特許第6833822号(P6833822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833822
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】画像を用いたモデル依拠計量
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20210215BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20210215BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20210215BHJP
   H01J 37/22 20060101ALI20210215BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G01N21/956 A
   G06T7/00 350B
   H01J37/22 502H
   H01L21/02 Z
【請求項の数】24
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-511108(P2018-511108)
(86)(22)【出願日】2016年8月25日
(65)【公表番号】特表2018-534758(P2018-534758A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】US2016048767
(87)【国際公開番号】WO2017040219
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年8月23日
(31)【優先権主張番号】62/212,113
(32)【優先日】2015年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/230,339
(32)【優先日】2016年8月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンデフ スティリアン イワノフ
【審査官】 小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−102442(JP,A)
【文献】 特開2007−024737(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/023605(WO,A1)
【文献】 特開2011−192769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/956
G06T 7/00
H01J 37/22
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚又は複数枚のDOEウェハの複数フィールドに所在する複数個の実験計画法(DOE)計測サイトであり、少なくとも1個の注目パラメタにより特徴付けられた少なくとも1個の構造のインスタンスをそれぞれ有するDOE計測サイトを、照明するよう構成された少なくとも1個の照明源と、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれからの成像光を検出しそれら複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像を生成するよう構成された少なくとも1個の撮像検出器と、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれにおける上記少なくとも1個の注目パラメタの基準値を推定するよう構成された基準計測システムと、
情報処理システムと、
を備え、上記情報処理システムが、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像と、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれにおける上記少なくとも1個の注目パラメタの基準値と、を受け取るよう、且つ
上記少なくとも1個の構造のインスタンスを有する計測サイトの画像を当該少なくとも1個の構造の上記少なくとも1個の注目パラメタの値に関連付ける画像依拠信号応答計量(SRM)モデルを、上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像と、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれにおける当該少なくとも1個の注目パラメタの対応する基準値と、に基づき訓練するよう、
構成されており、上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれが、一種類又は複数種類の技術で捉えた画像又は画像群を含むシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、上記照明源が、更に、上記DOE計測サイトのいずれとも異なる計測サイトを照明するよう構成されており、その計測サイトが、上記少なくとも1個の注目パラメタにより特徴付けられた上記少なくとも1個の構造のインスタンスを有しており、
上記撮像検出器が、更に、上記計測サイトからの成像光を検出し、その計測サイトの画像であり検出した光を示すものを生成するよう構成されており、
上記情報処理システムが、更に、
上記計測サイトの画像を受け取るよう、
上記計測サイトにある上記少なくとも1個の構造の上記インスタンスを特徴付ける上記少なくとも1個の注目パラメタの値を、訓練された画像依拠SRMモデルと、上記計測サイトの画像と、に依拠し導出するよう、且つ
上記少なくとも1個の注目パラメタの値をメモリ内に格納するよう、
構成されているシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、上記計測サイト及び上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれの各画素に計測信号値を関連付け、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれでのそれと同じ計測技術又は計測技術群により計測を実行することでその計測サイトの画像を導出するシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムであって、上記情報処理システムが、更に、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれから、それら画像それぞれの次元を減らす特徴抽出モデルで以て特徴を抽出し、上記画像依拠SRMモデルの訓練を、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれから抽出した特徴と、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれにおける上記少なくとも1個の注目パラメタの対応する基準値と、に基づくものとするよう、且つ
上記計測サイトの画像から上記特徴抽出モデルで以て特徴を抽出し、上記少なくとも1個の注目パラメタの値の導出を、訓練された画像依拠SRMモデルと、その計測サイトの画像から抽出された特徴と、に依拠するものとするよう、
構成されているシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、上記特徴抽出モデルが主成分分析(PCA)モデル、独立成分分析(ICA)モデル、カーネルPCAモデル、非線形PCAモデル、高速フーリエ変換(FFT)モデル、離散コサイン変換(DCT)モデル及びウェーブレットモデルのうちいずれかであるシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、上記複数個の実験計画法(DOE)計測サイト内に、上記少なくとも1個の注目パラメタの値のばらつきがあるシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、上記少なくとも1個の注目パラメタが限界寸法(CD)パラメタ、オーバレイパラメタ、フォーカスパラメタ、ドーズパラメタ、構造非対称性パラメタ、構造粗さパラメタ、誘導自己組織化(DSA)パターン均一性パラメタ及びピッチウォークパラメタのうちいずれかであるシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、各DOE計測サイトに計量ターゲット、周期的格子構造及びデバイス構造のうちいずれかが内在するシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、上記少なくとも1個の構造が刻線間隔格子構造、FinFET構造、SRAMメモリ構造、FLASHメモリ構造及びDRAMメモリ構造のうちいずれかであるシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムであって、上記基準計測システムが走査型電子顕微鏡、光学式計測システム、X線式計測システム、トンネリング電子顕微鏡システム及び原子間力顕微鏡システムのうちいずれかであるシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムであって、上記少なくとも1個の注目パラメタがプロセスパラメタ値、構造的パラメタ値、分散パラメタ値及びレイアウトパラメタ値のうちいずれかであるシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムであって、上記画像依拠SRMモデルが線形モデル、多項式モデル、ニューラルネットワークモデル、サポートベクタマシンモデル、決定木モデル及びランダムフォレストモデルのうちいずれかであるシステム。
【請求項13】
1枚又は複数枚のDOEウェハの複数フィールドに所在する複数個の実験計画法(DOE)計測サイトであり、少なくとも1個の注目パラメタにより特徴付けられた少なくとも1個の構造のインスタンスをそれぞれ有するDOE計測サイトを、照明するよう構成された少なくとも1個の照明源と、
上記複数個のDOE計測サイトからの成像光を検出しそれら複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像を生成するよう構成された撮像検出器と、
非撮像型計測技術に従い上記複数個のDOE計測サイトそれぞれから収集された光を検出しそれら複数個のDOE計測サイトそれぞれでの検出光を示す1個又は複数個の計測信号を生成するよう構成された非撮像検出器と、
情報処理システムと、
を備え、上記情報処理システムが、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像と、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれに係る上記1個又は複数個の計測信号と、を受け取るよう、且つ
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像をそれら複数個のDOE計測サイトそれぞれに係る上記1個又は複数個の計測信号に関連付ける計測信号合成モデルを訓練するよう、
構成されているシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、少なくとも1個の照明源が、更に、上記DOE計測サイトのいずれとも異なる計測サイトを照明するよう構成されており、その計測サイトが、上記少なくとも1個の注目パラメタにより特徴付けられた上記少なくとも1個の構造のインスタンスを有しており、
少なくとも1個の上記撮像検出器が、更に、上記計測サイトからの成像光を検出し、その計測サイトの画像であり検出した光を示すものを生成するよう構成されており、
上記情報処理システムが、更に、
上記計測サイトの画像を受け取るよう、
訓練された計測信号合成モデルと、上記計測サイトの画像と、に依拠しその計測サイトに係る一組の合成計測信号を生成するよう、
上記計測サイトにある上記少なくとも1個の構造の上記インスタンスを特徴付ける上記少なくとも1個の注目パラメタの値を、その計測サイトの上記非撮像型計測技術による計測のモデルに対する上記合成計測信号の当てはめに依拠し導出するよう、且つ
上記少なくとも1個の注目パラメタの値をメモリ内に格納するよう、
構成されているシステム。
【請求項15】
請求項14に記載のシステムであって、上記非撮像型計測技術がモデル依拠X線計量技術、モデル依拠光学計量技術又はその任意の組合せであるシステム。
【請求項16】
請求項14に記載のシステムであって、上記情報処理システムが、更に、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれから、それら画像それぞれの次元を減らす特徴抽出モデルで以て特徴を抽出し、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれから抽出された特徴を、上記計測信号合成モデルにより、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれに係る上記1個又は複数個の計測信号に関連付けるよう、且つ
上記計測サイトの画像から上記特徴抽出モデルで以て特徴を抽出し、その計測サイトに係る上記一組の合成計測信号の生成を、訓練された計測信号合成モデルと、その計測サイトの画像から抽出された特徴と、に依拠し行うよう、
構成されているシステム。
【請求項17】
請求項13に記載のシステムであって、上記少なくとも1個の注目パラメタが限界寸法(CD)パラメタ、オーバレイパラメタ、フォーカスパラメタ、ドーズパラメタ、構造非対称性パラメタ、構造粗さパラメタ、誘導自己組織化(DSA)パターン均一性パラメタ及びピッチウォークパラメタのうちいずれかであるシステム。
【請求項18】
請求項13に記載のシステムであって、上記非撮像型計測技術が光学式スキャタロメトリ計測システム及びX線式スキャタロメトリ計測システムのうちいずれかであるシステム。
【請求項19】
1枚又は複数枚のDOEウェハの複数フィールドに所在する複数個の実験計画法(DOE)計測サイトであり、少なくとも1個の注目パラメタにより特徴付けられた少なくとも1個の構造のインスタンスをそれぞれ有するDOE計測サイトを、照明するステップと、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの照明に応じそれら複数個のDOE計測サイトそれぞれからの成像光を検出するステップと、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像を生成するステップと、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれにおける上記少なくとも1個の注目パラメタの基準計測値を推定するステップと、
上記少なくとも1個の構造のインスタンスが内在する計測サイトの画像を当該少なくとも1個の構造の上記少なくとも1個の注目パラメタの値に関連付ける画像依拠信号応答計量(SRM)モデルを、上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像と、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれにおける当該少なくとも1個の注目パラメタの対応する基準値と、に基づき訓練するステップと、
を有し、上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれが、一種類又は複数種類の技術で捉えた画像又は画像群を含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、更に、
上記DOE計測サイトのいずれとも異なる計測サイトであり、上記少なくとも1個の注目パラメタにより特徴付けられた上記少なくとも1個の構造のインスタンスを有する計測サイトを、照明するステップと、
上記計測サイトの照明に応じその計測サイトからの成像光を検出するステップと、
その上記計測サイトの画像であり検出した光を示すものを生成するステップと、
上記計測サイトにある上記少なくとも1個の構造の上記インスタンスを特徴付ける上記少なくとも1個の注目パラメタの値を、訓練された画像依拠SRMモデルと、その計測サイトの画像と、に依拠し導出するステップと、
を有する方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、上記計測サイト及び上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれの各画素に計測信号値を関連付け、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれでのそれと同じ計測技術又は計測技術群により計測を実行することでその計測サイトの画像を導出する方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、更に、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれから、それら画像それぞれの次元を減らす特徴抽出モデルで以て特徴を抽出し、上記画像依拠SRMモデルの訓練を、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像それぞれから抽出された特徴と、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれにおける上記少なくとも1個の注目パラメタの対応する基準値と、に基づくものとするステップと、
上記計測サイトの画像から上記特徴抽出モデルで以て特徴を抽出し、上記少なくとも1個の注目パラメタの値の導出を、訓練された画像依拠SRMモデルと、その計測サイトの画像から抽出された特徴と、に依拠するものとするステップと、
を有する方法。
【請求項23】
1枚又は複数枚のDOEウェハの複数フィールドに所在する複数個の実験計画法(DOE)計測サイトであり、少なくとも1個の注目パラメタにより特徴付けられた少なくとも1個の構造のインスタンスをそれぞれ有するDOE計測サイトを、照明するステップと、
上記複数個のDOE計測サイトの照明に応じそれら複数個のDOE計測サイトそれぞれからの成像光を検出するステップと、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像を生成するステップと、
非撮像型計測技術に従い上記複数個のDOE計測サイトそれぞれから収集された光を検出するステップと、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれでの検出光を示す1個又は複数個の計測信号を生成するステップと、
上記複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像をそれら複数個のDOE計測サイトそれぞれに係る上記1個又は複数個の計測信号に関連付ける計測信号合成モデルを訓練するステップと、
を有する方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、更に、
上記DOE計測サイトのいずれとも異なる計測サイトであり、上記少なくとも1個の注目パラメタにより特徴付けられた上記少なくとも1個の構造のインスタンスを有する計測サイトを、照明するステップと、
上記計測サイトの照明に応じその計測サイトからの成像光を検出するステップと、
その検出光を示す上記計測サイトの画像を生成するステップと、
訓練された計測信号合成モデル及び上記計測サイトの画像に基づきその計測サイトに係る一組の合成計測信号を生成するステップと、
上記計測サイトにある上記少なくとも1個の構造の上記インスタンスを特徴付ける上記少なくとも1個の注目パラメタの値を、その計測サイトの上記非撮像型計測技術による計測のモデルに対する上記合成計測信号の当てはめに依拠し導出するステップと、
上記少なくとも1個の注目パラメタの値をメモリ内に格納するステップと、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載されている諸実施形態は計量システム及び方法に関し、より具体的には改良版のモデル依拠計測方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本件特許出願は、「画像を用いたモデル依拠計量」(Model-Based Metrology Using Images)と題する2015年8月31日付米国暫定特許出願第62/212113号に基づき米国特許法第119条の規定による優先権を主張する出願であるので、当該米国暫定特許出願の全主題をこの参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0003】
半導体デバイス例えば論理デバイス及び記憶デバイスは、通常、一連の処理ステップを標本に適用することで製造される。その半導体デバイスの諸特徴及び構造階層群はそれら処理ステップにより形成される。それらのうち例えばリソグラフィは、半導体ウェハ上でのパターン生成を伴う半導体製造プロセスの一つである。半導体製造プロセスの他例としては、これに限られるものではないが化学機械研磨、エッチング、堆積及びイオンインプランテーションがある。1枚の半導体ウェハ上に複数個の半導体デバイスを形成した上で、それを個別の半導体デバイスへと分けるようにするとよい。
【0004】
半導体製造プロセス中の諸工程では、計量プロセスを用いウェハ上の欠陥を検出することで歩留まり向上が図られている。光学的な計量技術には、サンプル損傷の恐れ無しで高スループットが得られる見込みがある。光学計量に依拠する技術は多々あり、なかでもスキャタロメトリ(拡散計測)及びリフレクトメトリ(反射計測)装置及びそれに関わる分析アルゴリズムが、限界寸法、膜厚、組成、オーバレイ(重なり合い)その他、ナノスケール構造のパラメタの解明に広く用いられている。非撮像型でモデルに依拠する光学計量技術では、一般に、半導体ウェハのフィールドエリア上にまばらに所在する計量ターゲットから順次、通例に倣い計測信号が捕捉される。非撮像型モデル依拠光学計量技術では、高精度計測能力が得られるものの、所与ウェハスループット条件の許で計測可能な部位数に限りがある。
【0005】
これに対し、撮像依拠型の計測システムでは多数の信号が並列的に収集される。従って、所与ウェハスループット条件の許で撮像依拠計測により解明可能なウェハエリアは、モデル依拠光学計量技術に比べかなり広い。残念なことに、現在の撮像依拠計測では分解能が十分でなく、今日広く製造されている複雑な三次元構造を直接計測することができない。
【0006】
画像依拠計測では、通常、画像内個別ターゲット特徴(例.線分、ボックス等々)の認識が行われ、それら特徴に基づき注目パラメタが算出される。通常、それら専用ターゲット構造はその画像処理アルゴリズムに特化している。例えば、オーバレイターゲット(例.ボックスインボックスターゲット、フレームインフレームターゲット、高度撮像計量(ATM)ターゲット)に係る線分は、そのアルゴリズムの細部に順応するよう特別に設計される。こうした理由で、従来の画像依拠計量アルゴリズムは、任意のターゲット又はデバイス構造で以て信頼性よく実行することができない。
【0007】
半導体製造、とりわけパターニングプロセスでは、プロセス制御を可能とすべく、個別の専用構造を対象にした計量が実行される。それら専用構造は、ダイ間スクライブライン内に配置されることもあれば、ダイそれ自体の内部に配置されることもある。従来のスキャタロメトリ依拠計量技術による専用計量構造の計測は時間を費やす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0297211号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0316730号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
将来の計量アプリケーションで具現化する画像依拠計量上の困難としては、より一層の分解能条件精細化やより一層のウェハ面積値増大によるものがある。そのため、画像依拠計測方法及びシステムの改良が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願では、半導体ウェハの計測画像内に存する情報コンテンツに、それら計測画像内の特定構造の付加的計測を組み合わせることで、構造的注目パラメタを迅速且つ正確に推定可能とする方法及びシステムが開示される。
【0011】
ある態様では、計測画像内に存する豊富な情報コンテンツが構造的注目パラメタの推定値へと変換される。画像依拠信号応答計量(SRM)モデルが、計測で得られた画像依拠訓練データ(例.実験計画法(DOE)ウェハから収集された諸画像)と、それに対応する基準計測データと、に基づき訓練される。その上で、訓練された画像依拠計測モデルを用い、1個又は複数個の注目パラメタの値が、他ウェハから収集した計測画像データから直に算出される。訓練された本願記載の画像依拠SRMモデルは、画像データを直に入力として受け取り、1個又は複数個の注目パラメタの推定値を出力として提示する。その計測プロセスをストリームライン実行することにより、予測結果が改善されるのと併せ、情報処理時間及びユーザ時間が短縮される。
【0012】
生画像データのみを用い画像依拠計測モデルを生成することで、本願記載の通り、従来の画像依拠計量方法にまつわる誤差及び近似が軽減・緩和される。加えて、特定の計量システムから収集した画像データに基づき画像依拠計測モデルが訓練され、それと同じ計量システムから収集した画像に基づく計測がその画像依拠計測モデルを用い実行されるので、その画像依拠計測モデルは系統誤差、非対称性等々に対し敏感にならない。
【0013】
別の態様では、計測画像が、1フィールド当たり一個所又は複数個所にて、モデル依拠計測技術に係る合成的な非撮像依拠計測信号へと変換される。モデル依拠計測技術を採用するのはそれら合成信号に基づき構造的注目パラメタの値を推定するためである。計測信号合成モデルは、計測で得られた画像依拠訓練データ(例.実験計画法(DOE)ウェハから収集された諸画像)と、それに対応する非撮像計測データと、に基づき訓練される。更なる態様では、合成信号が、各撮像フィールド内の様々な位置にある複数個の構造に関し生成される。ある種の例によれば、それら合成信号に基づくモデル依拠計測の実行は、様々な部位での実計測データの個別取得よりかなり高速である。
【0014】
以上述べたのが概要であり、従って随所に簡略化、一般化及び細部省略が含まれることからすれば、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)には明らかな通り、この概要は専ら例証的であり、限定的なものでは全くない。本願記載の装置及び/又はプロセスの他態様、独創的特徴及び長所については、本願中で説明する非限定的な詳細記述中で明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本願にて提示した方法例に従い注目パラメタの計測を実行するシステム100を示す図である。
図2】本願記載の如く画像依拠SRMモデルを訓練する方法200を示すフローチャートである。
図3】方法200を参照して述べた訓練済SRMモデルを用い構造の計測を実行する方法210を示すフローチャートである。
図4】計測サイトのグリッドを有しその計測サイト内の構造にて1個又は複数個の注目パラメタに既知なばらつきが現れている実験計画法ウェハ160を示す図である。
図5】ウェハ160の様々な計測サイトの画像162〜164を示す図である。
図6】画像162に係る画素165のグリッドを示す図である。
図7】本願記載の方法に従いモデル訓練及び計測用に選択された様々な画素位置を示す図である。
図8図7中に描出した画素位置にてサンプリングされた強度計測値のベクトル176を示す図である。
図9】本願記載の如く計測信号合成モデルを訓練する方法220を示すフローチャートである。
図10】方法220を参照して述べた計測信号合成モデルを用い構造の計測を実行する方法230を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、諸背景例及び本発明の諸実施形態であり、その諸例が添付図面に描かれているものにつき詳細に説明する。
【0017】
本願では、半導体ウェハの計測画像内に存する情報コンテンツに、それら計測画像内の特定構造の付加的計測を組み合わせることで、構造的注目パラメタを迅速且つ正確に推定可能とする方法及びシステムが開示される。
【0018】
図1に、本願にて提示した方法例に従い標本の特性を計測するシステム100を示す。図1に示すシステム100を用い、標本107上に形成されている1個又は複数個の構造の撮像計測及び非撮像計測を実行することが可能である。この態様に係るシステム100は、ビームプロファイルリフレクトメータ(BPR)、フィールド撮像システム及び分光リフレクトメータ(SR)を以て構成することができる。或いは、システム100をBPR、分光エリプソメータ(SE)及びフィールド撮像システムを以て構成してもよい。システム100は、高数値開口(NA)対物レンズ(例.NA>0.9)と、瞳検出器117に至る光路及びフィールド検出器113又は114に至る別の光路を生成する少なくとも1個の集光ビームスプリッタ110と、を有している。それらフィールド検出器、瞳検出器は、標本107からそれぞれフィールド信号121又は122、瞳信号123を捕捉する。フィールド像や瞳像を処理することで、1個又は複数個の構造的又はプロセスパラメタ値を推定することができる。
【0019】
図1に示すシステム100は、多量の照明光119を生成する照明源101を有している。ある種の実施形態では照明源101がキセノンランプ、レーザ駆動光源、複数波長レーザ、スーパーコンティニュウムレーザ等々といった広帯域照明源とされる。他のある種の実施形態では照明源101が単一波長レーザ、可調狭帯域レーザ等々といった狭帯域光源を有する。ある種の実施形態では照明源101が広帯域照明源と狭帯域照明源の組合せを有する。ある種の実施形態では、一通り又は複数通りの照明波長及びそれに対応する1個又は複数個の波長域を選択する光学フィルタが組み込まれる。
【0020】
図1に示す如く照明光119は照明光学系102内を通過する。照明光学系102はその照明光を集束させ平行光化する。照明光学系102はレンズ部材、ミラー部材又は両者の組合せを有している。照明光は、1個又は複数個のセレクタブル照明アパーチャ104を通過した後、照明ビームスプリッタ105に到達する。ある種の実施形態ではそのセレクタブル照明アパーチャ104が一組の照明フィールド絞り及び一組の照明瞳絞りを有する。その照明フィールド絞りは、標本107上に投射される照明スポットのサイズを選択しうるよう構成される。照明瞳絞りは、標本107上に投射される照明瞳を選択しうるよう構成される。それら照明フィールド絞り及び瞳絞りを他の照明光学系構成部材(例.照明光学系102及び対物系106)と協働させることで、照明NAのチューニングを成し遂げ標本107の表面上での光スループット、照明フィールド及び瞳を最適化することができる。セレクタブル照明アパーチャ104に備わる1個又は複数個のアパーチャは、これに限られるものではないが、機械式ピンホール、空間光変調器(SLM)、アポダイザその他の任意なビーム形成及び制御部材又はサブシステムをはじめ、任意の好適なデバイスで形成することができる。
【0021】
照明ビームスプリッタ105は、平行光化された照明光の一部分を対物系106に差し向け、平行光化された照明光の他部分を強度モニタ108に差し向ける。ある種の実施形態では、強度モニタ108が情報処理システム130に可通信結合され、総照明強度、照明強度プロファイル又はその双方の示数が強度モニタ108により情報処理システム130へと提供される。対物系106は照明光を標本107の表面へと広範囲な入射角に亘り差し向ける。標本107の表面から反射、回折及び散乱されてきた光は対物系106により収集され、集光ビームスプリッタ110内を通過する。収集光の一部分がフィールド検出路内に導かれる一方、収集光の他部分は瞳検出路内に導かれる。照明ビームスプリッタ105及び集光ビームスプリッタ110は、これに限られるものではないが、キュービックビームスプリッタ、金属被覆プレート、ダイクロイック光学被覆プレートその他のビーム分岐機構をはじめ、任意の好適なブーム分岐素子を有するものとすることができる。
【0022】
フィールド検出路はセレクタブルフィールド集光アパーチャ111、集束型フィールド光学系112及び少なくとも1個のフィールド検出器を有している。ある種の実施形態では、そのセレクタブルフィールド集光アパーチャ111が、フィールド信号検出器113又は114上に投射される信号を選択する一組のフィールド絞りを有する。ある種の例では、高次のフィールド信号が選択されフィールド信号検出器113又は114上へ投射される。セレクタブルフィールド集光アパーチャ111に備わる1個又は複数個のアパーチャは、これに限られるものではないが、機械式ピンホール、空間光変調器(SLM)、アポダイザその他の任意なビーム形成及び制御部材又はサブシステムをはじめ、任意の好適なデバイスで形成することができる。
【0023】
図1に示す実施形態では、システム100がフィールド撮像検出器114及び分光型フィールド検出器113を有している。フリップインミラー機構120は、情報処理システム130から受け取ったコマンド信号(図示せず)に基づきフィールド検出路内に随時配置される。あるコンフィギュレーションではフリップインミラー機構120がフィールド検出路内に配置され、収集光がフィールド撮像検出器114へと差し向けられる。別のコンフィギュレーションではフリップインミラー機構120がフィールド検出路外に配置され、収集光が分光型フィールド検出器113へと差し向けられる。システム100は、この要領で、画像依拠又は分光依拠のフィールド計測を実行するよう構成することができる。ある実施形態では、ウェハ表面のうち照明源により照明されている部分がフィールド撮像検出器114により自検出器上に撮像される。フィールド撮像検出器114はCCDカメラ、CMOSカメラ、アレイ型検出器等々とすることができる。
【0024】
瞳検出路は、セレクタブル瞳集光アパーチャ118と、セレクタブル狭帯域通過フィルタ115と、収集光を瞳検出器117へと差し向ける瞳中継光学系116と、を有している。ある種の実施形態では、そのセレクタブル瞳集光アパーチャ118が、瞳信号検出器117上に投射される信号を選択する一組のフィールド絞りを有する。ある種の例では、高次の瞳信号が選択され瞳信号検出器117上に投射される。セレクタブル瞳集光アパーチャ118に備わる1個又は複数個のアパーチャは任意の好適な装置によって形成することができ、またそれは、これに限られるものではないが機械式ピンホール、空間光変調器(SLM)、アポダイザその他の任意なビーム形成及び制御部材又はサブシステムを有するものとすることができる。
【0025】
図示実施形態では瞳検出器117が撮像検出器とされている。とはいえ、他種実施形態では瞳検出器117が分光検出器とされることもある。総じて、瞳検出路には、瞳データを同時又は順次収集するよう構成された1個又は複数個の瞳検出器を具備させることができる。
【0026】
本願記載の通り、瞳撮像検出器117により検出された瞳像又はフィールド撮像検出器114により検出されたフィールド像を用いることで、注目計測パラメタを、本願記載の通り、画像依拠SRMモデルに依拠し直接的に或いは計測信号合成モデルに依拠し間接的に、導出することができる。ある実施形態では分光型フィールド検出器113がスペクトロメータ(分光器)とされる。非限定的な例で以て言えば、検出したスペクトルも注目パラメタの計測に用いることができる。注目パラメタの例としては、限界寸法(CD)パラメタ、オーバレイパラメタ、フォーカス(焦点)パラメタ、ドーズ(照射量)パラメタ、構造非対称性パラメタ、構造粗さパラメタ、誘導自己組織化(DSA)パターン均一性パラメタ、ピッチウォークパラメタ等々がある。
【0027】
図1に示す実施形態では、システム100が、照明路内にポラライザ(偏光子)103を、また集光路内にアナライザ(検光子)109を有している。ポラライザ103を回動させるか否かによりつつ、システム100を、分光リフレクトメトリ(SR)計測又は分光エリプソメトリ(SE)計測を実行するよう構成することができる。システム100は、この要領で、SR又はSE計測を実行するよう選択的に構成することができる。
【0028】
加えて、システム100は、その光学システムに対する標本107の位置を、標本107の表面に対し垂直な方向(即ち座標系126中に示すz方向)に沿い計測するよう構成された、計測装置(例.エンコーダ125)を有している。この形態においては、エンコーダ125により、光学システムに対する標本107の焦点位置の示数がもたらされる。瞳信号123及びフィールド信号121又は122と併せ焦点位置124の示数を収集し、情報処理システム130による分析に供することができる。情報処理システム130は、焦点位置の推定値に基づきウェハ位置決めシステム(図示せず)又は光学位置決めシステム(図示せず)にコマンド信号を送ることで、光学システムに対する標本107の焦点位置を調整する。標本107の焦点位置はこうしてモニタリングされ画像捕捉中に調整される。他のある種の例では、標本107の焦点位置をz方向に沿い段階的又は無段階的に動かしつつ画像データが収集される。
【0029】
従来技術では、注目パラメタのモデル依拠計測が非撮像計測データ(例.検出器113により収集されたスペクトルデータ)に基づき実行される。例えば、モデル依拠CD計測につきもののCD計測モデルに、注目CDパラメタによる計量ターゲットのパラメタ化が組み込まれる。加えて、その計測モデルに計測ツール自体のパラメタ化(例.波長、入射角、偏向角等々)が組み込まれる。加えて、際立って大きな誤差の入り込みを排すべくシミュレーション近似(例.スラビング、厳密結合波分析(RCWA)等々)が注意深く実行される。離散化及びRCWAパラメタが定義される。
【0030】
マシンパラメタ(Pmachine)は計量ツール自体の特徴付けに用いられるパラメタである。マシンパラメタの例としては入射角(AOI)、アナライザ角(AO)、ポラライザ角(PO)、照明波長、数値開口(NA)等々がある。標本パラメタ(Pspecimen)は標本の幾何特性及び素材特性の特徴付けに用いられるパラメタである。
【0031】
計測目的の場合、マルチターゲットモデルのマシンパラメタを既知の固定パラメタとして扱い、計測モデルの標本パラメタ、或いは標本パラメタのサブセットを未知の浮動パラメタとして扱う。浮動パラメタの解明に当たっては、当てはめ処理(例.回帰、ライブラリマッチング等々)を行い理論予測・計測データ間最良フィットを求める。未知の標本パラメタPspecimenは可変であり、モデル出力値・計測値間密マッチがもたらされる一組の標本パラメタ値が定まるまで、モデル出力値を算出する。こうした要領での計測の実行は情報処理コストが高い。
【0032】
ある態様では、計測画像内に存する豊富な情報コンテンツが構造的注目パラメタの推定値へと変換される。画像依拠信号応答計量(SRM)モデルが、計測で得られた画像依拠訓練データ(例.実験計画法(DOE)ウェハから収集された諸画像)と、それに対応する基準計測データと、に基づき訓練される。その上で、訓練された画像依拠計測モデルを用い、1個又は複数個の注目パラメタの値が、他ウェハから収集された計測画像データから直に算出される。本願記載の訓練済画像依拠SRMモデルは、画像データを直に入力として受け取り、1個又は複数個の注目パラメタの推定値を出力として提示する。その計測プロセスをストリームライン実行することにより、予測結果が改善されるのと併せ、情報処理時間及びユーザ時間が短縮される。
【0033】
生画像データのみを用い画像依拠計測モデルを生成することで、本願記載の通り、従来の画像依拠計量方法にまつわる誤差及び近似が軽減・緩和される。加えて、特定の計量システムから収集した画像データに基づき画像依拠計測モデルが訓練され、それと同じ計量システムから収集した画像に基づく計測がその画像依拠計測モデルにより実行されるので、この画像依拠計測モデルは系統誤差、非対称性等々に対し敏感でない。
【0034】
ある種の例によれば、その画像依拠SRMモデルを1時間未満で生成することができる。加えて、単純化されたモデルを採用することで、既存の画像依拠計量方法に比べ計測時間が短縮される。更なるモデルの詳細が特許文献1及び2中で述べられているので、それらの文献それぞれの全主題をこの参照を以て本願に繰り入れることにする。
【0035】
総じて、本願記載の方法及びシステムでは各画像が丸ごと分析される。画像内の個別特徴を認識するのに代え、各画素が、構造的パラメタ、プロセスパラメタ、分散パラメタ等々についての(又はこれに対し敏感な)情報を含む不可分な信号と見なされる。
【0036】
図2に、計測システム例えば図1中に描いた本発明の計測システム100による実行に適する方法200を示す。ある態様によれば、ご認識頂けるように、方法200を構成するデータ処理ブロックは、事前にプログラミングされているアルゴリズムを、情報処理システム130その他の任意な汎用情報処理システムに備わる1個又は複数個のプロセッサによって実行することを通じ、実行することができる。本願にて認識されている通り、計測システム100の具体的な構造的側面は限定を体現するものではなく、専ら例証として解されるべきである。
【0037】
ブロック201では、複数個の実験計画法(DOE)計測サイトが照明源によって照明される。DOE計測サイトは、1枚又は複数枚のDOEウェハ上にある多数の様々なフィールドに所在している。各DOE計測サイトは、少なくとも1個の注目パラメタにより特徴付けられた少なくとも1個の構造のインスタンスを有している。その構造の例は専用の計量ターゲット、デバイス構造、格子構造等々である。
【0038】
注目パラメタには1個又は複数個のプロセスパラメタ、構造的パラメタ、分散パラメタ又はレイアウトパラメタが含まれている。各計測サイトには同じ基準構造が内在し各計測サイト内の同じ基準位置に所在している。ある例で計測サイト内に収まるのは半導体ウェハのフィールドエリアであり、これはウェハ表面を過ぎり反復構築されている。ある種の例で計測サイト内に収まるのはダイエリアであり、これはウェハ表面横断的に反復構築されている。名目上は各計測サイト内に同じ構造が内在しているが、実用時やモデル訓練時には、各計測サイト内に諸パラメタ(例.CD、側壁角、高さ、オーバレイ等々)のばらつきが現れる。
【0039】
モデル訓練時には、1個又は複数個の注目パラメタのばらつきが、半導体ウェハ(例.DOEウェハ)の表面上で実験計画法(DOE)パターンの態で組織化される。ウェハ表面上の別々の個所にあるそれら計測サイトには、こうして別々の注目パラメタ値が対応付けられる。ある例ではそのDOEパターンが焦点露出マトリクス(FEM)パターンとされる。通常、FEMパターンを呈するDOEウェハでは計測サイト群がグリッド状のパターンをなす。一方のグリッド方向(例.x方向)沿いでは、焦点が変化する一方で露出が一定に保持される。それに直交するグリッド方向(例.y方向)沿いでは、露出が変化する一方で焦点が一定に保持される。このようにして、DOEウェハから収集される画像データ中に、焦点及び露出のばらつきに係るデータが入ってくる。図4に、計測サイト(例.計測サイト161)のグリッドを有し、その計測サイト内の構造にて1個又は複数個の注目パラメタ(例.焦点及び露出)にばらつきが現れているDOEウェハ160を示す。焦点のばらつきはDOEウェハ160上でのx方向沿い位置の関数である。露出のばらつきはDOEウェハ160上でのy方向沿い位置の関数である。
【0040】
ある種の実施形態では画像内にデバイスエリアが入るようにする。計測サイトの個別画像中の各画素は、特定の照明及び集光条件、波長、偏向等々の下で収集された光の強度を表すものとなる。図5に、ウェハ160の様々な計測サイトの画像162〜164を示す。各画像は計測サイト内デバイス構造の鳥瞰図を表している。計測サイトはそのX座標及びY座標により特定される。
【0041】
他のある種の実施形態では、画像内に、1個又は複数個の注目パラメタの画像依拠計測を行えるよう設計された特殊ターゲットが入るようにする。特殊設計ターゲットを採用することで、デバイス表現を改良し、その又はそれらの注目パラメタ(焦点、ドーズ、CD)に対する感度を高め、またプロセスばらつきに対する相関を減らすことができる。
【0042】
上掲の例では、画像データが処理済DOEウェハにおける焦点及び露出(即ちドーズ)ばらつきに関連付けられている。しかしながら、一般的には、画像データがプロセスパラメタ、構造的パラメタ、分散パラメタ等々のどのようなばらつきに関連付けられていてもよいものと想定しうる。DOEウェハの画像は注目パラメタの広大なばらつきを呈しうる。
【0043】
ブロック202では、複数個のDOE計測サイトそれぞれの照明に応じそれら複数個のDOE計測サイトそれぞれからの成像光が検出される。ある例では、図1に示すフィールド撮像検出器114が、各DOE計測サイトにてウェハ107の表面からの成像光を検出する。別の例では、瞳撮像検出器117が、各DOE計測サイトにて対物系106の瞳からの成像光を検出する。
【0044】
ブロック203では、複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像が生成される。ある例では、フィールド撮像検出器114がそれらDOE計測サイトそれぞれの画像を生成し、生成した画像それぞれを示す信号122を情報処理システム130へと送信する。別の例では、瞳撮像検出器117がそれらDOE計測サイトそれぞれの瞳像を生成し、生成した瞳像を示す信号を情報処理システム130へと送信する。
【0045】
ある種の例では各計測サイトの画像が1個だけ生成される。こうした例では、各計測サイトの各画像内で単一の計測信号値が各画像内画素に関連付けられる。ある種の例では、各画素の位置における反射率を撮像リフレクトメータ(反射率計)によりある特別な一組の計測システムセッティング(例.波長、偏向、入射角、アジマス角等々)にて計測したものを以て、当該単一の信号計測値とされる。
【0046】
他のある種の例では各計測サイトの画像が複数個生成される。各計測サイトの各画像内では単一の計測信号値が各画素に関連付けられる。即ち、複数通りの計測信号値が画素毎に計測される。一般に、各計測サイトの各画像は、同じ計測システムにより別々のセッティング(例.波長、偏向、入射角、アジマス角等々)で、別々の計測技術で、或いはその組合せで計測される。この要領なら、多様な組合せの計測データを各計測サイトの画素毎に組み立てることができる。一般に、画像データは、あらゆる撮像依拠システム、例えば光学撮像システム、顕微鏡、走査型電子顕微鏡、トンネリング電子顕微鏡その他の画像形成システムから収集することができる。
【0047】
ブロック204では、少なくとも1個の注目パラメタの基準計測値が、複数個のDOE計測サイトそれぞれにて、信頼できる基準計量システムによって推定される。基準計測は、基準計測システム又は基準計測システムコンビネーションにより、また任意の好適な計量技術又は計量技術コンビネーションに依拠し実行される。非限定的な例を以て言えば、走査型電子顕微鏡、光学式計測システム、X線式計測システム、トンネリング電子顕微鏡システム及び原子間力顕微鏡システムのいずれを採用してDOE計測サイトの基準計測を実行してもよい。
【0048】
図1に示すように、ある例では、各DOE計測サイトにおける注目パラメタの基準計測値151が基準計測源150から情報処理システム130へと送信される。
【0049】
別の例では、図1に示すように、分光型フィールド検出器113が、各計測サイト内で各注目パラメタにより特徴付けられている1個又は複数個の構造から収集された光を示す、計測信号121を生成する。この例における計測信号は分光スキャタロメトリ信号である。情報処理システム130は、モデル依拠計測(例.光学的限界寸法計測)を実行することで、各計測サイトにおける各注目パラメタの値を、検出で得られた計測信号121に基づき推定する。
【0050】
ある付加的ブロック(図示せず)では、各計測サイトに共通の基準位置に対し各画像が整列される。各画像のあらゆる個別画素がこうして各撮像計測サイト上の同じ位置に対応付けられる。ある例では、収集された画像が、それらの集合の1個目の画像に整合するよう整列される。図6に、画像162に係る画素165のグリッドを示す。ある種の例では、計測システムが高精度で動作するので更なる画像整列は必要ない。その意味で画像整列は付随的である。
【0051】
別の付加的ブロック(図示せず)では、各画像が1個又は複数個の画像フィルタによりフィルタリングされる。画像フィルタとしてはノイズ低減、コントラスト強調等々のためのそれを採用しうる。ある例では、エッジを検出しそのエッジ及び近傍領域を除去又はマスキングすることでエッジ効果を低減する画像フィルタが、採用されよう。そうした場合、後続する画像サンプルは比較的同種なデバイス領域から採取される。採用する画像フィルタをユーザが選択し或いは自動手順に従い選択するようにしてもよい。様々な画像フィルタの個数並びに選択されたフィルタに係る様々なパラメタを選ぶことで、過度な情報処理負担無しで最終計測結果を改善することができる。画像依拠フィルタの使用は有益たりうるが一般的に必要なものではない。その意味で画像フィルタリングは付随的である。
【0052】
各計測サイトの各画像には数百万個の画素が含まれうるが、注目パラメタと何らかの相関を持つのはそれらの画素のうち少数だけである。別の付加的ブロック(図示せず)では、それら第1の複数個の画像それぞれに係る画素のサブセットが、モデル訓練及び計測用に選択される。第1の複数個の画像それぞれの同じ選択画素に係る計測信号値が、モデル訓練及び計測に用いられる。これは、多くの例で、情報処理労力低減上好ましいことである。
【0053】
図7に、モデル訓練及び計測用に選択され別々の位置にある二種類の画素群を示す。図示例では、画素群170、172及び174がそれぞれ画像162、163及び164上の同じ位置に対応している。同様に、画素群171、173及び175がそれぞれ画像162、163及び164上の同じ位置に対応している。これらの画素それぞれに係る計測信号がモデル訓練及び計測に用いられる。図8に、図7中に描かれている画素位置にてサンプリングされた強度(例.反射率)計測値のベクトル176を示す。サンプリングで得られたこの画像データがモデル訓練及び計測に用いられる。図8に示す例中、(I1,J1)は画像162のうち画素群170に係る強度値であり、(I1,J1)は画像163のうち画素群172に係る強度値であり、また(I1,J1)は画像164のうち画素群174に係る強度値である。同様に、(I2,J2)は画像162のうち画素群171に係る強度値であり、(I2,J2)は画像163のうち画素群173に係る強度値であり、また(I2,J2)は画像164のうち画素群175に係る強度値である。ベクトル176は、このように、各撮像計測サイトの同じ位置にある画素群からの強度計測信号で構成される。
【0054】
ある種の例では、注目パラメタにより特徴付けられている構造への近接性(近さ)を踏まえ複数個の画素又は画素群が選択される。ある例では、注目構造の周りにありその注目構造に比し5〜10倍の大きさを有するエリアが選択画素に関連付けされる。他種の例では画素位置がランダムに選択される。他のある種の例では画素位置がそれらの計測感度に基づき選択される。ある例では、各画素位置に係る計測信号値の分散が画像のアンサンブルを基に算出される。各画素位置に係る分散は、対応する画素位置それぞれにおける計測感度を特徴付ける指標である。そこでの分散が比較的大きい画素位置は、計測感度が高めになりそうであるので更なる分析向けに選択される。そこでの分散が比較的小さい画素位置は、計測感度が低めになりそうであるので無視される。ある種の例では、分散に関し予めしきい値が選択され、選択されたしきい値を上回る分散を呈する画素位置がモデル訓練及び計測向けに選択される。このようにすると、最も高感度な位置だけがサンプリングされることになる。ある種の例では、第1の複数個の画像それぞれに係る画素全てがモデル訓練及び計測向けに選択される。その意味で画素選択は付随的である。
【0055】
別の付加的ブロック(図示せず)では、選択されている画像データに基づき特徴抽出モデルが導出される。画像データの次元数を低減する特徴抽出モデルである。特徴抽出モデルは原信号を新規な次元低減信号集合にマッピングする。この変換は、選択諸画像内での1個又は複数個の注目パラメタのばらつきに基づき導出される。原信号として扱われるのは各画像を構成する画素それぞれであり、この信号は諸画像に係る処理域内で変動を呈する。特徴抽出モデルは、そうした画像内画素全てに適用してもよいし画像内画素のサブセットに適用するのでもよい。ある種の例では、この特徴抽出モデルによる分析に供される画素がランダムに選択される。他のある種の例では、特徴抽出モデルによる分析に供される画素として、1個又は複数個の注目パラメタの変化に対し比較的高感度なものが選択される。例えば、1個又は複数個の注目パラメタの変化に対し敏感でない画素が無視される。
【0056】
非限定的な例を以て言えば、この特徴抽出モデルは、主成分分析(PCA)モデル、カーネルPCAモデル、非線形PCAモデル、独立成分分析(ICA)モデルその他の辞書使用型次元低減法、離散コサイン変換(DCT)モデル、高速フーリエ変換(FFT)モデル、ウェーブレットモデル等々とすることができる。
【0057】
典型的な実験計画法によれば、ウェハ上の諸位置が、特定の幾何パラメタ値及びプロセスパラメタ値(例.焦点、ドーズ、オーバレイ、CD、側壁角、高さ等々)を呈するよう設定される。従って、その主成分表現により、一通り又は複数通りの信号表現をウェハ全体に亘りプロセスパラメタ又は幾何パラメタの関数としてマッピングすることが可能となる。そのパターンの性質上、孤立した特徴であれ密な特徴であれデバイスの本質的特性を捉えることができる。
【0058】
ブロック205では、生成された画像又は当該生成された画像から抽出された特徴と、少なくとも1個の注目パラメタの基準値と、に基づき画像依拠信号応答計量(SRM)モデルが訓練される。この画像依拠SRMモデルは、1個又は複数個の計測サイトにて計量システムにより生成された画像データを受け取り、各計測ターゲットに係る1個又は複数個の注目パラメタを直接導出するよう、構造化されている。ある種の実施形態では画像依拠計測モデルがニューラルネットワークモデルとして実現される。ある例では、そのニューラルネットワークのノード数が、画像データから抽出された特徴に基づき選択される。他種の例では、画像依拠SRMモデルが線形モデル、多項式モデル、応答曲面モデル、サポートベクタマシンモデルその他の種類のモデルとして実現されよう。ある種の例では、画像依拠計測モデルがモデル複数個の組合せとして実現される。ある種の例では、選択されたモデルが、その特徴抽出モデルから導出された次元低減信号集合と、1個又は複数個の注目パラメタの計測による基準値と、に基づき訓練される。このモデルは、それらDOE画像により定義されたパラメタばらつき空間内で、全画像に関し、その出力が1個又は複数個の注目パラメタの計測による基準値にフィットすることとなるよう訓練される。
【0059】
図1に示すように、情報処理システム130は、基準計測源150から得られる基準値に対し、或いは各DOE計測サイトのDOE画像毎にフィールド撮像検出器114又は瞳撮像検出器117から得られる計測信号121に基づき算出した基準値に対し、その出力がフィットすることとなるよう画像依拠SRMモデルを訓練する。
【0060】
別の態様では、訓練された画像依拠SRMモデルが他ウェハ計測用計測モデルとして採用される。図3に、計量システム例えば図1中に描いた本発明の計量システム100による実行に適する方法210を示す。ある態様では、ご認識頂けるように、方法210を構成するデータ処理ブロックは、事前にプログラミングされているアルゴリズムを、情報処理システム130その他の任意な汎用情報処理システムに備わる1個又は複数個のプロセッサによって実行することを通じ、実行することができる。本願にて認識されている通り、計量システム100の具体的な構造的側面は限定を体現するものではなく、専ら例証として解されるべきである。
【0061】
ブロック211では、画像依拠SRMモデル訓練用画像の生成に採用されたものと同じ画像依拠計量技術又は画像依拠計量技術コンビネーションに従い計測サイトが照明される。この計測サイトはいずれのDOE計測サイトとも異なる計測サイトである。この計測サイトは、1個又は複数個の注目パラメタにより特徴付けられた少なくとも1個の構造のインスタンスを有している。
【0062】
ブロック212では、その計測サイトの照明に応じその計測サイトからの成像光が検出される。ある例では、図1に示すフィールド撮像検出器114がその計測サイトにてウェハ107の表面からの成像光を検出する。別の例では、瞳撮像検出器117がその計測サイトにて対物系106の瞳からの成像光を検出する。
【0063】
ブロック213ではその計測サイトの画像が生成される。ある例では、フィールド撮像検出器114がその計測サイトの画像を生成し、生成した画像を示す信号122を情報処理システム130へと送信する。別の例では、瞳撮像検出器117がその計測サイトの瞳像を生成し、生成した瞳像を示す信号を情報処理システム130へと送信する。
【0064】
ある種の例では、その画像データが、方法200を参照して記述したものと同じ整列、フィルタリング、サンプリング及び特徴抽出ステップに供される。これらのステップの一部又は全てを用いることは有益であろうが一般には必要でない。その意味でこれらのステップは付随的である。
【0065】
ブロック214では、その計測サイトにある構造のインスタンスを特徴付ける少なくとも1個の注目パラメタの値が、訓練された画像依拠SRMモデルと、その計測サイトの画像と、に基づき導出される。計測サイトの画像はその画像依拠SRMモデルにより処理され、それにより1個又は複数個の注目パラメタの値が導出される。
【0066】
別ブロック(図示せず)では、導出された1個又は複数個の注目パラメタの値がメモリ内に格納される。例えば、パラメタ値を計測システム100のメモリ132内等にオンボード格納してもよいし、(例.出力信号140を用い)外部記憶装置へと送信してもよい。
【0067】
別の態様では、計測画像が、1フィールド当たり一個所又は複数個所にて、モデル依拠計測技術に係る合成的な非撮像依拠計測信号へと変換される。モデル依拠計測技術を採用するのは、そうした合成信号に基づき構造的注目パラメタの値を推定するためである。計測信号合成モデルは、計測で得られた画像依拠訓練データ(例.実験計画法(DOE)ウェハから収集された画像)と、それに対応する非撮像計測データと、に基づき訓練される。更なる態様では、合成信号が、各撮像フィールド内の様々な部位にある複数個の構造に関し生成される。ある種の例によれば、それら合成信号に基づくモデル依拠計測の実行が、様々な部位それぞれでの実計測データの取得よりかなり高速となる。
【0068】
図9に、計測システム例えば図1中に描いた本発明の計測システム100による実行に適する方法220を示す。ある態様では、ご認識頂けるように、方法220を構成するデータ処理ブロックは、事前にプログラミングされているアルゴリズムを、情報処理システム130その他の任意な汎用情報処理システムに備わる1個又は複数個のプロセッサによって実行することを通じ、実行することができる。本願にて認識されている通り、計測システム100の具体的な構造的側面は限定を体現するものではなく、専ら例証として解されるべきである。
【0069】
ブロック221では複数個のDOE計測サイトが照明源によって照明される。それらDOE計測サイトは、1枚又は複数枚のDOEウェハ上に位置する多様なフィールドに所在している。各DOE計測サイトは、少なくとも1個の注目パラメタにより特徴付けられた少なくとも1個の構造のインスタンスを有している。その構造の例は専用の計量ターゲット、デバイス構造、格子構造等々である。
【0070】
方法200を参照して記述した通り、注目パラメタには1個又は複数個のプロセスパラメタ、構造的パラメタ、分散パラメタ又はレイアウトパラメタが含まれている。各計測サイトにはその基準となる同一の構造が内在し各計測サイト内の同じ基準位置に所在している。ある例で計測サイト内に収まるのは半導体ウェハのフィールドエリアであり、これはウェハ表面を過ぎり反復構築されている。ある種の例で計測サイト内に収まるのはダイエリアであり、これはウェハ表面を過ぎり反復構築されている。名目上は各計測サイト内に同じ構造が内在しているが、実用時やモデル訓練時には、各計測サイト内に諸パラメタ(例.CD、側壁角、高さ、オーバレイ等々)のばらつきが現れる。モデル訓練時には、1個又は複数個の注目パラメタのばらつきが、方法200を参照して述べた通り、半導体ウェハ(例.DOEウェハ)の表面上で実験計画法(DOE)パターンに従い組織化される。
【0071】
ブロック222では、複数個のDOE計測サイトそれぞれの照明に応じそれら複数個のDOE計測サイトそれぞれからの成像光が検出される。ある例では、図1に示したフィールド撮像検出器114が各DOE計測サイトにてウェハ107の表面からの成像光を検出する。別の例では、瞳撮像検出器117が各DOE計測サイトにて対物系106の瞳からの成像光を検出する。
【0072】
ブロック223では、複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像が生成される。ある例では、フィールド撮像検出器114がそれらDOE計測サイトそれぞれの画像を生成し、生成した画像それぞれを示す信号122を情報処理システム130へと送信する。別の例では、瞳撮像検出器117がそれらDOE計測サイトそれぞれの瞳像を生成し、生成した瞳像それぞれを示す信号を情報処理システム130へと送信する。
【0073】
ある種の例では各計測サイトの画像が1個だけ生成される。そうした例では各計測サイトの各画像に各画像内画素に係る計測信号値が1個だけ含まれる。ある種の例では、各画素の位置における反射率を撮像リフレクトメータによりある特別な一組の計測システムセッティング(例.波長、偏向、入射角、アジマス角等々)にて計測したものが、当該単一の信号計測値とされる。他のある種の例では、方法200を参照して記述した通り、各計測サイトの画像が複数個生成される。
【0074】
ある種の例では、その画像データが、方法200を参照して記述したものと同じ整列、フィルタリング、サンプリング及び特徴抽出ステップに供される。これらのステップの一部又は全てを用いることは有益であろうが一般には必要でない。その意味でこれらのステップは付随的である。
【0075】
ブロック224では、複数個のDOE計測サイトそれぞれに内在するパラメタ化構造から収集された光が、一種類又は複数種類の非撮像型計測技術に従い検出される。図1に示した一例では、分光型フィールド検出器113が、各計測サイト内で各注目パラメタにより特徴付けられている1個又は複数個の構造から収集された光を検出する。
【0076】
ブロック225では、複数個のDOE計測サイトそれぞれでの検出光を示す1個又は複数個の計測信号が生成される。ある例では、図1に示すように、分光型フィールド検出器113が、各計測サイト内で各注目パラメタにより特徴付けられている1個又は複数個の構造から収集された光を示す、計測信号121を生成する。この例における計測信号は分光スキャタロメトリ信号である。
【0077】
ブロック226では計測信号合成モデルが訓練される。この計測信号合成モデルは、複数個のDOE計測サイトそれぞれの画像を、それら複数個のDOE計測サイトそれぞれにあるパラメタ化構造それぞれの非撮像型計測それぞれに係る一組又は複数組の計測信号に関連付けるものである。この計測信号合成モデルは、1個又は複数個の計測サイトにて計量システムにより生成された画像データを受け取り、複数個のDOE計測サイトそれぞれに内在するパラメタ化構造それぞれの非撮像型計測に係る合成計測信号を直接導出するよう、構造化されている。ある種の実施形態ではその計測信号合成モデルがニューラルネットワークモデルとして実現される。ある例では、そのニューラルネットワークを構成するノードの個数が、画像データから抽出された特徴に基づき選択される。他種の例では、その計測信号合成モデルが線形モデル、多項式モデル、応答曲面モデル、サポートベクタマシンモデルその他の種類のモデルとして実現されよう。ある種の例では、その計測信号合成モデルがモデル複数個の組合せとして実現されよう。ある種の例では、選択されたモデルが、その特徴抽出モデルから導出された次元低減信号集合と、一種類又は複数種類の非撮像型計量技術に依拠し計測された信号と、に基づき訓練される。このモデルは、それらDOE画像により定義されるパラメタばらつき空間内で、全画像に関し、その出力が計測信号にフィットすることとなるよう訓練される。
【0078】
図1に示すように、情報処理システム130は、フィールド撮像検出器114又は瞳撮像検出器117から受け取った各DOE計測サイトの画像毎に、各DOE計測サイト内で計測された各パラメタ化構造に係る計測信号121に対しその出力がフィットすることとなるよう、計測信号合成モデルを訓練する。
【0079】
更なる態様によれば、訓練された計測信号合成モデルを採用することで、一種類又は複数種類のモデル依拠計測技術に係る合成的な非撮像依拠計測信号へと、計測画像を変換することができる。当該一種類又は複数種類のモデル依拠計測技術を採用することで、それら合成信号に基づき構造的注目パラメタの値を推定することができる。
【0080】
図10に、計量システム例えば図1中に描いた本発明の計量システム100による実行に適する方法230を示す。ある態様では、ご認識頂けるように、方法230を構成するデータ処理ブロックは、事前にプログラミングされているアルゴリズムを、情報処理システム130その他の任意な汎用情報処理システムに備わる1個又は複数個のプロセッサによって実行することを通じ、実行することができる。本願にて認識されている通り、計量システム100の具体的な構造的側面は限定を体現するものではなく、専ら例証として解されるべきである。
【0081】
ブロック231では、計測信号合成モデル訓練用画像の生成に採用されたものと同じ画像依拠計量技術又は画像依拠計量技術コンビネーションで以て計測サイトが照明される。この計測サイトはDOE計測サイトのいずれとも異なる計測サイトである。その計測サイトは、1個又は複数個の注目パラメタにより特徴付けられた少なくとも1個の構造のインスタンスを有している。
【0082】
ブロック232では、計測サイトの照明に応じその計測サイトからの成像光が検出される。ある例では、図1に示すフィールド撮像検出器114がその計測サイトにてウェハ107の表面からの成像光を検出する。別の例では、瞳撮像検出器117がその計測サイトにて対物系106の瞳からの成像光を検出する。
【0083】
ブロック233ではその計測サイトの画像が生成される。ある例では、フィールド撮像検出器114がその計測サイトの画像を生成し、生成した画像を示す信号122を情報処理システム130へと送信する。別の例では、瞳撮像検出器117がその計測サイトの瞳像を生成し、生成した瞳像を示す信号を情報処理システム130へと送信する。
【0084】
ある種の例では、その画像データが、方法230を参照して記述したものと同じ整列、フィルタリング、サンプリング及び特徴抽出ステップに供される。これらのステップの一部又は全てを用いることは有益であろうが一般には必要でない。その意味でこれらのステップは付随的である。
【0085】
ブロック234では、訓練された計測信号合成モデルと、その計測サイトの画像と、に基づきその計測サイトに係る一組の合成計測信号が生成される。合成計測信号は、その計測信号合成モデルの訓練に用いられた計測サイトそれぞれにて各注目パラメタにより特徴付けられている同じ1個又は複数個の構造の様々なインスタンスに関連付けられている。ある例では、それら合成計測信号が、図1に示した分光型フィールド検出器113により実行された計測に関連付けられる。
【0086】
ブロック235では、その計測サイトにある少なくとも1個の構造のインスタンスを特徴付ける少なくとも1個の注目パラメタの値が、その計測サイトの非撮像型計測技術による計測のモデルに対する合成計測信号の当てはめに依拠し導出される。ある例では、それら一組の合成信号が情報処理システム130により受信される。情報処理システム130は、モデル依拠計測(例.光学的限界寸法計測)を実行することで、当該一組の合成計測信号に基づき各計測サイトにおける各注目パラメタの値を推定する。
【0087】
ブロック236では、導出された1個又は複数個の注目パラメタの値がメモリ内に格納される。例えば、パラメタ値を計測システム100のメモリ132内等にオンボード格納してもよいし、(例.出力信号140を用い)外部記憶装置へと送信してもよい。
【0088】
別の更なる態様では、注目パラメタの値が、本願記載のシステム及び方法に従いデバイス上構造の画像から導出されよう。ある種の実施形態では、デバイス上構造の画像を用い、本願記載の如く画像依拠SRMモデル又は計測信号合成モデルが訓練される。訓練されたモデルを用い、1個又は複数個の注目パラメタの値を、他ウェハから収集した同じデバイス上構造の画像から直接的に、或いはそれらデバイス上構造の合成信号を介し間接的に、算出することができる。こうした実施形態では特別なターゲットを使用せずにすむ。他のある種の実施形態では、計量ターゲットが用いられそのターゲットのサイズが10μm×10μm未満とされよう。総じて、計量ターゲットを用いる場合、複数個のターゲットを単一画像から計測で捉えることができ、またその計量ターゲットに備わる構造を1個又は複数種類とすることができる。
【0089】
本願記載の方法及びシステムに従い計測された注目パラメタにより特徴付けられる構造の例としては、刻線間隔格子構造、FinFET構造、SRAMメモリ構造、FLASHメモリ構造及びDRAMメモリ構造がある。
【0090】
上述の通り、本願記載の計測方法及びシステムは特別なターゲットという束縛を受けていない。総じて、市販の撮像システムによる撮像時に注目パラメタに対し感度を呈するターゲットであれば、どのようなものでも本願記載の方法及びシステムに従い採用することができる。とはいえ、ある種の例では、市販の撮像システムによる撮像時に注目パラメタに対し高感度を呈する特別な計測ターゲットを採用することが、画像依拠計測性能を向上させうる点で有益とされる。ある種の例では半導体エリアのスクライブライン内に計測ターゲットが配置される。他種の例ではデバイスエリア内に計測ターゲットが配置される。
【0091】
別の更なる態様に係る画像依拠計測モデル訓練方法及びシステムは、訓練済モデルへの到達に必要な諸要素の一部又は全てを自動化する最適化アルゴリズムを有する。
【0092】
ある種の例では、一連の画像フィルタ、それらフィルタのパラメタ、画素サンプリング、特徴抽出モデルの種類、選択されている特徴抽出モデルのパラメタ、計測モデルの種類、選択されている計測モデルの種類等といったパラメタの一部又は全ての最適化により計測性能(コスト関数により定義されるそれ)を高めるよう、最適化アルゴリズムが構成される。最適化アルゴリズムはユーザ定義ヒューリスティクス(経験則)内蔵のものや入れ子型最適化の組合せ(例.組合せ連続最適化)とすることができる。
【0093】
更なる態様では、複数種類のターゲットを含む画像データがモデル構築、訓練及び計測向けに収集される。別々の構造を有しているが同じ処理条件で形成されている複数個のターゲットに係る画像データを用いることで、そのモデルに埋め込まれる情報が増え且つプロセスその他のパラメタばらつきに対する相関が弱まる。とりわけ、1個又は複数個の計測サイトにある複数種類のターゲットの画像を含む訓練データの使用により、注目パラメタ値のより正確な推定が可能となる。ある例では、様々な格子構造又はフィルムパッドが本願記載の如くモデル訓練及び計測向けターゲットとして利用される。
【0094】
別の更なる態様によれば、複数個のターゲットからの信号を処理することで、プロセスばらつきに対する感度を下げ注目パラメタに対する感度を上げることができる。ある種の例では、様々なターゲットの複数個の画像又は画像部分からの信号が互いに減算される。他のある種の例では、様々なターゲットの複数個の画像又は画像部分からの信号がモデルに当てはめられ、その残差を用い本願記載の如くモデルが構築、訓練及び使用される。ある例によれば、二種類のターゲットからの画像信号を減算することで、各計測結果における処理ノイズの影響を排除し又は顕著に低減することができる。別の例によれば、複数個のターゲットからの計測信号を減算することで、各計測結果における下層の影響を排除し又は顕著に低減することができる。複数個のターゲットに係る計測データの使用により、そのモデル中に埋め込まれるサンプル及び処理情報が増加する。総じて、様々なターゲット画像又はターゲット画像部分からの信号間に様々な数学的演算を適用することで、プロセスばらつきに対し低感度で注目パラメタに対し高感度な画像信号を導出することができる。
【0095】
別の更なる態様では、複数種類の計測技術の組合せにより計測を実行することで導出された計測データがモデル構築、訓練及び計測向けに収集される。複数種類の計測技術に係る計測データの使用により、その組合せ信号集合に含まれる情報コンテンツが増え且つプロセスその他のパラメタばらつきに対する相関が弱まる。様々な計測サイトを複数種類の計測技術で計測することによって、注目パラメタの推定に利用可能な計測情報を増強することができる。
【0096】
別の更なる態様では、複数波長での計測結果が本願記載の方法及びシステムによるモデル訓練及び計測向けに組み合わされる。
【0097】
総じて、特徴抽出モデル、画像依拠SRMモデル及び計測信号合成モデルのいずれで処理されるデータもベクトル様式であるので、どのような画像依拠計測技術であれ、また複数種類の画像依拠計測技術のどのような組合せであれ、本件特許出願の技術的範囲内にあるものと認めうる。それらモデルはデータのベクトルに対し作用するので、画像データを構成する各画素は独立に扱われる。加えて、そのデータが二次元画像データであるか、一次元画像データであるかはたまた単一点データであるかによらず、複数通りの計量に由来するデータを連鎖させることができる。
【0098】
本願記載の方法に従いモデル訓練用計測信号及びパラメタ推定用計測モデルの生成に適用することが可能な計測技術の例としては、これに限られるものではないが、一通り又は複数通りの照明角での分光エリプソメトリ例えばミュラー行列エリプソメトリ、分光リフレクトメトリ、角度分解リフレクトメトリ、分光スキャタロメトリ、スキャタロメトリオーバレイ、角度分解や偏向分解のビームプロファイルリフレクトメトリ、ビームプロファイルエリプソメトリ、単一又は複数離散波長エリプソメトリ、単一波長リフレクトメトリ、単一波長エリプソメトリ、透過型小角X線散乱法(TSAXS)、X線小角散乱法(SAXS)、斜入射X線小角散乱法(GISAXS)、X線広角散乱法(WAXS)、X線反射率法(XRR)、X線回折法(XRD)、斜入射X線回折法(GIXRD)、高分解能X線回折法(HRXRD)、X線光電子分光法(XPS)、X線蛍光法(XRF)、斜入射X線蛍光法(GIXRF)、X線断層撮像法、X線エリプソメトリ、走査型電子顕微鏡、トンネリング電子顕微鏡及び原子間力顕微鏡がある。上掲の計量技術は、いずれも、スタンドアロン計測システムの一部として別々に実行することや、それらを組み合わせて統合型計測システムにすることができる。総じて、様々な計測技術により収集され本願記載の方法に従い分析される計測データは、複数種類の技術が統合された単一のツールよりは複数個のツールで収集した方がよい。
【0099】
別の更なる態様によれば、複数通りの計量法で計測された信号を処理することで、プロセスばらつきに対する感度を下げ注目パラメタに対する感度を上げることができる。ある種の例では、複数種類の計量法で計測されたターゲットの画像又は画像部分からの信号が互いに減算される。他のある種の例では、複数種類の計量法で計測されたターゲットの画像又は画像部分からの信号がモデルに当てはめられ、その残差を用い本願記載の如く画像依拠計測モデルが構築、訓練及び使用される。ある例によれば、二種類の計量法で計測されたターゲットからの画像信号を減算することで、各計測結果におけるプロセスノイズの影響を排除し又は顕著に低減することができる。総じて、複数種類の計量法で計測されたターゲット画像又はターゲット画像部分からの信号間に様々な数学的演算を適用することで、プロセスばらつきに対し低感度で注目パラメタに対し高感度な画像信号を導出することができる。
【0100】
総じて、複数個のターゲットをそれぞれ複数種類の計量技術により計測して画像信号を得ることで、それら信号の組合せ集合に含まれる情報コンテンツが増え且つプロセスその他のパラメタばらつきに対するオーバレイ相関が弱まる。
【0101】
別の更なる態様では、画像データ及び非撮像データが計測ターゲット、例えば専用の計量ターゲット、デバイス構造又はプロキシ構造でありウェハ上のフィールド又はダイエリア内かスクライブライン内で見いだされるものから、収集されよう。
【0102】
ある種の例では、本願記載の計測方法が、米国カリフォルニア州ミルピタス所在のケーエルエー−テンカー コーポレイションから入手可能なSpectraShape(商品名)光学限界寸法計量システムの一構成要素として実行される。
【0103】
他のある種の例では、本願記載の計測方法が、米国カリフォルニア州ミルピタス所在のケーエルエー−テンカー コーポレイションから入手可能なAcuShape(登録商標)ソフトウェアを情報処理システムにより実行することでオフライン実行される。
【0104】
更に別の態様では、本願記載の計測結果を用い、プロセスツール(例.リソグラフィツール、エッチングツール、堆積ツール等々)に能動フィードバックをかけることができる。例えば、本願記載の方法を用い導出されたオーバレイ誤差値をリソグラフィツールに送信し、所望出力が得られるようそのリソグラフィシステムを調整することができる。同様にしてエッチングパラメタ(例.エッチング時間、拡散率等々)や堆積パラメタ(例.時間、濃度等々)を計測モデルに組み込み、それぞれエッチングツールや堆積ツールへの能動フィードバックをかけるようにしてもよい。
【0105】
一般に、本願記載のシステム及び方法は、オフライン又はオンツール計測用計測モデル準備プロセスの一部として実現・実行することができる。加えて、その計測モデルにより1個又は複数個のターゲット構造、デバイス構造及び計測サイトを記述することができる。
【0106】
更なる態様では、本願記載の如くモデル訓練及び計測に利用される画像が、フィールド内の様々な位置の複数個の部分画像を線形又は非線形変換することでもたらされる。
【0107】
別の更なる態様では、本願記載の如くモデル訓練及び計測に利用される画像が、様々なフィールド内の様々な位置の複数個の部分画像を線形又は非線形変換することでもたらされる。
【0108】
別の更なる態様では、本願記載の如くモデル訓練及び計測に利用される画像が、フィールド内の様々な位置の複数個の部分画像を線形又は非線形変換することでもたらされ、モデル訓練に用いられる非撮像計測信号(例.スキャタロメトリ信号)が、そのフィールド内の様々な計測位置に関連付けされる。
【0109】
更なる実施形態によれば、システム100に1個又は複数個の情報処理システム130を組み込み、それを利用し本願記載の方法に従い計測を実行することができる。当該1個又は複数個の情報処理システム130はシステム100に備わる検出器に可通信結合させうる。ある態様では、当該1個又は複数個の情報処理システム130が、標本107に備わる構造の計測に係る計測データを受け取るように構成される。
【0110】
ご認識頂くべきことに、本件開示の随所で述べられている諸ステップは、単一のコンピュータシステム130により実行することも複数個のコンピュータシステム130により実行することも可能である。更に、本システム100の様々なサブシステム、例えばスキャタロメータ及びビームプロファイルリフレクトメータには、本願記載の諸ステップのうち少なくとも一部を実行するのに適したコンピュータシステムを組み込むことができる。従って、上掲の記述は本発明に対する限定としてではなく単なる例証として解されるべきである。更に、当該1個又は複数個の情報処理システム130を、本願記載の方法実施形態のうち任意のものの任意の他ステップを実行しうるように構成することができる。
【0111】
加えて、コンピュータシステム130は、システム100に備わる検出器に、本件技術分野で既知なあらゆる形態で可通信結合させることができる。例えば、上記1個又は複数個の情報処理システム130を、システム100に備わる検出器に係る情報処理システムに結合させるとよい。また例えば、それら検出器を、コンピュータシステム130に結合されている単一のコンピュータシステムにより直接制御してもよい。
【0112】
本計量システム100のコンピュータシステム130は、伝送媒体例えば有線区間及び/又は無線区間を有するそれにより本システムのサブシステム(例.検出器113、114及び117等)からデータ又は情報を受信及び/又は取得しうるよう構成することができる。このようにして、その伝送媒体を、コンピュータシステム130と、本システム100の他サブシステムと、の間のデータリンクとして働かせるとよい。
【0113】
システム100のコンピュータシステム130は、伝送媒体例えば有線区間及び/又は無線区間を有するそれにより他システムからデータ又は情報(例.計測結果、モデリング入力、モデリング結果等々)を受信及び/又は取得しうるよう構成することができる。このようにして、その伝送媒体を、コンピュータシステム130と、他システム(例.計量システム100のオンボードメモリ、外部メモリその他の外部システム)と、の間のデータリンクとして働かせるとよい。例えば、その情報処理システム130を、データリンクを介し格納媒体(即ちメモリ132又は外部メモリ)から計測データを受け取るよう構成することができる。例えば、スペクトロメータ113を用いて取得した分光計測結果を恒久的又は半恒久的記憶装置(例.メモリ132又は外部メモリ)に格納するようにするとよい。これにより、その分光結果をオンボードメモリから又は外部メモリシステムからインポートすることが可能となる。更に、そのコンピュータシステム130により伝送媒体を介し他システムへとデータを送信することができる。例えば、コンピュータシステム130により導出されたパラメタ値140を送信し外部メモリに格納するとよい。これにより、計測結果を更に他のシステムへとエキスポートすることが可能となる。
【0114】
情報処理システム130には、これに限られるものではないが、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、パラレルプロセッサその他、本件技術分野で既知なあらゆる装置が包括されうる。一般に、語「情報処理システム」は、記憶媒体から得た命令を実行するプロセッサを1個又は複数個有するデバイス全てが包括されるよう、広く定義することができる。
【0115】
方法例えば本願記載のそれを実行するためのプログラム命令134を、伝送媒体例えばワイヤ、ケーブル又は無線伝送リンク上で伝送することが可能である。例えば、図1中に描かれているように、メモリ132に格納されているプログラム命令134がバス133上でプロセッサ131へと伝送される。プログラム命令134はコンピュータ可読媒体(例.メモリ132)に格納される。コンピュータ可読媒体の例としてはリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク、光ディスク及び磁気テープがある。
【0116】
本願記載の語「限界寸法」には、構造のあらゆる限界寸法(例.下部限界寸法、中部限界寸法、上部限界寸法、側壁角、格子高さ等々)、任意の2個以上の構造間の限界寸法(例.2個の構造間の距離)、並びに2個以上の構造間の位置ずれ(例.重なり合う格子構造間のオーバレイ位置ずれ等々)が包括される。構造の例としては三次元構造、パターン付構造、オーバレイ構造等々がある。
【0117】
本願記載の語「限界寸法アプリケーション」や「限界寸法計測アプリケーション」にはあらゆる限界寸法計測が包括される。
【0118】
本願記載の語「計量システム」には、限界寸法計量、オーバレイ計量、焦点/ドーズ計量及び組成計量等の計測アプリケーションを含め、任意の態様での標本の特徴付けに少なくとも部分的に採用される、あらゆるシステムが包括される。とはいえ、これらの技術用語により本願記載の語「計量システム」の範囲が制限されるわけではない。加えて、計量システム100はパターニング済ウェハ及び/又は未パターニングウェハの計測向けに構成することができる。この計量システムはLED検査ツール、エッジ検査ツール、背面検査ツール、マクロ検査ツール又はマルチモード検査ツール(1個又は複数個のプラットフォームからの同時データ取得を伴うもの)や、限界寸法データに基づくシステムパラメタの校正から利を受ける他のあらゆる計量又は検査ツールとして、構成することができる。
【0119】
本願中には、標本の処理に使用可能な半導体処理システム(例.検査システムやリソグラフィシステム)に関し様々な実施形態が述べられている。本願では、語「標本」が、本件技術分野で既知な手段により処理(例.印刷又は欠陥検査)可能なウェハ、レティクルその他のあらゆるサンプルを指す趣旨で用いられている。
【0120】
本願中の用語「ウェハ」は、総じて、半導体又は非半導体素材で形成された基板を指している。その素材の例としては、これに限られるものではないが、単結晶シリコン、ヒ化ガリウム及び燐化インジウムがある。そうした基板は半導体製造設備にて目にし及び/又は処理されることが多い。場合によってはウェハが基板のみで構成されよう(いわゆるベアウェハ)。そうではなく、ウェハが、基板上に別の素材で形成された1個又は複数個の層を有していることもある。ウェハ上に形成される1個又は複数個の層が「パターニング」されていることも「未パターニング」なこともありうる。例えば、可反復なパターン特徴を有するダイが複数個、ウェハ内に存することもありうる。
【0121】
「レティクル」は、レティクル製造プロセスのいずれかの段階にあるレティクルでもレティクルの完成品でもよく、また半導体製造設備での使用向けにリリースされているものでもされていないものでもよい。レティクル或いは「マスク」は、一般に、その上にほぼ不透明な領域が形成されておりその領域がパターンをなしているほぼ透明な基板として定義される。その基板は、例えば、ガラス素材例えばアモルファスSiOを含有する。リソグラフィプロセスのうち露出工程の間、レジストで覆われたウェハ上にレティクルを配することで、そのレティクル上のパターンをそのレジストへと転写することができる。
【0122】
ウェハ上に形成される1個又は複数個の層がパターニングされていることも未パターニングなこともありうる。例えば、それぞれ可反復なパターン特徴を有するダイが複数個、ウェハ内に存することもありうる。そうした素材層の形成及び処理によって、最終的にはデバイスの完成品を得ることができる。多種類のデバイスをウェハ上に形成しうるところ、本願中の用語ウェハは、本件技術分野で既知な任意種類のデバイスがその上に作り込まれるウェハを包括する趣旨のものである。
【0123】
1個又は複数個の例示的実施形態では、上述の機能がハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの任意の組合せの態で実現されうる。ソフトウェアの態で実現する際には、それらの機能が1個又は複数個の命令又はコードとしてコンピュータ可読媒体上に格納され又はその媒体上で伝送される。コンピュータ可読媒体には、コンピュータプログラムをある場所から別の場所へと転送するのに役立つあらゆる媒体を含め、コンピュータ格納媒体及び通信媒体双方が包括される。格納媒体は、汎用又は専用コンピュータによるアクセスが可能な入手可能媒体であれば、どのような媒体でもよい。限定としてではなく例として言うなら、そうしたコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMその他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージその他の磁気格納装置をはじめ、命令又はデータ構造の形態での所望のプログラムコード手段の搬送又は格納に使用することが可能で、且つ汎用又は専用コンピュータ或いは汎用又は専用プロセッサがアクセスすることが可能な、任意の媒体を以て構成することができる。また、どのような接続であれコンピュータ可読媒体と称して差し支えない。例えば、ソフトウェアをウェブサイト、サーバその他のリモートソースから送信するに当たり同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、ディジタル加入者線(DSL)又は無線技術例えば赤外線、無線周波数若しくはマイクロ波が用いられるのであれば、それら同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL又は無線技術例えば赤外線、無線周波数若しくはマイクロ波は媒体の定義に収まる。本願中の用語ディスク(disk and disc)には、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、ディジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピーディスク及びブルーレイ(登録商標)ディスクを含め、通常はデータが磁気的に再生されるディスク(disk)及びレーザで以て光学的に再生されるディスク(disc)が包括される。上掲のものの組合せもまたコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれることとなろう。
【0124】
教示目的である特定の諸実施形態につき上述してきたが、本件特許出願の教示は一般的な適用可能性を有するものであり、上述の具体的諸実施形態に限定されるものではない。従って、上述の諸実施形態の諸特徴については、特許請求の範囲中に示す本発明の技術的範囲から離隔することなく、様々な修正、適合化並びに組合せを実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10