(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840975
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】光変調器モジュール
(51)【国際特許分類】
G02F 1/01 20060101AFI20210301BHJP
【FI】
G02F1/01 F
G02F1/01 C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-194741(P2016-194741)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-55071(P2018-55071A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 徳一
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
【審査官】
廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−117448(JP,A)
【文献】
特開2015−172682(JP,A)
【文献】
特開2014−197054(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0202312(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00− 1/125
G02F 1/21− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光変調部を有する変調用基板を筐体内に収容し、該筐体内に導入されるコネクタ端子から該光変調部に高周波の変調信号を供給するための複数の信号供給線路を備えた光変調器モジュールにおいて、
前記複数の信号供給線路のうち少なくとも2つ以上は、信号供給線路の全体の電気長が互いに異なるように設定され、
該信号供給線路の特定部分では、該特定部分の断面積を該特定部分以外のものより広くし、該信号供給線路の全体の電気長が長いものほど該特定部分の長さが長くなるよう設定することを特徴とする光変調器モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光変調器モジュールにおいて、該特定部分と該特定部分以外との間で電気線路の特性インピーダンスの変化を抑制するため、該信号供給線路と接地電極との間隔が調整されていることを特徴とする光変調器モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光変調器モジュールにおいて、前記信号供給線路の特定部分のうち少なくとも一部は、該変調用基板に形成された配線用電極であることを特徴とする光変調器モジュール。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光変調器モジュールにおいて、前記信号供給線路の特定部分のうち少なくとも一部は、該変調用基板と該コネクタ端子との間に配置される中継基板に形成された中継線路であることを特徴とする光変調器モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の光変調器モジュールにおいて、該変調用基板は、各々に光変調部を備えた複数の基板から構成されていることを特徴とする光変調器モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光変調器モジュールに関し、特に、複数の光変調部を備え、各光変調部に変調信号を供給するための複数の信号供給線路を備えた光変調器モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信分野や光計測分野において多くの光変調器が利用されている。高速かつ大容量の情報を送信するため、光変調器の変調方式も、従来の強度変調(On-Off keying)などから、位相変調を用いたQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、やDP−QPSK(Dual Polarization - Quadrature Phase Shift Keying)等、多値変調や多値変調に偏波多重を取り入れた伝送フォーマットも多様化している。
【0003】
光変調器モジュールは、
図1に示すように、金属筐体2の内部に光変調部を備えたチップ(変調用基板)1を内蔵したものである。チップ内に形成された光導波路に光波を入力し、又は該光導波路から光波を出力するため、筐体2には光ファイバ5が外部から導入されている。また、チップ内の光導波路を伝搬する光波の変調に設けられた制御電極(変調電極やバイアス電極など)に電気信号を供給するため、外部の信号源4から電気信号がコネクタ端子3を介して筐体2内に導入されている。
【0004】
近年、1つの光変調器モジュールに組み込まれる光変調部の数が増加する傾向にある。例えば、多値変調などのように変調方式が複雑化するに伴い、光変調部の数は増えることとなる。さらに、多波長通信のため各波長に対応して光変調部を設けており、高速通信に対応して複数の光変調器を並列に組み込んで処理させるなど、一つのパッケージに内蔵される光変調部の数は増加する一方となっている。
【0005】
光変調部へ供給される変調信号は、光変調器モジュールの外部にある信号源から、筐体の壁面を貫通するコネクタ端子を介して、筐体内に導入される。さらに、コネクタ端子と光変調部とは信号供給線路で繋がれ、コネクタ端子から導入された変調信号は該信号供給線路を伝搬し光変調部に到達する。
【0006】
従来は、コネクタ端子から光変調部まで間で変調信号が伝搬するのに要する時間を、各光変調部で同じにするため、信号供給線路の電気長を同じ長さにする構成が採用されている。具体的には、特許文献1では、
図2に示すように、複数の光変調部10を組み込んだ変調用基板1上に配置された、信号供給線路である配線用電極(60,61)に遅延線路62を設けている。
図2やその他の配線を説明する図面では、図面を簡略化するため、信号電極のみを表示し、接地電極は省略している。
【0007】
また、特許文献2では、
図3に示すように、変調用基板1とコネクタ端子(30,31)との間に配置される中継基板8上に配置された、信号供給線路である中継線路(80,81)に遅延線路82を設けている。なお、
図3では、変調用基板1内に設けられる光変調部を点線の枠(a1,a2)で簡略化して示している。光変調部(a1,a2)に変調信号を供給する配線用電極は符号63,64で示している。コネクタ端子(30,31)と中継基板8の中継線路(80,81)とは、金線等のワイヤー7で電気的に接続されている。中継基板8の中継線路と変調用基板1の配線用電極との間も、ワイヤー等により電気的に接続されている。
【0008】
1つの基板上に配置する光変調部の数が増加した場合や、複数の変調用基板(光変調部を設けた基板)を並べて配置する場合には、コネクタ端子から光変調部までの信号供給線路の電気長は、より長くなる。
【0009】
しかも、各光変調部における変調特性は、信号供給線路の電気長が長くなるに従い、高周波帯域における変調特性が劣化し易い。つまり、
図4に示すように、電気信号を光信号に変換する変換効率(周波数fに対するE/O特性)は、各光変調部に繋がる信号供給線路の電気長の長さに応じ、グラフG1〜G4に示すように異なった特性を示す。グラフG1〜G4は、例えば、4つの光変調部に対して、各々異なる長さの電気長を備えた信号供給線を繋いだ場合のE/O特性を模式的に示しており、グラフG1は光変調部に繋がる信号供給線の電気長が最も短い場合に該当し、逆にグラフG4は、光変調部に繋がる信号供給線の電気長が最も長い場合に該当する。一般に、信号供給線路の電気長が長くなると、G4のように、高周波でE/O特性は大きく劣化する。
【0010】
このため、電気長が最も長い信号供給線路に対応して、他の信号供給線路の電気長を調整すると、例えば、
図4のグラフG1〜G3をグラフG4に近づける操作を行うこととなり、各光変調部の変調特性も大きく劣化することとなる。上述したように、複数の光変調部を必要とする光変調器においては、この変調特性の劣化は重要な問題となっている。
【0011】
また、100GHz以上の高速大容量通信のためには、多値位相変調や偏波多重などによって多値化したデジタルコヒーレント方式が利用される。デジタルコヒーレント方式では、電気長の違いによる信号タイミングずれについては、DSP(Digital signal processor)を用いて、伝送特性の劣化なしに信号処理による調整が可能なため、信号供給線路の電気長によるE/O特性の劣化や信号供給線路間のE/O特性のバラツキは極めて重要な問題である。しかも、今後は、400G/1Tの光変調器の広帯域化(高性能化)や高集積化が必要となるため、この変調特性の劣化の問題はより一層重要な課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−185046号公報
【特許文献2】特開2014−89310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、上述したように、変調特性の劣化の少ない光変調器モジュールを提供することである。特に、製造工程を複雑化させず、広帯域化を実現した光変調器モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の光変調器モジュールは、以下のような技術的特徴を有する。
(1) 複数の光変調部を有する変調用基板を筐体内に収容し、該筐体内に導入されるコネクタ端子から該光変調部に高周波の変調信号を供給するための複数の信号供給線路を備えた光変調器モジュールにおいて、前記複数の信号供給線路のうち少なくとも2つ以上は、信号供給線路の全体の電気長が互いに異なるように設定され、該信号供給線路の特定部分では、該特定部分
の断面積を該特定部分以外のものより広くし、該信号供給線路の全体の電気長が長いものほど該特定部分の長さが長くなるよう設定することを特徴とする。
(2) 上記(1)に記載の光変調器モジュールにおいて、該特定部分と該特定部分以外との間で電気線路の特性インピーダンスの変化を抑制するため、該信号供給線路と接地電極との間隔が調整されていることを特徴とする光変調器モジュール。
【0015】
(
3) 上記(1)
又は(2)に記載の光変調器モジュールにおいて、前記信号供給線路の特定部分のうち少なくとも一部は、該変調用基板に形成された配線用電極であることを特徴とする。
【0016】
(
4) 上記(1)
乃至(3)のいずれかに記載の光変調器モジュールにおいて、前記信号供給線路の特定部分のうち少なくとも一部は、該変調用基板と該コネクタ端子との間に配置される中継基板に形成された中継線路であることを特徴とする。
【0017】
(
5) 上記(1)乃至(
4)のいずれかに記載の光変調器モジュールにおいて、該変調用基板は、各々に光変調部を備えた複数の基板から構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、複数の光変調部を有する変調用基板を筐体内に収容し、該筐体内に導入されるコネクタ端子から該光変調部に高周波の変調信号を供給するための複数の信号供給線路を備えた光変調器モジュールにおいて、前記複数の信号供給線路のうち少なくとも2つ以上は、信号供給線路の全体の電気長が互いに異なるように設定され、該信号供給線路の特定部分では、該特定部分
の断面積を該特定部分以外のものより広くし、該信号供給線路の全体の電気長が長いものほど該特定部分の長さが長くなるよう設定することを用いているため、各信号供給線路を伝搬する変調信号の劣化(減衰)が抑制される。また、従来のように各信号供給線路の電気長を合わせるための余分な遅延線路が不要となるため、各信号供給線路の変調特性が良くなり(広帯域化)、さらには
図4のグラフG2〜G4をグラフG1に近づけることになるため、より変調特性の劣化の少ない光変調器モジュールを提供することが可能となる。しかも、信号供給線路の断面積や特定形状の線路長さを調整することで容易に実現することができるため、製造工程が複雑化することも無い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】従来例として、変調用基板内の配線用電極に遅延線路を設けた例を説明する図である。
【
図3】従来例として、中継基板内の中継線路に遅延線路を設けた例を説明する図である。
【
図4】信号供給線路の電気長が異なる(G1が最も短く、G4が最も長くなる)場合の変調特性の状況を示すグラフである。
【
図5】本発明の光変調器モジュールに係る第1の実施例を説明する図である。
【
図6】本発明の光変調器モジュールに係る第2の実施例を説明する図である。
【
図7】本発明の光変調器モジュールに係る第3の実施例を説明する図である。
【
図8】本発明の光変調器モジュールに係る第4の実施例を説明する図である。
【
図9】本発明の光変調器モジュールに係る第5の実施例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る光変調器モジュールについて、詳細に説明する。
本発明が適用される光変調器モジュールは、
図5〜7に示すように、複数の光変調部(a1〜a4)を有する変調用基板(1,10,11)を筐体内に収容し、該筐体内に導入されるコネクタ端子から該光変調部に変調信号を供給するための複数の信号供給線路を備えた光変調器モジュールにおいて、前記複数の信号供給線路のうち少なくとも2つ以上は、信号供給線路の全体の電気長が互いに異なるように設定され、該信号供給線路の特定部分では、以下の(a)又は(b)の構成の少なくとも一つを用いていることを特徴とする。
(a)該変調信号が伝搬する方向に垂直な面の断面積を、該信号供給線路の全体の電気長が長いものほど広くなるよう設定すること。
(b)該特定部分の該断面積を該特定部分以外のものより広くし、該信号供給線路の全体の電気長が長いものほど該特定部分の長さが長くなるよう設定すること。
なお、光変調器モジュール全体の構成は、
図1の説明と重複するため、ここでは省略するが、以下では、本発明に係る主な技術的特徴について詳述する。
【0021】
本発明で用いる「信号供給線路」とは、光変調器モジュールに電気信号(RF信号)を入力する入力端部から変調用基板に設けられた各光変調部までの信号供給配線の全体を意味している。このため、
図3の場合では、同軸コネクタ(30,31)から光変調部(a1,a2)までの長さLが「信号供給配線の電気長」となる。また、光変調器モジュールの電気信号入力端子が、光変調器モジュールに取り付けられたフレキシブル印刷回路(FPC)に設けられている場合には、該FPCの入力端子から光変調部までが「信号供給配線」となる。
【0022】
図5は、本発明の光変調器モジュールに係る第1の実施例であり、筐体内に組み込まれるチップ(変調用基板)の構成を説明する概略図である。
図5に示すように、1つの変調用基板1には、複数の光変調部(a1〜a4)が設けられている。光変調部は、基板に光導波路が形成され、さらに、該光導波路を伝搬する光波を変調するため、該光導波路に電界を印加するための制御電極を備えている。制御電極は、変調信号を印加する変調電極や、DCバイアス電圧を印加するバイアス電極を有している。本発明の光変調部は、この変調電極を少なくとも備えた部分を意味している。
【0023】
変調用基板としては、電気光学効果を有するLiNbO
3を基板や、InPやSiやGaAsなどの半導体系材料の基板が利用可能である。また、光導波路は、Tiなどを熱拡散して形成する方法や、基板にリッジを形成する方法などが利用可能である。電極は、金メッキなどを利用して形成することができる。本発明の光変調部の形成に際しては、光変調器分野において公知の各種手法が適用できることは言うまでもない。
【0024】
図5に示すように、各光変調部(a1〜a4)に変調信号を供給する信号供給線路は、配線用電極(S1〜S4)であり、S1からS4の順に、順次、信号供給線路の電気長が長くなっている。これに対し、本発明では、配線用電極(S1〜S4)の線路幅を、信号供給線路の長さが長いものほど広くなるように構成している。これにより、信号供給線路の長さが長い場合は、変調信号の伝搬損失が発生しやすいが、信号供給線路の断面積を広げることで、伝搬損失の発生を抑制でき、結果として、変調特性が劣化することを抑制することが可能となる。なお、
図5では、変調用基板の部分だけで信号供給線路の電気長を考慮しているが、当然、光変調器モジュールのコネクタやFPCの入力端子から光変調部までの信号供給線路の電気長を考慮して、信号供給線路の断面積を設定することがより好ましい。
【0025】
図5では、信号供給線路の幅を変化させる技術を開示しているが、上述したように、信号供給線路の断面積を変化させることで、伝搬損失の発生状態を調整することができるため、信号供給線路の厚み(図の紙面に垂直な方向の厚み)を変化させることでも、対応が可能である。
【0026】
図6は、本発明の光変調器モジュールに係る第2の実施例を説明する図である。
図6の特徴は、信号供給線路の特定部分(S12,S13,S14)の変調信号が伝搬する方向に垂直な面の断面積を該特定部分以外(例えば、配線用電極S2の特定部分S12以外)のものより広くし、信号供給線路の全体の電気長が長いものほど該特定部分(S12,S13,S14)の長さが長くなるよう設定している。当然、第2の実施例は第1の実施例と組み合わせて使用することも可能である。
図6のように、特定部分の長さが長くなるに従い、信号供給線路としては電気抵抗が低下することとなり、伝搬損失を抑制することが可能となる。
【0027】
図7は、本発明の光変調器モジュールに係る第3の実施例を説明する図である。第2の実施例のように、信号供給線路の特定部分において、線路の形状を変化させると、電気線路の特性インピーダンスが変化することとなる。これは、電気信号の劣化を招くため、
図7に示すように、信号電極(信号線路)(S2,212)と接地電極(接地線路)(GND1〜2)との間隔Wを調整することで、信号供給線路の特定部分での特性インピーダンスが同じ又は大きく変化しないように設定している。
【0028】
図8は本発明の光変調器モジュールに係る第4の実施例を説明する図である。
図5の第1の実施例との違いは、
図8では、変調用基板を2つの基板(10,11)で構成していることである。
このような場合でも、信号供給線路の長さが各光変調部(a1〜a4)に応じて異なる状態が発生し、その結果、各光変調部における変調特性が変化する。この不具合を調整するため、信号供給線路である配線用電極(S1,S2,S30,S31,S40,S41)の幅(配線の断面積)を調整し、各光変調部間での変調特性の変化を少なくするよう構成している。
【0029】
図8では、基板10と基板11とでは、配線用電極(S30とS31,S40とS41)の幅をほぼ同じにしているが、必要に応じて、基板10と基板11とでは、同じ配線用電極であっても、幅を異ならせても良い。さらに、基板10のみにおいて、配線用電極の幅を異ならせ、基板11では全て同じ幅の配線用電極とすることも可能である。当然、この逆の構成を採用することも可能である。また、
図6に示した特定部分の構成を、基板10又は11の少なくとも一方に採用することも可能である。
【0030】
図9は本発明の光変調器モジュールに係る第5の実施例を説明する図である。
図8と同様に2つの変調用基板(10,11)を用いた場合を中心に説明するが、変調用基板が
図5のように1つの変調用基板1で構成される場合であっても、本実施例を適用することが可能である。
【0031】
図9の特徴は、中継基板8の中継線路(S10,S20,S32,S42)において、信号供給線路の幅又は厚み(図の紙面に垂直な方向の厚み)を調整し、信号供給線路の断面積を変化させている。これに伴い、変調用基板10又は11の配線用電極の幅(断面積)は、全ての信号供給線路で同じになるよう設定されている。当然、中継線路の幅(断面積)を同じ幅にし、配線用電極の幅(断面積)を異なるように構成することも可能である。勿論、両方の幅を異ならせるようにすることも可能である。また、
図6に示した特定部分の構成を、中継基板8に採用することも可能である。このように、
図5乃至
図9で示した各種の構成を適宜組み合わせて使用することも可能であることは、言うまでもない。
【0032】
上述した第1〜5の実施例では、各信号供給線路の長さが異なるため、各信号供給線路が接続されたコネクタ端子に、同位相の変調信号を供給したのでは、各光変調部の変調タイミングがずれる結果となる。この様な不具合を解消するため、
図1に示す外部の信号源4には、デジタル信号処理機能(DSP)を備えた信号源を用いることが好ましい。このDSPにより、各コネクタ端子に供給する変調信号の位相を調整することで、各光変調部に供給される変調信号の印加タイミングを最適設定することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上、説明したように、本発明によれば、変調特性の劣化の少ない光変調器モジュールを提供することが可能となる。しかも、製造工程を複雑化させず、広帯域化を実現した光変調器モジュールを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0034】
1,10,11 チップ(変調用基板)
2 筐体
3,30,31 コネクタ端子
4 信号源
5 光ファイバ
8 中継基板
a1〜a4 光変調部
S1〜S4 配線用電極
S10,S20,S32,S42 中継線路