(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属層を形成する工程において、前記半導体構造の前記第1基板が設けられた側と反対側に前記金属層を形成する請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の発光素子の製造方法。
前記第1基板を除去する工程と前記複数の発光素子に個片化する工程との間に、平面視において、前記個片化予定線に対応する領域に、前記半導体構造を厚さ方向に貫通する溝部を形成することで、前記複数の発光素子領域のそれぞれに対応するように、前記半導体構造を複数の半導体部に分離する工程を有する請求項2に記載の発光素子の製造方法。
前記金属層を形成する工程において、前記発光素子領域に形成された前記金属層が、隣接して配置される他の前記発光素子領域に形成された前記金属層と部分的に繋がっている請求項1または請求項3に記載の発光素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る発光素子の製造方法について説明する。
なお、以下の説明において参照する図面は、実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、平面図とその断面図において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。
また、本明細書において、「上」、「下」などは構成要素間の相対的な位置を示すものであって、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。
【0010】
<第1実施形態>
[発光素子の構成]
第1実施形態に係る製造方法についての理解を容易にするために、まず、
図1A〜
図1Cを参照して、第1実施形態に係る発光素子の製造方法によって製造される発光素子1の構成について説明する。その後、
図2〜
図3Jを参照して、第1実施形態に係る発光素子の製造方法について説明する。
なお、第2実施形態、第3実施形態についても、同様の目的で、発光素子の構成を説明した後で、発光素子の製造方法について説明する。
【0011】
発光素子1は、平面視で略正方形に形成されている。発光素子1は、上面側電極13及び下面側電極14を備えた半導体構造12と第2基板23との間に第2金属層18が位置し、半導体構造12と第2基板23とは、接合部材20,21を介して接合されている。第2金属層18は、平面視で、半導体構造12が設けられた領域を包含する領域に設けられている。換言すると、半導体構造12は、第2金属層18の外縁よりも内側において、第2金属層18と完全に重なるように設けられている。更に、第2金属層18は、発光素子1の外縁には設けられていない。また、第2基板23は、半導体構造12を支持するための支持基板であり、半導体構造12をエピタキシャル成長によって形成する際に用いられる第1基板11(
図3A参照)は除去されている。
【0012】
半導体構造12は、下層側から順にp側半導体層12p、活性層12a及びn側半導体層12nが積層されたものであり、LED(発光ダイオード)として機能する。半導体構造12は、上層側のn側半導体層12nと接するように上面側電極13が設けられ、下層側のp側半導体層12pと接するように下面側電極14が設けられている。また、半導体構造12は、平面視で略正方形であり、発光素子1の外縁よりも内側に設けられている。半導体構造12は、側面が傾斜して設けられており、断面視で台形状を有している。また、半導体構造12は、上面及び側面が、上面側電極13が設けられた領域を除き、保護膜16で被覆されている。
【0013】
なお、半導体構造12の上面側に凹凸構造を設けるようにしてもよい。これによって、光取り出し効率を高めることができる。
半導体構造12において、n側半導体層12n、活性層12a及びp側半導体層12pは、In
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)などの窒化物半導体が用いられる。
【0014】
上面側電極13は、半導体構造12の上層部として設けられているn側半導体層12nの上面に設けられており、n側半導体層12nと電気的に接続されるn側電極である。n側半導体層12nの上面には、2つの上面側電極13が設けられており、それぞれが平面視で略円形の外部接続部13aと、外部接続部13aから左右に延伸する補助部13bとから構成されている。外部接続部13aは、外部と接続するためのパッド電極であり、中心から左側又は右側に寄った位置に設けられている。また、補助部13bは、外部接続部13aに供給される電流を半導体構造12の面方向に効率的に拡散するための補助電極である。また、本実施形態では、同形状の2つの上面側電極13が設けられており、平面視で発光素子1の中心に対して互いに点対称となる位置に配置されている。
【0015】
下面側電極14は、半導体構造12の下層部として設けられているp側半導体層12pの下面と電気的に接続されるp側電極である。下面側電極14は、平面視で、p側半導体層12pが設けられている領域と略同じ領域に設けられている。また、下面側電極14は、平面視で、上面側電極13が設けられている領域と重複しないように設けられている。また、下面側電極14は、発光素子1の外縁領域には設けられていない。
また、下面側電極14と同層において、下面側電極14が設けられていない領域には、絶縁膜15が下面側電極14と略同じ厚さで設けられている。すなわち、下面側電極14と絶縁膜15とは同層の面内で相補的に設けられている。
【0016】
上面側電極13と下面側電極14とは、平面視で一部又は全部が重なるように設けてもよいが、重ならないように配置することがより好ましい。これによって、上面側電極13と下面側電極14との間に流れる電流を、半導体構造12の面方向により効率よく拡散させることができ、その結果として、発光素子1の発光効率を高めることができる。
【0017】
第2金属層(金属層)18は、半導体構造12と第2基板23との間において、平面視で半導体構造12を包含する領域に設けられている。また、第2金属層18は、平面視で、発光素子1の外縁領域には設けられていない。
【0018】
第1金属層17は、下面側電極14及び絶縁膜15からなる層と第2金属層18との間に設けられ、下面側電極14及び絶縁膜15と第2金属層18との密着性を向上させるために設けられるものである。また、第3金属層19は、第2金属層18と接合部材20との間に設けられ、第2金属層18と接合部材20との密着性を向上させるために設けられるものである。また、第3金属層19は、第2金属層18よりも広い範囲まで設けられており、端部が第1金属層17と接している。つまり、第2金属層18の全体は、第1金属層17と第3金属層19とによって覆われている。このため、第1金属層17及び第3金属層19は、第2金属層18の材料に対するバリア層としても機能することができる。
【0019】
接合部材20は、第3金属層19の下面側に設けられ、半導体構造12のp側半導体層12p側に第2基板23を接合する際に、半導体構造12側に設けられる接合材料の層である。また、接合部材21は、第4金属層22の上面側に設けられ、半導体構造12のp側半導体層12p側に第2基板23を接合する際に、第2基板23側に設けられる接合材料の層である。
【0020】
また、発光素子1の平面視形状は正方形に限らず、長方形、六角形などの多角形、円形などであってもよい。また、上面側電極13の平面視形状や配置位置、配置数などは、前記した形態に限定されるものではない。
【0021】
[発光素子の製造方法]
次に、
図2〜
図3Jを参照して、本実施形態に係る発光素子の製造方法について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る発光素子の製造方法は、半導体構造形成工程S10と、下面側電極形成工程S11と、第2基板準備工程S12と、金属層形成工程S13と、接合部材配置工程S14と、第2基板接合工程S15と、第1基板除去工程S16と、半導体構造分離工程S17と、上面側電極及び保護膜形成工程S18と、個片化工程S19と、を含む。
【0022】
半導体構造形成工程S10は、
図3Aに示すように、第1基板11上にn側半導体層12n、活性層12a及びp側半導体層12pを順次積層して半導体構造12を形成する工程である。第1基板11は、半導体構造12をMOCVD(有機金属気相成長)法などによりエピタキシャル成長させるための成長基板である。第1基板11には、半導体構造12に窒化物半導体を用いる場合は、サファイア基板やSi基板を用いることができる。
【0023】
下面側電極形成工程S11は、
図3Bに示すように、半導体構造12の上面、すなわちp側半導体層12pの上面に、下面側電極14を形成する工程である。また、この工程において、p側半導体層12pの上面の下面側電極14が設けられない領域に絶縁膜15を形成する。下面側電極14及び絶縁膜15は、スパッタリング法などによって形成することができる。
なお、下面側電極14と絶縁膜15とは、何れを先に形成してもよい。
【0024】
下面側電極14には、例えば、Rh、Ag、Ni、Au、Ti、Al、Ptなどの金属又はこれらの金属の合金を用いることができる。下面側電極14は、単層でもよく、多層構造としてもよい。特にp側半導体層12pと接する層は、オーミック接触が得られ、密着性及び光反射性が良好な材料を用いることが好ましい。
絶縁膜15には、例えば、SiO
2,Nb
2O
5,Al
2O
3,ZrO
2,TiO
2などの酸化膜や、AlN,SiNなどの窒化膜などを用いることができる。
【0025】
第2基板準備工程S12は、半導体構造12の第1基板11が設けられた側と反対側において、後の工程である第2基板接合工程S15で半導体構造12と接合される第2基板23(
図3E参照)を準備する工程である。
【0026】
第2基板23としては、Si,Mo,CuW,AlN,ガラスなどからなる金属基板やセラミックス基板を用いることができる。導電性材料を用いる場合は、第2基板23を外部と接続するための端子とすることができる。
第2基板23の厚さは、半導体構造12を支持するための支持基板として十分な剛性が得られればよく、50μm〜500μm程度とすることができる。
【0027】
金属層形成工程S13は、半導体構造12の第1基板11が設けられた側と反対側、及び第2基板23の半導体構造12と接合される側の、少なくとも一方に第2金属層18を形成する工程である。本実施形態では、
図3C及び
図3Dに示すように、第2金属層18は、半導体構造12側に形成される。具体的には、第2金属層18は、下面側電極14及び絶縁膜15の上面に、密着層である第1金属層17を介して形成される。また、本工程において、第2金属層18の上面側に、更に第3金属層19が形成される。
第1金属層17,第2金属層18及び第3金属層19は、スパッタリング法などによって形成することができる。
【0028】
第2金属層18は、平面視で、半導体構造12を発光素子領域ごとに分離した後の配置領域である半導体部12bを包含し、個片化予定線BD上に設けないように形成することが好ましい。個片化予定線BD上に第2金属層18を設けないことで、互いに隣接する発光素子領域の第2金属層18の間には段差が生じる。この段差は、第3金属層19や接合部材20が形成された後でも解消されないことがある。第2金属層18が、特に後記する半導体構造分離工程S17で半導体構造12が分離された後の半導体部12bよりも狭い領域に形成されると、接合面の間に、この段差による空隙が生じる。このため、後記する第2基板接合工程S15において、半導体部12bと第2基板23との密着性が低下することがある。半導体部12bを包含するように、第2金属層18を配置することで、半導体部12bと第2基板23との密着性を高めることができる。
【0029】
第2金属層18は、接合部材20,21に対して半導体構造12側に設けているが、第2金属層18は半導体構造12と第2基板23との間に設けられていればよく、接合部材20,21に対して第2基板23側に設けるようにしてもよい。特に第2金属層18を半導体構造12側に設けると、第2基板23側に設ける場合よりも、個片化予定線BDや半導体部12bに対して高い位置精度で第2金属層18を形成することができる。また、第2金属層18を半導体構造12側に設けることで、接合時に生じる内部応力がより低減されて、半導体構造12と第2基板23とをより密着性よく接合することができる。
【0030】
第2金属層18は、半導体構造12と第2基板23とを、接合部材20,21を用いて加熱圧接して接合した後に、半導体構造12と接合部材20,21との熱膨張係数の違いから生じる応力によって発生する接合体の反りを低減するために設けられる。接合部材20,21として用いられる材料は、半導体構造12として一般的に用いられる半導体材料に比べて熱膨張係数が大きい。このため、接合部材20,21が加熱後に冷却されて収縮することで発光素子1に生じる内部応力を低減するために、第2金属層18は、接合部材20,21よりも熱膨張係数が小さい材料が用いられる。
【0031】
第2金属層18としては、例えば、W,TiW,Mo,Ta又はこれらの金属の層を含有する積層体を挙げることができ、特にWを主成分とすることが好ましい。また、第2金属層18の膜厚は、200nm〜1000nm程度とすることができる。
【0032】
第1金属層17及び第3金属層19としては、下面側電極14、絶縁膜15、接合部材20及び第2金属層18との密着性が良好な材料を用いることができる。例えば、Tiを挙げることができる。また、第1金属層17及び第3金属層19の膜厚は、10nm〜1000nm程度とすることができる。
なお、第1金属層17及び第3金属層19は、その一方又は両方を省略してもよい。
【0033】
第2金属層18の前記した材料は、硬度や融点が比較的高いため、後記する個片化工程S19において、ブレードダイシングやレーザダイシングなどのダイシング法によって効率よく切断することが難しい。本実施形態では、第2金属層18が発光素子1の外縁領域に設けられていない。このため、発光素子1を個片化する際に第2金属層18を切断する必要がなく、発光素子1の個片化を容易に行うことができる。
【0034】
接合部材配置工程S14は、
図3Eに示すように、接合部材20及び接合部材21を、それぞれ半導体構造12の接合面側である第3金属層19上及び第2基板23の接合面側に形成する工程である。接合部材20,21は、一方のみを設けるようにしてもよいが、より良好な接合性が得られるように両方を設けることが好ましい。
なお、本実施形態では、接合部材21は、密着層である第4金属層22を介して第2基板23側に設けられる。
【0035】
接合部材20,21及び第4金属層22は、スパッタリング法などによって形成することができる。
また、接合部材20は、金属層形成工程S13において、第3金属層19を形成後に続けて形成するようにしてもよい。また、接合部材21は、第2基板準備工程S12において第4金属層22を形成する際に形成するようにしてもよい。
【0036】
接合部材20,21には、NiSn,AuSn,PbSn,Au,AuGe,AuZnなどの比較的低融点の金属材料を用いることが好ましい。また、接合部材20,21として、熱硬化性樹脂に導電性粒子を含有させた異方性導電接着剤を用いることもできる。
第4金属層22は、第2基板23と接合部材21との間に設けられ、第2基板23と接合部材21との密着性を向上させるために設けられる。第4金属層22には、前記した第1金属層17及び第3金属層19と同様の材料を用いて、同様の膜厚で形成することができる。なお、第4金属層22は省略することができる。
【0037】
第2基板接合工程S15は、
図3Fに示すように、半導体構造12と第2基板23とを、接合部材20,21を介在させて貼り合わせ、半導体構造12と第2基板23とを接合する工程である。接合部材20,21同士を互いに接合させるために、例えば、加熱工程を行っても良い。接合時の加熱温度は、用いる接合部材20,21が、金属の場合はその融点、異方性導電接着剤の場合は熱硬化性樹脂の硬化温度のように、接合に必要な温度に応じて定めることができる。
【0038】
第1基板除去工程S16は、
図3Gに示すように、第1基板11を半導体構造12から除去する工程である。具体的には、第1基板11は、レーザリフトオフ法やエッチングなどによって、半導体構造12から剥離させることで除去することができる。
【0039】
半導体構造分離工程S17は、
図3Hに示すように、半導体構造12を、個片化予定線BDで区切られた発光素子領域それぞれに対応するように、複数の半導体部12bに分離する工程である。
なお、
図3H〜
図3Jにおいては、
図3A〜
図3Gに対して、便宜上、半導体構造12の積層順が上下反転するように示している。従って、
図3H〜
図3Jにおいて、半導体構造12の最上層がn側半導体層12nとなるように示している。
【0040】
半導体構造分離工程S17において、具体的には、半導体構造12の個片化予定線BDに対応する領域に、半導体構造12を厚さ方向に貫通する溝部12cを形成することで、複数の発光素子領域それぞれに対応する半導体部12bが予め定められた領域に残されるように分離する。
溝部12cは、レジストマスクを用いて、半導体構造12をエッチングすることで形成することができる。
また、半導体構造12を分離する前又は分離した後で、半導体構造12の上面をエッチングすることで粗面化し、凹凸構造を形成するようにしてもよい。
【0041】
上面側電極及び保護膜形成工程S18は、
図3Iに示すように、半導体構造12の上面に上面側電極13を形成するとともに、半導体構造12の上面を被覆する保護膜16を形成する工程である。
上面側電極13及び保護膜16は、スパッタリング法などで形成することができる。上面側電極13と保護膜16とは、何れを先に形成するようにしてもよい。
【0042】
上面側電極13には、前記した下面側電極14と同様の材料及び構成を使用することができる。また、上面側電極13の最上層は、パッド電極としてワイヤボンディングなどに適したAu、Al、又は白金族金属などを用いることが好ましい。
保護膜16には、透光性の良好な材料を用いることができ、具体的には絶縁膜15と同様の前記した材料を用いることができる。
【0043】
個片化工程S19は、
図3Jに示すように、複数の発光素子1に個片化する工程である。より詳細には、半導体構造12と第2基板23とが接合された接合体を、複数の発光素子領域に区画する仮想線である個片化予定線BDに沿って分割することで、複数の発光素子1に個片化する。個片化予定線BDに沿った分割は、ブレードダイシングやレーザダイシングなどのダイシング法などによって行うことができる。このとき、前記した接合体において、保護膜16、絶縁膜15、第1金属層17、第3金属層19、接合部材20,21、第4金属層22及び第2基板23が切断されるが、個片化予定線BD上に第2金属層18が設けられていないため、容易に個片化することができる。
以上の工程を行うことで、発光素子1を製造することができる。
【0044】
<第2実施形態>
[発光素子の構造]
次に、
図4を参照して、第2実施形態に係る製造方法で製造される発光素子1Aの構成について説明する。
発光素子1Aは、第1実施形態における発光素子1に対して、第2金属層18に代えて、第2金属層18Aを備えることが異なる。
なお、発光素子1Aにおける他の構成は発光素子1と同様であるから、説明は省略する。
【0045】
図4に示すように、発光素子1Aにおける第2金属層18Aは、平面視で半導体構造12を包含し、発光素子1Aの外縁よりも内側の領域に設けられている主部18Aaと、主部18Aaの一部から外縁まで延伸する延伸部18Abとから構成されている。より具体的には、第2金属層18Aは、第1実施形態に係る発光素子1における第2金属層18と同じ範囲に配置され、平面視で正方形の主部18Aaと、当該正方形の4つの角部のそれぞれから外縁まで延伸する延伸部18Abとから構成されている。
【0046】
詳細は後記するが、延伸部18Abは、複数の発光素子1Aを配列して製造する際に、隣接する第2金属層18A同士が互いに繋がれる部位である。製造過程において第2金属層18A同士が互いに繋がれて形成されることで密着性が向上し、第2金属層18Aが形成面から剥離するおそれを低減することができる。
なお、第2金属層18Aは、第2基板23側に設けるようにしてもよい。
【0047】
[発光素子の製造方法]
次に、
図5を参照して、第2実施形態に係る発光素子の製造方法について説明する。
第2実施形態に係る発光素子の製造方法は、金属層形成工程S13において、第2金属層18Aを形成する領域が第1実施形態と異なる。その他の工程は、第1実施形態と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0048】
本実施形態では、金属層形成工程S13において、
図5に示すように、第2金属層18Aは、隣接して配置される他の発光素子領域に形成される第2金属層18Aと、部分的に繋がって形成される。具体的には、第2金属層18Aは、第1実施形態における第2金属層18に相当する主部18Aaの角部に延伸部18Abが設けられ、互いに隣接する発光素子領域の延伸部18Ab同士が繋がれるように形成される。
【0049】
第2金属層18A同士を部分的に繋ぐことで、製造過程において第2金属層18Aが形成面から剥離し難くすることができる。また、第1実施形態における第2金属層18のような矩形やその他の多角形のように平面視で角部を有する形状の場合に、角部から剥離が発生し易く、特に角部の頂角が小さいほど剥離し易い傾向がある。第2実施形態における第2金属層18Aは、角部に延伸部18Abが設けられている。このため、
図5に示すように、第2金属層18A同士が互いに繋がった状態では、第1実施形態における第2金属層18のような直角の角部、すなわち頂角が180°未満の角部がなくなっている。その代わりに、主部18Aaと延伸部18Abとの連結部に頂角θ1の角部が形成され、延伸部18Ab同士の連結部に頂角θ2の角部が形成されている。頂角θ1,θ2は、何れも180°よりも大きいため、当該角部からは剥離が発生し難くなっている。
第2金属層18Aの剥離のおそれを低減することで、発光素子1Aの信頼性や製造の歩留まりを向上することができる。
【0050】
また、第2金属層18Aは、延伸部18Ab同士が繋がっている部分が個片化予定線BD上に設けられているが、延伸部18Abのその他の部分及び主部18Aaは個片化予定線BD上に設けられていない。このため、個片化工程S19において個片化予定線BDに沿って分割する際に、第2金属層18Aが分割される領域が低減されており、容易に個片化することができる。その結果、良好な生産性で発光素子1Aを製造することができる。
なお、延伸部18Abの個片化予定線BD上に設けられる幅は、個片化への影響の観点からは狭い方が好ましいが、剥離の抑制と両立するように、例えば、発光素子1Aの一辺に対して0.1%〜50%程度とすることが好ましく、0.5%〜20%程度とすることがより好ましい。
【0051】
<第3実施形態>
[発光素子の構造]
次に、
図6A及び
図6Bを参照して、第3実施形態に係る発光素子の製造方法によって製造される発光素子1Bの構成について説明する。
なお、
図6Bは、
図6AのVIB−VIB線における断面に相当するが、ここでは図示の便宜上、
図6Aにおいて、VIB−VIB線上に6個設けられている孔部121の内の3個だけを図示している。
【0052】
第1実施形態における発光素子1は、上面側にn側半導体層12nと接続される上面側電極13を備え、下面側にp側半導体層12pと接続される下面側電極14を備えるように構成されている。これに対して、第3実施形態における発光素子1Bは、上面側にp側半導体層12pと接続される上面側電極31を備え、下面側にn側半導体層12nと接続される。このように、本発明に係る発光素子は、上面側及び下面側に設けられる電極と各導電型の半導体層との対応関係が入れ替えて構成してもよい。
【0053】
第3実施形態における発光素子1Bは、具体的には、
図6A及び
図6Bに示すように、第1実施形態に係る発光素子1に対して、上面側電極13に代えて上面側電極31を、下面側電極14に代えて下面側電極34を、半導体構造12に代えて半導体構造12Bを、それぞれ備え、更に第1絶縁膜32、第2絶縁膜33を備えている。
なお、下面側電極34よりも下層側に設けられる第1金属層17〜第2基板23は、第1実施形態と同様であるから、詳細な説明は省略する。また、第2金属層18に代えて、第2実施形態における第2金属層18Aを用いるようにしてもよい。また、第2金属層18は、第1実施形態と同様に、平面視で半導体構造12Bの配置領域を包含するように設けることが好ましく、個片化予定線BD上の少なくとも一部を除く領域に配置される。
【0054】
半導体構造12Bは、平面視で略正方形であるが、一部に半導体構造12Bが設けられていない領域を有しており、当該領域に上面側電極31の外部接続部31cが設けられている。また、半導体構造12Bは、下面側からp側半導体層12p及び活性層12aを貫通し、n側半導体層12nを底面とする孔部121が設けられている。孔部121は、平面視で半導体構造12Bの配置領域内の全域に略均等に配置されている。
【0055】
孔部121は、下面側電極34とn側半導体層12nとを電気的に接続するために設けられている。孔部121内には、下面側電極34の突出部34aが設けられており、突出部34aの先端部分がn側半導体層12nと接触して電気的に接続されている。また、下面側電極34の上面側及び突出部34aの側面側には第2絶縁膜33が設けられており、下面側電極34は、上面側電極31の配線部31b、p側半導体層12p及び活性層12aと絶縁されている。また、第2絶縁膜33は、開口部33aを有しており、開口部33aから下面側電極34の突出部34aの先端部分が突出している。
【0056】
上面側電極31は、p側半導体層12pの下面の略全面に設けられる内部接続部31aと、内部接続部31aの下面側に設けられる配線部31bと、配線部31bの上面の一部に設けられる外部接続部31cとから構成されている。内部接続部31aは、外部から供給される電流をp側半導体層12pに拡散させるための全面電極であり、かつ、半導体構造12B内を伝播する光を上方に反射させる光反射膜である。内部接続部31aとしては、Agなどの光反射性の良好な金属を用いることが好ましい。外部接続部31cは、外部電源と接続するためのパッド電極である。また、配線部31bは、内部接続部31aと外部接続部31cとを接続するための電極である。
また、内部接続部31aと同層には、第1絶縁膜32が内部接続部31aと相補的に設けられている。
【0057】
また、半導体構造12Bは、側面及び上面が保護膜16で被覆されているが、上面の一部を露出させるようにしてもよい。また、半導体構造12Bの上面に凹凸構造を設けるようにしてもよい。
また、上面側電極31及び下面側電極34は、第1実施形態における上面側電極13及び下面側電極14と同様の材料を用いることができる。また、第1絶縁膜32及び第2絶縁膜33は、第1実施形態における絶縁膜15と同様の材料を用いることができる。
【0058】
なお、第3実施形態における発光素子1Bにおいて、第1金属層17よりも上部に設けられるLEDとして機能する構成及びその製造方法は、下記の参考文献に詳細が記載されているため、更なる説明は省略する。
(参考文献)特開2014−86573号公報
【0059】
[発光素子の製造方法]
また、第3実施形態における発光素子1Bは、第1実施形態の製造方法と同様にして、第1金属層17、第2金属層18、第3金属層19、接合部材20,21などを形成し、第2基板23と接合することで製造することができるため、製造方法についての詳細な説明は省略する。
【0060】
以上、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。