(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る振動解析システム1について説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1のブロック図に示すように、本実施の形態に係る振動解析システム1は、カメラ11、制御ユニット20を備える。
【0021】
カメラ11は、振動の解析対象である回転体50を撮影するカメラである。回転体50は、エンドミル、ドリル等の切削工具、駆動力を伝達する各種の動力軸等、回転軸を中心として回転するものであり、特に限定されない。カメラ11は、予め定められた所定のフレームレートFで回転体50を撮影し、各時刻の画像データを出力する。
【0022】
制御ユニット20は、例えばコンピュータ装置であり、
図1に示すように、制御部21、記憶部22、表示部23、入力部24を備える。
【0023】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、水晶発振器等から構成されており、振動解析システム1の動作を制御する。また、制御部21は、カメラ11で撮影された回転体50の画像データに基づいて、回転体50の振動状態を解析する。制御部21は、制御部21のROM、記憶部22等に記憶されている各種動作プログラム及びデータをRAMに読み込んでCPU及びGPUを動作させることにより、
図1に示される制御部21の各機能を実現させる。これにより、制御部21は、画像データ取得部211、演算部212として動作する。
【0024】
画像データ取得部211は、カメラ11を制御して、回転体50を所定のフレームレートFで撮影する。また、画像データ取得部211は、撮影された回転体50を表す時系列の画像データをカメラ11から取得する。
【0025】
演算部212は、画像データ取得部211で取得された画像データに基づいて、回転体50の振動状態を解析する。より具体的には、演算部212は、デジタル画像相関法等の画像処理により、回転体50の動作によって生じる共振周波数付近の振動の大きさ、変動等を検出する。
【0026】
記憶部22は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、時系列の画像データから回転体50の振動状態を解析する演算アルゴリズム、演算部212で算出された回転体50の振動状態を示すデータ等を記憶する。
【0027】
表示部23は、コンピュータ装置である制御ユニット20に備えられた表示用デバイスであり、例えば液晶パネルである。表示部23は、カメラ11で撮影された回転体50の画像、演算部212で算出された回転体50の振動状態を示すグラフ等を表示する。
【0028】
入力部24は、解析を行う回転体50の解析位相等のパラメータの設定、解析の開始、終了指示等を入力するための入力デバイスである。入力部24は、制御ユニット20に備えられたキーボード、タッチパネル、マウス等である。
【0029】
続いて、
図2のフローチャートを参照しつつ、振動解析システム1を用いた振動解析方法について説明する。本実施の形態では、
図3に示すように、回転体50であるエンドミルを撮影して、撮影された時系列の画像から、回転体50の共振周波数付近の振動を検出する場合を例として説明する。
【0030】
本実施の形態に係る振動解析処理では、まず、回転体50の振動を解析するための解析位相φ
N(Nは1〜nの自然数)、すなわち回転体50の回転角度を設定する(ステップS11)。より具体的には、
図4に示すように、回転体50が1回転する間の、1又は2以上の解析位相φ
Nを設定し、設定された解析位相φ
N毎に振動を解析する。これにより、回転体50の外観形状が、位相によって異なることに起因して、振動として検出される回転成分の影響を低減することができる。
【0031】
解析位相φ
Nの数であるnは、フレームレートF(fps)と回転体50の回転周波数f
R(Hz)とを用いて、例えば、N=F/f
Rとすることができる。
【0032】
続いて、画像データ取得部211は、回転体50の非共振画像
0Iを取得してLUT(Lookup Table)を作成する(ステップS12)。LUTに登録される非共振画像
0Iは、回転体50の非共振状態、例えばエンドミルである回転体50が被削体に接触しておらず、無負荷状態で回転することにより、共振を生じない状態の画像である。画像データ取得部211は、カメラ11を制御して、解析位相φ
Nに対応する非共振画像
0Iを撮影する。また、画像データ取得部211は、撮影した非共振画像
0Iをカメラ11から受信してLUTを作成し、記憶部22に記憶させる。
【0033】
続いて、画像データ取得部211は、回転体50の動作画像I(x,y,t)(以下、動作画像Iともいう。)を取得する(ステップS13)。より具体的には、画像データ取得部211は、カメラ11を制御して、予め定められた所定のフレームレートFで、回転体50を撮影する。動作画像Iは、回転体50の動作状態の画像であり、本実施の形態では、エンドミルである回転体50が被削材を切削している状態の画像である。すなわち、動作画像Iは、負荷状態で動作することによって生じる、共振成分等、回転成分以外の振動成分を含む時系列画像である。
【0034】
演算部212は、画像データ取得部211で取得された動作画像Iについて、位相を推定する。本実施の形態に係る回転体50は、一定の回転周波数f
Rで回転しているので、位相の推定は、時刻を基準に行うことができる。すなわち、
図4に示すように、回転体50の回転周期T
R=1/f
Rを用いて、位相φを表すことができる。例えば、時刻tの動作画像I(x,y,t)の位相をφ=0とすると、時刻t+T
R/4の動作画像I(x,y,t+T
R/4)の位相はφ=π/2となる。
【0035】
演算部212は、
図5に示すように、推定された位相に対応する解析位相φ
N毎に動作画像Iを割り振って、時系列の位相ロックイン画像I
φN(x,y)(以下、位相ロックイン画像I
φNともいう。)を生成する(ステップS14)。また、演算部212は、生成された位相ロックイン画像I
φNに基づいて、振動検出を行う。振動検出方法は、特に限定されず、デジタル画像相関法等の公知の方法を用いることができる。本実施の形態では、解析位相φ
N毎に回転体50の振動状態を解析するので、回転体50の回転偏心成分がキャンセルされ、位相による回転体50の外観の変化の影響を低減することができる。
【0036】
ここで、初期データである動作画像IのフレームレートFが、共振周波数f
Nに対して十分高く設定されている場合であっても、間引きデータとなる位相ロックイン画像I
φNのフレームレートf
Rは、共振周波数f
Nより低くなるおそれがある。この場合、位相ロックイン画像I
φNでは、共振成分の振動がアンダーサンプリングされる。
【0037】
十分高いフレームレートFで撮影された動作画像Iから検出される振動のスペクトルの例を
図6(A)に示す。また、
図6(A)に示される回転成分と共振成分の振動がアンダーサンプリングされた場合のスペクトルを
図6(B)に示す。
図6(B)に示すように、アンダーサンプリングされた画像の観測周波数領域は0〜f
R/2であり、見かけの共振周波数f’
Nは、0≦f’
N≦f
R/2の範囲となる。また、回転成分の振動は、DC成分であるので、
図6(B)に示すように、見かけの回転周波数とその高調波成分はアンダーサンプリングにより周波数0付近の成分となる。
【0038】
アンダーサンプリングされた画像に基づいて検出される振動から、共振成分と回転成分とを分離するためには、
図7に示すように、見かけの共振周波数と見かけの回転周波数とが離れており、共振周波数f
Nと回転周波数f
Rの倍数とが一致しないことが求められる。したがって、分離条件は、マージンΔf
Rを用いて、以下の式で表される。
kf
R+Δf
R≦f
N≦(k+1)f
R−Δf
R
【0039】
共振周波数f
Nが回転周波数f
Rの整数倍とほぼ一致する場合、回転成分のピークがなだらかな場合等では、マージンΔf
Rを小さくできないので、回転成分と共振成分との分離は難しい。
【0040】
したがって、アンダーサンプリングによる不具合を低減するため、解析位相φ
N毎に算出された変位の時間変化を合成して、サンプリング周波数を高める。より詳細には、各解析位相φ
Nにおいて算出された変位の時間変化V
φN(t)(
図8(A))について、基準変位をゼロに補正する(ステップS15)。本実施の形態では、演算部212は、LUTを参照して、位相ロックイン画像I
φNと位相ロックイン画像I
φNに対応する解析位相φ
Nの非共振画像
0Iとの差分画像を生成する。そして、演算部212は、生成した差分画像に基づいて、解析位相φ
N毎の振動変位V’
φN(t)を算出する。これにより、
図8(B)に示すように、位相毎の補正後の振動変位V’
φN(t)は、基準変位をゼロとする波形となる。
【0041】
補正後の位相毎の振動変位V’
φN(t)は、以下の式で表される。
【数1】
ただし、
0V’
φnは位相毎の共振のない状態の変位である。
【0042】
演算部212は、ステップS15で算出された振動変位V’
φN(t)を合成して、合成振動変位V’(t)を生成する(ステップS16)。合成振動変位V’(t)は、以下の式で表される。
【数2】
【0043】
上述のように、補正後の振動変位V’
φN(t)を合成することにより、解析位相φ
N毎の外観形状の違いによって生じる回転成分の影響を低減することができる。また、合成により、フレームレートf
RをN倍した合成振動変位V’(t)に基づいて振動を解析することができる。したがって、共振周波数f
Nの観測周波数領域が0〜f
R/2から、0〜Nf
R/2へと拡張され、アンダーサンプリングによる不具合を低減することができる。
【0044】
制御部21は、合成振動変位V’(t)に基づいて、回転体50の振動状態を解析する(ステップS17)。例えば、算出された合成振動変位V’(t)を高速フーリエ変換して、表示部23に表示させる。また、所定の窓時間毎に振動状態を解析して、表示させることにより、回転体50の振動状態の時間変化を把握することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態に係る振動解析システム1では、回転体50の位相毎の時系列画像に基づいて振動成分を検出するので、回転体の回転に伴う振動成分と共振成分とを分離して、共振成分の振動を精度よく検出することができる。
【0046】
また、回転体50の位相毎に非共振画像
0Iと動作画像Iとの差分画像から変位を算出して、位相毎の変位を合成するので、位相毎の回転成分の影響を低減するとともに、アンダーサンプリングによる不具合を低減し、高周波の共振成分振動を検出することが可能となる。
【0047】
(実施の形態2)
実施の形態1では、時刻を基準として動作画像I(x,y,t)の解析位相φ
Nを推定することとしたが、撮影された回転体50の外観形状に基づいて解析位相φ
Nを推定することもできる。本実施の形態では、動作画像Iから回転体50の解析位相φ
Nを推定して、位相ロックイン画像I
φNを生成する場合について説明する。
【0048】
本実施の形態に係る振動解析システム1では、演算部212が、動作画像Iについて回転体50の解析位相φ
Nを推定する方法が実施の形態1と異なる。その他、カメラ11、制御ユニット20の構成等については、実施の形態1と同様であるので同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0049】
以下、
図9のフローチャートを参照しつつ、本実施の形態に係る振動解析方法について具体的に説明する。ステップS31の解析位相φ
Nの設定、ステップS32の非共振画像
0Iの取得は、実施の形態1に係るステップS11、ステップS12と同様である。本実施の形態では、取得された非共振画像
0Iを、予め、ステップS31で設定した解析位相φ
Nと関連付けて、LUTを作成する。非共振画像
0Iと解析位相φ
Nとの関連付けは、例えば、非共振画像
0Iの撮影時刻に基づいて行われる。この場合、非共振画像
0Iは、切削加工を行っていない無負荷状態で撮影されるので、切削時の摩擦等による位相のずれは生じない。したがって、動作画像Iと比較して、少ない誤差で非共振画像
0Iと解析位相φ
Nとを関連付けることができる。
【0050】
続いて、振動解析システム1は、実施の形態1に係るステップS13と同様に、回転体50の動作画像Iを撮影する(ステップS33)。画像データ取得部211は、撮影された動作画像Iのデータをカメラ11から取得する。
【0051】
演算部212は、画像データ取得部211で取得された時系列画像データである動作画像Iについて、解析位相φ
Nを推定する(ステップS34)。本実施の形態に係る解析位相φ
Nの推定は、動作画像Iに撮影されている回転体50の外観形状に基づいて行われる。より具体的には、演算部212は、時系列の画像データである動作画像Iの各時刻の画像について、LUTに保存されている非共振画像
0I(LUT画像)を参照し、最も類似度の高いLUT画像を選択する。そして、演算部212は、選択されたLUT画像に関連付けられた解析位相φ
Nを、動作画像Iの解析位相φ
Nと推定する。
【0052】
また、演算部212は、時刻tの動作画像Iを、推定した解析位相φ
Nの位相ロックイン画像I
φNを構成する画像データとして、位相ロックイン画像I
φNに組み込む。これにより、演算部212は、推定された解析位相φ
N毎に位相ロックイン画像I
φNを生成する(ステップS35)。
【0053】
また、演算部212は、生成された位相ロックイン画像I
φNに基づいて、振動検出を行う。具体的には、演算部212は、実施の形態1と同様に、各解析位相φ
Nにおいて算出された変位の時間変化V
φ1(t)について、基準変位をゼロとする補正を行う(ステップS36)。すなわち、演算部212は、LUTを参照して、位相ロックイン画像I
φNと位相ロックイン画像I
φNに対応する解析位相φ
Nの非共振画像
0Iとの差分画像を生成する。そして、差分画像に基づいて振動変位を算出し、基準変位をゼロとする補正後の解析位相毎の振動変位V’
φN(t)を生成する。
【0054】
演算部212は、補正後の位相毎の振動変位V’
φN(t)を合成して、合成振動変位V’(t)を生成する(ステップS37)。制御部21は、実施の形態1と同様に、合成振動変位V’(t)に基づいて、回転体50の振動状態を解析する(ステップS38)。例えば、算出された合成振動変位V’(t)を高速フーリエ変換して、表示部23に表示させる。また、所定の窓時間毎に振動状態を解析して、表示させることにより、回転体50の振動状態の時間変化を把握することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態に係る振動解析システム1では、回転体50の外観形状に基づいて、動作画像Iの解析位相φ
Nを推定するので、回転体50の動作によって生じる時刻と位相とのずれの影響を低減することができる。
【0056】
本実施の形態では、回転体50の外観形状に基づく類似度によって、動作画像Iの解析位相φ
Nを推定することとしたが、これに限られない。例えば、エンドミルの切れ刃の一部等、回転体50の特徴量に基づいて作成された特徴量マップによって解析位相φ
Nを推定することとしてもよい。適切な特徴量を抽出することにより、位相推定のための演算部212の演算量を低減することができる。
【0057】
また、回転体50の一部に回転体50の位相を明示する外観上の特徴を付し、これに基づいて動作画像Iの解析位相φ
Nを推定することとしてもよい。例えば、エンドミルのチャック部にオプティカルエンコーダで用いられる位相検出パターンを付すこととしてもよい。この場合、例えば16ビットのパターンを用いることにより、1°以下の位相間隔で振動解析を行うことができる。
【0058】
(実施の形態3)
上記各実施の形態では、所定のフレームレートFで撮影された動作画像Iについて解析位相φ
Nを推定して振動解析を行うこととしたが、所定の解析位相φ
Nで回転体50を撮影して動作画像Iを生成することもできる。本実施の形態では、撮影のタイミングであるフレームタイミングを制御可能な可変フレームレートカメラを用いて、回転体50を所定の解析位相φ
Nで撮影する場合について説明する。
【0059】
本実施の形態に係る振動解析システム1は、カメラ11が可変フレームレートカメラであり、カメラ11のフレームタイミングが制御部21によって制御される点で、実施の形態1と異なる。その他、制御ユニット20の構成等については、実施の形態1と同様であるので同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0060】
以下、
図10のフローチャートを参照しつつ、本実施の形態に係る振動解析方法について具体的に説明する。本実施の形態に係る振動解析処理では、まず、予め定められた基準位相φ
0の非共振画像
0Iを取得する(ステップS51)。本実施の形態では、回転体50の保持部、駆動部等に、回転体50の回転角を計測する回転角計測手段51が配置されている。回転角計測手段51は、例えばロータリエンコーダである。画像データ取得部211は、回転角計測手段51から取得された回転体50の回転角情報である位相データに基づいてカメラ11を制御し、基準位相φ
0の非共振画像
0Iを取得する。また、制御部21は、取得した非共振画像
0Iに基づいてLUTを作成し、記憶部22に記憶させる(ステップS52)。
【0061】
続いて、画像データ取得部211は、回転体50の動作画像Iを取得する(ステップS53)。具体的には、制御部21は、回転角計測手段51から回転角を示すデータを取得する。そして、制御部21は、カメラ11のフレームタイミングを制御して、予め定められた所定の解析位相φ
Nで、切削動作中の回転体50を撮影する。これにより、回転体50のフレームタイミングと実際の回転角との誤差を修正して、精度よく解析位相φ
Nの動作画像Iを撮影することができる。回転周期をT^
R(t
k)、時刻t=t
kでの回転角の推定値をφ^(t
k)、目標角をφ
0とすると、次のフレームタイミングである時刻t=t
k+1は、以下の式で表される。
【数3】
【0062】
演算部212は、撮影された基準位相φ
0の位相ロックイン画像I
φNを生成する(ステップS54)。また、演算部212は、生成された位相ロックイン画像I
φNに基づいて、振動検出を行う。振動検出方法は、実施の形態1と同様に、画像処理を用いて変位を算出することにより行う。
【0063】
制御部21は、検出した振動変位に基づいて、回転体50の振動状態を解析する(ステップS55)。例えば、算出された振動情報を高速フーリエ変換して、表示部23に表示させる。これにより、所定の窓時間毎に振動状態を解析して、動画として表示させることにより、回転体50の振動状態の時間変化を把握することができる。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態に係る振動解析システム1では、回転体50の位相、すなわち回転角を制御部21で検知してフレームタイミングを決定するフィードバック制御によって、動作画像Iを取得する。したがって、動作画像Iの位相誤差を低減することができる。これにより、回転体50の振動解析の精度を向上させることができる。
【0065】
本実施の形態では、回転体50の回転角度を計測して、フレームタイミングを決定することとしたが、これに限られない。例えば、解析位相φ
Nで回転体50を撮影するためのロックイン目標となる特徴量G(φ)を用いて、回転体50の位相を計測し、フレームタイミングを決定することとしてもよい。より具体的には、画像データ取得部211は、カメラ11又は制御ユニット20に接続された他の高フレームレート撮影可能なカメラで、取得される画像データから、特徴量G(tk)を抽出して回転体50の位相を計測し、動作画像Iを撮影することとしてもよい。これにより、画像処理によりフレームタイミングを決定することが可能となる。
【0066】
特徴量Gに基づくフレームタイミングは、目標特徴量をG
0とすると、以下の式のように表すことができる。
【数4】
【0067】
上記のように、特徴量Gを用いてフレームタイミングを調整することで、解析位相φ
Nである基準位相φ
0に対して誤差の小さい動作画像Iを撮影することができる。したがって、回転角計測手段51がなくとも、精度よく回転体50の振動を検出することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、回転体50の回転周期T
Rにおいて、所定の基準位相φ
0のみの動作画像Iを取得することとしたが、これに限られない。例えば、1周期をN分割して、複数の解析位相φ
Nで回転体50を撮影することとしてもよい。この場合、解析位相φ
N毎に、位相ロックイン画像I
φNを作成し、振動解析を行えばよい。また、解析位相φ
N毎に、予め非共振画像
0Iを取得してLUTを作成し、解析位相φ
N毎の位相ロックイン画像I
φNを補正して合成することとしてもよい。これにより、実施の形態1と同様に、アンダーサンプリングによる不具合を低減して、より精度の高い振動解析を行うことができる。
【0069】
上記各実施の形態では、回転体50の回転軸に対して直交する方向の画像に基づいて振動解析することを基本としているが、これに限られない。例えば、回転軸方向の画像に対して振動解析を行うこととしてもよい。このような場合であっても、回転体50の位相毎のロックイン画像に基づいて解析を行うことにより、回転成分の影響を低減して、精度よく共振成分の振動を検出することができる。
【0070】
また、上記各実施の形態では、カメラ11で撮影した画像を解析することとしたが、これに限られない。例えば、予め撮影され、制御ユニット20に接続された外部記憶装置、記憶部22等に記憶されている動作画像I、非共振画像
0I等を用いて回転体50の振動状態を解析することとしてもよい。
【解決手段】振動解析システムは、解析対象である回転体50の動作状態を表す動作画像Iを取得する画像データ取得部と、動作画像Iに基づいて、回転体50の振動状態を解析する演算部と、を備える。また演算部は、動作画像Iのうち、回転体50の位相が所定の解析位相φ