特許第6837873号(P6837873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837873
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/28 20060101AFI20210222BHJP
   B65G 21/14 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   B65G17/28
   B65G21/14 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-45898(P2017-45898)
(22)【出願日】2017年3月10日
(65)【公開番号】特開2018-150095(P2018-150095A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2020年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】505012438
【氏名又は名称】株式会社日新製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(74)【代理人】
【識別番号】100199831
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100185454
【弁理士】
【氏名又は名称】三雲 悟志
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100176016
【弁理士】
【氏名又は名称】森 優
(72)【発明者】
【氏名】岩本 浩二
(72)【発明者】
【氏名】安達 義邦
(72)【発明者】
【氏名】安田 茂
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−127620(JP,U)
【文献】 実開昭53−044885(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第00168872(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/28
B65G 21/14
B65G 15/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床上に設置されたフレームと、
物品を搬送する搬送経路と、該物品を該搬送経路に搬入する搬入部と、該物品を搬送経路から搬出する搬出部とを備え、前記フレームに支持されたエンドレスのチェーンベルトと、
前記搬送経路の距離を変更する距離変更手段と、
前記チェーンベルトが弛むのを規制する複数の分割レールと、を備え、
前記距離変更手段は、前記搬送経路におけるチェーンベルトの一部を係合する第一スプロケットと、前記搬送経路以外におけるチェーンベルトの一部を係合する第二スプロケットと、該第一スプロケット及び第二スプロケットが回転可能に取り付けられた連結部材と、該連結部材を前記フレームに対して移動させる移動手段と、前記第一スプロケット又は前記第二スプロケットが前記分割レールに干渉するのを防止する干渉回避手段と、を備えた搬送装置。
【請求項2】
前記チェーンベルトを吸引する磁石を備えた請求項1に記載する搬送装置。
【請求項3】
前記連結部材は前記分割レールを移動させる係合部を有し、
前記係合部は前記干渉回避手段を構成する請求項1又は請求項2に記載する搬送装置。
【請求項4】
前記連結部材を前記フレームに対して略水平方向に移動させる請求項1〜請求項3のいずれかに記載する搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複数の物品を搬入経路から搬出経路まで搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬入経路から搬出経路までの搬送経路の長さを変更することのできる搬送経路可変型の搬送装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。搬送経路可変型の搬送装置は、一部が搬送経路を構成するエンドレスのチェーンベルトと、搬送経路の距離を変更する距離変更手段と、を備える。搬送経路可変型の搬送装置は、搬出経路から後工程へ物品を搬出することができない事情(後工程での物品の停滞、又は後工程の装置の故障等)が生じたときに、搬入経路から搬出経路までの搬送経路の距離を延長することができる。搬送経路の距離を延長することにより、搬入経路に搬入された物品を搬送経路に滞留させことができる。物品を搬送経路に滞留させることにより、搬出経路から後工程へ物品を搬出することを停止できる。
【0003】
このような搬送経路可変型の搬送装置はコンベアが鉛直方向(上下方向)に移動する方法、水平方向に移動する方法が考えられるが、前者の構造をもつ搬送経路可変型の搬送装置が一般的となっている。
しかしながら、鉛直方向(上下方向)にコンベアが移動する方法においては、コンベアが鉛直方向、特に上昇方向に移動する場合は、搬送品だけではなくコンベアチェーンや、コンベアチェーン搬送経路可変のためのユニット部分も同時に移動させる必要があり、チェーンには過度の負荷が反復的にかかるとともに、鉛直方向(上下方向)への移動においては確実な振れ止めなどを設置することが難しく、安定性に欠け、さらに機械装置のサイズが大きくなる傾向があるという欠点があった。
一方、長経路をもつチェーンコンベアをチェーンレールとスプロケットを設けて水平方向に運転するコンベアは、コンベアチェーンの自重はチェーンレールが保持し、チェーンへの負荷は低く安定した負荷状態であり、一般的な構造であるとともにこのような形態を取ることにより、同じ能力でも鉛直方向(上下方向)にコンベアが移動する装置にくらべてコンパクトに設計することが可能である。しかし、水平方向にコンベアチェーンが搬送されるコンベア装置において、搬送経路を可変するためにスプロケットを移動するということは、移動するスプロケットと、チェーンを支持するチェーンレールが干渉するという決定的な障害があった。
本発明は安定運転が期待でき、かつ機械サイズをコンパクトに設計できる、コンベアチェーンが水平方向に移動する『搬送経路可変型の搬送装置』を実現するために、前述の課題を解決する発明に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−249111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、搬送経路可変型の搬送装置において、チェーンベルトの弛みを防止して円滑に物品を搬送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の搬送装置」、床上に設置されたフレームと、
物品を搬送する搬送経路と、該物品を該搬送経路に搬入する搬入部と、該物品を搬送経路から搬出する搬出部とを備え、前記フレームに支持されたエンドレスのチェーンベルトと、
前記搬送経路の距離を変更する距離変更手段と、
前記チェーンベルトが弛むのを規制する複数の分割レールと、を備え、
前記距離変更手段は、前記搬送経路におけるチェーンベルトの一部を係合する第一スプロケットと、前記搬送経路以外におけるチェーンベルトの一部を係合する第二スプロケットと、該第一スプロケット及び第二スプロケットが回転可能に取り付けられた連結部材と、該連結部材を前記フレームに対して移動させる移動手段と、前記第一スプロケット又は前記第二スプロケットが前記分割レールに干渉するのを防止する干渉回避手段と、を備えたことを特徴とする。
本願発明は、前記搬送装置において、前記チェーンベルトを吸引する磁石を備えたことを特徴とする。
本願発明は、前記搬送装置において、前記連結部材は前記分割レールを移動させる係合部を有し、
前記係合部は前記干渉回避手段を構成することを特徴とする。
本願発明は、前記搬送装置において、前記連結部材を前記フレームに対して略水平方向に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本願発明の搬送装置によれば、干渉回避手段によって、第一スプロケット又は第二スプロケットが分割レールに干渉するのを防止することができる。このため、分割レールを使用することが可能となり、分割レールによってチェーンベルトの弛みを防止することができる。これにより、チェーンベルトが自重によって破損すること等を防止し、円滑に物品を搬送することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本願発明に係る搬送装置を示す図であり、同図(a)は正面図であり、同図(b)は一部拡大正面図である。
図2図1に示す搬送装置の使用状態を示す正面図である。
図3図1に示す搬送装置の一部拡大右側面図である。
図4】本願発明に係る搬送装置の他の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一実施形態)
(構成)
本願発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1及び図2において、符号10は、本願発明の搬送装置を示す。搬送装置10は、床12上に設置されるフレーム14と、フレーム14に支持されたエンドレスのチェーンベルト16と、を備える。
【0010】
(フレーム)
図1に示すように、フレーム14は、搬入スプロケット28、搬出スプロケット30、及び複数のフリースプロケット32によってチェーンベルト16を支持する。搬入スプロケット28は、搬入用のモータ34によって回転駆動する。搬出スプロケット30は、搬出用のモータ36によって回転駆動する。
【0011】
(チェーンベルト)
チェーンベルト16は、物品(図示しない)を搬送する搬送経路18と、物品を搬送経路18に搬入する搬入部20と、物品を搬送経路18から搬出する搬出部22とを備える。搬送経路18は、チェーンベルト16の中で、搬入部20から搬出部22までを言う。搬入部20は、チェーンベルト16の中で、物品を、前工程から搬入経路24を介して搬送経路18へ搬入する部分である。搬出部22は、チェーンベルト16の中で、物品を、搬出経路26を介して後工程に搬出する部分である。2本のチェーンベルト16が、物品の搬送方向に対して垂直方向(Y軸方向)に配列される。2本のチェーンベルト16の間には、Y軸方向に複数個のトレー(搬入部20付近のトレーのみを符号45で示す)が配列されて構成されるトレー群(図示しない)が設けられている。トレー群は、搬送方向に一定ピッチで複数個配列されて、チェーンベルト16に取り付けられている。トレー群は、チェーンベルト16に対して自由回転可能であり、自重によって常に開口部が上を向く構成である。
【0012】
(距離変更手段)
図1に示すように、搬送装置10は、搬送経路18の距離を変更する複数の距離変更手段38を備える。各距離変更手段38は、搬送経路18におけるチェーンベルト16の一部を係合する第一スプロケット40と、搬送経路18以外(物品を搬送しない部分)におけるチェーンベルト16の一部を係合する第二スプロケット42とを備える。また、各距離変更手段38は、第一スプロケット40及び第二スプロケット42が回転可能に取り付けられた連結部材44と、連結部材44をフレーム14に対してX軸方向(図1における左右方向であり水平方向)に移動させる移動手段(図示しない)と、を備える。距離変更手段38は、2本のチェーンベルト16に対応して、X軸方向に2個(一対)配列され、各一対の距離変更手段38は互いに連結されている。一対の距離変更手段38は、Z軸方向に6対配列され、6対の距離変更手段38は互いに連結されている。6対の距離変更手段38は、同時に、一体的にX軸方向に移動する。
【0013】
(分割レール等)
搬送装置10は、チェーンベルト16の中で第二スプロケット42の上端に掛けた上掛部46(図1に示す)、又は第一スプロケット40の上端に掛けた上掛部48(図2に示す)が下方(Z軸負方向)へ弛むのを規制する複数の分割レール50を備える。複数の分割レール50は、上掛部48と平行方向(X軸方向)に配列されている。チェーンベルト16の中で第二スプロケット42の下端に掛けた下掛部52(図1に示す)、又は第一スプロケット40の下端に掛けた下掛部54(図2に示す)は、棒状レール56によって下方へ弛むことが防止されるように構成されている。分割レール50及び棒状レール56は、2本のチェーンベルト16の各々に対応して設けられている。分割レール50は、X軸と平行な回動軸のまわりに回動可能であり、バネ62(図3に示す)の付勢力によって、通常は、上掛部46又は上掛部48の下方に位置するように構成されている。
【0014】
(干渉回避手段)
各距離変更手段38の連結部材44は、分割レール50に固定されたピン55(図1(b)に示す)に係合するテーパ部(係合部)58を有する。テーパ部58は、連結部材44がX軸方向に移動して、テーパ部58がピン55を押し上げることにより、分割レール50が、バネ62(図3に示す)の付勢力に抗して回動し、Y軸方向に移動し、チェーンベルト16の上掛部46又は上掛部48の下方よりも外側へ退避するように構成されている。テーパ部58は、分割レール50を、チェーンベルト16の上掛部46等の下方よりも外側へ退避させる構成であるため、第一スプロケット40又は第二スプロケット42が分割レール50に干渉するのを防止する干渉回避手段を構成する。
【0015】
(永久磁石)
搬送装置10は、チェーンベルト16の中で上掛部46又は上掛部48を、上方へ吸引する永久磁石(磁石)60を備えている。永久磁石60の代替として電磁石を使用しても良い。
【0016】
(作用)
搬送装置10は、通常運転においては、図1に示す状態で、搬入用のモータ34及び搬出用のモータ36が稼働させられ、搬入スプロケット28及び搬出スプロケット30が回転駆動し、搬入スプロケット28及び搬出スプロケット30に掛けられているチェーンベルト16が搬送方向へ送られていく。搬入部20において、前工程から送られた複数の物品が搬入経路24を介してトレー45に順次載置されていく。トレー45に載置された物品は、チェーンベルト16上を、搬入部20から搬送経路18を介して搬出部22まで搬送される。搬出部22においては、物品は、トレー45から搬出経路26へ移転され、後工程へ送られる。この時、分割レール50は、上掛部46の下方への弛みを規制する。永久磁石60は上掛部46を上方へ吸引することにより、上掛部46の下方への弛みを規制する。棒状レール56は、下掛部52の下方への弛みを規制する。
【0017】
搬送経路18から後工程へ物品を搬出することができない事情(後工程での物品の停滞等)が生じたとき、制御手段(図示しない)は、搬出用のモータ36の稼働を停止し、搬入用のモータ34の稼働を維持する。また、制御手段は、6個の距離変更手段38をX軸正方向に徐々に移動させる。上掛部48(図2に示す)の長さを延長し、搬送経路18の距離を延長するためである。
【0018】
6個の距離変更手段38がX軸正方向に徐々に移動するに従い、各第二スプロケット42が6個の分割レール50に近接する。各分割レール50に各第二スプロケット42が各々近接することにより、各連結部材44の中で第二スプロケット42に近い方のテーパ部58が各ピン55に係合する。図3に2点鎖線で示すように、各分割レール50において、テーパ部58がピン55に係合することにより、テーパ部58はピン55をZ軸正方向へ押し上げる。テーパ部58がピン55をZ軸正方向へ押し上げることにより、分割レール50は、バネ62の付勢力に抗して回動し、Y軸方向に移動する。Y軸方向に移動した分割レール50は、チェーンベルト16の上掛部46の下方よりも外側へ退避する。分割レール50が上掛部46の下方よりも外側へ退避することにより、第二スプロケット42(上掛部46が掛かっている)と分割レール50とが干渉することはない。
【0019】
一の距離変更手段38が一の分割レール50を通り過ぎるとき、ピン55は、バネ62の付勢力によって、連結部材44の中で第一スプロケット40に近い方のテーパ部58に沿いながら降下していく。ピン55が降下することにより、一の分割レール50は、上掛部46の下方へ戻る。一の分割レール50が上掛部46の下方へ戻ることにより、上掛部46の下方への弛みが規制される。ここで、機械的不具合等によって、一の分割レール50が上掛部46の下方へ戻らなくとも、永久磁石60が上掛部46を上へ吸引することにより、上掛部46の下方への弛みが規制される。
【0020】
6個の距離変更手段38がX軸正方向に徐々に移動している時、搬入用のモータ34の稼働は維持されている。このため、搬入部20において、前工程から送られた複数の物品が搬入経路24を介してトレー45に順次載置されていく。6個の距離変更手段38がX軸正方向に徐々に移動している時、搬出用のモータ36の稼働は停止されている。このため、搬出部22において物品が後工程へ送られることはない。これにより、搬入部20においてトレー45に載置された複数の物品が、搬送経路18に滞留していく。
【0021】
X軸正方向に徐々に移動していた6個の距離変更手段38は、最終的には、図2に示す状態まで移動する。図2に示す状態で、トレー45に載置された複数の物品が、搬送経路18に滞留していく。6個の距離変更手段38は、図2に示す状態まで移動しないで、途中で停止してもよい。
【0022】
搬送経路18から後工程へ物品を搬出することができない事情が解消されたとき、制御手段は、搬出用のモータ36の稼働を開始する。搬出用のモータ36の稼働による搬出スプロケット30の周方向回転速度は、搬入用のモータ34の稼働による搬入スプロケット28の周方向回転速度に比して高速である(例えば1.05倍)。また、制御手段は、6個の距離変更手段38をX軸負方向に徐々に移動させる。このため、上掛部48(図2に示す)の長さが短縮され、搬送経路18の距離が短縮されていく。
【0023】
6個の距離変更手段38がX軸負方向に徐々に移動するに従い、各第一スプロケット40が各分割レール50に近接する。各分割レール50に各第一スプロケット40が各々近接することにより、各連結部材44の中で第一スプロケット40に近い方のテーパ部58が各ピン55に係合する。各分割レール50において、テーパ部58がピン55に係合することにより、テーパ部58はピン55をZ軸正方向へ押し上げる。テーパ部58がピン55をZ軸正方向へ押し上げることにより、分割レール50は、バネ62の付勢力に抗して回動し、Y軸方向に移動する。Y軸方向に移動した分割レール50は、チェーンベルト16の上掛部48の下方よりも外側へ退避する。分割レール50が上掛部48の下方よりも外側へ退避することにより、第一スプロケット40(上掛部48が掛かっている)と分割レール50とが干渉することはない。
【0024】
一の距離変更手段38が一の分割レール50を通り過ぎるとき、ピン55は、バネ62の付勢力によって、連結部材44の中で第二スプロケット42に近い方のテーパ部58に沿いながら降下していく。ピン55が降下することにより、一の分割レール50は、上掛部46の下方へ戻る。一の分割レール50が上掛部46の下方へ戻ることにより、上掛部46の下方への弛みが規制される。ここで、機械的不具合等によって、一の分割レール50が上掛部46の下方へ戻らなくとも、永久磁石60が上掛部46を上へ吸引することにより、上掛部46の下方への弛みが規制される。
【0025】
6個の距離変更手段38がX負正方向に徐々に移動している時、搬入用のモータ34は稼働している。このため、搬入部20において、前工程から送られた複数の物品が搬入経路24を介してトレー45に順次載置されていく。6個の距離変更手段38がX軸負方向に徐々に移動している時、搬出用のモータ36は稼働している。このため、搬出部22において物品が後工程へ順次送られる。搬出スプロケット30の周方向回転速度は搬入スプロケット28の周方向回転速度に比して高速であるため、搬送経路18に滞留していた物品が、搬出部22から後工程へ送られていく。
【0026】
(効果)
本願発明の搬送装置10によれば、上述のように、距離変更手段38がX軸正方向に徐々に移動する時、第二スプロケット42と分割レール50とが干渉することはない。このため、上掛部46の弛みを規制するために分割レール50を使用することが可能となり、分割レール50によって上掛部46(チェーンベルト16の一部)の弛みを防止することができる。また、距離変更手段38がX軸負方向に徐々に移動する時、第一スプロケット40と分割レール50とが干渉することはない。このため、上掛部48の弛みを規制するために分割レール50を使用することが可能となり、分割レール50によって上掛部48(チェーンベルト16の一部)の弛みを防止することができる。これにより、チェーンベルトが自重によって破損すること等を防止し、円滑に物品を搬送することが可能となる。
【0027】
(第二実施形態)
本願発明は、図1に示す搬送装置10の永久磁石60を備えない搬送装置(第二実施形態)であってもよい。第二実施形態に係る本願発明は、永久磁石60を備えないこと以外は、図1に示す搬送装置10と同じ構成である。第二実施形態に係る本願発明であっても、分割レール50によって、上掛部46(チェーンベルト16の一部)及び上掛部48(チェーンベルト16の一部)が下方へ弛むのを防止することができる。
【0028】
(第三実施形態)
本願発明は、図1に示す搬送装置10の分割レール50及びテーパ部(干渉回避手段)58を備えない搬送装置(第三実施形態)であってもよい。第三実施形態に係る本願発明は、分割レール50及びテーパ部(干渉回避手段)58を備えないこと以外は、図1に示す搬送装置10と同じ構成である。第三実施形態に係る本願発明は、永久磁石60を備える。第三実施形態に係る本願発明であっても、永久磁石60の吸引力によって、上掛部46(チェーンベルト16の一部)及び上掛部48(チェーンベルト16の一部)が下方へ弛むのを防止することができる。
【0029】
(第四実施形態)
本願発明は、一対又は複数対の距離変更手段38が、一体的に同時にX軸方向に移動することに限定されず、一対ずつ別個独立に、又は複数対ずつ別個独立に移動する搬送装置であってもよい。図4に、6対の距離変更手段38が別個独立にX軸方向に移動する搬送装置10を示す。図4は、図1に示すように6対の距離変更手段38全てが左端(正面図において)に位置する状態から、図2に示すように6対の距離変更手段38全てが右端(正面図において)に位置する状態へ移行する途中の状態を示す。図4には、上下6対の距離変更手段38の中で下から順に、一対ずつX軸方向に移動する状態を示す。但し、X軸方向に移動させる順番は特に限定されない。
【0030】
(他の実施形態)
以上、本願発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、本願発明の搬送装置は図示したものに限定されない。例えば、距離変更手段38の数量は、6対に限定されず、1対〜5対、又は7対以上であってもよい。また、距離変更手段38のX軸方向の移動距離をレーザー距離計によって計測してもよい。距離変更手段38のX軸方向の移動距離を計測することにより、上掛部48の長さを把握して搬送経路18に滞留している物品の数量を把握できる。また、トレー45の代替として、物品を入れるリテーナ、又は物品を上から係合する係合具を使用してもよい。また、バネ62の代替として付勢力(反発力)を付与するゴム等の弾性体を用いてもよい。また、分割レール50をチェーンベルト16の上掛部46又は下掛部48の下部から退避させること、及び上掛部46等の下部に戻すことは、ピン55、テーパ部58及びバネ62によって機械的に行うことに限定されず、連結部材44の位置をセンサ等によって検知して空気圧シリンダを作動させることによって行ってもよい。
【符号の説明】
【0031】
10:搬送装置
12:床
14:フレーム
16:チェーンベルト
18:搬送経路
20:搬入部
22:搬出部
24:搬入経路
26:搬出経路
28:搬入スプロケット
30:搬出スプロケット
34,36:モータ
38:距離変更手段
40:第一スプロケット
42:第二スプロケット
44:連結部材
46,48:上掛部
50:分割レール
52,54:下掛部
55:ピン
56:棒状レール
58:テーパ部(係合部)
60;永久磁石(磁石)
図1
図2
図3
図4