【実施例1】
【0013】
図1に、実施例1のキャピラリ電気泳動装置の装置構成図を示す。本装置は、装置上部にある照射検出/恒温槽ユニット40と、装置下部にあるオートサンプラーユニット20の、二つのユニットに大きく分けることが出来る。
【0014】
上記の注入機構であるオートサンプラーユニット20には、サンプラーベース21の上にY軸駆動体23が搭載され、Y軸に駆動を行うことが出来る。Y軸駆動体23にはZ軸駆動体24が搭載され、Z軸に駆動を行うことが出来る。Z軸駆動体24の上にはサンプルトレイ25が搭載され、サンプルトレイ25の上に、泳動媒体容器28、陽極側緩衝液容器29、陰極側緩衝液容器33、サンプル容器26をユーザがセットする。サンプル容器26は、サンプルトレイ25上に搭載されたX軸駆動体22の上にセットされ、サンプルトレイ25上でサンプル容器26のみがX軸に駆動することが出来る。Z軸駆動体24には送液機構27も搭載される。この送液機構27は泳動媒体容器28の下方に配置される。
【0015】
照射検出/恒温槽ユニット40には、上記の恒温槽である恒温槽ユニット41、恒温槽ドア43があり、中を一定の温度に保つことが出来る。恒温槽ユニット41の後方には上記の照射検出部である照射検出ユニット42が搭載され、電気泳動時の検出を行うことが出来る。恒温槽ユニット41の中に、後で詳述するキャピラリカートリッジ01をユーザがセットし、恒温槽ユニット41にてキャピラリを恒温に保ちながら電気泳動を行い、照射検出ユニット42にて検出を行う。また、恒温槽ユニット41には、電気泳動のための高電圧印加時にGNDに落とすための電極(陽極)44も搭載されてある。
【0016】
上記のように、キャピラリカートリッジ01は恒温槽ユニット41に固定される。泳動媒体容器28、陽極側緩衝液容器29、陰極側緩衝液容器33、サンプル容器26は、オートサンプラーユニット20にてYZ軸に駆動することができ、サンプル容器26のみ、さらにX軸に駆動することが出来る。固定されたキャピラリカートリッジ01のキャピラリに、泳動媒体容器28、陽極側緩衝液容器29、陰極側緩衝液容器33、サンプル容器26が、オートサンプラーユニット20の動きで任意の位置に自動で接続することが出来る。
【0017】
図2に、
図1に示したキャピラリ電気泳動装置の平面図を示す。サンプルトレイ25上にセットされた陽極側緩衝液容器29には、陽極側洗浄槽30、陽極側電気泳動用緩衝液槽31、陽極側サンプル導入用緩衝液槽32がある。また、陰極側緩衝液容器33には、廃液槽34、陰極側洗浄槽35、陰極側電気泳動用緩衝液槽36がある。
【0018】
泳動媒体容器28、陽極側緩衝液容器29、陰極側緩衝液容器33、サンプル容器26は図示のような位置関係に配置される。これにより、恒温槽ユニット41内のキャピラリ05との接続の際の陽極側−陰極側の位置関係は、「泳動媒体容器28−廃液槽34」、「陽極側洗浄槽30−陰極側洗浄槽35」、「陽極側電気泳動用緩衝液槽31−陰極側電気泳動用緩衝液槽36」、「陽極側サンプル導入用緩衝液槽32−サンプル容器26」となる。
【0019】
図3に、
図2におけるA−A断面図を示す。泳動媒体容器28はサンプルトレイ25にセットされる。また、送液機構27は、送液機構27に内蔵されたプランジャが、泳動媒体容器28の下方になるように配置される。
【0020】
電気泳動の際、キャピラリ05の
図3における右側が陰極側となり、左側が陽極側となる。サンプルトレイ25がキャピラリの陽極側及び陰極側が「陽極側電気泳動用緩衝液槽31−陰極側電気泳動用緩衝液槽36」の位置になるように移動し、陰極側のキャピラリ05に高電圧がかかり、陰極側緩衝液容器33、陽極側緩衝液容器29を介し、電極(陽極)44にてGNDに流すことで電気泳動を行う。なお、サンプルトレイ25の位置を固定して、照射検出/恒温槽ユニット40を可動にする装置構造にしても良い。
【0021】
図4Aに、本実施例におけるキャピラリカートリッジの一構成の概略図を示す。キャピラリカートリッジ01は、キャピラリ05、検出部06、キャピラリヘッド07、電極(陰極)08、電極ホルダ09から成るキャピラリアレイ02と、セパレータ10、支持体03、シート04、掴持部である把手11(
図4B参照)から構成されている。また、同図では電極ホルダ09で電極(陰極)08を保持しているが、電極(陰極)08は、直接、支持体03に固定された構造でも良い。なお、同図において、キャピラリカートリッジ01は、
図4の手前側から把手11を備える支持体03、シート04、キャピラリアレイ02の順に配置されている。
【0022】
それぞれの部品について説明する。キャピラリ05は、遮光及び強度を保持するための被覆が施された侠流路であり、例えばポリイミド被覆の施された内径約50μm程度の石英ガラス管である。この管に泳動媒体を充填して試料を泳動分離する泳動路となる。キャピラリヘッド07は、キャピラリ05の端部であり、キャピラリ05を束ねて保持するとともに、泳動媒体を充填する注入端または排出端である。セパレータ10は、キャピラリ05の本数と同一数の孔が形成されており、孔の内径はキャピラリ05の外径よりやや大きく、各孔に1本のキャピラリ05が貫通する。こうして、キャピラリ05を互いに分離し、キャピラリ05が互いに絡み合うこと、及び密集して束状になることを防止する。また、セパレータ10は、片面に粘着性を持ったシール状の部材であり、キャピラリ05を貫通させた状態でシート04に貼ることでキャピラリ05をシート04上に沿って定位させる役割もある。セパレータ10の材料は、恒温槽ユニット41にキャピラリカートリッジを固定する際に邪魔にならないように薄くて柔らかいものが好ましい。例えば、セパレータ10の材料としてはシリコンゴムや紙、フィルム等がある。セパレータの数はキャピラリ02の長さに応じて増減しても良い。セパレータ10の孔数は、キャピラリ本数が多いハイスループット版と少ないロースループット版においてセパレータ10を共通部品化する場合など、キャピラリ本数よりも多くても良い。
【0023】
電極(陰極)08は、キャピラリ05の本数に対応して存在し、電圧をかけることで、帯電した試料をキャピラリ05内に導入し、分子サイズごとに泳動分離を行うことができる。電極(陰極)08は、例えば内径0.1〜0.5mm程度のステンレスパイプであり、この中にキャピラリ05が挿入されている。検出部06は、キャピラリ05上に位置し、キャピラリ05が平面状に一定の精度で配列されている。検出部06はキャピラリ05内を通過する試料の蛍光を検出する箇所であり、装置の検出系の位置と高精度に位置合わせを行う必要がある。
【0024】
シート04には、クッション性のある柔らかいものが好ましい。クッション性のあるものを使用することでキャピラリ05の破損を防ぐことが可能である。さらに、シート04に断熱材や放熱材を使用することで、断熱性能または放熱性能を得ることも出来る。例えば、断熱材としてはポリウレタンフォームやポリエチレン等の発砲プラスチックやグラスウール等の繊維系のもの、放熱材にはシリコン等のゴムやエラストマー、放熱ジェル等がある。
【0025】
図5は、
図4に示した本実施例におけるキャピラリカートリッジ01の分解図を示す。この図を用いてキャピラリカートリッジ01の組み立てについて説明する。
【0026】
本実施例では、支持体03に対して、電極ホルダ09、検出部06、及びキャピラリヘッド07に可動域を持たせつつ、固定した点に特徴を有する。この構成にすることにより、電極08、検出部06、及びキャピラリヘッド07を電気泳動装置に精度良く位置決めしつつ、より簡便にキャピラリカートリッジ01を電気泳動装置に取り付けることができる。以下、これを実現するための構成について説明する。
【0027】
シート04は、シート04の粘着性やタック性、あるいは化学的な接着や物理的な取り付け機構等により支持体03に貼りつけられている。キャピラリ05は直線上に配置されていないため、キャピラリ05にはたわみが生じている。キャピラリアレイ02は、電極ホルダ09とキャピラリヘッド07が支持体03に取り付けられることで、一体構造となる。電極ホルダ09は、電極ホルダ09に形成された電極ホルダ連結部61を支持体03の電極ホルダ連結穴62にはめ込むことで支持体03に固定され、キャピラリヘッド07は、キャピラリヘッド07に形成されたキャピラリヘッド連結部63を支持体03のキャピラリヘッド連結穴64にはめ込むことで支持体03に固定される。
【0028】
詳しくは、電極ホルダ連結部61の先端は電極ホルダ連結穴62よりも断面が大きくなっており、はめ込んだ後は抜けないようになっている。電極ホルダ連結部61の先端以外は、電極ホルダ連結穴62よりも断面が小さくなっており、電極ホルダ連結穴62の奥行きよりも長い。したがって、電極ホルダ09は支持体03に対して固定はされているが、x・y・z軸方向に可動域を持っている。
【0029】
また、キャピラリヘッド連結部63も先端の断面が大きくなっている。キャピラリヘッド連結穴64には穴の大きい箇所と小さい箇所がある。キャピラリヘッド連結穴64の大きい箇所はキャピラリヘッド連結部63の先端の断面よりも大きい。キャピラリヘッド連結穴64の大きい箇所から、キャピラリヘッド連結部63を通す。キャピラリ05のたわみにより、キャピラリヘッド連結部63はキャピラリヘッド連結穴64の小さい箇所に移動するため、キャピラリへッド連結部63は抜けなくなる。そして、キャピラリヘッド連結部63はキャピラリ連結穴64の側面で止まり、固定される。このとき、キャピラリヘッド07は支持体03に対してキャピラリヘッド連結穴64の側面でのみ固定されているため、x・y・z軸方向に可動域を持っている。
【0030】
また、キャピラリヘッド07固定位置から検出部06の距離よりも、キャピラリヘッド07固定位置から検出部06の間のキャピラリ05は長くなっている。これにより生じるキャピラリ05のたわみを検出部おさえ65でおさえることにより、検出部06の位置決めを行う。検出部06においても、検出部押さえ65でたわみをおさえることでのみ、検出部の支持体03に対する固定を行っているため、x・y・z軸方向に可動域を持っている。さらに、検出部おさえ65でのみ検出部06の位置決めを行っているため、部品の寸法誤差の影響を受けずに精度の高い位置決めをすることが出来る。最後に、セパレータ10によりキャピラリ05の配置を調整しシート04に固定する。
【0031】
以上により、電極ホルダ09、キャピラリヘッド07、検出部06はいずれも支持体03に対して完全には固定されておらず、x・y・z方向に可動域を持っている。完全に固定されている場合、キャピラリカートリッジ01及び電気泳動装置のすべてに高い寸法精度が要求されるが、電極ホルダ09、キャピラリヘッド07及び、検出部06の固定部に可動域を有していることより、キャピラリカートリッジ01の取り付けの際にも装置寸法の個体差を許容できる。これにより、電極ホルダ09、キャピラリヘッド07、検出部06を一度に取り付けられるキャピラリカートリッジ01が可能となる。本実施例では、電極ホルダ09、キャピラリヘッド07、検出部06のすべてで可動域を持たせた固定にしているが、可動域を有した固定が1箇所のみでも、電極ホルダ09、キャピラリヘッド07、検出部06を一度に取り付けられるキャピラリカートリッジ01は実現できる。さらに、固定箇所に可動域を有しているため、電極ホルダ09、キャピラリヘッド07、検出部06の装置への固定は、恒温槽ドア43の開閉や重力による支持体のずれや、熱による支持体のゆがみの影響を受けないようになる。
【0032】
また本実施例では、電極ホルダ09と支持体03の間に弾性体66を設けている。弾性体66は、弾性体66の粘着性やタック性、あるいは化学的な接着や物理的な取り付け機構等により支持体03または電極ホルダ09に貼りつけられている。弾性体66は、電極ホルダ09と支持体03の連結部距離よりもわずかに厚い。また、弾性体66には、キャピラリ05のたわみによる張力よりも大きい弾性力を有するものを使用する。これにより、キャピラリ05のたわみによる電極ホルダ09の回転を抑えることで、電極ホルダ09の取り付け性を向上させる。さらに、この弾性体66には、電極ホルダ09と支持体03の連結部におけるキャピラリ05の露出を防ぐ役割もある。キャピラリ05の露出を防ぐことで、外部からの影響を受けにくくなり、安定した温度制御が行える。また、弾性体66に、シート04のように断熱材や放熱材を使用することで断熱性能または放熱性能を向上することもできる。本実施例では、電極ホルダ09と支持体03の連結部にのみ、弾性体66を設けているが、検出部06と支持体03、キャピラリヘッド07と支持体03の間に弾性体66を設けても良い。
【0033】
図6に、本実施例のキャピラリカートリッジ01の取り付けの詳細図の一例を示す。装置側にある支持体挿し込み口55である開口部に支持体03に形成された挿し込み部56である突出部を差し込む。このとき同時に、電極ホルダ位置決め穴52を装置側にある電極ホルダ位置決めピン51に入れながら、支持体に形成された支持体足部53を装置側の支持体足場54に置くことでキャピラリカートリッジ01を取り付けられる。この支持体03の挿し込みにより恒温槽ドア43を閉じるときの支持体03の片当たりによるキャピラリカートリッジ01の浮き上がりを防止している。そして、恒温槽ドア43を閉めることで、キャピラリカートリッジ01は取り付け面50に押し付けられ固定される。このとき、検出部06も同時にクリップ57に押し込まれることで固定される。クリップ57による検出部06の固定についての詳細を以下で述べる。
【0034】
図7に、クリップ57の断面図を示す。キャピラリカートリッジ01を取り付け面50に近づけていくと、同図上段に示すように検出部06がクリップ57の凸部にあたる事で一度クリップ57を押し込み、さらに近づけると、同図中段と下段に示すように検出部06はクリップ57の凸部を越え、クリップ57がバネ58の反力で検出部06を押さえて仮固定する構造になっている。このとき、凸部を越えると同時に、反力でクリップ57が瞬時に動くことでクリック音が鳴り、ユーザはキャピラリカートリッジ01が仮固定されたことを確認できるようになっている。
【0035】
図8に、本実施例のキャピラリカートリッジの支持体03とシート04の断面図を示す。シート04に柔らかい部材を使用すると、荷重がかかった際につぶれて変形し、キャピラリ05との接触面積が小さくなり、キャピラリ05との間に空気層が形成されてしまうため、硬度に合わせて形状や変形量をコントロールする必要がある。そこで、本実施例のキャピラリカートリッジ01の支持体03は箱型構造になっており、支持体03の外周部に設けられたシート04側に突き出た突出部03Aにより、シート04が平面方向に一定の大きさ以上に変形できないよう制限している。また、シート04の端部と支持体03の外周部の間に空隙が設ける、すなわち、支持体03の突出部03Aまでのオフセット距離を、シート04の弾性率を踏まえて設計することで、シート04が突出部03Aを超えてはみだして変形することを防ぐことができる。また、支持体03の突出部03Aの高さは、シート04の厚みより低くしており、荷重がかかっても支持体03の高さ以上にシート04がつぶれることはない。このため、キャピラリカートリッジ01を取り付ける装置面に、シート04を確実に接触させることが可能である。
【0036】
さらに、
図9に本実施例のキャピラリ05周辺部の断面図を示す。キャピラリカートリッジ01を電気泳動装置側の取り付け面50に接触させて所定の荷重をかけた際に、シート04がキャピラリ02の形状に沿って変形するため、キャピラリ02との接触面積を大きくする事ができる。このとき、恒温槽ドア43によりシート04の面全体に均一に荷重をかけることで、取り付け面50とシート04との間に空気層を作りにくくしている。したがって、安定した断熱性能及び放熱性能を得ることが出来る。しかし、完全に取り付け面50とシート04の間に空気層がなくなると、シート04が吸盤のようなってしまい、キャピラリカートリッジ01が取り外せなくなる可能性がある。本実施例では、間にキャピラリ05を挟んだ一体構造であり、キャピラリ05がシート04の外側まで配置されており、空気層が完全になくなることはない。そのため、取り付け面50にくっついてしまうことなく簡単に取り外すことが可能である。
【0037】
シート04の面全体に均一に荷重をかけられる恒温槽ドア43の一例を
図10に示す。恒温槽ドア43はバネ等の弾性体を挟んだ2段構造を有する。すなわち、恒温槽ドア43は、ドア支持体73に1個以上の押し板用バネ71を介して押し板72がついた2段構造となっており、クッション性を持たせている。このため、キャピラリカートリッジ01全体を均一に押すことが出来る。さらに、バネ定数を調節することで、恒温槽ドア43が閉まった際にキャピラリカートリッジ01にかかる荷重をコントロールすることができる。例えば、バネ定数3N/mmのバネ53を12個用いると、恒温槽ドア43を閉めた際に30Nの荷重をかけることができる。
【実施例2】
【0038】
本実施例は、キャピラリカートリッジ01の装置への取り付けにおける検出部06の固定様式の一例である。
図11に、装置上の検出部固定箇所のYZ平面による断面図を示す。ここで、Y軸は装置の前後方向、Z軸は装置の上下方向とする。以下、
図5、6、11を参照して、キャピラリカートリッジ01を装置に取り付けるときに、どのように検出部06が装置上の検出部固定箇所に高精度に最終固定されるかを詳細に説明する。
【0039】
1番目のステップとして、キャピラリカートリッジ01の挿し込み部56を装置の支持体挿し込み口55に挿し込みながら、キャピラリカートリッジ01の支持体足部53を装置の支持体足場54に置く。なお、挿し込み部56を省いたキャピラリカートリッジ01の構成でも良いし、挿し込み部56を省いたキャピラリカートリッジ01及び支持体挿し込み口55を省いた装置の組み合わせの構成でも良い。この1番目のステップの際、
図11上段に示されるように、検出部06は、装置上の検出部ガイド80のテーパ部に自動的に接触する。これは、検出部06が支持体03の検出部押さえ65で固定されることにより、支持体上での検出部06の位置決めがなされているためである。なお、支持体上での検出部06の位置決めは、上述の検出部押さえ65のような、開口部においてキャピラリ張力によって検出部06が突き当てられる基準面による位置決めでも良いし、開口部において検出部が可動する基準範囲による位置決めでも良い。
【0040】
次に、2番目のステップとして、恒温槽ドア43(
図1参照)を閉める。この2番目のステップの際、
図11中段に示されるように、恒温槽ドア43に設けられた検出部押し込み部品83によって、検出部06は、検出部ガイド80のテーパ部に沿って動きながら、装置上のY軸基準面81に向かって押し込まれていく。最終的には、
図11下段に示されるように、検出部は装置上のY軸基準面81およびZ軸基準面82に突き当てられ、自動的に検出部固定箇所に最終固定される。
【0041】
これは、検出部が可動域を有して支持体に連結されている構成によって、検出部が支持体から独立に最終固定されるようになされているためである。なお、検出部を最終固定させる機構は、上述したような恒温槽ドア上の部品による押し込みでも良いし、装置上の他の部品による押し込みでも良い。また、この2番目のステップでは、取り付け者が指で検出部を押し込むことによって検出部を検出部固定箇所に仮固定してから、恒温槽ドアを閉めるようにしても良い。また、本実施例では、検出部のX軸基準面は装置上には存在せず、支持体上の検出部押さえ65がそのまま検出部最終固定のX軸基準面になるが、装置上に検出部最終固定のX軸基準面が存在しても良い。
【0042】
以上、キャピラリカートリッジの装置への取り付けにおける検出部の固定様式の一例を述べたが、装置上の検出部の固定箇所において、テーパ部を有するクリップ、あるいは
図7に示されるようなテーパ部と同様に機能する凸部を有するクリップ57が備えられ、このクリップが検出部を押し込むことにより、検出部が装置上のZ軸基準面82に突き当てられる構成であっても勿論良い。
【実施例3】
【0043】
本実施例は、キャピラリカートリッジの装置への取り付けにおけるキャピラリヘッドの固定様式の一例である。
図12に、装置上のキャピラリヘッド固定箇所の斜視図を示す。ここで、X軸は装置の左右方向、Y軸は装置の前後方向、Z軸は装置の上下方向とする。以下、
図5、6、12を参照して、キャピラリカートリッジを装置に取り付けるときに、どのようにキャピラリヘッドが装置上のキャピラリヘッド固定箇所に高精度に最終固定されるかを詳細に説明する。
【0044】
1番目のステップとして、キャピラリカートリッジ01の挿し込み部56を装置の支持体挿し込み口55に挿し込みながら、キャピラリカートリッジ01の支持体足部53を装置の支持体足場54に置く。なお、挿し込み部56を省いたキャピラリカートリッジ01の構成でも良いし、挿し込み部56を省いたキャピラリカートリッジ01及び支持体挿し込み口55を省いた装置の組み合わせの構成でも良い。この1番目のステップの際、
図12上段に示されるように、キャピラリヘッド07は、装置上のキャピラリヘッドガイド90のテーパ部に自動的に接触する。これは、キャピラリヘッド07が支持体03のキャピラリヘッド連結穴64で固定されることにより、支持体03上でのキャピラリヘッド07の位置決めがなされているためである。なお、支持体上でのキャピラリヘッド07の位置決めは、上述したような、キャピラリ張力によってキャピラリヘッド連結部63が突き当てられるキャピラリヘッド連結穴64の内周の基準面によっても良いし、あるいはキャピラリヘッド連結穴64の開口部においてキャピラリヘッド連結部63が可動できる基準範囲によっても良い。
【0045】
次に、2番目のステップとして、恒温槽ドア43(
図1参照)を閉める。この2番目のステップの際、恒温槽ドア43に設けられたキャピラリヘッド押し込み部品(
図12には示されない)によって、キャピラリヘッドは、キャピラリヘッドガイド90のテーパ部に沿って動きながら、装置上のY軸基準面92に向かって押し込まれていく。最終的には、
図12下段に示されるように、キャピラリヘッドは装置上のX軸基準面91、Y軸基準面92およびZ軸基準面93に突き当てられ、自動的にキャピラリヘッド固定箇所に最終固定される。これは、キャピラリヘッドが可動域を有して支持体に連結されている構成によって、キャピラリヘッドが支持体から独立に最終固定されるようになされているためである。なお、キャピラリヘッドを最終固定させる機構は、上述したような恒温槽ドア上の部品による押し込みでも良いし、装置上の他の部品による押し込みでも良い。また、この2番目のステップでは、取り付け者が指でキャピラリヘッドを押し込むことによってキャピラリヘッドをキャピラリヘッド固定箇所に仮固定してから、恒温槽ドアを閉めるようにしても良い。
【実施例4】
【0046】
本実施例は、キャピラリカートリッジ01の装置への取り付けにおける電極ホルダ09の固定様式の一例である。
図13に、装置上の電極ホルダ固定箇所の斜視図を示す。ここで、X軸は装置の左右方向、Y軸は装置の前後方向、Z軸は装置の上下方向とする。以下、
図5、6、13を参照して、キャピラリカートリッジを装置に取り付けるときに、どのように電極ホルダが装置上の電極ホルダ固定箇所に高精度に最終固定されるかを詳細に説明する。
【0047】
1番目のステップとして、キャピラリカートリッジ01の挿し込み部56を装置の支持体挿し込み口55に挿し込みながら、キャピラリカートリッジ01の支持体足部53を装置の支持体足場54に置く。なお、挿し込み部56を省いたキャピラリカートリッジ01の構成でも良いし、挿し込み部56を省いたキャピラリカートリッジ01及び支持体挿し込み口55を省いた装置の組み合わせの構成でも良い。この1番目のステップの際、
図13上段に示されるように、電極ホルダ09は、装置上の電極ホルダ位置決めピン51のテーパ部に自動的に接触する。これは、電極ホルダ09が支持体03の電極ホルダ連結穴62で固定されることにより、支持体上での電極ホルダ09の位置決めがなされているためである。なお、支持体上での電極ホルダ09の位置決めは、上述したような、キャピラリ張力によって電極ホルダ連結部61が突き当てられる電極ホルダ連結穴62の内周の基準面によっても良いし、あるいは電極ホルダ連結穴62の開口部において電極ホルダ連結部61が可動できる基準範囲によっても良い。また、キャピラリ張力によって電極ホルダ09そのものが突き当てられる電極ホルダ連結穴62とは別の部位の基準面を支持体等に設けても良く、例えば、キャピラリ05のたわみによる電極ホルダ09の回転を、支持体の下面に当てて、おさえることで位置決めしても良い。
【0048】
次に、2番目のステップとして、恒温槽ドア43(
図1参照)を閉める。この2番目のステップの際、恒温槽ドア43に設けられた電極ホルダ押し込み部品(
図13には示されない)によって、電極ホルダ09は、位置決めピン51のテーパ部に沿って動きながら、装置上のY軸基準面102に向かって押し込まれていく。最終的には、
図13下段に示されるように、電極ホルダ09は装置上のX軸Z軸基準面101(円形凹部の内周)、及びY軸基準面102に突き当てられ、自動的に電極ホルダ固定箇所に最終固定される。これは、電極ホルダ09が可動域を有して支持体03に連結されている構成によって、電極ホルダ09が支持体03から独立に最終固定されるようになされているためである。なお、電極ホルダ09を最終固定させる機構は、上述したような恒温槽ドア43上の部品による押し込みでも良いし、装置上の他の部品による押し込みでも良い。また、この2番目のステップでは、取り付け者が指で電極ホルダ09を押し込むことによって電極ホルダ09を電極ホルダ固定箇所に仮固定してから、恒温槽ドア43を閉めるようにしても良い。