(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外周縁に直交する断面で、前記第2主表面側の、前記第1面取り領域と前記第1非面取り領域との境界における第1接線は、前記第2主表面と第1角度で交わり、前記第1角度は、0度より大きく40度以下である請求項4から7のいずれか一項に記載の積層板。
前記外周縁に直交する断面で、前記第1主表面側の、前記第1面取り領域と前記第1非面取り領域との境界の位置は、前記第2主表面側の、前記第1面取り領域と前記第1非面取り領域との境界の位置よりも前記面内領域側にある請求項4から8のいずれか一項に記載の積層板。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態に係る積層板について説明する。なお、以下の説明において、一例として、車両用窓として用いられる合わせガラスの場合について記すが、本発明はこれに限定されない。例えば、建築用の窓ガラス、グレージング、プラスチック板及び車両の内装又は外装に用いられる化粧板などであってもよい。
【0013】
また、形態を説明するための図面において、図内左下に矢印で座標を定義しており、必要があればこの座標を用いて説明する。また、本明細書において「X方向」とは、X座標を示す矢印の根元から先端に向かう方向だけでなく、180度反転した先端から根元に向かう方向も指すものとする。「Y方向」「Z方向」も同様に、それぞれY、Z座標を示す矢印の根元から先端に向かう方向だけでなく、180度反対とした先端から根元に向かう方向も指すものとする。
【0014】
本明細書において、X方向及びY方向は平面方向、Z方向は板厚方向ともいう。
【0015】
また、本明細書において、「平行」、「垂直」などの用語は、本発明の効果を損なわない程度のズレを許容するものである。例えば、厳密な意味での平行、垂直の位置関係を基準として、±5°程度の誤差は許容する。
【0016】
(第1実施形態)
図1Aは、本発明の一実施形態の積層板である合わせガラスの平面図である。また、
図1Bは、本発明の一実施形態の合わせガラスを車両のフロントガラスに適用した一例を示す平面図である。
図2は、本発明の第1実施形態の合わせガラスの外周縁の少なくとも一部において、外周縁に直交する断面図(A−A断面図)である。
【0017】
合わせガラス103は、平面視において、周縁領域101と面内領域102を有する。また、合わせガラス103は、第1ガラス板201と、第1ガラス板201と中間膜203を介して接合される第2ガラス板202とを備える。
【0018】
第1ガラス板201は、周縁に、面取りされた第1面取り領域207を備える。また、第1ガラス板201は、第1面取り領域207と隣接した面内側に、第1非面取り領域208を備える。
【0019】
第2ガラス板202は、周縁に、面取りされた第2面取り領域209を備える。また、第2ガラス板202は、第2面取り領域209と隣接した面内側に、第2非面取り領域210を備える。
【0020】
周縁領域101とは、合わせガラス103の外周縁から、第1面取り領域207と第1非面取領域208の境界又は、第2面取り領域209と第2非面取り領域210の境界のうち、より面内側の境界までの領域を指す。また、面内領域102とは、周縁領域の内側を占める領域を指す。
【0021】
第1ガラス板201は、中間膜203とは反対側に配される第1主表面211と、中間膜203に接する第2主表面212とを備える。
【0022】
第2ガラス板202は、中間膜203に接する第3主表面213と、中間膜203とは反対側に配される第4主表面214とを備える。
【0023】
なお、中間膜203は、特に限定されない。単層の中間膜でもよく、複数の層が重ね合わされた中間膜であってもよい。また、例えば断面楔状ように、板厚が部位によって異なる中間膜でもよい。
【0024】
なお、本願は2枚のガラス板が積層された合わせガラスに限定されない。2枚以上のガラス板が中間膜を介して接合された合わせガラスであってよい。
【0025】
第1ガラス板201の板厚は、第2ガラス板202の板厚よりも厚い。第2ガラス板202の板厚は、0.2mm以上1.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以上0.8mm以下であり、さらに好ましくは0.4mm以上0.7mm以下である。
【0026】
第2ガラス板202の板厚を1.0mm以下とすることにより、合わせガラス103を軽量化できる。また、第2ガラス板202の板厚を0.2mm以上とすることにより、曲げ剛性が高まり、第2ガラス板202の運搬時に作業者が取り扱いやすい。
【0027】
また遮音性の観点からは、第2ガラス板202の板厚は、0.4mm以上1.8mm以下が好ましく、より好ましくは0.5mm以上1.6mm以下、さらに好ましくは0.7mm以上1.6mm以下、さらに好ましくは0.8mm以上1.3mm以下である。このようにすることで、合わせガラス103を軽量化しつつ、遮音性の低下を抑制できる。
【0028】
また、第1ガラス板201の板厚は、1.7mm以上4.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは2.0mm以上3.7mm以下、さらに好ましくは2.5mm以上3.5mm以下である。
【0029】
第1ガラス板201の板厚を4.0mm以下とすることで、合わせガラス103を軽量化できる。また、第1ガラス板201の板厚を1.5mm以上とすることで、合わせガラス103に充分な曲げ剛性が得られる。
【0030】
また遮音性の観点からは、第1ガラス板201の板厚は、1.5mm以上3.5mm以下であることが好ましく、おり好ましくは1.5mm以上2.8mm以下、さらに好ましくは1.5mm以上2.5mm以下である。このようにすることで、合わせガラス103を軽量化しつつ、遮音性の低下を抑制できる。
【0031】
また、第2ガラス板202の板厚を、第1ガラス板201の板厚で除した値が、0.1以上0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.13以上0.48以下、さらに好ましくは0.15以上0.45以下である。第2ガラス板202の板厚を、第1ガラス板201の板厚で除した値が、0.1以上0.5以下であることにより、剛性が高く、かつ軽量な合わせガラス103が得られる。
【0032】
また遮音性の観点からは、第2ガラス板202の板厚を、第1ガラス板201の板厚で除した値が、0.5以上0.9以下であることが好ましく、より好ましくは、0.55以上0.85以下、さらに好ましくは0.6以上0、8以下である。第2ガラス板202の板厚を、第1ガラス板201の板厚で除した値が、0.5以上0.9以下であることにより、軽量化しつつ、遮音性の低下を抑制できる合わせガラス103が得られる。
【0033】
また、合わせガラス103の外周縁には、樹脂枠体が取り付けられていてもよい。
【0034】
合わせガラス103の外周縁の少なくとも一部において、外周縁に直交する断面(A−A断面)において、第2ガラス板202の端点205から、第1ガラス板201までの、端点205における板厚方向の距離Cが、面内領域102における第1ガラス板201と第2ガラス板202との距離Bの3倍以内である。好ましくは、距離Cは距離Bの2.5倍以内、より好ましくは2.3倍以内、さらに好ましくは2倍以内、さらに好ましくは1.8倍以内、さらに好ましくは1.5倍以内である。
【0035】
距離Cの値が距離Bの値と近いほど、合わせガラス103の周縁部における発泡を抑制できる。これは以下のように2つの観点からだと考えられる。
【0036】
すなわち、1つ目の観点は、外周縁からの合わせガラス103の剥がれによる発泡の抑制である。一般的には第1ガラス板201と第2ガラス板202の剥がれが、外周縁から生じるため、外周縁において、距離Cが上記値の範囲であれば、中間膜203と第1ガラス板201及び/又は第2ガラス板202の間からの空気の浸入を抑制できる。
【0037】
また2つ目の観点は、周縁領域101及び/又は面内領域102内の周縁領域101近傍からの発泡の抑制である。第2ガラス板202が第1ガラス板201と比べて薄いと、第2ガラス板202の剛性が第1ガラス板201の剛性よりも低い。そのため、例えば合わせガラス103の外周縁付近を板厚方向に圧縮する力が働いた場合、従来例であれば
図8のように、第2ガラス板202の端点205が、第1ガラス板201側に近付くように、第2ガラス板202が撓む。この撓みの反動で、周縁領域101及び/又は面内領域102内の周縁領域101近傍において、第2ガラス板202を第1ガラス板201及び中間膜203から引き剥がす方向(
図8中の上方向)に力が働く。距離Cが上記値の範囲であれば、第2ガラス板202の撓みが小さくなるため、このような引き剥がし力の発生箇所Eにおける発泡を抑制できる。
【0038】
なお、引き剥がし力の発生箇所Eは、外周縁ではなく、周縁領域101及び/又は面内領域102内の周縁領域101近傍に生じやすい。
【0039】
また、
図8の発生箇所Eは、現象を強調して描いている。実際には、引き剥がし力の発生箇所Eにおいて第2ガラス板202は、板厚方向に膨らむような変形はおこしていない。
【0040】
なお、本明細書において、「周縁部」とは、外周縁及び引き剥がし力の発生箇所Eを含む部分を指す。
【0041】
なお、合わせガラス103の外周縁付近を板厚方向に圧縮する力とは、例えば合わせガラス作成過程において真空圧着する際にかかる力、窓枠に挟み込まれる際の力などが挙げられる。
【0042】
また、第2ガラス板202の端点205は、第1ガラス板201の端点204よりも合わせガラス103の面内側にある。
【0043】
このような位置関係にすることで、より合わせガラス103の周縁部における発泡を抑制できる。また、板厚の薄い第2ガラス板202の端点205が、外力によって割れにくくなる。
【0044】
また、第2ガラス板202の端点205は、平面視において、第1面取り領域207内にある。
【0045】
このような位置関係にすることで、より合わせガラス103の周縁部における発泡を抑制できる。また、板厚の薄い第2ガラス板202の端点205が、外力によって割れにくくなる。
【0046】
また、第2ガラス板202の端点205が、平面視において、第1面取り領域207内にあれば、平面視において、第2ガラス板202の端点205が線や筋として人に認識されづらくなるため、美観の低下を抑制できる。また、第1ガラス板201と第2ガラス板202の段差を外周縁側に設けることができるため、その段差による窓の拭き掃除の際の引っかかりや、他部材との干渉で問題となることが少なくなる。
【0047】
距離Dは、第1ガラス板201と第2ガラス板202との板厚差、及び距離Cをどれだけ距離Bに近づけるかに応じて決定されるため、特に限定されないが、例えば、1mm以下が好ましく、より好ましくは0.8mm以下、さらに好ましくは0.6mm以下である。このようにすることで、より合わせガラス103の周縁部における発泡を抑制できる。また、板厚の薄い第2ガラス板202の端点205が、外力によって割れにくくなる。さらに、窓の拭き掃除の際の引っかかりや、他部材との干渉で問題となることが少なくなる。
【0048】
また、合わせガラス103が湾曲形状である場合、第1ガラス板201と第2ガラス板202は、従来から既知の曲げ方法によって曲げ成形されてよい。例えば、第1ガラス板201と第2ガラス板202とを重ねてリング状の金型に載置し、軟化点以上まで加熱して、自重によって曲げ成形してもよい。また、第1ガラス板201と第2ガラス板202を加熱した状態で、それぞれ、又は重ねてプレス成形してもよい。
【0049】
また、第1湾曲形状に湾曲された第1ガラス板201と、第1湾曲形状とは異なる第2形状である第2ガラス板202とが、中間膜203によって接合された合わせガラス103であってもよい。このような合わせガラス103は、2枚のガラス板のうちいずれか一方、又は2枚のガラス板が互いに、弾性変形した状態で接合されている(以下、2枚のガラス板のいずれか一方、又は2枚のガラス板を互いに弾性変形させて接合する合わせガラスの製造方法を「コールドベンド」ともいう)。
【0050】
図3は中間膜203によって接合される前の第1ガラス板201と第2ガラス板202との状態を示している。また、
図4は、
図3の状態から中間膜203によって接合された後の合わせガラス103を示している。
【0051】
合わせガラス103が、単曲の湾曲形状(シリンドリカル形状)だった場合、合わせガラス103の重心における法線を含む断面のうち、第1主表面211の曲率半径が最大となる断面を横断面とすると、中間膜203による接合が解除される場合に、横断面に対応する断面において、第2主表面212は第3主表面213よりも小さい曲率半径を有する。
【0052】
合わせガラス103が、複曲の湾曲形状だった場合、合わせガラス103の重心における法線を含む断面のうち、第1主表面211の曲率半径が最大となる断面を横断面、横断面に対し直交する断面を縦断面とすると、中間膜203による接合が解除される場合に、横断面に対応する断面及び縦断面に対応する断面の両方において、第2主表面212は第3主表面213よりも小さい曲率半径を有する。
【0053】
このように、第1湾曲形状に湾曲された第1ガラス板201と、第1湾曲形状とは異なる第2形状である第2ガラス板202とが、中間膜203によって接合された合わせガラス103は、弾性変形による曲げ応力を有する。特に、第1ガラス板201に比べて、第2ガラス板202の板厚が薄い場合、第2ガラス板202が主に弾性変形した状態で貼り合わされているため、第2ガラス板202に曲げ応力が形成される。第2ガラス板202の周縁領域101では曲げ圧縮応力が形成され、第2ガラス板202の面内領域102の中央付近には、曲げ引張応力が形成される。
【0054】
なお、曲げ圧縮応力及び曲げ引張応力は、市販の表面応力計によって測定できる。第2ガラス板202が強化ガラスの場合、第2ガラス板202の第4主表面214には、残留応力と曲げ応力の両方が生じている。残留応力は、強化によるものであり、接合前に生じている。この場合、接合後の応力値を計測し、その計測値から、自然状態での第2ガラス板202の応力値を引くことで、曲げ応力が算出できる。
【0055】
例えば、第1ガラス板201を熱により曲げ成形して所望の湾曲形状に曲げ成形した後に、化学強化した平板状の第2ガラス板202を、中間膜を介して第1ガラス板201に貼り合わせてよい。例えば、第1ガラス板201は2つの直交する方向に曲がった複曲形状、第2ガラス板202は平板状でよい。第1湾曲形状を複曲形状にすることで、意匠性に優れた車両用窓ガラスが作成でき、車両デザインの多様なニーズに対応できる。第2形状を平板状とすることで、機能膜が形成しやすくなる。また、第2ガラス板202の曲げ成形工程を省略できる。
【0056】
このように、2枚のガラス板のいずれか一方を弾性変形させて接合する合わせガラスの製造方法を用いることで、以下のような利点が得られる。すなわち、従来は、機能膜が形成された湾曲形状の合わせガラスを得るには、成形前の平板状の2枚のガラス板のいずれか一方、又は両者に機能膜を形成した後に、2枚のガラス板を軟化点付近まで加熱して曲げ成形し、接合する方法が知られていた。しかし、この方法では、機能膜がガラス板の軟化点付近まで加熱されることで、その機能が低下することがあった。
【0057】
一方、平板状の第2ガラス板202に機能膜を形成し、コールドベンドを用いて、所望の形状に曲げ成形した第1ガラス板201に接合すれば、機能膜がガラス板の軟化点付近まで加熱させずに、湾曲した合わせガラスが得られるため、機能膜の機能が充分に発揮できる。
【0058】
また、機能膜が形成された湾曲形状の合わせガラスを得る別の方法として、ガラス板を所望の湾曲形状に曲げ成形した後に、機能膜をその表面に形成する方法があった。しかし、この方法は、平板状のガラス板に機能膜を形成するよりも難しく、工程及び装置の煩雑化を招いていた。コールドベンドを用いれば、平板状の第2ガラス板202に機能膜を形成できるため、工程及び装置を簡易化できる。
【0059】
また、コールドベンドを用いることで、第2ガラス板202を軟化点付近まで加熱して曲げ成形するという工程を省略できる。特に第2ガラス板202の板厚が1mm以下の場合、加熱による曲げ成形の精度を保つ難易度が上がるので、効果が大きい。
【0060】
また、コールドベンドで用いられる第2ガラス板202は、第1湾曲形状とは異なる、第2湾曲形状であってよい。本実施形態において、第2湾曲形状の曲率半径は、第1湾曲形状の曲率半径よりも大きい。第2ガラス板202は、加熱による曲げ成形で第2湾曲形状に曲げ成形されてもよく、化学強化の過程で曲げ成形されてもよい。
【0061】
化学強化の過程で曲げ成形するとは、具体的には、第3主表面213の化学強化の入り方を、第4主表面214よりも大きくすることで、第3主表面213が凸面、第4主表面214が凹面となるよう第2ガラス板202を曲げ成形できる。このように第2ガラス板202を化学強化の過程で曲げ成形することで、第2ガラス板202を軟化点付近まで加熱して曲げ成形するという工程を省略できる。また、第2ガラス板202を湾曲形状とすれば、第1湾曲形状との曲率半径の差が小さくなるため、コールドベンドの時に発生する曲げ応力を低減できる。
【0062】
なお、化学強化の入り方の大小は、例えば、第3主表面213のNaの量と第4主表面214のNaの量とを比較すれば明らかとなる。第3主表面213のNaの量とは、蛍光X線(XRF)によって測定されたKα軌道の強度を指し、第3主表面213の表面から深さ3μmまでのNaの量を指すものとする。第4主表面214も同様である。
【0063】
コールドベンドは、テープなどの仮止め手段によって固定された第1ガラス板201、第2ガラス板202及び中間膜の積層体と、従来公知であるニップローラー又はゴム袋などの予備圧着装置及びオートクレーブを用いることで達成できる。
【0064】
本実施形態では、断面視における、第1面取り領域207の第1断面形状と、第2面取り領域209の第2断面形状とが、円弧状に面取りされた円弧状面取り部により形成されている。しかし、第1面取り領域207の第1断面形状と、第2面取り領域209の第2断面形状とは互いに異なり、具体的には、円弧状面取り部の曲率半径が、第1ガラス板201の方が大きく、第2ガラス板202の方が小さい。このように、第1面取り領域207の第1断面形状と、第2面取り領域209の第2断面形状とが異なることで、第1ガラス板201と第2ガラス板202がそれぞれ独自に面取りの設計を行うことができる。
【0065】
しかし、これに限定されず、第1断面形状と第2断面形状とは、同一の曲率半径で面取りされていてもよい。同一の曲率半径で面取りされていれば、第1ガラス板201と第2ガラス板202とで、製造時に砥石を交換する必要がなくなり、製造及び砥石の管理が容易となる。また、第1断面形状と第2断面形状とは、相似形でもよく、異なっていてもよい。
【0066】
なお、面取り方法に関して、外観品質や外周縁の強度向上のため、高メッシュのダイヤモンドホイールを使った面取りを行っても良く、鏡面加工を行ってもよい。
【0067】
なお、本実施形態では、中間膜203が第2ガラス板202の端部205まで存在する例を示したが、中間膜203は耳切りされていてもよい。すなわち、中間膜203は第2ガラス板202の端部205よりも面内領域102側に存在していてもよい。
【0068】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態の合わせガラスのA−A断面図である。
図5のうち、第1実施形態で示した構成と同様の構成を有する部材については、
図1A乃至2と同様の参照符号を使用し、説明は省略する。
【0069】
第2実施形態では、第1実施形態とは、第1ガラス板の面取り形状が異なる。第2実施形態では、第1ガラス板501は、円弧状に面取りされた円弧状面取り部503と、直線状に面取りされた直線状面取り部504を有している。
【0070】
直線状面取り部504は、円弧状面取り部は503と第1非面取り領域208とを繋ぐように形成される。
【0071】
第2主表面212の、第1面取り領域207と第1非面取り領域208との境界における第1接線502(直線状面取り部504)は、第2主表面212と第1角度αで交わる。第1角度αは、好ましくは0度より大きく、40度以下である。またさらに好ましくは、第1角度αは5度以上35度以下、さらに好ましくは8度以上30度以下である。
【0072】
第1角度αが40度以下であれば、距離Dを小さくするために第2ガラス板202の端部205を第1ガラス板501の端点204に近付けても、距離Cが極端に大きくなることを抑制できる。
【0073】
また、第1角度αが5度以上であれば、砥石の端面形状とガラス端部が安定して擦れ合えるため、製造過程でガラス板が割れてしまうことを抑制できる。
【0074】
また、直線状面取り部504の長さは、0.05mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.15mm以上である。このようにすることで、距離Cを小さくしつつ、かつ距離Dも小さくすることができる。
【0075】
第1角度α及び直線状面取り部504が、上記の値であれば、距離Cを小さくしつつ、かつ距離Dも小さくすることができる。すなわち、合わせガラス103の周縁部における発泡を抑制でき、かつ美観の低下、他部材との引っかかり及び干渉を抑制できる。
【0076】
なお、第1実施形態の場合は、円弧状面取り部のみから形成されているため、仮に第1角度αを定めるとすれば、0度となる。
【0077】
また、本明細書において直線状面取り部504とは、厳密な直線だけでなく、ほぼ直線に近似できる円弧状も含むものとする。ほぼ直線に近似できる円弧状とは、特に限定されないが、例えば、矢高が10
−1オーダー以下である。
【0078】
なお、本実施形態では、第1断面形状は、第1ガラス板501の板厚の中心を通り第1及び第2主表面211、212に平行な線を中心として、対称形で例示したが、非対称形であってもよい。例えば、第1主表面側において、第1面取り領域207と第1非面取り領域208との境界における接線と、第1主表面とのなす角度は、第1角度αと同一であってもよく、異なっていても良い。
【0079】
また、第2ガラス板202が、本実施形態のような面取り形状であってもよい。
【0080】
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態の合わせガラスのA−A断面図である。
図6のうち、第1実施形態で示した部材と同様の構成を有する部材については、
図1A乃至2と同様の参照符号を使用し、説明は省略する。
【0081】
第3実施形態では、第1実施形態とは、第1ガラス板の面取り形状が異なる。第3実施形態では、第1断面形状は、第1ガラス板601の板厚の中心を通り第1及び第2主表面211、212に平行な線を中心として、非対称である。
【0082】
すなわち、断面視において、第1主表面211側の、第1面取り領域207と第1非面取り領域208との境界の位置Gは、第2主表面212側の、第1面取り領域207と第1非面取り領域208との境界の位置Fよりも面内領域102側にある。
【0083】
このようにすることで、距離Cを小さくしつつ、かつ距離Dも小さくすることができる。すなわち、合わせガラス103の周縁部における発泡を抑制でき、かつ美観の低下、他部材との引っかかり及び干渉を抑制できる。
【0084】
また、断面視において、第1ガラス板601の端点204は、第2主表面212側にある。第1主表面211側は、他の部材との摺動や干渉が起こり易いため、第1ガラス板601の端点204を第2主表面212側に設けることで、第1ガラス板601の端点204に過度な負荷がかかって欠けることを抑制できる。
【0085】
なお、合わせガラス103の全周縁に渡って、本明細書で述べた種々の実施形態である必要はなく、例えば、いずれか一辺だけでもよく、また一辺の一部分だけでもよい。それでも、周縁部における発泡を抑制するという効果は得られる。
【0086】
また特に、合わせガラス103の周縁部が、樹脂枠体等の他部材によって覆われていない露出部に、本明細書で述べた種々の実施形態を適用することが好ましい。例えば、合わせガラス103の周縁部に樹脂枠体が付いている場合、端面が覆われているため、そもそも発泡が起きにくく、発泡が生じたとしても隠蔽されるため、外観品質として問題となりにくい。しかし、露出部である場合には、端面が露出しているため発泡が起きやすく、かつ発泡が起こった場合には外観品質として問題となりやすいため、周縁部における発泡の抑制することが、大きな効果を奏する。
【0087】
なお、本願において「露出部」とは、合わせガラス103の周縁部における表裏面のうち、少なくともいずれか一方と、中間膜の端面とが、外部に露出している部位を指す。表裏面及び黒色遮蔽膜が周縁部に設けられていたとしても、樹脂枠体等の他部材によって覆われていなければ、露出部とする。