(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バインダー(B)が、前記バインダー(B)の総重量を基準として、2〜35重量%の成分b2)、又は前記バインダー(B)の総重量を基準として、2〜40重量%の成分b3)を含む、請求項3に記載のフィラメント。
前記更なるポリマー(FP)が、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)及びこれらのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の更なるポリマー(FP)である、請求項3に記載のフィラメント。
請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィラメントの調製プロセスであって、コア材料(CM)のシェル材料(SM)との共押出によってシェル材料(SM)の層でコア材料(CM)を被覆する、プロセス。
三次元褐色体を形成するために、前記バインダー(B)の少なくとも一部又は前記シェル材料(SM)の少なくとも一部を前記三次元緑体から除去する工程d)が工程c)に続く、請求項9又は10に記載のプロセス。
【背景技術】
【0002】
最も使用される3D印刷技術又は付加的製造技術の1つは、溶融フィラメント製造プロセス(FFF)としても知られる溶融堆積モデリング(FDM)である。三次元物体の製造のためには、通常、スプール上に設けられた熱可塑性材料のフィラメントが、ベース上の加熱されたノズルを通して層毎に堆積される。そのため、熱可塑性材料は、その溶融及び/又はガラス転移温度を過ぎた温度に加熱される。熱可塑性材料及び温度勾配は、押し出された熱可塑性材料のベース又は先行する層と接触すると本質的に直ちにその凝固を可能にするように選択される。
【0003】
各層を形成するために、x軸、y軸及びz軸に沿って所定のパターンでベース及び/又は押出ノズル(吐出ヘッド)を互いに対して移動させるための駆動モータが設けられている。溶融堆積モデリング(FDM)は、米国特許第5,121,329号に最初に記載された。三次元物体の製造のための典型的な材料は、熱可塑性材料である。溶融フィラメント製作による三次元金属又はセラミック物体の製造は、金属又はセラミック材料が低い融点を有することでノズルによって加熱及び溶融できる場合にのみ可能である。金属又はセラミック材料が高い融点を有する場合、バインダー組成物中の金属又はセラミック材料を押出ノズルに供給することが必要である。バインダー組成物は、通常、熱可塑性材料を含む。金属又はセラミック材料の混合物をベース上のバインダー中に堆積させる場合、形成される三次元物体は、バインダー中に金属又はセラミック材料を含む、いわゆる「緑体」である。所望の金属又はセラミック物体を受けるためには、バインダーを除去しなければならず、最後に物体を焼結しなければならない。しかしながら、無機粉末と、熱可塑性ポリマーを含むシェル材料(SM)で被覆されたバインダーとを含むフィラメントの使用は言及されていない。
【0004】
US5,738,817及びUS5,900,207には、バインダーに分散した粒状組成物の混合物を使用することによって三次元物品を作製するための溶融堆積モデリングプロセスが記載されている。粒状組成物は、セラミック材料、元素金属、金属合金及び/又は鋼を含む。バインダーは、ポリマー、ワックス、エラストマー、粘着付与剤及び可塑剤からなる。バインダーは、焼成サイクルによって物品から除去され、その間、物品は徐々に加熱されて、バインダーシステムの成分の一部を溶融させて、物品から流出させる。これらの成分が物品から除去された後、温度が上昇し、バインダーの他の成分が熱分解され、拡散及び蒸発によって物品から除去される。この工程d)のプロセスは非常に時間がかかる。更に、蒸発前のバインダーの溶融は、物品の歪みをもたらし、その上、高温は、表面上でのブリスター又は物品の内部ひび割れ及び/又は層間剥離をもたらし得る。無機粉末と、熱可塑性ポリマーを含むシェル材料(SM)で被覆されたバインダーとを含むフィラメントの用途は開示されていない。
【0005】
US2012/0033002は、熱磁粉とバインダーシステムとの混合物を用いた溶融フィラメント製作による三次元熱磁気物体の調製プロセスを記載している。このバインダーシステムは、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)及びスチレンコポリマーのようなポリマーを含む。三次元物体の印刷後、バインダーを除去しなければならない。この工程d)の工程では、非常に高い温度が必要である。工程d)の工程に必要な高温は、上述のように、三次元物体の表面上へのブリスター、物品の内部ひび割れ及び/又は層間剥離を招く可能性がある。シェル材料(SM)の層でコーティングされたコア材料(CM)を含むフィラメントは記述されていない。
【0006】
US2012/0231225は、押出ベースの添加剤製造システムで使用するためのフィラメントを開示している。これらのフィラメントは、第1の熱可塑性ポリマーのコア部分と、第1の熱可塑性材料と組成的に異なる第2の熱可塑性ポリマーのシェル部分とを含む。US2012/0231225に開示されたフィラメントのいくつかの実施形態では、コア部分及びシェル部分の材料は、異なる結晶化温度を示す。この結晶化温度の差異は、「3Dモデルの層を形成するために押出された道として堆積されたときの半結晶性ポリマー材料の歪み、内部応力及びたわみを減少させる」ため望ましい。無機材料は、記述されたフィラメントのいずれにも含まれない。
【0007】
EP15152349.5には、溶融フィラメントプロセスにおいて無機粉末とバインダーとを含む混合物の使用、及び溶融フィラメント製作プロセスによる三次元物体の製造プロセスが記載されている。しかしながら、コア材料及び追加のシェル材料を含むフィラメントは開示されていない。
【0008】
WO2015/077262A1は、分離した層又はセクションを含む3Dプリンターインプットとしてのフィラメントを開示している。これらの層は、ポリマー、炭素繊維、繊維ガラス、木材繊維、ナノセルロース繊維又はカーボンナノチューブなどの異なる材料を含み得る。しかし、WO2015/077262A1は、無機粉末と、コア材料としての少なくとも1種のバインダーと、シェル材料としての少なくとも1種の熱可塑性ポリマーとの組み合わせを開示していない。
【0009】
本発明の根底にある目的は、押出に基づく添加剤製造システムにおける用途のための新しいフィラメントを提供することである。
【0010】
この目的は、シェル材料(SM)の層で被覆されたコア材料(CM)を含むフィラメントであって、
前記コア材料(CM)が、成分a)〜c)を含み、
a)前記コア材料(CM)の全体積を基準として30〜80体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)、
b)前記コア材料(CM)の全体積を基準として20〜70体積%の、成分b1)
b1)少なくとも1種のポリマー(P)
を含む少なくとも1種のバインダー(B)、
c)前記コア材料(CM)の全体積を基準として0〜20体積%の少なくとも1種の添加剤(A)、
前記シェル材料(SM)が、成分d)〜f)を含み、
d)前記シェル材料(SM)の総重量を基準として75〜100体積%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(TP)、
e)前記シェル材料(SM)の全体積を基準として0〜20体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)、
f)前記シェル材料(SM)の全体積を基準として0〜25体積%の少なくとも1種の添加剤(A)、
前記シェル材料(SM)の前記層の厚さが0.05〜0.5mmである、フィラメントによって達成される。
【0011】
本フィラメントの1つの利点は、同じコア材料(CM)から製造されるが、シェル材料(SM)を用いないフィラメントと比較して、それらの機械的安定性が高いことである。特に、本発明のフィラメントは、スプールで巻き取ることができるが、シェル材料(SM)を有しないフィラメントは、通常、過度に脆く、そのため、スプールで巻き取るのに適していない。
【0012】
溶融フィラメント製作プロセス(FFF)用の従来の機械における本発明のフィラメントの機械的特性及び加工性は、主に、シェル材料(SM)によって決定されるので、シェル材料(SM)を有しないフィラメントと比較して、コア材料(CM)の組成物に関してより変動の自由性が存在する。
【0013】
例えば、本発明のシェル材料(SM)−コア材料(CM)構成により、より脆いコアとなり得るコア材料(CM)中の無機粉末の著しく高い装填及びコア材料(CM)中の超低粘度バインダー及び/又は添加剤の使用が可能となる。
【0014】
本発明によるシェル材料(SM)の層がない場合、溶融フィラメント製作プロセス(FFF)において使用される従来の機械における非常に脆い材料を一貫して供給することができなかった。
【0015】
更に、本発明のフィラメントは、シェル材料(SM)の存在を伴わずに供給機のメカニズムをブロックするであろう粘着性の又は極端に粘着性のコア材料(CM)を呈することも可能である。
【0016】
結果的に、本発明のプロセスによって、溶融フィラメント製作プロセス(FFF)における用途のためのフィラメントが実現され得、これにより、超低粘度又は極端に粘着性のコア材料(CM)が得られる。
【0017】
コア材料(CM)は、従来の溶融堆積モデリング(FDM)プロセスで使用される加工温度及び剪断速度で良好な流動性を示す。更に、コア材料(CM)の無機粉末(IP)及びバインダー(B)の分離が生じず、通常、硬化中に応力亀裂が発生しない。本発明の別の利点は、バインダー(B)の融点未満の温度で、バインダー(B)を容易に除去することができ、三次元物体の変形をほとんどないか全くないものとすることができる。
【0018】
本発明の一実施形態では、ポリオキシメチレン(POM)はバインダー(B)中に存在する。バインダー(B)の成分としてのポリオキシメチレン(POM)は、高い結晶加速度を呈し、迅速に硬化する。更に、ポリオキシメチレン(POM)は、低い摩擦係数を有するので、粘着性ポリマーであることは知られていない。
【0019】
結果として、ポリオキシメチレン(POM)は低い摩擦係数を有するものの、無機粉末(IP)と、ポリオキシメチレン(POM)を含むバインダー(B)とを含むフィラメントの層は互いに接着し、この接着の結果、フィラメントは、層系添加剤技術を使用した溶融堆積モデリング(FDM)プロセスで使用することができることは驚くべきことである。
【0020】
本発明を以下により詳細に記述する。
【0021】
フィラメントは、シェル材料(SM)の層でコーティングされたコア材料(CM)を含む。
【0022】
フィラメントは、当業者によって適切であると考えられる任意の長さ及び/又は直径を示し得る。
【0023】
好ましくは、フィラメントの直径は、1.5〜3.5mm、より好ましくは2.0〜3.1mm、最も好ましくは2.6〜3.0mmである。
【0024】
シェル材料(CM)の層は、当業者によって適切であると考えられる任意の厚さを有し得る。
【0025】
好ましくは、シェル材料(SM)の層の厚さは、0.05〜0.5mm、より好ましくは0.09〜0.3mm、最も好ましくは0.1〜0.25mmである。
【0026】
コア材料(CM)は、当業者によって適切であると考えられる任意の直径を有し得る。
【0027】
好ましくは、コアの直径は、1.5〜3.0mm、より好ましくは1.9〜2.7mm、最も好ましくは2.2〜2.7mmである。
【0028】
コア材料(CM)は、成分a)〜c)を含む。
【0029】
コア材料(CM)は、コア材料(CM)の総体積を基準として、成分a)として、30〜80体積%、好ましくは40〜68体積%、より好ましくは50〜65体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)を含む。
【0030】
本発明の目的のための用語「成分(a)」及び「無機粉末(IP)」は、同義であり、本発明を通して交換可能に使用される。
【0031】
成分a)として、任意の既知の無機粉末(IP)が使用され得る。好ましくは、焼結可能な無機粉末(IP)が成分a)として使用される。より好ましくは、無機粉末(IP)は、金属、金属合金及びセラミック材料からなる群から選択される少なくとも1種の無機材料の粉末であり、最も好ましくは、少なくとも無機粉末は、金属又は金属合金であり、特に好ましくは、少なくとも無機粉末は、金属である。
【0032】
そのため、本発明の別の主題は、フィラメントであって、無機粉末(IP)が、金属、金属合金及びセラミック材料からなる群から選択される少なくとも1種の無機材料の粉末であり、好ましくは、少なくとも無機粉末は、金属又は金属合金であり、特に好ましくは、少なくとも無機粉末は、金属である、フィラメントである。
【0033】
「無機粉末(IP)」は、正確には1種の無機粉末(IP)並びに2種以上の無機粉末(IP)の混合物を意味する。「無機材料」という用語についても同様である。「無機材料」は、正確には1種の無機材料並びに2種以上の無機材料の混合物を意味する。
【0034】
「金属」とは、正確には1種の金属並びに2種以上の金属の混合物を意味する。本発明の範囲内の金属は、溶融フィラメント製造プロセスの条件下で安定であり、かつ三次元物体を形成し得る元素の周期表の任意の金属から選択され得る。好ましくは、金属はアルミニウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、カルボニル鉄粉(CIP)、コバルト、ニッケル、銅、銀、亜鉛及びカドミウムからなる群から選択され、より好ましくは、金属は、チタン、ニオブ、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、カルボニル鉄粉(CIP)、ニッケル及び銅からなる群から選択される。特に好ましくは、金属は、チタン、鉄及びカルボニル鉄粉(CIP)からなる群から選択される。
【0035】
カルボニル鉄粉(CIP)は、精製された鉄ペンタカルボニルの化学分解によって製造された高純度の鉄粉である。
【0036】
「金属合金」とは、正確には1種の金属合金並びに2種以上の金属合金の混合物を意味する。本発明の文脈において、「金属合金」という用語は、金属特性を示し、かつ金属及び別の元素を含む固溶体又は部分固溶体を意味する。「金属」とは、上述したように正確には1種の金属及び2種以上の金属の混合物を意味する。同じことは「別の元素」に適用される。「別の元素」は、正確には1種の他の元素及び2種以上の他の元素の混合物を意味する。
【0037】
固溶体金属合金は、単一の固相微細構造を呈する一方で、部分固溶体金属合金は2つ以上の固相を呈する。これらの2つ以上の固相は、金属合金中に均質に分布することができるが、金属合金中に不均一に分布することもできる。
【0038】
金属合金は、当業者に知られている任意のプロセスに従って製造され得る。例えば、金属を溶融させることができ、他の元素を溶融した金属に添加することができる。しかしながら、事前に金属合金を製造することなく、金属及び他の元素を直接コア材料(CM)に添加することも可能である。次いで、金属合金は、三次元物体の製造のプロセス中に形成される。
【0039】
金属に関しては、金属についての上記の実施形態及び好ましいものが適用される。
【0040】
他の元素は、上述の金属から選択され得る。しかしながら、他の元素は、金属合金に含まれる金属とは異なる。
【0041】
他の元素は、溶融フィラメント製造プロセスの条件下で安定な金属合金を形成する、又は溶融フィラメントプロセスの条件下で金属と安定な合金を形成する金属合金を形成する周期表の任意の元素から選択され得る。本発明の好ましい実施形態では、他の元素は、前述の金属、ホウ素、炭素、ケイ素、リン、硫黄、セレン及びテルルからなる群から選択される。特に好ましくは、少なくとも1種の他の元素は、前述の金属、ホウ素、炭素、ケイ素、リン及び硫黄からなる群から選択される。
【0042】
好ましくは、本発明による金属合金は鋼を含む。
【0043】
「セラミック材料」は、正確には1種のセラミック材料及び2種以上のセラミック材料の混合物を意味する。本発明の文脈において、「セラミック材料」という用語は、金属の非金属性化合物又は第1のメタロイド、及び非金属又は第2のメタロイドを意味する。
【0044】
「金属」とは、正確には1種の金属及び更に2種以上の金属の混合物を意味する。同じことは、「非金属」及び「第1のメタロイド」並びに「第2のメタロイド」に当てはまる。「非金属」とは、正確には1種の非金属及び更に2種以上の非金属の混合物を意味する。「第1のメタロイド」とは、正確には1種の第1のメタロイド及び更に2種以上の第1のメタロイドの混合物を意味する。「第2のメタロイド」とは、正確には1種の第2のメタロイド及び更に2種以上の第2のメタロイドの混合物を意味する。
【0045】
非金属は、それ自体当業者に知られている。本発明による非金属は、周期表の任意の非金属から選択され得る。好ましくは、少なくとも1種の非金属は、炭素、窒素、酸素、リン及び硫黄からなる群から選択される。
【0046】
メタロイドはそれ自体当業者によく知られている。第1のメタロイド及び第2のメタロイドは、周期表の任意のメタロイドから選択され得る。好ましくは、第1のメタロイド及び/又は第2のメタロイドは、ホウ素及びケイ素からなる群から選択される。第1のメタロイド及び第2のメタロイドは互いに異なることは明らかであるべきである。例えば、第1のメタロイドがホウ素である場合、第2のメタロイドは、ホウ素以外の元素の周期表の任意の他のメタロイドから選択される。
【0047】
本発明の一実施形態では、セラミック材料は、酸化物、炭化物、ホウ化物、窒化物及びケイ化物からなる群から選択される。好ましい実施形態では、セラミック材料は、MgO、CaO、SiO
2、Na
2O、Al
2O
3、ZrO
2、Y
2O
3、SiC、Si
3N
4、TiB及びAlNからなる群から選択される。特に好ましくは、セラミック材料は、Al
2O
3、ZrO
2及びY
2O
3からなる群から選択される。
【0048】
無機粉末(IP)の製造には、無機材料を粉砕しなければならない。無機材料を粉砕するためには、当業者に既知の任意の方法が使用され得る。例えば、無機材料を粉末にされ(ground)得る。粉末化(grinding)は、例えば、分級機ミルにおいて、ハンマーミルにおいて、又はボールビルにおいて行われ得る。
【0049】
カルボニル鉄粉(CIP)は、精製された鉄ペンタカルボニルの化学分解によって製造される。
【0050】
成分a)として使用される無機粉末(IP)の粒径は、レーザー回折によって測定して、好ましくは0.1〜80μm、特に好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.1〜30μmである。
【0051】
そのため、本発明の別の主題は、無機粉末(IP)の粒径が0.1〜80μmであるフィラメントである。
【0052】
コア材料(CM)は、コア材料(CM)の総体積を基準として、成分b)として、20〜70体積%、好ましくは20〜60体積%、より好ましくは20〜50体積%の少なくとも1種のバインダー(B)を含む。
【0053】
本発明の目的のための用語「成分(b)」及び「バインダー(B)」は、同義であり、本発明を通して交換可能に使用される。
【0054】
バインダー(B)は、少なくとも1種のポリマー(P)である成分b1)を含む。
好ましくは、バインダー(B)は、成分b1)として、バインダー(B)の総重量を基準として、50〜96重量%、より好ましくは60〜90重量%、最も好ましくは70〜85重量%の少なくとも1種のポリマー(P)を含む。
【0055】
好ましくは、少なくとも1種のポリマー(P)はポリオキシメチレン(POM)である。
【0056】
成分b1)として、少なくとも1種のポリオキシメチレン(POM)が使用され得る。本発明における「少なくとも1種のポリオキシメチレン(POM)」は、正確には、1種のポリオキシメチレン(POM)、及び2種以上のポリオキシメチレン(POM)の混合物を意味する。
【0057】
本発明の目的のために、「ポリオキシメチレン(POM)」という用語は、ポリオキシメチレン(POM)自体、すなわち、ポリオキシメチレン(POM)ホモポリマー、並びにポリオキシメチレン(POM)コポリマー及びポリオキシメチレン(POM)ターポリマーの両方を包含する。
【0058】
ポリオキシメチレン(POM)ホモポリマーは、通常、ホルムアルデヒド源(b1a)から選択されるモノマーの重合によって調製される。
【0059】
「ホルムアルデヒド源b1a」という用語は、ポリオキシメチレン(POM)の調製の反応条件下でホルムアルデヒドを遊離させることができる物質に関する。
【0060】
ホルムアルデヒド源b1a)は、有利には、環状又は線状のホルマールの群から選択され、特にホルムアルデヒド及び1,3,5−トリオキサンからなる群から選択される。1,3,5−トリオキサンが特に好ましい。
【0061】
ポリオキシメチレン(POM)コポリマーはそれ自体知られており、市販されている。それらは、通常、主モノマーとしてのトリオキサンの重合によって調製される。また、コモノマーが付随して使用される。主モノマーは、好ましくは、トリオキサン及び他の環状若しくは線状のホルマール又は他のホルムアルデヒド源b1a)から選択される。
【0062】
「主モノマー」という表現は、モノマーの全量、すなわち、主モノマー及びコモノマーの合計におけるこれらのモノマーの割合が、モノマーの全量におけるコモノマーの割合よりも大きいことを示すものと意図されている。
【0063】
非常に一般に、本発明に従うポリオキシメチレン(POM)は、主ポリマー鎖中に少なくとも50mol%の繰り返し単位−CH
2O−を有する。好適なポリオキシメチレン(POM)コポリマーは、特に、繰り返し単位−CH
2O−及び0.01〜20mol%、特に0.1〜10mol%、非常に特に好ましくは0.5〜6mol%の式(I)の繰り返し単位を含むものである。
【0064】
【化1】
【0065】
(式中、
R
1〜R
4は、互いにそれぞれ独立して、C
1〜C
4−アルキル及びハロゲン置換C
1〜C
4−アルキルからなる群から選択され、
R
5は、化学結合、(−CR
5aR
5b−)基及び(−CR
5aR
5bO−)基からなる群から選択され、
R
5a及びR
5bは、互いにそれぞれ独立して、H及び非置換又は少なくとも一置換C
1〜C
4−アルキルからなる群から選択され、
置換基は、F、Cl、Br、OH及びC
1〜C
4−アルキルからなる群から選択され、
nは、0,1,2又は3である。)
nが0の場合、R
5は隣接炭素原子と酸素原子との間の化学結合である。R
5が(−CR
5aR
5bO−)基である場合、(−CR
5aR
5bO−)基の酸素原子(O)は、式(I)の別の炭素原子(C)に結合し、式(I)酸素原子(O)に結合しない。換言すれば、式(I)は過酸化物化合物を含まない。同じことは式(II)についても当てはまる。
【0066】
本発明の文脈において、例えば、式(I)中の基R
1〜R
4について上記で定義されたようなC
1〜C
4−アルキルなどの定義は、この置換基(ラジカル)が1〜4の炭素原子数を有するアルキル基であることを意味する。アルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、また、任意に環状であってもよい環状成分及び線状成分の両方を有するアルキルラジカルも同様にこの定義下にある。アルキル基の例は、メチル、エチル、nプロピル、iso−プロピル、ブチル、イソブチル、secブチル及びtertブチルである。
【0067】
本発明の文脈において、例えば、式(I)中の基R
1〜R
4について上で定義したようなハロゲン置換C
1〜C
4−アルキルなどの定義は、C
1〜C
4−アルキルが少なくとも1つのハロゲンで置換されていることを意味する。ハロゲンは、F(フッ素)、Cl(塩素)、Br(臭素)及びI(ヨウ素)である。
【0068】
式(I)の繰り返し単位は、有利には、第1のコモノマー(b1b)として環状エーテルの開環によりポリオキシメチレン(POM)コポリマー中に導入することができる。一般式(II)の第1のコモノマー(b1b)が好ましい。
【0069】
【化2】
【0070】
(式中、
R
1〜R
5及びnは、一般式(I)について上記で定義した意味を有する。)
【0071】
第1のコモノマーb1b)として、例えば、環状エーテルとして、エチレンオキシド、1,2プロピレンオキシド、1,2ブチレンオキシド、1,3ブチレンオキシド、1,3ジオキサン、1,3ジオキソラン及び1,3ジオキセパン(=ブタンジオールホルマール、BUFO)、並びにポリジオキソラン又はポリジオキセパンなどの線状オリゴホルマール又はポリホルマールを挙げることができる。1,3−ジオキソラン及び1,3−ジオキセパンが特に好ましい第1のコモノマー(b1b)であり、1,3−ジオキセパンが第1のコモノマー(b1b)として極めて特に好ましい。
【0072】
ホルムアルデヒド源と第1のコモノマー(b1b)及び第2のコモノマー(b1c)との反応によって得ることができるポリオキシメチレン(POM)ポリマーも同様に好適である。第2のコモノマー(b1c)の添加により、特に、ポリオキシメチレン(POM)ターポリマーを調製することが可能になる。
【0073】
第2のコモノマー(b1c)は、好ましくは、式(III)の化合物及び式(IV)の化合物からなる群から選択される。
【0074】
【化3】
【0075】
(式中、
Zは、化学結合、(−O−)基及び(−OR
6O−)基からなる群から選択され、
R
6は、非置換C
1〜C
8アルキレン及びC
3〜C
8−シクロアルキレンからなる群から選択される。)
【0076】
本発明の文脈において、C
1〜C
8−アルキレンなどの定義はC
1〜C
8−アルカンジイルを意味する。C
1〜C
8−アルキレンは、2つの自由原子価及び1〜8の炭素原子数を有する炭化水素である。本発明に従うC
1〜C
8−アルキレンは、分枝状又は非分枝状であり得る。
【0077】
本発明の文脈において、C
3〜C
8−シクロアルキレンなどの定義はC
3〜C
8−シクロアルカンジイルを意味する。C
3〜C
8−シクロアルキレンは、2つの自由原子価及び3〜8の炭素原子数を有する環状炭化水素である。2の自由原子価、環状及び更に線状構成要素、並びに3〜8個の炭素原子数を有する炭化水素も同様のこの定義に入る。
【0078】
第2のコモノマー(b1c)の好ましい例は、エチレンジグリシジル、ジグリシジルエーテル、及びグリシジル化合物とホルムアルデヒド、ジオキサン又はトリオキサンとの2:1のモル比から調製されたジエーテル、並びに同様に2molのグリシジル化合物と2〜8個の炭素原子を有する1molの脂肪族ジオールとから調製されるジエーテル、例えば、エチレングリコール、1,4ブタンジオール、1,3ブタンジオール、1,3シクロブタンジオール、1,2プロパンジオール、及び1,4シクロヘキサンジオールのジグリシジルエーテルである。
【0079】
好ましい実施形態では、成分b1)は、少なくとも50mol%のホルムアルデヒド源、0.01〜20mol%の少なくとも1種の第1のコモノマー(b1b)、及び0〜20mol%の少なくとも1種の第2のコモノマー(b1c)の重合によって調製されるポリオキシメチレン(POM)である。
【0080】
特に好ましい実施形態では、成分b1)は、80〜99.98mol%、好ましくは88〜99mol%のホルムアルデヒド源、0.1〜10mol%、好ましくは0.5〜6mol%の少なくとも1種の第1のコモノマー(b1b)、及び0.1〜10mol%、好ましくは0.5〜6mol%の少なくとも1種の第2のコモノマー(b1c)の重合によって調製されるポリオキシメチレン(POM)である。
【0081】
更に好ましい実施形態では、成分b1)は、少なくとも50mol%のホルムアルデヒド源、0.01〜20mol%の式(II)の少なくとも1種の第1のコモノマー(b1b)、及び0〜20mol%の、式(III)の化合物及び式(IV)の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第2のコモノマー(b1c)の重合によって調製されるポリオキシメチレン(POM)である。
【0082】
そのため、本発明の別の主題は、フィラメントであって、成分b1)が、
−少なくとも50mol%のホルムアルデヒド源(b1a)、
−0.01〜20mol%の一般式(II)の少なくとも1種の第1のコモノマー(b1b)、
【化4】
(式中、
R
1〜R
4は、互いにそれぞれ独立して、C
1〜C
4−アルキル及びハロゲン置換C
1〜C
4−アルキルからなる群から選択され、
R
5は、化学結合、(−CR
5aR
5b−)基及び(−CR
5aR
5bO−)基からなる群から選択され、
R
5a及びR
5bは、互いにそれぞれ独立して、H及び非置換又は少なくとも一置換C
1〜C
4−アルキルからなる群から選択され、
置換基は、F、Cl、Br、OH及びC
1〜C
4−アルキルからなる群から選択され、
nは、0、1、2又は3である。)
−0〜20mol%の、式(III)の化合物及び式(IV)の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の第2のコモノマー(b1c)、
【化5】
(式中、
Zは、化学結合、(−O−)基及び(−OR
6O−)基からなる群から選択され、
R
6は、非置換C
1〜C
8アルキレン及びC
3〜C
8−シクロアルキレンからなる群から選択される。)
を重合することによって調製されるポリオキシメチレン(POM)コポリマーである、フィラメントである。
【0083】
本発明の好ましい実施形態では、ポリオキシメチレン(POM)のOH末端基の少なくとも一部がキャップされる。OH末端基をキャップする方法は当業者に知られている。例えば、OH末端基は、エーテル化又はエステル化によってキャップされ得る。
【0084】
好ましいポリオキシメチレン(POM)コポリマーは、少なくとも150℃の融点及び5000〜300000g/mol、好ましくは6000〜150000g/mol、特に好ましくは7000〜100000g/molの範囲の重量平均分子量M
Wを有する。
【0085】
2〜15、好ましくは2.5〜12、特に好ましくは3〜9の多分散性(M
w/M
n)を有するポリオキシメチレン(POM)コポリマーが特に好ましい。
【0086】
重量平均分子量(M
w)及び数平均分子量(M
n)の測定は、一般にゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって行われる。GPCは、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)としても知られている。
【0087】
ポリオキシメチレン(POM)の製造方法は、当業者に知られている。
【0088】
更に、バインダー(B)は、成分b2)を含み得る。
【0089】
好ましくは、バインダー(B)は、2〜35重量%、より好ましくは3〜20重量%、最も好ましくは4〜15重量%の成分b2)を含む。
【0090】
好ましくは、成分b2)は少なくとも1種のポリオレフィン(PO)である。本発明における「少なくとも1種のポリオレフィン(PO)」は、正確には、1種のポリオレフィン(POM)及び更に2種以上のポリオレフィン(PO)の混合物を意味する。
【0091】
ポリオレフィン(PO)はそれ自体知られており、市販されている。それらは、通常、C
2〜C
8−アルケンモノマーの重合によって、好ましくはC
2〜C
4−アルケンモノマーの重合によって製造される。
【0092】
本発明の文脈において、C
2〜C
8−アルケンは、2〜8個の炭素原子及び少なくとも1つの炭素−炭素二重結合(C−C二重結合)を有する非置換又は少なくとも一置換の炭化水素を意味する。「少なくとも1つの炭素−炭素二重結合」は、正確には1つの炭素−炭素二重結合及び更に2つ以上の炭素−炭素二重結合を意味する。
【0093】
言い換えれば、C
2〜C
8−アルケンは、2〜8個の炭素原子を有する炭化水素が不飽和であることを意味する。炭化水素は、分枝状であっても非分枝状であってもよい。1つのC−C二重結合を有するC
2〜C
8−アルケンの例は、エテン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−プロペン(=イソブチレン)、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン及び4−メチル−1−ペンテンである。2つ以上のC−C−二重結合を有するC
2〜C
8−アルケンの例は、アレン、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,3ペンタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(=イソプレン)である。
【0094】
C
2〜C
8−アルケンが1つのCC二重結合を有する場合、それらのモノマーから製造されたポリオレフィン(PO)は線状である。1つを超える二重結合がC
2〜C
8−アルケンに存在する場合、それらのモノマーから調製されたポリオレフィン(PO)は架橋され得る。線状ポリオレフィン(PO)が好ましい。
【0095】
ポリオレフィン(PO)の製造中に異なるC
2〜C
8−アルケンモノマーを使用することによって製造されるポリオレフィン(PO)コポリマーを使用することも可能である。
好ましくは、ポリオレフィン(PO)は、ポリメチルペンテン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選択される。当業者に知られており市販されているようなポリエチレン及びポリプロピレン及び更にそれらのコポリマーが特に好ましい。
【0096】
ポリオレフィン(PO)は、当業者に知られている任意の重合プロセスによって、好ましくはフリーラジカル重合によって、例えばエマルション、ビーズ、溶液又はバルク重合によって製造され得る。可能な開始剤は、モノマー及び重合の種類に依存して、ペルオキシ化合物及びアゾ化合物などのフリーラジカル開始剤であり、開始剤の量は一般にモノマーを基準として0.001〜0.5重量%の範囲である。
【0097】
バインダー(B)は、成分b3)として更なるポリマー(FP)を含み得る。
【0098】
本発明の目的のための「成分(b3)」及び「更なるポリマー(FP)」という用語は、同義であり、本発明を通して交換可能に使用される。
【0099】
好ましくは、バインダー(B)は、成分b3)として、バインダー(B)の総重量を基準として、2〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%、最も好ましくは10〜26重量%を含む。
【0100】
本発明による成分(b3)は、少なくとも1種の更なるポリマー(FP)である。本発明における「少なくとも1種の更なるポリマー(FP)」は、正確には1種の更なるポリマー(FP)及び更に2種以上の更なるポリマー(FP)の混合物を意味する。
【0101】
既に上述したように、少なくとも1種の更なるポリマー(FP)は、成分(b1)、ポリオキシメチレン(POM)、及び成分(b2)、ポリオレフィン(PO)とは異なる。
【0102】
本発明によれば、少なくとも1種の更なるポリマー(FP)は、好ましくは、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、ポリ(ビニルエステル)、ポリビニルエーテル)、ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)及びそれらのコポリマーからなる群から選択される。
【0103】
そのため、本発明の別の主題は、フィラメントであって、更なるポリマー(FP)が、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエポキシド、ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、ポリ(ビニルエステル)、ポリビニルエーテル)、ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)及びそれらのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の更なるポリマー(FP)である、フィラメントである。
【0104】
好ましくは、成分(b3)、少なくとも1種の更なるポリマー(FP)は、ポリ(C
2〜C
6アルキレンオキシド)、脂肪族ポリウレタン、脂肪族非架橋エポキシド、脂肪族ポリアミド、ビニル芳香族ポリマー、脂肪族C
1〜C
8カルボン酸のポリ(ビニルエステル)、C
1〜C
8アルキルビニルエーテルのポリ(ビニルエーテル)、C
1〜
8アルキルのポリ(アルキル(メタ)アクリレート)及びそれらのコポリマーからなる群から選択される。
【0105】
好ましい少なくとも1種の更なるポリマー(FP)を以下により詳細に説明する。
【0106】
ポリエーテルは、式(V)の繰り返し単位を含む。
【0107】
【化6】
【0108】
(式中、
R
11〜R
14は、互いにそれぞれ独立して、C
1〜C
4−アルキル及びハロゲン置換C
1〜C
4−アルキルからなる群から選択され、
R
15は、化学結合、(−CR
15aR
15b−)基及び(−CR
15aR
15bO−)基からなる群から選択され、
R
15a及びR
15bは、互いにそれぞれ独立して、H及び非置換又は少なくとも一置換C
1〜C
4−アルキルからなる群から選択され、
置換基は、F、Cl、Br、OH及びC
1〜C
4−アルキルからなる群から選択され、
nは、0,1,2又は3である。)
nが0の場合、R
15は隣接炭素原子と酸素原子との間の化学結合である。R
15が(−CR
15aR
15bO−)基である場合、(−CR
15aR
15bO−)基の酸素原子(O)は、式(V)の別の炭素原子(C)に結合し、式(V)酸素原子(O)に結合しない。換言すれば、式(v)は過酸化物化合物を含まない。同じことは式(vI)についても当てはまる。
【0109】
典型的なポリエーテル及びそれらの製造は当業者に知られている。
【0110】
本発明による好ましいポリエーテルは、例えば、ポリ(アルキレングリコール)であり、ポリ(アルキレンオキシド)としても知られている。
【0111】
ポリアルキレンオキシド及びそれらの製造は当業者に知られている。それらは、通常、水及び二価アルコール又は多価アルコールと環状エーテル、すなわち、一般式(VI)アルキレンオキシドとの相互作用によって合成される。反応は、酸性又は塩基性の触媒によって触媒される。反応は、一般式(VI)の環状エーテルのいわゆる開環重合である。
【0112】
【化7】
【0113】
(式中、
R
11〜R
15は、一般式(V)について上記で定義した同じ意味を有する。)
本発明による好ましいポリ(アルキレンオキシド)は、環に2〜6個の炭素原子を有する一般式(VI)のモノマーから誘導される。換言すれば、好ましくは、ポリ(アルキレンオキシド)は、ポリ(C
2−C
6アルキレンオキシド)である。1,3−ジオキソラン、1,3ジオキセパン及びテトラヒドロフラン(IUPAC名:オキソラン)からなる群から選択されるモノマーから誘導されるポリ(アルキレンオキシド)が特に好ましい。換言すれば、特に好ましくは、ポリ(アルキレンオキシド)は、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3−ジオキセパン及びポリテトラヒドロフランからなる群から選択される。
【0114】
一実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)はOH末端基を含み得る。別の実施形態では、ポリ(アルキレンオキシド)のOH末端基の少なくとも一部はキャップされ得る。OH末端基をキャップする方法は当業者に知られている。例えば、OH末端基は、エーテル化又はエステル化によってキャップされ得る。
【0115】
ポリ(アルキレンオキシド)の重量平均分子量は、好ましくは、1000〜150000g/molの範囲、特に好ましくは1500〜120000g/mol、より好ましくは2000〜100000g/molの範囲である。
【0116】
ポリウレタンはカルバメート単位を有するポリマーである。ポリウレタン及びそれらの製造は当業者に知られている。
【0117】
本発明においては、脂肪族ポリウレタンが好ましい。それらは、例えば、脂肪族ポリイソシアネート及び脂肪族ポリヒドロキシ化合物の重付加によって製造され得る。ポリイソシアネートの中で、一般式(VII)のジイソシアネートが好ましい。
【0118】
【化8】
【0119】
(式中、
R
7は、置換又は非置換のC
1〜C
20アルキレン又はC
4〜C
20シクロアルキレンであり、その置換基は、F、Cl、Br及びC
1〜C
6−アルキルからなる群から選択される。)
【0120】
好ましくは、R
7は、置換又は非置換のC
2〜C
12−アルキレン又はC
6〜C
15−シクロアルキレンである。
【0121】
本発明の文脈において、C
1〜C
20−アルキレンなどの定義はC
1〜C
20−アルカンジイルを意味する。C
1〜C
20−アルキレンは、2つの自由原子価及び1〜20の炭素原子数を有する炭化水素である。本発明に従うC
1〜C
20−アルキレンは、分枝状又は非分枝状であり得る。
【0122】
本発明の文脈において、C
4〜C
20−シクロアルキレンなどの定義はC
4〜C
20−シクロアルカンジイルを意味する。C
4〜C
20−シクロアルキレンは、2つの自由原子価及び4〜20の炭素原子数を有する環状炭化水素である。2つの遊離原子価、環式及び更に線状成分並びに4〜20の炭素原子数を有する炭化水素も同様にこの定義の範囲内である。
【0123】
好ましいジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン、1,4ジイソシアナトメチルシクロヘキサン及びイソホロンジイソシアネート(IUPAC名:5−イソシアナト1(イソシアナトメチル)1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン)からなる群から選択される。
【0124】
ジイソシアネートはオリゴマーの、例えば、二量体の又は三量体の形態で使用することもできる。ポリイソシアネートの代わりに、例えば、フェノール又はカプロラクタムの付加反応により、記述したイソシアネートから得られる慣用のブロックポリイソシアネートを使用することも可能である。
【0125】
脂肪族ポリウレタンの製造に好適なポリヒドロキシ化合物は、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエステルアミド、若しくはポリアセタール、又はそれらの混合物である。
【0126】
ポリウレタンの製造に好適な鎖延長剤は、低分子量ポリオール、特にジオール及びポリアミン、特にジアミン又は水である。
【0127】
ポリウレタンは、好ましくは熱可塑性であり、そのため、好ましくは本質的に未架橋である。すなわち、それらは分解の有意な徴候を伴わずに繰り返し溶融され得る。それらの還元された比粘度は、概して、ジメチルホルムアミド中、30℃で測定して、0.5〜3dl/g、好ましくは1〜2dl/gである。
【0128】
ポリエポキシドは、少なくとも2つのエポキシド基を含む。エポキシド基は、グリシジル基又はオキシラン基としても知られている。「少なくとも2つのエポキシド基」は正確に2つのエポキシド基及び更に3つ以上のエポキシド基を意味する。
【0129】
ポリエポキシド及びそれらの製造は、当業者に知られている。例えば、ポリエポキシドは、エピクロルヒドリン(IUPAC名:クロルメチルオキシラン)とジオール、ポリオール又はジカルボン酸との反応によって製造される。このようにして製造されたポリエポキシドは、エポキシド末端基を有するポリエーテルである。
【0130】
ポリエポキシドを製造する別の可能性は、グリシジル(メタ)アクリレート(IUPAC名:オキシラン−2−イルメチル−2−メチルプロプ−2−エノエート)とポリオレフィン又はポリアクリレートとの反応である。これにより、エポキシ末端基を有するポリオレフィン又はポリアクリレートが生じる。
【0131】
好ましくは、脂肪族非架橋ポリエポキシドが使用される。エピクロルヒドリンと2,2bis(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)とのコポリマーが特に好ましい。
【0132】
成分b)(少なくとも1種の更なるポリマー(FP))はまた、ポリアミドを含み得る。脂肪族ポリアミドが好ましい。
【0133】
好適なポリアミドの固有粘度は、一般に150〜350ml/g、好ましくは180〜275ml/gである。固有粘度は、ここでは、ISO307に従って25℃で96重量%の硫酸中0.5重量%のポリアミドの溶液から決定される。
【0134】
好ましいポリアミドは、半結晶質又は非晶質ポリアミドである。
【0135】
成分(b3)として好適なポリアミドの例は、7〜13環員を有するラクタムから誘導されるものである。他の好適なポリアミドは、ジカルボン酸とジアミンとの反応を介して得られるものである。
【0136】
ラクタムから誘導されるポリアミドについて挙げることができる例は、ポリカプロラクタム、ポリカプリロラクタム、及び/又はポリラウロラクタムから誘導されるポリアミドである。
【0137】
ジカルボン酸及びジアミンから得られるポリアミドが使用される場合、使用され得るジカルボン酸は、6〜14個の炭素原子、好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアルカンジカルボン酸である。芳香族ジカルボン酸も好適である。
【0138】
ここでジカルボン酸として挙げることのできる例は、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、及び更にテレフタル酸及び/又はイソフタル酸である。
【0139】
好適なジアミンの例は、4〜14個の炭素原子を有するアルカンジアミン、特に6〜8個の炭素原子を有するアルカンジアミン、及び更に芳香族ジアミン、例えば、m−キシリレンジアミン、ジ(4−アミノフェニル)メタン、ジ(4−アミノシクロヘキシルメタン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、及び1,5−ジアミノ−2−メチルペンタンである。
【0140】
他の好適なポリアミドは、上述のモノマーのうちの2種以上の共重合を介して得られるもの、及び複数のポリアミドの任意の所望の混合比の混合物である。
【0141】
好ましいポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、及びポリカプロラクタム、並びにナイロン6/6,6、特に75〜95重量%のカプロラクタム単位の割合を有するものである。
【0142】
ナイロン6と他のポリアミドとの混合物、特にナイロン6/6,6(PA6/66)との混合物が特に好ましく、80〜50重量%のPA6と20〜50重量%のPA6/66との混合物であって、PA6/66が混合物中のPA6/66の総重量を基準として75〜95重量%のカプロラクタム単位を含む、混合物が特に好ましい。
【0143】
以下の非限定的なリストは、上記のポリアミド、及び他の好適なポリアミド、並びに含まれるモノマーを含む。
【0144】
ABポリマー:
PA4 ピロリドン
PA6 ε−カプロラクタム
PA7 エタノールラクタム
PA8 カプリロラクタム
PA9 9−アミノペラルゴン酸
PA11 11−アミノウンデカン酸
PA12 ラウロラクタム
【0145】
AA/BBポリマー:
PA46 テトラメチレンジアミン、アジピン酸
PA66 ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸
PA69 ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸
PA610 ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸
PA612 ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸
PA613 ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸
PA1212 1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸
PA1313 1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸
PA6T ヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA MXD6 m−キシレンジアミン、アジピン酸
【0146】
PA6l ヘキサメチレンジアミン、イソフタル酸
PA 6−3−T トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸
PA6/6T (PA6及びPA6T参照)
PA6/66 (PA6及びPA66参照)
PA6/12 (PA6及びPA12参照)
PA66/6/610 (PA66、PA6及びPA610参照)
PA6l/6T (PA6I及びPA6T参照)
PA PACM6 ジアミノジシクロヘキシルメタン、アジピン酸
PA PACM12 ジアミノジシクロヘキシルメタン、ラウロラクタム
PA 6l/6T/PACM PA 6I/6T+アミノジシクロヘキシルメタンとして
PA12/MACMI ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、イソフタル酸
PA12/MACMT ラウロラクタム、ジメチルジアミノジシクロヘキシルメタン、テレフタル酸
PA PDA−T フェニレンジアミン、テレフタル酸
【0147】
好ましいポリアミドはPA6、PA66及びPA PACM6である。
【0148】
ビニル芳香族ポリマーは、モノマー単位として非置換又は少なくとも一置換スチレンを有するポリオレフィンである。好適な置換基は、例えば、C
1〜C
6−アルキル、F、Cl、Br及びOHである。好ましいビニル芳香族ポリマーは、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、並びにアクリルエステル、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルからなる群から選択されるコモノマーを最大30重量%有するそれらのコポリマーからなる群から選択される。
【0149】
ビニル芳香族ポリマーは市販されており、当業者に知られている。これらのポリマーの製造はまた、当業者に知られている。
【0150】
好ましくは、ビニル芳香族ポリマーは、フリーラジカル重合、例えばエマルション、ビーズ、溶液又はバルク重合によって製造される。可能な開始剤は、モノマー及び重合の種類に依存して、ペルオキシド化合物及びアゾ化合物などのフリーラジカル開始剤であり、開始剤の量は一般にモノマーを基準として0.001〜0.5重量%の範囲である。
【0151】
ポリ(ビニルエステル)及びそれらの製造は当業者に知られている。ポリ(ビニルエステル)は、ビニルエステルの重合によって好ましく製造される。本発明の好ましい態様において、ビニルエステルは、脂肪族C
1〜C
6−カルボン酸のビニルエステルである。好ましいモノマーは酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルである。これらのモノマーは、ポリ(酢酸ビニル)及びポリ(プロピオン酸ビニル)ポリマーを形成する。
【0152】
ポリ(ビニルエステル)は、ビニルエーテルモノマーの重合によって製造される。ポリ(ビニルエーテル)及びその製造は当業者に知られている。好ましい実施形態では、ビニルエーテルは脂肪族C
1〜C
8−アルキルエーテルのビニルエーテルである。好ましいモノマーは、メチルビニルエーテル及びエチルビニルエーテルであり、重合中にポリ(メチルビニルエーテル)及びポリ(エチルビニルエーテル)を形成する。
【0153】
好ましくは、ポリ(ビニルエーテル)は、フリーラジカル重合、例えばエマルション、ビーズ、溶液又はバルク重合によって製造される。可能な開始剤は、モノマー及び重合の種類に依存して、ペルオキシド化合物及びアゾ化合物などのフリーラジカル開始剤であり、開始剤の量は一般にモノマーを基準として0.001〜0.5重量%の範囲である。
【0154】
本発明におけるポリ(アルキル(メタ)アクリレート)は、ポリ(アルキルアクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)及びそれらのコポリマーを含む。ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)は、式(VIII)のモノマーから誘導される単位を含む。
【0155】
【化9】
【0156】
(式中、
R
8は、H及びC
1〜C
8−アルキルからなる群から選択され、
R
9は、式(IX)の基である。)
【0157】
【化10】
【0158】
(式中、
R
10は、C
1C
14アルキルである。)
【0159】
好ましくは、R
8はH及びC
1−C
4−アルキルからなる群から選択され、特に好ましくは、R
8はH又はメチルである。好ましくは、R
10はC
1〜C
8−アルキルであり、特に好ましくは、R
10はメチル又はエチルである。
【0160】
式(VIII)のR
8がHであり、R
9が式(IX)の基であり、式(IX)のR
10がメチルである場合、式(VIII)のモノマーはアクリル酸メチルである。
【0161】
式(VIII)のR
8がHであり、R
9が式(IX)の基であり、式(IX)のR
10がエチルである場合、式(VIII)のモノマーはアクリル酸エチルである。
【0162】
式(VIII)のR
8がメチルであり、R
9が式(IX)の基である場合、式(VI)のモノマーはメタクリル酸エステルである。
【0163】
ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)は、モノマーとして、それぞれポリ(アルキル(メタ)アクリレート)の総量を基準として、好ましくは40〜100重量%のメタクリル酸エステル、特に好ましくは70〜100重量%のメタクリルエステル、より好ましくは80〜100重量%のメタクリル酸エステルを含む。
【0164】
別の好ましい実施形態では、ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)は、モノマーとして、それぞれポリ(アルキル(メタ)アクリレート)の総量を基準として、20〜100重量%のアクリル酸メチル、アクリル酸エチル又はそれらの混合物、好ましくは40〜100重量%のアクリル酸メチル、アクリル酸エステル又はそれらの混合物、特に好ましくは50〜100重量%のアクリル酸メチル、アクリル酸エチル又はそれらの混合物を含む。
【0165】
更なるモノマーを有する又は有しない式(VIII)のモノマーのそのようなポリマーは、慣用の、好ましくはフリーラジカル重合、例えばエマルション、ビーズ、溶液又はバルク重合で製造され得る(Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology 3rd Ed., Vol. 1., pp. 330−342, Vol. 18., pp. 720−755, J. Wiley; H. Rauch−Puntigam, Th. Voelker, Acryl− und Methacrylverbindungen参照)。可能な開始剤は、モノマー及び重合の種類に依存して、ペルオキシ又はペルオキソ化合物及びアゾ化合物などのフリーラジカル開始剤である。開始剤の量は、モノマーを基準として、一般に0.001〜0.5重量%の範囲内である。
【0166】
乳化重合に好適な開始剤は、例えば、ペルオキソジスルフェート及びバルク重合用酸化還元システム、例えばジベンゾイルペルオキシド又はジラウロイルペルオキシドなどの過酸化物だけでなく、溶液又はビーズ重合の場合には同様に、例えば、アゾビスイソブチロジニトリルなどのアゾ化合物である。分子量は、従来の調節剤、特にメルカプタン、例えば、ドデシルメルカプタンを使用して調節され得る。
【0167】
好ましくは、重合は、高温、例えば50°C超で実施される。重量平均分子量(M
W)は、一般に、2000〜5000000g/molの範囲、好ましくは20000〜3000000g/molの範囲内である(光散乱により決定、HoubenWeyl, Methoden der Org. Chemie, 4th edition, Volume 14/1, Georg Thieme−Verlag Stuttgart 1961参照)。
【0168】
当業者は、成分b1)、b2)及びb3)の製造のための上記のモノマーが、重合反応中にそれらの構造の変化を受け得ることを知っている。結果として、ポリマーの構成単位は、それらが由来するモノマーと同じではない。しかしながら、当業者は、どのモノマーがポリマーのどの構成単位に対応するかを知っている。
【0169】
溶融フィラメント製造による配合(compounding)又は加工の条件下では、成分b1)、ポリオキシメチレン(POM)、及び成分b3)、少なくとも1つの更なるポリマー(FP)の間にアセタール交換は実質的に生じない。すなわち、コモノマー単位の交換は実質的に発生しない。
【0170】
本発明の一実施形態では、コア材料(CM)中のバインダー(B)は、b1)の他に、成分b2)及び/又はb3)を含む。
【0171】
好ましい実施形態では、バインダー(B)は、b1)の他に、バインダー(B)の総重量を基準として2〜35重量%の成分b2)及び/又はバインダー(B)の総重量を基準として2〜40重量%の成分b3)を含む。
【0172】
本発明の別の実施形態では、バインダー(B)は、b1)の他に、成分b2)及び/又はb3)を含み、
b2)は、少なくとも1種のポリオレフィン(PO)であり、
b3)は、成分b)中の少なくとも1種のポリマー(P)がポリオキシメチレン(POM)である場合、少なくとも1種の更なるポリマー(FP)である。
【0173】
コア材料(CM)は、コア材料(CM)の総体積を基準として、成分c)として、0〜20体積%、好ましくは1.5〜15体積%、より好ましくは2〜10体積%の少なくとも1種の添加剤(A)を含む。
【0174】
成分c)として、少なくとも1種の添加剤(A)が使用され得る。本発明による「少なくとも1種の添加剤(A)」は、正確には、1種の添加剤(A)及び更に2種以上の添加剤(A)の混合物を意味する。
【0175】
添加剤(A)は、知られているものの中から選択され得る。例は、200〜600g/molのステアリン酸、ステアラミド、ヒドロキシステアリン酸、脂肪アルコール、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、スルホネート及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー、及び特にポリイソブチレンの低い分子量を有するオリゴマーポリエチレンオキシドである。
【0176】
更に、添加剤(A)は、UV安定剤及び/又は酸化防止剤のような安定剤から選択され得る。
【0177】
添加剤(A)は、有機染料及び/又は無機顔料などの顔料から選択され得る。
【0178】
添加剤(A)は、室温より低い、好ましくは25℃未満のガラス転移温度を有するポリマー及び/又はテルペン誘導体のような粘着付与剤から選択され得る。
【0179】
添加剤(A)はまた、WO2013/117428に開示されている粘着付与剤から選択され得る。市販の粘着付与剤の例はAcronal(登録商標)A107である。
【0180】
WO2013/117428A1及びWO2013/117428A1における粘着付与剤の成分の定義の適用に基づけば、粘着付与剤として、好ましくは、
(a)少なくとも40重量%の少なくとも1種のC
1〜C
20−アルキル(メタ)アクリレート
(b)0〜30重量%の少なくとも1種のビニル芳香族化合物
(c)少なくとも0.1重量%の少なくとも1種の酸モノマー
(d)0〜50重量%の更なるモノマー
(モノマーの量は全モノマーの合計を基準とする。)
を含むモノマー混合物の50000未満の重量平均分子量及び−40℃以上0℃未満、好ましくは−35℃以上0℃以下のガラス転移温度を有する水溶性分散重合における少なくとも1種を含む分散体が適用される。
【0181】
更に、粘着付与剤は、US4,767,813に開示されているように、また、以下の3つの段落に特定されるように適用されてもよい。
【0182】
US4767813によれば、粘着付与剤は、約25〜110℃、好ましくは約50℃〜110℃の環球軟化点を有するロジン又はロジン誘導体であり得る。
【0183】
好適な粘着付与剤には、ロジン、水素化ロジンエステル、ロジンのグリセロール、例えばトリグリセロールロジンエステル、ロジンのC
2〜3アルキレンエステル、例えばロジンのトリエチレングリコールエステル及びロジンのトリプロピレングリコールエステル、ロジン塩、不均化(disproportionated)ロジン塩、ペンタエリスリトール及びアルファ及びベータピネンを含むポリテルペン樹脂が含まれる。好適な樹脂は、商品名Staybelite Ester 3、Staybelite Ester 10、Pentalyn H及びHercolyn Dで販売されている。
【0184】
粘着付与樹脂は、約10〜100℃、好ましくは約50〜100℃の環球軟化点を有するC
5又はC
9合成粘着付与樹脂であってもよい。好適な樹脂は、商品名Piccovar、Hercotac、 Picconal及びPiccolytで販売されている。これらの粘着付与剤は、C
9モノマー、好ましくは芳香族及びC
5モノマー、好ましくは脂肪族のものから重合される。
【0185】
シェル材料(SM)は、成分d)〜f)を含む。
【0186】
成分d)は、シェル材料(SM)の総体積を基準として、75〜100体積%、好ましくは85〜100体積%、より好ましくは95〜100体積%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(TP)を含む。
【0187】
熱可塑性ポリマー(TP)として、当業者は、任意の技術的に適切な熱可塑性ポリマーを選択し得る。
【0188】
熱可塑性ポリマー(TP)は、コア材料(CM)のバインダー(B)に使用されるポリマーのうちの1種と同一であり得る。
【0189】
本発明における「少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(TP)」は、正確には1種の熱可塑性ポリマー(TP)及び更に2種以上の熱可塑性ポリマー(TP)の混合物を意味する。
【0190】
少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(TP)は、熱可塑性ホモポリマー、熱可塑性コポリマー、及び熱可塑性ポリマーのブレンドを含み得る。
【0191】
好ましくは、熱可塑性ポリマー(TP)は、ポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィン(P
O)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、ポリエーテル(PETH)、ポリカーボネート(PC)、及び/又はポリ乳酸などのポリエステル(PES)並びにそれらのブレンドの群から選択される。
【0192】
より好ましくは、熱可塑性ポリマー(TP)は、ポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン及び/又はポリ乳酸(PLA)並びにそれらのブレンドの群から選択される。
【0193】
成分e)は、シェル材料(SM)の全体積を基準として0〜20体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)からなる。
【0194】
成分e)中の少なくとも1種の無機粉末(IP)は、コア材料(CM)中の成分a)について定義した無機粉末(IP)と同一である。
【0195】
好ましくは、成分e)は、シェル材料(SM)の全体積を基準として0体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)からなり、そのため、好ましくは、シェル材料(CM)中に存在する成分e)はない。
【0196】
しかしながら、成分e)がシェル材料(SM)の全体積を基準として、少なくとも1種の無機粉末(IP)からなる本発明の実施形態では、シェル材料(SM)の全体積を基準として、1体積%未満のシェル材料に存在する無機粉末(IP)の痕跡であり得る。
【0197】
成分f)は、シェル材料(SM)の総重量を基準として、0〜25体積%、好ましくは0〜15体積%、より好ましくは0〜5体積%の少なくとも1種の添加剤(A)を含む。
【0198】
成分f)中の少なくとも1種の添加剤(A)は、成分c)中の添加剤(A)と同じ化合物から選択される。成分f)の少なくとも1種の添加剤(A)又は成分f)中の添加剤(A)の組み合わせは、成分c)の少なくとも1種の添加剤(A)又は成分c)の添加剤A)の組み合わせと個々に異なり得るか、又は本発明の単一の実施形態において同じであり得る。
【0199】
本発明の実施形態では、コア材料(CM)は、成分a)、b)及びc)を含み、
a)コア材料(CM)の総体積を基準として、30〜80体積%、好ましくは40〜68体積%、より好ましくは50〜65体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)、
b)コア材料(CM)の総体積を基準として、20〜70体積%、好ましくは20〜60体積%の、成分b1)
b1)少なくとも1種のポリマー(P)
を含む少なくとも1種のバインダー、
c)コア材料(CM)の総体積を基準として、0〜20体積%、好ましくは1.5〜15体積%、より好ましくは2〜10体積%の少なくとも1種の添加剤(A)、
シェル材料(SM)は、成分d)〜f)を含み、
d)シェル材料(SM)の総重量を基準として75〜100体積%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(TP)、
e)シェル材料(SM)の全体積を基準として0〜20体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)、
f)シェル材料(SM)の全体積を基準として、0〜25体積%、好ましくは0〜10体積%、より好ましくは0〜5体積%、最も好ましくは0〜3体積%の少なくとも1種の添加剤(A)、
シェル材料(SM)の層の厚さは、0.05〜0.5mm、好ましくは0.09〜0.3mm、より好ましくは0.1〜0.25mmである。
【0200】
本発明の更なる実施形態では、コア材料(CM)は、成分a)、b)及びc)を含み、
a)コア材料(CM)の総体積を基準として、30〜80体積%、好ましくは40〜68体積%、より好ましくは50〜65体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)、
b)コア材料(CM)の総体積を基準として、20〜70体積%、好ましくは20〜60体積%の、成分b1)
b1)少なくとも1種のポリマー(P)
を含む少なくとも1種のバインダー、
c)コア材料(CM)の総体積を基準として、0〜20体積%、好ましくは1.5〜15体積%、より好ましくは2〜10体積%の少なくとも1種の添加剤(A)、
シェル材料(SM)は、成分d)〜f)を含む。
【0201】
d)シェル材料(SM)の総重量を基準として75〜100体積%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(TP)、
e)シェル材料(SM)の全体積を基準として0〜20体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)、
f)シェル材料(SM)の総体積を基準として、0〜25体積%、好ましくは0〜10体積%、より好ましくは0〜5体積%、最も好ましくは0〜3体積%の少なくとも1種の添加剤(A)。
【0202】
本発明の別の実施形態では、コア材料(CM)は、成分a)及びb)を含み、
a)コア材料(CM)の総体積を基準として、30〜80体積%、好ましくは40〜68体積%、より好ましくは50〜65体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)、
b)コア材料(CM)の総体積を基準として、20〜70体積%、20〜60体積%、より好ましくは20〜50体積%の、成分b1)
b1)少なくとも1種のポリマー(P)
を含む少なくとも1種のバインダー、
c)コア材料(CM)の総体積を基準として、0〜20体積%、好ましくは1.5〜15体積%、より好ましくは2〜10体積%の少なくとも1種の添加剤(A)、
シェル材料(SM)は、成分d)を含み、
d)シェル材料(SM)の総重量を基準として100体積%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(TP)、
e)シェル材料(SM)の全体積を基準として0体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)、
f)シェル材料(SM)の全体積を基準として、0体積%の少なくとも1種の添加剤(A)、
シェル材料(SM)の層の厚さは、0.05〜0.5mm、好ましくは0.09〜0.3mm、より好ましくは0.1〜0.25mmである。
【0203】
本発明の更なる実施形態では、コア材料(CM)は、成分a)及びb)を含み、
a)コア材料(CM)の総体積を基準として、30〜80体積%、好ましくは40〜68体積%、より好ましくは50〜65体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)、
b)コア材料(CM)の総体積を基準として、20〜70体積%、20〜60体積%、より好ましくは20〜50体積%の、成分b1)
b1)少なくとも1種のポリマー(P)
を含む少なくとも1種のバインダー、
c)コア材料(CM)の総体積を基準として、0〜20体積%、好ましくは1.5〜15体積%、より好ましくは2〜10体積%の少なくとも1種の添加剤(A)、
シェル材料(SM)は、成分d)を含む。
【0204】
d)シェル材料(SM)の総重量を基準として100体積%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー(TP)、
e)シェル材料(SM)の全体積を基準として0体積%の少なくとも1種の無機粉末(IP)、
f)シェル材料(SM)の全体積を基準として0体積%の少なくとも1種の添加剤(A)。
【0205】
本発明の更なる主題は、フィラメントの製造方法であって、コア材料(CM)をシェル材料(CM)との共押出によりシェル材料(SM)の層でコア材料(CM)をコーティングする、方法である。
【0206】
共押出技術それ自体は当業者に知られている。
【0207】
コア材料及びシェル材料に適用される材料に基づいて、当業者はそれぞれの適切な共押出温度及びプロセスパラメータを選択し得る。
【0208】
本発明の別の主題は、溶融フィラメント製造プロセスによる三次元緑体の製造方法であって、少なくとも工程a)、b)、c)
a)フィラメントをスプール上でノズルに提供する工程、
b)フィラメントを温度(T
M)に加熱する工程、
c)三次元緑体を形成するために、層系添加剤技術を使用して構築チャンバにおいて工程b)で得られた加熱されたフィラメントを堆積させる工程、
を含む、方法である。
【0209】
三次元物体の製造のための溶融フィラメント製造プロセスは、当該技術水準においてよく知られており、上記の引用文献に詳しく説明されている。溶融フィラメント製造プロセスは、3D印刷プロセスとも呼ばれる。
【0210】
工程a)によれば、本発明によるフィラメントは、スプール上にノズルに設けられる。調製される三次元物体が金属合金を含む場合、フィラメントは、既に調製された金属合金の粉末、又は個々の金属合金成分、すなわち、上述の金属及び他の元素の粉末の混合物のいずれかを含む。次いで、金属合金は、三次元物体の製造中に形成する。
【0211】
工程b)によれば、フィラメントは温度(T
M)に加熱される。温度(T
M)はバインダー(B)の融点より高い。バインダー(B)の融点を測定する方法は当業者に既知である。例えば、バインダー(B)の融点は、示差走査熱量測定(DSC)によって評価することができる。
【0212】
本発明による好ましい実施形態では、プロセス工程b)において、フィラメントは、バインダー(B)の溶融よりも少なくとも1℃、好ましくは少なくとも5℃、特に好ましくは少なくとも10℃高い温度(T
M)に加熱される。
【0213】
別の好ましい実施形態において、フィラメントは、140〜240℃、好ましくは160〜220℃の範囲の温度(T
M)に加熱される。
【0214】
そのため、本発明の別の主題は、工程b)における温度(T
M)が140〜240℃である、三次元緑体の製造方法である。
【0215】
工程c)によれば、フィラメントは、層系添加技術を使用して構築チャンバ内に堆積される。構築チャンバの温度は、通常30〜100℃、好ましくは40〜90℃、特に好ましくは50〜80℃の範囲である。
【0216】
言い換えれば、本発明の方法の工程a)〜c)において、フィラメントは、一般に、最初は固体状態で存在し、その後溶融及び印刷されてフィラメントを含む三次元物体を形成する。そのように製造された三次元物体は、「三次元
緑体」とも呼ばれる。
【0217】
本発明の1つの実施形態では、バインダー(B)の少なくとも一部及び/又はシェル材料(SM)の少なくとも一部が三次元
緑体から除去されるプロセス工程d)がプロセス工程c)に続く。
【0218】
そのため、本発明の別の主題は、バインダー(B)酸感受性成分の少なくとも一部及び/又はシェル材料(CM)の酸感受性成分の少なくとも一部を三次元緑体から除去して三次元褐色体を形成する工程d)が工程c)に続く、三次元緑体の調製プロセスである。
【0219】
バインダー(B)の少なくとも一部及び/又はシェル材料(SM)の少なくとも一部の除去の後、得られた三次元物体は「三次元褐色体」と呼ばれる。三次元褐色体は、工程d)の間に除去されなかった無機粉末(IP)、バインダーの画分(B)、及びシェル材料(SM)の画分を含む。当業者は、無機粉末(IP)としてセラミック材料を含む三次元褐色体が三次元白色体とも呼ばれることを知っている。しかしながら、本発明の目的のために、「三次元褐色体」及び「三次元白色体」という用語は、同義で使用され、交換可能に使用される。
【0220】
プロセス工程d)におけるバインダー(B)の少なくとも一部及び/又はシェル材料(SM)の少なくとも一部を除去するために、溶融フィラメント製作プロセスによって得られた三次元緑体は、好ましくは、ガス状の酸を含む雰囲気で処理される。適切なプロセスは、例えば、US2009/0288739及びUS5,145,900に記載されている。このプロセス工程d)は、本発明によれば、バインダー(B)の溶融温度より低い温度で行うことが好ましい。プロセス工程d)は、好ましくは、バインダー(B)の融点より少なくとも1℃低い温度、好ましくはバインダー(B)の融点より少なくとも5℃低い温度、特に好ましくはバインダー(B)の融点より少なくとも10℃低い温度で行われる。
【0221】
そのため、本発明の別の主題は、工程d)においてバインダー(B)の少なくとも一部及び/又はシェル材料(SM)の少なくとも一部をバインダー及び/又はシェル材料(SM)の融点よりも低い温度で除去する、三次元緑体の調製プロセスである。
【0222】
一般に、プロセス工程d)は、20〜180℃、特に好ましくは100〜150℃の範囲の温度で行われる。好ましくは、プロセス工程d)は、0.1〜24時間、特に好ましくは0.5〜12時間の期間で行われる。
【0223】
必要な処理時間は、処理温度及び処理雰囲気中の酸の濃度並びに三次元物体のサイズに依存する。
【0224】
そのため、本発明の別の主題は、工程d)においてバインダーの少なくとも一部及び/又はシェル材料(SM)の少なくとも一部を酸処理によって除去する、三次元緑体の調製プロセスである。
【0225】
本発明のプロセス工程d)に好適な酸は、例えば、室温で気体であるか、又は処理温度以下で気化し得る無機酸である。例は、ハロゲン化水素及び硝酸である。ハロゲン化水素は、フッ化水素、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素である。好適な有機酸は、130℃未満の大気圧での沸点を有するもの、例えば、ギ酸、酢酸又はトリフルオロ酢酸及びそれらの混合物である。130℃を超える沸点を有する酸、例えばメタンスルホン酸は、より低沸点の酸及び/又は水との混合物として投与される場合、工程d)において利用され得る。プロセス工程d)のための好ましい酸は、硝酸、10重量%のシュウ酸水溶液、又は水中で50体積%のメタンスルホン酸の混合物である。
【0226】
更に、BF
3及び無機エーテルとのその付加物を酸として使用することができる。
【0227】
キャリアガスを使用する場合、キャリアガスは、一般に、事前に酸に通過され、予め酸が負荷される。このようにして酸で負荷されたキャリアガスは、その後、処理工程d)が実施される温度にされる。この温度は、酸の凝縮を避けるために、負荷温度よりも高いことが有利である。好ましくは、プロセス工程d)が行われる温度は、装填温度よりも少なくとも1℃、特に好ましくは少なくとも5℃、最も好ましくは少なくとも10℃高い。
【0228】
好ましくは、計量装置を用いて酸をキャリアガスに混合し、酸がもはや凝縮し得ないような温度にガス混合物を加熱する。好ましくは、その温度は、酸及び/又はキャリアガスの昇華及び/又は蒸発温度よりも少なくとも1℃、特に好ましくは少なくとも5℃、最も好ましくは少なくとも10℃高い。
【0229】
キャリアガスは、一般に、工程d)の反応条件下で不活性な任意のガスである。本発明による好ましいキャリアガスは窒素である。
【0230】
本発明の異なる実施形態においてバインダー(B)及び/又はシェル材料(SM)によって含まれ得る全ての成分が、それらの化学的及び物理的特性に起因して工程d)において除去可能であるわけではないことは当業者に知られている。
【0231】
そのため、本発明の異なる実施形態における工程d)において除去され得るバインダー(B)及び/又はシェル材料(SM)の一部は、使用される特定の化合物に依存して変動し得る。
【0232】
好ましくは、工程(d)は、バインダー(B)及び/又はシェル材料(SM)が、バインダー(B)及び/又はシェル材料(SM)の総重量を基準として少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、より特に好ましくは少なくとも95重量%の程度に除去されるまで継続する。これは、例えば、重量減少の高さで確認され得る。
【0233】
工程d)の工程の温度で、三次元緑体に含まれる無機粉末(IP)が化学的及び/又は物理的反応を受け得ることは、当業者に知られている。特に、無機粉末(IP)の粒子は一緒に融合され得、無機粉末は固体状態相転移を受け得る。
【0234】
バインダー(B)及びシェル材料(SM)についても同様である。工程d)の間に、バインダー(B)の組成が変化し得る。
【0235】
結果的に、本発明の一実施形態では、プロセス工程d)で得られた三次元緑体に含まれる無機粉末(IP)、バインダー(B)及び/又はシェル材料(SM)は、プロセス工程c)で得られた三次元褐色体に含まれる無機粉末(IP)及び/又はバインダー(B)とは異なる。
【0236】
プロセス工程d)に続いて三次元褐色体を焼結させる工程e)が行われ得る。プロセス工程e)は、焼結とも呼ばれる。本発明の目的のための用語「プロセス工程e)」及び「焼結」は、同義であり、本発明を通して交換可能に使用される。
【0237】
そのため、本発明の別の主題は、三次元褐色体を焼結して三次元焼結体を形成する工程e)が工程d)に続く、三次元緑体の生成プロセスである。
【0238】
焼結後、三次元物体は三次元焼結体である。三次元焼結体は、無機粉末(IP)を含み、バインダー(B)及びシェル材料(SM)を本質的に含まない。
【0239】
本発明による「バインダー(B)及びシェル材料(SM)を本質的に含まない」とは、三次元焼結体が、5体積%未満、好ましくは2体積%未満、特に好ましくは0.5体積%未満、最も好ましくは0.01体積%未満のバインダー(B)及びシェル材料(SM)を含むことを意味する。
【0240】
焼結プロセス中に無機粉末(IP)を一緒に焼結して焼結無機粉末を得ることは当業者に知られている。更に、焼結プロセスの間、無機粉末(IP)は、化学的及び/又は物理的反応を受け得る。結果的に、三次元褐色体に含まれる無機粉末(IP)は、通常、三次元焼結体に含まれる焼結された無機粉末とは異なる。
【0241】
本発明の一実施形態では、プロセス工程d)の後で、プロセス工程e)の前に、工程d)で得られた三次元褐色体を、好ましくは0.1〜12時間、特に好ましくは0.3〜6時間、好ましくは250〜700℃、特に好ましくは250〜600℃の温度で加熱して、残留バインダー(B)及び残留シェル材料(SM)を完全に除去する。
【0242】
プロセス工程e)の間の温度並びに継続時間及び雰囲気は、成分a)として混合フィラメントに含まれる無機粉末に依存する。焼結プロセスの温度プログラム、持続時間及び雰囲気は、一般に、成分a)としてフィラメントに含まれる無機粉末(IP)の必要性に適合される。プロセス工程e)に好適な条件は当業者に知られている。
【0243】
一般に、処理工程e)は、無機粉末(IP)及びバインダー(B)に対して不活性であるガスの雰囲気下で行われる。典型的な不活性ガスは、例えば窒素及び/又はアルゴンである。
【0244】
フィラメントに含まれる無機粉末(IP)に依存して、空気中、真空下又は水素雰囲気中でプロセス工程e)を実施することも可能である。
【0245】
プロセス工程e)における温度は、一般に、750〜1600℃、好ましくは800〜1500℃、特に好ましくは850〜1450℃の範囲である。
【0246】
本発明の更なる主題はまた、上記のプロセスによって調製された三次元緑体、三次元褐色体及び三次元焼結体である。
【0247】
以下の実施例は本発明を更に説明する。