(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成分(A1)が、前記成分(A1)の総物質量を基準として、それぞれ、20〜95モル%の範囲のイソフタル酸と、5〜80モル%の範囲のテレフタル酸とを含むことを特徴とする、請求項1または2記載のポリマーフィルム(P)。
前記少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)が、前記成分(A1)および(A2)と、さらに成分(A3)との重合によって製造され、前記成分(A3)は、炭素原子数4〜12のラクタムと、炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジカルボン酸および炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジアミンを含むモノマー混合物(M)とからなる群から選択されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
前記成分(A)が、ポリ(2−メチル−1,5−ペンタメチレンイソフタルアミド−co−2−メチル−1,5−ペンタメチレンテレフタルアミド)を含むことを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
前記ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つの層を含み、かつ前記ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つの更なる層を含み、ここで、該少なくとも1つの更なる層は、ポリオレフィン、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデンおよび無水マレイン酸グラフトポリオレフィンからなる群から選択されている少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を含むことを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
前記ポリマーフィルム(P)が、キャスティング法、ブロー成形法、二軸延伸ポリアミドフィルム法またはマルチブロー成形法において製造されることを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載のポリマーフィルム(P)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶性ポリアミド(A)と部分結晶性ポリアミド(B)とを含むポリアミド組成物(PC)を含むポリマーフィルム(P)および該ポリマーフィルム(P)を製造する方法に関する。本発明はさらに、ポリマーフィルム(P)で食品を包装する方法に関する。
【0002】
ポリアミドは、非常に良好な機械的特性を特徴とし、特に、高い強度、剛性および靭性、良好な耐薬品性ならびに高い耐摩耗性を有することにより、特に工業的に重要である。ポリアミドは、例えば、釣り糸、クライミングロープおよびフロアカーペットの製造に使用される。ポリアミドはさらに、包装フィルムおよび包装ラッパーを製造するために使用される。
【0003】
部分結晶性ポリアミドを包装用フィルムまたは包装用ラッパーとして使用する場合、部分結晶性ポリアミドの酸素透過性が高すぎることが多いため、特に食品の包装の使用には適していない。結晶性ポリアミドを改質し、その特性を部分的に変えることで、包装用フィルムまたは包装用ラッパーとして使用できるようにするための種々の方法が先行技術に記載されている。特に、部分結晶性ポリアミドの特性は、部分結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドとのブレンドを製造することによって頻繁に変性される。米国特許第5266655号明細書(US5,266,655)には、非晶性ポリアミドと部分結晶性ポリアミドとのブレンドが記載されている。非晶性ポリアミドは、例えば、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミンとイソフタル酸とから製造することができる。部分結晶性ポリアミドとして開示されているのは、例えばナイロン66およびナイロン6である。このブレンドは40重量%未満の部分結晶性ポリアミドを含むため、該ブレンドは全体として非晶性である。
【0004】
米国特許第4800129号明細書(US4,800,129)には、非晶性ポリアミドとしてヘキサメチレンジアミンイソフタルアミドまたはヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド/ヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド−コポリマーを用いた、非晶性ポリアミドと部分結晶性ポリアミドとのブレンドが記載されている。部分結晶性ポリアミド10〜40重量%と非晶性ポリアミド90〜60重量%とが用いられる。これらのブレンドからフィルムを製造することができる。
【0005】
欧州特許出願公開第0358038号明細書(EP0358038)にも同様に、非晶性ポリアミドと部分結晶性ポリアミドとを含むポリアミドブレンドが記載されている。非晶性ポリアミドとしてヘキサメチレンジアミンイソフタルアミド/ヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド−コポリマー(ポリアミド6I/6T)が用いられ、部分結晶性ポリアミドとして特にナイロン6/12、ナイロン6/66が開示されている。このブレンドは、非晶性ポリアミド10〜70重量%と部分結晶性ポリアミド10〜90重量%とを含む。これらのブレンドはフィルムを製造するために用いることができる。
【0006】
米国特許第5266655号明細書(US5,266,655)および米国特許第4800129号明細書(US4,800,129)に記載されているブレンドの欠点は、押出成形が困難であり、シワの付いたフィルムを形成する傾向があることである。それらは非常に低い貫入抵抗しか示さない。欧州特許出願公開第0358038号明細書(EP0358038)に記載されているブレンドの欠点は、その比較的高い酸素透過性であって、特に高湿度および高温で見られる。このブレンドはさらに、低い引張強度および曲げ強度しか有していない。
【0007】
本発明の課題は、ポリアミドを含み、かつ先行技術に記載されたポリマーフィルムの欠点を有していないか、またはこれらの欠点が低減されたポリマーフィルムを提供することであった。ポリマーフィルムはさらに、可能な限り単純かつ経済的に製造可能であることが望ましい。
【0008】
この課題は、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を含むポリマーフィルム(P)によって解決され、該ポリアミド組成物(PC)は、以下の成分(A)および(B):
(A)少なくとも1種の非晶性ポリアミドであって、
(A1)少なくとも1種のジカルボン酸成分と、
(A2)少なくとも1種のジアミン成分と
の重合によって製造された少なくとも1種の非晶性ポリアミド2〜30重量%と、
(B)少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド70〜98重量%と
を含み、ここで、成分(A1)はイソフタル酸を含み、成分(A2)は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含み、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものである。
【0009】
驚くべきことに、本発明によるポリマーフィルム(P)は、高湿度および高温、例えば25℃を上回る温度でも、低い酸素透過性を有することが見出された。したがって、本発明によるポリマーフィルム(P)は、従来技術に記載されたポリマーフィルムと比べて改善された酸素バリアを有する。本発明によるポリマーフィルム(P)はさらに、高い引張強度および曲げ強度を示し、良好に製造可能であるが、その理由は特に、本発明によるポリマーフィルム(P)の製造時に、特にフィルム押出による製造時にほとんどシワが形成されないからである。
【0010】
本発明によるポリマーフィルム(P)はさらに、モノマーに関して特に低い移行量、特に、少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)が製造されるモノマーに関して低い移行量を示す。例えば、3%酢酸水溶液、10%エタノール水溶液および50%エタノール水溶液中で、EN 13130−1およびEN 13130−2に従って60℃で10日間測定して5mg未満のイソフタル酸および2.5mg未満の2−メチル−1,5−ジアミノペンタンが移行する。テレフタル酸を少なくとも1種のジカルボン酸(A1)としてさらに用いた場合、さらに7.5mg未満のテレフタル酸がこれらの条件下で移行する。この測定は、100mlの溶媒(3%酢酸水溶液、10%エタノール水溶液または50%エタノール水溶液)中に厚さ50μmのポリマーフィルム(P)1平方デシメートルを両面浸漬し、食品1kgとの接触をシミュレートするために、EN 13130−1:2004の第10.2項に従って測定濃度を6倍にすることによって行う。
【0011】
本発明を以下により詳細に説明する。
【0012】
ポリマーフィルム(P)
本発明によれば、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を含む。
【0013】
本発明の文脈において、「少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)」とは、厳密に1種のポリアミド組成物(PC)および2種以上のポリアミド組成物(PC)の混合物の両方を意味する。
【0014】
ポリマーフィルム(P)は、例えば、0.1μm〜1mmの範囲、好ましくは5〜500μmの範囲、特に好ましくは20〜100μmの範囲の厚さを有する。
【0015】
したがって、本発明の対象はまた、ポリマーフィルム(P)が0.1μm〜1mmの範囲の厚さを有するポリマーフィルム(P)である。
【0016】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)に加えて、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を含むことができる。
【0017】
本発明の文脈において、「少なくとも1種の更なるポリマー(P2)」とは、厳密に1種の更なるポリマー(P2)および2種以上の更なるポリマー(P2)の混合物の両方を意味する。
【0018】
少なくとも1種の更なるポリマー(P2)として適しているのは、当業者に公知のあらゆるポリマーである。2種以上の更なるポリマー(P2)の混合物が少なくとも1種の更なるポリマー(P2)として用いられる場合、この混合物は少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)とは異なる。
【0019】
好ましくは、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は、ポリオレフィン、エチルビニルアルコール、エチルビニルアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、無水マレイン酸グラフトポリオレフィン、ポリエステルおよびアイオノマーからなる群から選択される。特に好ましくは、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は、ポリオレフィン、エチルビニルアルコール、エチルビニルアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデンおよび無水マレイン酸グラフトポリオレフィンからなる群から選択される。最も好ましくは、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は、ポリオレフィン、無水マレイン酸グラフトポリオレフィンおよびエチルビニルアルコールからなる群から選択される。
【0020】
少なくとも1種の更なるポリマー(P2)が、ポリオレフィンからなる群から選択される場合、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)として無水マレイン酸グラフトポリオレフィンを追加で用いることが好ましい。この場合、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)として、ポリオレフィンと無水マレイン酸グラフトポリオレフィンとの混合物を用いることが可能である。ポリマーフィルム(P)がさらに下記で記載される多層フィルムである場合、該ポリマーフィルム(P)が、無水マレイン酸グラフトポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の少なくとも1つの第1の更なる層を含み、かつ該ポリマーフィルム(P)が、ポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の少なくとも1つの第2の更なる層を含むことも同様に可能である。この場合、ポリマーフィルム(P)は、有利には、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の第1の層と第2の更なる層との間に第1の更なる層を含む。
【0021】
ポリオレフィンそれ自体は当業者に公知である。好ましいポリオレフィンは、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)および超低密度ポリエチレン(VLDPE)である。
【0022】
線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、エチレンと少なくとも1種のC
4〜C
8−α−オレフィンとのコポリマーである。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、側鎖または架橋の数が少ない長いポリマー鎖によって特徴付けられる。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の側鎖の数は、通常、低密度ポリエチレン(LDPE)および中密度ポリエチレン(MDPE)よりも低い。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の融点は、有利には110〜130℃の範囲であり、その密度は0.91〜0.93g/cm
3の範囲である。
【0023】
超低密度ポリエチレン(VLDPE)は、エチレンと少なくとも1種のC
4〜C
8−α−オレフィンとのコポリマーである。それらは、通常、110〜130℃の範囲の融点および0.86〜<0.91g/cm
3の範囲の密度を有する。一般に、VLDPEにおけるC
4〜C
8−α−オレフィンの割合はLLDPEにおける割合よりも大きい。
【0024】
本発明の文脈において、「C
4〜C
8−α−オレフィン」とは、α位において不飽和であり、つまり、α位にC−C二重結合を有する、炭素原子数4〜8の線状および分枝状、好ましくは線状アルキレン(アルケン)を意味する。これらに関する例は、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテンおよび1−オクテンである。1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましい。
【0025】
好ましいポリ(エチレンビニルアセテート)は、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマーである。例えば、82〜99.9重量%の範囲のエチレンと、0.1〜18重量%の範囲の酢酸ビニルとが、好ましくは、88〜99.9重量%の範囲のエチレンと、0.1〜12重量%の範囲の酢酸ビニルとが製造に用いられる。
【0026】
好ましいポリ(エチレンビニルアルコール)は、上記のポリ(エチレンビニルアセテート)の完全または部分ケン化によって得られる。例えば、ポリ(エチレンビニルアルコール)は、該ポリ(エチレンビニルアルコール)の総物質量を基準として、50〜75モル%の範囲のエチレンと25〜50モル%の範囲のビニルアルコールとを含む。
【0027】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)とのブレンド(混合物)として含むことができる。さらに、ポリマーフィルム(P)が少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を少なくとも1つの第1の層として含み、かつ少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を少なくとも1つの更なる層として含むことも可能であり、本発明によれば好ましい。
【0028】
この実施形態では、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を含む少なくとも1つの第1の層は、更なるポリマー(P2)を含まないことが好ましい。
【0029】
本発明の文脈において、「少なくとも1つの更なる層」とは、厳密に1つの更なる層および2つ以上の更なる層の両方を意味する。2つ以上の更なる層が好ましい。
【0030】
つまり、ポリマーフィルム(P)が少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つの第1の層を含み、かつポリマーフィルム(P)がさらに少なくとも1つの更なる層を含み、ここで、この少なくとも1つの更なる層は、ポリオレフィン、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデンおよび無水マレイン酸グラフトポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を含むことが好ましい。
【0031】
したがって、本発明の対象はまた、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つの層を含み、かつポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つの更なる層を含み、ここで、この少なくとも1つの更なる層は、ポリオレフィン、ポリ(エチレンビニルアルコール)、ポリ(エチレンビニルアセテート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデンおよび無水マレイン酸グラフトポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を含むポリマーフィルム(P)である。
【0032】
ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の厳密に1つの第1の層を、場合により、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)とのブレンドとして含み、かつ更なる層を含まない場合、ポリマーフィルム(P)は単層フィルムとも呼ばれる。
【0033】
ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つの第1の層と、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の少なくとも1つの更なる層とを含む場合、ポリマーフィルム(P)は多層フィルムとも呼ばれる。
【0034】
この場合、例えば、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の1〜5の第1の層と、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の1〜10の更なる層とを含み、好ましくは、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の1〜3の第1の層と、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の1〜8の更なる層とを含み、特に好ましくは、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の1〜2の第1の層と、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の1〜6の更なる層とを含む。
【0035】
本発明の文脈において、「ポリマーフィルム(P)」という用語はまた、単層フィルムおよび多層フィルムの両方を含む。
【0036】
したがって、本発明の対象はまた、ポリマーフィルム(P)が単層フィルムまたは多層フィルムであるポリマーフィルム(P)である。
【0037】
上記のとおり、ポリマーフィルム(P)は、通常、0.1μm〜1mmの範囲、好ましくは5〜500μmの範囲、特に好ましくは10〜100μmの範囲の厚さを有する。
【0038】
ポリマーフィルム(P)が単層フィルムである場合、ポリマーフィルム(P)の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の厳密に1つの層は、通常、ポリマーフィルム(P)と同じ厚さを有する。この場合、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の第1の層の厚さは、例えば、0.1μm〜1mmの範囲、好ましくは5〜500μmの範囲、特に好ましくは10〜100μmの範囲である。
【0039】
ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、ポリマーフィルム(P)の個々の層の厚さ、つまり、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つの第1の層の厚さと、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の少なくとも1つの更なる層の厚さとは、通常、ポリマーフィルム(P)の厚さよりも小さい。この場合、個々の層の厚さの合計は、一般的に、ポリマーフィルム(P)の厚さに相当する。
【0040】
この場合、例えば、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つの第1の層は、0.1〜100μmの範囲、好ましくは0.5〜50μmの範囲、特に好ましくは0.5〜10μmの範囲の厚さを有する。
【0041】
この場合、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の少なくとも1つの更なる層は、例えば、0.1〜100μmの範囲、好ましくは0.5〜50μmの範囲、特に好ましくは0.5〜10μmの範囲の厚さを有する。
【0042】
ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種の接着促進剤を含むことができる。この実施形態は、ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合に好ましい。
【0043】
本発明の文脈において、「少なくとも1種の接着促進剤」とは、厳密に1種の接着促進剤および2種以上の接着促進剤の混合物の両方を意味する。
【0044】
ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、少なくとも1種の接着促進剤は、少なくとも1つの第1の層に少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)と一緒に含まれていてよい。この場合、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は、少なくとも1種の接着促進剤を含む。少なくとも1種の接着促進剤は、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)と一緒に少なくとも1つの更なる層に含まれていることも同様に可能である。この場合、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は、少なくとも1種の接着促進剤を含む。さらに、少なくとも1種の接着促進剤が少なくとも1つの追加の層としてポリマーフィルム(P)に含まれていることも可能である。この実施形態が好ましい。
【0045】
少なくとも1種の接着促進剤が少なくとも1つの追加の層としてポリマーフィルム(P)に含まれている場合、この少なくとも1つの追加の層は、好ましくは、更なるポリマー(P2)の少なくとも1つの更なる層と、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つの第1の層との間に配置される。
【0046】
適切な接着促進剤自体は、当業者に公知である。接着促進剤として、エチレンと無水マレイン酸とのコポリマーまたはエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーが好ましい。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)と無水マレイン酸とのコポリマーまたはエチレンと酢酸ビニルのコポリマーが好ましく、ここで、コポリマーの製造のために、酢酸ビニル>18重量%とエチレン<82重量%とが用いられる。これらのコポリマーは、例えば、DuPont社のBynel 4105またはExxon社のEscorene FL00119という商品名で市販されている。
【0047】
ポリアミド組成物(PC)
本発明によれば、ポリマーフィルム(P)は、少なくとも1種のポリアミド組成物を含み、該ポリアミド組成物は、以下の成分(A)および(B):
(A)少なくとも1種の非晶性ポリアミドであって、(A1)少なくとも1種のジカルボン酸成分と(A2)少なくとも1種のジアミン成分との重合によって製造された少なくとも1種の非晶性ポリアミド2〜30重量%と、
(B)少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド70〜98重量%と
を含み、ここで、成分(A1)はイソフタル酸を含み、成分(A2)は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含み、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものである。
【0048】
したがって、ポリマーフィルム(P)は、通常、成分(A)として、イソフタル酸を含む少なくとも1種のジカルボン酸(A1)に由来する単位と、2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含む少なくとも1種のジアミン(A2)に由来する単位とを含む2〜30重量%の範囲の少なくとも1種の非晶性ポリアミドと、成分(B)として、70〜98重量%の範囲の少なくとも1種の部分結晶性ポリアミドとを含み、ここで、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものである、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を含む。
【0049】
したがって、本発明の対象は、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を含むポリマーフィルム(P)であって、該ポリアミド組成物(PC)は、以下の成分(A)および(B):
(A)イソフタル酸を含む少なくとも1種のジカルボン酸(A1)に由来する単位と、2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含む少なくとも1種のジアミン(A2)に由来する単位とを含む2〜30重量%の範囲の少なくとも1種の非晶性ポリアミドと、
(B)70〜98重量%の範囲の少なくとも1種の部分結晶性ポリアミドと
を含み、ここで、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものである。
【0050】
本発明の文脈において、「少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)」および「成分(A)」という用語は、同義語で使用され、したがって同じ意味を有する。
【0051】
本発明の文脈において、「少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)」および「成分(B)」という用語は、同義語で使用され、したがって同じ意味を有する。
【0052】
本発明の文脈において、「少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)」とは、厳密に1種の非晶性ポリアミド(A)および2種以上の非晶性ポリアミド(A)の混合物の両方を意味する。
【0053】
同様のことが「少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)」に適用される。本発明の文脈において、「少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)」とは、厳密に1種の部分結晶性ポリアミド(B)および2種以上の部分結晶性ポリアミド(B)の混合物の両方を意味する。
【0054】
本発明によれば、ポリアミド組成物(PC)は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準として、好ましくは、ポリアミド組成物(PC)の総重量を基準として、それぞれ、2〜30重量%の少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)、好ましくは2〜20重量%の範囲の少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)、特に好ましくは2〜15重量%の範囲の少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)を含む。
【0055】
本発明によれば、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準として、好ましくは、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の総重量を基準として、それぞれ、70〜98重量%の範囲の少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)、好ましくは80〜98重量%の範囲、特に好ましくは85〜98重量%の範囲の少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)を含む。
【0056】
好ましくは、成分(A)および(B)の重量%値の合計は100%である。
【0057】
少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は、通常、ガラス転移温度(T
G(PC))を有する。例えば、ガラス転移温度(T
G(PC))は、ISO 11357−2:2014により測定して20〜90℃の範囲、好ましくは30〜80℃の範囲、特に好ましくは40〜70℃の範囲である。本発明の文脈において、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のガラス転移温度(T
G(PC))は、ISO 11357−2:2014に従って、乾燥ポリアミド組成物(PC)のガラス転移温度(T
G(PC))に基づく。本発明の文脈において、「乾燥」とは、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が、該少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を基準として、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満の水を含むことを意味する。より好ましくは、「乾燥」とは、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が水を含まないことを意味し、最も好ましくは、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が溶媒を含まないことを意味する。
【0058】
少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)はさらに、通常、融点(T
M(PC))を有する。少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の融点(T
M(PC))は、例えば、ISO 11357−3:2014により測定して130〜230℃の範囲、好ましくは150〜220℃の範囲、特に好ましくは180〜215℃の範囲である。
【0059】
少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は、一般的に、96重量%硫酸中25℃で少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の0.5重量%溶液中で測定して70〜350ml/gの範囲の粘度数(IV
(PC))を有する。少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の粘度数(IV
(PC))は、好ましくは、ISO 307:2013−08により測定される96重量%硫酸中25℃で少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の0.5重量%溶液中で測定して、100〜300ml/gの範囲、特に好ましくは150〜260ml/gの範囲である。
【0060】
少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)はさらに、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を含むことができる。少なくとも1種の更なるポリマー(P2)については、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)について上述した実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0061】
好ましくは、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は、更なるポリマー(P2)を含まない。
【0062】
少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)はさらに、添加剤を含むことができる。このような添加剤は、当業者に知られており、例えば、安定剤、染料、帯電防止剤、粘着性付与剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、UV吸収剤、潤滑剤および核形成助剤からなる群から選択される。
【0063】
適切な安定剤、染料、帯電防止剤、粘着性付与剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、UV吸収剤、潤滑剤および核形成助剤自体は、当業者に公知である。
【0064】
染料として適しているのは、有機および無機顔料、例えば、サイズ剤が塗布された二酸化チタンなどである。粘着性付与剤として適しているのは、例えば、ポリイソブチレン(PIB)またはエチルビニルアセテート(EVA)である。適切なブロッキング防止剤は、例えば、二酸化ケイ素または炭酸カルシウム粒子である。適切な光安定剤は、例えば、いわゆるHALS(ヒンダードアミン光安定剤)である。加工助剤または潤滑剤として、例えば、エチレンビスステアラミド(EBS)ワックスを用いることができる。核形成助剤は、例えば、あらゆる種類の有機または無機結晶化核剤、例えばタルクなどであってよい。
【0065】
成分(A)
成分(A)は、少なくとも1種の非晶性ポリアミドである。
【0066】
本発明の文脈において、「非晶性」とは、ポリアミドがISO 11357に準拠した示差走査熱量測定(DSC)による測定において融点を示さないことを意味する。
【0067】
「融点を示さない」とは、溶融エンタルピーΔH2
(A)がISO 11357−4:2014に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により測定して、それぞれ10J/g未満、好ましくは8J/g未満、特に好ましくは5J/g未満であることを意味する。
【0068】
つまり、本発明による少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)は、通常、ISO 11357−4:2014に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により測定して、それぞれ10J/g未満、好ましくは8J/g未満、特に好ましくは5J/g未満の溶融エンタルピーΔH2
(A)を有する。
【0069】
適切な非晶性ポリアミド(A)は、一般的に、ISO 307:2013−08に準拠して96重量%硫酸中25℃で成分(A)の0.5重量%溶液中で測定して、60〜200ml/gの範囲、好ましくは70〜150ml/gの範囲、特に好ましくは75〜125ml/gの範囲の粘度数(IV
(A))を有する。
【0070】
したがって、本発明の対象はまた、成分(A)が、96重量%硫酸中25℃で成分(A)の0.5重量%溶液中で測定して60〜200ml/gの範囲の粘度数(IV
(A))を有するポリマーフィルム(P)である。
【0071】
本発明による成分(A)は、通常、ガラス転移温度(T
G(A))を有し、ここで、ガラス転移温度は、ISO 11357−2:2014により測定して、通常、130〜150℃の範囲であり、好ましくは133〜147℃の範囲であり、特に好ましくは135〜145℃の範囲である。
【0072】
したがって、本発明の対象はまた、ポリマーフィルム(P)の成分(A)がガラス転移温度(T
G(A))を有し、ここで、ガラス転移温度(T
G(A))は130〜150℃の範囲であるポリマーフィルム(P)である。
【0073】
適切な成分(A)は、5,000〜35,000g/molの範囲、好ましくは10,000〜30,000g/molの範囲、特に好ましくは15,000〜25,000g/molの範囲の重量平均分子量(M
w(A))を有する。重量平均分子量は、Chi−san Wu「Handbook of size exclusion chromatography and related techniques」(第19頁)に記載されるSEC−MALLS(サイズ排除クロマトグラフィー−多角度レーザー光散乱)により測定される。
【0074】
本発明によれば、少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)は、少なくとも1種のジカルボン酸(A1)と少なくとも1種のジアミン(A2)との重合によって製造され、ここで、少なくとも1種のジカルボン酸(A1)はイソフタル酸を含み、かつ少なくとも1種のジアミン(A2)は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含む。
【0075】
例えば、成分(A1)および(A2)の重量%値の合計を基準として、それぞれ、45〜70重量%の範囲の少なくとも1種のジカルボン酸(A1)と、30〜55重量%の範囲の少なくとも1種のジアミン(A2)とが重合されて、非晶性ポリアミド(A)が製造される。
【0076】
好ましくは、成分(A1)および(A2)の重量%値の合計を基準として、それぞれ、50〜65重量%の範囲の少なくとも1種のジカルボン酸(A1)と、35〜50重量%の範囲の少なくとも1種のジアミン(A2)とが重合されて、非晶性ポリアミド(A)が製造される。
【0077】
特に好ましくは、成分(A1)および(A2)の重量%値の合計を基準として、それぞれ、55〜60重量%の範囲の少なくとも1種のジカルボン酸(A1)と、40〜45重量%の範囲の少なくとも1種のジアミン(A2)とが重合されて、非晶性ポリアミド(A)が製造される。
【0078】
成分(A1)および(A2)の重量パーセント値は、重合前の成分(A1)および(A2)、つまり、成分(A1)および(A2)が互いに反応する前の成分(A1)および(A2)の重量パーセント値に基づく。
【0079】
成分(A1)および(A2)の重量%値は、足して100%になることが好ましい。
【0080】
本発明の文脈において、「少なくとも1種のジカルボン酸(A1)」とは、厳密に1種のジカルボン酸(A1)および2種以上のジカルボン酸(A1)の混合物の両方を意味する。本発明によれば、2種以上のジカルボン酸の混合物が好ましい。
【0081】
本発明の文脈において、「少なくとも1種のジカルボン酸(A1)」および「成分(A1)」という用語は、同義語で使用され、したがって同じ意味を有する。
【0082】
本発明によれば、成分(A1)はイソフタル酸を含む。成分(A1)はイソフタル酸からなっていてよい。本発明によれば、成分(A1)は、該成分(A1)の総物質量を基準として、それぞれ、好ましくは20〜95モル%の範囲のイソフタル酸を含み、特に好ましくは25〜90モル%の範囲のイソフタル酸を含み、非常に好ましくは30〜85モル%の範囲のイソフタル酸を含む。
【0083】
成分(A1)はさらに、更なるジカルボン酸も含むことができ、芳香族ジカルボン酸が更なるジカルボン酸として好ましい。つまり、成分(A1)が更なる芳香族ジカルボン酸も含むことが好ましい。そのような芳香族ジカルボン酸は、当業者に知られており、例えば、テレフタル酸およびフタル酸からなる群から選択され、ここで、テレフタル酸が好ましい。
【0084】
本発明によれば、好ましくは、成分(A1)はイソフタル酸およびテレフタル酸を含む。特に好ましくは、成分(A1)はイソフタル酸およびテレフタル酸からなる。
【0085】
例えば、成分(A1)は、該成分(A1)の総物質量を基準として、それぞれ、20〜95モル%の範囲のイソフタル酸と、5〜80モル%の範囲のテレフタル酸とを含む。
【0086】
好ましくは、成分(A1)は、該成分(A1)の総物質量を基準として、それぞれ、25〜90モル%の範囲のイソフタル酸と、10〜75モル%の範囲のテレフタル酸とを含む。
【0087】
特に好ましくは、成分(A1)は、該成分(A1)の総物質量を基準として、それぞれ、30〜85モル%の範囲のイソフタル酸と、15〜70モル%の範囲のテレフタル酸とを含む。
【0088】
したがって、本発明の対象はまた、成分(A1)が、該成分(A1)の総物質量を基準として、それぞれ、20〜95モル%の範囲のイソフタル酸と、5〜80モル%の範囲のテレフタル酸とを含むポリマーフィルム(P)である。
【0089】
本発明の文脈において、「少なくとも1種のジアミン(A2)」とは、厳密に1種のジアミン(A2)および2種以上のジアミン(A2)の混合物の両方を意味する。本発明によれば、厳密に1種のジアミン(A2)が好ましい。
【0090】
本発明の文脈において、「少なくとも1種のジアミン(A2)」および「成分(A2)」という用語は、同義語で使用され、したがって同じ意味を有する。
【0091】
本発明によれば、成分(A2)は、2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含む。例えば、成分(A2)は、該成分(A2)の総物質量を基準として、それぞれ、少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも50モル%、特に好ましくは少なくとも90モル%の2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含む。最も好ましくは、成分(A2)は、2−メチル−1,5−ジアミノペンタンからなる。
【0092】
さらに、成分(A2)は、更なるジアミンを含むことができる。適切な更なるジアミン自体は、当業者には知られており、例えばヘキサメチレンジアミンである。
【0093】
例えば、成分(A2)は、該成分(A2)の総物質量を基準として、それぞれ、20〜99.9モル%の2−メチル−1,5−ジアミノペンタンと、0.1〜80モル%のヘキサメチレンジアミンとを含む。
【0094】
特に好ましくは、成分(A2)は、2−メチル−1,5−ジアミノペンタンからなる。この場合、成分(A2)は、更なるジアミンを含まない。
【0095】
したがって、成分(A)は、イソフタル酸(成分(A1))と2−メチル−1,5−ジアミノペンタン(成分(A2))とから製造される非晶性ポリアミド(A)を含むことが好ましく、特に好ましくは、成分(A)は、この非晶性ポリアミド(A)からなる。この場合、成分(A)は、ポリ(2−メチル−1,5−ペンタメチレンイソフタルアミド)を含み、特に好ましくは、成分(A)は、ポリ(2−メチル−1,5−ペンタメチレンイソフタルアミド)からなる。
【0096】
成分(A)が、イソフタル酸とテレフタル酸(成分(A1))と2−メチル−1,5−ジアミノペンタン(成分(A2))とから製造される非晶性ポリアミド(A)を含むことも同様に好ましく、特に好ましくは、成分(A)は、この非晶性ポリアミド(A)からなる。この場合、成分(A)は、ポリ(2−メチル−1,5−ペンタメチレンアミンイソフタルアミド−co−2−メチル−1,5−ペンタメチレンテレフタルアミド)を含み、特に好ましくは、成分(A)は、ポリ(2−メチル−1,5−ペンタメチレンアミンイソフタルアミド−co−2−メチル−1,5−ペンタメチレンテレフタルアミド)からなる。
【0097】
したがって、本発明の対象はまた、成分(A)がポリ(2−メチル−1,5−ペンタメチレンイソフタルアミド−co−2−メチル−1,5−ペンタメチレンテレフタルアミド)を含むポリマーフィルム(P)である。
【0098】
成分(A)は、成分(A1)および(A2)の重合によって製造される。成分(A1)および(A2)の重合は、当業者に公知である。通常、成分(A1)および(A2)の重合は縮合反応である。
【0099】
成分(A1)および(A2)の重合は、触媒の存在下で行うことができる。
【0100】
触媒として適しているのは、成分(A1)および(A2)の重合を触媒する、当業者に公知のあらゆる触媒である。このような触媒は、当業者に公知である。好ましい触媒は、リン化合物、例えば、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸、トリフェニルホスフィンまたはトリフェニルホスファイトなどである。
【0101】
成分(A1)および(A2)の重合において、少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)が得られる。したがって、少なくとも1種の非晶性ポリアミドは、成分(A1)に由来する構造単位と、成分(A2)に由来する構造単位とを含む。
【0102】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)は、成分(A1)および(A2)と、さらに成分(A3)との重合によって製造されることが好ましい。成分(A3)は、炭素原子数4〜12のラクタムと、炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジカルボン酸および炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジアミンを含むモノマー混合物(M)とからなる群から選択される少なくとも1種の更なるモノマーである。
【0103】
したがって、本発明の対象はまた、少なくとも1種の非晶性ポリアミド(A)が、成分(A1)および(A2)と、さらに成分(A3)との重合によって製造され、ここで、成分(A3)は、炭素原子数4〜12のラクタムと、炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジカルボン酸および炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジアミンを含むモノマー混合物(M)とからなる群から選択されるポリマーフィルム(P)である。
【0104】
本発明の文脈において、「少なくとも1種の線状脂肪族ジカルボン酸」とは、少なくとも1種の線状脂肪族ジカルボン酸が枝分かれを有しておらず、つまり、少なくとも1種の線状脂肪族ジカルボン酸がアルキル置換基を有しないことを意味する。
【0105】
同様のことが「少なくとも1種の線状脂肪族ジアミン」に適用される。本発明の文脈において、「少なくとも1種の線状脂肪族ジアミン」とは、少なくとも1種の線状脂肪族ジアミンが枝分かれを有せず、つまり、少なくとも1種の線状脂肪族ジアミンがアルキル置換基を有していないことを意味する。したがって、モノマー混合物(M)に含まれる少なくとも1種の線状脂肪族ジアミンは、成分(A2)に含まれる2−メチル−1,5−ジアミノペンタンとは異なる。
【0106】
例えば、成分(A1)、(A2)および(A3)の重量%値の合計を基準として、それぞれ、38.5〜60重量%の範囲の成分(A1)と、28〜45重量%の範囲の成分(A2)と、0.1〜30重量%の範囲の成分(A3)とが重合されて、非晶性ポリアミド(A)が製造される。
【0107】
好ましくは、成分(A1)、(A2)および(A3)の重量%値の合計を基準として、それぞれ、44〜60重量%の範囲の成分(A1)と、32〜45重量%の範囲の成分(A2)と、0.1〜20重量%の範囲の成分(A3)とが重合されて、非晶性ポリアミド(A)が製造される。
【0108】
特に好ましくは、成分(A1)、(A2)および(A3)の重量%値の合計を基準として、それぞれ、50〜60重量%の範囲の成分(A1)と、35〜45重量%の範囲の成分(A2)と、0.1〜10重量%の範囲の成分(A3)とが重合されて、非晶性ポリアミド(A)が製造される。
【0109】
本発明の文脈において、「少なくとも1種の更なるモノマー」とは、厳密に1種の更なるモノマーおよび2種以上の更なるモノマーの混合物の両方を意味する。
【0110】
本発明の文脈において、「少なくとも1種の更なるモノマー」および「成分(A3)」という用語は、同義語で使用され、したがって同じ意味を有する。
【0111】
本発明によれば、成分(A3)は、炭素原子数4〜12のラクタムおよびモノマー混合物(M)からなる群から選択される。
【0112】
本発明によれば、ラクタムとは、環内に4〜12個、好ましくは5〜8個の炭素原子を有する環式アミドを意味する。適切なラクタムは、例えば、プロピオ−3−ラクタム(βラクタム;β−プロピオラクタム)、ブチロ−4−ラクタム(γ−ラクタム;γ−ブチロラクタム)、2−ピペリジノン、(δ−ラクタム;δ−バレロラクタム)、ヘキサノ−6−ラクタム(ε−ラクタム;ε−カプロラクタム)、ヘプタノ−7−ラクタム(ζ−ラクタム;ζ−ヘプタノラクタム)、オクタノ−8−ラクタム(η−ラクタム;η−オクタノラクタム)、ノナノ−9−ラクタム(θ−ラクタム;θ−ノナノラクタム)、デカノ−10−ラクタム(ω−デカノラクタム)、ウンデカノ−11−ラクタム(ω−ウンデカノラクタム)およびドデカノ−12−ラクタム(ω−ドデカノラクタム)からなる群から選択される。
【0113】
ラクタムは、非置換であっても、少なくとも一置換されていてもよい。少なくとも一置換されたラクタムが用いられる場合、これらは、環の窒素原子および/または炭素原子に、互いに独立してC
1〜C
10−アルキル、C
5〜C
6−シクロアルキルおよびC
5〜C
10−アリールからなる群から選択される1、2または3以上の置換基を有していてよい。
【0114】
適切なC
1〜C
10−アルキル置換基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルである。適切なC
5〜C
6−シクロアルキル置換基は、例えばシクロヘキシルである。好ましいC
5〜C
10−アリール置換基は、フェニルおよびアントラニルである。
【0115】
好ましくは、非置換のラクタムが用いられ、ここで、γ−ラクタム(γ−ブチロラクタム)、δ−ラクタム(δ−バレロラクタム)およびε−ラクタム(ε−カプロラクタム)が好ましい。δ−ラクタム(δ−バレロラクタム)およびε−ラクタム(ε−カプロラクタム)が特に好ましく、ここで、εカプロラクタムが特に好ましい。
【0116】
本発明によれば、モノマー混合物(M)は、炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジカルボン酸および炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジアミンを含む。
【0117】
炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジカルボン酸として適しているのは、当業者に公知の炭素原子4〜12のあらゆる線状脂肪族ジカルボン酸である。
【0118】
例えば、炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジカルボン酸は、コハク酸(ブタン二酸)、グルタル酸(ペンタン二酸)、アジピン酸(ヘキサン二酸)、ピメリン酸(ヘプタン二酸)、スベリン酸(オクタン二酸)、アゼライン酸(ノナン二酸)、セバシン酸(デカン二酸)、ウンデカン二酸およびドデカン二酸からなる群から選択される。炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジカルボン酸として特に適しているのは、アジピン酸(ヘキサン二酸)である。
【0119】
炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジアミンとして適しているのは、当業者に公知の炭素原子数4〜12のあらゆる線状脂肪族ジアミンである。
【0120】
炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジアミンは、例えば、ブタン−1,4−ジアミン、ペンタメチレンジアミン(ペンタン−1,5−ジアミン)、ヘキサメチレンジアミン(ヘキサン−1,6−ジアミン)、ヘプタン−1,7−ジアミン、オクタン−1,8−ジアミン、ノナン−1,9−ジアミン、デカン−1,10−ジアミン、ウンデカン−1,11−ジアミンおよびドデカン−1,12−ジアミンからなる群から選択される。炭素原子数4〜12の少なくとも1種の線状脂肪族ジアミンとして特に好ましいのは、ヘキサメチレンジアミン(ヘキサン−1,6−ジアミン)である。
【0121】
成分(A1)および(A2)と、さらに成分(A3)との重合は、当業者に公知である。成分(A1)および(A2)と、さらに成分(A3)との重合は、触媒の存在下で行うことができる。触媒については、成分(A1)および(A2)の重合のための触媒について上述した実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0122】
成分(A)が、成分(A1)および(A2)と、さらに成分(A3)との重合によって製造される場合、成分(A)は、成分(A1)に由来する構造単位と、成分(A2)に由来する構造単位と、成分(A3)に由来する構造単位とを含む。
【0123】
成分(B)
成分(B)は、少なくとも1種の部分結晶性ポリアミドである。
【0124】
本発明の文脈において、「部分結晶性」とは、ポリアミドが、ISO 11357−4:2014に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により測定して、それぞれ45J/g超、好ましくは50J/g超、特に好ましくは55J/g超の溶融エンタルピーΔH2
(B)を有することを意味する。
【0125】
つまり、本発明による少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)は、通常、ISO 11357−4:2014に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により測定して、それぞれ45J/g超、好ましくは50J/g超、特に好ましくは55J/g超の溶融エンタルピーΔH2
(B)を有する。
【0126】
本発明による少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)は、通常、ISO 11357−4:2014に準拠した示差走査熱量測定(DSC)により測定して、それぞれ200J/g未満、好ましくは150J/g未満、特に好ましくは100J/g未満の溶融エンタルピーΔH2
(B)を有する。
【0127】
適切な部分結晶性ポリアミド(B)は、一般的に、ISO 307:2013−08に準拠して96重量%硫酸中25℃で0.5重量%溶液中で測定して、90〜350ml/gの範囲、有利には180〜275ml/g、特に好ましくは160〜250ml/gの範囲の粘度数(IV
(B))を有する。
【0128】
したがって、本発明の対象はまた、成分(B)が、96重量%硫酸中25℃で成分(B)の0.5重量%溶液中で測定して90〜350ml/gの範囲の粘度数(IV
(B))を有するポリマーフィルム(P)である。
【0129】
本発明による成分(B)は、通常、溶融温度(T
M(B))を有する。好ましくは、成分(B)の溶融温度は、ISO 11357−3:2014により測定して、170〜230℃の範囲であり、好ましくは180〜225℃の範囲であり、特に好ましくは185〜225℃の範囲である。
【0130】
したがって、本発明の対象はまた、成分(B)が溶融温度(T
M(B))を有し、ここで、溶融温度(T
M(B))は170〜230℃の範囲であるポリマーフィルム(P)である。
【0131】
適切な成分(B)は、500〜2,000,000g/molの範囲、好ましくは10,000〜90,000g/molの範囲、特に好ましくは20,000〜70,000g/molの範囲の重量平均分子量(M
w(B))を有する。重量平均分子量(M
w(B))は、Chi−san Wu「Handbook of size exclusion chromatography and related techniques」(第19頁)に記載されるSEC−MALLS(サイズ排除クロマトグラフィー−多角度レーザー光散乱)により測定される。
【0132】
少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)として適しているのは、例えば、環員数4〜12のラクタムに由来する部分結晶性ポリアミド(B)である。さらに、ジカルボン酸とジアミンとの反応によって得られる部分結晶性ポリアミド(B)が適している。ラクタムに由来する少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)として、例示的に、ポリカプロラクタム、ポリカプリルラクタムおよび/またはポリラウリンラクタムに由来するポリアミドが挙げられる。
【0133】
ジカルボン酸およびジアミンから得られる少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)が用いられる場合、ジカルボン酸として炭素原子数6〜12のアルカンジカルボン酸を用いることができる。さらに、芳香族ジカルボン酸も適している。
【0134】
ジカルボン酸としてここで例示的に挙げられるのは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸である。
【0135】
ジアミンとして適しているのは、例えば、炭素原子数4〜12のアルカンジアミンおよび芳香族または環式ジアミン、例えば、m−キシリレンジアミン、ジ−(4−アミノフェニル)−メタン、ジ−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、2,2−ジ−(4−アミノフェニル)−プロパンまたは2,2−ジ−(4−アミノシクロヘキシル)−プロパンなどである。
【0136】
成分(B)として好ましいのは、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)およびコポリアミド6/66(ポリアミド6/6.6)である。コポリアミド6/66は、有利には、該コポリアミド6/66の総重量を基準として5〜95重量%の割合のカプロラクタム単位を有する。
【0137】
さらに、少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(P)として適しているのは、上記および下記のモノマーの2種以上の共重合によって得られるポリアミドまたは複数のポリアミドの混合物であり、ここで、混合比は任意である。特に好ましいのは、ポリアミド6と他のポリアミドとの混合物、特にコポリアミド6/66である。
【0138】
以下の非網羅的なリストは、上記のポリアミド(B)および更なる適切な部分結晶性ポリアミド(B)およびその中に含まれるモノマーを含む。
【0139】
AB−ポリマー:
PA4 ピロリドン
PA6 ε−カプロラクタム
PA7 エナントラクタム
PA8 カプリルラクタム
PA9 9−アミノペラルゴン酸
P11 11−アミノウンデカン酸
P12 ラウリンラクタム
AA/BB−ポリマー:
PA46 テトラメチレンジアミン、アジピン酸
PA66 ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸
PA69 ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸
PA610 ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸
PA612 ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸
PA613 ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA1212 1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸
PA1313 1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸
PA6T ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PAMXD6 m−キシリレンジアミン、アジピン酸
PA6/66(PA6およびPA66参照)
PA6/12(PA6およびPA12参照)
【0140】
好ましくは、少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド(B)は、ポリアミド6およびポリアミド6/6.6からなる群から選択される。
【0141】
したがって、本発明の対象はまた、成分(B)がポリアミド6およびポリアミド6/6.6からなる群から選択されるポリマーフィルム(P)である。
【0142】
ポリマーフィルム(P)の製造
本発明によるポリマーフィルム(P)は、好ましくは、以下の工程を含む方法において製造される:
i)少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機において準備する工程であって、該ポリアミド組成物(PC)は、以下の成分(A)および(B):
(A)少なくとも1種の非晶性ポリアミドであって、
(A1)少なくとも1種のジカルボン酸成分と、
(A2)少なくとも1種のジアミン成分と
の重合によって製造された少なくとも1種の非晶性ポリアミド2〜30重量%と、
(B)少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド70〜98重量%と
を含み、ここで、成分(A1)はイソフタル酸を含み、成分(A2)は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含み、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものであり、
ii)工程i)で準備された少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機からノズルを通して押出して、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを得る工程、
iii)工程ii)で得られた溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを冷却する工程であって、ここで、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は固化してポリマーフィルム(P)を形成する。
【0143】
したがって、本発明の対象はまた、以下の工程i)〜iii):
i)少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機において準備する工程であって、該ポリアミド組成物(PC)は、以下の成分(A)および(B):
(A)少なくとも1種の非晶性ポリアミドであって、
(A1)少なくとも1種のジカルボン酸成分と、
(A2)少なくとも1種のジアミン成分と
の重合によって製造された少なくとも1種の非晶性ポリアミド2〜30重量%と、
(B)少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド70〜98重量%と
を含み、ここで、成分(A1)はイソフタル酸を含み、成分(A2)は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含み、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものである工程と、
ii)工程i)で準備された少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機からノズルを通して押出して、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを得る工程と、
iii)工程ii)で得られた溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを冷却する工程であって、ここで、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は固化してポリマーフィルム(P)を形成する工程と
を含む、本発明によるポリマーフィルム(P)の製造方法である。
【0144】
工程i)では、ポリアミド組成物(PC)は、溶融形態で第1の押出機において準備される。
【0145】
本発明の文脈において、「第1の押出機」とは、厳密に1つの第1の押出機および2つ以上の第1の押出機の両方を意味する。通常、ポリマーフィルム(P)に含まれることになる少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の第1の層の数と同じ数の第1の押出機が用いられる。
【0146】
例えば、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の厳密に1つの第1の層を含む場合には、厳密に1つの第1の押出機が用いられる。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の厳密に2つの第1の層を含む場合には、厳密に2つの第1の押出機が用いられる。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の厳密に5つの第1の層を含む場合には、厳密に5つの第1の押出機が用いられる。
【0147】
例えば、1〜5の第1の押出機、好ましくは1〜3の第1の押出機、特に好ましくは1〜2の第1の押出機が用いられる。
【0148】
少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)については、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)について上述した実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0149】
本発明によれば、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は溶融形態で準備される。本発明の文脈において、「溶融形態」とは、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が、該少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の溶融温度(T
M(PC))を上回る温度で準備されることを意味する。つまり、「溶融形態」とは、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が、該少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の溶融温度(T
M(PC))を上回る温度を有することを意味する。少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が溶融形態で存在する場合、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は流動性である。
【0150】
「流動性」とは、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を第1の押出機において搬送することができ、かつ少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を第1の押出機から押出すことができることを意味する。
【0151】
例えば、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は、工程i)において、150〜300℃の範囲、好ましくは200〜290℃の範囲、特に好ましくは230〜280℃の範囲の温度で準備され、ただし、そのつど、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が準備される温度は、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の溶融温度(T
M(PC))を上回る。
【0152】
少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は、当業者に公知のあらゆる方法に従って、溶融形態で第1の押出機において準備することができる。
【0153】
例えば、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は、溶融形態または固体形態で第1の押出機に供給することができる。少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が固体形態で第1の押出機に供給される場合、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は、第1の押出機に、例えば顆粒および/または粉末として供給することができる。この場合、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は、第1の押出機において溶融され、そのため溶融形態で第1の押出機において準備される。
【0154】
少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が溶融形態または固体形態で第1の押出機に供給される場合、該ポリアミド組成物(PC)は、成分(A)および(B)ならびに場合により少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)に含まれる更なる成分を最初に混合することによって製造される。成分(A)および(B)ならびに場合により少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)に含まれる更なる成分の混合は、当業者に公知のあらゆる方法に従って、例えば押出機において行うことができる。少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を製造するために成分(A)および(B)を最初に混合する押出機が、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を溶融形態で準備する第1の押出機と異なっていてよいことは言うまでもない。
【0155】
少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)に含まれる成分(A)および(B)を互いに別々に溶融形態で第1の押出機の中に導入し、次いで、成分(A)および(B)を互いに第1の押出機においてコンパウンド化(混合)して少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を溶融形態で得ることによって、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を第1の押出機において準備することも同様に可能である。場合により、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)に含まれる更なる成分、例えば、少なくとも1種の更なるポリマーおよび/または少なくとも1種の接着促進剤などを、成分(A)および(B)と一緒にまたはこれらとは別々に第1の押出機の中に導入することもできる。
【0156】
本発明によれば、成分(A)および(B)ならびに場合により少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)に含まれる更なる成分を一緒にまたは互いに別々に固体形態で、例えば顆粒または粉末として第1の押出機の中に導入することによって、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を準備することが好ましい。この場合、成分(A)および(B)ならびに場合により更なる成分は、押出機において溶融され、互いにコンパウンド化(混合)されて少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が溶融形態で第1の押出機において得られる。
【0157】
工程ii)では、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が、溶融形態で第1の押出機からノズルを通して押出されて、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムが得られる。
【0158】
本発明の文脈において、「ノズル」とは、厳密に1つのノズルおよび2つ以上のノズルの両方を意味する。本発明によれば、厳密に1つのノズルが好ましい。
【0159】
ノズルとして適しているのは、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムの押出を可能にする当業者に公知のあらゆるノズルである。このようなノズルは、例えばリングノズルまたはスロットノズルである。
【0160】
適切なリングノズルおよびスロットノズル自体は、当業者には公知である。
【0161】
例えば、さらに下記で記載される工程i1)が実施される場合、工程ii)において、第1の押出機からの溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、更なる押出機からの溶融形態の少なくとも1種の更なるポリマー(P2)と、ノズル、例えばリングノズルまたはスロットノズル内で一緒にすることが好ましい。
【0162】
特に、工程ii)では、第1の押出機からの溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、更なる押出機からの溶融形態の少なくとも1種の更なるポリマー(P2)と、ノズル内で、工程ii)で得られたそれぞれ溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)および少なくとも1種の更なるポリマー(P2)のフィルムが、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の少なくとも1つの第1の層と、溶融形態の少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の少なくとも1つの更なる層とを含むように一緒にされる。
【0163】
例えば、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムの厚さは、0.1μm〜1mmの範囲、好ましくは5〜500μmの範囲、特に好ましくは20〜100μmの範囲である。
【0164】
溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムは、例えば、フラットフィルムまたはチューブラーフィルムであってよい。通常、ノズルとしてリングノズルが用いられる場合にチューブラーフィルムが得られ、ノズルとしてスロットノズルが用いられる場合にフラットフィルムが得られる。
【0165】
工程iii)では、工程ii)で得られた溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムが冷却される。こうして、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)が固化してポリマーフィルム(P)が得られる。
【0166】
溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを冷却するために、当業者に公知のあらゆる方法が適している。例えば、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムは、空冷もしくは水冷によって、または低温表面との接触によって冷却することができる。
【0167】
工程iii)では、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを、例えば、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の溶融温度(T
M(PC))を下回る温度に冷却して、ポリマーフィルム(P)が得られる。好ましくは、工程iii)では、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のガラス転移温度(T
G(PC))を下回る温度に冷却する。
【0168】
例えば、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムは、0〜100℃の範囲、好ましくは10〜80℃の範囲、特に好ましくは15〜70℃の範囲の温度に冷却され、ここで、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムが冷却される温度は、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の溶融温度(T
M(PC))を下回り、好ましくはガラス転移温度(T
G(PC))を下回る。
【0169】
したがって、本発明の対象はまた、工程iii)において、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の溶融温度(T
M(PC))を下回る温度に冷却する、ポリマーフィルム(P)の製造方法である。
【0170】
工程iii)で得られたポリマーフィルム(P)については、本発明によるポリマーフィルム(P)について上述した実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0171】
工程ii)およびiii)は、連続してまたは同時に実施することができる。
【0172】
好ましくは、溶融形態の少なくとも1種の更なるポリマー(P2)が更なる押出機において準備される工程i1)が追加で実施される。
【0173】
この場合、ポリマーフィルム(P)の製造方法は、以下の工程:
i)少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機において準備する工程であって、該ポリアミド組成物(PC)は、以下の成分(A)および(B):
(A)少なくとも1種の非晶性ポリアミドであって、
(A1)少なくとも1種のジカルボン酸成分と、
(A2)少なくとも1種のジアミン成分と
の重合によって製造された少なくとも1種の非晶性ポリアミド2〜30重量%と、
(B)少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド70〜98重量%と
を含み、ここで、成分(A1)はイソフタル酸を含み、成分(A2)は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含み、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものである工程と、
i1)少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を、溶融形態で更なる押出機において準備する工程と、
ii)工程i)で準備された少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機からノズルを通して押出し、工程i1)で準備された少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を、溶融形態で更なる押出機からノズルを通して押出して、それぞれ溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)および少なくとも1種の更なるポリマー(P2)のフィルムを得る工程と、
iii)工程ii)で得られたそれぞれ溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)および少なくとも1種の更なるポリマー(P2)のフィルムを冷却する工程であって、ここで、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)および/または少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は固化してポリマーフィルム(P)を形成する工程と
を含む。
【0174】
工程i1)では、溶融形態の少なくとも1種の更なるポリマー(P2)が、更なる押出機において準備される。
【0175】
本発明の文脈において、「更なる押出機」とは、厳密に1つの更なる押出機および2つ以上の更なる押出機の両方を意味する。2つ以上の更なる押出機が好ましい。
【0176】
好ましくは、用いられる更なる押出機の数は、ポリマーフィルム(P)に含まれることになる少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の更なる層の数と同じである。例えば、1〜10の更なる押出機、好ましくは1〜8の更なる押出機、特に好ましくは1〜6の更なる押出機が用いられる。
【0177】
例えば、ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の厳密に1つの更なる層を含む場合には、厳密に1つの更なる押出機が用いられる。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の厳密に2つの更なる層を含む場合には、厳密に2つの更なる押出機が用いられる。ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の厳密に5つの更なる層を含む場合には、厳密に5つの更なる押出機が用いられる。
【0178】
更なる押出機については、第1の押出機について上述した実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0179】
少なくとも1種の更なるポリマー(P2)については、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)について上述した実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0180】
本発明によれば、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は、工程i1)において、溶融形態で準備される。本発明の文脈において、「溶融形態」とは、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)が、該少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の溶融温度(T
M(P2))を上回る温度で準備されることを意味する。つまり、「溶融形態」とは、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)が、該少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の溶融温度(T
M(P2))を上回る温度を有することを意味する。少なくとも1種の更なるポリマー(P2)が溶融形態で存在する場合、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は流動性である。
【0181】
「流動性」とは、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を更なる押出機において搬送することができ、かつ少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を第1の押出機から押出すことができることを意味する。
【0182】
例えば、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は、工程i1)において、120〜350℃の範囲、好ましくは130〜300℃の範囲、特に好ましくは140〜250℃の範囲の温度で準備され、ただし、そのつど、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)が準備される温度は、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の溶融温度(T
M(P2))を上回る。
【0183】
少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は、当業者に公知のあらゆる方法に従って、溶融形態で更なる押出機において準備することができる。
【0184】
例えば、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は、溶融形態または固体形態で更なる押出機に供給することができる。少なくとも1種の更なるポリマー(P2)が固体形態で更なる押出機に供給される場合、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は、更なる押出機に、例えば顆粒および/または粉末として供給することができる。この場合、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)は、更なる押出機において溶融され、そのため溶融形態で更なる押出機において準備される。
【0185】
工程i1)は、通常、工程i)と同時に実施される。
【0186】
工程i)、ii)およびiii)については、工程i)、ii)およびiii)について上述した実施形態および好ましい形態が適用される。
【0187】
工程ii)で得られたそれぞれ溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)および少なくとも1種の更なるポリマー(P2)のフィルムは、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を少なくとも1つの第1の層として含み、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を少なくとも1つの更なる層として含む。通常、工程ii)で得られたフィルムは、工程i)で用いられた第1の押出機の数と同じ数の溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の第1の層と、工程i1)で用いられた更なる押出機の数と同じ数の溶融形態の少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の更なる層とを含む。
【0188】
工程i1)が実施される場合、工程iii)で得られたポリマーフィルム(P)が多層フィルムであることは言うまでもない。
【0189】
好ましくは、ポリマーフィルム(P)は延伸される。ポリマーフィルム(P)は、工程iii)の後に延伸することができるが、工程iii)の間に、つまり、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)および場合により少なくとも1種の更なるポリマー(P2)のフィルムの冷却中にポリマーフィルム(P)を延伸することも同様に可能である。
【0190】
したがって、本発明の対象はまた、以下の工程を追加で実施する方法である:
iv)ポリマーフィルム(P)を延伸して、延伸ポリマーフィルム(sP)を得る工程。
【0191】
工程iii)およびiv)は、連続してまたは同時に実施することができる。
【0192】
ポリマーフィルム(P)の延伸時に、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)に含まれる成分(B)のポリマー鎖が配向し、成分(B)の結晶化度を高めることができる。
【0193】
さらに、場合によりポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種の更なるポリマー(P2)のポリマー鎖も延伸時に配向させることが可能である。こうして、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の結晶化度も高めることができる。
【0194】
延伸は、当業者に公知のあらゆる方法に従って行うことができる。
【0195】
例えば、ポリマーフィルム(P)の延伸は、少なくとも1つのローラー上、好ましくはローラーシステム上にポリマーフィルムを案内することによって、またはその幅方向にポリマーフィルムを延伸することによって行うことができる。ポリマーフィルム(P)がチューブとして得られる場合、ポリマーフィルム(P)の延伸は、該ポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込み、こうしてポリマーフィルム(P)を延伸することによって行うことも同様に可能である。これらの方法の組合せも当然可能である。
【0196】
ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのローラー上、好ましくはローラーシステム上に案内される場合、ポリマーフィルム(P)は、押出方向、つまり、その長さ方向に延伸される。それに対して、ポリマーフィルム(P)が、その幅方向に引き伸ばされる場合、それは押出方向に対して垂直に延伸される。
【0197】
ポリマーフィルム(P)が、少なくとも1つのローラー上、好ましくはローラーシステム上での延伸のために案内される場合、成分(B)のポリマー鎖および場合により少なくとも1種の更なるポリマー(P2)のポリマー鎖は、延伸される方向と平行に配向される。この場合、得られる延伸ポリマーフィルム(sP)は一軸配向している。得られる延伸ポリマーフィルム(sP)は、ポリマーフィルム(P)がその幅方向に引き伸ばされて延伸される場合も同様に一軸配向している。この場合にも、成分(B)のポリマー鎖および場合により少なくとも1種の更なるポリマー(P2)のポリマー鎖は、延伸される方向と平行に配向される。
【0198】
「一軸配向」とは、ポリマー鎖が、実質的に一方向に配向していることを意味する。
【0199】
ポリマーフィルム(P)が延伸のためにローラーシステム上に案内され、その幅方向に引き伸ばされる場合、成分(B)のポリマー鎖および場合により少なくとも1種の更なるポリマー(P2)のポリマー鎖は、延伸される2つの方向と平行に配向される。この場合、得られる延伸ポリマーフィルム(sP)は二軸配向している。
【0200】
「二軸配向」とは、ポリマー鎖が、好ましくは互いに直交する2つの異なる方向に実質的に配向されていることを意味する。
【0201】
ポリマーフィルム(P)がチューブとして得られ、ポリマーフィルム(P)の延伸が、該ポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込むことによって行われる場合、得られる延伸ポリマーフィルム(sP)は一軸配向している。
【0202】
ポリマーフィルム(P)を延伸する上記方法を組み合わせた場合、つまり、ポリマーフィルム(P)がチューブとして得られ、ポリマーフィルム(P)の延伸が、該ポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込むことによって行われ、同時にローラー上に案内され、ここでも同様に延伸される場合、得られる延伸ポリマーフィルム(sP)は二軸配向している。
【0203】
ポリマーフィルム(P)は、通常、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のガラス転移温度(T
G(PC))を上回り、かつ少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の溶融温度(T
M(PC))を下回る温度で延伸される。ポリマーフィルム(P)が多層フィルムである場合、さらに、ポリマーフィルム(P)の延伸は、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の溶融温度を下回る温度で、特に好ましくは、最も低い温度で溶融する少なくとも1種の更なるポリマー(P2)の溶融温度を下回る温度で行うことが好ましい。
【0204】
本発明によるポリマーフィルム(P)は、例えば、キャスティング法、ブロー成形法、二軸延伸ポリアミドフィルム法(BOPA法)またはマルチブロー成形法において製造することができる。
【0205】
したがって、本発明の対象はまた、キャスティング法、ブロー成形法、二軸延伸ポリアミドフィルム法またはマルチブロー成形法において製造されるポリマーフィルム(P)である。
【0206】
キャスティング法、ブロー成形法、二軸延伸ポリアミドフィルム法およびマルチブロー成形法は、当業者にそれ自体公知である。通常、これらの方法においてポリマーフィルム(P)は延伸され、そうして延伸ポリマーフィルム(sP)が得られる。
【0207】
ポリマーフィルム(P)を製造するキャスティング法は、好ましくは、以下の工程i−c)〜iv−c):
i−c)少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機において準備する工程であって、該ポリアミド組成物(PC)は、以下の成分(A)および(B):
(A)少なくとも1種の非晶性ポリアミドであって、
(A1)少なくとも1種のジカルボン酸成分と、
(A2)少なくとも1種のジアミン成分と
の重合によって製造された少なくとも1種の非晶性ポリアミド2〜30重量%と、
(B)少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド70〜98重量%と
を含み、ここで、成分(A1)はイソフタル酸を含み、成分(A2)は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含み、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものである工程と、
ii−c)工程i−c)で準備された少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機からノズルを通して押出して、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを得る工程と、
iii−c)工程ii−c)で得られた溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を冷却する工程であって、ここで、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は固化してポリマーフィルム(P)を形成する工程と、
iv−c)工程iii−c)で得られたポリマーフィルム(P)を、該ポリマーフィルム(P)を少なくとも1つのローラー上、好ましくはローラーシステム上に案内して延伸することで、延伸ポリマーフィルム(sP)を得る工程と
を含む。
【0208】
キャスティング法の工程i−c)〜iii−c)については、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)〜iii)の上記の実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0209】
キャスティング法において工程ii−c)で用いられるノズルは、通常、スロットノズルである。したがって、工程ii−c)で得られた溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムは、有利にはフラットフィルムであり、そうして工程iii−c)で得られたポリマーフィルム(P)および工程iv−c)で得られた延伸ポリマーフィルム(sP)は、有利にはフラットフィルムである。
【0210】
キャスティング法において、工程iii−c)およびiv−c)は、連続してまたは同時に実施することができる。好ましくは、キャスティング法において、工程iii−c)およびiv−c)は、同時に実施され、特に好ましくは、工程iii−c)およびiv−c)は、同時かつii−c)の直後に実施される。
【0211】
さらに、キャスティング法において、工程iv−c)で用いられる少なくとも1つのローラー、好ましくはローラーシステムを、工程iv−c)の間に冷却することが好ましい。
【0212】
ポリマーフィルム(P)を製造するブロー成形法は、好ましくは、以下の工程i−b)〜iv−b):
i−b)少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機において準備する工程であって、該ポリアミド組成物(PC)は、以下の成分(A)および(B):
(A)少なくとも1種の非晶性ポリアミドであって、
(A1)少なくとも1種のジカルボン酸成分と、
(A2)少なくとも1種のジアミン成分と
の重合によって製造された少なくとも1種の非晶性ポリアミド2〜30重量%と、
(B)少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド70〜98重量%と
を含み、ここで、成分(A1)はイソフタル酸を含み、成分(A2)は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含み、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものである工程と、
ii−b)工程i−b)で準備された少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機からノズルを通して押出して、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のチューブラーフィルムを得る工程と、
iii−b)工程ii−b)で得られた溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のチューブラーフィルムを冷却する工程であって、ここで、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は固化してポリマーフィルム(P)を形成する工程と、
iv−b)工程iii−b)で得られたポリマーフィルム(P)を、該ポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込むことによって延伸することで、延伸ポリマーフィルム(sP)を得る工程と
を含む。
【0213】
ブロー成形法の工程i−b)〜iii−b)については、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)〜iii)の上記の実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0214】
ブロー成形法の工程ii−b)におけるノズルとして、好ましくは、スタックダイ、ヘリカルディストリビューターダイまたはこれらの混合形態が用いられる。これらのノズルは、当業者に知られており、例えば、Kirk Cantor著「Blown Film Extrusion」,2nd Edition Carl Hanser Verlag,Munich 2011に記載されている。
【0215】
ブロー成形法において、工程iii−b)およびiv−b)は、同時にまたは連続して実施することができる。好ましくは、ブロー成形法において、工程iii−b)およびiv−b)は、同時に実施される。
【0216】
ポリマーフィルム(P)を製造する二軸延伸ポリアミドフィルム法は、好ましくは、以下の工程i−o)〜iv−o):
i−o)少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機において準備する工程であって、該ポリアミド組成物(PC)は、以下の成分(A)および(B):
(A)少なくとも1種の非晶性ポリアミドであって、
(A1)少なくとも1種のジカルボン酸成分と、
(A2)少なくとも1種のジアミン成分と
の重合によって製造された少なくとも1種の非晶性ポリアミド2〜30重量%と、
(B)少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド70〜98重量%と
を含み、ここで、成分(A1)はイソフタル酸を含み、成分(A2)は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含み、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものである工程と、
ii−o)工程i−o)で準備された少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機からノズルを通して押出して、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを得る工程と、
iii−o)工程ii−o)で得られた溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムを冷却する工程であって、ここで、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は固化してポリマーフィルム(P)を形成する工程と、
iv−o)工程iii−o)で得られたポリマーフィルム(P)を、該ポリマーフィルム(P)を少なくとも1つのローラー上、好ましくはローラーシステム上に案内し、その幅方向に引き伸ばすことによって延伸することで、延伸ポリマーフィルム(sP)を得る工程と
を含む。
【0217】
二軸延伸ポリアミドフィルム法の工程i−o)〜iii−o)については、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)〜iii)の上記の実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0218】
二軸延伸ポリアミドフィルム法において工程ii−o)で用いられるノズルは、通常、スロットノズルである。したがって、工程ii−o)で得られた溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のフィルムは、有利にはフラットフィルムであり、そうして工程iii−o)で得られたポリマーフィルム(P)および工程iv−o)で得られた延伸ポリマーフィルム(sP)は、有利にはフラットフィルムである。
【0219】
二軸延伸ポリアミドフィルム法において、工程iii−o)およびiv−o)は、連続してまたは同時に実施することができ、好ましくは、工程iii−o)およびiv−o)は、連続して実施される。特に好ましくは、二軸延伸ポリアミドフィルム法において、工程iii−o)およびiv−o)は、連続して実施され、工程iii−o)で得られたポリマーフィルム(P)は、工程iv−o)の前に加熱される。この場合、工程iv−o)の前にポリマーフィルム(P)を加熱して、ポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のガラス転移温度(T
G(PC))を上回り、かつポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の溶融温度(T
M(PC))を下回る温度にすることが好ましい。次いで、工程iv−o)において、ポリマーフィルム(P)を、それが工程iv−o)の前に加熱される温度で延伸することが好ましい。
【0220】
ポリマーフィルム(P)を製造するマルチブロー成形法は、好ましくは、以下の工程i−m)〜iv−m):
i−m)少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機において準備する工程であって、該ポリアミド組成物(PC)は、以下の成分(A)および(B):
(A)少なくとも1種の非晶性ポリアミドであって、
(A1)少なくとも1種のジカルボン酸成分と、
(A2)少なくとも1種のジアミン成分と
の重合によって製造された少なくとも1種の非晶性ポリアミド2〜30重量%と、
(B)少なくとも1種の部分結晶性ポリアミド70〜98重量%と
を含み、ここで、成分(A1)はイソフタル酸を含み、成分(A2)は2−メチル−1,5−ジアミノペンタンを含み、それぞれの重量%値は、成分(A)および(B)の重量%値の合計を基準としたものである工程と、
ii−m)工程i−m)で準備された少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)を、溶融形態で第1の押出機からリングノズルであるノズルを通して押出して、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のチューブラーフィルムを得る工程と、
iii−m)工程ii−m)で得られた溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のチューブラーフィルムを冷却する工程であって、ここで、少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)は固化してポリマーフィルム(P)を形成する工程と、
iv−m)工程iii−m)で得られたポリマーフィルム(P)を、該ポリマーフィルム(P)のチューブに空気を吹き込むことによって延伸し、同時にポリマーフィルム(P)を、少なくとも1つのローラー上、好ましくはローラーシステム上に案内することによって延伸することで、延伸ポリマーフィルム(sP)を得る工程と
を含む。
【0221】
マルチブロー成形法の工程i−m)〜iii−m)については、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程i)〜iii)の上記の実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0222】
好ましくは、溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のチューブラーフィルムは、工程iii−m)において水浴中で冷却される。
【0223】
マルチブロー成形法において、工程iii−m)およびiv−m)は、同時にまたは連続して実施することができ、好ましくは、工程iii−m)およびiv−m)は、連続して実施される。特に好ましくは、工程iii−m)およびiv−m)は、連続して実施され、工程iii−m)で得られたポリマーフィルム(P)は、工程iv−m)の前に加熱される。この場合、工程iv−m)の前にポリマーフィルム(P)を加熱して、ポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のガラス転移温度(T
G(PC))を上回り、かつポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)の溶融温度(T
M(PC))を下回る温度にすることが好ましい。次いで、工程iv−m)において、ポリマーフィルム(P)を、それが工程iv−m)の前に加熱される温度で延伸することが好ましい。
【0224】
キャスティング法、ブロー成形法、二軸延伸ポリアミドフィルム法およびマルチブロー成形法において、場合により同様に、少なくとも1種の更なるポリマー(P2)を溶融形態で更なる押出機において準備する工程i1)を実施することができ、この場合、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程ii)に従って、工程ii−c)、工程ii−b)、工程ii−o)および工程ii−m)において、それぞれ溶融形態の少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)および少なくとも1種の更なるポリマー(P2)のフィルムが得られ、このフィルムは、ポリマーフィルム(P)の製造方法の工程iii)に従って、工程iii−c)、工程iii−b)、工程iii−o)および工程iii−m)において冷却されることは言うまでもない。
【0225】
場合により実施される工程i1)については、ポリマーフィルム(P)の製造方法の場合により実施される工程i1)の上記の実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0226】
好ましくは、二軸延伸ポリアミドフィルム法において、工程i1)は実施されない。つまり、二軸延伸ポリアミドフィルム法において、更なるポリマー(P2)が更なる押出機において準備されないことが好ましい。
【0227】
食品包装
本発明によるポリマーフィルム(P)は、食品を包装する方法において用いることができる。
【0228】
したがって、本発明の対象はまた、食品を包装するための本発明によるポリマーフィルム(P)の使用である。
【0229】
例えば、食品を包装するための本方法は、以下の工程:
a)第1の温度(T1)を有する本発明による少なくとも1つのポリマーフィルム(P)で包まれている食品を準備する工程と、
b)少なくとも1つのポリマーフィルム(P)を60〜150℃の範囲の第2の温度(T2)に加熱し、それによって少なくとも1つのポリマーフィルム(P)を収縮させて、少なくとも1つの収縮ポリマーフィルム(P)で包まれている食品を得る工程と
を含む。
【0230】
したがって、本発明の対象はまた、以下の工程:
a)第1の温度(T1)を有する請求項1から13までのいずれか1項記載の少なくとも1つのポリマーフィルム(P)で包まれている食品を準備する工程と、
b)少なくとも1つのポリマーフィルム(P)を60〜150℃の範囲の第2の温度(T2)に加熱し、それによって少なくとも1つのポリマーフィルム(P)を収縮させて、少なくとも1つの収縮ポリマーフィルム(P)で包まれている食品を得る工程と
を含む。
【0231】
工程a)では、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)で包まれている食品が提供される。
【0232】
ポリマーフィルム(P)については、ポリマーフィルム(P)の上記の実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0233】
好ましくは、少なくとも1つの延伸ポリマーフィルム(sP)が、食品を包装する方法におけるポリマーフィルム(P)として用いられる。少なくとも1つの延伸ポリマーフィルム(sP)については、延伸ポリマーフィルム(sP)の上記の実施形態および好ましい形態が同様に適用される。
【0234】
食品として適しているのは、公知のあらゆる食品であり、特に適しているのは、チーズ製品、肉製品およびソーセージ製品である。
【0235】
本発明の文脈において、「少なくとも1つのポリマーフィルム(P)で包まれている」とは、食品の表面の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは100%が、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)で覆われていることを意味する。「覆われている」とは、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)と食品の表面とが互いに直接接触できることを意味するが、食品の表面と少なくとも1つのポリマーフィルム(P)との間に少なくとも部分的に空気が存在することも可能である。
【0236】
工程a)において、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)は、第1の温度(T1)を有する。第1の温度(T1)は、好ましくは、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のガラス転移温度(T
G(PC))を下回る。例えば、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)は、−10〜50℃の範囲、好ましくは0〜40℃の範囲、特に好ましくは10℃〜30℃の範囲である第1の温度(T1)を有する。
【0237】
したがって、本発明の対象はまた、第1の温度(T1)が、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のガラス転移温度(T
G(PC))を下回る、食品を包装する方法である。
【0238】
本発明の対象はさらに、第1の温度(T1)が−10〜50℃の範囲である、食品を包装する方法である。
【0239】
工程b)において、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)は、第2の温度(T2)に加熱される。したがって、第2の温度(T2)は、ポリマーフィルム(P)の第1の温度(T1)を上回る。
【0240】
好ましくは、第2の温度(T2)は、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)に含まれる少なくとも1種のポリアミド組成物(PC)のガラス転移温度(T
G(PC))を上回る。例えば、第2の温度(T2)は、60〜150℃の範囲、好ましくは80〜120℃の範囲、特に好ましくは90〜110℃の範囲である。
【0241】
したがって、本発明の対象はまた、第2の温度(T2)が、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)に含まれるポリアミド組成物(PC)のガラス転移温度(T
G(PC))を上回る、食品を包装する方法である。
【0242】
本発明の対象はさらに、第2の温度(T2)が60〜150℃の範囲である、食品を包装する方法である。
【0243】
少なくとも1つのポリマーフィルム(P)は、当業者に公知のあらゆる方法に従って第2の温度(T2)に加熱することができる。例えば、水蒸気または熱風によって第2の温度(T2)に加熱することができる。
【0244】
工程b)において、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)が収縮する。少なくとも1つのポリマーフィルム(P)は、第2の温度(T2)にもたらされている間に早くも収縮し得る。少なくとも1つのポリマーフィルム(P)は、その温度が第2の温度(T2)にあるときにのみ収縮することも可能である。
【0245】
本発明の文脈において、「収縮」とは、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)の体積が、第1の温度(T1)を有する少なくとも1つのポリマーフィルム(P)の体積よりも小さくなることを意味する。例えば、少なくとも1つのポリマーフィルム(P)の体積は、第1の温度(T1)を有する少なくとも1つのポリマーの体積を基準として、それぞれ、10〜80%小さくなり、好ましくは20〜70%小さくなり、特に好ましくは30〜60%小さくなる。
【0246】
食品を包む少なくとも1つの収縮ポリマーフィルム(P)は、特に高い酸素バリアを有し、したがって酸素の浸透から特に良好に食品を保護する。この良好な酸素不透過性は、高湿度および高温、例えば25℃を上回る温度でも保持される。
【0247】
本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0248】
測定方法:
ポリアミドの粘度数は、EN ISO 307:2007 + Amd 1:2013に準拠して96重量%硫酸中25℃で0.5重量%溶液中で測定した。
【0249】
分子量Mwは、Chi−san Wu「Handbook of size exclusion chromatography and related techniques」(第19頁)に記載されるSEC−MALLSにより測定した。
【0250】
ガラス転移温度および溶融温度は、ISO 11357−1:2009、ISO 11357−2:2013およびISO 11357−3:2011に従って測定した。このために、2回の加熱運転を実施し、2回目の加熱運転に基づいてガラス転移温度および溶融温度を測定した。
【0251】
40℃での酸素透過率は、ASTM D 3985−05(2010)に従って相対湿度0%で測定した。
【0252】
引裂応力および降伏応力は、ISO 527−3:2003に従って測定した。
【0253】
貫入抵抗は、食品ホイルDIN EN 14477:2004の規格に従って測定した。
【0254】
供給材料について
1.)Ultramid B40Lという商品名で販売されているBASF SE(登録商標)社のPA6。測定された粘度数は250であり、絶対分子量Mwは56200であり、融点は219.8℃であった。
【0255】
2.)Ultramid B33Lの商品名で販売されているBASF SE(登録商標)社のPA6。測定された粘度数は195であり、絶対分子量Mwは42600であり、融点は220.2℃であった。
【0256】
3.)Ultramid C40Lの商品名で販売されているBASF SE(登録商標)社のPA6/6.6。測定された粘度数は250であり、絶対分子量Mwは55300であり、融点は189.6℃であった。
【0257】
4.)Ultramid C33Lの商品名で販売されているBASF SE(登録商標)社のPA6/6.6。測定された粘度数は195であり、絶対分子量Mwは42800であり、融点は195℃であった。
【0258】
5.)Grivory G21という商品名で販売されているEMS−Chemie Holding AG(登録商標)社のPA6I/6T。測定された粘度数は85であり、絶対分子量は23400であり、ガラス転移温度は125℃であった。
【0259】
6.)Lupolen 2420 Fの商品名で販売されているLyondellBasell(登録商標)社のLDPE(低密度ポリエチレン)。テクニカルデータシートによれば0.75g/10分のMFR(190℃/2.16kg)を有していた。
【0260】
7.)DOWLEX 2045Sの商品名で販売されているDOW(登録商標)社のLLDPE(線状低密度ポリエチレン)。テクニカルデータシートによれば1.0g/10分のMFR(メルトフローレート)(190℃/2.16kg)を有していた。
【0261】
8.)Escorene Ultra FL 00119の商品名で販売されているExxonMobil(登録商標)社のEVA(エチレンビニルアセテート)。テクニカルデータシートによれば0.65g/10分のMFI(メルトフローインデックス)(190℃/2.16kg)を有していた。
【0262】
9.)Lupolen 3020 Kの商品名で販売されているLyondellBasell(登録商標)社のLDPE。テクニカルデータシートによれば4g/10分のMFR(190℃/2.16kg)を有していた。
【0263】
10.)Bynel 4104の商品名で販売されているDuPont(登録商標)社のTIE(接着促進剤;無水マレイン酸グラフトポリエチレン)。テクニカルデータシートによれば1.1g/10分のMFR(190℃/2.16kg)を有していた。
【0264】
11.)Bynel 4105の商品名で販売されているDuPont(登録商標)社のTIE。テクニカルデータシートによれば4g/10分のMFR(190℃/2.16kg)を有していた。
【0265】
12.)イソフタル酸100モル%および2−メチル−1,5−ジアミノペンタン100モル%から製造された本発明による成分A。熱可塑性樹脂は、141℃のガラス転移温度および84の粘度数を示した。
【0266】
13.)テレフタル酸60モル%、イソフタル酸40モル%および2−メチル−1,5−ジアミノペンタン100モル%から製造された本発明による成分A。熱可塑性樹脂は、146℃のガラス転移温度および86の粘度数を示した。
【0267】
14.)テレフタル酸50モル%、イソフタル酸50モル%、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン50モル%およびヘキサメチレンジアミン50モル%から製造された本発明による成分A。熱可塑性樹脂は、139℃のガラス転移温度および86の粘度数を示した。
【0268】
ブロー成形法における本発明による多層フィルムの製造:
多層フィルムは、180mmのノズルヘッド直径を有するCollin(登録商標)社の7層インフレーションフィルムシステムで製造した。7つの押出機のうち、6つの直径は30mmであり、1つの直径は45mmであった。フィルムは100μmの厚さを有し、各層は、多層フィルムにおいて15/14/14/14/14/14/15μmの層厚を有していた。
【0269】
V−A:構造PE/PE/TIE/PA/TIE/PE/PEを有する多層フィルムであって、PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 2420 Fを、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4104を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、20重量%のPA6と80重量%の出発材料12.)との混合物を用いた。PA6は、BASF SE(登録商標)社のUltramid B40Lであった。
【0270】
V−B:構造PE/PE/TIE/PA/TIE/PE/PEを有する多層フィルムであって、PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 2420 Fを、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4104を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、20重量%のPA6と80重量%のPA6I/6Tとの混合物を用いた。PA6はBASF SE(登録商標)社のUltramid B40Lであり、PA6I/6TはEMS(登録商標)社のGrivory G21であった。
【0271】
V−C:構造PE/PE/TIE/PA/TIE/PE/PEを有する多層フィルムであって、PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 2420 Fを、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4104を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、80重量%のPA6と20重量%のPA6I/6Tとの混合比8:2の混合物を用いた。PA6はBASF SE(登録商標)社のUltramid B33Lであり、PA6I/6TはEMS社のGrivory G21であった。
【0272】
D:構造PE/PE/TIE/PA/TIE/PE/PEを有する多層フィルムであって、PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 2420 Fを、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4104を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、75重量%のPA6(BASF SE(登録商標)社のUltramid B40L)と25重量%の出発材料12.)との混合物を用いた。
【0273】
E:構造PE/PE/TIE/PA/TIE/PE/PEを有する多層フィルムであって、PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 2420 Fを、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4104を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、85重量%のPA6/6.6(BASF SE(登録商標)のUltramid C40L)と15重量%の出発材料13.)との混合物を用いた。
【0274】
F:構造EVA/PA/TIE/PE/LLDPE/PE/PEを有する多層フィルムであって、EVAとしてExxonMobil(登録商標)社のEscorene Ultra FL 00119を、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4104を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、90重量%のPA6/6.6(BASF SE(登録商標)のUltramid C40L)と10重量%の出発材料14.)との混合物を用いた。PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 2420 Fを、LLDPEとしてDOW(登録商標)社のDOWLEX 2045Sを用いた。
【0275】
【表1】
【0276】
キャスティング法における単層および多層フィルムの製造:
多層フィルムは、800mmのノズルヘッド幅を有するCollin(登録商標)社の7層インフレーションフィルムシステムで製造した。7つの押出機のうち、6つの直径は30mmであり、1つの直径は45mmであった。フィルムは100μmの厚さを有し、各層は、多層フィルムにおいて15/14/14/14/14/14/15μmの層厚を有していた。単層フィルムは、同じシステムで直径45mmの押出機を1つだけ使用して製造した。
【0277】
V−Ai):構造PE/PE/TIE/PA/TIE/PE/PEを有する多層フィルムであって、PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 3020 Kを、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4105を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、20重量%のPA6と80重量%の出発材料12.)との混合物を用いた。PA6はBASF SE(登録商標)社のUltramid B33Lであった。
【0278】
V−Bi):構造PE/PE/TIE/PA/TIE/PE/PEを有する多層フィルムであって、PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 3020 Kを、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4105を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、20重量%のPA6と80重量%のPA6I/6Tとの混合物を用いた。PA6はBASF SE(登録商標)社のUltramid B33Lであり、PA6I/6TはEMS(登録商標)社のGrivory G21であった。
【0279】
V−Ci):構造PE/PE/TIE/PA/TIE/PE/PEを有する多層フィルムであって、PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 3020 Kを、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4105を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、80重量%のPA6と20重量%のPA6I/6Tとの混合物を用いた。PA6はBASF SE(登録商標)社のUltramid B33Lであり、PA6I/6TはEMS(登録商標)社のGrivory G21であった。Ultramid B33LとGrivory G21との混合比は8:2であった。
【0280】
Di):構造PE/PE/TIE/PA/TIE/PE/PEを有する多層フィルムであって、PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 3020 Kを、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4105を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、75重量%のPA6(BASF SE(登録商標)のUltramid B33L)と25重量%の出発材料12.)との混合物を用いた。
【0281】
Ei):構造PE/PE/TIE/PA/TIE/PE/PEを有する多層フィルムであって、PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 3020 Kを、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4105を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、85重量%のPA6/6.6(BASF SE(登録商標)のUltramid C33L)と15重量%の出発材料13.)との混合物を用いた。
【0282】
Fi):構造EVA/PA/TIE/PE/LLDPE/PE/PEを有する多層フィルムであって、EVAとしてExxonMobil(登録商標)社のEscorene Ultra FL 00119を、TIEとしてDuPont(登録商標)社のBynel 4105を用いた。ポリアミド組成物(PC)として、90重量%のPA6/6.6(BASF SE(登録商標)のUltramid C33L)と10重量%の出発材料14.)との混合物を用いた。PEとしてLyondellBasell(登録商標)社のLupolen 3020 Kを、LLDPEとしてDOW(登録商標)社のDOWLEX 2045Sを用いた。
【0283】
Gi):80重量%のPA6(BASF SE(登録商標)のUltramid C33L)と20重量%の出発材料12.)の混合物とからなる単層フィルム。
【0284】
【表2】