特許第6832463号(P6832463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6832463情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6832463
(24)【登録日】2021年2月3日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/26 20060101AFI20210215BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20210215BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   G03F7/26 501
   G03F7/20 501
   G05B19/418 Z
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-68592(P2020-68592)
(22)【出願日】2020年4月6日
(62)【分割の表示】特願2019-165263(P2019-165263)の分割
【原出願日】2019年9月11日
【審査請求日】2020年4月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】山野 仁詩
(72)【発明者】
【氏名】江口 遼平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏明
【審査官】 倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−511152(JP,A)
【文献】 特表2007−528985(JP,A)
【文献】 特開2010−277328(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/108444(WO,A1)
【文献】 特開2000−232057(JP,A)
【文献】 特開平10−294259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/00;G03F7/004−7/18;7/26−7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジストの材料を示す材料情報及び前記レジストを用いるプロセスにおけるプロセス条件と前記プロセスによって得たレジストの性能を示す性能情報とに関する第1対応情報及び第2対応情報を記憶する記憶部と、
入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報及び前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得する性能推定部と、
前記性能情報を出力する出力部と、
を備え、
前記第1対応情報は、前記材料情報及び前記プロセス条件と、前記プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、が対応付けられた情報であり、
前記第2対応情報は、前記材料情報、前記プロセス条件及び前記物性情報と前記性能情報とが対応付けられた情報であり、
前記性能推定部は、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報とに基づいて、前記物性情報を取得し、取得した当該物性情報と前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得し、
前記第1対応情報は、材料情報及びプロセス条件と、当該材料情報及び当該プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、に基づいて機械学習を行うことで得られた情報である
情報処理システム。
【請求項2】
前記レジストは、対象物のパターニングに用いられ、前記性能情報は前記レジストが前記パターニングに用いられている場合の性能を示す、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1対応情報は、前記材料情報及び前記プロセス条件を説明変数とし前記物性情報を目的変数とする非線形モデルである、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第2対応情報は、前記材料情報、前記プロセス条件及び前記物性情報を説明変数とし前記性能情報を目的変数とする線形モデルによって表される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記材料情報及びプロセス条件と、当該材料情報及び当該プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、に基づいて機械学習を行うことで、前記第1対応情報を生成する学習部、
を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第2対応情報は、前記学習部が前記第1対応情報を生成する手法よりも外挿の精度が高い手法で取得された情報である、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記物性情報は、前記プロセス条件で処理される前及び/又は処理された後のレジストであって、前記材料情報が示す材料のレジストの物性を示す情報である
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記性能情報は、前記レジストのリソグラフィー性能を示す情報である、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記物性情報は、前記レジストが処理された結果、所定の対象に形成された保護膜の特性情報である、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記物性情報は、前記レジストが処理され、加熱工程によって前記レジストが乾燥された結果、所定の対象に形成された保護膜の特性情報である、
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記物性情報は、前記レジストが処理され、前記レジストが化学変化した結果、所定の対象に形成された保護膜の特性情報である、
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項12】
レジストの材料を示す材料情報及び前記レジストを用いるプロセスにおけるプロセス条件と前記プロセスによって得たレジストの性能を示す性能情報とに関する第1対応情報及び第2対応情報を記憶部から読み出し、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報及び前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得する性能推定部と、
前記性能情報を出力する出力部と、
を備え、
前記第1対応情報は、前記材料情報及び前記プロセス条件と、前記プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、が対応付けられた情報であり、
前記第2対応情報は、前記材料情報、前記プロセス条件及び前記物性情報と前記性能情報とが対応付けられた情報であり、
前記性能推定部は、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報とに基づいて、前記物性情報を取得し、取得した当該物性情報と前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得し、
前記第1対応情報は、材料情報及びプロセス条件と、当該材料情報及び当該プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、に基づいて機械学習を行うことで得られた情報である、情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータがレジストの材料を示す材料情報及び前記レジストを用いるプロセスにおけるプロセス条件と前記プロセスによって得たレジストの性能を示す性能情報とに関する第1対応情報及び第2対応情報を記憶部から読み出し、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報及び前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得する性能推定ステップと、
コンピュータが前記性能情報を出力する出力ステップと、
を有し、
前記第1対応情報は、前記材料情報及び前記プロセス条件と、前記プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、が対応付けられた情報であり、
前記第2対応情報は、前記材料情報、前記プロセス条件及び前記物性情報と前記性能情報とが対応付けられた情報であり、
前記性能推定ステップでは、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報とに基づいて、前記物性情報を取得し、取得した当該物性情報と前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得し、
前記第1対応情報は、材料情報及びプロセス条件と、当該材料情報及び当該プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、に基づいて機械学習を行うことで得られた情報である、情報処理方法。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の情報処理システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノテクノロジーの進歩に伴い、ますますフォトレジストやEB(Electron Beam)レジスト等のレジストの性能の向上が求められている。そのため、開発者は、さまざまな材料を用いて実験を重ねることで新規のレジストの開発を試みている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】最新フォトレジスト材料開発とプロセス最適化技術(シーエムシー出版、監修:河合 晃)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、材料の候補の種類は多く、レジストが用いられる場面もさまざまであることから、新規のレジストを開発する開発者の負担は大きい。また、このような問題はレジストに限らず、材料の候補が多く、使用される場面もさまざまである組成物の開発に共通する課題であった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、新しい組成物を開発する開発者の労力を軽減する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、レジストの材料を示す材料情報及び前記レジストを用いるプロセスにおけるプロセス条件と前記プロセスによって得たレジストの性能を示す性能情報とに関する第1対応情報及び第2対応情報を記憶する記憶部と、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報及び前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得する性能推定部と、前記性能情報を出力する出力部と、を備え、前記第1対応情報は、前記材料情報及び前記プロセス条件と、前記プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、が対応付けられた情報であり、前記第2対応情報は、前記材料情報、前記プロセス条件及び前記物性情報と前記性能情報とが対応付けられた情報であり、前記性能推定部は、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報とに基づいて、前記物性情報を取得し、取得した当該物性情報と前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得する、情報処理システムである。
【0007】
本発明の一態様は、レジストの材料を示す材料情報及び前記レジストを用いるプロセスにおけるプロセス条件と前記プロセスによって得たレジストの性能を示す性能情報とに関する第1対応情報及び第2対応情報を記憶部から読み出し、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報及び前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得する性能推定部と、前記性能情報を出力する出力部と、を備え前記第1対応情報は、前記材料情報及び前記プロセス条件と、前記プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、が対応付けられた情報であり、前記第2対応情報は、前記材料情報、前記プロセス条件及び前記物性情報と前記性能情報とが対応付けられた情報であり、前記性能推定部は、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報とに基づいて、前記物性情報を取得し、取得した当該物性情報と前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得する、情報処理装置である。
【0008】
本発明の一態様は、レジストの材料を示す材料情報及び前記レジストを用いる所定のプロセスにおけるプロセス条件と、当該材料情報及び当該プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、に基づいて機械学習を行うことで、前記材料情報及び前記プロセス条件と、前記プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、が対応付けられた第1対応情報を生成する学習部、を備える学習装置である。
【0009】
本発明の一態様は、コンピュータがレジストの材料を示す材料情報及び前記レジストを用いるプロセスにおけるプロセス条件と前記プロセスによって得たレジストの性能を示す性能情報とに関する第1対応情報及び第2対応情報を記憶部から読み出し、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報及び前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得する性能推定ステップと、コンピュータが前記性能情報を出力する出力ステップと、を有し、前記第1対応情報は、前記材料情報及び前記プロセス条件と、前記プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、が対応付けられた情報であり、前記第2対応情報は、前記材料情報、前記プロセス条件及び前記物性情報と前記性能情報とが対応付けられた情報であり、前記性能推定ステップでは、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報とに基づいて、前記物性情報を取得し、取得した当該物性情報と前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得する、情報処理方法である。
【0010】
本発明の一態様は、上記の情報処理システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0011】
本発明の一態様は、コンピュータがレジストの材料を示す材料情報及び前記レジストを用いる所定のプロセスにおけるプロセス条件と、当該材料情報及び当該プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、に基づいて機械学習を行うことで、前記材料情報及び前記プロセス条件と、前記プロセス条件のプロセスにおける前記レジストの物性を示す物性情報と、が対応付けられた第1対応情報を生成する学習ステップ、を有する学習方法である。
【0012】
本発明の一態様は、上記の学習装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、新しい組成物を開発する開発者の労力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態を説明するための概念図。
図2】実施形態の情報処理システムのシステム構成の一例を示す図。
図3】実施形態における学習データの一例を示す図。
図4】実施形態における回帰用データの一例を示す図。
図5】実施形態における学習装置の機能構成の一例を示す図。
図6】実施形態における学習装置が実行する第1モデルを生成する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図7】実施形態における学習装置が実行する第2モデルを生成する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図8】実施形態における推定対象情報の一例を示す図。
図9】実施形態における制御部の機能構成の一例を示す図。
図10】実施形態における情報処理装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャート。
図11】実施形態における情報処理システムによる性能情報の推定結果と、実測された性能との関係を示す実験結果の第1の例を示す図。
図12】実施形態における情報処理システムによる性能情報の推定結果と、実測された性能との関係を示す実験結果の第2の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、実施形態を説明するための概念図である。より具体的には、後述する実施形態の情報処理システム100を説明するための概念図である。実施形態の情報処理システム100は、組成物の材料を示す材料情報と、材料情報が示す材料によって組成される組成物に対する所定のプロセスにおけるプロセス条件の入力を受け付ける。組成物は、例えば、対象物のパターニングに用いられる物質である。より具体的には、組成物としては、例えば、レジスト、現像液、相分離構造形成用材料、エッチング液、洗浄液、剥離液、光学材料、ナノインプリント材料、下地材、ハードマスク材料、撥水材、分離層形成用組成物、接着剤組成物等が挙げられる。なかでも、該組成物としては、レジストが好ましい。
レジストは、例えば、フォトリソグラフィーのレジストである。レジストは、レジスト膜の露光部が現像液に溶解する特性に変化するポジ型、レジスト膜の露光部が現像液に溶解しない特性に変化するネガ型のいずれでもよい。また、レジストは、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、ghi線、F2エキシマレーザー、EUV(極端紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線のいずれを用いたリソグラフィーに適していてもよい。
【0017】
情報処理システム100は、入力された材料情報及びプロセス条件と、予め記憶された対応情報とに基づいて、性能情報を取得する。性能情報は、プロセス条件におけるプロセスによって得られた性能であって材料情報が示す組成物の性能を示す情報である。性能は、例えば、レジストがパターニングに用いられている場合の性能(以下「パターニング性能」という。)である。パターニング性能は、例えば、リソグラフィー性能である。リソグラフィー性能は、例えば、パターンの寸法ばらつきである。
【0018】
対応情報は、材料情報及びプロセス条件と、性能情報との関係を示す。対応情報は、第1対応情報と第2対応情報とを含む。
第1対応情報は、材料情報及びプロセス条件と、当該材料情報及び当該プロセス条件のプロセスにおけるレジストの物性を示す物性情報と、が対応付けられた情報である。第1対応情報は、情報処理システム100が予め基本的な四則演算や、機械学習等の所定の手法によって取得した情報である。第1対応情報は、例えば、材料情報及びプロセス条件を入力側の学習データとし物性情報を教師データとする複数の学習データによって機械学習された学習結果の学習済みモデルである。
【0019】
学習済みモデルは、学習において終了条件が満たされた時点における機械学習モデルである。終了条件は、学習の終了に関する条件であればどのような条件であってもよい。終了条件は、例えば、所定数のデータセットによる学習が実行された、という条件であってもよいし、終了条件は、例えば、学習によるパラメータの変化量が所定の大きさ未満であるという条件であってもよい。
【0020】
機械学習モデルは、深層学習を含む機械学習における機械学習モデルを意味する。機械学習モデルは、例えば、エンコーダ・デコーダモデルのニューラルネットワークであってもよいし、畳み込みニューラルネットワークであってもよいし、勾配ブースティング決定木、強化学習であってもよい。学習するとは、機械学習モデルのパラメータを好適に調整することを意味する。機械学習モデルのパラメータは、例えば、機械学習モデルがニューラルネットワークである場合には誤差逆伝搬法のアルゴリズムによって調整される。
【0021】
第2対応情報は、材料情報、プロセス条件及び物性情報と性能情報とが対応付けられた情報である。第2対応情報は、情報処理システム100が予め回帰分析等の所定の手法によって取得した情報である。第2対応情報は、組成物がレジストである場合には、例えば、プロセス条件が示すプロセスによって処理されたレジストであって材料情報が示す材料によって組成されたレジストのパターニング性能を示す性能情報と物性情報とが対応付けられた情報である。プロセス条件が示す処理は、例えば、レジストを用いる処理である。
プロセス条件が示す処理は、例えば、レジストに対して所定の処理を実行した後、加熱工程によってレジストを乾燥する処理であってもよい。プロセス条件が示す処理は、例えば、レジストに対して処理の処理を実行した後、レジストを化学変化させる処理であってもよい。レジストに対する所定の処理は、例えば、レジストを塗布対象に塗布する処理である。第2対応情報は、例えば、重回帰、PCA回帰、Lasso回帰、Ridge回帰、Elastic Net回帰、PLS(Partial Least Squares)回帰、サポートベクター回帰等の回帰分析の方法で取得された回帰モデルであって、材料情報、プロセス条件及び物性情報を説明変数とし性能情報を目的変数とする回帰モデルである。
【0022】
情報処理システム100が、性能情報を取得するまでの処理の流れは、第1対応情報と第2対応情報とを用いて説明すると以下のようである。すなわち、情報処理システム100は、まず入力された材料情報及びプロセス条件と、第1対応情報とに基づいて物性情報を取得する。次に、情報処理システム100は、入力された材料情報及びプロセス条件と、物性情報と、第2対応情報とに基づいて性能情報を取得する。第1対応情報は、例えば、材料情報及びプロセス条件を説明変数とし物性情報を目的変数とする学習済みモデル(以下「第1モデル」という。)である。第1対応情報は、例えば、材料情報及びプロセス条件と、当該材料情報及び当該プロセス条件のプロセスで測定されたレジストの物性を示す物性情報との関係を示すリレーショナルデータベースであってもよい。第2対応情報は、例えば、材料情報、プロセス条件及び物性情報を説明変数とし性能情報を目的変数とする回帰モデル(以下「第2モデル」という。)である。第2対応情報は、例えば、材料情報、プロセス条件及び物性情報と性能情報との関係を示すリレーショナルデータベースであってもよい。
【0023】
図2は、実施形態の情報処理システム100のシステム構成の一例を示す図である。以下、理解を容易にするために、組成物がレジストである場合であって、性能がパターニング性能である場合を例に情報処理システム100を説明する。また、以下、第1対応情報が、第1モデルである場合を例に情報処理システム100を説明する。また、以下、第2対応情報が、第2モデルである場合を例に情報処理システム100を説明する。
【0024】
情報処理システム100は、学習装置1及び推定装置2を備える。学習装置1は、第1対応情報を学習する。学習装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ91とメモリ92とを備える制御部10を備え、プログラムを実行する。学習装置1は、プログラムの実行によって制御部10、インタフェース部11、入力部12、記憶部13及び出力部14を備える装置として機能する。より具体的には、プロセッサ91が記憶部13に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ92に記憶させる。プロセッサ91が、メモリ92に記憶させたプログラムを実行することによって、学習装置1は、制御部10、インタフェース部11、入力部12、記憶部13及び出力部14を備える装置として機能する。
【0025】
インタフェース部11は、自装置を、推定装置2及び外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。インタフェース部11は、有線又は無線を介して、推定装置2及び外部装置と通信する。
【0026】
入力部12は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。
入力部12は、これらの入力装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部12は、自装置に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部12は、例えば、学習データの入力を受け付ける。
【0027】
記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの非一時的コンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部13は学習装置1に関する各種情報を記憶する。記憶部13は、入力部12を介して入力された学習データを記憶する。
記憶部13は、例えば、終了条件が満たされる前の機械学習モデルを記憶する。記憶部13は、学習データと性能情報とが対応付けられた情報(以下「回帰用データ」という。)を記憶する。
【0028】
図3は、実施形態における学習データの一例を示す図である。
学習データは、入力側の学習データと教師データとの各項目が対応付けられている。入力側の学習データは、材料情報とプロセス条件との各情報が格納される。教師データは、物性情報が格納される。
【0029】
図4は、実施形態における回帰用データの一例を示す図である。
回帰用データは、例えば、学習データと性能情報とが対応付けられている。学習データは、材料情報とプロセス条件と物性情報との各情報が格納される。
【0030】
出力部14は、各種情報を出力する。出力部14は、例えば、学習結果の第1対応情報を出力する。出力部14は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部14は、これらの表示装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。
【0031】
制御部10は、学習装置1が備える各機能部の動作を制御する。また、制御部10は、第1モデル及び第2モデルを生成する。
【0032】
図5は、実施形態における制御部10の機能構成の一例を示す図である。制御部10は、学習済みモデル生成部101、回帰モデル生成部102及び通信制御部103を備える。
学習済みモデル生成部101は、記憶部13に記憶された複数の学習データを読み出す。学習済みモデル生成部101は、複数の学習データに基づいて第1モデルを生成する。
第1モデルを生成するとは、記憶部13に記憶された機械学習モデルを読み出し、複数の学習データを用いて、終了条件が満たされるまで学習することを意味する。学習済みモデル生成部101は、第1モデルを記憶部13に記憶する。
【0033】
回帰モデル生成部102は、記憶部13に記憶された第1モデルと複数の回帰用データとを読み出す。回帰モデル生成部102は、複数の回帰用データと、第1モデルと、に基づいて、第2モデルを生成する。第2モデルを生成するとは、複数の回帰用データに対して所定の回帰分析を実行し、回帰モデルを取得することを意味する。
【0034】
通信制御部103は、インタフェース部11の動作を制御し、学習済みモデル生成部101が生成した第1モデルと、回帰モデル生成部102が生成した第2モデルとを、推定装置2に送信する。
【0035】
図6は、実施形態における学習装置1が実行する第1モデルを生成する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
学習済みモデル生成部101が、複数の学習データを記憶部13から読み出す(ステップS101)。学習済みモデル生成部101が、読み出した複数の学習データに基づいて機械学習を行い、第1モデルを生成する(ステップS102)。
【0036】
図7は、実施形態における学習装置1が実行する第2モデルを生成する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
回帰モデル生成部102が、複数の回帰用データを記憶部13から読み出す(ステップS201)。回帰モデル生成部102が、読み出した複数の回帰用データに対して所定の回帰分析を実行し、第2モデルを生成する(ステップS202)。
【0037】
図2の説明に戻る。推定装置2は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ93とメモリ94とを備える制御部20を備え、プログラムを実行する。推定装置2は、プログラムの実行によって制御部20、インタフェース部21、入力部22、記憶部23及び出力部24を備える装置として機能する。より具体的には、プロセッサ93が記憶部23に記憶されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ94に記憶させる。プロセッサ93が、メモリ94に記憶させたプログラムを実行することによって、推定装置2は、制御部20、インタフェース部21、入力部22、記憶部23及び出力部24を備える装置として機能する。
【0038】
インタフェース部21は、自装置を、学習装置1及び外部装置に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。インタフェース部21は、有線又は無線を介して、学習装置1及び外部装置と通信する。
【0039】
入力部22は、マウスやキーボード、タッチパネル等の入力装置を含んで構成される。
入力部22は、これらの入力装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。入力部22は、自装置に対する各種情報の入力を受け付ける。入力部22は、例えば、推定対象情報の入力を受け付ける。推定対象情報は、推定対象材料情報と推定対象プロセス条件とが対応付けられた情報である。推定対象材料情報は、推定装置2がパターニング性能を推定する対象である組成物の材料を示す材料情報である。推定対象プロセス条件は、推定装置2がパターニング性能を推定する対象である組成物を得るためのプロセスのプロセス条件である。
【0040】
記憶部23は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの非一時的コンピュータ読み出し可能な記憶媒体装置を用いて構成される。記憶部23は推定装置2に関する各種情報を記憶する。記憶部23は、例えば、対応情報を記憶する。すなわち、記憶部23は、例えば、第1モデル及び第2モデルを記憶する。記憶部23は、例えば、入力部22を介して入力された推定対象情報を記憶する。
【0041】
図8は、実施形態における推定対象情報の一例を示す図である。
推定対象情報は、推定対象材料情報と推定対象プロセス条件との各項目が対応付けられている。
【0042】
出力部24は、各種情報を出力する。出力部24は、例えば、推定装置2による推定結果である性能情報を出力する。出力部24は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を含んで構成される。出力部24は、これらの表示装置を自装置に接続するインタフェースとして構成されてもよい。
【0043】
制御部20は、推定対象材料情報が示す材料によって組成されるレジストの、推定対象プロセス条件におけるプロセスによって得られたパターニング性能を対応情報に基づいて推定する。
【0044】
図9は、実施形態における制御部20の機能構成の一例を示す図である。制御部20は、性能推定部201及び出力制御部202を備える。
【0045】
性能推定部201は、記憶部23に記憶された推定対象情報と、対応情報を読み出す。
性能推定部201は、対応情報に基づいて、推定対象情報が示すプロセス条件におけるプロセスによって得られた性能であって推定対象情報が示す組成物の性能を示す性能情報を取得する。
【0046】
出力制御部202は、出力部24の動作を制御して、性能推定部201が取得した性能情報を出力部24に出力させる。
【0047】
図10は、実施形態における推定装置2が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
入力部22を介して入力された推定対象情報を記憶部23が記憶する(ステップS301)。次に性能推定部201が、記憶部23に記憶された推定対象情報と対応情報とを読み出す(ステップS302)。次に、性能推定部201が、推定対象情報が示すプロセス条件におけるプロセスによって得られた性能であって推定対象情報が示す組成物の性能を対応情報に基づいて推定する(ステップS303)。例えば、性能推定部201はまず、推定対象情報と第1対応情報とに基づいて、推定対象情報に対応する物性情報を取得する。次に、性能推定部201は、推定対象情報と推定対象情報に対応する物性情報と、第2対応情報とに基づいて、推定対象情報と推定対象情報に対応する物性情報とに対応する性能情報を取得する。このようにして、取得された性能情報が、ステップS303の処理の推定結果である。ステップS303の次に、出力制御部202は、推定結果の性能を出力部24に出力させる(ステップS304)。
【0048】
図11は、実施形態における情報処理システム100による性能情報の推定結果と、実測された性能との関係を示す実験結果の第1の例を示す図である。
図11の横軸は、実測値を示し、縦軸は、推定結果の値(推定値)を示す。図11は、RMSE(Root Mean Squared Error)が0.1747であることを示す。図11は、相関係数が0.8863であることを示す。図11は、決定係数が0.7855であることを示す。RMSEが0.1747であり、相関係数が0.8863であり、決定係数が0.7855であることは、情報処理システム100は、性能を、新規の組成物の開発において信頼に足る高い精度で推定可能なことを示す。
【0049】
図12は、実施形態における情報処理システム100による性能情報の推定結果と、実測された性能との関係を示す実験結果の第2の例を示す図である。
図12の横軸は、実測値を示し、縦軸は、推定結果の値(推定値)を示す。図12は、図11のデータに加えて、さらにデータを追加した場合の結果を示す。図12も、情報処理システム100は、性能を、新規の組成物の開発において信頼に足る高い精度で推定可能である、ということを示す。
【0050】
このように構成された実施形態の情報処理システム100は、対象材料情報が示す材料によって組成される組成物の、プロセス条件におけるプロセスによって得られた性能を対応情報に基づいて推定する。そのため、新しい組成物を開発する開発者の労力を軽減することができる。
【0051】
(変形例)
材料情報は、例えば、材料となる分子の表面積を含んでもよいし、材料となる分子の体積を含んでもよいし、材料となる分子の分子量を含んでもよいし、材料となる分子の電荷密度分布を表す値を含んでもよいし、分子記述子を表す値を含んでもよいし、材料のモル熱容量を含んでもよいし、材料の熱膨張率を含んでもよいし、材料の誘電率を含んでもよいし、材料の表面張力を含んでもよいし、材料の粘度を含んでもよいし、材料の屈折率を含んでもよいし、材料の透過率を含んでもよいし、材料の吸光度を含んでもよいし、材料の密度を含んでもよいし、材料のガラス転移温度を含んでもよいし、材料の融点を含んでもよいし、材料の分配係数を含んでもよいし、材料の酸性度定数を含んでもよいし、材料の溶解度パラメータを含んでもよいし、以下の参考文献1に記載の材料のABCパラメータを含んでもよいし、材料の保護基の脱保護反応の活性化エネルギーを含んでもよい。
【0052】
参考文献1:F. H. Dill, A. R. Neureuther, J. A. Tuttle and E. J. Walker “Modeling projection printing of positive photoresists”, IEEE Trans. Electron. Dev., 22, (1975), pp.456-464,
【0053】
物性情報は、第2対応情報に基づいて性能情報が出力されるために用いられる情報であればどのような情報であってもよい。物性情報は、例えば、プロセス条件のプロセスで処理される前及び/又は処理された後のレジストであって、材料情報が示す材料のレジストの物性を示す情報であってもよい。物性情報は、より具体的には、例えば、レジストが処理された結果、所定の対象に形成された保護膜の特性情報であってもよい。レジストに対する処理は、例えば、レジストを塗布対象に塗布する処理である。このような場合、保護膜が形成される所定の対象は、レジストの塗布先の塗布対象である。物性情報は、さらに具体的には、例えば、レジストが処理され、加熱工程によってレジストが乾燥された結果、所定の対象に形成された保護膜の特性情報であってもよい。物性情報は、例えば、レジストが処理され、レジストが化学変化した結果、所定の対象に形成された保護膜の特性情報であってもよい。
【0054】
物性情報は、例えば、材料となる分子の表面積;材料となる分子の体積;材料となる分子の分子量;材料となる分子の電荷密度分布を表す値;分子記述子を表す値;材料のモル熱容量;材料の熱膨張率;材料の誘電率;材料の表面張力;材料の粘度;材料の屈折率;材料の透過率;材料の吸光度;材料の密度;材料のガラス転移温度;材料の融点;材料の沸点;材料の引火点;材料の蒸気圧;材料の大西パラメータ;材料のpKa値;材料の分解点;材料の分配係数;材料の酸性度定数;材料の溶解度パラメータ;参考文献1に記載の材料のABCパラメータ;材料の保護基の脱保護反応の活性化エネルギー;材料の酸拡散長;材料となる重合体(ポリマー)の分子量;材料となる重合体(ポリマー)の分子量分散度;材料となる高分子材料(ポリマーユニット)の組成比を示す情報;光酸発生剤(PAG)や光崩壊性塩基(PDB)等の添加成分量を示す情報;組成物がレジストである場合における露光しない状態でのレジスト膜の溶解速度を示す情報;組成物がレジストである場合における露光した状態でのレジスト膜の溶解速度を示す情報;組成物がレジストである場合における露光前後のレジスト膜の状態を比較することで得られる情報からなる群より選ばれる少なくとも1種の情報を含んでもよい。組成物がレジストである場合における露光前後のレジスト膜の状態を比較することで得られる情報は、例えば、膜厚、重量、膜密度、溶解速度、屈折率等の変化である。
【0055】
プロセス条件は、例えば、塗布膜厚、熱処理の条件、露光条件、電子顕微鏡による観察条件、Mask情報、NILS(Normalized Image Log-Slope)からなる群より選ばれる少なくとも1種の情報を含んでもよい。Mask情報は、フォトマスクに関する情報である。熱処理の条件は、例えば、PAB(Post Applied Bake)の温度を含んでもよいし、PEB(Post Exposure Bake)の温度を含んでもよいし、PABやPEB等のベークの温度と時間との条件を含んでもよい。電子顕微鏡による観察条件とは、具体的には、観察倍率、電流値、加速電圧、フレーム数等である。
【0056】
パターニング性能は、例えば、感度、CDU(Critical Dimension Uniformity)、限界解像性、LER(Line Edge Roughness)、LWR(Line Width Roughness)、DOF(Depth of Focus)、露光余裕度(ELマージン)、MEF(Mask error factor)、パターン断面形状の矩形性、コンタクトホールパターン(CHパターン)におけるホールの真円性からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
【0057】
なお、第1対応情報は、必ずしも第1モデルである必要は無いが、材料情報及びプロセス条件と、当該材料情報及び当該プロセス条件のプロセスで測定されたレジストの物性を示す物性情報との関係を示す非線形モデルであることが望ましい。
【0058】
なお、第2対応情報は、必ずしも第2モデルである必要は無いが、第1対応情報を生成する手法よりも外挿の精度が高い手法で取得された情報であることが望ましい。例えば、第2対応情報は、材料情報、プロセス条件及び物性情報とパターニング性能を示す性能情報とが対応付けられた情報との関係を示す線形モデルであることが望ましい。線形モデルとしては、例えば重回帰、PCA回帰、Lasso回帰、Ridge回帰、Elastic Net回帰、PLS(Partial Least Squares)回帰、サポートベクター回帰であってもよい。
【0059】
実施形態において学習済みモデル生成部101は第1モデルを生成したが、第1モデルはあくまで第1対応情報の一例であり、学習済みモデル生成部101は第1対応情報を生成する機能部である。また、実施形態において回帰モデル生成部102は第2モデルを生成したが、第2モデルはあくまで第2対応情報の一例であり、回帰モデル生成部102は第2対応情報を生成する機能部である。また、実施形態において性能推定部201は第1モデル及び第2モデルに基づいて性能情報を推定した。しかしながら第1モデル及び第2モデルはあくまで第1対応情報及び第2対応情報の一例であり、性能推定部201は第1対応情報及び第2対応情報に基づいて、性能情報を推定する機能部である。
【0060】
なお、学習データはインタフェース部11を介して外部装置によって入力されてもよい。推定対象情報はインタフェース部21を介して外部装置によって入力されてもよい。
【0061】
なお、学習装置1及び推定装置2の各機能の全て又は一部は、ASIC(ApplicationSpecific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0062】
なお、学習装置1及び推定装置2は、それぞれネットワークを介して通信可能に接続された複数台の情報処理装置を用いて実装されてもよい。この場合、学習装置1及び推定装置2が備える各機能部は、複数の情報処理装置に分散して実装されてもよい。例えば、学習済みモデル生成部101と回帰モデル生成部102とはそれぞれ異なる情報処理装置に実装されてもよい。
【0063】
学習装置1及び推定装置2は、必ずしも異なる筐体に実装される必要は無い。学習装置1及び推定装置2は、1つの筐体で構成される装置であってもよい。なお、推定装置2は、対応情報を必ずしも記憶部23から読み出す必要はなく、インタフェース部11及びインタフェース部21を介して記憶部13から読み出してもよい。
【0064】
なお、学習済みモデル生成部101は、学習部の一例である。
【0065】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0066】
100…情報処理システム、 1…学習装置、 2…推定装置、 10…制御部、 1
1…インタフェース部、 12…入力部、 13…記憶部、 14…出力部、 20…制
御部、 21…インタフェース部、 22…入力部、 23…記憶部、 24…出力部、
91…プロセッサ、 92…メモリ、 93…プロセッサ、 94…メモリ、 101
…学習済みモデル生成部、 102…回帰モデル生成部、 103…通信制御部
【要約】
【課題】新しい組成物を開発する開発者の労力を軽減する技術を提供すること。
【解決手段】レジストの材料を示す材料情報及び前記レジストを用いる所定のプロセスにおけるプロセス条件と前記プロセスによって得たレジストの性能情報とに関する第1対応情報及び第2対応情報を記憶する記憶部と、入力された前記材料情報及び前記プロセス条件と前記第1対応情報及び前記第2対応情報とに基づいて、前記性能情報を取得する性能推定部と、前記性能情報を出力する出力部と、を備える情報処理システム。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12