(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]吸収性物品であって、肌側及び非肌側の少なくとも一方の表面に、パターンを有する光沢層を備え、前記光沢層が配置された領域である光沢層配置領域の光沢度は、前記光沢層の周囲の領域の光沢度よりも高く、前記光沢層配置領域の光沢度は7以上である、吸収性物品。
この吸収性物品では、肌側及び非肌側の少なくとも一方の表面に光沢層が配置されており、光沢層を含む光沢層配置領域の光沢度が7以上である。そのため、照明を明るくできない暗い環境においても、わずかな光で光沢層のパターンを容易に把握することができる。それゆえ、例えば、予めパッケージなどでパターンの意味を表示しておくことで、明るさが十分でない環境下で吸収性物品を交換するとき、例えば、パターンで示される吸収性物品の前側又は後側の部分や、肌側又は非肌側や、サイズなどを把握し易くすることができる。したがって、明るさが十分でない環境においても吸収性物品の交換を容易にすることができる。更に、この吸収性物品では、明るさが十分ある明るい環境では、光沢層の光沢により、光沢層の無い場合と比較して、一目見るだけで、吸収性物品の前側又は後側の部分などを確実に把握することができるほか、光沢感があることで吸収性物品に高級感やプレミアム感を付与することもできる。
【0011】
[態様2]前記光沢層は、箔で形成されている、態様1に記載の吸収性物品。
この吸収性物品では、光沢層が箔で形成されているので、光沢層配置領域の光沢度が下地の凹凸の影響を受けることを抑制できる。それにより、吸収性物品を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層を容易に確認することができる。したがって、明るさが十分でない環境においても吸収性物品の交換を容易にできる。
【0012】
[態様3]前記吸収性物品は、長手方向及び幅方向を有し、前記長手方向に沿って並ぶ腹側部、背側部及び股間部を有する使い捨ておむつであり、前記使い捨ておむつの前記腹側部及び前記背側部のいずれか一方は、非肌側の表面に、前記光沢層を備える、態様1又は2に記載の吸収性物品。
この吸収性物品では、使い捨ておむつの腹側部及び背側部のいずれか一方が、非肌側の表面に光沢層を備えている。それゆえ、例えば、予めパッケージなどでパターンが腹側部及び背側部のいずれに位置するかを表示しておくことで、照明を明るくできない環境においても、使い捨ておむつの前側の部分(腹側部)及び後側の部分(背側部)を把握し易くすることができる。
【0013】
[態様4]前記腹側部は、非肌側の表面にターゲットテープを備え、前記背側部は、前記幅方向の両端部に、前記ターゲットテープに係合するための一対の係合テープを備え、前記光沢層は、前記ターゲットテープが配置されたターゲットテープ領域に位置する、態様3に記載の吸収性物品。
この吸収性物品では、光沢層がターゲットテープ領域に位置している。それゆえ、照明を明るくできない環境においても、使い捨ておむつのターゲットテープの位置を容易に認識することができ、それにより、一対の係合テープをターゲットテープに容易に係合することができる。そして、係合テープをターゲットテープ以外の部分に係合してしまい、係合テープが外れてしまうトラブルを回避できる。
【0014】
[態様5]前記腹側部は、非肌側に位置するターゲットテープを備え、前記ターゲットテープは、ターゲットテープ領域に配置され、前記背側部は、前記幅方向の両端部に位置し、前記ターゲットテープに係合する一対の係合テープを備え、前記光沢層は、前記一対の係合テープの非肌側に位置する、態様3記載の吸収性物品。
この吸収性物品では、光沢層が一対の係合テープに位置している。それゆえ、照明を明るくできない環境においても、使い捨ておむつの一対の係合テープの位置を容易に認識することができる。特に、一対の係合テープは使い捨ておむつの交換時に体の下に敷き込まれ易く、照明を明るくできない環境では視認が難しい。それゆえ、一対の係合テープが光沢層により視認し易くなることで、吸収性物品の交換を容易にすることができる。
【0015】
[態様6]前記一対の係合テープの各々は、非肌側の表面に、他のパターンを有する他の光沢層を備え、前記光沢層は、前記ターゲットテープ領域の前記幅方向の中央部分に位置しており、前記使い捨ておむつの着用時に、前記幅方向において、前記ターゲットテープ領域における前記中央部分の両側に位置する両側部分の前記ターゲットテープに前記一対の係合テープが係合される、態様4又は5に記載の吸収性物品。
この吸収性物品では、使い捨ておむつの着用時に、ターゲットテープ領域における幅方向の両側部分に一対の係合テープが係合される。すなわち、幅方向において、ターゲットテープ領域において、中央部分に光沢層が位置し、その両側に他の光沢層が位置するように使い捨ておむつを着用することで、正しく着用できたことになる。このように、この吸収性物品では、ターゲットテープ上の最適な位置に一対の係合テープを配置するように誘導できる。そのため、照明を明るくできない環境においても、使い捨ておむつのターゲットテープ及び一対の係合テープの位置をそれぞれ容易に認識して、一対の係合テープをターゲットテープに最適な位置に容易に係合することができる。そして、このとき、ターゲットテープ上に幅方向に沿って、他の光沢層、光沢層及び他の光沢層がこの順で並ぶことで、係合したときに初めて完成されるパターン表現を用いて、高いデザイン性と高級感を演出することができる。
【0016】
[態様7]前記光沢層は、基材と、前記基材上に位置し、前記パターンを構成し、光沢を有する光沢形成層と、を含み、前記基材は、前記ターゲットテープの一部であり、前記光沢形成層は、前記ターゲットテープの前記幅方向の中央部分に配置されている、態様4乃至6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
この吸収性物品では、光沢層の光沢形成層がターゲットテープ(基材)に支持されている。そのため、光沢形成層の平滑性が、下地の凹凸の影響を受けることを抑制でき、光沢形成層の光沢を維持できる。それゆえ、光沢層配置領域の光沢度が、光沢形成層の下地の凹凸の影響を受けることを抑制できる。それにより、吸収性物品を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層を容易に確認することができる。したがって、明るさが十分でない環境においても吸収性物品の交換を容易にすることができる。また、ターゲットテープに、光沢形成層を形成したことで、光沢形成層を視認した後、光沢形成層及びその周囲の上に係合テープを係合でき、係合のためにより広い領域を確保できる。これにより、ターゲットテープと係合テープとの係合をより安定化できる。
【0017】
[態様8]前記ターゲットテープは、前記ターゲットテープ領域の前記幅方向の一方側に位置する第1テープ部と、前記ターゲットテープ領域の前記幅方向の他方側に位置し、前記第1テープ部と離間する第2テープ部と、を含み、前記光沢層は、基材と、前記基材上に位置し、前記パターンを構成し、光沢を有する光沢形成層と、を含み、前記光沢形成層は、前記幅方向において、前記第1テープ部と前記第2テープ部との間に位置する、態様4乃至6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
この吸収性物品では、光沢層の光沢形成層が基材に支持されている。そのため、光沢層配置領域の光沢度が、光沢形成層の下地の凹凸の影響を受けることを抑制できる。それにより、吸収性物品を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層を容易に確認することができる。したがって、明るさが十分でない環境においても吸収性物品の交換を容易にすることができる。また、ターゲットテープ(第1テープ部+第2テープ部)でない基材に光沢形成層を形成したことで、光沢形成層の上に係合テープを係合することがない。これにより、係合による光沢形成層の剥がれや、係合したあと光沢形成層が見えなくなることを抑制できる。
【0018】
[態様9]前記基材は、不織布で構成され、前記不織布は、前記光沢形成層と反対側の面に積層されたフィルムを含む、態様7又は8に記載の吸収性物品。
この吸収性物品では、基材は、フィルムを積層(ラミネート)された不織布で構成されている。そのため、光沢形成層の平滑性が、基材よりも下方の下地の凹凸の影響を受けることをより抑制でき、光沢形成層の光沢をより維持できる。光沢層配置領域の光沢度が、基材よりも下方の下地の凹凸の影響を受けることをより抑制できる。すなわち、フィルムが無い場合と比較して、光沢層の光沢度を高めることができる。それにより、吸収性物品を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層をより容易に確認することができる。
【0019】
[態様10]前記吸収性物品は、吸収体を備え、前記腹側部及び前記背側部の少なくとも一方は、前記幅方向の中央部に位置し、前記幅方向の伸縮性が低い低伸縮域と、前記低伸縮域の前記幅方向の両側に隣接し、前記幅方向の伸縮性が高い一対の高伸縮域と、を含み、平面視で、前記幅方向において、前記一対の高伸縮域の各々における内側の端縁は、前記吸収体における当該高伸縮域に対向する端縁よりも内側に位置し、前記光沢層は、前記低伸縮域の非肌側に位置する、態様3に記載の吸収性物品。
この吸収性物品では、光沢層が腹側部及び背側部の少なくとも一方の低伸縮域の非肌側に位置している。それゆえ、光沢層の収縮を抑制し、凹凸や皺を形成し難くすることができる。そのため、照明を明るくできない環境においても、使い捨ておむつの腹側部又は背側部の位置を容易に認識することができ、吸収性物品の交換を容易にできる。
【0020】
[態様11]前記吸収性物品は、前記背側部の前記幅方向の中央部の非肌面側の表面に配置された後処理テープ、を備え、前記光沢層は、前記後処理テープの非肌側に位置する、態様3に記載の吸収性物品。
この吸収性物品では、光沢層が後処理テープに位置している。それゆえ、照明を明るくできない環境においても、使い捨ておむつの後処理テープの位置を容易に認識することができる。それにより、使い捨ておむつの交換時に、使用済みのおむつを丸めた状態で、後処理テープで適切に処置することができで、吸収性物品の交換を容易にできる。
【0021】
[態様12]非肌側の表面に位置し、パターンを有する光沢層を備える吸収性物品の製造方法であり、非肌側の表面用のシート部材の表面を平滑化する平滑化工程と、前記平滑化された前記シート部材の表面に、パターンを有する光沢層を形成する形成工程と、を備え、前記光沢層を含む光沢層配置領域の光沢度は7以上である、吸収性物品の製造方法。
この吸収性物品の製造方法では、シート部材の表面を平滑化してから、光沢層を形成するので、光沢層を含む光沢層配置領域の光沢度を確実に7以上にすることができる。そのため、明るさが十分でない環境においても吸収性物品の交換を容易にすることができる吸収性物品を製造できる。
【0022】
以下、実施形態に係る吸収性物品について説明する。ただし、第1実施形態ではテープ型おむつを吸収性物品の例とし、第2実施形態ではパンツ型おむつを吸収性物品の例として、それぞれ説明する。なお、吸収性物品の種類はこの例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲を逸脱しない限り、他の吸収性物品でもよい。他の吸収性物品としては、生理用ナプキン、失禁パッドなどが挙げられる。
【0023】
(第1実施形態)
図1〜
図3は実施形態に係るテープ型おむつ1の構成例を示す図である。
図1はテープ型おむつ1を展開した状態を示す平面図であり、
図2はその下面図(非肌側から見た図)であり、
図3は
図1のIII−III線に沿った断面図である。
図4は、実施形態に係るテープ型おむつ1の使用例を示す模式図である。
【0024】
テープ型おむつ1は、
図1に示す状態において、互いに直交する長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを有し、幅方向Wの中心を通り長手方向Lに延びる長手方向中心線CLと、長手方向Lの中心を通り幅方向Wに延びる幅方向中心線CWとを有する。長手方向中心線CLに近づく向き及び側をそれぞれ幅方向Wの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ幅方向Wの外向き及び外側とする。幅方向中心線CWに近づく向き及び側をそれぞれ長手方向Lの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ長手方向Lの外向き及び外側とする。また、長手方向Lにおける、装着者の腹部に対応するテープ型おむつ1の端縁(腹側の端縁)に向かう側を長手方向Lの前側ともいい、装着者の背中に対応するテープ型おむつ1の端縁(背側の端縁)に向かう側を長手方向Lの後側ともいう。「平面視」とは長手方向L及び幅方向Wを含む平面に展開した状態のテープ型おむつ1を厚さ方向Tの上方側から見ることをいい、「平面形状」とは平面視で把握される形状をいう。「平面方向」とは幅方向W及び長手方向Lを含む面と平行な任意の方向である。「肌側」及び「非肌側」とはテープ型おむつ1が装着者に装着されたときに、厚さ方向Tにおいて相対的に装着者の肌面に近くなる側及び遠くなる側をそれぞれ意味する。これら定義はテープ型おむつ1や後述のパンツ型おむつ1aだけでなく、それらに配置された各資材にも共通に用いる。なお、部材や構造や形状などが「長手方向Lに沿う」とは、部材等が長手方向Lに平行な場合だけでなく、部材等の長手方向Lの成分Dxが、部材等の幅方向Wの成分Dyよりも大きい場合も含んでいる。同様に、部材等が「幅方向Wに沿う」とは、部材等が幅方向Wに平行な場合だけでなく、部材等の幅方向Wの成分Dyが、部材等の長手方向Lの成分Dxよりも大きい場合も含んでいる。曲線状や曲面状の部材等に関しては、曲線等上の各点の接線について、部材等を上記のように評価する。
【0025】
図1に示すように、テープ型おむつ1は、長手方向Lに沿って並んだ、前側に位置する腹側部2と、後側に位置する背側部3と、腹側部2と背側部3との間に位置する股間部4と、を有する(に区画される)。腹側部2は、装着者の腹部に当接する部分である。背側部3は、装着者の尻部又は背部に当接する部分である。股間部4は装着者の股間に当接する部分であり、幅方向Wの内側に括れている。テープ型おむつ1は、吸収性本体10と、一対の係合テープ7a、7bと、ターゲットテープ18(18a、18b)と、を備える。吸収性本体10は、吸収体14を含み、長手方向Lには腹側部2から股間部4を介して背側部3までの範囲に位置し、幅方向Wには一対の係合テープ7a、7bを除く両端部までの範囲に位置する。一対の係合テープ7a、7bは、非肌側において、背側部3における幅方向Wの両端部に位置し、両端部から外側に延出している。一対の係合テープ7a、7bは、背側部3における幅方向Wの両側の部分、すなわち一対の側部3F、3Fに連結される。一対の係合テープ7a、7b及び一対の側部3F、3Fの少なくとも一方は伸縮可能である。ターゲットテープ18は、非肌側において、ターゲットテープ配置領域AAに配置されている。ターゲットテープ配置領域AAは、腹側部2における幅方向Wの中央部に位置し、幅方向Wに延在する領域である。ターゲットテープ領域AAの中央部分には、光沢層50が配置されている。本実施形態では、一対の係合テープ7a、7bも非肌側の表面にそれぞれ他の光沢層52a、52bを備えている。
【0026】
テープ型おむつ1は、例えば、装着者の背中に背側部3を当接し、腹部に腹側部2を当接した後、
図4に示すように、背側部3の一対の係合テープ7a、7bを腹側部2のターゲットテープ18の両側に連結させることで、おむつとして装着者に装着される。一対の係合テープ7a、7bは、例えばファスニングテープや面ファスナーのフックが挙げられる。それに対応して、ターゲットテープ18(18a、18b)としては例えば不織布や面ファスナーのループが挙げられる。この場合、テープ型おむつ1では、例えば、長手方向Lの前側1/3の領域を腹側部2とし、後側1/3の領域を背側部3とし、中央の1/3を股間部4とすることができる。腹側部2の長手方向Lの外側の端部2eと背側部3の長手方向Lの外側の端部3eとにより装着者の腰が通るウエスト開口部が画定される。また、テープ型おむつ1では、股間部4における幅方向Wの両側の側部5e、5eにより装着者の脚が通る一対のレッグ開口部が画定される。なお、股間部4は幅方向Wの内側に括れなくてもよい。係合テープ7及び側部3Fは伸縮しなくてもよい。
【0027】
本実施形態では、吸収性本体10は、液透過性の表面シート12と、液不透過性の裏面シート13と、表面シート12と裏面シート13との間に位置し、液を吸収・保持する吸収体14と、を含む。表面シート12として、例えば液透過性の不織布や織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、これらの複合シートなどが挙げられる。裏面シート13として、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シートが挙げられる。吸収体14は、液を吸収し保持する吸収コア14aと、吸収コア14aを覆う液透過性の上側コアラップ14b及び下側コアラップ14cと、を含む。吸収体14と表面シート12及び裏面シート13とはそれぞれ接着剤により接合され、表面シート12と裏面シート13とはそれらの周縁部分において接着剤により接合される。接着剤はテープ型おむつで公知の材料、例えばホットメルト接着剤が挙げられる。吸収性本体10の形状は、特に限定されず、公知のテープ型おむつの吸収性本体10に用いられる形状を採用できる。吸収体14はコアラップを有さなくてもよい。
【0028】
本実施形態では、吸収性本体10は、肌側の表面において、幅方向Wの両側に位置し、長手方向Lに延びる一対のサイドシート17、17を含む。各サイドシート17は、幅方向Wの内側において、長手方向Lに沿って、固定部15と、防漏壁16と、固定部15と、を有する。固定部15、15は、サイドシート17における長手方向Lの前側及び後側の端部に位置し、吸収性本体10に固定されている。防漏壁16は、サイドシート17における長手方向Lの前側及び後側の固定部15、15の間に位置し、幅方向Wの外側の端縁を吸収性本体10に固定され、幅方向Wの内側の端縁を非固定とされている。各防漏壁16は、幅方向Wの内側の端部に、長手方向Lに沿って延びる二本の弾性部材61を含む。弾性部材61は糸ゴムに例示される。各サイドシート17、17は疎水性シート、例えば疎水性不織布で形成される。
【0029】
本実施形態では、テープ型おむつ1は、裏面シート13の非肌側に、液不透過性の外装シート5を備える。外装シート5と裏面シート13とは厚さ方向Tに積層され、接着剤等で互いに接合される。外装シート5の周縁部分と一対のサイドシート17、17の周縁部分とは厚さ方向Tに積層され、接着剤等で互いに接合される。なお、裏面シート13が省略され、吸収体14及び表面シート12の周縁部分が外装シート5に接合されてもよい。逆に、外装シート5が省略され、一対のサイドシート17、17の周縁部分が裏面シート13の周縁部分に接合されてもよい。外装シート5としては、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート、スパンボンド不織布、SMS不織布など、任意の液不透過性シートが挙げられる。外装シート5の材料としては、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系材料が挙げられる。外装シート5の坪量は、例えば5〜100g/m
2であり、好ましくは10〜50g/m
2である。外装シート5の厚さ方向Tの寸法(厚さ)としては、例えば0.1〜5mmであり、好ましくは0.1〜2mmである。なお、外装シート5は二枚以上の積層体でもよい。
【0030】
本実施形態では、吸収性本体10は、背側部3に、伸縮部材6を更に備える。伸縮部材6は、幅方向Wに伸縮可能なシート状の部材であり、背側部3の幅方向Wの中央に長手方向中心線CLを跨ぐように配置される。伸縮部材6は、例えば、一対の係合テープ7、7の幅方向Wの間に配置される。伸縮部材6は、例えばウェストギャザーとして機能する。更に、テープ型おむつ1は、股間部4から背側部3及び腹側部2にレッグギャザー用の複数の弾性部材8を備える。複数の弾性部材8は、一対のサイドシート17、17と外装シート5との間において、主に股間部4の幅方向Wの両端部を長手方向Lに沿って延設される。弾性部材8は、レッグ開口部を伸縮させるものであり、糸ゴムに例示される。
【0031】
次に、
図2〜
図4を参照して、光沢層50について更に説明する。
【0032】
テープ型おむつ1は、非肌側の表面に、パターンを有する光沢層50を備えている。光沢層50が配置された領域である光沢層配置領域の光沢度は、光沢層50の周囲の領域の光沢度よりも高い。光沢層配置領域の光沢度は7以上である。なお、テープ型おむつ1は、パターンを有する光沢層50を、肌側の表面に備えてもよく、腹側部2、背側部3及び股間部4のいずれの部分に備えてもよい。
【0033】
このようにテープ型おむつ1では、肌側及び非肌側の少なくとも一方の表面に光沢層50が配置され、光沢層50を含む光沢層配置領域の光沢度が7以上である。そのため、照明を明るくできない環境においても、わずかな光で光沢層50のパターンを容易に把握することができる。そのとき、例えば、パッケージなどに表示されたパターンの意味を予め知っておくことで、照明を明るくできない環境下でテープ型おむつ1を交換するとき、パターンで示される意味を容易に把握することができる。具体例としては、光沢層50の特定のパターンが腹側部2(前側の部分)/背側部3(後側の部分)の位置を示す場合、テープ型おむつ1の腹側部2(前側の部分)/背側部3(後側の部分)の位置を容易に把握することができる。また、光沢層50の特定のパターンがテープ型おむつ1の表側(肌側)/裏側(非肌側)を示す場合、テープ型おむつ1の表側(肌側)/裏側(非肌側)を容易に把握することができる。また、光沢層50の特定のパターンが特定のサイズを示す場合、テープ型おむつ1のサイズを容易に把握することができる。それゆえ、明るさが十分でない環境においてもテープ型おむつ1の交換を誤りなく容易に行うことができる。なお、特定のパターンが前側の部分等や肌側等やサイズを示すとは、例えば、特定のパターンが前側等や肌側等やサイズを示すために予め設定された文字や形状や図柄を有する場合や、特定のパターンが前側等や肌側等やサイズを示すための予め設定された位置に存在する場合などが挙げられる。
【0034】
本実施形態では、光沢層50は、ターゲットテープ18が配置された領域であるターゲットテープ領域AAに位置している。そのため、照明を明るくできない環境においても、テープ型おむつ1のターゲットテープ18の位置を容易に認識することができ、更にテープ型おむつ1の表側(肌側)/裏側(非肌側)を容易に認識することができる。それにより、照明を明るくできない環境においても、一対の係合テープ7a、7bをターゲットテープ18に容易に係合することができる。そして、一対の係合テープ7a、7bをターゲットテープ18以外の他の部分に係合してしまい、一対の係合テープ7a、7bが外れてしまうトラブルを回避できる。
【0035】
ただし、光沢度は、JIS Z 8741(1997):鏡面光沢度、に基づいてグロスチェッカーIG−331(株式会社堀場製作所製)で計測される。グロスチェッカーIG−331における入射角及び受光角はいずれも60℃であり、測定面積は長径6mm×短径3mmの楕円である。また、パターンは、文字や模様や図案のような任意の図形であり、一続きの図形であってもよいし、複数の図形の集合でもよいし、中抜きの図形でもよい。また、光沢層配置領域は、光沢層50を含むグロスチェッカーの測定面積の領域とする。光沢層配置領域は、光沢層50がグロスチェッカーの測定面積よりも小さい場合、光沢層50全体を含む領域とし、光沢層50がグロスチェッカーの測定面積よりも大きい場合、光沢層50の一部(測定面積と同じ面積)を含む領域とする。また、光沢層50の周囲の領域とは、光沢層50を含む最小面積の矩形を囲む環状の領域であり、その環の幅は、グロスチェッカーの測定面積の最大幅とする。また、一般に、室内の明るさは、月明りで約0.1〜1ルクス、豆電球で10ルクス以下、リビング照明で400〜500ルクスなので、「明るさが十分でない環境」や「照明を明るくできない環境」は、豆電球による明るさの環境とし、具体的には8〜10ルクスの明るさの環境とする。
【0036】
光沢層配置領域の光沢度は、7以上であり、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上であり、更に好ましくは30以上である。光沢層配置領域の光沢度が小さ過ぎると、明るさが十分でない環境で、光沢層50のパターンを視認することが困難となる。このように光沢度を高める観点から、光沢層50は金属光沢を有することが好ましい。
【0037】
光沢層50の色は、明るさが十分でない環境で、所定の光沢度を示すことができれば、特に制限はないが、光沢度を高くし易い観点から、金属光沢を示す色、例えば、金色、銀色(と視認できる色)が好ましく、特に金色が好ましい。金色の光沢がある場合、更に高級感を付与することもできる。ただし、金色や銀色を金又は銀で実現する必要はなく、他の材料で疑似的に金色や銀色を実現すればよい。
所定の光沢度を示し得る金色、銀色の好ましい色味領域としては、PANTONE(登録商標)のMetallic Coated CHIPSの色領域において、下記の色味が好ましい。
すなわち、PANTONE(登録商標):10101C,10102C,10103C,10104C,10105C,10077C,10106C,10107C,10108C,10109C,10110C,10111C,10112C,10113C,10114C,10115C,10116C,10117C,10118C,10119C,10120C,10121C,10122C,10123C,10124C,10125C,10126C,10127C,10128C,10130C,10131C,10132C,10136C,10137C,10138C,10142C,10143C,10403C,10404C,10405C,10406C,10407C,10408C,10409C,10190C,10191C,10192C,10250C,10251C,10262C,10263C,10264C,10435C,10436C,10310C10334C,10335C,10336C,10337C,10338C,10340C,10341C,10342C,10343C,10344C,10345C,10346C,10347C,10348C,10349C,10350C,10351C,10352C,10353C,10354C,10355C,10356C,10357C,10358C,10359C,10360C,10361C,10362C,10363C,10364C,10365C,10366C,10367C,10368C,10369C,10370C,10371C,10372C,10373C,10374C,10375C,10376C,10378C,10379C,10380C,10381C,10446C,10447C,10448C,10382C,10383C,10384C,10449C,10450C,10451C,10388C,10389C,10390C,10391C,10394C,10395C,10396C,871C,872C,873C,874C,875C,876C,877C,8001C,8002C,8003C,8004C,8005C,8006C,8020C,8021C,8022C,8040C,8041C,8042C,8060C,8061C,8080C,8100C,8120C,8121C8160C,8161C,8180C,8220C,8221C,8200C,8201C,8280C,8281C,8240C,8241C,8260C,8261C,8300C,8301C,8320C,8340C,8341C,8342C,8360C,8361C,8362C,8363C,8364C,8365C,8380C,8381C,8382C,8383C,8384C,8385C,8400C,8401C,8402C,8403C,8420C,8421C,8422C,8423C,8440C,8441C,8500C,8460C,8461C,8462C,8580C,8640C,8641C,8642C,8643C,8644C,8645C,8660C,8661C,8662C,8680C,8700C、である。
【0038】
光沢層50は、例えば、金属を含む箔又は塗料で形成される。箔は、金属を含む薄く平らな層である。箔としては、例えば、金属を叩いて薄く平らに延ばしたもの、薄く平らに延ばしたものに合成樹脂層などを積層したもの、金属を含む層状のものに合成樹脂層などを積層したものなどが挙げられる。金属を含む層状のものは、例えば、金属粉顔料含有塗布膜、金属蒸着膜である。塗料は、例えば、塗膜形成成分に金属粉顔料のような金属光沢を示す顔料又は染料を含むものが挙げられる。これらの各種の金属を含む材料において、光沢のために使用される金属としては、例えば、金、銀、銅、錫、真鍮、アルミニウムが挙げられる。
【0039】
ここで、光沢層50は、箔で形成されていることが好ましい。そのような箔は、塗料のような液状の材料と比較して、一定の形状・厚さを有している。そのため、箔を形成する下地の凹凸や空隙に影響され難く、光沢層50を所望の厚さで比較的平滑に形成でき、光沢層50の光沢度を所望の値に維持し易くできる。光沢層50の厚さとしては、1〜1000μmが挙げられ、10〜200μmが好ましい。光沢層50の厚さが薄過ぎると下地の凹凸に影響され、光沢を維持できず、厚過ぎると触感が硬くなり着用者等に違和感を覚えさせる。
【0040】
本実施形態では、箔の材料としては、ベースフィルム・離型層、着色層、蒸着層及び接着層の5つの層から構成された箔である。その箔は、箔押法(ホットスタンプ法)により被転写物に転写される。箔押法により、ベースフィルムを残して、離型層から接着層までが被転写物に転写される。したがって、この場合、光沢層50の箔は、離型層から接着層までの部分ということができる。箔押法については後述される。
【0041】
ベースフィルムは、離型層、着色層、蒸着層及び接着層を運ぶための層であり、例えば、所定の合成樹脂で形成される。離型層は、着色層、蒸着層及び接着層の各層をベースフィルムから離れ易くするための層であり、所定の合成樹脂で形成される。着色層は、箔の色を表現する層である。例えば、箔に金色を発現させたい場合、着色層としては、黄色の塗料を用いた塗布膜が例示される。蒸着層は、光沢を出す層である。例えば、箔に金色を発現させたい場合、蒸着層としては、着色層に蒸着されたアルミニウム薄膜や錫薄膜が例示される。アルミニウム薄膜又は錫薄膜(蒸着層)を蒸着された黄色の塗布膜(着色層)は、金色に見える。接着層は、蒸着層に接着剤を塗布して形成される。接着剤としては、箔が転写される被転写物によって適した種類が選択され、例えば、被転写物が不織布、ラミネート、フィルムの場合、それぞれに適した接着層が選定される。接着剤は熱と圧力によって被転写物に接着する。なお、箔の金属光沢の色を変更したい場合には、例えば着色層の色を変更する。なお、錫薄膜は、おむつ製造時などでの金属探知機による検査において、金属探知機の反応を回避できるので好ましい。
【0042】
なお、光沢層50としては、上記の例に限定されず、明るさが十分でない環境で、所定の光沢度を示すことができれば、必ずしも金属を含む箔又は塗料でなくてもよい。光沢層50としては、例えば、光沢を有する顔料を含む塗料を用いた膜(例示:パール顔料含有塗布膜)や、ホログラムなどが挙げられる。
【0043】
このようなテープ型おむつ1では、光沢層50が箔で形成されているので、光沢層配置領域の光沢度が下地の凹凸の影響を受けることを抑制できる。それにより、テープ型おむつ1を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層50を容易に確認することができる。したがって、明るさが十分でない環境においてもテープ型おむつ1の交換を容易にすることができる。
【0044】
本実施形態では、一対の係合テープ7a、7bは、非肌側の表面に、他のパターンを有する他の光沢層52a、52bを備える。他の光沢層52a、52bの構成は、配置される位置が異なる他は、上記の光沢層50の構成と同様である。他の光沢層52a、52bは、光沢層50と同一でよく、上記の光沢層50の構成の範囲で互いに相違してもよい。
【0045】
本実施形態では、ターゲットテープ領域AAは、詳細には、幅方向Wにおいて、中央に位置する中央部分ACと、中央部分ACの両側に位置する一方の側部分AEa及び他方の側部分AEbと、を有している。ターゲットテープ18は、一方の側部分AEaに位置する第1テープ部18aと、他方の側部分AEbに位置し、第1テープ部18aと幅方向Wに離間する第2テープ部18bと、を含む。すなわち、ターゲットテープ18は、第1テープ部18aと、第2テープ部18bとに分離している。このとき、光沢層50は、ターゲットテープ領域AAの中央部分ACに位置している。そして、一対の係合テープ7a、7bは、テープ型おむつ1の着用時に、ターゲットテープ領域AAの一方の側部分AEa及び他方の側部分AEbに係合される。
【0046】
この場合、
図4に示すように、テープ型おむつ1は、着用時に、ターゲットテープ領域AAにおける幅方向Wの両側部分AEa、AEbに一対の係合テープ7a、7bが係合される。すなわち、幅方向Wにおいて、ターゲットテープ領域AAにおいて、中央部分ACに光沢層50が位置し、その両側に他の光沢層52a、52bが位置するようにテープ型おむつ1を着用することで、正しく着用できたことになる。このようにして、このテープ型おむつ1では、ターゲットテープ18上の最適な位置に一対の係合テープ7a、7bを配置するように誘導できる。そのため、照明を明るくできない環境においても、テープ型おむつ1のターゲットテープ18及び一対の係合テープ7a、7bの位置をそれぞれ容易に認識して、一対の係合テープ7a、7bをターゲットテープ18に最適な位置に容易に係合することができる。
【0047】
また、他の光沢層52a、光沢層50、及び他の光沢層52bは、この順で並ぶことで完成される一まとまりのパターンで表現されてもよい。その場合、テープ型おむつ1の着用時に、ターゲットテープ18上に幅方向Wに沿って、他の光沢層52a、光沢層50及び他の光沢層52bがこの順で並ぶことで、係合したときに初めて完成されるパターン表現により、テープ型おむつ1の高いデザイン性及び高級感を演出することができる。
【0048】
なお、光沢層50は、腹側部2、背側部3及び股間部4における任意の複数の箇所に、間欠的又は連続的に配置されてもよく、腹側部2、背側部3及び股間部4のいくつかに跨って配置されてもよい。例えば、光沢層50が、一方の係合テープ7aから、ターゲットテープ18を経由して、他方の係合テープ7bまで、間欠的又は連続的に配置されることで、ウエスト開口部を囲む金のベルトのような高級感の溢れる図案とすることもできる。
【0049】
本実施形態では、光沢層50は、基材20と、光沢形成層51と、を含む。基材20は、外装シート5上に位置する。光沢形成層51は、基材20上に位置し、パターンを構成し、光沢を有する。したがって、光沢形成層51は、光沢層50のうちの金属を含む箔又は塗料で形成される部分といえる。光沢形成層51は、幅方向Wにおいて、第1テープ部18aと第2テープ部18bとの間に位置する。基材20は、幅方向Wの両側に延在しており、第1テープ部18a及び第2テープ部18bは、基材20上に位置する。
【0050】
このように、テープ型おむつ1では、光沢形成層51が基材20に支持され、かつ、光沢形成層51の両側に位置する第1テープ部18a及び第2テープ部18bが基材20に支持されている。そのため、光沢形成層51の平滑性が、下地の凹凸や周辺の第1テープ部18a及び第2テープ部18bの下地の凹凸の影響を受けることを抑制でき、光沢形成層51の光沢を維持できる。それにより、光沢層配置領域の光沢度が、下地の凹凸の影響を受けることを抑制できる。したがって、テープ型おむつ1を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層50を容易に確認することができる。したがって、明るさが十分でない環境でもテープ型おむつ1の交換を容易にすることができる。
【0051】
なお、一対の係合テープ7a、7bの光沢層52a、52bについても、光沢層50と同様に、基材と光沢形成層とが積層された構成を有してもよい。すなわち、光沢層52a、52bの各々は、一対の係合テープ7a、7bの各々上に位置する基材と、基材上に位置し、パターンを構成し、光沢を有する光沢形成層とを含んでいてもよい。
【0052】
ここで、基材20としては、例えば、スパンボンド不織布やエアスルー不織布やSMS不織布のような不織布が挙げられる。不織布の材料としては、特に制限はなく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのような合成樹脂が挙げられる。その場合、不織布の厚さは、例えば0.02〜2mmが挙げられ、0.05〜1mmが好ましい。薄過ぎると光沢層50の材料が不織布を抜け易くなるなど光沢層50の形成が難しくなり、厚過ぎると光沢層50が製品の表面から突出し過ぎるおそれがある。不織布の密度としては、下限は例えば0.04g/cm
3が挙げられ、0.07g/cm
3が好ましく、0.09g/cmがより好ましい。上限は例えば2g/cm
3が挙げられ、1g/cm
3が好ましく、0.5g/cm
3がより好ましい。密度が低過ぎると、繊維間に空隙が多くなり、繊維が存在しない部分で光沢層50も凹凸ができ、光沢度が下がり易く、かつ、剥がれ易くなる。密度が高過ぎると、基材20が硬くなり、触感が悪くなり易い。この基材20により、光沢形成層51の平滑性が、基材20よりも下方の下地の凹凸の影響を受けることをより抑制できる。それゆえ、光沢形成層51が不織布の上にムラなく接合され、剥がれ難くすることができる。更に、光沢層配置領域の光沢度が、下地の凹凸の影響を受けることをより抑制できる。したがって、テープ型おむつ1を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層50をより容易に確認できる。
【0053】
ここで、基材20として不織布を用いる場合、その不織布は、光沢形成層51と反対側の面に積層(ラミネート)されたフィルム(図示されず)を含んでもよい。フィルムの材料としては、特に制限はなく、例えば合成樹脂が挙げられる。その場合、光沢形成層51の平滑性が、基材20よりも下方の下地の凹凸の影響を受けることをより抑制できる。それゆえ、光沢形成層51が不織布の上にムラなく接合され、剥がれ難くすることができる。更に、光沢層配置領域の光沢度が、基材よりも下方の下地の凹凸の影響を受けることをより抑制できる。すなわち、フィルムが無い場合と比較して、光沢層50の光沢度を高めることができる。それにより、テープ型おむつ1を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層をより容易に確認することができる。また、基材20の厚さが、積層されたフィルム分だけ厚くなるので、光沢形成層51用の箔押工程の際に、箔と基材20との間に圧力が加わり易く、箔が基材20に載り易くなる。
【0054】
ここで、基材20として不織布を用いる場合、その不織布は、熱プレスされていてもよい。その場合、不織布の繊維が熱融着・熱圧着することで、基材20の平滑性を向上できる。それゆえ、光沢形成層51の平滑性が、基材20よりも下方の下地の凹凸の影響を受けることをより抑制できる。それゆえ、光沢形成層51が不織布の上にムラなく接合され、剥がれ難くすることができる。更に、光沢層配置領域の光沢度が、基材20よりも下方の下地の凹凸の影響を受けて低下することをより抑制できる。すなわち、熱プレスされていない場合と比較して、光沢層50の光沢度を高めることができる。それにより、テープ型おむつ1を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層50をより容易に確認することができる。また、基材20が熱プレスなどで平滑化されている場合(基材20が元々平滑な場合を含む)、光沢形成層51を含めて光沢層50全体が非常に平滑になるため、触覚的にも光沢層50をより容易に確認することができる。
【0055】
ここで、基材20として不織布を用いる場合、その不織布と光沢形成層51との間にベースコート層(図示されず)を更に備えてもよい。その場合、不織布の表面がベースコートで覆われて、基材の平滑性を向上できる。それゆえ、光沢層配置領域の光沢度が、基材20よりも下方の下地の凹凸の影響を受けることをより抑制できる。すなわち、ベースコート層が無い場合と比較して、光沢層50の光沢度を高めることができる。それにより、テープ型おむつ1を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層50をより容易に確認することができる。また、不織布と光沢形成層51との間の接合強度を高めることができる。
【0056】
ここで、基材20として不織布を用いる場合、その不織布上の光沢形成層51の上にトップコート層を(図示されず)更に備えてもよい。その場合、光沢形成層51の上にトップコート層を備えているので、光沢形成層51の変形が抑制され、凹凸や皺が形成され難くすることができる。そのため、光沢層配置領域の光沢度が、光沢形成層51の表面の平滑性が維持されるため、光沢層50の光沢度を維持することができる。すなわち、トップコート層が無い場合と比較して、光沢層50の光沢度を高めることができる。それにより、テープ型おむつ1を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層50を容易に確認することができる。また、トップコート層で不織布を保護することができ、光沢層50(光沢形成層51)の剥がれを抑制できる。
【0057】
ターゲットテープ18及び光沢層50の構成は、上記の例に限定されるものではなく、明るさが十分でない環境において、光沢層50を容易に確認でき、よってターゲットテープ18の位置を容易に確認できれば、以下に例示されるような、他の構成でもよい。
【0058】
図5は、実施形態に係るテープ型おむつ1の他の構成例を示す断面図である。このテープ型おむつ1では、基材20が、幅方向Wの両側に延在せず、光沢形成層51の下側にのみ存在し、第1テープ部18a及び第2テープ部18bの下側に存在しない。このテープ型おむつ1では、光沢層50の光沢形成層51が基材20に支持されている。そのため、光沢形成層51の平滑性が、下地の凹凸の影響を受けることを抑制でき、光沢形成層51の光沢を維持できる。それにより、光沢層配置領域の光沢度が、光沢形成層の下地の凹凸の影響を受けることを抑制できる。更に、光沢形成層51が第1テープ部18a及び第2テープ部18bよりも基材20だけ高い位置にあり、適度に飛び出している。これらにより、テープ型おむつ1を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層50を容易に確認することができる。したがって、明るさが十分でない環境においてもテープ型おむつ1の交換を容易にすることができる。また、ターゲットテープ18(第1テープ部18a+第2テープ部18b)でない基材20に光沢形成層51を形成したことで、光沢形成層51の上に一対の係合テープ7a、7bの各々を係合することがない。これにより、係合による光沢形成層51の剥がれや、係合したあと光沢形成層51が見えなくなることを抑制できる。
【0059】
図6は、実施形態に係るテープ型おむつ1の他の構成例を示す断面図である。このテープ型おむつ1では、基材20は、ターゲットテープ18の一部である。すなわち、ターゲットテープ18の一部が基材20として機能している。そして、光沢形成層51は、ターゲットテープ18の幅方向Wの中央部分(ターゲットテープ領域AAの中央部分AC)に配置されている。この場合、光沢層50の光沢形成層51がターゲットテープ18に支持されている。そのため、光沢形成層51の平滑性が、下地の凹凸の影響を受けることを抑制でき、光沢形成層51の光沢を維持できる。それゆえ、光沢層配置領域の光沢度が、光沢形成層51の下地の凹凸の影響を受けることを抑制できる。それにより、テープ型おむつ1を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境においても、光沢層50を容易に確認することができる。したがって、明るさが十分でない環境においてもテープ型おむつ1の交換を容易にすることができる。また、ターゲットテープ18に、光沢形成層51を形成したことで、光沢形成層51を視認した後、光沢形成層51及びその周囲の上にも一対の係合テープ7a、7bを係合でき、係合のためにより広い領域を確保できる。これにより、ターゲットテープ18と一対の係合テープ7a、7bとの係合をより安定化させることができる。なお、光沢形成層51とターゲットテープ18との間に、
図5のような光沢形成層51と概ね同じ大きさの基材20が介在してもよい。
【0060】
図7は、実施形態に係るテープ型おむつ1の他の構成例を示す断面図である。このテープ型おむつ1では、基材20は、非肌側の表面の外装シート5の一部である。すなわち、外装シート5の一部が基材20として機能している。この場合、光沢形成層51と、ターゲットテープ18の第1テープ部18a及び第2テープ部18bとが外装シート5に支持されている。そのため、光沢形成層51の平滑性が、下地の凹凸の影響を受けることを抑制でき、光沢形成層51の光沢を維持できる。そのため、光沢層配置領域の光沢度が、光沢形成層51の下地の凹凸や周辺の第1テープ部18a及び第2テープ部18bの下地の凹凸の影響を受けることをより抑制できる。それにより、テープ型おむつ1を使用しようとするとき、照明を明るくできない環境でも、光沢層50をより容易に確認することができる。したがって、明るさが十分でない環境においてもテープ型おむつ1の交換を容易にすることができる。なお、この場合、外装シート5が無く、裏面シート13が非肌側の表面を構成している場合には、基材20は、非肌側の表面の裏面シート13の一部である。
【0061】
上記の各構成例では、ターゲットテープ18及び一対の係合テープ7a、7bに、それぞれ光沢層50及び光沢層52a、52bを備えているが、光沢層の配置はそれらの例に限定されず、ターゲットテープ18及び一対の係合テープ7a、7bのいずれか一方のみに光沢層が配置されてもよい。例えば、テープ型おむつ1において、ターゲットテープ18に光沢層が存在せず、一対の係合テープ7a、7bに光沢層52a、52bが存在する場合、照明を明るくできない環境においても、テープ型おむつ1の一対の係合テープ7a、7bの位置を容易に認識することができる。特に、一対の係合テープ7a、7bはテープ型おむつ1の交換時に体の下に敷き込まれ易く、照明を明るくできない環境では視認が難しい。それゆえ、一対の係合テープ7a、7bが光沢層52a、52bにより視認し易くなることで、テープ型おむつ1の交換を容易にすることができる。
【0062】
次に、テープ型おむつ1の製造方法における光沢層50の形成方法について説明する。
光沢層50の形成方法としては、所定の光沢層50が形成可能であれば、特に制限はない。その形成方法としては、例えば、(1)基材20用のシート部材を準備する工程、(2)そのシート部材の表面に光沢形成層51用の材料(箔:箔、塗料)を配置する工程、(3)そのシート部材における光沢形成層51が配置された部分を切り取る工程、(4)切り取られた部分を所定の下地シート部材に配置する工程、を備える。
【0063】
ただし、上記(1)工程で準備される基材20用のシート部材としては、例えば、基材20專用のシート部材(例示:
図3及び
図5の場合)、ターゲットテープ18用のシート部材(例示:
図6の場合)、係合テープ7用のシート部材(例示:
図2の場合)、外装シート5用のシート部材(例示:
図7の場合)、裏面シート13用のシート部材、それらシート部材を熱プレスしたもの、などが挙げられる。ここで、基材20用のシート部材が基材20專用のシート部材の場合、上記(4)工程の下地シート部材は外装シート5用、裏面シート13用、係合テープ7用又はターゲットテープ18用のシート部材である。基材20用のシート部材がターゲットテープ18用のシート部材の場合、上記(4)工程の下地シート部材は外装シート5用又は裏面シート13用のシート部材である。基材20用のシート部材が係合テープ7用、外装シート5用又は裏面シート13用のシート部材の場合、光沢層50の形成のための上記(3)及び(4)の工程は不要である。
【0064】
テープ型おむつ1の製造方法(における光沢層50の形成方法)のうち、上記(2)の工程は、平滑化工程と、形成工程と、を備えている。平滑化工程は、非肌側の表面用のシート部材(例示:基材20用のシート部材)の表面を平滑化する。形成工程は、平滑化されたシート部材の表面に、パターンを有する光沢層(例示:光沢形成層51)を形成する。そのとき、光沢層を含む光沢層配置領域の光沢度が7以上になる。
【0065】
ここで、平滑化工程は、シート部材に熱を加える熱処理工程と、シート部材に圧力を加える圧力工程と、を含んでもよい(熱プレス)。熱処理工程としては、例えば、一対の加熱ロールの間にシート部材を通す工程が挙げられる。加熱ロールの温度としては、シート部材の材料の軟化点以上、融点以下が好ましい。具体的には、シート部材の材料にもよるが、例えば、80〜180℃が挙げられ、90〜150℃が好ましい。また、加熱の時間としては、例えば0.01〜2秒が挙げられ、0.05〜0.1秒が好ましい。圧力工程としては、例えば、一対の加圧ロールの間にシート部材を通す工程が挙げられる。加圧ロールの圧力としては、例えば、0.1〜5MPaが挙げられ、0.3〜3MPaが好ましい。また、加圧の時間としては、例えば0.01〜2秒が挙げられ、0.05〜0.1秒が好ましい。ただし、熱処理工程と圧力工程とを同時に行ってもよい。その場合、例えば、一対のロールの間にシート部材を通す工程が挙げられる。ロールの温度、ロールの圧力、加熱又は加圧の時間は、上記のとおりである。
【0066】
なお、「軟化点」及び「融点」は、それぞれ、示差走査熱量分析計において、昇温速度10℃/分で、固体状から液状に変化する吸熱挙動を測定する際の、「吸熱開始温度」及び「ピークトップ温度」を意味する。
【0067】
平滑化工程によりシート部材の平滑性を高めることができる。シート部材の平滑性の指標としては、シート部材の密度を用いる。不織布のようなシート部材では、密度が高まることで、繊維間の距離が短くなり繊維同士が近接して表面の凹凸が低減され、よって平滑化が進むといえるからである。平滑化工程後のシート部材の密度としては、平滑化工程前の密度の約2倍以上の密度となるのが好ましい。具体的なシート部材の密度としては、例えば0.07g/cm
3以上が好ましく、0.09g/cm
3以上がより好ましく、0.2g/cm
3以上であることが更により好ましい。
【0068】
一方、形成工程は、平滑化されたシート部材の表面に、パターンを有する金属を含む箔を熱圧着する箔押工程、又は、平滑化されたシート部材の表面に、金属を含む塗料でパターンを印刷する印刷工程、を含む。
【0069】
箔押工程は、熱と圧力によりに、箔を被転写物(例示:シート部材)に押し付けて、箔の色彩を有する層(例示:金属箔そのもの、5層の箔の着色層と蒸着層)を被転写物に熱圧着する方法である。その箔押法は、通常の印刷と違い、メタリック色(金属光沢)を被転写物上に容易に表現でき、かつ、溶剤を使わないドライメソッドであり、好ましい。なお、上記の5層の箔では、箔押法により、ベースフィルムを残して、離型層から接着層までが被転写物に転写される。ただし、形成工程として箔押工程を用いる場合、一定の形状・厚さを有し、下地の平滑性に影響され難いという箔の特性から、平滑化は必ずしも行う必要はない。
【0070】
印刷工程は、特に制限はなく、例えば、パッド印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、捺染印刷が挙げられ、中でも、パッド印刷が好ましい。その理由は、弾力のあるシリコンパッドで印刷するため、不織布の表面のような凹凸のある面にも印刷が可能であることや、複数回、同じ箇所に転写印刷ができるため、膜厚増加が可能となり、印刷なのに膜厚を厚くすることができ、光沢感を高め易いからである。なお、印刷工程の場合、光沢層50(光沢形成層51)を所望の厚さにするために、印刷工程を複数回繰り返してもよい。
【0071】
なお、形成工程の前に、平滑化されたシート部材の表面にベースコート層を形成する工程を有してもよい。また、印刷工程の後に、光沢形成層51上にトップコート層を形成する工程を有してもよい。
【0072】
このようなテープ型おむつ1の製造方法では、シート部材の表面を平滑化してから、光沢層50(光沢形成層51)を形成するので、光沢層50(光沢形成層51)を含む光沢層配置領域の光沢度を確実に7以上にすることができる。そのため、明るさが十分でない環境においてもテープ型おむつ1の交換を容易にすることができるテープ型おむつ1を製造できる。
【0073】
(第2実施形態)
図8は、実施形態に係るパンツ型おむつ1aの構成例を示す平面図である。本実施形態では、パンツ型おむつ1aは、長手方向Lに沿って並んだ、前側に位置する腹側部(腹側ウエストベルト)2と、後側に位置する背側部(背側ウエストベルト)3と、腹側部2と背側部3との間に位置する股間部4と、を有する(に区画される)。腹側部2は、装着者の腹部に当接する部分である。背側部3は、装着者の尻部又は背部に当接する部分である。股間部4は装着者の股間に当接する部分であり、幅方向Wの内側に括れている。パンツ型おむつ1aは、吸収性本体10と、外装シート5と、を備える。吸収性本体10は、吸収体14を含み、長手方向Lには腹側部2から股間部4を介して背側部3までの範囲に位置し、幅方向Wには略一定の幅の範囲に位置し、したがって略矩形形状を有する。吸収性本体10の構成は、略矩形形状を有する他は、第1実施形態の吸収性本体10の構成と同じである。外装シート5は、肌側に位置する外装シートと非肌側に位置する外装シートとを含む2層構造を有する。
【0074】
腹側部2及び背側部3は、2層の外装シートの間に、それぞれウェストギャザー用の複数の弾性部材70a、70b及び複数の弾性部材71a、71bを備える。複数の弾性部材70a、70bは、それぞれ腹側部2の長手方向Lの外側及び内側に配置される。複数の弾性部材70aは、長手方向中心線CLを挟んで両側のそれぞれの所定領域において、幅方向Wに沿って、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置される。所定領域は、幅方向Wにおいて、端部2aから吸収性本体10における端部2aに対向する端縁の内側の部分までの領域である。複数の弾性部材70bは、幅方向Wに沿って、一方の端部2aから他方の端部2aまで延び、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置される。同様に、複数の弾性部材71a、71bは、それぞれ背側部3の長手方向Lの外側及び内側に配置される。複数の弾性部材71aは、長手方向中心線CLを挟んで両側のそれぞれの所定領域において、幅方向Wに沿って、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置される。所定領域は、幅方向Wにおいて、端部3aから吸収性本体10における端部3aに対向する端縁の内側の部分までの領域である。複数の弾性部材71bは、幅方向Wに沿って、一方の端部3aから他方の端部3aまで延び、長手方向Lに互いに間隔を空けて配置される。複数の弾性部材70a、70b、71a、71bは、ウエスト開口部を伸縮させるものであり、糸ゴムに例示される。なお、腹側部2及び背側部3は、複数の弾性部材70a、70b、71a、71bが配置された長手方向Lの範囲で画定される部分ともいえる。
【0075】
図9は、実施形態に係るパンツ型おむつ1aの腹側部2を含む部分拡大下面図(非肌側から見た図)である。本実施形態では、腹側部2は、幅方向Wの伸縮性が低い腹側低伸縮域31と、幅方向Wの伸縮性が高い腹側高伸縮域32と、を有する。腹側低伸縮域31は、腹側部2における、幅方向Wの中央部に位置し、長手方向Lの前側の端縁から後側に延設される略矩形の領域である。腹側高伸縮域32は、腹側低伸縮域31の幅方向Wの両側、及び、長手方向Lの後側に隣接する領域である。腹側低伸縮域31は、幅方向Wの所定の引張力に対する伸び率((伸長後の長さ−元の長さ)/(元の長さ))が、腹側高伸縮域32の幅方向Wの伸び率の1/3以下の領域であり、好ましくは1/5以下の領域であり、より好ましくは1/10以下の領域である。例えば、腹側低伸縮域31は、幅方向Wに伸縮する弾性部材が存在しない領域、又は、弾性部材は存在するがその弾性部材は弾性部材としてあまり機能しない(あまり伸縮しない)領域、である。一方、腹側高伸縮域32は、幅方向Wに伸縮する弾性部材70a、70bが存在する領域である。したがって、弾性部材として機能し得る弾性部材70a、70bが存在する領域と、弾性部材として機能し得る弾性部材が存在しない領域とにより、腹側高伸縮域32と腹側低伸縮域31とが画定される。なお、伸縮性が「低い」とは、伸縮しない場合を含む。なお、各伸縮域の伸縮性は、弾性部材の伸縮性により判断する。
【0076】
パンツ型おむつ1aは、腹側部2の腹側低伸縮域31の表面、したがって外装シート5の表面に、光沢層50を備えている。本実施形態では、光沢層50は、外装シート5に積層された基材20と、基材20に積層された光沢形成層51と、を含んでいる。ただし、基材20は無くてもよく、光沢形成層51が外装シート5に直接積層されてもよい。光沢層50、基材20及び光沢形成層51の構成については、第1実施形態と同様である。
【0077】
図10は、実施形態に係るパンツ型おむつの背側部3を含む部分拡大下面図(非肌側から見た図)である。本実施形態では、背側部3に、幅方向Wの伸縮性が低い背側低伸縮域35と、幅方向Wの伸縮性が高い背側高伸縮域36と、を有する。背側低伸縮域35及び背側高伸縮域36の構成は、背側部3に位置する他は、腹側部2の腹側低伸縮域31及び腹側高伸縮域32の構成と同じである。なお、パンツ型おむつ1aは、背側部3の背側低伸縮域35の表面、すなわち外装シート5の表面に、光沢層50を備えてもよい(図示されず)。
【0078】
このパンツ型おむつ1aでは、光沢層50が腹側部2及び背側部3の少なくとも一方における腹側低伸縮域31及び背側低伸縮域35の少なくとも一方の非肌側に位置している。それゆえ、光沢層50の収縮を抑制でき、凹凸や皺を形成し難くすることができる。そのため、照明を明るくできない環境においても、パンツ型おむつ1aの腹側部2又は背側部3の位置を容易に認識でき、パンツ型おむつ1aの交換を容易にできる。
【0079】
本実施形態では、パンツ型おむつ1aは、背側部3における幅方向Wの中央部の非肌面側の表面に配置された後処理テープ80を更に備えている。後処理テープ80は、背側部3における幅方向Wの中央部の非肌面側の表面に位置するテープ固定領域TAに配置・固定される。
【0080】
パンツ型おむつ1aは、背側部3の後処理テープ80の表面に、光沢層50aを備えている。本実施形態では、光沢層50aは、後処理テープ80に積層された基材20aと、基材20aに積層された光沢形成層51aと、を含んでいる。ただし、基材20aは無くてもよく、光沢形成層51aが後処理テープ80に直接積層されてもよい。光沢層50a、基材20a及び光沢形成層51aの構成については、第1実施形態の光沢層50、基材20及び光沢形成層51の構成と同様である。
【0081】
このパンツ型おむつ1aでは、光沢層50aが後処理テープ80に位置している。それゆえ、照明を明るくできない環境においても、パンツ型おむつ1aの後処理テープ80の位置を容易に認識することができる。それにより、パンツ型おむつ1aの交換時に、使用済みのパンツ型おむつ1aを丸めた状態で、後処理テープ80で適切に処置することができで、パンツ型おむつ1aの交換を容易にすることができる。
【実施例】
【0082】
以下、実施例に基づき、本発明を説明するが、本発明は本実施例に限定されない。本実施例では、不織布上の光沢層について検討した。
【0083】
(1)加工適性評価
(1−1)試料
光沢層を形成する下地(第1基材に相当)として、密度(予め計測)の異なる複数の不織布を用意した。そして、複数の不織布の各々に金色の箔(5層)で箔押しを行い、複数の下地付きの光沢層を形成した。
【0084】
(1−2)評価方法
各試料の加工適性を評価した。加工適性は、目視で、箔の剥がれ、箔の浮き上がり、及び、箔の破れの有無や程度を検査した。ただし、評価は、×:不良(剥がれや浮き上がりや破れが多い)、〇:良好(剥がれや浮き上がりや破れが少ない)、◎:剥がれや浮き上がりや破れが確認できない、とした。
【0085】
(1−3)評価結果
加工適性の評価結果を以下の表1に示す。下地の不織布の密度が0.04g/cm
3以上のときに、剥がれや浮き上がりや破れが少ない光沢層を形成できることが判明した。また、密度が高いほど、剥がれや浮き上がりや破れが生じ難くなることが判明した。そして、密度は、好ましくは0.07〜1.0g/cm
3であり、より好ましくは0.09〜0.5g/cm
3であり、更に好ましくは、0.09〜0.15g/cm
3であることが分かった。
【0086】
【表1】
ただし、不織布の種類は以下のとおりである。
SB:スパンボンド不織布、SMS:スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布、AT:エアスルー不織布
【0087】
(2)光沢度評価
(2−1)試料
各試料を以下のように作成した。ただし、SB不織布は、坪量22g/m
2、密度0.09g/cm
3のものを用意した
比較例5:フィルム(裏面シート用)を下地として、黄土色の塗料でフレキソ印刷により印刷層を配置し、印刷層の上に、SB不織布(外装シート用)を配置した。
比較例6:フィルムを下地として、金色の塗料でフレキソ印刷により光沢層を配置し、光沢層の上にSB不織布を配置した。
実施例11:SB不織布を下地として、金色の塗料でパッド印刷により光沢層を形成した。
実施例12〜15:SB不織布を下地として、金色の箔(5層)で箔押しにより光沢層を形成した。ただし、箔押しの圧力を、実施例12で最も低くし、徐々に高めて、実施例15で最も高くした。
【0088】
(2−2)評価方法
各試料の光沢度を測定し、更に、官能試験を行った。ただし、光沢度は、グロスチェッカーIG−331(株式会社堀場製作所製)で計測した。グロスチェッカーIG−331における入射角及び受光角はいずれも60℃であり、測定面積は長径6mm×短径3mmの楕円であった。測定時には、下地の下に白色の上質紙を配置し、測定面積に光沢層が最大限含まれるようにした。同一の測定箇所につき、複数回(例示:10回)の測定を行い、その平均値を光沢度とした。また、官能評価として、豆電球下の9ルクスにおいて、光沢層が視認可能かを評価した。ただし、評価は、×:不良(視認できない;光沢層のパターンを判別困難)、〇:良好:(視認可能;光沢層のパターンを判別可能)、◎:優良(良好に視認可能;光沢層のパターンを容易に判別可能)、とした。
【0089】
(2−3)評価結果
光沢度の評価結果を以下の表2に示す。光沢度が7以上のときに、光沢層を視認できること、すなわち光沢層のパターンを判別できることが判明した。また、光沢度が高くなるほど、光沢層を良好に視認できること、すなわち光沢層のパターンを容易に判別できることが判明した。そして、光沢度は、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは30以上であることが分かった。他の種類の不織布も概ね同じ結果であった。
【0090】
【表2】
【0091】
本発明の吸収性物品は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、各実施形態同士を組合せることや公知技術を適用すること等が可能である。