(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有するとともに、前記厚さ方向において、第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を有し、前記長手方向が動物の胴回りに沿うように装着される動物用の吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、前記厚さ方向において、前記第1面を形成する不織布と、前記第2面を形成する不織布と、を有するとともに、平面視にて、前記長手方向における一方側端縁及び他方側端縁の間に、前記吸収性物品を前記長手方向に3等分する第1領域、中央領域及び第2領域を有しており、
さらに、前記吸収性物品は、
前記第1領域の前記第1面において前記幅方向に延在し且つ前記第2領域の前記第2面に対して着脱自在に係合する係合部と、
前記長手方向において、前記係合部の前記長手方向における一方側端縁から前記吸収性物品の前記長手方向における一方側端縁まで延在するフラップ部と、を備えていて、
前記フラップ部は、前記係合部の長手方向長さよりも長い長手方向長さを有する、
前記吸収性物品。
前記係合要素圧潰部は、前記係合部の前記幅方向における一方側端縁及び他方側端縁のうちの少なくとも一方の端縁を含む位置に配置されている、請求項3に記載の吸収性物品。
平面視にて、前記係合部の前記幅方向における一方側端縁及び他方側端縁を通る位置、又は、前記一方側端縁及び前記他方側端縁よりも前記幅方向の外方側の位置に、前記長手方向に延びる2本の折線を有していて、
前記吸収性物品は、前記吸収性物品の前記幅方向における一方側端部及び他方側端部の各々が、前記折線において第2面側に向かって折り畳まれている、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記吸収性物品は、前記厚さ方向において、前記第1面を形成する不織布及び前記第2面を形成する不織布の間に配置され、且つ、平面視にて、前記第1領域から前記第2領域に亘って延在する吸収体を更に備えており、
前記吸収体は、前記長手方向の一方側端縁が前記係合部と前記厚さ方向に重複する、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の動物用の吸収性物品の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開した状態で水平面上に置いた対象物(例えば、動物用の吸収性物品、吸収体等)を、垂直方向の上方側から対象物の厚さ方向に見ること」を「平面視」という。特に、対象物が動物用の吸収性物品の場合は、吸収性物品を展開した状態で第1面側から厚さ方向に見ることを、単に「平面視」ということがある。
【0024】
本明細書において用いられる各種方向等については、特に断りのない限り、以下のとおりである。
本明細書において、「長手方向」は「平面視における動物用の吸収性物品の長さの長い方向」を指し、「幅方向」は「平面視における動物用の吸収性物品の長さの短い方向(短手方向)」を指し、「厚さ方向」は「展開した状態で水平面上に置いた動物用の吸収性物品に対して垂直方向」を指す。これらの長手方向、幅方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。
さらに、本明細書では、特に断りのない限り、「動物用の吸収性物品の長手方向において、幅方向に延びる長手方向中央軸線C
Wに対して相対的に近位側」を「長手方向の内方側」といい、「動物用の吸収性物品の長手方向において、幅方向に延びる長手方向中央軸線C
Wに対して相対的に遠位側」を「長手方向の外方側」という。同様に、「動物用の吸収性物品の幅方向において、長手方向に延びる幅方向中央軸線C
Lに対して相対的に近位側」を「幅方向の内方側」といい、「動物用の吸収性物品の幅方向において、長手方向に延びる幅方向中央軸線C
Lに対して相対的に遠位側」を「幅方向の外方側」という。
また、本明細書では、特に断りのない限り、「動物用の吸収性物品の厚さ方向において、当該吸収性物品を動物の胴体に装着したときに、動物の胴体に対して相対的に近位側」を「胴体対向面側」といい、「動物用の吸収性物品の厚さ方向において、当該吸収性物品を動物の胴体に装着したときに、動物の胴体に対して相対的に遠位側」を「胴体非対向面側」という。なお、本明細書においては、動物用の吸収性物品及びその構成部材(例えば、表面シート、吸収体、バックフィルム、裏面シート等)の「胴体対向面側の表面」及び「胴体非対向面側の表面」を、それぞれ単に「胴体対向面」及び「胴体非対向面」ということがある。
【0025】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るペット用おむつ1の斜視図であり、
図2は、ペット用おむつ1を展開した状態で第1面側(裏面シート側)から厚さ方向Tに見た平面図であり、
図3は、ペット用おむつ1を展開した状態で第2面側(表面シート側)から厚さ方向Tに見た平面図である。また、
図4は、ペット用おむつ1の幅方向Wに延びる長手方向中央軸線C
Wに沿った幅方向断面の端面図であり、
図5は、ペット用おむつ1の長手方向Lに延びる幅方向中央軸線C
Lに沿った長手方向断面の端面図である。さらに、
図6は、ペット用おむつ1のフラップ部7が第1面側D
1へ折れ曲がって、係合部6に貼り付いた様子を示す平面図である。
【0026】
本発明の第1実施形態に係る使い捨てのペット用おむつ1(本発明における「動物用の吸収性物品」の一例である。)は、
図1〜
図3に示すように、平面視にて、長手方向L及び幅方向Wを有する縦長の矩形状の外形形状を有しており、長手方向Lが犬などの動物の背部及び腹部を含む胴周りの方向(胴周り方向)に対応するようにして、動物の胴周りに沿って巻き付けられるように構成されている。なお、本第1実施形態のペット用おむつ1においては、
図2に示すように、矩形状の外形形状の外縁として、長手方向Lの一方側端縁11と、長手方向Lの他方側端縁12と、幅方向Wの一方側端縁13と、幅方向Wの他方側端縁14と、を有している。
また、本発明において、動物用の吸収性物品の外形形状や各種寸法等は、本発明の効果を阻害せず且つ装着対象動物の胴体周り長さよりも長い長手方向長さを有する長形状のものであれば、動物の種類や体形、サイズ等に応じた任意の縦長の外形形状(例えば、長方形、楕円形、砂時計形等)や各種寸法等を採用することができる。
【0027】
上述の第1実施形態のペット用おむつ1は、
図1〜
図5に示すように、厚さ方向Tにおいて、ペット(動物)の胴体に装着したときに胴体非対向面となる第1面S
1と、胴体対向面となる第2面S
2と、を有するとともに、第2面S
2を形成する不織布からなる表面シート2と、第1面S
1を形成する不織布からなる裏面シート3と、これら各シートの間に配置された吸水性部材からなる吸収体4とを、おむつの基本構成として備えていて、動物から排泄された尿などの液状排泄物を、表面シート2を介して厚さ方向Tに浸透させながら吸収体4にて吸収及び保持することができるように構成されている。
また、このペット用おむつ1は、
図2及び
図3に示すように、平面視にて、長手方向Lにおける一方側端縁11及び他方側端縁12の間に、ペット用おむつ1を長手方向Lに3等分する第1領域A
1、中央領域A
C及び第2領域A
2を有していて、上述の表面シート2及び裏面シート3は、長手方向Lの一方側端縁11から他方側端縁12にわたって延在する一方、吸収体4は、第1領域A
1の一部から第2領域A
2の一部にわたって延在している。なお、本明細書において、「吸収性物品を長手方向に3等分する」とは、当該吸収性物品の長手方向に延びる幅方向中央軸線C
Lにおける、長手方向の一方側端縁及び他方側端縁の間の長さを3等分することを意味する。
【0028】
また、本明細書において、動物用の吸収性物品の長手方向における一方側端縁及び他方側端縁は、動物用の吸収性物品の長手方向において最も外方側に位置する一方側の縁及び他方側の縁を意味し、動物用の吸収性物品の幅方向における一方側端縁及び他方側端縁も同様である。
これに関連し、本明細書において、動物用の吸収性物品の長手方向における一方側端部及び他方側端部は、動物用の吸収性物品の長手方向における一方側端縁及び他方側端縁を含んでそれぞれ長手方向の内方側に延在し且つ各端縁からの長手方向長さが長手方向全長(この長手方向全長を100%とする。)の33%以内となる領域として画定される部分を意味し、動物用の吸収性物品の幅方向における一方側端部及び他方側端部も同様である。
なお、これらの各種方向における一方側端縁及び他方側端縁、並びに一方側端部及び他方側端部は、動物用の吸収性物品を構成する各種部材や各種領域等(例えば、表面シート、吸収体、裏面シート、係合部等)においても同様に適用される。
さらに、本明細書においては、動物用の吸収性物品を構成する各種部材や各種領域等の各種方向における「一方側」及び「他方側」についても、動物用の吸収性物品の各種方向における「一方側」及び「他方側」と対応するように用いられる。
【0029】
上述の第1実施形態のペット用おむつ1は、
図3〜
図5に示すように、吸収体4と裏面シート3との間に配置されたバックフィルム31と、表面シート2の第2面側D
2においてペット用おむつ1の幅方向Wの両端部にそれぞれ配置された、長手方向Lに延在する一対のサイドシート5、5と、上述の第1領域A
1の第1面S
1において幅方向Wに延在するように配置され且つ上述の第2領域A
2の第2面S
2に対して着脱自在に係合し得る係合部6とを備えており、ペット用おむつ1を動物の胴体に着実に装着できるようにして、動物から排泄される尿などの液状排泄物が外部に漏出しないように構成されている。
【0030】
なお、上述の係合部6は、
図5に示すように、裏面シート3の第1面側D
1の表面(すなわち、ペット用おむつ1の第1面S
1)に接合された帯状の基部6bと、該基部6bから突出する複数のフック部6f(係合要素)とからなるメカニカルファスナーによって構成されており、ペット用おむつ1を動物の腹部側から胴周りに沿わせて装着するときに、動物の背部側において、不織布からなる表面シート2の第2面側D
2の表面(すなわち、ペット用おむつ1の第2面S
2)の任意の部分に上述のフック部6fを係合させることができる。このような係合部6を備えていることによって、ペット用おむつ1は、動物の胴体の適切な位置において、動物の胴周り寸法に合わせて的確に装着することができる。
【0031】
なお、本第1実施形態のペット用おむつ1は、
図1〜
図4に示すように、ペット用おむつ1の幅方向Wの両端部においてそれぞれ上述の一対のサイドシート5、5と裏面シート3との間に配置された、長手方向Lに延在する一対の側部ギャザー形成用弾性部材81、81と、一対のサイドシート5、5の幅方向Wの内方側の端部にそれぞれ配置された、長手方向Lに延在する一対の立体ギャザー形成用弾性部材82、82とを更に備えていて、ペット用おむつ1全体に長手方向Lの所定の伸縮性が付与されているため、かかるペット用おむつ1を動物の胴体に装着する際に、ペット用おむつ1が動物の胴周り方向(すなわち、平面視における長手方向L)に収縮して、動物の体形等に合わせて密着し易くなっている。さらに、動物の胴体に装着されたペット用おむつ1は、上述の各弾性部材の作用によって、動物の呼吸等の動作に伴う胴周り寸法の変化などに合せて、動物の胴周り方向に伸縮可能であるため、ペット用おむつ1が動物の胴体に密着した状態を長時間にわたって維持し易くなっている。
【0032】
そして、本第1実施形態のペット用おむつ1は、
図1、
図2、
図5及び
図6に示すように、長手方向Lにおいて、係合部6の長手方向Lにおける一方側端縁61からペット用おむつ1の長手方向Lにおける一方側端縁11まで延在するフラップ部7を備えており、当該フラップ部7は、係合部6の長手方向長さD
6よりも長い長手方向長さD
7を有している。
【0033】
このように、本第1実施形態のペット用おむつ1は、フラップ部7が係合部6の長手方向長さD
6よりも長い長手方向長さD
7を有しているため、フラップ部7が上述のように第1面側D
1に折れ曲がって係合部6に貼り付いたとしても(
図6を参照)、フラップ部7における係合部6の長手方向長さD
6より長い部分(すなわち、余剰部71)を掴み部として掴んで、フラップ部7を係合部6から容易に引き剥がすことができる。
これにより、本第1実施形態のペット用おむつ1は、動物の胴体に装着する際の手間を掛かり難くすることができる。
【0034】
なお、本発明の動物用の吸収性物品において、フラップ部の長手方向長さは、係合部の長手方向長さよりも長いものであれば、特に制限されず、所望の外観や取り扱い易さ等に応じた任意の長手方向長さを採用することができる。
【0035】
また、本明細書において、「係合部の長手方向長さ」は、係合部における長手方向の最も外方側に位置する外方側端縁と、係合部における長手方向の最も内方側に位置する内方側端縁との間の長手方向長さを意味し、例えば、上述の第1実施形態においては、係合部6の長手方向Lにおける一方側端縁61(外方側端縁)から係合部6の長手方向Lにおける他方側端縁62(内方側端縁)までの長手方向長さD
6が該当する。
同様に、本明細書において、「フラップ部の長手方向長さ」は、係合部における長手方向の最も外方側に位置する端縁と、動物用の吸収性物品における長手方向の最も外方側に位置する一方側端縁との間の長手方向長さを意味し、例えば、上述の第1実施形態においては、係合部6の長手方向Lにおける一方側端縁61からペット用おむつ1の長手方向Lにおける一方側端縁11までの長手方向長さD
7が該当する。
【0036】
上述の第1実施形態のペット用おむつ1は、次のようにして動物の胴体に装着される。なお、
図7は、第1実施形態のペット用おむつ1を、雄犬(本発明における「動物」の一例である。)に装着した状態を示す模式図である。
まず、ペット用おむつ1は、長手方向Lが動物の前後方向と交差し(すなわち、幅方向Wが動物の前後方向に対応し)且つ吸収体4が動物の排泄部(尿道口)に対向するようにして、動物の腹部にあてがわれる。そして、動物の腹部にあてがわれたペット用おむつ1は、かかる腹部から動物の胴周りに沿って胴体に巻き付けられる。このとき、ペット用おむつ1の第2領域A
2が、動物の背部において、第1領域A
1の第1面S
1上に重ねられ、第1領域A
1の第1面S
1上に配置された係合部6によって係合固定される。このようにして、ペット用おむつ1は、
図7に示すように、動物の胴体に装着される。
【0037】
ここで、本発明の動物用の吸収性物品が適用される「動物」は、腹部に排泄器官を有する四肢動物(四足動物)であれば特に限定されず、上述の第1実施形態のような犬(雄犬)のほか、例えば、牡馬等の様々な動物を対象とすることができる。
【0038】
また、本発明の動物用の吸収性物品が吸収及び保持する対象の液状排泄物は、特に制限されず、例えば、尿や血液などの液状乃至低粘度の各種体液が挙げられる。
【0039】
以下、本発明の動物用の吸収性物品を構成する各種部材について、第1実施形態に係るペット用おむつ1等を用いて更に詳細に説明する。
【0040】
[表面シート]
本発明の第1実施形態に係るペット用おむつ1において、表面シート2は、
図3〜
図5に示すように、平面視にて、ペット用おむつ1の長手方向L及び幅方向Wに延在する縦長の矩形状の外形形状を有しており、ペット用おむつ1の厚さ方向Tにおいて、当該ペット用おむつ1の胴体対向面となる第2面S
2を形成する位置に配置されて、装着対象となる動物から排泄される尿などの液状排泄物を受容する液透過性の不織布によって形成されている。すなわち、本第1実施形態においては、表面シート2は、ペット用おむつ1の第2面S
2を形成する不織布からなる。
【0041】
なお、本第1実施形態のペット用おむつ1においては、上述の係合部6を有する第1面S
1が胴体非対向面であり、第2面S
2が胴体対向面である(すなわち、第1面S
1を形成する不織布が裏面シート3であり、第2面S
2を形成する不織布が表面シート2である)が、本発明の動物用の吸収性物品においては、このような態様に限定されず、係合部を有する第1面が胴体対向面であり、第2面が胴体非対向面である(すなわち、第1面を形成する不織布が表面シートであり、第2面を形成する不織布が裏面シートである)態様のものでもよい。すなわち、本発明の動物用の吸収性物品が、これらのいずれの態様のものであっても、表面シート及び裏面シートは、それぞれ不織布(より具体的には、第1面を形成する不織布又は第2面を形成する不織布のいずれかの不織布)によって形成されることになる。
【0042】
本発明において、表面シートに用いる不織布は、動物用の吸収性物品の表面シートとして用い得る諸特性(例えば、液透過性や柔軟性等)を有するものであれば特に制限されず、例えば、スパンレース不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS不織布等)などの任意の不織布を用いることができる。
また、かかる不織布の構造は、特に制限されず、平坦な無孔の不織布のほか、例えば、有孔の不織布、凹凸構造(断面形状が波形となる凹凸構造や畝溝構造等)を有する不織布なども好適に用いることができる。
さらに、不織布の構成繊維の種類も特に制限されず、例えば、セルロース系繊維;親水化処理を施したオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維などの親水性繊維が挙げられ、これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
【0043】
本発明において、表面シートに用いる不織布の外形形状や各種寸法等は、少なくとも吸収体の胴体対向面側の表面を被覆し得るものであれば特に制限されず、装着対象動物の種類や体形、サイズ等に応じた任意の外形形状(例えば、砂時計形、長円形等)や各種寸法等を採用することができる。例えば、表面シートに用いる不織布の厚みは、0.001mm〜5.0mmの範囲内の厚みを採用することができるが、液透過性や柔軟性などの点から0.01mm〜3.0mmの範囲内の厚みが好ましく、さらに、0.1mm〜1.0mmの範囲内の厚みがより好ましい。
【0044】
なお、表面シートに用いる不織布の坪量も、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、例えば5g/m
2〜100g/m
2の範囲内の坪量を採用することができるが、液透過性や柔軟性などの点から6g/m
2〜50g/m
2の範囲内の坪量が好ましい。なお、不織布の坪量は、JIS L 1906の5.2に従って測定することができる。
【0045】
[吸収体]
上述の第1実施形態のペット用おむつ1において、吸収体4は、
図2〜
図5に示すように、平面視にて、ペット用おむつ1の長手方向L及び幅方向Wに延在する、全体として縦長の矩形状の外形形状を有しており、ペット用おむつ1の厚さ方向Tにおいて表面シート2と裏面シート3の間に配置され、表面シート2を透過してきた動物の尿などの液状排泄物を吸収して保持し得る吸水性部材によって形成されている。かかる吸収体4は、
図2及び
図3に示すように、平面視にて、ペット用おむつ1の幅方向Wに延びる長手方向中央軸線C
Wと長手方向Lに延びる幅方向中央軸線C
Lとが交わる中央部を中心に配置され、長手方向Lにおいて、第1領域A
1の一部から第2領域A
2の一部にわたって延在している。
【0046】
本発明において、吸収体に用いる吸水性部材は、動物用の吸収性物品の吸収体として用い得る諸特性(例えば、吸水性や液保持性、柔軟性、強度等)を有するものであれば特に制限されず、当分野において公知の任意の吸水性部材を用いることができる。そのような吸水性部材の例としては、パルプ等の吸水性繊維及び/又は高吸収性ポリマー(SAP)を含む吸収性材料からなる吸収コアを、少なくとも1枚の親水性を有する液透過性の被覆シート(例えば、ティッシュ等)によって覆ったものなどが挙げられる。
【0047】
本発明において、吸収体に用いる吸水性部材の外形形状や各種寸法等は、動物から排泄された尿などの液状排泄物を吸収して保持し得るものであれば特に制限されず、装着対象動物の種類や体形、サイズ等に応じた任意の外形形状(例えば、砂時計形、長円形等)や各種寸法等を採用することができる。
【0048】
なお、吸収体に用いる吸水性部材の厚みや坪量等も、動物用の吸収性物品の吸収体として用い得るものであれば特に制限されず、装着対象動物の種類や体形、サイズ等に応じた任意の厚みや坪量等を採用することができる。
【0049】
[バックフィルム]
上述の第1実施形態のペット用おむつ1において、バックフィルム31は、平面視にて、ペット用おむつ1の長手方向L及び幅方向Wに延在する縦長の矩形状の外形形状を有していて、
図4及び
図5に示すように、ペット用おむつ1の厚さ方向Tにおいて、吸収体4と裏面シート3との間に配置されて、上述の表面シート2や吸収体4を透過してきた尿などの液状排泄物がペット用おむつ1の外部へ漏出するのを防ぐ、シート状の液不透過性部材によって形成されている。
【0050】
本発明において、バックフィルムに用いるシート状の液不透過性部材は、動物用の吸収性物品のバックフィルムとして用い得る諸特性(例えば、液不透過性、柔軟性、強度等)を有するものであれば特に制限されず、当分野において公知の任意のシート状の液不透過性部材を用いることができる。そのようなシート状の液不透過性部材の例としては、例えば、液不透過性のプラスチック製フィルム、疎水性の不織布、SMS積層不織布、及びこれらのシートを任意に組み合わせた積層シートなどが挙げられる。
【0051】
本発明において、バックフィルムに用いるシート状の液不透過性部材の外形形状や各種寸法等は、少なくとも吸収体の胴体非対向面側の表面を被覆し得るものであれば特に制限されず、装着対象動物の種類や体形、サイズ等に応じた任意の外形形状や各種寸法等を採用することができる。
【0052】
なお、動物用の吸収性物品にこのようなバックフィルム(シート状の液不透過性部材)を設けることは、本発明においては必須の構成要件ではないため、液不透過性の裏面シートや吸収体の追加等によって液状排泄物の防漏性が確保されているような場合には、本発明の動物用の吸収性物品は、このようなバックフィルムを備えていなくてもよい。
【0053】
[裏面シート]
上述の第1実施形態のペット用おむつ1において、裏面シート3は、
図2〜
図5に示すように、平面視にて、ペット用おむつ1の長手方向L及び幅方向Wに延在する縦長の矩形状の外形形状を有しており、ペット用おむつ1の厚さ方向Tにおいて、当該ペット用おむつ1の胴体非対向面となる第1面S
1を形成する位置に配置されて、装着対象となる動物から排泄される尿などの液状排泄物の漏出を防ぐ液不透過性の不織布によって形成されている。すなわち、本第1実施形態においては、裏面シート3は、ペット用おむつ1の第1面S
1を形成する不織布からなる。
【0054】
本発明において、裏面シートに用いる不織布は、動物用の吸収性物品の裏面シートとして用い得る諸特性(例えば、液不透過性や通気性、柔軟性等)を有するものであれば特に制限されず、例えば、防水処理を施した又は疎水性を有する合成樹脂繊維からなる、SMS不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、メルトブローン不織布、1dtex以下の繊度を有する極細繊維によって構成された不織布又は極細繊維によって構成された繊維層を含む不織布、加熱又は加圧による高密度化処理が施された不織布などの任意の不織布を用いることができ、さらに、液不透過性のプラスチック製フィルムの少なくとも一方の表面に任意の不織布を積層した不織布積層シートなども用いることができる。
また、かかる不織布の構造は、特に制限されず、平坦な無孔の不織布のほか、例えば、有孔の不織布、所定の凹凸構造(例えば、断面形状が波形となる凹凸構造や畝溝構造等)を有する不織布なども好適に用いることができる。
さらに、不織布の構成繊維の種類も特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなる繊維;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂からなる繊維;複合繊維などの疎水性を有する熱可塑性樹脂繊維が挙げられ、これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。
【0055】
本発明において、裏面シートに用いる不織布の外形形状や各種寸法等は、少なくとも吸収体の胴体非対向面側の表面を被覆し得るものであれば特に制限されず、装着対象動物の種類や体形、サイズ等に応じた任意の外形形状(例えば、砂時計形、長円形等)や各種寸法等を採用することができる。例えば、裏面シートに用いる不織布の厚みは、0.001mm〜5.0mmの範囲内の厚みを採用することができるが、液不透過性や柔軟性、通気性などの点から0.003mm〜3.0mmの範囲内の厚みが好ましく、さらに、0.01mm〜1.0mmの範囲内の厚みがより好ましい。
【0056】
なお、裏面シートに用いる不織布の坪量も、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、例えば5g/m
2〜100g/m
2の範囲内の坪量を採用することができるが、液透過性や柔軟性などの点から6g/m
2〜50g/m
2の範囲内の坪量が好ましい。
【0057】
[サイドシート]
上述の第1実施形態のペット用おむつ1おいて、一対のサイドシート5、5は、
図3及び
図4に示すように、表面シート2の胴体対向面側(すなわち、第2面側D
2)に位置し且つペット用おむつ1の幅方向Wの両端部の各々において長手方向Lに延在するように配置されている。
【0058】
この一対のサイドシート5、5は、平面視にて、それぞれ長手方向Lに長い帯状の疎水性シート部材によって形成されていて、さらに、かかる一対のサイドシート5、5の各々は、
図4に示すように、幅方向Wの外方側の端部の胴体非対向面側(すなわち、第1面側D
1)の表面が、それぞれ表面シート2及び裏面シート3の胴体対向面側(すなわち、第2面側D
2)の表面に接合されている一方、幅方向Wの内方側の端部の胴体非対向面側の表面は、いずれのシート部材(例えば、表面シート2や裏面シート3等)とも接合されていない。
さらに、上述の一対のサイドシート5、5は、
図4に示すように、それぞれの幅方向Wの内方側の端部が表面シート2側に向かって折り畳まれていて、さらに、その折り畳まれた端部に挟まれるようにして、長手方向Lに延びる一対の立体ギャザー形成用弾性部材82、82が配置されている。この一対の立体ギャザー形成用弾性部材82、82が長手方向Lに収縮することによって、一対のサイドシート5、5の幅方向Wの内方側の端部(自由端部)が表面シート2側から起立し、
図4に示すような立体ギャザーを形成することができる。本第1実施形態のペット用おむつ1は、このような立体ギャザーが防漏壁として機能するため、動物から排泄された尿などの液状排泄物が漏出し難くなっている。
【0059】
なお、上述の第1実施形態では、
図4に示すように、ペット用おむつ1の幅方向Wの両端部において、一対のサイドシート5、5と裏面シート3との間に、長手方向Lに延びる一対の側部ギャザー形成用弾性部材81、81が配置されている。かかる一対の側部ギャザー形成用弾性部材81、81については後述する。
【0060】
本発明において、立体ギャザー形成用弾性部材の本数は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、一対のサイドシートの各々に1本ずつ又は2本以上ずつ配置されていてもよいし、いずれか一方のサイドシートのみに、1本又は2本以上配置されていてもよい。
なお、この立体ギャザー形成用弾性部材は、展開した状態の動物用の吸収性物品に対して長手方向の収縮力を付与し得るものであれば特に制限されず、後述する側部ギャザー形成用弾性部材と同様の任意の弾性部材を用いることができる。
【0061】
本発明において、サイドシートに用いる帯状の疎水性シート部材は、上述の防漏壁として機能し得るものであれば、特に制限されず、例えば、撥水性や疎水性を有する任意の不織布(例えば、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、メルトブローン不織布、エアスルー不織布等)を帯状に裁断したものなどを用いることができる。さらに、このような不織布の構成繊維も特に制限されず、例えば、オレフィン系樹脂繊維やポリエステル系樹脂繊維、ポリアミド系樹脂繊維等の合成繊維のほか、レーヨンや綿等のセルロース系繊維なども用いることができる。
【0062】
なお、本発明において、一対のサイドシートの各々の外形形状や各種寸法等は、動物用の吸収性物品のサイドシートとして用い得るものであれば特に制限されず、装着対象動物の種類や体形、サイズ等に応じた任意の外形形状や各種寸法等を採用することができる。
【0063】
また、動物用の吸収性物品にこのような一対のサイドシートを設けることは、本発明においては必須の構成要件ではないため、他の構成部材等によって液状排泄物の防漏性が確保されているような場合には、本発明の動物用の吸収性物品は、このような一対のサイドシートを備えていなくてもよい。
【0064】
(側部ギャザー用弾性部材)
上述の第1実施形態のペット用おむつ1において、一対の側部ギャザー形成用弾性部材81、81は、
図2〜
図4に示すように、ペット用おむつ1の幅方向Wの両端部の各々において長手方向Lに延在するようにして、一対のサイドシート5、5と裏面シート3との間に配置されており、展開した状態のペット用おむつ1に対して長手方向Lの収縮力を付与し得る伸縮自在の糸状の弾性部材によって形成されている。
【0065】
このような側部ギャザー形成用弾性部材81、81がペット用おむつ1の幅方向Wの両端部に配置されていると、装着時にペット用おむつ1の幅方向W(すなわち、装着時における動物の前後方向)の両端部を動物の胴周りに沿ってより的確に密着させることができるため、動物から排出される尿などの液状排泄物の漏出をより確実に生じ難くすることができる。
【0066】
本発明において、側部ギャザー形成用弾性部材として用い得る弾性部材は、展開した状態の動物用の吸収性物品に対して長手方向の収縮力を付与し得るものであれば特に制限されず、例えば、天然ゴムからなる糸ゴム又は平ゴム;ウレタン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性エラストマーを糸状又は帯状に成形した伸縮性成形体;伸縮性不織布等の伸縮性シート状部材などの任意の弾性部材を用いることができる。
【0067】
なお、本発明において、側部ギャザー形成用弾性部材の配置形態は、上述の第1実施形態の態様に限定されず、側部ギャザー形成用弾性部材は、装着対象動物の種類や体形、サイズ等に応じて、例えば、動物用の吸収性物品の幅方向における両端部のうちのいずれか一方側の端部のみに1本又は2本以上配置されていてもよく、或いは、動物用の吸収性物品の幅方向における両端部の各々に、2本以上ずつ(すなわち、合計4本以上)配置されていてもよい。
【0068】
なお、動物用の吸収性物品にこのような側部ギャザー形成用弾性部材を設けることは、本発明においては必須の構成要件ではないため、他の構成部材等によって動物の胴体への密着性や液状排泄物の防漏性が確保されているような場合には、本発明の動物用の吸収性物品は、このような側部ギャザー形成用弾性部材を備えていなくてもよい。
【0069】
[係合部]
上述の第1実施形態のペット用おむつ1において、係合部6は、
図2に示すように、上述の第1領域A
1の第1面S
1(具体的には、裏面シート3の第1面側D
1の表面)において幅方向Wに延在するように配置されており、平面視にて、長手方向Lの外方側に位置する長手方向Lの一方側端縁61と、長手方向Lの内方側に位置する長手方向Lの他方側端縁62と、幅方向Wの一方側に位置する幅方向Wの一方側端縁63と、幅方向Wの他方側に位置する幅方向Wの他方側端縁64と、を有する、ペット用おむつ1の幅方向Wに長い矩形状の外形形状を有している。
かかる係合部6は、
図5に示すように、裏面シート3の第1面側D
1の表面に接合された、ペット用おむつ1の幅方向Wに長い帯状の基部6bと、該基部6bから突出する複数のフック部6f(係合要素)とからなるメカニカルファスナーによって構成されていて、かかるメカニカルファスナーは、上述の複数のフック部6fが不織布の構成繊維と係合可能であるため、ペット用おむつ1を動物の腹部側から胴周りに沿わせて装着するときに、動物の背部側において、不織布からなる表面シート2の第2面側D
2の表面の任意の部分に、上述のフック部6fを係合させることができる。
【0070】
なお、本明細書において、「係合」とは、所定の構造を有する要素同士が機械的に係わり合うことで繋がり、各要素を所定の力を以て引き離さない限り、その繋がった状態が維持されるような状態を意味する。
【0071】
本発明において、係合部に用いるメカニカルファスナーは、第2面を形成する不織布の任意の部分と係合し得るものであれば特に制限されず、例えば、平坦なシート状の基部と、該基部から垂直方向に突出する複数のマッシュルーム型の係合突起(すなわち、基部から垂直方向に突出する軸部と、該軸部の先端(具体的には、基部とは反対側の軸部の先端)において該軸部の外周面が拡径する方向に膨らんだ拡径部とを有する係合突起)からなるフック部と、を有するマッシュルーム型ファスナー;平坦なシート状の基部と、該基部から垂直方向に突出する複数のカギ型の係合突起(すなわち、基部から垂直方向に突出する軸部の先端が基部側に向かって折り返された構造を有する係合突起)からなるフック部と、を有するカギ型ファスナーなどを用いることができる。
中でも、マッシュルーム型ファスナーを係合部に用いた場合は、当該係合部が第2面を形成する不織布と係合しているときに、当該不織布と係合している部分が動物の動作等によって様々な方向に引っ張られたとしても、上述のマッシュルーム型の係合突起からなるフック部が、あらゆる方向の力に対応して不織布との係合状態を維持し得るため、係合部と第2面を形成する不織布との係合状態を強固に維持することができ、結果的に、動物用の吸収性物品を動物の胴周りの適正な位置からずれ難くすることができ、また、動物の胴体から外れ難くすることができる。
【0072】
本発明において、係合部に用いるメカニカルファスナーの構成材料は、特に制限されず、例えば、ポリエステルやポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどの任意の合成樹脂を用いることができ、これらの合成樹脂は単一種類の樹脂を用いても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。
【0073】
また、上述のとおり、本発明の動物用の吸収性物品は、係合部を有する第1面が胴体対向面であり、第2面が胴体非対向面である(すなわち、第1面を形成する不織布が表面シートであり、第2面を形成する不織布が裏面シートである)態様のものでもよく、このような態様の場合、係合部は、表面シートの第1面側の表面(すなわち、胴体対向面)に配置される。
【0074】
なお、本発明において、係合部に用いるメカニカルファスナーの外形形状や各種寸法等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、装着対象動物の種類や体形、サイズ等に応じた任意の外形形状(例えば、1又は複数の、正方形、長方形、長円形、菱形等)や各種寸法等を採用することができるが、上述のとおり、係合部の長手方向長さ(すなわち、動物用の吸収性物品の長手方向における係合部の一方側端縁(外方側端縁)から他方側端縁(内方側端縁)までの長手方向長さ)は、動物用の吸収性物品におけるフラップ部の長手方向長さよりも小さいことが必要である。
このように、係合部の長手方向長さが動物用の吸収性物品におけるフラップ部の長手方向長さよりも小さい、すなわち、動物用の吸収性物品におけるフラップ部の長手方向長さが係合部の長手方向長さよりも大きいことで、本発明の動物用の吸収性物品は、フラップ部が上述のように第1面側に折れ曲がって係合部に貼り付いたとしても、フラップ部における係合部の長手方向長さより長い部分(すなわち、余剰部)を掴み部として掴んで、フラップ部を係合部から容易に引き剥がすことができる。
これにより、本発明の動物用の吸収性物品は、動物の胴体に装着する際の手間を掛かり難くすることができる。
【0075】
なお、本発明の動物用の吸収性物品において、係合部の構造は、上述のとおり、本発明の効果を奏し得るものであれば上述の第1実施形態の態様のものに限定されず、任意の構造のものを採用することができる。
以下、上述の第1実施形態とは係合部の構造のみが異なる、本発明の別の実施形態(すなわち、第2実施形態及び第3実施形態)について、図面を参照しながら説明する。なお、上述の第1実施形態と異なる構成以外の構成は、基本的に第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0076】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係るペット用おむつ1Aを展開した状態で第1面側D
1から厚さ方向Tに見た平面図である。
本第2実施形態のペット用おむつ1Aにおいては、
図8に示すように、係合部6は、長手方向Lに延びる幅方向中央軸線C
Lと重複する幅方向Wの中央部に、係合要素としてのフック部6fが配置されていない係合要素非配置部6Nを有している。
【0077】
なお、本発明において、かかる係合要素非配置部が設けられる位置は、上述の幅方向の中央部に限定されず、係合要素非配置部は、係合部における幅方向の一部であれば、任意の位置に設けることができる。
このように、係合部が、幅方向の一部において係合要素の配置されていない係合要素非配置部を有していると、フラップ部が第1面側に折れ曲がって係合部に貼り付いたとしても、当該係合要素非配置部が、上述の余剰部とともに掴み部として機能し得るため、より広い面積の掴み部を確保することができ、結果的に、フラップ部をより容易に係合部から引き剥がすことができる。
【0078】
本発明において、上述の係合要素非配置部の幅方向長さは、係合部が動物用の吸収性物品の係合部として必要な係合力(接合強度)を発揮し得る限り特に制限されず、任意の幅方向長さを採用することができるが、上述の掴み部としての機能をより確実に得るという点から、係合要素非配置部は、動物の飼い主等の装着者の指が挿入し得る程度の幅方向長さ(例えば、6mm〜20mmの範囲内の長さ等)を有していることが好ましい。
【0079】
また、本発明において、係合要素非配置部の配置形態も特に制限されず、係合部が動物用の吸収性物品の係合部として必要な係合力を発揮し得る限り特に制限されず、例えば、係合要素非配置部は、上述の幅方向の中央部に加えて又は中央部に代えて、係合部の上記幅方向における一方側端縁及び他方側端縁のうちの少なくとも一方の端縁を含む位置に配置されていてもよい。
掴み部として機能し得る係合要素非配置部が、このような位置(すなわち、係合部の幅方向における一方側端縁及び他方側端縁のうちの少なくとも一方の端縁を含む位置)に配置されていると、当該係合要素非配置部を、上述の余剰部とともに掴み部として掴んでフラップ部を係合部から引き剥がす際に、係合部の幅方向における一方側端縁乃至他方側端縁から順次引き剥がすことができるため、長手方向における一方側端縁から引き剥がすような場合に比べて、より小さい力でフラップ部を係合部から引き剥がすことができる。
【0080】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るペット用おむつ1Bについて、図面を参照しながら説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係るペット用おむつ1Bを展開した状態で第1面側D
1から厚さ方向Tに見た平面図である。
本第3実施形態のペット用おむつ1Bにおいては、
図9に示すように、係合部6は、幅方向Wの一方側端縁63を含む一方側端部及び幅方向Wの他方側端縁64を含む他方側端部の各々に、フック部6f(係合要素)を圧潰してなる係合要素圧潰部6Cを有している。
【0081】
なお、本発明において、かかる係合要素圧潰部が設けられる位置は、上述の幅方向の両端部に限定されず、係合要素圧潰部は、係合部における幅方向の一部であれば、任意の位置に設けることができる。
このように、係合部が、幅方向の一部において係合要素を圧潰してなる係合要素圧潰部を有していると、フラップ部が第1面側に折れ曲がって係合部に貼り付いたとしても、当該係合要素圧潰部が、上述の余剰部とともに掴み部として機能し得るため、より広い面積の掴み部を確保することができ、結果的に、フラップ部をより容易に係合部から引き剥がすことができる。
また、かかる係合要素圧潰部は、上述の係合要素非配置部と比べて、僅かながらも不織布と係合し得るため、係合部全体として一定以上の係合力を確保し易いという利点もある。
【0082】
本発明において、上述の係合要素圧潰部の幅方向長さは、係合部が動物用の吸収性物品の係合部として必要な係合力を発揮し得る限り特に制限されず、任意の幅方向長さを採用することができるが、上述の掴み部としての機能をより確実に得るという点から、係合要素圧潰部は、動物の飼い主等の装着者の指が挿入し得る程度の幅方向長さ(例えば、6mm〜20mmの範囲内の長さ等)を有していることが好ましい。
【0083】
また、本発明において、係合要素圧潰部の配置形態は、係合部が動物用の吸収性物品の係合部として必要な係合力を発揮し得る限り特に制限されず、例えば、係合要素圧潰部は、上述の幅方向の両端部に加えて又は両端部に代えて、幅方向の一方の端部のみ或いは幅方向の中央部などの任意の位置に配置することができるが、上述の第3実施形態のように、係合部の上記幅方向における一方側端縁及び他方側端縁のうちの少なくとも一方の端縁を含む位置に配置されていることが好ましい。
掴み部として機能し得る係合要素圧潰部が、このような位置(すなわち、係合部の幅方向における一方側端縁及び他方側端縁のうちの少なくとも一方の端縁を含む位置)に配置されていると、当該係合要素圧潰部を、上述の余剰部とともに掴み部として掴んでフラップ部を係合部から引き剥がす際に、係合部の幅方向における一方側端縁乃至他方側端縁から順次引き剥がすことができ、長手方向における一方側端縁から引き剥がすような場合に比べて、より小さい力でフラップ部を係合部から引き剥がすことができる。
【0084】
本発明において、係合部における係合要素圧潰部の形成手段は、特に限定されず、公知の任意の加熱又は非加熱の加圧手段を用いて、係合部の所定部分における係合要素を圧潰することにより形成することができる。
【0085】
なお、本発明においては、係合部は、上述の第2実施形態における係合要素非配置部と、第3実施形態における係合要素圧潰部の両方を有していてもよい。
【0086】
また、本発明の動物用の吸収性物品においては、係合部以外の各種構成部材の態様も、上述のとおり、本発明の効果を奏し得るものであれば上述の第1実施形態の態様のものに限定されず、任意の態様のものを採用することができる。
以下、上述の第1実施形態とは、係合部以外の各種構成部材の態様が異なる、本発明の別の実施形態(すなわち、第4実施形態〜第6実施形態)について、図面を参照しながら説明する。なお、上述の第1実施形態と異なる構成以外の構成は、基本的に第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0087】
<第4実施形態>
図10は、本発明の第4実施形態に係るペット用おむつ1Cを展開した状態で第1面側D
1から厚さ方向Tに見た平面図であり、
図11は、ペット用おむつ1Cの幅方向Wにおける一方側端部13P及び他方側端部14Pが2本の折線F
1、F
2で第2面側D
2に折り畳まれた状態を示す斜視図である。
本第4実施形態のペット用おむつ1Cは、
図10に示すように、平面視にて、係合部6の幅方向Wにおける一方側端縁63及び他方側端縁64よりも幅方向Wの外方側の位置に、長手方向Lに延びる2本の折線F
1、F
2を有していて、かかるペット用おむつ1Cは、
図11に示すように、当該ペット用おむつ1Cの幅方向Wにおける一方側端部13P及び他方側端部14Pの各々が、上記の各折線F
1、F
2において第2面側D
2に折り畳まれている。
【0088】
なお、本発明において、上述の2本の折線は、動物用の吸収性物品の幅方向の両端部を第2面側に向かって折り畳むことができれば、係合部の幅方向における一方側端縁及び他方側端縁を通る位置に配置されていてもよい。
このように、動物用の吸収性物品の幅方向における一方側端部及び他方側端部の各々が、上記特定の位置にある2本の折線において第2面側に折り畳まれていると、フラップ部を第1面側に折れ曲がり難くすることができる上、フラップ部が第1面側に折れ曲がって係合部に貼り付いたとしても、上述の第2面側に折り畳まれた吸収性物品の幅方向における一方側端部及び他方側端部を広げたり、幅方向の外方側に向かって引っ張たりするだけで、フラップ部を係合部から引き剥がし易くすることができるため、上述の掴み部として機能し得る余剰部のほかに、フラップ部の引き剥がし手段を確保することができ、フラップ部をより確実に係合部から引き剥がし易くすることができる。
また、動物用の吸収性物品がこのように折り畳まれていると、この折り畳まれた状態のまま或いは幅方向に延びる長手方向中央軸線C
W等を折軸として更に長手方向に折り畳んだ状態で、他の複数の動物用の吸収性物品とともにパッケージ化し易いという利点もある。
【0089】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係るペット用おむつ1Dについて、図面を参照しながら説明する。
図12は、本発明の第5実施形態に係るペット用おむつ1Dを展開した状態で第1面側D
1から厚さ方向Tに見た平面図である。
本第5実施形態のペット用おむつ1Dは、
図12に示すように、平面視にて、幅方向Wにおける一方側端部13P及び他方側端部14Pの各々に配置された、長手方向Lに延びる一対の側部ギャザー形成用弾性部材81、81(本発明における「伸縮部材」の一例である。)が、それぞれ上述の第1実施形態のものよりも長手方向Lに長く形成されており、かかる一対の側部ギャザー形成用弾性部材81、81の各々は、平面視にて、フラップ部7と重複する重複部81P、81Pを有している。
このように、ペット用おむつ1Dの幅方向Wにおける一方側端部13P及び他方側端部14Pの各々に配置された一対の側部ギャザー形成用弾性部材81、81が、平面視にて、フラップ部7と重複するように配置されていると、フラップ部7が第1面側D
1に折れ曲がって係合部6に貼り付いたとしても、フラップ部7における一対の側部ギャザー形成用弾性部材81、81の伸縮作用により、フラップ部7を、より小さい力で係合部6から引き剥がすことができる。
【0090】
なお、本発明において、動物用の吸収性物品の幅方向における一方側端部及び他方側端部の各々に配置される一対の側部ギャザー形成用弾性部材(すなわち、長手方向に延びる伸縮部材)の長手方向長さは、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、動物の胴体への密着性や防漏性等を考慮した任意の長手方向長さを採用することができる。
【0091】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態に係るペット用おむつ1Eについて、図面を参照しながら説明する。
図13は、本発明の第6実施形態に係るペット用おむつ1Eを展開した状態で第1面側D
1から厚さ方向Tに見た平面図である。
本第6実施形態のペット用おむつ1Eは、
図13に示すように、表面シート2と裏面シート3の間(より具体的には、表面シート2とバックフィルム31との間)に配置され且つ平面視にて、第1領域A
1から第2領域A
2に亘って延在する吸収体40を備えていて、当該吸収体40は、長手方向長さ(すなわち、長手方向Lにおける一方側端縁41と他方側端縁42との間の長手方向Lの距離)が上述の第1実施形態のものよりも長く形成されていて、長手方向Lの一方側端縁41が上述の係合部6と厚さ方向Tに重複するように配置されている。
このように、吸収体40の長手方向Lの一方側端縁41が係合部6と厚さ方向Tに重複していると、当該吸収体40の存在によって、係合部6から長手方向Lの内方側へ向かって連続的に、剛性の高い部分を確保することができるため、相対的に剛性の低いフラップ部7が第1面側D
1に折れ曲がって係合部6に貼り付いたとしても、フラップ部7をより容易に係合部6から引き剥がすことができる。
【0092】
なお、本第6実施形態においては、吸収体40の長手方向Lの一方側端縁41は、すべてが係合部6と厚さ方向Tに重複している必要はなく、当該吸収体40や係合部6の外形形状等に応じて、吸収体40の長手方向Lの一方側端縁41の少なくとも一部が係合部6と厚さ方向Tに重複していればよい。
【0093】
また、本発明において、吸収体の長手方向長さは、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、装着対象動物の種類や体形、サイズ等に応じた任意の長手方向長さを採用することができる。
【0094】
上述の各実施形態(すなわち、第1実施形態〜第6実施形態)の特徴は、本発明の効果を阻害しない限り、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。
【0095】
また、本発明の動物用の吸収性物品は、上記の各種構成部材のほかに、当分野において公知の任意の構成部材乃至構成要素を備えていてもよい。例えば、本発明の動物用の吸収性物品は、第1面を形成する不織布と第2面を形成する不織布の間に、尿などの液状排泄物を長手方向及び/又は幅方向に拡散し得る拡散性シートを備えていてもよい。
さらに、本発明の動物用の吸収性物品は、平面視にて、フラップ部における係合部の周辺領域であって、係合部からの長手方向距離が係合部の長手方向長さ以下となる係合部周辺領域に、吸収性物品の第1面から厚さ方向に窪む1又は複数の圧搾部を有していてもよい。
【0096】
動物用の吸収性物品が、フラップ部の係合部周辺領域にこのような1又は複数の圧搾部を有していると、当該係合部周辺領域が剛性の高い圧搾部によって折れ曲がり難くなるため、上述のフラップ部が係合部に貼り付く可能性をより低減することができる(すなわち、従来の動物用の吸収性物品における、
図15に示すような事象自体を生じ難くすることができる)上、フラップ部が第1面側に折れ曲がって係合部に貼り付いたとしても、上述の係合部周辺領域における圧搾部の第1面側の表面が、当該第1面を形成する不織布の構成繊維が押し固められて繊維密度が高く且つ平滑な面になっているため、上述の余剰部を掴んでフラップ部を係合部から引き剥がす際に、より小さい力で簡単に引き剥がすことができる。
さらに、フラップ部が係合部から剥がれる際も、フラップ部の貼り付き面(第1面)を形成する不織布の構成繊維が抜け落ち難くなるため(すなわち、フラップ部を引き剥がした後の係合部に、フラップ部の第1面を形成する不織布の構成繊維が残存し難くなるため)、フラップ部を引き剥がした後の係合部の係合力が低下し難いという利点もある。
【0097】
なお、本明細書において、上述の「係合部からの長手方向距離」は、係合部の長手方向における一方側端縁(外方側端縁)を起点として長手方向の外方側の対象位置までの長手方向長さを意味し、上述の「係合部周辺領域」は、係合部からの長手方向距離が係合部の長手方向長さ以下となる領域(すなわち、係合部の長手方向における一方側端縁から長手方向の外方側に延在し且つ係合部の長手方向における一方側端縁からの長手方向距離が係合部の長手方向長さと同じになる部分までの領域)を意味する。
【0098】
フラップ部の係合部周辺領域に上述のような圧搾部を設ける場合、当該圧搾部の外形形状や配置形態は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、圧搾部は、例えば、平面視にて、略円形状;楕円形状;三角形状;正方形、菱形等の矩形状;十字形状;1本又は複数本の線状(例えば、連続又は非連続の、直線状、波線状、ジグザグ線状等);1本又は複数本の帯状;各種記号や模様、動植物、各種キャラクター等のデザイン描画状などの任意の外形形状で形成することができ、さらに、千鳥状、格子状、ストライプ状、ランダム状などの任意の形態で配置することができる。
なお、上述の圧搾部は、フラップ部の係合部周辺領域以外の領域(例えば、上述の第1領域から第2領域までのいずれかの領域や全領域等)に形成されていてもよい。
また、圧搾部の個数や個々の寸法等も、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、圧搾部は、1個以上の任意の個数で、任意の寸法で形成することができる。
【0099】
さらに、フラップ部の係合部周辺領域に上述のような圧搾部を設ける場合、当該圧搾部は、係合部の幅方向長さよりも長い幅方向長さを有する領域及び/又は係合部の長手方向長さよりも長い長手方向長さを有する領域に配置されていることが好ましい。圧搾部がこのように配置されていると、上述の圧搾部の剛性によって、フラップ部のより広範囲の領域を折れ曲がり難くすることができる上、フラップ部が第1面側に折れ曲がって係合部に接触したとしても、折れ曲がったフラップ部が係合部に貼り付く可能性を、より確実に低減することができる。
【0100】
上述の圧搾部の形成手段は、特に制限されず、当分野において公知の任意のエンボス加工手段を採用することができる。例えば、第1面を形成する不織布(すなわち、裏面シート又は表面シート)単体、又は少なくとも第1面を形成する不織布とバックフィルムとを含む積層物を、圧搾部形成用の1又は複数の突出部を備えた加熱又は非加熱のエンボス加工手段を用いて、第1面を形成する不織布の第1面側から厚さ方向に圧搾することにより、上述の圧搾部を形成することができる。
【0101】
また、動物用の吸収性物品が、バックフィルムと裏面シートとを接合する接合部を有している場合、当該接合部は、上述の圧搾部と平面視にて重ならない非重複部分を有していることが好ましい。かかる接合部がこのような非重複部分を有していると、当該非重複部分によって、隣接する圧搾部の間の裏面シートを浮き上がり難くすることができるため、上述のフラップ部が第1面側に折れ曲がって係合部に近接したとしても、上述の圧搾部だけでなく、非重複部分も係合部と接触し難くすることができ、当該圧搾部が形成されたフラップ部が係合部に貼り付く可能性をより低減することができる。
【0102】
なお、上述の接合部の形成手段は、特に制限されず、当分野において公知の任意の接合手段(例えば、熱融着手段、ホットメルト型接着剤による接着手段等)を採用することができる。
【0103】
上記の各種構成部材を用いて、本発明の動物用の吸収性物品を製造する方法は、特に制限されず、当分野において公知の任意の製造方法を採用することができる。例えば、本発明の第1実施形態に係るペット用おむつ1は、当該ペット用おむつ1を構成する各種部材、すなわち、幅方向Wの内方側の端部に立体ギャザー形成用弾性部材82、82が配設された一対のサイドシート5、5と、表面シート2と、吸収体4と、バックフィルム31と、一対の側部ギャザー形成用弾性部材81、81と、裏面シート3と、係合部6とを、
図2〜
図5に示すような配置形態で重ねて、任意の接合手段(例えば、ホットメルト型接着剤による接着法やヒートシール法、超音波接合法等)によって接合することにより、製造することができる。
【0104】
本発明は、上述した各実施形態のペット用おむつのほかに、例えば、ペット用(軽)失禁パッド等の様々な動物用の吸収性物品に適用することができる。また、本発明の動物用の吸収性物品は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや代替、変更等が可能である。なお、本明細書において、「第1」、「第2」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。