【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、特定の2種類のエチレン−酢酸ビニル共重合体、粘着付与剤を含むシーラント用接着剤が成形加工性に優れ、A−PET製容器に対する封緘強度や接着強度に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、酢酸ビニル含量が3〜15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)10〜50重量部、酢酸ビニル含量8〜25重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)10〜50重量部、および粘着付与剤樹脂(C)5〜40重量部((A),(B)及び(C)の合計は100重量部)を含み、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の酢酸ビニル含量とエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の酢酸ビニル含量の差が3〜20重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の酢酸ビニル含量はエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の酢酸ビニル含量より小さいものであることを特徴とする容器の蓋材シーラント用接着剤、及び蓋材用フィルムに関するものである。
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明の容器の蓋材シーラント用接着剤は、酢酸ビニル含量が3〜15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)10〜50重量部、酢酸ビニル含量8〜25重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)10〜50重量部、および粘着付与剤樹脂(C)5〜40重量部((A),(B)及び(C)の合計は100重量部)を含み、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の酢酸ビニル含量とエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の酢酸ビニル含量の差が3〜20重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の酢酸ビニル含量はエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の酢酸ビニル含量より小さいものであるものである。
【0009】
該エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、酢酸ビニル含量が3〜15重量%、好ましくは5〜10重量%からなるものである。酢酸ビニル含量が3重量%未満の場合、得られるシーラント用接着剤は低温ヒートシール性に劣るため好ましくない。一方、酢酸ビニル含量が15重量%を超える場合、得られるシーラント用接着剤は成形加工性に劣るため好ましくない。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含量は、JIS K 6924−1に準拠し測定した方法により測定することができる。
【0010】
また、該エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、JIS K 6924−1に準拠して温度190℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレイトが1〜30g/10分の範囲にあるものが好ましく、特に3〜15g/10分であることが好ましい。メルトフローレイトが1g/10分以上の場合、得られるシーラント用接着剤は、成形加工性と接着強度が優れるため好ましい。一方、メルトフローレイトが30g/10分以下の場合、得られるシーラント用接着剤は、成形加工安定性に優れるため好ましい。
【0011】
該エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、公知の製造方法により得ることができ、また市販されているものを用いてもよい。具体的例示としては、例えば(商品名)ウルトラセン515、ウルトラセン537、ウルトラセン540、ウルトラセン541(東ソー株式会社製)等を挙げることができる。
【0012】
該エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は、酢酸ビニル含量が8〜25重量%、好ましくは、10〜20重量%からなるものである。酢酸ビニル含量が8重量%未満の場合、得られるシーラント用接着剤は低温ヒートシール性、接着強度に劣るため好ましくない。一方、酢酸ビニル含量が25重量%を超える場合、得られるシーラント用接着剤は成形加工性、ブロッキング性に劣るため好ましくない。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含量は、JIS K 6924−1に準拠し測定した方法により測定することができる。
【0013】
また、該エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は、JIS K 6924−1に準拠して温度190℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレイトが1〜30g/10分の範囲にあるものが好ましく、特に3〜20g/10分であることが好ましい。メルトフローレイトが1g/10分以上の場合、得られるシーラント用接着剤は、成形加工性と接着強度が優れるため好ましい。一方、メルトフローレイトが30g/10分以下の場合、得られるシーラント用接着剤は、成形加工安定性に優れるため好ましい。
【0014】
該エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は、公知の製造方法により得ることができ、また市販されているものを用いてもよい。具体的例示としては、例えば(商品名)ウルトラセン541、ウルトラセン626、ウルトラセン625、ウルトラセン633(東ソー株式会社製)等を挙げることができる。
【0015】
本発明を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の酢酸ビニル含量とエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の酢酸ビニル含量の差が3〜20重量%であるもの、好ましくは3〜15重量%であるものである。酢酸ビニル含量の差が3重量%未満の場合、得られるシーラント用接着剤の接着強度が劣るため好ましくない。一方、20重量%を超える場合、得られるシーラント用接着剤は、成形加工安定性が劣るため好ましくない。
【0016】
本発明を構成する粘着付与剤(C)は、粘着付与剤の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、例えば合成石油樹脂系粘着付与剤である石油樹脂系、クマロン樹脂系、スチレン系などや、天然樹脂系粘着付与剤であるロジン系樹脂、メチルエステル系樹脂、グリセリンエステル系樹脂、ペンタエリストールエステル系樹脂、テルペン系樹脂及びそれらの変性物、などが挙げられる。これらの粘着付与剤のうち、合成石油樹脂系粘着付与剤には脂肪族系石油樹脂、脂肪族系水添石油樹脂、芳香族系石油樹脂、芳香族系水添石油樹脂、脂環族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、共重合系水添石油樹脂などがある。これらの中では、芳香族系水添石油樹脂や脂環族系水添石油樹脂の使用が好ましい。特に、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂及び共重合系石油樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種類を50〜90%部分水添したものが、封緘強度と接着強度に優れるために好ましい。これらは、単独、又は2種以上を併用して使用できる。
【0017】
該粘着付与剤(C)は、環球法で測定した軟化点が90〜140℃の範囲にあるものが好ましく、特に100〜135℃であることが好ましい。軟化点が90℃未満の場合は、耐ブロッキング性が劣り、140℃を超える場合は、低温環境下での接着強度保持性が劣る。
【0018】
該粘着付与剤(C)は、市販されているものが用いられる。具体的例示としては、例えば(商品名) アルコンM90、アルコンM115、アルコンM135、アルコンP100、アルコンP125、アイマーブS110、アイマーブP125、T−REZ RC115、T−REZ HA125、パインクリスタルKE−311、YSレジンPX1150、YSレジンPX1150N等を挙げることができる。
【0019】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)及び粘着付与剤(C)の配合量は、以下のとおりであり、(A),(B)及び(C)の合計は100重量部である。
【0020】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の配合割合は、10〜50重量部、特に接着強度、成形加工性のバランスに優れたシーラント用接着剤となることから20〜40重量部であることが好ましい。10重量部未満の場合、得られるシーラント用接着剤の成形加工安定性が劣るため好ましくない。一方、50重量部を超える場合、得られるシーラント用接着剤は、接着強度が不十分となるため好ましくない。
【0021】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の配合割合は、10〜50重量部、特に接着強度、成形加工性のバランスに優れたシーラント用接着剤となることから20〜40重量部であることが好ましい。10重量部未満の場合、得られるシーラント用接着剤の接着強度が劣るため好ましくない。一方、50重量部を超える場合、得られるシーラント用接着剤は、成形加工安定性が劣り、ブロッキング性にも劣るため好ましくない。
【0022】
該粘着付与剤(C)の配合量は、5〜40重量部、特に15〜30重量部であることが好ましい。5重量部未満の場合、得られるシーラント用接着剤は封緘強度と接着強度が劣るため好ましくない。一方、40重量部を超える場合、成形加工時のロールリリース性が劣り、また巻ブロッキングが発生するものとなるため好ましくない。
【0023】
本発明のシーラント用接着剤は、特に低温シール性と封緘強度に優れるものとなることから、JIS K6922−1(1998年)で測定した密度が860〜910kg/m
3の範囲にあるエチレン・α−オレフィン共重合体(D)を配合したものであることが好ましい。そして、その際の配合量としては、該エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、該エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)、該粘着付与剤樹脂(C)の合計量100重量部に対し、該エチレン・α−オレフィン共重合体(D)10〜50重量部が好ましく、特に20〜40重量部であることが好ましい。
【0024】
該エチレン・α−オレフィン共重合体(D)としては、一般にエチレン・α−オレフィン共重合体と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能である。α−オレフィンとしては特に限定はないものの、炭素数3〜12のプロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデカン等が例示できる。これらのエチレン・α−オレフィン共重合体(D)はチーグラー系触媒またはクロム系触媒、メタロセン触媒を使用して、エチレンとα−オレフィンを共重合することにより、好適に製造することができる。重合方法としては、溶液重合法、高圧重合法、気相重合法等が挙げられる。さらに、このエチレン・α−オレフィン共重合体(D)は、ゲル浸透クロマトグラフィを用いて、以下に示す条件下で、単分散ポリスチレンでユニバーサルな検量線を測定し、直鎖のポリエチレンの分子量として計算した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が3以下であることが、低温ヒートシール性と封緘強度に優れるため好ましい。
【0025】
機種:ウォーターズ社製 150C ALC/GPC
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
流速:1ml/min
温度:140℃
測定濃度:30mg/30ml
注入量:100μl
カラム:東ソー(株)製 TSKgel GMH HR−H 3本
また、このエチレン・α−オレフィン共重合体(D)は、示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm(℃))と赤外線吸収スペクトルの測定から求められる炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)とが(1)式の関係を満たすものであると、エチレン・α−オレフィン共重合体の組成分布が狭く、低温ヒートシール性を悪化させる低密度(高短鎖分岐数)成分が少なく、好ましい。これは、エチレン・α−オレフィン共重合体は炭素数1000個当りの短鎖分岐数(SCB)が多いほど密度が低くなり融点が低くなる関係がある。融点を低くするために短鎖分岐数を増しても、低分子量の部分に短鎖分岐数が多く導入され、低密度(高短鎖分岐数)を多く含むエチレン・α−オレフィン共重合体の融点は高いものとなる。一方、同じ短鎖分岐数のエチレン・α−オレフィン共重合体であっても、低分子量から高分子量分まで均一に短鎖分岐を導入したものは、低密度(高短鎖分岐数)を多く含むエチレン・α−オレフィン共重合体と比較し融点が低いものとなる。
【0026】
Tm<−1.8×SCB+140 (1)
このようなエチレン・α−オレフィン共重合体(D)は、例えば、以下に例示するような公報に開示されている方法によって製造することができる。
【0027】
特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開平3−163088号公報、特開昭61−296008号公報、特開昭63−22804号公報、特開昭58−19309号公報、特開昭63−61010号公報、特開昭63−152608号公報、特開昭63−264606号公報、特開昭63−280703号公報、特開昭64−6003号公報、特開平1−95110号公報、特開平3−62806号公報、特開平1−259004号公報、特開昭64−45406号公報、特開昭60−106808号公報、特開昭60−137911号公報、特開昭61−296008号公報、特許公表63−501369号公報、特開昭61−221207号公報、特開平2−22307号公報、特開平2−173110号公報、特開平2−302410号公報、特開平1−129003号公報、特開平1−210404号公報、特開平3−66710号公報、特開平3−70710号公報、特開平1−207248号公報、特開昭63−222177号公報、特開昭63−222178号公報、特開昭63−222179号公報、特開平1−12407号公報、特開平1−301704号公報、特開平1−319489号公報、特開平3−74412号公報、特開昭61−264010号公報、特開平1−275609号公報、特開昭63−251405号公報、特開昭64−74202号公報、特開平2−41303号公報、特開平1−31488号公報、特開平3−56508号公報、特開平3−70708号公報、特開平3−70709号公報などが挙げられる。
また、該エチレン・α−オレフィン共重合体(D)は、市販品であっても良い。
【0028】
本発明のシーラント用接着剤は、特に封緘強度と接着強度に優れるものとなることから、ビニル芳香族炭化水素とオレフィン又はジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体(E)を配合したものであることが好ましい。そして、その際の配合量としては、該エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、該エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)、該粘着付与剤樹脂(C)の合計量100重量部、又は該エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、該エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)、該粘着付与剤樹脂(C)の合計量100重量部に該エチレン・α−オレフィン共重合体(D)を配合したものに対し、該ビニル芳香族炭化水素とオレフィン又はジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体(E)0.5〜5重量部であることが好ましく、特に1〜4重量部であることが好ましい。
【0029】
本発明を構成するビニル芳香族炭化水素とオレフィン又はジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体(E)は、一般式(A−B)n、(A−B)n−A´または(A−B)m−X(但し、式中AおよびA′はビニル芳香族炭化水素重合体ブロック、Bはオレフィン又はジオレフィン重合体ブロック、nは1〜5の整数、mは2〜7の整数、Xはm価の多官能性化合物を表す。)で表される直鎖構造、放射構造または分岐構造からなる少なくとも片末端がビニル芳香族炭化水素重合体ブロックであるブロック構造を有する重合体であり、その水添物であっても良い。ここで用いられるビニル芳香族炭化水素の例として、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、エチルビニルキシレン、ビニルナフタレンおよびこれらの混合物等が挙げられる。これらのうちではスチレンが特に好ましい。一方、オレフィンの例としてはエチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン等、ジオレフィンの例としては、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィンが挙げられる。また、該ビニル芳香族炭化水素とジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体(E)として、共役ジオレフィンを重合した重合体ブロックに水素添加したものを用いてもよく、更に、ブロックBはオレフィン単位が優勢である限り、共役ジオレフィンとビニル芳香族炭化水素との共重合体を用いてもよい。これらのうち本発明においては両末端にビニル芳香族炭化水素重合体ブロックを有するビニル芳香族炭化水素とオレフィン又はジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体が好ましく、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレントリブロック共重合体、以下SEBS)が熱安定性の向上の点から特に好ましく用いられる。
【0030】
また、該ビニル芳香族炭化水素とオレフィン又はジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体(E)は、200℃、5.0kg荷重におけるメルトフローレイトが10〜70g/10分の範囲にあるものが好ましく、特に12〜65g/10分であることが好ましい。
【0031】
また、該ビニル芳香族炭化水素とオレフィン又はジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体(E)は、成形加工性と接着強度に優れたシーラント用接着剤となることから、水素添加スチレン−ブタジエン−ジブロック共重合体と水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン−トリブロック共重合体の混合物であり、その混合比が5/5〜9/1であることが好ましく、スチレン含量が20〜50重量%であることが好ましい。
【0032】
該ビニル芳香族炭化水素とオレフィン又はジオレフィンとの熱可塑性ブロック共重合体(E)は、市販されているものが用いられる。具体的例示としては、例えば(商品名)クレイトン(Kraton)G1726MS(クレイトンポリマー株式会社製)等を挙げることができる。
【0033】
本発明のシーラント用接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂やゴム、及び光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、着色剤、無機系中和剤、塩酸吸収剤、充填剤導電剤等が用いられても良い。
【0034】
本発明のシーラント用接着剤の調製方法としては、シーラント用接着剤の調製が可能であれば如何なる方法であってもよく、例えば該エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、該エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)、該粘着付与剤樹脂(C)を同時にヘンシェルミキサー又はタンブラー等の混合機により予備ブレンドしておき、単軸又は二軸の押出機で溶融混練する方法が挙げられる。
【0035】
本発明のシーラント用接着剤は容器の蓋材シーラント用接着剤として用いられる。容器としては、ポリエチレンテレフタレートを主成分であるものに適している。
【0036】
本発明の蓋材用フィルムは、支持基材層と上記シーラント用接着剤層の少なくとも2層を含む構成からなる。支持基材層を構成する支持基材としては、自己支持性を有するものであれば良く、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酸共重合樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂で構成されたプラスチックフィルム、和紙、複合紙などの紙、アルミニウムなどの金属で構成された金属箔、これらの単独又は積層体などが挙げられる。支持基材層の厚みは、機械的強度、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5〜100μm程度、好ましくは10〜50μmである。
【0037】
シーラント用接着剤層の厚みは、接着性、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5〜50μm程度、好ましくは15〜30μmである。
【0038】
本発明では、前記支持基材層とシーラント用接着剤層との間に、両層の密着性を高めるため、中間層を設けることもできる。この中間層は、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどの成分で構成でき、これらの成分は単独又は2種以上混合して使用できる。例えば、ポリオレフィンとしては、ポリエチレンやエチレン共重合体(エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体など)やその変性物などが挙げられる。中間層には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、導電剤、アンチブロッキング剤、粘着付与剤等が用いられても良い。
【0039】
中間層の厚みは、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5〜30μm程度である。
【0040】
本発明では、前記支持基材層とシーラント用接着剤層との間、又は上記支持基材層と中間層との間に、両層の密着性を高めるためポリウレタン等のアンカーコート層を設けることもできる。
【0041】
本発明の蓋材用フィルムは、A−PET用容器の蓋材として好適であり、封緘性と易剥離性を有する。
【0042】
該蓋材用フィルムの製造方法としては、特に限定はしないが、シーラント用接着剤と支持基材層をラミネートする方法、シーラント用接着剤と支持基材層を共押出する方法などが挙げられる。ラミネートする方法としては、例えば、(1)支持基材層にアンカーコート剤を塗布し、接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(2)支持基材層にアンカーコート剤を塗布し、中間層を溶融押出した後、その上にシーラント用接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(3)支持基材層に、支持基材との接着性に優れた中間層を溶融押出した後、その上にシーラント用接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(4)支持基材層にアンカーコート剤を塗布し、中間層と接着剤層を同時に溶融押出する共押出ラミネート方法、(5)予めインフレーション成形法やキャスト成形法によりシーラント接着剤を少なくとも1層含むフィルムを成形し、アンカーコート剤を塗布した支持基材層と貼り合わせるドライラミネート法、(6)アンカーコート剤を塗布した支持基材層とシーラント接着剤を少なくとも1層含むフィルムを押出ラミネートを用いて中間層を溶融押出すことにより積層する押出ラミネート方法などが挙げられる。一方、共押出する方法としては、共押出インフレーション法や共押出Tダイ法などを例示することができる。