【文献】
Ethoxylated Polyethyleneimines,Hydrophobically Modified Polyethyleneimines and Ethoxylated Polyethyleneimines,2007年,pp. 24-37 Table. 3,特にTable. 3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
洗浄される金属表面は、部分的に汚れていても、完全に汚れていてもよい。本発明の好適な実施形態では、それぞれの金属表面は、シリカ、アルミナ、酸化鉄、及び煤から選択される少なくとも1種の顔料で汚れており、好ましくはそのような顔料は、前述の顔料のうちの少なくとも2種の組み合わせから選択される。
【0010】
顔料は、人口のものでも天然系でもよい。本発明の好適な実施形態では、そのような顔料は、天然系顔料から選択される。多くの場合、そのような天然系顔料は広い粒径分布を有し、異なる顔料の混合物又は組み合わせである。
【0011】
本発明の方法は、機械的支持体を用いて又は用いずに、好ましくは用いずに、使用することができる。機械的支持は、布もしくはブラシ、又は少なくとも2つのブラシの組み合わせにより適用することができる。本発明のある実施形態では、本発明の方法は、プレッシャーウォッシャー、又はパワーウォッシャー、又はジェットストリームウォッシャーを用いて実施される。
【0012】
本発明の方法は、多分散度Q=M
w/M
nが少なくとも3.5であり、平均分子量M
wが2,500〜1,500,000g/molの範囲である少なくとも1種のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を含む組成物の適用を含む。前記ポリエチレンイミン(B)は、1種以上のC
2〜C
4-アルキレンオキシドでアルコキシル化されていてもよい。本発明に関して、そのような組成物は、本発明の組成物と称することもある。本発明の組成物は、固体もしくは液体、又は泡沫の形態であってもよいが、好ましくは本発明の組成物は液体である。そのような液体は、澄明溶液又は分散液の形態、又はスラリーであってもよく、好ましくは澄明溶液である。
【0013】
本発明の組成物は、多分散度Q=M
w/M
nが少なくとも3.5、好ましくは3.5〜10の範囲、より好ましくは4〜9の範囲、さらに好ましくは4.0〜5.5の範囲である、少なくとも1種のポリエチレンイミン(A)を含む。
【0014】
アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の平均分子量M
wは、2,500〜1,500,000g/molの範囲、好ましくは最大500,000g/mol、より好ましくは最大100,000g/molである。アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の平均分子量M
wは、溶離液として1.5重量%のギ酸水溶液、固定相として架橋ポリヒドロキシエチルメタクリレートを用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0015】
アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の骨格は、それぞれのポリエチレンイミン(A)である。ポリエチレンイミン(A)は、直鎖、分岐、及び高分岐ポリエチレンイミンから選択することができる。本発明に関しては、分岐ポリエチレンイミン(A)は、その分岐度(DB)を特徴とする。分岐度は、例えば、
13C-NMR分光法によって、好ましくはD
2O中で測定することができ、以下のように定義される。
DB=D+T/D+T+L
このとき、D(樹状)が第3級アミノ基の部分に対応し、L(直鎖)が第2級アミノ基の部分に対応し、T(末端)が第1級アミノ基の部分に対応する。
【0016】
本発明に関しては、分岐ポリエチレンイミン(A)は、DBが0.1〜0.95の範囲、好ましくは0.25〜0.90の範囲、特に好ましくは0.30〜0.80%の範囲、殊更好ましくは少なくとも0.5のポリエチレンイミン(A)である。ポリエチレンイミン(A)は、分子量分布に関して単峰性、二峰性、又は多峰性であってもよく、二峰性及び多峰性が好ましい。より詳しくは、下記にさらに記載する。
【0017】
アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は、少なくとも1種のアルキレンオキシド、好ましくは少なくとも1種のC
2〜C
4-アルキレンオキシドでアルコキシル化されている。アルコキシル化に1種より多いアルキレンオキシドが使用されている実施形態では、異なるアルキレン単位が、ランダムに配列されていても、ブロック状に配列されていてもよい。
【0018】
C
2〜C
4-アルキレンオキシドの例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、及び1,4-ブチレンオキシド、並びに前述のもののうちの少なくとも2種の組み合わせがある。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの組み合わせが好ましい。
【0019】
本発明の一実施形態では、アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は、エチレンオキシド及び1種以上のC
3〜C
4-アルキレンオキシドでアルコキシル化されており、アルキレンオキシドはブロック状に配列されている。
【0020】
本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)が、2種以上のC
2〜C
4-アルキレンオキシドの組み合わせを用いたポリエチレンイミン(A)のアルコキシル化によって作製されている実施形態、例えばエトキシル化/プロポキシル化ポリエチレンイミン(B)では、そのようなアルキレンオキシド単位は、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)中にランダムに配列されていても、ブロック状に配列されていてもよいが、ブロック状が好ましい。
【0021】
本発明の一実施形態では、アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は、骨格とアルキレンオキシド単位とを4:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:50の範囲の重量比で含んでいる。
【0022】
本発明の組成物は、溶媒系組成物であっても水性組成物であってもよい。「溶媒系組成物」という用語は、連続相が液体であり、その50容量%以上が有機溶媒又は有機溶媒の組み合わせである組成物を指す。「水性組成物」という用語は、連続相が液体であり、その50容量%超が水である組成物を指す。有機溶媒の例は、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール(1,2-プロパノール)、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチル1,3-プロパンジオール)である。本発明に関する有機溶媒は周囲温度で液体である。
【0023】
本発明の一実施形態では、本発明の方法は、周囲温度〜70℃、好ましくは周囲温度〜40℃の範囲の温度で実施される。
【0024】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物は、0.1〜10重量%の範囲のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を含む。
【0025】
本発明の方法は、優れた洗浄結果をもたらす。汚れ及び好ましくは顔料系の汚れ、とりわけ天然系顔料は、容易に大部分を金属表面から除去することができる。錆は、それぞれの金属表面から少なくとも部分的に除去することができる。さらに、本発明の方法の実施によって、顔料が極めて良好に分散され、その再沈着の傾向も軽減することが判明した。
【0026】
本発明のさらなる態様は、アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)であるが、これは以下では本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)、又は本発明によるアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)、又は簡潔にアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)とも称する。アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の平均分子量M
wは、2,500〜1,500,000g/molの範囲、好ましくは最大500,000g/mol、より好ましくは最大100,000g/molである。アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の平均分子量M
wは、溶離液として1.5重量%のギ酸水溶液、固定相として架橋ポリヒドロキシエチルメタクリレートを用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0027】
本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は、少なくとも3.5、好ましくは3.5〜10の範囲、より好ましくは4〜9の範囲、さらに好ましくは4.0〜5.5の多分散度Q=M
w/M
nを示す。
【0028】
本発明の一実施形態では、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は、アルキレンオキシド単位とN原子とを1:1〜100:1の範囲、好ましくは2:1〜50:1の範囲のモル比で含み、N原子がアルキレンイミン単位に由来するものから選択される。アルキレンイミン単位は、その大部分、例えばアルキレンイミン単位の総量に対して少なくとも60mol%、好ましくは少なくとも70mol%がエチレンイミン単位である。
【0029】
本発明の特定の実施形態では、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は、アルキレンオキシド単位とN原子とを1:1〜100:1の範囲、好ましくは2:1〜50:1の範囲のモル比で含み、N原子がエチレンイミン単位に由来し、プロピレンイミン単位以外のアルキレンイミン単位を含まないものから選択される。
【0030】
本発明の一実施形態では、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の平均分子量(数平均)は、GPCで測定して2,500〜1,500,000g/molの範囲、好ましくは最大500,000g/molである。
【0031】
本発明の一実施形態では、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミンの平均分子量M
wは、最大500,000g/mol、好ましくは最大100,000g/molである。
【0032】
本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は、ポリエチレンイミン(A)のアルコキシル化によって、好都合に作製することができる。ポリエチレンイミン(A)について、以下により詳しく記載する。
【0033】
ポリエチレンイミン(A)は、少なくとも3.5の多分散度Q=M
w/M
n及び2,000〜1,000,000g/molの範囲の平均分子量M
wを示す。
【0034】
ポリエチレンイミン(A)は、少なくとも3.5、好ましくは3.5〜10の範囲、より好ましくは4〜9の範囲、さらに好ましくは4.0〜5.5の範囲の多分散度Q=M
w/M
nを示す。
【0035】
ポリエチレンイミン(A)の平均分子量M
wは、550〜100,000g/molの範囲、好ましくは最大50,000g/mol、より好ましくは800g/mol〜最大25,000g/molである。ポリエチレンイミン(A)の平均分子量M
wは、溶離液として1.5重量%のギ酸水溶液、固定相として架橋ポリヒドロキシエチルメタクリレートを用いたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0036】
本発明に関して「ポリエチレンイミン」という用語は、ポリエチレンイミンホモポリマーだけでなく、NH-CH
2-CH
2-NH構造要素を他のアルキレンジアミン構造要素、例えばNH-CH
2-CH
2-CH
2-NH構造要素、NH-CH
2-CH(CH
3)-NH構造要素、NH-(CH
2)
4-NH構造要素、NH-(CH
2)
6-NH構造要素、又は(NH-(CH
2)
8-NH構造要素と一緒に含むが、NH-CH
2-CH
2-NH構造要素がモル率に関して大部分を占めるポリアルキレンイミンを指す。好適なポリエチレンイミンは、モル率に関して大部分を占める、例えば、全アルキレンイミン構造要素に対して60mol%以上に達する、より好ましくは少なくとも70mol%に達するNH-CH
2-CH
2-NH構造要素を含む。特定の実施形態では、ポリエチレンイミンという用語は、NH-CH
2-CH
2-NHとは異なるアルキレンイミン構造要素を分子1個当たり1個のみ又は0個有するポリアルキレンイミンを指す。
【0037】
分岐は、アルキレンアミノ基、限定するものではないが、例えば-CH
2-CH
2-NH
2基又は(CH
2)
3-NH
2-基であってもよい。より長い分岐は、例えば、-(CH
2)
3-N(CH
2CH
2CH
2NH
2)
2基又は-(CH
2)
2-N(CH
2CH
2NH
2)
2基であってもよい。高分岐ポリエチレンイミンは、例えば、分岐度が0.25〜0.95の範囲、好ましくは0.30〜0.80の範囲、特に好ましくは少なくとも0.5のポリエチレンイミンデンドリマー又は関連分子である。分岐度は、例えば、
13C-NMR又は
15N-NMR分光法によって、好ましくはD
2O中で測定することができ、以下のように定義される。
DB=D+T/D+T+L
このとき、D(樹状)が第3級アミノ基の部分に対応し、L(直鎖)が第2級アミノ基の部分に対応し、T(末端)が第1級アミノ基の部分に対応する。
【0038】
本発明に関して、分岐ポリエチレンイミン(A)は、DBが0.25〜0.95の範囲、特に好ましくは0.30〜0.90%の範囲、殊更好ましくは少なくとも0.5のポリエチレンイミン(A)である。
【0039】
本発明に関して、CH
3-基は分岐とみなされない。
【0040】
好適なポリエチレンイミン(A)は、ほとんど又は全く分岐を示さないものであり、したがって主に直鎖又は直鎖のポリエチレンイミン骨格である。
【0041】
ポリエチレンイミン(A)は、好ましくは、単一の反応器又はプラグ流反応器と半非連続式タンク型反応器との組み合わせで、半非連続的な方法で作製される。他の実施形態では、ポリエチレンイミン(A)は、異なる平均分子量を有する(例えば、M
wの最大値に5,000〜1,000,000g/molの範囲の差がある)2種以上のポリエチレンイミンを組み合わせることによって作製される。
【0042】
ポリエチレンイミン(A)を作製する方法は、好ましくは、
(a1)反応器に、水と、アミン又はジアミンと、CO
2、ブレンステッド酸、及びハロゲン化アルキルから選択される開始剤とを入れる工程、
(a2)重合条件下で、開始剤、アミン、及び水をさらに添加せずに、エチレンイミン、及び場合により少なくとも1種の置換アジリジンを添加する工程、
(a3)少なくとも99%の変換時又は5〜30時間後に、エチレンオキシド及び前記場合により添加する1種の置換アジリジンの添加を中止する工程、
(a4)反応混合物を反応条件で少なくとも2時間維持する工程
を含む。
【0043】
工程(a1)で有用なアミンの例は、脂肪族モノアミンから選択される。具体例は、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、1-プロピルアミン、2-プロピルアミンである。ジアミンの例は、脂肪族及び脂環式及び芳香族ジアミン、例えば1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、3,3-ジメチルアミノプロピルアミン、イソホロンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、並びにエチレンジアミンのある種のオリゴマー、例えばジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンである。メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、1,2-ジアミノエタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、又は3,3-ジメチルアミノプロピルアミン、特に1,2-ジアミノエタン(別名:エチレンジアミン)が好ましい。
【0044】
工程(a1)で添加する適切な開始剤は、二酸化炭素、ブレンステッド酸、限定するものではないが、例えば硫酸、メタンスルホン酸、及び有機酸、例えばギ酸、酢酸、安息香酸、さらにハロゲン化アルキル、限定するものではないが、例えば塩化ブチル、例えばn-クロロブタン及びtert.-ブチルクロリドであり、ハロゲン化アルキルという用語は、脂肪族ジハロゲン化物、例えば1,2-ジクロロエタンも包含する。
【0045】
一実施形態では、工程(a1)及び(a2)において、アジリジンの総量に対して0重量%〜最大50重量%、好ましくは最大20重量%の水が使用される。
【0046】
一実施形態では、工程(a1)及び(a2)において、アジリジンの総量に対してそれぞれ0.01重量%〜最大10重量%、好ましくは0.5重量%〜最大5重量%のアミン又はジアミンが使用される。
【0047】
一実施形態では、工程(a1)及び(a2)において、アジリジンの総量に対して合計で10重量ppm〜最大10重量%、好ましくは2重量%〜最大8重量%のCO
2、ブレンステッド酸、又はハロゲン化アルキルが使用される。
【0048】
工程(a2)では、エチレンイミンと、場合により、少なくとも1種の置換アジリジン、限定するものではないが、例えば2-メチルアジリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)アジリジン、及び1-(2-アミノエチル)アジリジンとが添加される。工程(a2)でエチレンイミンと少なくとも1種の置換アジリジンとの混合物が添加される実施形態では、エチレンイミンのモル百分率は少なくとも50%である。
【0049】
工程(a2)による添加は、重合条件下で実施される。重合条件とは、60〜200℃、好ましくは88〜180℃の範囲の温度を指す。圧力は、好ましくは1〜50バール、好ましくは2〜10バールの範囲である。
【0050】
工程(a2)の最中には、さらなる開始剤もさらなるアミンも添加されない。また、水も添加されない。エチレンイミンの残留水分は、例えあったとしても本発明に関しては水添加とはみなされない。
【0051】
本発明の一実施形態では、工程(a2)の持続時間は、2〜30時間の範囲、好ましくは少なくとも5時間である。残留モノマー含有量は、(a2)の完了後、好ましくは1ppm以下である。残留コモノマー含有量は、Preussmann試験(von Preussmann et al., Arzneimittelforschung 1969, 19, 1059を参照)に従って、4-(パラ-ニトロベンジル)ピリジンを用いて測定することができる。
【0052】
本発明の好適な実施形態では、ポリエチレンイミン(A)の合成は、半非連続的に操作されるタンク型反応器と組み合わせた管型反応器で実施される。
【0053】
本発明の一実施形態では、ポリエチレンイミン(A)の分子量分布は二峰性又は多峰性である。
【0054】
本発明の一実施形態では、ポリエチレンイミン(A)の第1級アミン価は、1〜1000mg KOH/g、好ましくは10〜500mg KOH/g、最も好ましくは50〜300mg KOH/gの範囲である。第1級アミン価は、ASTM D2074-07に従って測定することができる。
【0055】
本発明の一実施形態では、ポリエチレンイミン(A)の第2級アミン価は、10〜1000mg KOH/g、好ましくは50〜500mg KOH/g、最も好ましくは50〜500mg KOH/gの範囲である。第2級アミン価は、ASTM D2074-07に従って測定することができる。
【0056】
本発明の一実施形態では、ポリエチレンイミン(A)の第3級アミン価は、1〜300mg KOH/g、好ましくは〜5〜200mg KOH/g、最も好ましくは10〜100mg KOH/gの範囲である。第3級アミン価は、ASTM D2074-07に従って測定することができる。
【0057】
本発明の一実施形態では、第3級N原子のモル率は、
15N-NMR分光法で測定される。第3級アミン価と
13C-NMR分光法による結果が一致しない場合、
13C-NMR分光法によって得られた結果が優先される。
【0058】
本発明の特定の実施形態では、特に本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を酸性条件で適用することが所望される場合、アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)はプロトン化又は少なくとも部分的にプロトン化され、対イオンを有してもよい。適切な対イオンの非限定的例は、硫酸塩及びモノメチル硫酸であり、モノメチル硫酸が好適である。
【0059】
本発明の別の態様は、
(a)1つの反応器で半非連続的にポリエチレンイミン(A)を作製する工程、及び
(b)塩基の存在下で、ポリエチレンイミン(A)を少なくとも1種のC
2〜C
4-アルキレンオキシドと反応させる工程、
によって作製されたポリエチレンイミン(A)を骨格として有するアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)に関する。
【0060】
本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミンは、本発明の方法に特に有用であり、本発明の組成物の特に有用な成分である。
【0061】
本発明のさらなる態様は、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を作製する方法に関し、本発明に関して、本発明の2工程法とも称される。本発明の2工程法は、
(a)ポリエチレンイミン(A)を得る工程、及び
(b)塩基の存在下で、ポリエチレンイミン(A)を少なくとも1種のC
2〜C
4-アルキレンオキシドと反応させる工程
を含む。
【0062】
ポリエチレンイミン(A)及びその製造方法については、上記に記載した。工程(a)では、そのようなポリエチレンイミン(A)は、バルクで得ても溶液として得てもよいが、バルクが好適である。
【0063】
本発明の2工程法の工程(b)は、工程(a)で得られたポリプロピレンイミンを少なくとも1種のC
2〜C
4-アルキレンオキシド、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又は前述のアルキレンオキシドのうちの少なくとも2種の混合物と反応させる工程を含む。エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、及びエチレンオキシドと1,2-プロピレンオキシドとの混合物が好ましい。少なくとも2種のアルキレンオキシドの混合物を適用する場合、これらは段階的又は同時に反応させることができる。
【0064】
本発明の2工程法の工程(b)は、塩基の存在下で実施される。適切な塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド又はカリウムアルコキシド、例えばカリウムメチラート(KOCH
3)、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムエトキシド、及びナトリウムメチラート(NaOCH
3)であり、好ましくは水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムから選択される。触媒のさらなる例は、アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物、例えば水素化ナトリウム及び水素化カルシウム、並びにアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムである。アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドが好ましく、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが特に好ましい。塩基の典型的な使用量は、ポリエチレンイミン(A)とC
2〜C
4-アルキレンオキシドとの総量に対して、0.05〜10重量%、とりわけ0.5〜2重量%である。
【0065】
本発明の一実施形態では、本発明の2工程法の工程(b)は、密閉容器中、90〜240℃、好ましくは120〜180℃の範囲の温度で実施される。
【0066】
本発明の一実施形態では、本発明の2工程法の工程(b)は、1〜10バール、好ましくは1〜8バールの範囲の圧力で実施される。
【0067】
本発明の一実施形態では、選択される反応温度で、アルキレンオキシド又はそれぞれのC
2〜C
4-アルキレンオキシド混合物の蒸気圧下、C
2〜C
4-アルキレンオキシドをポリエチレンイミン(A)及び場合により触媒に導入する。C
2〜C
4-アルキレンオキシドは、純粋な状態で、又は代替法として、希ガスもしくは窒素等の不活性ガスで最大30〜60容量%に希釈して導入することができる。この計測によって、C
2〜C
4-アルキレンオキシドの爆発性の重付加に対してさらなる安全性が得られる。
【0068】
複数のC
2〜C
4-アルキレンオキシドを導入する場合、異なるアルキレンオキシド単位が事実上ランダムに分布されたポリエーテル鎖が形成される。ポリエーテル鎖に沿った単位の分布の変更は、C
2〜C
4-アルキレンオキシドの異なる反応速度によってもたらすことができる。ポリエーテル鎖に沿った単位の分布の変更は、プログラム制御された組成のアルキレンオキシド混合物を連続的に導入することによっても任意に達成することができる。異なるC
2〜C
4-アルキレンオキシドを続いて反応させる場合には、アルキレンオキシド単位のブロック型分布を有するポリエーテル鎖が得られる。
【0069】
本発明の好適な実施形態では、本発明の2工程法の工程(b)は、第1の下位工程がポリエチレンイミン(A)の初期アルコキシル化のみを最初に行うことにある、2つ以上の下位工程からなり得る。初期アルコキシル化では、ポリエチレンイミン(A)を、使用するC
2〜C
4-アルキレンオキシドの総量の一部と反応させ、その量はNH部分1モル当たりアルキレンオキシド0.9〜1モルに相当する。初期アルコキシル化は、一般に、触媒の不在下で、好ましくは水溶液中で行われる。
【0070】
本発明の一実施形態では、初期アルコキシル化は、70〜200℃、好ましくは80〜160℃の反応温度で実施することができる。
【0071】
本発明の一実施形態では、初期アルコキシル化は、最大10バール、好ましくは最大8バールの圧力で作用させてよい。
【0072】
第2の下位工程、及び場合により後続する下位工程では、次いでC
2〜C
4-アルキレンオキシドとの後続反応によって、さらなるアルコキシル化が実施される。さらなるアルコキシル化は、典型的には触媒の存在下で行われる。
【0073】
第2の下位工程、及び場合により後続する下位工程は、それぞれ実施形態(i)のバルクでも、実施形態(ii)の有機溶媒中で行ってもよい。実施形態(i)では、初期アルコキシル化されたポリエチレンイミン(A)の水溶液から水を除去してもよい。そのような水除去は、0.01〜0.5バールの範囲の減圧下で80〜150℃の範囲の温度に加熱し、水を留去することによって行うことができる。
【0074】
本発明の一実施形態では、C
2〜C
4-アルキレンオキシドとの後続反応は、典型的には、70〜200℃、好ましくは100〜180℃の範囲の反応温度で実施される。
【0075】
本発明の一実施形態では、C
2〜C
4-アルキレンオキシドとの後続反応は、典型的には、最大10バール、とりわけ最大8バールの圧力で実施される。
【0076】
本発明の一実施形態では、C
2〜C
4-アルキレンオキシドとの後続反応の反応時間は、一般に、0.5〜12時間の範囲である。
【0077】
実施形態(ii)に適した有機溶媒の例は、非極性及び極性非プロトン性有機溶媒である。特に適切な非極性非プロトン性溶媒の例としては、脂肪族及び芳香族炭化水素、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、及びキシレンが挙げられる。特に適切な極性非プロトン性溶媒の例は、エーテル、とりわけ環状エーテル、例えばテトラヒドロフラン及び1,4-ジオキサン、さらにN,N-ジアルキルアミド、例えばジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド、並びにN-アルキルラクタム、例えばN-メチルピロリドンである。また、上記の有機溶媒のうちの少なくとも2種の混合物を使用することも可能である。好適な有機溶媒は、キシレン及びトルエンである。
【0078】
実施形態(ii)では、第1の工程で触媒及び溶媒の添加前又は添加後に得られた溶液は、アルキレンオキシドに接触させる前に脱水し、そのような水除去は、120〜180℃の範囲の温度で、好ましくは窒素流で維持し、水を除去することにより有利に行われる。アルキレンオキシドとの後続反応は、実施形態(i)と同様に実施することができる。実施形態(i)では、本発明によるアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は直接バルクで得られ、所望であれば、これを水に溶解してもよい。実施形態(ii)では、有機溶媒が典型的には水に置き換えられる。本発明によるアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は、代替法として、バルクで単離してもよい。
【0079】
本発明の2工程法の工程(b)の後、本発明によるアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)が得られる。
【0080】
本発明のさらなる態様は、少なくとも1種の本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を含む水性組成物を対象とする。本発明に関して、そのような組成物は、本発明の組成物、又は本発明の水性組成物、又は本発明による(水性)組成物とも称される。本発明の組成物は、
(i)少なくとも1種の本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)、
並びに、場合により、
(ii)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤、
(iii)ポリアルコキシル化C
1〜C
4-アルカノール、ポリアルコキシル化脂肪アルコール、及びポリアルコキシル化フェノールから選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤
から選択される少なくとも1種のさらなる成分
を含む。
【0081】
本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)については、上記した。
【0082】
カチオン性界面活性剤(ii)は、分子1個当たり少なくとも1つの正味カチオン電荷を有する界面活性剤である。そのようなカチオン電荷は、pH値と無関係であっても、低いpH値、例えば4以下のpH値であってもよい。カチオン性界面活性剤の例は、N原子が少なくとも1種のC
10〜C
40-アルキル基又は少なくとも1種のC
10〜C
40-アルケン基を有する第4級アンモニウム塩、例えばラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、n-C
16H
33-N(CH
3)
3クロリド、モノ-C
10〜C
25-アルキルアンモニウム塩、及びN-ジメチル-N-(C
7〜C
25-ヒドロキシアルキル)アンモニウム塩である。
【0083】
適切な非イオン性界面活性剤(iii)は、ポリアルコキシル化C
1〜C
4-アルカノール及びポリアルコキシル化フェノールから選択される。好ましくは、ポリアルコキシル化C
1〜C
4-アルカノール及びポリアルコキシル化フェノールは、ポリエトキシル化C
1〜C
4-アルカノール、ポリプロポキシル化C
1〜C
4-アルカノール、ポリエトキシル化フェノール、及びポリプロポキシル化フェノール、並びにエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの組み合わせでアルコキシル化されているC
1〜C
4-アルカノール、並びにエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの組み合わせでアルコキシル化されているフェノール(それぞれ平均ポリアルコキシル化度が1〜15の範囲、好ましくは最大5である)から選択される。具体例は、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-メチルエーテル、及びプロピレングリコールモノフェニルエーテルである。
【0084】
ポリアルコキシル化脂肪アルコールは、ポリアルコキシル化C
6〜C
22-アルカノール及びポリアルコキシル化C
6〜C
22-アルケノールから、好ましくはポリアルコキシル化C
8〜C
18-アルカノール及びポリアルコキシル化C
6〜C
22-アルケノールから選択され、前記C
6〜C
22-アルカノールは、分岐、又は好ましくは直鎖である。アルコキシル化度は、好ましくは1.5〜20の範囲である。ポリエトキシル化C
6〜C
22-アルカノール、ポリプロポキシル化C
6〜C
22-アルカノール、ポリエトキシル化C
6〜C
22-アルケノール、及びポリプロポキシル化C
6〜C
22-アルケノールがより好適である。
【0085】
本発明の一実施形態では、本発明の水性組成物は、
(i)合計で0.1〜10重量%の範囲、好ましくは最大5重量%、さらに好ましくは0.25〜2重量%のポリエチレンイミン(A)及び/又はアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)、
(ii)場合により、0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%のカチオン性界面活性剤、
(iii)場合により、0.5〜20重量%の非イオン性界面活性剤
を含む。
【0086】
百分率は、本発明の組成物全体に対するものである。
【0087】
本発明の組成物は、それぞれの構成要素を水と混合することによって製造することができる。添加順序は重要ではない。
【0088】
本発明の別の態様は、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の硬質表面洗浄及び繊維洗浄のための使用に関し、以下、本発明の硬質表面洗浄及び本発明の繊維洗浄と称する。
【0089】
本発明の繊維洗浄は、本発明に関して、洗濯とも称される。繊維洗浄には、工業製品洗浄用途及び家庭での手入れ用途の両方が含まれる。本発明の繊維洗浄に適した組成物は、本発明の洗濯洗剤組成物と称されることもある。本発明の洗濯洗剤組成物は、液体組成物、ゲル組成物、又は固体組成物であってもよく、固体の実施形態は、例えば粉末及びタブレットを包含する。液体組成物は、単位用量として包装されていてもよい。
【0090】
本発明の洗濯洗剤組成物は、好ましくは、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤(C)及び少なくとも1種のビルダー(D)を含む。適切なビルダー(D)は、クエン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、ホスホン酸塩、アミノカルボン酸塩、及びポリカルボン酸塩から選択することができる。
【0091】
本発明の一実施形態では、本発明の洗濯洗剤は、
(i)0.1〜15重量%の範囲、好ましくは最大5重量%、さらに好ましくは0.25〜2.5重量%のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)、
(ii)合計で1〜60重量%の範囲、好ましくは15〜25重量%のアニオン性界面活性剤(C)、
(iii)合計で1〜20重量%の範囲、好ましくは2.5〜15重量%のビルダー
を含む(百分率は、その都度それぞれの洗濯洗剤の全固形分に対するものである)。
【0092】
適切なアニオン性界面活性剤(C)の例は、C
8〜C
12-硫酸アルキル、C
12〜C
18-脂肪アルコール硫酸エーテル、C
12〜C
18-脂肪アルコール硫酸ポリエーテル、エトキシル化C
4〜C
12-アルキルフェノールの硫酸半エステル(エトキシル化:エチレンオキシド/molが3〜50mol)、C
12〜C
18-アルキルスルホン酸、C
12〜C
18スルホ脂肪酸アルキルエステル、例えばC
12〜C
18スルホ脂肪酸メチルエステル、C
10〜C
18-アルキルアリールスルホン酸、好ましくはn-C
10〜C
18-アルキルベンゼンスルホン酸、C
10〜C
18アルキルアルコキシカルボキシレート、及び石鹸、例えばC
8〜C
24-カルボン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩である。前述の化合物のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0093】
本発明の一実施形態では、アニオン性界面活性剤(C)は、n-C
10〜C
18-アルキルベンゼンスルホン酸及び脂肪アルコール硫酸ポリエーテルから選択され、本発明に関して、これはとりわけ、エトキシル化C
12〜C
18-アルカノール、好ましくはn-C
12〜C
18-アルカノールの硫酸半エステル(エトキシル化:エチレンオキシド/molが1〜50mol)である。
【0094】
ビルダー(D)の例は、錯化剤、イオン交換化合物、及び沈殿剤(D)である。錯化剤は、以下、錯化剤(D)とも称する。ビルダー(D)の例は、クエン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、ホスホン酸塩、アミノカルボン酸塩、及びポリカルボン酸塩である。
【0095】
錯化剤(D)(「金属イオン封鎖剤」)の例は、錯化剤、限定するものではないが、例えばクエン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、ケイ酸塩、並びにエチレンジアミン四酢酸塩、ジエチレンペンタミン五酢酸塩、メチルグリシン二酢酸塩、及びグルタミン二酢酸塩から選択されるエチレンアミン誘導体から選択される。錯化剤(D)について、以下により詳しく記載する。
【0096】
沈殿剤(D)の例は、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムである。
【0097】
本発明の一実施形態では、本発明による使用は、アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の少なくとも1種の酵素(E)との併用を含む。有用な酵素は、例えば、1種以上のリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼ、並びに前述の種類のうちの少なくとも2種の組み合わせである。
【0098】
本発明による使用は、あらゆる種類の洗濯物、及びあらゆる種類の繊維に対応することができる。繊維は、天然起源であっても合成起源であってもよく、又は天然繊維と合成繊維の混合物であってもよい。天然起源の繊維の例は、木綿及び羊毛である。合成起源の繊維の例は、ポリウレタン繊維、例えばSpandex(登録商標)もしくはLycra(登録商標)、ポリエステル繊維、又はポリアミド繊維である。繊維は、単一の繊維であっても、ニットウェア、織物、又は不織布等のテキスタイルの一部であってもよい。
【0099】
本発明による使用は、アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を液体として、例えば溶液もしくはゲルとして、泡沫として、又は固体として繊維に適用することによって実施することができる。洗浄液中にアルコキシレート(A)を使用するのが好ましい。これは適用前に配合物として保管することができ、この配合物は固体でも液体でもよいが、液体が好ましい。
【0100】
好ましくは、本発明による使用は、洗浄、例えば洗濯物の汚れ落としや脱脂等のために実施することができる。除去される汚れ又は汚物は、タンパク質、グリース、脂、油、皮脂、非極性の汚れ、例えば煤及び炭化水素の不完全燃焼の副生成物、粒子の染み、例えば顔料及び粘土、又は前述のもののうちの少なくとも2種の混合物であり得る。グリース除去(脱脂)及び粘土汚れ除去/再付着防止のための本発明による使用は特に好ましい。
【0101】
本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は、15〜90℃の範囲、好ましくは20〜60℃の範囲の温度で使用するのが好ましい。
【0102】
本発明による使用は、手動で実施してもよいが、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を機械的に、例えば洗濯機で適用することが好ましい。
【0103】
本発明による洗濯洗剤組成物は、少なくとも1種のビルダー(D)を含んでいてもよい。本発明に関して、ビルダーと他で「コビルダー」と称される構成要素とは区別しない。ビルダー(D)の例は、錯化剤、イオン交換化合物、及び沈殿剤(D)である。錯化剤は、以下、錯化剤(D)とも称する。ビルダーは、クエン酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、ホスホン酸塩、アミノカルボン酸塩、及びポリカルボン酸塩から選択される。
【0104】
本発明に関して、クエン酸塩という用語としては、モノアルカリ金属塩及びジアルカリ金属塩、並びにとりわけクエン酸の一ナトリウム塩及び好ましくは三ナトリウム塩、クエン酸のアンモニウム塩又は置換アンモニウム塩、並びにクエン酸が挙げられる。クエン酸塩は、無水化合物又は水和物、例えばクエン酸ナトリウム二水和物として使用することができる。クエン酸塩の量は、無水クエン酸三ナトリウムに対して計算される。
【0105】
リン酸塩という用語には、メタリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、及びポリリン酸塩、例えばトリポリリン酸ナトリウムが含まれる。しかしながら、好ましくは、本発明による組成物は、リン酸水素塩を含むリン酸塩及びポリリン酸塩を含まず、例えばリン酸三ナトリウム、トリポリリン酸五ナトリウム、及びメタリン酸六ナトリウムを含まない(「無リン酸塩」)。リン酸塩及びポリリン酸塩に関連して、「含まない」とは、本発明に関しては、リン酸塩及びポリリン酸塩の含有量が、重量測定により合計でそれぞれの組成物の10重量ppm〜0.2重量%の範囲であることを意味すると理解されるものとする。
【0106】
炭酸塩という用語には、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸水素が含まれ、ナトリウム塩が好ましい。Na
2CO
3が特に好ましい。
【0107】
ホスホン酸塩の例は、ヒドロキシアルカンホスホン酸塩及びアミノアルカンホスホン酸塩である。ヒドロキシアルカンホスホン酸塩の中でも、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸塩(HEDP)はビルダーとして特に重要である。これは好ましくは、ナトリウム塩、中性の二ナトリウム塩及びアルカリ性(pH9)の四ナトリウム塩として使用される。適切なアミノアルカンホスホン酸塩は、好ましくはエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸塩(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸塩(DTPMP)、及びそれらの高級同族体である。これらは好ましくは、中性反応性ナトリウム塩の形態で、例えば、EDTMPの六ナトリウム塩として、又はDTPMPの七ナトリウム塩及び八ナトリウム塩として使用される。
【0108】
アミノカルボン酸塩及びポリカルボン酸塩の例は、ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、トリエチレンテトラアミン六酢酸塩、プロピレンジアミン四酢酸、エタノールジグリシン、メチルグリシン二酢酸塩(MGDA)、及びグルタミン酸二酢酸塩(GLDA)である。アミノカルボン酸塩及びポリカルボン酸塩という用語には、それぞれの非置換又は置換アンモニウム塩及びアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、とりわけそれぞれの完全に中和された化合物が含まれる。
【0109】
本発明に関するケイ酸塩には、とりわけ二ケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸ナトリウム、アルモケイ酸塩(alumosilicate)、例えばゼオライト及び層状ケイ酸塩、とりわけ式α-Na
2Si
2O
5、β-Na
2Si
2O
5、及びδ-Na
2Si
2O
5が含まれる。
【0110】
本発明による組成物は、上記していない材料から選択される1種以上のビルダーを含んでいてもよい。ビルダーの例は、α-ヒドロキシプロピオン酸及び酸化デンプンである。
【0111】
本発明の一実施形態では、ビルダー(D)は、ポリカルボン酸塩から選択される。「ポリカルボン酸塩」という用語には、非ポリマーのポリカルボン酸塩、例えばコハク酸、C
2〜C
16-アルキル二コハク酸塩、C
2〜C
16-アルケニル二コハク酸塩、エチレンジアミンN,N'-二コハク酸、酒石酸二酢酸塩、アルカリ金属マロン酸塩、酒石酸一酢酸塩、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、及びシクロペンタンテトラカルボン酸が含まれる。
【0112】
オリゴマー又はポリマーのポリカルボン酸塩は、例えば、ポリアスパラギン酸、又はとりわけ(メタ)アクリル酸ホモポリマーもしくは(メタ)アクリル酸コポリマーのアルカリ金属塩である。
【0113】
適切なコモノマーは、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、及びシトラコン酸である。適切なポリマーは、とりわけ、好ましくは平均分子量M
wが2,000〜40,000g/mol、好ましくは2,000〜10,000g/mol、とりわけ3,000〜8,000g/molの範囲のポリアクリル酸である。また、コポリマーのポリカルボン酸塩、とりわけアクリル酸とメタクリル酸とのもの、及びアクリル酸又はメタクリル酸とマレイン酸及び/又はフマル酸とのものも適している。
【0114】
また、モノエチレン性不飽和C
3〜C
10-モノカルボン酸もしくはC
4〜C
10-ジカルボン酸又はそれらの無水物、例えばマレイン酸、マレイン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、及びシトラコン酸からなる群からの少なくとも1種のモノマーの、以下に挙げる少なくとも1種の親水性又は疎水性に改質されたモノマーとのコポリマーも使用可能である。
【0115】
適切な疎水性モノマーは、例えば、イソブテン、ジイソブテン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、及びスチレン、10個以上の炭素原子を有するオレフィン、又はそれらの混合物、例えば、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセン、1-ドコセン、1-テトラコセン、及び1-ヘキサコセン、C
22-α-オレフィン、C
20〜C
24-α-オレフィンと1分子当たり平均12〜100個の炭素原子を有するポリイソブテンとの混合物である。
【0116】
適切な親水性モノマーは、スルホン酸基又はホスホン酸基を有するモノマー、及びヒドロキシル官能基又はアルキレンオキシド基を有する非イオン性モノマーである。例としては、アリルアルコール、イソプレノール、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリ(プロピレンオキシド-コ-エチレンオキシド)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリブチレングリコール(メタ)アクリレート、及びエトキシポリ(プロピレンオキシド-コ-エチレンオキシド)(メタ)アクリレートを挙げることができる。ここで、ポリアルキレングリコールは、1分子当たり3〜50個、とりわけ5〜40個、特に10〜30個のアルキレンオキシド単位を含み得る。
【0117】
ここで特に好適なスルホン酸基含有モノマーは、1-アクリルアミド-1-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-メタクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2-メチル-2-プロペン-1-スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3-スルホプロピルアクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、3-スルホプロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及び前記酸の塩、例えばそれらのナトリウム塩、カリウム塩、又はアンモニウム塩である。
【0118】
特に好適なホスホン酸基含有モノマーは、ビニルホスホン酸及びその塩である。
【0119】
さらに、両性ポリマーもビルダーとして使用することができる。
【0120】
本発明による組成物は、特に固体配合物の場合には、例えば、合計で0.1〜70重量%の範囲、好ましくは10〜50重量%、好ましくは最大20重量%のビルダー(D)を含み得る。本発明による液体配合物は、好ましくは、0.1〜8重量%の範囲のビルダー(D)を含む。
【0121】
本発明による配合物は、1種以上のアルカリ性担体を含み得る。アルカリ性担体は、アルカリ性pHが所望される場合、例えば少なくとも9のpHを確保する。例えば、上述のアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、及びアルカリ金属メタケイ酸塩に加えて、アルカリ金属水酸化物も適している。好適なアルカリ金属は、いずれの場合もカリウムであり、特に好ましくはナトリウムである。
【0122】
有用な酵素(E)の例は、1種以上のリパーゼ、ヒドロラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、及びペルオキシダーゼ、並びに前述の種類のうちの少なくとも2種の組み合わせである。
【0123】
酵素(E)は、洗浄有効量を提供するのに十分なレベルで組み込むことができる。活性酵素の好適な量は、本発明による洗剤組成物中、0.001重量%〜5重量%の範囲である。酵素と共に、例えばカルシウムイオン、ホウ酸、ボロン酸、プロピレングリコール、及び短鎖カルボン酸等の酵素安定化系を使用してもよい。本発明に関して、短鎖カルボン酸は、1分子当たり1〜3個の炭素原子を有するモノカルボン酸及び1分子当たり2〜6個の炭素原子を有するジカルボン酸から選択される。好適な例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、HOOC(CH
2)
3COOH、アジピン酸、及び前述のもののうちの少なくとも2種の混合物、並びにそれぞれのナトリウム塩及びカリウム塩である。
【0124】
本発明による組成物は、1種以上の漂白料(F)(漂白剤)を含んでいてもよい。
【0125】
好適な漂白剤(F)は、無水物、又は例えば一水和物もしくは四水和物もしくはいわゆる二水和物としての過ホウ酸ナトリウム、無水物、又は例えば一水和物としての過炭酸ナトリウム、及び過硫酸ナトリウムから選択され、「過硫酸塩」という用語には、いずれの場合も過酸H
2SO
5の塩及びペルオキソ二硫酸塩が含まれる。
【0126】
これに関連して、アルカリ金属塩は、いずれの場合もアルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属過ホウ酸水素塩、及びアルカリ金属過硫酸水素塩であり得る。しかしながら、いずれの場合も二アルカリ金属塩が好適である。
【0127】
本発明による配合物は、1種以上の漂白触媒を含み得る。漂白触媒は、オキサジリジニウム系漂白触媒、漂白促進性遷移金属塩もしくは遷移金属錯体、例えばマンガン-、鉄-、コバルト-、ルテニウム-、もしくはモリブデン-サレン錯体又はカルボニル錯体から選択することができる。マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタン、バナジウム、及び銅の窒素含有三脚型配位子との錯体、並びにコバルト-、鉄-、銅-、及びルテニウム-アミン錯体を漂白触媒として使用してもよい。
【0128】
本発明による配合物は、1種以上の漂白活性剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミン、テトラアセチルメチレンジアミン、テトラアセチルグリコールウリル、テトラアセチルヘキシレンジアミン、アシル化フェノールスルホン酸塩、例えばn-ノナノイル-もしくはイソノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、N-メチルモルホリニウム-アセトニトリル塩(「MMA塩」)、トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩、N-アシルイミド、例えばN-ノナノイルスクシンイミド、1,5-ジアセチル-2,2-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(「DADHT」)、又はニトリルクワット(nitrile quat)(トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩)を含み得る。
【0129】
本発明による配合物は、1種以上の腐食抑制剤を含み得る。この場合、腐食抑制剤には、金属の腐食を抑制する化合物も含まれると理解されたい。適切な腐食抑制剤に例は、トリアゾール、とりわけベンゾトリアゾール、ビスベンゾトリアゾール、アミノトリアゾール、アルキルアミノトリアゾール、またフェノール誘導体、例えば、ハイドロキノン、ピロカテコール、ヒドロキシヒドロキノン、没食子酸、フロログルシノール、又はピロガロールである。
【0130】
本発明の一実施形態では、本発明による配合物は、合計で0.1〜1.5重量%の範囲の腐食抑制剤を含む。
【0131】
本発明による配合物は、1種以上のビルダー、例えば硫酸ナトリウムを含み得る。
【0132】
本発明による配合物は、非イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される、少なくとも1種の追加界面活性剤を含んでいてもよい。
【0133】
非イオン性界面活性剤
界面活性剤の例は、とりわけ非イオン性界面活性剤である。好適な非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルコール及びアルコキシル化脂肪アルコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのジブロックコポリマー及びマルチブロックコポリマー、並びにソルビタンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの反応生成物、さらにアルキルフェノールエトキシレート、アルキルグリコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド(グルカミド)、及びいわゆるアミンオキシドである。
【0134】
アルコキシル化アルコール及びアルコキシル化脂肪アルコールの好適な例は、例えば一般式(I)の化合物である。
【0135】
【化1】
式中、可変要素は以下のように定義される。
R
1は、直鎖C
1〜C
10-アルキル、好ましくはエチル、特に好ましくはメチルから選択され、
R
2は、C
8〜C
22-アルキル、例えばn-C
8H
17、n-C
10H
21、n-C
12H
25、n-C
14H
29、n-C
16H
33、又はn-C
18H
37から選択され、
R
3は、C
1〜C
10-アルキル、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、又はイソデシルから選択され、
m及びnは、0〜300の範囲であり、このときnとmの合計は少なくとも1である。好ましくは、mは1〜100の範囲であり、nは0〜30の範囲である。
【0136】
ここで、一般式(I)の化合物は、ブロックコポリマーであってもランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであることが好ましい。
【0137】
アルコキシル化アルコール及びアルコキシル化脂肪アルコールの他の好適な例は、例えば一般式(II)の化合物である。
【0138】
【化2】
式中、可変要素は以下のように定義される。
R
1は、同一であっても異なってもよく、直鎖C
1〜C
4-アルキルから選択され、好ましくはいずれの場合も同一であり、エチル、特に好ましくはメチルであり、
R
4は、C
6〜C
20-アルキル、とりわけn-C
8H
17、n-C
10H
21、n-C
12H
25、n-C
14H
29、n-C
16H
33、n-C
18H
37から選択され、
aは、0〜6、好ましくは1〜6の範囲の数値であり、
bは、0〜20、好ましくは4〜20の範囲の数値であり、
dは、4〜25の範囲の数値である。
【0139】
好ましくは、a及びbのうちの少なくとも1つは0より大きい。
【0140】
ここで、一般式(II)の化合物は、ブロックコポリマーであってもランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであることが好ましい。
【0141】
さらなる適切な非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから構成されるジブロックコポリマー及びマルチブロックコポリマーから選択される。さらなる適切な非イオン性界面活性剤は、エトキシル化又はプロポキシル化ソルビタンエステルから選択される。アミンオキシド、例えばラウリルジメチルアミンオキシド(「ラウラミンオキシド」)、又はアルキルフェノールエトキシレート、又はアルキルポリグリコシド、又はポリヒドロキシ脂肪酸アミド(グルカミド)も同様に適している。適切なさらなる非イオン性界面活性剤の概要は、欧州特許出願公開第0851023号明細書及び独国特許出願公開第19819187号明細書で見ることができる。
【0142】
また、2種以上の異なる非イオン性界面活性剤の混合物が存在してもよい。両性界面活性剤の例は、C
12〜C
18-アルキルベタイン及びスルホベタインである。
【0143】
場合により含むさらなる成分は、限定するものではないが、粘度調整剤、カチオン性界面活性剤、発泡促進剤又は発泡抑制剤、香料、染料、蛍光増白剤、色移り防止剤、及び保存剤であってもよい。
【0144】
本発明のさらなる態様は、本発明による洗剤組成物を作製する方法であり、以下、本発明による方法とも称する。本発明による方法を実施するために、上記に定義した構成要素(A)又は(B)、アニオン性界面活性剤(C)、及びビルダー(D)、並びに場合によりさらなる構成要素を水の存在下で混合する。各種成分の添加順序は重要ではないが、最初に洗剤を添加し、所望であれば酵素(E)を最後の構成要素として添加するのが好ましい。混合は、例えばかき混ぜ又は撹拌によって達成することができる。前記かき混ぜ又は撹拌は、澄明溶液又は均一に見える分散液が形成されるまで実施することができる。
【0145】
固体洗剤組成物が所望であれば、例えばスプレーノズルを用いて、例えば噴霧乾燥によって、水を全て又は部分的に除去することができる。
【0146】
硬質表面洗浄という用語には、金属表面洗浄、並びに陶磁器、ガラス製品、セラミック、石、木材の洗浄が含まれる。食器洗浄が好ましく、自動食器洗浄がとりわけ好ましい。本発明による自動食器洗浄組成物は、通常は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲の本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を含有する。
【0147】
本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を洗濯洗剤組成物に使用すると、優れた全般的洗浄結果、とりわけ低度の汚れの再沈着と共に、黒ずみの軽減がもたらされる。
【0148】
本発明のさらなる態様は、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の解乳化剤としての使用に関する。解乳化剤は、エマルジョンを破壊するため、例えば水性エマルジョンから油を分離するために使用することができる。さまざまな用途、例えば廃棄物処理用途及び油田用途で、高効率の解乳化剤が必要とされている。
【0149】
油田用途には、油部分が例えば、天然油又は精製油、例えば油性潤滑剤、ガソリン、又は灯油である油中水型エマルジョンの処理が含まれる。
【0150】
本発明の一実施形態では、解乳化剤として使用される本発明の配合物は、通常は、5〜90重量%の範囲の活性成分、好ましくは25〜75重量%の活性成分を含む。油田用途で油中水型エマルジョンに適用する場合、天然油又は精製油の量に対して10〜1,000ppm、場合によっては好ましくは150〜500ppmの本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を適用するのが好ましい。
【0151】
本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミンは、有機溶媒、例えば芳香族炭化水素と共に適用することができる。適切な芳香族炭化水素の例は、トルエン及びキシレン、特に異性体キシレンの混合物である。
【0152】
油田用途で使用される本発明の配合物は、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)以外の1種以上の活性成分を含有していてもよい。本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)以外の活性成分の例は、(ポリ)アルコキシル化脂肪酸、特に(ポリ)エトキシル化C
12〜C
30-カルボン酸、(ポリ)アルコキシル化脂肪アミン、特に(ポリ)エトキシル化C
10〜C
30-アルキルアミン、ポリアルキレングリコールエステル、及びフェノール-ホルムアルデヒド樹脂である。
【0153】
本発明の配合物は、特に油田用途において、エマルジョン破壊に特に有用である。
【0154】
以下の実施例によって、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0155】
一般的な注釈:
百分率は、別段に定めのない限り%を指す。
【0156】
I.ポリエチレンイミン(A)の製造
I.1 重合による合成
一般的な説明:合成は、連続的に操作される管型反応器(長さ18m、内径3.5mm)で実施した。前記管型反応器は、2つの反応ゾーンを有する。第1の反応ゾーンでは温度を125〜130℃に、第2の反応ゾーンでは150℃に維持した。第1の反応ゾーンは管型反応器の最初の12mであり、第2の反応ゾーンは残りの6mである。圧力は、反応混合物を液体に維持するために必要な圧力よりも0.5バール高く維持したが、これは最低1.5バールを要した。
【0157】
工程(a1)は、いわゆる混合室で実施し、この混合室内で水、エチレンイミン、CO
2水溶液、及びエチレンジアミンを3つのスタティックミキサーにより混合した。そのようにして得た混合物を次いで管型反応器に移した。
【0158】
以下の出発物質を使用した。
25重量%水溶液として提供されたアジリジン
2.5重量%水溶液として提供されたCO
2
1,2-エチレンジアミン
【0159】
I.1.1 ポリエチレンイミン(A.1)の合成
2.5重量%水溶液としてのCO
2及び1,2-エチレンジアミンからプレミックスを得た。
アジリジンの25重量%水溶液360g/時間及び上記のプレミックスを、供給によってさらにCO
2の2.5重量%水溶液17g/時間及び1,2-エチレンジアミン6.2g/時間がこの管型反応器に導入される方法で、上述の管型反応器に供給した。混合時の供給物の温度は5℃であった。発熱を伴う一次重合により、第1の反応ゾーンに入る際に、温度は80〜160℃に上昇した。管型反応器の末端部で、圧力を5バールに調整した。管型反応器でのアジリジンの変換率は、99mol%であった。
【0160】
管型反応器を通過したあと、160℃で操作され、半非連続的に操作されるタンク型反応器内に反応混合物を移した。そこで重合を完了させた(工程(a3))。撹拌タンク型反応器中の平均滞留時間は2.5時間であった。タンク型反応器がいっぱいのときには、周囲温度まで冷却し、圧力を解放して反応を停止させた。水を除去し、ポリエチレンイミン(A.1)を得た。
【0161】
I.1.2 ポリエチレンイミン(A.2)の合成
2.5重量%水溶液としてのCO
2及び1,2-エチレンジアミンからプレミックスを得た。
アジリジンの25重量%水溶液310g/時間及び上記のプレミックスを、供給によってさらにCO
2の2.5重量%水溶液4g/時間及び1,2-エチレンジアミン3.0g/時間がこの管型反応器に導入される方法で、上述の管型反応器に供給した。混合時の供給物の温度は5℃であった。発熱を伴う一次重合により、第1の反応ゾーンに入る際に、温度は80〜160℃に上昇した。管型反応器の末端部で、圧力を5バールに調整した。管型反応器でのアジリジンの変換率は、99mol%であった。
【0162】
管型反応器を通過したあと、160℃で操作され、半非連続的に操作されるタンク型反応器内に反応混合物を移した。そこで重合を完了させた(工程(a3))。撹拌タンク型反応器中の平均滞留時間は4時間であった。タンク型反応器がいっぱいのときには、周囲温度まで冷却し、圧力を解放して反応を停止させた。水を除去し、ポリエチレンイミン(A.2)を得た。
【0163】
I.1.3 ポリエチレンイミン(A.3)の合成
2.5重量%水溶液としてのCO
2及び1,2-エチレンジアミンからプレミックスを得た。
アジリジンの25重量%水溶液285g/時間及び上記のプレミックスを、供給によってさらにCO
2の2.5重量%水溶液2.8g/時間及び1,2-エチレンジアミン2.1g/時間がこの管型反応器に導入される方法で、上述の管型反応器に供給した。混合時の供給物の温度は5℃であった。発熱を伴う一次期重合により、第1の反応ゾーンに入る際に、温度は80〜152℃に上昇した。管型反応器の末端部で、圧力を5バールに調整した。管型反応器でのアジリジンの変換率は、99mol%であった。
【0164】
管型反応器を通過したあと、150℃で操作され、半非連続的に操作されるタンク型反応器内に反応混合物を移した。そこで重合を完了させた(工程(a3))。撹拌タンク型反応器中の平均滞留時間は4時間であった。タンク型反応器がいっぱいのときには、周囲温度まで冷却し、圧力を解放して反応を停止させた。水を除去し、ポリエチレンイミン(A.3)を得た。
【0165】
I.2 分子量分布Qが1.3〜3.0の範囲の2種以上のポリエチレンイミンを混合することによる製造
I.2.1 ポリエチレンイミン(A.7)の製造
1リットルのガラスフラスコ中、250gのポリエチレンイミン(A.1)と350gのポリエチレンイミンC-(A.4)とを1200rpmのプロペラ撹拌機を用いて80℃で20分間混合した。ポリエチレンイミン(A.7)を得た。
【0166】
I.2.2 ポリエチレンイミン(A.8)の製造
1リットルのガラスフラスコ中、250gのポリエチレンイミン(A.2)と350gのポリエチレンイミンC-(A.4)とを1200rpmのプロペラ撹拌機を用いて80℃で20分間混合した。ポリエチレンイミン(A.8)を得た。
【0167】
I.2.3 ポリエチレンイミン(A.9)の製造
1リットルのガラスフラスコ中、400gのポリエチレンイミン(A.6)と280 gのポリエチレンイミンC-(A.4)とを1200rpmのプロペラ撹拌機を用いて80℃で20分間混合した。ポリエチレンイミン(A.9)を得た。
【0168】
得られたポリエチレンイミン(A)を表1にまとめる。
【0169】
【表1】
全ての分子量は、溶離液として1.5重量%のギ酸水溶液、固定相として架橋ポリヒドロキシエチルメタクリレートを用いたGPCにより測定した。1.5重量%のギ酸水溶液中の0.05重量%のtert.-ブタノールの溶液を内部標準とした。既知の分子量のプルラン(α-1,4-;α-1,6-グルカン)試料を用いてカラムを較正した。
【0170】
II.本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の合成
II.1 合成
II.1.1 本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B1.1.1)の合成
2Lオートクレーブにポリエチレンイミン(A.1)645g及び水32gを入れ、次いで窒素でパージした。次に、このオートクレーブを90℃まで加熱した。555gの量のエチレンオキシドを撹拌下で10時間以内に添加し、90℃でさらに12時間反応させた。そのようにして得た混合物を80℃まで冷却し、真空中で揮発性成分を除去した。1,245gの量の高粘度の黄色の液体を得た。
【0171】
2Lオートクレーブに上記の高粘度の黄色の液体330g及び50重量%のKOH水溶液5.6gを入れた。20mbarで水を除去した。次に、このオートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、撹拌下でエチレンオキシド1,000gを添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのようにして得た混合物を80℃まで冷却し、真空中で揮発性成分を除去した。1,331gの量の薄茶色の固体が得られ、これは本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B1.1.1)であった。
【0172】
II.1.2 本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B1.1.2)の合成
2Lオートクレーブにポリエチレンイミン(A.1)645g及び水32gを入れ、次いで窒素でパージした。次に、このオートクレーブを90℃まで加熱した。555gの量のエチレンオキシドを撹拌下で10時間以内に添加し、90℃でさらに12時間反応させた。そのようにして得た混合物を80℃まで冷却し、真空中で揮発性成分を除去した。1,245gの量の高粘度の黄色の液体を得た。
【0173】
2Lオートクレーブに上記の高粘度の黄色の液体82.6g及び50重量%のKOH水溶液5.5gを入れた。20mbarで水を除去した。このオートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、撹拌下でエチレンオキシド1,195gを添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのようにして得た混合物を80℃まで冷却し、真空中で揮発性成分を除去した。1,273gの量の薄茶色の固体が得られ、これは本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B1.1.2)であった。
【0174】
II.1.3 本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B1.1.3)の合成
2Lオートクレーブにポリエチレンイミン(A.1)645g及び水32gを入れ、次いで窒素でパージした。次に、このオートクレーブを90℃まで加熱した。730gの量のプロピレンオキシドを撹拌下で10時間以内に添加し、90℃でさらに12時間反応させた。そのようにして得た混合物を80℃まで冷却し、真空中で揮発性成分を除去した。1,356gの量の高粘度の黄色の液体を得た。
【0175】
2Lオートクレーブに上記の高粘度の黄色の液体155 g及び50重量%のKOH水溶液5.5 gを入れた。20mbarで水を除去した。このオートクレーブを窒素でパージし、続いて130℃に加熱した。12時間以内に、撹拌下でプロピレンオキシド1,126gを添加し、130℃でさらに12時間反応させた。そのようにして得た混合物を80℃まで冷却し、真空中で揮発性成分を除去した。1,282gの量の薄茶色の固体が得られ、これは本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B1.1.3)であった。
【0176】
II.1.4 本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B1.1.4)の合成
2Lオートクレーブにポリエチレンイミン(A.1)645g及び水32gを入れ、次いで窒素でパージした。次に、このオートクレーブを90℃まで加熱した。555gの量のエチレンオキシドを撹拌下で10時間以内に添加し、90℃でさらに12時間反応させた。そのようにして得た混合物を80℃まで冷却し、真空中で揮発性成分を除去した。1,245gの量の高粘度の黄色の液体を得た。
【0177】
2Lオートクレーブに上記の高粘度の黄色の液体124g及び50重量%のKOH水溶液5.3gを入れた。20mbarで水を除去した。次に、このオートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、撹拌下でエチレンオキシド560gを添加し、120℃でさらに12時間反応させた。次いで、撹拌下でプロピレンオキシド569gを12時間以内に添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのようにして得た混合物を80℃まで冷却し、真空中で揮発性成分を除去した。1,295gの量の薄茶色の固体が得られ、これは本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B1.1.4)であった。
【0178】
II.1.5 本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B1.1.5)の合成
2Lオートクレーブにポリエチレンイミン(A.1)645g及び水32gを入れ、次いで窒素でパージした。次に、このオートクレーブを90℃まで加熱した。555gの量のエチレンオキシドを撹拌下で10時間以内に添加し、90℃でさらに12時間反応させた。そのようにして得た混合物を80℃まで冷却し、真空中で揮発性成分を除去した。1,245gの量の高粘度の黄色の液体を得た。
【0179】
2Lオートクレーブに上記の高粘度の黄色の液体66g及び50重量%のKOH水溶液5.3gを入れた。20mbarで水を除去した。このオートクレーブを窒素でパージし、続いて120℃に加熱した。12時間以内に、撹拌下でエチレンオキシド759gを添加し、120℃でさらに12時間反応させた。次いで、撹拌下でプロピレンオキシド692gを12時間以内に添加し、120℃でさらに12時間反応させた。そのようにして得た混合物を80℃まで冷却し、真空中で揮発性成分を除去した。1,295gの量の薄茶色の固体が得られ、これは本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B1.1.5)であった。
【0180】
さらなる本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミンを適宜合成した。特性を表2にまとめる。
【0181】
【表2】
表2に関する説明
AO:アルキレンオキシド
アルコキシル化ポリエチレンイミンC-(B.4.1)、C-(B.4.2)等は、比較材料である。
アミン価は第1級アミン価であり、それぞれのポリエチレンイミン(A)に関するものである。
【0182】
III.解乳化剤としての試験
2リットル容器中、表3による本発明のポリアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)35ppm(質量)を10倍量のトルエンに溶解し、次いで激しい撹拌下、原油/水エマルジョン(水中油型)1リットルと混合した。条件は、アンカー撹拌機、1200rpm、5分間、40℃である。この原油/水エマルジョンは、北アフリカ(試料II、III)又は西アフリカ(試料(I))由来のものである。表3を参照されたい。次に、それぞれのエマルジョンの100mlアリコート3つを3つのメスシリンダーに移して落ち着かせた。3分後、5分後、8分後、15分後、及び30分後に水性相の容積を計測することにより、動態を測定した。結果を表3にまとめる。さらなる比較として、アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を全く添加せずに、この試験を繰り返した。
【0183】
【表3】
【0184】
IV.洗濯洗剤組成物の試験
硬度14°dHの水(2.5mmol/L、Ca:Mg:HCO
3 4:1:8)を用いて、5g/Lの試験洗剤T(表5を参照)及び1.0〜2.5%のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)(表1を参照)を含有する洗浄溶液を調製して、アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の黒ずみ防止能力を試験した。
【0185】
【表4】
【0186】
試験繊維として、10cm×10cmの正方形のさまざまな木綿(標準綿としてのwfk10A、綿パイル地としてのwfK12A、綿ニットとしてのwfk80A、蛍光増白剤を使用せずに漂白した綿布のクレトンとしてのEMPA 221、Brantic社製KapartブランドのTシャツ)及び合成繊維(wfk20A、wfk30A、EMPA406)を選択した。試験は、1L容量のビーカーを備えるlaunder-O-meter(LP2型、SDL Atlas,Inc.社)で実施した。汚れは、2つの2.5gのEMPA 101(木綿上のオリーブ油/カーボンブラック、EMPA Testmaterials社、サンクトガレン、スイスで購入)及び2つの2.5gのSBL 2004繊維(皮脂染みをシミュレートした汚れた負荷布「Formula 2004」、wfk Testgewebe GmbH社、ブリュッヘン、ドイツ)から購入)の混合物とした。追加のバラスト汚れとして、300mgの顔料-油ペーストを洗浄液(下記の表6を参照)に加えた。
【0187】
試験洗浄溶液(0.25L)に加えて試験繊維及びバラスト汚れを含むlaunder-O-meterビーカーを使用して、最初のサイクルを40℃で20分間実施した(繊維:液の比率は1:10)。洗濯後、試験繊維及びバラスト汚れを分離した。洗濯した試験繊維を用いてこの手順を繰り返し、合計3サイクルを完了した。サイクルごとに新しいバラスト汚れを使用した。3サイクル終了後、試験繊維を水ですすいだあと、室温で終夜乾燥させた。
【0188】
木綿及び合成試験繊維の黒ずみは、460nmのUV遮断フィルターを備えた球反射率分光計(sphere reflectance spectrometer)(SF 500型、Datacolor社製、米国、波長範囲360〜700nm、光学形状d/8°)を用いて、洗濯後の白色度(反射率の値)を測定することにより計測した。
【0189】
それぞれのアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)1.0〜2%の添加後、試験した洗剤の黒ずみ防止性を定量化した(表6を参照)。反射率の値は、繊維の目に見える黒ずみに伴って低下し、反射率の値が高いほど、洗剤の黒ずみ防止性能が良好である。わかりやすくするために、木綿の反射率の変化値(ΔR)を表3に示す。木綿ΔR値は、対応するアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を含有する試験洗剤Tでの洗濯後の反射率(R1)とアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を含有しない試験洗剤での洗濯後の反射率の差を合計5種の異なる木綿繊維について表す。10より大きいΔR値は、本発明の物質のはっきりと目に見える寄与及び効果を意味し、5より大きいΔR値は、標準偏差を超えてすでに有意である。同様に、幅広い分子量の寄与により、黒ずみ及びさまざまな汚物の沈着を回避する改善された非常に安定した効果が示される。
【0190】
表3に示すように、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)(1〜8)は、洗浄液から除去された汚れの繊維への再沈着を防ぐことにより、二次洗浄作用に好ましい影響を与える。
【0191】
要約すると、本発明によるアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)は、狭い分子量分布の比較用アルコキシル化ポリエチレンイミンよりも性能が優れている。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、このことは、洗剤配合物が対処しなければならないさまざまな粉塵/粘土及び汚れに適合する、その優れた分散プロファイルにより説明することができる。
【0192】
粘土/汚れ顔料の選択:
試験目的で、それぞれ23重量%の4種の異なる天然系粘土試料(粗カオリン)並びにジャマイカ産のボーキサイト3%及びテニスコートの灰3%をボールミルで30分間粉砕した。次に、重量比1/3でオリーブ油を添加した。ペーストが得られた。
【0193】
粘土は以下のように選択した。
a)ドイツ産カオリン/(「Tonerde」)、Kaolin Mine Hirschau-Schnaittenbach
b)米国産カオリン(CE Minerals Inc社、ジョージア州)
c)米国産カオリン(English Indian Clays Ltd社、ケララ)
d)ブラジル産カオリン(Fa.Omnia社、MIRAGLOSS 90 DRY)
【0194】
次に、表5による試験洗剤を前記の汚れた木綿で試験した。上記を参照されたい。反射率の測定により、洗浄効率を測光法で測定した。結果を表6にまとめる。
【0195】
【表5】
液体試験洗剤配合物のpH値はおよそ8.5であった。
木綿の反射率変化は、2回の反復の平均として表す。
本発明の態様として例えば以下を挙げることができる。
[項1]
汚れた金属表面を洗浄する方法であって、そのような洗浄が、多分散度Q=Mw/Mnが少なくとも3.5であり、平均分子量Mwが2,500〜1,500,000g/molの範囲である少なくとも1種のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を含む組成物を用いて実施されることを特徴とする、方法。
[項2]
そのような金属表面が、シリカ、アルミナ、酸化鉄、及び煤から選択される少なくとも1種の顔料で汚れている、項1に記載の方法。
[項3]
周囲温度〜最大70℃の温度範囲で実施される、項1又は2に記載の方法。
[項4]
多分散度Qが4〜15の範囲である、項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
[項5]
汚れが天然系顔料に由来する、項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
[項6]
多分散度Q=Mw/Mnが少なくとも3.5であり、平均分子量Mwが2,500〜1,500,000g/molの範囲である、アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)。
[項7]
多分散度Qが4〜15の範囲である、項6に記載のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)。
[項8]
前記アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の分子量分布が二峰性又は多峰性である、項6又は7に記載のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)。
[項9]
前記アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)が、多分散度Q=Mw/Mnが少なくとも3.5であり、平均分子量Mwが2,000〜1,000,000g/molの範囲であり、1種以上のC2〜C4-アルキレンオキシドでアルコキシル化されているポリエチレンイミンに由来する骨格を有する、項6〜8のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)。
[項10]
ASTM D2074-07に従って測定された、第1級アミンに関するアミン価が10〜25mmol/gの範囲である、項6〜9のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)。
[項11]
前記アルコキシル化ポリエチレンイミン(B)が、エチレンオキシド及び1種以上のC3〜C4-アルキレンオキシドでアルコキシル化され、アルキレンオキシドがブロック状に配列されている、項6〜10のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)。
[項12]
(a)1つの反応器で半非連続的にポリエチレンイミン(A)を作製する工程、及び
(b)塩基の存在下で、ポリエチレンイミン(A)を少なくとも1種のC2〜C4-アルキレンオキシドと反応させる工程
を含む、項6〜11のいずれか一項に記載のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)を作製する方法。
[項13]
工程(a)が、
(a1)反応器に、水と、アミン又はジアミンと、CO2、ブレンステッド酸、及びハロゲン化アルキルから選択される開始剤とを入れる工程、
(a2)重合条件下で、開始剤、アミン、及び水をさらに添加せずに、エチレンイミン、及び場合により少なくとも1種の置換アジリジンを添加する工程、
(a3)少なくとも99%の変換時又は5〜30時間後に、エチレンオキシドの添加及び前記1種の置換アジリジンの場合による添加を中止する工程、及び
(a4)反応混合物を反応条件で少なくとも120分間維持する工程
を実施することによって行われる、項12に記載の方法。
[項14]
(i)項6〜10のいずれか一項に記載の少なくとも1種のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)、
並びに、場合により、
(ii)少なくとも1種のカチオン性界面活性剤、
(iii)ポリアルコキシル化C1〜C4-アルカノール、ポリアルコキシル化脂肪アルコール、及びポリアルコキシル化フェノールから選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、及び
(iv)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤
から選択される少なくとも1種のさらなる成分
を含む水性組成物。
[項15]
硬質表面又は繊維を洗浄するための、項6〜10のいずれか一項に記載の少なくとも1種のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の使用。
[項16]
解乳化剤としての、項6〜10のいずれか一項に記載の少なくとも1種のアルコキシル化ポリエチレンイミン(B)の使用。