(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のガス流量は10slm以上、800slm以下であり、前記第2のガス流量は100slm以上、2000slm以下となるように前記第1のガス供給部および前記第2のガス供給部を制御するよう構成される制御部を有する請求項1に記載の基板処理装置。
前記搬送室内の圧力と前記冷却室内の圧力を検知した値に応じて、前記第1のガス供給部と前記第1の排気部とを制御するよう構成される制御部を有する請求項1に記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記搬送室内の圧力と前記冷却室の圧力との差が、0Paよりも大きく、100Pa以下となるように前記第1のガス供給部と前記第1の排気部とを制御するよう構成される請求項4に記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記基板を加熱処理する際に、前記搬送室内の圧力は、前記処理室内の圧力および前記冷却室内の圧力よりも高くなるよう前記第1のガス供給部と前記第2のガス供給部と前記第3のガス供給部と前記第1の排気部と前記第2の排気部とを制御するよう構成される請求項5に記載の基板処理装置。
基板を搬送する搬送室と、前記基板が搬送されて、加熱装置からのマイクロ波により前記基板を加熱処理する少なくとも2つの処理室と、前記搬送室と空間的に連結され、前記少なくとも2つの処理室の間に、前記少なくとも2つの処理室から等距離であって前記搬送室の側壁に配置され、内部の雰囲気をパージするパージガスを第1のガス流量にて供給する第1のガス供給部と、前記パージガスを排気する排気管を有する排気部とを備え、前記マイクロ波により加熱処理された基板を前記パージガスにより冷却する冷却室と、を有し、前記搬送室は、内部の雰囲気をパージするパージガスを前記第1のガス流量よりも大きい流量の第2のガス流量で供給する第2のガス供給部を有する基板処理装置の前記処理室内に前記基板を搬送する工程と、
前記処理室内で前記基板を加熱する工程と、
前記加熱処理された基板を前記処理室から搬出する工程と、
前記処理室から搬出された前記加熱処理された基板を前記冷却室に搬送して冷却する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
基板を搬送する搬送室と、基板を搬送する搬送室から前記基板が搬送されて、加熱装置からのマイクロ波により前記基板を加熱処理する少なくとも2つの処理室と、前記搬送室と空間的に連結され、前記少なくとも2つの処理室の間に、前記少なくとも2つの処理室から等距離であって前記搬送室の側壁に配置され、内部の雰囲気をパージするパージガスを第1のガス流量にて供給する第1のガス供給部と、前記パージガスを排気する排気管を有する排気部とを備え、前記マイクロ波により加熱処理された基板を前記パージガスにより冷却する冷却室と、を有し、前記搬送室は、内部の雰囲気をパージするパージガスを前記第1のガス流量よりも大きい流量の第2のガス流量で供給する第2のガス供給部を有する基板処理装置の前記処理室内に前記基板を搬送する手順と、
前記処理室内で前記基板を加熱する手順と、
前記加熱処理された基板を前記処理室から搬出する手順と、
前記処理室から搬出された前記加熱処理された基板を前記冷却室に搬送して冷却する手順と、
をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の一実施形態>
以下に本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
本実施の形態において、本発明に係る基板処理装置100は、1枚または複数枚のウエハに各種の熱処理を施す枚葉式熱処理装置として構成されており、後述する電磁波を用いたアニール処理(改質処理)を行う装置として説明を行う。本実施形態における基板処理装置100では、基板としてのウエハ200を内部に収容した収納容器(キャリア)としてFOUP(Front Opening Unified Pod:以下、ポッドと称する)110が使用される。ポッド110は、ウエハ200を種々の基板処理装置間を搬送する為の搬送容器としても用いられる。
【0011】
図1および
図2に示すように、基板処理装置100は、ウエハ200を搬送する搬送室(搬送エリア)203を内部に有する搬送筐体(筐体)202と、搬送筐体202の側壁に設けられ、ウエハ200を処理する処理室201−1、201−2をそれぞれ内部に有する後述する処理容器としてのケース102−1、102−2を備えている。また、処理室201−1、201−2の間には、後述する冷却室204を形成する冷却ケース(冷却容器、冷却筐体)109が設けられている。搬送室203の筐体前側である
図1の向かって右側(
図2の向かって下側)には、ポッド110の蓋を開閉し、ウエハ200を搬送室203に搬送・搬出するための、ポッド開閉機構としてのロードポートユニット(LP)106が配置されている。ロードポートユニット106は、筐体106aと、ステージ106bと、オープナ106cとを備え、ステージ106bは、ポッド110を載置し、搬送室203の筐体前方に形成された基板搬入搬出口134にポッド110を近接させるように構成され、オープナ106cによってポッド110に設けられている図示しない蓋を開閉させる。また、ロードポートユニット106は、ポッド110内部をN
2ガス等のパージガスでパージする可能な機能を有していてもよい。また、筐体202は、搬送室203内をN
2などのパージガスを循環させるための後述するパージガス循環構造を有している。
【0012】
搬送室203の筐体202後側である
図1の向かって左側(
図2の向かって上側)には、処理室201−1、202−2を開閉するゲートバルブ(GV)205−1、205−2がそれぞれ配置されている。搬送室203には、ウエハ200を移載する基板移載機構(基板移載ロボット)としての移載機125が設置されている。移載機125は、ウエハ200を載置する載置部としてのツィーザ(アーム)125a−1、125a―2と、ツィーザ125a−1、125a―2のそれぞれを水平方向に回転または直動可能な移載装置125bと、移載装置125bを昇降させる移載装置エレベータ125cとで構成されている。ツィーザ125a−1、125a−2、移載装置125b、移載装置エレベータ125cの連続動作により、後述する基板保持具217やポッド110にウエハ200を装填(チャージング)または脱装(ディスチャージング)することを可能な構成としている。以降、ケース102−1、102−2、処理室201−1、201−2、ツィーザ125a−1および125a−2のそれぞれは、特に区別して説明する必要が無い場合には、単にケース102、処理室201、ツィーザ125aとして記載する。
【0013】
(処理炉)
図1の破線で囲まれた領域Aには、
図3に示すような基板処理構造を有する処理炉が構成される。
図2に示すように、本実施形態においては処理炉が複数設けられているが、処理炉の構成は同一である為、一つの構成を説明するに留め、他方の処理炉構成の説明は省略する。
図3に示すように、処理炉は、金属などの電磁波を反射する材料で構成されるキャビティ(処理容器)としてのケース102を有している。また、金属材料で構成されたキャップフランジ(閉塞板)104が、封止部材(シール部材)としてのOリング(図示せず)を介してケース102の上端を閉塞するように構成する。主にケース102とキャップフランジ104の内側空間をシリコンウエハ等の基板を処理する処理室201として構成している。ケース102の内部に電磁波を透過させる石英製の図示しない反応管を設置してもよく、反応管内部が処理室となるように処理容器を構成してもよい。また、キャップフランジ104を設けずに、天井が閉塞したケース102を用いて処理室201を構成するようにしてもよい。
【0014】
処理室201内には載置台210が設けられており、載置台210の上面には、基板としてのウエハ200を保持する基板保持具としてのボート217が載置されている。ボート217には、処理対象であるウエハ200と、ウエハ200を挟み込むようにウエハ200の垂直方向上下に載置された断熱板としての石英プレート101a、101bが所定の間隔で保持されている。また、石英プレート101a、101bとウエハ200のそれぞれの間には、例えば、シリコンプレート(Si板)や炭化シリコンプレート(SiC板)などの電磁波を吸収して自身が加熱される誘電体などの誘電物質で形成されたウエハ200を間接的に加熱するサセプタ(エネルギー変換部材、輻射板、均熱板とも称する)103a、103bを載置してもよい。このように構成することによってサセプタ103a、103bからの輻射熱によってウエハ200をより効率的に均一に加熱することが可能となる。本実施形態において、石英プレート101aと101bのそれぞれ、サセプタ103aと103bのそれぞれは同一の部品で構成されており、以後、特に区別して説明する必要が無い場合には、石英プレート101、サセプタ103と称して説明する。
【0015】
処理容器としてのケース102は、例えば横断面が円形であり、平らな密閉容器として構成されている。また、下部容器としての搬送容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料、または、石英などにより構成されている。なお、ケース102に囲まれた空間を処理空間としての処理室201又は反応エリア201と称し、搬送容器202に囲まれた空間を搬送空間としての搬送室203又は搬送エリア203と称する場合もある。なお、処理室201と搬送室203は、本実施形態のように水平方向に隣接させて構成することに限らず、垂直方向に隣接させ、所定の構造を有する基板保持具を昇降させる構成としてもよい。
【0016】
図1、
図2および
図3に示すように、搬送容器202の側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入搬出口206が設けられており、ウエハ200は基板搬入搬出口206を介して処理室201と搬送室203との間を移動する。ゲートバルブ205または基板搬入搬出口206の周辺には、後述する電磁波の漏洩対策として、使用される電磁波の1/4波長の長さを有するチョーク構造が設けられている。
【0017】
ケース102の側面には、後に詳述する加熱装置としての電磁波供給部が設置されており、電磁波供給部から供給されたマイクロ波等の電磁波が処理室201に導入されてウエハ200等を加熱し、ウエハ200を処理する。
【0018】
載置台210は回転軸としてのシャフト255によって支持される。シャフト255は、搬送容器202の底部を貫通しており、更には搬送容器202の外部で回転動作を行う駆動機構267に接続されている。駆動機構267を作動させてシャフト255及び載置台210を回転させることにより、ボート217上に載置されるウエハ200を回転させることが可能となっている。なお、シャフト255下端部の周囲はベローズ212により覆われており、処理室201および搬送エリア203内は気密に保持されている。
ここで、載置台210は基板搬入搬出口206の高さに応じて、駆動機構267によって、ウエハ200の搬送時にはウエハ200がウエハ搬送位置となるよう上昇または下降し、ウエハ200の処理時にはウエハ200が処理室201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇または下降するよう構成されていてもよい。
【0019】
処理室201の下方であって、載置台210の外周側には、処理室201の雰囲気を排気する排気部が設けられている。
図1に示すように、排気部には排気口221が設けられている。排気口221には排気管231が接続されており、排気管231には、処理室201内の圧力に応じて弁開度を制御するAPCバルブなどの圧力調整器244、真空ポンプ246が順に直列に接続されている。
ここで、圧力調整器244は、処理室201内の圧力情報(後述する圧力センサ245からのフィードバック信号)を受信して排気量を調整することができるものであればAPCバルブに限らず、通常の開閉バルブと圧力調整弁を併用するように構成されていてもよい。
【0020】
主に、排気口221、排気管231、圧力調整器244により排気部(排気系または排気ラインとも称する)が構成される。なお、載置台210を囲むように排気口を設け、ウエハ200の全周からガスを排気可能に構成してもよい。また、排気部の構成に、真空ポンプ246を加えるようにしてもよい。
【0021】
キャップフランジ104には、不活性ガス、原料ガス、反応ガスなどの各種基板処理のための処理ガスを処理室201内に供給するためのガス供給管232が設けられている。
ガス供給管232には、上流から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241、および、開閉弁であるバルブ243が設けられている。ガス供給管232の上流側には、例えば不活性ガスである窒素(N
2)ガス源が接続され、MFC241、バルブ243を介して処理室201内へ供給される。基板処理の際に複数種類のガスを使用する場合には、ガス供給管232のバルブ243よりも下流側に、上流側から順に流量制御器であるMFCおよび開閉弁であるバルブが設けられたガス供給管が接続された構成を用いることで複数種類のガスを供給することができる。ガス種毎にMFC、バルブが設けられたガス供給管を設置してもよい。
【0022】
主に、ガス供給管232、MFC241、バルブ243によりガス供給系(ガス供給部)が構成される。ガス供給系に不活性ガスを流す場合には、不活性ガス供給系とも称する。不活性ガスとしては、N
2ガスの他、例えば、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0023】
キャップフランジ104には、非接触式の温度測定装置として温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づき後述するマイクロ波発振器655の出力を調整することで、基板を加熱し、基板温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、例えばIR(Infrared Radiation)センサなどの放射温度計で構成されている。温度センサ263は、石英プレート101aの表面温度、または、ウエハ200の表面温度を測定するように設置される。上述した発熱体としてのサセプタが設けられている場合にはサセプタの表面温度を測定するように構成してもよい。なお、本発明においてウエハ200の温度(ウエハ温度)と記載した場合は、後述する温度変換データによって変換されたウエハ温度、すなわち、推測されたウエハ温度のことを意味する場合と、温度センサ263によって直接ウエハ200の温度を測定して取得した温度を意味する場合と、それらの両方を意味する場合を指すものとして説明する。
【0024】
温度センサ263によって石英プレート101またはサセプタ103と、ウエハ200のそれぞれに対し、温度変化の推移を予め取得しておくことで石英プレート101またはサセプタ103と、ウエハ200の温度の相関関係を示した温度変換データを記憶装置121cまたは外部記憶装置123に記憶させてもよい。このように予め温度変換データを作成することによって、ウエハ200の温度は、石英プレート101の温度のみを測定することで、ウエハ200の温度を推測可能とし、推測されたウエハ200の温度を基に、マイクロ波発振器655の出力、すなわち加熱装置の制御を行うことが可能となる。
【0025】
なお、基板の温度を測定する手段として、上述した放射温度計に限らず、熱電対を用いて温度測定を行ってもよいし、熱電対と非接触式温度計を併用して温度測定を行ってもよい。ただし、熱電対を用いて温度測定を行った場合、熱電対をウエハ200の近傍に配置して温度測定を行う必要がある。すなわち、処理室201内に熱電対を配置する必要があるため、後述するマイクロ波発振器から供給されたマイクロ波によって熱電対自体が加熱されてしまうので正確に測温することができない。したがって、非接触式温度計を温度センサ263として用いることが好ましい。
また、温度センサ263は、キャップフランジ104に設けることに限らず、載置台210に設けるようにしてもよい。また、温度センサ263は、キャップフランジ104や載置台210に直接設置するだけでなく、キャップフランジ104や載置台210に設けられた測定窓からの放射光を鏡等で反射させて間接的に測定するように構成されてもよい。さらに、温度センサ263は1つ設置することに限らず、複数設置するようにしてもよい。
【0026】
ケース102の側壁には電磁波導入ポート653−1、653−2が設置されている。電磁波導入ポート653−1、653−2のそれぞれには処理室201内に電磁波(マイクロ波)を供給するための導波管654−1、654−2のそれぞれの一端が接続されている。導波管654−1、654−2それぞれの他端には処理室201内に電磁波を供給して加熱する加熱源としてのマイクロ波発振器(電磁波源)655−1、655−2が接続されている。マイクロ波発振器655−1、655−2はマイクロ波などの電磁波を導波管654−1、654−2にそれぞれ供給する。また、マイクロ波発振器655−1、655−2は、マグネトロンやクライストロンなどが用いられる。以降、電磁波導入ポート653−1、653−2、導波管654−1、654−2、マイクロ波発振器655−1、655−2は、特にそれぞれを区別して説明する必要のない場合には、電磁波導入ポート653、導波管654、マイクロ波発振器655と記載して説明する。
【0027】
マイクロ波発振器655によって生じる電磁波の周波数は、好ましくは13.56MHz以上24.125GHz以下の周波数範囲となるように制御される。さらに好適には、2.45GHzまたは5.8GHzの周波数となるように制御されることが好ましい。ここで、マイクロ波発振器655−1、655−2のそれぞれの周波数は同一の周波数としてもよいし、異なる周波数で設置されてもよい。
また、本実施形態において、マイクロ波発振器655は、ケース102の側面に2つ配置されるように記載されているが、これに限らず、1つ以上設けられていればよく、また、ケース102の対向する側面等の異なる側面に設けられるように配置してもよい。主に、マイクロ波発振器655―1、655−2、導波管654−1、654−2および電磁波導入ポート653−1、653−2によって加熱装置としての電磁波供給部(電磁波供給装置、マイクロ波供給部、マイクロ波供給装置とも称する)が構成される。
【0028】
マイクロ波発振器655−1、655−2のそれぞれには後述するコントローラ121が接続されている。コントローラ121には処理室201内に収容される石英プレート101aまたは101b、若しくはウエハ200の温度を測定する温度センサ263が接続されている。温度センサ263は、上述した方法によって石英プレート101、またはウエハ200の温度を測定してコントローラ121に送信し、コントローラ121によってマイクロ波発振器655−1、655−2の出力を制御し、ウエハ200の加熱を制御する。なお、加熱装置による加熱制御の方法としては、マイクロ波発振器655へ入力する電圧を制御することでウエハ200の加熱を制御する方法と、マイクロ波発振器655の電源をONとする時間とOFFとする時間の比率を変更することでウエハ200の加熱を制御する方法などを用いることができる。
【0029】
ここで、マイクロ波発振器655−1、655−2は、コントローラ121から送信される同一の制御信号によって制御される。しかし、これに限らず、マイクロ波発振器655−1、655−2それぞれにコントローラ121から個別の制御信号を送信することでマイクロ波発振器655−1、655−2が個々に制御されるように構成してもよい。
【0030】
(冷却室)
図2および
図4に示すように、搬送室203の側方であって、処理室201−1、201−2の間に処理室201−1、201−2から略等距離となる位置、具体的には、処理室201−1、201−2の基板搬入搬出口206からの搬送距離が略同一距離となるように、所定の基板処理を実施したウエハ200を冷却する冷却領域としての冷却室(冷却エリア、冷却部とも称する)204が冷却ケース109によって形成されている。冷却室204の内部には、基板保持具としてのボート217と同様の構造を有するウエハ冷却用載置具(クーリングステージとも称する、以下、CSと記載する)108が設けられている。CS108は、後述する
図5に示すように、複数のウエハ保持溝107a〜107dによって複数枚のウエハ200を垂直多段に水平保持することが可能なように構成されている。また、冷却ケース109には、ガス供給配管(冷却室用ガス供給配管)404を介して冷却室204内の雰囲気をパージするパージガス(冷却室用パージガス)としての不活性ガスを予め定められた第1のガス流量で供給する、冷却室用パージガス供給部としてのガス供給ノズル(冷却室用ガス供給ノズル)401が設置される。ガス供給ノズル401は、ノズル端部が開口された開口ノズルであってもよく、好ましくは、CS108側に面するノズル側壁に複数のガス供給口が設けられた多孔ノズルを用いることが好ましい。また、ガス供給ノズル401は複数設けられていてもよい。なお、ガス供給ノズル401から供給されるパージガスは、CS108に載置される処理後のウエハ200を冷却する冷却ガスとして用いてもよい。
【0031】
また、冷却室204には、冷却室用パージガスを排気するための排気口405と、ガス排気量を調節するための冷却室用排気バルブとしての開閉バルブ(またはAPCバルブ)406、冷却室用排気配管としての排気配管407が設けられている。開閉バルブ406の後段の排気配管407には、冷却室204内の雰囲気を積極的に排気するための図示しない冷却室用真空ポンプを設けるようにしてもよい。排気配管407は、後述する搬送室203内の雰囲気を循環させるためのパージガス循環構造に接続されて循環するようにしても良い。その場合排気配管407は、後述する
図6に示す循環路168Aに接続されることが好ましく、さらに好ましくは、循環路168Aの下流であって、クリーンユニット166の直前となる上流位置に接続(合流)されることが好ましい。
【0032】
また、冷却ケース109には冷却室204内の圧力を検知する冷却室用圧力センサ(冷却室用圧力計)408が設けられており、搬送室用圧力センサ(搬送室用圧力計)180によって検知された搬送室内の圧力と冷却室204内の差圧を一定にするように、後述するコントローラ121によって、冷却室用MFCとしてのMFC403、冷却室用バルブとしてのバルブ402が制御されてパージガスの供給または供給停止が実施され、また、開閉バルブ405と冷却室用真空ポンプが制御されてパージガスの排気または排気停止が制御される。これらの制御によって、冷却室204内の圧力制御、およびCS108に載置されたウエハ200の温度制御が行われる。なお、主にガス供給ノズル401、バルブ402、MFC403、ガス供給配管404によって冷却室用ガス供給系(第1のガス供給部)が構成され、また、主に排気口405、開閉バルブ406、排気配管407によって冷却室用ガス排気系(冷却室用ガス排気部)が構成される。冷却室用ガス排気系には冷却室用真空ポンプを含めるようにしてもよい。また、冷却室204内には、CS108に載置されたウエハ200の温度を測定するための図示しない温度センサを設けていてもよい。ここで、ウエハ保持溝107a〜107dのそれぞれは、特に区別して説明する必要が無い場合には、単にウエハ保持溝107として記載する。
【0033】
(パージガス循環構造)
次に、本実施形態の搬送室203に設けられている搬送室203内のパージガス循環構造について
図1、
図6を用いて説明する。
図6に示すように、搬送室203は、搬送室203の周囲に形成されたダクト内にパージガスとしての不活性ガスまたは空気(フレッシュエアー)を予め定められた第2のガス流量で供給するパージガス供給機構(第2のガス供給部)162と、搬送室203内の圧力制御を行う圧力制御機構150とを備える。パージガス供給機構162は、主に搬送室203内の酸素濃度を検出する検出器160による検出値に応じてダクト内にパージガスを供給するように構成されている。検出器160は、塵や不純物を取り除き、搬送室203内にパージガスを供給するガス供給機構としてのクリーンユニット166の上方(上流側)に設置されている。クリーンユニット166は、塵や不純物を取り除くためのフィルタとパージガスを送風するための送風機(ファン)で構成されている。パージガス供給機構162と圧力制御機構150とにより、搬送室203内の酸素濃度を制御することが可能となる。ここで、検出器160は、酸素濃度に加えて水分濃度も検出可能な様に構成されていても良い。
【0034】
圧力制御機構150は、搬送室203内を所定の圧力に保持するように構成された調整ダンパ154と、排気路152を全開または全閉にするように構成された排気ダンパ156とにより構成される。調整ダンパ154は、搬送室203内の圧力が所定の圧力より高くなると開くように構成されたオートダンパ(背圧弁)151と、オートダンパ151の開閉を制御するように構成されたプレスダンパ153とにより構成される。このように調整ダンパ154および排気ダンパ156の開閉を制御することで、搬送室203内を任意の圧力に制御することが可能なように構成されている。
【0035】
図6に示すように、搬送室203の天井部には、クリーンユニット166が左右に1つずつ配置される。移載機125の周辺には、パージガスの流れを整える整流板である多孔板174が設置される。多孔板174は複数の孔を有し、例えば、パンチングパネルで形成される。多孔板174を設けることにより、搬送室203内の空間が上部空間である第一の空間170と下部空間である第二の空間176とに区画される。すなわち、天井部と多孔板174との間の空間にウエハ搬送領域である第一の空間170が形成され、また、多孔板174と搬送室203の床面との間の空間にガス排気領域である第二の空間176が形成される。
【0036】
搬送室203の下方である第二の空間176の下部には、搬送室203内を流れたパージガスを循環および排気する吸出部164が移載機125を挟んで左右にそれぞれ1つずつ配置されている。また、筐体202の壁面内、すなわち、筐体202の外壁面と内壁面の間には、左右一対の吸出部164と左右一対のフィルタユニット166とをそれぞれ繋ぐ循環経路および排気経路としての経路168が形成されている。経路168には、流体を冷却する図示しない冷却機構(ラジエーター)を設置することにより、循環パージガスの温度制御が可能となる。
【0037】
経路168は、循環経路である循環路168Aと排気路168Bとの2つの経路に分岐される。循環路168Aは、クリーンユニット166の上流側へ接続し、搬送室203内へパージガスを再び供給する流路である。排気路168Bは、圧力制御機構150に接続し、パージガスを排気する流路であり、筐体202の左右に設けられた排気路168Bは下流側において一本の外部排気経路152に合流される。
【0038】
次に、搬送室203内のガスの流れについて説明する。
図6に示す矢印は、パージガス供給機構162から供給されたパージガスの流れを模式的に示したものである。例えばパージガスとしてのN
2ガス(不活性ガス)を搬送室203内に導入する場合、N
2ガスはクリーンユニット166を介して、搬送室203の天井部から搬送室203内に供給され、搬送室203内にダウンフロー111を形成する。搬送室203内には、多孔板174が設けられ、搬送室203内の空間を、主にウエハ200が搬送される領域である第1の空間170と、パーティクルが沈降し易い第2の空間176とに区画することにより、第1の空間170と第2の空間176との間に差圧を形成する構造を有している。この際、第1の空間170の圧力は第2の空間176の圧力よりも高くなっている。このような構成により、ツィーザ125a下方の移載機エレベータ125cなどの駆動部から発生するパーティクルがウエハ搬送領域内へ飛散することを抑制できる。また、搬送室203の床面のパーティクルが第1の空間170へ巻き上がることを抑制できる。
【0039】
ダウンフロー111によって第2の空間176に供給されたN
2ガスは、吸出部164によって搬送室203から吸い出される。搬送室203から吸い出されたN
2ガスは、吸出部164の下流において循環路168Aと排気路168Bとの2つの流路に分かれる。循環路168Aに導入されたN
2ガスは、筐体202の上方に流れ、クリーンユニット166を介して搬送室203内に循環される。また、排気路168Bに導入されたN
2ガスは、筐体202の下方に流れ、外部排気経路152より外部へ排気されることとなる。ここで、循環路168のコンダクタンスが小さい場合、左右の吸出部164にN
2ガスの循環を促す送風機としてのファン178を設置しても良い。ファン178を設置することにより、N
2ガスの流れを良くすることができ、循環エアフローを形成しやすくなる。このように、左右2つの系統に分かれて循環および排気を行う事により、搬送室203内において均一なエアフローを形成することができる。
【0040】
ここで、搬送室203内にN
2ガスを循環させるか否かは、調整ダンパ154と、排気ダンパ156の開閉を制御することで可能としてもよい。すなわち、搬送室203内にN
2ガスを循環させる際には、オートダンパ151およびプレスダンパ153を開とし、排気ダンパ156を閉とすることで搬送室203内への循環エアフローを形成しやすくするように構成してもよい。この場合、排気路168Bに導入されたN
2ガスは、排気路168B内に滞留させてもよいし、循環路168Aに流れるように構成してもよい。
【0041】
ここで、ポッド110内の圧力、搬送室203内の圧力、処理室201内の圧力および冷却室204内の圧力は、すべて大気圧、または大気圧よりも10Pa以上〜200Pa以下(ゲージ圧)程度の高い圧力にてコントローラ121によって各部が制御される。なお、後述する炉内圧力・温度調整工程S803、不活性ガス供給工程S804、改質工程S805のそれぞれにおいては、搬送室203内の圧力の方が処理室201および冷却室204の圧力よりも高く、また、処理室201内の圧力の方がポッド110内の圧力よりも高くなるように制御するのが好ましく、基板搬入工程S802、基板搬出工程S806、基板冷却工程S807のそれぞれにおいては、搬送室203内の圧力が処理室201内の圧力よりも低く、かつ、冷却室204内の圧力よりも高くなるように制御されることが好ましい。
【0042】
(制御装置)
図7に示すように、制御部(制御装置、制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0043】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、アニール(改質)処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単にレシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0044】
I/Oポート121dは、上述のMFC241、バルブ243、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、駆動機構267、マイクロ波発振器655等に接続されている。
【0045】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241による各種ガスの流量調整動作、バルブ243の開閉動作、圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくマイクロ波発振器655の出力調整動作、駆動機構267による載置台210(またはボート217)の回転および回転速度調節動作、または、昇降動作等を制御するように構成されている。
【0046】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0047】
(2)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置100の処理炉を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、基板上に形成されたシリコン含有膜としてのアモルファスシリコン膜の改質(結晶化)方法の一例について
図8に示した処理フローに沿って説明する。以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。また、上述した処理炉構造と同様に本実施形態における基板処理工程においても、処理内容、すなわちレシピについては複数設けられた処理炉において同一レシピを使用する為、一方の処理炉を使用した基板処理工程について説明するに留め、他方の処理炉を用いた基板処理工程の説明は省略する。
【0048】
ここで、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0049】
(基板取出し工程(S801))
図1に示されるように、移載機125はロードポートユニット106によって開口されたポッド110から処理対象となるウエハ200を所定枚数取り出し、ツィーザ125a−1、125a―2のいずれか一方、または両方にウエハ200を載置する。
【0050】
(基板搬入工程(S802))
図3に示されるように、ツィーザ125a−1、125a―2のいずれか一方、または両方に載置されたウエハ200はゲートバルブ205の開閉動作によって所定の処理室201に搬入(ボートローディング)される(S802)。
【0051】
(炉内圧力・温度調整工程(S803))
処理室201内へのボート217の搬入が完了したら、処理室201内が所定の圧力(例えば10〜102000Pa)となるよう処理室201内の雰囲気を制御する。具体的には、真空ポンプ246により排気しつつ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて圧力調整器244の弁開度をフィードバック制御し、処理室201内を所定の圧力とする。また、同時に予備加熱として電磁波供給部を制御し、所定の温度まで加熱を行うように制御してもよい(S803)。電磁波供給部によって、所定の基板処理温度まで昇温させる場合、ウエハ200が変形・破損しないように、後述する改質工程の出力よりも小さな出力で昇温を行うことが好ましい。なお、大気圧下で基板処理を行う場合、炉内圧力調整を行わず、炉内の温度調整のみを行った後、後述する不活性ガス供給工程S804へ移行するように制御してもよい。
【0052】
(不活性ガス供給工程(S804))
炉内圧力・温度調整工程S803によって処理室201内の圧力と温度を所定の値に制御すると、駆動機構267は、シャフト255を回転させ、載置台210上のボート217を介してウエハ200を回転させる。このとき、窒素ガス等の不活性ガスがガス供給管232を介して供給される(S804)。さらにこのとき、処理室201内の圧力は10Pa以上102000Pa以下の範囲となる所定の値であって、例えば101300Pa以上101650Pa以下となるように調整される。なお、シャフトは基板搬入工程S402時、すなわち、ウエハ200を処理室201内に搬入完了後に回転させてもよい。
【0053】
(改質工程(S805))
処理室201内を所定の圧力となるように維持すると、マイクロ波発振器655は上述した各部を介して処理室201内にマイクロ波を供給する。処理室201内にマイクロ波が供給されることによって、ウエハ200が100℃以上、1000℃以下の温度、好適には400℃以上、900℃以下の温度となるように加熱し、さらに好適には、500℃以上、700℃以下の温度となるように加熱する。このような温度で基板処理することによって、ウエハ200が効率よくマイクロ波を吸収する温度下での基板処理となり、改質処理の速度向上が可能となる。換言すると、ウエハ200の温度を100℃よりも低い温度、または1000℃よりも高い温度下で処理してしまうと、ウエハ200の表面が変質してしまい、マイクロ波を吸収し難くなってしまうためにウエハ200を加熱し難くなってしまうこととなる。このため、上述した温度帯で基板処理を行うことが望まれる。
【0054】
マイクロ波による加熱方式にて加熱を行う本実施形態では、処理室201に定在波が発生し、ウエハ200(サセプタ103が載置されている場合はサセプタ103もウエハ200と同様に)上に、局所的に加熱されてしまう加熱集中領域(ホットスポット)とそれ以外の加熱されない領域(非加熱領域)が生じ、ウエハ200(サセプタ103が載置されている場合はサセプタ103もウエハ200と同様に)が変形することを抑制するため、電磁波供給部の電源のON/OFFを制御することでウエハ200にホットスポットが生じることを抑制している。このとき、電磁波供給部の供給電力を低出力とすることで、ホットスポットの影響が小さくなるように制御することにより、ウエハ200の変形を抑制することも可能である。ただしこの場合、ウエハ200やサセプタ103に照射されるエネルギーが小さくなるため、昇温温度も小さくなり、加熱時間を長くする必要がある。
【0055】
ここで、上述したように温度センサ263は非接触式の温度センサであり、測定対象であるウエハ200(サセプタ103が載置されている場合はサセプタ103もウエハ200と同様に)に変形や破損が生じると、温度センサがモニタするウエハ200の位置や、ウエハ200に対する測定角度が変化するため、測定値(モニタ値)が不正確となり、測定温度が急激に変化してしまうこととなる。本実施形態では、このような測定対象の変形や破損に伴って放射温度計の測定温度が急激に変化することを電磁波供給部のON/OFFを行うトリガとして利用している。
【0056】
以上のようにマイクロ波発振器655を制御することによって、ウエハ200を加熱し、ウエハ200表面上に形成されているアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜へと改質(結晶化)させる(S805)。すなわち、ウエハ200を均一に改質することが可能となる。なお、ウエハ200の測定温度が上述した閾値を超えて高くまたは低くなった場合、マイクロ波発振器655をOFFとするのではなく、マイクロ波発振器655の出力を低くするように制御することでウエハ200の温度が所定の範囲の温度となるようにしてもよい。この場合、ウエハ200の温度が所定の範囲の温度に戻るとマイクロ波発振器655の出力を高くするように制御される。
【0057】
予め設定された処理時間が経過すると、ボート217の回転、ガスの供給、マイクロ波の供給および排気管の排気が停止する。
【0058】
(基板搬出工程(S806))
処理室201内の圧力を大気圧復帰させた後、ゲートバルブ205を開放し処理室201と搬送室203とを空間的に連通させる。その後、ボートに載置されているウエハ200を移載機125のツィーザ125aによって、搬送室203に搬出する(S806)。
【0059】
(基板冷却工程(S807))
ツイーザ125aによって搬出されたウエハ200は、移載装置125b、移載装置エレベータ125cの連続動作により、冷却室204まで移動され、ツィーザ125aによって、CS108に載置される。具体的には、
図5(A)に示すように、ツィーザ125a−1に保持された改質処理S805後のウエハ200aが、CS108に設けられたウエハ保持溝107bに移送され、所定時間載置されることでウエハ200aが冷却される(S807)。このとき、
図5(B)に示すように既に先行してCS108に冷却されていた冷却済ウエハ200bが載置されている場合には、改質処理S805完了後のウエハ200aをウエハ保持溝107bに載置後のツィーザ125a−1、または、他の空いているツィーザ(例えばツィーザ125a−2)が冷却済ウエハ200bをロードポート、すなわちポッド110に搬送する。
【0060】
(基板収容工程(S808))
基板冷却工程S807によって冷却されたウエハ200は、ツイーザ125aによってCS108から搬出され、所定のポッド110に搬送される(S808)。
【0061】
以上の動作が繰り返されることにより、ウエハ200が改質処理され、次の基板処理工程に移行することとなる。また、ウエハ200をボート217に2枚載置させることで基板処理を行うように構成して説明したが、これに限らず、処理室201−1、201−2のそれぞれに設置されているボート217に1枚ずつ載置させて同一の処理を行うようにしてもよいし、スワップ処理を行うことで、ウエハ200を2枚ずつ、処理室201−1、201−2にて処理するようにしてもよい。このとき、処理室201−1、201−2のそれぞれで行われる基板処理の回数が一致するようにウエハ200の搬送先を制御してもよい。このように制御することで各処理室201−1、201−2における基板処理の実施回数が一定となり、メンテナンスなどの保守作業を効率よく行うことが可能となる。例えば、前回ウエハ200を搬送した処理室が処理室201−1である場合、次のウエハ200の搬送先は処理室201−2とするように制御することで各処理室201−1、201−2における基板処理の実施回数を制御することができる。
【0062】
また、ツィーザ125a−1と125a−2はそれぞれ、基板処理によって高温となったウエハ200を搬送するための高温用ツィーザと、高温以外の温度のウエハ200を搬送するための低温用ツィーザとなるように設けられていてもよい。例えば、ツィーザ125a−1を高温用ツィーザとし、ツィーザ125a−2を低温用ツィーザとすることで、改質工程S805によって高温となったウエハ200をツィーザ125a−1のみで冷却室204に搬送し、処理室201から搬出するとき以外の搬送タイミングでは、ツィーザ125a−2でウエハ200を搬送するように制御してもよい。
【0063】
(3)冷却室内圧力制御
次に
図9(A)、(B)を用いて冷却室204内の圧力制御について説明する。基板処理工程と同様に以下の説明において、各部の動作はコントローラ121により制御される。
図4に示す通り、本実施形態における冷却室204には、処理室201と搬送室203とを空間的に隔離するゲートバルブ205のような隔壁が配置されていない。このため、冷却室204内の圧力に応じて搬送室203内を流れるパージガスのガス流れに変化が生じてしまう。搬送室203内のガス流れの変化は搬送室203内においてパージガスの乱流を生じさせる原因となり、搬送室内のパーティクルを巻き上げてしまう原因や、ウエハ搬送時のウエハずれの原因となってしまうため、結果として形成された膜質の低下やスループットの低下などの悪影響が生じてしまうこととなる。これら悪影響を抑制するため、冷却室204内の圧力制御が必要となる。この圧力制御を行うため、搬送室203内に供給されるパージガスの流量は、冷却室204に供給されるパージガスの流量よりも大きくなるように制御される。
【0064】
ここで、搬送室203内に供給されるパージガスの流量は、100slm以上、2000slm以下となるように供給されることが好ましい。仮に100slmよりも小さい流量でガス供給した場合、搬送室203内を完全にパージすることが困難となり、搬送室203内に不純物や副生成物が残留してしまうことになる。また、仮に2000slmよりも大きい流量でガス供給した場合、移載機125によるウエハ200を搬送する際に、所定の位置に載置されていたウエハ200がずれてしまう原因となったり、搬送室筐体202の角部などにおいて渦などの乱流が生じてしまう原因となり、パーティクル等の不純物を巻き上げる原因となってしまう。
【0065】
また、上述した搬送室203内へのガス供給流量とした場合、冷却室204内へ供給されるパージガスの流量は、10slm以上、800slm以下となるように供給されることが好ましい。仮に10slmよりも小さい流量でガス供給した場合、冷却室204内を完全にパージすることが困難となり、搬送室203内に不純物や副生成物が残留してしまうことになる。また、仮に800slmよりも大きい流量でガス供給した場合、移載機125によるウエハ200を搬送する際に、所定の位置に載置されていたウエハ200がずれてしまう原因となったり、冷却室ケース109の角部などにおいて渦などの乱流が生じてしまう原因となり、パーティクル等の不純物を巻き上げる原因となってしまう。
【0066】
搬送室203内の圧力と冷却室204内の圧力とを制御する際は、例えば、搬送室用圧力センサ180によって検知される搬送室203内の圧力値が冷却室用圧力センサ407によって検知される冷却室204内の圧力値よりも常時高くなるように制御されることが好ましい。すなわち、搬送室203内の圧力の方が冷却室204内の圧力よりも高くなるように制御されることが好ましい。このとき、特に搬送室203と冷却室204との圧力差を0Paより大きく、100Pa以下を維持するように制御することで、冷却室204内の圧力が搬送室203内のパージガスフローに与える影響を最小限にすることが可能となる。仮に、搬送室203と冷却室204との圧力差を0Paとすると、搬送室203と冷却室204との圧力差がなくなり、冷却室に供給されるパージガスが搬送室203に逆流し、搬送室203内のガス流れに変化が生じてしまう。また、搬送室203と冷却室204との圧力差が100Paよりも大きくなってしまうと、搬送室203に供給されるパージガスが必要以上に冷却室204内に流れ込むことになってしまい、搬送室203内のガス流れに大きな変化が生じてしまう。以下の説明では、搬送室203と冷却室204との圧力差が10Paとなるように制御する場合について記載する。
【0067】
まず、処理室201に設けられたゲートバルブ205を開放することによって、搬送室203内の圧力が低下した場合の制御について
図9(A)を用いて説明する。
【0068】
図9(A)に示すように、例えば、基板処理工程における炉内圧力・温度調整工程S803から改質工程S805を実施している間などの、処理室201に配置されたゲートバルブ205が閉じている状態において、搬送室203内の圧力が50Paであり、冷却室204内の圧力が40Paとなるように、開閉バルブ406を閉じ、ガス供給ノズル401から冷却室204内に供給されるガス流量が、100slmとなるようにMFC403を制御している(STEP1)。
【0069】
STEP1の状態から、例えば基板搬出工程S806などを実施し、処理室201に配置されたゲートバルブ205が開放されることで、搬送室203内の圧力が低下し、40Paとなったことを搬送室用圧力センサ180が検知する(STEP2)。
【0070】
搬送室用圧力センサ180が、所定の圧力値を検出すると、コントローラ121は、開閉バルブ405を開放し、冷却室204内の圧力が低下するように制御する(STEP3)。このとき、ゲートバルブ205は開放された状態を維持している。
【0071】
STEP3の状態の後、例えば基板搬出工程S806において、処理室201からウエハ200の搬出処理が完了すると、ゲートバルブ205が閉鎖される。ゲートバルブ205が閉鎖されるとコントローラ121は、開閉バルブを閉鎖し、搬送室203と冷却室204との圧力差が所定の値を維持するように制御する(STEP4)。
以上のように制御することによって、ゲートバルブ205が開放されることによって搬送室203内の圧力が低下した場合であっても、適宜冷却室204内の圧力を調整し、搬送室203と冷却室204との圧力差を一定に維持することが可能となり、搬送室203内におけるガス流れを乱すことなく、膜質の低下やスループットの低下を抑制することが可能となる。
【0072】
次に、処理室201に設けられたゲートバルブ205を開放することによって、搬送室203内の圧力が上昇した場合の制御について
図9(B)を用いて説明する。
【0073】
図9(B)に示すように、例えば、基板処理工程における炉内圧力・温度調整工程S803から改質工程S805を実施している間などの、処理室201に配置されたゲートバルブ205が閉じている状態において、搬送室203内の圧力が50Paであり、冷却室204内の圧力が40Paとなるように、開閉バルブ406を閉じ、ガス供給ノズル401から冷却室204内に供給されるガス流量が100slmとなるようにMFC403を制御している(STEP5)。なお、この状態における各部の制御は、
図9(A)で行ったSTEP1の説明と同一である。
【0074】
STEP5の状態からゲートバルブ205が開放されることで、搬送室203内の圧力が上昇し、60Paとなったことを搬送室用圧力センサ180が検知する(STEP6)。
【0075】
搬送室用圧力センサ180が、所定の圧力値を検出すると、コントローラ121は、開閉バルブ406は閉鎖した状態を維持したまま、ガス供給ノズル401から冷却室内に供給されるガス流量を150slmに増加させ、冷却室204内の圧力が上昇するようにMFC403を制御する(STEP7)。
【0076】
STEP7によって冷却室204内の圧力が所定の値となると、コントローラ121は、開閉バルブを閉鎖し、搬送室203と冷却室204との圧力差が所定の値を維持するように制御する(STEP8)。
【0077】
以上のように制御することによって、ゲートバルブ205が開放されることによって搬送室203内の圧力が上昇した場合であっても、適宜冷却室204内の圧力を調整し、搬送室203と冷却室204との圧力差を一定に維持することが可能となり、搬送室203内におけるガス流れを乱すことなく、膜質の低下やスループットの低下を抑制することが可能となる。
【0078】
また、本実施形態においては、搬送室203と冷却室204とを空間的に隔離するゲートバルブを設置しない構造について説明したが、これに限らず、冷却室204の側壁に搬送室203と冷却室204とを空間的に隔離するゲートバルブを設置する場合においても、上述した冷却室内の圧力制御を行ってもよい。また、冷却室204の側壁面に冷媒が流通する冷媒配管409を設けて冷却効率を向上させるように構成しても良い。
【0079】
(4)本実施形態による効果
本実施形態によれば以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
【0080】
(a)冷却室内にパージガスを供給することによって、冷却室内の不純物や副生成物をパージすることが可能となり、処理済のウエハ上に不純物が付着するなど、膜質の低下を抑制することが可能となる。
【0081】
(b)冷却室内にパージガスを供給することによって、パージガスを冷却ガスとして機能させることが可能となり、処理済のウエハを効率的に冷却させることが可能となる。
【0082】
(c)冷却室内にガス供給系とガス排気系を設けることで冷却室内の圧力制御を可能とし、搬送室内との圧力差を制御可能とすることによって、搬送室内のガス流れへの影響を最小限とすることが可能となる。
【0083】
(d)搬送室内のガス流れへの影響を最小限とすることで、装置のスループット低下やウエハに形成された膜の膜質低下を抑制することが可能となる。
【0084】
以上、本発明を実施形態に沿って説明してきたが、上述の実施形態は、適宜変更して用いることができ、その効果も得ることができる。
【0085】
例えば、上述の各実施形態では、シリコンを主成分とする膜として、アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に改質する処理について記載したが、これに限らず、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)のうち、少なくとも1つ以上を含むガスを供給させて、ウエハ200の表面に形成された膜を改質しても良い。例えば、ウエハ200に、高誘電体膜としてのハフニウム酸化膜(HfxOy膜)が形成されている場合に、酸素を含むガスを供給しながらマイクロ波を供給して加熱させることによって、ハフニウム酸化膜中の欠損した酸素を補充し、高誘電体膜の特性を向上させることができる。
なお、ここでは、ハフニウム酸化膜について示したが、これに限らず、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、鉛(Pb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の少なくともいずれかを含む金属元素を含む酸化膜、すなわち、金属系酸化膜を改質する場合においても、好適に適用可能である。すなわち、上述の成膜シーケンスは、ウエハ200上に、TiOCN膜、TiOC膜、TiON膜、TiO膜、ZrOCN膜、ZrOC膜、ZrON膜、ZrO膜、HfOCN膜、HfOC膜、HfON膜、HfO膜、TaOCN膜、TaOC膜、TaON膜、TaO膜、NbOCN膜、NbOC膜、NbON膜、NbO膜、AlOCN膜、AlOC膜、AlON膜、AlO膜、MoOCN膜、MoOC膜、MoON膜、MoO膜、WOCN膜、WOC膜、WON膜、WO膜を改質する場合にも、好適に適用することが可能となる。
【0086】
また、高誘電体膜に限らず、不純物がドーピングされたシリコンを主成分とする膜を加熱させるようにしてもよい。シリコンを主成分とする膜としては、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等のSi系酸化膜がある。不純物としては、例えば、臭素(B)、炭素(C)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)、砒素(As)などの少なくとも1つ以上を含む。
【0087】
また、メタクリル酸メチル樹脂(Polymethyl methacrylate:PMMA)、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ポリビニルフェニール樹脂などの少なくともいずれかをベースとするレジスト膜であってもよい。
【0088】
また、上述では、半導体装置の製造工程の一工程について記したが、これに限らず、液晶パネルの製造工程のパターニング処理、太陽電池の製造工程のパターニング処理や、パワーデバイスの製造工程のパターニング処理などの、基板を処理する技術にも適用可能である。