(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6842034
(24)【登録日】2021年2月24日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】開扉検知装置
(51)【国際特許分類】
E05F 7/00 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
E05F7/00 F
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-234620(P2016-234620)
(22)【出願日】2016年12月2日
(65)【公開番号】特開2018-91029(P2018-91029A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2019年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】特許業務法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 光治
【審査官】
富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭60−073194(JP,A)
【文献】
特開2007−080239(JP,A)
【文献】
米国特許第05064328(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第102009048743(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q11/00−13/00
B30B15/10−15/28
E05F1/00−13/04、17/00
E06B7/00−7/36
F16P1/00−7/02
G08B13/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を有する安全柵に設けられる開扉検知装置であって、
前記安全柵の幅方向に沿って配置され、一端が固定されたロープと、
前記ロープの他端に接続された可動部材と、
前記可動部材に設けられ、前記ロープに張力を発生させるスプリングと、
前記可動部材の動きを検知するスイッチと、を備え、
前記扉が開くと、前記扉により前記ロープが引っ張られ、前記可動部材が前記ロープ側に動き、
前記ロープは複数に分割されており、分割部分が前記扉の近傍に配置された連結部で分断可能に連結されている
ことを特徴とする開扉検知装置。
【請求項2】
前記スイッチは、前記可動部材の前記ロープ側への動きと、逆側への動きとの両方を検知する
ことを特徴とする請求項1記載の開扉検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開扉検知装置に関する。さらに詳しくは、自動設備などの安全柵に備えられた扉が開いたことを検知する開扉検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動設備は、各所に設置されたセンサの信号に基づき、予め設定された処理を自動的に行う設備である。自動設備の運転中は、各種装置が作業員の能動的な操作によらず動作する。そのため、運転中の自動設備内に作業員が立ち入ると、装置の予期せぬ動作に巻き込まれる恐れがある。
【0003】
そこで、自動設備の周囲には安全柵が設けられる。設備点検などの際には、作業員が安全柵の中に立ち入る必要があるため、安全柵には扉が設けられる。一方で、自動設備の運転中に作業員が安全柵の中に立ち入ることを防止する必要がある。そのため、安全柵の扉に開扉を検知するセンサを取り付け、自動設備の運転中に扉が開けられた場合には、自動設備を非常停止させる。
【0004】
開扉を検知するセンサとして、キースイッチやプラグスイッチが知られている(例えば、特許文献1)。しかし、この種のセンサは、安全柵に複数の扉がある場合には、扉ごとに取り付ける必要がある。また、全てのセンサに電気配線を接続しなければならない。そのため、構成が複雑となり、施工費用が高いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−99350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、構成が簡易な開扉検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の開扉検知装置は、扉を有する安全柵に設けられる開扉検知装置であって、前記安全柵の幅方向に沿って配置され、一端が固定されたロープと、前記ロープの他端に接続された可動部材と、前記可動部材に設けられ、前記ロープに張力を発生させるスプリングと、前記可動部材の動きを検知するスイッチと、を備え、前記扉が開くと、前記扉により前記ロープが引っ張られ、前記可動部材が前記ロープ側に動
き、前記ロープは複数に分割されており、分割部分が前記扉の近傍に配置された連結部で分断可能に連結されていることを特徴とする。
第2発明の開扉検知装置は、第1発明において、前記スイッチは、前記可動部材の前記ロープ側への動きと、逆側への動きとの両方を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、簡易な構成であるにもかかわらず、開扉を検知できる。また、安全柵に複数の扉が備えられていても、一つの開扉検知装置で全ての扉を監視できる。
第2発明によれば、ロープが切れたなどの異常を検知できるので、より安全である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る開扉検知装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の一実施形態に係る開扉検知装置1は、
図3に示すような安全柵Fに設けられる。安全柵Fの中には自動設備などが設置される。開扉検知装置1は安全柵Fに備えられた扉Dが開いたことを検知するのに用いられる。なお、扉Dの数は1つでもよいし、複数でもよい。
【0011】
開扉検知装置1は、ロープ10と、検知部20とを備えている。ロープ10は安全柵Fの外側に、安全柵Fの幅方向に沿って、それを囲うように配置されている。扉Dは安全柵Fの外側に開く開き戸であり、扉Dを開くとロープ10と干渉する。なお、扉Dが安全柵Fの内側に開く開き戸である場合には、ロープ10は安全柵Fの内側に、安全柵Fの幅方向に沿って配置される。
【0012】
ロープ10の一端11は壁Wに固定されている。ロープ10の他端12は検知部20に接続されている。検知部20は安全柵Fに固定されている。なお、ロープ10の一端11や、検知部20の固定場所は特に限定されず、壁Wでもよいし安全柵Fでもよい。
【0013】
図4に示すように、安全柵Fには地面Gから所定高さに所定間隔で複数のリング13が設けられている。リング13にロープ10を通すことで、ロープ10が地面Gから所定高さに略水平に保持される。このようにすれば、ロープ10の長さと安全柵Fの周囲の長さとが略同一になるので、ロープ10の長さの選定が容易になり、ロープ10が短すぎたり、長すぎたりすることを抑制できる。
【0014】
また、ロープ10は複数に分割されており、分割部分がフック14とアイ15とで連結されている。この連結部は扉Dの近傍に配置されている。設備点検などのために作業員が扉Dを開ける場合には、フック14をアイ15から外すことにより、ロープ10を分断してから、扉Dを開ける。こうすることにより、ロープ10が作業員の進入の邪魔にならない。
【0015】
図1および
図2に示すように、検知部20はベース21を備えている。ベース21は安全柵Fに固定されている。なお、安全柵F自体をベース21として用いてもよい。ベース21には2つのガイド22a、22bが設けられている。ガイド22a、22bは筒状であり、ロッド23が挿入されている。ロッド23はガイド22a、22bにより略水平に支持されており、また、略水平方向に摺動可能となっている。ロッド23の一端に、ロープ10の端部12が接続されている。
【0016】
ロッド23の他端にはスプリング24が接続されている。スプリング24は両端にフックを有する引張ばねである。スプリング24の一方のフックがロッド23の端部に掛けられており、他方のフックがベース21に設けられた突出部25に掛けられている。
【0017】
ロープ10の端部12はロッド23およびスプリング24を介して安全柵Fに固定されている。全ての扉Dが閉じられた閉状態で、スプリング24が弾性変形によりある程度伸びるように、ロープ10の長さが設定されている。スプリング24の弾性力によりロープ10がロッド23側に引っ張られ、ロープ10に張力を発生させることができる。
【0018】
一方のガイド22aにはスリット22sが形成されている。ロッド23には2本のアーム26a、26bが設けられている。アーム26a、26bの基端部はスリット22sに通されている。これにより、ロッド23の軸回りの回転が規制される。
【0019】
ベース21にはリミットスイッチ27が固定されている。リミットスイッチ27はアーム27aを有しており、アーム27aの回動を検知できる。アーム27aの先端部はロッド23に固定されたアーム26a、26bの間に挟まれている。ロッド23が左右に動くと、アーム26a、26bが左右に動き、アーム27aが回動する。そのため、リミットスイッチ27によりロッド23の動きを検知できる。
【0020】
なお、リミットスイッチ27はアーム27aの時計回りの回動も、反時計回りの回動も検知できる。したがって、リミットスイッチ27は、ロッド23のロープ10側への動きと、その逆側への動きとの両方を検知できる。
【0021】
作業員が扉Dを開くと、扉Dとロープ10とが干渉し、扉Dによりロープ10が引っ張られる。そうすると、ロッド23がロープ10側に動き、リミットスイッチ27でこれを検知できる。このように、開扉検知装置1は簡易な構成であるにもかかわらず、開扉を検知できる。
【0022】
また、安全柵Fに複数の扉Dが備えられていても、いずれかの扉Dが開けば、それを検知できる。すなわち、一つの開扉検知装置1で全ての扉Dを監視できる。そのため、部品点数を少なくでき、電気配線の延線距離を短くできる。
【0023】
開扉検知装置1による開扉の検知信号に基づき、安全柵F内の自動設備を非常停止させる。これにより、自動設備の運転中に、作業員が誤って安全柵Fの中に立ち入っても、危険が生じない。
【0024】
何らかの原因でロープ10が切れた場合、あるいは作業員がロープ10のフック14をアイ15から外し、ロープ10を分断して扉Dを開けようとした場合、ロッド23はスプリング24の弾性力によりロープ10側とは逆側に動く。ロッド23のこの動きもリミットスイッチ27で検知できる。開扉検知装置1は、ロープ10が切れたなどの異常を検知でき、検知信号に基づき安全柵F内の自動設備を非常停止させることもできるので、より安全である。
【0025】
なお、ロッド23は特許請求の範囲に記載の「可動部材」に相当する。可動部材としては、その動きをリミットスイッチ27に伝達できる部材であれば特に限定されず、種々の部材を採用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 開扉検知装置
10 ロープ
20 検知部
21 ベース
23 ロッド
24 スプリング
27 リミットスイッチ