【0018】
本発明に係る灯油組成物は、密度が0.7900〜0.8100g/cm
3であり、好ましくは0.7920〜0.8040g/cm
3、より好ましくは0.7930〜0.8030g/cm
3、更に好ましくは0.7930〜0.8000g/cm
3である。密度が高くなると燃焼性が悪化することがある。ただし、密度が低いと暖房性に支障が出る可能性がある。
【実施例】
【0025】
実験例における灯油組成物中の性状等は、下記のように測定した。
【0026】
インダン類、テトラリン類:
試料をAgilent 6890にて、下記の条件で測定し、インダン類及びテトラリン類の含有量を求めた。
カラム:Agilent 19091S−004 HP−DHA1 102m×0.50um×250um
オーブン温度:5℃(10min HOLD)→5℃/min→50℃(15min)→6℃/min→220℃(7min)
注入温度:250℃ スプリット:150:1
検出器:250℃(FID)
キャリアーガス:He、2.4ml/min
【0027】
ベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類:
試料を下記の方法にて、SCD検出器付きガスクロマトグラフを用いてベンゾチオフェン類の含有量を求めた。
カラム:DB―SULFUR.SCD
キャリアーガス:He
流量: 2.3ml/min
昇温条件:35℃(3min HOLD)→5℃/min→150℃→10℃/min→270℃(7min HOLD)
検出器温度:200℃
注入温度:270℃
サンプル中のベンゾチオフェン類由来の硫黄化合物の定量は、試薬のベンゾチオフェン由来の硫黄化合物が1mass ppmになるように調整した標準サンプルを作成し、そのサンプルと測定するサンプルのピーク面積の比から行った。
なお、ジベンゾチオフェン類も同様の方法によって含有量を求めた。
【0028】
密度:
JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」により測定した。
硫黄分:
JIS K 2541−2「原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第2部:微量電量滴定式酸化法」により測定した。
蒸留性状:
JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法 4.常圧法蒸留試験方法」に従って測定した。
【0029】
煙点:
JIS K 2537「石油製品−灯油及び航空タービン燃料油−煙点試験方法」により測定した。
PetroOXY誘導期間:
灯油組成物のPetroOXY誘導期間は、PetroOXY試験「経済産業省告知第72号(軽油中の酸化安定度の測定方法として経済産業大臣が定める方法)」により測定される誘導期間で表した。誘導期間とは、試料5mlに所定量の酸素を封入し、140℃まで上昇させて、初期圧力が10%低下するまでの時間である。
総発熱量:
JIS K 2279「原油及び石油製品―発熱量試験法及び計算による推定方法」により測定した。
【0030】
≪実験例1≫
下記のように実施例1〜7及び比較例1〜3に係る灯油組成物を調製した。得られた灯油組成物について、煙点、酸化安定性(PetroOXY誘導期間)、総発熱量を測定した。結果を表1及び2に示す。
【0031】
(実施例2)
原油を蒸留して得られた灯油留分93容量%に分解灯油7容量%混合し、CoMo系触媒を用いて、水素分圧4.0MPa、液空間速度4.1t/m
3/hr、反応温度335℃で硫黄分10mass ppm以下の実施例2に係る灯油組成物を得た。
【0032】
(実施例1,実施例3〜7,比較例1〜3)
実施例2で得られた灯油組成物に、インダン類、テトラリン類、ベンゾチオフェン類、及び硫黄分の含有量を調整するため、試薬のインダン(純度>95%)、テトラリン(純度>97%)、ベンゾチオフェン、及びジベンゾチオフェンの少なくとも1種を添加し、実施例1,実施例3〜7,比較例1〜3に係る灯油組成物を得た。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
インダン類の含有量が2.7mass%の実施例2〜5について、及びインダン類の含有量が4.7mass%の比較例1〜2について、ベンゾチオフェン類の含有量と酸化安定性との関係を
図3に示す。
【0036】
図3より、インダン類の含有量が少ない場合は、ベンゾチオフェン類の含有量が増えると共に酸化安定性が良くなり、インダン類の含有量が多い場合は、ベンゾチオフェン類の含有量が増えても、酸化安定性が良くならないことが分かる。
【0037】
≪実験例2≫
灯油組成物A、灯油組成物B、灯油組成物Cにそれぞれインダン純度>95%のインダン試薬を添加した。インダン類の含有量と酸化安定性との関係を
図1に示す。灯油組成物A,灯油組成物B,灯油組成物Cのインダン類の含有量は、添加した量と元々の含有量とを足した合計値とした。
【0038】
灯油組成物A、灯油組成物B、灯油組成物Cにそれぞれテトラリン純度>97%のテトラリン試薬を添加した。テトラリン類の含有量と酸化安定性との関係を
図2に示す。灯油組成物A,灯油組成物B,灯油組成物Cのテトラリン類の含有量は、添加した量と元々の含有量とを足した合計値とした。
【0039】
実験例2より、インダン類は酸化安定性に大きな影響を与えるが、テトラリン類は酸化安定性にそれほど影響を与えないことが分かる。
【0040】
≪実験例3≫
インダン類の含有量が2.2mass%の灯油組成物Dに、ベンゾチオフェン又はジベンゾチオフェンを添加した。ベンゾチオフェン類(BT)及びジベンゾチオフェン類(DBT)の含有量と酸化安定性との関係を
図4に示す。灯油組成物Dのベンゾチオフェン類及びジベンゾチオフェン類の含有量は、添加した量と元々の含有量を足した合計値とした。
【0041】
実験例3より、ベンゾチオフェン類は酸化安定性に大きな影響を与えるが、ジベンゾチオフェン類は酸化安定性にそれほど影響を与えないことが分かる。