(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記式(I)のアミンが、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンからなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
ベンジルアルコール、スチレン化フェノール、エトキシ化フェノール、フェノール基を含む芳香族炭化水素樹脂、及びカルダノールからなる群から選択される少なくとも1つの希釈剤を含む、請求項4又は5に記載のプライマー。
硬化剤コンポーネントが、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール及びドデシルフェノールからなる群から選択されるフェノール化合物を0.1重量%未満で含む、請求項4〜6のいずれか一項に記載のプライマー。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の主題は、式(I)の少なくとも1つのアミンと、式(II)の少なくとも1つのカルボニル化合物及び水素:
NH
2−CH
2−A−CH
2−NH
2 (I)
【化1】
の反応から得られる少なくとも1つの反応生成物を含むエポキシ樹脂組成物の、低温硬化性プライマー又は接着剤としての使用であり、
式中、
Aは、フェニレンラジカル又はシクロヘキシレンラジカルであり、
Rは、水素ラジカル又は1〜8個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、
mは、0又は1であり、
Xは、ヒドロキシルラジカル又はメチルラジカル又はメトキシラジカルであり、
ここで、式(I)のアミンと式(II)のカルボニル化合物のモル比は、1/0.7〜1/1.2の範囲である。
【0015】
「プライマー」は、基材又は基層に二次元的に適用され、その後別の層で被覆されることによって、プライムコート又は下塗りとして使用される硬化性組成物である。硬化すると、プライマーは、次の層の基材又は基層を用意する膜を形成して、タイコートとして役立つ。適用されたプライマーの膜の厚さは、一般に平均0.5mm未満である。
【0016】
「低温硬化」は、周囲温度、より具体的には、5〜35℃の範囲で使用及び硬化することができるプライマー又は接着剤を指す。
【0017】
ポリアミン、ポリオール又はポリエポキシドのように、「ポリ」で始まる物質名は、公式に見て、分子毎に、その名称にある2つ以上の官能基を形式的に含有する物質を指す。
【0018】
「1級アミノ基」は、単一の有機ラジカルと結合して、2つの水素原子を担持するアミノ基であり;「2級アミノ基」は、合わせて環の一部にもなり得る2つの有機ラジカルと結合して、1つの水素原子を担持するアミノ基であり;「3級アミノ基」は、ペア若しくはトリオとして1つ又は複数の環の一部にもなり得る3つの有機ラジカルと結合して、水素原子を担持しないアミノ基である。
【0019】
「アミン水素」は、1級及び2級アミノ基の水素原子を指す。
【0020】
「アミン水素当量」は、1モル当量のアミン水素を含むアミン又はアミン含有組成物の重量を指す。
【0021】
「希釈剤」は、エポキシ樹脂中に可溶性であり、樹脂の粘度を低下させ、硬化の過程でエポキシドポリマーに化学的に組み込まれない物質である。
【0022】
「粘度」は、絶対粘度又はずり粘度を指し、これは、せん断応力とせん断速度(流速勾配)の比によって定義され、発明の説明及び実施例に記載するように決定される。
【0024】
エポキシ樹脂組成物は、周囲温度、好ましくは5〜35℃、より好ましくは10〜30℃の範囲の温度で適用し、硬化させるのが好ましい。これは、建設現場での屋外用途に、及び暖房されていない工業施設ホール内で特に有利である。
【0025】
ラジカルAは、1,3−又は1,4−位で置換されているのが好ましい。従って、Aは、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,3−シクロヘキシレン又は1,4−シクロヘキシレンである。式(I)のこれらのアミンは、とりわけ容易に接触可能であり、特に反応性である。
【0026】
より好ましくは、Aは、1,3−フェニレン又は1,3−シクロヘキシレンである。式(I)のこれらのアミンによって、特に低粘度の反応生成物が得られる。
【0027】
式(I)のアミンは、好ましくは、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン及び1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンからなる群選択される。
【0028】
好ましくは、Rは、水素ラジカル又は1〜4個の炭素原子を有するアルキルラジカル、より具体的にはメチル、エチル若しくはイソプロピルである。
【0029】
より好ましくは、Rは、水素ラジカルであるか、又はメチルラジカルである。
【0030】
最も好ましくは、Rは、水素ラジカルである。
【0031】
好ましくは、mは、0である。式(II)のこれらのカルボニル化合物によって、特に低粘度の反応生成物が得られる。
【0032】
式(II)の好ましいカルボニル化合物は、2−ヒドロキシベンズアルデヒド(サリチルアルデヒド)、2−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド、2’−ヒドロキシアセトフェノン及び2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンである。これらのカルボニル化合物は、室温で液体であるか、又は60℃未満の融点を有する、低温融解のいずれかであるため、容易に扱うことができる。
【0033】
特に好ましくは、式(II)のカルボニル化合物は、サリチルアルデヒド及び2’−ヒドロキシアセトフェノンからなる群から選択される。これらのカルボニル化合物は、容易に取得可能で、室温で液体であるため、これによって、とりわけ低粘度で、特に調製しやすい反応生成物が得られる。
【0034】
最も好ましいのはサリチルアルデヒドである。この化合物を用いて、特に低粘度且つ反応性の反応生成物が得られる。
【0035】
式(I)のアミンと式(II)のカルボニル化合物のモル比は、好ましくは1/0.8〜1/1.1、より具体的には1/0.9〜1/1.1の範囲である。このモル比で、得られる反応生成物は、とりわけ優れた希釈剤効果で特に反応性である。
【0036】
少なくとも1つの式(I)のアミンと少なくとも1つの式(II)のカルボニル化合物及び水素との反応は、還元的アルキル化とも呼ばれる。これは、分子水素を用いて直接か、又は他の試薬からの水素転移により間接的に起こり得る。分子水素の使用の方が好ましい。反応条件は、式(I)のアミンの大部分が、モノアルキル化しかされず、式(II)のカルボニル化合物の芳香環が、水素化されないように選択するのが有利である。5〜100バールの水素ガス圧力下、40〜120℃、より具体的には60〜100℃の温度で実施するのが好ましい。触媒としては、パラジウム炭素(Pd/C)、白金炭素(Pt/C)、アダムス触媒又はラネーニッケル、より具体的にはパラジウム炭素が好ましい。
【0037】
反応は、溶剤なしで、又は好ましくは、例えば、エタノール若しくはイソプロパノールなどの溶媒中で実施するのが好ましい。反応後、存在する全ての溶媒を、より具体的には蒸留によって除去するのが好ましい。
【0038】
この反応からの反応生成物は、典型的に、30〜80重量%の範囲の式(III)のアミンを含有する。
【化2】
【0039】
式(III)において、A、R、m及びXは、既に記載した定義を有する。
【0040】
反応生成物のさらに別の成分は、主として式(I)のアミンとポリアルキル化生成物、より具体的には、式:
【化3】
のN,N’−ジアルキル化生成物から構成される。
【0041】
エポキシ樹脂組成物は、好ましくは、以下:
− 少なくとも1つのエポキシ樹脂を含む樹脂コンポーネント及び
− 前述した通りの、少なくとも1つの式(I)のアミンと少なくとも1つの式(II)のカルボニル化合物及び水素との反応生成物を含む硬化剤コンポーネント
を含む。
【0042】
樹脂コンポーネント及び硬化剤コンポーネントは、典型的に、個別の容器内に存在し、各々それ自体で貯蔵安定性である。これらは、適用の直前まで互いに混合されず、適用の時点で、その反応性基が互いと接触して組成物が硬化する。
【0043】
慣用技術のエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂として好適である。これらは、例えば、対応するオレフィンの酸化、又はエピクロロヒドリンと対応するポリオール、ポリフェノール若しくはアミンとの反応からなどの公知の方法で取得される。
【0044】
エポキシ樹脂として特に好適なのは、液体樹脂と呼ばれるものである。これらは、25℃未満のガラス遷移温度を有する。
【0045】
同様に、固体樹脂と呼ばれるものもエポキシ樹脂として使用可能であり、これらは、25℃を超えるガラス遷移温度を有し、25℃で注ぎ込み可能な粉末に粉砕することができる。
【0046】
好適なエポキシ樹脂は、特に、芳香族エポキシ樹脂、より具体的には以下のグリシジル化生成物である:
− ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールA/F、ここで、Aは、アセトンを表し、Fはホルムアルデヒドを表し、これらは、上記ビスフェノールの調製における反応体として作用する。ビスフェノールFの場合、より具体的には2,4’−又は2,2’−ヒドロキシフェニルメタンに由来する位置異性体が存在し得る;
− レゾルシノール、ハイドロキノン若しくはピロカテコールなどのジヒドロキシベンゼン誘導体;
− ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノール−TMC)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスフェノールP)、1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(DOD)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフト−1−イル)メタン、ビス(4−ヒドロキシナフト−1−イル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル若しくはビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどの別のビスフェノール又はポリフェノール;
− フェノールノボラック若しくはクレゾールノボラックなどの、酸性条件下で得られるフェノールとホルムアルデヒドの縮合生成物;
− アニリン、トルイジン、4−アミノフェノール、4,4’−メチレンジフェニルジアミン、4,4’−メチレンジフェニルジフェニルジ−(N−メチル)アミン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンP)若しくは4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンM)などの芳香族アミン。
【0047】
さらに別の好適なエポキシ樹脂は、脂肪族又は脂環式ポリエポキシド、より具体的には以下のものである:
− 飽和又は不飽和、分岐状又は非分岐状、環状又は開鎖2、3若しくは4官能性C
2〜C
30アルコールのグリシジルエーテル、特にエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ポリプロピレングリコール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヒマシ油、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール若しくはグリセロール、又はアルコキシル化グリセロール若しくはアルコキシル化トリメチロールプロパン;
− 水添ビスフェノールA、F若しくはA/F液体樹脂、又は水添ビスフェノールA、F若しくはA/Fのグリシジル化生成物;
− シアヌル酸トリグリシジル若しくはイソシアヌル酸トリグリシジルなどのアミド又は複素環式窒素塩基のN−グリシジル誘導体、又はエピクロロヒドリンとヒダントインの反応生成物;
− 特に、ビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロドデカジエン、シクロドデカトリエン、イソプレン、1,5−ヘキサジエン、ブタジエン、ポリブタジエン若しくはジビニルベンゼンなどのオレフィンの酸化からのエポキシ樹脂。
【0048】
樹脂コンポーネント中の好ましいエポキシ樹脂は、ビスフェノール、より具体的には、市販されている種類の、例えば、Dow、Huntsman若しくはMomentive製のビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテルを基材とする液体樹脂である。これらの液体樹脂は、エポキシ樹脂について低粘度を有し、硬化状態では、コーティングとして優れた特性を呈示する。これらは、固体ビスフェノールA樹脂又はフェノールノボラックの留分を含有し得る。
【0049】
樹脂コンポーネントは、反応性希釈剤、より具体的には、少なくとも1つのエポキシド基を有する反応性希釈剤を含んでもよい。反応性希釈剤として特に好適なものは、1価若しくは多価フェノール又は脂肪族若しくは脂環式アルコールのグリシジルエーテル、例えば、特に、前述したジ−若しくはポリオールのポリグリシジルエーテル、又は、さらに、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、グアイアコールグリシジルエーテル、4−メトキシフェニルグリシジルエーテル、p−n−ブチルフェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、4−ノニルフェニルグリシジルエーテル、4−ドデシルフェニルグリシジルエーテル、カルダノールグリシジルエーテル、ベルチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、又は、特に、C
8〜C
10アルキルグリシジルエーテル若しくはC
12〜C
14アルキルグリシジルエーテルなどの天然アルコールのグリシジルエーテルである。エポキシ樹脂に対する反応性希釈剤の添加は、粘度を低下させる、及び/又はガラス遷移温度及び/又は機械的パラメータを低下させる効果を有する。
【0050】
エポキシ樹脂組成物は、好ましくは、少なくとも1つの希釈剤及び/又は少なくとも1つの促進剤及び/又は少なくとも1つの他のアミンをさらに含む。
【0051】
この他のアミンは、特に、式(III)のアミンではなく、反応生成物に含まれる副産物若しくは反応体でもない。
【0052】
希釈剤として好適なものとして、より具体的には、以下のものがある:キシレン、2−メトキシエタノール、ジメトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチリルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、N−メチルピロリドン、ジフェニルメタン、ジイソプロピルナフタレン、例えば、Solvesso(商標)グレード(Exxon製)などの石油留分、tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールなどのアルキルフェノール又は例えばCardolite(商標)NC−700若しくはCardolite(商標)NX−2026(いずれもCardolite製)として入手可能な、カルダノール(カシューナッツシェル油由来、主成分として、3−(ペンタデカ−8−エニル)フェノール、3−(ペンタデカ−8,11−ジエニル)フェノール及び3−(ペンタデカ−8,11,14−トリエニル)フェノールを含む)、スチレン化フェノール、ビスフェノール、芳香族炭化水素樹脂、特にフェノール基を含むもの、アルコキシル化フェノール、特にエトキシ化若しくはプロポキシル化フェノール、より具体的には2−フェノキシエタノール、アジピン酸塩、セバシン酸塩、フタル酸塩、安息香酸塩、有機リン酸エステル若しくはスルホン酸エステル又はスルホンアミド。
【0053】
好ましい希釈剤は、ベンジルアルコール、スチレン化フェノール、エトキシ化フェノール、又はフェノール基を含む芳香族炭水化物樹脂、より具体的には、Novares(商標)グレードLS500、LX200、LA300若しくはLA700(Ruetgers製)、又はCardanolである。
【0054】
1つの好ましい実施形態では、エポキシ樹脂組成物は、ベンジルアルコール、スチレン化フェノール、エトキシ化フェノール、フェノール基を含む芳香族炭化水素樹脂、及びカルダノールからなる群から選択される少なくとも1つの希釈剤を含む。この種のエポキシ樹脂組成物は、プライマーとしての使用に特に好適である。
【0055】
2つ以上の希釈剤の組合せを使用するのが有利となり得る。
【0056】
好適な促進剤は、アミノ基とエポキシド基との反応を促進する物質であり、より具体的には、酸又は酸に加水分解することができる化合物、より具体的には、酢酸、安息香酸、サリチル酸、2−ニトロ安息香酸、乳酸などの有機カルボン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸若しくは4−ドデシルベンゼンスルホン酸、スルホン酸エステルなどの有機スルホン酸、特にリン酸などの他の有機若しくは無機酸、又は上に挙げた酸及び酸エステルの混合物;特に、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミンなどの3級アミン、特に、N−メチルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール若しくは1,2−ジメチルイミダゾールなどのイミダゾール、このような3級アミン、4級アンモニウム塩の塩、例えば、特に、ベンジルトリメチルアンモニウム塩化物、特に、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンなどのアミジン、特に、1,1,3,3−テトラメチルグアニジンなどのグアニジン、フェノール、特にビスフェノール、フェノール樹脂、又は特に、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール又はフェノールのポリマーなどの3級アミノ基含有マンニッヒ塩基、ホルムアルデヒド及びN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、特に、亜リン酸ジフェニル若しくはトリフェニルなどの亜リン酸塩、又はメルカプト基を含む化合物である。好ましい促進剤は、酸、3級アミン、又は3級アミノ基を含むマンニッヒ塩基である。
【0057】
最も好ましいのは、サリチル酸又は2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール又はこれらの組合せである。
【0058】
他のアミンは、硬化剤コンポーネントの1成分であるのが好ましい。他のアミンとして好適なのは、エポキシド基に対して反応性の少なくとも2つ、より具体的には、少なくとも3つのアミン水素を有するポリアミン、より具体的には以下のポリアミンである:
− 1級アミノ基を有するポリアミン、特にN,N−ジメチルアミノ−プロピルアミン(DMAPA)又はN−(3−ジメチルアミノプロピル)−1,3−プロピレンジアミン(DMAPAPA);
− 1つ又は2つの2級アミノ基を有するポリアミン、特に、1級脂肪族ポリアミンと式(III)のものではないアルデヒド若しくはケトンとの還元的アルキル化からの生成物、例えば、特に、N−ベンジル−1,2−エタンジアミン、N,N’−ジベンジル−1,2−エタンジアミン、N
1−ベンジル−1,2−プロパンジアミン若しくはN
2−ベンジル−1,2−プロパンジアミン又はこれらの異性体のいずれか所望の混合物、N,N’−ジベンジル−1,2−プロパンジアミン、N−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、N,N’−ジベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、N−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N,N’−ジベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−2−エチルヘキシル−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、N,N’−ビス(2−エチルヘキシル)−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、又は部分的スチレン化ポリアミン、例えば、特に、スチレン化1,3−ビス(アミノ−メチル)ベンゼン(三菱ガス化学製のGaskamine(商標)240として入手可能);
− 脂肪族、脂環式若しくはアリール脂肪族1級ジアミン、特に、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ペンタンジアミン(DAMP)、1,5−ペンタンジアミン、1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(MPMD)、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン(C11−ネオジアミン)、1,6−ヘキサンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2(4),4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,2−、1,3−若しくは1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(H
12−MDA)、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−エチル−5−メチル−シクロヘキシル)メタン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン若しくはIPDA)、2−若しくは4−メチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン又はこれらの混合物、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン、1,4−ジアミノ−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、1,8−メンタンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3−ビス(アミノ−メチル)ベンゼン(MXDA)又は1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン;
− エーテル基を含む脂肪族1級ジ−若しくはトリアミン、特に、ビス(2−アミノエチル)エーテル、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン、4,7−ジオキサデカン−2,9−ジアミン、4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン、5,8−ジオキサドデカン−3,10−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン又はこれらのジアミンの高級オリゴマー、ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン又はその他のポリテトラヒドロフランジアミン、1,4−ジメチロール−シクロヘキサンのプロポキシル化及び続くアミノ化からの脂環式エーテル基含有ジアミン(特に、Jeffamine(商標)RFD−270(Huntsman製)として入手可能)、又は典型的に、ポリオキシアルキレンジ−若しくはトリオールのアミノ化からの生成物であり、例えば、商品名Jeffamine(商標)(Huntsman製)、商品名Polyetheramine(BASF製)若しくは商品名PC Amine(商標)(Nitroil製)で入手可能なポリオキシアルキレンジ−若しくはトリアミン。特に好適なポリオキシアルキレンジ−若しくはトリアミンは、以下のものである:Jeffamine(商標)D−230、Jeffamine(商標)D−400、Jeffamine(商標)D−2000、Jeffamine(商標)EDR−104、Jeffamine(商標)EDR−148、Jeffamine(商標)EDR−176、Jeffamine(商標)T−403、Jeffamine(商標)T−3000、Jeffamine(商標)T−5000、又はBASF若しくはNitroil製の対応するアミン;
− 2級アミノ基を含み、且つ2つの1級脂肪族アミノ基を有するポリアミン、例えば、特に、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(BHMT)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレン−ペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)又は線状ポリエチレンアミンの高級相同体、例えば、5〜7個のエチレンアミン単位を有するポリエチレンポリアミン(「高級エチレンポリアミン」、HEPAと呼ばれる)、少なくとも2個の1級アミノ基を有する1級ジ−及びポリアミンの多重シアノエチル化若しくはシアノブチル化及び続く水素化からの生成物、例えば、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン(N3−アミン)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(N4−アミン)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−1,4−ジアミノブタン、N5−(3−アミノプロピル)−2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、N3−(3−アミノプロピル)−1,3−ペンタンジアミン、N5−(3−アミノ−1−エチルプロピル)−2−メチル−1,5−ペンタンジアミン若しくはN,N’−ビス(3−アミノ−1−エチルプロピル)−2−メチル−1,5−ペンタンジアミン;
− 脂肪族、脂環式若しくはアリール脂肪族1級トリアミン、特に4−アミノメチル−1,8−オクタンジアミン、1,3,5−トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(アミノメチル)シクロヘキサン、トリス(2−アミノエチル)アミン、トリス(2−アミノプロピル)アミン若しくはトリス(3−アミノプロピル)アミン;
− 芳香族ポリアミン、例えば、特に、m−及びp−フェニレンジアミン、4,4’−、2,4’及び/又は2,2’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(MOCA)、2,4−及び/又は2,6−トリレンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,4−及び−2,6−トリレンジアミンの混合物(AlbermarleからEthacure(商標)300として入手可能)、3,5−ジエチル−2,4−及び−2,6−トリレンジアミンの混合物(DETDA、AlbermarleからEthacure(商標)100として入手可能)、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(M−DEA)、3,3’,5,5’−テトラエチル−2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(M−CDEA)、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(M−MIPA)、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(M−DIPA)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、4−アミノ−N−(4−アミノフェニル)ベンゼンスルホンアミド、5,5’−メチレンジアントラニル酸、5,5’−メチレンジアントラニル酸ジメチル、1,3−プロピレンビス(4−アミノベンゾエート)、1,4−ブチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシドビス(4−アミノベンゾエート)(Air ProductsからVersalink(商標)として入手可能)、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、2−メチルプロピル−4−クロロ−3,5−ジアミノベンゾエート若しくはtert−ブチル4−クロロ−3,5−ジアミノベンゾエート;
− ポリアミドアミン、特に、1若しくは多塩基カルボン酸、及び/又はそのエステル若しくは無水物、とりわけジメチル脂肪酸と、化学量論過剰量で使用される脂肪族、脂環式若しくは芳香族ポリアミンとの反応生成物、より具体的には、ポリアルキレンアミン、例えば、DETA若しくはTETA、より具体的には、市販されているポリアミドアミンVersamid(商標)100、125,140若しくは150(Cognis製)、Aradur(商標)223、250若しくは848(Huntsman製)、Euretek(商標)3607若しくは530(Huntsman製)若しくはBeckopox(商標)EH 651、EH 654、EH 655、EH 661若しくはEH 663(Cytec製);
− ポリアミンとエポキシド若しくはエポキシ樹脂の付加物、特にモル比約2/1でのジエポキシドとの付加物、若しくはモル比約1/1でのモノエポキシドとの付加物、又はポリアミンとエピクロロヒドリンの反応生成物、より具体的には、Gaskamine(商標)328(三菱ガス化学製)として市販されている1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼンの反応生成物。
【0059】
硬化剤が、2つ以上の他のアミンを含んでいれば、有利となり得る。
【0060】
他のアミンとして、式(III)のものではない1級及び2級アミノ基を有するポリアミン、特に、N−ベンジル−1,2−エタンジアミン、N
1−ベンジル−1,2−プロパンジアミン若しくはN
2−ベンジル−1,2−プロパンジアミン又はこれらの異性体のいずれか所望の混合物、N−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン若しくはN−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが好ましい。この種のアミンは、高い希釈剤効果を有する。
【0061】
他のアミンとして好ましいのはまた、少なくとも120g/molのモル量を有するポリアミン、好ましくはTMD、H
12−MDA、IPDA、2−若しくは4−メチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン又はそれらの混合物、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、NBDA、MXDA、BHMT、TETA、TEPA、PEHA、DPTA若しくはN4−アミンである。この種のアミンは、過剰に揮発性になることなく、高い希釈剤効果及び高い反応性を有する。
【0062】
加えて、DMAPA又はDMAPAPAも他のアミンとして好ましい。これらのアミンは、高い希釈剤効果及び高い反応性を有する。
【0063】
さらには、炭素原子2〜12の少なくとも1つのポリアミンと少なくとも1つのエポキシドの付加物で、少なくとも3個のアミン水素を有するものも他のアミンとして好ましい。
【0064】
このような付加物のエポキシドとして好ましいのは、モノエポキシド、特に、芳香族モノエポキシド、より具体的には、クレジルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル又はカルダノールのグリシジルエーテルである。クレジルグリシジルエーテルが特に好ましい。クレジルグリシジルエーテルとして好適なものとして、異性体クレジルグリシジルエーテル又はこれらの混合物の全て、特に市販されている製品、例えば、とりわけAraldite(商標)DY−K(Huntsman製)、Polypox(商標)R6(Dow製)、HeloxyTM KR(Hexion製)又はErisys(商標)GE−10(CVC Spec.Chem.製)がある。
【0065】
加えて、このような付加物のエポキシドとして好ましいのは、ジエポキシド、特に芳香族ジエポキシド、より具体的にはビスフェノールA若しくはビスフェノールF若しくはビスフェノールA/Fジグリシジルエーテル又はレゾルシノールジグリシジルエーテル、特に市販されている液体樹脂である。
【0066】
特に好ましい他のアミンは、N
1−ベンジル−1,2−プロパンジアミン若しくはN
2−ベンジル−1,2−プロパンジアミン又はこれらの異性体のいずれか所望の混合物である。別の特に好ましい他のアミンは、N−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン又はN−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである。
【0067】
硬化剤コンポーネントは、エポキシド基に対して反応性のさらなる物質を含んでもよく、例として、ヘキシルアミン若しくはベンジルアミンなどのモノアミン、又はメルカプト基を含む化合物、より具体的には、以下のものがある:
− 商標名Thiokol(商標)(Morton Thikol製;SPI Supplies、又はToray Fine Chemicalsから入手可能)、より具体的にはタイプLP−3、LP−33、LP−980、LP−23、LP−55、LP−56、LP−12、LP−31、LP−32若しくはLP−2で知られ;さらには、商標名Thioplast(商標)(Akzo Nobel製)、より具体的にはタイプG10、G112、G131、G1、G12、G21、G22、G44若しくはG4で知られる液体メルカプタン終端ポリスルフィドポリマー;
− 例えば、ポリオキシアルキレンジ若しくは−トリオールと、エピクロロヒドリン又はアルキレンオキシドのいずれか、続いて硫化水素ナトリウムとの反応によって取得可能なメルカプタン終端ポリオキシアルキレンエーテル;
− 商標名Capcure(商標)(Cognis製)、特にタイプWR−8、LOF又は3−800で知られる、ポリオキシアルキレン誘導体の形態のメルカプタン終端化合物;
− チオカルボン酸のポリエステル、例えば、テトラメルカプト酢酸ペンタエリスリトール、トリメルカプト酢酸トリメチロールプロパン、ジメルカプト酢酸グリコール、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオン酸)、トリメチロール−プロパントリ(3−メルカプトプロピオン酸)若しくはグリコールジ−(3−メルカプトプロピオン酸)、又はチオグリコール酸又は2−若しくは3−メルカプトプロピオン酸などのチオカルボン酸との、ポリオキシアルキレンジオール若しくは−チオール、エトキシ化トリメチロールプロパン又はポリエステルジオールのエステル化の生成物;あるいは
− メルカプト基を含む化合物、例えば、とりわけ2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,2’−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール(トリエチレングリコールジメルカプタン)又はエタンジオールなど。
【0068】
硬化剤コンポーネントは、好ましくは、エポキシドポリマーに化学的に組み込むことができない低レベルの毒性フェノール化合物を含有し、より具体的には、これらの化合物は、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール及びドデシルフェノールからなる群から選択される。これは、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より具体的には0.1重量%未満のこうしたフェノール化合物を含有する。最も好ましくは、硬化剤コンポーネントは、こうしたフェノール化合物を全く含まない。毒物学的見地から、この種のエポキシ樹脂組成物は、特に有利である。
【0069】
硬化剤コンポーネントは、120g/mol未満の分子量を有する低レベルのアミンを含むのがさらに好ましい。これは、好ましくは、分子量が120g/mol未満のアミンを2重量%未満、特に1重量%未満含有する。毒物学及び臭気の見地から、この種のエポキシ樹脂組成物は、特に有利である。
【0070】
エポキシ樹脂組成物中の記載の反応生成物の量は、硬化剤コンポーネント中の全アミン水素の30%〜100%、好ましくは50%〜100%、より具体的には70%〜100%が、反応生成物に由来するような量であるのが好ましい。
【0071】
エポキシ樹脂組成物は、任意選択で、他の成分、特にエポキシ樹脂組成物に通常使用される助剤及び添加剤を含み、例として以下のものがある:
− 溶媒、希釈剤、又は増量剤、例えば、特に前述の希釈剤;
− 反応性希釈剤、特に前述したように、エポキシド基を含む反応性希釈剤、ダイズ油、アマニ油若しくはパーム核油などのエポキシド化天然油、又はアセトアセテート基を含有する化合物、特にアセトアセチル化ポリオール、ブチロラクトン、炭酸塩、アルデヒド、さらには、反応性基を含有するイソシアネート若しくはシリコーン;
− ポリマー、特にポリアミド、ポリスルフィド、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PU)、カルボキシル基を有するポリマー、ポリアミド、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー、特にエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル若しくは(メト)アクリル酸アルキルを含む群から選択される不飽和モノマーのホモ−若しくはコポリマー、特にクロロスルホン化ポリエチレン若しくはフッ素含有ポリマー、スルホンアミド修飾メラミン又は精製モンタンワックス;
− 無機若しくは有機充填剤、特に脂肪酸、より具体的にはステアリン酸塩の被覆を含む、若しくは含まない重質炭酸カルシウム又は沈殿性炭酸カルシウム、バライト(重晶石)、タルク、粉末石英、ケイ砂、黒雲母、ドロマイト、珪灰石、カオリン、雲母(ケイ酸アルミニウムカリウム)、分子篩、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、セメント、石膏、フライアッシュ、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛、銀若しくは鋼鉄などの金属粉、PCV粉末又は中空ビーズ;
− 繊維、特にガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、又はポリアミド繊維若しくはポリエチレン繊維などのポリマー繊維;
− 顔料、特に二酸化チタン及び/又は酸化鉄;
− 前述の促進剤;
− レオロジー改質剤、特に増粘剤又は沈降防止剤;
− 接着促進剤、特にオルガノアルコキシシラン;
− 酸化、熱、光又はUV放射に対する安定剤;
− 難燃剤、特に水酸化アルミニウム(ATH)、二水酸化マグネシウム(MDH)、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ホウ酸(B(OH)
3)、ホウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ホウ酸メラミン、シアヌル酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリ臭化ジフェニルオキシド若しくはジフェニルエーテル、リン酸塩、例えば、特にジフェニルクレジルリン酸塩、レゾルシノールビス(リン酸ジフェニル)、レゾルシノール二リン酸オリゴマー、テトラフェニルレゾルシノールジホスホン酸塩、エチレンジアミン二リン酸塩若しくはビスフェノールAビス(リン酸ジフェニル)、トリ(クロロエチル)リン酸塩、トリス(クロロプロピル)リン酸塩若しくはトリス(ジクロロプロピル)リン酸塩、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]リン酸塩、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールAのビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、臭素化エポキシ樹脂、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ジブロモノルボルナンジカルボキシミド)、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌル酸塩、ジブロモフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン又は塩素化パラフィン;
− 界面活性剤、特に湿潤剤、流れ調整剤、脱気剤又は消泡剤;
− 殺生物剤、例えば、殺藻剤(algicide)、殺真菌剤又は真菌成長阻害剤など。
【0072】
接着剤として使用する場合、エポキシ樹脂組成物は、充填剤及び/又は顔料及び/又は促進剤を含むのが好ましい。
【0073】
エポキシ樹脂組成物中のエポキシド基に対して反応性の基の数と、エポキシド基の数の比は、好ましくは0.5〜1.5の範囲、より具体的には0.8〜1.2の範囲である。
【0074】
エポキシ樹脂組成物の各コンポーネントは、それぞれ別個の容器に保存される。エポキシ樹脂組成物の他の成分が、樹脂コンポーネント又は硬化剤コンポーネントの一部として存在してもよく、その場合、エポキシド基に対して反応性の他の成分は、好ましくは硬化剤コンポーネントの一部である。樹脂コンポーネント又は硬化剤コンポーネントを保存するための好適な容器は、特に、バレル、ホブボック(hobbock)、小袋、バケツ、缶、カートリッジ、チューブ又は瓶である。これらのコンポーネントは保存が可能であり、これは、使用する前に、数か月から1年以上、それぞれのコンポーネントの特性を使用に関与するほどの改変を被らずにそれらが保存され得ることを意味する。エポキシ樹脂組成物を使用する際には、樹脂コンポーネントと硬化剤コンポーネントを、適用の直前又は適用中に互いに混ぜ合わせる。2つのコンポーネントの混合比は、好ましくは、エポキシド基に対して反応性である硬化剤コンポーネントの基が、前述したように、樹脂コンポーネントのエポキシド基に対して適切な比となるように選択される。重量部で表すと、樹脂コンポーネントと硬化剤コンポーネントとの混合比は、通常、1:10〜10:1の範囲である。
【0075】
これらのコンポーネントは、好適な方法によって混合する。混合は、連続的、又はバッチ式のいずれで実施してもよい。適用前に混合を行う場合には、各コンポーネントの混合と適用との間に時間が経過しすぎないことを確実にすべきである。というのは、そうでなければ、例えば、接着の形成が遅れる、又は不完全になるといった不良がもたらされるおそれがあるからである。混合は、特に周囲温度で行い、これは、典型的に約5℃〜50℃、好ましくは約10℃〜30℃の範囲である。
【0076】
これらのコンポーネントの混合と同時に、化学反応による硬化が開始する。この反応では、エポキシド基は、アミノアルコール単位をもたらす開環反応において、アミン水素を担持するアミノ基、並びに任意選択でエポキシド基に対して反応性の他の基と反応する。他のエポキシド基は、アニオン重合において、エポキシド基同士で反応する。これらの反応の結果、組成物は硬化して、架橋した材料を形成する。当業者は、1級アミノ基が、エポキシド基に対して二官能性であること、従って、1つの1級アミノ基が、エポキシド基に対して反応性の2つの基として数えられることを認識している。
【0077】
硬化は、特に周囲温度で起きる。典型的に、一般的な条件下で硬化の大部分が完了するまで、硬化は数時間から数日に及ぶ。その際、重要な影響要因として、温度、化学量論組成、及び促進剤の存在が挙げられる。
【0078】
硬化したプライマー又は接着剤は、エポキシ樹脂組成物の硬化から得られる。
【0079】
エポキシ樹脂組成物を少なくとも1つの基材に適用するが、基材は、以下に挙げるものが特に好適である:
− ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、セメントスクリード、無水物スクリード、マグネシアスクリード、レンガ、タイル、石膏又は花崗岩若しくは大理石などの天然石;
− アルミニウム、鉄、鋼若しくは非鉄金属などの金属又は合金、又は亜鉛めっき若しくはクロムめっき金属などの表面補強金属又は合金;
− 木材、フェノール、メラミン若しくはエポキシ樹脂などの樹脂によって接着した木性材料、又は他のポリマー複合材;
− プラスチック、特に硬質及び軟質PVC、ABS、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、PMMA、エポキシ樹脂、PU、POM、PO、PE、PP、EPM若しくはEPDM、プラスチックは、任意選択でプラズマ、コロナ若しくはフレーム処理により表面処理されている;
− 繊維強化プラスチック、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GRP)又はシート成形コンパウンド(SMC);
− 粉体被覆金属又は合金などの被覆基材;
− 塗料又はワニス。
【0080】
必要に応じて、基材は、エポキシ樹脂組成物の適用前に前処理してもよい。こうした前処理として、特に、物理洗浄法及び/又は化学洗浄法、例えば、研磨、サンドブラスト、ショットブラスト、ブラシ掛け及び/又はブローイング(blowing)、さらには、洗浄剤若しくは溶剤による処理、又は接着促進剤、接着促進剤溶液若しくはプライマーの適用が挙げられる。
【0081】
開気孔状態で、セメントスキン(cement skin)のないほぼダストフリー表面を呈するように、多孔性無機基材を前処理するのが好ましい。
【0082】
本発明のさらに別の主題は、以下:
− 前述したように、少なくとも1つのエポキシ樹脂を含む樹脂コンポーネント及び
− 前述したように、少なくとも1つの式(I)のアミンと少なくとも1つの式(II)のカルボニル化合物及び水素との反応から得られる少なくとも1つの反応生成物を含む硬化剤コンポーネント
を含むプライマーである。
【0083】
プライマーは、より具体的には、20℃で5Pa・s以下の粘度を有する。20℃での粘度は、好ましくは0.3〜4Pa・sであり、より具体的には0.5〜3Pa・sである。
【0084】
粘度は、プライマーの各コンポーネントを十分に混合し、攪拌又は振盪して、せん断速度10s
−1、20℃に温度調節したコーン/プレート粘度計にて、円錐直径50mm、円錐角度1°、及び円錐の頂点とプレート間の距離0.05mmで、混合から5分後の粘度を測定することによって決定する。
【0085】
これによって、プライマーは、基材の孔がプライマーで充填され、塞がれる上で十分有効に、周囲温度で、適用された多孔性無機基材に浸透するために十分低粘度となり、多孔性無機基材の前処理に特に好適である。
【0086】
記載した反応生成物に加えて、プライマーは、希釈物質、より具体的には希釈剤又は他のアミンを含むのが好ましい。
【0087】
特に好適な他のアミンは、N
1−ベンジル−1,2−プロパンジアミン若しくはN
2−ベンジル−1,2−プロパンジアミン又はこれらの異性体のいずれか所望の混合物、N−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、N−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、TMD、H
12−MDA、IPDA、2−若しくは4−メチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン又はそれらの混合物、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、NBDA、MXDA、BHMT、TETA、TEPA、PEHA、DPTA、N4−アミン、DMAPA若しくはDMAPAPAである。
【0088】
プライマーは、ベンジルアルコール、スチレン化フェノール、エポキシ化フェノール、フェノール基を含有する芳香族炭化水素樹脂、及びカルダノールからなる群から選択される少なくとも1つの希釈剤を含むのが好ましい。
【0089】
プライマーは、好ましくは1.5〜30重量%、より具体的には3〜20重量%のこうした希釈剤を含有する。
【0090】
希釈剤は、少なくとも部分的に、硬化剤コンポーネントの1成分である。
【0091】
硬化剤コンポーネントは、好ましくは5〜60重量%、より具体的には10〜50重量%の希釈剤を含有する。
【0092】
特に好ましい希釈剤は、ベンジルアルコールである。ベンジルアルコールは、特に高い希釈剤効果を有し、エポキシドポリマーと特に適合性である。
【0093】
別の特に好ましい希釈剤は、カルダノールである。これは、特に急速な硬化をもたらす。カルダノールは、再生可能な原材料であり、特に低毒性のフェノール化合物である。これは、カシューナッツシェル油から得られ、主成分として、3−(ペンタデカ−8−エニル)フェノール、3−(ペンタデカ−8,11−ジエニル)フェノール及び3−(ペンタデカ−8,11,14−トリエニル)フェノールを含む。
【0094】
プライマーの硬化剤コンポーネントは、好ましくは、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール及びドデシルフェノールからなる群から選択されるフェノール化合物を0.1重量%未満含有する。特に好ましくは、硬化剤コンポーネントは、こうしたフェノール化合物を全く含まない。毒物学的見地から、この種のプライマーは、特に有利である。
【0095】
プライマーは、例えば、液体で適用される床コーティング剤のプライムコートとして広い面積にわたって適用されることが多い。この場合、次の作業のために、プライマーが、可能な限り早く歩行を可能にするように、低周囲温度であっても、極めて速い硬化が要求される。歩行を可能にするためには、プライマーは、短い初期硬化を経なければならないだけではなく、べたつきがなくで、耐荷重性表面を備えていなければならない。さらに、広い面積の適用の場合、作業者及び環境は、特に、プライマー内に含まれる化学的に組み込み不可能な物質にさらされる。その結果、硬化速度要件と、毒性フェノール化合物に伴う問題が、プライマー適用に際して特に高くなる。
【0096】
1つの好ましい実施形態では、プライマーは、20℃未満の温度で適用及び/又は硬化される。
【0097】
より具体的には、これは、15℃又は10℃未満の温度で適用及び/又は硬化され、多孔性無機基材の前処理に十分低い粘度であり、且つ欠陥なく急速に硬化する。
【0098】
各コンポーネントを混合した後、プライマーは、良好なレベリング特性と共に液状の粘稠性を有する。適用のために、新しく混合したプライマー(まだ液体である)をその開放時間内で平坦又はやや傾斜した表面に、典型的には、基層又は基材が全体的に湿潤し、均質に被覆されるように、粗目ブラシ、細目ブラシ、ローラ若しくはドクターブレードで適用することによって適用する。
【0099】
ここで、「開放時間」あるいはまた「ポットライフ」は、各コンポーネントの混合と、プライマーをもはや適正に適用することができない時点の間の時間である。ポットライフの終わりの典型的な尺度は、定義された粘度レベルの達成である。
【0100】
同様に、好適な装置を用いて、噴霧又は噴出により基材に混合プライマーを適用することも可能である。これは、空気により、又はエアレス塗装機を用いて実施してよい。
【0101】
多孔性基材の場合、典型的には、硬化後に、プライマーが、表面上に不浸透性膜を形成し、これによって、孔をシールするような量でプライマーを適用する。特に多孔性の基材の場合、孔がなく、不浸透性表面を達成するために、プライマーを2度塗りすることが有利となり得る。
【0102】
孔のない基材の場合、典型的に、0.1〜0.5mmの範囲の層厚にプライマーを適用する。
【0103】
所望であれば、プライマーは、処理前に充填剤若しくは繊維又は他のいわゆる標準化剤と混合して、増粘され、ややチキソトロピックな粘稠性を有し、傾斜面又は頭上に適用する場合には、あまり流れないようにしてもよい。
【0104】
多孔性無機基材は、特に、コンクリート、モルタル、セメントスクリード、無水物スクリード若しくはマグネシアスクリード、又はレンガ、タイル、石膏又は天然石などのセメント、無水物(硫酸カルシウム)又はマグネシア(マグネサイト)を基材とする基材である。
【0105】
好ましい基材は、セメント、無水物又はマグネシアを基材とするものである。これらの基材は、典型的に、建築物内の液体で適用される床コーティング剤のための基面を成し、その際、問題は、床コーティング剤の硬化が基材内の水分によって妨げられて、硬化したコーティングの表面に外観の劣ったくぼみ及びブリスターが、基材中の孔のために生じ得ることである。これらの基材上のプライムコートとして本発明のプライマーを使用すれば、孔を塞ぎ、基材をシールすると共に、これが、タイコート及び下からの水分に対するバリアとして働くため、硬化性ポリマー組成物による上塗りのための理想的な基材が用意される。
【0106】
プライマーはまた、金属、プラスチック又は木材、より具体的には、鉄、鋼又はプラスチックの被覆のためのプライムコートとして使用してもよく、その場合、鉄及び鋼は、亜鉛めっき、クロムめっきされているか、被覆された形態、又は合金の形態であってもよい。
【0107】
本発明のさらに別の主題は、以下:
− 特に、硬化後、不浸透性膜を形成して、存在する孔を閉塞するような量の、本発明のプライマーの少なくとも1層、
− 硬化性ポリマー組成物の少なくとも1層、
− 任意選択で仕上げ層及び/又はシールコート
を含む層構造体である。
【0108】
層構造体は、コーティング系を構成するのが好ましく、その場合、硬化性ポリマー組成物は、ポリマーコーティングであり、特に0.5〜3mmの範囲の層厚で存在する。
【0109】
この場合、ポリマーコーティングは、さらに具体的には、以下:
− 1コンポーネント又は2若しくは多コンポーネントのポリウレタン又はポリウレタンコーティング、
− 2若しくは多コンポーネントのエポキシ樹脂コーティング、
− シラン基含有ポリマーを基材とし、任意選択でエポキシ樹脂をさらに含む1コンポーネント又は2若しくは多コンポーネントのコーティング、
− ポリウレタン、アクリレート、スチレン−ブタジエン、PVA又はこれらのコポリマーを基材とするポリマーを含む少なくとも1つのポリマー分散液を基材とする水性コーティング、
− 水希釈性硬化剤及びエポキシ樹脂エマルションを含む2若しくは多コンポーネントの水性エポキシ樹脂コーティング、又は
− ポリオールエマルション及び乳化性イソシアネート部を含む2若しくは多コンポーネントの水性ポリウレタン
である。
【0110】
ここで、ポリマーコーティングは、1又は複数の層に適用してよい。典型的に、これは、1層、又は特に2層に適用される。
【0111】
同様に、異なるポリマーコーティングの複数の層から構成される層構造体も可能である。
【0112】
「シールコート」は、コーティングへの薄い最上層として適用される透明なまたは着色された高品質のコーティングである。これは、前記コーティングの表面を保護し、且つ強化すると共に、まだ存在する孔を塞ぐ。シールコートの層厚(乾燥状態で)は、典型的に、0.03〜0.3mmの範囲である。
【0113】
コーティング系は、好ましくは、オフィス、工業施設ホール、体育館若しくは冷蔵室等の屋内用、又はバルコニー、テラス、階層式駐車場、橋梁、屋根、競技場若しくは運動場のための屋外用の床被覆材及び床コーティング材として、コンクリート、セメント、金属、プラスチック又は木材用の、例えば木造構造物、車両、荷台、タンク、サイロ、シャフト、機械又は鉄骨構造物、例えば船舶、桟橋、海上プラットフォーム、水門、水力発電所、河川工事、スイミングプール、風力発電所、橋、煙突、クレーン若しくは矢板壁の表面シーリングのための保護コーティングとして、あるいは、特に橋梁若しくは屋根のシーリングのためのシーラントとして使用される。
【0114】
橋梁シーラントとして使用する場合、コーティング系を、さらに別の好適な被覆材、より具体的には、散布アスファルト又はコンクリートでさらに被覆してもよい。
【0115】
屋根シーラントとして使用する場合、コーティング系を砂利及び/又は土でさらに被覆してもよい。
【0116】
コーティング系は、床又は保護コーティング又はウォーターシールであることが特に好ましい。
【0117】
層構造体はまた、接着結合も構成することができ、この場合、硬化性ポリマー組成物が接着剤であり、結合された基材の形態をした外層がある。
【0118】
この種の層構造体の一例は、結合された木造床であり、この場合、例えば、セメントスクリードを本発明のプライマーで下塗りした後、木造床要素を、前処理セメントスクリードに、例えば、弾性ポリウレタン接着剤などの接着剤によって直接接着させる。
【0119】
本発明の別の主題は、多孔性無機基材をコーティング又は結合する方法であり、この方法は、以下:
(i)前述したプライマーを、より具体的には孔を塞ぐのに十分な量で、多孔性無機基材に適用するステップ、
(ii)特に、少なくとも歩行が可能になるまで、適用されたプライマーを周囲温度で硬化させるステップ、
(iii)適用されて、少なくとも一部が硬化したプライマーに、硬化性ポリマー組成物の少なくとも1層を適用するステップ
を含む。
【0120】
ここで、プライマーは、20℃未満の温度で適用及び/又は硬化される。
【0121】
本方法は、好ましくは、コーティング方法である。
【0122】
この場合、硬化性ポリマー組成物は、より具体的にはポリマーコーティングであり、特に0.5〜3mmの範囲の層厚で適用される。
【0123】
一実施形態では、エポキシ樹脂組成物は、接着剤として使用される。
【0124】
エポキシ樹脂を基材とする接着剤は、典型的に、例えば、車体用接着剤、サンドイッチエレメント用接着剤、橋梁エレメント用接着剤又は固定用接着剤の形態で、高い接着力、強度及び/又は剛性並びに耐候安定性が要求される用途に使用される。用途に応じて、接着剤は、周囲温度で使用可能であること、早期段階で耐荷重性であること、従って、さらに加熱されなくても、急速に強度を高めることが求められる。
【0125】
従って、本発明の別の主題は、以下:
− 前述したように、少なくとも1つのエポキシ樹脂を含む樹脂コンポーネント及び、
− 前述したように、少なくとも1つの式(I)のアミンと少なくとも1つの式(II)のカルボニル化合物及び水素との反応から得られる少なくとも1つの反応生成物を含む硬化剤コンポーネント
を含む接着剤である。
【0126】
接着剤は、既述したように、充填剤、促進剤及び他のアミンから選択される少なくとも1つの別の成分をさらに含むのが好ましい。
【0127】
充填剤として好適なものは、特に、粉砕若しくは沈殿性炭酸カルシウム(任意選択で脂肪酸、特にステアリン酸塩でコーティングされている)、並びに微粉砕石英、ケイ砂、カオリン、シリカ、セメント、石膏又はフライアッシュである。
【0128】
特に好適な促進剤は、サリチル酸若しくは2,4,6−トリス(ジメチル−アミノメチル)フェノール又はそれらの混合物である。
【0129】
他のアミンとしての適性は、特に、N
1−ベンジル−1,2−プロパンジアミン若しくはN
2−ベンジル−1,2−プロパンジアミン又はこれらの異性体のいずれか所望の混合物、N−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、N−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、IPDA、MXDA、BHMT、TETA、TEPA、PEHA、DPTA、N4−アミン、DMAPA若しくはDMAPAPAである。
【0130】
接着剤として、2つのコンポーネントを混合した後、組成物は、典型的に、ペースト状の粘稠性までの粘着性を有する。適用に際して、新しく混合した接着剤をその開放時間内に、結合しようとする基材の少なくとも1つに適用し、2つの基材を接着させて、接着剤の開放時間内に接着結合を形成する。
【0131】
ここで、「開放時間」は、各コンポーネントの混合と、接着剤の十分な変形能及び/又は基材に対する十分な接着がもはや保証されない時点の間の時間である。
【0132】
新しく混合した接着剤は、特にブラシ、ローラ、へら、ドクターブレード、こてを用いて、又はチューブ、カートリッジ若しくは計量装置から適用する。
【0133】
接着剤は、建設又は製造業における構造的結合のために、より具体的には、例えば、特に、CRPのストリップ若しくは鋼鉄とコンクリート、石材若しくは木材の結合のための接着性モルタル、二次接着剤、固定化接着剤(アンカー接着剤)、補強接着剤として、例えば、橋梁のエレメント接着剤、サンドイッチエレメント接着剤、ファサードエレメント接着剤、補強接着剤、車体接着剤、若しくはロータブレード用のハーフシェル接着剤として、特に好適である。
【0134】
同様に、接着剤は、ひび割れ、隙間若しくはドリル孔などの空洞の充填にも好適であり、この場合、添加剤は、空洞に充填又は注入され、硬化後、この空洞を充填し、圧力ばめ方式で空洞の両側を互いに結合又は接合する。
【0135】
一実施形態では、接着剤は、少なくとも1つの充填剤、より具体的には少なくとも1つの微粉砕石英又は少なくとも1つのケイ砂を含む。この種の接着剤は、安価であり、特に高い圧縮力を有する。これは、例えば、いわゆる接着性モルタルとして建設分野での用途に特に好適である。
【0136】
接着剤の使用により、結合された物品が得られる。物品は、より具体的には、住宅、浴室、台所、階段、屋根、バルコニー、テラス、階層式駐車場、橋梁、トンネル、サンドイッチエレメント若しくは軽量構造、太陽電池モジュール若しくはソーラヒーティングモジュールなどのソーラパネル、ファサード、家庭用器具、風力タービンのロータブレード、自動車、バス、トラック、鉄道車両、船舶、航空機、ヘリコプター、又はこのような物品内若しくは物品上に設置するための部品である。
【0137】
接着剤は、より具体的には、接着結合のための方法に使用され、この方法は、以下:
− 樹脂コンポーネントと硬化剤コンポーネントを好適な技術により混合するステップ、並びに
− 混合した接着剤を、結合しようとする基材表面の少なくとも1つに適用して、
− 基材を接合することにより、接着剤の開放時間内に結合を形成するステップ、
又は
− 混合した接着剤を、2つの基材の間の空洞又は隙間に適用し、
− 任意選択で、接着剤の開放時間内に、空洞又は隙間中にアンカーを挿入するステップのいずれかに続いて、
接着剤を硬化させるステップ
を含む。
【0138】
本発明に関連して「アンカー」は、より具体的には、鉄の補強エレメント、ねじ状鋼エレメント又はボルトを指す。こうしたアンカーの1つは、その一部が、圧力ばめにより結合され、その一部が、突き出して、荷重を受けることができるように、内壁若しくは外壁、天井若しくは床に結合又は固定される。
【0139】
接着剤は、周囲温度、より具体的には5〜35℃、特に10〜30℃の範囲の温度で適用し、硬化させるのが好ましい。これによって、接着剤は特に扱いやすくなるため、とりわけ建設現場での屋外用途に、及び暖房されていない工業施設ホール内で有利である。
【0140】
本発明のさらに別の主題は、少なくとも1つの式(I)のアミンと、少なくとも1つの式(II)のカルボニル化合物及び水素との反応から得られる反応生成物であり、ここで、アミンとカルボニル化合物は、1/0.8〜1/1.1の範囲のモル比で、溶媒中の分子水素による接触水素化に付されるが、その際、形成されるイミン中間体を単離せず、且つ遊離した水も除去しない。
【0141】
水素化は、好ましくは、5〜100バールの水素ガス圧力下、40〜120℃、より具体的には60〜100℃の温度、並びに好適な触媒の存在下で行われる。触媒としては、パラジウム炭素(Pd/C)、白金炭素(Pt/C)、アダムス触媒又はラネーニッケル、より具体的にはパラジウム炭素が好ましい。
【0142】
アミンとカルボニル化合物は、1/0.9〜1/1.1の範囲のモル比で使用するのが好ましい。
【0143】
好ましい溶媒は、アルコール若しくはエステル、又はアルコールとエステルの混合物である。特に好ましいのは、エタノール若しくはイソプロパノール若しくは酢酸エチル又はそれらの組合せである。イソプロパノール又はイソプロパノールと酢酸エチルの混合物が特に好適である。
【0144】
水素化の後、溶媒は、特に、遊離した水と一緒に、蒸留により除去するのが好ましい。
【0145】
このように調製された反応生成物は、特に低い粘度で、しかも高い反応性を有することから、多孔性無機基材の前処理に好適なエポキシ樹脂を基材とするプライマーでの使用に特に適している。
【0146】
水素化の前に、形成されたイミン中間体を単離せず、しかも遊離した水を除去しないため、反応生成物は、特に多量の式(III)のアミンと、特に少量のポリアルキル化合物生成物を含み、これは、エポキシ樹脂に対するその希釈剤効果及びエポキシ樹脂とのその反応性に関して極めて有利である。
【実施例】
【0147】
記載の本発明をさらに詳しく説明することを目的とする実施例を以下に記載する。本発明は、勿論記載するこれらの実施例に限定されるわけではない。
【0148】
「AHEW」は、アミン水素当量を表す。
【0149】
「EEW」は、エポキシド当量を表す。
【0150】
「標準的条件」は、23±1℃の温度、及び50±5%の相対大気湿度を指す。「SC」は、「標準的基準」を表す。
【0151】
《測定方法の説明》
赤外線スペクトル(FT−IR)は、ZnSeクリスタルを有する水平ATR測定ユニットを備えたPerkin−Elmer製のFT−IR計器1600で非希釈膜として測定し;吸収バンドは、波数(cm
−1)で記録する;(測定ウィンドウ:4000〜650cm
−1)。
【0152】
粘度は、サーモスタットを備えるコーン/プレート型粘度計、Rheotec RC30(円錐直径50mm、円錐角1°、円錐頂点/プレート間距離0.05mm)により、剪断速度10s
−1で測定した。
【0153】
アミン価は、滴定(クリスタルバイオレットに対する酢酸中の0.1N HClO
4で)により決定した。
【0154】
《使用された市販の物質》
Araldite(商標)GY250:ビスフェノールAジグリシジルエーテル、EEW約187.5g/eq(Huntsman製)
Araldite(商標)DY−E:C
12〜C
14アルコールのモノグリシジルエーテル、EEW約290g/eq(Huntsman製)
SR−Dur(商標)2750:4−tert−ブチルフェノール、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン及びトリメチル−1,6−ヘキサンジアミンを基材とし、10〜25重量%の4−tert−ブチルフェノールを含有するマンニッヒ塩基、AHEW75,0g/eq(SRS Meeder製)
【0155】
《本発明の反応生成物の調製》
〈反応生成物A1:N−(2−ヒドロキシベンジル)−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼンを含む反応生成物〉
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、27.24g(0.20mol)の1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン(MXDA、三菱ガス化学製)を充填した。よく攪拌しながら、250mlのイソプロパノール中24.42g(0.20mol)のサリチルアルデヒドの溶液をゆっくりと滴下した後、2時間攪拌した。その後、80バールの水素ガス圧力下、温度90℃、流量5ml/分で、Pd/C固定層触媒を用いる連続水素化装置により、反応混合物を水素化した。反応をモニターするために、IR分光法を用いて、約1665cm
−1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。この時点で、水素化溶液を減圧下、65℃で濃縮した。これによって、20℃での粘度22.1Pa・s及びアミン価458mgKOH/gを有する黄色がかった液体が得られた。
FT−IR:3022、2846、2721、2613、1587、1454、1254、1082、843、747、699。
【0156】
〈反応生成物A2:N−(2−ヒドロキシベンジル)−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを含む反応生成物〉
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、14.22g(0.10mol)の1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3−BAC、三菱ガス化学製)を充填した。よく攪拌しながら、350mlのイソプロパノール中12.21g(0.10mol)のサリチルアルデヒドの溶液をゆっくりと滴下した後、2時間攪拌した。その後、90バールの水素ガス圧力下、温度90℃、流量4ml/分で、Pd/C固定層触媒を用いる連続水素化装置により、反応混合物を水素化した。反応をモニターするために、IR分光法を用いて、約1665cm
−1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。この時点で、水素化溶液を減圧下、65℃で濃縮した。これによって、20℃での粘度124Pa・s及びアミン価445mgKOH/gを有する黄色がかった液体が得られた。
FT−IR:2915、2846、2726、1589、1455、1413、1257、1151、1102、1036、953、931、842、793、720。
【0157】
《対照としての非発明反応生成物の調製》
〈反応生成物R1:N−(2−ヒドロキシベンジル)−4−メチル−1,5−ベンタンジアミンを含む反応生成物〉
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、23.24g(0.20mol)の1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(Dytek(商標)、Invista製)を充填した。よく攪拌しながら、250mlのイソプロパノール中24.42g(0.20mol)のサリチルアルデヒドの溶液をゆっくりと滴下した後、2時間攪拌した。その後、80バールの水素ガス圧力下、温度90℃、流量5ml/分で、Pd/C固定層触媒を用いる連続水素化装置により、反応混合物を水素化した。反応をモニターするために、IR分光法を用いて、約1665cm
−1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。この時点で、水素化溶液を減圧下、65℃で濃縮した。これによって、20℃での粘度2.3Pa・s及びアミン価506mgKOH/gを有する黄色がかった液体が得られた。
【0158】
〈反応生成物R2:N−(2−ヒドロキシベンジル)−3,3(5),5−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミンを含む反応生成物〉
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、15.82g(0.10mol)の2,2(4),4−トリメチルヘキサメチレンジアミン(Vestamin(商標)TMD、Evonik製)を充填した。よく攪拌しながら、250mlのイソプロパノール中12.21g(0.10mol)のサリチルアルデヒド溶液をゆっくりと滴下した後、2時間攪拌した。その後、80バールの水素ガス圧力下、温度90℃、流量4ml/分で、Pd/C固定層触媒を用いる連続水素化装置により、反応混合物を水素化した。反応をモニターするために、IR分光法を用いて、約1665cm
−1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。この時点で、水素化溶液を減圧下、65℃で濃縮した。これによって、20℃での粘度4.4Pa・s及びアミン価414mgKOH/gを有するダークイエローの液体が得られた。
【0159】
〈反応生成物R3:N−(2−ヒドロキシベンジル)−4,7−ジアザ−1,10−デカンジアミンを含む反応生成物〉
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、34.85g(0.20mol)のN,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(N4−アミン、BASF製)を充填した。よく攪拌しながら、400mlのイソプロパノール中の24.42g(0.20mol)のサリチルアルデヒドの溶液をゆっくりと滴下した後、2時間攪拌した。その後、85バールの水素ガス圧力下、温度90℃、流量4ml/分で、Pd/C固定層触媒を用いる連続水素化装置により、反応混合物を水素化した。反応をモニターするために、IR分光法を用いて、約1665cm
−1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。この時点で、水素化溶液を減圧下、65℃で濃縮した。これによって、20℃で2.5Pa・sの粘度及び794mgKOH/gのアミン価を有する黄色がかった液体が得られた。
【0160】
〈反応生成物R4:N−ベンジル−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼンを含む反応生成物〉
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、27.24g(0.20mol)の1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン(MXDA、三菱ガス化学製)を充填した。よく攪拌しながら、250mlのイソプロパノール中26.53g(0.25mol)のベンズアルデヒドの溶液をゆっくりと滴下した後、2時間攪拌した。その後、80バールの水素ガス圧力下、温度90℃、流量5ml/分で、Pd/C固定層触媒を用いる連続水素化装置により、反応混合物を水素化した。反応をモニターするために、IR分光法を用いて、約1665cm
−1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。この時点で、水素化溶液を減圧下、65℃で濃縮した。これによって、20℃で0.1Pa・sの粘度及び438mgKOH/gのアミン価を有する黄色がかった液体が得られた。
【0161】
〈反応生成物R5:N−(ヒドロキシベンジル)−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼンを含む反応生成物〉
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、27.24g(0.20mol)の1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン(MXDA、三菱ガス化学製)を充填した。よく攪拌しながら、250mlのイソプロパノール中24.42g(0.20mol)の4−ヒドロキシベンズアルデヒドの溶液をゆっくりと滴下した後、2時間攪拌した。その後、80バールの水素ガス圧力下、温度90℃、流量5ml/分で、Pd/C固定層触媒を用いる連続水素化装置により、反応混合物を水素化した。反応をモニターするために、IR分光法を用いて、約1665cm
−1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。この時点で、水素化溶液を減圧下、65℃で濃縮した。これによって、20℃で>200Pa・s及び60℃で8Pa・sの粘度を有する高度に粘性の黄色がかった液体が得られた。
【0162】
〈反応生成物R6:N−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ−ベンジル)−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼンを含む反応生成物〉
丸底フラスコに、窒素雰囲気下、室温で、27.24g(0.20mol)の1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン(MXDA、三菱ガス化学製)を充填した。よく攪拌しながら、250mlのイソプロパノール中30.43g(0.20mol)のバニリンの溶液をゆっくりと滴下した後、2時間攪拌した。その後、80バールの水素ガス圧力下、温度90℃、流量5ml/分で、Pd/C固定層触媒を用いる連続水素化装置により、反応混合物を水素化した。反応をモニターするために、IR分光法を用いて、約1665cm
−1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。この時点で、水素化溶液を減圧下、65℃で濃縮した。これによって、20℃で>200Pa・s及び60℃で15Pa・sの粘度を有する高度に粘性のオレンジがかった液体が得られた。
【0163】
〈反応生成物R7:N,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)−1,3−ビス(アミノメチル)−ベンゼンを含む反応生成物〉
丸底フラスコ中で、窒素雰囲気下、室温にて、13.62g(0.10mol)の1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン(MXDA、三菱ガス化学製)、24.42g(0.20mol)のサリチルアルデヒド及び400mlのイソプロパノールを混合し、2時間攪拌した。その後、85バールの水素ガス圧力下、温度90℃、流量4ml/分で、Pd/C固定層触媒を用いる連続水素化装置により、反応混合物を水素化した。反応をモニターするために、IR分光法を用いて、約1665cm
−1のイミンバンドが消失したかどうかを確認した。この時点で、水素化溶液を減圧下、65℃で濃縮した。これによって、20℃で>200Pa・s及び60℃で2.9Pa・sの粘度及び303mgKOH/gのアミン価を有する高度に粘性の黄色がかった液体が得られた。
【0164】
《エポキシ樹脂組成物の調製》
〈例1〜7〉
各例について、樹脂コンポーネントの表示量(重量部)で、表1に示す構成材料を遠心ミキサ(SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.)を用いて混合し、混合物を湿気の非存在下で保存した。
【0165】
次に、表1に示す反応生成物を表示量で、樹脂コンポーネントと遠心ミキサを用いて混合し、均質な液体に処理して、これらを以下のように直ちに使用して試験した:
混合の5分後に、20℃で粘度を求めた(「粘度(5’)」)。
【0166】
第1の膜を、500μmの膜厚でガラスプレート上に延ばし、標準的条件下で保存し、硬化させた。この膜を用いて、ケーニッヒ(Koenig)硬度(DIN EN ISO 1522に従って測定される、ケーニッヒによる振り子硬度)を、1日後(1d)、2日後(2d)、4日後(4d)及び7日後(7d)に決定した。さらに、硬化した膜の外観を評価した(表1に「外観(SC)」と表示する)。表で「良」として認定した膜は、透明で、且つ光沢があり、しかもべたつきがなく、何ら構造のない表面を有していた。ここで「構造(structure)」という用語は、表面上の任意の種類のマーキング又はパターンを指す。
【0167】
第2の膜を、500μmの膜厚でガラスプレート上に延ばし、この膜を、適用後直ちに、8℃及び80%相対湿度で7日間、その後、標準的条件下で保存し、硬化させた。ここで、再度、いずれの場合も、1日後(1d8°/80%)、2日後(2d8°/80%)、7日後(7d8°/80%)及び8日後(+1d SC)にケーニッヒ硬度の決定を実施した。次に、外観(SC)について記載されている同じ方法で、この膜の外観を評価した(表1中、「外観(8°/80%)」と表示する)。
【0168】
さらに、黄変について使用した尺度は、耐候性試験装置での曝露後の変色であった。このために、ガラスプレート上に500μmの膜厚でさらに膜を延ばし、標準的条件下で2週間保存するか、又は硬化させた後、Q−SUN Daylight−Q光学フィルター及びキセノンランプを備えるQ−Sun Xenon Xe−1耐候性試験装置において、340nmで0.51W/m
2の光度及び温度65℃で72時間曝露した(Q−Sun(72h))。その後、このように曝露した膜の色差ΔEを、対応する非曝露膜と比較して、シリコン光電ダイオード検出器(Silicon Photoelectric Diode Detector)、光源A、色空間測定インターフェース(Color Space Measurement Interface)CIE L*a*b*C*Hを装備するShenzen 3NH Technology Co.LTD製のNH310比色計を用いて決定した。ここで、高いΔE値は、大きな色差、従って、著しい黄変を示す。
【0169】
結果を表1に記載する。
【0170】
エポキシ樹脂組成物は、プライマー又は接着剤として好適である。2つのコンポーネントを混合した後の粘度は、プライマーとしての使用可能性の尺度である。ケーニッヒ硬度の進展は、それぞれの条件下での硬化速度及び最終硬度の尺度である。
【0171】
「(Ref.)」の付いた例は、比較例である。
【0172】
【表1】
【0173】
《プライマーの生成》
〈例8〜18〉
各例について、表2〜3に示す構成材料を、硬化剤コンポーネントの表示量(重量部)で、遠心ミキサ(SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.)を用いて混合し、混合物を湿気の非存在下で保存した。
【0174】
同様に、表2〜3に示す樹脂コンポーネントの材料を処理し、保存した。
【0175】
続いて、各プライマーの2つのコンポーネントを室温で、遠心ミキサを用いて処理することにより、均質な液体を取得し、これを以下のように直ちに使用して試験した:
混合の5分後に、20℃で粘度を求めた(「粘度(5’)」)。
【0176】
各プライマーをブラシで3つのコンクリートガーデンスラブに適用して、プライマーが、スラブの表面を完全に被覆し、孔がプライマーにより塞がれるようにした。次に、1つのガーデンスラブを標準的条件下で保存し、2つのガーデンスラブを8℃及び80%相対湿度で保存した。歩行を可能にする能力を回復するのに必要な時間を決定するために、標準的条件(SC)並びに8℃及び80%相対湿度(8°/80%)の下でそれぞれ、表面に60秒間静置させた直径24mm、重量1kgの金属シリンダが、もはや粘着することがなく、しかも跡を一切残さなくなるまでにかかった時間を測定した。
【0177】
結果を表2〜3に記載する。
【0178】
「(Ref.)」の付いた例は、発明によるものではなく、対照として用いられる。
【0179】
【表2】
【0180】
【表3】
【0181】
《コーティングの生成》
〈例19〜24〉
本発明のプライマーで下塗りした例8、9及び17のガーデンスラブを各々、8℃及び80%相対湿度での24時間の硬化後、表4に示す市販の床コーティング剤で適用した。一態様では、Sikafloor(商標)−264 pebble grey(Sika Schweiz AG製の2コンポーネントのエポキシ樹脂コーティング剤)を、新しく混合したコーティング剤をそれぞれのプライマーで下塗りしたガーデンスラブ上に流し込み、ドクターブレードで延ばすことにより、層厚1.5mmに適用した。あるいは、Sikafloor(商標)−400N Elastic pebble grey(Sika Schweiz AG製の軟質1コンポーネントのポリウレタンコーティング剤)を、それぞれのプライマーで下塗りしたガーデンスラブ上に流し込み、ドクターブレードで延ばすことにより、層厚1.5mmに適用した。
【0182】
標準的条件下で7日の硬化時間後、各ガーデンスラブは、表面に欠陥がなく、コーティング同士の接着性に優れた、高品質な多層床被覆を有していた。
【0183】
【表4】
【0184】
《接着剤の生成》
〈例25及び26〉
例25の場合、表5に示す構成材料を、硬化剤コンポーネントの表示量(重量部)で、遠心ミキサ(SpeedMixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.)を用いて混合した後、湿気の非存在下で保存した。
【0185】
例26(対照)の場合、使用した硬化剤コンポーネントは、表5に示す量のSikadur(商標)31 CF normal componentB(Sika Schweiz AG製)であった。
【0186】
各々のケースで使用した樹脂コンポーネントは、表5に示す量のSikadur(商標)31CF normal componentA(Sika Schweiz AG製)で、約838gのEEWを含んだ。
【0187】
次に、遠心ミキサを用いて、2つのコンポーネントを室温で処理し、均質なペーストを形成して、これを以下のように直ちに使用して試験した:
各ケースで、鋼ブラシで清掃したコンクリートスラブに数グラムの接着剤を適用することにより、いくつかの接着結合を形成した後、アセトンで洗浄した直径20mmの鋼製シリンダをその底面積にわたってスラブに接着させ、その際、結合ラインの厚さは2mmであった。標準的条件下で結合を保存した。2日後、最大力での結合の強さを決定するために、DIN EN 4624に基づく方法により、2mm/分の試験速度で、両者を引き離して破断させた(引張接着、コンクリート/鋼)。
【0188】
さらに、アセトンで洗浄した直径20mmの鋼製シリンダのペアを、結合ラインの厚さが2mmとなるように、接着剤を用いてその円形底面積で互いに接着することにより、いくつかの結合を形成した。結合を標準的条件下で保存した。2日後、最大力での結合の強さを決定するために、DIN EN ISO 4624に基づく方法により、2mm/分の試験速度で両者を引き離して破断させた(引張接着、鋼/鋼)。
【0189】
加えて、標準的条件下で、12.7×12.7×25.4mmの寸法のブロック形状の接着剤を硬化させ、保存することにより、圧縮強度を求めた。2日及び7日後、いくつかのこうしたブロックをASTM D695に従って、1.3mm/分の試験速度で、破壊するまで圧縮させ、各々のケースにおいて最大力で圧縮強度の値を読み取った。
【0190】
結果を表5に記載する。
【0191】
「(Ref.)」の付いた例26は、発明によるものではなく、対照として用いられる。
【0192】
【表5】