【実施例】
【0044】
(実施例1)
環状オレフィンを含有するラミネート層(A)、オレフィン樹脂層を含有する中間層(B)、環状オレフィン樹脂を含有する中間層の樹脂層(C)及びヒートシール性のシール層(D)の各層を形成する樹脂成分として、各々下記の樹脂を使用して、各層を形成する樹脂及び樹脂混合物を調整した。
<ラミネート層(A)>
ノルボルネン系モノマーの開環重合体(ポリプラスチックス株式会社製「トパス8007F」、MFR:15g/10分(260℃、21.18N)、ガラス転移温度:70℃;以下、「COC(1)」という。)50質量部、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(三井化学株式会社製「アペル APL6015T」、MFR:10g/10分(260℃、21.18N)、ガラス転移温度:145℃;以下、「COC(2)」という。)50質量部
<中間層(B)>
メタロセン触媒により重合された直鎖状中密度ポリエチレン(密度:0.930g/cm
3、融点125℃、MFR:5g/10分(190℃、21.18N)、分子量分布(Mw/Mn)2.5;以下、「LMDPE」という。)100質量部
<中間層(C)>
COC(1)50質量部、COC(2)50質量部
<シール層(D)>
メタロセン触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.920g/cm
3、融点110℃、MFR:5g/10分(190℃、21.18N)、分子量分布(Mw/Mn)2.5;以下、「LLDPE(1)」という。)100質量部
【0045】
これらの樹脂をそれぞれ、ラミネート層(A)用押出機(口径50mm)、中間層(B)用押出機(口径50mm)、中間層(C)用押出機(口径50mm)、シール層(D)用押出機(口径40mm)に供給して200〜270℃で溶融し、その溶融した樹脂をフィードブロックを有するTダイ・チルロール法の共押出多層フィルム製造装置(フィードブロック及びTダイ温度:250℃)にそれぞれ供給して共溶融押出を行って、フィルムの層構成が(A)/(B)/(C)/(D)の4層構成で、各層の厚さが6μm/15μm/6μm/3μm(合計30μm)である共押出多層フィルムを得た後、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は42dyne/cmであった。
【0046】
コロナ処理面側にウレタン系接着剤を3.5g/m
2になるよう塗工後、二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm、融点260℃、東洋紡製)をドライラミネートし、ラミネートフィルを得た。
【0047】
(実施例2)
ラミネート層(A)、中間層(B)、(C)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は42dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)50質量部、COC(2)47質量部、直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.920g/cm
3、融点120℃、MFR:5g/10分(190℃、21.18N);以下、「LLDPE(2)」という。)3質量部
<中間層(B)>
LMDPE95質量部、COC(1)5質量部
【0048】
(実施例3)
ラミネート層(A)及び中間層(C)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)60質量部、COC(2)37質量部、LLDPE(2)3質量部
【0049】
(実施例4)
ラミネート層(A)及び中間層(C)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)40質量部、COC(2)57質量部、LLDPE(2)3質量部
【0050】
(実施例5)
ラミネート層(A)及び中間層(C)に使用する樹脂成分及び中間層(B)を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)50質量部、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(三井化学株式会社製「アペル AP6013T」、MFR:15g/10分(260℃、21.18N)、ガラス転移温度:125℃;以下、「COC(3)」という。)47質量部、LLDPE(2)3質量部
<中間層(B)>
LLDPE(2)100質量部
【0051】
(実施例6)
ラミネート層(A)及び中間層(B)、(C)に使用する樹脂成分及びシール層(D)を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)50質量部、COC(2)47質量部、LLDPE(2)3質量部
<中間層(B)>
LMDPE95質量部、COC(1)5質量部
<シール層(D)>
LLDPE(1)90質量部、COC(1)10質量部
【0052】
(実施例7)
実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、アルミ蒸着二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
【0053】
(実施例8)
実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、表面層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリアミドフィルム(ONY)をドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
【0054】
(実施例9)
ラミネート層(A)及び中間層(C)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)80質量部、COC(2)17質量部、LLDPE(2)3質量部
【0055】
(実施例10)
ラミネート層(A)及び中間層(C)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)20質量部、COC(2)77質量部、LLDPE(2)3質量部
【0056】
(実施例11)
ラミネート層(A)及び中間層(C)、シール層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)50質量部、COC(2)50質量部
<シール層(D)>
メタロセン触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.905g/cm
3、融点95℃、MFR:5g/10分(190℃、21.18N)、分子量分布(Mw/Mn)2.6;以下、「LLDPE(3)」という。)100質量部
【0057】
(実施例12)
ラミネート層(A)及び中間層(C)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)30質量部、COC(2)30質量部、LLDPE(2)40質量部
【0058】
(実施例13)
ラミネート層(A)及び中間層(C)、シール層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。更にラミネート層側に厚さ500Åの真空アルミ蒸着を施した。実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)50質量部、COC(2)47質量部、LLDPE(2)3質量部
<シール層(D)>
LLDPE(1)70質量部、COC(1)30質量部
【0059】
(比較例1)
ラミネート層(A)、シール層(D)の各層を形成する樹脂成分として、各々下記の樹脂を使用して、各層を形成する樹脂及び樹脂混合物を調整した。
<ラミネート層(A)>
COC(2)100質量部
<シール層(D)>
LMDPE 100質量部
【0060】
これらの樹脂をそれぞれ、ラミネート層(A)用押出機(口径50mm)、シール層(D)用押出機(口径40mm)に供給して200〜250℃で溶融し、その溶融した樹脂をフィードブロックを有するTダイ・チルロール法の共押出多層フィルム製造装置(フィードブロック及びTダイ温度:250℃)にそれぞれ供給して共溶融押出を行って、フィルムの層構成が(A)/(D)の2層構成で、各層の厚さが6μm/24μm(合計30μm)である共押出多層フィルムを得た後、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は42dyne/cmであった。
【0061】
コロナ処理面側にウレタン系接着剤を3.5g/m
2になるよう塗工後、二軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm、融点260℃、東洋紡製)をドライラミネートし、ラミネートフィルを得た。
【0062】
(比較例2)
シール層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムの各層の厚さが5μm/25μm(合計30μm)である共押出多層フィルムを得た後、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。比較例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<シール層(D)>
チーグラナッター触媒で重合された低密度ポリエチレン(密度:0.895g/cm
3、融点85℃、MFR:5g/10分(190℃、21.18N)、分子量分布(Mw/Mn)が5;以下、「LLDPE(4)」という。)100質量部
【0063】
(比較例3)
ラミネート層(A)に使用する樹脂成分を下記とした比較例2と同様にして共押出多層フィルムの各層の厚さが24μm/6μm(合計30μm)である共押出多層フィルムを得た後、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。比較例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)>
COC(1)40質量部、COC(2)20質量部、LLDPE(2)40質量部
【0064】
(比較例4)
ラミネート層(A)、中間層(B)、中間層(C)及びシール層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムの各層の厚さ5μm/6μm/5μm/14μm(合計30μm)であるフィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(1)40質量部、COC(2)20質量部、LLDPE(2)40質量部
<中間層(B)>
LLDPE(2)100質量部
<シール層(D)>
低密度ポリエチレン〔密度:0.92g/cm3、融点120℃、MFR:5g/10分(190℃、21.18N)、;以下、「LDPE」という。〕を100質量部
【0065】
(比較例5)
ラミネート層(A)、中間層(B)、中間層(C)及びシール層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムの各層の厚さ6μm/13μm/6μm/5μm(合計30μm)であるフィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<ラミネート層(A)、中間層(C)>
COC(2)100質量部
<中間層(B)>
LMDPE100質量部
<シール層(D)>
LLDPE(4) 100質量部
【0066】
(比較例6)
シール層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムの各層の厚さ6μm/15μm/6μm/3μm(合計30μm)であるフィルムを作製し、表面層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<シール層(D)>
LLDPE(4) 100質量部
【0067】
(比較例7)
シール層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして共押出多層フィルムの各層の厚さ2μm/12μm/2μm/14μm(合計30μm)であるフィルムを作製し、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。処理面側に実施例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<シール層(D)>
メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体〔密度:0.900g/cm
3、融点135℃、MFR:4g/10分(230℃、21.18N);以下、「MRCP」という。)100質量部
【0068】
(比較例8)
シール層(D)に使用する樹脂成分を下記とした以外は比較例1と同様にして共押出多層フィルムの各層の厚さが6μm/24μm(合計30μm)である共押出多層フィルムを得た後、ラミネート層(A)表面にコロナ処理を施した。コロナ処理面の濡れ試薬による表面張力は43dyne/cmであった。比較例1と同様にして、二軸延伸ポリエステルフィルムをドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。
<シール層(D)>
接着性酸変性ポリエチレン〔東ソー株式会社製、密度:0.940g/cm3、MFR:28g/10分(190℃、21.18N)「MX28」;以下、「EVA」100質量部
【0069】
上記実施例及び比較例にて得られたフィルムにつき、以下の評価を行った。得られた結果を下表に示した。
【0070】
[デッドホールド性試験、易開封性試験]
上記で得られたフィルムを、タブ部(13mm)を有する80mmφで打ち抜いた蓋材として、PP容器(外径70mmφ 厚み700μm、フランジ幅 5mm)に、140℃から170℃で最適ヒートシール強度になるよう調整シールした。90度以上折り曲げた状態を確保するため、蓋材の上から二軸延伸ポリスチレンシートを成形したオーバーキャップ用の蓋を勘合し、0℃冷蔵下で、5時間放置した。その後オーバーキャップ蓋を外し、蓋材タブの戻り角を測定し、下記により評価した。
タブの戻り角 0° 戻らない ◎
0〜20° 戻る ○
20〜45° 戻る △
45°以上 戻る ×
【0071】
又、ヒートシールした後の開封強度については、下記により評価を行なった。タブ部を、チャックではさみ、引っ張り試験機で強度を測定した。
○:5N/1カップ以上25N/1カップ以下
×:5N/1カップ未満、または、25N/1カップより大きい(開封できない)かフィルムが裂ける
【0072】
[夾雑物シール性(1)]
突起フランジ付の円形PP容器(90mm径、フランジ幅7mm、突起幅1mm、突起高さ0.7mm、厚さ600μm)上に、市販のプリン0.5gを4隅に載せた。その後作成したラミネートフィルムを180℃、1秒、0.2MPaでシールし、封緘強度を測定した。
◎:20MPa以上
○:12MPa以上20MPa未満
×:12MPa未満
【0073】
[カール性試験]
各多層フィルムを、縦横10cm四方に切り出し、40℃湿度90%下に24時間保存した。平面にフィルムを広げ両端面が捲り上がった高さを測定し下記の基準によって評価した。
〇:5cm未満
×:5cm以上
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
上記表から明らかなとおり、実施例1〜13の本発明の蓋材は、好適なデッドホールド性、易開封性及び夾雑物シール性を有し、耐カール性にも優れるものであった。一方、比較例1〜8の蓋材は、これら特性を兼備できなかった。