(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の液晶表示素子について、好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
(液晶組成物)
本発明において使用する液晶組成物は、液晶表示素子が有する液晶層を形成するために用いられる。本実施形態の液晶組成物は、誘電率異方性(Δε)が負である液晶分子と、液晶分子を自発的に配向させる機能を有する配向助剤(重合性モノマA)とを含有している。
((配向助剤))
配向助剤は、液晶組成物を含む液晶層と直接当接する部材(電極(例えば、ITO)、基板(例えば、ガラス基板、アクリル基板、透明基板、フレキシブル基板等)、樹脂層(例えば、カラーフィルタ、配向膜、オーバーコート層等)、絶縁膜(例えば、無機材料膜、SiNx等))に対して相互作用し、液晶層に含まれる液晶分子のホメオトロピック配列を誘起する機能を備えている。
【0015】
配向助剤は、重合するための重合性基と、液晶分子と類似するメソゲン基と、液晶層と直接当接する部材と相互作用可能な吸着基(極性基)と、液晶分子の配向を誘起する配向誘導基を有することが好ましい。
メソゲン基に対し、吸着基及び配向誘導基が結合し、重合性基はメソゲン基、吸着基及び配向誘導基に直接又は必要に応じスペーサ基を介して置換していることが好ましい。特に、重合性基は、吸着基中に組み込まれた状態で、メソゲン基に置換していることが好ましい。
以下、化学式中の左端の*及び右端の*は結合手を表す。
【0016】
「配向誘導基」
配向誘導基は、液晶分子の配向を誘導する機能を有しており、下記一般式(AK)で表される基であることが好ましい。
【0017】
【化4】
式中、R
AK1は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。ただし、アルキル基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲノ基で置換されてもよい。
【0018】
R
AK1は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことが好ましく、直鎖状の炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことがより好ましく、直鎖状の炭素原子数1〜8のアルキル基を表すことがさらに好ましい。
また、アルキル基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。
さらに、アルキル基中の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子で置換されてもよく、フッ素原子で置換されてもよい。
配向助剤に対していわゆる両親媒性を付与する観点から、上記配向誘導基は、メソゲン基の吸着基と反対側に結合していることが好ましい。
【0019】
「重合性基」
重合性基は、P
AP1−で表され、Sp
AP1−(単結合又はスペーサ基)を介してメソゲン基に結合していることが好ましい。
P
AP1は、下記一般式(AP−1)〜一般式(AP−9)で表される群より選ばれる基であることが好ましい。
【0021】
式中、R
AP1及びR
AP2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜10のハロゲン化アルキル基を表す。ただし、アルキル基中の1個又は2個以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように−O−又は−CO−で置換されてもよく、アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は水酸基で置換されてもよい。
W
AP1は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−又は−CH
2−を表す。
t
AP1は、0、1又は2を表す。
【0022】
P
AP1は、下記一般式(AP−1)〜一般式(AP−7)で表される基であることが好ましく、下記一般式(AP−1)又は一般式(AP−2)で表される基であることがより好ましく、一般式(AP−1)であることがさらに好ましい。
Sp
AP1は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表すことがより好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数2〜10のアルキレン基を表すことがさらに好ましい。
また、Sp
AP1において、アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。
【0023】
配向助剤において、P
AP1−Sp
AP1−の数は、1つ以上5つ以下であることが好ましく、1つ以上4つ以下であることがより好ましく、2つ以上4つ以下であることがさらに好ましく、2つ又は3つであることが特に好ましく、2つであることが最も好ましい。
P
AP1−Sp
AP1−中の水素原子は、重合性基、後述する吸着基及び/又は前記配向誘導基で置換されてもよい。
P
AP1−Sp
AP1−は、重合性基、メソゲン基、後述する吸着基及び/又は前記配向誘導基に対して結合してもよい。
また、P
AP1−Sp
AP1−は、メソゲン基、後述する吸着基又は前記配向誘導基に対して結合することが好ましく、メソゲン基又は後述する吸着基に対して結合することがより好ましい。
なお、分子内にP
AP1及び/又はSp
AP1−が複数存在する場合に、それぞれ互いに同一であっても異なってもよい。
【0024】
「メソゲン基」
メソゲン基は、剛直な部分を備えた基、例えば環式基を1つ以上備えた基をいい、環式基を2〜4個を備えた基が好ましく、環式基を3〜4個備えた基がより好ましい。なお、必要に応じて、環式基は、連結基で連結されてもよい。メソゲン基は、液晶層に使用される液晶分子(液晶化合物)と類似の骨格を有することが好ましい。
なお、本明細書中において、「環式基」は、構成する原子が環状に結合した原子団をいい、炭素環、複素環、飽和又は不飽和環式構造、単環、2環式構造、多環式構造、芳香族、非芳香族などを含む。
また、環式基は、少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよく、さらに、少なくとも1つの置換基(ハロゲノ基、重合性基、有機基(アルキル基、アルコキシ基、アリール基等)で置換されてもよい。環式基が単環である場合には、メソゲン基は、2個以上の単環を含んでいることが好ましい。
【0025】
上記メソゲン基は、例えば、一般式(AL)で表されることが好ましい。
【0026】
【化6】
式中、Z
AL1は、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH
2−CH
2COO−、−OCOCH
2−CH
2−、−CH=C(CH
3)COO−、−OCOC(CH
3)=CH−、−CH
2−CH(CH
3)COO−、−OCOCH(CH
3)−CH
2−、−OCH
2CH
2O−又は炭素原子数1〜20のアルキレン基を表す。ただし、アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。
【0027】
A
AL1及びA
AL2は、それぞれ独立して、2価の環式基を表す。
Z
AL1、A
AL1及びA
AL2中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲノ基、吸着基、P
AP1−Sp
AP1−又は1価の有機基で置換されてもよく、
なお、分子内にZ
AL1及びA
AL1が複数存在する場合に、それぞれ互いに同一であっても異なってもよい。
m
AL1は、1〜5の整数を表す。
一般式(AL)中、Z
AL1は、単結合又は炭素原子数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、単結合又は炭素原子数2〜10のアルキレン基であることがより好ましく、単結合、−(CH
2)
2−又は−(CH
2)
4−であることがさらに好ましい。アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。
さらに、棒状分子の直線性を高めることを目的とする場合は、Z
AL1は、環と環とが直接連結した形態である単結合や、環と環とを直接結ぶ原子の数が偶数個の形態が好ましい。例えば、−CH
2−CH
2COO−の場合、環と環とを直接結ぶ原子の数は4つである。
【0028】
一般式(AL)中、A
AL1及びA
AL2は、それぞれ独立して、2価の環式基を表す。2価の環式基としては、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基−、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,4−ナフチレン基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジセレノフェン−2,6−ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン−2,7−ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,7−ジイル基及びフルオレン−2,7−ジイル基からなる群から選択される1種であることが好ましく、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基又はフェナントレン−2,7−ジイル基がより好ましく、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基であることがさらに好ましい。
なお、これらの基は、非置換又は置換基で置換されてもよい。この置換基としては、フッ素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましい。さらに、アルキル基は、フッ素原子又は水酸基で置換されてもよい。
また、環式基中の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲノ基、吸着基、P
AP1−Sp
AP1−又は1価の有機基で置換されてもよい。
【0029】
一般式(AL)中、1価の有機基とは、有機化合物が1価の基の形態になることによって、化学構造が構成された基であり、有機化合物から水素原子を1つ取り除いてなる原子団をいう。
かかる1価の有機基としては、例えば、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数2〜15のアルケニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、炭素原子数2〜15のアルケニルオキシ基などが挙げられ、炭素原子数1〜15のアルキル基又は炭素原子数1〜14のアルコキシ基であることが好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることがさらに好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又は炭素原子数1〜2のアルコキシ基であることが特に好ましく、炭素原子数1又は2のアルキル基又は炭素原子数1のアルコキシ基であることが最も好ましい。
また、上記アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。さらには、上記1価の有機基は、前述の配向誘導基としての役割を有してもよい。
上記一般式(AL)中、m
AL1は、1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、2又は3であることがさらに好ましい。
【0030】
上記メソゲン基の好ましい形態としては、下記式(me−1)〜(me−44)が挙げられる。
【0035】
一般式(AL)は、これらの化合物から2個の水素原子が脱離した構造である。
これらの式(me−1)〜(me−44)において、シクロヘキサン環、ベンゼン環又はナフタレン環中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲノ基、P
AP1−Sp
AP1−、1価の有機基(例えば、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基)、吸着基又は配向誘導基で置換されてもよい。
上記メソゲン基のうち、好ましい形態は、式(me−8)〜(me−44)であり、より好ましい形態は、式(me−8)〜(me−10)、式(me−12)〜(me−18)、式(me−22)〜(me−24)、式(me−26)〜(me−27)及び式(me−29)〜(me−44)であり、さらに好ましい形態は、式(me−12)、(me−14)、(me−16)、(me−22)〜(me−24)、(me−29)、(me−34)、(me−36)〜(me−37)、(me−42)〜(me−44)である。
【0036】
上記メソゲン基のうち、特に好ましい形態は、下記一般式(AL−1)又は(AL−2)であり、最も好ましい形態は、下記一般式(AL−1)である。
【0038】
式中、X
AL101〜X
AL118、X
AL201〜X
AL214は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、ハロゲノ基、P
APl−Sp
APl−、後述する吸着基又は前記配向誘導基を表す。
環A
AL11、環A
AL12及び環A
AL21は、それぞれ独立して、シクロヘキサン環又はベンゼン環を表す。
X
AL101〜X
AL118、X
AL201〜X
AL214のいずれか1つ又は2つ以上が、後述する吸着基で置換されている。
X
AL101〜X
AL118、X
AL201〜X
AL214のいずれか1つ又は2つ以上が、前記配向誘導基で置換されている。
後述する吸着基及び前記配向誘導基は、P
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよい。
一般式(AL−1)又は一般式(AL−2)は、その分子内にP
AP1−Sp
APl−を1つ又は2つ以上有する。
【0039】
一般式(AL−1)において、X
AL101は、前記配向誘導基であることが好ましい。
一般式(AL−1)において、X
AL109、X
AL110及びX
AL111の少なくとも1つが後述する吸着基であることが好ましく、X
AL109及びX
AL110がともに後述する吸着基であること又はX
AL110が後述する吸着基であることがより好ましく、X
AL110が後述する吸着基であることがさらに好ましい。
一般式(AL−1)において、X
AL109、X
AL110及びX
AL111の少なくとも1つが後述する吸着基のうちP
AP1−Sp
AP1−又は構造内に重合可能な部位を有する吸着基であることが好ましく、X
AL109及びX
AL111の両方又は一方がP
AP1−Sp
AP1−であることがより好ましい。
一般式(AL−1)において、X
AL104〜X
AL108、X
AL112〜X
AL116の1つ又は2つがそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基又はハロゲノ基であることが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又はフッ素原子であることがより好ましい。特に、X
AL105、X
AL106又はX
AL107がそれぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基又はフッ素原子であることが好ましい。
【0040】
一般式(AL−2)において、X
AL201は、前記配向誘導基であることが好ましい。
一般式(AL−2)において、X
AL207、X
AL208及びX
AL209の少なくとも1つが後述する吸着基であることが好ましく、X
AL207及びX
AL208がともに後述する吸着基であること又はX
AL208が後述する吸着基であることがより好ましく、X
AL208が後述する吸着基であることがさらに好ましい。
一般式(AL−2)において、X
AL207、X
AL208及びX
AL209の少なくとも1つが後述する吸着基のうちP
AP1−Sp
AP1−又は構造内に重合可能な部位を有する吸着基であることが好ましく、X
AL207及びX
AL209の両方又は一方がP
AP1−Sp
AP1−であることがより好ましい。
一般式(AL−2)において、X
AL202〜X
AL206、X
AL210〜X
AL214の1つ又は2つがそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基又はハロゲノ基であることが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又はフッ素原子であることがより好ましい。特に、X
AL204、X
AL205又はX
AL206がそれぞれ独立して、炭素原子数1〜3のアルキル基又はフッ素原子であることが好ましい。
【0041】
「吸着基」
吸着基は、基板、膜、電極など液晶組成物と当接する層である吸着媒と吸着する役割を備えた基である。
吸着は、一般的に、化学結合(共有結合、イオン結合又は金属結合)をつくって吸着媒と吸着質との間で吸着する化学吸着と、化学吸着以外の物理吸着とに分別される。本明細書中において、吸着は、化学吸着又は物理吸着のいずれでもよいが、物理吸着であることが好ましい。そのため、吸着基は、吸着媒と物理吸着可能な基であることが好ましく、分子間力により吸着媒と結合可能な基であることがより好ましい。
分子間力により吸着媒と結合する形態としては、永久双極子、永久四重極子、分散力、電荷移動力又は水素結合などの相互作用による形態が挙げられる。
吸着基の好ましい形態としては、水素結合により吸着媒と結合可能な形態が挙げられる。この場合、吸着基が水素結合を介在するプロトンのドナー及びアクセプターのいずれの役割を果たしてもよく、若しくは双方の役割を果たしてもよい。
【0042】
吸着基は、炭素原子とヘテロ原子とが連結した原子団を有する極性要素を含む基(以下、「吸着基」を「極性基」とも記載する。)であることが好ましい。本明細書中において、極性要素とは、炭素原子とヘテロ原子とが直接連結した原子団をいう。
ヘテロ原子としては、N、O、S、P、B及びSiからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、N、O及びSからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、N及びOからなる群から選択される少なくとも1種であることがさらに好ましく、Oであることが特に好ましい。
また、配向助剤において、極性要素の価数は、1価、2価、3価など特に制限されず、また吸着基中の極性要素の個数も特に制限されることはない。
配向助剤は、一分子中に1〜8個の吸着基を有することが好ましく、1〜4個の吸着基を有することがより好ましく、1〜3個の吸着基を有することがさらに好ましい。
なお、吸着基からは、重合性基及び配向誘導基を除くが、吸着基中の水素原子がP
AP1−Sp
AP1−で置換された構造及びP
AP1−Sp
AP1−中の水素原子が−OHで置換された構造は吸着基に含む。
【0043】
吸着基は、1つ又は2つ以上の極性要素を含み、環式基型と鎖式基型とに大別される。
環式基型は、その構造中に極性要素を含む環状構造を備えた環式基を含む形態であり、鎖式基型は、その構造中に極性要素を含む環状構造を備えた環式基を含まない形態である。
鎖式基型は、直鎖又は分岐した鎖状基中に極性要素を有する形態であり、その一部に極性要素を含まない環状構造を有していてもよい。
環式基型の吸着基とは、少なくとも1つの極性要素を環状の原子配列内に含む構造を有する形態を意味する。
なお、本明細書中において、環式基とは、上述した通りである。そのため、環式基型の吸着基は、極性要素を含む環式基さえ含んでいればよく、吸着基全体としては分岐しても直鎖状であってもよい。
一方、鎖式基型の吸着基とは、分子内に極性要素を含む環状の原子配列を含まず、かつ少なくとも1つの極性要素を線状の原子配列(枝分かれしてもよい)内に含む構造を有する形態を意味する。
【0044】
なお、本明細書中において、鎖式基とは、構造式中に環状の原子配列を含まず、構成する原子が線状(分岐してもよい)に結合した原子団をいい、非環式基をいう。換言すると、鎖式基とは、直鎖状又は分枝状の脂肪族基をいい、飽和結合又は不飽和結合のどちらを含んでもよい。
したがって、鎖式基には、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、エステル基、エーテル基又はケトン基などが含まれる。なお、これらの基中の水素原子は、少なくとも1つの置換基(反応性官能基(ビニル基、アクリル基、メタクリル基等)、鎖状有機基(アルキル基、シアノ基等))で置換されてもよい。また、鎖式基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。
【0045】
環式基型の吸着基としては、炭素原子数3〜20の複素芳香族基(縮合環を含む)又は炭素原子数3〜20の複素脂環族基(縮合環を含む)であることが好ましく、炭素原子数3〜12の複素芳香族基(縮合環を含む)又は炭素原子数3〜12の複素脂環族基(縮合環を含む)であることがより好ましく、5員環の複素芳香族基、5員環の複素脂環族基、6員環の複素芳香族基又は6員環の複素脂環族基であることがさらに好ましい。なお、これらの環構造中の水素原子は、ハロゲノ基、炭素原子数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はアルキルオキシ基で置換されてもよい。
鎖式基型の吸着基としては、構造内の水素原子や−CH
2−が極性要素で置換された直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキル基であることが好ましい。なお、アルキル基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。また、鎖式基型の吸着基は、その端部に1つ又は2つ以上の極性要素を含むことが好ましい。
【0046】
吸着基中の水素原子は、重合性基で置換されてもよい。
極性要素の具体例としては、酸素原子を含む極性要素(以下、含酸素極性要素)、窒素原子を含む極性要素(以下、含窒素極性要素)、リン原子を含む極性要素(以下、含リン極性要素)、ホウ素原子を含む極性要素(以下、含ホウ素極性要素)、ケイ素原子を含む極性要素(以下、含ケイ素極性要素)又は硫黄原子を含む極性要素(以下、含硫黄極性要素)が挙げられる。吸着能の観点から、極性要素としては、含窒素極性要素又は含酸素極性要素であることが好ましく、含酸素極性要素であることがより好ましい。
【0047】
含酸素極性要素としては、水酸基、アルキロール基、アルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、エーテル基、カルボニル基、カーボネート基及びエステル基からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
含窒素極性要素としては、シアノ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、ピリジル基、カルバモイル基及びウレイド基からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
そのため、吸着基としては、含酸素極性要素を備えた環式基(以下、含酸素環式基)、含窒素極性要素を備えた環式基(以下、含窒素環式基)、含酸素極性要素を備えた鎖式基(以下、含酸素鎖式基)及び含窒素極性要素を備えた鎖式基(以下、含窒素鎖式基)からなる群から選択される1種又は2種以上の基自体または当該基を含むことが好ましい。
【0048】
含酸素環式基としては、環構造内に酸素原子をエーテル基として有する下記の基のいずれかを含むことが好ましい。
【0050】
また、含酸素環式基としては、環構造内に酸素原子をカルボニル基、カーボネート基及びエステル基として有する下記の基のいずれかを含むことが好ましい。
【0052】
含窒素環式基としては、下記の基のいずれかを含むことが好ましい。
【0054】
含酸素鎖式基としては、下記の基のいずれかを含むことが好ましい。
【0056】
式中、R
at1は、炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。
Z
at1は、単結合、炭素原子数1〜15の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜18の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表す。ただし、アルキレン基又はアルケニレン基中の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−で置換されてもよい。
X
at1は、水素原子又は炭素原子数1〜15のアルキル基を表す。ただし、アルキル基中の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−で置換されてもよい。
【0057】
含窒素鎖式基としては、下記の基のいずれかを含むことが好ましい。
【0058】
【化16】
式中、R
at、R
bt、R
ct及びR
dtは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。
【0059】
吸着基としては、下記一般式(AT)で表される基であることが好ましい。
【0060】
【化17】
式中、Sp
AT1は、単結合、炭素原子数1〜25の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。ただし、アルキレン基中の水素原子は、−OH、−CN、−W
AT1−Z
AT1又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよく、アルキレン基中の−CH
2−は、酸素原子が直接結合しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−又は−OCO−COO−で置換されてもよい。
W
AT1は、単結合又は下記一般式(WAT1)又は(WAT2)を表す。
Z
AT1は、極性要素を含む1価の基を表す。ただし、Z
AT1中の水素原子は、−OH、−CN又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよい。
【0061】
【化18】
(式中、Sp
WAT1及びSp
WAT2は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜25の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、アルキレン基中の水素原子は、−OH、−CN又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよく、アルキレン基中の−CH
2−は、酸素原子が直接結合しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−又は−CH=CH−で置換されてもよい。)
【0062】
Sp
AT1、Sp
WAT1及びSp
WAT2は、それぞれ独立して、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数1〜20のアルキレン基を表すことがより好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数2〜10のアルキレン基を表すことがさらに好ましい。
また、Sp
AT1、Sp
WAT1及びSp
WAT2において、アルキレン基中の1個又は2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、酸素原子が直接結合しないように、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。
また、Sp
AT1及びSp
WAT1中の水素原子は、それぞれ独立して、−W
AT1−Z
AT1又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよい。
【0063】
Z
AT1は、極性要素を含む1価の基を表すが、下記一般式(ZAT1−1)又は(ZAT1−2)で表される基であることが好ましい。
【0065】
式中、Sp
ZAT11及びSp
ZAT12は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜25の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。ただし、アルキレン基中の水素原子は、−OH、−CN、−Z
ZAT11−R
ZAT11又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよく、アルキレン基中の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−又は−CH=CH−で置換されてもよい。
Z
ZAT11は、極性要素を含む基を表す。
一般式(ZAT1−2)中のZ
ZAT12を含む環で表した構造は、5〜7員環を表す。
Z
ZAT11及びZ
ZAT12中の水素原子は、−OH、−CN又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよい。
R
ZAT11及びR
ZAT12は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表す。ただし、アルキル基中の水素原子は、−OH、−CN又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよく、アルキル基中の−CH
2−は、酸素原子が直接結合しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−又は−Z
ZAT11−で置換されてもよい。
【0066】
一般式(ZAT1−1)で表される基としては、下記一般式(ZAT1−1−1)〜(ZAT1−1−30)で表される基であることが好ましい。
【0069】
式中、炭素原子に結合する水素原子は、−OH、−CN又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよい。
Sp
ZAT11は、単結合、炭素原子数1〜25の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。ただし、アルキレン基中の水素原子は、−OH、−CN、−Z
ZAT11−R
ZAT11又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよく、アルキレン基中の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−又は−CH=CH−で置換されてもよい。
R
ZAT11は、水素原子、炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表す。ただし、アルキル基中の水素原子は、−OH、−CN又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよく、アルキル基中の−CH
2−は、酸素原子が直接結合しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−又は−Z
ZAT11−で置換されてもよい。
【0070】
一般式(ZAT1−2)で表される基としては、下記一般式(ZAT1−2−1)〜(ZAT1−2−9)で表される基であることが好ましい。
【0072】
式中、炭素原子に結合する水素原子は、ハロゲン原子、−OH、−CN又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよい。
Sp
ZAT11は、単結合、炭素原子数1〜25の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。ただし、アルキレン基中の水素原子は、−OH、−CN又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよく、アルキレン基中の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−又は−Z
ZAT11−で置換されてもよい。
【0073】
一般式(ZAT1−1)で表される基としては、下記の基が挙げられる。
【0079】
式中、R
tcは、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基又はP
AP1−Sp
AP1−を表す。ただし、アルキル基中の水素原子は、−OH、−CN又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよく、アルキル基中の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−又は−Z
ZAT11−で置換されてもよい。
分子内の水素原子は、P
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよい。
*は、結合手を表す。
【0080】
配向助剤は、吸着基に含まれる極性要素や重合性基に含まれる極性要素が局在化する形態であることが好ましい。吸着基は、液晶分子を垂直配向させるために重要な構造であり、吸着基と重合性基とが隣接していることで、より良好な配向性が得られ、また液晶組成物への良好な溶解性を示す。
具体的には、配向助剤は、メソゲン基の同一環上に重合性基及び吸着基を有する形態であることが好ましい。かかる形態には、1つ以上の重合性基及び1つ以上の吸着基がそれぞれ同一環上に結合している形態と、1つ以上の重合性基の少なくとも1つ又は1つ以上の吸着基の少なくとも1つのうち、一方が他方に結合して、同一環上に重合性基及び吸着基を有する形態とが含まれる。
また、この場合、重合性基に結合するスペーサ基中の水素原子が、吸着基で置換されてもよく、さらには吸着基中の水素原子が、スペーサ基を介して重合性基で置換されてもよい。
【0081】
配向助剤(自発配向性化合物)としては、下記一般式(SAL)で表される化合物であることが好ましい。
【0082】
【化28】
式中、炭素原子に結合する水素原子は、炭素原子数1〜25の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、−OH、−CN、−Sp
AT1−W
AT1−Z
AT1又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよい。ただし、アルキル基中の水素原子は、−OH、−CN、−Sp
AT1−W
AT1−Z
AT1又はP
AP1−Sp
AP1−で置換されてもよく、アルキル基中の−CH
2−は、酸素原子が直接結合しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−又は−CH=CH−で置換されてもよい。
R
AK1は、一般式(AK)におけるR
AK1と同じ意味を表す。
【0083】
A
AL1及びA
AL2は、それぞれ独立して、一般式(AL)におけるA
AL1及びA
AL2と同じ意味を表す。
Z
AL1は、一般式(AL)におけるZ
AL1と同じ意味を表す。
m
AL1は、一般式(AL)におけるm
AL1と同じ意味を表す。
Sp
AT1は、一般式(AT)におけるSp
AT1と同じ意味を表す。
W
AT1は、一般式(AT)におけるW
AT1と同じ意味を表す。
Z
AT1は、一般式(AT)におけるZ
AT1と同じ意味を表す。
【0084】
一般式(SAL)で表される化合物としては、下記式(SAL−1.1)〜(SAL−2.10)で表される化合物であることが好ましい。
【0098】
液晶組成物中に含まれる配向助剤の量は、0.01〜10質量%程度であることが好ましい。そのより好ましい下限値は、液晶分子を更に好適に配向させる観点から、0.05質量%、0.1質量%である。一方、そのより好ましい上限値は、応答特性を改善する観点から、7質量%、5質量%、4質量%、3質量%、1質量%である。
【0099】
((重合性化合物))
本発明において使用する液晶組成物は、吸着基(極性基)を有さない重合性化合物(重合性モノマB)を含むことが好ましい。かかる重合性化合物は、液晶分子に所定のプレチルト角を付与する機能を有する。この重合性化合物は、好ましくは下記一般式(P)で表される。なお、液晶組成物は、この重合性化合物を2種以上含有することもできる。
【0100】
【化42】
式(P)中、R
p1は、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素原子数1〜15のアルキル基又は−Sp
p2−P
p2を表す。ただし、アルキル基中に存在する1個又は隣接しない2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。また、アルキル基中に存在する1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されてもよい。
【0101】
P
p1及びP
p2は、それぞれ独立して、下記一般式(P
p1−1)〜式(P
p1−9)のいずれかを表す。
【0102】
【化43】
(式中、R
p11及びR
p12は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、W
p11は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−又は−CH
2−を表し、t
p11は、0、1又は2を表すが、分子内にR
p11、R
p12、W
p11及び/又はt
p11が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよい。)
【0103】
Sp
p1及びSp
p2は、それぞれ独立して、単結合又はスペーサ基を表す。
Z
p1及びZ
p2は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH
2−、−CH
2OCOO−、−OCH
2CH
2O−、−CO−NR
ZP1−、−NR
ZP1−CO−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CH=CR
ZP1−COO−、−CH=CR
ZP1−OCO−、−COO−CR
ZP1=CH−、−OCO−CR
ZP1=CH−、−COO−CR
ZP1=CH−COO−、−COO−CR
ZP1=CH−OCO−、−OCO−CR
ZP1=CH−COO−、−OCO−CR
ZP1=CH−OCO−、−(CH
2)
2−COO−、−(CH
2)
2−OCO−、−OCO−(CH
2)
2−、−(C=O)−O−(CH
2)
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−又は−C≡C−(式中、R
ZP1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表すが、分子内にR
ZP1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよい。)を表す。
【0104】
A
p1、A
p2及びA
p3は、それぞれ独立して、
(a
p) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は、−O−で置換されてもよい。)
(b
p) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、−N=で置換されてもよい。)及び
(c
p) ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基又はアントラセン−2,6−ジイル基(これらの基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、−N=で置換されてもよい。)
からなる群より選ばれる基(前記基(a
p)、基(b
p)及び基(c
p)は、それぞれ独立して、この基中に存在する水素原子が、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルケニル基、シアノ基又は−Sp
p2−P
p2で置換されてもよい。)を表す。
【0105】
m
p1は、0、1、2又は3を表す。
分子内にZ
p1、A
p2、Sp
p2及び/又はP
p2が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよい。ただし、A
p3は、m
p1が0で、A
p1が前記基(c
p)である場合、単結合であってもよい。
なお、重合性化合物からは、配向助剤を除く。
【0106】
R
p1は、−Sp
p2−P
p2であることが好ましい。
P
p1及びP
p2は、それぞれ独立して、一般式(P
p1−1)〜式(P
p1−3)のいずれかであることが好ましく、(P
p1−1)であることがより好ましい。
R
p11及びR
p12は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
t
p11は、0又は1であることが好ましい。
W
p11は、単結合、−CH
2−又は−C
2H
4−であることが好ましい。
m
p1は、0、1又は2であることが好ましく、0又は1であることが好ましい。
【0107】
Z
p1及びZ
p2は、それぞれ独立して、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−CO−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−CH=CH−、−CF
2−、−CF
2O−、−(CH
2)
2−COO−、−(CH
2)
2−OCO−、−OCO−(CH
2)
2−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−COO−(CH
2)
2−、−OCF
2−又は−C≡C−であることが好ましく、単結合、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−CH=CH−、−(CH
2)
2−COO−、−(CH
2)
2−OCO−、−OCO−(CH
2)
2−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−COO−(CH
2)
2−又は−C≡C−であることがより好ましい。
【0108】
なお、分子内に存在するZ
p1及びZ
p2の1つのみが−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−、−OCO−、−COOC
2H
4−、−OCOC
2H
4−、−C
2H
4OCO−、−C
2H
4COO−、−CH=CH−、−(CH
2)
2−COO−、−(CH
2)
2−OCO−、−OCO−(CH
2)
2−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−COO−(CH
2)
2−又は−C≡C−であり、他がすべて単結合であることが好ましく、分子内に存在するZ
p1及びZ
p2の1つのみが、−OCH
2−、−CH
2O−、−C
2H
4−、−COO−又は−OCO−であり、他がすべて単結合であることがより好ましく、分子内に存在するZ
p1及びZ
p2のすべてが単結合であることがさらに好ましい。
また、分子内に存在するZ
p1及びZ
p2の1つのみが、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−(CH
2)
2−COO−、−(CH
2)
2−OCO−、−O−CO−(CH
2)
2−、−COO−(CH
2)
2−からなる群から選択される連結基であり、他がすべて単結合であることが好ましい。
【0109】
Sp
p1及びSp
p2は、それぞれ独立して、単結合又はスペーサ基を表すが、スペーサ基は、炭素原子数1〜30のアルキレン基であることが好ましい。ただし、アルキレン基中の−CH
2−は、酸素原子同士が直接連結しない限りにおいて−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されてもよく、アルキレン基中の水素原子は、ハロゲン原子で置換されてもよい。
中でも、Sp
p1及びSp
p2は、それぞれ独立して、直鎖の炭素原子数1〜10のアルキレン基又は単結合であることが好ましい。
A
p1、A
p2及びA
p3は、それぞれ独立して、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基であることが好ましく、1,4−フェニレン基であることがより好ましい。
1,4−フェニレン基は、液晶分子(液晶化合物)との相溶性を改善するために、1個のフッ素原子、1個のメチル基又は1個のメトキシ基で置換されていることが好ましい。
【0110】
液晶組成物中に含まれる重合性化合物の量は、0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることがさらに好ましく、0.1〜3質量%であることがさらに好ましく、0.2〜2質量%であることがさらに好ましく、0.2〜1.3質量%であることがさらに好ましく、0.2〜1質量%であることが特に好ましく、0.2〜0.5質量%であることが最も好ましい。
【0111】
その好ましい下限値は、0.01質量%であり、0.03質量%であり、0.05質量%であり、0.08質量%であり、0.1質量%であり、0.15質量%であり、0.2質量%であり、0.25質量%であり、0.3質量%である。一方、その好ましい上限値は、10質量%であり、8質量%であり、5質量%であり、3質量%であり、1.5質量%であり、1.2質量%であり、1質量%であり、0.8質量%であり、0.5質量%である。
【0112】
重合性化合物の量が少ないと、重合性化合物を液晶組成物に加える効果が現れにくく、例えば液晶分子や配向助剤の種類等によっては、液晶分子の配向規制力が弱い又は経時的に弱くなってしまう等の問題が生じる場合がある。一方、重合性化合物の量が多過ぎると、例えば紫外線の照度等によっては、重合性化合物が硬化後に残存する量が多くなる、硬化に時間がかかる、液晶組成物の信頼性が低下する等の問題が生じる場合がある。このため、これらのバランスを考慮して、重合性化合物の量を設定することが好ましい。
【0113】
一般式(P)で表される重合性化合物の好ましい例としては、下記式(P−1−1)〜式(P−1−46)で表される重合性化合物が挙げられる。
【0118】
【化48】
式中、P
p11、P
p12、Sp
p11及びSp
p12は、一般式(P)におけるP
p1、P
p2、Sp
p1及びSp
p2と同じ意味を表す。
【0119】
また、一般式(P)で表される重合性化合物の好ましい例としては、下記式(P−2−1)〜式(P−2−12)で表される重合性化合物も挙げられる。
【0120】
【化49】
式中、P
p21、P
p22、Sp
p21及びSp
p22は、一般式(P)におけるP
p1、P
p2、Sp
p1及びSp
p2と同じ意味を表す。
【0121】
さらに、一般式(P)で表される重合性化合物の好ましい例としては、下記式(P−3−1)〜式(P−3−15)で表される重合性化合物も挙げられる。
【0123】
【化51】
式中、P
p31、P
p32、Sp
p31及びSp
p32は、一般式(P)におけるP
p1、P
p2、Sp
p1及びSp
p2と同じ意味を表す。
【0124】
また、一般式(P)で表される重合性化合物の好ましい例としては、下記式(P−4−1)〜式(P−4−15)で表される重合性化合物も挙げられる。
【0128】
【化55】
式中、P
p41、P
p42、Sp
p41及びSp
p42は、一般式(P)におけるP
p1、P
p2、Sp
p1及びSp
p2と同じ意味を表す。
【0129】
((液晶分子))
本発明における液晶組成物は、上記重合性モノマに加えて、液晶分子として、一般式(N−01)、(N−02)、(N−03)、(N−04)及び(N−05)で表される化合物から選ばれる1種類又は2種類以上含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に負の異方性を有する化合物に該当する。これらの化合物は、Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい値を示す。なお、化合物のΔεは、25℃において誘電的にほぼ中性の組成物に該化合物を添加した組成物の誘電率異方性の測定値から外挿した値である。
【0131】
式中、R
21及びR
22は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、該基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されてもよく、Z
1は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、mは、それぞれ独立して、1又は2を表す。
【0132】
R
21は、炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基であることがさらに好ましい。但し、Z
1が単結合以外を表す場合は、R
21は、炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
R
22は、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基であることが好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましく、炭素原子数1〜4のアルコキシ基であることがさらに好ましい。
【0133】
R
21及びR
22は、アルケニル基であることもできる。この場合、R
21及びR
22は、それぞれ独立して、下記式(R1)〜式(R5)で表される基(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)から選ばれることが好ましく、式(R1)又は式(R2)であることがより好ましい。但し、R
21及びR
22がアルケニル基である化合物の含有量は、できる限り少ない方がよく、含有しない方が好ましい場合が多い。
【0135】
Z
1は、それぞれ独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−OCF
2−、−CF
2O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表すが、単結合、−CH
2CH
2−、−OCH
2−、−CH
2O−であることが好ましく、単結合又は−CH
2O−であることがより好ましい。
mが1のとき、Z
1は、単結合であることが好ましい。
mが2のとき、Z
1は、−CH
2CH
2−又は−CH
2O−であることが好ましい。
【0136】
一般式(N−01)、(N−02)、(N−03)、(N−04)及び(N−05)で表される化合物のフッ素原子は、同じハロゲン族である塩素原子で置換されていてもよい。但し、塩素原子で置換された化合物の含有量は、できる限り少ない方がよく、含有しない方が好ましい。
一般式(N−01)、(N−02)、(N−03)、(N−04)及び(N−05)で表される化合物の環上に存在する水素原子は、更にフッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。但し、塩素原子で置換された化合物の含有量は、できる限り少ない方がよく、含有しない方が好ましい。
一般式(N−01)、(N−02)、(N−03)、(N−04)及び(N−05)で表される化合物は、Δεが負で、その絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。具体的には、R
22は、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基であることが好ましい。
【0137】
一般式(N−01)で表される化合物として、一般式(N−01−1)、一般式(N−01−2)、一般式(N−01−3)及び一般式(N−01−4)で表される化合物から選ばれる1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0138】
【化58】
(式中、R
21は、上記と同じ意味を表し、R
23は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
【0139】
液晶組成物は、重合性モノマ及び一般式(N−01−1)及び一般式(N−01−4)で表される化合物を含有することが好ましい。
高いVHRを必要とする場合、すなわち、高信頼性を必要とする場合、さらに言い換えると、表示不良がない液晶表示素子1を得ることを重視する場合は、一般式(N−01−3)で表される化合物を含まないことが好ましい。
【0140】
一般式(N−02)で表される化合物として、一般式(N−02−1)、一般式(N−02−2)及び一般式(N−02−3)で表される化合物から選ばれる1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0141】
【化59】
(式中、R
21は、上記と同じ意味を表し、R
23は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
【0142】
液晶組成物は、重合性モノマ及び一般式(N−02−1)で表される化合物を含有することが好ましい。
液晶組成物は、重合性モノマ及び一般式(N−02−3)で表される化合物を含有することが好ましい。
液晶組成物は、重合性モノマ、一般式(N−01−1)で表される化合物、一般式(N−01−4)で表される化合物及び一般式(N−02−1)で表される化合物を同時に含有することが特に好ましい。
液晶組成物は、重合性モノマ、一般式(N−01−1)で表される化合物、一般式(N−01−4)で表される化合物及び一般式(N−02−3)で表される化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0143】
一般式(N−03)で表される化合物として、一般式(N−03−1)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0144】
【化60】
(式中、R
21は、上記と同じ意味を表し、R
23は、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
【0145】
液晶組成物は、重合性モノマ及び一般式(N−03−1)で表される化合物を組み合わせることが好ましい。
液晶組成物は、重合性モノマ、一般式(N−01−1)で表される化合物、一般式(N−01−4)で表される化合物及び一般式(N−03−1)で表される化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0146】
一般式(N−04)で表される化合物として、一般式(N−04−1)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。
【0147】
【化61】
(式中、R
21は、上記と同じ意味を表し、R
23は、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。)
【0148】
液晶組成物は、重合性モノマ、一般式(N−01−1)で表される化合物、一般式(N−01−4)で表される化合物及び一般式(N−04−1)で表される化合物を同時に含有することが特に好ましい。
【0149】
一般式(N−05)で表される化合物は、式(N−05−1)〜式(N−05−3)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0151】
液晶組成物の総量に対して、一般式(N−01)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0質量%であり、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%である。
【0152】
液晶組成物の総量に対して、一般式(N−02)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0質量%であり、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%である。
【0153】
液晶組成物の総量に対して、一般式(N−03)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0質量%であり、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%である。
【0154】
液晶組成物の総量に対して、一般式(N−04)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0質量%であり、1質量%であり、5質量%であり、10質量%であり、20質量%であり、30質量%であり、40質量%であり、50質量%であり、55質量%であり、60質量%であり、65質量%であり、70質量%であり、75質量%であり、80質量%である。好ましい含有量の上限値は、95質量%であり、85質量%であり、75質量%であり、65質量%であり、55質量%であり、45質量%であり、35質量%であり、25質量%であり、20質量%であり、15質量%であり、10質量%である。
【0155】
液晶組成物の総量に対して、一般式(N−05)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0質量%であり、2質量%であり、5質量%であり、8質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%である。
【0156】
液晶組成物は、重合性モノマを0.1〜15質量%含有し、一般式(N−01−1)で表される化合物を1〜20質量%含有し、一般式(N−01−4)で表される化合物を1〜30質量%含有し、一般式(N−04−1)で表される化合物を1〜20質量%含有することが特に好ましい。
【0157】
液晶組成物は、更に、一般式(N−06)で表される化合物を1種又は2種以上含有してもよい。
【0158】
【化63】
(式中、R
21及びR
22は、上記と同じ意味を表す。)
【0159】
一般式(N−06)で表される化合物は、種々の物性を調整したい場合に有効であるが、大きな屈折率異方性(Δn)、高いT
NI、大きなΔεを得るために使用することができる。
液晶組成物の総量に対して、一般式(N−06)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0質量%であり、2質量%であり、5質量%であり、8質量%であり、10質量%であり、13質量%であり、15質量%であり、17質量%であり、20質量%である。好ましい含有量の上限値は、30質量%であり、28質量%であり、25質量%であり、23質量%であり、20質量%であり、18質量%であり、15質量%であり、13質量%であり、10質量%であり、5質量%である。
液晶組成物は、一般式(NU−01)〜一般式(NU−06)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0160】
【化64】
(式中、R
NU11、R
NU12、R
NU21、R
NU22、R
NU31、R
NU32、R
NU41、R
NU42、R
NU51、R
NU52、R
NU61及びR
NU62は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、該基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよい。)
【0161】
更に詳述すると、R
NU11、R
NU12、R
NU21、R
NU22、R
NU31、R
NU32、R
NU41、R
NU42、R
NU51、R
NU52、R
NU61及びR
NU62は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基であることがより好ましい。
応答速度を重視する場合には、R
NU11、R
NU21、R
NU31、R
NU41、R
NU51及びR
NU61のうちの少なくとも1個は、炭素原子数2〜3のアルケニル基であることが好ましい。このようなアルケニル基を有する化合物の好ましい含有量は、液晶組成物の総量に対して、10質量%以上であり、20質量%以上であり、25質量%以上であり、30質量%以上であり、40質量%以上であり、45質量%以上であり、50質量%以上である。
高いVHRを重視する場合には、アルケニル基を有する化合物の好ましい含有量は、40質量%以下であり、35質量%以下であり、30質量%以下である。
【0162】
高速速度と高信頼性とを両立するためには、アルケニル基を有する化合物として、一般式(NU−01)で表される化合物のみを用いることが好ましい。この場合、R
NU11は、炭素原子数2〜4のアルキル基、R
NU12は、炭素原子数2〜3のアルケニル基であることが好ましい。
高速速度と高信頼性とを両立するためには、アルケニル基を有する化合物として、一般式(NU−01)及び一般式(NU−05)で表される化合物を用いることが好ましい。この場合、R
NU11は、炭素原子数2〜4のアルキル基、R
NU12は、炭素原子数2〜3のアルケニル基であることが好ましい。また、R
NU51は、炭素原子数2〜3のアルケニル基、R
NU52は、炭素原子数2〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0163】
高速速度と高信頼性とを両立するためには、アルケニル基を有する化合物として、一般式(NU−01)、一般式(NU−05)及び一般式(NU−04)で表される化合物を用いることが好ましい。この場合、R
NU11は、炭素原子数2〜4のアルキル基、R
NU12は、炭素原子数2〜3のアルケニル基であることが好ましい。また、R
NU51及びR
NU41は、それぞれ独立して、炭素原子数2〜3のアルケニル基、R
NU52及びR
NU42は、それぞれ独立して、炭素原子数2〜3のアルキル基であることが好ましい。
【0164】
液晶組成物は、一般式(NU−01)及び一般式(NU−02)で表される化合物を含有することが好ましい。
液晶組成物は、一般式(NU−01)及び一般式(NU−03)で表される化合物を含有することが好ましい。
液晶組成物は、一般式(NU−04)及び一般式(NU−05)で表される化合物を含有することが好ましい。
液晶組成物は、一般式(NU−05)及び一般式(NU−06)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0165】
液晶組成物は、一般式(NU−01)及び一般式(NU−05)で表される化合物を含有することが好ましい。
液晶組成物は、一般式(NU−01)及び一般式(NU−06)で表される化合物を含有することが好ましい。
液晶組成物は、一般式(NU−01)、一般式(NU−05)及び一般式(NU−06)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0166】
一般式(NU−01)で表される化合物の含有量は、5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、25〜45質量%であることがさらに好ましい。
一般式(NU−02)で表される化合物の含有量は、3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
一般式(NU−03)で表される化合物の含有量は、0〜20質量%であることが好ましく、0〜15質量%であることがより好ましく、0〜10質量%であることがさらに好ましい。
【0167】
一般式(NU−04)で表される化合物の含有量は、3〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。
一般式(NU−05)で表される化合物の含有量は、0〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、3〜20質量%であることがさらに好ましい。
一般式(NU−06)で表される化合物の含有量は、1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることがさらに好ましい。
【0168】
本発明における液晶組成物は、液晶分子として、ターフェニル構造又はテトラフェニル構造を有し、誘電率異方性Δεが+2より大きい化合物、すなわち、誘電率異方性が正の化合物を1種類又は2種類以上含有することができる。なお、化合物のΔεは、25℃において誘電的にほぼ中性の組成物に該化合物を添加した組成物の誘電率異方性の測定値から外挿した値である。
該化合物は、例えば、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、屈折率異方性などの所望の性能に応じて組み合わせて使用するが、特に、重合性モノマを含有する液晶組成物中の重合性モノマの反応性を加速させることができる。
【0169】
ターフェニル構造又はテトラフェニル構造を有し、誘電率異方性Δεが+2より大きい化合物は、液晶組成物の総量に対して、好ましい含有量の下限値は、0.1質量%であり、0.5質量%であり、1質量%であり、1.5質量%であり、2質量%であり、2.5質量%であり、3質量%であり、4質量%であり、5質量%であり、10質量%である。好ましい含有量の上限値は、液晶組成物の総量に対して、20質量%であり、15質量%であり、10質量%であり、9質量%であり、8質量%であり、7質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、4質量%であり、3質量%である。
【0170】
液晶組成物に用いることができるターフェニル構造又はテトラフェニル構造を有し、誘電率異方性が+2より大きい化合物として、例えば、式(M−8.51)〜式(M−8.54)で表される化合物、式(M−7.1)〜式(M−7.4)で表される化合物、式(M−7.11)〜式(M−7.14)で表される化合物、式(M−7.21)〜式(M−7.24)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0175】
本発明における液晶組成物は、そのT
NIを高くするために、式(L−7.1)〜式(L−7.4)、式(L−7.11)〜式(L−7.13)、式(L−7.21)〜式(L−7.23)、式(L−7.31)〜式(L−7.34)、式(L−7.41)〜式(L−7.44)、式(L−7.51)〜式(L−7.53)の4環の誘電的にほぼゼロ(概ね、−2〜+2の範囲)の化合物を含有してもよい。
【0182】
本発明における液晶組成物は、上述の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤又は赤外線吸収剤等を含有してもよい。
酸化防止剤としては、一般式(H−1)〜一般式(H−4)で表されるヒンダードフェノールが挙げられる。
【0184】
一般式(H−1)〜一般式(H−3)中、R
H1は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又は炭素原子数2〜10のアルケニルオキシ基を表すが、基中に存在する1個の−CH
2−又は非隣接の2個以上の−CH
2−は、それぞれ独立して、−O−又は−S−に置換されてもよく、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子に置換されてもよい。
更に具体的には、R
H1は、それぞれ独立して、炭素原子数2〜7のアルキル基、炭素原子数2〜7のアルコキシ基、炭素原子数2〜7のアルケニル基又は炭素原子数2〜7のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数3〜7のアルキル基又は炭素原子数2〜7のアルケニル基であることがより好ましい。
【0185】
一般式(H−4)中、M
H4は、炭素原子数1〜15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていてもよい。)、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、単結合、1,4−フェニレン基(1,4−フェニレン基中の任意の水素原子は、フッ素原子により置換されていてもよい。)又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すが、炭素原子数1〜14のアルキレン基であることが好ましい。なお、揮発性を考慮すると、炭素原子数は、大きい数値が好ましいが、粘度を考慮すると、炭素原子数は大き過ぎない方が好ましいことから、M
H4は、炭素原子数2〜12であることが好ましく、炭素原子数3〜10であることがより好ましく、炭素原子数4〜10であることがさらに好ましく、炭素原子数5〜10であることが特に好ましく、炭素原子数6〜10であることが最も好ましい。
【0186】
一般式(H−1)〜一般式(H−4)中、1,4−フェニレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH=は、−N=によって置換されていてもよい。また、1,4−フェニレン基中の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されてもよい。
一般式(H−2)及び一般式(H−4)中、1,4−シクロヘキシレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH
2−は、−O−又は−S−によって置換されていてもよい。また、1,4−シクロヘキシレン基中の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されてもよい。
【0187】
更に具体的には、酸化防止剤としては、例えば、式(H−11)〜式(H−15)で表される化合物が挙げられる。
【0189】
液晶組成物が酸化防止剤を含有する場合、その好ましい下限は、10質量ppm以上であり、20質量ppm以上であり、50質量ppm以上である。一方、その好ましい上限は、10000質量ppmであり、1000質量ppmであり、500質量ppmであり、100質量ppmである。
液晶組成物は、ネマチック相−等方性液体相転移温度(T
NI)が60〜120℃であることが好ましく、70〜100℃であることがより好ましく、70〜85℃であることがさらに好ましい。なお、本明細書中においては、60℃以上をT
NIが高いと表現している。
液晶テレビ用途の場合、T
NIは、70〜80℃であることが好ましく、モバイル用途の場合、T
NIは、80〜90℃であることが好ましく、PID(Public Information Display)等の屋外表示用途の場合、T
NIは、90〜110℃であることが好ましい。
【0190】
液晶組成物は、20℃における屈折率異方性(Δn)が0.08〜0.14であることが好ましく、0.09〜0.13であることがより好ましく、0.09〜0.12であることがさらに好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合、屈折率異方性(Δn)は、0.10〜0.13であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合、屈折率異方性(Δn)は、0.08〜0.10であることが好ましい。なお、本明細書中においては、0.09以上をΔnが大きいと表現している。
液晶組成物は、20℃における回転粘性(γ
1)が50〜160mPa・sであることが好ましく、55〜160mPa・sであることがより好ましく、60〜160mPa・sであることがより好ましく、80〜150mPa・sであることがより好ましく、90〜140mPa・sであることがさらに好ましく、90〜130mPa・sであることが特に好ましく、100〜130mPa・sであることが最も好ましい。
【0191】
液晶組成物は、20℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0〜−8.0であることが好ましく、−2.0〜−6.0であることがより好ましく、−2.0〜−5.0であることがさらに好ましく、−2.5〜−4.0であることが特に好ましく、−2.5〜−3.5であることが最も好ましい。
液晶組成物を構成する化合物のうち、アルケニル基を有する化合物の含有量の合計の好ましい上限値は、10質量%であり、8質量%であり、6質量%であり、5質量%であり、4質量%であり、3質量%であり、2質量%であり、1質量%であり、0質量%である。また、アルケニル基を有する化合物の含有量の合計の好ましい範囲は、0〜10質量%であり、0〜8質量%であり、0〜5質量%であり、0〜4質量%であり、0〜3質量%であり、0〜2質量%である。但し、一般式(NU−01)で表される化合物を除く。
【0192】
液晶組成物は、必須成分である重合性モノマを含有し、更に一般式(N−01)、一般式(N−02)、一般式(N−03)、一般式(N−04)、一般式(N−05)及び一般式(N−06)で表される化合物から選ばれる1種類又は2種類以上含有し、更に一般式(NU−01)〜(NU−06)で表される化合物から選ばれる1種又は2種以上含有することが好ましい。
これらの含有量の合計の上限値は、100質量%、99質量%、98質量%、97質量%、96質量%、95質量%、94質量%、93質量%、92質量%、91質量%、90質量%、89質量%、88質量%、87質量%、86質量%、85質量%、84質量%であることが好ましく、これらの含有量の合計の下限値が、78質量%、80質量%、81質量%、83質量%、85質量%、86質量%、87質量%、88質量%、89質量%、90質量%、91質量%、92質量%、93質量%、94質量%、95質量%、96質量%、97質量%、98質量%、99質量%であることが好ましい。
【0193】
本発明の液晶表示素子は、特に、アクティブマトリックス駆動用の液晶表示素子に有用であり、VA型、FFS型、IPS型、PSA型、PSVA型、PS−IPS型又はPS−FFS型、NPS型、PI−less型、ECB型等の液晶表示素子に適宜用いることができるが、特に、PSA型、PSVA型、VA型、IPS型、FFS型又はECB型の液晶表示素子に用いることが好ましい。
【0194】
(液晶表示素子)
以上のような液晶組成物は、液晶表示素子の液晶層を形成するのに使用される。以下、
図1,2を適宜参照しながら、本実施形態に係る液晶表示素子について説明する。
図1は、液晶表示素子の一実施形態に模式的に示す分解斜視図、
図2は、
図1におけるI線で囲まれた領域を拡大した平面図である。
なお、
図1及び
図2では、便宜上、各部の寸法及びそれらの比率を誇張して示し、実際とは異なる場合がある。また、以下に示す材料、寸法等は一例であって、本発明は、それらに限定されず、その要旨を変更しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0195】
図1に示す液晶表示素子1は、対向するように配置されたアクティブマトリクス基板AM及びカラーフィルタ基板CFと、アクティブマトリクス基板AMとカラーフィルタ基板CFとの間に挟持された液晶層4とを備えている。
アクティブマトリクス基板AMは、第1の基板2と、第1の基板2の液晶層4側の面に設けられた画素電極層5と、第1の基板2の液晶層4と反対側の面に設けられた第1の偏光板7とを有している。
【0196】
一方、カラーフィルタ基板CFは、第2の基板3と、第2の基板3の液晶層4側に設けられた共通電極層6と、第2の基板3の液晶層4と反対側の面に設けられた第2の偏光板8と、第2の基板3と共通電極層6との間に設けられたカラーフィルタ9とを有している。
液晶層4は負の誘電率異方性を用いた垂直配向型であり、液晶層4中では、電極層5、6間に電圧を印加しない状態で、液晶分子は基板AM、CFに対してほぼ垂直に配向する。
【0197】
すなわち、本実施形態に係る液晶表示素子1は、第1の偏光板7と、第1の基板2と、画素電極層5と、液晶層4と、共通電極層6と、カラーフィルタ9と、第2の基板3と、第2の偏光板8と、がこの順で積層された構成を有している。
第1の基板2及び第2の基板3は、それぞれ、例えばガラス材料、又はプラスチック材料のような柔軟性(可撓性)を有する材料で形成されている。
第1の基板2及び第2の基板3は、双方が透光性を有していても、一方のみが透光性を有していてもよい。後者の場合は、他方の基板は、例えば金属材料、シリコン材料のような不透明な材料で構成することができる。
【0198】
画素電極層5は、
図2に示すように、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン11と、表示信号を供給するための複数のデータバスライン12と、複数の画素電極13とを有している。なお、
図2には、一対のゲートバスライン11、11及び一対のデータバスライン12、12が示されている。
複数のゲートバスライン11と複数のデータバスライン12とは、互いに交差してマトリクス状に配置され、これらで囲まれた領域により、液晶表示素子1の単位画素が形成されている。各単位画素内には、1つの画素電極13が形成されている。なお、各画素は複数のサブ画素から構成されていても良い。
【0199】
画素電極13は、例えば、互いに直交して十字形状をなす2つの幹部と、各幹部から分岐するとともに、各幹部に対して約45°の角度で傾斜する複数の枝部とを備える構造(いわゆるフィッシュボーン構造)とすることができる。換言すれば、画素電極13は、枝部同士の間に形成されたスリットを有する構造を有する電極とも捉えることができる。
かかる構造の画素電極13によれば、液晶分子が幹部に対して枝部が傾斜する4方向に一致して傾斜配向するようになる。このため、1つの画素内に4分割されたドメインが形成され、液晶表示素子1の視野角を広げることができる。
【0200】
各枝部の幅Lは、1〜5μm程度であることが好ましく、2〜4μm程度であることがより好ましい。また、隣り合う枝部の離間距離Sは、1〜5μm程度であることが好ましく、2〜4μm程度であることがより好ましい。このような構成により、液晶分子をより確実に所定の方向に傾斜配向させ得る。
一対のゲートバスライン11、11の間には、ゲートバスライン11とほぼ平行にCs電極14が設けられている。また、ゲートバスライン11とデータバスライン12とが互いに交差する交差部近傍には、ソース電極15及びドレイン電極16を含む薄膜トランジスタが設けられている。ドレイン電極16には、コンタクトホール17が設けられている。
【0201】
ゲートバスライン11及びデータバスライン12は、それぞれ、例えばAl、Cu、Au、Ag、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Ni又はこれらを含有する合金で形成することが好ましく、Mo、Al又はこれらを含有する合金で形成することがより好ましい。
画素電極13は、例えば、光の透過率を向上させるために透明電極で構成されている。透明電極は、ZnO、InGaZnO、SiGe、GaAs、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、SnO、TiO、AZTO(AlZnSnO)のような化合物をスパッタリング等することにより形成される。
透明電極の平均厚さは、10〜200nm程度であることが好ましい。また、電気的抵抗を低減するために、アモルファスのITO膜を焼成することにより多結晶のITO膜として透明電極を形成することもできる。
【0202】
一方、共通電極層6は、例えば、併設された複数のストライプ状の共通電極(透明電極)を有している。この共通電極も、画素電極13と同様に形成することができる。
カラーフィルタ9は、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は染色法等によって作成することができる。
顔料分散法では、カラーフィルタ用の硬化性着色組成物を、第2の基板3上に所定のパターンとなるように供給した後、加熱又は光照射することにより硬化させる。この操作を、赤、緑、青の3色について行うことにより、カラーフィルタ9を得ることができる。
なお、カラーフィルタ9は、第1の基板2側に配置してもよい。
【0203】
また、液晶表示素子1は、光の漏れを防止する観点から、ブラックマトリクス(図示せず)を設けるようにしてもよい。このブラックマトリクスは、薄膜トランジスタに対応する部分に形成することが好ましい。
なお、ブラックマトリクスは、第2の基板3側にカラーフィルタ9とともに配置してもよく、第1の基板2側にカラーフィルタ9とともに配置してもよく、ブラックマトリクスを第1の基板2側にカラーフィルタ9を第2の基板3側にそれぞれ個別に配置してもよい。また、ブラックマトリクスは、カラーフィルタ9の各色を重ね合わせ、透過率を低下させた部分で構成することもできる。
【0204】
アクティブマトリックス基板AMとカラーフィルタ基板CFとは、それらの周縁領域において、エポキシ系熱硬化性組成物やアクリル系UV硬化性組成物等で構成されるシール材(封止材)によって互いに貼り合わされている。
なお、アクティブマトリックス基板AMとカラーフィルタ基板CFとの間には、それらの離間距離を保持するスペーサを配置してもよい。スペーサとしては、例えばガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子のような粒状スペーサ、フォトリソグラフィー法により形成された樹脂製のスペーサ柱等が挙げられる。
アクティブマトリックス基板AMとカラーフィルタ基板CFとの平均離間距離(すなわち、液晶層4の平均厚さ)は、1〜100μm程度であることが好ましい。
【0205】
第1の偏光板7及び第2の偏光板8は、それらの透過軸の位置関係を調整することにより、視野角やコントラストが良好になるように設計することができる。具体的には、第1の偏光板7及び第2の偏光板8は、それらの透過軸がノーマリブラックモードで作動するように、互いに直交するように配置することが好ましい。特に、第1の偏光板7及び第2の偏光板8のうちのいずれか一方は、その透過軸が電圧印加時の液晶分子の配向方向とほぼ45°となるように配置されることが好ましい。
【0206】
また、第1の偏光板7及び第2の偏光板8を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶層4の屈折率異方性(Δn)と液晶層4の平均厚さとの積を調整することが好ましい。さらに、液晶表示素子1は、視野角を広げるための位相差フィルムを備えてもよい。
なお、液晶表示素子1では、アクティブマトリックス基板AM及びカラーフィルタ基板CFのうちの少なくとも一方の液晶層4側に、液晶層4に接触するようにして、ポリイミド配向膜等の配向膜を設けることができる。換言すれば、本発明では、上述したような液晶組成物を用いることにより、アクティブマトリックス基板AM及びカラーフィルタ基板CFのうちの少なくとも一方の基板は、配向膜を有さなくてもよい。
【0207】
(液晶表示素子の製造方法)
次に、このような液晶表示素子1の製造方法について説明する。
本実施形態の液晶表示素子の製造方法は、基板及び液晶組成物を準備する準備工程[1]と、各部を組み立てる組立工程[2]と、配向助剤及び重合性化合物のうちの少なくとも一方を重合させる重合工程[3]とを有している。
[1] 準備工程
まず、アクティブマトリックス基板AMと、カラーフィルタ基板CFと、前述したような液晶組成物とを用意する。
【0208】
[2] 組立工程
次に、アクティブマトリクス基板AM及びカラーフィルタ基板CFの少なくとも一方の縁部に沿って、ディスペンサーを用いてシール材を閉ループ土手状に描画する。
その後、所定量の液晶組成物をシール材の内側に滴下した後、減圧下に液晶組成物に接触するように、アクティブマトリクス基板AMとカラーフィルタ基板CFとを対向させて配置する。
このような滴下注入(ODF:One Drop Fill)法では、液晶表示素子1のサイズに応じて最適な注入量を滴下する必要がある。前述したような液晶組成物は、例えば、滴下時に生じる滴下装置内の急激な圧力変化や衝撃に対する影響が少なく、長時間にわたって安定的に滴下し続けることが可能である。このため、液晶表示素子1の歩留まりを高く維持することができる。
【0209】
特に、スマートフォンに多用される小型の液晶表示素子は、液晶組成物の最適な注入量が少ないため、そのズレ量を一定範囲内に制御すること自体が難しい。しかしながら、前述したような液晶組成物を用いることにより、小型の液晶表示素子においても安定かつ最適な注入量を正確に滴下することができる。
また、ODF法によれば、液晶組成物を基板に滴下した際の滴下痕の発生を抑えることができる。なお、滴下痕とは、黒表示した場合に液晶組成物を滴下した痕が白く浮かび上がる現象である。
その後、紫外線(活性エネルギー線)照射及び加熱により、シール材を硬化させる。なお、シール材の種類によっては、シール材の硬化を紫外線照射及び加熱のいずれか一方のみで行うようにしてもよい。
【0210】
[3] 重合工程
次に、紫外線、電子線のような活性エネルギー線を液晶組成物に対して照射することにより、配向助剤及び重合性化合物のうちの少なくとも一方を重合させる。
これにより、液晶層4の界面に液晶配向を制御するポリマ層(配向助剤及び重合性化合物のうちの少なくとも一方の重合物)が形成され、液晶表示素子1が得られる。
液晶分子に対して十分なプレチルト角を付与するためには、適度な重合速度が望ましい。このため、重合の際には、活性エネルギー線を単一、併用または順番に照射することが好ましい。紫外線を使用する場合は、偏光光源を用いてもよいし、非偏光光源を用いてもよい。
【0211】
なお、本実施形態のように、液晶組成物に接触させるように、2つの基板を対向させた状態で重合を行う場合は、少なくとも照射面側に位置する基板は、活性エネルギー線に対して適当な透過性を有する必要がある。
また、重合は次のように複数段階で行ってもよい。具体的には、まず、電場、磁場または温度等の条件を調整し、液晶分子の配向状態を変化させる。この状態で、活性エネルギー線を液晶組成物に照射して、配向助剤及び重合性化合物のうちの少なくとも一方を重合させる。次に、電場または磁場を与えることなく、活性化エネルギー線を液晶組成物に照射して、残存する未重合物(残存モノマ)を重合させる。
【0212】
特に、紫外線を使用する場合は、液晶組成物に対して交流電界を印加しつつ、紫外線を照射することが好ましい。
印加する交流の周波数は、10Hz〜10kHz程度であることが好ましく、60Hz〜10kHz程度であることがより好ましい。
印加する交流の電圧は、液晶表示素子1の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する交流の電圧を調整することにより、液晶表示素子1のプレチルト角を制御することができる。液晶分子に付与されるプレチルト角は、85〜89.5°程度であることが好ましく、87.5〜89°程度であることがより好ましい。かかる範囲に液晶分子のプレチルト角を調整することにより、液晶表示素子1の応答速度を十分に高めつつ、コントラストの低下を防止することができる。
【0213】
紫外線を照射する際の温度は、液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。具体的な温度は、室温に近い温度、すなわち、典型的には15〜35℃程度であることが好ましい。
紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、蛍光管等を用いることができる。
また、照射する紫外線は、液晶組成物の吸収波長域でない波長を有する紫外線であることが好ましく、必要に応じて所定の波長をカットして使用することがより好ましい。
【0214】
照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm
2〜100W/cm
2程度であることが好ましく、2mW/cm
2〜50W/cm
2程度であることがより好ましい。なお、強度を変化させつつ、紫外線を照射するようにしてもよい。
照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm
2〜500J/cm
2程度であることが好ましく、100mJ/cm
2〜200J/cm
2程度であることがより好ましい。
また、紫外線を照射する時間は、その強度により適宜選択されるが、10〜3600秒程度であることが好ましく、10〜600秒程度であることがより好ましい。
【0215】
なお、[2]組立工程では、滴下注入(ODF)法に代えて、真空注入法を用いるようにしてもよい。例えば、真空注入法では、まず、アクティブマトリクス基板AM及びカラーフィルタ基板CFの少なくとも一方の縁部に沿って、注入口を残すようにしてシール材をスクリーン印刷する。その後、2つの基板AM、CFを貼り合わせ、加熱によりシール材を熱硬化させる。次に、液晶組成物を真空下で注入口を介して、2つの基板AM、CFの間のシール材で区画された空間内に注入した後、注入口を封止する。その後、[3]重合工程に移行する。
このようにして得られた液晶表示素子1は、PSA型、PSVA型、VA型、IPS型、FFS型またはECB型の液晶表示素子であることが好ましく、PSA型の液晶表示素子であることがより好ましい。
【0216】
本発明では、液晶層4中における重合性モノマ(配向助剤及び/又は重合性化合物)の残存量、すなわち未反応の重合性モノマの量を200ppm以下に調整した点に特徴を有する。
液晶層4中における重合性モノマの残存量が200ppmを超えて多くなると、液晶表示素子1の電圧保持率(VHR)が急激に低下する。これに対して、液晶層4中における重合性モノマの残存量を200ppm以下にすることにより、残存する重合性モノマ(残存モノマ)による液晶分子への悪影響を抑制し、液晶表示素子1の電圧保持率の低下を阻止することができる。
重合性モノマの残存量は、200ppm以下であればよいが、150ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。かかる範囲に重合性モノマの残存量を調整することにより、液晶表示素子1の電圧保持率の低下がより低減される。
【0217】
液晶組成物が、重合性モノマとして、配向助剤(重合性モノマA)及び重合性化合物(重合性モノマB)の双方を含有する場合、それらの合計での残存量を上記範囲とすることが好ましい。
また、配向助剤及び重合性化合物の双方を含有する場合において、配向助剤及び重合性化合物のそれぞれの残存量は、100ppm以下であることが好ましく、75ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがさらに好ましい。
なお、液晶組成物が、重合性モノマとして、配向助剤及び重合性化合物の一方のみを含有する場合、その残存量は、100ppm以下であることが好ましく、85ppm以下であることがより好ましい。
【0218】
液晶表示素子1の電圧保持率の低下を阻止する観点からは、重合性モノマの残存量はできる限り低い方が好ましい。
一方で、照射される活性エネルギー線による液晶分子(ホスト化合物)へのダメージを抑制する観点からは、液晶層4中に若干量の重合性モノマを積極的に残すことが好ましい。
したがって、液晶層4中における重合性モノマの残存量には下限値も存在し、その具体的な残存量は、10ppm以上であることが好ましく、20ppm以上であることがより好ましく、30ppm以上であることがさらに好ましい。かかる量で重合性モノマを液晶層4中に残存させることで、活性エネルギー線の悪影響による液晶分子へのダメージをより確実に抑制し、よって、液晶表示素子1の電圧保持率の低下も低減される。
【0219】
液晶組成物が、重合性モノマとして、配向助剤及び重合性化合物の一方のみを含有する場合、その残存量を上記範囲とすることが好ましい。
なお、液晶組成物が、重合性モノマとして、配向助剤及び重合性化合物の双方を含有する場合、それらの合計での残存量は、20ppm以上であることが好ましく、40ppm以上であることがより好ましく、60ppm以上であることがさらに好ましい。
【0220】
また、若干量(微量)の重合性モノマを残存させることにより、例えば、液晶表示素子1の使用時にバックライトからの光の作用により、仮に液晶層4中にラジカルが発生しても、このラジカルが重合性モノマの重合性基にトラップされるようになる。このため、ラジカルによる液晶分子のダメージも生じ難い。したがって、経時的に液晶表示素子1の電圧保持率が低下するのも低減することができる。
さらに、残存する重合性モノマは、それ自体がラジカルを捕捉することにより失活するため、上記の若干量であれば、重合性モノマの液晶分子に対する直接的なダメージは、それ程問題になることもない。
とりわけ、バックライト側に設置された基板からの距離が近い液晶分子ほど、バックライトからの光の影響を受けて、ラジカルを発生させる可能性が高くなるが、吸着基を有する配向助剤(重合性モノマA)が液晶層4中に残存している場合、残存する重合性モノマもまた基板の表面(液晶層との界面)付近に偏在し易いものと考えられる。そのため、重合性モノマの残存量が少量であっても、液晶表示素子1の電圧保持率の低下を効果的に抑制することができる。
重合性モノマのラジカル捕捉能も考慮した場合、重合性基としては、上述した中でも、不飽和結合を有する重合性基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
【0221】
液晶層4中における重合性モノマの残存量は、液晶組成物に照射する活性エネルギー線(紫外線)の強度、波長、エネルギー量及び照射時間や、重合性モノマの種類及び添加量等を設定することにより調整することができる。
以上、本発明の液晶表示素子を実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各構成は、同様の機能を有する任意の構成に置換してもよく、他の任意の構成が付加されていてもよい。
【実施例】
【0222】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
液晶混合物について測定した特性は、次の通りである。
Tni :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :293Kにおける屈折率異方性
Δε :293Kにおける誘電率異方性
γ1 :293Kにおける回転粘度(mPa・s)
K11 :293Kにおける広がりの弾性定数(pN)
K33 :293Kにおける曲がりの弾性定数(pN)
【0223】
なお、各実施例及び各比較例で用いた化合物の記載について、以下の略号を用いる。略号中のnは自然数である。
(側鎖)
−n −C
nH
2n+1:炭素原子数nの直鎖状アルキル基
n− C
nH
2n+1−:炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
−On −OC
nH
2n+1:炭素原子数nの直鎖状アルコキシ基
−V1 −CH=CH−CH
3:プロペニル基
V− CH
2=CH−:ビニル基
1V2− CH
3−CH=CH−CH
2−CH
2−:ペンテニル基
【0224】
(連結構造)
−nO− −C
nH
2nO−
(環構造)
【0225】
【化77】
【0226】
液晶混合物LC−1、LC−2の組成及び物性について、以下の表1に示す。
【0227】
【表1】
【0228】
配向助剤(重合性モノマA)には、下記の配向助剤(SA1)〜(SA6)を用いた。
【0229】
【化78】
【0230】
【化79】
【0231】
【化80】
【0232】
【化81】
【0233】
【化82】
【0234】
【化83】
【0235】
重合性化合物(重合性モノマB)には、下記の重合性化合物(PSA1)〜(PSA4)を用いた。
【0236】
【化84】
【0237】
【化85】
【0238】
【化86】
【0239】
【化87】
【0240】
1.液晶組成物の調製
(実施例1)
液晶混合物LC−1に対して、配向助剤(SA2)が0.7質量%となるように混合して、加熱溶融することにより液晶組成物を調製した。したがって、実施例1の液晶組成物には、重合性化合物を混合しなかった。
(実施例2〜21、比較例1〜5)
液晶混合物、配向助剤及び重合性化合物の種類及び添加量を表2に示す通り変更した以外は、実施例1と同様にして、液晶組成物を調製した。
【0241】
2.液晶セルの作製
まず、透明電極層を有し、配向膜を有さない第1の基板(共通電極基板)と、アクティブ素子により駆動される透明画素電極を有する画素電極層を有する配向膜を有さない第2の基板(画素電極基板)とを作製した。
次に、第1の基板上に液晶組成物を滴下した後、第2の基板で挟持し、シール材を常圧で110℃2時間の条件で硬化させ、セルギャップ3.2μmの液晶セルを得た。
次に、周波数100Hz、10Vの電圧を、液晶セルに印加した状態で、高圧水銀灯を用いて、波長325nm以下の紫外線をカットするフィルタを介して紫外線を照射した。このとき、中心波長365nmの条件で測定した照度(強度)が100mW/cm
2になるように調整し、積算光量10J/cm
2の紫外線を照射した。
この紫外線照射条件を照射条件1とした。照射条件1での紫外線の照射により、液晶セル中の液晶分子にプレチルト角が付与される。
【0242】
次に、液晶セルに対し、東芝ライテック社製の蛍光UVランプを用いて、中心波長313nmの条件で測定した照度(強度)が3mW/cm
2になるように調整し、積算光量10J/cm
2(少)、20J/cm
2(中)、50J/cm
2(多)のいずれかで紫外線を照射した。これにより、液晶表示素子を得た。
この紫外線照射条件を照射条件2とした。照射条件2での紫外線の照射により、液晶セル中の未反応の重合性モノマ(配向助剤及び重合性化合物)の残存量を低減させた。
なお、各液晶組成物を用いて、2つの液晶セルを作製した。
【0243】
3.測定及び評価
3−1.重合性モノマの残存量の測定
得られた液晶セルについて、次のようにして、液晶層中に残存する重合性モノマの量(ppm)を測定した。
まず、液晶セルを分解し、アセトニトリルに、液晶分子、重合性モノマの重合物及び未反応の重合性モノマを溶出させた。次に、この溶出成分を含むアセトニトリル溶液を、高速液体クロマトグラフで分析し、各溶出成分のピーク面積を測定した。
そして、指標とする液晶分子のピーク面積と未反応の重合性モノマのピーク面積比から、残存する重合性モノマの量を求めた。この求められた値と液晶組成物を調製する際に添加した重合性モノマの量(初期量)から、重合性モノマの残存量を決定した。
【0244】
3−2.垂直配向性の評価
得られた液晶セルについて、垂直配向性及び滴下痕などの配向ムラを、偏光顕微鏡を用いて観察し、以下の基準に従って評価した。
[評価基準]
S:全面に渡り、均一に垂直配向
A:ごく僅かに配向欠陥が有るも許容できるレベル
B:配向欠陥が有り許容できないレベル
C:配向不良がかなり劣悪
【0245】
3−3.電圧保持率(VHR)の初期値についての評価
得られた液晶セルについて、電圧保持率測定システム(東陽テクニカ社製、「LCM−2型」)を用いて、VHR(%)を測定し、以下の基準に従って評価した。
なお、測定条件は、60℃、周波数60Hz、印加電圧1Vとした。
[評価基準]
S:99%超100%以下
A:98%超99%以下
B:95%超98%以下
C:95%以下
【0246】
3−4.電圧保持率(VHR)の経時変化についての評価
得られた液晶セルに対して、輝度8500cd/m
2の光を、偏光板を通過させることなく、表面温度が50℃となるように連続照射した。45日間経過した後、前記と同様にしてVHRを測定し、以下の基準に従って評価した。
[評価基準]
S:初期値に対して10%未満の低下
A:初期値に対して10%以上15%未満の低下
B:初期値に対して15%以上20%未満の低下
C:初期値に対して20%以上の低下
【0247】
3−5.プレチルト安定性の評価
得られた液晶セルについて、液晶分子のプレチルト角を、プレチルト角測定システム(シンテック社製、「OPTIPRO」)を用いて測定した。このプレチルト角を初期値とした。
次に、液晶セルに対して、周波数100Hzで30Vの矩形電圧を印加しつつ、バックライトから10時間連続して光を照射した。その後、プレチルト角を再度測定し、プレチルト角(試験後値)とした。なお、30Vの電圧の大きさは通常の駆動電圧の数倍大きく、加速試験となっている。
測定されたプレチルト角(初期値)からプレチルト角(試験後値)を減算した値を、プレチルト角変化量(=プレチルト角変化の絶対値)[°]として、以下の基準に従って評価した。プレチルト角変化量は、0[°]に近い程、プレチルト角の変化による表示不良が発生する可能性がより低くなる。
[評価基準]
S:0.1°以内の変化(ほとんど表示不良が生じない)
A:0.1°超0.3以内の変化(表示不良が生じにくい)
B:0.3°超0.5°以内の変化(かなり表示不良が生じる)
C:0.5°超の変化(表示不良が生じ許容できないレベル)
以上の結果を、以下の表2に示す。
【0248】
【表2】
【0249】
各重合性モノマの残存量を100ppm以下(特に50ppm以下)とした実施例では、垂直配向性を低下させることなく、VHRやチルト安定性も良好であった。各重合性モノマの残存量は、紫外線の積算光量を調整することにより制御することができた。
これに対して、各重合性モノマの残存量が100ppmを超える比較例2、4及び5では、VHRの低下が顕著であった。また、各重合性モノマの残存量が0ppmである比較例1及び3では、紫外線の積算光量が多過ぎて、液晶分子にダメージを与え、VHRの低下を招いたものと考えられる。
以上の結果より、各実施例は、各比較例より垂直配向性、VHR及びチルト安定性が良好であり、配向膜を有さない液晶セルにおいて、液晶分子の垂直配向を達成するために好適であることが判った。
また、各重合性モノマの残存量を10ppm以上(特に30ppm以上)とした実施例では、VHRの経時変化(経時的な低下)を抑制することもできた。