも低い低電力レベルで供給されてもよく、第3の電力レベルはゼロ電力レベルで供給されてもよい。追加のステップ(すなわち、追加のRF電力パルス)及び電力レベルを適切に使用して、所望の鋸歯状波パターンを更に近似させることができる。いくつかの実施形態では、各RF電力パルス530、532、及び534が印加される時間期間の各々は、互いに異なる。他の実施形態では、各RF電力パルス530、532、及び534が印加される時間期間のうちの2以上は、互いに同じとすることができる。第3のRF波形506は、
図5に示すように2MHzの周波数で供給することができるが、上記のような他の周波数を使用してもよい。
【0036】
図6は、本開示のいくつかの実施形態に係るマルチレベルパルス高周波(RF)電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させるための方法600のフローチャートを示す。方法600は、例えば、
図1で上述したプラズマリアクタ内で実行することができる。方法600は、602で、第1のマルチレベルRF電力波形を処理チャンバに供給することによって開始し、第1のマルチレベルRF電力波形は、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する(例えば、発生器140によって供給された信号)。いくつかの実施形態では、第1のマルチレベルRF電力波形は、RFソース信号である。第1のマルチレベルRF電力波形は、約60MHz〜約162MHzのVHF周波数で供給することができる。いくつかの実施形態では、第1のRFソース信号のVHF周波数は約162MHzである。いくつかの実施形態では、第1のRFソース信号のVHF周波数は約60MHzである。いくつかの実施形態では、第1のパルス期間の第1の電力レベルは約200ワット〜約5.0KW(例えば3.6KW)とすることができ、第2の電力レベルの値は、第1の電力レベルの約1〜99%とすることができ、第3の電力レベルはゼロとすることができる。他の実施形態では、第2の電力レベルは、第1の電力レベルよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第3の電力レベルはゼロでなくてもよく、第2の電力レベルの約1〜99%であってもよい。更に他の実施形態では、第3の電力レベルは、第1及び/又は第2の電力レベルよりも大きくてもよい。
【0037】
604において、第2のマルチレベルRF電力波形が処理チャンバに供給され、第2のマルチレベルRF電力波形は、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する(例えば、発生器144によって供給された信号)。いくつかの実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形は、第1の遅れ期間の後に供給される。いくつかの実施形態では、第1の遅れ期間は、10μs〜1msの間とすることができる。いくつかの実施形態では、第1の遅れは、1msより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形は、RFバイアス信号である。他の実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形は、第2のRFソース信号であってもよい。第2のマルチレベルRF電力波形は、約2MHz〜約162MHzの周波数で供給することができる。いくつかの実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形の周波数は約60MHzである。いくつかの実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形の第1のパルス期間の第1の電力レベルは約200ワット〜約5.0KW(例えば3.6KW)とすることができ、第2の電力レベルの値は、第1の電力レベルの約1〜99%とすることができ、第3の電力レベルはゼロとすることができる。他の実施形態では、第2の電力レベルは、第1の電力レベルよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第3の電力レベルはゼロでなくてもよく、第2の電力レベルの約1〜99%であってもよい。更に他の実施形態では、第3の電力レベルは、第1及び/又は第2の電力レベルよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第2のマルチレベルRF電力波形は、第1のマルチレベルRF波形と同期させることができる。
【0038】
606において、第3のマルチレベルRF電力波形が処理チャンバに供給され、第3のマルチレベルRF電力波形は、少なくとも第1のパルス期間の第1の電力レベルと第2のパルス期間の第2の電力レベルと第3のパルス期間の第3の電力レベルとを有する(例えば、発生器148によって供給された信号)。いくつかの実施形態では、第3のマルチレベルRF電力波形は、第2の遅れ期間の後に供給される。いくつかの実施形態では、第2の遅れ期間は、10μs〜1msの間とすることができる。いくつかの実施形態では、第2の遅れは、1msより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第3のマルチレベルRF電力波形は、別のRFバイアス信号である。他の実施形態では、第3のマルチレベルRF電力波形は、別のRFソース信号であってもよい。第3のマルチレベルRF電力波形は、約2MHz〜約162MHzの周波数で供給することができる。いくつかの実施形態では、第3のマルチレベルRF電力波形の周波数は約2MHzである。いくつかの実施形態では、第3のマルチレベルRF電力波形の第1のパルス期間の第1の電力レベルは約200ワット〜約5.0KW(例えば3.6KW)とすることができ、第2の電力レベルの値は、第1の電力レベルの約1〜99%とすることができ、第3の電力レベルはゼロとすることができる。他の実施形態では、第2の電力レベルは、第1の電力レベルよりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第3の電力レベルはゼロでなくてもよく、第2の電力レベルの約1〜99%であってもよい。更に他の実施形態では、第3の電力レベルは、第1及び/又は第2の電力レベルよりも大きくてもよい。第3のマルチレベルRF電力波形は、第1のマルチレベルRF波形及び/又は第2のマルチレベルRF波形と同期させることができる。いくつかの実施形態では、3つのマルチレベルRF波形のすべてが互いに同期される。
【0039】
いくつかの実施形態では、パルスDC信号を(例えば、DCパルス発生器162から)供給して、プラズマ処理中に基板137に一定のチャッキング力を維持することができる。例えば、チャッキング力は、基板137上の電荷によって変化し、適切に維持されなければ、基板の損傷又は割れを引き起こす可能性がある。更に、チャッキング力の変動は、基板から基板支持体への熱伝達の変化をもたらし、望ましくないプロセス変動及び/又は不合格の基板につながる可能性がある。パルスDC信号は、第1、第2、又は第3のRF信号のうちの1以上と同期させることができ、例えば、プラズマ処理中に一定のチャッキング力を提供する。いくつかの実施形態では、パルスDC信号は、第1のRF信号(例えば、ソース信号)と同相で同期する。例えば、ソース信号が「オン」のとき、DC信号は「オン」である。ソース信号が「オフ」のとき、DC信号は「オフ」にすることができる。あるいはまた、DC信号は、RF信号のオン及びオフ期間にそれぞれ対応する「ハイ」及び「ロー」レベルで供給することができる。
【0040】
したがって、本明細書では、マルチレベルパルスRF電力を使用してプラズマ強化基板処理システムを動作させる方法が提供される。本発明の方法は、一貫したレベルのRF電力を有利に提供することができ、整合ネットワークが最良の整合位置に適切に調整して反射電力を低減することを可能にし、また、急速なプラズマ強度の変化と、いくつかのプロセスで望ましい可能性のある鋸歯パターンの波形パターンの近似を可能にする。
【0041】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の及び更なる実施形態は本開示の基本的範囲を逸脱することなく創作することができる。