特許第6836827号(P6836827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6836827
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】ゲル状の薬剤入りのパッケージ製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/00 20060101AFI20210222BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20210222BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20210222BHJP
   B65D 71/40 20060101ALI20210222BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   B65D85/00 A
   A61L9/00 Z
   A61L9/12
   B65D71/40
   B65D83/00 F
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-27008(P2015-27008)
(22)【出願日】2015年2月13日
(65)【公開番号】特開2016-147704(P2016-147704A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2018年1月22日
【審判番号】不服2020-7303(P2020-7303/J1)
【審判請求日】2020年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(72)【発明者】
【氏名】森田 耕輔
(72)【発明者】
【氏名】辻本 隆亮
(72)【発明者】
【氏名】冨手 政寛
【合議体】
【審判長】 久保 克彦
【審判官】 間中 耕治
【審判官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/028681(WO,A1)
【文献】 特開平6−312770(JP,A)
【文献】 特開2007−275344(JP,A)
【文献】 特開2012−143506(JP,A)
【文献】 特開2010−253054(JP,A)
【文献】 実開平1−128581(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/00
A61L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分が分離し得るゲル状の薬剤と、前記薬剤を収容する容器とを含む空気清浄器と、
前記空気清浄器を支持し、前記薬剤の不使用時において前記空気清浄器を展示する展示状態に設置可能な支持体と
を備え、
前記容器は、底面部及び前記底面部から起立する側面部を有するとともに、前記底面部と対向する位置に開口を有し、前記開口は、前記展示状態において、遮水シートで覆われており
前記底面部は、前記容器の内部を視認可能に構成されており、前記展示状態で、外側から視認可能な位置に配置され、
前記側面部は、前記展示状態で、前記薬剤から分離した前記水分が前記底面部から離れる方向へ流れるように、鉛直方向に対し前記底面部から離れるにつれて下方に傾斜する傾斜面を有する、
パッケージ製品。
【請求項2】
記空気清浄器は、前記開口を塞ぐ吸水性を有するカバーシートをさらに含む、
請求項1に記載のパッケージ製品。
【請求項3】
前記容器は、前記側面部における前記開口側の端部から周方向外方へ延びるフランジ部
をさらに含み、
前記カバーシートは、少なくとも前記傾斜面付近において前記カバーシートと前記フランジ部との間に前記容器の内部空間に連通する空間を確保するような態様で、周方向に亘って前記フランジ部に接着される、
請求項2に記載のパッケージ製品。
【請求項4】
前記遮水シートは、前記カバーシートとの間に空間を保ちつつ、前記カバーシートを外側から覆う
請求項2又は3に記載のパッケージ製品。
【請求項5】
前記カバーシートは、不織布である、
請求項2から4のいずれかに記載のパッケージ製品。
【請求項6】
前記底面部は、透明である、
請求項1から5のいずれかに記載のパッケージ製品。
【請求項7】
前記支持体は、前記空気清浄器が固定される固定面部と、前記展示状態で前記固定面部を起立させる台座とを含む、
請求項1から6のいずれかに記載のパッケージ製品。
【請求項8】
前記展示状態は、前記空気清浄器を支持した前記支持体を吊り下げた状態である、
請求項1から6のいずれかに記載のパッケージ製品。
【請求項9】
前記支持体は、内部に前記空気清浄器を収容可能な箱体である、
請求項1から6のいずれかに記載のパッケージ製品。
【請求項10】
前記支持体は、紙製である、
請求項1から9のいずれかに記載のパッケージ製品。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル状の薬剤入りの空気清浄器とこれを展示用に支持する支持体とを備えたパッケージ製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゲル状の薬剤を容器内に収容した空気清浄器(特許文献1,2等参照)が知られている。この種のゲル状の薬剤は、水分を多く含有するため、水分が分離し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−280394公報
【特許文献2】特開2000−212354公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ゲル状の薬剤は、しばしば、外部から視認可能な態様で容器に収容される。このように構成すれば、例えば、使用済確認が可能となったり、ゲル状の薬剤がキラキラとして商品の美観を高めたりする等、様々な利点が想定されるからである。しかしながら、ゲル状の薬剤が外部から見えることは良くとも、ゲルから分離した水分まで外部から見えてしまうと、商品としての美観を損ない、商品の魅力を低下させてしまう虞がある。特にこの問題は、商品の陳列時に問題となり得、商品の美観が損なわれることで、人々の購入意欲が減退し得る。
【0005】
本発明は、美観の向上したゲル状の薬剤入りのパッケージ製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係るパッケージ製品は、空気清浄器と、前記空気清浄器を支持し、前記空気清浄器を展示する展示状態に設置可能な支持体とを備える。前記支持体は、ゲル状の薬剤と、前記薬剤を収容する容器とを含む。前記容器は、底面部及び前記底面部から起立する側面部を有する。前記底面部は、前記容器の内部を視認可能に構成されており、前記展示状態で、外側から視認可能な位置に配置される。前記側面部は、前記展示状態で、鉛直方向に対し前記底面部から離れるにつれて下方に傾斜する傾斜面を有する。
【0007】
ここでは、空気清浄器を含むパッケージ製品の展示状態で、ゲル状の薬剤入りの容器の底面部が外部から視認可能な位置に配置される。そして、この底面部に連なる容器の側面部には、同じく展示状態で、底面部から離れるにつれて鉛直下方に傾斜する傾斜面が設けられている。その結果、たとえ容器内でゲル状の薬剤から水分が分離したとしても、重力により当該水分は傾斜面を伝って底面部から離れるように流れる。そのため、底面部側から空気清浄器を見る者の目に水分が映りにくくなり、パッケージ製品の美観が向上する。
【0008】
本発明の第2観点に係るパッケージ製品は、第1観点に係るパッケージ製品であって、前記容器は、前記底面部の反対側において前記側面部により規定される開口を有する。前記空気清浄器は、前記開口を塞ぐ吸水性を有するカバーシートをさらに含む。
【0009】
ここでは、空気清浄器の容器が底面部の反対側において開口しており、当該開口が吸水性を有するカバーシートにより覆われている。その結果、パッケージ製品の展示状態で、薬剤から分離し上述の傾斜面を伝って流れた水分は、カバーシートに達し、これに吸収される。従って、底面部側から空気清浄器を見る者の目にさらに水分が映りにくくなり、パッケージ製品の美観がさらに向上する。
【0010】
本発明の第3観点に係るパッケージ製品は、第2観点に係るパッケージ製品であって、前記容器は、前記側面部における前記開口側の端部から周方向外方へ延びるフランジ部をさらに含む。前記カバーシートは、少なくとも前記傾斜面付近において前記カバーシートと前記フランジ部との間に前記容器の内部空間に連通する空間を確保するような態様で、周方向に亘って前記フランジ部に接着される。
【0011】
ここでは、空気清浄器の容器の開口付近にフランジ部が設けられており、このフランジ部に周方向に亘ってカバーシートが接着される。そして、少なくとも上述の傾斜面付近において、このカバーシートとフランジ部との間には、容器内に連通する空間が確保される。その結果、パッケージ製品の展示状態で、薬剤から分離し傾斜面を伝って流れた水分は、この空間に捕捉されることになる。従って、底面部側から空気清浄器を見る者の目にさらに水分が映りにくくなり、パッケージ製品の美観がさらに向上する。
【0012】
本発明の第4観点に係るパッケージ製品は、第2観点又は第3観点に係るパッケージ製品であって、前記空気清浄器は、前記カバーシートとの間に空間を保ちつつ、前記カバーシートを外側から覆う遮水シートをさらに含む。
【0013】
ここでは、容器の開口を覆う上述のカバーシートが、さらに外側から遮水シートで覆われている。その結果、水分が容器外へ漏れ出すことが防止される。また、ここでは、カバーシートと遮水シートとの間に空間が確保されており、容器内の水分をこの空間に捕捉することができる。従って、底面部側から空気清浄器を見る者の目にさらに水分が映りにくくなり、パッケージ製品の美観がさらに向上する。
【0014】
本発明の第5観点に係るパッケージ製品は、第2観点から第4観点のいずれかに係るパッケージ製品であって、前記カバーシートは、不織布である。
【0015】
ここでは、カバーシートとして不織布が使用される。従って、毛細管現象により、カバーシート全体で水分を捕捉することができる。よって、底面部側から空気清浄器を見る者の目にさらに水分が映りにくくなり、パッケージ製品の美観がさらに向上する。
【0016】
本発明の第6観点に係るパッケージ製品は、第1観点から第5観点のいずれかに係るパッケージ製品であって、前記底面部は、透明である。
【0017】
本発明の第7観点に係るパッケージ製品は、第1観点から第6観点のいずれかに係るパッケージ製品であって、前記支持体は、前記空気清浄器が固定される固定面部と、前記展示状態で前記固定面部を起立させる台座とを含む。
【0018】
本発明の第8観点に係るパッケージ製品は、第1観点から第6観点のいずれかに係るパッケージ製品であって、前記展示状態は、前記空気清浄器を支持した前記支持体を吊り下げた状態である。
【0019】
本発明の第9観点に係るパッケージ製品は、第1観点から第6観点のいずれかに係るパッケージ製品であって、前記支持体は、内部に前記空気清浄器を収容可能な箱体である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、空気清浄器を含むパッケージ製品の展示状態で、ゲル状の薬剤入りの容器の底面部が外部から視認可能な位置に配置される。そして、この底面部に連なる容器の側面部には、同じく展示状態で、底面部から離れるにつれて鉛直下方に傾斜する傾斜面が設けられている。その結果、たとえ容器内でゲル状の薬剤から水分が分離したとしても、重力により当該水分は傾斜面を伝って底面部から離れるように流れる。そのため、底面部側から空気清浄器を見る者の目に水分が映りにくくなり、パッケージ製品の美観が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る空気清浄器を示す斜視図である。
図2図1の空気清浄器の平面図である。
図3図2の空気清浄器の断面図である。
図4図1の空気清浄器におけるフランジ部の一部平面図(a)及び断面図(b)である。
図5図1の空気清浄器におけるフランジ部の拡大断面図である。
図6図1の空気清浄器の使用方法を示す断面図である。
図7図1の空気清浄器の他の使用方法を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るパッケージ製品を前方から見た図である。
図9図8のパッケージ製品を側方から見た図である。
図10図8のパッケージ製品を上方から見た図である。
図11図8のパッケージ製品を後方から見た図である。
図12】支持体の展開図である。
図13】組立途中の支持体を示す図である。
図14】組立途中の支持体を示す別の図である。
図15】2つのパッケージ製品を省スペースに並べた状態を側方から見た図である。
図16】変形例に係る空気清浄器の断面図である。
図17】変形例に係るパッケージ製品の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るゲル状の薬剤入りのパッケージ製品について説明する。
【0023】
<1.全体構成>
図8は、本実施形態に係るパッケージ製品5を前方から見た図である。図8に示すように、パッケージ製品5は、ゲル状の薬剤2入りの空気清浄器100と、これを展示用に支持する支持体6とを備えている。パッケージ製品5は、空気清浄器100を販売するに当たり、販売促進のため、支持体6により空気清浄器100を支持することで、空気清浄器100を美しく展示できるようにしたものである。パッケージ製品5は、陳列棚等に起立させて展示することもできるし、吊り下げにより展示することもできる。以下、空気清浄器100について説明した後、これを支持する支持体6について説明する。
【0024】
<2.空気清浄器>
図1は、空気清浄器100の斜視図、図2はその平面図、図3はその断面図である。図1図3に示すように、この空気清浄器100は、上部に開口111を有し、ゲル状の薬剤2が収容される容器1を備えている。また、この空気清浄器100には、容器1の上部開口111を塞ぐようにカバーシート3が取り付けられ、さらに、このカバーシート3を覆うようにガス不透過性の遮水シート4が取り付けられている。以下、各部材について説明する。
【0025】
<2−1.容器>
容器1は、上部に矩形状の開口111を有する直方体状の容器本体11と、この容器本体11の開口111の周縁から周方向外方に延びるフランジ部12とを備えており、これらが一体的に形成されている。なお、容器1の説明時における「上下」とは、特に断らない限り、容器1の底壁112を水平面上に載置した状態を基準に定義される。従って、底壁112側が下方であり、開口111側が上方である。容器本体11は、矩形状の底壁112(底面部)と、この底壁112の各辺から上方に延びる4つ側壁113(側面部)とを備え、これら底壁112と側壁113とは一体的に形成されている。上記開口111は、底壁112の反対側において、側壁113により規定される。各側壁113は、上方にいくにしたがって、外方に向ってやや傾斜するように底壁112から起立している。そして、各側壁113の上端部には、水平方向に延びるフランジ部12が形成されており、平面視において矩形状になるように一体的に連結されている。また、フランジ部12の4つの角部は円弧状に形成されている。なお、本実施形態では、フランジ部12は、周方向全体に亘って形成されているが、周方向に亘って局所的に形成されていてもよい。
【0026】
容器1の形状は、特には限定されないが、例えば、側壁113を底面として自立できるような形状とすることができる。例えば、側壁113の長さを底壁112よりも長くしてもよいし、あるいは側壁113の長さが底壁112よりも短かったとしても、側壁113は、底面として自立できるような長さであればよい。
【0027】
この容器1を構成する材料は特には限定されず、種々の樹脂材料で形成することができる。しかしながら、流通時や誤って転落した場合等、パッケージ製品5に予期せぬ外力が加わることがある。従って、そのような場合にも、パッケージ製品5を保護することができる程度の可撓性を有する軟質の材料で形成することが好ましい。例えば、図3に示すように、ポリエチレンテレフタレートからなる外層110と、その内側に積層され、ポリエチレンからなる内層120と、で形成することができる。この構成の場合、容器本体11の内部空間側の内壁面は、内層120で形成され、外壁面は外層110で形成される。また、フランジ部12は、上面が内層120で形成され、下面が外層110で形成される。但し、容器1を構成する材料は、これ以外でもよいが、例えば、後述するように、カバーシート3との溶着を容易にするという観点からすると、カバーシート3と対向する層、つまり内層120の融点が、外層110の融点よりも低いことが好ましい。また、容器1は、1層で形成することもできるし、3層以上で形成することもできる。なお、容器1に可撓性がある場合、容器1がやや転倒しやすくなるが、上記フランジ部12により、開口111が下方を向くまで転倒する可能性は低いと言える。
【0028】
また、容器1は、その全体が透明(半透明を含む)に形成されており、外部から内部を視認可能である。従って、後述するように、容器1内に封入された薬剤2がキラキラと輝く様を外部から視認することができ、空気清浄器100の美観が高められている。
【0029】
<2−2.カバーシート>
次に、カバーシート3について説明する。カバーシート3は、吸水性及び通気性を有するシートで形成され、例えば、多孔性のシートや不織布により形成することができる。不織布としては、例えば、シルク、麻、羊毛、コットン、パルプ、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アセテート、ナイロン、アクリル、ビニロン、キュプラ、エチレン酢酸ビニル、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどからなる繊維、又はこれらを組み合わせた複合繊維により形成することができる。
【0030】
不織布を構成する繊維としては、例えば、芯鞘構造の繊維からなる不織布を用いることができる。この場合、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる芯材と、これを被覆するポリエチレンからなる鞘材とで形成された不織布を用いることができる。
【0031】
また、このような不織布は、湿式抄紙法、乾式抄紙法、スパンボンド法、メルトブロー法、ラテックス樹脂ボンド法、溶剤ボンド法、スティッチボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、サーマルボンド法、エアースルー法などの方法により製造することができる。
【0032】
<2−3.遮水シート>
遮水シート4は、上述したカバーシート3を外側から覆うものであり、液不透過性であれば特には限定されない。例えば、ポリエチレン等を主成分とする樹脂製のシートで構成することができるが、その他、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ナイロン、セロファン、ビニロン、塩化ビニルなどを用いることもできる。また、複数の層で形成することでき、後述するように、カバーシート3への取付を考慮すると、カバーシート3と同種の材料を含む複数の層で形成することができる。例えば、図3に示すように、下から、ポリエチレンからなる第1層41、ナイロンからなる第2層42、及びポリエチレンテレフタレートからなる第3層43を積層した3層構造のシートで形成することができる。図3の例では、遮水シート4においてカバーシートと対向する第1層41と、カバーシート3とが同種の材料であるため、両シート3,4の溶着が容易になる。また、溶着を容易にするという観点からすると、カバーシート3と接する層は、他の層と比べ、融点が最も低い材料であることが好ましい。但し、遮水シート4の層構造は、これ以外でもよい。
【0033】
<2−4.薬剤>
薬剤2は、ゲル状である。また、薬剤2の形状は、種々の形状とすることができ、例えば、球状、直方状、星型等の幾何学体であってもよく、また動物、植物、アニメキャラクター等の特殊形状であってもよいが、本実施形態では、ビーズのような玉状に形成される。また、本実施形態では、このようなビーズ状の薬剤2の多数の玉が、容器1内に収容される。なお、個々の薬剤の形状については、同じ形状であっても、異なる形状であっても構わない。また、薬剤2の形状を、容器1の内部空間の形状と概ね等しい直方体状とすることもできる。
【0034】
薬剤2は、水分及び機能性成分を含有しており、この水分は、ゲル状のビーズ玉から分離し得る。ここで機能性成分とは、空気清浄器100が使用される環境で所望の空気清浄機能を発現可能である成分であり、その一例として、芳香成分、消臭成分、防虫成分、抗菌成分等が挙げられる。このような機能性成分は、油性及び水溶性のいずれであってもよい。なお、機能性成分が油性である場合には、薬剤2に油分を含ませておくことが重要である。本発明では、機能性成分として、好ましくは、使用される環境で空気中に揮散可能である成分が挙げられる。これらの機能性成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。好ましい組み合わせとしては、芳香成分及び消臭成分の組み合わせが挙げられる。
【0035】
具体的には、芳香成分としては、例えば、ラベンダ−、レモン、オレンジ、ジャスミン、ペパ−ミント等の天然香料;リモネン、タ−ピノレン、ゲラニオ−ル、シトロネロ−ル、酢酸エチル等の合成香料;及びこれらのブレンド香料等が挙げられる。
【0036】
また、消臭成分としては、例えば、イネ、松、ヒノキ、笹等の植物の抽出物;脱塩型ベタイン化合物;変性有機酸化合物;トリエタノールアミン;安定化二酸化塩素;アルデヒド化合物等が挙げられる。
【0037】
防虫成分としては、例えば、ヒノキチオール、ヒバ油、アリルイソチオシアネート、エタノール、プロパノール、1.8.シネオール等が挙げられる。
【0038】
抗菌成分としては、例えば、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムグルコン酸、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、アリルイソチオシアネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
【0039】
<2−5.カバーシート、遮水シートの容器への取付>
カバーシート3は、容器1のフランジ部12に取り付けられる。このときの取付方法は、特には限定されないが、例えば、ヒートシールにより取り付けることができる。以下、ヒートシールにより、カバーシート3及び遮水シート4を容器1へ取り付ける方法の一例について、図4及び図5を参照しつつ、説明する。図4は、フランジ部12の一部平面図(a)及び断面図(b)、図5は、フランジ部12の拡大断面図である。
【0040】
まず、カバーシート3の周縁部を周方向全体に亘って、ヒートシールにより、フランジ部12に溶着する。このとき、例えば、カバーシート3が、ポリエチレンの鞘材を有する芯鞘構造の繊維で形成され、フランジ部12の上面(内層120)が同じくポリエチレンで形成されていれば、同種の材料であるため、溶着が容易になる。また、ヒートシールを施す領域(以下、第1溶着領域H1)は、特には限定されないが、例えば、図4に示すように、フランジ部12の内周及び外周から隙間を空けた領域とすることができる。これにより、フランジ部12の内周縁から第1溶着領域H1までの間は、カバーシート3がフランジ部12を覆っているが、図5に示すように、フランジ部12には固定されておらず、カバーシート3がフランジ部12から離間可能となっている(符号S1の領域)。こうして、カバーシート3がフランジ部12に溶着されると、その領域H1では不織布が溶融され、緻密な樹脂となる。なお、不織布として芯鞘構造の繊維で形成されたものを用いる場合には、ヒートシールの温度は、鞘材の融点よりも高く、芯材の融点よりも低くすることが好ましい。
【0041】
続いて、遮水シート4をカバーシート3上に配置し、ヒートシールにより、遮水シート4をカバーシート3に固定する。このとき、上述したカバーシート3の第1溶着領域H1に、遮水シート4の周縁部を周方向全体に亘って溶着する。すなわち、第1溶着領域H1よりも狭い幅に亘ってヒートシールを施し(この領域を、以下、第2溶着領域H2と称する)、遮水シート4をカバーシート3に固定する。このとき、遮水シート4の下面(第1層41)がポリエチレンで形成され、カバーシート3が上述したポリエチレンの鞘材を有する芯鞘構造の繊維で形成されていれば、同種の材料であるため、溶着が容易に行われる。こうして、フランジ部12には、カバーシート3、及び遮水シート4がこの順で積層され、固定される。
【0042】
上記のとおり、容器1では、カバーシート3とフランジ部12との間に、容器1の内部空間に連通する空間S1が形成される。この空間S1は、本実施形態では、カバーシート3の周縁部において周方向全体に亘って形成されるが、周方向に亘って部分的に形成されるようにすることもできる。この場合、カバーシート3において、周方向に亘って少なくとも後述する展示状態で下方にくる部分に対応する部分に形成することが好ましい。この空間S1は、後述されるとおり、薬剤2から漏出した水分を捕捉する空間として機能し得るからである。
【0043】
また、遮水シート4とカバーシート3とは、その周縁部の第2溶着領域H2において溶着されるのみで、第2溶着領域H2の内側は溶着されない。そのため、遮水シート4とカバーシート3との間には空間S2(図5参照)が形成されるようになっている。
【0044】
<2−6.空気清浄器の使用方法>
続いて、上記のように構成された空気清浄器100の使用方法について説明する。まず、図6に示すように、遮水シート4をカバーシート3から取り外す。これにより、カバーシート3が外部に露出する。カバーシート3は、通気性を有するため、外部からカバーシート3を介して、容器1内に空気が流入可能となる。そして、流入した空気に含まれる臭気は、ゲル状成形体に含まれる消臭成分と反応することにより浄化され、カバーシート3から外部へ排出される。このような空気の流入、浄化、及び排出を繰り返すことで、空気清浄器100が配置された周囲の空気が浄化されていく。また、空気清浄器100は、図7のような傾けた状態でも使用することができる。
【0045】
<3.支持体>
次に、図8図14を参照しつつ、支持体6の構成について説明する。図8図11は、それぞれパッケージ製品5を前方、側方、上方、後方から見た図である。また、図12図14は、組立途中の支持体6を示す図である。
【0046】
以下では、まず、支持体6を図12に示す完全に展開した状態から、空気清浄器100を加えてパッケージ製品5の完成体となるまで組み立ててゆく作業について説明した後、パッケージ製品5の完成体の特徴について説明する。
【0047】
<3−1.支持体の組み立て>
支持体6は、概ね一定の厚みを有する厚紙を図12に示す形状に切り取ったものであり、後述される支持体6の各部位は、一体的に形成されている。支持体6は、中央に矩形状の表面部材60を有する。なお、図12は、完全に展開した状態の支持体6を、表面部材60の後面60b側から見た図となっている。表面部材60の後面60bは、パッケージ製品5の完成体の状態では、外部から見えない位置に配置され、その反対側の前面60aは、パッケージ製品5を展示状態に設置したときに、主に人々が見る面となる。なお、以下の説明において「前後」とは、特に断らない限り、パッケージ製品5の完成状態を基準に定義され、表面部材60の前面60a側が「前」、後面60b側が「後」である。一方、以下の説明において「左右」及び「上下」は、特に断らない限り、図12の状態を基準に定義されるものとする。
【0048】
表面部材60の左端部には、第1裏面部材61が連続しており、右端部には、第2裏面部材62が連続している。これらの裏面部材61,62は、いずれも表面部材60の上下方向全体に亘って連結されている。第1裏面部材61は、第2裏面部材62よりも左右方向に幅広であり、表面部材60と概ね同じだけの幅を有する。そして、裏面部材61,62と表面部材60との境界線L1,L2に沿って折り目及びミシン目が形成されており、裏面部材61,62は、境界線L1,L2に沿って容易に表面部材60の後面60b側に折り返すことができる。
【0049】
また、表面部材60の上端部には、屋根部材63が連続している。屋根部材63は、表面部材60の左右方向全体に亘って連結されている。そして、屋根部材63と表面部材60との境界線L3に沿って折り目及びミシン目が形成されており、屋根部材63は、境界線L3に沿って容易に表面部材60の後面60b側に折り返すことができる。表面部材60の上部中央付近には、パッケージ製品5を吊り下げにより展示する場合にフックを通すことのできる丸孔60cが形成されている。一方、屋根部材63には、左右方向の中心付近に丸孔63aが形成されており、当該丸孔63aは、屋根部材を境界線L3に沿って折り返したときに、表面部材60の丸孔60cに対向する位置にくる。従って、吊り下げ用のフックは、これらの孔63a,60cを両方貫通することができ、その結果、吊り下げ時のパッケージ製品の重量は、孔60c,孔63aから分散されてフックに伝わることになる。よって、表面部材60及び屋根部材63が、孔63a,60c付近から破壊しにくくなっている。
【0050】
また、表面部材60の下端部には、台座部材64が連続している。台座部材64は、表面部材60の左右方向全体に亘って連結されている。そして、台座部材64と表面部材60との境界線L4に沿って折り目が形成されており、台座部材64は、境界線L4に沿って、容易に表面部材60の後面60b側に折り返すことができる。台座部材64は、パッケージ製品5の完成体の状態で、当該完成体を起立させて展示するための台座となる。
【0051】
表面部材60には、5つの開口(引っ掛け孔)70が形成されている。これらの開口70は、各々、空気清浄器100を引っ掛けて固定するため開口であり、同じ形状を有している。開口70の形状は、容器1の側壁113の開口111側の端部での断面形状に概ね等しい矩形状である。従って、この開口70には、空気清浄器100の側壁113を底壁112側から開口111側まで通すことができるが、フランジ部12は通すことができない。よって、フランジ部12は、表面部材60における開口70の周囲の部位に引っ掛けられることになる。5つの開口70は、左側に3段かつ右側に2段の態様で形成されており、左側最上段の開口70の右側であって、右側上段の開口70の上方には、開口70は形成されていない。
【0052】
パッケージ製品5を組み立ててゆくに当たっては、まず、以上の5つの開口70に、各々1つずつ空気清浄器100を固定する。このとき、空気清浄器100を表面部材60の後面60b側から通し、フランジ部12が表面部材60の後面60bと接触するようにする。その結果、空気清浄器100は、表面部材60の前面60a側から前方へ突出するような態様で、表面部材60に固定される。図12には、左側最上段の開口70に引っ掛けたときの空気清浄器100の位置が点線で示されている。
【0053】
その後、図13に示すように、屋根部材63を境界線L3に沿って、表面部材60の後面60bと対面するように概ね180°折り返す。続いて、右側の第2裏面部材62を境界線L2に沿って、表面部材60の後面60bと対面するように概ね180°折り返す。なお、図13及び図14には空気清浄器100が示されていないが、実際にパッケージ製品5を組み立てる際には、図13及び図14の状態では、各開口70に空気清浄器100がセットされている。
【0054】
次に、図14に示すように、左側の第1裏面部材61を境界線L1に沿って、表面部材60の後面60bと対面するように概ね180°折り返す。なお、裏面部材61,62及び屋根部材63は、手で力を加えて180°折り返したとしても、手を離すとある程度元の状態に戻ろうとする。そのため、第1裏面部材61の左端部の上下方向中央付近には、挿入片65が連結されており、一方、第2裏面部材62の上下方向中央付近には、スリット66が形成されている。そして、挿入片65がスリット66に挿入されることにより、裏面部材61,62が互いに固定され、元の状態へ開こうとするのを防止することができる。また、このとき、屋根部材63は、裏面部材61,62と表面部材60との間に挟まれた状態になるため、屋根部材63も元の状態へ開こうとすることが防止される。
【0055】
なお、挿入片65及びスリット66を介して連結した状態においても、裏面部材61,62には、図12の展開状態に戻ろうとする一定程度の復元力が掛かる。その結果、裏面部材61,62は、表面部材60の後面60bとの間に空間S4を形成しつつ、平面視において後方へ円弧状に膨出した状態となる(図10参照)。このとき、特に左右方向の中央部が、表面部材60の後面60bに対し後方へ向けて突出する。なお、裏面部材61,62を重ね合わせた複合体の平面視における長さと、表面部材60の平面視における長さとでは、前者の方が長くなっている。従って、裏面部材61,62の膨出が助長される。
【0056】
ところで、図12に示すとおり、第1裏面部材61には、上下方向中央付近に、左右方向に延びるミシン目L5,L6が一定間隔を空けて形成されている。また、このミシン目L5,L6の右端には、指を挿入できる程度の開口67が連続している。このミシン目L5,L6は、パッケージ製品5を購入した購入者が支持体6を解体して空気清浄器100を取り外し易くするために設けられている。具体的には、図11の完成品の状態において、開口67より指を挿入し、摘み右側に引くことで、ミシン目L5,L6に沿って裏面部材61が材破され、パッケージ製品5を開封することができる。
【0057】
裏面部材61,62の連結が終わると、次に、台座部材64の組み立てが行われる。台座部材64は、表面部材60の左右方向全体に亘って連結されている。台座部材64は、台座が完成したときに底面部(支持面)を構成する底面部材64aと、後面を構成する後面部材64bとを有する。また、台座部材64は、台座の強度を向上させるための補助部材64c,64dも有する。補助部材64cは、台座の側面部を構成することになり、補助部材64dは、底面部材64aに重ねられる。
【0058】
より具体的に説明すると、底面部材64aは、表面部材60の下端部に連結されている。従って、まず、底面部材64aを境界線L4に沿って、表面部材60の後面60b側に概ね90°折り返す(図9参照)。次に、底面部材64aの後端部に境界線L7を介して連結されている後面部材64bを、当該境界線L7に沿って谷折りする。このとき、同時に、境界線L8〜L10に沿って、補助部材64c,64dも折り曲げる。なお、境界線L7は、境界線L4に平行に延びている。また、境界線L8は、補助部材64cの左端部と後面部材64bの右端部との境界線であり、境界線L9は、補助部材64dの上端部と底面部材64aの下端部との境界線であり、線L8,L9は谷折りされる。一方、境界線L10は、補助部材64c,64d間の境界線であり、山折りされる。以上の結果、表面部材60及び裏面部材61,62の後方の左側の位置において、図9及び図11に示されるような台座が完成する。以下では、台座部材64を折り曲げることにより形成される台座にも、符号64を付すこととする。
【0059】
なお、境界線L7〜L9に沿った折り曲げのみでは、台座64の形状は固定されない。裏面部材61,62の場合と同じく、台座部材64が図12の展開状態にある程度復帰しようとするからである。そのため、底面部材64aの後端部には、挿入片68が連結されており、第1裏面部材61には、この挿入片68を挿入可能なスリット69が形成されている。なお、スリット69は、ミシン目L6の中央に割り込むような態様で形成されている。そして、挿入片68がスリット69に挿入されることにより、台座64と第1裏面部材61とが互いに連結され、台座64が元の状態へ開こうとするのを防止することができる。
【0060】
<3−2.パッケージ製品の完成体>
以上の手順により、図8図11に示すパッケージ製品5が作成される。そして、このようにして作成されたパッケージ製品5は、上記のとおり、陳列棚等に起立させて展示することもできるし、吊り下げにより展示することもできる。
【0061】
まず、起立させて展示される場合のパッケージ製品5について説明する。パッケージ製品5は、図9に示すとおり、台座64の底面部材64aを水平面に置いた状態で安定的に起立することができる。これは、1つには、台座64により支持される表面部材60及び裏面部材61,62が多層構造を形成しており、これらの複合体60〜62としての厚みが確保されるからである。また、裏面部材61,62が円弧状に後方に向かって膨出していることも、この厚みの確保に寄与し、起立時のバランスが保たれるようになっている。
【0062】
さらに、この起立状態(展示状態)では、台座64は、表面部材60及び裏面部材61,62が上方へ向かうにつれて後方へ傾斜するように、これらの部材60〜62を起立させる。そのため、表面部材60の前方の空気清浄器100の重量により、パッケージ製品5が前方へ転倒してしまうこともない。
【0063】
また、以上のとおり、表面部材60が傾斜した状態で起立することで、空気清浄器100の容器1の下方側の側壁113は、容器1の内側において、鉛直方向に対し底壁112から離れるにつれて下方に傾斜する傾斜面113aを構成することになる。その結果、容器1内で薬剤2から分離した水分は、重力によりこの傾斜面113aを伝って底壁112から離れるように後方へ流れることとなる。特に、本実施形態では、側壁113が底壁112から離れるにつれて外方へ開くように構成されているため、傾斜面113aの角度がより急峻となり、水分が増々後方へ流れ易くなっている。その結果、主に人が見ることになるパッケージ製品5の正面側、すなわち、底壁112側から空気清浄器100を見る者の目に、水分が映りにくくなる。
【0064】
また、容器1の下方後方まで流れた水分は、カバーシート3に吸収されるため、容器1内の薬剤2が収容される内部空間に、水分が留まりにくくなっている。また、カバーシート3に下方付近で補足された水分は、毛細管現象により上昇し、カバーシート3全体に行き渡る。この場合、支持体6から取り外し、遮水シート4を剥離して空気清浄器100を使用しようとしたときには、カバーシート3は機能性成分を含む水分で湿潤していることになる。従って、使用開始後、カバーシート3の表面においても空気の浄化が行われる。また、カバーシート3の上部から、容器1内のゲル状薬剤2のうちの上方の乾いた部分へと水分が受け渡され、これにより、乾いた薬剤2を湿らすこともできる。
【0065】
さらに、容器1内の水分は、遮水シート4とカバーシート3との間に形成される空間S2(図5参照)内においても捕捉されることが期待される。また、カバーシート3とフランジ部12との間の空間S1(図5参照)にも捕捉される。
【0066】
以上のとおりの様々な工夫により、底壁112側からだけでなく、どの方向からパッケージ製品5を見たとしても、容器1内の水分をほぼ人の目に映らないようにすることができる。その結果、容器1内で光が屈曲、乱反射し、従って、パッケージ製品がキラキラと輝くようになり、美観が高められ、人々の購買意欲を掻き立てることができる。
【0067】
次に、パッケージ製品5が吊り下げて展示される場合について説明する。上記のとおり、本実施形態では、側壁113が底壁112から離れるにつれて外方へ開くように構成されている。そのため、容器1の下方側の側壁113には依然として、展示状態で鉛直方向に対し傾斜する傾斜面113aが形成される。従って、容器1内の水分を後方へ送り、人々の視界から遠ざけることができる。
【0068】
また、以上説明した構成により、支持体6は、前後方向からの衝撃に対し良好なクッション性を示す。また、容器1が十分な可撓性を有する場合には、この容器1もクッション性の向上に寄与する。さらに、容器1内のビーズ状の多数の薬剤の玉も、玉間の空間に衝撃を逃がしたり、玉の移動により運動エネルギーを消費したりすることで、クッション性の向上に寄与する。その結果、パッケージ製品5は、外力に対する耐久性が高く、支持体6や容器1が破損してしまうことが防止される。よって、パッケージ製品5を保護することができるとともに、輸送時等の緩衝材を減らすことができる。
【0069】
ところで、表面部材60の前方において台座64に対向する位置には、空気清浄器100が配置されている。そのため、パッケージ製品5の重心が台座64に近づき、台座64でしっかりとパッケージ製品を起立させることができる。
【0070】
また、表面部材60の前方において、台座64に対向する対向位置と概ね回転対称な位置には、空気清浄器100は固定されていない。むしろ、同位置には、台座を配置可能な広さを有する空間S3が広がっている(図8参照)。その結果、2つのパッケージ製品5を、回転軸(表面部材60の中心を通り表面部材60に直交する軸)に対し互いに180°回転させて対面させれば、図15に示すような状態となる。図15では、裏面部材61,62の表面から突出した台座64が、空間S3に収容されている様子が示されている。従って、複数のパッケージ製品5を場所をとらずに並べることが可能になる。
【0071】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は適宜組み合わせることができる。
【0072】
<4−1>
上記実施形態では、容器1にフランジ部12を設けているが、容器1の開口111を閉じるようにカバーシート3及び遮水シート4が取り付けられている限り、フランジ部12は必ずしも必要ではない。また、カバーシート3を省略することもできるし、これに代えて又は加えて、遮水シート4を省略することもできる。開口111は、任意の態様で封止することができる。
【0073】
<4−2>
支持体6に空気清浄器100を取り付けた展示状態で水を貯めるために、例えば、図16に示すように、容器本体11の開口111の周縁に内径の大きい段部115を設けることができる。
【0074】
<4−3>
容器1の形状は、特には限定されず、直方体状以外にも、円筒状など種々の形状にすることができる。また、開口の位置は必ずしも、上部でなくてもよく、側面部にあってもよい。
【0075】
<4−4>
上記実施形態では、側壁113が底壁112から離れるにつれて外方へ開くように構成されていたが、側壁113の形状はこれに限定されない。例えば、側壁113が底壁112から真っ直ぐ開口111側へ延びるように構成することもできる。そして、この場合であっても、例えば、台座64により表面部材60が後方へ倒れるように支持される場合には、水分を後方へ送るという上記機能を発揮する傾斜面が同様に形成され得る。
【0076】
<4−5>
上記実施形態では、容器1全体が透明とされ、外部から視認可能とされたが、容器1は部分的に視認可能とすることもできる。また、この場合においては、容器1の底壁112を透明とすることが好ましい。人々がパッケージ製品5を正面から見たときの美観を向上させることができるからである。
【0077】
<4−6>
上記実施形態では、空気清浄器100が台紙状の支持体6により支持されたが、空気清浄器100を支持する支持体の形態はこれに限定されない。例えば、支持体を、図17に示すような、内部に空気清浄器100を収容可能な箱体90として形成することもできる。
【0078】
図17に示す箱体90を支持体とするパッケージ製品9は、複数の空気清浄器100を多段式に積み重ねた状態で、箱体90内に収容したものである。図17からは不明であるが、箱体90は、前方がやや丸みを帯びた円柱形状に形成されており、箱体90の断面の大きさは、空気清浄器100の(積み重ねた状態での)断面の大きさと概ね等しい。そのため、空気清浄器100は箱体90に支持され、たとえ箱体90をどのような方向に向けたとしても、箱体90内で多段式に積み重ねられた状態を保つ。
【0079】
また、空気清浄器100に対し箱体90がやや大きい場合には、図17に示すように、空気清浄器100の箱体90内での配置が多少安定となることがある。しかしながら、側壁113が底壁112から離れるにつれて外方へ開くように構成されている空気清浄器100の場合には、箱体90内で空気清浄器100が前方へ倒れたとしても(図17の中段の空気清浄器100を参照)、依然として下方の側壁113は、後方へ向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面113aを形成する。
【符号の説明】
【0080】
1 容器
100 空気清浄器
111 開口
112 底壁(底面部)
113 側壁(側面部)
113a 傾斜面
12 フランジ部
2 薬剤
3 カバーシート
4 遮水シート
5 パッケージ製品
6 支持体
60 表面部材(固定面部)
64 台座
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17