(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
真空容器内部の処理室と、前記処理室の内側に配置され、試料を保持する試料台と、を備え、所定の周期および期間により前記処理室内においてオンとオフとが切り替えられるプラズマを用いて、前記試料の表面に予め配置された処理対象の膜層を処理するプラズマ処理装置であって、
前記試料表面の膜層の処理の量を検出する検出制御部を有し、
前記検出制御部は、前記試料を処理中の前記プラズマがオフされた期間に予め定められた周期にて前記試料表面の光の強度を示す量を複数回検出して、検出した前記光の強度を示す量を用いて前記試料表面の膜層の処理の量を検出し、
前記検出制御部は、前記試料が処理中の前記プラズマがオフにされた複数の期間の各々において前記予め定められた周期にて前記試料表面からの光の強度を示す量を複数回検出したデータを平均した結果を用いて前記試料表面の膜層の処理の量を検出する、プラズマ処理装置。
真空容器内部の処理室の内側に配置された試料台上に配置され保持された試料の表面に予め配置された処理対象の膜層を所定の周期および期間により前記処理室内にてオンとオフとが切り替えられて繰り返されるプラズマを用いて処理するプラズマ処理方法であって、
前記試料の処理中の前記プラズマがオフされた期間に予め定められた周期にて前記試料表面からの光の強度を示す量を複数回検出するステップと、
前記検出するステップにて検出された検出結果を用いて前記試料表面の膜層の処理の量を検出するステップと、
前記試料表面の膜層の処理の量を検出するステップにて検出された処理の量に基づいて、前記処理の条件を変更するステップと、
を有し、
前記処理の量を検出するステップは、前記試料が処理中の前記プラズマがオフにされた複数の期間の各々において、前記予め定められた周期にて前記試料表面からの光の強度を示す量を複数回検出したデータを平均した結果を用いて前記試料表面の膜層の処理の量を検出する、プラズマ処理方法。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造では、ウエハの表面上に様々なコンポーネントやそれらを相互接続する配線などを形成する。これらは導体・半導体・絶縁体など種々の材料の成膜、不要な部分の除去を繰り返すことにより形成される。不要な部分の除去プロセスとしては、プラズマを用いたドライエッチングが広く使用されている。
【0003】
このようなプラズマを用いたドライエッチング装置は、真空容器内部に配置された処理室内に導入した処理用の反応性ガスを所定の周波数、例えば、10MHz以上の高周波帯域の電界または磁界を用いて電離させ形成したプラズマを用いて処理対象の半導体ウエハ等の基板状の試料の表面に接触させて試料表面の膜層の処理を行うものである。
【0004】
この処理の際に生起する、プラズマ中のイオンによるスパッタリング等の物理反応やラジカルによる化学反応が用いられて異方性や等方性のエッチングが行われる。また、これらの等方性、異方性の処理を装置の使用者が使い分けることで、処理対象のウエハ表面上には半導体デバイス用の種々の構造の回路コンポーネントや配線が形成される。
【0005】
このようなプラズマエッチングによって得られる加工後の形状、寸法が所期のものと異なる場合、加工後に得られる各種回路のコンポーネントは、所期の機能を奏することができず、半導体デバイスは不良品と看做される。
【0006】
このため、上記プラズマを用いてエッチング処理がされる最中にもその処理の状態を監視すること、処理の条件とその進行が安定にできるように実際の処理の状態を検出するためのプロセスモニタ技術が提案されてきた。
【0007】
例えば、プラズマを用いた処理中のウエハ表面からの反射光の強度の大きさとその時間の経過に伴う変化を検出してウエハ上に予め形成されていた膜の残り膜厚の大きさやウエハ上に形成された溝や穴の深さを検出するためのプロセスモニタは、膜厚・深さモニタと呼ばれ、エッチング処理の終点判定などに利用されてきた。
【0008】
このような技術の例としては、例えば特許文献1〜5に開示されたものが知られている。特許文献1には、この膜厚・深さモニタを用いた加工精度高精度化方法が記載されている。この技術は、プラズマ光を光源とした膜厚・深さモニタを用いて処理対象の膜が完全に除去される直前を検知し、当該エッチング処理を終了するものを開示している。
【0009】
この特許文献1では、さらに、その後、処理対象部分と処理非対象部分を高選択にエッチングする条件に切り替えてエッチング処理が行われることが開示されている。そして、このことにより、全体の処理時間を短く抑えつつ、ウエハ面内での処理ばらつき無く、処理対象膜の完全な除去を実現できることが開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、膜厚・深さモニタの膜厚や深さの検出精度の高精度化技術が記載されている。この特許文献2では、ウエハに照射する光源としてプラズマ光の代わりに外部光源が使用されるものが開示されている。
【0011】
この構成により、光源の光量変動が小さくなり高精度に膜厚・深さが検出される。また、外部光照射時と外部光非照射時でウエハ反射光を測定し、それらの差分をとることによってプラズマ光の影響を除去し、膜厚・深さモニタのノイズを低減する技術も開示されている。
【0012】
一方で、近年は、半導体デバイスが高機能化に伴い構造の微細化や3次元化が進行しており、プラズマエッチングの更なる高精度化の必要性が増している。このような高い精度のエッチング処理を実現する技術としては、プラズマを形成する電界または磁界が予め定められた周期および期間で処理室内への供給と停止とを、或いは供給される大きさの増減を繰り返すことで、処理室内にプラズマを所定の周期と期間とで形成および消火或いはその強度を増減する技術が知られている。
【0013】
一般に、このような電界または磁界の周期的に断続する供給は、電源またはこれからの出力を指令する信号が所定の期間でパルス状にOn/Off(オン・オフ)するパルス幅変調されることで実現される。
【0014】
例えば、特許文献3は、パルス状に形成されるプラズマを用いたエッチング処理を行うことでウエハ上のパターンの粗密に起因するエッチングばらつき(マイクロローディング)を低減する手法が記載されている。
【0015】
このようなパルスプラズマを用いた処理中に処理の状態を検出するプロセスモニタの技術としては、特許文献4および特許文献5が知られている。特許文献4は、処理中に発生する特定の波長の光を受光した量の時間的な変化を検出し、これに基づいてエッチング処理の終点を判定するものである。
【0016】
特に、所定の周期と時間とでその出力のOn/Offや増減が繰り返されて供給される電界により形成と消火とが繰り返される、所謂パルス状に形成されるプラズマのOn/Offに伴う発光の量の時間的な変化によって発光の量から検出される処理の状態を示す量の検出への悪影響を低減するため、プラズマがOnとなる(形成するための電界が供給される)時間を一定にしてプラズマを形成する技術が開示されている。
【0017】
これにより、プラズマがOffである期間での処理室内からの発光を検出した結果から受ける影響を低減し、プラズマがOnである期間中の処理室内の発光の量の変化の検出の精度が損なわれることが抑制され、エッチング処理の終了判定を正確に行うことが可能となる技術を示している。
【0018】
特許文献5は、プラズマがOnとなる(パルス状に供給される電界がOnとなる期間が開始される)時刻に同期して、プラズマの発光の量と質とを検出する、所謂光検出を行う技術が記載されている。
【0019】
この技術では、処理中の処理室内の発光の量は常にプラズマが形成されている期間(プラズマがOnの期間)中に実施される。このことにより、受ける影響を低減して、処理の状態を処理中に検出して、高い精度で処理の終了の判定することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上述の技術では、以下の点について考慮が不十分であったため問題が生じていた。
【0022】
すなわち、エッチング処理の高精度化に伴い、膜厚・深さモニタによる膜厚・深さの検出精度の向上が望まれる。膜厚・深さモニタの検出精度を低下させる主なノイズはプラズマの光量変動であるため、膜厚・深さモニタの高精度化にはプラズマ光量変動を完全に除去することが必須である。
【0023】
図11は、本発明者の検討によるプラズマ処理装置において処理対象の試料をエッチング処理する期間中に検出された時間の推移に対するプラズマの発光の強度の変化を模式的に示すグラフである。
【0024】
本図は、膜厚・深さモニタ信号の一例であってエッチング処理中のウエハ表面および処理室からの発光の強度の変化が本来含まれるノイズが無くされて示されている。この例において処理は、時刻0sに開始され、エッチング処理の進行(処理対象の膜厚の減少)に伴い検出される光の量は増減する。
【0025】
上記の技術では、このような変化を示すエッチング処理期間中の発光の量を複数の所定の時刻で検出した結果が用いられて処理対象の膜の残り厚さや処理された量(エッチング深さ)が検出されたり、終点への到達が判定される。
【0026】
ここで、処理対象の屈折率n、測定する波長λ、光の入射(検出)角度θを用いて表される膜厚λ/(2n*cosθ)を1周期として反射光量は周期的に変化する。そのため、膜厚・深さモニタにおける信号強度は、膜厚1nm当たりの反射光量変化ΔI(反射光量変化1周期の振幅)/{λ/(2n*cosθ)}として定義される。
【0027】
各パラメータの現実的な取り得る値はΔI≦100%,λ≧300nm,n≦4,0°≦θ≦90°であることから、信号強度≦100%/{300nm/(2*4*cos(0°))}=2.7%(検出膜厚1nm当たり)となる。ここから、1nmなどの高精度な膜厚・深さ検出においては信号強度が非常に小さく、ノイズを抑える必要があることが明らかである。
【0028】
次に、
図12は、本発明者の検討によるプラズマ処理装置において、処理対象の試料をエッチング処理する期間中に検出された時間の推移に対するプラズマの発光の強度の変化を模式的に示すグラフである。
【0029】
特に、本図では、時刻0sにおいて着火され形成されたプラズマからの発光の強度の変化の典型的な例を
図11のものより短時間で示したものである。この図において、グラフ上に示される各点は、各々の対応する時刻において検出された0.1s毎の発光の強度の平均値である。
【0030】
プラズマが着火された(Onにされた)直後の時刻0sから1sまでの期間は、発光の強度が大きく変化していることからプラズマの状態は不安定であり、平均値で規格化した光量変化は46.2%と非常に大きい。
【0031】
一般的にプラズマ状態が安定したと見做せる時刻1s以降では、時刻5sくらいにかけての緩やかな変化に加え、早い周期の変化も検出されており、この期間での変化の大きさは全体の7.2%である。
【0032】
このことから、処理中にウエハ表面から得られる発光の強度の変化を示す信号の強度の変化率2.7%(検出膜厚1nm当たり)に対してプラズマ自体の発光の光量の変動は、非常に大きく、高い精度で残り膜厚さや深さ或いは処理の終点を検出する上でプラズマ自体から生起される発光のノイズ成分の除去が必須であると言える。さらに、プラズマ自体の発光の強度の変動による影響は、検出する期間が短い場合によりに顕著に表れる。
【0033】
図13は、本発明者の検討によるプラズマ処理装置において、処理対象の試料をエッチング処理する期間中に検出された時間の推移に対するプラズマの発光の強度の変化を模式的に示すグラフである。
【0034】
特に、本図では、
図12と同様に、プラズマが着火された直後の
図11より短い期間での処理室内からの発光の強度の変化を示しており、
図13(a),(b)は各々、グラフ上に示される各点が対応する時刻に検出されたデータが0.01sおよび0.001s毎の平均値である場合の光の量の時間経過に伴う変動を示している。
【0035】
本図の例では、プラズマが安定していると見做せる期間においても、検出する時間間隔が0.01sと0.001sとで短くなると、発光の強度の変動は24.3%から47.6%と大きくなることが分かる。これらの変動は、上記した信号の強度の変化率2.7%の10倍以上の量を有するノイズであり、このようなノイズは、高い精度で膜厚さや終点の判定をすること著しく困難にする。
【0036】
また、プラズマの発光の強度の変動は、プラズマがOnとなる時間の短いパルス状のプラズマにおいてさらに顕著に表れる。
【0037】
図14は、本発明者の検討によるプラズマ処理装置において、処理対象の試料をエッチング処理する期間中に検出された時間の推移に対するプラズマの発光の強度の変化を模式的に示すグラフである。
【0038】
図14(a),(b)の各々は、プラズマがOnにされる(プラズマ形成用の電界がプラズマ形成用の空間に供給される)時間が10msおよび1msである条件において、これらの期間での形成されたプラズマからの発光の強度とその変化を検出した結果を示している。
【0039】
本図において、
図14(a)においては、プラズマがOnである期間中の発光の強度の大きさは、各々の期間毎(各々のパルス状の電界のOn期間毎)にバラツキがあり、その変動の大きさの割合は、45.1%と大きい。この割合は、
図13(a)に示したプラズマが安定していると見做した期間における10ms毎の変動の割合に比べて大きくなっている。
【0040】
これは、各On期間中で示される検出された信号に対応する各々時刻は、全て電界の供給(On期間)が開始またはプラズマが着火された直後のプラズマが不安定な状態の期間内であり、各On期間毎にプラズマの着火時の複数のパラメータが異なり、その結果当該時刻でのプラズマの密度や強度或いはその分布等の状態が異なっているためであると考えられる。
【0041】
このようなプラズマの状態のバラつきによる影響は、プラズマのOn期間が短くなるとより大きくなり、プラズマのOn期間が1msである
図14(b)の例においては、発光の強度の変動の割合は120.6%とさらに大きくなる。
【0042】
このことから、パルス状にプラズマが形成される場合には、検出されるプラズマの発光の強度の変動が著しく大きく、処理中の残り膜厚さや処理の終点を高い精度で検出することは更に困難になることが分かる。
【0043】
以上述べてきた理由から、パルス状に形成されるプラズマを用いて試料を処理する場合には、プラズマの発光の強度の変動が大きくなり、処理中の処理の状態を高い精度で検出することが困難となり、試料の処理の再現性や歩留まりが低下してしまうという問題が生じていたことについて、上記した技術では考慮されていなかった。
【0044】
本発明の目的は、歩留まりを向上させたプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供することのできる技術を提供することにある。
【0045】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴については、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0046】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0047】
すなわち、代表的なプラズマ処理装置は、真空容器内部の処理室と、該処理室の内側に配置され、試料を保持する試料台と、を備え、所定の周期および期間により処理室内においてオンとオフとが切り替えられるプラズマを用いて、試料の表面に予め配置された処理対象の膜層を処理する。
【0048】
このプラズマ処理装置は、試料表面の膜層の処理の量を検出する検出制御部を有する。検出制御部は、試料を処理中のプラズマがオフされた期間に予め定められた周期にて試料表面の光の強度を示す量を複数回検出して、検出した光の強度を示す量を用いて試料表面の膜層の処理の量を検出する。
【発明の効果】
【0049】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0050】
(1)パルス状に形成されるプラズマの発光の強度の変化の悪影響を抑制して処理中に高い精度で処理の状態を検出することができる。
【0051】
(2)上記(1)により、歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明の実施の形態を以下、図面を用いて説明する。
【0054】
本実施の形態のプラズマ処理装置は、真空容器内部の処理室内に配置された半導体ウエハ等の基板状の試料の表面に予め配置された半導体デバイスの回路となる膜構造であって回路のパターンを規定するマスクを含んだ複数層の膜構造の処理対象の膜層を、当該処理室内に形成したプラズマを用いてエッチング処理する半導体プラズマ処理装置である。
【0055】
本実施の形態のプラズマ処理装置では、試料の処理中に受光した処理室内からの光の強度とその変化を検出して、この結果を用いて処理中の膜層の残り膜厚さや処理の深さ等の処理の量や処理の終点への到達を判定する機能が奏される。
【0056】
また、本実施の形態のプラズマ処理装置では、処理室内にプラズマを形成する電界または磁界が予め定められた周期および期間で処理室内への供給と停止とを、或いは供給される大きさの増減を繰り返すことで、処理室内にプラズマを所定の周期と期間とで形成および消火する或いはプラズマの強度を増減することが行われる。
【0057】
さらに、本実施の形態では、このようなプラズマの形成のために、電界または磁界の周期的に断続する供給は、電源またはこれからの出力を指令する信号が所定の期間でパルス状にその振幅が大きくされた(オン(On)にされた)期間と小さくされた(或いは0かこれと同等の大きさにされた(オフにされた))期間とが切り替えられて繰り返される、所謂On/Off(オンオフ)されるようにパルス幅変調される。このように本実施の形態のプラズマ処理装置では、処理室内にパルス状にプラズマが形成される。
【0058】
一方、パルス状に形成されるプラズマにおけるプラズマの発光の強度の変動は、プラズマが消化された状態から着火され形成される或いはプラズマの強度が相対的に低い状態から高い状態に増大される(プラズマOn)直後にはプラズマの強度や密度或いはこれらの分布が不安定である状態によって引き起こされる。
【0059】
例えば、
図12、
図13に示したように、プラズマOn後の時刻0s〜1sではプラズマの強度等状態が不安定であり、時間が0〜1s以内の場合にはプラズマはパルス毎に状態が大きく異なってその発光の強度も大きく変動することになる。
【0060】
このようなプラズマが不安定である期間は、放電に関わる各種パラメータ、例えば装置の構造、放電方式、ガス種、圧力、排気能力、ガス励起パワー(印加電圧やマイクロ波パワー)などによって変化する。
【0061】
しかし、このプラズマが不安定である期間はガスのプラズマ化に用いる高周波電力やマイクロ波のパワーをガスに供給するために使用される整合器の整合速度以下になることはない。
【0062】
整合器は、ガスのプラズマ化状態に応じて高周波電力のインピーダンスやマイクロ波の導波負荷を変更し、常に最も効率良くパワーをガスに吸収させる作用を奏している。この整合器は、主に機械的な動作をするため、その整合を達成する時間は短くても0.5s程度であり、通常は数秒を要する。このことからも、発明者らはプラズマが着火直後からの状態が不安定な期間は少なくとも0.1s存在することになると考察した。
【0063】
このことから、プラズマのOn時間が開始直後から0.1sの間では、パルス状のプラズマの発光の強度は、少なくとも整合器によって変動することになる。また、
図13(a)、
図13(b)に示すように、このプラズマが不安定である期間0.1sより短い周期でOn/Off期間が繰り返されるパルス状のプラズマにおいては、整合器の影響に加え、ガスの乖離の状態、圧力、電子密度、電子温度等は安定していないことから、各On期間での発光の強度のバラつきはさらに大きくなる。
【0064】
発明者らは、このような課題に対して、パルス状のプラズマのOff期間において、予め定められた周期で処理室内の発光の強度とその変化を複数回検出することで、上記問題点を解決するという知見を得た。
【0065】
本実施の形態は、この知見に基づいた構成を備えた半導体製造装置であって、処理室内に所定の周期と期間と繰り返されるプラズマの形成および消火或いは所定の大小の強度のプラズマの形成のうち、複数の繰り返されるプラズマが消火されている期間あるいは強度が小さいプラズマが形成されている期間にわたり予め定められた周期で処理室内からの発光を複数回検出して得られた当該発光の強度またはその強度の変化から処理室内に配置された試料の表面の処理の状態を判定する機能を備えている。
【0066】
また、上記の構成は、パルス状のプラズマを用いた処理の場合には特定の周期で繰り返されるプラズマOn/OffのOff期間においてプラズマの発光の強度が0またはこれと見做せる程度に小さい期間を有している場合に複数のOff期間の当該強度の小さい期間において、発光の強度またはその変化が検出される。
【0067】
連続プラズマを用いた処理においても、一時的にプラズマを消火する(プラズマOffの)期間においてプラズマの発光の強度が0またはこれと見做せる程度に小さい期間を有している場合には、複数の当該強度の期間に上記検出が実施されることで同様の作用が得られる。
【0068】
これらの発光の強度が0または小さい複数の期間で外部からの光を処理室内に導入して処理室内からの光を検出した結果を用いて処理中の試料の膜厚・深さ或いは終点の検出を実施しても良い。
【0069】
この場合に、外部からの光を処理中の試料表面に放射して反射させた光を処理室外で受光し当該反射した光の強度またはその変化を検出しても良い。上記の構成を備えた本実施の形態は、高精度な膜厚・深さモニタや終点の判定を実現することができる。
【0070】
本実施の形態において、複数のプラズマOff期間の各々における処理室内からの発光を検出する回数は、使用者が検出の精度やその目的に応じて検出の周期を選択して、半導体製造装置或いはプラズマ処理装置の動作を調節する
図1の制御部40に対して指令信号を入力することで任意に設定される。
【0071】
この設定された周期毎の検出により各プラズマOff中に1回の検出が出来る場合には、プラズマOff期間の周期(およびパルス状プラズマの周期)毎の時刻で試料の処理の状態の検出が可能となる。
【0072】
また、プラズマOff期間中に2回以上の検出ができる場合には、これら同一Off期間中の周期毎の時刻での検出の結果を平均したデータを用いることで、Off期間での発光の強度やその変化に含まれるノイズの影響を低減することができ、より高い精度での処理の状態の検出を実現することができる。
【0073】
本実施の形態の半導体製造装置において、処理室内に形成されるパルス状のプラズマのOn/Offの周期が発光を検出する検出器の検出可能な最短の周期より短い場合には、当該検出器の検出周期をプラズマのOffの周期に合わせれば良い。
【0074】
この場合、検出の周期毎の時刻の間には、少なくとも1つ以上のプラズマのOff期間が存在し当該Off期間では処理室内からの光の検出は実施されないが、複数回の検出は何れもプラズマOff期間の時刻で周期的に実施され、これらの検出の結果から得られた複数の時刻での残り膜厚さ等のエッチング処理の状態やその量を検出することが可能となる。
【0075】
また、試料の処理の条件によっては、プラズマOff期間中に試料表面に膜の堆積が生起して当該期間中にも膜厚が増加する。この場合には、プラズマOff期間中に複数回の残り膜厚さや処理の量の検出が実施されることで、プラズマOff中の処理の量や膜厚さの変化が検出される。
【0076】
処理中に処理室外部から処理室内の処理対象の試料に照射する光は、例えば紫外から赤外までの波長を含む連続光であってもよい。この場合、処理中の膜層の表面とその底面とからの反射光による干渉光が複数の波長毎に検出可能となり、これらから波長をパラメータとする干渉光の強度あるいはその時間変化に伴う変化が検出され、これを用いて残り膜厚さ或いは処理の深さの検出が可能となる。
【0077】
また、連続光ではなく、単一又は複数の波長を有する外部光として用いてもよい。波長線幅の狭い特定の波長を用いることで波長が広がることによる処理室からの光に重畳されるノイズを低減することができ、検出される発光の強度のデータの高精度化ができる。
【0078】
さらに、外部光の光源としてレーザを用いた場合、コヒーレンシーが高いことにより試料表面の処理対象の膜層に形成されたアスペクト比の大きい(深い)溝や穴等の形状に対しても、これらの膜層からの干渉光を高い分解能または精度で検出することが可能となる。この際、半導体レーザを用いた場合では戻り光などにより発信波長が変動(モードホップ)する場合があり、これは膜厚・深さモニタ信号のノイズとなる。
【0079】
その場合には、半導体レーザの駆動電流を高周波変調することによりモードホップを抑制する高周波重畳などを適用してもよい。単一波長を用いた場合においては、検出側に分光器を用いる必要がなくなり測定系を簡素化することも可能となる。
【0080】
外部からの光(参照光)の照射は、プラズマOff期間中に試料表面からの反射光が検出可能に照射される。この際に、処理室内からの光の検出の周期あるいは時刻に同期して当該外部光を照射してもよく、また処理の所定の期間中にわたって常に照射してもよい。
【0081】
プラズマのOn期間中に外部光の照射をしない場合には、外部光の光源の長寿命化が期待できる。また、ロックインアンプを適用することによってFTM測定精度を向上させる場合には、外部光を光量変調して照射してもよい。
【0082】
反射光の検出は、検出対象の波長の光の強度やその変化が検出できる構成になっていれば良い。外部光が連続光である場合、分光器を用いることによって各波長の光の強度の量が取得できる。
【0083】
外部光が特定波長である場合や外部光は、連続光である一方で検出対象の反射光が特定の波長である場合は、対象の波長が検出できるように光学系を構成し、検出器は分光器ではなくフォトディテクタなどを用いても良い。
【0084】
フォトディテクタは、分光器に比べ高速なデータサンプリングが可能であるため、フォトディテクタを用いることで時間分解能の高い膜厚・深さ測定で可能となる。上記以外にCCD(Charge Coupled Device)やCOMOS(Complementary metal oxide semiconductor)センサを用いて分光器と同等な機能を実現するもでき、それらを検出器として用いてもよい。
【0085】
本実施の形態において、処理中の処理対象の膜層の残り膜厚さや処理の深さ等の処理の状態を示す量は、所定の検出の周期毎の時刻に検出された処理室内からの光の強度またはその変化を検出して得られた結果としてのデータと、当該処理中の試料の処理前に予め得られた検出される光の強度またはその変化と残り膜厚さ或いは深さ等の量の値との関係を示すデータと、を比較して検出される。
【0086】
すなわち、試料の処理の開始前に予め処理対象の膜層の残り膜厚さや深さの変化に対する波長をパラメータとする当該膜層からの干渉光の強度またはその変化率の変化のパターンを示すデータを取得している場合には、処理中の特定の時刻に検出された処理室内からの光の強度(またはその変化率)の特定の複数の波長のデータと当該波長に対応する予め取得したデータを比較して、予め取得したデータのうちで最も差の小さいデータに対応する膜厚さあるいは処理の深さ等の処理の量が当該特定の時刻での処理の量と見做されて判定される。
【0087】
複数の波長を含む光あるいは連続光が外部光として用いられた場合でも、処理中において検出の周期ごとの任意の時刻において複数の波長毎の処理室内からの光の強度(またはその変化率)が検出される。この検出結果と予め取得している時間変化(膜厚さの変化)に対する上記波長をパラメータとする干渉光の強度(またはその変化率)の変化のパターンの各時刻または膜厚さ毎のデータとが比較されて、最も差の小さいデータに対応する膜厚さを当該時刻での膜厚さ(処理の深さ)と見做して判定される。
【0088】
処理対象の膜厚・深さに対する各波長の光量変化の1次微分値又は2次微分値を予め取得している場合、各検出結果の時刻に対する波長毎に光量の1次微分値又は2次微分値を取得し、それと予め取得しているデータを比較することで当該時刻の膜厚・深さは特定すれば良い。
【0089】
上記予め取得された時間の変化または膜厚さの変化に対する波長をパラメータとする試料表面からの干渉光の強度(またはその変化率)の変化を示すパターンのデータと処理中に検出された複数波長の光の強度またはその変化率を示すデータとの比較は、周知のパターンマッチングの技術を適用することができる。また、当該比較において差の検出は、複数波長毎のデータ同士のパターンマッチングにより得られた差の偏差が予め定められた許容値内となるもののうち最小の偏差となるものを検出し選択することで行われる。
【0090】
(具体的実施例)
以下、具体的な実施例について
図1〜
図10を用いて説明する。
【0091】
図1は、本実施例に係るプラズマ処理装置の構成概略を模式的に示す縦断面図である。
【0092】
プラズマ処理装置1は、真空容器内部に配置された空間であってその内側に試料台14が配置されるとともにプラズマ12が形成される空間である処理室10を備えている。処理室10は、円筒形を有した空間であって、その円形の天井面上方には所定の周波数の高周波の電界を処理室10に供給する電界生成部と、上方または円筒形の側方周囲に処理室10内に磁界を供給するソレノイドコイル等の磁界供給部とが配置されている。
【0093】
また、処理室10の天井面には、その内部に試料台14上面に載せられて保持される試料であるウエハ16を処理するためのガスが導入される複数の導入孔が配置され、これら導入孔は図示しない配管等のガス供給路とこれの上に配置された流量調節機(Mass Flow Controller:MFC)とを備えたガス導入部が連通して連結されている。
【0094】
処理室10を内蔵する真空容器の下方には、処理室10内部のガスや粒子を排気して内部を減圧するターボ分子ポンプ等の排気装置が配置されている。また、図示されていないが、排気装置の入口は、試料台14下方の処理室10の底面に配置された排気用の開口である排気口と連通されて、これらの間の排気管路内には内側の流路の断面積を増減して排気の流量またはその速度を変化させる排気調節バルブが配置されている。
【0095】
本実施例では、排気装置の動作により減圧された処理室10の内部にガス導入部からエッチング処理用のガスが導入されて、処理室10内の圧力が排気とガスの供給の量のバランスにより処理の開始に適した圧力に調節された状態で、上記高周波電界および磁界が供給されてこれらの相互作用により処理用ガスの原子または分子が電離または解離して処理室10内の試料台14上方の空間にプラズマ12が形成される。
【0096】
このプラズマ中の荷電粒子および解離して高い反応性(活性)を有した活性種の粒子がウエハ16の上面に拡散または誘導されて、ウエハ16の表面に予め配置された膜構造の処理対象の膜層がエッチング処理(プラズマ処理)される。
【0097】
本実施例において、処理室10内への処理用のガスの導入の量や排気の量、プラズマ12の着火、生成および消火やそのための電界や磁界の強さやその分布、ウエハ16の処理室10内外への搬送と試料台12上での保持、試料台12内に配置された図示されない金属製の円板状の電極へのバイアス電位形成用の第2の高周波電力の供給、停止による処理の開始、停止等のプラズマ処理装置1の動作の調節は、上記の動作を行う各部品や機器、これらのユニットと通信可能に接続された制御部40からの指令信号に基づいて行われる。また、制御部40は、使用者が所望するエッチング処理の結果が得られる条件となるように、各機器間での同期やタイミングを調節する機能を有している。
【0098】
本実施例では、プラズマ12は処理用のガスを、電界生成手段からの高周波電界が所定の周期、期間でOn/Off(オンオフ)の切り替えを繰り返して当該周期、期間で着火、形成と消火とがパルス状に繰り返されて形成される。
【0099】
また、エッチングガスの導入を時間変調することによってもプラズマはパルス化される。本実施例では、パルス状にプラズマ12を形成するための所定の周期と期間とでの高周波電力の電源からの供給のOn/Offの切り替えと繰り返しも、制御部40から電界形成部または磁界形成部へ発信される当該周期、期間を示すパルス状の信号に同期して実施される。
【0100】
プラズマ処理装置1は、処理中にウエハ16の膜厚さや深さ等の処理量を検出するための構成を備えている。このような構成は、処理室10内に外部光を照射する光源を含む光源部18および光源部18と光ファイバで連結され処理室10の天井面を構成して外部光が処理室10内に照射されるレンズ20、同様に天井面を構成し処理室10内からの光を受光するレンズ26、当該レンズ26と光ファイバで連結されて受光された光の強度を検出する検出部28、さらに検出された光の強度またはその変化率から処理中のウエハ16の処理量を検出する膜厚・深さ算出部30とを備えている。また、光源部18、検出部28、および膜厚・深さ算出部30によって、検出制御部が構成されている。
【0101】
光源部18に含まれる外部光の光源から射出された光は、光ファイバ内を伝播してレンズ20を介して処理室10内にその天井面から導入され、照射光22としてウエハ16の上面に照射される。光源部18の光源は紫外から赤外までの連続光が用いられているが、特定の波長を用いて膜厚・深さを検出する場合には特定波長の光源を用いられても良い。
【0102】
照射された照射光22は、ウエハ16表面の処理対象の膜層の上面および底面で反射され両者が干渉した干渉光としての反射光24が、検出用のレンズ26で受光されて集光される。レンズ26からの光は光ファイバ内部を伝播して検出部28に導入される。
【0103】
検出部28は、分光器を備えて、当該分光器により導入された光が複数の波長毎に分けられこれらの波長毎に光の強度が検出される。特定波長を用いて膜厚・深さを検出する場合には、検出器は分光器に限らずフォトディテクタ等が用いられても良い。
【0104】
この場合には、検出部28に導入される光が所望の特定波長のみであれば直接フォトディテクタを用いればよく、連続光が導入される場合にはフォトディテクタ前段にモノクロメータなどで特定波長のみを選択する機構を設ければよい。
【0105】
本実施例では、
図1に示すように、処理室10に光源部18からの照射光22を導入するレンズ20とウエハ16からの反射光24を受光するレンズ26とは、ウエハ16に対向した処理室10上方において、距離をあけて配置されている。
【0106】
反射光24を最も効率よく検出するためには、レンズ20からの照射光22とレンズ26で受光される反射光24とが同一の光線軸上に位置するように、少なくとも何れか一方の光軸を傾斜させて配置することが望ましい。
【0107】
レンズ20,26の構成は、
図1に示した構成に限られたものではなく、完全同軸構成として、レンズ20とレンズ26とを1つのレンズで構成してもよい。この場合には、当該一つのレンズの光軸の方向はウエハ16に垂直にしてウエハ16に対して上方から垂直に照射され垂直に反射した光を検出できる構成にされる。
【0108】
また、
図1では、光源部18を含む照射光22を導入する構成と検出部28を含む反射光24を検出する構成一対を備えた例が開示されているが、これらの対を複数備えて、ウエハ16上面の半径方向について複数の箇所で膜厚・深さを検出する構成としても良い。
【0109】
検出部28で検出された処理中の任意の時刻のウエハ10の表面からの干渉光(反射光24)の強度またはその変化率を示すデータは、検出部28と通信可能に接続された膜厚・深さ算出部30に送信され、膜厚・深さ算出部30において膜厚・深さが算出される。このような検出部28の機能ブロックの構成を
図2に示す。
【0110】
図2は、
図1に示す実施例の膜厚・深さ算出部30の構成の概略を模式的に示すブロック図である。
【0111】
検出部28から膜厚・深さ算出部30に導入された波長毎の光量の時系列データD1は第1デジタルフィルタ100によって平滑化処理され、第1平滑化時系列データD2として微分器102に供給される。
【0112】
微分器102では、例えばS−G法(Savitzky-Golay Method)を用いて微分係数値(1次微分値または2次微分値)である微分時系列データD3を算出し、第2デジタルフィルタ104に供給される。第2デジタルフィルタ104では微分時系列データD3を平滑化処理し、第2平滑化時系列データD4を微分波形比較器106に供給する。
【0113】
ここで、第2平滑化時系列データD4の算出について説明する。
【0114】
第1デジタルフィルタ100としては、例えば2次バタワース型のローパスフィルタを用いる。2次バタワース型のローパスフィルタにより第1平滑化時系列データD2は次式により求められる。
【0115】
D2(i) = b1・D1(i) + b2・D1(i-1) + b3・D1(i-2) - [ a2・D2(i-1) + a3・D2(i-1)]
ここで、Dk(i)は、各データDkの時刻iのデータを示し、係数b,aはサンプリング周波数およびカットオフ周波数により数値が異なる。また、デジタルフィルタの係数値は、例えば、a2=−1.143,a3=0.4128,b1=0.067455,b2=−0.013491,b3=0.067455(サンプリング周波数10Hz、カットオフ周波数1Hz)である。
【0116】
2次微係数値の時系列データD3は、微分器102により5点の時系列データD2の多項式適合平滑化微分法を用いて以下のように算出される。
【0118】
ここで、重み係数wに関してw−2=2,w−1=−1,w0=−2,w1=−1,w2=2である。前記微係数値の時系列データD3を用いて第2平滑化時系列データD4は、第2デジタルフィルタ104としては例えば2次バタワース型ローパスフィルタにより以下のように算出される。
【0119】
D4(i) = b1・D3(i) + b2・D3(i-1) + b3・D3(i-2) - [ a2・D4(i-1) + a3・D4(i-2)]
微分波形比較器106に導入されたデータD4は、ウエハ16の処理前に予め取得されたエウハ16表面の残り膜厚さや処理の深さを示すデータとの比較が行われる。当該データは、エッチング処理の量に対応する時間の変化に対するウエハ16からの干渉光の波長をパラメータとした強度の微分波形のパターンの変化を示す複数のデータを含むデータベース108から選択された所定のパターンのデータである。
【0120】
このようなデータベース108は、制御部40内に配置されたHDD(Hard Disk Drive)やCD−ROM(Compact Disc-Read only memory)等の外部記憶装置やRAM(Random Access Memory)やROM等の半導体メモリ装置等の記憶装置内に記憶されており、制御部40により読み出されたパターンのデータが制御部40と通信可能に構成された膜厚・深さ算出部30に送信されて、比較に用いられる。
【0121】
微分波形比較器106では、上記微分波形パターンデータベース108から判定の基準として選択されたパターンのデータに含まれる各時刻のパターンのデータと処理の量を求める対象の任意の時刻で算出された第2平滑化時系列データD4とが比較される。
【0122】
当該比較の結果、基準となるパターンのデータの各時刻のデータのうち、最も第2平滑化時系列データD4との偏差の小さなデータが算出され、当該最小の偏差となる時刻に対応する膜厚さまたは深さが任意の時刻の膜厚さ・深さとして算出される。
【0123】
算出された膜厚・深さは、膜厚・深さ算出部30からCRTや液晶のモニタ等の表示器31に送信されて表示あるいは報知される。
【0124】
さらに、本実施例では、算出された膜厚さや深さ等の処理の量が、処理前に予め定められた処理の条件に含まれる所期の値に到達した、または当該値との差が許容される範囲内の値になった、と制御部40のマイクロプロセッサ等の半導体デバイスにより構成された演算器が予め記憶装置に記録されたソフトウエア記載のアルゴリズムに沿って判断した場合には、制御部40の演算器で算出された指令信号がプラズマ処理装置1の各部に送信されて、当該指令信号に応じて、第1の高周波電源を含む電界生成部や磁界生成部が停止されるとともに、試料台14内の電極に第2の高周波電力を供給する第2の高周波電源の動作が停止されてプラズマ12が消火されてエッチング処理が停止される。すなわち、当該エッチング処理の工程の終点への到達が判定される。
【0125】
その後、ウエハ16の静電気による吸着が解除されて、ウエハ16が処理室10外部に搬送され、必要に応じて次のウエハ16の処理が開始される。或いは、制御部40から発信される指令信号に応じて、処理室10内に供給されるガスの組成や供給の量、処理室10内の圧力、第1の高周波電源からの電力の大きさ等の処理の上限が変更されて、ウエハ16に次の処理の工程が開始される。この際、プラズマ12は消火されずに次の工程が開始されても良い。
【0126】
ウエハ16の処理開始前に取得される微分波形パターンデータベース108内のパターンのデータは、処理対象のウエハ16の表面に配置された処理対象の膜構造のものと同じ材料且つ同じ順に積層された複数の膜層であって、厚さが同じまたはこれと見做せる程度に近似した値を有する膜構造を備えた別のウエハ16を処理室10に配置しプラズマを形成して当該ウエハ16を処理した際に得られた処理室10内からの光から検出した干渉光の波長をパラメータとする強度の微分波形の時間の変化に対する変化を示すパターンのデータである。
【0127】
このようなデータは、プラズマ処理装置1がクリーンルーム等の建屋に設置される前に、記憶装置内に格納されても良い。また、実際にウエハ16を処理した際のデータに替えて、数値計算して得られたものを用いても良い。
【0128】
図2では、対象膜の膜厚に対する各波長の光量変化の1次微分値又は2次微分値を予め取得している場合で、各検出結果の時刻に対する波長毎に光量の1次微分値又は2次微分値を取得し、それと予め取得しているデータを比較することで当該時刻の膜厚は特定する方法について示したが、膜厚・深さ特定の方法はこれに限ったものではない。
【0129】
例えば、ウエハ16の処理前に膜構造中の処理対象の膜層の膜厚・深さの変化(または処理の時間の変化)に対する膜層表面からの光の波長毎の反射率のデータを取得しておき、処理中にウエハ16表面の膜層からの反射光24を検出した結果と照射した外部光の波長毎の光量と用いて当該波長毎の反射率を算出し、算出した波長毎の反射率と予め取得している反射率のデータを比較して、両者の偏差が最も小さいデータに対応する膜厚・深さを処理中に反射光を検出した時刻における膜厚・深さとして判定する方法でもよい。
【0130】
また、検出に用いている外部光を用いた場合の対象膜の膜厚と波長毎の光量データを予め取得しており、検出結果から波長毎の光量を取得し、それと予め取得しているデータを比較することで当該時刻の膜厚を特定する方法でもよい。
【0131】
係るプラズマ処理装置を用いた本発明の膜厚・深さを検出する動作を
図3を用いて説明する。
【0132】
図3は、
図1に示すプラズマ処理装置が行う処理室内からの光を検出する動作の流れを示す模式的にタイムチャートである。
【0133】
本例では、プラズマ12は、所定の周期と期間とでその供給がOn/Offされるパルス状の電界によって処理室10内に着火、形成され、消火される、パルス状のプラズマである。
【0134】
このプラズマ12からの発光は、上記周期と期間とに応じてその光の強度の量が変動することになる。このようなプラズマ12に対して、参照光として処理室10外部の光源部19内の光源で放射された外部光が処理室10内のウエハ16表面に照射される。
【0135】
さらに、ウエハ16で反射された反射光24およびプラズマ12の発光を含む処理室10内からの光は、予め定められた周期で、プラズマ12がOffの期間内に含まれる特定の時刻において繰り返し検出される。
【0136】
本図の例では、プラズマ12がOffとなる期間の開始から終了(次のプラズマ12のOn期間の開始)までに渡り、検出部28での処理室10内からの光の検出(レンズ受光)または膜厚・深さ算出部30での算出が行われているが、これに限られない。
【0137】
予め定められた周期毎に繰り返し検出される処理室10からの光の受光は、周期毎に開始される時刻から処理の量の算出に必要、十分な量の光の量または情報を得られる時間だけ行われる。
【0138】
この場合、外部光は、処理室10内からの光の検出する時刻において照射されていれば良く、
図3の例では、処理中の期間は常時照射されている場合について示されている。本実施例では、このようにプラズマがOff期間中の時刻に所定の周期でウエハ16に対向した箇所を通して処理室10内からの光の検出が行われる。
【0139】
この検出により、当該光の検出に対してパルス状に形成、消火が繰り返されるプラズマ12の発光の変動が及ぼす影響が低減され、膜厚・深さ等の処理の量の検出の精度が向上される。
【0140】
本実施例では、プラズマ12、光源部19からの外部光の照射、検出部28における処理室10内からの光の検出または膜厚・深さ算出部30における処理の量の算出およびそれらの動作タイミングは制御部40からの指令信号に応じて調節される。
【0141】
以下、上記実施例に係るプラズマ処理装置1におけるエッチング処理において、処理室10からの光を検出して膜厚さ等の処理の量を算出して判定を行う動作の具体例について
図4〜
図10を用いて説明する。
【0142】
図4〜
図6は、
図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置において、処理中に処理室からの光を検出して膜厚さ等の処理の量を算出して判定を行う動作の流れの例を模式的に示すタイムチャートである。
【0143】
図4に示す例では、プラズマ12はプラズマOn期間が10ms、プラズマOn/Offの周期(周波数)が50Hzにされ、各プラズマ12のOff期間毎に予め定められた周期で1回の処理室10からの光の検出を実施する例である。
【0144】
本例の光源部18は、光源として紫外光〜赤外光の連続光源、例えばキセノン光源または白色LED光源が用いられ、光源部18からレンズ20を通して処理期間中にウエハ16に対して常時照射される。
【0145】
また、検出部28においては、周期ごとに特定の時間だけ受光された処理室10内からの光は、分光器が用いられて複数の波長のものに分けられて、膜厚・深さ算出部30に送信されて当該算出部30において各波長ごとの強度とその時間についての微分の値が検出され
図2に示したものと同様に処理の量が算出または判定される。
【0146】
図4に示す本例の処理室10からの光の検出のタイミングでは、プラズマ12のOnの期間は10msであるため、上記したプラズマOn後に動作する整合器の不安定性に加えてプラズマ12の電子温度、電子密度、ガスの乖離や密度等の短い時定数(〜数十ms程度)の不安定さを有し、
図14(a)に示した技術例と同様に、プラズマ12の各On期間が開始された時刻以降直後の発光が変動する。
【0147】
このようなプラズマ12の発光に対して、本例ではプラズマ12のOff期間中の予め定められた時刻からの特定の時間τ4だけ外部光を処理室10に照射してウエハ16からの反射光24を検出するように構成されている。
【0148】
この構成により、τ4において検出される反射光24には、On期間毎にその強度が変化する、あるいはその時間的な変化のプロファイルが期間毎に異なるプラズマ12の発光の成分が含まれないか、これと見做せる程度に小さくされ、検出されたウエハ16表面からの光の情報に対するプラズマ12の発光の強度が変動することによる影響は著しく抑制される。
【0149】
これにより、本例では、高い精度で処理中の残り膜厚・深さ等の処理の量の検出または終点の判定を行うことができる。また、本例ではプラズマ12のOff期間の周期毎に(10ms間隔で)膜厚さ・処理の深さが検出され、プラズマ処理中のこれらの処理の量の時間的な変動が高い精度で検出可能となる。
【0150】
ここで、上記の実施例では、膜厚さ・深さの算出するための技術として、処理室10内からの光の複数波長毎の強度の時刻に対する微分値を用いる構成を備えている、この構成に限らず、処理室10からの光の波長毎の光量・波長毎の反射率などを用いるものによっても膜厚・深さの検出を行うことができる。
【0151】
また、
図10に示すように、プラズマ12が、電界がそのOn/Offを間欠させて連続するように供給されるに応じて、2s連続するOn期間毎に10msのOff期間が挿入されてOn/Offが各々間欠的に連続するように形成される場合においても、当該Off期間中に処理室10内に外部光を照射して得られた反射光24を検出した結果を用いて膜厚・深さの算出および処理の量の判定と実施することができる。
【0152】
図10は、
図1に示す実施例に係るプラズマ処理装置において、処理中に処理室からの光を検出して膜厚さ等の処理の量を算出して判定を行う動作の流れの例を模式的に示すタイムチャートである。
【0153】
図4に示す例との違いは、プラズマ12が2s連続するOn期間毎に10msのOff期間が挿入されてOn/Offが各々間欠的に連続する点である。本図の例は、この点以外は
図4に係る実施例と同じ
図1に示したプラズマ処理装置1において実施された例が示される。
【0154】
本図では、プラズマOn時間が2sであるため、プラズマ12の発光の強度は、主に
図12に示されるプラズマ安定状態での変動と同等と見做せる。このようなプラズマ12に対して、本例では、プラズマ12のOff期間中に光源部18からの外部光を処理室10内に照射してウエハ16からの反射光24を検出するように構成されている。
【0155】
このようにして検出した反射光24には、
図4に示すものと同様に、On期間毎にその強度が変化する、あるいはその時間的な変化のプロファイルが期間毎に異なるプラズマ12の発光の成分が含まれないか、これと見做せる程度に小さくされ、検出されたウエハ16表面からの光の情報に対するプラズマ12の発光の強度が変動することによる影響は著しく抑制される。
【0156】
図5に示す例も、
図4と同様に、処理中に処理室からの光を検出して膜厚さ等の処理の量を算出して判定を行う動作の流れの例を模式的に示すタイムチャートである。本図の例は、プラズマ12はプラズマOn時間を1s、On/Offの周期(周波数)を0.1Hzとして、各Off期間中に複数回、所定の期間τ5の間で処理室10内からの光の検出を実施する点が、
図4に示した例と異なる点である。この点以外の構成は
図4に示すもの同じ構成とした。
【0157】
本例では、プラズマ12のOn期間が1sであるためプラズマ12の発光の強度の変動は
図12に示されるプラズマ12の安定状態のものと同等である。また、プラズマ12のOff期間中に外部光を処理室10内のウエハ16上面に照射して反射光24を検出するように構成されている。この際、Off期間の9sの間の反射光24の検出は、所定の周期毎に複数回実施され、これらが各Off期間毎に実施される。
【0158】
本例での任意のOff期間における最後の反射光24の検出の開始時刻とその直後のOff期間における最初の反射光24の検出の開始時刻との間の時間は、各Off期間での複数回の検出の周期と同じである。すなわち、間欠的に連続する複数のプラズマ12のOff期間にわたり、反射光24の検出の開始時刻と持続の時間とは、予め定められた周期と期間τ5とで行われる。
【0159】
このようして、周期毎のτ5の間において検出される反射光24には、On期間毎にその強度が変化する、あるいはその時間的な変化のプロファイルが期間毎に異なるプラズマ12の発光の成分が含まれないか、これと見做せる程度に小さくされ、検出されたウエハ16表面からの光の情報に対するプラズマ12の発光の強度が変動することによる影響は著しく抑制される。
【0160】
これにより、本例では高い精度で処理中の残り膜厚・深さ等の処理の量の検出または終点の判定することができる。また、本例では、1回のプラズマ12のOff期間中に複数回の検出が行われているため、これらのデータを平均化することで検出系の電気ノイズなどを低減することができ、さらに高精度な膜厚・深さ検出を実現することが可能となる。
【0161】
図6に示す例も、
図4と同様に、処理中に処理室からの光を検出して膜厚さ等の処理の量を算出して判定を行う動作の流れの例を模式的に示すタイムチャートである。
【0162】
図4および
図5の例と本図の例との違いは、プラズマ12のプラズマOn時間を0.05ms、プラズマ12On/Off周波数を10kHzとして、各Off期間の所定の回数に1回だけ処理室10からの反射光24を検出する点である。
【0163】
本例は、この点以外の構成に関しては
図4および
図5と同じ構成にされている。但し、本例では、検出部28に含まれる分光器は10kHzの速度ではデータサンプリングが出来ず、2.5kHzではデータサンプリングが可能な分光器とした。
【0164】
図6には、本例における処理室10内からの光を検出するタイミングが示されている。プラズマ12のOn期間が0.05msであるため、On期間開始後のプラズマ12の発光の強度は、整合器の変動に加えて時定数の短い他の要因、例えば電子温度、電子密度、ガスの乖離や密度等に起因して変動する。
【0165】
一方、プラズマ12のOff期間の周期(周波数)は、10kHzであるのに対して本例の検出部28に含まれる分光器は、周期10kHzで検出を高い精度で行うことができないものとなっている。
【0166】
このため、本例では、分光器をプラズマ12のOn/Offの周波数の1/4である2.5kHzの周期で動作させて受光した光を検出する構成を備えている。
【0167】
この構成により、プラズマ12のOff期間の4回に1回毎に、すなわち、Off期間周期の4倍の周期に対応するOff期間中の時刻において、外部光が照射され期間τ6だけ反射光24が検出され、これらがウエハ16の処理中に複数回繰り返される。
【0168】
これらの反射光24の検出は、すべてプラズマ12のOff期間中に実施される。本例ではプラズマ12のOff期間の4倍の周期である0.4ms間隔に、期間τ6の間に検出された反射光24を用いて当該期間τ6の開始時刻またはその期間を代表する任意の時刻におけるウエハ16表面の膜層の膜厚さ・深さが高い精度で算出されるとともに、終点等の処理の量が判定される。
【0169】
次に、
図4〜
図6に示した実施例の変形例の動作について、
図7〜
図9を用いて説明する。
【0170】
[変形例1]
図7は、
図1に示す実施例の変形例に係るプラズマ処理装置において、処理中に処理室からの光を検出して膜厚さ等の処理の量を算出して判定を行う動作の流れの例を模式的に示すタイムチャートである。
【0171】
本例では、上記の実施例と同様にしてパルス状にプラズマ12が処理室10内に形成されるプラズマ処理装置1において、外部光源としては特定波長の光源、例えば半導体レーザを用い、外部光は、高周波、例えば600MHzで変調してウエハに照射する構成とした。
【0172】
ここで、半導体レーザは、レーザ出射端面への戻り光やレーザ自体の温度変化などによって波長が変動(モードホップ)する場合がある。このモードホップの影響を低減するため、レーザは高周波で変調した。これら以外に関しては実施例1と同じ構成とした。
【0173】
本例では、プラズマ12のOn期間が10msであるためプラズマ12のOn期間開始後の各種不安定要因によって発光の強度が変動する。このようなプラズマ12に対して、本実施例ではOff期間中に、予め定めた周期毎に期間τ7の間、光源部19から半導体レーザによる外部光を処理室10内に照射してウエハ16からの反射光24を検出する。
【0174】
ここで、検出の周期はプラズマ12のOff期間の周期(プラズマ12のOn/Offの周期)と同じであり、またレーザ光は高周波で変調されているが、その変調の周期(周波数)は、反射光24を検出する周期(周波数)に比べ1000倍以上も短い(周波数が高い)。このため、当該外部光の変調による反射光24を検出した結果としての強度の変動に与える影響は無視できると見做せるほど小さくできる。
【0175】
本例では、このような構成によっても、ウエハ16表面からの反射光24の検出に対するプラズマ12の発光の強度の変動の影響を抑制して、高精度な膜厚・深さ検出を実現することが可能である。
【0176】
[変形例2]
図8は、
図1に示す実施例の別の変形例に係るプラズマ処理装置において、処理中に処理室からの光を検出して膜厚さ等の処理の量を算出して判定を行う動作の流れの例を模式的に示すタイムチャートである。
【0177】
本例では、上記の実施例と同様にして処理室10内にパルス状に形成されるプラズマ12のOff期間中にウエハ16の膜構造の表面に処理室10内の粒子が堆積して成長が起こり膜が形成されるものであって、プラズマ12がOn期間中にこのOff機関中に形成された膜とともにウエハ16表面の膜構造の処理対象の膜層をエッチング処理する例である。
【0178】
本例のプラズマ処理装置1では、当該処理中に処理対象の膜層の残り膜厚・エッチング深さ等の処理の量を検出または処理の終点の判定が行われる。
【0179】
本例のプラズマ12は、On期間を100ms、On/Offの周期(周波数)を2Hzとして、光源部19からの外部光が処理室10内に照射される。本例では、各Off期間中にウエハ16からの外部光の反射光24が複数回、予め定められた周期で繰り返して検出される。
【0180】
また、任意のOff期間での最後の検出期間τ8の終了時刻と次のOff期間での最初の検出期間τ8の開始時刻との間の間隔は、これらOff期間での検出の共通した周期と一致しなくても(異なっていても)良い。これら点の以外は、
図4に示す例と構成は同等である。
【0181】
本例で、プラズマ12のOn期間が100msであるためOn期間開始後は、各種不安定要因によってプラズマ12の発光は当該期間中に変動する。本実施例では、プラズマ12の複数回のOn/Off期間にわたって外部光は連続して処理室10内に照射され、検出部28において複数のプラズマ12のOff期間中にウエハ16表面からの外部光の反射光24が予め定められた複数回数、検出されるように構成されている。
【0182】
この構成においても、ウエハ16表面からの反射光24の検出に対するプラズマ12の発光の強度の変動の影響が抑制されて、高精度な膜厚・深さ検出が実現される。
【0183】
ここで、プラズマ12のOff期間中の複数回の検出の各々は、反射光24が検出される期間τ8のことで、その開始時刻または期間τ8を代表する時刻に対応した膜厚・深さ等の処理の量が算出される。
【0184】
これら膜厚・深さはOff期間中に成長していく堆積膜の膜厚さ・平均構造(凹凸など)を反映しており、このような検出を行うことでプラズマOff中の膜の堆積状況を監視することも可能となる。
【0185】
また、各プラズマOff中の複数の検出の同一タイミング、又はそれらの平均値の膜厚・深さを監視することによって、ウエハの膜厚・深さ変化を監視することも可能である。
【0186】
[変形例3]
図9は、
図1に示す実施例の別の変形例に係るプラズマ処理装置において、処理中に処理室からの光を検出して膜厚さ等の処理の量を算出して判定を行う動作の流れの例を模式的に示すタイムチャートである。
【0187】
本例では、上記の実施例と同様にして処理室10内にパルス状に形成されるプラズマ12のOn期間を5μs、On/Offの周波数(周期)を100kHzとして、所定の周期で繰り返し処理室10内からの光を検出するものであって、プラズマOff期間毎に1回ずつ、所定の期間τ9の検出を実施する例を示している。
【0188】
本例の光源部18に備えられる光源としては特定波長の光源、例えばガスレーザが用いられ、ウエハ16上面に対向した位置から処理期間中連続して下方に照射される。また、検出部28に備えられる検出器としてフォトディテクタが用いられる。この構成により、検出部28では高速でデータサンプリングできる構成とした。これらの点以外の構成は、
図4に示す例と同等にされている。
【0189】
本図の例において、プラズマ12のOn期間は、5μs(0.005ms)であるため、On期間開始後の各種不安定要因の影響を受けて各々のOn期間においてプラズマの発光の強度は大きく変動する。このようなプラズマ12に対して、本例では、Off期間中に当該期間と同じ長さの期間τ9だけ光源部19から処理室10内に照射された外部光のウエハ16表面からの反射光24を検出するように構成されている。この構成により、上記実施例または変形例と同等の作用を奏することができる。
【0190】
ここで、本例では、外部光として単色光が用いられているため、検出部28では分光器による分光を行う必要がないため、検出部28では分光が行われず受光した光の強度を検出する検出器としてフォトディテクタが用いられている。
【0191】
この構成により、100kHzという高速なプラズマ12のOn/Offの切替え(変調)に対しても、各々のOff期間の開始と終了とに合わせて検出を行うことが出来、短い周期で膜厚の変化を検出可能とすることができる。
【0192】
以上の実施例および変形例によれば、ウエハ16表面からの光の強度またはその変化を示す情報に対するプラズマ12の発光の強度が変動することによる影響を抑制して、高い精度で処理中の残り膜厚・深さ等の処理の量の検出または終点の判定を行うことができる。
【0193】
これにより、歩留まりの高いプラズマ処理装置を提供できる。
【0194】
なお、述べてきた実施例は本実施形態の一部の例にすぎず、本実施形態は、上記に限られるものではない。
【0195】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。