特許第6834461号(P6834461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6834461
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】発光装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20210215BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20210215BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20210215BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20210215BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20210215BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20210215BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20210215BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   H01L33/48
   H01L21/56 J
   H01L23/30 F
   C08L63/00 C
   C08K7/02
   C08K3/22
   C08K3/36
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-248619(P2016-248619)
(22)【出願日】2016年12月22日
(65)【公開番号】特開2018-101758(P2018-101758A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】貞持 豪
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−141799(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/021159(WO,A1)
【文献】 特開2011−122075(JP,A)
【文献】 特開2008−192880(JP,A)
【文献】 特開2016−184708(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0005934(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
H01L 21/56
H01L 23/28 − 23/30
C08K 3/00 − 3/08
C08L 1/00 − 101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードと前記リードを保持する第1樹脂組成物とを有する基台と、前記基台に載置される発光素子と、を有し、
前記第1樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(D)可撓性部材、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料を有し、
前記(A)エポキシ樹脂は脂環式エポキシ化合物を主成分とし、
前記(B)硬化剤は酸無水物若しくはジカルボン酸であり、
前記(D)可撓性部材は前記(B)硬化剤に対して0.1〜5.0当量の多価アルコール若しくはその重縮合体であり、
前記(E)強化材は繊維長10μm〜250μm、繊維径は3μm〜50μm、アスペクト比が2〜90である繊維状フィラーであり、
前記(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計量が前記第1樹脂組成物全体に対して60重量%〜85重量%であり、かつ、前記(E)強化材が前記第1樹脂組成物全体に対して5重量%〜45重量%である、発光装置。
【請求項2】
前記(G)顔料は、白色顔料である請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記(G)顔料は、酸化チタンである請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記(F)無機充填材は、アルミナ、若しくは、シリカである請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光素子は、450nm〜475nmに発光ピーク波長を持つ請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記基台は、底面と側面を持つ凹部を形成しており、
前記凹部の底面は前記リードが配置されている請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
第1樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(D)可撓性部材、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料を有し、前記(A)エポキシ樹脂は液状の脂環式エポキシ化合物を主成分とし、前記(B)硬化剤は液状の酸無水物若しくはジカルボン酸であり、前記(D)可撓性部材は前記硬化剤に対して0.1〜5.0当量の多価アルコール若しくはその重縮合体であり、前記(E)強化材は繊維長10μm〜250μm、繊維径は3μm〜50μm、アスペクト比が2〜90である繊維状フィラーであり、前記(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計量が前記第1樹脂組成物全体に対して60重量%〜85重量%であり、かつ、前記(E)強化材が前記第1樹脂組成物全体に対して5重量%〜45重量%となるように混合し、前駆体を準備し、
前記第1樹脂組成物の前駆体を加熱し、仮硬化し、
ペレットを作成し、
前記ペレットを加熱し、リードフレームが配置された金型内に前記第1樹脂組成物の中間体を流し込み、
前記流し込まれた前記第1樹脂組成物の中間体を硬化する、発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を用いた表面実装型発光装置は、小型で電力効率が良く鮮やかな色を発光する。
例えば、特許文献1において、発光素子と、発光素子を載置する基台と、発光素子を被覆する第2樹脂成形体と、を有する発光装置が記載されている。
また、特許文献2において、エポキシ樹脂、硬化剤、無機質充填材を含有し、無機質充填材として、金属水酸化物を無機質充填材に対して10重量%以上含有する光半導体用エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた光半導体素子搭載用基板及び光半導体装置等が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−156704号公報
【特許文献2】特開2008−306151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基台又は光半導体用エポキシ樹脂組成物を用いた光半導体素子搭載用基板の強度には改良の余地がある。
そこで本実施形態は、相対曲げ強度の高い発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る発光装置は、リードと前記リードを保持する第1樹脂組成物とを有する基台と、前記基台に載置される発光素子と、を有し、前記第1樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(D)可撓性部材、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料を有し、前記(A)エポキシ樹脂は脂環式エポキシ化合物を主成分とし、前記(B)硬化剤は酸無水物若しくはジカルボン酸であり、前記(D)可撓性部材は前記硬化剤に対して0.1〜5.0当量の多価アルコール若しくはその重縮合体であり、前記(E)強化材は繊維長10μm〜250μm、繊維径は3μm〜50μm、アスペクト比が2〜90である繊維状フィラーであり、前記(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計量が前記第1樹脂組成物全体に対して60重量%〜85重量%であり、かつ、前記(E)強化材が前記第1樹脂組成物全体に対して5重量%〜45重量%である。
【0006】
本発明の実施形態に係る発光装置の製造方法は、第1樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(D)可撓性部材、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料を有し、前記(A)エポキシ樹脂は液状の脂環式エポキシ化合物を主成分とし、前記(B)硬化剤は液状の酸無水物若しくはジカルボン酸であり、前記(D)可撓性部材は前記(B)硬化剤に対して0.1〜5.0当量の多価アルコール若しくはその重縮合体であり、前記(E)強化材は繊維長10μm〜250μm、繊維径は3μm〜50μm、アスペクト比が2〜90である繊維状フィラーであり、前記(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計量が前記第1樹脂組成物全体に対して60重量%〜85重量%であり、かつ、前記(E)強化材が前記第1樹脂組成物全体に対して5重量%〜40重量%となるように混合し、前駆体を準備し、前記第1樹脂組成物の前駆体を加熱し、仮硬化することにより、ペレットを作成し、前記ペレットを仮硬化温度より高い温度で加熱し、リードフレームが配置された金型内に溶融した前記第1樹脂組成物の中間体を流し込み、硬化する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態は、相対曲げ強度の高い発光装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態に係る発光装置を示した概略平面図である。
図2】第1の実施の形態に係る発光装置を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る発光装置及びその製造方法を説明する。だたし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0010】
<第1の実施の形態>
<発光装置>
第1の実施の形態に係る発光装置について図面を用いて説明する。図1は、第1の実施の形態に係る発光装置を示した概略平面図である。図2は、第1の実施の形態に係る発光装置を示した概略断面図である。図2図1のII−II線に沿って切断している。
第1の実施の形態に係る発光装置は、リード20とリード20を保持する第1樹脂組成物30とを有する基台40と、基台に載置される発光素子10と、を有する。発光素子10は第2樹脂組成物50により覆われている。発光素子10とリード20とは電気的に接続されている。
【0011】
発光素子10は、同一面側に正負一対の第1の電極11と第2の電極12とを有している。本明細書においては、同一面側に正負一対の電極を有するものについて説明するが、発光素子の上面と下面とから正負一対の電極を有するものを用いることもできる。この場合、発光素子の下面の電極はワイヤを用いずに、電気伝導性のあるダイボンド部材を用いてリード20と電気的に接続してもよい。
【0012】
リード20は発光素子10及び外部電極と電気的に接続される。リード20は一対であり、発光素子10の第1の電極11と第2の電極12とそれぞれ接続される。発光素子10は、一対のリード20上の一方にダイボンド部材を介して載置され、一対のリード20上の他方にワイヤ60を介して電気的に接続される。
【0013】
基台40は、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成している。リード20は、基台40の凹部40cの底面40aから露出している。この露出部分にダイボンド部材を介して発光素子10を載置している。凹部40cの開口部は、底面40aよりも広口になっており、側面40bには傾斜が設けられていることが好ましい。
【0014】
第2樹脂組成物50は、発光素子10を被覆するように凹部40c内に配置している。第2樹脂組成物50は、透光性樹脂を用いている。第2樹脂組成物50は蛍光物質を含有してもよい。
本明細書において、発光素子10が載置されている側を主面側と呼び、その反対側を裏面側と呼ぶ。
【0015】
第1樹脂組成物30は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(D)可撓性部材、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料を有している。第1樹脂組成物30は、(C)硬化触媒が含有されていることが好ましい。(A)エポキシ樹脂は脂環式エポキシ化合物を主成分とする。(B)硬化剤は酸無水物若しくはジカルボン酸である。(D)可撓性部材は(B)硬化剤に対して0.1〜5.0当量の多価アルコール若しくはその重縮合体である。(E)強化材は繊維長10μm〜250μm、繊維径は3μm〜50μm、アスペクト比が2〜90である繊維状フィラーである。アスペクト比は繊維長÷繊維径である。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計量が第1樹脂組成物全体に対して60重量%〜85重量%であり、かつ、(E)強化材が第1樹脂組成物全体に対して5重量%〜45重量%である。これにより相対曲げ強度の高い発光装置を提供することができる。
【0016】
脂環式エポキシ化合物を主体とし、酸無水物若しくはジカルボン酸で硬化させたエポキシ樹脂組成物は、光劣化の原因となる炭素−炭素間の2重結合を主骨格に殆ど含まないため、長時間の光照射後も光劣化が少なく、高耐光、高耐熱の物性を有する。また、特定の形状の繊維状フィラーを第1樹脂組成物中に所定量含有させることにより、剛性と靱性のバランスに優れた高い機械的強度、寸法安定性を奏する樹脂成形体を得ることができる。
液状の脂環式エポキシ樹脂を主に用いることにより、繊維状フィラーや強化材、無機充填材、顔料等を高充填することができ、顕著な高反射、高隠ぺい性を有し、且つ、強度に優れるという効果を奏する。これに対し、固形の合成樹脂に無機繊維及び白色顔料を配合した場合、合成樹脂の粘度が高くなることにより、ハンドリング性が悪くなってしまう。
【0017】
また、第1樹脂組成物は、さらに、(B)硬化剤に対して0.1〜5.0当量の多価アルコール又はその重縮合体を含む。多価アルコールには、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を用いることができる。これらの多価アルコール又はその重縮合体を添加することにより、得られるエポキシ樹脂組成物の可撓性をさらに向上することができる。
これにより相対曲げ強度の高い発光装置を提供することができる。また、発光装置は、光反射率が高く、高耐熱、耐光性を有する。
【0018】
各構成部材について詳述する。
(A)エポキシ樹脂は脂環式エポキシ化合物を主成分とする。脂環式エポキシ樹脂には、シクロヘキセンエポキシ化物誘導体、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等を用いることが好ましく、着色の少ないものが好ましく、着色のないものが特に好ましい。これら脂環式エポキシ樹脂を用いることにより、光劣化を起こしにくく、かつ、可撓性に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。特に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレートに代表されるシクロヘキセンエポキシ化物誘導体を主体に、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルや、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのシクロヘキサン誘導体とエピクロルヒドリンよりなるエポキシ樹脂を必要に応じて混合することが好ましい。また、ビスフェノールAジグリシジエーテルよりなる液状又は固形のエポキシ樹脂なども必要に応じ混合することができる。
【0019】
(B)硬化剤は酸無水物若しくはジカルボン酸である。硬化剤は着色の少ないものが好ましく、着色のないものが特に好ましい。
酸無水物は、以下の一般式(1)で示されるものを用いることができる。
【0020】
一般式(1)
【0021】
一般式(1)中、R1は炭素数0〜12の環式若しくは脂肪族アルキル又はアリールを示す。
酸無水物として、例えば、プロピオン酸無水物、無水コハク酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−メチル−1,2シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチル−1,2シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水フタル酸、4,4’−ビ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物などを用いることができる。
ジカルボン酸は、以下の一般式(2)で示されるものを用いることができる。
【0022】
HOOC−R−COOH 一般式(2)
【0023】
一般式(2)中、R2は炭素数0〜12のアルキル又はアリールを示す。
ジカルボン酸として、例えば、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、1,6−ヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、o−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸などを用いることができる。
これらの硬化剤は、単独もしくは、必要に応じ、混合して使用してもよい。
硬化剤との割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ当量に対して、硬化剤中の活性基(酸無水当量または水酸基)が0.8〜1.2当量となるような割合であることが好ましく、0.8〜1.0当量となるような割合であることがより好ましい。この範囲外の場合には、得られる硬化体のガラス転移温度が低くなることがあり、耐熱、耐光性が低下する場合がある。
【0024】
(C)硬化触媒としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン等のアミン類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機リン化合物、トリフェニルエチルホスフォニウムブロマイド等に代表されるハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスフォニウム、テトラブチルホスホニウムO,O'-ジエチルジチオホスフェート等の第4級ホスフォニウム塩、4級アンモニウム塩、有機金属塩類、およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらの硬化触媒は、単独もしくは、必要に応じ、混合して使用してもよい。
【0025】
(D)可撓性部材は硬化剤に対して0.1〜5.0当量の多価アルコール若しくはその重縮合体である。
可撓剤としては、多価アルコールとして、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等を用いることができる。また、これら多価アルコールのうちの1種又は2種以上を縮合重合した重縮合体を用いることもできる。多価アルコール又はこれらの重縮合体は、酸無水物又はジカルボン酸に対して0.1〜5.0当量、好ましくは0.2〜3.0当量用いることが望ましい。可撓性部材は、エポキシ樹脂硬化の助触媒としても機能する。
【0026】
(E)強化材は繊維長10μm〜250μm、繊維径は3μm〜50μm、アスペクト比が2〜90である繊維状フィラーである。
強化材としては、カップリング処理された繊維状フィラーを使用することが好ましい。繊維状フィラーとしては、例えば、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、ワラストナイトなどが挙げられる。繊維状フィラーとしてガラスフィラーが好ましく、ガラスフィラーとしては、チョップドストランドまたは連続フィラメント繊維等を使用できる。
【0027】
繊維長としては、10μm〜250μmが好ましく、特に30μm〜100μmである事がより好ましい。繊維長を10μm以上とすることにより強化材としての効果が向上し、また、250μm以下とすることによりエポキシ樹脂等への練り込み時、分散性の悪化を招くのを低減することができる。特に繊維長を250μm以下とすることによりトランスファーモールドによる成形金型への樹脂の未充填を低減し、小型パッケージの光反射用成形体形成時の成形性を向上することができる。
繊維径としては、3μm〜50μmが好ましく、特に3μm〜30μmである事がより好ましい。繊維径を3μm以上とすることにより強化材としての効果が向上する。また、繊維径を50μm以下とすることによりエポキシ樹脂等への練り込み時、分散性の悪化を招くのを低減することができる。
【0028】
アスペクト比は、2〜90が好ましく、特に4〜50である事が好ましい。アスペクト比を2以上にすることにより強度を向上させることができる。また、90以下にすることによりエポキシ樹脂等への練り込み時、分散性の悪化を招くのを低減することができる。
繊維状フィラーに使用されるカップリング剤については、樹脂組成物との密着性が向上するものであれば、特に制限はなく、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等を用いることができる。これらの中でも、シランカップリング剤が好ましく、アミノシラン、エポキシシランが特に好ましい。
【0029】
(F)無機充填材としては、反射特性、機械的強度を損なわないものであれば、特に制限はなく、例えば、アルミナ、シリカ、石英、酸化錫、酸化亜鉛、一酸化錫、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム等の酸化物、窒化硼素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、SiC等の金属炭化物、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、ほう酸アルミニウム、チタン酸バリウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、石膏、硫酸バリウム、マイカ、ケイソウ土、白土、無機バルーン、タルク、蛍光物質、金属片(銀粉等)等が挙げられる。シリカとしてはヒュームシリカ、沈降性シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、超微粉無定形シリカ、無水珪酸等を使用することができる。
無機充填剤としては、アルミナ、若しくは、シリカであることが好ましい。反射率が高く、安定的だからである。
【0030】
(G)顔料としては、有色の顔料を用いることができ、目的に応じて黒色、白色、灰色などを用いることができる。顔料は、白色顔料であることが好ましい。白色顔料を用いることで反射率を高めることができたり、顔料への光吸収を低減できたりするからである。顔料は、酸化チタンであることが好ましい。酸化チタンは可視光に対して安定で、かつ、高い屈折率を有するため、基台の光反射性を高めることができる。酸化チタンとして、光安定性の高いルチル型が好ましく、光活性による樹脂劣化を回避するため、無機酸化物で表面処理が施されたものを用いることがより好ましい。酸化チタンの粒径についても特に制限されないが、光散乱効率の点より、平均粒径0.1μm〜5.0μm程度のものを使用でき、0.1μm〜3.0μmが好ましく、0.1μm〜1.0μmが特に好ましい。強化材として大きな粒径のものを使用し、その隙間に微小粒子の無機部材や顔料を充填することにより光反射性を高めることができる。酸化チタンの形状についても特に制限はなく、粒子状、繊維状、板状、薄片状、鱗片状、雲母状等の各種形状のものを使用できる。また、樹脂組成物中での酸化チタンの分散性を高める、あるいは、樹脂との密着性を高める目的でカップリング剤、分散剤等の表面処理を施したものを用いることが好ましい。
【0031】
(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計量が第1樹脂組成物全体に対して60重量%〜85重量%であり、かつ、(E)強化材が第1樹脂組成物全体に対して510重量%〜45重量%である。このように強化材、無機充填材、顔料を第1樹脂組成物に対して高充填することにより、相対曲げ強度の高い基台及び発光装置を提供することができる。また、白色顔料を用いることにより高い強度を持ちつつ、光反射率の高い発光装置を提供することができる。
【0032】
強化材、無機充填材、顔料の合計量が第1樹脂組成物全体に対して60重量%以上とすることで、樹脂成分が多いことによる耐熱性の低下や機械的強度の低下、さらには隠蔽性不足による反射性能の低下等を抑制することができる。特に65重量%以上とすることが耐熱性の観点から好ましい。また、強化材、無機充填材、顔料の合計量が第1樹脂組成物全体に対して85重量%以下、好ましくは80重量%以下とすることにより、コンパウンドの粘度上昇に伴うハンドリング性の悪化や、強化材等の分散性低下によるエポキシ樹脂との密着性の低下を抑制することができる。
【0033】
顔料は、第1樹脂組成物全体に対して、5重量%以上50重量%以下含有されていることが好ましく、特に10重量%以上40重量%以下含有されていることがより好ましい。例えば、顔料である酸化チタンの含有量を5重量%以上とすることで隠蔽力を発揮し、基台40の壁厚が薄くても基台を透過する光量を抑え、発光効率の低下を抑えることができる。また、50重量%以下含有することにより、コンパウンドの粘度上昇を抑え、ハンドリング性の向上及び強度向上を図ることができる。
強化材は、第1樹脂組成物全体に対して、5重量%以上45重量%以下含有されていることが好ましく、特に15重量%以上35重量%以下含有されていることがより好ましい。強化材として繊維状フィラーを用いた場合、5重量%以上とすることで、強化材としての効果がより発揮され、また、45重量%以下とすることにより、コンパウンドの粘度上昇を抑え、ハンドリング性の向上及び顔料の分散性阻害を抑え、強度及び反射性能の向上を図ることができる。
特に強化材に高屈折率材料を用いた場合、光反射材としての性能が一層向上する。
顔料である酸化チタンの配合量は、目的とする反射性能及び隠蔽性が確保できる範囲で、適宜設定可能である。
【0034】
発光素子10は、公知のものを利用でき、例えば、発光ダイオードを用いるのが好ましい。また、発光素子10は、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いたものを用いることができる。さらに、赤色の発光素子としては、GaAlAs、AlInGaPなどを用いることができる。なお、発光装置において発光素子10は、1個のみ搭載されているが、複数搭載する構成としてもよい。複数の発光素子10は、同じ色又は互いに異なる色を発光するものでもよい。また、発光素子10は、前記した以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。発光素子10は、組成や発光色、大きさや、個数などは目的に応じて適宜選択することができる。発光素子10は、凹部40cに充填された第2樹脂組成物50によって被覆されている。
【0035】
発光素子は、430nm以上485nmに発光ピーク波長を持つものを使用することが好ましいが、450nm〜475nmに発光ピーク波長を持つものがより好ましい。高い光束を発揮することができるからである。
また、樹脂組成物は、その他添加材として、従来公知の樹脂添加剤である酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、蛍光物質、難燃剤、離型剤等を本発明の好ましい特性を損なわない範囲で単独もしくは、2種以上を配合してもよい。
発光装置は、JEITA ED4702Bによる実装後の基板曲げ試験において、120%以上の曲げ強度を有している。これにより相対曲げ強度の高い発光装置を提供することができる。また、壊れ難い発光装置を提供することができる。
【0036】
<発光装置の製造方法>
第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法について説明する。
第1樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(D)可撓性部材、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料を少なくとも有する前駆体を用意する。第1樹脂組成物は、(C)硬化触媒が含有されていることが好ましい。(A)エポキシ樹脂は液状の脂環式エポキシ化合物を主成分とする。(B)硬化剤は液状の酸無水物若しくはジカルボン酸である。(D)可撓性部材は(B)硬化剤に対して0.1〜5.0当量の多価アルコール若しくはその重縮合体である。(E)強化材は繊維長10μm〜250μm、繊維径は3μm〜50μm、アスペクト比が2〜90である繊維状フィラーである。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計量が第1樹脂組成物全体に対して60重量%〜85重量%であり、かつ、(E)強化材が第1樹脂組成物全体に対して10重量%〜45重量%である。これらを混合して前駆体を用意する。
【0037】
第1樹脂組成物の前駆体を加熱し、仮硬化する。加熱温度は仮硬化できる温度であればよく、60℃〜90℃が好ましく、70℃〜80℃がより好ましい。
ペレットを作成する。
ペレットを加熱し、リードフレームが配置された金型内に第1樹脂組成物の中間体を流し込む。加熱温度はペレットが溶融する温度であればよく、160℃〜190℃が好ましく、165℃〜185℃がより好ましい。
流し込まれた第1樹脂組成物の中間体を硬化する。
以上の工程を経ることにより、相対曲げ強度の高い発光装置を製造することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例1〜17、比較例1〜5について説明する。
実施例1〜5、比較例1〜2は、(E)強化材の重量を比較したものである。実施例1〜5、比較例1〜2における(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合量は75重量%である。
実施例6〜7、比較例3はカップリング処理の有無、(E)強化材の有無について比較したものである。
実施例8〜12、比較例4は(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合量を比較したものである。また(E)強化材の有無について比較したものである。
実施例13〜17、比較例5は(E)強化材の種類、有無について比較したものである。
【0039】
<実施例1>
実施例1は、下記の材料を液温25℃以下の条件で20分間混練し、光反射用成形耐形成用樹脂組成物を作製する。
(A)エポキシ樹脂:3,4エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート 100重量部
(B)硬化剤:4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸 113重量部
(C)硬化触媒:メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート 2重量部
(D)可撓性部材:エチレングリコール 5重量部
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長60μm、繊維径10μm、アスペクト比6) 90重量部(10重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 315重量部(35重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 270重量部(30重量%)
特に記載のない限り、強化材はカップリング処理を施している。実施例1〜5における(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合量は75重量%である。
これらを混合して第1樹脂組成物の前駆体を作成する。第1樹脂組成物の前駆体を加熱し、仮硬化を行う。ペレットを作成する。このペレットを加熱し、リードフレームが配置された金型内に第1樹脂組成物の中間体を流し込む。この第1樹脂組成物の中間体を金型温度180℃、キュア90秒にてトランスファーモールド成形を行い、165℃の温度で2.5時間エージングを行い、厚さ4mmの板状のテストピースを作製した。
【0040】
<実施例2>
実施例2は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比を変えた以外は、実施例1と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長60μm、繊維径10μm、アスペクト比6) 270重量部(30重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 135重量部(15重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 270重量部(30重量%)
【0041】
<実施例3>
実施例3は、(E)強化材の粒子径を変えた以外は、実施例1と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長100μm、繊維径10μm、アスペクト比10) 90重量部(10重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 315重量部(35重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 270重量部(30重量%)
【0042】
<実施例4>
実施例4は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比を変えた以外は、実施例3と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長100μm、繊維径10μm、アスペクト比10) 270重量部(30重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 135重量部(15重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 270重量部(30重量%)
【0043】
<実施例5>
実施例5は、(E)強化材の粒子径を変えた以外は、実施例1と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長200μm、繊維径10μm、アスペクト比20) 90重量部(10重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 315重量部(35重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 270重量部(30重量%)
【0044】
<実施例6>
実施例6は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比、及び、(E)強化材の粒子径を変えた以外は、実施例1と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。実施例6〜7における(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合量は70重量%である。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長50μm、繊維径11μm、アスペクト比4.5) 148重量部(20重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 148重量部(20重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 222重量部(30重量%)
【0045】
<実施例7>
実施例6の(E)強化材をカップリング処理しなかった以外は、実施例6と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。
【0046】
<実施例8>
実施例8は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比、及び、(E)強化材の粒子径を変えた以外は、実施例1と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計配合量は、第1樹脂組成物全体に対して60重量%である。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比は、2:7:6である。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長50μm、繊維径11μm、アスペクト比4.5) 45重量部
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 157重量部
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 135重量部
【0047】
<実施例9>
実施例9は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合量を変えた以外は、実施例8と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計配合量は、第1樹脂組成物全体に対して65重量%である。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比は、2:7:6である。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長50μm、繊維径11μm、アスペクト比4.5) 56重量部
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 194重量部
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 167重量部
【0048】
<実施例10>
実施例10は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合量を変えた以外は、実施例8と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計配合量は、第1樹脂組成物全体に対して75重量%である。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比は、2:7:6である。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長50μm、繊維径11μm、アスペクト比4.5) 90重量部
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 315重量部
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 270重量部
【0049】
<実施例11>
実施例11は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合量を変えた以外は、実施例8と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計配合量は、第1樹脂組成物全体に対して80重量%である。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比は、2:7:6である。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長50μm、繊維径11μm、アスペクト比4.5) 120重量部
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 419重量部
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 359重量部
【0050】
<実施例12>
実施例12は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合量を変えた以外は、実施例8と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の合計配合量は、第1樹脂組成物全体に対して85重量%である。(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比は、2:7:6である。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長50μm、繊維径11μm、アスペクト比4.5) 169重量部
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 593重量部
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 509重量部
【0051】
<実施例13>
実施例13は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比、(E)強化材を変えた以外は、実施例1と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。(E)強化材は実施例1同様カップリング処理を施している。
(E)強化材:繊維状酸化亜鉛(繊維長50μm、繊維径5μm、アスペクト比10) 112重量部(10重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 671重量部(60重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 112重量部(10重量%)
【0052】
<実施例14>
実施例14は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比を変えた以外は、実施例13と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。
(E)強化材:繊維状酸化亜鉛(繊維長50μm、繊維径5μm、アスペクト比10) 224重量部(20重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 559重量部(50重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 112重量部(10重量%)
【0053】
<実施例15>
実施例15は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比を変えた以外は、実施例13と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。
(E)強化材:繊維状酸化亜鉛(繊維長50μm、繊維径5μm、アスペクト比10) 336重量部(30重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 447重量部(40重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 112重量部(10重量%)
【0054】
<実施例16>
実施例16は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比、(E)強化材を変えた以外は、実施例13と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。(E)強化材はキンセイマテック社製SH1800(カップリング処理無し)を使用する。
(E)強化材:ワラストナイト(繊維長28μm、繊維径3.5μm、アスペクト比8) 112重量部(10重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 671重量部(60重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 112重量部(10重量%)
【0055】
<実施例17>
実施例17は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比、(E)強化材を変えた以外は、実施例16と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。
(E)強化材:ワラストナイト(繊維長28μm、繊維径3.5μm、アスペクト比8) 224重量部(20重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 559重量部(50重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 112重量部(10重量%)
【0056】
<比較例1>
比較例1は、(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合比、(E)強化材を変えた以外は、実施例1と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。比較例1における(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料の配合量は75重量%である。
(E)強化材:ガラスフィラー(繊維長60μm、繊維径10μm、アスペクト比6) 450重量部(50重量%)
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 90重量部(10重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 135重量部(15重量%)
【0057】
<比較例2>
比較例2は、(E)強化材が入っておらず、(F)無機充填材、(G)顔料のみ配合されている。(E)強化材の重量を変えたり、(E)強化材を用いなかったりしたこと以外は、実施例1と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。比較例2における(F)無機充填材、(G)顔料の配合量は75重量%である。
(E)強化材:使用せず
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 405重量部(45重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 270重量部(30重量%)
【0058】
<比較例3>
比較例3は、(E)強化材が入っておらず、(F)無機充填材、(G)顔料のみ配合されている。(F)無機充填材、(G)顔料の配合量を変えたり、(E)強化材を用いなかったりしたこと以外は、実施例6と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。比較例3における(F)無機充填材、(G)顔料の配合量は75重量%である。
(E)強化材:使用せず
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 296重量部(40重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 222重量部(30重量%)
【0059】
<比較例4>
比較例4は、(E)強化材が入っておらず、(F)無機充填材、(G)顔料のみ配合されている。(F)無機充填材、(G)顔料の配合量を変えたり、(E)強化材を用いなかったりしたこと以外は、実施例8と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。(F)無機充填材、(G)顔料の合計配合量は、第1樹脂組成物全体に対して75重量%である。(F)無機充填材、(G)顔料の配合比は、9:6である。
(E)強化材:使用せず
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 405重量部
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 270重量部
【0060】
<比較例5>
比較例5は、(E)強化材が入っておらず、(F)無機充填材、(G)顔料のみ配合されている。(F)無機充填材、(G)顔料の配合量を変えたり、(E)強化材を用いなかったりしたこと以外は、実施例13と同条件にて第1樹脂組成物の硬化物を作成した。(F)無機充填材、(G)顔料の合計配合量は、第1樹脂組成物全体に対して80重量%である。
(E)強化材:使用せず
(F)無機充填材:溶融シリカ(中心粒径30μm) 783重量部(70重量%)
(G)顔料:酸化チタン(中心粒径 0.25μm) 112重量部(10重量%)
【0061】
<試験結果>
実施例1乃至5、比較例1及び2の波長430nm〜730nmにおける光反射率を、高速分光色彩計(CMS-35SP、村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。光反射率は、同波長範囲において90%以上を○とした。また、実施例1乃至5、比較例1及び2の相対曲げ強度を測定するに際し、万能試験機(インストロン社製、5566型)を用いて三点曲げ強度を測定した。また、実施例1乃至5、比較例1及び2の成形性について成形可能なものを○とした。
得られた結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
この結果から、比較例1は成形できず、実施例1〜5、比較例2は成形可能であり、強度向上が認められた。これは比較例1において(E)強化材であるガラスフィラーの含有量が多く、成形金型における未充填が発生し、成形不可の判定となった。ただし、不完全ながら得られた比較例1の小片の光反射率は90%以上であり、〇判定であった。
また、比較例2に比べて、実施例1〜4は、相対曲げ強度(%)が大きく、大きく曲げられることが分かった。
【0064】
実施例6及び7、比較例3についても、上記同様、光反射率、相対曲げ強度、成形性について測定し、得られた結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
この結果から、比較例3に比べて、実施例6及び7は、相対曲げ強度(%)が大きく、大きく曲げられることが分かった。カップリング処理が施されている強化材を用いた実施例6の方が、カップリング処理が施されていない強化材を用いた実施例7よりも相対曲げ強度が大きい。これは実施例6の方が実施例7に比べてより(E)強化材と樹脂の密着性が高く、且つ均一に分散されていることによるものと思われる。
【0067】
実施例8乃至12、比較例4について、光反射率、相対曲げ強度、相対たわみ量、相対曲げ弾性率、成形性について測定し、得られた結果を表3に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
この結果から、比較例4に比べて、実施例8乃至12は、強度向上が認められた。特に(E)強化材、(F)無機充填材、(G)顔料が60重量%〜80重量%の範囲である実施例8乃至11は、たわみが大きく、かつ、弾性率が低い結果となった。実装後の基板曲げ試験(JEITA ED−4702B 試験方法003)は、実装された基板に工程内で起こる単発の曲げストレスが加わったとき、発光素子とその接合部にかかるストレスに対する耐性を評価するために用いられ、発光装置の信頼性において重視される検査項目の一つである。実装後の基板曲げ試験は、高強度、低弾性率を有する樹脂組成物において非常に有効的である。
【0070】
実施例13乃至18、比較例5について、光反射率、相対曲げ強度、成形性について測定し、得られた結果を表4に示す。
【0071】
【表4】
【0072】
この結果から、比較例5に比べて、実施例13乃至17は、相対曲げ強度が大きく、大きく曲げられることが分かった。
以上より、本実施形態に係る第1樹脂組成物を用いることにより、相対曲げ強度の高い、かつ、反射率の高い発光装置及びその製造方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
実施形態に係る発光装置は、液晶のバックライト、フルカラーディスプレイ、スイッチ内照明、照明用光源、各種インジケーターや交通信号灯などに利用可能な、発光ダイオード等の光半導体素子と蛍光体等の光変換物質を組み合わせた発光装置に用いられる。
【符号の説明】
【0074】
10 発光素子
11 第1の電極
12 第2の電極
20 リード
30 第1樹脂組成物
40 基台
40a 底面
40b 側面
40c 凹部
50 第2樹脂組成物
60 ワイヤ
図1
図2