【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、以下並びに独立請求項1及びそれに直接的又は間接的に従属する請求項において記載されている通りの方法Aによって達成される。
【0018】
そのため、第1の態様において、本発明は式Vのピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド
【0019】
【化3】
を製造するための方法であって、
(a)式IVaのジクロロピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド、或いは(b)式IVbのジクロロピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド、或いは(c) (a)と(b)の混合物
【0020】
【化4】
と水素とを水素化触媒の存在下で反応させるステップ
(式中、
R
1は、H、C
1〜C
2-アルキル又はC
1〜C
2-アルコキシ-C
1〜C
2-アルキルである)
を含む、以下において方法Aと称される方法に関する。
【0021】
なお、方法Aの基礎となる反応ステップは、上記反応順序におけるステップ(iv)に対応する。
【0022】
驚くべきことに、ジクロロピリダジンアミン化合物の脱ハロゲン化は、HClスカベンジャーの非存在下で、即ち、塩基、又はHClを結合するのに適当な別の化学物質の非存在下で行うことができること、及び所望の生成物は、それでもなお高収率で得ることができることが、本発明の発明者らによって見出された。水素化触媒は、反応後に単純に濾別することができ、精製することなくリサイクルし得る。
【0023】
さらに、HClスカベンジャーは、塩化水素が結合し、ガス形態で放出されないよう、水素化触媒の除去後に有利に使用することができることが見出された。
【0024】
HClスカベンジャーが水素化触媒の除去後に使用される場合、HClスカベンジャーが水なしで提供されるならば、後処理が容易になるため、有利であることが見出された。
【0025】
さらに、驚くべきことに、ジクロロピリダジンアミン化合物の脱ハロゲン化の収率はアミノ置換基の性質に依存することが、本発明の発明者らによって見出された。これに関連して、驚くべきことに、該反応は、アミノ基がエチルアミノ基であるジクロロピリダジンアミン化合物を用いて有利に実施することができることが見出された。
【0026】
その上、ジクロロピリダジンアミン化合物は、薬学及び農芸化学分野における化合物など、ピリダジンから誘導されるファインケミカルの製造のための多用途の中間体化合物である。特に、塩素置換基は、ピリダジン部分のさらなる誘導体化、例えば、求核置換反応による追加のアミノ基の導入を可能にする。したがって、アミン基が例えば活性化カルボン酸誘導体と反応し得るだけでなく、塩素置換基が他の置換基によって置き換えられ得るため、広く様々な化合物がジクロロピリダジンアミン化合物から入手可能である。
【0027】
したがって、ジクロロピリダジンアミン化合物の製造のための有効な方法の必要もある。
【0028】
さらに、アミノ基がエチルアミノ基であるジクロロピリダジンアミン化合物又はその混合物は、殺有害生物剤及び医薬品の製造における中間体として、特に関心がもたれるものであるため、これらの化合物の提供の必要がある。
【0029】
典型的に、ジクロロピリダジンアミン化合物は、3,4,5-トリクロロピリダジンから出発し、アミン化合物との求核置換反応によって製造される。
【0030】
例えば、WO 2011/038572は、3,4,5-トリクロロピリダジンをアンモニアガスと4日間の反応時間で反応させることによる、3,5-ジクロロ-4-ピリダジンアミンと5,6-ジクロロ-4-ピリダジンアミンの混合物の製造を記載している。同じ反応はUS 4,728,355にも記載されており、ここで反応は、密閉チューブ内にて120〜130℃の温度で5日間行われる。Tsukasa Kuraisら(Journal of Heterocyclic Chemistry、1964、1巻、42〜47ページ)によれば、反応は、125℃で5時間行われる。
【0031】
この反応のための上記の反応条件は、該技術分野が、求核置換反応には長い反応時間又は高温のいずれかが必要とされることを示唆していることをすでに示しており、これらのいずれも商業的方法に不利である。
【0032】
さらに、3,4,5-トリクロロピリダジンを、アンモニアと異なるアミン化合物と反応させることによるジクロロピリダジンアミン化合物の製造は、さらなる問題を伴うと思われる。
【0033】
WO 99/64402は、3,4,5-トリクロロピリダジンと、求核試薬としての3-アミノ-1-プロパノールとの反応を開示している。反応は沸騰するエタノール中で行われるが、収率は非常に低く(粗製生成物のわずか47.7%)、結晶化による手間のかかる後処理が、所望の反応生成物を単離するために必要とされる。
【0034】
WO 2012/098387は、3,4,5-トリクロロピリダジンと、求核試薬としての2-メチルアミノエタノールとの反応を開示している。第1級アミンよりも求核性である第2級アミンが求核試薬として使用されるが、反応は定量的でなく、カラムクロマトグラフィーによる手間のかかる後処理が必要とされる。
【0035】
Donna L. Romeroら(Journal of Medicinal Chemistry、1996、39巻、第19号、3769〜3789ページ)は、3,4,5-トリクロロピリダジンと、求核試薬としてのイソプロピルアミンとの反応を開示している。該論文に提供されている情報によると、反応は、還流するトルエン中で、即ち約110℃の温度で行われなければならない。さらに、クロマトグラフィーが精製のために必要とされる。
【0036】
同様に、WO 96/18628が同じ反応を開示しており、ここで、3,4,5-トリクロロピリダジン及びイソプロピルアミンは、トルエン中にて3時間還流される。カラムクロマトグラフィーがその後、所望の化合物4-イソプロピルアミノ-3,5-ジクロロピリダジンを単離するために必要とされる。
【0037】
したがって、従来技術に記載されている通りの、ジクロロピリダジンアミンの製造のための方法は、反応条件、収率及び/又は後処理要件の点から、いずれも不利である。
【0038】
さらに、刺激性化合物3,4,5-トリクロロピリダジンは、出発材料として製造及び取り扱わなければならないことは、該技術に記載されている方法の別の不利な点である。3,4,5-トリクロロピリダジンの固体取扱いは、商業規模で特に不利である。
【0039】
そのため、本発明の目的は、従来技術から明らかな反応条件、収率及び/若しくは後処理要件に関しての不利な点、又は出発材料としての刺激性3,4,5-トリクロロピリダジンの使用に関しての不利な点を克服する、ジクロロピリダジンアミン化合物の製造のための方法を提供することである。
【0040】
これに関連して、スケールアップに適当であるとともに満足させる収率、好ましくは90%超の収率を提供する直接的方法を提供することは、特に関心がもたれる。
【0041】
上記目的は、以下並びに独立請求項12及びそれに直接的又は間接的に従属する請求項において記載されている通りの方法Bによって達成される。
【0042】
そのため、第2の態様において、本発明は(a)式IVaのジクロロピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド、或いは(b)式IVbのジクロロピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド、或いは(c) (a)と(b)の混合物
【0043】
【化5】
を、
式II
【0044】
【化6】
の化合物とPOCl
3とを反応させるステップ、及び
結果として得られる粗反応生成物とアミン化合物R
1-NH
2又はその塩とを反応させるステップ
(式中、R
1は、H、C
1〜C
2-アルキル又はC
1〜C
2-アルコキシ-C
1〜C
2-アルキルである)
を含むワンポット反応で製造するための、以下において方法Bと称される方法に関する。
【0045】
なお、方法Bの基礎となるワンポット反応は、上記反応順序におけるステップ(ii)+(iii)に対応する。
【0046】
驚くべきことに、ジクロロピリダジンアミン化合物を製造する該方法は、必ずしも3,4,5-トリクロロピリダジンから出発しなくてもよいことが見出された。代わりに、3,4,5-トリクロロピリダジンは、出発材料として式IIの化合物を用いるワンポット反応において、その場で製造することができる。その場で形成された3,4,5-トリクロロピリダジンを、次いで、アミン化合物と直接反応させることで、所望のジクロロピリダジンアミン化合物が得られる。
【0047】
この方法は、刺激性化合物3,4,5-トリクロロピリダジンを単離及び取り扱うことが必要とされないため、安全性の理由で特に有利である。これは、該方法を工業用途にとってより好ましくしている。さらに、該方法は、より経済的であり、スケールアップに適当である。
【0048】
加えて、ジクロロピリダジンアミン化合物の非常に高い収率は、その場で形成された3,4,5-トリクロロピリダジンとアミン化合物との反応が厳しい反応条件を必要としない上記方法によって得ることができることが見出された。高収率により、手間のかかる後処理も回避することができる。
【0049】
上記目的は、以下並びに独立請求項13及びそれに直接的又は間接的に従属する請求項において記載されている通りの方法Cによっても達成される。
【0050】
そのため、第3の態様において、本発明は(a)式IVaのジクロロピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド、或いは(b)式IVbのジクロロピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド、或いは(c) (a)と(b)の混合物
【0051】
【化7】
を製造するための、
式III
【0052】
【化8】
のトリクロロピリダジン化合物とアミン化合物R
1-NH
2又はその塩とを反応させるステップ
(式中、R
1はCH
2CH
3である)
を含み、
場合により、式III
【0053】
【化9】
のトリクロロピリダジン化合物を、式II
【0054】
【化10】
の化合物とPOCl
3とを反応させることによって製造するステップをさらに含む、
以下において方法Cと称される方法に関する。
【0055】
なお、方法Cの基礎となる反応ステップは、上記反応順序におけるステップ(iii)によって包含されている。場合により、上記反応順序のステップ(ii)も行われる。
【0056】
驚くべきことに、ジクロロピリダジンアミン化合物を製造する該方法は、エチルアミンが求核置換反応における求核試薬として使用されるならば特に有利であることが見出された。従来技術は、求核置換反応のための厳しい反応条件又は少なくとも非常に長い反応時間を示唆しているが、例えば100℃以下の反応温度及び12時間以下の反応時間を用いる適度な反応条件は、所望のジクロロピリダジンエチルアミンを高収率で及び手間のかかる後処理を行わなくとも提供するのに十分であることが、本発明の発明者らによって見出された。
【0057】
第4の態様において、本発明は、式IVaのジクロロピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド
【0058】
【化11】
(式中、R
1はCH
2CH
3である)
或いは式IVbのジクロロピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド
【0059】
【化12】
(式中、R
1はCH
2CH
3である)
に関する。
【0060】
さらに、本発明は、上記で定義されている通りの式IVaのジクロロピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド及び式IVbのジクロロピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシドの混合物に関する。
【0061】
すでに上記で示されている通り、これらの化合物は、薬学及び農芸化学分野における化合物などの化学物質の製造のための高度に多用途の前駆体である。それらは、本明細書に記載されている通りの水素化/脱ハロゲン化方法においても有利に使用することができる。
【0062】
第5の態様において、本発明は、式VII
*の化合物又はその立体異性体、塩、互変異性体若しくはN-オキシド
【0063】
【化13】
の製造のための方法であって、
式Vのピリダジンアミン化合物又はその塩、互変異性体若しくはN-オキシド
【0064】
【化14】
と式VI
*の化合物又はその立体異性体、塩、互変異性体若しくはN-オキシド
【0065】
【化15】
とを反応させるステップ
(式中、
R
1はCH
2CH
3であり、かつ、
R
2はCH
3であり、R
3はHであり、R
4はCH
3であり、R
5はCH
3であり、R
6はHである、又は
R
2はCH
3であり、R
3はHであり、R
4はCF
3であり、R
5はCH
3であり、R
6はHである、又は
R
2はCH
3であり、R
3はHであり、R
4はCH(CH
3)
2であり、R
5はCH
3であり、R
6はHである、又は
R
2はCH
3であり、R
3はHであり、R
4はCHFCH
3であり、R
5はCH
3であり、R
6はHである、又は
R
2はCH
3であり、R
3はHであり、R
4は1-CN-cC
3H
4であり、R
5はCH
3であり、R
6はHである、又は
R
2はCH
3であり、R
3はHであり、R
4は1-C(O)NH
2-cC
3H
4であり、R
5はCH
3であり、R
6はHである、又は
R
2はCH
3であり、R
3はHであり、R
4及びR
5は一緒にCH
2CH
2CF
2CH
2CH
2であり、R
6はHであり、
かつ、式中、
X
1は、好ましくはハロゲン、N
3、p-ニトロフェノキシ及びペンタフルオロフェノキシから選択される脱離基であり、特に好ましくは塩素である)
を含む方法に関する。
【0066】
なお、前記方法は、以下において方法Dと称される。方法Dの基礎となる反応ステップは上記反応順序におけるステップ(v)によって包含される。
【0067】
該方法は、本明細書に記載されている通りの水素化/脱ハロゲン化方法によって得ることができるピリダジンアミン化合物が、例えば無脊椎動物有害生物を防除するのに適当な殺有害生物剤である4-ピラゾール-N-ピリダジンアミド化合物の製造における重要な中間体であることを示している。
【0068】
上記で定義されている通りの方法A、B、C及びDは、場合により、上記で提供されている反応順序の追加の反応ステップをさらに含むことができることが理解されるべきである。
【0069】
例えば、方法Aは、場合によりステップ(iii)及び場合によりステップ(ii)もさらに含むことができ、ここで、ステップ(ii)及び(iii)は、別々に、又はワンポット反応でステップ(ii)+(iii)として一緒に実施することができる。加えて、方法Aは、場合によりステップ(i)をさらに含むことができる。さらに、方法Aは、場合によりステップ(v)をさらに含むことができることが理解されるべきである。
【0070】
方法Bは、場合によりステップ(i)及び/又はステップ(iv)をさらに含むことができる。加えて、ステップ(v)は、場合によりステップ(iv)の後に続くことができる。
【0071】
方法Cは、場合によりステップ(i)及び/又はステップ(iv)をさらに含むことができる。加えて、ステップ(v)は、場合によりステップ(iv)の後に続くことができる。
【0072】
方法Dは、場合により上記反応順序において示されている通りの先行するステップ(iv)、(iii)、(ii)又は(i)のうちの1つ以上をさらに含むことができる。
【0073】
好ましくは方法A、B、C又はDによって包含される、上記に示されている反応順序の反応ステップは、別々に、即ち中間体化合物の単離下で、又は中間体化合物を単離せずに、実施することができることが理解されるべきである。特に、ある特定の後続ステップは、例えばステップ(ii)+(iii)の場合の通りに、ワンポット反応において行われるのが好ましい。
【0074】
さらに、反応ステップは、技術規模で各々行うことができることが強調される。好ましくは、反応物は同等に良く変換され、収率の点においてわずかな偏差だけが観察される。
【0075】
本発明の上記態様に関連して、以下の定義を提供する。
【0076】
「本発明の化合物」又は「本発明による化合物」、即ち、本明細書において定義されている通りの式I、II、III、IVa、IVb、V、VI及びVII(並びにVI
*及びVII
*)の化合物は、化合物をそのままで、並びにこれらの誘導体の形成が可能であるならばその塩、互変異性体又はN-オキシドを含み、特に化合物VI及びVII並びに化合物VI
*及びVII
*について当てはまり得るキラリティーの中心が存在するならば、その立体異性体も含む。
【0077】
本明細書で使用される場合、「ピリダジンアミン化合物」という用語は、式Vの化合物、即ち、ピリダジン部分の4位に置換基としてアミノ基-NHR
1を有するピリダジン化合物を指す。したがって、本発明によるピリダジンアミン化合物は、ピリダジン環において任意のさらなる置換基を含まない。
【0078】
本明細書で使用される場合、「ジクロロピリダジンアミン化合物」という用語は、式IVa若しくはIVbの化合物又はその組合せ、即ち、置換基としてアミノ基-NHR
1及び2個の塩素置換基を有するピリダジン化合物を包含し、ここで置換基は、式IVa及びIVbから誘導することができるピリダジン部分のそれらの位置で存在する。
【0079】
本明細書で使用される場合、「トリクロロピリダジンアミン化合物」という用語は、好ましくは、式IIIの化合物、即ち3,4,5-トリクロロピリダジンを指す。
【0080】
酸性度又は塩基性度並びに反応条件に依存して、本発明の化合物は、塩の形態で存在することができる。こうした塩は、典型的に、化合物がアミンなどの塩基性官能基を有するならば化合物を酸と反応させることによって、又は化合物がカルボン酸基などの酸性官能基を有するならば化合物を塩基と反応させることによって得られる。
【0081】
本発明の化合物と反応する塩基から生じるカチオンは、例えばアルカリ金属カチオンM
a+、アルカリ土類金属カチオンM
ea2+又はアンモニウムカチオンNR
4+であり、ここでアルカリ金属は、好ましくはナトリウム、カリウム又はリチウムであり、アルカリ土類金属カチオンは、好ましくはマグネシウム又はカルシウムであり、アンモニウムカチオンNR
4+の置換基Rは、好ましくは、H、C
1〜C
10-アルキル、フェニル及びフェニル-C
1〜C
2-アルキルから独立して選択される。適当なカチオンは、特に、アルカリ金属、好ましくはリチウム、ナトリウム及びカリウムのイオン、アルカリ土類金属、好ましくはカルシウム、マグネシウム及びバリウムのイオン、並びに遷移金属、好ましくはマンガン、銅、亜鉛及び鉄のイオン、並びにその上アンモニウム(NH
4+)、及び水素原子の1個から4個がC
1〜C
4-アルキル、C
1〜C
4-ヒドロキシアルキル、C
1〜C
4-アルコキシ、C
1〜C
4-アルコキシ-C
1〜C
4-アルキル、ヒドロキシ-C
1〜C
4-アルコキシ-C
1〜C
4-アルキル、フェニル又はベンジルによって置き換えられている置換アンモニウムである。置換アンモニウムイオンの例は、メチルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウム、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルアンモニウム、ビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム及びベンジル-トリエチルアンモニウム、さらにホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、好ましくはトリ(C
1〜C
4-アルキル)スルホニウム、及びスルホキソニウムイオン、好ましくはトリ(C
1〜C
4-アルキル)スルホキソニウムを含む。
【0082】
本発明の化合物が反応している酸から生じるアニオンは、例えば、塩化物、臭化物、フッ化物、硫酸水素塩、硫酸塩、リン酸二水素塩、リン酸水素塩、リン酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、炭酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、安息香酸塩、並びにC
1〜C
4-アルカン酸のアニオン、好ましくはギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩及び酪酸塩である。
【0083】
本発明の化合物の互変異性体としては、ケト-エノール互変異性体、イミン-エナミン互変異性体及びアミド-イミド酸互変異性体などが挙げられる。本発明の化合物は、あらゆる可能な互変異性体を包含する。
【0084】
「N-オキシド」という用語は、少なくとも1個の窒素原子が酸化形態で(NOとして)存在する本発明の化合物の形態に関する。本発明の化合物のN-オキシドは、化合物が、酸化することができる窒素原子を含有する場合にのみ得ることができる。N-オキシドは、主に、標準的方法によって、例えばJournal of Organometallic Chemistry 1989、370、17〜31に記載されている方法によって製造することができる。しかしながら、本発明によると、化合物はN-オキシドの形態で存在しないことが好ましい。他方で、ある特定の反応条件下にて、N-オキシドが少なくとも中間で形成されることは回避することができない。
【0085】
「立体異性体」という用語は、光学異性体、例えばエナンチオマー、又は分子における2以上のキラリティーの中心により存在するジアステレオマー、並びに幾何異性体(シス/トランス異性体)の両方を包含する。置換パターンに依存して、本発明の化合物は、1つ以上のキラリティー中心を有することができ、この場合、それらはエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物として存在し得る。本発明は、純エナンチオマー又はジアステレオマー及びそれらの混合物の両方を提供する。本発明の適当な化合物には、全ての可能な幾何立体異性体(シス/トランス異性体)及びその混合物も含まれる。
【0086】
本発明の化合物は、固体若しくは液体の形態で又はガス形態であり得る。化合物が固体として存在するならば、それらは非晶質であり得るか、或いは安定性などの異なる巨視的特性を有することができる又は活性などの異なる生物学的特性を示すことができる1つ以上の異なる結晶状態(多形体)で存在し得る。本発明には、非晶質化合物及び結晶性化合物の両方、異なる結晶状態の混合物、並びにその非晶質塩又は結晶性塩が含まれる。
【0087】
可変物の上記定義において記述されている有機部分は、ハロゲンという用語のように、個々の基員の個々の列挙に対する総称である。接頭辞C
n〜C
mは、基における炭素原子の可能な数を各場合において示す。
【0088】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素、特にフッ素、塩素又は臭素を各場合において示す。
【0089】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、並びにアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル及びアルコキシアルキルのアルキル部分において、通常1個から10個の炭素原子、多くの場合1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子、より好ましくは1個から3個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル基を各場合において示す。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、2-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、及び1-エチル-2-メチルプロピルである。
【0090】
「ハロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、並びにハロアルキルカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ハロアルキルチオ、ハロアルキルスルホニル、ハロアルキルスルフィニル、ハロアルコキシ及びハロアルコキシアルキルのハロアルキル部分において、通常1個から10個の炭素原子、多くの場合1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル基を各場合において示し、ここで、この基の水素原子は、ハロゲン原子で部分的又は全体的に置き換えられている。好ましいハロアルキル部分は、C
1〜C
4-ハロアルキルから、より好ましくはC
1〜C
3-ハロアルキル又はC
1〜C
2-ハロアルキルから、特にC
1〜C
2-フルオロアルキル、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル及びペンタフルオロエチルなどから選択される。
【0091】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素原子を介して結合している通常1個から10個の炭素原子、多くの場合1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルキル基を各場合において示す。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、iso-プロポキシ、n-ブチルオキシ、2-ブチルオキシ、iso-ブチルオキシ及びtert.-ブチルオキシなどである。
【0092】
「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、通常1個から10個、多くの場合1個から4個、好ましくは1個から2個の炭素原子を含むアルキルを指し、ここで1個の炭素原子は、上記で定義されている通り通常1個から4個、好ましくは1個又は2個の炭素原子を含むアルコキシ基を有する。例は、CH
2OCH
3、CH
2-OC
2H
5、2-(メトキシ)エチル及び2-(エトキシ)エチルである。
【0093】
「ハロアルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、1個から10個の炭素原子、多くの場合1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐のアルコキシ基を各場合において示し、ここで、この基の水素原子は、ハロゲン原子、特にフッ素原子で部分的又は全体的に置き換えられている。好ましいハロアルコキシ部分としては、C
1〜C
4-ハロアルコキシ、特にC
1〜C
2-フルオロアルコキシ、例えばフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-フルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2-クロロ-2-フルオロエトキシ、2-クロロ-2,2-ジフルオロ-エトキシ、2,2-ジクロロ-2-フルオルエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ及びペンタフルオロエトキシなどが挙げられる。
【0094】
「アルキルスルホニル」(アルキル-S(=O)
2-)という用語は、本明細書で使用される場合、アルキル基における任意の位置でスルホニル基の硫黄原子を介して結合している1個から10個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子(=C
1〜C
4-アルキルスルホニル)、好ましくは1個から3個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の飽和アルキル基を指す。
【0095】
「ハロアルキルスルホニル」という用語は、本明細書で使用される場合、水素原子がフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素によって部分的又は完全に置換されている、上に記述されている通りのアルキルスルホニル基を指す。
【0096】
「アルキルカルボニル」という用語は、カルボニル基(C=O)の炭素原子を介して分子の残部に結合している、上記で定義されている通りのアルキル基を指す。
【0097】
「ハロアルキルカルボニル」という用語は、水素原子がフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素によって部分的又は完全に置換されている、上に記述されている通りのアルキルカルボニル基を指す。
【0098】
「アルコキシカルボニル」という用語は、酸素原子を介して分子の残部に結合している、上記で定義されている通りのアルキルカルボニル基を指す。
【0099】
「ハロアルコキシカルボニル」という用語は、水素原子がフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素によって部分的又は完全に置換されている、上に記述されている通りのアルコキシカルボニル基を指す。
【0100】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、通常2個から10個、多くの場合2個から6個、好ましくは2個から4個の炭素原子を有する単不飽和炭化水素基、例えばビニル、アリル(2-プロペン-1-イル)、1-プロペン-1-イル、2-プロペン-2-イル、メタリル(2-メチルプロパ-2-エン-1-イル)、2-ブテン-1-イル、3-ブテン-1-イル、2-ペンテン-1-イル、3-ペンテン-1-イル、4-ペンテン-1-イル、1-メチルブタ-2-エン-1-イル及び2-エチルプロパ-2-エン-1-イルなどを各場合において示す。
【0101】
「ハロアルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、水素原子がハロゲン原子で部分的又は全体的に置き換えられている、上記で定義されている通りのアルケニル基を指す。
【0102】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、通常2個から10個、多くの場合2個から6個、好ましくは2個から4個の炭素原子を有する単不飽和炭化水素基、例えばエチニル、プロパルギル(2-プロピン-1-イル)、1-プロピン-1-イル、1-メチルプロパ-2-イン-1-イル)、2-ブチン-1-イル、3-ブチン-1-イル、1-ペンチン-1-イル、3-ペンチン-1-イル、4-ペンチン-1-イル、1-メチルブタ-2-イン-1-イル及び1-エチルプロパ-2-イン-1-イルなどを各場合において示す。
【0103】
「ハロアルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、水素原子がハロゲン原子で部分的又は全体的に置き換えられている、上記で定義されている通りのアルキニル基を指す。
【0104】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、並びにシクロアルコキシ及びシクロアルキルチオのシクロアルキル部分において、通常3個から10個又は3個から6個の炭素原子を有する単環式脂環式基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシル又はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを各場合において示す。
【0105】
「ハロシクロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、並びにハロシクロアルコキシ及びハロシクロアルキルチオのハロシクロアルキル部分において、通常3個から10個のC原子又は3個から6個のC原子を有する単環式脂環式基を各場合において示し、ここで、水素原子の少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個又は5個は、ハロゲンによって、特にフッ素又は塩素によって置き換えられている。例は、1-及び2-フルオロシクロプロピル、1,2-、2,2-及び2,3-ジフルオロシクロプロピル、1,2,2-トリフルオロシクロプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル、1-及び2-クロロシクロプロピル、1,2-、2,2-及び2,3-ジクロロシクロプロピル、1,2,2-トリクロロシクロプロピル、2,2,3,3-テトラクロロシクロプロピル、1-,2-及び3-フルオロシクロペンチル、1,2-、2,2-、2,3-、3,3-、3,4-、2,5-ジフルオロシクロペンチル、1-,2-及び3-クロロシクロペンチル、並びに1,2-、2,2-、2,3-、3,3-、3,4-、2,5-ジクロロシクロペンチルなどである。
【0106】
「シクロアルコキシ」という用語は、酸素原子を介して分子の残部に結合している、上記で定義されている通りのシクロアルキル基を指す。
【0107】
「シクロアルキルアルキル」という用語は、C
1〜C
5-アルキル基又はC
1〜C
4-アルキル基、特にメチル基(=シクロアルキルメチル)などのアルキル基を介して分子の残部に結合している、上記で定義されている通りのシクロアルキル基を指す。
【0108】
「シクロアルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、並びにシクロアルケニルオキシ及びシクロアルケニルチオのシクロアルケニル部分において、通常3個から10個、例えば3個若しくは4個、又は5個から10個の炭素原子、好ましくは3個から8個の炭素原子を有する単環式単不飽和非芳香族基を各場合において示す。例証的なシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル、シクロヘプテニル又はシクロオクテニルが挙げられる。
【0109】
「ハロシクロアルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、並びにハロシクロアルケニルオキシ及びハロシクロアルケニルチオのハロシクロアルケニル部分において、通常3個から10個、例えば3個若しくは4個、又は5個から10個の炭素原子、好ましくは3個から8個の炭素原子を有する単環式単不飽和非芳香族基を各場合において示し、ここで、水素原子の少なくとも1個、例えば1個、2個、3個、4個又は5個は、ハロゲンによって、特にフッ素又は塩素によって置き換えられている。例は、3,3-ジフルオロシクロプロペン-1-イル及び3,3-ジクロロシクロプロペン-1-イルである。
【0110】
「シクロアルケニルアルキル」という用語は、C
1〜C
5-アルキル基又はC
1〜C
4-アルキル基、特にメチル基(=シクロアルケニルメチル)などのアルキル基を介して分子の残部に結合している、上記で定義されている通りのシクロアルケニル基を指す。
【0111】
「炭素環」又は「カルボシクリル」という用語には、3個から12個、好ましくは3個から8個又は5個から8個、より好ましくは5個又は6個の炭素原子を含む、一般に3員から12員、好ましくは3員から8員又は5員から8員、より好ましくは5員又は6員の単環式非芳香族環が含まれる。好ましくは、「炭素環」という用語は、上記で定義されている通りのシクロアルキル基及びシクロアルケニル基を包含する。
【0112】
「複素環」又は「ヘテロシクリル」という用語には、一般に3員から12員、好ましくは3員から8員又は5員から8員、より好ましくは5員又は6員、特に6員の単環式複素環式非芳香族基が含まれる。複素環式非芳香族基は、通常、環員としてN、O及びSから選択される1個、2個、3個、4個又は5個、好ましくは1個、2個又は3個のヘテロ原子を含み、ここで、環員としてのS原子は、S、SO又はSO
2として存在し得る。5員又は6員の複素環式基の例は、飽和又は不飽和の非芳香族複素環式環、例えばオキシラニル、オキセタニル、チエタニル、チエタニル-S-オキシド(S-オキソチエタニル)、チエタニル-S-ジオキシド(S-ジオキソチエタニル)、ピロリジニル、ピロリニル、ピラゾリニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、1,3-ジオキソラニル、チオラニル、S-オキソチオラニル、S-ジオキソチオラニル、ジヒドロチエニル、S-オキソジヒドロチエニル、S-ジオキソジヒドロチエニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、オキサチオラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、1,3-及び1,4-ジオキサニル、チオピラニル、S.オキソチオピラニル、S-ジオキソチオピラニル、ジヒドロチオピラニル、S-オキソジヒドロチオピラニル、S-ジオキソジヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニル、S-オキソテトラヒドロチオピラニル、S-ジオキソテトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、S-オキソチオモルホリニル、S-ジオキソチオモルホリニル、チアジニルなどを含む。環員として1個又は2個のカルボニル基も含む複素環式環についての例は、ピロリジン-2-オニル、ピロリジン-2,5-ジオニル、イミダゾリジン-2-オニル、オキサゾリジン-2-オニル及びチアゾリジン-2-オニルなどを含む。
【0113】
「ヘタリール」という用語には、N、O及びSから選択される1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を環員として含む単環式の5員又は6員の複素芳香族基が含まれる。5員又は6員の複素芳香族基の例としては、ピリジル、即ち2-、3-又は4-ピリジル、ピリミジニル、即ち2-、4-又は5-ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、即ち3-又は4-ピリダジニル、チエニル、即ち2-又は3-チエニル、フリル、即ち2-又は3-フリル、ピロリル、即ち2-又は3-ピロリル、オキサゾリル、即ち2-、3-又は5-オキサゾリル、イソオキサゾリル、即ち3-、4-又は5-イソオキサゾリル、チアゾリル、即ち2-、3-又は5-チアゾリル、イソチアゾリル、即ち3-、4-又は5-イソチアゾリル、ピラゾリル、即ち1-、3-、4-又は5-ピラゾリル、即ち1-、2-、4-又は5-イミダゾリル、オキサジアゾリル、例えば2-又は5-[1,3,4]オキサジアゾリル、4-又は5-(1,2,3-オキサジアゾール)イル、3-又は5-(1,2,4-オキサジアゾール)イル、2-又は5-(1,3,4-チアジアゾール)イル、チアジアゾリル、例えば2-又は5-(1,3,4-チアジアゾール)イル、4-又は5-(1,2,3-チアジアゾール)イル、3-又は5-(1,2,4-チアジアゾール)イル、トリアゾリル、例えば1H-、2H-又は3H-1,2,3-トリアゾール-4-イル、2H-トリアゾール-3-イル、1H-、2H-又は4H-1,2,4-トリアゾリル、及びテトラゾリル、即ち1H-又は2H-テトラゾリルが挙げられる。「ヘタリール」という用語には、N、O及びSから選択される1個、2個又は3個のヘテロ原子を環員として含む、二環式の8員から10員の複素芳香族基も含まれ、ここで、5員又は6員のヘテロ芳香族環は、フェニル環に又は5員若しくは6員の複素芳香族基に縮合している。フェニル環に又は5員若しくは6員の複素芳香族基に縮合している5員又は6員のヘテロ芳香族環の例としては、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジニル、チノリニル、イソキノリニル、プリニル、1,8-ナフチリジル、プテリジル、ピリド[3,2-d]ピリミジル又はピリドイミダゾリルなどが挙げられる。これらの縮合ヘタリール基は、5員若しくは6員のヘテロ芳香族環の任意の環原子を介して、又は縮合フェニル部分の炭素原子を介して分子の残部に結合していてよい。
【0114】
「アリール」という用語には、通常6個から14個、好ましくは6個、10個又は14個の炭素原子を有する単環式、二環式又は三環式の芳香族基が含まれる。例証的なアリール基としては、フェニル、ナフチル及びアントラセニルが挙げられる。フェニルがアリール基として好ましい。
【0115】
「ヘテロシクリルオキシ」、「ヘタリールオキシ」及び「フェノキシ」という用語は、酸素原子を介して分子の残部に結合しているヘテロシクリル、ヘタリール及びフェニルを指す。
【0116】
「ヘテロシクリルスルホニル」、「ヘタリールスルホニル」及び「フェニルスルホニル」という用語は、スルホニル基の硫黄原子を介して分子の残部に結合しているヘテロシクリル、ヘタリール及びフェニルをそれぞれ指す。
【0117】
「ヘテロシクリルカルボニル」、「ヘタリールカルボニル」及び「フェニルカルボニル」という用語は、カルボニル基(C=O)の炭素原子を介して分子の残部に結合しているヘテロシクリル、ヘタリール及びフェニルをそれぞれ指す。
【0118】
「ヘテロシクリルアルキル」及び「ヘタリールアルキル」という用語は、C
1〜C
5-アルキル基又はC
1〜C
4-アルキル基、特にメチル基(=それぞれヘテロシクリルメチル又はヘタリールメチル)を介して分子の残部に結合している、上記で定義されている通りのヘテロシクリル又はヘタリールをそれぞれ指す。
【0119】
「フェニルアルキル」という用語は、C
1〜C
5-アルキル基又はC
1〜C
4-アルキル基、特にメチル基(=アリールメチル又はフェニルメチル)を介して分子の残部に結合しているフェニルを指し、例としては、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチルなどが挙げられる。
【0120】
「アルキレン」という用語は、分子と置換基との間のリンカーを表す、上記で定義されている通りのアルキルを指す。
【0121】
本発明の方法A、B、C及びDに関する好ましい実施形態は、以下に記載される。
【0122】
一般に、以下で詳細に記載されている通り方法A、B、C及びDにおいて行われる反応ステップは、こうした反応に通例の反応容器内で行われ、反応は連続的、半連続的又はバッチ式の方式で実施される。
【0123】
一般に、具体的な反応は大気圧下で実施される。該反応は、しかしながら、減圧下で実施することもできる。
【0124】
該反応の温度及び持続時間は、類似した反応から当業者に公知の広域範囲で変動してよい。温度は、しばしば、溶媒の還流温度に依存する。他の反応は、好ましくは、室温で、即ち約25℃で、又は氷冷却下で、即ち約0℃で行われる。反応の終了は、当業者に知られている方法、例えば薄層クロマトグラフィー又はHPLCによってモニタリングすることができる。
【0125】
別段に示されていない限り、該反応において使用される反応物のモル比は、0.2:1から1:0.2、好ましくは0.5:1から1:0.5、より好ましくは0.8:1から1:0.8の範囲である。好ましくは、等モル量が使用される。
【0126】
別段に示されていない限り、反応物は、原則として、任意の所望の順序で互いに接触させることができる。
【0127】
反応物又は試薬が水分の影響を受けやすい場合、反応は保護ガス下、例えば窒素雰囲気下で実施されるべきであり、乾燥溶媒が使用されるべきであることは当業者には公知である。
【0128】
当業者には、反応の終了後の反応混合物の最も良い後処理も公知である。
【0129】
以下において、本発明の方法Aに関する好ましい実施形態が提供されている。本発明の方法Aの、上に記述されている好ましい実施形態及び以下でさらに例示されているものは、単独で又は互いとの組合せで好ましいと理解されるべきでものであることが理解されるべきである。