特許第6838830号(P6838830)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838830
(24)【登録日】2021年2月16日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】炭素系固体燃料の発熱抑制方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/00 20060101AFI20210222BHJP
   C10L 10/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   C10L5/00
   C10L10/00
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-4370(P2020-4370)
(22)【出願日】2020年1月15日
(62)【分割の表示】特願2016-99066(P2016-99066)の分割
【原出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2020-56044(P2020-56044A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2020年1月24日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公益社団法人化学工学会、化学工学会 第81年会 講演要旨集、B115、平成28年2月28日 〔刊行物等〕 化学工学会 第81年会、平成28年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 潔
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲正
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−166180(JP,A)
【文献】 特開2005−344099(JP,A)
【文献】 特開昭58−57498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/00
C10L 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス由来の燃料である炭素系固体燃料に還元剤を添加し、前記炭素系固体燃料の表面の官能基を還元して炭素系固体燃料の発熱を抑制する方法であって、
前記官能基はカルボキシル基であり、
前記還元剤はボランである
ことを特徴とする炭素系固体燃料の発熱抑制方法。
【請求項2】
バイオマス由来の燃料である炭素系固体燃料に還元剤を添加し、前記炭素系固体燃料の表面の官能基を還元して炭素系固体燃料の発熱を抑制する方法であって、
前記炭素系固体燃料に溶媒を加えて所定温度に維持し、前記炭素系固体燃料が浸漬された溶媒に前記還元剤を添加して溶解し、前記炭素系固体燃料が浸漬され前記還元剤が溶解された溶液を攪拌し、前記官能基が還元された前記炭素系固体燃料をろ過する
ことを特徴とする炭素系固体燃料の発熱抑制方法。
【請求項3】
バイオマス由来の燃料である炭素系固体燃料にボランを添加し、前記炭素系固体燃料の表面のカルボキシル基を還元して炭素系固体燃料の発熱を抑制するに際し、
前記炭素系固体燃料に溶媒を加えて所定温度に維持し、前記炭素系固体燃料が浸漬された溶媒に前記ボランを添加して溶解し、前記炭素系固体燃料が浸漬され前記ボランが溶解された溶液を攪拌し、前記カルボキシル基が還元された前記炭素系固体燃料をろ過する
ことを特徴とする炭素系固体燃料の発熱抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスからなる燃料の発熱を抑制する炭素系固体燃料の発熱抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、発電所や製鉄所では、炭素系固体燃料として石炭が多く使用され、石炭は、石炭置き場(貯炭場)に堆積されて保管される。石炭は大気中に保管されるため、石炭に含まれる可燃分と空気中の酸素が反応して自然酸化が進行する。自然酸化により石炭が発熱し、石炭の温度が上昇することで、自然発火に至る可能性がある。
【0003】
貯炭場での石炭の自然発熱を抑制するため、石炭の保水力を高める自然発火防止剤を散布する技術や、石炭に皮膜を形成する皮膜形成液を散布する技術が、従来から提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1、特許文献2の技術を適用することにより、石炭の自然発火を抑制し、より安全な石炭の管理をすることができる。
【0004】
火力発電設備では、エネルギーセキュリティや燃料費削減の観点から、従来の高品位な石炭(瀝青炭)の利用に加えて、低品位な石炭(亜瀝青炭、褐炭等)の利用が拡大しつつある。また、炭素系固体燃料としてバイオマスの利用が拡大しつつある。亜瀝青炭や褐炭は、自然発火性が高いことが知られており、輸送時や貯蔵時の利用課題となっている。従来から提案されている発熱抑制の技術は、自然発火防止剤によって石炭表面の保水力を高める、あるいは石炭表面を物理的に覆うことで、酸化する石炭の表面積を減少させ、酸素の侵入を遮断する方法である。
【0005】
ところで、炭素系固体燃料(バイオマス)の自然発熱に影響する因子の一つとして、官能基が挙げられることが、本発明者により見出されている。即ち、炭素系固体燃料の種類に応じた官能基を把握し、自然発熱に影響する官能基を変化させることで、発熱を抑制することができることが、本発明者により見出されている。特に、バイオマスの官能基としてのカルボキシル基に着目し、還元剤を用いてカルボキシル基を還元し、発熱を抑制することができることが見出されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−194447号公報
【特許文献2】特開2005−105029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、バイオマスからなる炭素系固体燃料の酸化に寄与する成分の含有率を減少させることで発熱を抑制する炭素系固体燃料の発熱抑制方法を提供することを目的とする。
【0008】
特に、バイオマス由来の固形燃料のカルボキシル基を還元し、発熱を抑制する炭素系固体燃料の発熱抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の炭素系固体燃料の発熱抑制方法は、炭素系固体燃料に還元剤を添加し、前記炭素系固体燃料の表面の官能基を還元することを特徴とする。
【0010】
このため、炭素系固体燃料の表面の官能基を還元することで、酸化に寄与する成分の含有率を減少させる。これにより、バイオマスからなる燃料の性状を変えることで発熱を抑制することが可能になる。
【0011】
そして、前記炭素系固体燃料は石炭であることが好ましい。
【0012】
これにより、石炭の表面の官能基の酸化に寄与する成分の含有率を減少させて発熱を抑制することができる。
【0013】
また、前記石炭は褐炭であり、前記官能基はカルボキシル基であり、前記還元剤はボランであることが好ましい。
【0014】
これにより、褐炭の表面のカルボキシル基(COOH基)をボランにより還元してOH基に変化し、褐炭の表面の酸化に寄与する成分を減らして発熱を抑制する。
【0015】
また、前記石炭に溶媒を加えて所定温度に維持し、前記石炭が浸漬された溶媒に前記還元剤を添加して溶解し、前記石炭が浸漬され前記還元剤が溶解された溶液を攪拌し、前記官能基が還元された前記石炭をろ過することが好ましい。
【0016】
これにより、溶媒に還元剤を溶解し、石炭が浸漬され還元剤が溶解された溶液を攪拌することで、還元剤を均一な状態で石炭に添加することができる。
【0017】
また、上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の炭素系固体燃料の発熱抑制方法は、バイオマス由来の燃料である炭素系固体燃料に還元剤を添加し、前記炭素系固体燃料の表面の官能基を還元して炭素系固体燃料の発熱を抑制する方法であって、前記官能基はカルボキシル基であり、前記還元剤はボランであることを特徴とする。
【0018】
また、上記目的を達成するための請求項2に係る本発明の炭素系固体燃料の発熱抑制方法は、バイオマス由来の燃料である炭素系固体燃料に還元剤を添加し、前記炭素系固体燃料の表面の官能基を還元して炭素系固体燃料の発熱を抑制する方法であって、前記炭素系固体燃料に溶媒を加えて所定温度に維持し、前記炭素系固体燃料が浸漬された溶媒に前記還元剤を添加して溶解し、前記炭素系固体燃料が浸漬され前記還元剤が溶解された溶液を攪拌し、前記官能基が還元された前記炭素系固体燃料をろ過することを特徴とする。
【0019】
また、上記目的を達成するための請求項3に係る本発明の炭素系固体燃料の発熱抑制方法は、バイオマス由来の燃料である炭素系固体燃料にボランを添加し、前記炭素系固体燃料の表面のカルボキシル基を還元して炭素系固体燃料の発熱を抑制するに際し、前記炭素系固体燃料に溶媒を加えて所定温度に維持し、前記炭素系固体燃料が浸漬された溶媒に前記ボランを添加して溶解し、前記炭素系固体燃料が浸漬され前記ボランが溶解された溶液を攪拌し、前記カルボキシル基が還元された前記炭素系固体燃料をろ過することを特徴とする。
【0020】
請求項1、請求項2、請求項3に係る本発明では、バイオマス由来の燃料の表面の官能基の状態を変化させて発熱を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の炭素系固体燃料の発熱抑制方法はバイオマスからなる燃料の性状を変えることで発熱を抑制することが可能になる。
【0022】
参考例として、貯炭場に堆積された石炭の表面の官能基を変化させることにより、酸化に寄与する成分を減少させ、発熱を抑制することが可能になり、貯炭場に堆積された石炭の発火に至るまでの時間を長くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の参考例に係る炭素系固体燃料の発熱抑制方法を説明する工程図である。
図2】褐炭の表面の官能基の状況を説明する概念図である。
図3】還元後の官能基の状況を説明するグラフである。
図4】発熱の経時変化を表すグラフである。
図5】温度変化の状況を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
炭素系固体燃料の参考例としての石炭は、有機物が、地熱、地圧により脱水、脱炭酸、脱メタン化され、炭素含有率が上昇して変化したものである。石炭は、炭化の度合いに応じて、炭素(C)の割合(H/C原子数比、O/C原子数比)が異なり、例えば、低品位の褐炭から発熱量が多い亜瀝青炭、瀝青炭等、種類が分けられている。
【0025】
エネルギーセキュリティや燃料費削減の観点から、低品位の石炭(褐炭)の利用が期待されている。褐炭は、有機物が十分に炭化されていない石炭であることから、酸素を含む官能基が多く残っており、貯炭時に、比較的短い時間で酸化発熱して昇温するのが現状であった。
【0026】
本発明の参考例は、褐炭に多く含まれる官能基(主に、COOH基)を還元し、褐炭の表面から酸化に寄与する成分の含有率を減らし、褐炭の発熱を抑制するものである。
【0027】
本発明は、炭素系固体燃料として、バイオマス由来の炭素系固体燃料を適用し、バイオマス由来の炭素系固体燃料の表面の官能基を還元して酸化に寄与する成分の含有率を減少させ、バイオマス由来の炭素系固体燃料の発熱を抑制する。
【0028】
図1には本発明の参考例に係る炭素系固体燃料の発熱抑制方法を説明する工程状況、図2には石炭(褐炭)の表面の官能基の状況を説明する概念、図3には還元の有無による官能基の状況を説明する吸光度と波長との関係を表すグラフ(FTIR結果)、図4には還元の有無による発熱の経時変化を表すグラフ、図5にはCOOH基が還元された石炭(褐炭)が山積みされたと仮定した際の温度の変化の状況を示してある。
【0029】
参考例の発熱抑制方法は、炭素系固体燃料としての石炭(褐炭)に還元剤としてのボラン−テトラヒドロフラン錯体を添加し、褐炭の表面の官能基であるカルボキシル基(COOH基)を還元する。褐炭の表面のカルボキシル基(COOH基)を還元することで、酸化に寄与する成分が減少した状態に褐炭の表面の性状が変化する(酸化に寄与する成分の含有率が減少する)。これにより、褐炭の酸化が抑制されて発熱を抑制することが可能になる。
【0030】
図1に基づいて本発明の参考例に係る炭素系固体燃料の発熱抑制方法を具体的に説明する。
図1(a)に示すように、石炭(褐炭)1が入れられた容器2に溶媒としてテトラヒドロフランを入れる。褐炭1が浸漬された溶媒を所望の温度に保持する。図1(b)に示すように、褐炭1が浸漬されたテトラヒドロフランにボラン−テトラヒドロフラン錯体テトラヒドロフラン溶液を加える(ボラン(BH)が供給される)。これにより、褐炭1にボラン−テトラヒドロフラン錯体が供給される。尚、溶媒としては、還元剤が溶解するものであれば、種々の溶媒を適用することができる。
【0031】
容器2にボラン−テトラヒドロフラン錯体テトラヒドロフラン溶液が供給された後、褐炭1が浸漬された容器2の中身を攪拌する。例えば、30分毎に8回攪拌を行い(4時間)、ボラン−テトラヒドロフラン錯体により褐炭1の表面のカルボキシル基(COOH)を還元反応させる。十分に攪拌を実施した後、図1(c)に示すように、水を容器2内に供給し、還元状態で反応を停止させる。
【0032】
褐炭1をろ過、乾燥し、還元処理された石炭(褐炭)11とされる(還元処理された褐炭11とされる)。即ち、表面のカルボキシル基(COOH基)が還元されて、酸化に寄与する成分が減少した状態に褐炭1の表面の性状が変化する(酸化に寄与する成分の含有率が減少する)。ろ過は、例えば、ガラス繊維のフィルターに溶液と共に褐炭1を通し、褐炭1と溶液を分離し、表面のカルボキシル基(COOH)が還元されて酸化に寄与する成分の含有率が減少した石炭(還元処理された褐炭)11とされる。
【0033】
図2に基づいて還元反応の状況を概念的に説明する。
図2(a)に示すように、褐炭1の表面にはカルボキシル基(COOH)が存在している。図2(b)に示すように、ボラン(BH)が供給されることにより、還元反応が生じ、図2(c)に示すように、褐炭1の表面のカルボキシル基(COOH)が還元されてOH基に変化する(酸化に寄与する成分の含有率が減少する)。
【0034】
図3に基づいて褐炭1と還元処理された褐炭11の官能基の状況を説明する。
図に点線で示す褐炭1(還元されていない褐炭)のカルボキシル基(COOH基)の波長を示す1710cm−1の吸光度に対し、図に実線で示す還元処理された褐炭11のカルボキシル基(COOH基)の波長を示す1710cm−1の吸光度が大幅に減少している。OH基とCH基のピークは還元処理された方が増加している。
【0035】
つまり、褐炭1のカルボキシル基(COOH基)が還元されてOH基に変化したことがわかる。これにより、褐炭11の表面の酸化に寄与する成分が減らされることで、褐炭11の酸化が抑制されて発熱を抑制することが可能になる。
【0036】
図4に基づいて褐炭1と褐炭11の昇温の状況を説明する。
褐炭1及び還元処理された褐炭11をそれぞれ反応器に充填し、N雰囲気の下50℃まで昇温し、褐炭1及び還元処理された褐炭11の温度が安定した後、雰囲気ガスをNから空気に切り替えて酸化反応(発熱)を生じさせる。この時、それぞれの反応器の外部の温度が、褐炭1、還元処理された褐炭11と同じ温度に維持されて放熱がない状態にされることで、例えば、山積みされた状態の内部に存在する状態が模擬される。
【0037】
図に点線で示すように、還元されていない褐炭1は、時刻t1で所定の温度T1に達して、時刻t1以降で急激に温度が上昇する。図に実線で示すように、ボラン(BH)でカルボキシル基(COOH基)が還元された(還元処理された)褐炭11は、時刻t1よりも遅い時刻t2で所定の温度T1に達して、時刻t2以降で急激に温度が上昇する。つまり、褐炭11は褐炭1に比べて酸化(発熱)により昇温する時間が長くなっている。
【0038】
図5に基づいて還元処理された褐炭11の昇温の状況を説明する。
還元処理された褐炭11は、低温酸化により発熱し、水分がある程度蒸発し、発熱と放熱がバランスする温度域(例えば、70℃から80℃の領域)まで上昇し、この温度域で所定の時間、温度が略一定の領域に維持される。水分の蒸発・拡散が時刻taで収束すると、時刻ta以降は急激に温度が上昇して発火に至る。還元処理された褐炭11は、ボラン(BH)によりカルボキシル基(COOH基)が還元され、表面の酸化に寄与する成分が減らされているので、山積みされてから、水分の蒸発・拡散が収束する時刻taまでの時間を大幅に長くすることができる。
【0039】
上述した還元方法を、特に、貯炭場(屋外、屋内、サイロ内)に堆積された石炭(褐炭)に施すことにより、褐炭の表面のカルボキシル基(COOH基)を変化させて(酸化に寄与する成分割合を減少させて)、発熱を抑制することが可能になり、貯炭場に堆積された褐炭の発火に至るまでの時間を長くすることが可能になる。
【0040】
上述した参考例は、炭素系固体燃料として石炭(褐炭)を適用した。本発明の実施例は、石炭(褐炭)に代えて、バイオマス由来の固体燃料を適用する。そして、石炭(褐炭)の表面のカルボキシル基(COOH基)をボラン(BH)により還元する例を挙げて説明したが、バイオマス由来の炭素系固体燃料の官能基を還元剤で還元することで、酸化に寄与する成分割合を減少させることができる。
【0041】
官能基としては、アルデヒド基、ケトン、エーテル、メチル基、メトキシ基、メチレン基、メチン基が適用される。
【0042】
また、還元剤(還元方法)としては、水素化合物還元剤、電子移動還元剤、水素化触媒、ケトンあるいはアルデヒドからアルコールへの還元剤、ケトンからアルカンまたはアルケンへの還元剤を適用することができる。
【0043】
以下、還元剤の例を示す。還元剤としては、炭素系固体燃料の表面の官能基を還元することができれば、これらに限定されるものではない。
【0044】
水素化合物還元剤の例
水素化ホウ素リチウム、トリエチル水素化ホウ素リチウム、トリ−sec−ブチル水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、シアノトリヒドロホウ酸ナトリウム、トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素テトラ−n−ブチルアンモニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリ−tert−ブトキシアルミニウムリチウム、水素化ビス−(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、ジボラン、ジメチルスルフィドボラン錯体、ジシアミルボラン、アラン、水素化ジイチソブチルアルミニウム
【0045】
電子移動還元剤の例
アンモニア中のリチウム、リチウムナフタレニド、ナトリウムアマルガム
水素化触媒の例
ニッケル、パラジウム炭素
ケトンあるいはアルデヒドからアルコールへの還元剤の例
L−セレクトリド、ヨウ化サマリウム、水素化トリアセトキシホウ素テトラメチルアンモニウム、R−アルパインボラン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’ビナフチル
【0046】
ケトンからアルカンまたはアルケンへの還元の例
水酸化シアノホウ素ナトリウムによる還元、亜鉛アマルガムによる還元、トリエチルシランと三フッ化ホウ素エーテル錯体を用いたイオン的水素化反応、ブチルリチウムやメチルリチウムによるShapiro反応
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、炭素系固体燃料の発熱抑制方法の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 石炭(褐炭)
11 還元処理された石炭(褐炭)
2 容器
図1
図2
図3
図4
図5