特許第6835864号(P6835864)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6835864ピロリドン含有ポリアミドを有するポリアミド混合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6835864
(24)【登録日】2021年2月8日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】ピロリドン含有ポリアミドを有するポリアミド混合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 77/00 20060101AFI20210215BHJP
   C08L 77/06 20060101ALI20210215BHJP
   C08K 3/016 20180101ALI20210215BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20210215BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20210215BHJP
   C08G 69/26 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   C08L77/00
   C08L77/06
   C08K3/016
   C08K3/013
   C08K7/02
   C08G69/26
【請求項の数】12
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2018-544252(P2018-544252)
(86)(22)【出願日】2017年1月24日
(65)【公表番号】特表2019-508553(P2019-508553A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(86)【国際出願番号】EP2017051385
(87)【国際公開番号】WO2017144209
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2020年1月21日
(31)【優先権主張番号】16156764.9
(32)【優先日】2016年2月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエイエスエフ・ソシエタス・エウロパエア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローラント ヘルムート クレーマー
(72)【発明者】
【氏名】山本 基儀
【審査官】 櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−107122(JP,A)
【文献】 特表2012−528904(JP,A)
【文献】 特開2009−275121(JP,A)
【文献】 特表平09−505330(JP,A)
【文献】 米国特許第04418189(US,A)
【文献】 米国特許第04420608(US,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0074666(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G,C08L
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A) 10〜98質量%の、B)とは異なる熱可塑性ポリアミド、
B) 1〜50質量%の、さらなる繰り返し単位と結合された2−ピロリドン単位を繰り返し単位として含有する熱可塑性ポリアミド、
C) 0〜40質量%の、ハロゲン不含難燃剤、
D) 0〜60質量%の、繊維状または粒子状の充填材またはそれらの混合物、
E) 0〜30質量%の、さらなる添加剤
を含有し、A)〜E)の質量パーセントの合計が100%である、熱可塑性成形材料。
【請求項2】
A) 10〜98質量%
B) 1〜30質量%
C) 1〜40質量%
D) 0〜50質量%
E) 0〜30質量%
を含有する、請求項1に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項3】
A) 30〜98質量%の、B)とは異なる熱可塑性ポリアミド、
B) 1〜30質量%の、さらなる繰り返し単位と結合された2−ピロリドン単位を繰り返し単位として含有する熱可塑性ポリアミド、
C) 0〜40質量%の、ハロゲン不含難燃剤、
D) 0〜60質量%の、繊維状または粒子状の充填材またはそれらの混合物、
E) 0〜30質量%の、さらなる添加剤
を含有し、A)〜E)の質量パーセントの合計が100%である、請求項1に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項4】
A) 30〜98質量%
B) 1〜30質量%
C) 1〜40質量%
D) 0〜50質量%
E) 0〜30質量%
を含有する、請求項2に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項5】
前記成分B)が、100mol%のB1)およびB2)に対して
B1) 12.5〜50mol%のイタコン酸、ここで0〜37.5mol%のさらなる(イタコン酸とは異なる)ジカルボン酸を含有し得る、
B2) 12.5〜50mol%の、芳香環を有する少なくとも1つのジアミン、ここで0〜37.5mol%のさらなるジアミンを含有し得る、
からのモノマー混合物の重縮合によって得られる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項6】
成分B2)として、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−またはp−フェニレンジアミン、4,4’−オキシジアニリン、4,4’−メチレンビスベンジルアミン、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、2,5−ビス(アミノメチル)フランまたはそれらの混合物の群から選択される、芳香環を有するジアミンを含有する、請求項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項7】
前記成分C)が赤リン、ホスフィン酸塩、窒素含有難燃剤、またはそれらの混合物から構成される、請求項1からまでのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項8】
GPC(PMMA標準および溶離液としてHFIP)による成分B)の分子量Mn(数平均)が、1000〜30000g/molである、請求項1からまでのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項9】
前記成分C)が、式(I)のホスフィン酸塩または/および式(II)のジホスフィン酸塩:
【化1】
[式中、
1、R2は同一または異なり、且つ水素、直鎖または分枝鎖のC1〜C6−アルキル、および/またはアリールであり、
3は直鎖または分枝鎖のC1〜C10−アルキレン、C6〜C10−アリーレン、C6〜C10−アルキルアリーレンまたはC6〜C10−アリールアルキレンであり、
MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化された窒素塩基であり、
mは1〜5、nは1〜4、xは1〜4である]
またはそれらのポリマーから構成される、請求項1からまでのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項10】
前記成分C)が少なくとも1つのメラミン化合物を含有する、請求項に記載の熱可塑性成形材料。
【請求項11】
繊維、フィルム、および成形体を製造するための、請求項1から10までのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料の使用。
【請求項12】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料から得られる繊維、フィルムおよび成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
A) 10〜98質量%の、B)とは異なる熱可塑性ポリアミド、
B) 1〜50質量%の、2−ピロリドンから誘導される単位を含有する熱可塑性ポリアミド、
C) 0〜40質量%の、ハロゲン不含難燃剤、
D) 0〜60質量%の、繊維状または粒子状の充填材またはそれらの混合物、
E) 0〜30質量%の、さらなる添加剤
を含有し、A)〜E)の質量パーセントの合計が100%である、熱可塑性成形材料に関する。
【0002】
さらに、本発明は、それらのポリアミド混合物からの難燃性成形材料、および繊維、フィルムおよび成形体を製造するための前記成形材料の使用、およびその際に得られる各種の成形体、繊維およびフィルムに関する。
【0003】
ピロリドン含有ポリマーは、米国特許第3678015号明細書(US3678015)および独国特許出願公開第4333238号明細書(DE-A4333238A1)に教示されている。学術的な研究(Ali et.al., Macromolecules 2013, 46, 3719−3725)においては、そのようなポリアミドは、生分解性ポリマーとして記載されている。
【0004】
一般的な部分芳香族ポリアミドを添加することによって、ポリエステル中の赤リンの耐炎性が高められることが知られている(Harashina, Hatsuhiko et al.,Flame Retardants, 145−156ページ, Conference, 2010, CODEN: 69MZSK, ISBN: 978−1−60741−501−5)。
【0005】
さらには、一般的な文献において、より低い放散熱容量(heat release capacity)およびより低い比燃焼熱(specific heat of combustion)を有するプラスチックは、より高い耐炎性を有することが証明されている(R. Lyon et al.,Journal of Thermal Analysis and Calorimetry, Vol.89 (2007) 2, 441−448)。
【0006】
本発明の課題は、ポリアミドと、ピロリドン含有ポリアミドとを混合することによって、より低い放散熱容量と、より低い比燃焼熱を有し、材料の固有のより良好な耐炎性がもたらされる、熱可塑性成形材料を提供することである。
【0007】
さらには、表面特性(殊に光沢)および金属表面に対する付着性が改善されるべきである。流動性も、燃焼後の残留物の量も改善されるべきである。より良好な固有の難燃性によって、UL 94のV0に分類されるための難燃剤の添加が減少されるべきであり、なぜなら、多くの場合、前記難燃剤は、ポリアミドの特性に悪影響を及ぼすからである。
【0008】
それに応じて、冒頭で定義した成形材料が見出された。好ましい実施態様は、従属請求項から理解することができる。
【0009】
成分A)として、本発明による成形材料は、10〜98質量%、有利には20〜90質量%、殊に30〜80質量%の、B)とは異なる少なくとも1つのポリアミドを含有する。
【0010】
本発明による成形材料のポリアミドは一般に、ISO 307に準拠して、25℃で96質量%の硫酸中の0.5質量%の溶液中で測定して90〜350、有利には110〜240ml/gの粘度数を有する。
【0011】
少なくとも5000の分子量Mw(質量平均値)を有する半結晶またはアモルファス樹脂、例えば米国特許公報2071250号明細書、2071251号明細書、2130523号明細書、2130948号明細書、2241322号明細書、2312966号明細書、2512606号明細書および3393210号明細書に記載されるものが好ましい。
【0012】
これらについての例は、7〜13の環員を有するラクタムから誘導されるポリアミド、例えばポリカプロラクタム、ポリカプリルラクタムおよびポリラウリンラクタム並びにジカルボン酸とジアミンとの反応によって得られるポリアミドである。
【0013】
ジカルボン酸として、6〜12個、殊に6〜10個の炭素原子を有するアルカンジカルボン酸、および芳香族ジカルボン酸が使用可能である。ここでは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸およびテレフタル酸および/またはイソフタル酸が、酸として挙げられる。
【0014】
ジアミンとして、特に、6〜12個、殊に6〜8個の炭素原子を有するアルカンジアミン並びにm−キシリレンジアミン(例えばBASF SEのUltramid(登録商標) X17、MXDAとアジピン酸とのモル比1:1)、ジ−(4−アミノフェニル)メタン、ジ−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ジ−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ−(4−アミノシクロヘキシル)プロパンまたは1,5−ジアミノ−2−メチルペンタンが適している。
【0015】
好ましいポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジピン酸アミド、ポリヘキサメチレンセバシン酸アミドおよびポリカプロラクタム並びにコポリアミド6/66、殊に、カプロラクタム単位5〜95質量%の割合を有するもの(例えばBASF SEのUltramid(登録商標)C31)である。
【0016】
さらに適したポリアミドは、例えば独国特許出願公開第10313681号明細書(DE-A10313681)、欧州特許出願公開第1198491号明細書(EP-A1198491)および欧州特許出願公開第922065号明細書(EP922065)に記載されているように、ω−アミノアルキルニトリル、例えばアミノカプロニトリル(PA6)およびアジポジニトリルとヘキサメチレンジアミン(PA66)とから、水の存在中でのいわゆる直接重合によって得られる。
【0017】
さらに、例えば1,4−ジアミノブタンとアジピン酸とを高められた温度下で縮合させることによって得られるポリアミド(ポリアミド4.6)も挙げられる。この構造のポリアミドの製造方法は、例えば欧州特許出願公開第38094号明細書(EP-A38094)、欧州特許出願公開第38582号(EP-A38582)明細書および欧州特許出願公開第39524号明細書(EP-A39524)に記載されている。
【0018】
さらに、前記のモノマーの2つまたはそれより多くの共重合によって得られるポリアミド、または複数のポリアミドの混合物も適しており、その際、混合比は任意である。ポリアミド66と他のポリアミドとの混合物、殊にコポリアミド6/66が特に好ましい。
【0019】
さらに、トリアミン含有率が0.5質量%未満、有利には0.3質量%未満である、部分芳香族のコポリアミド、例えばPA6/6TおよびPA66/6Tが特に有利であることが判明している(欧州特許出願公開第299444号明細書(EP-A299444)参照)。さらなる高温耐性ポリアミドは、EP−A1994075号から公知である(PA6T/6I/MXD6)。
【0020】
低いトリアミン含有率を有する好ましい部分芳香族コポリアミドの製造は、欧州特許出願公開第129195号明細書(EP-A129195)および欧州特許出願公開第129196号明細書(EP-A129196)内に記載される方法によって行なうことができる。
【0021】
次のリストは、包括的なものではないが、本発明の範疇で挙げられたポリアミドA)並びにさらなるポリアミドA)および含有されるモノマーを含む。
【0022】
ABポリマー:
PA6 ε−カプロラクタム
PA7 エナントラクタム
PA8 カプリルラクタム
PA9 9−アミノペラルゴン酸
PA11 11−アミノウンデカン酸
PA12 ラウリンラクタム
AA/BBポリマー
PA46 テトラメチレンジアミン、アジピン酸
PA66 ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸
PA69 ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸
PA610 ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸
PA612 ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸
PA613 ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA1212 1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸
PA1313 1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸
PA6T ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA9T 1,9−ノナンジアミン、テレフタル酸
PA MXD6 m−キシリレンジアミン、アジピン酸
PA6I ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸
PA6−3−T トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA6/6T (PA6およびPA6T参照)
PA6/66 (PA6およびPA66参照)
PA6/12 (PA6およびPA12参照)
PA66/6/610 (PA66、PA6およびPA610参照)
PA6I/6T (PA6IおよびPA6T参照)
PA PACM 12 ジアミノジシクロヘキシルメタン、ドデカン二酸
PA6I/6T/PACM PA6I/6T+ジアミノジシクロヘキシルメタンと同様
PA12/MACMI ラウリンラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、イソフタル酸
PA12/MACMT ラウリンラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、テレフタル酸
PA PDA−T フェニレンジアミン、テレフタル酸
PA410 1.4−テトラメチレンジアミン、セバシン酸
PA510 1.5−ペンタメチレンジアミン、セバシン酸
PA10T 1,10−デカンジアミン、テレフタル酸。
【0023】
成分B)として、本発明による成形材料は、1〜50、殊に1〜30、有利には3〜25、および殊に5〜25質量%の、A)とは異なる、2−ピロリドンから誘導される単位を含む熱可塑性ポリアミドを含有する。Roempps Online Lexikon(2007年4月)によれば、2−ピロリドンについての異名は、ピロリジン−2−オン、4−アミノ酪酸ラクタム、γ−ブチロラクタム、2−オキソピロリドンである。
【0024】
「誘導」との用語は、生じる繰り返し単位が「純粋な」2−ピロリドンではなく、さらなる繰り返し単位によって置換されている、またはそれと結合されていることを意味する(米国特許出願公開第4418189号明細書(US4418189)参照)。
【0025】
そのようなポリアミドB)は、100mol%のB1)およびB2)に対して、
B1) 12.5〜50mol%、有利には20〜50mol%のイタコン酸、ここで0〜37.5mol%、有利には0〜30mol%のさらなる(イタコン酸とは異なる)ジカルボン酸を含有し得る、
B2) 12.5〜50mol%、有利には20〜50mol%の、芳香環を有する少なくとも1つのジアミン、ここで0〜37.5mol%、有利には0〜30mol%のさらなるジアミンを含有し得る、
からのモノマー混合物の重縮合によって得られる。
【0026】
その重縮合は一般に、多くの場合、水溶液または大部分が水性の溶液中でモノマーを混合し、引き続き減圧下および/または高められた温度下で溶剤を除去することによって、通常通りに行われる。温度および圧力は一般に、150℃〜320℃、有利には180℃〜280℃、並びに0〜30barである。滞留時間は一般に、1時間〜30時間、好ましくは1時間〜20時間である。
【0027】
モノマーの比に応じて、ポリマー鎖内にブロック構造または交互の構造が生じ、それを以下の好ましい例に示す:
【化1】
【0028】
最後の式は、イタコン酸/テレフタル酸およびm−キシリレンジアミンからの好ましいコポリアミドについての例である。
【0029】
成分B)のモル質量は一般に、GPC(PMMA標準、および溶離液としてHFIP)による成分B)のMn(数平均)が1000〜30000g/mol、有利には1500〜25000g/molであり、質量平均Mwは、以下で詳細に説明するようにGPCを用いて測定して通常、2000〜150000、有利には2500〜100000g/molである。
【0030】
ポリアミドの分子量MnもしくはMwは以下のように測定された:
15mgの部分芳香族ポリアミドを、10mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中に溶解した。それらの溶液125μlを、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)でそれぞれ解析した。測定を室温で実施した。溶離のために、HFIP+0.05質量%のトリフルオロ酢酸のKa塩を使用した。溶離速度は、0.5ml/分であった。その際、以下のカラムの組み合わせが使用された(全てのカラムは昭和電工株式会社、日本で製造された): Shodex(登録商標)HFIP−800P(直径8mm、長さ5cm)、Shodex(登録商標)HFIP−803(直径8mm、長さ30cm)、Shodex(登録商標)HFIP−803(直径8mm、長さ30cm)。その部分芳香族ポリアミドを、Rl−検出器(示差屈折率測定法)を用いて検出した。分子量Mn=505g/mol〜Mn=2740000g/molを有する狭い分布のポリメチルメタクリレート標準を用いて、較正を行った。
【0031】
脂肪族ジカルボン酸B1)およびその誘導体として、一般に2〜40個の炭素原子、有利には4〜18個の炭素原子を有するものが考慮に入れられる。それらは、直鎖であっても分枝鎖であってもよい。本発明の範囲で使用可能な脂環式ジカルボン酸は通常、7〜10個の炭素原子を有するもの、および殊に8個の炭素原子を有するものである。しかしながら原理的に、より多くの数の炭素原子、例えば30個までの炭素原子を有するジカルボン酸も使用することができる。
【0032】
挙げられる例は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンニ酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、ダイマー脂肪酸(例えばEmpol(登録商標)1061、BASF社)、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、および2,5−ノルボルナンジカルボン酸である。
【0033】
同様に使用可能である、上記の脂肪族または脂環式ジカルボン酸のエステル形成誘導体として、殊にジ−C1〜C6−アルキルエステル、例えばジメチル−、ジエチル−、ジ−n−プロピル、ジイソプロピル、ジ−n−ブチル、ジイソブチル、ジ−t−ブチル、ジ−n−ペンチル−、ジイソペンチルまたはジ−n−ヘキシルエステルが挙げられる。ジカルボン酸の無水物も使用できる。
【0034】
その際、前記ジカルボン酸またはそれらのエステル形成誘導体は、単独、またはそれらの2つまたはそれより多くの混合物として使用することができる。
【0035】
好ましくは、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸またはそのそれぞれのエステル形成誘導体または混合物が使用される。特に好ましくは、コハク酸、アジピン酸またはセバシン酸、またはそのそれぞれのエステル形成誘導体または混合物が使用される。殊に好ましくは、アジピン酸またはそのエステル形成誘導体、例えばそのアルキルエステルまたはその混合物が使用される。脂肪族ジカルボン酸として、セバシン酸、またはセバシン酸とアジピン酸との混合物が好ましく使用される。
【0036】
芳香族ジカルボン酸として、一般に、6〜12個の炭素原子を有するもの、有利には8個の炭素原子を有するものが挙げられる。例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−フランジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸およびアントラセンジカルボン酸並びにそれらのエステル形成誘導体が言及される。その際、殊にジ−C1〜C6−アルキルエステル、例えばジメチル−、ジエチル−、ジ−n−プロピル−、ジイソプロピル−、ジ−n−ブチル−、ジイソブチル−、ジ−t−ブチル−、ジ−n−ペンチル−、ジイソペンチル−またはジ−n−ヘキシルエステルが挙げられる。ジカルボン酸a2の無水物も適したエステル形成誘導体である。
【0037】
しかしながら原理的には、より多くの数の炭素原子、例えば20個までの炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸も使用することができる。
【0038】
前記芳香族ジカルボン酸またはそれらのエステル形成誘導体B1)は、単独、またはそれらの2つまたはそれより多くの混合物として使用することができる。特に好ましくは、テレフタル酸またはそのエステル形成誘導体、例えばジメチルテレフタレートを使用する。
【0039】
また、スルホネート基含有化合物、例えば、スルホネート基含有ジカルボン酸のアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩またはそれらのエステル形成誘導体を用いることも慣例的である。5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩またはそれらの混合物が好ましく、そのナトリウム塩が特に好ましい。
【0040】
ポリアミドB)のモノマーは、成分B2)として、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−またはp−フェニレンジアミン、4,4’−オキシジアニリン、4,4’−メチレンビスベンジルアミン、1,1’−ビフェニル−4,4’ジアミン、2,5−ビス(アミノメチル)フランまたはそれらの混合物の群から選択される、6〜30個の炭素原子を有する芳香環を有するジアミンを含有し、ここで、m−およびp−キシリレンジアミンが好ましい。
【0041】
一般に、それらのジアミンB2)は混合物、または2〜18個の炭素原子を有する分枝鎖または直鎖のアルカンジアミンとの混合物で存在できる。
【0042】
適したアルカンジアミンの例は、1,2−エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,2−ブタンジアミン,1,3−ブタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジアミン、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、殊にエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミンおよび2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(ネオペンチルジアミン); シクロペンタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,5−ビス(アミノメチル)テトラヒドロフラン、4,4’−メチレンビスシクロヘキサンアミン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキサンアミン)、または2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジアミンである。異なるアルカンジアミンの混合物も使用できる。
【0043】
モノマーB1)およびB2)の、上記で挙げられた量の比での好ましい組み合わせは、イタコン酸と、m−またはp−キシリレンジアミン、または2,5−ビス(アミノメチル)フランまたはそれらの混合物である。
【0044】
本発明による成形材料中の成分C)の含有率は、成分A)〜E)の合計に対して0〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、殊に2〜25質量%、および殊に2〜18質量%である。
【0045】
好ましいハロゲン不含の難燃剤C)は、殊にガラス繊維強化成形材料と組み合わされた元素状赤リンであり、それは未処理の形で使用可能である。
【0046】
しかしながら、リンが表面的に低分子量の液状物質、例えばシリコーン油、パラフィン油、またはフタル酸のエステル(殊にジオクチルフタレート、欧州特許第176836号明細書(EP176836)参照)またはアジピン酸のエステルで、またはポリマーまたはオリゴマー化合物、例えばフェノール樹脂またはアミノプラストならびにポリウレタンで被覆されている調製物が特に適している(欧州特許出願公開第384232号明細書(EP-A384232)、独国特許出願公開第19648503号明細書(DE-A19648503)参照)。そのようないわゆる鈍感剤は、通常、100質量%のB)に対して0.05〜5質量%の量で含有される。
【0047】
さらに、例えばポリアミドA)またはエラストマーE)中で赤リンの濃縮物が難燃剤として適している。殊に、ポリオレフィンホモポリマーおよびポリオレフィンコポリマーが、濃縮ポリマーとして適している。しかしながら、濃縮ポリマーの割合は、ポリアミドが熱可塑性樹脂として使用されない場合には、本発明による成形材料中での成分A)〜E)の質量に対して35質量%以下であるべきである。
【0048】
好ましい濃縮物の組成は、
1) ポリアミドまたはエラストマー 30〜90質量%、有利には45〜70質量%、
2) 赤リン 10〜70質量%、有利には30〜55質量%
である。
【0049】
バッチ式のために使用されるポリアミドは、A)とは異なっていてもよいし、または、不適合性または融点差が成形材料に対して悪影響を及ぼさないために、好ましくはA)と同一であってもよい。成形材料中に分布されたリン粒子の平均粒径(d50)は、好ましくは、0.0001〜0.5mmの範囲、殊に0.001〜0.2mmの範囲である。
【0050】
成分C)として、本発明による成形材料は、ハロゲン不含難燃剤として、A)〜E)に対して0〜40質量%、有利には1〜30質量%、有利には1〜15質量%、殊に5〜10質量%のホスフィン酸塩を含有することができる。
【0051】
成分C)として、式(I)のホスフィン酸塩または/および式(II)ジホスフィン酸塩またはそのポリマーが適している
【化2】
[式中、
1、R2は同一または異なり、且つ、水素、直鎖または分枝鎖のC1〜C6−アルキルおよび/またはアリールであり、
3は直鎖または分枝鎖のC1〜C10−アルキレン、C6〜C10−アリーレン、C6〜C10−アルキルアリーレン、またはC6〜C10−アリールアルキレンであり、
MはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kおよび/またはプロトン化された窒素塩基であり、
mは1〜4、nは1〜5、xは1〜4であり、有利にはm=3、x=3である]。
【0052】
好ましくは、成分CのR1、R2は同一または異なり、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチルおよび/またはフェニルである。
【0053】
好ましくは、成分CのR3は、メチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、tert−ブチレン、n−ペンチレン、n−オクチレンまたはn−ドデシレン、フェニレンまたはナフチレン; メチルフェニレン、エチルフェニレン、tert−ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチル−ナフチレンまたはtert−ブチルナフチレン; フェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレンまたはフェニルブチレンである。
【0054】
特に好ましくは、R1、R2は水素、メチル、エチルであり、且つM=Alであり、その際、次亜リン酸アルミニウムが特に好ましい。
【0055】
そのホスフィン酸塩の製造を、有利には、相応の金属塩を水溶液から沈殿させることによって行う。しかしながら、ホスフィン酸塩を、担体材料としての適した無機金属酸化物または硫化物(白色顔料、例えばTiO2、SnO2、ZnO、ZnS、SiO2)の存在下で沈殿させることもできる。それによって、熱可塑性ポリエステルのためにレーザーマーキング可能な難燃剤として使用できる表面改質顔料が得られる。
【0056】
成分C)として、本発明による成形材料は、0〜40質量%、有利には1〜30質量%、有利には1〜15質量%、殊に3〜12質量%の窒素含有難燃剤、有利にはメラミン化合物を含有することができる。
【0057】
本発明による好ましく適したメラミンシアヌレート(成分C)は、有利には等モル量のメラミン(式I)およびシアヌル酸もしくはイソシアヌル酸(式IaおよびIb)の反応生成物である
【化3】
【0058】
例えば、それは出発化合物の水溶液を90〜100℃で反応させることによって得られる。市販の製品は、平均粒径d50 1.5〜7μmおよびd99値50μm未満を有する白色の粉末である。
【0059】
さらに適した化合物(多くの場合、塩または付加物とも称される)は、メラミンスルフェート、メラミン、メラミンボレート、メラミンオキサレート、第一級リン酸メラミン、第二級リン酸メラミン、および第二級ピロリン酸メラミン、ネオペンチルグリコールホウ酸メラミン並びにポリマーのリン酸メラミン(CAS番号56386−64−2もしくは218768−84−4)である。
【0060】
平均縮合度の数nが20〜200である1,3,5−トリアジン化合物のメラミンポリホスフェート塩が好ましく、且つ、1,3,5−トリアジン含分は、リン原子1molあたり、1.1〜2.0molの1,3,5−トリアジン化合物であり、前記化合物は、メラミン、メラム、メレム、メロン、アンメリン、アンメリド、2−ウレイドメラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンおよびジアミンフェニルトリアジンからなる群から選択される。好ましくは、そのような塩のn値は、一般に40〜150であり、且つ、1molのリン原子あたりの1,3,5−トリアジン化合物の割合は有利には1.2〜1.8である。さらに、欧州特許第1095030号明細書(EP-B1095030)に従って製造された塩の10質量%の水性スラリーのpHは、一般に4.5より上、有利には少なくとも5.0である。pH値は通常、25gの塩および225gの清浄な水を25℃で300mlのビーカーに入れ、生じる水性のスラリーを30分間撹拌し、その後、pHを測定することによって測定される。上記のn値、数平均縮合度は、31P−固体NMRを用いて測定できる。J.R.van Wazer, C.F.Callis, J.ShooleryおよびR.Jones, J. Am. Chem. Soc, 78, 5715, 1956から、隣接するホスフェート基の数により独自のケミカルシフトが示され、それらがオルトホスフェート、ピロホスフェートおよびポリホスフェートの間で明らかに区別できることが知られている。欧州特許第1095030号明細書(EP1095030B1)において、さらに、n値が20〜200であり且つその1,3,5−トリアジン含分が1.1〜2.0molの1,3,5−トリアジン化合物である、1,3,5−トリアジン化合物の望ましいポリホスフェート塩の製造方法が記載されている。この方法は、1,3,5−トリアジン化合物をオルトリン酸と共にそのオルトリン酸塩に変換し、次に、脱水および熱処理し、そのオルトリン酸塩を1,3,5−トリアジン化合物のポリホスフェートに変換することを含む。この熱処理は、有利には少なくとも300℃、有利には少なくとも310℃の温度で実施される。1,3,5−トリアジン化合物のオルトホスフェート以外に、例えばオルトホスフェートとピロホスフェートとの混合物を含む他の1,3,5−トリアジンホスフェートも使用できる。
【0061】
適したグアニジン塩は下記である:
【表1】
【0062】
本発明における化合物とは、例えばベンゾグアナミン自体およびその付加物もしくは塩、並びに窒素置換誘導体およびその付加物もしくは塩であると理解される。
【0063】
さらに適しているのは、ポリリン酸アンモニウム(NH4PO3n[前記式中、nは約200〜1000、好ましくは600〜800である]および式VI
【化4】
のトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)またはそれらと芳香族カルボン酸Ar(COOH)mとの反応生成物であり、これは場合によっては、互いに混合して存在でき、その際、Arは、一核、二核、または三核の芳香族六員環系であり、且つmは2、3または4である。
【0064】
適したカルボン酸は、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,3,5−ベンゾトリカルボン酸、1,2,4−ベンゾトリカルボン酸、ピロメリット酸、メロファン酸、プレニット(Prehnit)酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、ナフタレンジカルボン酸およびアントラセンカルボン酸である。
【0065】
この製造は、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと、酸、それらのアルキルエステルまたはそれらのハロゲン化物とを、欧州特許出願公開第584567号明細書(EP-A584567)の方法に従って反応させることにより行われる。そのような反応生成物は、モノマー状およびオリゴマー状のエステルの混合物であり、それは架橋されていることもある。このオリゴマー化度は、通常、2〜約100、有利には2〜20である。好ましくは、THEICおよび/またはこの反応生成物と、リン含有窒素化合物、殊に(NH4PO3nまたはピロリン酸メラミンまたはポリマーのリン酸メラミンとの混合物が使用される。この混合比、例えば(NH4PO3n対THEICの混合比は、前記成分B1)の混合物に対して、有利には90〜50:10〜50、殊に80〜50:50〜20質量%である。
【0066】
式V
【化5】
[式中、R、R’は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基、好ましくは水素である]
のベンゾグアナミン化合物が適しており、および殊にそれらとリン酸、ホウ酸、および/またはピロリン酸とのこの付加物がさらに好ましい。
【0067】
さらに、式VI
【化6】
[式中、R、R’は、式V中で記載された意味を有する]アラントイン化合物、並びにそれらとリン酸、ホウ酸および/またはピロリン酸との塩、並びに式VII
【化7】
[式中、Rは式Vにおいて記載された意味を有する]
のグルコールウリルまたはそれらと上記の酸との塩が好ましい。
【0068】
適した生成物は市販されているか、または独国特許出願公開第19614424号明細書(DE-A19614424)に従って得ることができる。
【0069】
本発明により使用可能なシアノグアニジン(式VIII)は、例えば、石灰窒素(カルシウムシアナミド)と炭酸との反応により得られ、その際、生じるシアナミドはpH9〜10でシアノグアニジンへと二量体化する。
【化8】
【0070】
市販の製品は、融点209℃〜211℃を有する白色の粉末である。
【0071】
とりわけ特に好ましくは本発明によるメラミンシアヌレートが使用され、その粒径分布は好ましくは以下のとおりである:
98<25μm、好ましくは<20μm、
50<4.5μm、好ましくは<3μm。
【0072】
50値は、当業者には一般に、50%の粒子がそれより小さい粒径を有し、かつ50%がそれより大きい粒径を有する粒径の値と理解される。
【0073】
粒径分布は通常、レーザー回折によって測定される(ISO13320の方式)。
【0074】
繊維状または粒子状の充填剤D)として、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス球、アモルファスシリカ、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、チョーク、粉末石英、雲母、硫酸バリウムおよび長石が挙げられ、これらは0〜50質量%、好ましくは5〜50質量%、殊に10〜40質量%の量で使用される。
【0075】
好ましい繊維状充填剤としては、炭素繊維、アラミド繊維およびチタン酸カリウム繊維が挙げられ、その際、E−ガラスとしてのガラス繊維が特に好ましい。これらは、市販の形態のロービングまたはチョップトガラスとして使用されてよい。
【0076】
繊維状充填材を、熱可塑性樹脂とより良好に適合させるために、シラン化合物で表面の前処理をすることができる。
【0077】
適したシラン化合物は、下記の一般式のシラン化合物である:
(X−(CH2nk−Si−(O−Cm2m+14-k
前記式中、置換基は以下の意味を有する:
Xは、
【化9】
であり、
nは、2〜10の、好ましくは3〜4の整数であり、
mは、1〜5の、好ましくは1〜2の整数であり、
kは、1〜3の、好ましくは1の整数である。
【0078】
好ましいシラン化合物は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン、並びに置換基Xとしてグリシジル基を含有する相応のシランである。
【0079】
前記シラン化合物は、一般に表面被覆のために(D)に対して)0.01〜2質量%、有利には0.025〜1.0質量%、殊に0.05〜0.5質量%の量で使用される。
【0080】
針状の鉱物充填剤も適している。
【0081】
針状の鉱物充填剤は、本発明の範疇では、非常に顕著な針状の特徴を有する鉱物充填剤であると理解される。例として、針状のウォラストナイトが挙げられる。有利には、該鉱物は、8:1〜35:1、好ましくは8:1〜11:1のL/D(長さ対直径)比を有する。鉱物質の充填剤は、随意に先述のシラン化合物で前処理されていてよいが、前処理は必ずしも必要なわけではない。
【0082】
さらなる充填剤として、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、タルクおよびチョーク、沈降カルサイト、並びに追加的に、層状または針状のナノ充填剤が挙げられ、好ましくは0.1〜10%の量である。好ましくは、このために、マイカ、ベーマイト、ベントナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、針状の酸化亜鉛、およびヘクトライトが使用される。層状のナノ充填剤と有機バインダーとの良好な適合性を得るために、層状のナノ充填剤は、先行技術に従って有機改質される。層状または針状のナノ充填剤を本発明によるナノコンポジットに添加することにより、機械的強度のさらなる向上がもたらされる。
【0083】
成分E)として、前記成形材料は、0〜30質量%、好ましくは0〜20質量%のさらなる添加剤を含有できる。この際、1〜10質量%、好ましくは0.5〜10質量%、殊に1〜8質量%の量でのゴム弾性ポリマー(多くの場合、耐衝撃性改質剤、エラストマーまたはゴムとも称される)が考慮に入れられる。
【0084】
とりわけ一般的には、それは、好ましくは以下のモノマーの少なくとも2つから構成されるコポリマーである:エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、およびアルコール成分中に1〜18個の炭素原子を有するアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル。
【0085】
そのようなポリマーは、例えばHouben−Weyl、Methoden der organischen Chemie、Vol.14/1(Georg−Thieme−Verlag, Stuttgart、1961)、392〜406ページ内、およびC.B.Bucknallのモノグラフィー、「Toughened Plastics」(Applied Science Publishers、London、1977)内に記載されている。
【0086】
以下に、そのようなエラストマーのいくつかの好ましい種類を示す。
【0087】
好ましい成分E)は、以下から構成されるエチレンコポリマーに基づく耐衝撃性改良剤である:
1) 40〜98質量%、好ましくは50〜94.5質量%のエチレン
2) 2〜40質量%、好ましくは5〜40質量%の、1〜18個の炭素原子を有する(メタ)アクリレート、および/または
3) 0〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%の、エチレン性不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸の群から選択される機能性モノマー、またはカルボン酸無水物またはエポキシド基またはそれらの混合物、
ここで、前記E1)〜E3)の質量%の合計は100%である、
または、亜鉛で72%まで中和されたエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー。
【0088】
特に好ましいのは、以下から構成されるエチレンコポリマーである:
1) 50〜69.9質量%のエチレン、
2) 30〜40質量%の、1〜18個の炭素原子を有する(メタ)アクリレート、
3) 0.1〜10質量%の、請求項1に記載の機能性モノマー、
ここで、前記E1)〜E3)の質量%の合計は100%である。
【0089】
官能基E3)の割合は、100質量%のE)に対して、0.05〜5、有利には0.2〜4、殊に0.3〜3.5質量%である。
【0090】
特に好ましい成分E3)は、エチレン性不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸、またはそのような酸の官能性誘導体から構成される。
【0091】
基本的に、アクリル酸またはメタクリル酸の第一級、第二級および第三級の全てのC1〜C18−アルキルエステルE2が適しているが、1〜12個の炭素原子、特に2〜10個の炭素原子を有するエステルが好ましい。
【0092】
これについての例は、メチル−、エチル−、プロピル−、n−、i−ブチル−およびt−ブチル−、2−エチルヘキシル−、オクチル−およびデシルアクリレート並びにメタクリル酸の相応のエステルである。この中でも、n−ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。
【0093】
前記エステルのほかに、オレフィンポリマーに、エチレン性不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸の、酸官能性および/または潜在的に酸官能性のモノマー、またはエポキシ基含有モノマーが含まれることもできる。モノマーE3)のさらなる例として、アクリル酸、メタクリル酸、これらの酸の第三アルキルエステル、殊にブチルアクリレートおよびジカルボン酸、例えばマレイン酸およびフマル酸またはこれらの酸の無水物並びにこれらのモノエステルが挙げられる。
【0094】
潜在的に酸官能性のモノマーとは、重合条件下で、もしくはオレフィンポリマーが成形材料中に追加される際に遊離酸基を形成するような化合物であると理解されるべきである。これについての例としては、20個までの炭素原子を有するジカルボン酸の無水物、殊に無水マレイン酸および先述の酸の第三級C1〜C12−アルキルエステル、殊にtert−ブチルアクリレートおよびtert−ブチルメタクリレートが挙げられる。
【0095】
先述のエチレンコポリマーの製造を、自体公知の方法により、有利には高圧および高められた温度下でのランダム共重合によって行うことができる。
【0096】
エチレンコポリマーのメルトインデックスは、一般に1〜80g/10分(190℃且つ2.16kgの負荷で測定)の範囲である。
【0097】
このエチレンコポリマーの分子量は、10000〜500000g/mol、好ましくは15000〜400000g/molである(PS較正を用い1,2,4−トリクロロベンゼン中でGPCを用いて測定されたMn)。
【0098】
好ましく用いられる市販品は、Fusabond(登録商標)A 560、Lucalen(登録商標)A 2910、Lucalen(登録商標)A3110、Nucrel 3990、Nucrel 925、Lotader Ax9800、3 getabond FS 7Mである。
【0099】
先述のエチレンコポリマーを、自体公知の方法により、有利には高圧および高められた温度下でのランダム共重合によって製造できる。相応の方法は一般的に知られている。
【0100】
エマルションポリマーも好ましいエラストマーであり、その製造は、例えばBlackleyによるモノグラフィー「Emulsion Polymerization」内に記載されている。使用可能な乳化剤および触媒は自体公知である。
【0101】
単位E2)を含有しないが、酸成分E3)がZnで中和されたコポリマーが殊に好ましい。ここで、72%までが亜鉛で中和されたエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマーが好ましい(Surlyn(登録商標)9520としてDupont社から市販されている)。
【0102】
当然のことながら、先述のゴム種の混合物を使用することもできる。
【0103】
さらなる添加剤E)は30質量%まで、好ましくは20質量%まで含有され得る。
【0104】
成分E)として、本発明による成形材料は、0.05〜3質量%、好ましくは0.1〜1.5質量%、殊に0.1〜1質量%の潤滑剤を含むことができる。
【0105】
好ましくは、10〜44個の炭素原子、有利には12〜44個の炭素原子を有する脂肪酸のAl塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはエステルまたはアミドである。金属イオンは、有利にはアルカリ土類金属およびAlであり、その際、CaもしくはMgが特に好ましい。好ましい金属塩は、ステアリン酸カルシウムおよびモンタン酸カルシウム並びにステアリン酸アルミニウムである。種々の塩の混合物も使用でき、その際、その混合比は任意である。
【0106】
カルボン酸は、1価または2価であってよい。例としては、ペラルゴン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、マルガリン酸、ドデカン二酸、ベヘン酸および特に好ましくはステアリン酸、カプリン酸並びにモンタン酸(30〜40個の炭素原子を有する脂肪酸の混合物)が挙げられる。
【0107】
脂肪族アルコールは、1〜4価であってよい。アルコールの例は、n−ブタノール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトールであり、その際、グリセリンおよびペンタエリトリトールが好ましい。
【0108】
脂肪族アミンは、1〜3価であってよい。これについての例は、ステアリルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジ(6−アミノヘキシル)アミンであり、その際、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンが特に好ましい。好ましいエステルまたはアミドは、相応のグリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、エチレンジアミンジステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリントリラウレート、グリセリンモノベヘネートおよびペンタエリトリトールテトラステアレートである。
【0109】
種々のエステルまたはアミドの混合物、またはエステルとアミドとを組合せて使用することもでき、その際、混合比は任意である。
【0110】
成分E)として、本発明による成形材料は、0.05〜3質量%、有利には0.1〜1.5質量%、殊に0.1〜1質量%のCu安定剤、有利にはCu(I)のハロゲン化物を、殊にアルカリ金属のハロゲン化物、有利にはKIと殊に1:4の比で混合して含むことができる。
【0111】
1価の銅の塩として、有利にはPPh3を有するCu(I)錯体、酢酸銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)およびヨウ化銅(I)が考慮に入れられる。これらは、ポリアミドに対して、銅5〜500ppmの量で、有利には10〜250ppmの量で含有されている。
【0112】
好ましい特性は、殊に、銅がポリアミド中に分子状に分布して存在している場合に得られる。これは、該成形材料に、ポリアミド、1価の銅の塩およびアルカリ金属ハロゲン化物を均質な固溶体の形態で含有する濃縮物を添加した場合に達成される。典型的な濃縮物は、例えば79〜95質量%のポリアミドおよび21〜5質量%のヨウ化銅または臭化銅とヨウ化カリウムとからの混合物からなる。均質な固溶体の銅の濃度は、前記固溶体の総質量に対して、好ましくは0.3〜3質量%、殊に0.5〜2質量%であり、且つヨウ化銅(I)対ヨウ化カリウムのモル比は、1〜11.5、有利には1〜5である。前記濃縮物のために適したポリアミドは、ホモポリアミドおよびコポリアミド、殊にポリアミド6およびポリアミド6.6である。立体障害フェノールE)としては、原則的に、フェノール構造を有し、フェノール環に少なくとも1つの立体的にバルキーな基(sterisch anspruchsvolle Gruppe)を有するあらゆる化合物が適している。
【0113】
有利には、例えば以下の式
【化10】
[式中、R1およびR2は、アルキル基、置換アルキル基または置換トリアゾール基であり、ここで、R1基およびR2基は、同一もしくは異なってよく、且つR3は、アルキル基、置換アルキル基、アルコキシ基または置換アミノ基である]
の化合物が考慮に入れられる。
【0114】
挙げられた種類の酸化防止剤は、例えば独国特許出願公開第2702661号明細書(DE-A2702661)(米国特許第4360617号明細書(US4360617))号内に記載されている。
【0115】
好ましい立体障害フェノールのさらなる群は、置換ベンゼンカルボン酸から、殊に置換ベンゼンプロピオン酸から誘導される。
【0116】
この分類からの特に好ましい化合物は、以下の式
【化11】
[式中、R4、R5、R7およびR8は、互いに独立して、C1〜C8−アルキル基であり、該基はそれ自体置換されていてよく(それらの少なくとも1つは、立体的にバルキーな基である)、且つR6は、1〜10個の炭素原子を有する2価の脂肪族基であり、それは主鎖中にC−O結合を有してもよい]
の化合物である。
【0117】
以下の式に相応する化合物が好ましい:
【化12】
【0118】
総じて、立体障害フェノールとして下記が例示的に挙げられる:
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリチル(Pentaerythril)−テトラキス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジステアリル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ−[2.2.2]オクタ−4−イル−メチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−3,5−ジステアリルチオトリアジルアミン、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルジメチルアミン。
【0119】
特に有効であることが立証されており、従って有利に使用されるのは、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox(登録商標)259)、ペンタエリトリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]並びにN,N’−ヘキサメチレンビス−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド(Irganox(登録商標)1098)および先述のBASFSE社のIrganox(登録商標)245であり、これが特に良く適している。
【0120】
単独または混合物として使用できる酸化防止剤G)は、成形材料A)〜E)の総質量に対して、0.05から3質量%まで、有利には0.1〜1.5質量%、殊に0.1〜1質量%の量で含有されている。
【0121】
多くの場合、1個以下の立体障害基をフェノール性ヒドロキシ基に対してオルト位で有する立体障害フェノールが特に有利であることが立証されている(殊に、より長期の期間にわたる拡散光中での保管の際の色安定性を評価した場合)。成分E)として、本発明による成形材料は、0.05〜5質量%、有利には0.1〜2質量%、殊に0.25〜1.5質量%のニグロシンを含有できる。ニグロシンとは、様々な実施態様(水溶性、脂溶性、ガソリン(Sprit)溶解性)において、一般に黒色または灰色の、インジュリンと一緒に使用されるフェナジン染料(アジン染料)の群であると理解され、これはウールの染色およびプリントの際に、絹を黒く着色する際に、皮革、靴クリーム、ニス、プラスチック、焼き付け塗料、インク、およびその種のものの着色のために、並びに顕微鏡用染料として使用される。
【0122】
ニグロシンは、工業的には、ニトロベンゼン、アニリンおよび塩酸アニリンを金属の鉄およびFeCl3と共に加熱することによって得られる(ラテン語niger=黒に由来する名称)。
【0123】
遊離塩基として、または塩(例えば塩酸塩)としての成分E)も使用できる。
【0124】
ニグロシンについてのさらなる詳細は、例えば、電子百科事典Roempp Online、Version2.8、Thieme−Verlag Stuttgart、2006の見出し語「Nigrosin」から得られる。
【0125】
本発明による熱可塑性成形材料は、成分E)として、通常の加工助剤、例えば安定剤、酸化遅延剤、熱分解防止剤、紫外線による分解の防止剤、滑剤および離型剤、着色剤、例えば染料および顔料、核形成剤、可塑剤等を含有することができる。
【0126】
酸化遅延剤および熱安定剤の例としては、熱可塑性成形材料の質量に対して1質量%までの濃度での、立体障害フェノールおよび/またはホスフィットおよびアミン(例えばTAD)、ヒドロキノン、芳香族第二級アミン、例えばジフェニルアミン、前記群の種々の置換された代替物およびこれらの混合物が挙げられる。
【0127】
一般に成形材料に対して2質量%までの量で使用されるUV安定剤としては、種々の置換されたレゾルシン、サリチレート、ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノンが挙げられる。
【0128】
無機顔料、例えば二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄およびカーボンブラック、さらに有機顔料、例えばフタロシアニン、キナクリドン、ペリレン並びに染料、例えばアントラキノンを、着色剤として添加することができる。
【0129】
成核剤としては、ナトリウムフェニルホスフィネート、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、並びに好ましくはタルクを使用できる。
【0130】
本発明による熱可塑性成形材料を、自体公知の方法により製造することができ、前記方法においては、出発成分は通常の混合装置、例えばスクリュー押出機、ブラベンダーミルまたはバンバリーミル中で混合し、引き続き押出しする。押出後、押出物を冷却して破砕することができる。また、個々の成分を予め混合し、次に残りの出発物質を個々におよび/または混合して添加してもよい。混合温度は一般に230〜320℃である。
【0131】
さらに好ましい加工方式によれば、成分B)〜E)をプレポリマーと混合し、調製し、顆粒化することができる。引き続き、得られた顆粒を、固相中、不活性ガス下で連続的または非連続的に成分A)の融点未満の温度で望ましい粘度になるまで濃縮する。
【0132】
本発明による熱可塑性成形材料は、より良好な(固有の)耐炎性(放散熱容量)、流動性、より良好な表面(光沢)、燃焼の際のより少ない残留物、金属表面に対するより良好な付着性、および成形材料中の難燃性添加剤の含有率がより少なくとも有効な難燃性を特徴とする。
【0133】
本発明のさらなる対象は、比燃焼熱または放散熱容量、または両方の特性を、成分B)を有さない請求項1に記載の成形材料と比べて少なくとも5%、有利には7%低下させるためのポリアミドB)の使用である。
【0134】
従って、これはあらゆる種類の繊維、フィルムおよび成形体の製造のために適している。以下にいくつかの例を挙げる: コネクタ、プラグ、プラグ部品、ハーネス部品、回路支持体、回路支持部品、三次元射出成形回路支持体、電気接続素子、およびメカトロニクス部品。
【0135】
本発明による熱可塑性成形材料から製造される成形部品または半製品を、例えば自動車産業、電気産業、電子産業、電気通信産業、情報技術産業、娯楽産業、コンピュータ産業において、車両および他の移動手段において、船舶、宇宙船において、家庭において、事務所設備において、スポーツ、医療において、並びに一般に、高められた難燃性が必要とされる物品および建設部材において、用いることができる。
【0136】
調理および家庭の分野のためには、台所用品、例えば揚げ鍋、アイロン、ボタンのための部品を製造するために、並びにガーデニングおよびレジャー分野において使用するために、流動性を改善されたポリアミドを使用することが可能である。
【実施例】
【0137】
以下の成分を使用した:
成分A1:
ISO 307に準拠し、25℃で、96質量%の硫酸中で0.5質量%の溶液として測定して、120ml/gの粘度数VNを有するポリアミド66(BASF SEのUltramid(登録商標)A24を使用した)。
【0138】
成分A2:
ISO 307に準拠し、25℃で、96質量%の硫酸中で0.5質量%の溶液として測定して、150ml/gの粘度数VNを有するポリアミド6(BASF SEのUltramid(登録商標)B27を使用した)。
【0139】
成分B:
ピロリドン含有ポリマーB)は、独国特許出願公開第4333238号明細書(DE4333238A1)に従う方法で得られた。実施例内で記載されるポリマーは以下のとおりに製造された。
【0140】
ポリマーB1A:
1000mlの丸首フラスコ(Rundhalskolben)に、325g(2.5mol)のイタコン酸(ICA)、300gの脱イオン水および347g(2.55mol)のm−キシリレンジアミン(MXDA)を装入した。その反応混合物を108℃で還流しながら60分間保持した。温度を1時間のうちに徐々に200℃に高めて水を留去し、引き続き、圧力を徐々に3mbarに下げて、この条件下で重縮合を合計75分にわたって、(その都度、わずかなジアミン過剰で)実施した。該ポリマー(50mol%のICA、50mol%のMXDA)は、Tg 145℃を有し、且つMn/Mw 4300/10400g/mol並びにVN 27ml/gを有した。
【0141】
ポリアミドB2A:
1000mlの四ツ口フラスコに260g(2mol)のイタコン酸、83g(0.5mol)のイソフタル酸(IPS)、300gの脱イオン水、および347g(2.55mol)のm−キシリデンジアミンを添加した。その反応混合物を108℃で還流しながら60分間撹拌した。次いで、温度を60分のうちに200℃に高め、水を留去した。その後、3mbarの圧力を、同じ温度で15分間印加する。該ポリマー(40mol%のICA、10mol%のIPS、50mol%のMXDA)は、Tg 141℃、Mn/Mw 3040/7700g/mol、VN 13ml/gを有した。
【0142】
ポリアミドB3A:
1000mlの四ツ口フラスコに260g(2mol)のイタコン酸、73g(0.5mol)のアジピン酸(AA)、300gの脱イオン水、および347g(2.55mol)のm−キシリデンジアミンを添加した。その反応混合物を108℃で還流しながら60分間撹拌した。次いで、温度を60分のうちに200℃に高め、水を留去した。その後、3mbarの真空を、その温度で15分間印加する。該ポリマー(40mol%のICA、10mol%のAA、50mol%のMXDA)は、Tg 127℃、Mn/Mw 7830/20100g/mol、VN 33ml/gを有した。
【0143】
ポリアミドB3B:
B3Aについて上述したように製造を行った。該ポリマー(30mol%のICA、20mol%のAA、50mol%のMXDA)は、Tg 114℃、Mn/Mw 9550/25600g/mol、VN 42ml/gを有した。
【0144】
ポリアミドB4A:
B3Aについて上述したように製造を行ったが、追加的なモノマーB1として、アジピン酸の代わりにテレフタル酸(TPA)を用いた。該ポリマー(40mol%のICA、10mol%のTPA、50mol%のMXDA)は、Tg 126℃、Mn/Mw 5490/20900g/mol、VN 32ml/gを有した。
【0145】
ポリアミドB5A:
B3Aについて上述したように製造を行ったが、追加的なモノマーB2として、アジピン酸の代わりにヘキサメチレンジアミン(HMD)を用いた。該ポリマー(50mol%のICA、25mol%のHMD、25mol%のMXDA)は、Tg 109℃、Mn/Mw 8950/29900g/mol、VN 52ml/gを有した。
【0146】
ポリアミドB6A:
250mlの丸首フラスコに、52g(0.4mol)のイタコン酸(ICA)、50gの脱イオン水、および74g(0.41mol)の2,5−ビス(アミノメチル)フラン(BAMF)を70%の水溶液としてもたらした。その反応混合物を108℃で還流しながら60分間保持した。温度を1時間のうちに徐々に200℃に高めて水を留去し、引き続き、圧力を徐々に3mbarに下げて、この条件下で重縮合を合計75分にわたって実施した。該ポリマー(50mol%のICA、50mol%のBAMF)は、Tg 127℃を有し、且つMn/Mw 6200/72000g/mol並びにVN 14ml/gを有した。
【0147】
成分C1:
ポリアミド6中の平均粒径(d50)10〜30μmの赤リンの40%の濃縮物(Italmatch Chemicals Groupから入手可能)。
【0148】
成分C2A:
ジエチルホスフィン酸アルミニウム(Clariant GmbHのExolit(登録商標)OP1230): 粒径(d90)=80μm。
【0149】
成分C2B:
ジエチルホスフィン酸アルミニウム(Clariant GmbHのExolit(登録商標)OP935): 粒径(d90)=5.613μm、水中でMastersizer 2000を用いて測定(測定範囲0.02〜20000μm)。
【0150】
成分C3:
メラミンシアヌレート(BASF SEのMelapur(登録商標)MC 50)。
【0151】
成分C4:
次亜リン酸アルミニウム(Italmatch Chemicals Groupから入手可能)。
【0152】
成分C5:
メラミンポリホスフェート(BASF SEのMelapur(登録商標) M200)。
【0153】
成分D1:
平均直径10μmのチョップドガラス繊維。
【0154】
成分D2:
坪量408g/m2を有する二軸炭素繊維Sigrafil C30 0/90、SGL Kuempers GmbH&Co.KGから入手可能。
【0155】
成分D3:
Sedigraph 51XX(Micromeritics Instrument Corporation)を用いて測定して1.7μmの平均粒径d50を有するタルク(CAS番号14807−96−6)、MONDO MINERALS B.V.(オランダ)の製品名Microtalc IT extraとして市販。
【0156】
成形材料の製造
成形材料の製造を、以下に記載するとおり、3つの押出機で行った。各々の例において、使用された装置を記載する。
【0157】
DSM Xplore 15マイクロコンパウンダを温度260〜280℃で稼働させた。ツインスクリューの回転数は60rpmであった。押出機に入れた後のポリマーの滞留時間は約3分であった。そのマイクロコンパウンダは、加工の間、定められた回転数を達成するためにもたらされなければならないスクリューの力(Wellenkraft)を示した。
【0158】
DSM Xplore 15マイクロコンパウンダで製造された材料から成形部品を製造するために、ポリマー溶融物を、加熱された溶融容器を用いて、射出成形機であるXploreマイクロインジェクション成形機に10cc移し、直ちにモールドに射出した。器具の温度60℃を使用した。射出成形を、16barで5秒、16barで5秒、および16barで4秒の3段階で行った。
【0159】
さらなる成形材料を、二軸押出機であるZE25A UTXi (KraussMaffei Berstorff GmbH、ドイツ)を用いて製造した。温度プロファイルを、ゾーン1内の40℃から、260℃(ゾーン2)を介して280℃(ゾーン3〜11)に高め、そして一定に保持した。回転数を250rpmに調節し、それは約15kg/時間のスループットをもたらした。押出物は水浴を通って引かれ、そして顆粒化された。
【0160】
さらなる成形材料を、Haake Rheomex CTW 100 OSツインスクリュー押出機(Thermo Fisher Scientific Inc.)を用いて加工した。押出機のゾーン1〜3を280℃で保持し、ノズル温度270℃を使用した。押出機を回転数100rpmで稼働し、それによって1.5kg/時間のスループットが達成された。加工の間、その回転数を達成するために必要なトルクを記録した。押出物は水浴を通って引かれ、そして顆粒化された。
【0161】
顆粒化された押出物からの成型部材の製造を、射出成形機であるArburg Allrounder 470HおよびArburg Allrounder 420C (ARBURG GmbH+Co KG)で行い、その際、材料温度270℃〜290℃、スクリューの速度100rpm、充填圧力(Fuelldruecke)500bar〜1100bar、保持圧力(Nachdruecke)500bar〜1000bar、動圧(Staudruck)50barおよび器具温度80℃を使用した。
【0162】
炭素繊維強化成形材料の製造
顆粒化された押出物を、液体窒素下で3分間保管した後、1.5mmのスクリーンパックを備えた超遠心分離ミルZM200(Retsch社)を用いて、微細な粉末へと粉砕した。粉末を、15時間、60℃且つ30mbarで、乾燥キャビネットで保管し、材料の湿分を取り除いた。乾燥した粉末を、型内で均質な層の形態で、0.5mmのメッシュサイズを有するふるいを用いて炭素繊維層の間およびその上にもたらした。ポリマーの量は、プレス後に2つの炭素繊維層で材料厚さ1.0±0.1mmが達成されるように選択された。20.5g〜21.5gの顆粒を、重量22g〜23gを有する2つの炭素繊維層と共に使用した。その積層された材料を、16cm×16cmの内部寸法および0.95mmの厚さを有するプレス枠内で、Dr.Collin GmbH社のラボ用プレスCollin P200 Pを用いてプレスした。プレス条件は以下のとおりであった: 300℃且つ10barで2分、300℃且つ100barで5分、100barで25℃に15分の時間で冷却。材料の試験のための試料の切り出しを、Datronの輪郭フライス盤(ML CubeまたはM35)を用いて、得られたプレートの内側の領域から行った。
【0163】
以下の測定を行った:
DSC:
ポリマーのガラス転移温度(Tg)を、TA Instruments社の示差走査熱量計(DSC) Q2000で測定した。冷却および加熱速度は20K/分であり、秤り入れられた量は約8.5mgであり、パージガスはヘリウムであった。測定曲線(第二の加熱曲線)の評価を、ISO規格11357に準拠して行った。
【0164】
GPC:
ポリアミドの分子量MnもしくはMwを以下のように測定した:
15mgの部分芳香族ポリアミドを、10mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)中に溶解させた。それらの溶液125μlを、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)でその都度解析した。測定を室温で実施した。溶離のために、HFIP+0.05質量%のトリフルオロ酢酸のKa塩を使用した。溶離速度は、0.5ml/分であった。その際、以下のカラムの組み合わせが使用された(全てのカラムは昭和電工株式会社、日本により製造された): Shodex(登録商標)HFIP−800P(直径8mm、長さ5cm)、Shodex(登録商標)HFIP−803(直径8mm、長さ30cm)、Shodex(登録商標)HFIP−803(直径8mm、長さ30cm)。その部分芳香族ポリアミドを、Rl検出器(示差屈折率測定法)を用いて検出した。分子量Mn=505g/mol〜Mn=2740000g/molを有する狭い分布のポリメチルメタクリレート標準を用いて、較正を行った。
【0165】
成形材料の難燃性を、UL94Vの方法(Underwriters Laboratories Inc. Standard of Safety、「Test for Flammability of Plastic Materials for Parts in 30 Devices and Appliances」、14ページ〜18ページ、Northbrook 1998)に従って測定した。特段記載されない限り、その都度5つの試験片を、室温且つ50±10%の相対空気湿度で調質後に、UL94V試験について指示された方式で試験した。第一の接炎および第二の接炎の後の5つの試料の残炎時間の合計を、合計燃焼時間として報告した。
【0166】
放散熱容量、比燃焼熱および窒素下での熱分解後の残留物の量を、FAA微量燃焼熱量計(製造元: Fire Testing Technology、英国)を用いて、2.5mg〜3.5mgの重さの試料で測定し、その際、加熱速度1℃/秒を用い、熱分解炉で800℃まで加熱した。後燃焼装置を温度900℃に調節した。その測定をASTM D7309−13の方式で実施した。装置からるつぼを取り出した直後に、残留物の量を高精度はかりで測定した。
【0167】
光沢度を、PCE Deutschland GmbH社の光沢測定器PCE GM−60を用いて測定した。報告される光沢度は、角度60°で90の光沢度、角度20°で84の光沢度を有する、黒くしたガラスプレートに対して測定された。
【0168】
成形材料の組成および測定結果を表に示す。
【0169】
表1−1は、ピロリドン含有ポリアミドB1AをPA66に混加することでようやく、低い濃度の難燃剤で難燃効果を達成できることを示す。押出機が回転数を保持するために必要な力は、本発明による成形材料については明らかにより低く、そのことは、成形材料の流動性がより高いこと、および装置の負荷がより低いことを示唆する。成形材料および試験体の製造を、DSM Xplore 15マイクロコンパウンダ、および射出成形機であるXploreマイクロインジェクション成形機を用いて行った。
【表1-1】
【0170】
表1−2は、ピロリドン含有ポリアミドB1AをPA6に混加することでようやく、低い濃度の難燃剤で難燃効果を達成できることを示す。押出機が回転数を保持するために必要な力は、本発明による成形材料については明らかにより低く、そのことは、成形材料の流動性がより高いこと、および装置の負荷がより低いことを示唆する。成形材料および試験体の製造を、DSM Xplore 15マイクロコンパウンダ、および射出成形機であるXploreマイクロインジェクション成形機を用いて行った。
【表1-2】
【0171】
表1−3に示されるとおり、ピロリドン含有ポリアミドの混加により、市販のアモルファスポリアミドと比較して明らかにより高い表面品質を達成でき、そのことは、視覚的に明らかである一方で、明らかにより高い光沢度によっても裏付けられている(表1−3)。
【0172】
Dupont社のSelar(登録商標)3246は、イソフタル酸およびテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとの反応により製造されるアモルファスポリアミドである。使用された製品は、19g/100gのテレフタル酸、46g/100gのイソフタル酸、および35g/100gのヘキサメチレンジアミンの組成物を有する。使用された製品は、ISO 307に準拠して、25℃で96質量%の硫酸中の0.5質量%の溶液中で測定して79ml/gの粘度数を有する。
【0173】
成形材料および試験体の製造を、二軸押出機であるZE25A UTXiを用いて行った。
【表1-3】
【0174】
市販のポリアミドとピロリドン含有ポリアミドとを混合することにより、表1−4で裏付けられているとおり、難燃剤を使用しなくても、放散熱およびより高い熱分解残留物についての可能性がより低い成形材料が得られる。成形材料および試験体の製造を、DSM Xplore 15マイクロコンパウンダ、および射出成形機であるXploreマイクロインジェクション成形機を用いて行った。
【表1-4】
【0175】
ピロリドン含有ポリアミドの合成においてさらなる芳香族カルボン酸(表2)、並びに脂肪族カルボン酸(表3)を使用する場合も、それらと市販のポリアミドとの混合物について、比較的低い難燃剤濃度で既に、明らかに改善された耐炎性を達成できる。成形材料および試験体の製造を、DSM Xplore 15マイクロコンパウンダ、および射出成形機であるXploreマイクロインジェクション成形機を用いて行った。
【表2】
【0176】
【表3】
【0177】
比較的少ない難燃剤量での、PA66とピロリドン含有B3Aの本発明による混合物の可燃性を、市販のアモルファス且つ部分芳香族ポリアミドと比較すると、表3−2に示されるとおり、明らかにより良好な等級が達成される。さらに、明らかにより低い押出機の負荷で加工を行うことができる。本発明により得られた押出物は、明らかにより平滑な表面を有した。その成形材料の製造は、Haake Polylab押出機を用いて行われた。
【表3-2】
【0178】
ピロリドン含有ポリアミドの合成においてさらなる芳香族カルボン酸を使用する場合も、それらと市販のポリアミドとの混合物について、比較的低い難燃剤濃度で既に、明らかに改善された耐炎性を達成できる(表4−1および表4−2参照)。殊に、ピロリドン含有ポリアミドを含有する成形材料は、明らかにより低い押出機のトルクで製造でき、そのことは、押出機のより低い負荷およびより良好な寿命をもたらす。成形材料および試験体の製造を、DSM Xplore 15マイクロコンパウンダ、および射出成形機であるXploreマイクロインジェクション成形機を用いて行った。
【表4-1】
【0179】
【表4-2】
【0180】
比較的少ない難燃剤量での、PA66とピロリドン含有B4Aの本発明による混合物の可燃性を、市販のアモルファス且つ部分芳香族ポリアミドと比較すると、表4−3に示されるとおり、明らかによる良好な等級が達成される。さらに、明らかにより低い押出機の負荷で加工を行うことができる。その成形材料の製造は、Haake Polylab押出機を用いて行われた。
【表4-3】
【0181】
表4−3に記載される成形材料の顆粒から、さらに、1mm厚の炭素繊維複合板を、上述の方法に従ってプレスした。この複合板から切削された試験体は、本発明による製造後に、明らかにより良好な耐炎性を有した(表4−4参照)。
【表4-4】
【0182】
ピロリドン含有ポリアミドの合成においてさらなるジアミンを使用する場合も、それらと市販のポリアミドとの混合物について、比較的低い難燃剤濃度で既に、明らかに改善された耐炎性を達成できる(表5参照)。ピロリドン含有ポリアミドの添加により、成分Aだけの使用と比較して、熱分解後の残留物が増加され、並びに、明らかに低減された値の比燃焼熱および放散熱容量が達成される。本発明による成形材料の加工は、明らかにより低い押出機の負荷で行うことができる。
【0183】
成形材料および試験体の製造を、DSM Xplore 15マイクロコンパウンダ、および射出成形機であるXploreマイクロインジェクション成形機を用いて行った。
【表5】
【0184】
表6に示されるとおり、2,5−フランジカルボン酸から得られるピロリドン含有ポリアミドをPA6に添加することにより、比較的少ない量の難燃剤で明らかにより良好な耐炎性が達成される。ピロリドン含有ポリアミドの添加により、成分Aだけの使用と比較して、熱分解後の残留物が明らかに増加され、並びに、明らかに低減された値の比燃焼熱および放散熱容量が達成される。本発明による成形材料の加工は、明らかにより低い押出機の負荷で行うことができる。
【0185】
成形材料および試験体の製造を、DSM Xplore 15マイクロコンパウンダ、および射出成形機であるXploreマイクロインジェクション成形機を用いて行った。
【表6】
【0186】
表7に示されるとおり、ピロリドン含有ポリマーをPA6に添加することにより、充填物の加工に際する押出機の負荷を明らかに低減できる。成形材料および試験体の製造は、DSM Xplore 15マイクロコンパウンダを用いて行った。
【表7】