【実施例】
【0022】
(実施例1)
図1は、検体検査装置(検体分析装置)における検査装置(検体チェックモジュール)の概略構成図であり、血清種を分類する検体分析装置の検体チェックモジュールの例を示している。
【0023】
図1の検体チェックモジュールは、検体前処理処理装置に備えられ、血清の種別の判断に使用される。
【0024】
図1において、検体チェックモジュールは、光源(照明)106a、106bと、光源用ドライバ(照明ドライバ)107a、107bと、カメラ(撮像カメラ)101と、画像処理エンジン(検知部)108と、背景板(背景部)105と、コントローラ109と、入出力インタフェース(入出力I/F)110と、データバス111とを備えている。
【0025】
照射部である光源106a、106bは、それぞれ採血管102の前方上部および前方下部に光を照射する。光源106a、106bとしては、強度が強く、指向性の高い光であるLED光源などを用いる。波長の範囲は、おおよそ、400nmから700nmの可視光を用いる。光源106a、106bを駆動するためには電源などの光源用ドライバ107a、107bを用いる。
【0026】
採血管102の前方上部および前方下部に、上下方向から光を照射することで、ひとつの光源を用いる場合と比較し、採血管102に当たる光の強度分布を一様にすることができる。光の強度分布を一様にすることにより、より正確に血清色情報を取得することができる。また、照明部の光源によるハレーション等の反射光により、取得した血清色情報の正確性が失われることを防ぐ目的で、光源106a、106bと、カメラ(撮像部)101との間に、それぞれ同じ偏光成分の偏光フィルターを用いても良い。
【0027】
カメラ101では採血管102全体の2次元画像を撮像する。
図2は、採血管102に貼られたラベル103の向きとカメラ101との関係を説明する図である。カメラ101と採血管102に貼られたラベル103の向きとの関係は、
図2の(c)のように、ラベル102の隙間から採血管102の中の試料(検出対象領域203)を撮像できる状態とする。
【0028】
このとき、光源106a、106bから照射された光は採血管102を透過し、波長の一部は採血管102の中の血清(検出対象領域)104に吸収され、一部は血清104を透過する。透過した光は採血管102を透過して、採血管102表面に貼付されたラベル103上で散乱する。散乱した光は再度、採血管102、血清104、採血管102の順に透過してカメラ101に入射する。画像処理エンジン108ではカメラ101で撮像された画像から血清領域抽出処理などの画像処理を行い、血清領域の位置、色(色情報)を認識する。
【0029】
図3は、
図1に示した検体チェックモジュールの動作フローチャートである。
図3において、まず、採血管102全体をカメラ101で撮像する(ステップS301)。次に、カメラ101により撮像した画像は、画像処理エンジン108により画像処理が行われる(ステップS302)。さらに、ステップS302における画像処理によって検出した血清種別の情報を出力し(ステップS303)、処理は終了する。
【0030】
図4は、
図3のステップS302に示した画像処理のフローチャートである。
図4において、まず、取得した画像をRGB表色系からHSV表色系へ変換する(ステップS401)。HSV表色系は人間が色を知覚する方法と類似していることが知られており、従来人手で行っていた血清種別の認識を自動化する際に適している。
【0031】
次に、HSV表色系に変換された画像を用い、ラベル103を背景とする検出対象領域である血清領域104の色の平均値を血清の色として取得する(ステップS402)。血清領域104を抽出するために使用する採血菅の画像は、
図2の(c)のようにラベル103とラベル103の隙間から採血管102201の中の試料(検出対象領域203)を撮像できる状態とする。また、色情報の計算は、平均値を求めるとしたが、これに限るものではなく、中央値、分散などを取得することも考えられる。
【0032】
次に、取得した色情報から血清種別を判定し(ステップS403)、処理は終了する。
【0033】
血清種別の判定には、閾値を用い、正常血清(薄黄色)、溶血(赤色)、黄疸(暗黄色)、乳び(乳白色)などの判定を行う。閾値はラベル103を背景として血清領域にあわせ、あらかじめ設定しておく。あらかじめ設定しておいた閾値と取得した血清の色情報を比較し、血清種別の判別を行う。
【0034】
同様に、採血管102後方の背景板105を背景とする血清領域にあわせ、血清種別の判定の閾値を持っておくことも有効である。
【0035】
なお、血清種別判別のための閾値は、採血管102の種類や、光源106a、106bの光量、カメラ101の設定値などにより変更してもよい。採血管102の種類によっては、壁面の材質が異なり、光の透過率が異なるため、同様な血清であった場合においても、カメラ101で撮像された画像での色は異なる場合がある。このため、領域抽出の閾値を採血管の種類により変更することにより、より正確に血清種別を判別することが可能となる。
【0036】
図5は、本発明の実施例1における、正常血清(薄黄色)、溶血(赤色)、黄疸(暗黄色)、乳び(乳白色)の標準サンプルを容易に調製できるテストキット(サンプルキット)の外観図であり、複数の保管容器502がサンプルキットの外箱501に収容されている。
【0037】
一般的に、溶血の程度は、血清中のヘモグロビン濃度に応じて、血清の色味(赤色)が幅広く変化することが知られており、溶血サンプルとして、高溶血(濃赤色)キットと低溶血(薄赤色)キットとしてもよい。
【0038】
サンプルキットには、極大吸収波長を480nm前後(略480nm)にもつ色素(第1の色素)と、極大吸収波長を620nm前後(略620nm)にもつ色素(第2の色素)と、乳脂肪剤とを含む色素及び乳脂肪剤を溶解させて、水溶液としたものをキットとしても良いが、水溶液中の成分の変化による色の変動を最小限にするためには、化学的安定性に優れた非水溶液系物質、つまり、色素、及び乳脂肪剤をできる限り粉末状のものを用い、使用する際に水を添加して水溶液とする方法が望ましい。
【0039】
また、サンプルキットに、極大吸収波長を480nm前後(略480nm)にもつ色素(第1の色素)と、極大吸収波長を620nm前後(略620nm)にもつ色素(第2の色素)と、乳脂肪剤とを含む色素及び乳脂肪剤を溶解させて、水溶液としたものを収容する保管容器と、第1の色素、第2の色素及び乳脂肪剤のうちの少なくとも一つを収容する保管容器との両者を有するように構成することもできる。
【0040】
図6は、本発明の実施例1における標準サンプルキットの詳細説明図である。保管容器502には、
図6の(a)に示すような角柱型の保管容器と、
図6の(b)に示すような試験管型の保管容器とがあり、何れも保管容器を用いることができる。
【0041】
図6の(a)、(b)のように、サンプルキットの保管容器502に、液体の収容量を示す標線603が形成され、標線603に従い、キャップ601を保管容器502から取り外し、保管容器502に水を添加するだけで、保管容器502の底部に収容された溶質604が水に溶解し、使用可能なサンプルを調製することができる。
【0042】
また、予め溶質604が保管容器502に収容されているので、必要以上に色素に触れる必要がなく、作業中に誤って衣服や手指を色素で着色させてしまう等の問題がない。
【0043】
図6の(b)に示す保管容器のように、採血菅102と同じ形状、もしくは採血菅102をキットの保管容器502にすることで、形成された標線603に従い、水を添加して調製したサンプルを、直ぐに検体チェックモジュールで使用することが可能となる。
【0044】
本発明の実施例1によるサンプルキットは、一般的な採血管に調製した血清を入れても過不足のない体積である20mlの血清を調製するキットとする。
【0045】
このため、正常血清(薄黄色)、高溶血(濃赤色)、低溶血(薄赤色)、黄疸(暗黄色)、乳び(乳白色)それぞれのサンプル保管容器502が備えられ、各保管容器502に水20ml添加し、溶質604と混合し完全に溶解させることで、容易に目的の血清サンプルを調製することができる。溶解に用いる水は、水溶液の色に影響を与える可能性のある異物(成分)の混入を最小限に防ぐ目的で、純水、もしくはイオン交換水を使用することが望ましい。
【0046】
本発明の実施例1におけるサンプルキットに含まれる成分において、極大吸収波長を480nm前後にもつ色素としては、例えばオレンジG(C
16H
10N
2Na
2O
7S
2)がある。極大吸収波長を620nm前後にもつ色素としては、例えばアミドブラック10B(C
22H
14N
6Na
2O
9S
2)がある。乳脂肪剤としては、例えばIntraripid(イントラリピッド)20%がある。
【0047】
ここで、極大吸収波長を480nm前後にもつとは、極大吸収波長を465nm〜505nmにもつこととし、極大吸収波長を620nm前後にもつとは、極大吸収波長を580nm〜635nmにもつこととする。
【0048】
正常血清(薄黄色)のサンプルキット(テストキット)としては、溶質604として、例えば、オレンジGを0.625mg含み、これを使用時に水20mlで溶解するものがある。
【0049】
また、低溶血(薄赤色)のサンプルキット(テストキット)としては、例えば、溶質604として、オレンジGを10.0mg含み、これを使用時に水20mlで溶解するものがある。
【0050】
また、高溶血(濃赤色)のサンプルキット(テストキット)としては、例えば、溶質604としてオレンジGを40.0mg含み、これを使用時に水20mlで溶解するものがある。
【0051】
また、乳び(乳白色)のサンプルキット(テストキット)としては、例えば、溶質604としてオレンジGを0.625mgと、Intralipid20%を200μl含み、これを使用時に水20mlで溶解するものがある。
【0052】
ここで、乳びサンプル作成時までの、サンプルキットの保管状態は、オレンジGとIntralipid20%が、長期的に化学反応が進行することのないように、それぞれが物理的に接触する事のない、別の容器に保管しておく事が望ましい。
【0053】
また、黄疸(暗黄色)のサンプルキット(テストキット)としては、例えば、溶質604として、オレンジGを0.625mgと、アミドブラック10Bを20μg含み、これを使用時に水20mlで溶解するものがある。黄疸サンプル作成時までの、キットの保管状態は、オレンジGとアミドブラック10Bが、長期的に化学反応が進行することのないよう、それぞれ別の保管容器に保管しておく事が望ましい。
【0054】
また、当キットのように、アミドブラック10Bを20μg含んでいる場合は、非常に微量なため、サンプル調製の際に、環境下の風圧や、保管容器の開栓時の衝撃で、アミドブラック10Bの質量が変動する可能性がある。その場合は、例えば、キットの一部として、別容器でアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を適当な体積(例えば、100ml)で調製し、これをマイクロピペッターなどの一定量を分注できる器具を用いて、20μlだけ添加しても良い。
【0055】
以上に説明した手順を実施すると、目的に応じた濃度や溶液色を、常に安定して再現でき、濃度と溶液色が規格化された、正常サンプル(薄黄色)、溶血(赤色)、黄疸(暗黄色)、乳び(乳白色)の標準サンプルを容易に調製することができる。
【0056】
本発明の実施例1によるサンプルキット(テストキット)を用いることで、検体チェックモジュールの製品出荷時や装置据付時の検査装置の性能評価を容易に行うことができる。それだけに限らず、病院などの検査室に設置された検体チェックモジュールの血清識別性能の精度管理試料として、日常的に本発明のサンプルキット(テストキット)を利用する事で、容易に精度管理を実施することができる。
【0057】
さらに、日常の精度管理時に加えて、例えば検体チェックモジュールの設置箇所を変更した場合、規格化された標準サンプルを測定することで、検査室の室内照明等の影響で変動した色情報(HSV値)の変化量を容易に調査する事が可能となる。ここで、色情報(HSV値)の変動を補正する手順として、照明106a、106bの照度と、画像処理エンジン108におけるRGB表色系のホワイトバランス比を変更することで、標準サンプルに求められるHSV値に補正が可能となることが検証により分かっている。
【0058】
図7、
図8及び
図9は、正常サンプル(薄黄色)、溶血(赤色)、黄疸(暗黄色)、乳び(乳白色)の標準サンプルを、照明106a、106bの照度を変化させて測定したH値(色相)、S値(彩度)、V値(明度)を示すグラフである。
【0059】
そして、
図7の縦軸はH値、横軸は照度を示し、
図8の縦軸はS値(彩度)を示し、横軸は照度を示す。また、
図9の縦軸はV値(明度)を示し、横軸は照度を示す。
【0060】
また、
図7、
図8、
図9において、×印は正常サンプル、四角形は高溶血、菱形は低溶血、丸印は黄疸、三角形は乳びを示している。
【0061】
図7、
図8及び
図9に示すように、
図9のV値(明度)のみ、正常サンプル、高溶血、低溶血、黄疸及び乳びの全てが照度に比例して単調増加する事が分かった。
【0062】
このことより、照明106a、106bの照度を変化させることで、V値(明度)のみを選択的に変動させる事ができることが分かった。
【0063】
図10、
図11及び
図12は、正常サンプル(薄黄色)、溶血(赤色)、黄疸(暗黄色)、乳び(乳白色)の標準サンプルを、画像処理エンジン108におけるRGB表色系のホワイトバランス比のうち、Blue/Green比を変化させて測定したH値(色相)、S値(彩度)、V値(明度)をそれぞれ示すグラフである。
【0064】
そして、
図10の縦軸はH値、横軸はBlue/Green比を示し、
図11の縦軸はS値(彩度)を示し、横軸はBlue/Green比を示す。また、
図12の縦軸はV値(明度)を示し、横軸はBlue/Green比を示す。
【0065】
また、
図10〜12において、
図7〜
図9と同様に、×印は正常サンプル、四角形は高溶血、菱形は低溶血、丸印は黄疸、三角形は乳びを示している。
【0066】
図10、
図11及び
図12から、
図11に示すS値(彩度)のみ、正常サンプル、高溶血、低溶血、黄疸及び乳びの全てが、Blue/Green比に比例して単調減少する事が分かった。このことより、ホワイトバランス比のうち、Blue/Green比を変化させることで、S値(彩度)のみを選択的に変動させる事ができることが分かった。
【0067】
図13、
図14及び
図15は、正常サンプル(薄黄色)、溶血(赤色)、黄疸(暗黄色)、乳び(乳白色)の標準サンプルを、画像処理エンジン108におけるRGB表色系のホワイトバランス比のうち、Red/Green比を変化させて測定したH値(色相)、S値(彩度)、V値(明度)をそれぞれ示すグラフである。
【0068】
そして、
図13の縦軸はH値、横軸はRed/Green比を示し、
図14の縦軸はS値(彩度)を示し、横軸はRed/Green比を示す。また、
図15の縦軸はV値(明度)を示し、横軸はRed/Green比を示す。
【0069】
また、
図13〜
図15において、
図7〜
図9と同様に、×印は正常サンプル、四角形は高溶血、菱形は低溶血、丸印は黄疸、三角形は乳びを示している。
【0070】
図13、
図14及び
図15から、
図13に示すH値のみがRed/Green比に比例して単調減少し、
図15に示すV値のみが、Red/Green比に比例して単調増加する事が分かった。
【0071】
ここで、
図9より、V値(明度)は、照度により変化させる事ができることが分かっている。このため、ホワイトバランス比のうち、Red/Green比と、照明106a、106bの照度とを変化させることでV値(明度)を一定とすることができ、H値(色相)は照度の変化により変化せず、Red/Green比により変化するのであるから、H値(色相)のみを選択的に変動させる事ができることが分かった。
【0072】
つまり、V値(明度)、S値(彩度)、H値(色相)のそれぞれを選択的に変動させることができる。
【0073】
上述した正常血清、低溶血、高溶血、黄疸、乳びのサンプルキットについて、
図1に示した検査装置の照度、Blue/Green比、Red/Green比を変化させて、色情報であるH値、S値、V値を算出する。サンプルキットの色情報であるH値、S値、V値は既知であるから、既知のH値、S値、V値と、検査装置が算出したH値、S値、V値とを比較することにより、検査装置の光源の照度、Blue/Green比、Red/Green比を校正することができる。
【0074】
以上から、本発明の実施例1によるサンプルキット(テストキット)によれば、正常サンプル(薄黄色)、溶血(赤色)、黄疸(暗黄色)、乳び(乳白色)の色が規格化され、調整や持ち運びが容易であり、長時間の使用が可能で安定性を有し、上記正常サンプル(薄黄色)、溶血(赤色)、黄疸(暗黄色)、乳び(乳白色)の色を再現する標準サンプルを容易に調製することが出来る。
【0075】
また、調製した溶液色が規格化されたサンプルを用いる事で、容易に検査装置の測定色情報(HSV値)の精度管理を行う事が可能となる。また、万が一、測定色情報(HSV値)に変動が生じた場合、溶液色が規格化されたサンプルを用いる事で、検査装置による測定色情報の調整、補正を正しく行うことが可能となる。
【0076】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。
【0077】
本発明のサンプルキット(テストキット)に含まれる成分において、極大吸収波長を480nm前後にもつ色素としては、例えばオレンジG(C
16H
10N
2Na
2O
7S
2)がある。また、極大吸収波長を620nm前後にもつ色素としては、例えばアミドブラック10B(C
22H
14N
6Na
2O
9S
2)がある。また、乳脂肪剤としては、例えばIntraripid 20%がある。
【0078】
図16は、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を2
n(n=3〜12)倍希釈した水溶液20mlそれぞれに、アミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を0〜40μl添加した水溶液を、
図1に示した検体チェックモジュールで測定し、判別した血清種別を示す表である。
【0079】
図16において、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/8〜1/32に希釈した水溶液20mlにアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を0〜40μl添加することにより、高溶血の標準サンプルを調整することができる。
【0080】
また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/64〜1/512に希釈した水溶液20mlにアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を無添加とすることにより低溶血の標準サンプルを調整することができる。また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/64、1/128に希釈した水溶液20mlにアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を10μl添加とすることによっても低溶血の標準サンプルを調整することができる。また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/64に希釈した水溶液20mlにアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を20μl添加とすることによっても低溶血の標準サンプルを調整することができる。
【0081】
また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/256〜1/2048に希釈した水溶液20mlにアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を10μl添加とすることにより黄疸の標準サンプルを調整することができる。また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/128〜1/512に希釈した水溶液20mlにアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を20μl添加とすることによっても黄疸の標準サンプルを調整することができる。また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/64〜1/512に希釈した水溶液20mlにアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を30μl添加とすることによっても低溶血の標準サンプルを調整することができる。また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/64〜1/256に希釈した水溶液20mlにアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を40μl添加とすることによっても黄疸の標準サンプルを調整することができる。
【0082】
また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/1024〜1/4096に希釈した水溶液20mlにアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を無添加とすることにより正常の標準サンプルを調整することができる。
【0083】
図17は、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を2
n(n=9〜12)倍希釈した水溶液20mlそれぞれに、Intralipid20%を0〜300μl添加した水溶液を、
図1に示した検体チェックモジュールで測定し、判別した血清種別を示す表である。
【0084】
図17において、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/512に希釈した水溶液20mlにIntralipid20%を無添加とすることにより、低溶血の標準サンプルを調整することができる。
【0085】
また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/1024〜1/4096に希釈した水溶液20mlにIntralipid20%を無添加とすることにより、正常の標準サンプルを調整することができる。また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/512〜1/1024に希釈した水溶液20mlにIntralipid20%を100μl添加することにより、正常の標準サンプルを調整することができる。また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/512に希釈した水溶液20mlにIntralipid20%を200μl添加すること、及び300μl添加することにより正常の標準サンプルを調整することができる。
【0086】
また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/2048に希釈した水溶液20mlにIntralipid20%を100μl添加することにより、乳びの標準サンプルを調整することができる。また、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1/1024に希釈した水溶液20mlにIntralipid20%を200μl添加すること、及び300μl添加することにより乳びの標準サンプルを調整することができる。
【0087】
図16、
図17に示した表のように、オレンジGと、アミドブラック10Bと、Intralipid20%とを組み合わせることで、正常サンプル(薄黄色)、高溶血(濃赤色)、低溶血(薄赤色)、黄疸(暗黄色)及び乳び(乳白色)の標準サンプルを調製することができる。
【0088】
実施例2においても、
図5及び
図6に示すように、保管容器502内にオレンジGと、アミドブラック10Bと、Intralipid20%を収容しておき、保管容器502又は他の適切な容器を用いて、
図16、
図17に示した希釈倍率、添加量に従って、正常サンプル(薄黄色)、高溶血(濃赤色)、低溶血(薄赤色)、黄疸(暗黄色)及び乳び(乳白色)の標準サンプルを調製するものである。
【0089】
図18、
図19及び
図20は、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を2
n(n=3〜12)倍希釈した水溶液20mlの、H値(色相)、S値(彩度)、V値(明度)をそれぞれ示すグラフである。
【0090】
図18の縦軸はH値、横軸は飽和オレンジG水溶液の希釈倍率を示し、
図19の縦軸はS値(彩度)を示し、横軸は飽和オレンジG水溶液の希釈倍率を示す。また、
図20の縦軸はV値(明度)を示し、横軸は飽和オレンジG水溶液の希釈倍率を示す。
【0091】
図18、
図19及び
図20から、飽和オレンジG水溶液の濃度変化に従い、S値(彩度)、V値(明度)は大きな変化がないのに対し、H値(色相)は単調増加する事が分かった。
【0092】
図21、
図22及び
図23は、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を256倍希釈した水溶液20mlに、アミドブラック10B水溶液(1.0g/l)を0〜40μl添加した水溶液の、H値(色相)、S値(彩度)、V値(明度)をそれぞれ示すグラフである。
【0093】
図21の縦軸はH値、横軸はアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)の添加量(μl)を示し、
図22の縦軸はS値(彩度)を示し、横軸はアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)の添加量(μl)を示す。また、
図23の縦軸はV値(明度)を示し、横軸はアミドブラック10B水溶液(1.0g/l)の添加量(μl)を示す。
【0094】
図21、
図22及び
図23から、アミドブラック10Bの濃度に従い、H値(色相)、S値(彩度)は大きな変化がないのに対し、V値(明度)は単調減少する事が分かった。
【0095】
図24、
図25及び
図26は、飽和オレンジG水溶液(50g/l)を1024倍希釈した水溶液20mlに、Intralipid20%を0〜300μl添加した水溶液のH値(色相)、S値(彩度)、V値(明度)をそれぞれ示すグラフである。
【0096】
図24の縦軸はH値、横軸はIntralipid20%の添加量(μl)を示し、
図25の縦軸はS値(彩度)を示し、横軸はIntralipid20%の添加量(μl)を示す。また、
図26の縦軸はV値(明度)を示し、横軸はIntralipid20%の添加量(μl)を示す。
【0097】
図24、
図25及び
図26から、Intralipid20%の濃度に従い、H値(色相)、V値(明度)は大きな変化がないのに対し、S値(彩度)は単調増加する事が分かった。
【0098】
以上のことから、オレンジG水溶液とアミドブラック10BとIntralipid20%とを組み合わせることで、任意の色情報(HSV値)の標準サンプルを自在に調製することができ、任意の色情報(HSV値)の標準サンプルを有するサンプルキット(テストキット)を実現することができる。
【0099】
また、本発明の実施例2によるサンプルキット(テストキット)を用いることで、例えば、病院の検査室に応じて、検体チェックモジュールの血清識別性能の精度管理試料として使用したい色がある場合、その色情報(HSV値)の標準サンプルを、オレンジGとアミドブラック10BとIntralipid20%を組み合わせることで自在に再現し、調製することができる。
【0100】
なお、乳脂肪剤として、Intralipos(イントラリポス)を使用することも可能である。
【0101】
以上のように、本発明によれば、溶融色が統一され、調整や持ち運びが容易であり、長時間の使用が可能で安定性を有する検体検査装置用のテストキット及び検体検査装置の校正方法を実現することができる。
【0102】
また、本発明におけるサンプルキットは溶液であるため、照明反射の影響は、印刷物を用いた場合に比べて少なく、測定色情報の繰り返し安定性に優れる。