【0019】
亜硝酸塩としては、亜硝酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、重金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
亜硝酸アルカリ金属塩として、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸セシウム等が挙げられる。
亜硝酸アルカリ土類金属塩として、例えば、亜硝酸カルシウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸ストロンチウム等が挙げられる。
亜硝酸重金属塩として、例えば、亜硝酸ニッケル、亜硝酸銅、亜硝酸銀、亜硝酸亜鉛、亜硝酸タリウム等が挙げられる。
これらは、1種で又は2種以上を組み合わせて用いることが可能であるが、入手の容易さ、経済性、取り扱い性、環境に対する影響の観点から、亜硝酸ナトリウムを用いることが好ましい。
【0020】
硝酸塩としては、硝酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、重金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
硝酸アルカリ金属塩として、例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸セシウム等が挙げられる。
硝酸アルカリ土類金属塩として、例えば、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、硝酸ストロンチウム等が挙げられる。
硝酸重金属塩として、例えば、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸銀、硝酸亜鉛、硝酸タリウム、硝酸鉄(硝酸第一鉄/硝酸第二鉄等)等が挙げられる。
これらは、1種で又は2種以上を組み合わせて用いることが可能であるが、入手の容易さ、経済性、取り扱い性、環境に対する影響の観点から、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸アンモニウムおよびこれらの複合塩を用いることが好ましい。
【実施例】
【0029】
以下に実験例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。以下において、「%」は「質量%」を示す。
【0030】
[実験例1]
亜硝酸ナトリウム(亜硝酸Na)と硝酸カルシウム(硝酸Ca)とを各々の濃度を変えて水に溶解させた水溶液を調製した。水溶液の調製は、スターラー撹拌しながら、水に亜硝酸Naを添加した後、NaOHを添加し、次いで、分散剤(バイエル社製「バイヒビットAM」)を添加し、その後硝酸Ca塩を添加することで行った。
NaOHは亜硝酸の分解抑制のために、pHが7.5〜8.5となるように添加した。分散剤は0.01質量%添加した。
【0031】
このようにして水溶液を調製する際に、不溶化して均一な水溶液を調製できない場合、或いは、−5℃で1日放置すると析出が起こるものの亜硝酸Naと硝酸Caの配合濃度の分布を
図1に×で示した。また、均一な水溶液を調製することができ、−5℃で1日放置して析出が起こらない亜硝酸Naと硝酸Caの配合濃度の分布を
図1に○で示した。
【0032】
図1より、亜硝酸Na10〜37%、硝酸Ca10〜45%の範囲に、析出の起こらない安定な領域が存在することが分かる。各条件のイオン積が、亜硝酸Naと硝酸Na、硝酸Caの溶解度から計算される3つの溶解度積(0℃)を超えたケースのほとんどで、1日後に析出がみられた。
【0033】
図1に示された析出の起こらない配合において、有効成分比(40%亜硝酸Naの亜硝酸Naの重量モル濃度(0.58mol/100g)に対する、調製した水溶液中の亜硝酸Naの亜硝酸イオン換算の重量モル濃度と硝酸Caの硝酸イオン換算の重量モル濃度の合計の割合)を算出し、亜硝酸Na濃度との関係を
図2に示した。
【0034】
図2より、亜硝酸Na濃度10%でも有効成分比を1.2倍に高めることができ、亜硝酸Na濃度約20〜30%において、有効成分比を約1.3倍に高めることができることが分かる。
【0035】
放置温度を室温にした場合に、析出の起こらない配合において、有効成分比(40%亜硝酸Naの亜硝酸Naの重量モル濃度(0.58mol/100g)に対する、調製した水溶液中の亜硝酸Naの亜硝酸イオン換算の重量モル濃度と硝酸Caの硝酸イオン換算の重量モル濃度の合計の割合)を算出し、亜硝酸Na濃度との関係を
図3に示した。
図3より、室温においては、亜硝酸Na濃度10%でも有効成分比を1.2倍に高めることができ、亜硝酸Na濃度約16〜26%において、有効成分比を約1.4倍に高めることができることが分かる。
【0036】
[実施例1,2、比較例1]
下記性状の重力濃縮汚泥とベルト濃縮汚泥の4:1の混合汚泥(pH6.5)を試験汚泥として、消臭試験を行った。
【0037】
【表1】
【0038】
<消臭剤>
消臭剤としては、以下のものを用いた。
消臭剤I:亜硝酸Na40%、残部水の水溶液(比較例1)
消臭剤II:亜硝酸Na18%、硝酸Ca42%、残部水の水溶液(有効成分比1.33対40%亜硝酸Na)(実施例1)
消臭剤III:亜硝酸Na30%、硝酸Ca26%、残部水の水溶液(有効成分比1.30対40%亜硝酸Na)(実施例2)
消臭剤
II,
IIIは、実験例1と同様の手順で調製した。
【0039】
<試験方法>
試験は以下の手順で行った。
(1) 30℃に調節した試験汚泥500mLを500mLポリビンに採取した。
(2) 各消臭剤を150mg/L、200mg/L、250mg/L、350mg/L又は450mg/L添加し、薬さじで攪拌した。
(3) ポリビンを密封し、30℃の恒温槽に保管した。
(4) 汚泥から発生する硫化水素濃度を、以下の方法で定期的に測定した。
<硫化水素濃度の測定>
(1)500mLポリビンに汚泥50mLを採取し、開閉式の細孔を設けた蓋で密閉した。
(2) 振とう機にて2分間、200rpmで強く振とうした。
(3) 細孔に検知管を差込み、ポリビン空隙に充満した臭気物質濃度を検知管法で測定した。
【0040】
ブランクとして、消臭剤を添加せずに上記と同様の試験を行った。
【0041】
試験結果を下記表2(表2A,表2B),表3に示す。表2,3中の略号は以下の通りである。
H
2S:硫化水素
MM:メチルメルカプタン
ND:検知されない
TR:検知限界程度(検知限界:1ppm)
また、実施例2と比較例1の硫化水素濃度の経時変化を
図4に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
実施例1,2及び比較例1の結果から、本発明の消臭剤は、有効成分濃度が高く、消臭効果及びその持続性に優れることが分かる。
なお、表2は低濃度(150〜250mg/L)、短時間のテスト結果であり、NO
2−濃度及びNO
3−濃度の合計は150mg/Lの添加において1時間後で比較例1が1mg/Lであったのに対し、実施例1では、11mg/L、実施例2で6mg/Lと、高い残留性を示した。その結果、3時間後のH
2S濃度は比較例1の14ppmに対して、実施例1,2ではいずれもNDと低い値になっている。すなわち、比較例1の持続効果1時間を実施例1,2では3時間まで高めることができた。
表3は高濃度(250〜450mg/L)、長時間のテスト結果であり、実施例1は比較例1との差はなかったが、実施例2は450mg/Lの添加において、20時間後までNO
2−濃度及びNO
3−濃度の合計は18mg/Lの残留がみられ、比較例1の持続効果が20時間なのに対し、24時間以上を達成した。